食品 - ボッシュパッケージングテクノロジー

packazine
2014年号
食品・製菓編
Solberg & Hansen | 成功をおさめたコーヒーロースター企業
Wildlife Sciences | 手を汚さない鳥用飼料包装
ガトーフェスタ ハラダ | ラスクを丁寧かつ効率的に包装
2 | packazine
Table of contents | Editorial
目 次
07
10
ニュース
最新情報
04
効率性とフレキシビリティ ビスケットの市場の成長
お客様紹介と市場傾向
食品・製菓
07
Kärntnermilch
10
Wildlife Sciences
12
Solberg & Hansen
成功をおさめたコーヒーロースター企業
14
Essen Production
ティータイム、
スイーツタイム
17
ガトーフェスタ ハラダ
丁寧かつ効率的なラスクの包装
20
Mondelēz Ireland
乳製品生産ラインのフレキシビリティ
「手を汚さない」鳥用飼料包装
「症状」ではなく根本原因を
イベント
23
2014∼2015年食品・製菓関連イベント
表紙
ボッシュ製縦型包装ラインの追加により
40%の生産性向上を達成した
ノルウェーのプレミアムコーヒーロースター企業
www.boschpackaging.com [email protected]
packazine | 3
14
はじめに
17
読者の皆様へ
今年、ボッシュパッケージングテクノロジーでは、世界最大の包装技術展示会であるインターパック 2014 に全
力で取り組んでいます。インターパックの第 1 回開催は 1958 年にさかのぼります。食品および製菓分野から旧
Hamac Packmaschinen 社と Hansella-Maschinen 社(後の Hamac-Hansella 社)、Hesser 社、Höller 社、
Magrolo-Maschinen 社(後の Makat 社)、Sapal 社および SIG 社の包装
部門(後の SIG Pack 社)、製薬関連の包装機械メーカーとしては Höfliger &
Karg 社、Strunck 社などが機械を展示しました。これらの企業は現在、ボッシュ
ファミリーの一員です。すなわち、150 年を超えて培われた包装技術のノウハ
ウがボッシュパッケージングテクノロジーという一つの傘のもとに結集してい
Friedbert Klefenz
ると言えます。今年も私たちはインターパック参加の伝統を引き継ぎ、3,000
ロバート・ボッシュGmbH
パッケージング・テクノロジー社長
平米近いブースでボッシュの最先端の革新技術と実績ある製品ラインナップを
展示致します。
包装機械業界全体が変化の時を迎えていますが、その変化も、ますます厳格化
する製品衛生に関する規制、常に変化する消費者の要求、コスト削減に対する絶対的要求といった、従来と同様のトレン
ドに規定されています。私たちボッシュパッケージングテクノロジーは、このような変化に単に反応するのではなく、積
極的にその流れを形づくる役割を果たしていく所存です。
私たちは革新技術を開発する際、生産者としての皆様のニーズを常に念頭に置いています。ぜひインターパックにお越
しいただき、市場の変化に迅速に対応するフレキシビリティを有し、衛生規制への対応をサポートするボッシュの機器を
ご覧ください。当社の機器は、
すばやい製品替えをサポートし、
短時間で徹底した清掃を可能にし、
シンプルなオペレーショ
ンを実現するよう設計されています。これらはすべて、
お客様の製造工程の効率化につながります。さらにボッシュは、
個々
のお客様の特殊な要求に応じたベストソリューションを見出すべくアドバイスさせていただきます。このようなソリュー
ションとして、既存機のアップグレードや生産ラインの部分的な自動化も考えられます。また、生産のみならず、一次包装、
二次包装およびラインでの最終包装にも対応する、完全に統合された一貫ラインをご提案することもあるでしょう。納入
後の機器の稼働に際しても、メンテナンスからトレーニングに至るまで、様々なサービスを提供させていただきます。
2013 年の当社の業績は、私たちの戦略が軌道に乗ったことを示しています。このような良好な結果を得られたこ
とについて、この機会にお客様に感謝申し上げます。
私たちはお客様から信頼をいただくと同時に、日々ともに仕事をすることにより生まれるアイディアをいただいて
います。それが私たちの原動力となり、常に革新へ向かう刺激となっています。
Packazine 2014 年号では、ヨーグルト、クッキーなど、多様な製品分野でのお客様とボッシュのコラボレーショ
ンによる成功例をご紹介致します。 Packaged as promised ― ボッシュによる「約束通りの包装」の一例をご
覧ください。
新しい Packazine をお楽しみください。
Friedbert Klefenz
4 | packazine News Facts & Trends
ビスケット市場の成長
需要増が食品メーカーに
もたらす新たなチャンス
ビスケット類に対するグローバルな需要と言え
上させ、より衛生的なプロセスを可能にする全自
自動化とフレキシビリティ
るかもしれません ― ビスケットやクラッカーに
動システムへの需要が急増しています。食品メー
ビスケット需要の増加に対応するメーカーに
対する市場の需要が成長しており、食品メーカー
カーにとっては、フレキシブルな機器やテーラー
とって、高度な信頼性を有するフレキシブルな自
にとってブランド開発とブランド強化の機会が
メイドのソリューションと、それを支える専門家
動包装ラインは重要です。現在および将来の要求
生まれています。グローバル・インダストリー・
によるサポートを導入することにより、今回の焼
を満たすには、高品質な製品を製造するべく設計
アナリシス社によれば、パン製品の世界市場は
成菓子市場におけるチャンスを活かし、変化を続
された機器が必要となります。同時に、使い勝手
2015 年までに年間売上 4,100 億ドルに達する
ける多様な消費者ニーズに対応することが可能と
と予想され、クラッカーとプレーンビスケットで
なっています。
1
最も高い成長が見込まれています 。包装の観点
では、このような市場の成長により、効率性を向
1
出典:First Research – Cookie & Cracker
Manufacturing Industry Profile (9/23/2013).
http://www.firstresearch.com/IndustryResearch/Cookie-and-Cracker-Manufacturing.
