M2Mの定義と無線方式 2013年4月24日 -1- M2Mという考え方 機械と機械が通信ネットワークを介して接続し,自律的に情報交換 これまでネットワークにつながっていなかった様々な機械をつなぐことで 多様な情報を生み出す 様々な技術分野への応用 Machine-to-Machine (= M2M) Human-to-Human (H2H) 人間の介入がほとんどないネットワークを機械が形成 有益な情報の生成・機械の自動制御などを行う 家電,電力管理,生産,流通,医療,交通… 新たなビジネスの可能性 人間同士でのネットワーク事業の飽和 得られるビッグデータから新たな価値の創出 -2- M2Mの概念図 従来のネットワークとの違い 従来の通信システムは基本的に人と人との通信を想定されている 基本的に管理センターなどで人間が常駐 従来のシステムは機器ごとに独自のネットワーク 異なる機種間の 通信ができない 独自規格・互換性なし 開発,導入費用が高価 小規模なものが多い レジスターの例 M2Mでは無線方式・インターフェイスなどの点は既存の技術で標準化 通信に用いるプロトコル・アプリケーションなども策定 コンピュータの小型化,低価格化,高性能化 -3- M2Mの応用分野 医療,交通,電力管理,気象予測など非常に広範囲の分野において応用 電力 交通 • スマートグリッド • 電力の遠隔検針 • 渋滞予測 医療 • 遠隔医療 • ヘルスケア 農業・食品 • トレーサビリティー • 自動栽培システム 土木 • 水道管理のモニタリング・センシング • 水道メータの遠隔検針 物流 • 荷物の追跡 • 購入動向の情報収集 警備保障 • 遠隔監視 -4- M2Mの実例 ~自販機の遠隔管理 自販機に通信機能をもたせ,インターネットに接続 交通系ICカードなど各種サービスとの統合 売り上げ状況レポートを生成し,マーケティングに活用 品切れ・故障状況を集中管理し,在庫や修理などプロセスを効率化 売り上げ情報 在庫状況・品切れの有無 購入者の年代 故障状況 記録・統計処理 レポート M2Mネットワーク データセンター 入荷作業 戦略的商品交換 自販機・直近在庫収集システム 導入事例 - NECマグナスコミュニケーションズ http://necmagnus.jp/usecase/kpau.html -5- 管理センター M2Mの実例 ~水道管路のモニタリング 水道管の老朽化・異常検出を無線センサによって自動化 労働力,運用管理コストの低減 測定対象に振動センサなどを定間隔で取り付けてモニタリング 使用帯域,伝達距離,センサの数によって用いる無線規格を検討 100m程度 修繕・保守管理 無線センサ 老朽化・水漏れ 水道管 レポート M2Mネットワーク 処理サーバー インターネット ゲートウェイ 文献[3]より -6- 管理センター 無線技術の発展とM2M M2Mは無線技術なしに発展しえない 低電力,安価,長寿命な無線端末の登場 移動体での利用 (自動車,電車,スマートフォン…) 有線回線敷設,維持のコスト 回線接続端末数の増加 電源供給が難しい場合も多く,固定電源の不要な端末が期待 端末の価格高価では普及しない 既存の無線技術,規格の利用 通信方式の世界標準化 近距離通信: Wi-Fi,Bluetooth,ZigBee … 広域通信: 3GPP,WiMAX,ETSI … システムの広範囲普及,低価格化 -7- 近距離低電力通信規格 ~ZigBee 近距離無線の世界標準規格”ZigBee” 低消費電力 多くの端末の同時接続 信頼性の高いネットワークの自動形成 メッシュ スター ツリー M2M端末としての利用が期待 PANコーディネータ フル機能デバイス サブ・デバイス 特に,センサネットワークによる 情報収集において実用化 ZigBeeの形成するネットワークトポロジー IEEE802.15.4 準拠 周波数帯は800MHz,900MHz,2.4GHz (日本では2.4GHz) スループットは最大250Kbps程度 http://www.zbsigj.org/about_zigbee -8- M2Mの技術とネットワーク構成例 主に3層のネットワークで構成される アクセスネットワーク 基幹ネットワーク (中継局から広域有線ネットワーク) 端末が第2層への通信機能をもつものもある 近距離無線通信 (Wi-Fi,Bluetooth,ZigBeeなど) 広域無線通信 (3GPP,WiMAXなど) 第1層 第2層 第3層 サーバー 端末 (M2M nodes) M2M gateway インターネット 利用者 アクセス・ネットワーク 基幹ネットワーク M2Mシステムの基本的な構成例 -9- 文献[3]より アクセストラフィックの増加 M2Mの発展で膨大な端末がネットワークに参入 2020年にはインターネット接続端末数は500億台以上になると予測 ほとんどがM2Mネットワーク機器 2010年現在54億台の10倍 増加するトラフィック,IPアドレス枯渇 必要とされる帯域幅が多様 監視カメラ 大 トラフィック ネットワークをM2Mに最適化する必要 センサ機器 小 トラフィック -10- M2Mの課題 拡張性の向上 機密性の確立 端末やサービスの市場価格が低くないと導入は困難 標準化 通信内容は秘匿性の高いものである必要がある 低価格化 使用する端末の数が多くなっても安定した通信を維持できるか 通信方式,データ構造などネットワーク各層において方式を策定 プラットフォームの違う機器同士でも通信可能・ネットワークの大規模化 ネットワークの最適化 M2Mは大量の端末が少量のデータを頻繁に転送するような通信方式 端末の識別やネットワークの混雑 混雑や過負荷のないようにネットワークを最適化する -11- 参考文献 [1] 大宮知己, 織毛直美, ”グローバルスタンダード最前線 M2Mを取り巻く標 準化動向,” NTT技術ジャーナル 2012.4 pp.63-66, 2012. [2] K. Chang, A. Soong, M. Tseng and Z. Xlang, “Global Wireless Machine-toMachine Standardization,” IEEE Computer Society, vol. 15, no.2, pp.64-69, 2011. [3] 小野悟, 渡辺尚, “活用が始まるM2Mの現状と展望,” IEEJ Transactions on Electronics Information and Systems vol. 132, no.5, pp.626-631, 2012. [4] 小林雅一, “ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える,” 朝日新聞出 版, 2011. [5] 坂本浩, 萬代雅希, 渡辺尚, “スマートアンテナを利用したM2Mデータ収集 無線アクセス系構成に関する考察,” IEEJ Transactions on Electronics Information and Systems vol. 130 no. 7 pp. 1262-1270, 2010. [6] Z. M. Fadlullah, M. M. Fouda, N. Kato, A. Takeuchi, N. Iwasaki and Y. Nozaki, “Toward Intelligent Machine-to-Machine Communications in Smart Grid,” IEEE Communications Magazine, vol. 49, no. 4, pp. 60-65, 2011. -12-
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