管路流の基礎式

水理学1の復習 (1)
管路流の基礎式
管路と開水路の相違
エネルギー勾配線
動水勾配線
管 路
自由表面がない。
流量が変っても流断面積は
変らない。
水圧は大気圧から独立して
いる。
エネルギー勾配線
動水勾配線
開水路
自由表面を持つ。
流断面積は流量によって
変る。
水面の水圧は大気圧である。
管路流れの連続の式
断面積 A1
流出量
Q2  A 2v2
平均流速 v1
流体体積

流入量
Q1  A1v1
断面積 A 2
平均流速 v 2
自由水面を持たない管路流では、流れの領域に水が蓄積することはない。
すなはち、
 検査空間内の   流入   流出 
 蓄積速度    速度    速度   0

 
 


 Q1  Q2  A1v1  A 2 v 2  0
t
A1v1  A 2 v 2
*用語の説明+
X は物理量Xの時間平均を意味する。
ピトー管 Pitot tube
動圧
dynamic pressure
速度水頭
velocity head
u  0 (壁面)の
全水頭に相当する
u2
2g
ピエゾ水頭
piezometric head
p
z
ρg
位置水頭
potential
head
差し込んだ場所に
よって異なる
u
z
z 基準位
u2 p
総水頭
H

z
total head
2 g ρg
Henri Pitot
(1695-1771)
摩擦損失を考慮した一次元エネルギー方程式
(ベルヌーイの定理)
管路断面のある部位の流管を記述する一次元のレイノールズ方程式は、
v  0 ; w  0 であることを留意すると、
u
u
1 p
剪断
u
 Fx 
+
応力項
t
x
ρ x


ここで;


 2u 


剪断
ν

u2 
uv 
uw
応力項
x x
y
z
*注+ v  0、w  0 であっても、
v  0、w  0
質量力 Fx は重力ポテンシャル力であるので
従って
U

z
Fx  
   gz   g
x
x
x
u   u 2  1 p
z
剪断
 


g

応力項
t x  2  ρ x
x


 1 剪断
1 u   u 2 p
 

z
g t x  2 g ρg
 g 応力項


である。
以下の議論では、
u などを単に u
などと記す。
面積 A
平均流速の定義
Q 1

A A
v  um 
流速 u
   u dA 
A
dq 
1
A
A
*注+これからの議論では、v を平均流速
の記号として用いる
総流量 Q
断面を通過する総流量 Q で平均化された
レイノールズ方程式
面積 dA
dA を通過する流量
dq=udA
ξ
 0 に注意
t
★ 局所慣性項の流量平均化
u
(断面内の位置によって変る値)と置くと、
ξ
v
1  1 u 
1
 u  udA
dq

Q A  g t 
g vA A  t 
1
  (ξv)  (ξv)dA  1 v v 1 ξ 2 dA  β  1 v 

 g t 
g vA A  t 
g v t A A


1
1  u 2
2
β
ξ dA 
dA


A A
A A v 








★ 総水頭項の流量平均化
ピエゾ水頭:断面内位置に依存しないことに注意
1

Q
 u2
 
p


z
 2 g ρg
 dq 
A
 
1
p

u2 (u dA )  
 z 
2 g (vA ) A
 ρg

  p
v 2  1  u 3
v2
p


d
A


z

α

z

 

2 g  A A  v 
ρg
2
g
ρ
g

 




1
α
A
3
 u  dA
 
A v 

一次元レイノールズ方程式全体を流量平均化すると

 1 剪断
1 u   u2
p
 

z
g t x  2 g ρg
 g 応力項
1
Q

 1 u   u2

p
1



z
dq



x  2 g ρg
Q
A  g t





1 剪断
dA
応力項
Ag

1 v    v 2 p

β

α


z




 g t  x  2 g ρg



u
剪断
dA
応力項
A g Av

ここで、摩擦損失水頭 hL を
hL  


u
剪断
dAdx と定義すれば
応力項
g
Av
A

 hL
1 v    v 2 p

β

α


z
 x  2g ρg
  x  0
g

t




1  u 3
α
dA :エネルギー補正係数(Coriolis係数 )