html
packazine | 5
が良く、メンテナンスが容易な設計とする必要が
化ラインでは、ヒューマン・マシン・インター
により、メーカーはわずかな機械停止時間ですば
あります。また、設備全体の実効稼働率(OEE)
フェース(HMI)も使いやすく直感的なものと
やく生産調整を行い、製品保護のレベルや製品特
も従来と同様、設備の購入を決定する際の重要な
なり、トレーニングの所要時間も短縮されます。
性に合わせることができます(例:段積包装から
要素です。
過去数年間、ボッシュパッケージングテクノロ
コバ立て包装へ)。例えば、気密包装、ガスプルー
ビスケットのような商品の場合、高い生産能力
ジーは、成長しつつあるビスケット分野でこのよ
フ包装、あるいはビスケットを物理的衝撃から保
を有する自動化技術の導入によって、低い利益率
うなオペレーターフレンドリーな技術を採用し、
護するための段ボールの巻き付けなどの包装が考
を補うことが可能です。製造設備ではスペースも
顧客メーカーの成功に貢献いたしました。
えられます。さらに、多様なフィルムの性質に対
高価なものであるため、高速自動化ラインによっ
多くのメーカーでは同一ラインで異なる製品を
応する様々なシーリング技術があります。生産性
て全体の設置面積を縮小しつつ、生産性を向上さ
取り扱う必要があるため、包装システムのフレ
を向上させ、ブランドを強化するには、ビスケッ
せることもできます。メーカーによってニーズが
キシビリティが様々な包装形態および配置のビス
トメーカーやブランドマネージャーは設備購入に
異なるため、特殊な要求を満たすべくカスタマイ
ケット製品をハンドリングするための鍵となりま
際して、最も効率的で適切なシステムを確実に選
ズされた包装システムを提供可能なサプライヤー
す。現在、ビスケットの 75% は軟包装されてい
択するため、専門家やコンサルタントの活用も検
と協力することが極めて重要です。ボッシュパッ
ます。通常、50g 未満の製品では段積包装、51
討すべきと考えられます。
ケージングテクノロジーはお客様と協力し、テー
∼ 100g の製品では段積包装とコバ立て包装の
消費者の需要の変化の一例として、単回使用包
ラーメイドのソリューションを確実に組み入れる
両方式が採用されています。一方、100g を超え
装のトレンドがあります。単回使用包装は、一度
ことにより、生産目標の達成と経営目標の実現に
る製品の大部分はコバ立て包装されます。世界規
にすべて消費することを意図しているため、多く
貢献します。
模でこのような成長が予測され、消費者の好みも
の消費者にとって製品の新鮮さを意味します。ま
通常、自動化包装ラインでは半自動ラインと比
多様化しつつあります。したがって、フレキシビ
た、大型包装と比較して、一包装当たりの単価も
較して、必要なオペレータ数は少なくなります。
リティを最大化するべく設計された自動化包装技
より手頃なものとなります。さらに単回使用包装
それによって人件費が削減され、メーカーは、ス
術の採用により、メーカーは消費者の需要に対応
は、都市部で働く人や、食事制限中の人、移動中
キルをより高度化した上で、人員を他の重要な業
するための調整を迅速かつ容易に行うことが可能
に食べられるスナックを求める人など、多忙な消
務に再配置することも可能となります。新規自動
となります。さらに、フレキシブルな機器の導入
費者に対して利便性をもたらします。
6 | packazine News Facts & Trends
衛生面の重要性
低減するため、新たな「グリーン」オプションを
世界的な食の安全に対する懸念の高まりに伴
求めています。その一環として、生分解性フィル
い、従来よりも厳格な新たな規制が設定されつつ
ムの使用、より薄いフィルムの採用や資材の削減
あります。このことは、食品メーカーが一定の衛
による包装重量の軽量化といった動きなどがみら
生管理を取り入れる必要があることを意味しま
れます。これらの選択肢はより環境にやさしいの
す。新しい自動化ラインは衛生面に配慮して設計
みならず、品質を損なうことなく全体コストの低
されています。例えば、スチール製のフレームを
減に貢献します。
採用し、製品屑が穴や狭小部に詰まることがない
あらゆる種類のビスケットに対する市場の需要
ようシンプルな設計とされます。自動化システム
増加とその先の展開を視野に入れている食品メー
では、半自動システムよりも食品と接触する作業
カーにとって、自動化包装技術の採用は、成功へ
者の数が少なく、汚染の可能性が低減するため、
の極めて重要なステップとなります。食品メー
より衛生的です。
カーが最も必要としているもの、それはニーズに
対するベストソリューションの構築をサポートす
未来志向の「グリーン」オプション
るコンサルタントとしての能力を備えた包装設備
食品メーカーは、廃棄物や二酸化炭素の排出を
サプライヤーであると言えます。
スイスのベリンゲンを本拠地とするBosch Packaging Systems AGは、ボッシュパ
ッケージングテクノロジーのグループ会社であり、ビスケットの包装では60年を超える
歴史があります。その専門知識により、メーカーのブランド価値の向上とマーケットシ
ェア拡大に貢献しています。ボッシュの新規高速ビスケットラインは、現在の市場で最
高のフレキシビリティと最速の製品替えを実現するべく設計されています。製品の配列
からライン終末技術まで、ビスケットラインをシームレスシステムとして構築。OEEを
最大化して最高の生産性を提供しています。
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乳製品製造ラインのフレキシビリティ
Kärntnermilch社は、ボッシュグループのAmpack社から革新的な設備を導入、
生産性向上に成功しました。
オーストリアのケルンテン州に深く根差した
Kärntnermilch 社 は 毎 年、1 億 リ ッ ト ル を
しています。 Bio+ の商標で販売されるオーガ
乳製品メーカー、Kärntnermilch(ケルントナー
超える原乳から高品質の乳製品を製造。その過
ニック製品は、Kärntnermilch 社の生産の約 3
ミルヒ)社は、鮮度、品質およびサステナビリティ
程で、厳格な品質検査を行い、最新技術を採用
分の 1 を占めています。遺伝子組換えでないオー
を明確な目標としています。また、自然と環境に
することにより、製品の優越性を保証していま
ガニック乳製品は消費者の高い支持を得ていま
対する責任を意識しつつ、新鮮な乳製品を提供す
す。製造品目として、生乳、長期保存用ミルク、
す。同社は 1928 年、 Oberkärntner Dairy
ることを責務としています。同国のシュピッタ
スキムミルクおよびセミスキムミルクの他、サ
として設立。現在では、ケルンテン州におけるマー
