ANNUAL REPORT アニュアルレポート 2014年3月期 2014 目次 ■理事長メッセージ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 ■JOGMECの業務と活動・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ■石油・天然ガス開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ■石炭資源開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 ■地熱資源開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 ■金属資源開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 ■資源備蓄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 ■鉱害防止支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 ■財務セクション 全体概観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 貸借対照表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 損益計算書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 キャッシュ・フロー計算書・・・・・・・・・・・・39 財務諸表に対する注記・・・・・・・・・・・・・・・40 参考情報(勘定別財務諸表要旨)・・・・・・43 監査報告書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 ■JOGMECの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 ■役員一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 ■組織図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 ■海外事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 ■国内事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 資源エネルギー安全保障の確保に向けて 我が国では、資源エネルギーの国内生産量と消費量が著しくバランスを欠いており、その大部分を 海外からの輸入に依存しています。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構;JOGMEC(Japan Oil, Gas and Metals National Corporation)は、石油・天然ガス、石炭資源、地熱資源、金属鉱物資 源に対する多様な事業を通じ、我が国の資源エネルギーの安定供給確保に貢献することで国民生活・ 産業活動全般を支えます。 0.32% 2.44% 0.65% 石油 99.68% 天然ガス 97.56% 石炭 99.35% 輸入 国内生産 輸入 国内生産 2.22% 銅 100% 錫 100% 輸入 地熱 97.78% 未開発率 開発率 アニュアルレポート 2014 1 理事長メッセージ 2013年度の業務実績を取りまとめた『アニュ た。また、産油・産ガス国との国際共同研究では、 アルレポート2014』の発行に当り、まずは アブダビ及びベトナムにおける炭酸ガス圧入による JOGMECに対する皆様の日頃のご理解とご支援に 原油増進回収技術への協力が、いずれも相手国の高 心から感謝申し上げます。 評価を獲得したことにより、我が国企業が両国に有 する権益の維持・確保へ貢献しました。 2012年9月の独立行政法人石油天然ガス・ 金属鉱物資源機構法(JOGMEC法)改正により、 石炭資源開発事業においては、地質構造調査等事 JOGMECの新たな業務として追加された石炭・地 業として、産炭国政府との覚書(MOU)を締結し 熱の資源開発に関する取り組みを着実に推進すると 共同調査を行う従来の制度に加え、金属部門で培っ ともに、第三期中期目標期間(2013年度~2017 た知見等を活用し、JOGMECが海外企業と共同探 年度)の初年度にあたり、資源の安定供給に向け、 鉱を行い、取得した権益オプションを我が国企業へ 多岐にわたる分野において成果を上げることができ 譲渡する「ジョイント・ベンチャー(JV)調査」制 ました。 度を新たに創設しました。それにより2013年度は 2件の共同調査、1件のJV調査を実施しました。イ 世界の資源市場では、近年、新興国の成長に伴う ンドネシアの低品位炭活用のための褐炭熱水改質ス 需要の増加や、探鉱・開発に係る技術的リスクの高 ラリー化技術については、長期試験に成功し、実証・ まり、また地政学的要因、資源ナショナリズムの台 普及事業を完了しました。産炭国との関係強化のた 頭や資源価格の高騰など不安定な情勢が続いていま めの技術移転事業については、ベトナム、中国、イ す。さらに日本国内では、東日本大震災以降、火力 ンドネシアに対する研修生の受入、研修員の派遣に 発電向けの化石燃料を輸入するために多額の貿易赤 より採掘・保安技術の移転を継続的に取り組みまし 字を生じており、石炭・地熱を含めた資源・エネル た。 ギーの総合的な戦略が求められております。 地熱資源開発事業においては、リスクの高い初期 JOGMECは変化する資源・エネルギー情勢に適 調査に対する助成金交付事業として、新規10 件を 切に対応し、資源・エネルギーの日本への安定供給 含む20件(大規模案件13件、地域密着型の小規模 という使命を達成するため、以下のような、多角的 案件7件)を採択しました。20件のうち8件が坑 な取り組みを進めております。 井掘削調査へと進展し、そのうち6件で地熱資源を 確認するまでに至りました。リスクマネー供給(出 石油・天然ガス資源開発事業においては、新たな 資・債務保証制度)については、制度説明会・意見 LNG供給源として期待されるカナダ・シェール案 交換を実施し、民間事業者等のニーズと資金需要の 件、大規模LNGやフロンティア地域での案件を含む 把握に努めた結果、本制度創設後初めて、温泉組合 探鉱出資案件3件、資産買収出資案件1件及び債務 による小規模案件を含む2件の債務保証案件を採択 保証案件1件を新たに採択し、我が国企業の探鉱・ しました。また、地熱資源の開発可能性を調査する 開発活動の促進に貢献しました。探鉱・開発の前段 為、最新の探査技術を取り入れた国内初の調査手法 階となる海外における地質構造調査については、カ である重力偏差法による空中物理探査を九州2地域 ンボジア、ベトナム、イラク、ケニア、東シベリア において実施しました。 において実施するとともに、メキシコ領メキシコ湾 2 及びセーシェル西部海域における新規プロジェクト 金属鉱物資源開発事業においては、リスクマネー の立ち上げを行いました。研究開発分野について 供給として、新規探鉱出資案件を1件採択するとと は、我が国周辺海域における、世界初のメタンハイ もに、3件の探鉱融資の実施により、企業の探鉱・ ドレートの第1回海洋産出試験のすべての現場作業 開発活動を支援しました。企業の探鉱・開発活動の を完了し、次回産出試験に向けた検討に着手しまし 前段階における取り組みとして、資源国鉱山公社や アニュアルレポート 2014 外国企業等との共同調査に関しては前年度を大きく 術情報等の提供活動として、地方公共団体や民間企 上回る10件の新規プロジェクトを形成し、18カ国 業等に対する鉱害環境情報交換会などを開催したほ で37プロジェクトを実施しました。一方で、「J- か、ペルー及びカンボジアへの専門家派遣による資 SUMIT」を経済産業省と共催することで、アフ 源国政府への協力やインドシナ、アフリカ地域他に リカ各国の鉱業大臣や政府首脳との会談等を通じて おける鉱害防止セミナーの開催など、資源保有国を 資源外交を積極的に展開し、資源国等との関係強化 対象とした人材育成や技術移転を継続的に実施する に努めました。また、海洋資源開発においては、コ ことで当該国との関係強化を図りました。 バルトリッチクラストの公海域での探査に関して、 国際海底機構と15年間にわたる探査契約を締結し、 2013年4月に独立行政法人新エネルギー・産業 世界に先駆けて排他的な権益を確保しました。技術 技術総合開発機構(NEDO)より承継した石炭経 開発として、レアメタル鉱床に胚胎する特定の岩石 過業務は、初年度における体制の整備、資産承継に を識別できるリモートセンシングデータ解析技術を 係る業務等を含め、円滑に実施することができまし 開発し、現地調査により有効性を確認したほか、従 た。 来機に比べて可搬性に優れた広波長域に対応した携 帯型スペクトルメータの実用機を完成させ、判定可 能な鉱物種を拡大しました。 資源・エネルギーの確保は私たちの暮らしと直結 しており、国内外の情勢から、JOGMECの責任は 一層高まっていることを痛感しております。その重 資源備蓄事業においては、国家石油・石油ガス備 大な責務を今一度認識し、JOGMECは今後も、日 蓄基地の操業として、安全かつ効率的な管理を行う 本が必要とする資源・エネルギーの安定供給確保の とともに、災害発生を想定した対策・訓練を実施し ために努力を続けて参りますので、引き続き皆さま ました。また、東日本大震災により被災した久慈国 のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げ 家石油備蓄基地の機能復旧工事を完了させました。 ます。 備蓄事業の国際展開としては、アラブ首長国連邦 (以下、UAE)、サウジアラビアとの石油共同備蓄 事業を引き続き実施して我が国への主要な原油供給 国との関係を強化するとともに、ASEAN諸国にお ける備蓄制度構築への貢献を継続しています。レア メタル備蓄については、需給動向・価格動向を勘案 したレアメタルの購入を実施しました。 鉱害防止支援事業においては、岩手県の旧松尾鉱 山新中和処理施設での落雷停電を想定した災害訓練 の実施、大規模地震に備えた耐震補強工事の技術支 援、設備の経年劣化対策など、緊急時対応能力の維 持・向上に努めました。また、地方公共団体が行う 鉱害防止事業に関し、対策の基本方針に係る調査指 導を2件、鉱害防止工事現場での助言等を行う工事 支援を9件行いました。鉱害防止技術開発に関して は、パッシブトリートメント技術の適用性に関する 調査研究や坑廃水水質改善のための坑内充填に関す る技術開発を進展させ、新たに植物を用いた坑内廃 水処理等の調査研究にも着手しました。さらに、技 アニュアルレポート 2014 3 JOGMECの業務と活動 4 石油・天然ガス開発 ●産油国への多面的アプローチ 産油ガス国との共同事業、海外技術者研修等 ●リスクマネー供給 本邦企業の石油・天然ガスの探鉱開発に係る出資・債務保証業務等 ●地質構造調査 探鉱開発プロジェクト形成のための地質構造調査等、及び海洋資源調査等 ●情報収集・分析・提供 石油・天然ガス関連情報等の収集・分析・提供 ●技術開発 政府外交・企業ニーズ・資源確保等の観点からの技術開発 ●成果普及・技術者育成 国際展示会への出展、大学連携事業 石炭資源開発 ●産炭国への多面的アプローチ 産炭国との共同事業 ●リスクマネー供給 本邦企業の石炭の探鉱に係る出資、開発に係る債務保証業務等 ●地質構造調査 探鉱開発プロジェクト形成のための地質構造調査 ●情報収集・分析・提供 石炭資源関連情報等の収集・分析・提供 ●技術移転 生産・保安技術等に関する炭鉱技術の移転 ●技術開発 低品位炭利用技術に係る実証・普及 地熱資源開発 ●地質構造調査・助成支援 本邦企業の地熱資源開発調査に係る助成支援、及び地質構造調査等 ●リスクマネー供給 本邦企業の地熱資源探査に係る出資、開発に係る債務保証業務等 ●情報収集・提供 地熱資源関連情報等の収集・提供 金属資源開発 ●資源国への多面的アプローチ 金属資源国との共同事業、情報交換・発信等 ●リスクマネー供給 本邦企業の金属鉱物の探鉱に係る出融資、開発に係る債務保証業務等 ●地質構造調査 本邦企業の権益確保及び探鉱プロジェクト支援のための地質構造調査、及び海洋資源 調査等 ●情報収集・分析・提供 金属鉱業関連情報等の収集・分析・提供 ●人材育成 金属資源開発に係る人材育成 ●技術開発 探査技術、生産技術及びリサイクル技術の開発 資源備蓄 ●石油備蓄の安全かつ効率的な管理 国家備蓄石油・施設の統合管理、民間備蓄支援、国際協力 ●石油ガス備蓄の着実な体制整備 国家備蓄石油ガス・施設の統合管理、石油備蓄に係る技術に関する業務等 ●レアメタルの備蓄、動向調査 備蓄物資の売却・購入、需給・価格動向等の調査 鉱害防止支援 ●鉱害防止事業実施者への支援 技術支援、技術開発、情報提供及び民間企業への金融支援 ●鉱害防止分野における技術・ノウハウ等の普及・情報発信 ●資源保有国への支援 アニュアルレポート 2014 2014年3月期ハイライト(2013年4月〜2014年3月) 石油・天然ガス開発 ●カンボジア、ベトナムで地質構造調査を完遂し、日本企業が優先交渉権を獲得。 鉱区権益獲得に向け交渉中。 ●世界有数のフロンティア地域であるグリーンランドにおいて、日本企業が探鉱2鉱区を落札。 ●新たなLNG供給源として期待されるカナダ・シェールガス案件に出資するなど、リスクマネー供給事業 として新規5件を採択。エネルギーの安定供給と低廉な資源の確保という我が国の政策課題に寄与。 ●リスクマネー供給事業2案件で生産を開始。このうちイラク・ガラフ油田は商業生産に移行。 ●JOGMECが技術協力、 人材協力を行ってきたアブダビにおいて、 上部ザクム油田の15年間の権益が延長。 石炭資源開発 ●金属資源開発での経験を活かし、日本企業への権益譲渡オプション付のJV調査制度を創設。早速豪 州で1号案件を組成。 ●重要な産炭国である豪州(クィーンズランド州)及びモザンビークとの間で政府関係機関等との協力枠 組み(MOU)を締結。 ●褐炭熱水改質スラリー技術の実証成功等、技術力を活用した資源国との関係強化を着実に実施。 地熱資源開発 ●地熱資源開発調査について、新規で10件を採択。継続案件を含め20件調査、うち6件で地熱資源を 確認。次の探査段階に進むことを期待。 ● リスクマネー供給については、2件の債務保証案件を採択 。 ● 国内初の調査手法である偏差法重力空中物理探査を九州2地域で実施。 金属資源開発 ●南アフリカ・ウォーターバーグ地域JVプロジェクト(白金族)において、更なる調査により資源量が大 幅に拡大。 ●相次ぐ大規模鉱山の閉山で需給逼迫の懸念がある亜鉛について、 アラスカの新規探鉱出資案件を採択。 ●世界初のコバルトリッチクラストの探査鉱区契約を世界に先駆け国際海底機構と締結し排他的権益を確保。 ●資源保有国・政府関係機関等との協力枠組み(MOU)について、中期計画目標20件のところ、初年度 に11件の協力枠組みを構築。 資源備蓄 ●久慈国家石油備蓄基地の復旧がほぼ完了するなど、着実に地震・津波対策が進捗。 ●国家石油ガス備蓄基地へのガスインについて、従来の価格方式からの脱却により、米国産シェールガ ス由来のLPガスを調達し、コストを低減。 ●産油国共同備蓄事業について、国の指示に基づきサウジアラムコ及びADNOCに対して、原油タンクを 追加貸与。 ●我が国産業にとって重要で、供給確保に懸念があると判断されたレアメタルの積み増しを新たに実施。 鉱害防止支援 ●旧松尾鉱山新中和処理施設を32年間無事故で運転するなど、自治体等からの要請に応え着実に鉱害 防止事業を実施。 ●処理コスト削減に寄与するための硫酸還元菌を活用したパッシブトリートメント(自然力活用型坑廃 水処理)に加え、植物等を用いた坑廃水処理技術など、新たな調査研究に着手。 ●南アフリカ等5カ国での鉱害防止セミナーの実施、ペルー等への専門家派遣など、資源保有国への鉱 害防止に関する技術移転を積極的に実施 アニュアルレポート 2014 5 CHAPTER 1 石油・天然ガス開発 石油・天然ガス資源の自主開発を促進するため、JOGMECの有する 機能を最大限活用し、政府間外交や本邦企業による石油及び天然ガ スの探鉱・開発プロジェクトの推進を支援しています。 三菱商事子会社とカナダ・エンカナ社が組成するパートナーシップが権益保有するガス田 画像提供:Cutbank Ridge Partnership 事業概要 我が国のエネルギー資源の安定供給確保に貢献する ために、高い技術力を有する政府系機関としての立場 を最大限に活用し、技術スタディや技術開発に関する 共同事業の実施、探鉱・開発・生産技術に関する実践 的な研修の提供、二国間或いは多国間交流を通じた産 油ガス国との協力関係の構築・強化を行っています。 また、国際会議や国際展示会へ積極的に参加すること で、我が国石油・天然ガス業界及びJOGMECのプレ ゼンス強化に努めています。 石油・天然ガス開発 負担が大きいことから、JOGMECは必要な資金の最 大75%までの出資・債務保証を行うことによって、 企業のリスクマネー調達を支援しています。 産油ガス国との関係構築・強化 情報収集・分析・提供 石炭資源開発 石油・天然ガスの供給サイドを専門とする情報提供 機関として、世界のエネルギー資源情勢や産油ガス国 の探鉱・開発動向、新規鉱区公開情報、国際石油会社 の動向などを調査・分析・発信しています。また、国 内外の研究者・関係機関との人的ネットワークの拡大 を図り、タイムリーな情報を本邦企業、政府、その他 関係機関などに幅広く提供しています。 