A A v 
1  u 2
β
dA :運動量補正係数(Boussinesq 係数)


A A v 


α と β の値は流れの状態により異なる。摩擦損失係数を λ
とすると
α  1  2.93λ  1.55λ1.5
β  1  0.98λ
α  1、 β  1
のように表されるが、多くの場合、
として計算される。
 hL
1 v    v 2 p

β

α


z

0



 g t  x  2 g ρg
 x
α  1、 β  1
とすれば
非定常の
ベルヌーイ
式
 h
1 v   v 2 p
 

z L 0
g t x  2 g ρg
 x
この式は水理学のなかで最も重要な式である。
上式は書き換えると、
1 v H hL


0
g t x x
v2 p
ここで H 

 z ;全水頭
2 g ρg
ベルヌーイ式を積分形で表示すると

2 1
 hL
v   v 2 p
 

z

g

t

x
2
g
ρ
g


 x

2
1
1

dx  0

2
2
 1 v  dx   v  p  z   h  0
 g t 
L
 2 g ρg




1
or

2
1
 1 v  dx  H  H  h  0
 2 1 L
 g t 


v12 p1
v 22 p2
H1 

 z1 : H2 

 z2
2 g ρg
2g ρg
流れが定常であれば、
 H2  H1   hL  0
 v12 p1
  v 22 p 2

hL  

 z1   

 z2 
 2 g ρg
  2 g ρg

*用語の説明+
エネルギー線
Energy Grade
Line
動水勾配線
Hydraulic
Grade Line
摩擦損失
Friction Loss
損失水頭
Head Loss
SF
hL  H1  H2
p1
 z1
ρg
v 22 p2
H2  α

 z2
2 g ρg
定常状態でのベルヌーイ定理
d H d hL

0
dx dx
p2
 z2
ρg
v1
v12 p1
H1  α

 z1
2 g ρg
 d hL
d  v2
p


z
0


d x  2 g ρg
 dx
v2
SF 
z 基準位
SF :
d hL
dH

dx
dx
エネルギー勾配
Energy Gradient
摩擦損失勾配
Friction Gradient
〔 註〕 多くの教科書では SF を IF ないし i と標記している。
断面形が同じな直管であれば
z
は動水勾配と一致する。
SF
 dh
d  v2
p

 z  L  0

d x  2 g ρg
 dx
SF
SF
v
v
x


d p
dh
z  L 0
d x ρg
dx
d  p
 z 

dx  ρg

dp
dz
dp
             S0
 dx   dx   dx 
S0
SF  
z 基準位
S0 : 管埋設勾配
*注+鉛直軸(z 軸)は高くなる方向を正にしている。これに対して水理学の
「勾配」は下がる方向を正値としている。従って、
S0  
dz
dx
と表される
ピエゾ水頭
管路の流れの説明では、往々にして圧
力は全流断面に対して一様の値である
かのように説明されている。水圧が圧
力水頭で 10 m もあり、管径が数
cm のような場合には、そのように考
えても良い。
しかし、導水管や幹線水道管に使われ
ている管には、管径が数 m に及ぶも
の
もある。そのような場合には、静水圧
力学で学んだように、下部位置の水圧は上部の水圧よりも高くなり、水
の
圧の分布は一様ではない。
そのような大口径の管であっても、ベルヌーイの式の適用は妥当である。
なぜなら、なぜなら、ベルヌーイの式では、圧力水頭は必ず位置水頭と
の組み合わせ、すなはち、「圧力水頭〒位置水頭」(=ピエゾ水頭)で
使われるからである。圧力水頭と位置水頭とは相互に互換であるので、
流断面に水圧分布があっても、ピエゾ水頭は同じ流断面であれば、一様
の値になる。
同じ断面の圧力と位置の間には pB  pA  ρg (z A  zB )
の関係があるので同じ断面のピエゾ水頭はどこでも共通
な値になる。
pA
pB
 zA 
 zB
ρg
ρg
速度水頭は断面の部位により
異なる。
p
z
ρg
uA 2
uB2