ル/ドラウに本部を置く Kärntnermilch 社は、
ワークリーム、マスカルポーネ、乳糖除去製品な
ケットリーダーであり、最大の乳製品メーカーで
180 名の従業員を要する農業共同組合でもあり、
どのカップ製品があります。さらに、Ramino
す。乳製品に対する高い品質要求を満たすため、
1,600 社を超える地域の農業企業の生計を支え
Käsetraum、Drautaler、その他様々なナチュ
同社はヨーグルト、サワークリーム、フルーツヨー
ています。
ラルチーズ(Mölltaler Almkäse など)も生産
グルトおよびクレームフレーシュなどのカップ製
8 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
品の充填・包装機の新規導入を計画し、適切なパー
Michael Dorner 氏は、こう述べています。「当
た基準を満たすことができなくなっていました。
トナーを探していました。
社の主な目標は、可能な最高品質の牛乳およびそ
Ampack 社から導入した新規充填機は、当社の
の他の乳製品を提供することです。当社が製造す
未来への投資でもあります。機械の立上げから 2
食品分野における高い要求水準
る乳製品は、厳格な衛生基準を満たすよう、可能
週間後には、新規充填機での生産に移行すること
Kärntnermilch 社 の 新 規 充 填・ シ ー ル 機 に
な限り迅速に加工され、新鮮な状態で皆様の冷蔵
ができました。
」と Dorner 氏。それ以来、乳製
対する要求水準は高く、最大のフレキシビリティ
庫に到着しなければなりません。したがって、充
品用に開発されたこの高性能機は安定稼働を続
と生産能力を提供しつつ、高い信頼性を維持する
填機の停止時間を短縮し、停止回数を最小限にす
け、日曜夜から金曜夜まで、1 日 24 時間 3 シフ
ことが必要とされました。最終的に包装機の専
ることは、Kärntnermilch 社にとって極めて重
ト、生産能力 21,000 個 / 時で稼働しています。
門メーカー Ampack 社に決定。Ampack 社は
要です。Ampack 社は、カスタマイズされた充
2012 年以来ボッシュパッケージングテクノロ
填機の開発において強力なパートナーであること
結果は自ずから語る
ジーの一員であり、液状もしくは粘性の高い食品
を事前に確信させてくれたのみならず、信頼性の
この新規機械の導入により、Kärntnermilch
を対象とした充填・包装機、ドージングシステム
高い技術を提供してくれました。」
社 の 生 産 量 は 40% 増 加 し ま し た。Ampack
や周辺機器を開発・製造し、世界規模の販売ネッ
Kärntnermilch 社 が パ ー ト ナ ー と し て の
社製充填機はより高能力での生産も可能である
トワークを通じて販売しています。2005 年以
Ampack 社に期待するものは、包装における高
ため、さらなる時間短縮も可能です。さらに、
来、Ampack 社は無菌分野で独自の研究を行い、
い生産性と最高水準のフレキシビリティです。例
Ampack 社は受注後、短納期での納品が可能で
微生物試験施設を運営しています。包装機のスペ
として、包装工程でカップにスナップオン方式の
す。生産時間と消毒プロセスを改善することによ
シャリストとして、Kärntnermilch 社の品質お
蓋を装着する能力などが挙げられます。このよう
り、時間の最適化を行うこともできます。さらに、
よび信頼性に関する要求に対応できる最善のパー
に、インライン機のステーションの設計として豊
多様な包装形態に対応しており、容量や素材の異
トナーでした。
富なオプションを備えているため、Ampack 社
なるカップが使用でき、製品毎の段取り替えも
現 在 Kärntnermilch 社 が 使 用 し て い る
は顧客の要求に応じて最適なカスタマイズを行う
迅速に行うことができます。新規機械の充填精
Ampack 社製インライン充填機は 8 列式で、様々
ことができます。
度は、不必要な製品ロスの低減につながります。
なヨーグルト、粘性のデザート食品およびサワー
Kärntnermilch 社は同機で多品種の包装を行
また、マガジン部分を広くしたことにより、オペ
クリームを成形済みカップに充填するもので、多
うため、製品の多様性に対応する機器を搭載しな
レーターによる機械操作も容易になりました。
品種の充填が可能です。カップ供給、二重カップ
ければなりませんでした。滅菌器を組み入れるこ
当 プ ロ ジ ェ ク ト は、Kärntnermilch 社 に
コントロール検出、滅菌、前充填用ピストンバル
とにより、滅菌率を保証し、各製品が必要な衛生
とってライン全体にわたる成功に終わりました。
ブ、主充填用ロータリーバルブ、蓋材設置、シー
基準を満たすことを保証しています。さらに、シー
Ampack 社は革新技術と優れたサービスを兼ね
リング、フィルム・蓋材コントロール、スナップ
リングの信頼性が保証されることも基本的な条件
備えたサプライヤーであることを自ら証明しまし
オン式蓋材設置、包装などの各ステーションで
です。フィルム・蓋コントロール部では、カップ
た。「プロジェクトマネージャーで担当責任者の
構成されます。2013 年より使用されている本
のシーリングの検査を行い、確実にシールされた
Korbinian Tomschi 氏とプロジェクトチーム
機は、様々なステーションを設けることにより、
カップのみがライン終末の包装ステーションに到
には大変満足しています。彼らは対応が早く、プ
Kärntnermilch 社の幅広い製品ラインナップに
着するようにします。
ロジェクト全体を通じて素晴らしいサポートを提
供してくれました。」と Dorner 氏は強調してい
最適な仕様を実現しています。
未来への投資
フレキシブルな設計、最高の品質
「当社が過去に長年使用していた他社製の機
Kärntnermilch 社 製 造 部 門 の 副 部 門 長
械は、乳製品の分野でこの 10 年間に設定され
ます。
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10 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
手を汚さない鳥用飼料包装
革新的な鳥用飼料包装の開発で飛躍するWildlife Sciences社
米 国 ミ ネ ソ タ 州 ミ ネ ト ン カ 所 在 の Wildlife
が多く、ケーキ型、ボール型またはプラグ型に成
手が汚れる従来の鳥用飼料包装
Sciences(ワイルドライフ・サイエンシズ)社
形されます。このような脂肪を主成分とする製品
従 来、 牛 脂 を 含 む 鳥 用 飼 料 は、 ト レ ー に 充
