平成 26 年度 筑波大学 理工学群 社会工学類 卒業研究論文 メディアの利用による生活情報の収集と 地域イベント参加の関係 社会経済システム主専攻 学籍番号 201111214 入江俊希 指導教員 石井健一 1 准教授 目次 第1章 序論 ................................................................................................................................................ 3 1-1 研究目的と背景................................................................................................................................. 3 1-2 先行研究 ........................................................................................................................................... 4 1-3 仮説 .................................................................................................................................................. 4 第2章 研究方法 ......................................................................................................................................... 5 2-1 質問紙の構成 .................................................................................................................................... 6 2-2 調査の実施........................................................................................................................................ 7 2-3 変数の定義........................................................................................................................................ 7 2-4 変数の妥当性について ...................................................................................................................... 8 第3章 結果と考察 ...................................................................................................................................... 9 3-1 アンケート調査結果の概要 ............................................................................................................... 9 3-2 仮説の検証...................................................................................................................................... 11 第4章 結論 .............................................................................................................................................. 17 4-1 本研究の結論 .................................................................................................................................. 17 4-2 今後の課題...................................................................................................................................... 18 <参考資料> .............................................................................................................................................. 19 <付録>調査に用いたアンケート用紙の一例 ............................................................................................. 20 2 第1章 序論 1-1 研究目的と背景 現代では、インターネットの利用はもはや当たり前のことになり、テレビ局や新聞社などのマスメディア が自社のホームページでコンテンツを配信するなど、各メディアはいかにインターネットを活用して情報を 届けるかということに取り組んでいる。また、大画面での操作に適したスマートフォン(スマホ)の普及に より、消費者側もいつでもどこでも情報にアクセスすることが出来るようになり、それらをソーシャル・ネ ットワーキング・サービス(SNS)で身近な人間関係の中で共有することも多くなった。 「2012 年 Facebook ユーザ 500 人 利用実態調査」1)によれば、Facebook で投稿・シェアされるものでは、 「楽しい」出来事が最も多くなっている。また、どのような目的で利用しているかという問いでは「友達の 近況をチェックする」が最も多かった。これを受けて、共有される情報のひとつに個人的な旅行やお祭りの ような地域イベントなどの非日常的な体験があると考えた。 誰でも発信できるインターネットというメディアの躍進とは対照的に、旧来のマスメディアの影響力が相 対的に落ちてきているという声もある。株式会社博報堂DYメディアパートナーズが調査を行い 2)、20 代の 男女が第 47 回衆議院議員総選挙において投票先を決めるにあたって参考にしたメディアを調査している。