2g
2g
uA 2 p A
HA 

 zA
2 g ρg
zB
zA
(流)断面
uB 2 pB
 HB 

 zB
2 g ρg
ピエゾ管(piezometer)
ピエゾ(piezo) はギリシャ語で圧力とい
う意味である。ピエゾ管は液体の上昇
が読める単なる鉛直に立てた透明の管。
1732 年に Stephan Hales が馬の頚動
脈に突き刺して細いガラス管を馬の血
圧を測定したのが記録に残るピエゾ管
の最初のものである。
なお馬の血圧は、水頭で 2.7 m もある
そうである。人間の血圧は、1.1 m ~
1.6 m (80 ~ 120 mmHg) 程度。
水理学1の復習 (2)
摩擦損失係数
Darcy-Weisbach の式
円形管の流れの損失水頭 hL については、水理学がまだ経験学問
であった時代から
L  v2 
hL  λ 
D  2 g 
dhL
1  v2 
λ 
dx
D  2 g 
ここで L : 管長、 D : 管径
λ : 摩擦損失係数
の関係があることが知られていた。
この式はさまざまな人々(Chezy, Prony, Darcy, Weisbach)に
よって提唱されたが、今日の水理学では 「Darcy-Weisbach(ダル
シー・ワイズバッハ)の式」と呼ばれている。
摩擦損失係数 λ は「係数」と呼ばれているが、一定の値ではなく、
管壁の性状、管径、流速によって変る値である。近代水理学の一つ
のテーマは、この摩擦損失係数とこれらの諸量との関係を流体力学
の知識を援用しながら解明することであった。
*予備知識+ベルヌーイ式の別の求め方
鉛直軸
z
流断面
面積 A
周長 S
流れのなかに右図のような流管を
考えて、その流管について運動方
程式を立てる。
x
F2p
τ
u
F1p
Mg
流管
x
x
流下方向
z
流管の質量
M = ρ  dAx 
作用する力
(1)後方からの圧力
F1p = pdA
(2)前方からの圧力
p
F2p =  p  x  dA
x


面積 dA
周長 ds
(3)重力の流れ方向成分
Fg = M g sinθ = M g
(4)周囲の流体との間に作用する剪断応力の合力
Fs = τ  dsx 
z
x
流管の運動方程式
M
諸量を
代入すると
du
u
u
 M
 u   F1p  F2p  Fg  Fs
dt
x 
 t
 1 u   u2

p
τ



z
dA


ds




ρg
 g t x  2 g ρg

これを流断面全体に積分すると
 1 u   u2

p
1



z
dA



 2 g ρg

g

t

x
ρg
断面 



 1 v   v 2
 β

 g t x  2 g

τds
断面
   p
  A   τ0 S


z

 x  ρg
ρg




1 v   v 2
p
τ S
τ
 β

 z    0     0
g t x  2 g ρg
ρg  A 
ρgR

ただし、R:径深(水理半径)
A 断面の面積
R 
S 断面の周長
 τ0
1 v   v 2
p

β

z
0
g t x  2 g ρg
ρ
g
R

流体内部の剪断応
力は相殺しあうの
で、積分すると壁
面との間の剪断応
力だけが残る
摩擦損失係数と摩擦速度の関係
α  1、 β  1 とすれば最初の方法で求めたベルヌーイ式
 h
1 v   v 2 p
 