は、Suet Plus® ブランドとして、牛脂をベー
を鳥用給餌器に投入する際は、製品の付着性が問
填 し た 後 に 蓋 を す る 包 装 形 態 で し た が、 こ の
スにした様々な鳥用飼料を生産しています。飼料
題となります。より清潔に、より容易に取り扱
方 法 で は、 ト レ ー か ら ケ ー キ 状 の 餌 を 取 り 出
用牛脂は、牛屍体から取れる硬い脂肪部分で、食
うことができる製品を実現するため、Wildlife
し、給餌器に移すという汚れやすい作業を使用
虫性鳥類が好む高エネルギーの飼料原料です。鳥
Sciences 社長の Bill Gleason 氏と共同創設
者が行わなければなりません。使用者が直接製
用飼料として使用する際は、粒餌、コーンミール
者の David Pichotta 氏は、同社製品のための
品 に 触 れ る 必 要 性 を 排 除 す る た め に Wildlife
やその他の穀類およびナッツ類と混合されること
新規加工・包装技術を開発しました。
Sciences 社が選択した包装形態は、チョコレー
packazine | 11
トバーのピロー包装に類似したものでした。こ
Mustang 型および Doboy Stratus 型)を追
易です。」と Gleason 氏。
の包装では端をギザギザ形状とし、使用者は片
加導入しました。
同社はプライベートブランドの鳥用飼料の製
造・包装も行っています。Gleason 氏によれば、
側から手で開封して、餌を袋から給餌器へスラ
「ピロー包装 1 個のデザインがあれば、包装の全
イドさせるように移すのみで給餌が可能となり
サステナビリティへの貢献
ました。コンセプトはシンプルですが、粘性が
新規包装形態は、環境面でも大きなメリット
体像を明確に描くことができます。これによっ
あり油分の多い製品をトレーなしでハンドリン
があります。従来のトレー方式と比較して、重
て、小売店での魅力的な商品陳列が何通りも可
グするためには、加工技術のカスタマイズが必
量 に し て 80% の 包 材 削 減 を 実 現 し、 さ ら に
能になります。また、魅力的な包装は、おのず
要でした。
100% リサイクル可能な素材を採用しました。
と陳列棚で差別化されるものです。」Wildlife
また、同社では、この製品に対応する包装技
ロール状の平フィルムで包装するため、包材の
Sciences 社のビジネスは成長を続け、2014
術、特に機械故障を引き起こしやすいナッツ類
移送に要するスペースも大幅に低減され、全体
年には、さらなる生産ラインの追加を検討して
や種子類を含み、さらに油が浸み出るケーキ状
の二酸化炭素排出量の低減にもつながっていま
います。
牛脂に対して、高品質のピロー包装を行うため
す。
の十分な堅牢性を備えた横ピロー包装機を見出
すことも課題となりました。設備ディーラーと
今後の成長を見込んで
推奨機器について協議を重ねた結果、Wildlife
2012 年、Wildlife Sciences 社では事業規
Sciences 社は Doboy H-400 型横ピロー包
模が既存工場の能力を超えたため、現在のミネ
装機を選択。本包装機は 2 シフト運転での包装
ソタ州ミネトンカに移転し、製造所面積は 3 倍
で高い信頼性を実現し、清掃のために必要な機
となりました。2013 年には包装ラインを 1 ラ
械停止は週 1 回のみです。
イン追加。「ボッシュの技術とカスタマーサポー
Wildlife Sciences 社では Suet Plus® の
トには、常々感銘を受けてきました。そこで、ボッ
売上が急増。需要増に対応するため、Gleason
シュの新しい入門機 Pack 101 型を購入しまし
氏は生産ラインにボッシュ製包装機(Doboy
た。本機は堅牢かつフレキシブルで、清掃も容
12 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
ノルウェーのプレミアムコーヒー
ロースター企業
ボッシュ製縦型包装機の導入で生産性が40%向上
オスロのプレミアムコーヒー・紅茶の輸入企業
ライベートブランド企業に販売するほか、自社ブ
Solberg & Hansen(ソルベルグ&ハンセン)
ランド製品も販売しています。同社は 2012 年、
小規模生産から中規模生産へ
社の設立は 1879 年 。同社はコーヒー豆一粒一
スウェーデンのプライベートブランド製品の製造
同社のプライベートブランド事業戦略におい
粒の完璧なロースト・包装にこだわります。コー
契約を獲得。その製品はスウェーデン国内 150
て、このコーヒー店との契約の獲得は大きな転機
ヒー豆の選定を重要視し、権威あるコンテスト
店舗で販売されることとなりました。需要の増加
となりました。同時に、製袋品充填機 2 台を含
に対応するため、Solberg & Hansen 社はボッ
む同社の旧包装設備では新たな生産需要に対応で
ケニア、グアテマラ、コスタリカ、エルサルバド
シュパッケージングテクノロジーから一貫包装ラ
きないことも判明。生産量を必要レベルまで増加
ル、ニカラグア、コロンビアおよびブラジルの農
インを導入し、40% の生産性向上を実現しまし
させるためには、縦型製袋・充填・シール(VFFS)
た。
機への移行が必要であることが分かりました。複
1
Cup of Excellence を勝ち取ったルワンダ、
2
場の豆のみを調達しています 。
同社はコーヒー豆をローストし、卸売業者やプ
数の縦型包装設備を検討した結果、最終的にボッ
Solberg&Hansen社は高品質のスタンディングバ
ッグに内部バルブの使用を決定。それにより、パッ
ケージ外観の視認性はさらに強化されました。
packazine | 13
シュを選択しました。
の侵入を防止し、アロマの劣化を防ぎます。」さ
「新規包装ラインにより、当社が求めた稼働効
コーヒー一貫包装ラインのメリット
らに同氏は、ボッシュ製の一体型バルブアプリ
率の向上が達成され、同時に、コーヒーブラン
ボッシュは、Solberg&Hansen 社とともに
ケーターの場合、シーリングの継ぎ目がほとん
ドの高品質イメージを強化することができまし
同社の特別なニーズを特定した上で、標準的な
ど見えないため、外観の向上にも貢献している
た。」と Kristidhi 氏は述べています。
スタンディングバッグと四方シール袋の両者の
と述べています。外付けバルブではなく内部バ
生産が可能なフレキシブルなラインを提案しま
ルブを選択したことにより、包装の視認性がさ
した。同ラインではボッシュ製縦型製袋包装機
らに強化されています。
(PME 4001 BG 型)を採用。製袋包装機の運
転速度は 250g 用、340g 用および 500g 用の
高精度充填技術による製品ロスの低減
四方シール袋で 50 袋 / 分。1kg 用の角底袋も