そ の中で NHK や民放テレビが 45%近くとり、新聞が 28.5%と続く中、インターネットポータルサイトやニュー スサイトが 21%と迫り、政党・候補者サイトや SNS なども 10%を超え、重要度が高まっていることが分かる。 テレビ、新聞、雑誌などの大手企業によるメディアの他に、フリーペーパーというメディアもある。JAFNA (日本生活情報紙協会)による定義 3)では「特定の読者を狙い、無料で配布するか到達させる定期発行の地 域生活情報紙誌で、イベント、タウン、ショップ、求人求職、住宅・不動産、グルメ・飲食店、ショッピング、 演劇、エステ・美容、レジャー・旅行、各種教室など多岐にわたる生活情報を記事と広告で伝える。 」ものであ る。本研究では地域に密着した生活情報を伝達するメディアとして注目した。 フリーペーパー・フリーマガジン(以下、FP・FM と表記)は、様々な形態があるが、狭義では新聞に準じ た形態のものをフリーペーパー、冊子体で雑誌に準じるものをフリーマガジンというが、広義では無料の印 刷媒体を指してフリーペーパーと総称する。 配布形態にも種類があり、呉地(2006)4)は「ポスティング」、 「スポットの設置」 、 「新聞折り込み」の 3 つに分類されるとしている。家庭への宅配によるポスティングの閲読率が最も高い。スポットの設置は店・ 公共施設・駅構内などターゲットに適した場所が選ばれる。新聞折り込みは手軽に配布できる FP に多い。 電通が毎年まとめている調査「日本の広告費」5)の 2013 年版によると、広告はマスコミ四媒体(新聞・雑 誌・ラジオ・テレビ)、インターネット広告、プロモーションメディアなどに大きく分類され、FP・FM はプ ロモーションメディアに含まれる。2013 年の広告費約 6 兆に占める割合はテレビ 30.0%、新聞 10.3%、雑 誌 4.2%、ラジオ 2.1%、インターネット広告 15.7%に比べて、FP・FM 3.8%となっており、広告費で見れ ば雑誌・ラジオに並ぶ規模のメディアであることが分かる。 「日本の広告費」5)の中では、クーポン機能がス マホ利用を見込んだインターネット広告へシフトしていることを挙げ、前年からマイナス成長であることも 述べられている。テーマ別のフリーマガジンが若干の減少傾向を見せるものの地域密着型のフリーマガジン は増加傾向にある。 以上のようなメディアの状況を踏まえ、現在の消費者はどのように情報にアクセスし、どのように情報を 3 共有し、どのような行動に結びついているのかを研究の題材としたい。 今回は特に、SNS にも取り上げられやすい地域イベントに着目し、SNS やフリーペーパーなどを通した情報 の受信・発信と地域イベントへの参加の実態との関係に重点を置いて調査する。これによって、消費者の地 域での行動にメディアがどのように影響を与えるのかを解明し、地域振興に役立てることが出来ると考えた。 1-2 先行研究 メディアに関する研究を行うにあたって、生活情報というものに触れることにする。 滝山・益本(2003)6)によれば、人々は毎日の生活の営みの中で生活欲求を実現するために役立つ生活情 報を入手している。生活情報とは、生活者が個々の生活領域において各種の行動や意思決定の上で必要な情 報であり、文字、画像、音声など多様な形態により表現され、生活者に提供される媒体(メディア)が必要 である。媒体即ち情報装置の特性の視点に立ってメディアの変遷をたどると、①話し言葉のように人間の身 体を用いたメディア、②印刷物のように情報発信の際、道具や機械を必要とするメディア、③テレビのよう に情報の受信にも発信にも機械を必要とするメディア、の順に発展してきたとされる。 滝山・益本(2003)6)による各メディアの分類は以下の通りである。 1.「友人・知人」 「家族・親戚」「授業・講義」 「サークル・クラブ」などから成る対面メディア。 2.「新聞記事」「雑誌・情報誌」「新聞広告」「書籍」「広報誌」「掲示板」などから成る印刷メディア。 3.「テレビ・ラジオ番組」 「インターネット」 「電話・FAX」 「電子メール」などから成る電子メディア。 ここで「生活情報の入手におけるメディア利用」と「生活情報に対する満足度」との関連に注目すると、 生活者はマスメディアに一方的に依存しているのではなく、速報性・保存性・五感への訴え方など複数の要 因から得られる満足度が異なるため、主体的に生活情報の内容にふさわしい特性を備えたメディアを選択し ていると滝山・益本(2003)6)は述べている。 1-3 仮説 今回の研究は地域イベントに関する情報収集・地域イベントへの参加を軸とする。 まずは普段の情報収集がどのようなものなのかについて、フリーペーパーを含むメディアの利用実態につ いて調査する。そのうえで今回の研究対象である筑波大学の学生にとって身近な地域イベントである 4 つの 祭りについて着目し、その情報をどのように収集あるいは自ら発信しているのかを調べ、さらに情報への関 わり方が実際に行動に影響を与えているのかを調査することにした。 今回設定した仮説は大きく分けて 3 つである。 <仮説 1>フリーペーパー利用頻度の高い人の特性について 仮説 1-1 流行への関心がある人ほどフリーペーパーを利用している 仮説 1-2 イベントに関する情報を人に伝える人ほどフリーペーパーを利用している 仮説 1 では地域に密着した媒体であるフリーペーパーを利用する人の特性に着目し、検討する。仮説 1-1 では、被験者特性とフリーペーパー利用頻度との相関性を検証し、特に流行への関心がある人との間に相関 性があると仮定する。仮説 1-2 では、フリーペーパーを利用する人がとる行動について検証し、特にイベン トに関する情報を人に伝えることが多いのではないかと仮定する。 4 <仮説 2>地域への関心が高い人のメディア利用について 仮説 2-1 地域への関心がある人ほど地域イベントへの関心が高い。 仮説 2-2 地域への関心がある人ほど地域密着型の印刷メディアの利用頻度が高い。 仮説 2-3 地域への関心がある人ほど地域密着型の放送メディアの利用頻度が高い。 仮説 2 では地域への関心が高い人に着目する。まず、地域への関心が高い人は同様に地域イベントへの関 心も高いのではないかと考え仮説 2-1 を設定した。仮説 2-2 では、地域への関心がある人がどのようなメデ ィアを利用しているかを検討する。インターネットでは自分で情報を選択できるため、地域に関する情報を 容易に入手できる利点がある。では、既存の媒体で地域への関心が高い人に接触しやすいメディアがあるか どうか。印刷メディアに含まれる地方紙やタウン誌、フリーペーパー等に着目し、その利用頻度が高いかど うかを検討する。仮説 2-3 では同様の電子メディアとしてテレビ(地方局)の利用頻度が高いかどうかを検 討する。 <仮説 3>口コミにおける役割によって地域での行動が変化するかどうかについて 仮説 3-1 口コミによる発信が多い人ほどイベント参加行動が多い。 仮説 3-2 口コミによる受信が多い人ほどイベント参加行動が多い。 仮説 3 では口コミにおいて、情報を伝える側と受け取る側でイベント参加行動がどうであるかに着目し た。自ら口コミの発信源となる人はイベントへの関心が高いと考え、イベントへの参加行動に結び付くとい う仮説 3-1 を検証する。また、口コミの情報を受けとる人は人の影響を受けやすい同調性があると考えられ、 そのためイベントへの参加行動に結び付くという仮説 3-2 を検証する。 <仮説 4>SNS の利用は地域での行動に影響するかどうかについて 仮説 4-1 SNS を利用する人は社交性が高く、同調して行動しやすい。 仮説 4-2 SNS を利用する人ほどイベントへの関心度が高くなる。 仮説 4 では SNS 利用者の特性について考える。社交性の高い人は SNS を活用していると考えられ、また人 間関係の中で他人への関心も高い。人からの影響を受ける環境にいるため、同調して行動をとることも考え られる。これを仮説 4-1 で検証する。そのような SNS の影響により、自分自身が関心を抱いていなくても参 加するきっかけとなり、イベント参加行動が多くなるのではないかと考え仮説 4-2 を検証する。 以上を本研究の仮説として、調査を実行した。 第2章 研究方法 本研究によって把握したい項目は、「フリーペーパーと口コミには相関関係があるか」 「地域への関心があ る人のメディア利用実態」 「口コミと地域行動の相関関係があるか」である。これらを調べられるようアンケ ートを作成し、調査を行った。 5 2-1 質問紙の構成 設問の構成は大きく分けて 3 つである。 第一に、マスメディアの利用度、Web コミュニケーションツールの利用度、Web 情報収集ツール利用度につ いての質問を行った。調査の概要として、被験者がどのようなメディアを主に利用しているのかを調査した。 仮説 1 及び仮説 2 の検証に使用する。 次に、地域イベント参加の実態と情報伝達についての質問を行った。筑波大学の学生が関心をもっている と思われる 4 つの地域イベントについての認知や参加実態に注目した。また、それらの情報を人に伝えたか・ 人から伝えられたかについても調査した。仮説 1 から仮説 3 で使用する。また、4 つの特定のイベントとし て筑波大学学園祭(2014 年は 11 月 1 日~3 日に開催・以下学園祭と表記)、筑波大学宿舎祭(2014 年は 5 月 30、31 日に開催・同宿舎祭)、まつりつくば(2014 年は 8 月 30、31 日に開催)、土浦全国花火競技大会(2014 年は 10 月 4 日開催・同花火大会)を選んだのは、大規模であり認知度が高いと考えたためである。 最後に、被験者特性を問う質問を行った。流行関心度、社交性、同調行動性、地域情報への関心度の 4 つ の尺度を設けた。仮説 1 から仮説 3 で使用する。また、これらの尺度についての検証は 2-3、2-4 で記述する。 6 2-2 調査の実施 11 月 21 日(金)の会計学概論の講義にて実施した。今回のアンケート調査では「地域イベント参加の実 態と情報伝達」に関する項目において、少数のサンプルでも幅広く回答を得るために、問 2 では学園祭また は宿舎祭のどちらかについて尋ね、問 3 ではまつりつくばまたは花火大会について尋ねることにした。得ら れる回答数をなるべく同数にすることを意図し、 「学園祭・まつりつくば」について尋ねる質問紙(パターン 1)、 「宿舎祭・まつりつくば」について尋ねる質問紙(パターン 2) 、 「学園祭・花火大会」について尋ねる質 問紙(パターン 3) 、 「宿舎祭・花火大会」について尋ねる質問紙(パターン 4)の 4 種類のアンケートを作成 した。なお、異なるのは質問対象としての地域イベントだけであり、設問はすべて同一である。これらを偏 りが生じないようにランダムに配布した。 全回答数は 63。パターン 1:からパターン 4 までの回答数は 19、18、13、13 であった。また性別は、男性 52、女性 10、不明 1 となった。学年は 1 年生が約 70%を占め、2 年生・3 年生が約 5%ずつ、4 年生が約 15% という構成であった。さらに居住実態への問に、保護者と同居していると答えた人は 14 人、残りの 77%の 人は一人暮らしであることが分かった。居住地はつくば市内、隣接自治体に住む人が 49 人、4 人と、全体の 85.5%がつくば市に近い環境で生活していることも分かった。 2-3 変数の定義 アンケートの設問を分析する際、頻度に関する回答項目では月単位の頻度を基準にして以下のように変数 を設定した。 メディアの利用頻度についての項目(問 1(1))では、 「ほとんど毎日」を 28、 「週に数回程度」を 12、 「毎 週のように」を 4、「月に数回程度」を 2、 「月に一回程度」を 1、「それ以下」を 0 とした。 同様に、インターネットサービスの利用頻度についての項目(問 1(2))では、「一日に数回以上」を 84、 「一日に一回程度」を 28、 「週に数回」を 12、 「週に一回程度」を 4、 「月一回以下」を 0 とした。 インターネットサービスの利用頻度についての項目(問 1(3) )でも、 「一日に数回以上」を 84、 「一日に 一回程度」を 28、 「週に数回」を 12、「週に一回程度」を 4、「月一回程度」を 1、 「それ以下」を 0 とした。 被験者特性を測るために実施した問 4(3)は 4 つの尺度を含む。第一尺度を「流行関心度」とし、①、②、 ③で測る。第二尺度を「社交性」とし、③、④、⑤で測る。第三尺度は、一人で行動することを避け、誰か とともに行動することを好むかどうかを測る「同調行動性」とし、⑦、⑧、⑨で測る。第四尺度として「地 域関心度」を設定し、被験者である筑波大学の学生にとってなじみの深いつくばの地域への関心があるかど うかを、⑩、⑪、⑫、⑬、⑭を用いて測った。また、実際の質問文は以下の通りである。 ①世の中の出来事や流行は人よりもはやく知りたい ②世の中の話題になっていることは人よりも詳しく知りたい ③グループの中では目立つ存在でいたい ④大勢でいるより一人でいる方が好きだ ⑤休日は外出するより家の中で過ごす ⑥趣味に対する出費はケチらない ⑦人を誘って行動することが多い 7 ⑧人に誘われて行動することが多い ⑨一人で行動することが多い ⑩つくば市の地理に関心がある ⑪つくば市の歴史に関心がある ⑫つくば市の政治に関心がある ⑬つくば市で開かれる催しに関心がある ⑭自分はつくば市に愛着があると思う 2-4 変数の妥当性について 以上で定義した変数は①~③を流行関心度、③~⑤を社交性、⑦~⑨を同調行動性、⑩~⑭を地域関心度 と想定して設定した。これらの妥当性を検証する。なお、流行関心度は①から③までを正の値、社交性は④ と⑤を負の値、行動形態では⑧と⑨を負の値、地域関心度はすべて正の値として扱うことにする。 続いて各尺度について信頼性分析を行いアルファ係数の確認を行った。流行関心度のアルファ係数は 0.876 であったが、③を削除した場合のアルファ係数は 0.938 となった。社交性のアルファ係数は 0.497 で あったが、③を削除した場合のアルファ係数は 0.634 となった。同調行動性のアルファ係数は 0.400 であっ たが、⑧を削除した場合のアルファ係数は 0.525 となった。地域関心度のアルファ係数は 0.849 となった。 したがって、以下のように尺度を設定しなおすことにする。 「流行関心度」は①と②を加算したものとする。 「社交性」は④と⑤を加算したものの逆転変数とする。 「同調行動性」は⑦と⑨を加算したものとする(ただ し⑨は逆転変数である)。 「地域関心度」は⑩から⑭をすべて加算したものとする。 8 第3章 結果と考察 3-1 アンケート調査結果の概要 まず、どのようなメディアが利用されているかを見ていく。 