z L 0
g t x  2 g ρg
 x
2番目の方法で求めたベルヌーイ式
 τ
1 v   v 2
p
 

z 0 0
g t x  2 g ρg
 ρgR
両者を比較すれば
hL
τ0
U*2
SF 


x ρgR gR
U* 
また
摩擦速度
U* 
gRSF
hL
1 v2
1 v2
SF 
λ
λ
x
D 2g
(4R) 2 g
従って
U*

v
λ
8
τ0
ρ
対数流速分布式に基づく円管流の ~Re 関係
a
滑面の場合
u
U

 2.5 ln  *  a  r    5.5
U*
ν

u
U y 
 2.5 ln  *   5.5
U*
 ν 
v
1
 2
U* πa
積分を実行すると

a
0
u 
   2πr  dr
 U* 
 1  vD   U*
v
U a 
 2.5 ln  *   1.75  2.5 ln  

U*
2
ν

 v
 ν 


8
 Re
 2.5 ln 
λ

 2

D
: 半径
2
λ

  1.75
8



   1.75



1
2.5

ln Re λ  0.913
λ
8
実験で得られた値は 0.8
1
 18.7 
 2.0 log Re λ  0.8  1.74  2.0 log 

λ
 Re λ 
粗面の場合
u
k 
 2.5 ln  s   8.5
U*
 2D 
v

U*
8
4

λ πD2

D
0
 D 
u 
2
π
r
dr

2
.
5
ln


  4.75
 
 U* 
 2k s 
2
1
2.5  D 

ln 
  1.68
2
k
λ
8  s
1
 2k 
 1.74  2.0 log  s 
λ
 D 
実験で得られた値は 1.74
滑面~粗面を統合した式 (Colebrook-White の式)
2k 
1
 18.7
 1.74  2.0 log 
 s
D 
λ
 Re λ
層流の場合
64
λ
Re
この2式を利用して
~Re
関係を図示したのが
Moody 図である
Moody Diagram
λ
64
Re
kS
D
λ=
hL
踐L v 2
銷
銷
銷
D 2g
顏
Re =
v
νD
Colebrook White 式の別の表現
2k 
1
 18.7
 1.74  2.0 log 
 s
D 
λ
 Re λ
2k s 
1
 18.7
0.87
 2.0 log 10
 2.0 log 


D 
λ
 Re λ
k 
1
 2.51
 2.0 log 
 s 
7.41
λ
 Re λ 3.7D 
1 v2
SF  λ
D 2g


1

λ
v
2 gDSF
を代入すると

ks 
v
 2.51ν

 2.0 log 


3
.
7
D
2 gDSF
D
2
g
D
S


F



ks 
 2.51ν

v  2.0 2 gDSF log 


3
.
7
D
D
2
g
D
S


F


問題1
水位 850 m の貯水池と水位 700 m の貯水池が長さ 10 km 、直径 300
mm
の管で結ばれている。管の相当粗度を 0.03 mm として、流量を求めよ。た
だし、動粘性係数は 1.0 mm2/s とする。
解答
SF 
850  700
 0.015
10000
2 gDSF  2  9.8  0.3  0.015  0.297  m / s 

ks 
 2.51ν

v  2.0 2 gDSF log 



 D 2 gDSF 3.7D 

 2.511.0 106 0.03 103 


 2.0  0.297 log 


0
.
3

0
.
297
3
.
7

0
.
3




 2.53  m / s 
π 2
π
Q  D v   0.32  2.53  0.179 m3 / s 
4
4
問題2
貯水池 A から水位 700 m の貯水池 B へ長さの 10 km 、直径 300 mm
の管で
流量 Q=0.179 m3/s を流したい。貯水池 A の水位はいくら以上必要か<
ただし管の相当粗度は 0.03 mm で動粘性係数は 1.0 mm2/s とする。
解答
4Q 4  0.179