地熱資源開発 技術分野からの貢献 ■産油国技術者研修ワークショップ 金属資源開発 JOGMECでは本邦企業の活動を技術面からも支援 しています。探鉱開発プロジェクト形成のための海外 地質構造調査、企業ニーズや政府間交渉に係るニーズ に基づく技術開発、油ガス田評価スタディ、技術情報 収集のほか、国内外の技術者への研修・機会提供、国 内石油・天然ガス資源データの解析、産油ガス国との 共同研究など多岐にわたる事業が実施されています。 資金面から本邦企業の探鉱開発活動を支援 資源備蓄 エネルギー資源を安定的に供給するうえで、本邦企 業による自主開発油ガス田の存在が重要な役割を果た します。しかしながら、石油・天然ガス探鉱開発事業 は巨額の資金と長期の投資回収期間を要するうえ、 個々のプロジェクトのリスクが非常に高く、一定以上 の成功を得るためには多数のプロジェクトへの分散投 資が必要です。こうした事業への投資は企業にとって 石油・天然ガス開発支援業務 支 援 詳 細 事 前 段 階 探 鉱 段 階 各社の 対象地域の 権益取得 戦略構築 事前調査 交渉 地質調査 物理探査 掘削 事業化 調査 開 発 段 階 生産井 掘削 生産施設 建設 鉱害防止支援 JOGMEC の石油・天然ガス資源開発支援メニュー 生 産 段 階 操業 権益延長 交渉 鉱区情報等の取得支援 探鉱出資 財務セクション 資金面での支援 債務保証 LNG船 天然ガス液化・資産買収出資 インテリジェンス面 での支援 収集・分析した情報の提供 物理探査 海外地質構造調査 技術分野での支援 技術開発・技術支援 アニュアルレポート 2014 7 石油・天然ガス開発 2013 年度実績 地質構造調査 将来、本邦企業による権益取得につなげることを目的 に、石油・天然ガス探鉱の初期段階に相当する地質構造 調査を実施しています。 【東南アジア(カンボジア陸上、ベトナム南部沖合)】 カンボジア北部陸上では、2012年2月より開始した 二次元地震探鉱調査を完了しました。また、ベトナム南 部沖合においては、二次元地震探鉱調査及び地化学調 査を完了し、 これらの海外地質構造調査を通じて、鉱区 取得に係る本邦企業の優先交渉権を獲得しています。 【アフリカ・中東(ケニア陸上、セーシェル海上、イラク陸 上油田)】 ケニア陸上においては、2012年4月にケニア国営石 油会社と締結した共同調査に係る基本合意書に基づき、 空中重磁力探査、二次元地震探鉱調査等を実施しまし た。取得データを基にした総合地質解釈作業の完了後、 国営石油会社保有鉱区への参入が可能となります。 また、2013年8月にはセーシェル西部海域を対象と した海外地質構造調査契約をセーシェル共和国政府お よび国営石油会社と締結し、二次元地震探鉱調査等を 実施しました。取得データに基づく総合地質解釈の後 は、 対象地域に関心を有するわが国企業が鉱区取得を行 う際に優先入札が可能です。 さらに、 イラク陸上油田の震探解釈等スタディを完遂し、 権益獲得に向け交渉を開始しました。 本邦企業の東シベリアへの参入等を通じてわが国の供 給源多角化へ向けて結実するものと期待しています。 また、1989年以降、JNOC及びJOGMECが欧米石 油メジャーと共同で実施した海外地質構造調査により獲 得した優先交渉権を行使し、世界有数のフロンティアで あるグリーンランド島東部海域において、JOGMEC探 鉱出資対象のグリーンランド石油開発㈱がパートナーと ともに探鉱2鉱区を落札しました。 リスクマネー供給による本邦企業の 探鉱開発活動の支援 2013年度は、 カナダ・シェールガス開発案件やフロ ンティア地域での案件を採択することで、供給源の多様 化に向けた取り組みを推進しました。また、需要の高まる LNGの輸入価格の低減が期待されるプロジェクトに対し て、債務保証比率上限の引上げ及び債務保証料率の低 減による支援強化策を整備しました。 具体的には、カナダにおける取組として、ブリティッ シュコロンビア州でシェールガス開発事業に参画する Shale Gas Investment Canada Ltd.に対して資産 買収出資の採択を行い、 アルバータ州でオイルサンド開 発事業に参画するJapan Canada Oil Sands Ltd.に 対して債務保証を採択しました。 またフロンティア地域における取組としては、ロシア・ イルクーツク州で事業に参画する日本南サハ石油㈱に 対して探鉱出資を採択しました。同社は、2008年度よ りJOGMECがロシア企業のイルクーツク石油と共同で 実施した海外地質構造調査事業の商業的探鉱段階への 移行により、設立されたものです。 これらにより、2013年度は計5件(資産買収出資:1 件、探鉱出資:3件、債務保証:1件)を新たに採択してい ます。この結果、2014 年3月末時点での出資累計は 3,600億円、債務保証残高は6,879億円となっていま す。なおJOGMEC設立後に生産・操業段階へ到達した プロジェクトは6プロジェクト (8社)あり、 このうち1件か ら配当収入を得ています。 45社 4000 3600 37社 3200 2400 20社 2000 1600 【その他の地域における取組(メキシコ、東シベリア、グ リーンランド)】 憲法改正により、石油・天然ガス資源開発に対する外 資導入の動きのあるメキシコにおいて、 ポテンシャルの 高い北部大水深域を対象とするスタディを立ち上げ、実 施しました。 東シベリアにおいては、 ロシア企業と共同探鉱調査事 業を継続して推進しています。地理的にも近く、豊富な 石油・天然ガス埋蔵量ポテンシャルが存在することから、 8 アニュアルレポート 2014 1200 23社 3,600 14社 10社 10社 10社 0 442 452 511 20社 2,454 800 400 40社 30社 億 2800 円 ■ケニア陸上における二次元地震探鉱調査機材 40社 638 840 942 1,213 1,594 Fy04 Fy05 Fy06 Fy07 Fy08 Fy09 Fy10 Fy11 Fy12 Fy13 ■各年度末の出資累計と社数 0社 事業概要 6,879 7000 億 6000 円 5,254 5000 4000 3000 3,504 2,866 20社 2,650 2,370 2,445 2,440 2,509 0 1社 11社 14社 15社 9社 9社 9社 10社 13社 13社 27 0社 Fy04 Fy05 Fy06 Fy07 Fy08 Fy09 Fy10 Fy11 Fy12 Fy13 ■各年度末の債務保証残高と社数 海洋資源開発 【国際展示会・会議等による情報発信・収集】 2013年度には、UAE、 メキシコ、 カタール等で行わ れた大規模な国際展示会等への出展・講演を通じて、直 接対話による情報収集、我が国技術力のアピールを積 極的に行っています。 ま た 、日 本 政 府 が 主 催 す る「 アフリカ 開 発 会 議 (TICAD V)」において、理事長が資源国の首脳・閣僚ク ラス、石油開発企業トップとの会談を実施し、今後開発が 見込まれるアフリカ諸国との関係強化を図りました。 資源備蓄 【産油国技術者研修】 2013年度は、 「探鉱地質コース」及び「物理探鉱コー ス」の研修2コースにそれぞれ20カ国22名、 20カ国21 名が参加しました。その他には、 日本-イラクの政府間合 意に基づく 「イラク500人研修」の5年度目事業として5 コース100名のイラク人技術者を受け入れました。また、 モザンビークとの人材育成分野での協力枠組み構築を受 けたLNG研修1コース10名、 同様にUAE向けLNG研修 1コース9名、 さらに我が国先端技術を産油国等の技術 課題解決に繋げることを目的とした技術ソリューション研 修1コース「HSEマネジメントコース」11名の技術者受 入れを実施し、 2013年度にて計173名の産油ガス国技 術者を招聘しました。また、 民間企業が実施するUAE10 名、インドネシア1名の技術者の招聘研修を支援しまし た。研修の直接的な目的は技術移転ですが、研修事業に よる組織・人的繋がりを通じ、将来における我が国と産油 ガス国との共同事業が円滑に進むことも視野に入れて実 財務セクション アニュアルレポート 2014 鉱害防止支援 【メタンハイドレート調査・技術開発】 我が国のメタンハイドレート研究開発は、2001年 に経済産業省が策定した「我が国におけるメタンハイド レート開発計画」に沿って進められています。2008年 度までのフェーズ1では世界初の減圧法による陸上連 続産出試験に成功するなど所要の成果を収め、現在は 2009年度からのフェーズ2について、産学官共同の チーム「メタンハイドレート資源研究開発コンソーシアム (MH21)」の一員として取り組んでいます。 2013年度は、 渥美半島~志摩半島沖メタンハイドレー ト濃集帯を対象とした第1回海洋産出試験の最終年度と して、 すべての現場作業を完了しました。同試験結果に関 する評価・検討を実施し、減圧法により海洋メタンハイド レートからのガス生産が可能であることを実証したこと、 長期安定生産のための今後の課題を明確化したことなど を一般に公表しました。引き続き、次回海洋産出試験や、 金属資源開発 ■三次元物理探査船「資源」 【共同事業の実施、基本協定書等の締結】 産油ガス国との共同事業・協力枠組みの構築は、 これ ら諸国との関係構築、政府外交への支援、我が国の技術 力をアピールする上で有効です。 2013年度には中東・アフリカ等の政府・国営石油会社 と7件の新規協力枠組みを構築しました。中東の産油ガ ス国であるカタール国営石油会社及びオマーン石油ガ ス省と、技術協力及び人材育成強化等に関するMOUを 締結したほか、大規模な天然ガスの埋蔵量確認に伴い、 今後のLNG供給源として期待されるモザンビークにお いて、同国国営石油会社と天然ガスの有効利用技術に 関するMOUを締結しました。さらに、 カナダ・エンカナ社 及び本邦企業とのシェールガス開発技術に関する共同 研究契約、 トルクメニスタン政府とのJAPAN-GTLプロ セス技術を含む技術協力及び人材育成に関するMOU など、協力枠組みの構築を行いました。 地熱資源開発 【探査活動】 国からの委託を受け、三次元物理探査船「資源」を用 いた我が国周辺海域の石油・天然ガス資源の賦存状況探 査を行っています。2013年度は、 日高沖海域、 岩手沖海 域、 秋田沖海域、 沖縄・宮古島海域を対象に調査を実施し、 三次元物理探査約5,600㎢のデータを取得しました。 これまでに取得した海域のデータを順次、処理・解析を進 めたほか、 物理探査結果に基づく初の試掘調査(基礎試錐 「上越海丘」)の実施を事業管理者として支援するなど、 我が国周辺海域の資源探査を推進しております。 石炭資源開発 産油ガス国への多面的アプローチ 2000 1000 長期陸上産出試験の検討・準備を継続し、世界の先駆的 事業として、 必要とされる技術開発を推進していきます。 また、我が国周辺海域のメタンハイドレート賦存状況の 把握作業を継続しており、西部南海トラフ海域の地震探 査データの評価作業を実施し、 メタンハイドレート濃集 帯の形成条件の検討を継続しました。 石油・天然ガス開発 40社 8000 9 石油・天然ガス開発 施しており、 1989年の開始以来、 これまでに47カ国から 合計3,179名の受入れ実績を有し、 参加研修生や研修生 派遣国から極めて高い評価を得ています。 【産油ガス国との重層的な関係構築】 さらに、資源分野に留まらない産油ガス国との産業協 力の一環として、 日本・アブダビ経済協議会を通じ両国間 の協力を推進したほか、サウジアラビアとの産業協力事 業では我が国企業投資を促進し、2社(2件) が同国への 投資を決定しております。 【技術ソリューション事業】 石油・天然ガス資源を自国内に有する産油国等が抱 える技術的課題(ニーズ) について、JOGMECと我が国 企業等が一体となって技術的解決策(=ソリューション) を産油国等に対し提案することにより、産油国等との関 係を強化し石油・天然ガスの権益取得等に繋げていくこ とを目標に、我が国の先進的な技術(異業種異分野を含 む) を石油・天然ガス開発に適用する技術ソリューション 事業を始動し、平成25年6月に技術ソリューション事業 特命グループを設置しました。 【技術ソリューション案件技術開発】 我が国の先端技術を産油国等の技術課題解決に繋げ るため、公募により13件の技術開発案件を採択し、技術 開発を進めました。国内技術シーズの発掘については、 90社を超える我が国企業との間で各社の保有技術の 石油・天然ガス開発事業への適用に関する意見交換を行 う 「技術ヒアリング」を実施し、将来の技術ソリューション 事業への展開を検討しました。 ントコース」を開催し4ヶ国から11名が参加しました。 技術開発 特に増進回収法、非在来型油ガス田開発技術、海洋開 発技術(氷海、大水深)、環境対策技術を最重点技術分野 と定め、我が国の資源開発会社による権益獲得・延長や 資源量の拡大に資する技術開発や、 これらの基礎となる 中長期的視点に基づく研究に取り組んでいます。 【原油回収率向上 CO₂EORの産油ガス国共同研究】 基礎研究からフィールド適用まで幅広い実績を有する 二酸化炭素圧入・増進回収法(CO₂EOR)※ は、産油ガス 国からも評価の高いJOGMECの重点技術の一つです。 2013年度は、 アブダビ下部ザクム油田でCO₂EORの実 証試験計画や実証試験に向けたPreFEED(事前基本設 計) など、 様々な技術協力を実施しました。 また地球温暖化 対策として技術確立が急がれる、原油増産とCO₂地下貯 留を両立可能なCCS (CO₂) EORについて、 ベトナムと共 同で同国海上油田での実証試験の計画を策定しました。 こうしたJOGMECの取り組みは、産油ガス国政府か ら高い評価を獲得しており、 これらの国々で操業する我 が国企業の権益延長に貢献しています。 ※ 二酸化炭素を油層内に圧入することで、原油の生産 量・回収率を増大させる技術 【ニーズ・シーズマッチング】 産油国等のニーズと、日本の技術シーズの出会いの 場を創出する取組として「JOGMEC Techno Forum 2013」を開催し、国内外の石油・天然ガス開発関連企業 の代表や政府関係者等による講演、水処理技術に関す るパネルディスカッションなどを通じ、産油国等の技術課 題の一端を我が国企業に紹介し、国内外から663名が 参加しました。来場者からは、産油国等から具体的な技 術課題を直接聞くことができ、 自社技術を資源開発事業 のニーズに結び付けるヒントを得ることができた等、取り 組みを支持するコメントが多数ありました。また、UAE、 オマーン、ベトナム、 カナダの4ヵ国に対しては政府関係 機関や国営石油会社等を訪問し、技術ソリューション事 業の趣旨、採択案件を中心とする技術シーズ情報の提 供をするとともに、産油国側のニーズである技術課題に ついて意見交換を行いました。 【非在来型油ガス田開発技術-シェールガス・重質油開発】 主に北米で実施されているシェールガス採掘は、 ガス 価低迷と生産予測の難しさが事業推進の大きな妨げと なっています。JOGMECはシェールガス開発をする上で 最適な技術を開発して我が国企業に供し、円滑な事業推 進や新規権益の取得を図っています。2013年度はカナ ダにおける我が国企業のプロジェクトにおいて、 開発最適 化および価値最大化を目標に共同研究を開始し、岩石内 部構造を可視化し、水圧破砕の最適化や開発最適エリア の選定に向けたスタディを実施しました。これらスタディ 結果を産ガス国側に提案したところ、 JOGMECの技術力 は極めて高い評価が得られており、他の我が国企業のプ ロジェクトへの適用等の進展が予定されています。 また大規模な腑存が確認されている重質油は、高粘 度で輸送しにくい点を解決するため加温等による重質 油の改質が行われていましたが、JOGMECはプラント が小規模で環境負担が少ない我が国独自の技術である 超臨界水による重質油開発技術の開発を行っており、 2013年度はカナダでパイロット試験装置を設置して試 運転を行う等、実用化に向け更に前進しました。 【技術ソリューション研修】 開発中の先端技術等を講義・ワークショップ・施設見学 等を通じて産油国等に紹介し、 ニーズ・シーズ収集・分析、 産油国等への技術移転研修を行うことを目標としていま す。第1回技術ソリューション研修として、 「HSEマネジメ 【海洋開発技術】 近年、石油等の探鉱開発の対象は大水深や極海等に 移行していますが、 これらに関する技術開発を行い、成 果を我が国企業に提供して鉱区権益取得やプロジェクト の円滑な推進に繋げると共に、JOGMECの技術審査・ 10 アニュアルレポート 2014 事業概要 スコープ (油・ガス田特性を測定する検層装置) など。 情報収集・分析・提供 【国際石油・天然ガス動向ブリーフィングや定期刊行物 による情報発信】 月例ブリーフィング、隔月発行の専門誌「石油・天然ガス レビュー」を通じ、関係業界やエネルギー政策当局等に 向けて定期的な情報発信を行っているほか、2013年度 においてもテレビ・新聞・雑誌等のメディアにおいて積極 的な情報発信を行いました。以下は、2013年度に発表 した分析レポートの一例です。 ・『シェールガス革命は世界天然ガス市場に何をもたらしたの 地熱資源開発 か』 ・『21世紀も続く炭化水素の時代-本格化する非在来型資源開 発と消滅したピークオイル論-』 ・『東アフリカ深海探鉱開発の現状(モザンビーク、 タンザニア、 ケニア)』 ・『ウクライナのEU加盟見通しと天然ガスにおけるロシアとの関 係』 ・ 『メキシコが石油ガス政策を変更。76年ぶりに外資に開放へ』 金属資源開発 【我が国国内における資源開発の支援】 我が国の貴重な国内資源の開発を行う操業現場を支 援するため、福米沢油田(秋田県男鹿市)において「女 川層タイトオイル開発に係る技術研究」を行いました。 本研究はシェール開発の基礎である 「水平掘り+水圧破 砕」をJOGMECなどの有する技術を用いて国内で初め て実証するもので、その成果が期待されています。 