「車両がオイルの劣化状態を算出」

「車両がオイルの劣化状態を算出」
平成27年式のマツダ・デミオ(車両型式LDA−
DJ 5 FS、エンジン型式S 5 −DPTS(SKYA CTIV−
D1.5))で、コンビネーション・メーター内のレンチ
表示灯が点灯し入庫、その時の走行距離は10,000km
で、 エ ン ジ ン・ オ イ ル の 交 換 時 期( 1 年 ま た は
10,000kmどちらか早い方)だったことからオイルを交換したが消灯しないため、リセット
方法が知りたいとの相談を受けた。詳しく状況を確認すると、この車両はリース車で 2 か
月ごとに点検しているが、前回の点検から 2 か月経過する前にレンチ表示灯が点灯したと
の事だった。
レンチ表示灯はエンジン・オイルが劣化した時や、あらかじめ設定された点検時期に近
づいた時に点灯するようになっている。車両側でエンジン・オイルの劣化状態、走行距離、
経過日数を計算しているため、オイル交換後はオイル・データのリセットを行う必要があ
る。オイル・データのリセット作業を実施するとレンチ表示灯が消灯したとの事だった。
その後の状況を工場に確認すると、走行距離が20,000km時にレンチ表示灯が点滅したた
めディーラーに車両を持込んだところ、セジメンタの水抜きが必要な場合に点滅するとの
説明があり水抜き後、セジメンタ・データ・リセットを実施すると消灯したとの事だった。
今回のように車両状態をモニタしている装置に関しては,交換作業だけでは記憶されて
いるデータが消えないため、リセット作業が必要になる。
このほかにも、SKYACTIV−Dを搭載したアテンザ、アクセラ、CX− 5 、CX− 3 など
の車両でもデータ・リセット作業が必要になるため、同様の作業時には各車両のサービス・
マニュアルで手順を確認し、確実な作業をしていただきたい。
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NEWS 2015 11月号
〈参考資料〉
レンチ表示灯
■ 目的・機能
・レンチ表示灯の点灯は、エンジン・オイルの劣化または、あらかじめ設定したメンテナンス時期が
近いことをユーザーに知らせます。
・レンチ表示灯の点滅は、セジメンタの水抜きが必要であることをユーザーに知らせます。
■ 構造
・レンチ表示灯を、コンビネーション・メータに内臓しました。
■ 作動
・レンチ表示灯の点灯/点滅に関する条件は以下の通
りです。
レンチ表示灯点灯条件
ー PCMがエンジン・オイルの劣化を判定したとき
ー ‌‌あらかじめ設定したメンテナンス時期が近づいた
とき
・メンテナンス・モニタの詳細は、「メンテナンス・
モニタ」を参照してください。(参照:メンテナン
ス・モニタ[センタ・ディスプレイ付車])
レンチ表示灯点滅条件
ー ‌セジメンタ・データ・リセットを行った時点から 2 万㎞(定期点検整備でセジメンタの水抜き作業
を指定した距離)を走行したとき
エンジン・オイル・メンテナンス・モニタ
■ 概要
・エンジン・オイルを交換する適切な目標時期を算出します。
■ ブロック図
PCM
車速
走行距離
時間信号
経過日数
エンジン ・ オイル
交換時期
コンビネーション ・ メータ
エンジン ・ オイル寿命
(算出)
■ 作動
・PCMは、エンジン・オイル・メンテナンス・モニタ機能を起動するとエンジン・オイルの劣化状態、
走行距離、および経過日数を計算し、規定値を超えた場合はエンジン・オイル交換時期に達したと判定
します。
・PCMは、エンジン・オイル交換時期に達したと判定すると、レンチ表示灯点灯要求信号をコンビネー
ション・メータに送信します。
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エンジン・オイル・データ・リセット
参考:テスト端子をボデー・アースさせることでサービス・コードP1905:00が検出されることがある。この場
合、ボデー・アースを解除することで、サービス・コードP1905:00は自動的に消去されるが、念の為メ
モリ消去手順を行い、サービス・コードP1905:00を確実に消去すること。
1 .エンジン・スイッチをON(エンジン停止)にする。
2 .‌ジャンパ・ワイヤを使用して、以下に示すテスト端子
をボデー・アースする。
3 .‌5 秒以内に、アクセル・ペダルの踏込み/開放を 5 回
繰返す。
参考:エンジン・オイル・データ・リセットが正しく
実施された場合、予熱表示灯が 5 回点滅する。
4 .‌予熱表示灯が 5 回点滅することを確認する。
ー予熱表示灯の点滅が確認できない場合、再度手順 1
から実施する。
5 .テスト端子のボデー・アースを解除する。
6 .エンジン・スイッチをOFF(LOCK)にする。
セジメンタ・データ・リセット
参考:テスト端子をボデー・アースさせることでサービス・コードP1905:00が検出されることがある。この場
合、ボデー・アースを解除することで、サービス・コードP1905:00は自動的に消去されるが、念の為メ
モリ消去手順を行い、サービス・コードP1905:00を確実に消去すること。
1 .エンジン・スイッチをON(エンジン停止)にする。
2 .‌セレクト・レバーが、PまたはNレンジの位置にある
ことを確認する。(ATX)
3 .‌シフト・レバーが、ニュートラルの位置にあることを
確認する。(MTX)
4 .‌ジャンパ・ワイヤを使用して、以下に示すテスト端子
をボデー・アースする。
5 .‌5 秒以内に、ブレーキ・ペダルの踏込み/開放を 5 回
繰り返す。
参考:セジメンタ・データ・リセットが始まると、予
熱表示灯が点灯する。
6 .予熱表示灯が点灯することを確認する。
ー予熱表示灯が点灯しない場合、再度手順 1 から実施
する。
参考:セジメンタ・データ・リセットが正しく実施された場合、予熱表示灯が 5 回点滅する。
7 .予熱表示灯が 5 回点滅することを確認する。
ー予熱表示灯の点滅が確認できない場合、再度手順 1 から実施する。
8 .テスト端子のボデー・アースを解除する。
9 .エンジン・スイッチをOFF(LOCK)にする。
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