 2.53  m / s 
2
2
πD
π  0.3
vD 2.53  0.3
Re 

 759000
6
ν
1.0 10
k s 0.03 103

 0.0001  104
D
0.3
v
Moody 図を読むと λ  0.014
L v2
10000 2.532
hL  λ
 0.014 

 152  m
D 2g
0.3
2  9.8
HA  HB  152  700  152  852  m
得られた答えと前問の与件(850 m)との若干の相違は、Moody 図を読み取
る精度が十分でないことによる(正しい値は、0.01378)。
VBA とは?
MS Windows の Excel のマクロから呼び出せるプログラミング言語である。
ツール → マクロ → Visual Basic Editor でエディターを呼び出す
VBA を利用すると、Excel の表を入出力のデバイスとして使いながら、複雑な計
算を行うことができる。
エディターで書いたプログラム
を実行するとエクセルの表に
結果が出力される。
Colebrook-White 式を利用して
摩擦損失係数を求める VBA プログラム
Sub 摩擦損失係数()
Ks = 0.03 * 10 ^ -3
D = 0.3
Re = 759000
とおいて
X古= 50
Do
Y = 2.51 * X古/ Re + Ks / (3.7 * D)
X古 = -2 * Log(Y) / Log(10)
DX = X新 – X古
X古 = X新
Loop Until Abs(DX / X古) < 0.00001
Range(“A1”) = 1 / X古 ^ 2
End Sub
一致するま
で繰り返す
VBA の関数 Log() は
自然対数であることに
注意すること
Darcy-Weisbach 式以外の(経験的な)平均流速公式
Chezy の式
v  C RSF
この式は Darcy-Weisbach と等価である。
dhL
1  v2 
SF 
λ 
dx
4R  2g 
Manning の式
8gn2
λ  1/3
R
v
v
SF 2/3
R
n
8g
RSF  C RSF
λ
SF 
 nv 2
R4/3
と対応させれば、Darcy-Weisbach 式になる。
この式は、粗度係数 nと管径が与えられていれば、λ が
陽形式の計算で得られるので便利である。
Hazen-Williams の式
v  0.333CSF0.54D0.63
この式は水道分野で利用されている
*注+Manning 式の係数 n や H-W 式の C は次元を含むので米国系
の技術書を読む場合には、m-s 単位系に変換することが必要になる
ことがある。
管の粗さに関する係数
管 種
塩化ビニル管
RC管(滑)
普通RC管
溶接鋼管(新)
溶接鋼管(古)
鋳鉄管(新)
鋳鉄管(古)
C-W 式
相当粗度 ks
単位 mm
~0.002
0.015~0.06
0.1~0.4
0.1~0.4
0.5~3
0.02~0.5
1~5
M式
粗度係数 n
単位 m^(1/3)*s
0.009~0.012
0.011~0.014
0.012~0.016
0.011~0.014
0.013~0.017
0.012~0.014
0.015~0.02
H-W 式
流量係数 C
140~150
130~140
100~120
130~140
100
管路系における摩擦損失以外の損失
管路系における摩擦損失以外の損失(形状損失: Form Loss)も速度水頭
に比例するものとして整理されるが 、その係数は主として実験によって
求められている。
v2
hi  ςi
2g
ςi : 形状損失係数
入口・出口・急拡・急縮などのように、流速が急変する場所での損失水頭
の計算では、 管径が小さい方の流速をv として選ぶ。
(1) 急拡損失
運動量則(運動量方程式)
 空間へ   空間で生成 
 作用する力  = される運動量 

 

A1
p1
p2
v1
v2
v1
A 2  p1  p2   ρQ  v2  v1 
p1  p 2 v 2
  v 2  v1 
ρg
g
v12  v12 p1   v 22 p 2   v1  v 2 
A1 2 v12

hx  ς x





 1
2 g  2 g ρg   2 g ρg 
2g
A 2  2 g

2
A2
(2) 急縮損失
水頭損失は主に縮流した後の渦部で
生ずる。縮流部の渦はない部分の最
小断面積を CA2 とすると、
2
v 22  1
v 22

hc  ςc
  1
2g  C
 2g
CA 2
A1
v1
A2
v2
この部分を急拡管として解析する。
C の値は、0.6 ~ 1.0(径の比率により異なる)。
(3) 漸拡損失と漸縮損失
漸拡損失は急拡損失の2割~10割位の係数になる。漸縮損失では渦が
生じないので、水頭損失は生じない。
(4) 入口損失と出口損失
大きな水槽から管に入る際の入口損失は急縮損失ないし漸縮損失の特
殊なものと考える。また、管から大きな水槽へ流れ込む際の損失は急
拡損失ないし漸拡損失の特殊なものとして考える。
(5) 曲り損失・バルブ損失
実験値による。(詳細は教科書などを参照されたし)
水理学1の復習 (3)
管路定常流の解析法
径の異なる管を直列につないだ管路の解析法
hL
D1
D2
D3
L1
L2
L3
 K J  4Q 2 