表 1 マスメディアの利用状況(%) N=63 新聞(全 新聞(地 有料タ テレビ(キ テレビ(地 ラジ FP(スポッ FP(新聞 FP(ポステ 国紙) 方紙) ウン誌 ー局) 方局) オ ト型) 折込型 ィング型) 7.9 1.6 1.6 34.9 3.2 3.2 0.0 0.0 0.0 12.7 1.6 0.0 25.4 7.9 3.2 0.0 1.6 1.6 3.2 1.6 0.0 6.3 7.9 9.5 0.0 4.8 0.0 12.7 3.2 1.6 11.1 11.1 6.3 12.7 1.6 1.6 7.9 4.8 11.1 1.6 9.5 4.8 19.0 7.9 12.7 55.6 87.3 85.7 20.6 60.3 73.0 68.3 84.1 84.1 ほとん ど毎日 週に数 回程度 毎週の ように 月に数 回程度 月に一 回程度 それ以 下 若者のテレビ離れと言われることもあるが、依然としてテレビ(キー局)が多く利用されていることが わかる。次いで新聞、テレビ(地方局)という順番である。有料タウン誌やフリーペーパーの利用頻度が低 いが、これは 2-2 で述べた通り、1 年生が約 70%を占める構成が影響し、これらの媒体の認知度が低いので はないかと考えられる。 表 2 コミュニケーションツールの使用状況(%) 一日に数回 以上 一日に一回 程度 週に数回 週に一回程 度 月一回以下 N=63 E メール E メール (携帯電話) (PC) 76.2 36.5 17.5 17.5 6.3 15.9 9.5 3.2 14.3 11.1 20.6 36.5 1.6 6.3 1.6 11.1 14.3 22.2 38.1 4.8 15.9 22.2 Twitter Facebook LINE 65.1 23.8 7.9 LINE を一日に一回以上使用する人が 8 割を超える結果となった。同じく Twitter を一日に一回以上使用す 9 る人も 7 割を超えている。これらは特にメッセンジャーアプリとして日常的に使用される傾向があると思わ れる。一方で Facebook は 4 割にとどまるが、これら 3 つのサービスは日常的に使われていることが分かる。 表 3 インターネット上情報源の利用頻度(%) N=62 各種公式 ニュース ポータル ニュース ブログ・ HP サイト サイト アプリ 個人 HP 一日に数回以上 8.1 8.1 64.5 16.1 6.5 19.4 一日に一回程度 19.4 3.2 12.9 1.6 14.5 14.5 週に数回 29.0 11.3 6.5 12.9 9.7 19.4 週に一回程度 11.3 8.1 1.6 8.1 12.9 14.5 月一回程度 16.1 14.5 3.2 1.6 14.5 8.1 それ以下 16.1 54.8 11.3 59.7 41.9 24.2 電子掲示板(BBS) ポータルサイトが非常に多く使われ、一日に一回以上閲覧している人が 8 割近くにのぼることが分かる。 次いで高いのは電子掲示板(BBS)だが、頻度が均等に分布していることが分かる。株式会社博報堂DYメデ ィアパートナーズによる調査 2)にもあるが、ポータルサイトの重要性が分かる結果となった。 続いて、各イベントに関する実態を見ていく。 表 4 各イベントの認知 学園祭 宿舎祭 まつりつくば 花火大会 77.4 44.4 60.0 31 36 25 知っていた(%) 93.5 N 31 学園祭の認知度は 9 割以上と高いが、同様に筑波大学内で行われる宿舎祭の認知度はそれよりも低く 8 割を 下回っている。大学外のイベントでは花火大会の認知度は 6 割に達するが、まつりつくばの認知度は 5 割を 下回っている。 表 5 各イベントへの関心 学園祭 宿舎祭 まつりつくば 花火大会 かなり関心を持っていた(%) 31.0 8.3 56.3 13.3 そこそこ関心を持っていた(%) 41.4 50.0 12.5 26.7 どちらとも言えない(%) 0.0 8.3 0.0 6.7 あまり関心を持っていなかった(%) 20.7 25.0 12.5 33.3 まったく関心を持っていなかった(%) 6.9 8.3 18.8 20.0 N 29 24 16 15 学園祭、宿舎祭、花火大会については表 4 を裏付ける結果となっている。まつりつくばに関しては関心度 10 の高さと認知度が結びついていないことが伺える。 3-2 仮説の検証 次に仮説の検証を行う。 まず、フリーペーパーを読む頻度に着目し、スポット型、新聞折込型、ポスティング型それぞれのタイプ 間の相関分析を行った。その結果、スポット型とポスティング型との間に正の相関があり、相関係数は 0.383、 有意確率は 0.002、1%水準で有意であった。また、新聞折込型とポスティング型との間にも正の相関があり、 相関係数は 0.272、有意確率は 0.031 であり、5%水準で有意であった。 次に仮説 1-1 の検証として 4 つの被験者特性とフリーペーパーを読む頻度との相関関係を調べた。 その際、 フリーペーパーの 3 つの配布形態ごとに個別に分析した。その結果は表 2 の通りである。 表 6 被験者特性とフリーペーパー購読頻度の相関分析(N=62) スポット型の頻度 新聞折込型の頻度 ポスティング型の頻度 流行関心度 相関係数 社交性 .230 .043 .079 有意確率 (両側) .072 .739 .543 相関係数 .029 0.000 .040 有意確率 (両側) .823 1.000 .758 .053 0.000 .251* .681 1.000 .049 .348** .164 .132 .006 .202 .306 同調行動性 相関係数 有意確率 (両側) 地域関心度 相関係数 有意確率 (両側) 表 6 より、スポット型の閲読頻度と地域関心度との間、ポスティング型の閲読頻度と同調行動性との間に それぞれ有意な正の相関が認められた。また、有意ではなかったもののスポット型の閲読頻度と流行関心度 との間にも正の相関があると推測できる結果となった。以上の結果から、仮説 1-1「流行への関心がある人 ほど、フリーペーパーを利用している」は支持されなかった。しかしスポット型のフリーペーパーでその傾 向は見られた。また、地域関心度の高い人はスポット型のフリーペーパーを読むことも分かった。これは地 域に密着したメディアであることを意識した行動であると考えることが出来る。同調行動性の高い人がポス ティング型のフリーペーパーを読む理由についてははっきりとは分からなかった。 次に仮説 1-2 の検証である。 「各イベントの情報を人に伝えたかどうか」は「伝えた」と「伝えなかった」 かに区別される。フリーペーパーを読む頻度が「伝えた」人と「伝えなかった」人の間で異なるかどうかを 検討するために平均値の差の t 検定を行った。その際、イベント 4 つとフリーペーパーの 3 つの配布形態の 組み合わせにより、12 通りの組について、個別に分析した。 