ジ オパイロット (ドリルビットの掘削方向を制御する装置)、 エコ ※ 石炭資源開発 【要素技術の複合的活用-環境調和型油ガス田開発技術】 これまでに石油開発技術本部で行ってきた基盤研究、 国営石油会社などの産油ガス国との共同研究などを通 じて開発されてきた要素技術と、本邦企業が保有する環 境関連技術(環境, 省エネ, 新エネ等) をパッケージ化する ことにより、随伴水、随伴ガス、不用排出物などの有効利 用/排出削減と同時に油・ガス生産の最適化(最大化) を 目指しています。 メキシコ国営石油会社との共同研究「随伴水処理調 査」においては、磁気を用いて油水を分離する小型高性 能油水分離装置(FMS)の有効性をメキシコ洋上施設 において実証し、効率化・事業化に向け大きく進展しまし た。また水溶性有機物や塩分の除去技術についても実 用化に向け研究を行っています。 5.4億円の特許料収入を得ました。※ 石油・天然ガス開発 評価能力向上を図るべく、氷海開発技術として電磁誘 導等を用いた氷況観測の基盤技術を構築、さらに衛星 データ等に基づく氷況分析結果を我が国企業へ提供し、 2013年のグリーンランドにおけるカヌマスプロジェクト の鉱区取得に貢献しました。 こうした定期的な情報発信に加え、 セミナーを開催し、 多数の参加者にタイムリーな情報を提供しています。 ※ JOGMECのホームページ (石油・天然ガス資源情報http:// oilgas-info.jogmec.go.jp/) にて、 ブリーフィング資料・レ 成果普及・技術者育成 ・千葉大学、九州大学、信州大学、高知大学、早稲田大学におい て石油開発関係技術講義を実施し、国内の資源開発分野で の人材育成に寄与しました。 る基礎講座と、専門技術習得を目的とする専門講座を実施し ています。 ・石油開発技術本部の研究・調査成果報告、専門家による意見 交換、技術者ネットワーク構築を目的とする 「JOGMEC-TRC ウィーク2013」を開催(2013年11月、参加者675名) し、 「メタンハイドレート 資源化への挑戦」、 「CO₂EORデザイン ン~その技術が資源ビジネスにつながる~」 をテーマとした各 フォーラムを開催しました。 財務セクション のためのラボ実験~測定結果の活用法~」、 「シェールガス・オ イルの開発~現状と研究開発について~」、 「技術ソリューショ 【セミナーの開催】 本邦企業の関心が高いと思われるテーマについて国際 的な有識者を招へいし、セミナーを開催しています。以 下は2013年度に開催したセミナーの一例です。 ・『米国のシェールオイル増産とLNG輸出が石油・天然 ガスの国際石油需給及び国際市場に与える影響』 ・『米国からのLNG輸出許可の今後の見通しとLNG 輸出が他のLNG供給プロジェクトに与えるインパ クト』 ・『シェールオイルの増産によりもたらされる米国の 原油輸入の減少が、世界の石油貿易に与える影響』 鉱害防止支援 ・国内の石油技術者に対して、石油開発の基礎的技術を紹介す 【重点地域委員会】 石油・天然ガス探鉱開発の重点地域を対象に、有識者・ 現地ビジネス経験者等による委員会を設け、地域分析を 行うとともに、 これら地域専門家間のネットワーク構築に も貢献しております。2013年度は中東委員会及びロシ ア・中央アジア委員会を開催しました。 資源備蓄 技術開発による成果普及の一環として、我が国におけ る石油開発技術者育成や技術者交流のための各種活 動、知的財産の活用を行っております。以下に2013年 度の実績の一例を示します。 ポート等を随時掲載しています。 ・また、我が国企業24社(石油開発系12社、エンジ・サービス 系12社) と技術協議会を行って意見交換を実施し、各社の技 術動向把握と技術課題に対し解決策の提案等を行いました。 ・TRC の研究成果である知的財産を活用し、2013年度は アニュアルレポート 2014 11 CHAPTER 2 石炭資源開発 JOGMEC は、地質構造調査・調査支援をはじめ、産炭国との関係強 化、情報収集・提供、石炭採掘等に関する技術実証・技術支援、出資・債 務保証による金融支援等を通じて、我が国への石炭資源の安定供給 に貢献しております。 事業概要 石油・天然ガス開発 地質構造調査・調査支援 技術実証・技術支援 海外における我が国企業の石炭開発を促進するため、 産炭国政府機関や民間企業等と共同で地質構造調査を 行うとともに、我が国企業が海外で実施する探鉱等の調 査活動への支援を行い、 我が国への石炭の安定供給確保 に貢献しています。 石炭資源開発 産炭国との政府間合意等に基づき、我が国が保有す る低品位炭改質等の優れた石炭関連技術について産炭 国で実証・普及を行っています。また、アジア地域を 中心とした産炭国へ石炭採掘・保安技術の移転を行う ことにより石炭の安定的な生産及び需給緩和に貢献す るとともに、産炭国との重層的な協力関係を構築し、 石炭の安定供給に貢献しています。 情報収集・提供 ■地質構造調査の実施風景 地熱資源開発 世界のエネルギー事情は常に変化しており、正確に 素早く情報をつかむことが激しさを増している資源獲 得競争の中では重要な要素の一つです。 JOGMEC は産炭国の石炭政策や資源開発の動向、 石炭の需給など総合的に情報を収集・分析し提供する ことで石炭開発に関わる我が国企業を支援していま す。 金属資源開発 リスクマネー供給 資源備蓄 石炭資源の安定供給確保のため、JOGMEC はリス クの高い探鉱段階において出資を行うことにより、我 が国企業が行う探鉱活動を支援しています。 また、開発段階においては多額の資金が必要となる ことから、金融機関からの借入れ資金に対して債務保 証を行うことにより企業の資金調達の円滑化を支援し ています。 JOGMEC 石炭資源開発メニュー 石炭開発支援業務 詳 細 地質 投資環境 ポテンシャル 評価 評価 地質調査・ 物理探査・ ボーリング 探鉱段階 ボーリング・ 坑道調査 F/S 開発段階 坑道掘削(坑内堀) 生産施設 表土はぎ(露天堀) 建設 生産段階 鉱害防止支援 支 援 事前調査・基礎調査段階 操業 開発可能性調査 資金面での支援 探鉱出資 債務保証 空中物理探査 財務セクション インテリジェンス面 収集・分析した情報の提供 での支援 海外地質構造調査 技術分野での支援 ジョイントベンチャー調査 地質調査 技術実証・技術移転 ボーリング調査 アニュアルレポート 2014 13 石炭資源開発 2013 年度実績 地質構造調査・調査支援 【地質構造調査等】 海外地質構造調査については、海外における我が国 企業の石炭開発を促進するために、産炭国政府機関や 海外企業等と共同で探査事業を実施しています。 2013年度は、産炭国政府とのMOU締結により共同 で調査を実施する従来の制度(共同調査)に加え、金 属部門で培った知見等を活用し、JOGMECが海外企業 と共同探鉱を行い、取得した権益オプションを我が国 企業へ譲渡する「JV(ジョイントベンチャー)調査」 制度を創設しました。そして、豪州において共同探鉱 契約を締結し、第1号案件の調査を開始しました。 ■JV調査制度の概念図 共同調査については、ベトナム(ドンリ地域)での 調査を継続し、ボーリング調査及び石炭ポテンシャル の総合解析を行い当該地域の石炭賦存状況を明らかに しました。モザンビークについては、新たにMOUを 締結し、衛星画像解析データを用いた地質解析の実施 により本格的に調査を開始しました。また、海外の石 炭の賦存量の確認、地質構造等の解明を行い、開発可 能性を把握するための海外炭開発可能性調査について は、2013年度は1件の新規案件(豪州)に助成金の 交付を行い、支援しました。 【リスクマネー供給】 JOGMECは、石炭の探鉱に対する出資、開発に 対する債務保証による金融支援制度を2012年度に 創設し、我が国企業が行う探鉱・開発活動に対し、 適切かつ効果的なリスクマネー供給を行う体制を整 備しています。この金融支援制度の創設によって、 JOGMEC は、初期探鉱から開発、生産に至るまで一 貫した企業支援を行うことができます。2013年度 は、石炭価格の下落を受け、民間企業が新規案件の投 資に慎重な中、探鉱出資、開発債務保証制度の説明、 意見交換を石炭開発会社、鉄鋼会社、商社等を対象に 継続的かつ積極的に実施し、探鉱出資案件9件、債務 保証案件12件について案件相談を受け、このうち2 件(探鉱出資1件、債務保証1件)について守秘義務 契約を締結し、採択に向け事前審査を行いました。 14 アニュアルレポート 2014 産炭国主要機関等との関係構築 石炭は産業革命以降、社会の発展を支えてきたエ ネルギー資源です。我が国では、現在、国内発電量の 約4分の1が石炭火力発電であるほか、世界第2位の 粗鋼生産量を誇る製鉄業の原料などとしても利用され ています。このように石炭は我が国にとって欠かせな い資源ですが、近年、その需要は、新興国を中心とし て世界的に増加を続けています。JOGMECは、国の 鉱業政策実施機関として、国の資源確保戦略を踏まえ つつ、産炭国主要機関等との関係強化を推進していま す。2013年度の実績としては、我が国最大の石炭 輸入国である豪州のクィーンズランド州政府と包括的 MOU(9月)を締結しました。MOUを契機として、 同州政府との共催によりコール・セミナーを2回実施 し、投資促進のための情報提供、意見交換等を実施し ました。また、モザンビークにて「日本・モザンビー ク投資フォーラム」を他政府機関と共催(1月)。安 倍内閣総理大臣を始め経済ミッション参加企業、モザ ンビーク政財界幹部、総勢約380名が参加しました。 これに合わせ、両国首脳が合意した「日モザンビーク 天然ガス・石炭発展イニシアチブ」を実践するため、 地質構造調査に関するMOUを締結しました。 このほか、日本・モンゴル官民合同協議会への参加 (5月)、東京で開催された「J-SUMIT」(5月)で は理事長がモザンビーク鉱物資源大臣、南アフリカ鉱 物資源大臣等と、副理事長がVale副社長との会談を行 い、「TICAD Ⅴ」(6月)においては理事長がケニア 副大統領と会談し同国の石炭利用開発について意見交 換を行うとともに、探査案件発掘のため、同国に職員 を派遣(9月)し、地質構造調査の実施可能性につい て協議を行いました。さらに、カナダ大使館との共催に より、石炭・金属合同のマイニングサルーンを開催(1 月)し、業界のネットワーク構築に寄与しました。 ■第1回 コール・セミナーの様子 【産炭国共同基礎調査】 産炭国において石炭開発の支障となっている環境対 策や低品位炭利用等の課題について、JOGMECは産 炭国政府機関等と共同で調査を行い改善策や我が国の 技術の適用性等の検討を行っています。2013年度 事業概要 石炭資源開発 2013 年 9 月時点 また、JOGMECはこれまでに我が国が蓄積してき た坑内採掘技術に係る知見等を活用し、アジアにおけ る産炭国の炭鉱技術者や保安監督者等に対し、生産 量・生産能率の向上及び保安対策による事故の低減を 図る炭鉱技術の移転事業を行ってきました。2013 年度は、釧路のJOGMEC炭鉱技術研修センターにベ トナム、中国から約140名の研修生を受け入れると ともに、インドネシア、ベトナム及び中国へ我が国炭 鉱技術の専門家を派遣して、延べ約12,000名の研 修生に対し採掘技術や保安技術の移転を行いました。 石油・天然ガス開発 はベトナムにおいて、日本に無煙炭を供給するベトナム 石炭・鉱物鉱業グループ(VINACOMIN) との環境負荷 低減調査(酸性土壌改良緑化)を継続し、ユネスコ世界 自然遺産であるハロン湾の景勝地に面しているヌイベ オ炭鉱において、同国初の客土種子吹付工法による緑 化試験を実施しました。また、インドネシアの低品位炭 のコークス等への適用性評価共同事業では、同国産の 褐炭等低品位炭を用いた成型コークス・高炉コークス 用バインダーの製造基本プロセスを確立しました。 2014 年 4 月時点 JOGMECは、探鉱・開発関連情報に関する公的知 識・情報センターとして、政府の資源外交戦略の検 討・立案に必要となる情報をはじめ、我が国企業の関 心の高い探鉱・開発・技術開発情報の提供を行ってい ます。2013年度は、アンケート等で情報収集した 企業ニーズを踏まえ、新たな石炭供給ソース発掘のた め、以下の調査を実施しました。 収集した情報や調査成果については、6月に成果報 告会を実施し情報提供を行いました。 ①世界の石炭事情調査 –2013 年度− ②世界の原料炭供給ソースとアジア太平洋地域への輸出能力調査 ③中国における石炭需給動向と見通し及びその影響調査 ④ロシア・極東及びサハリン州における石炭輸出ポテンシャル等調査 ⑤コロンビアの我が国及びアジア市場への石炭輸出ポテンシャル調査 ⑥東南アジア諸国における石炭賦存状況と輸出ポテンシャル調査 ⑦輸入炭の安定供給確保に向けての世界の選炭技術の実態及び動向調査 鉱害防止支援 また、海外事務所の情報収集力を活かし、産炭国に おいて石炭探査・開発プロジェクト状況調査、鉱業事 情調査を実施しました。このほか、海外事務所が収集 した石炭開発関連情報を整理し、JOGMECのホーム ページを通じて、情報提供を行っています。 Website: http://coal.jogmec.go.jp/ アニュアルレポート 2014 財務セクション 海外炭の安定供給確保のため産炭国との重層的関係 の強化が重要であることから、産炭国の石炭開発に係 る課題及びニーズに対して、我が国で構築された石炭 関連技術の実証・普及事業を実施してきました。具体 的には、低品位炭の有効利用目指すインドネシア政府 からの要請に基づき、褐炭熱水改質スラリー化技術を 保有する我が国企業によるインドネシア国内での実証 事業を支援しています。2013年度は、長期製造試 験及び長期燃焼試験(各約2,000時間)並びに通年 での静置・輸送安定性試験等の実施によりスラリー化 プロセス及び安定生産技術の実証に成功し、事業を完 了しました。今後、日本企業がインドネシアの電力会 社と協力して事業化を推進していくこととなります。 情報収集・提供 資源備蓄 技術実証・普及 ■坑内採掘技術研修(派遣研修) 金属資源開発 【産業協力等事業】 産炭国における石炭関連産業のニーズに基づき、 JOGMECはモデルとなる炭鉱地域において石炭資源 の有効活用と環境負荷に配慮しながら、我が国企業が 保有する適用可能なシーズ技術を有機的に組み合わ せ、マテリアルフロー及びエネルギーフローの両面か ら効率を最適化した石炭関連産業チェーンを構築する ための情報提供を行っています。2013年度は、モザ ンビーク鉱物資源省とともに、同国テテ州炭鉱地域を 中心とした2号炭のブリケット利用、石炭灰の建材・ 緑化・酸性水処理利用、石炭ガス化による肥料利用な どを盛り込んだクリーンコールタウン計画を策定。産 炭国側のニーズと我が国企業が持つ適用可能なシーズ 技術のマッチングを実施しました。その他、産炭国で あるベトナム及びインドネシアにおいても同国政府の 要請等に応じて同様の事業を実施しております。 地熱資源開発 ■ズリ山緑化(ベトナム) 15 CHAPTER 3 地熱資源開発 JOGMECでは、国内の地熱資源開発のために、地質構造調査・助 成支援、リスクマネー供給、技術開発、情報収集・提供の各業務を 実施しています。 地熱資源開発 事業概要 石炭資源開発 東日本大震災以降、我が国ではエネルギー安定供給 の確保やエネルギー需給構造の脆弱性への対応が喫緊 の課題とされており、再生可能エネルギー拡大への 機運が高まっています。特に地熱資源については、 年間を通じて安定的に確保できるエネルギーである ことから、ベース電源として大きく期待されていま す。JOGMECでは、我が国の地熱資源が有効に活用 され、地熱資源開発への取組が一層促進されるよう、 本邦法人が発電を目的に行う地熱資源のポテンシャル を確認するための地表調査、坑井掘削調査など、リス クの高い初期調査や、環境事前調査に対し助成支援を 行っています。 また、今まで調査が十分に行われていなかった地熱 資源ポテンシャルが高いと見込まれる地域を対象に、 JOGMEC自らが、空中物理探査などの広域調査を行 い、地熱資源ポテンシャルの把握や新たな地熱有望地 域の絞り込みを行うことにより、本邦法人が行う地熱 資源開発調査の取組に寄与しています。 石油・天然ガス開発 クに対応するため、民間金融機関からの資金供給が 困難な地熱資源の探査事業に対し、地下に係る技術や 知見を有し的確な評価が可能であるJOGMECが出資 を行い、また、建設段階において必要となる資金のう ち、本邦法人が民間金融機関から借入れる資金に対し 債務保証を行うことにより、民間金融機関を補完しつ つ、本邦法人が行う地熱資源開発への資金供給の円滑 化に寄与する制度を設けております。 地質構造調査・助成支援 技術開発 地熱資源開発 地熱発電は、発電時の二酸化炭素排出量が極めて少 ないクリーンエネルギーであり、かつ、天候に左右さ れないことから、安定的な電源として期待されていま す。しかし、地熱貯留層は地下深くに存在するため、 正確な位置や状態の把握が難しいというリスクがあり ます。JOGMECでは、地熱貯留層の探査や評価・管 理に関する新しい技術の開発により地熱開発の推進を バックアップしております。 金属資源開発 情報収集・提供 リスクマネー供給 過去に国内で行われた地熱資源に係る調査成果の 提供や技術を含めた最新動向及び地熱資源開発に有用 な情報の収集・提供を行っています。また、地熱資源 開発等の理解促進等に資する広報活動を行うことで、 地熱資源開発調査を実施する本邦法人を支援していま す。 地熱資源開発における探査事業は、坑井の掘削等、 多額の費用を必要とします。また、探査段階において 有望な地熱資源の賦存を確認した場合でも、その後の 発電所建設段階を経て操業に至るまでに長い時間を要 するなど、大きなリスクを伴います。