「包装はその中の製品と同等の高い品質を有し
45 袋 / 分で生産可能です。
ていなければならない、というのが Solberg &
気密性袋では、デリケートな豆のアロマを保
Hansen 社 の 固 い 信 念 で す。」 と Kristidhi 氏
持することで製品保護が強化されています。縦
は強調します。「ボッシュのおかげで、それを実
型製袋包装機は間欠動作のため、より長いシー
現することができました。」
リング時間を確保することが可能です。稼働効率
また、同氏のチームではボッシュ製計量充填機
をさらに向上させるため、Solberg & Hansen
(FIW 4011K 型)および計量器(KWI 5000 型)
社は、包装の内側にバルブをシールするボッシュ
を購入することにより、包装工程に対して包括
製アプリケーター(CVA 2000 VIS 型)を導入。
的アプローチを採用しました。計量充填機では、
「コーヒーの鮮度を保つためには、1 方向バルブ
ひずみゲージセル法を用いてワンステップで計
が重要です。」と Solberg & Hansen 社のロー
量を行い、正確な重量を示します。計量器 KWI
ストマスター Simo Kristidhi 氏。「コーヒーか
型は欧州計測機器指令(2004/22/EC)に適合
ら発生する二酸化炭素によって包装内の圧力が
し、包装ラインの最終段階で製品の正確な重量
上昇しますが、これをバルブで下げつつ、酸素
測定と品質管理チェックを行います。
Solberg & Hansen社にとってコーヒー店との
契約獲得は大きな転機となりました。需要の増
加に対応するため、ボッシュ製コーヒー用一貫
包装ラインを導入しました。
1
出典:Dear coffee, I love you, May 2004,
http://www.dearcoffeeiloveyou.com/solberghansen/
2
出典:Alliance for Coffee Excellence,
http://www.allianceforcoffeeexcellence.org/
en/cup-of-excellence/
14 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
ティータイム、スイーツタイム
ボッシュとEssen Productionが協力し
ロシアの製菓市場に新しいスイーツを提案します
1
サモワール はもはやロシア家庭の必需品では
和国エラブガで旧食肉加工工場を買い取り、最
「新しいスイーツには、すぐにファンが生まれま
ありませんが、喫茶の伝統は現在のロシアでも健
新設備を備えた製菓工場へと改修しました。同
した。」と Essen Production 社菓子部門の副
在です。ロシアの人々は通常、毎食後に紅茶を
社 の 最 初 の 菓 子 製 品 は ウ ェ ハ ー で、 Arami 、
部門長 Oleg Sukhorukov 氏。
飲むため、スイーツの消費もロシア文化に深く根
Moya lubimaya Jozy (「私の愛する Jozy」
最適な包装ラインの選定に当たって同社が求
ざしています。この伝統を生かすべく、マヨネー
の意)、 Vafelnaya Konfetka (「ウェハース
めたソリューションは、多種多様なウェハー製品
ズブランドの Makheev で有名なロシアの食
イーツ」の意)などの商品名で販売されました。
の包装が可能で、変化し続ける消費者の嗜好に対
品会社 Essen Production(エッセンプロダク
Arami はヘーゼルナッツを丸ごと使用した
応できるフレキシビリティを備えたものでした。
ション)社は製菓市場への参入を決定しました。
チョコレートがけウェハー、 Moya lubimaya
複数の包装機メーカーを評価した結果、同社は
Jozy は ヘ ー ゼ ル ナ ッ ツ を 丸 ご と 使 用 し 半 分
ボッシュパッケージングテクノロジーの設備を
新工場、新製品、新ライン
チ ョ コ レ ー ト が け し た ウ ェ ハ ー、 Vafelnaya
選択。レーン分配システム(LDS)、インライン
現在、Essen Production 社は Makheev
Konfetka はウェハー 3 枚を使用したバー状
フィーダー(Pack Feeder 4 型)5 台とピロー
ブ ラ ン ド の も と、 ケ チ ャ ッ プ、 ソ ー ス、 ジ ャ
の菓子です。
包装機 Pack 401 型 5 台で構成される設備でし
ム、スパイス、スナックおよびマヨネーズなど、
2012 年 12 月、Essen Production 社 の
た。Pack 401 型機は 4 + 1 台の配置とし、5
100 を 超 え る 製 品 を 販 売 し て い ま す。 市 場 で
最初の菓子製品が Konfetka (「スイーツ」の
ラインのうち 1 ラインは常に待機モードとする
成功をおさめてから 10 年後の 2011 年、同社
意)の商品名でスイーツを愛するロシアの人々
はロシア連邦の一地域であるタタールスタン共
のもとに届けられました。
1
ロシアの伝統的な喫茶用湯沸器。ティーアーン。
packazine | 15
ことにより、他の包装機がオフライン下での保
収容することが可能です。最大でウェハー 2,600
シュは LDS、インフィードシステムおよび横ピ
守、清掃などを要する場合に備えています。
個/分のプロセスが可能で、故障の際には、1 つ
ロー包装機 Pack 401 型をシームレスに統合し
のラインから他のラインへ製品を自動搬送するこ
たスリムな包装ラインを設計。ラインの設置面積
シームレスライン
とにより、最大限の効率性を発揮します。さらに、
が小さいため、同社は利用可能となった製造面積
ボトルネックや機械停止を起こすことなく、小
包装ライン全体でバッファーや製品検査などの異
を最大限活用しています。また、横ピロー包装機
さいウェハーを確実に包装するため、ボッシュ
なるモジュールを設け、包装工程全体を通じてデ
は電子制御による操作が容易で、機械調整も再現
はレーン配置システム(LDS)を導入しました。
リケートなウェハーの品質を確実に維持していま
性良く行うことが可能。短い機械停止時間で迅速
本システムでは、対角線上に配置されたサイドガ
す。したがって、製品のロスや損傷は最低限にお
に段取り替えを行うことができます。
イドが振動し、製品を均等に 4 列に整列させます。
さえられています。
ウェハーは順序良く 1 個ずつ並び、製品詰まり
高速化でウェハー需要の急成長に対応
などによる機械停止を防止します。整列したウェ
多種多様なウェハー製品
生 産 量 の 急 増 に 備 え る た め、Essen
ハーは、その後モジュラー方式の製品供給システ
ロシアの消費者は、スイーツについては多く
Production 社では、半自動から全自動、中速