11 表 7 情報伝達の有無の t 検定 イベン フリーペーパー ト 分類 学園祭 伝えた 頻度の 標準偏 頻度の 標準偏 平均値 差 平均値 差 スポット型 0.55 0.759 0.00 新聞折込型 0.1 0.308 ポスティング型 0.25 0.444 N 宿舎祭 伝えなかった t値 自由度 0.000 3.240 19.000 0.004 *** 1.5 4.243 -0.932 7.029 0.382 0.00 0.000 2.517 19.000 0.021 * 0.004 *** 20 p 8 スポット型 0.65 0.786 0.00 0.000 3.395 0.679 新聞折込型 0.35 0.996 0.57 1.512 -0.419 22 0.679 ポスティング型 0.12 0.332 0.00 0.000 1.461 16.000 0.163 N 17 7 スポット型 0.67 0.816 0.67 0.866 0.000 13 1.000 まつり 新聞折込型 0.83 1.602 0.44 1.333 0.511 13 0.618 つくば ポスティング型 0.00 0.000 0.11 0.333 -0.806 13 0.435 1.581 6.126 0.164 -1.512 8.000 0.169 N 6 9 スポット型 0.67 0.816 0.11 0.333 花火 新聞折込型 0.00 0.000 0.00 0.000 大会 ポスティング型 0.00 0.000 0.22 0.441 N 6 9 * p < .05 ,** p <.01 , *** p < .001 表 7 より、学園祭について伝えた人の方がスポット型のフリーペーパーの閲読頻度が高い値を示した(t = 3.240, df = 19.000, p < 0.001)。同様に学園祭について伝えた人の方がポスティング型のフリーペーパー の閲読頻度が高い値を示した(t = 2.517, df = 19.000, p < 0.05) 。宿舎祭について伝えた人の方がスポッ ト型のフリーペーパーの閲読頻度が高い値を示した(t = 3.395, df = 0.679, p < 0.001)。その他は伝えた 人とそうでない人の値の差は有意ではなかった。ここで有意であった項目ではいずれも「伝えなかった」人 がフリーペーパーをまったく閲読していなかったため、閲読頻度の平均値の差が大きくなったものと思われ る。しかし「伝えた」人は各種のフリーペーパーを閲読していた傾向があり、普段から情報への感度が高い と思われる。そのような人がイベントに関する情報を人に伝える役割を果たしたのだと考えることが出来る。 以上より、仮説 1-2「イベントに関する情報を人に伝える人ほど、フリーペーパーを利用している」はイ ベントの形式と媒体の形式によっては支持されるが、 「フリーペーパーを利用している人ほど、イベントに 関する情報を人に伝える」が適切ではないかと思われる。 続いて仮説 2-1 の検証として、被験者特性の各尺度とイベント毎の関心度(5 段階尺度・数字が大きいほ ど関心度が高い)の相関分析を行った。その際、これまでと同様にフリーペーパーの 3 つの配布形態ごとに 個別に分析した。また、その結果を一つにまとめたものが以下の表である。 12 表 8 被験者特性と各イベントへの関心度の相関分析 学園祭への関心 宿舎祭への関心 まつりつくばへの関 花火大会への関 度 度 心度 心度 流行関 相関係数 .139 -.182 .276 .101 心度 有意確率 (両側) .471 .395 .301 .721 相関係数 .184 .055 .430 .082 有意確率 (両側) .338 .797 .096 .773 同調行 相関係数 .015 .059 -.008 .292 動性 有意確率 (両側) .940 .784 .978 .291 地域関 相関係数 .362 -.052 .465 .167 心度 有意確率 (両側) .054 .809 .070 .552 29 24 16 15 社交性 度数 この結果から、仮説で想定した地域関心度と各イベントへの関心度の間には有意な相関関係はなかった。 しかし、5%水準で有意ではなかったものの、社交性とまつりつくばへの関心度との間、地域関心度と学園祭 への関心度との間、地域関心度とまつりつくばへの関心度との間にそれぞれ正の相関があると推定すること ができる。以上より、仮説 2-1「地域への関心がある人ほど地域イベントへの関心が高い」は支持されない が、地域への関心が特定の地域イベントへの関心に影響を及ぼすことが推測される。 次に、仮説 2-2 の検証である。有料タウン誌・各フリーペーパーの利用頻度の和をとり、印刷メディアの 利用頻度とした。この印刷メディアの利用頻度と地域関心度の相関を見たが、地域密着型印刷メディアとい う大枠では地域関心度との有意な相関は認められなかった。そこで、メディア毎に個別地域関心度との相関 を見たところ、スポット型フリーペーパーでのみ有意であった。この二つを表 9 にまとめた。 表 9 地域関心度と地域密着型印刷メディアの利用頻度の相関分析 地方紙・タウン誌・ 新聞(地 有料タウ FP(スポッ FP の利用頻度の和 方紙) ン誌 ト型) 込型) ング型) .136 .186 -.155 .348** .164 .132 .294 .147 .228 .006 .202 .306 62 62 62 62 62 62 地 Pearson の相関 域 係数 関 有意確率 (両側) 心 度 度数 FP(新聞折 FP(ポスティ この結果から、地域関心度と印刷メディア全体で見た場合の利用頻度の間には有意な相関関係がないこと が明らかになった。よって仮説 2-2「地域への関心がある人ほど印刷メディアの利用頻度が高い」そのもの は支持されない。しかし仮説 1-1 でも取り上げたように、スポット型のフリーペーパーでのみ正の相関が 1% 水準で有意であった。したがって、地域への関心が高い人に有効な印刷メディアはスポット型のフリーペー パーのみであることが分かる。 13 次に仮説 2-3 の検証を行う。地域密着型の放送メディアとして地方局によるテレビ放送を想定する。テレ ビ(地方局)の利用頻度と地域関心度の相関を見た。また、比較のためにテレビ(キー局)とラジオ放送も 同様に相関分析を行った。 表 10 地域関心度と放送メディアの利用頻度の相関分析 テレビ(キー局) テレビ(地方局) ラジオ 地域関心 Pearson の相関係数 -.033 .237 -.191 度 有意確率 (両側) .798 .063 .136 度数 62 62 62 表 10 より、有意ではなかったものの地方局と地域関心度との間には正の相関があると考えられることが分 かった。実際、調査では地方局を週に 1 度以上見る人が 20%近くいた。仮説 2-3「地域への関心がある人ほ ど地域密着型の放送メディアの利用頻度が高い」は有意ではないものの傾向としては認められると思われる。 次に仮説 3-1 と仮説 3-2 の検証として、各イベントへの参加の仕方と、イベントの情報を誰かに伝えたか・ 誰かから聞いたかをイベント毎に整理した。詳細は以下のクロス表の通りである。 表 11 情報伝達の有無とイベント参加(複数回答あり)のクロス表 学園祭 伝達 観客と 不 主催等のか して 参 たちで参加 参加 80.0% % あり 伝達 % なし 合計 宿舎祭 度 数 まつりつくば 花火大会 観客と 不 観客と 不 観客と 不 主催等のか して 参 して 参 して 参 加 たちで参加 参加 加 参加 加 参加 加 71.4% 50.0% 78.9% 100.0% 25.0% 50.0% 38.5% 100.0% 25.0% 20.0% 28.6% 50.0% 21.1% 0.0% 75.0% 50.0% 61.5% 0.0% 75.0% 15 14 4 19 3 4 2 13 3 12 表 12 イベント毎の情報伝達の内訳 学園祭 宿舎祭 % % まつりつくば 花火大会 % % 伝達あり 20 71% 17 71% 6 38% 6 40% 伝達なし 29% 7 29% 10 63% 9 60% 28 100% 24 100% 16 100% 15 100% 計 8 表 11 では高い方の数値を太字で示したが、 「主催等のかたちで参加」と「観客として参加」の場合は「伝達 あり」が明らかに高く、逆に「不参加」の場合は「伝達なし」が明らかに高いことが分かる。