このようなリス 資源備蓄 JOGMECの地熱資源開発支援メニュー 支 援 事前調査・基礎調査段階 詳 細 地表調査 構造試錐井 掘削 環境事前調査 モニタリング 探査段階 調査井・ 噴気試験 貯留槽評価 開発段階 生産井・ 還元井掘削 発電施設 建設 鉱害防止支援 地熱開発支援業務 操業段階 操業 地熱資源開発調査助成金 資金面での支援 探査出資 財務セクション 債務保証 地質調査 インテリジェンス面 収集・分析した情報の提供 での支援 地質構造調査 技術分野での支援 技術開発・技術支援 ボーリング調査 地熱発電所 アニュアルレポート 2014 17 地熱資源開発 2013 年度実績 地質構造調査・助成支援 【調査支援】 JOGMECは地熱資源開発に係る助成金交付制度に より、 リスクが高く、高額とされる初期調査費用を助成 し、地熱資源開発調査への参入障壁を低減、地熱資源開 発活動の拡充へ寄与しています。また、助成金交付事業 の実施にあたっては、大規模なものだけでなく、地域に 密着した小規模な地熱発電事業に対する支援も実施し ています。2013年度は、小規模な発電事業の実施を検 討している中小事業者等への地熱資源開発支援制度の 周知のため、全国8ヵ所(計16回) にて制度説明会を実 施し、助成金交付申請を初めて行う、新規参入事業者へ、 技術的助言を含めたサポートを実施しました。その結 果、新規10件を採択するとともに、2012年度からの継 続事業を含めた合計20件を採択しました。さらに、規制 緩和に迅速に対応し自然公園内を含む8件が坑井掘削 調査へと進展し、 うち洞爺湖温泉地域等6件で地熱資源 を確認することが出来ました。 【地熱資源ポテンシャル調査事業】 地熱資源ポテンシャルの評価のため、ヘリコプターに よる調査としては日本初となる、時間領域電磁探査及び 空中重力偏差法探査を導入し、民間では実施困難な大 規模な空中からの広域調査を実施することとしました。 本調査によって、従来の地上探査では立ち入り困難な山 岳地域や特別保護区域における地下構造の解明が可能 となり、地表面への影響を最小限にとどめながら地下情 報を得られることが期待されています。2013年度は九 州の2地域(くじゅう地域・霧島地域) において、重力の空 間変化を測定する重力偏差法による探査を実施しまし た。石油探鉱分野では実績のある探査手法を用いた空 中物理探査により、従来の手法に比べ広域かつ詳細で均 一的な地質構造のデータが取得可能となる調査手法を 確立しました。詳細な地質構造の把握により地熱開発の 促進に寄与することとなります。 ■空中物理探査装置を取付けたヘリコプター リスクマネー供給 2013年度は、債務保証について、事業会社等36社 と意見交換を行い、契約により保証範囲等リスクを限定 しつつ、制度の利用向上に繋がる方策を通じて、温泉組 合による小規模案件を含む2件を採択しました。 採択にあたっては、石油部門や金属部門における資 源量評価等に関する知見を活用するなど多角的な視点 を取り入れ、JOGMECのシナジーを最大限に活かし た横断的な技術評価を実施しています。 【債務保証採択案件の概要】 ①福島県福島市土湯温泉地域:つちゆ温泉エナジー (土湯温泉組合出資企業の発電事業用事業会社) 既存温泉井を活用した400kWバイナリー発電、 債務保証額 445.6百万円、平成27年7月発電開 始予定。 ②大分県玖珠郡九重町菅原地域:西日本環境エネル ギー(現:九電みらいエナジー) ■2013年度地熱助成金及び債務保証採択実績 18 アニュアルレポート 2014 事業概要 技術開発 石炭資源開発 地熱資源開発 地熱の探査技術の向上、既存発電所の出力安定化を 目指し、2013年度より新たに2つの技術開発事業 (地熱貯留層探査技術、地熱貯留層評価・管理技術) に着手しています。 地熱貯留層探査技術については、地熱貯留層のより 正確な把握を目指し、石油探鉱分野で利用されている弾 性波探査手法や微小地震による探査手法など、弾性波 を用いた最新技術についての調査を実施しました。海外 事例を把握するとともに最新手法の有効性を確認し、課 題を抽出、具体的な技術開発計画に反映していきます。 地熱貯留層評価・管理技術については、出力低下を 招いている地熱発電所における生産の長期安定化を目 指しており、その一環として、人工涵養の実証に備え た地表調査や人工涵養前のモニタリング等を実施しま した。得られたデータは、2014年度以降に実施す る人工涵養実証試験に反映することとしています。 【広報活動】 地熱資源開発に係る科学的議論の活性化、住民視点 の地熱利用促進気運醸成などを目的として、一般向け の展示会、各種メディアを通じた広報活動、専門家・ 事業者への情報提供など、各層に向けた理解促進活動 に幅広く取り組んでいます。 2013年度は、初開催した地方新聞社東京支社長 とJOGMECとの情報交換会を通じて密なネットワー クを構築し、盛岡市でセミナー「地域と地熱発電~地 域の視点から考える~」を開催しました。地域におけ る地熱の理解を進めるとともに地方紙等での地熱報道 の機会を作ることができました。また、広報ツールと して、パンフレットや一般向け映像「大地に宿るエネ ルギー 地熱発電」のほか、地熱発電のしくみや地熱 資源調査を実感できる地熱発電模型、地熱資源開発手 順説明映像を新たに制作し、夏休みの子供向けイベン トや再生可能エネルギー事業者向けの展示会などで効 果的に活用しました。 石油・天然ガス開発 過去にNEDOが掘削した技術開発用の坑井を活 用した5,000kWバイナリー発電、債務保証額 3,200百万円 、平成27年3月発電開始予定。 金属資源開発 ■霞ヶ関子どもデーに出展 ■各技術開発のイメージ 鉱害防止支援 ■地熱技術者教育用映像を制作 財務セクション 【海外の最新技術動向調査】 JOGMECは、EGS技術※を中心に、米国・豪州の現地 調査の実施等、国内外の地熱開発の最新技術動向の調 査を実施し、 日本の地熱資源開発を進めていくための技 術課題の把握に努めるとともに、2013年度からは、地 熱資源開発に係る技術開発事業も開始しています。 ※EGS技術(Enhanced Geothermal System)と は、能動的な地熱開発を意味し、高温岩体発電、天 然貯留層の人工的な拡張、人工涵養などを含んだ 最先端技術。 2013年度は、地熱先進国である米国との日米 クリーンエネルギー政策対話を通じ、経済産業省、 JOGMEC、米国エネルギー省(DOE)の間で、 EGS技術に関するデータ交換や情報交換を行う方針 に基づき、米国電力研究所(EPRI)と共同研究の契 約を締結しました。今後2年間にわたり、米国及び日 本のEGS技術開発プロジェクトのデータレビューを 行い、今後の技術開発に反映させるとともに、最先端 技術の普及に努めていきます。 資源備蓄 情報収集・提供 さらに、事業者・専門家に向けては、温泉発電導入 促進を図るための手引書を作成し、小規模地熱発電の 早期導入を促進。また、従来になかった地熱技術者教 育用映像「地熱資源開発とその技術」の制作も行いま した。このほか、資源・素材学会(札幌大会)における 一般市民参加型オン サイトセッションや 日本地熱学会(幕張大 会)の共催セッション を学会と共同で企画 実施し、多くの参加 者と地熱資源開発に 関する科学的議論を 進めることができま した。 ■資源・素材学会(札幌大会)におけるオンサイトセッションを企画・実施 アニュアルレポート 2014 19 CHAPTER 4 金属資源開発 金属資源国における本邦企業の資源権益確保・自主開発の拡大のた めに、探鉱プロジェクトの形成から開発・生産の各段階における支援を 行っています。 金属資源開発 事業概要 海外の鉱山公社や企業とJV(ジョイントベン チャー)調査を実施し、衛星画像解析、物理探査、地 質調査及びボーリング調査を通じて資源の賦存状況を 把握した上で有望なプロジェクトを本邦法人等へと引 き継いでいます。 また、本邦法人等が海外において探鉱を行う際に探 鉱初期段階のリスクを軽減し海外探鉱開発を促進する ため、本邦法人等とのJV方式による地質構造調査を 実施しているほか、海外ウラン探鉱支援助成金交付事 業を通じた支援を行っています。 また、政府の「海洋基本計画」及び「海洋エネル ギー・鉱物資源開発計画」に基づき、日本周辺海域等 に分布する海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト等 について、海洋資源調査船「白嶺」等を活用して資源 量評価や生産技術の開発検討を行っています。 我が国と金属資源保有国との政府間外交を支援する とともに、自らも積極的に関係構築・強化に向けた取 り組みを展開しています。また、国際会議や国際展示 会へ積極的に参加することで、JOGMECのプレゼン ス強化に努めています。 人材育成 資源備蓄 資源開発分野における人材育成事業として、講座の 主催や大学・その他研修への講師派遣を実施していま す。 JOGMEC金属資源開発支援メニュー 事前調査・基礎調査段階 地質調査・ 物理探査・ ボーリング 探鉱段階 開発段階 ボーリング・ 開発可能性 坑道掘削(坑内堀) 生産施設 坑道調査 調査 表土はぎ(露天堀) 建設 生産段階 鉱害防止支援 詳 細 金属資源開発 本邦企業が海外で鉱業活動を行う際に有益な情報 (地質・鉱床や探鉱・開発・生産の状況、各国の鉱業 政策や鉱業関係法規、主要金属の需給動向、世界の鉱 山会社の動向、鉱業に関わる環境問題など)の収集や 分析を行い、ウェブサイト、メール配信サービス、成 果発表会及び定期刊行物などを通じて幅広く、タイム リーに提供しています。 また、書籍や地質図など約5万点を所蔵する、国内 唯一の金属資源関連の専門図書館(金属資源情報セン ター)を運営し、一般に公開しています。 金属資源保有国との関係構築・強化 支 援 地熱資源開発 情報の収集・分析・提供 探鉱出資・融資、資産買収出資及び開発資金債務保 証からなるリスクマネー供給機能を活用し、本邦企業 による金属鉱物資源の自主開発を促進しています。 地質 投資環境 ポテンシャル 評価 評価 石炭資源開発 金属鉱物資源の開発に利用される様々な技術(生産 技術)の中で、本邦企業のニーズや政策的必要性の高 いテーマを選定し、技術開発を実施しています。具体 的には、バクテリアを利用した金属製錬技術や、使用 済み製品からのレアメタル回収技術、国内非鉄製錬所 での難処理鉱石の処理技術等の研究開発を行っていま す。 また、本邦企業が国内外で新たな資源を確保・調達 するために必要な研究開発案件を広く公募し、応募の あった案件の中でその目的が国の政策に沿い、かつ技 術的に実現の見込みがあるものを採択して、その実施 を資金的・技術的に支援する事業も行っています。 リスクマネー供給による 本邦企業探鉱開発活動の支援 金属鉱物開発支援業務 石油・天然ガス開発 民間ニーズや政策的ニーズの 高い技術開発の支援 初期探査の推進による企業探鉱活動の支援 操業 地質構造調査費助成金 探鉱出資・融資 資金面での支援 債務保証 財務セクション 資産買収出資 衛星画像解析による地質情報収集 インテリジェンス面 収集・分析した情報の提供 での支援 海外地質構造調査 技術分野での支援 ジョイントベンチャー調査 地質調査 技術開発・技術支援 ボーリング調査 アニュアルレポート 2014 21 金属資源開発 2013 年度実績 地質構造調査等 【JV 調査による権益確保支援】 JV調査においては、共同調査の成果を本邦法人等 に譲渡することで、権益取得の支援を行っています。 2013年度は18ヶ国・37地域において、海外の鉱 山公社や企業とのJV調査を実施しました。 このうち、南アフリカのウォーターバーグJVプロ ジェクトでは、調査を継続した結果、貴金属量の大幅 な拡大を確認し、この結果を踏まえて予備的経済性評 価を実施しました。また、南アフリカ以外における 白金族資源の確保を目指し、カナダのパラスJVプロ ジェクトを立ち上げ、空中磁気探査を実施しました。 さらに、アルゼンチンのホセマリアJVプロジェクト では、銅の高品位鉱化帯を捕捉し、連続性把握のため のボーリング調査を実施しました。 ■南アフリカ・ウォーターバーグのボーリング調査風景 【本邦企業の探鉱開発活動の支援】 2013年度は、ペルーの新規採択案件を含む計3ヶ 国3件において地質構造調査を実施しました。また、 海外ウラン探鉱支援助成金交付事業について、2ヶ国 3件の本邦法人等探鉱案件に助成金を交付しました。 また、本邦企業の海外プロジェクト推進を目的とし た資源開発プロジェクトに関するFS等技術支援を1 件実施しました。具体的には本邦企業と現地企業が進 めるインドネシア錫鉱山の尾鉱からの錫回収に関する 技術研究を支援し、効果的な回収プロセスの検討に貢 献しました。 リスクマネー供給による 本邦企業の探鉱開発活動支援 我が国の鉱物資源獲得戦略※を踏まえ、本邦企業に よる鉱山の自主開発を促進するための取り組みを行っ ています。 22 アニュアルレポート 2014 ※我が国の鉱物資源獲得戦略 ・エネルギー基本計画第2次改定(2010年6月閣 議決定) ベースメタル(銅・亜鉛)は2030年に自給率 80%以上、戦略レアメタルは2030年に自給率 50%以上を目指す。 ・資源確保戦略(2012年7月経済産業省策定公表) 5本柱が掲げられ、そのうち「資源権益獲得に対 する資金供給の機能強化」においてJOGMECに よる金融支援が挙げられている。 【探鉱出資・資産買収出資】 2013年度は、探鉱出資案件として米国の亜鉛・ 銅探鉱プロジェクトを採択しました。亜鉛鉱石は、こ れまで供給を支えてきた大規模鉱山の閉山等により需 給が逼迫すると見込まれており、本プロジェクトは新 たな亜鉛鉱石の供給源として期待されています。 また、過年度に資産買収出資を行ったブラジルのニ オブ案件および豪州のレアアース案件からは約21億 円の配当収入を得ました。両案件では、それぞれの生 産物に対して本邦企業が長期の引取契約を締結してお り、我が国の金属資源の安定供給に多大な貢献をして います。 【開発資金債務保証】 過年度に債務保証を行った案件のうち、チリの銅開 発案件(2件)、アルゼンチンのリチウム開発案件で は着実に建設工事が進んでおり、それぞれ2014年 度中に操業を開始する予定です。 ■チリ・銅開発案件 【海外探鉱融資】 将来の金属資源の供給源として期待される探鉱プ ロジェクトに対して、探鉱資金の貸し付けを行って います。2013年度は、レアメタル案件1件(ソロモ ン)、鉄鉱石案件1件(豪州)を採択し、総額約1.3 億円の貸付けを実行しました。 事業概要 9件 7件 残 高 200 ︵ 億 円 ︶ 100 55 1 77 6件 2件 1件 10件 8件 融 資 6件 実 行 4件 件 数 2件 0件 石炭資源開発 0 4件 133 257 269 7件 224 239 8件 186 石油・天然ガス開発 300 Fy05 Fy06 Fy07 Fy08 Fy09 Fy10 Fy11 Fy12 Fy13 ■各年度の海外探鉱融資残高と実行件数 ■コバルトリッチクラスト 地熱資源開発 【国内探鉱融資】 菱刈鉱山※に対し、国内探鉱資金融資として7.3億 円の貸付けを実行しました。 ※ 1981年にJOGMEC(当時金属鉱業事業団) の広域調査で発見された金鉱山。累積産金量は 200tを超えた。 海洋鉱物資源調査・生産技術の開発 金属資源開発 ■コバルトリッチクラスト探査契約の調印式 資源国への多面的アプローチ 【資源国との共同事業、協力枠組みの構築】 2013年度はアジアやアフリカ地域の資源国との 間で11件の協力枠組みを構築しました。これらの国 は資源開発のフロンティア地域として注目されてお り、将来的な資源確保に向け、このような関係構築の ための取組は非常に重要となっています。具体的に は、ボツワナ等南部アフリカ諸国とボツワナ・地質リ モートセンシングセンターでの人材育成・共同調査に 係る実施計画を策定、また、カンボジアと共同地質調 査実施に関する覚書を締結しました。 資源備蓄 鉱害防止支援 【情報発信、資源国との情報交換・関係強化】 JOGMECでは情報発信やセミナー開催等を通じ て、資源国との関係構築や企業活動のサポートを行っ ています。2013年度はTICAD Ⅴや日アフリカ資源 大臣会合の開催時期に合わせて、我が国初となる国際 的な資源フォーラム「J-SUMIT」を経済産業省と共 催しました。同フォーラムではアフリカの資源担当大 臣等から鉱業政策や鉱業事情、日本企業等から先進技 術の紹介があり、日本企業のアフリカへの投資促進、 日本の技術力の資源国へのアピールに貢献しました。 また、これまで我が国と資源国とのネットワーク強 化のために開催していた “メタル・サルーン”につ アニュアルレポート 2014 財務セクション 海底熱水鉱床については、2012年度に沖縄海域 において発見した深部の新鉱体に対して、海洋資源調 査船「白嶺」を活用した更なる掘削調査を行い、鉱床 の厚さや拡がりを把握しました。また、伊豆・小笠原 海域でも調査を行い、鉱体の分布を確認しています。 採鉱技術分野では採掘試験機に改良を加えて海底熱 水鉱床の実海域において試験を実施し、走行機能、採鉱・ 集鉱機能等の向上を確認しました。また海底で採取した 鉱石を洋上まで運ぶための揚鉱技術についても要素技 術試験を実施しています。 コバルトリッチクラストについては、2012年7月 に国際海底機構に対し、南鳥島南東沖600kmの公海 域における探査鉱区(3,000㎢)の申請を行いまし たが、その後2013年7月に承認され、2014年1月 に世界で初めて同機構と15年間にわたる探査契約を 締結しました。賦存状況調査については南鳥島の排他 的経済水域に分布する海山において、海底着座型掘削 装置を用いた更なる調査を実施し、層厚・品位・分布 状況等に関するデータを蓄積しました。 レアアース堆積物については南鳥島の排他的経済水 域において、ピストンコアラによるサンプリング調査 を実施し、賦存状況を把握しました。