ムに移送され、横ピロー包装機 Pack 401 型に
の 種 類 か ら 選 択 す る こ と を 好 む た め、Essen
から高速での包装まで幅広く対応可能な包装設備
供給されます。
Production 社ではスイーツに複数のバージョ
が必要でした。Pack Feeder 4 型はベルトス
ボッシュの LDS は特に小さい製品向けに開発
ンを設定しています。このように多種多様な製品
ピードが最大 120m/ 分まで可能ですが、横ピ
され、高い生産速度でランダムに到着する製品を
の効率的なハンドリングを保証するため、ボッ
ロー包装機 Pack 401 型の包装能力は約 700 個
16 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
喫茶の習慣は現在のロシアでも健在。
Essen Production社のウェハーなどの
スイーツとともに食後の紅茶を楽しみます。
/分です。さらに稼働時間の最大化をはかるため、
テクノロジーをパートナーとすることにより、同
Pack 401 型に自動フィルムスプライサーが搭
社は製菓分野への参入に成功し、ロシアでのス
載され、機械を停止せず新しいフィルムロールに
イーツ需要の増加に対応することが可能となりま
切り替えることができます。この仕様により、同
した。
「ボッシュは、開発、コンサルテーション、
社によるシステムの総所有コスト(TCO)が低
統合、出荷検収に至るまで、新製品の開発過程の
減され、かつ新製品のスイーツに対しても効率的
あらゆる段階でサポートしてくれる頼れるパート
な包装が可能となり、市場での需要増に備えるこ
ナーです。
」と Sukhorukov 氏。「当社は今後も
とができます。
ロシアの製菓市場でさらに成長します。ボッシュ
「ボッシュの設備により、ウェハー菓子の人気
と引き続き仕事をするのが楽しみです。」
上昇にあわせて、速やかにアップスケールするこ
とが可能となりました。」と Sukhorukov 氏。
「こ
れにより、今後数年間で予想される成長に対して
準備ができました。」
スイーツが切り拓く未来
Essen Production 社は製菓設備の拡張と製
品の拡充を検討中です。ボッシュパッケージング
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日本のプレミアム菓子メーカーが
導入した
革新的ロボット技術
丁寧かつ効率的なラスクのハンドリングにより生産増を実現
日本人はギフトの贈答を通じて、お世話になっ
高崎市に本社を置くプレミアム菓子メーカー、
は言います。
た感謝の気持ちを伝えます。日本では、贈り物
株式会社 原田・ガトーフェスタ ハラダ(以下、
「ハ
「お菓子には夢があふれています。お菓子をギ
は一種の「アート」とみなされ、夏の御中元と
ラダ社」)の 4 代目 代表取締役 原田 義人氏です。
フトとして贈ることは、思いやりと共感のあら
年末の御歳暮の少なくとも年 2 回、互いに贈り
高級菓子はギフトとして人気があり、原田氏は
われです」と原田氏。「私たちは、贈る人と受け
物をする伝統があります。
より高品質の菓子の創造を目指しています。こ
取る人の心を結ぶ製品を提供したいと思ってい
そのため、日本人はギフトの包装を特に重視
のような心は味だけでなく、ブランドのあり方
ます。それが日本文化の重要な要素です。」
します。このことを誰よりも熟知しているのが、
や包装にも反映されなければならないと原田氏
18 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
パラレルメカニズムロボット DELTA C2000
勾配、形状および寸法を確認し、同様のサイズの
ハラダ社は 1901 年に地域の顧客向けに和菓
型 で し た。 軽 量 で ク モ の よ う な 構 造 を 有 す る
ラスクと組み合わせて集積します。
子製造業者として創業。その後、1946 年にパ
Delta ロボットは、包装ライン上の製品を高速
この独自の 2 枚集積方式により、各サイクル
ンの製造を開始しました。現在、全国 10 数カ
かつ高精度に移動させることが可能で、複数の
の動作が高速化され、2 ラインで計 4 台のロボッ
所に店舗を有する同社では、通信販売やオンラ
製品を同一の包装ラインで取り扱う多品種少量
トが 1 分間に 252 枚のラスクを移動させること
インショップも堅調で、そのビジネスは過去 10
生産に最適です。製品毎の段取り替えを迅速に
が可能です。さらに、2 枚集積方式では、コン
年間で 10 倍に成長しています。店舗の多くは有
行うことができ、需要の増減に合わせた生産量
ベア上へのラスク片や砂糖の落下が低減される
名デパート内にありますが、独立した店舗も経
の調整が容易です。
ため、清掃が容易となり、メンテナンスのため
営しています。その一つが本社に隣接する「シャ
ハラダ社では、2007 年にグーテ・デ・ロワ
の機械停止時間も低減できます。
トー・デュ・ボヌール」です。これは「幸福の館」
ホワイトチョコレートラインに Delta ロボット
Delta ロボット C2000 型では、他の意味で
を意味します。原田氏が説明するとおり、同社
1 号機を設置しました。同機の製造およびテス
も省メンテナンスが徹底されています。原田氏
の核となる価値観は「幸せ」です。「お客様には、
トは日本国内で行われました。このラインでは、
によれば、他のロボット技術では定期修理と 2
1 つのお菓子から小さな幸せを感じていただけ
Delta ロボットが横ピロー包装機にラスクを供
∼ 3 年に一度のオーバーホールが必要となりま
ると思います。」と原田氏。
給し、同包装機で横ピロー包装を行いました。
す。一方、ボッシュの Delta ロボットは、消耗
ハラダ社の売上 1 位の製品は、ガトーラスク
現在、ハラダ社では一次包装と二次包装に 15
部品が少ないため、オーバーホールは不要で、
「グーテ・デ・ロワ」。同社の有名なフランスパ
台の Delta ロボットを使用しています。30 メー
ほぼメンテナンスフリーです。「その結果、当社
ンのスライスから製造される、芳醇なバターの
トルのトンネル型オーブンで 30 分間かけてパン
では維持と調整に要する時間が 99% 低減され、
香りとサクサクとした食感が特徴のラスクです。
を焼いた後、パンをスライスし、バターと砂糖
メンテナンス費用も 90% 低減されました。」さ
各スライスに砂糖をまぶし、製品シリーズごと
をたっぷりのせて再度焼成します。Delta ロボッ
らにヒューマン・マシンインターフェース(HMI)
に様々なコーティングを施しています。ミルク
トがラスクを横ピロー包装機へ移送し、他のボッ
は使い勝手が良く、新しい Gemini 4 コントロー
チョコレートでコーティングしたグーテ・デ・