したがって、 14 仮説 3-1「口コミによる発信が多い人ほどイベント参加行動が多い」は認められる。 表 13 情報受取の有無とイベント参加のクロス表 学園祭 受取 観客と 不 主催等のか して 参 たちで参加 参加 80.0% % あり 受取 % なし 合計 宿舎祭 度 数 まつりつくば 花火大会 観客 不 観客 不 観客 不 主催等のか として 参 として 参 として 参 加 たちで参加 参加 加 参加 加 参加 加 85.7% 100.0% 89.5% 100.0% 83.3% 20.0% 14.3% 0.0% 10.5% 0.0% 50.0% 0.0% 46.2% 0.0% 16.7% 15 14 4 19 3 4 2 13 3 12 100.0% 50.0% 100.0% 53.8% 表 14 イベント毎の情報受取の内訳 学園祭 宿舎祭 % % まつりつくば 花火大会 % % 伝達あり 24 86% 20 83% 9 56% 13 87% 伝達なし 14% 4 17% 7 44% 2 13% 28 100% 24 100% 16 100% 15 100% 計 4 表 12 も同様に高い方の数値を太字で示したが、大半の人が各イベントに関する情報を人から受け取ってい ることが分かる。また、不参加の度合いは明らかに学園祭と宿舎祭で小さくなっているが、これは開催地が 学内であるか否かが影響していると考えられる。したがって、仮説 3-2「口コミによる受信が多い人ほどイ ベント参加行動が多い」は認められず、イベントに関する情報を人から受け取ることは多くの人が行ってお り、参加不参加はその開催地によるものだと読み取れる。 次に、仮説 4-1 を検証する。アンケートでは SNS や電子メールなど友人知人と連絡をとるために利用する 手段としての電子メディアの利用頻度を測った。これらと被験者特性の 4 尺度との相関を見る。結果は表 13 のようになった。 15 表 15 被験者特性と SNS 等の利用頻度の相関分析 Twitter Facebook 流行関心度 社交性 同調行動性 地域関心度 LINE E メール(携帯電話) E メール(PC) 相関係数 .192 .004 .261* -.049 .195 有意確率 (両側) .135 .973 .041 .705 .128 相関係数 .357** .282* .384** .067 .238 有意確率 (両側) .004 .026 .002 .603 .062 -.037 .022 ** 相関係数 .124 .053 有意確率 (両側) .337 .681 .003 .776 .866 相関係数 .323* .191 .231 .138 .266* 有意確率 (両側) .011 .136 .071 .284 .037 62 62 62 62 62 度数 .376 表 13 を見ると、全部で 7 つの有意な相関関係が見つかった。特に社交性因子と Twitter、Facebook、LINE の 3 つはいずれも正の相関があり、SNS と社交性との関係が改めて示されたかたちとなった。また、LINE の 利用頻度は流行関心度・同調行動性との正の相関があることも分かる。LINE というアプリはグループチャッ トや 1 対 1 のメッセンジャー機能、無料通話などコミュニケーションツールとしての特徴がある。Twitter や Facebook などは情報収集ツールとしての側面も目立ち、その差が同調行動性に現れたのではないかと考え られる。地域関心度が Twitter や PC での E メールと正の相関がある理由ははっきりとはしない。以上を踏ま え、仮説 4-1「SNS を利用する人は社交性が高く、同調して行動しやすい」は社交性に関しては全面的に支 持され、同調行動性は LINE でのみ支持される結果となった。 続いて仮説 4-2 の検証のために仮説 3-3 と同様に SNS や電子メールなどの電子メディアの利用頻度と各イ ベントへの関心度との相関を見た。結果は表 14 の通りとなった。 16 表 16 各地域イベントへの関心度と SNS 等の利用頻度の相関分析 Twitter Facebook 学園祭への関心度 宿舎祭への関心度 E メール E メール (携帯電話) (PC) 相関係数 .393* .194 .450* .224 -.172 有意確率 (両側) .035 .314 .014 .243 .373 度数 29 29 29 29 29 相関係数 .244 -.173 .158 .370 -.151 有意確率 (両側) .251 .420 .460 .075 .481 度数 24 24 24 24 24 相関係数 .305 .497 .710** .383 .211 .251 .050 .002 .143 .433 度数 16 16 16 16 16 相関係数 -.057 -.200 .155 .119 -.085 有意確率 (両側) .840 .475 .580 .672 .763 度数 15 15 15 15 15 まつりつくばへの関心度 有意確率 (両側) 花火大会への関心度 LINE 表 14 から分かる通り、LINE の利用頻度と学園祭・まつりつくばへの関心度が有意な正の相関であった。 やはり LINE によるコミュニケーションは地域イベントへの関心を高める効果があると思われる。Twitter と 学園祭への関心度との間にも有意な正の相関があった。また、5%水準で有意であるとは認められなかったも のの、Facebook とまつりつくばへの関心度、携帯電話での E メールと宿舎祭への関心度も正の相関関係があ ると思われるが、その理由についてははっきりとは分からない。 イベントの特性を考慮すると、宿舎祭は 5 月末に開催されるため 1 年生は人間関係やコミュニティが形成 途中である時期であること、学園祭やまつりつくばは 8 月以降に開催されるため、人間関係やコミュニティ がしっかりしたものになり SNS での繋がりが強くなっていることが推測される。このことが SNS と宿舎祭へ の関心度との相関が認められない要因ではないかと考えられる。以上より、仮説 4-2「SNS を利用する人ほ どイベントへの関心度が高くなる」は特に LINE で支持されるが、人間関係の完成度の影響もあると推測さ れる。 第4章 結論 4-1 本研究の結論 本研究は、メディアの利用実態という側面と、地域イベントへの関わり方という側面の二方向から調査を 行った。ただし、調査対象が筑波大学生の一部という少数かつ特殊なサンプルであることが前提である。 まず、仮説 1 ではフリーペーパー利用頻度の高い人の特性を探った。仮説 1-1 ではフリーペーパーを利用 している人の特性を調べた。「流行への関心が高い」「地域への関心が高い」という特性はスポット型で配布 されているフリーペーパーとの間で正の相関性の傾向が見られた。