またレアアース 堆積物の将来の資源としてのポテンシャルを検討する ため有識者による勉強会を4回開催するとともに、採 泥・揚泥、選鉱・製錬等、生産技術に関する調査も開 始しました。 23 金属資源開発 いては、2013年度は金属のみならず石炭業界関係 者も招待し、“マイニング・サルーン”として開催し ました。在京カナダ大使館と共催し、ホスト国を含む 多数の在京大使館関係者及び我が国鉱業関係者に参 加いただきました。このほか、2013年度には以下 のようなセミナーの開催、国際学会、国際会議への参 加等を通じて情報収集・資源国鉱業関係者とのネット ワーク強化を行いました。 ・ザンビア、ミャンマー、南アフリカにおける探 査・持続的開発・鉱害防止をテーマとした探査環 境セミナーの開催 ・国際会議・カンファレンス80件に出展・参加 ・資源国要人、 鉱山公社等幹部等との意見交換を実施 ・カナダ、豪州、豪州北部準州、アルゼンチンに関 する「鉱業投資セミナー」を東京で開催 【ボツワナ・地質リモートセンシングセンターにおける 事業】 ボツワナ・地質リモートセンシングセンターでは、 南部アフリカ諸国を対象とした5年間の衛星画像解析 等に関する技術移転を含む協力事業が終了しました が、対象国からの強い継続要請を受け、第2期事業を 開始しました。第2期事業では指導者育成に重点を置 きつつ、共同解析や共同調査を実施し、鉱物資源有望 地の抽出を継続的に行っています。 【技術支援による資源国との関係強化】 技術開発の側面からも資源国を支援し、関係強化を 図っています。2013年度は3件のレアメタル回収技 術支援を実施しました。ボリビアではウユニ塩湖のか ん水から炭酸リチウムを製造するプロセスを複数構築 し、日本の技術力の高さをアピールしました。またベ トナムでは、鉱石からのレアアース抽出分離に関する 技術移転について、最適化試験の実施等による支援を 継続して行っています。さらにブラジルではニオブ鉱 山の尾鉱からのレアアース回収技術に関する研究も引 き続き進めており、現地に小規模プラントを設置して 分離・精製に係る実証試験を開始しました。 その他、JOGMECによる調査・金融支援案件に関 連するレアメタル等の鉱山において、金属回収率を大 幅に向上させる選鉱プロセスを構築するなど技術支援 を実施することにより、経済性を大幅に高めることに 貢献しました。 技術開発 企業ニーズの把握等により技術課題の選別と重点化 を行い、我が国の資源権益確保、自給率の向上に貢献 することを目指した技術開発に取り組んでいます。 24 アニュアルレポート 2014 【探査技術開発】 物理探査分野では、高温超電導を利用した電磁探査 システム(SQUITEM)を用いて、2012年までに開 発したSQUITEM3号機の実機をJV調査に投入し、 データ取得を行いました 。 リモートセンシング分野では、アフリカにおけるレ アメタル・レアアースの鉱床胚胎母岩(アルカリ貫入 岩・花崗岩・ペグマタイト)を識別するための解析技 術開発を実施するとともに、JV候補案件の評価やボ ツワナ・地質リモートセンシングセンターでの研修事 業・現地解析を行いました。また、次世代の衛星セン サ(ハイパースペクトルデータ)活用を想定し、斑岩型 銅鉱床、重レアアース鉱床等を対象とした解析技術開 発を実施するとともに、変質帯・鉱物分類の高精度化 を目的として、ペルーで航空機ハイパースペクトル データの取得及び解析を実施しました。 この他、支援機器開発では、携帯型スペクトルメー タの実用機完成及び次世代の物理探査機器である新型 磁気探査装置(SQUID磁場偏差計)の試作機を製作 しました。 ■SQUITEM実証実験の様子 【生産技術開発】 微生物の力を利用して低品位鉱石から銅を抽出する バイオリーチング技術の開発については、2012年 度、チリの鉱山において実証試験を開始しました。 2013年度は銅を溶かし出すために積み上げた鉱石 の内部温度が、硫酸散布による発熱反応によって微生 物活性化に適した温度域まで上昇することがわかり、 次の段階として、微生物を添加したリーチング試験を 開始し、着実に進展しています。 また、省エネルギー型製錬プロセスの開発について は、高い電力量を必要とする銅電解プロセスの電力削 減を実現するための技術開発に着手しました。 また、レアメタル回収技術に関する調査および開発支 援を継続し、企業・大学等から提案を募り計12件の 技術開発案件を採択・実施しました。 事業概要 た。他方で、刊行物については、引き続き民間企業等 の有識者からなる委員会による評価を受け、報告書の 内容改善、作成担当者へのフィードバックを行うな ど、情報発信の質の向上に努めております。以下は 2013年度に刊行した報告書の一例です。 石油・天然ガス開発 ・世界の鉱業の趨勢(各国別の基本情報集:54カ 国) ・メタルマイニング・データブック2013(最新 の鉱山や各国政策、資源国の需給動向等) ・レアメタル・ハンドブック2013(レアメタル の最新需給動向等) ・鉱物資源マテリアルフロー(23鉱種) ※ 石炭資源開発 【リサイクル技術開発】 レアメタル回収技術の開発は廃小型家電や製錬副産 物などリサイクル原料も対象としています。廃小型家 電については、コンデンサやリチウムイオン電池に含 まれるタンタルやコバルトを効率的に回収するための 最適な浸出条件を把握する試験を実施し、実証プラン ト試験に向けたデータ取得を行いました。また、製錬 副産物からのアンチモン回収量を従来方式より増加さ せるプロセスについては、2013年度から検討を開 始しており、アンチモンの濃縮技術や抽出剤の開発を 進めています。JOGMECではこのようなリサイクル 技術を開発し、レアメタルの供給を海外に過剰に依存 しない仕組みの構築にも取り組んでいます。 地熱資源開発 JOGMECの金属資源情報ホームページ(http:// mric.jogmec.go.jp/)にて、各種定期刊行物・ 調査報告書等を随時掲載しています(原則として 日本語のみ)。 人材育成 情報収集・分析・提供 資源備蓄 鉱害防止支援 【戦略的鉱物資源に係る情報収集】 我が国の経済発展、産業基盤の維持強化のため、安 定供給が重要とされる鉱物資源(戦略的鉱物資源)等 32鉱種について、その需給動向を把握するため、統 計資料や企業ヒアリングの結果に基づき、マテリアル フローを取りまとめ、経済産業省への報告、一般公表 しました。また、重要鉱種の安定供給上の課題抽出を 目的として、事業部間を横断して構成する鉱種戦略 チームを新たに設置しました。2013年度は白金族, タングステン, 亜鉛, チタンに係る情報収集・分析を 実施し、各鉱種の需給見通しや、サプライチェーンに おける供給課題を抽出しました。 金属資源開発 ■チリの銅山に設置された実証試験用設備 鉱物資源分野における人材育成事業では、大学生及 び社会人を対象とする現場研修、資源開発関係の講義 などに取り組んでいます。2013年度に実施した主 な講義・研修は以下のとおりです。 ・包括連携協定等に基づく特別講義(東大 、 早 大、高知大) ・一財)国際資源大学校が実施する「資源開発研 修」、JICA集団研修への講師派遣 財務セクション 【鉱業関連情報の発信】 鉱業関連情報の発信 ※ としては、「ニュース・フ ラッシュ」、「カレント・トピックス」、メール配信 サービスや、隔月の「金属資源レポート」などの定期 配信・刊行を通じ、企業の投資判断の基盤となる情報 発信を積極的に行っています。このほか、レアメタル 動向や海外資源開発の最新動向、JOGMEC各部門の 事業報告をテーマとしたセミナー・講演会を10回開 催し、多数の企業や学生の方にご参加いただきまし アニュアルレポート 2014 25 CHAPTER 5 資源備蓄 石油・石油ガスやレアメタルの備蓄を安全かつ効率的に行っています。 平時には安全かつ効率的に備蓄を行い、緊急時には機動的な放出を可 能とする体制を維持することによって、エネルギーセキュリティの最後 の砦として、国民生活の安定に貢献しています 資源備蓄 事業概要 石油備蓄 鉄鋼原料や電子部品製造に不可欠なレアメタルは、地 域的に偏在するものが多く、近年の需要の増加や資源国 の保護政策、いわゆる資源ナショナリズム等の台頭によ り、供給の不安定さへの懸念が高まっています。 このような状況において、中長期的な供給安定策と しての探鉱開発、リサイクル及び代替原料開発の推進 に加え、短期的な供給障害対応策としてのレアメタル 備蓄の重要性が益々増大しています。レアメタル備 蓄事業においては国家備蓄倉庫において備蓄物資の保 管・管理を実施し、必要に応じて売却や購入を行って います。 石油ガス備蓄 民間備蓄 4,796 万 KL 3,610 万 KL (製品換算) (製品換算) 110 日分 83 日分 2014 年 3 月末現在(日数は国内消費量ベース) レアメタル備蓄 国家備蓄 民間備蓄 国家備蓄 民間備蓄 842 千t 1,870 千t 目標量 目標量 27.9 日分 62.0 日分 42 日分 18 日分 2014 年 3 月末現在(日数は輸入量ベース) 資源備蓄 国家備蓄 金属資源開発 石油ガス備蓄事業も石油と同様に、国家備蓄と民間 備蓄の2本立てで進められています。民間備蓄では、 輸入量の50日分の備蓄義務に対して2014年3月末 産業を支えるレアメタル(希少金属)の備蓄事業 地熱資源開発 石油ガス(LPガス)国家備蓄を150万トン体制へ 石炭資源開発 我が国では1972年度から民間企業による石油備 蓄(1975年度以降は石油備蓄法 ※ に基づく)が、 1978年度からは国による備蓄事業が始まりまし た。2014年3月末現在、国家備蓄としては全国10 カ所の国家石油備蓄基地と民間企業から借上げたタン クに110日分の原油及び石油製品を備蓄しており、 民間備蓄としては83日分の原油及び石油製品が備蓄 されています。 国家備蓄については、国からの委託契約に基づき、国 家備蓄石油及び基地の統合管理業務を実施していま す。また、備蓄に関する各種調査や技術開発、国際協力 などを行っているほか、民間備蓄の支援として、備蓄義 務を有する民間企業に対して石油・石油ガス購入資金 融資を行い、確実な備蓄の実施に貢献しています。 ※ 石油の備蓄の確保等に関する法律 現在62日分を確保している一方、国家備蓄事業にお いては、国からの委託を受けて、150万トン(輸入 量の40日相当分)の備蓄水準を目標として、基地の 操業を行っています。現在、国家石油ガス備蓄基地と しては、七尾(石川県)・福島(長崎県)・神栖(茨 城県)と2013年3月に完工した倉敷(岡山県)・波 方(愛媛県)の2 基地を合わせ、5基地の操業を管理 し、27.9日分の石油ガスの安定的かつ安全な備蓄を 実施しています。 石油・天然ガス開発 石油国家備蓄の統合管理と民間備蓄支援 日数は国内消費量ベース 鉱害防止支援 財務セクション アニュアルレポート 2014 27 資源備蓄 2013 年度実績 備蓄基地の抜本的な強化 東日本大震災で被災した久慈国家石油備蓄基地(岩 手県)については、高台部への重要設備の設置・移設 工事を完了し、非常時における対応能力の向上を図る とともに、海域部の原油受け払い設備を復旧し、基地 機能を完全に回復させました。また、他の石油備蓄基 地では、地震・津波対策ロードマップに基づき、耐震 設計及び工事、液状化調査を9基地で実施し、大規模 災害への対策の強化を進めています。石油ガス地下備 蓄基地(波方基地・倉敷基地)については、津波対策 工事に着手しました。 回実施したほか、米国テキサス州において、国内 では経験できない昼夜間の大規模実消火訓練を実 施しました。また、安全対策の知見向上及び危機 管理の認識の深化を目的として、外部専門家によ る安全防災講演会を開催しました。 ・石油コンビナート等総合防災訓練(石油4基地、 石油ガス1基地)、排出油防除訓練(石油9基 地)、大容量泡放射システム実機運用訓練(石油 6基地)等を実施し、基地の安全操業へ技量、意 識を向上させるとともに、津波避難訓練(石油9 基地、石油ガス2基地)を実施しました。 ■石油コンビナート等総合防災訓練(秋田基地) ■久慈基地高台部設備 国家備蓄石油・石油ガスの安全かつ効率的な管理 国家石油・石油ガス備蓄基地は全国15カ所に存在 し、緊急時に備えています。石油・石油ガスという危 険物を安全に備蓄し、且つコストの削減にも積極的に 取り組み、安全性と効率の向上に日々努めています。 【石油・石油ガス備蓄基地の安全操業】 備蓄基地の安全な操業のために、地域の関係機関等 とも連携して、各種防災訓練や安全点検を実施してい ます。2013年度の主な実績は以下のとおりです。 ・石油・石油ガス備蓄全15基地において、安全管 理に関する知識、技能及び業務遂行能力の現状を 適正に把握し、安全活動の強化及び改善を図るこ とを目的に各基地事務所長による安全性評価を実 施しました。また資源備蓄本部長による安全環境 査察(石油4基地、石油ガス2基地)を実施し、 安全活動の強化・改善を図りました。 ・JOGMECは、操業サービス会社職員等が参加す る各種訓練や講演会等を主催しています。外部訓 練所において、火災・海洋汚染への対応訓練を4 28 アニュアルレポート 2014 【国家備蓄体制に係る安全管理と効率的な運営の両立】 備蓄基地管理の一層の効率化のため、一般競争入札 の導入、工事の合理化、省エネ等によるコスト削減、 また、システムを活用した業務の効率化等、操業サー ビス会社が自ら課した効率化計画の継続的実施を行っ ています。 2013年度の主な実績は以下の通りです。 ・操業サービス会社が行う各種工事について、一 般競争入札を276件(2012年度)から437件 (2013年度)に大幅拡大、工事保全周期の見 直し等の各種措置を引き続き推進し、コスト削減 を継続しました。 ・防災船の更新に電気推進システムを採用したこと で、従来のエンジン船に比べて電気変換ロスを超 える効率化を達成したほか、石油コンビナート等 災害防止法の改正により防災基本機能を低下させ ることなく防災船を従来の3隻から2隻体制に効 率化できたことで、維持管理費等の低減にも貢献 しています。 石油ガス地下備蓄基地の操業開始 世界最大級の「水封式地下岩盤タンク方式」を採用 した倉敷国家石油ガス備蓄基地及び波方国家石油ガス 事業概要 石油共同備蓄会社への民間備蓄融資については、石 油精製業者等15社に対して、融資を実行しました。 さらに、金利競争入札によって、2013年度国内シ ンジケートローン最大級規模の資金調達(約7,800 億円)を行い、低金利の融資を実現しました。落札利 率は年々低下してきており、民間備蓄義務日数の維持 に寄与しています。 レアメタル備蓄の推進 機動的な備蓄の積み増し、放出を進めるため、国内 外延54社のレアメタル関係企業のヒアリング等各種 調査を実施し、情報収集・解析の結果、必要と判断さ れたレアメタルの積み増しを新たに実施しました。ま たユーザー企業等により構成されるレアメタル備蓄検 討委員会を新規に拡充し、2013年度は5回の委員会 を開催し、企業等とのネットワークを活用した一次情 報等による需給動向把握・モニタリングを実施しまし た。さらに備蓄対象となりうるすべての鉱種を対象に 調達可能な企業の常時公募、審査、登録、管理を行 い、これまでに備蓄対象鉱種すべてを網羅する29社 を応札業者として登録し、的確・迅速な買入れ体制を 整備しています。 財務セクション アニュアルレポート 2014 鉱害防止支援 緊急時には、近隣諸国との協力も、エネルギーの安 定供給のために重要となります。JOGMECでは、ア ジア諸国やアメリカを中心とした諸外国との間で戦略 備蓄石油について積極的に情報交換を行い、協力関係 を築いています。2013年度の主な実績は以下のと おりです。 ・ASEAN諸国における石油備蓄体制の整備と強化 に向けたワークショップ開催の協力・支援を行 い、各国の石油備蓄制度構築上の課題とその優先 度についてとりまとめを実施しました。また、日 【 企業による石油・石油ガス備蓄への金融支援 資源備蓄 【 石油備蓄に関する国際協力 金属資源開発 石油、石油ガス備蓄基地では、緊急放出実技訓練ま たはその代替訓練を実施しました。また、基地間転送 事業等を緊急時放出実技訓練のOJTに活用しました。 その他、2013年度の主な実績は以下の通りです。 ・重質原油等の売却により軽質化を促進している油 種入替事業については、国の指示に従い約70万 klの払出を完了しました。また基地間転送につい ては、当初の計画通り計約50万klを実施しまし た。近年の日本の輸入原油構成比率に近づけ、緊 急時の放出に備えています。 ・有事の際に効率よく国家備蓄石油を放出できるよ う基地の機動性向上を図るため、北海道石油共同 備蓄(株)の桟橋船型大型化対策工事を実施し、 工事への対応のため北海道石油共同備蓄(株)に 対し2億円の融資を実行しています。 地熱資源開発 【 緊急時対応能力の強化 石炭資源開発 ■ガス搬入第一船の入港(波方国家石油ガス備蓄基地) 中韓の石油備蓄の経験とノウハウ及びASEAN各 国の備蓄計画の進捗情報を共有し、石油備蓄体制 の整備と強化を実施しました。 ・韓国石油公社と相互に本部や国家石油備蓄基地を 訪問し、石油備蓄状況や操業上の技術的問題等に ついて情報交換を行いました。 ・世界最大の石油備蓄保有国である米国エ ネ ル ギー省戦略石油備蓄部門との技術協議を実施しま した。 ・資源エネルギー庁の指示に基づき、産油国石油安 定供給基盤強化事業を遂行しております。 1)サウジアラムコ(サウジアラビア)に貸与中 の沖縄石油基地㈱の原油タンクを80万klから 100万klへの追加貸与及び賃貸期間の3年間の 延長を実施しました。 2)JX日鉱日石石油基地㈱(喜入)がADNOC (アラブ首長国連邦)に貸与中の原油タンクを 60万klから70万klに追加貸与(9月)しまし た。 