シュ製ロボットが横ピロー包装後のラスクを搬
ラーにより可視化とシミュレーションが容易で、
ロワ プレミアムをはじめ、グーテ・デ・ロワ ホ
送しトレーに移載します。この高速ロボットシ
よりシンプルな製造工程を実現しています。
ワイトチョコレートやグーテ・デ・ロワ ソムリ
ステムがハラダ社の 1 日 130 万枚にのぼるラス
エ(ワインに合う甘くないラスク)などがあり
クの生産を支えています。
「幸福の館」からお菓子を
ます。
原田氏は、Delta ロボットのサポートにより、
同社は品質管理曲線のさらに上の水準を維持し
2003 年、全国菓子博覧会にて「グーテ・デ・
ポイントは丁寧なハンドリング
ていると述べています。「最先端の製造技術を採
ロワ」が金賞を受賞。このことは日本国内で大
原田氏は、Delta ロボットの主なメリットとし
用したことにより、当社製品はより一貫した、
きな成功をもたらしました。需要増と通信販売
て、デリケートなラスクを丁寧にハンドリングす
均質なものとなりました。お客様に高品質の製
の急増に対応するため、ハラダ社では、高速稼
ることにより、製品へのダメージや製品ロスが防
品を確実に提供しつつ、効率性と生産安定化能
働をサポートし、高度なフレキシビリティを備
止できることを挙げています。さらに、同社で過
力を向上させることができました。」
えた包装技術が必要となりました。
去に使用していた従来型ロボット機器と異なり、
ボッシュが提供する Delta ロボットは、チャッ
日本語を話すロボット
高速生産を可能にする Delta ロボット
キングにより 2 枚のラスクを集積することが可
日本向け仕様の Delta C2000 型ロボットの
ハラダ社が選択したソリューションは、ボッ
能です。優れた画像検出技術により、Delta ロボッ
HMI では、オペレーターは機械の調整や通信を日
シュパッケージングテクノロジーが提供する、
トは各ラスクの正確なサイズを認識します。重心、
本語で行うことができます。さらにサポートが必
packazine | 19
要な場合は、国内のボッシュ専門技術者が速やか
にトラブルシューティングを提供します。サービ
ス拠点が地理的に近く、日本語対応が可能な現地
サービスは、ハラダ社にとって大きなメリットと
なりました。原田氏によれば、
「Delta ロボット
のテストが日本で実施できることと、ボッシュが
日本にも専門技術者チームを置いていることが、
メーカー決定における重要なポイントでした。
」
20 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
「症状」ではなく根本原因を
Cadburyチョコレートを生産するMondelēz Ireland社。
Cadbury Flakeバーの自動包装ラインの稼働効率改善を計画した同社は
ボッシュパッケージングサービスと協力して
効果的なOEE
(設備全体の実効稼働率)
コンセプトを取り入れ、
稼働性能の向上を達成しました。
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Mondelēz Ireland( モ ン デ リ ー ズ・ ア イ
ストの投入を決定しました。
「当社の専門スタッ
ルランド)社はチョコレート、ビスケット、ガ
フが、ボッシュの OEE アプローチがどのよう
ム、キャンディー、コーヒーおよび粉末飲料の
に Cadbury Flake バー包装ラインの課題解決
専任のプロジェクトチーム
マーケットリーダーです。その幅広い製品ライン
に貢献できるかを説明しました。
」とボッシュ
Mondelēz Ireland 社とボッシュは最初の評
ナップには、Cadbur y、Côte d Or、Milka、
パッケージングサービスのサービス営業部門長
価対象として、生産停止や遅延の主な原因となっ
Toblerone、Jacobs コーヒー、Halls などの
Martin Orgill 氏。また、Mondelēz Ireland
ていた一次包装用ピロー包装機とトップローダー
人気ブランドも含まれています。アイルランド
社の David Lindsay 氏によれば、
「このプロジェ
を選択。英国支社のカスタマーサービスチームが
のクーロック工場では、人気のある Cadbury
クトでは一定期間にわたる体系的な方法が必要で
実生産中の状況を詳細に調査しました。チームは
Flake バーなど、いくつかの主なブランド製品
した。そのため、ボッシュとの信頼できるオープ
連続 23 日間、対象機械のモニタリングを行い、
が生産されています。生産スケジュールは厳しく、
ンなパートナーシップは、当社にとって極めて重
3 つの主要領域の生産データを収集し、これらの
工場では順調な工程の進行と継続的な生産フロー
要でした。OEE の概念は分かっていましたが、
数値を統計的に評価しました。その結果、稼働率
が重要です。2010 年、Cadbury Flake バー
より多くを学びたいと考えました」。
が OEE 低下の主な原因であることが判明しまし
の包装ラインは必要な生産量をカバーできなく
OEE の 算 出 で は、 生 産 性 低 下 の 主 な 原
た。評価した生産データから、まず潜在的原因が
なっていました。クーロック工場製造エンジニア
因 と し て、 稼 働 率(Availability )、 性 能
示され、稼働率低下の原因である機械停止通知の
リングマネージャーの David Lindsay 氏は、
「当
(Performance)、 品 質(Quality) の 3 つ
発生頻度がわかりました。Mondelēz Ireland
時は、すべての機械を通じて性能が一貫していま
の要因を検討します。これらの要因を比較値と
社とボッシュは、専任のプロジェクトチームを設
せんでした。
」と説明しています。
「ボッシュの包
してパーセンテージで示したものが、ボッシュ
置。
このチームは、
Mondelēz Ireland 社の機械・
装ラインに対して当社で対策を実施しましたが、
OEE 改善プロジェクトの基礎となります。約 4
製品の専門スタッフとボッシュのエンジニアリン
期待した生産性が得られませんでした。そこで、
週間にわたる測定を行ってこれらの値を算出し、
グスペシャリストおよび OEE 専門スタッフで構
ボッシュチームとパートナーシップを結び、解決
チャートに記録し、どの指標が OEE に悪影響を
成され、OEE 改善に向けた各段階で体系的な取
に当たることを決断しました。」
及ぼしているかを示します。上記 3 つの要因に
り組みを行いました。
基づき、ボッシュの OEE 専門スタッフは、持続
「2011 年 8 月 に 行 っ た 最 初 の OEE ワ ー ク
持続可能な改善に向けた継続的アプローチ
可能な機器の改善と効率性の向上に対する継続的