これは、公共の場に設置してある配布ラ ック等から自らの意思でフリーペーパーを入手するという行動が、流行をはじめとした情報への感度が高い ことの表れであり、同時に地域に密着したメディアであることを意識した行動だと思われる。仮説 1-2 を通 して、学園祭や宿舎祭など大学内の地域イベントに関する情報を人に伝える人はスポット型や場合によって はポスティング型のフリーペーパーを利用している傾向が強いことが分かった。彼らは普段から情報への感 17 度が高いと思われ、そのような人がイベントに関する情報を人に伝える役割を果たしたことが分かった。 仮説 2 を通して地域関心度が高い人の傾向を探った。仮説 2-1 では地域イベントへの関心度との関係を見 たが、学園祭・まつりつくばという特定のイベントでは正の相関関係があることが分かった。単純に地域イ ベントというくくりではなく、開催地・開催時期をはじめとした要因がイベント間での差を生み出している と思われる。仮説 2-2 と 2-3 では地域密着型のメディアとの関係を見たが、スポット型のフリーペーパーと 地方局のテレビ放送では正の相関があると推測される。これらのメディアが地域情報に強いメディアである と認識されているということだろう。 仮説 3 では口コミ内での役割が地域でのイベント参加行動に影響を与えるかを調べた。仮説 3-1 の検証か ら、口コミの発信者となる人はイベントに参加する傾向が強いことが読み取れた。仮説 3-2 の検証の中で、 イベントに関する情報を人から受け取ることは多くの人が行っていることが分かった。また、不参加の度合 いは開催地が参加しやすく慣れ親しんだ場所であるか否かが影響していると考えられる。 仮説 4-1 の検証から、SNS を利用する人は全般的に社交性が高いことが明らかになった。また、同調して 行動しやすいかどうかは SNS の特性に依存する。グループチャットや 1 対 1 のメッセンジャー機能、無料通 話などコミュニケーションツールとしての特徴がある LINE は Twitter、Facebook と異なり、同調行動性との 相関性が支持される結果となった。SNS と地域関心度との相関は Twitter で認められたが、その要因は分か らなかった。仮説 4-2 の検証から、イベントへの関心度は SNS の利用頻度とも正の相関はあるが、イベント そのものの要因も影響すると思われると分かった。実際に Twitter や LINE によって学園祭とまつりつくばへ の関心は上がったと思われるが、開催時期やそれに伴った人間関係も関係し、地域イベント毎に SNS がもた らす関心度への影響に差が出ると思われる。 以上の結果を踏まえてまとめる。現在の消費者はまだまだテレビや新聞などのマスメディアを利用してい る。同時にネットのポータルサイトも多く利用し、SNS を使っての情報収集にも積極的である。しかし SNS 等を使っての情報発信は全員ではなく学内イベントでは 7 割、学外イベントでは 4 割にあたる彼らがオピニ オンリーダーのような役割を果たしている。情報感度の高い彼らは地域情報にも関心を示し、スポット型の フリーペーパーも積極的に活用している。地域イベントへの関心や参加に SNS がもたらす影響は確かに存 在するが、開催時期がコミュニティ形成や SNS の繋がりに与える影響や、開催場所や規模がイベント参加 そのものに与える影響もあり、本研究では体系的に明らかにすることは出来なかった。 4-2 今後の課題 今回の研究ではメディアの利用実態を把握することを含めて調査を行った。その中でインターネットメデ ィアを適切に分類することが困難であることが分かり、収集したデータの一部を正確に分析することが出来 なかった。また、適切な回答を得られるようアンケートを作成することが出来ず、仮説の検証では簡単な相 関を見るにとどまってしまった。また、少数のサンプルに基づいた調査であり、結果の信頼性も不十分であ る。一般化するにはさらに大規模な調査が必要だと思われる。 今後のメディア利用の実態に関する研究では、多種多様に進化し続けるインターネットメディアを適切に 分類することが必要になってくるであろう。また、地域イベントに関する研究を行う際には、イベントの開 催場所や時期、規模などの様々な定量的な要素を考慮することで詳細な分析が行えるのではないかと思う。 18 <参考資料> ・1)2012 年 Facebook ユーザ 500 人 利用実態調査(株式会社マクロミル、2012) http://www.macromill.com/r_data/20120315facebook/ (2015 年 1 月 23 日閲覧) ・2)ネット選挙普及も、依然マスメディアが強い?(株式会社博報堂DYメディアパートナーズ、2014) http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/report/20141219_9209.html (2015 年 1 月 23 日閲覧) ・3)フリーペーパー発行社・発行紙誌の動向(JAFNA(日本生活情報紙協会)) http://www.jafna.or.jp/freepaper/freepaper_3.html (2015 年 1 月 23 日閲覧) ・4)呉地一幸、 「フリーペーパーにみる機能と社会生活に及ぼす影響に関する学生調査」 、 『筑波大学平成 18 年度卒業研究論文』 (2006) ・5)日本の広告費(電通、2013) http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/ (2015 年 1 月閲覧) ・6)滝山桂子・益本仁雄、 「大学生の生活情報の入手におけるメディア利用の実態分析」、 『日本家政学会誌』 、 Vol. 54 No. 147~ 57 (2003) 19 <付録>調査に用いたアンケート用紙の一例 問 2 及び問 3 の質問対象がそれぞれ 2 種類、計 4 種類のアンケートが存在する。 20 2014 年度卒業研究 アンケート調査のお願い(A) 社会工学類社会経済システム専攻 4 年 入江俊希 連絡先:s1111214@sk.tsukuba.ac.jp このアンケート調査は卒業研究の一環として実施するものです。アンケート調査・分析を通じてメディアが イベントへの参加について与える影響を調査することを目的としています。回答結果は調査のためにのみ使 用されるものであり、個人情報を厳重に管理し、第三者への編成および目的外使用を一切行わないことを約 束します。ご協力お願いいたします。 あなたの学年、年齢を記入し、性別を○で囲んでください。 ( )年 ・ ( )歳 男 ・ 女 問 1 メディアの利用についてお尋ねします。 (1)以下のメディアをあなたは日頃、どの程度閲覧・視聴しますか。 ほ と ん ど 毎 日 週 に 数 回 程 度 毎 週 の よ う に 月 に 数 回 程 度 月 に 一 回 程 度 そ れ 以 下 新聞(全国紙):読売・朝日・毎日・日本経済・産経など(紙媒体に限る) 1 2 3 4 5 6 新聞(地方紙):茨城新聞・常陽新聞など 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 有料タウン誌:じゃらんシリーズ・○○ウォーカーシリーズ・ つくばスタイルなど テレビ(キー局):NHK・フジテレビ・テレビ朝日・日本テレビ・テレビ東京・ TBS テレビ(地方局):県域放送(チバテレビ、TOKYO MX)や ケーブルテレビ独自のチャンネル(ACCS CATV)など ラジオ フリーペーパー(スポット型):店舗や公共の場で設置・配布されるもの。 