緊急時に貯蔵原油の優先供給を受けることで エネルギーセキュリティ向上に資するとともに、 産 油国との戦略的関係強化に寄与しています。 石油・天然ガス開発 備蓄基地(ともに2012年度完成)に16万トンのガ スを搬入しました。このうち、7万トンを米国産 シェールガス由来とし、供給源の多様化を図りまし た。また、従来の価格方式から脱却したことで、より 低コストでの調達に貢献しました。 29 CHAPTER 6 鉱害防止支援 鉱害防止実施者が鉱害防止対策を適切かつ確実に講じることができる ように、技術面及び金融面での支援を実施しています。 鉱害防止支援 事業概要 石油・天然ガス開発 鉱害防止の確実な実施を支援するための 技術支援 鉱害防止の確実な実施を支援するため の金融支援 鉱害防止事業を実施する民間企業を金融面で支援す る鉱害防止資金融資及び鉱害負担金資金融資を実施し ているほか、民間企業が鉱害防止工事のために積み立 てる鉱害防止積立金や、坑廃水処理事業を継続するた めの鉱害防止事業基金の運用・管理を行っています。 石炭資源開発 地方公共団体及び鉱害防止義務者等(以下「鉱害防 止実施者」という)を技術面から支援する活動を行っ ています。 鉱害防止実施者の依頼に応じてコンサルティングを 実施し、鉱害防止対策の方針作成や鉱害防止工事に関 する情報の提供を行っています。また、地方公共団体 からの受託業務として、鉱害防止工事の調査設計や施 工に関する技術支援、旧松尾鉱山新中和処理施設(岩 手県)の運営管理業務を行っています。 休廃止鉱山に関する情報の収集・整備、鉱害防止実 施者等に対する技術研修・情報交換会を行うととも に、国の鉱害防止施策に対する技術的支援を実施して います。また、鉱害防止対策に関する費用を低減する ために、効率的な鉱害の発生源対策及び坑廃水処理な どに関する技術の調査・開発を関係者のニーズを踏ま えて実施しています。 資源保有国政府等への技術支援 地熱資源開発 長年にわたる鉱害対策によって培われた我が国の鉱 害防止に関する技術や制度は、世界的に見ても先進的 なものとなっています。そのような情報・ノウハウを 海外の資源保有国に発信し、環境に調和した鉱山開発 の促進に寄与するとともに、我が国の資源権益確保を 側面から支援する活動を行っています。 金属資源開発 鉱害防止支援のスキーム 国 積立金 運営費交付金・ 利子補給金 資源備蓄 技術支援・ 情報提供 補助金 (3/4) JOGMEC 基金 資金支援 技術支援 鉱害防止支援 技術支援 地方公共団体 (1/4) 鉱害防止事業の実施 休廃止鉱山 義務者存在 財務セクション 稼行鉱山 廃止鉱山 義務者不存在 アニュアルレポート 2014 31 鉱害防止支援 2013 年度実績 有を図りました。 鉱害防止技術支援 【鉱害防止実施者に対する技術支援】 汚染者負担の原則に従い、本来ならば採掘権者等が 鉱害防止事業を実施する義務を負いますが、義務者不 存在の休廃止鉱山については地方公共団体が事業主体 となり、国が補助金を交付するとともにJOGMECが 技術面でこれを支援しています。 主な実績は以下のとおりです。 ・青森県のA鉱山集積場で陥没が発生した堤体につ いて、安定性評価の依頼を県より受け、ボーリン グ調査等を実施しました。その結果、現状の地下 水位においては地震による液状化現象の懸念がな いことが明らかとなり、県へ報告しました。 ・山形県のB鉱山の下流河川(環境基準点)におい て、カドミウム濃度の基準超過が認められたこと から、県より調査の依頼があり、水系調査を行い ました。この結果、原因として集積場浸透水が下 流の水質汚染に影響を及ぼしている可能性が考え られたため、県に報告しました。 ・委託された宮崎県のC鉱山など9鉱山について、 地方公共団体が行う鉱害防止工事の実施に必要な 助言や、鉱山周辺での水量・水質のモニタリング 調査、技術面のコンサルティングを実施しました。 ■ボーリング調査 【旧松尾鉱山新中和処理施設の運営管理】 義務者不存在鉱山の中で最も坑廃水量が多い旧松尾 鉱山新中和処理施設について、岩手県から委託を受け て1982年から運営・管理を実施しています。年間 900万㎥にも及ぶ坑廃水の処理後の水質を定められ た基準値内に安全かつ確実に維持しており、32年間 にわたり北上川の清流化の達成に貢献しています。近 年頻発する落雷による被害を想定した災害訓練等を実 施するとともに、現場の判断でより迅速な対応ができ るよう災害・事故等対応マニュアルを見直しました。 施設・設備の老朽化対策も重要になっており、その一 環として更新のための非常用発電機を製作しました。 さらに、「松尾管理事務所30年史」を編纂し、処理 施設のこれまでの取組や知見について関係機関への共 32 アニュアルレポート 2014 ■災害訓練 【鉱害防止技術開発】 休廃止鉱山における坑廃水処理は半永久的に続ける 必要があり、鉱害防止実施者にとって大きな負担と なっています。より効果的で効率的な坑廃水処理が可 能となるよう、パッシブトリートメント(自然力活用 型坑廃水処理)や坑廃水を削減するための技術開発に 取り組んでいます。 主な実績は以下のとおりです。 ・パッシブトリートメントではJOGMEC独自の手 法(硫酸還元菌の反応を利用し、有機物にモミ殻 等を使用)に改良を加え、酸性坑廃水を対象とし た現地試験を開始し、安定的な金属除去の継続を 確認しました。さらに低温環境下(5℃)でも除 去効果が維持されたことから、低温耐性向上に関 する特許を出願しました。 ・北海道道立地質研究所と共同し、休廃止鉱山にお ける人工湿地による坑廃水処理の適用可能性の検 討を開始しました。 ・大学や研究機関との共同研究により、コスト削減 に寄与する植物等を用いた新たな坑廃水処理技術 の検討に着手しました。 ・凝集沈殿メカニズムのモデリングと、産業技術総 合研究所が開発した汚染源の下流河川水質を予測 するシミュレーションにより、坑内水と河川水が 混合した際の水質変化予測の再現性を向上させる ための解析手法の検証を行いました。 ・坑内水の減少・水質良化、殿物処理費の低減、空 洞の安定化等を得るための坑内空洞充填技術開発 に関して、三菱マテリアル㈱ほか2社と共同し、 基本性能を満たす充填剤の配合手法を確立しまし た。また、各種物理探査手法を比較検証し、坑道 空間を捕捉する効率的手法を提案しました。 【鉱害防止に関する研修・人材育成】 鉱害防止対策を実施する人材の確保や資源開発と環 境保全両面の重要性に関する理解促進のため、人材育 成や啓蒙活動に関する取組を行っています。 主な実績は以下のとおりです。 ・「坑廃水処理の効率化」をテーマに鉱害環境情報 事業概要 資源備蓄 鉱害防止支援 財務セクション 【鉱害防止積立金及び鉱害防止事業基金の運用・管理】 金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づき、鉱害防止 を実施する民間企業から積立金※1及び事業基金※2 を受入れ、適切に運用・管理することで、確実かつ継 日本の鉱害防止の経験を活かし、セミナーや研修の 実施、専門家の派遣等を通じて、資源国の環境保全に 関する取組を支援し、資源国と良好な関係を築いてい ます。 主な実績は以下のとおりです。 ・鉱害防止セミナー等を5カ国(ザンビア、ミャン マー、ラオス、南アフリカ、ペルー)で開催し、 総勢554名の参加者に、鉱害防止関連の情報を 提供しました。 ・鉱害防止対策調査とそれに係る技術指導(OJT) をペルーおよびラオスで実施しました。ペルーで は、エネルギー鉱山省職員等14名、ラオスではエ ネルギー鉱山省職員等9名に対し、現地調査の方法 (水量水質測定、位置・規模測定等)や取得データ の解析評価方法について指導しました。 ・鉱害政策アドバイザーを引き続きペルーに派遣 し、現場を中心に技術アドバイスを行ったほか、 優先的に鉱害防止対策が求められている鉱区につ いて具体的な方策を提示しました。また、カンボ ジアに鉱山保安専門家を派遣し、鉱山保安規則研 修、鉱山監査指導、監査マニュアル作成等の支援 を行いました。 ・南アフリカとペルーから3名ずつ研修生を受け入 れ、我が国の鉱害防止対策への取組みや休廃止鉱 山の現場について研修を行いました。またJIC AとHIDAの研修員(延べ26ヶ国、96名) に鉱害防止対策の講義を実施しました。 金属資源開発 【鉱害防止に関する資金の融資】 2013年度は、民間の鉱害防止実施者が実施する 鉱害防止工事及び坑廃水処理事業を資金面で支援する ため、鉱害防止資金として、2社6鉱山を対象に総額 1.4億円の貸付を実行しました。加えて、農用地の土 壌汚染対策事業を支援するため、鉱害負担金資金とし て1企業を対象に2,000万円の貸付を実行し、安定 的な金融支援を実施しています。 金属資源保有国政府等への技術支援 地熱資源開発 我が国企業による鉱害防止事業への金融支援 石炭資源開発 ■エコツアー 続的な鉱害防止事業の実施に寄与しています。 ※1 使用終了後の鉱業施設に対して鉱害防止工事が確 実に実施されるよう工事の資金を積立てる制度。 ※2 坑廃水処理を行う民間企業が基金を拠出し、そ の運用益によって処理事業費を賄う制度。 2013年度は鉱害防止積立金を15鉱山から1,600 万円受入れ、積立残高は18億円となっています。鉱 害防止事業基金は2013年度は拠出金の受入れはな く、基金残高は51億円となっています。 石油・天然ガス開発 交換会を2回開催(7月、11月)し、地方公共団 体や鉱害防止事業関係の参加者113名に対し、処 理コスト削減に寄与する情報を提供しました。 ・鉱害防止実施者からの要望に応え、「自治体担当 者会議」を新たに開催し(2月)、集中豪雨等に よる緊急対応などリスク管理に関する情報を共有 しました。 ・業界の課題である坑廃水処理管理者の不足・高齢 化に対応して、日本鉱業協会と連携して鉱害防止 技術基礎研修会を2回開催(11月、2月)し、 現場技術者15名に対し専門的知識の習得を促す 研修を実施しました。 ・坑廃水処理の原理と処理場の維持管理に関するポ イントをわかりやすく解説した教材用映像(坑廃 水処理場の管理編)を作成しました。 ・大規模坑廃水処理場・鉱山の近隣学生等を対象に エコツアーを3回開催し、資源開発と環境保全の 両立の重要性について啓蒙しました。 ・旧松尾鉱山新中和処理施設では、岩手県内外の行 政機関、学校、企業等の見学者1,093名を受入れ、 鉱害防止に関する理解を促進しました(行政機関: 234名、大学:307名、小中高:193名、一般住民 等:359名)。また、海外から161名の鉱害防止関 係者を受入れ、処理施設の30年以上にわたる運転 管理の知見について研修を実施しました。 ■技術指導(ラオス) アニュアルレポート 2014 33 全体概観 財務 セクション 決算の承認と監査及び開示方法 JOGMECの運営は、1999年に制定された独立行 政法人通則法(通則法)及び2002年に制定された 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(個 別法)によって規定されています。 JOGMECの決算は、通則法の定めに則って行われ ます。決算は事業年度毎に行われ、その財務諸表は監 事及び外部の会計監査人の監査を受けた後、毎年6月 30日までに経済産業大臣に提出されます。経済産業 省においては、評価委員会によって、JOGMECの決 算が評価され、同委員会の意見を受けて、経済産業大 臣が承認を行います。 承認された財務諸表は、速やかに官報に公告されま す。JOGMECでは、ホームページ及び官報を通じて 決算を開示するほか、事務所に備えておき、一般から の閲覧に供しています。 資本の構成 JOGMECにおいては、株式会社の資本金に相当す る会計項目は政府出資金となります。政府による出資 は、財務的な基盤を構成する目的で、設立時の922 億円に加え、以後、毎年度事業に必要な出資が中期計 画に基づき機動的に実施されており、2013年度末 現在の政府出資金は6,405億円となっています。 2013年度には、984億円の政府出資金のほか、 政府からの運営費交付金(196億円)、国庫補助金 (102億円)、受託費(942億円)、金融機関等か らの借入金(8,396億円)などによって、資金調達 を行っています。これらの資金は、それぞれ資金使途 に応じて、調達方法が定められています。 損益構造 組織の運営においては、基本的には業務に関わる経 費を政府から運営費交付金(196億円)として受領 する形となっております。運営費交付金は、受入時点 で一旦は負債計上され、業務の進行に応じて支出額を 限度として収益化を行う「費用進行基準」を採用して います。補助金等の収益は、国の支援の対象となって いる民間企業が行う特定の分野の調査や開発事業の一 部に対して、JOGMECが国に代わってその事業の支 援(助成金等)を実施しており、その財源に充てられ ています。受託収入は国等から委託される特定の業務 (石油備蓄基地管理、国内基礎調査など)に対し、国 等から支払われる金額です。 2013年度においては、当期総損失285億円を計 34 アニュアルレポート 2014 財務セクション JOGMECは石油・石油ガス国家備蓄基地の統合管 理業務を行っており、基地に付随する機材などを所有 しているため、それらは工具器具備品などの一部とし て資産に計上しています。 また、JOGMECは希少金属鉱産物の備蓄を行って おり、当該金属鉱産物(2013年度末398億円)を 資産に計上しています。 鉱害防止支援事業 地熱資源開発 鉱害防止支援事業においては、JOGMECは鉱業権 者より2種類の資金を受領します。 ひとつは、鉱害防止積立金であり、これは鉱山操業終 了後に鉱害防止対策を行うための資金をあらかじめ積 立してもらうもので、預かり期間中は利息を付し、費 用発生段階に鉱業権者に返還します。 もうひとつは鉱害防止事業基金であり、これは基 金の運用収入を用いて、操業の終了した鉱山におい て、坑廃水処理事業を実施する目的で拠出されるもの です。当該費用は、鉱害防止業務費(2013年度1億 円)として計上されています。 金属資源開発 その他 災害時における石油の供給不足への対処等のための 石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する 法律(平24法76)附則第6条第1項に基づき、平成 25年4月1日にて、独立行政法人新エネルギー・産 業技術総合開発機構より、貸付金償還業務及び旧鉱区 管理業務等を実施する石炭経過業務を承継しました。 この業務を経理する勘定として、新たに石炭経過勘定 を設置しております。 資源備蓄 鉱害防止支援 財務セクション JOGMECは、石油等の探鉱・採取、天然ガスの液 化等に関する業務において民間企業と共同で出資する ほか、当該業務に関して債務の保証をしています。 2013年度においては、新規探鉱案件2件、新規資産 買収案件2件を含めて計26社に対し1,146億円の出 資を実施しました。出資に関しては、関係会社株式及 び投資有価証券として固定資産に計上(2013年度 末残高2,625億円)、現時点で関係会社株式に上場 企業はありません。債務保証に関しては、新規1社を 含め計13社を対象に行っております(2013年度末 残高6,879億円)。 石油・石油ガス備蓄関連では、複数の石油企業が共 同で備蓄基地を建設・運営するための共同備蓄会社へ の出資(2013年度末残高195億円)を行うととも に、共同備蓄基地の整備資金について融資(2013 年度末残高11億円)を行っています。また、法律で 備蓄業務を課せられている民間企業に対して備蓄石 油・石油ガスの購入資金の融資(2013年度末残高 7,842億円)を行っています。当該貸付金の原資と しては、民間金融機関の協調融資により調達し、民 間備蓄融資事業借入金(2013年度末残高7,849億 円)として計上しています。 金属資源開発関連では、海外探鉱等に必要なリスク マネー供給として企業への探鉱出資・資産買収出資・ 貸付・債務保証を行っております。探鉱出資、資産買 収を含め5社に対する出資(2013年度末残高410 億円)のほか、国内及び海外の探鉱資金貸付は3社に 対し9億円実施しました(2013年度末残高220億 円)。債務保証に関しては、新規1社を含め計9社を 対象に行っております(2013年度末残高1,025億 円)。この他に、鉱害防止に関しても貸付(2013 年度末残高27億円)などを行っています。 備蓄事業 石炭資源開発 出融資及び債務保証事業 なお、地熱開発関連に関して新規に債務保証1社 (2013年度末残高10億円)を実施しております。 石油・天然ガス開発 上していますが、この主な要因としては、探鉱出資事 業に係る関係会社株式評価損として、配当収入や債務 保証料収入等の自己収入を上回る248億円が計上さ れたことによるものです。探鉱段階における出資株式 の評価については、回収可能性を客観的に判断するこ とが困難であり、「独立行政法人会計基準」にも該当 がないため、日本公認会計士協会による「金融商品会 計基準の実務指針」に準拠した内規に基づき、出資額 の1/2を時価として計上しています。これは、石油 探鉱開発事業が長期間を要し、その成否を判断するこ とが困難であるため、探鉱を実施している会社への出 資を保守的に評価することで、事業の特性を反映した 会計処理を採用したものです。 アニュアルレポート 2014 35 貸借対照表(平成26年3月31日) (単位:円) 資産の部 Ⅰ 流動資産 現金及び預金 116,790,423,761 有価証券 28,912,229,588 売掛金 2,118,907,975 たな卸資産 77,303,700,805 前渡金 859,229,600 前払費用 8,830,913 未収収益 507,887,920 短期貸付金 5,399,153,122 関係法人貸付金 99,014,000 民間備蓄融資事業貸付金 784,154,900,000 未収入金 2,908,687,109 立替金 518,846 流動資産合計 1,019,063,483,639 Ⅱ 固定資産 1.