シ ョ ッ プ で、 機 械 の 分 析 か ら 得 ら れ た 結 果 の
同社はボッシュの経営陣と英国ダービーのカ
アプローチを策定することが可能となります。こ
概 要 を 説 明 し ま し た。」 と Martin Orgill 氏。
スタマーサービス部門のスタッフを招き、継続
れは Mondelēz Ireland 社がクーロック工場の
David Lindsay 氏は、「ワークショップはとて
的改善計画を策定。ボッシュは OEE スペシャリ
包装機器で抱えていた課題に対する理想的なコン
もオープンで、率直な意見交換の場でした。私
セプトでした。
22 | packazine Customers & Markets Food and Confectionery
たちは目標を共有し、明確で評価可能な形での目
ムはより詳細な機器性能分析を実施。ピロー包装
ローチの各段階の内容が明確に規定され、十分
的を設定しました。」と述べています。このワー
機とトップローダーについて 90 日間にわたって
なコミュニケーションが行われました。」David
クショップでは、Mondelēz Ireland 社エンジ
測定を行い、2012 年 6 月に開催された最終の
Lindsay 氏は、「当社の従業員もよく私たちをサ
ニアの工程知識と、ボッシュの機械スペシャリス
第 3 回 OEE ワークショップでその結果を発表し
ポートしてくれました。OEE コンセプトを熟知
トのノウハウをいかにして最適な形でマッチさ
ました。Martin Orgill 氏によれば、「この会議
したことで、スタッフは変化の必要性を認識し、
せるかについて提案もなされました。「症状を確
では、欠陥の種類と頻度に基づいて特定された主
ともに良い結果を得ることができました。
」と述
認することも必要だが、実際の目的は根本原因を
な機械の範囲に的を絞り、徹底した議論がなされ
べています。
「信頼できるプロフェッショナルで
特定すること」という点で、Martin Orgill 氏
ました。チームは細心の注意をもって機械性能分
あるパートナーとともに、症状のみでなく根本原
と David Lindsay 氏は一致しています。第 2
析の結果を見直し、正しい結論が得られたことを
因に対処したことにより、当社のクーロック工場
回 OEE ワークショップでは、欠陥モード影響解
確認しました。」
とその人員を最大限に活かすことができました。」
析(FEMA)により、規定された要因が及ぼす
ボ ッ シ ュ の OEE 改 善 プ ロ ジ ェ ク ト に よ り、
影響をボッシュチームが評価しました。「その影
Mondelēz Ireland 社では機械の問題の分析と
響はどの程度重大であったか?」または「その問
優先順位付けが可能となりました。さらに、機械
題が発生した頻度は?」といった質問に答える
停止時間の短縮と、性能基準の向上や一貫性とい
ことで、「インフィードに製品無し」、「ラインス
う意味においても、機器の有効性が改善されまし
ピードのバランス」、
「自動再起動手順」といった、
た。
潜在的な欠陥̶影響の優先順位の決定に役立ちま
最近のデータから、David Lindsay 氏は「性
す。チームはその後、各マルチパック形態に対し
能が大幅に向上した」ことを確認しています。よ
て新たな設定内容を決定するなどの改善措置を
り重要なことは、Mondelēz Ireland 社がこの
策定しました。
改善を持続させている点です。「この成功は、ボッ
シュとともに収集した明確なデータと、当社の
工場と人を最大限に活用
機械および生産サイクルに関するノウハウの共
決定された対策を行った後、プロジェクトチー
有によって成し遂げられたものです。OEE アプ
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2014年∼2015年 食品関連イベント
日程
2014 年
2015 年
イベント名
開催地
5 月 8 ∼ 14 日
Interpack
デュッセルドルフ
一般
6月3∼6日
Fispal Technologia
サンパウロ
食品
6 月 10 ∼ 13 日
United Fresh Tec
シカゴ
食品
6 月 10 ∼ 13 日
Fooma Japan
東京
食品
6 月 11 ∼ 14 日
Pack Plus
ニューデリー
食品
6 月 17 ∼ 20 日
Expo Pack Mexico
メキシコシティ
食品
6 月 19 ∼ 21 日
Afro Packaging
カイロ
食品
7 月 16 ∼ 18 日
ProPack China
上海
食品
9 月 24 ∼ 25 日
Empack
ブリュッセル
食品
9 月 25 ∼ 27 日
International Pack Tech India
ムンバイ
食品
10 月 6 ∼ 10 日
Agroprodmash
モスクワ
食品
10 月 7 ∼ 10 日
Tokyo Pack
東京
一般
10 月 21 ∼ 23 日
Propak Cape
ケープタウン
一般
11 月 2 ∼ 5 日
Pack Expo International
シカゴ
食品
11 月 9 ∼ 11 日
Gulfood Manufacturing
ドバイ
食品
11 月 14 ∼ 16 日
International Food Tech India
ムンバイ
食品
11 月 17 ∼ 20 日
Salon International d Emballage
パリ
一般
1 月 27 ∼ 30 日
Upakovka
モスクワ
食品
2月1∼4日
ProSweets
ケルン
食品
3 月 24 ∼ 27 日
Anuga Foodtec
ケルン
食品
(上記は変更されることがあります。)
分野
TEL: 03(5466)2550(代) FAX: 03(5466)2551
本 社
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 3-12-22 渋谷プレステージ 7F
関西営業所
〒532-0004 大阪市淀川区西宮原 2-1-3 SORA 新大阪 21 18F TEL: 06
(6391)4641
(代) FAX: 06(6391)4640
船橋工場
〒273-0017 千葉県船橋市西浦 2-2-2
ビジョンテクノロジー CoC 〒355-0813 埼玉県比企郡滑川町月輪 1464 番地 4
ホームページアドレス
http://www.bosch.co.jp/jp/pajp
TEL: 047(435)2571(代) FAX: 047(432)8181
TEL: 0493(81)5068(代) FAX: 0493(81)5094
E-mail [email protected]
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