  LJ
 v J2 

hL     λJ
 ς 
   
2  
D
2
g
2
g
π
D
J

 J 
J 
  J  

L
ただし
K J  λJ J   
DJ
従って
Q
π
4
2 ghL
  K J DJ4 
and v J 
4Q
πDJ2
問題
図のような管路系のエネルギー線
と動水勾配線を描け。ただし、DW式の摩擦損失係数はマニング式
に従い、粗度係数は 0.013 、と
する。また、入口損失係数=0.5、
出口損失係数=1.0、急拡損失係数
=0.56、急縮損失係数=0.27 とす
る。
9.0 m
0.3 m
0.2 m 0.4 m
100 m
50 m 150 m
解答
8gn2
λ  1/3 より
R
管種
1
2
3
管径(D)
径深(R)
0.300
0.200
0.400
0.075
0.050
0.100
DW係数
F
0.0314
0.0360
0.0285
4.0 m
Q
π
4
2 ghL
  K J DJ4 
管種
1
2
3
vJ 
4Q
πDJ2
管種
1
2
3
を利用してQ を求める
管径(D)
管長(L)
0.300
0.200
0.400
100
50
150
落差(HL)
5.00
その他損失
係数合計
(1)
(2)
K
0.50
10.97
0.27
0.56
9.82
1.00
11.70
合 計
DW係数 摩損係数
F
F*(L/D)
0.0314
10.47
0.0360
8.99
0.0285
10.70
流量(Q)
K/D^4
1355
6138
457
7950
0.0872
を利用して各管の流速 を求め、それらより各種損失水頭を計算する。
管径(D)
0.300
0.200
0.400
流速(V) V^2/(2*G) 摩擦損失
1.234
2.776
0.694
0.078
0.393
0.025
0.813
3.534
0.263
その他損失
損失合計
(1)
(2)
0.039
0.852
0.106
0.220
3.860
0.025
0.288
合 計
5.000
「次の位置の総水頭=前の位置の総水頭ーその間の損失水頭」という関係により各位
置の総水頭を計算し、順次、ピエゾ水頭、圧力水頭などを計算してゆく。
位置
A
1-S
1-E
2-S
2-E
3-S
3-E
B
管延長
0
0
100
100
150
150
300
300
損失水頭
0.039
0.813
0.106
3.534
0.220
0.263
0.025
総水頭
9.000
8.961
8.148
8.042
4.508
4.288
4.025
4.000
速度水頭 ピエゾ水頭 位置水頭 圧力水頭
0.000
0.078
0.078
0.393
0.393
0.025
0.025
0.000
9.000
8.884
8.070
7.649
4.115
4.263
4.000
4.000
9.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
4.000
0.000
8.884
8.070
7.649
4.115
4.263
4.000
0.000
(管延長、総水頭)をプロットし、それを結べばエネルギー線が得られ、 (管延長、
ピエゾ水頭)をプロットし、それを結べば動水勾配線が得られる
パソコンを持っている人は、このような問題はEXCELの計算機能とグラフ作成機能を
使って解くと良い。
エネルギー線と動水勾配線
10.0
9.0
8.0
水頭(m)
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
0
50
100
150
200
250
流下距離(m)
エネルギー線
動水勾配線
300
合流・分枝のある管路の解析法
k2
k1
H1


k4
+ Q4
+
k3
+
- Q1
+
Q3
-
Q2 +
H2
X
2
L 1
 4 
ki  λ i Li 1  ς   24 2
ki  Dλi 2 g   ς πDi 2 
Di 2 g
 πDi 
H3
H4
総水頭 H が最大の貯水池とHが最小の貯水池については流れの方向は明
らかであるが、その他の貯水池の流れ方向は、Hi と合流分枝点の総水頭X
の相対高さによって異なる。そこで、ここでは、すべての流量を合流分枝
点に向かっている場合を〒の方向として計算を行う。
ベルヌーイの式
Yi  Hi  X  ki Qi Qi
Qi  sign  Yi 
ここで
Yi
ki