筑波大学新聞、Campus、JAMJAM、ARE、つくキャリ、ツクマガなど フリーペーパー(新聞折込型):新聞や折込広告と共に投函されるもの。 常陽リビング、常陽ウイークリーなど フリーペーパー(ポスティング型):独立した配布物として投函されるもの。 筑波ジャーナル、月刊 Plaza など 21 (2)以下のインターネットサービスをあなたは日頃、どの程度利用しますか。 一 日 に 数 回 以 上 一 日 に 一 回 程 度 週 に 数 回 週 に 一 回 程 度 月 一 回 以 下 Twitter 1 2 3 4 5 Facebook 1 2 3 4 5 LINE 1 2 3 4 5 E メール(携帯電話) 1 2 3 4 5 E メール(PC) 1 2 3 4 5 (3)以下のインターネットサービスをあなたは日頃、どの程度利用しますか。 一 日 に 数 回 以 上 一 日 に 一 回 程 度 週 に 数 回 週 に 一 回 程 度 月 一 回 程 度 そ れ 以 下 各種公式 HP:大学公式 HP、市町村公式 HP、イベント公式 HP など 1 2 3 4 5 6 新聞社・TV 局運営のニュースサイト 1 2 3 4 5 6 ポータルサイト:Yahoo!JAPAN・Google・MSN・livedoor など 1 2 3 4 5 6 ニュースアプリ:Gunosy、SmartNews など 1 2 3 4 5 6 ブログや個人の HP 1 2 3 4 5 6 電子掲示板(BBS):2 ちゃんねる・Yahoo 知恵袋・教えて goo など 1 2 3 4 5 6 22 問 2 筑波大学雙峰祭(11 月 1~3 日開催)についてお聞きします。 (1)このイベントを知っていましたか 1.知っていた 2.知らなかった →「2.知らなかった」を選択した方は次ページへ進んでください (2)このイベントについて事前にどれくらい関心を持っていましたか 1.かなり関心をもっていた 2.そこそこ関心を持っていた 4.あまり関心を持っていなかった 3.どちらとも言えない 5.まったく関心を持っていなかった (3)このイベントに関する情報をどのように収集しましたか(複数選択可) 1.対面で聞いた 2.電話で聞いた 3.Twitter 4.Facebook 5.Line 6.E メール(携帯電話) 7.E メール(PC) 8.新聞(全国紙) 9.新聞(地方紙) 10.有料タウン誌 11.テレビ(キー局) 12.テレビ(地方局) 13.ラジオ 14.フリーペーパー(スポット) 15.フリーペーパー(新聞折込) 16.フリーペーパー(ポスティング) 17.各種公式 HP 18.新聞社・TV 局運営のニュースサイト 19.ポータルサイト 20.ニュースアプリ 22.電子掲示板(BBS) 23.当日その場で知った 21.ブログや個人の HP (4)このイベントを知った後、誰かひとにこのイベントのことについて話しましたか 1.はい 2.いいえ (5)どのような方法で伝えましたか(複数選択可) 1.対面で話した 2.電話で話した 3.Twitter 5.Line 6.E メール(携帯電話) 7.E メール(PC) 4.Facebook (6)このイベントについて、誰かひとからこのイベントのことについて聞きましたか 1.はい 2.いいえ (7)どのような方法で聞きましたか(複数選択可) 1.対面で聞いた 2.電話で聞いた 3.Twitter 5.Line 6.E メール(携帯電話) 7.E メール(PC) 4.Facebook (8)このイベントに参加しましたか(複数選択可) 1.主催・運営・出店等のかたちで参加した 2.観客として参加した 3.参加しなかった 23 問 3 まつりつくば(8 月 30・31 日開催)についてお答えください (1)このイベントを知っていましたか 1.知っていた 2.知らなかった →「2.知らなかった」を選択した方は次ページへ進んでください (2)このイベントについて事前にどれくらい関心を持っていましたか 1.かなり関心をもっていた 2.そこそこ関心を持っていた 4.あまり関心を持っていなかった 3.どちらとも言えない 5.まったく関心を持っていなかった (3)このイベントに関する情報をどのように収集しましたか(複数選択可) 1.対面で聞いた 2.電話で聞いた 3.Twitter 4.Facebook 5.Line 6.E メール(携帯電話) 7.E メール(PC) 8.新聞(全国紙) 9.新聞(地方紙) 10.有料タウン誌 11.テレビ(キー局) 12.テレビ(地方局) 13.ラジオ 14.フリーペーパー(スポット) 15.フリーペーパー(新聞折込) 16.フリーペーパー(ポスティング) 17.各種公式 HP 18.新聞社・TV 局運営のニュースサイト 19.ポータルサイト 20.ニュースアプリ 22.電子掲示板(BBS) 23.当日その場で知った 21.ブログや個人の HP (4)このイベントを知った後、誰かひとにこのイベントのことについて話しましたか 1.はい 2.いいえ (5)どのような方法で伝えましたか(複数選択可) 1.対面で話した 2.電話で話した 3.Twitter 5.Line 6.E メール(携帯電話) 7.E メール(PC) 4.Facebook (6)このイベントについて、誰かひとからこのイベントのことについて聞きましたか 1.はい 2.いいえ (7)どのような方法で聞きましたか(複数選択可) 1.対面で聞いた 2.電話で聞いた 3.Twitter 5.Line 6.E メール(携帯電話) 7.E メール(PC) 4.Facebook (8)このイベントに参加しましたか(複数選択可) 1.主催・運営・出店等のかたちで参加した 2.観客として参加した 3.参加しなかった 24 問 4 現在のあなた自身についてお聞きします (1)あなたは保護者と同居していますか 1.はい 2.いいえ (2)あなたは以下のどの地域に住んでいますか 1.つくば市 2.つくばみらい市・常総市・下妻市・筑西市・桜川市・石岡市・土浦市・牛久市・龍ケ崎市 3.その他 (3)あなた自身について一番近いと思うものを選んでください 当 て は ま る や や 当 て は ま る あ ま り 当 て は ま ら な い ①世の中の出来事や流行は人よりもはやく知りたい 1 2 3 4 ②世の中の話題になっていることは人よりも詳しく知りたい 1 2 3 4 ③グループの中では目立つ存在でいたい 1 2 3 4 ④大勢でいるより一人でいる方が好きだ 1 2 3 4 ⑤休日は外出するより家の中で過ごす 1 2 3 4 ⑥趣味に対する出費はケチらない 1 2 3 4 ⑦人を誘って行動することが多い 1 2 3 4 ⑧人に誘われて行動することが多い 1 2 3 4 ⑨一人で行動することが多い 1 2 3 4 ⑩つくば市の地理に関心がある 1 2 3 4 ⑪つくば市の歴史に関心がある 1 2 3 4 ⑫つくば市の政治に関心がある 1 2 3 4 ⑬つくば市で開かれる催しに関心がある 1 2 3 4 ⑭自分はつくば市に愛着があると思う 1 2 3 4 ●アンケートは以上で終了です。調査にご協力いただき、ありがとうございました。 25 当 て は ま ら な い
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