YとQの正負を一致さ
せるための表現
sign  α : 正負関数
α  0 のと き に -1、 α  0 のと き に +1
合流点での連続の式
F(X )   Qi 0
i
この連続の式を満たすXをニュートン法によって求める。
ニュートン法
X 新  X 現+X  X 現 
F(X )
F( X )
F( X )   Qi の微分
i
 dQ i 
 dQ i   dYi
F '(X )   

   dY   dX
i  dX 
i 
i 
dYi
 2ki Qi
dQi

L 1
 4 
ki  λ i
 ς 
2 
Di 2 g
 πDi 
  1  1 


2 i  ki Qi 

dQi
1

dYi 2ki Qi
2
計算の手順
最初のXを
仮定する
Yi  Hi  X
Qi  s i gn(Yi )( Yi / ki )1/2
X = X新
Pi  ki Qi
ki を計算して
おく
X 
2 Qi
 (1 / Pi )
ΔX 」
許容誤差?
計算終了
X 新 = X + ΔX
【問題】右図のように、4つの貯水池
が下表の長さ、および管径の管で接続
されている。管のマニングの粗度係数
は 0.013 とし,また、形状損失係数は表
記載の値であるとして、各管の流量と
方向を求めなさい。
H=457 m
H=390 m
管2
H=256 m
管1
管番号
1
2
3
4
管長(L) 管径(D) 形状損失
(m)
(m)
係数
2000
0.500
2.30
1500
0.300
3.10
850
0.500
0.50
1250
0.400
0.40
管3
管4
解答
エクセルの表計算機能を使って、下表の結果を得る。
マニング式の粗度係数(N)
F=8*G*N^2/D^(1/3)
0.013
管長(L) 管径(D)
管番号
DW式のF 摩擦損失 形状損失 係数合計 抵抗(K)
(m)
(m)
1
2000
0.500
0.0167
66.77
2.30
69.07
1792
2
1500
0.300
0.0198
98.96
3.10
102.06
20427
3
850
0.500
0.0167
28.38
0.50
28.88
749
4
1250
0.400
0.0180
56.20
0.40
56.60
3584
H=230 m
ニュートン法を使って、接続節点の総水頭 X を求める。ここではエクセル
の表計算機能を使って、ニュートン法を実行してみる。
第1回計算
管番号
1
2
3
4
仮定 X=
300.00
H(I)
256.00
457.00
390.00
230.00
K(I)
1792
20427
749
3584
新 X=
P(I)=K(I)*abs(Y(I))
Y(I)
Q(I)
-44.00
-0.157
157.00
0.088
90.00
0.347
-70.00
-0.140
SUMQ
0.138
DX=2*SUMQ/SUMP
P(I)
280.77
1790.80
259.65
500.87
SUMP
27.65
1/P(I)
0.0036
0.0006
0.0039
0.0020
0.0100
Y(I)
Q(I)
-71.65
-0.200
129.35
0.080
62.35
0.288
-97.65
-0.165
SUMQ
0.003
DX=2*SUMQ/SUMP
P(I)
358.30
1625.45
216.10
591.60
SUMP
0.62
1/P(I)
0.0028
0.0006
0.0046
0.0017
0.0097
Y(I)
Q(I)
-72.28
-0.201
128.72
0.079
61.72
0.287
-98.28
-0.166
SUMQ
0.000
DX=2*SUMQ/SUMP
P(I)
359.85
1621.54
215.02
593.48
SUMP
0.00
1/P(I)
0.0028
0.0006
0.0047
0.0017
0.0097
327.65
第2回計算
管番号
1
2
3
4
H(I)
256.00
457.00
390.00
230.00
K(I)
1792
20427
749
3584
管番号
1
2
3
4
新 X=
H(I)
256.00
457.00
390.00
230.00
328.28
K(I)
1792
20427
749
3584
合流分枝節点の総水頭
管番号
1
2
3
4
接続池の
水頭(m)
256.00
457.00
390.00
230.00
抵抗係数
(s/m^5)
1792
20427
749
3584
328.28 (m)
損失水頭
(m)
-72.28
128.72
61.72
-98.28
457 m
328 m
流量
(m^3/s)
-0.201
0.079
0.287
-0.166
390 m
79 L/s
256 m
287 L/s
201 L/s
230 m
166 L/s
方向
流出
流入
流入
流出
この程度の簡単な繰り返し計算であれば、
あえてプログラム計算を行わずにエクセ
ルの表計算機能を使うだけで出来る。
もしも興味があれば右のような VBAプ
ログラムを書き込んで実行してみると良
い。
実行結果
注意= EXCEL 表計
算の正負関数は
SIGN() である。