有形固定資産 建物 7,377,153,059 減価償却累計額 2,166,264,744 構築物 減価償却累計額 機械装置 減価償却累計額 船舶 減価償却累計額 車両運搬具 減価償却累計額 5,210,888,315 402,251,910 254,089,262 148,162,648 10,674,260,441 4,526,604,333 6,147,656,108 19,312,310,249 2,910,973,116 16,401,337,133 534,045,989 505,525,953 工具器具備品 3,789,224,006 減価償却累計額 2,651,048,611 土地 28,520,036 1,138,175,395 3,724,370,446 建設仮勘定 59,930,000 希少金属鉱産物 39,809,212,508 有形固定資産合計 72,668,252,589 2.無形固定資産 特許権 784,334,171 鉱業権 38,423,750 ソフトウエア 30,838,417 電話加入権 3,431,000 鉱業権仮勘定 55,653,400 無形固定資産合計 912,680,738 3.投資その他の資産 長期性預金 35,828,912,607 投資有価証券 79,019,019,499 関係会社株式 321,602,708,266 長期貸付金 24,491,963,079 関係法人長期貸付金 破産更生債権等 貸倒引当金 敷金・保証金 投資その他の資産合計 固定資産合計 資産合計 36 アニュアルレポート 2014 1,003,646,000 7,604,130,824 2,755,559,000 4,848,571,824 21,305,578 466,816,126,853 540,397,060,180 1,559,460,543,819 財務セクション 石油・天然ガス開発 (単位:円) 負債の部 Ⅰ 流動負債 運営費交付金債務 4,501,331,104 預り補助金等 3,340,000,000 1年内返済長期借入金 54,936,853,900 民間備蓄融資事業借入金 784,855,900,000 8,781,691,560 未払金 1,960,988,033 未払費用 石炭資源開発 買掛金 354,883,758 未払消費税等 113,441,000 前受金 73,373,476,511 預り金 1,170,186,410 引当金 賞与引当金 31,164,159 31,164,159 933,419,916,435 地熱資源開発 流動負債合計 Ⅱ 固定負債 資産見返負債 資産見返運営費交付金 資産見返補助金等 4,636,025,767 238,603,997 長期借入金 4,874,629,764 3,164,955,000 引当金 長期未払金 1,275,114,202 1,275,114,202 金属資源開発 退職給付引当金 407,386,735 預り鉱害防止積立金 1,825,021,000 鉱害賠償担保預り金 1,752,816,123 固定負債合計 13,299,922,824 負債合計 946,719,839,259 資源備蓄 純資産の部 Ⅰ 資本金 政府出資金 640,462,708,895 資本金合計 640,462,708,895 Ⅱ 資本剰余金 資本剰余金 損益外減価償却累計額(-) 鉱害防止事業基金 -9,358,181,990 -2,412,000 鉱害防止支援 損益外減損損失累計額(-) 30,273,493,694 5,117,410,831 資本剰余金合計 26,030,310,535 Ⅲ 繰越欠損金 前中期目標期間繰越積立金 (うち当期総損失 繰越欠損金合計 Ⅳ その他有価証券評価差額金 純資産合計 負債・純資産合計 56,051,692,897 財務セクション 当期未処理損失 2,183,379,313 28,463,291,969) 53,868,313,584 115,998,714 612,740,704,560 1,559,460,543,819 アニュアルレポート 2014 37 損益計算書(平成25年4月1日~ 平成26年3月31 日) 財務セクション (単位:円) 経常費用 業務経費 業務費 業務管理費 減価償却費 賞与引当金繰入 石油購入費 関係会社株式評価損 関係会社清算損 受託経費 一般管理費 人件費 減価償却費 退職給付引当金繰入 賞与引当金繰入 管理諸費 財務費用 支払利息 その他の財務費用 鉱害防止積立金支払利息 鉱害防止業務費 鉱害賠償担保預り金支払利息 雑損 経常費用合計 経常収益 運営費交付金収益 業務収入 貸付金利息 石油売払収入 債務保証料収入 受取配当金 関係会社株式売却益 関係会社清算益 補助金等収益 国庫補助金 受託収入 国からの受託 地方公共団体からの受託 その他からの受託 財務収益 受取利息 有価証券利息 資産見返運営費交付金戻入 資産見返補助金等戻入 雑益 経常収益合計 経常損失 臨時損失 固定資産除却損 納付金 臨時利益 固定資産売却益 資産見返運営費交付金戻入 資産見返補助金等戻入 当期純損失 当期総損失 38 アニュアルレポート 2014 16,355,660,698 5,767,958,298 1,041,082,094 26,271,697 48,913,776,021 24,751,269,655 10,744,455 1,037,253,571 28,210,252 26,032,557 4,892,462 337,509,003 881,728,150 60,024,886 96,866,762,918 29,763,010,792 1,433,897,845 941,753,036 18,474,553 119,101,073 4,673,674 130,979,068 129,278,652,959 14,723,090,990 1,132,185,298 48,913,776,021 6,106,069,550 5,278,315,736 12,999,900 7,883,147 61,451,229,652 7,367,861,642 7,367,861,642 29,184,296,461 469,432,386 109,281,945 29,763,010,792 213,159,054 554,687,832 767,846,886 786,140,230 133,744,069 685,414,224 115,678,338,485 13,600,314,474 165,636,907 15,247,959,337 15,413,596,244 21,415,152 164,932,465 364,271,132 550,618,749 28,463,291,969 28,463,291,969 キャッシュ・フロー計算書(平成25年4月1日~ 平成26年3月31 日)財務セクション 石油・天然ガス開発 (単位:円) Ⅰ 業務活動によるキャッシュ・フロー 原材料、 商品又はサービスの購入による支出 人件費支出 貸付けによる支出 預り鉱害防止積立金の払戻による支出 鉱害防止業務費の支出 出資による支出 消費税等支払額 その他の業務支出 債務保証料収入 預り鉱害防止積立金の受入による収入 運営費交付金収入 受託収入等サービスの提供による収入 補助金等収入 関係会社株式の売却による収入 関係会社清算による収入 石油売払収入 消費税等還付額 その他の業務収入 小計 利息の支払額 国庫納付金の支払額 業務活動によるキャッシュ・フロー -63,248,831 -114,600,910,980 -48,913,776,021 -425,102,504 -4,827,094,425 7,958,492,815 15,640,000 19,579,622,000 103,921,269,445 11,689,481,180 724,967,650,065 17,249,900 9,138,941 48,913,776,021 834,634,410 2,387,350,342 -156,013,176,243 7,767,392,037 金属資源開発 利息及び配当金の受取額 -29,292,000 地熱資源開発 貸付金の回収による収入 -5,122,828,129 -786,178,900,000 石炭資源開発 石油購入支出 -116,146,328,472 -931,584,534 -4,030,689,644 -153,208,058,384 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 定期預金の預入による支出 -345,172,265,652 定期預金の払戻による収入 359,222,473,714 有価証券の取得による支出 -349,602,436,086 363,151,800,000 有形固定資産の取得による支出 -4,134,804,300 有形固定資産の売却による収入 404,358,362 無形固定資産の取得による支出 -270,720,337 投資活動によるキャッシュ・フロー 資源備蓄 有価証券の満期償還による収入 23,598,405,701 短期借入れによる収入 短期借入金の返済による支出 長期借入れによる収入 長期借入金の返済による支出 民間備蓄融資事業借入れによる収入 民間備蓄融資事業借入金の返済による支出 不要財産に係る国庫納付等による支出 ファイナンス・リース債務の返済による支出 財務活動によるキャッシュ・フロー Ⅳ 資金に係る換算差額 7,900,000,000 -7,900,000,000 54,765,099,900 -53,704,895,536 784,855,900,000 -717,830,600,000 98,400,000,000 財務セクション 政府出資金の受入による収入 鉱害防止支援 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー -23,247,959,337 -226,012,753 143,011,532,274 -32,506,553 Ⅴ 資金増加額又は減少額 13,369,373,038 Ⅵ 資金期首残高 15,142,619,015 Ⅶ 資金期末残高 28,511,992,053 アニュアルレポート 2014 39 財務諸表に対する注記 Ⅰ. 重重要な会計方針 独立行政法人会計基準(「独立行政法人会計基準の改訂について」 (独立行政 法人会計基準研究会、財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会 平 成23年6月28日)及び「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基 準注解」に関するQ&A」 (総務省行政管理局、財務省主計局、 日本公認会計士協 会 平成24年3月最終改訂) を適用しております。 1. 運営費交付金収益の計上基準 費用進行基準を採用しております。 これは各業務と運営費交付金との対応関係が明らかでなく、 また期間の経過と 対応していないことから業務達成基準及び期間進行基準を採用することが困難 であり、 費用進行基準を採用する必要があるためです。 2. 減価償却の会計処理方法 (1)有形固定資産 定額法を採用しております。 主な耐用年数は以下のとおりであります。 建物 2~50年 構築物 2~43年 機械装置 2~17年 船舶 15年 車両運搬具 2~ 6年 工具器具備品 2~25年 (2)無形固定資産 定額法を採用しております。 法人内利用におけるソフトウェアについては、法人における利用可能期間(5 年間) に基づいております。 なお、特定の償却資産(独立行政法人会計基準第87)に係る減価償却相当額 については、損益外減価償却累計額として資本剰余金から控除して表示してお ります。 3. 引当金等の計上基準 (1)貸倒引当金 債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率によ り、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不 能見込額を計上しております。 (2)賞与引当金 役職員の賞与の支給に備えるため、運営費交付金により財源措置がなされて いる部分を除く支給見込額のうち当事業年度負担額を計上しております。 (3)保証債務損失引当金 債務保証に係る保証の代位弁済の損失に備えるため、財政状態、担保価値の 評価等を総合的に判断した見積額を計上しております。 4. 退職給付に係る引当金及び見積額の計上基準 役職員の退職給付に備えるため、当該年度末における退職給付債務及び年金 資産の見込額に基づき、当該年度に発生している額のうち、運営費交付金により 財源措置される部分を除く額を計上しております。 過去勤務債務は、その発生時の職員の平均残存勤務期間以内の一定の年数 (8年) による定額法により費用処理しております。 数理計算上の差異は各事業年度の発生時における職員の平均残存勤務期間 内の一定の年数(8年) による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌事業 年度から費用処理することとしております。 なお、運営費交付金により財源措置されている部分の行政サービス実施コス ト計算書における引当外退職給付増加見積額は、独立行政法人会計基準第38 に基づき計算された退職給付引当金の当期増加額を計上しております。 5. 有価証券の評価基準及び評価方法 (1)満期保有目的債券 償却原価法(定額法) (2)関係会社株式 移動平均法による原価法(持分相当額が下落した場合は、持分相当額) なお、関係会社株式のうち、探鉱中の事業についてはその成否を判断するこ とは困難であるため、成否の結果が出るまでの間、内部通達に基づき、会社ごと に機構の出資額の二分の一を時価としております。 40 アニュアルレポート 2014 (3)その他有価証券 ① 時価のあるもの 期末日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処 理し、売却原価は移動平均法により算定) ② 時価のないもの 移動平均法による原価法 6. たな卸資産の評価基準及び評価方法 個別法による低価法 7. 外貨建資産及び負債の本邦通貨への換算基準 外国通貨及び外貨建金銭債権債務は、期末日の為替相場により円貨に換算 し、換算差額は当期の損益として処理しております。 8. 行政サービス実施コスト計算書における機会費用の計上方法 政府出資又は地方公共団体出資等の機会費用の計算に使用した利率 10年利付国債の平成26年3月末利回りを参考に0. 640%で計算しておりま す。 9. リース取引の処理方法 リース料総額が300万円以上のファイナンス・リース取引については、通常の 売買取引に係る方法に準じた会計処理によっており、 リース料総額及び期末現 在における未経過リース料から、 これらに含まれている利息相当額の合理的な 見積り額を控除しない方法によっております。 リース料総額が300万円未満のファイナンス・リース取引については、通常の 賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっております。 10.消費税等の会計処理 消費税及び地方消費税の会計処理は税抜方式によっております。 11.その他独立行政法人の状況を適切に開示するために必要な会計情報 災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に 関する法律等の一部を改正する法律(平24法76)附則第6条第1項に基づき、 平成25年4月1日に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構から承 継した権利及び義務に係る業務を経理する勘定として、新たに石炭経過勘定を 設置しております。 Ⅱ. 注記事項 1. 貸借対照表関係 (1)引当外賞与の見積額 270,455,401円 運営費交付金から充当されるべき退職手当の見積額 7,638,494,524 円 (2) (3)債務保証の額 791,487,843,556円 2. 損益計算書関係 (1) 固定資産除却損 建物 299,279円 車両運搬具 34,241円 特許権 160,873,140円 (2) 固定資産売却益 建物 1,288,283円 車両運搬具 425,142円 機械装置 工具器具備品 ソフトウェア 2,515,763円 157,152円 1,757,332円 機械装置 工具器具備品 19,697,920円 3,807円 キャッシュ・フロー計算書関係 3. (1) 資金の期末残高の貸借対照表科目別の内訳 現金及び預金 定期預金 資金期末残高 (2) 重要な非資金取引 ファイナンス・リースによる資産の取得 工具器具備品 116,790,423,761円 - 88,278,431,708円 28,511,992,053円 243,579,784 円 4. 行政サービス実施コスト計算書関係 (1)引 当 外 退 職 給 付 増 加 見 積 額には 国 等 からの 出 向 職 員に係るも の が -72,346,241円含まれており、期末在職出向職員に係る自己都合要支給 財務セクション - 47,007 60,084 30,433 784,154 35,949 563 - 542 - 120 4,848 1,079,269 58,190 784,855 843,046 - 1,226 88 - 88 (注)単位未満は切り捨て表示を行っております。 (注1)金融商品の時価の算定方法及び有価証券取引に関する事項 資 産 (1)現金及び預金 これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当 該帳簿価額によっております。 (2)有価証券及び投資有価証券 これらの時価について、債券は取引所の価格又は取引金融機関から提示され た価格によっております。 (3)短期貸付金及び長期貸付金 これらは全て固定金利によるものであり、時価については、貸付金の種類及 び内部格付け、期間に基づく区分ごとに、元利金の合計額を、同様の新規貸付を 行った場合に想定される利率で割り引いて時価を算定しております。 (4)民間備蓄融資事業貸付金 これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当 該帳簿価額によっております。 (5)長期性預金 これらは、期間に基づく区分ごとに、新規に預金を行った場合に想定される預 金金利で割り引いて時価を算定しております。 (6) 破産更生債権等 これらは、担保及び保証による回収見込額等に基づいて貸倒見積額を算定し ているため、時価は決算日における貸借対照表価額から現在の貸倒見積額を控 除した金額に近似しており、当該価額をもって時価を算定しております。 金属資源開発 資源備蓄 負 債 (1)1年内返済長期借入金及び長期借入金 これらは全て固定金利によるものであり、時価については、借入金の種類ごと に元利金の合計額を同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引 いて時価を算定しております。 (2)民間備蓄融資事業借入金 これらは短期間で決済されるため時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当 該帳簿価額によっております。 鉱害防止支援 (注2)貸借対照表の関係会社株式の全部及び投資有価証券の一部に計上され た非上場株式(貸借対照表計上額323,005百万円) は、市場価格がなく、 かつ 約定による将来キャッシュ・フローを見積もることなどができず、時価を把握する ことが極めて困難と認められるため、時価評価の対象としておらず、 また、 「(2) 有価証券及び投資有価証券 ②その他有価証券」には含めておりません。 また、預り鉱害防止積立金(貸借対照表計上額1,825百万円)及び鉱害賠償 担保預り金は (貸借対照表計上額1,752百万円) は原則として要求払によるも のであり当法人の裁量により払い戻し時期を特定できるものではなく、時価を 把握することが極めて困難と認められるため、時価評価の対象としておりませ ん。 アニュアルレポート 2014 財務セクション (2) 金融商品の時価等に関する事項 重要性が乏しいものを除き、期末日における貸借対照表計上額、時価及びこ れらの差額については、次のとおりであります。なお、時価を把握することが極め て困難と認められるものは、次表には含まれておりません((注2)参照)。 資産 計 (1)1年内返済長期借入金及び長期借入金 (2)民間備蓄融資事業借入金 負債 計 46,443 60,084 29,891 784,154 35,828 7,604 -2,755 4,848 1,078,042 58,101 784,855 842,957 差額 116,790 地熱資源開発 6. 金融商品関係 (1)金融商品の状況に関する事項 1)金融商品に対する取組方針 当法人は、貸付事業及び出資事業などの資金供給業務を実施しており ます。これらの業務を実施するため、政府からの出資金並びに財政融資資 金及び金融機関からの借入により資金を調達しております。 2)金融商品の内容及びそのリスク 当法人が保有する金融資産は、主として国内外の法人等に対する貸付 金等であり、貸付先等の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒 されております。また、 有価証券及び投資有価証券は、 主に債券、 株式であ り、満期保有目的及び政策推進目的で保有しております。これらは、それ ぞれ、発行体の信用リスク及び金利の変動リスク、市場価格の変動リスク に晒されております。 借入金は、一定の環境の下で当法人が市場を利用できなくなる場合な ど、支払期日にその支払いを実行できなくなる流動性リスクに晒されてお ります。 3)金融商品に係るリスク管理体制 ① 信用リスクの管理 当法人は、当法人の債権管理及び信用リスクに関する内部管理諸規程 に従い、各担当部署により管理を行っております。貸付金については、案 件採択時、加えて毎期末等の定期的な評価時において、個別案件ごとの 与信審査、与信限度額、信用情報管理、保証や担保の設定、問題債権への 対応など与信管理に関する体制を整備し運用しております。また、有価証 券の発行体の信用リスクに関しては、信用情報や時価の把握を定期的に 行うことで管理しております。 ② 市場リスクの管理 (ⅰ)金利リスクの管理 予め業務方法書等により定められた方法により利率を決定しており ます。 (ⅱ)価格変動リスクの管理 各事業で保有している株式は、政策目的で保有しているものであ り、出資先の市場環境や財務状況などをモニタリングしております。 ③ 資金調達に係る流動性リスクの管理 当法人は、主務大臣により認可された借入計画等に従って、資金調達 を行っております。 (1)現金及び預金 (2)有価証券及び投資有価証券 ①満期保有目的債券 ②その他有価証券 (3)短期貸付金及び長期貸付金 (4)民間備蓄融資事業貸付金 (5)長期性預金 (6)破産更生債権等 貸倒引当金 時価 石炭資源開発 5. リース取引関係 ファイナンス・リース取引における未経過リース料 貸借対照表日後一年以内のリース期間に係る未経過リース料 214,365,983円 貸借対照表日後一年を超えるリース期間に係る未経過リース料 193,020,752円 計 407,386,735円 重要性がないため貸借対照表上、短期と長期を区別しておりません。 (単位:百万円) 貸借対照表 計上額 116,790 石油・天然ガス開発 額を基礎として算定しております。 (2)金属鉱業鉱害防止積立金勘定は金属鉱業等鉱害対策特別措置法第7条の 規定に基づき、採掘権者又は租鉱権者が積み立てた鉱害防止積立金の受 入れ、その管理・運用及び払渡しを行う勘定であり、当勘定では国民の負担 に帰せられるコストは発生しないことから、行政サービス実施コスト計算書 への計上はしておりません。 (3)金属鉱業鉱害防止事業基金勘定は金属鉱業等鉱害対策特別措置法第12 条及び第13条の規定に基づき、 採掘権者又は租鉱権者より鉱害防止事業基 金拠出金を受入れ、 その管理・運用を行うと共に、 鉱害防止業務を実施する指 定鉱害防止事業機関に対し、 運用で得る収入の範囲内でその費用の支払い を行う勘定であり、当勘定では国民の負担に帰せられるコストは発生しない ことから、 行政サービス実施コスト計算書への計上はしておりません。 41 7. 固定資産の減損関係 減損を認識した固定資産の概要 (1)電話加入権 (単位:円) 用 途 種 類 場 所 通信用 電話加入権 秋田県他 損益計算書に計上 していない金額 10,000 46,000 減損後簿価 当該電話加入権については、休止している電話加入権について、今後も利用 が見込めないため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額のうち損 益外減損損失累計額(24,000円) を計上しております。 なお、当該資産の回収可能価額は正味売却価額により測定しており、相続税 評価額に基づいて算定しております。 8. 資産除却債務 資産除去債務のうち貸借対照表に計上していないもの 金属資源技術研究所の原状回復義務について 当法人は、金属資源技術研究所の土地について、地方公共団体と 「土地 の転貸借に係る借地契約」を締結しており、当該借地契約に基づく退去時 の原状回復に係る債務を有しております。 当研究所は、地方公共団体が運営(金属鉱業に関する技術の研究開発、 研修、交流事業) している施設の一機関として他の機関と連携して技術の 研究開発事業等を行っており、当研究所の退去については、当法人の裁量 だけでなく、地方公共団体等の総合的判断を考慮して実施されるものであ り、その時期については現在未確定の状況であります。 このようなことから、賃借している土地にある建物の撤去及び退去の時 期を決定することができないため、資産除去債務を合理的に見積もること ができません。そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上しておりま せん。 9. 不要財産の国庫納付等 不要財産に係る国庫納付等については、次のとおりであります。 現金及び預金 現金及び預金 機械装置 (独立行政法人会計基準 (希土類金属等回収技術 不要財産としての国 (独立行政法人会計基準 第96による前中期目標期 研究開発事業で取得した 庫納付を行った資産 第81第3項による運営費 (1) 間繰越積立金の積立金振 設備) の種類、帳簿価額等 交付金収益化額) 替額) の概要 帳簿価額: 帳簿価額: 帳簿価額: 6,576,698,850円 8,291,571,184円 64,276,646円 石油天然ガス等勘定が繰 石油天然ガス等勘定が繰越 希土類金属等回収技術研 越欠損金を計上したため、 欠損金を計上したため、同 究開発事業の終了に伴い、 同勘定における独立行政 勘定における独立行政法人 この事業で取得した設備 法人会計基準第81第3項 会計基準第96による前中 が不要となるため による運営費交付金収益 期目標期間繰越積立金の積 化額について、独立行政法 立金振替額について、独立 不要財産となった理 (2) 人石油天然ガス・金属鉱物 行政法人石油天然ガス・金 由 資源機構法第13条の規 属鉱物資源機構法第13条 定による国庫納付がなさ の規定による国庫納付がな れず、相当の資金が機構内 されず、相当の資金が機構 部に留保されており、今後 内部に留保されており、今後 も使用する見込みがない も使用する見込みがないた ため め 独立行政法人通則法第 独立行政法人通則法第 独立行政法人通則法第 (3) 国庫納付の方法 46条の2第1項に基づく 46条の2第1項に基づく 46条の2第2項に基づく 現物納付 現物納付 譲渡収入による納付 譲渡収入による現金 (4) 納付を行った資産に - - 64,276,646円 係る譲渡収入の額 国庫納付に当たり譲 (5) 渡収入により控除し - - - た費用の額 (6) 国庫納付の額 6,576,698,850円 8,291,571,184円 47,833,416円(注) 国庫納付が行われた (7) 平成25年10月17日 平成25年10月17日 平成25年11月20日 年月日 (8) 減資額 - - - 機械装置 機械装置 現金及び預金 (低品位鉱石・難処理鉱石 (低品位鉱石・難処理鉱石に (金属鉱業一般勘定におけ 対応した革新的製錬プロセ る資産買収出資事業のた 不要財産としての国 に対応した革新的製錬プ ロセス技術の研究開発(微 ス技術の研究開発(煙灰中 めの東日本大震災復興特 (1)庫納付を行った資産 で取 の銅・砒素の分離技術と砒 別会計出資金) の種類、帳簿価額等 粉鉱の焙焼技術開発) 得した設備) 素の安定貯蔵方法の検討に の概要 係る研究)で取得した設備) 帳簿価額: 帳簿価額: 帳簿価額: 299,054,201円 16,358,456円 8,000,000,000円 微粉鉱の焙焼技術開発事 煙灰中の銅・砒素の分離技 金属鉱業一般勘定におけ 業の終了に伴い、 この事業 術と砒素の安定貯蔵方法 る資産買収出資事業のた で取得した設備が不要と の検討に係る研究事業の めの東日本大震災復興特 (2)不要財産となった理 由 なるため 終了に伴い、 この事業で取 別会計出資金につき、今後 得した設備が不要となるた 使用する見込みがないた め め 独立行政法人通則法第 独立行政法人通則法第 独立行政法人通則法第 (3)国庫納付の方法 46条の2第2項に基づく 46条の2第2項に基づく 46条の2第1項に基づく 譲渡収入による納付 譲渡収入による納付 現物納付 譲渡収入による現金 (4)納付を行った資産に 299,054,201円 16,358,456円 - 係る譲渡収入の額 国庫納付に当たり譲 (5)渡収入により控除し - - - た費用の額 (6)国庫納付の額 153,556,533円(注) 16,358,456円 8,000,000,000円 (7)国庫納付が行われた 平成25年11月20日 平成25年11月20日 平成26年3月27日 年月日 (8)減資額 - - 8,000,000,000円 42 アニュアルレポート 2014 現金及び預金 不要財産としての国 (金属鉱業一般勘定における資産買収出資事 (1)庫納付を行った資産 業のための東日本大震災復興特別会計出資金 の種類、帳簿価額等 に係る運用益) の概要 帳簿価額: 7,101,369円 金属鉱業一般勘定における資産買収出資事業 のための東日本大震災復興特別会計出資金に (2)不要財産となった理 由 係る運用益につき、今後使用する見込みがない ため 独立行政法人通則法第46条の2第1項に基づ (3)国庫納付の方法 く現物納付 譲渡収入による現金 (4)納付を行った資産に - 係る譲渡収入の額 国庫納付に当たり譲 (5)渡収入により控除し - た費用の額 (6)国庫納付の額 7,101,369円 (7)国庫納付が行われた 平成26年5月29日 年月日 (8)減資額 - (注)譲渡収入の額と国庫納付の額との差額は民間団体等への納付額となっております。 10. 退職給付引当金 当法人の属する通産関係独立行政法人厚生年金基金は厚生年金基金の代行 部分について、平成26年3月1日付で厚生労働大臣から将来分支給義務免除 の認可を受けました。 当事業年度末日現在において測定された返還相当額(最低責任準備金)は 2,202百万円であり、当該返還相当額(最低責任準備金)の支払が当事業年度 末日に行われたと仮定して「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」 (日本 公認会計士協会会計制度委員会報告第13号)第44-2項を適用した場合に生 じる利益の見込額は348百万円であります。 なお、上記の返還相当額(最低責任準備金) には、運営費交付金により財源措 置される部分に係る金額が含まれております。 Ⅲ. 重要な債務負担行為 該当事項はありません。 Ⅳ. 固有の表示科目の内容 「民間備蓄融資事業貸付金」及び「民間備蓄融資事業借入金」については一定 の日数の備蓄義務が課されている石油精製業者及び石油ガス輸入業者に対す る備蓄石油・石油ガス購入資金融資とこれに係る同額の資金調達としての借入 金であります。毎年4月末に全ての融資・借入を洗い替えていることから流動資 産又は流動負債へ計上しておりますが、貸借対照表上相当の割合を占めている ことから、他の貸付金又は借入金とは区別して表示しております。 Ⅴ. 重要な後発事象 投資に係る重要な事象 当法人の探鉱等出資のうち下記については生産性が認められず事業を終 結することとしております。 1. インペックスモザンビーク石油株式会社 同社はモザンビーク海上鉱区における石油等の探鉱事業を実施する会 社であり、平成25年5月に探鉱出資として事業採択して出資を行ってまい りましたが、油ガス田の確認には至らず更なる試掘余地は認められないと の判断に基づき平成26年4月25日に本事業の関係各社との間で撤退に 合意し、平成26年5月30日に事業終結と認定いたしました。 これにより、 平成26年度において同社株式簿価の評価減 (2,619百万円) 及び経費負担 (2,312百万円) による費用が発生すると見込んでおります。 2. INPEX UK LIMITED 同社は英国シェットランド沖合海上鉱区における石油等の探鉱事業を 実施する会社であり、平成20年2月に探鉱出資として事業採択して出資 を行ってまいりましたが、掘削結果を踏まえたスタディの結果、現存ポテン シャルは小さいと見込まれるため対象鉱区を縮小して事業を継続しており ました。継続鉱区において平成26年4月20日に英国エネルギー気候変動 省の定める現場機器類の回収が終了したことを受けて、関係各社との間で 撤退することを決定し、平成26年6月5日に事業終結と認定いたしました。 これにより、平成26年度において同社株式簿価の評価減(876百万円) 及び経費負担(44百万円) による費用が発生すると見込んでおります。 3. JAPAN ENERGY E&P AUSTRALIA PTY LTD 同社はオーストラリア海上鉱区における石油等の探鉱事業を実施する会 社であり、平成23年1月に探鉱出資として事業採択して出資を行ってまい りましたが、鉱区ポテンシャルの再評価を経て平成26年5月16日に関係 各社との協議を行い商業量の集油は期待できないと判断し、平成26年6月 11日に事業終結と認定いたしました。 これにより、平成26年度において同社株式簿価の評価減(1,582百万 円) による費用が発生すると見込んでおります。 参考情報(勘定別財務諸表要旨) 財務セクション 石油・天然ガス開発 勘定別貸借対照表要旨 (単位:百万円※) 石油天然ガス等 投融資等・金属 勘定 鉱産物備蓄勘定 金属鉱業一般 勘定 金属鉱業鉱害防 金属鉱業鉱害防 止積立金勘定 止事業基金勘定 石炭経過勘定 調整 法人単位 資産の部 流動資産 953,546 38,649 16,408 845 636 9,351 △ 372 1,019,063 有形固定資産 9,008 41,128 22,094 - - 438 - 72,668 無形固定資産 808 2 103 - - - - 913 235,558 145,229 40,823 1,024 4,698 39,486 - 466,816 固定資産 投資その他の資産 245,374 186,360 63,019 1,024 4,698 39,923 - 540,397 1,198,920 225,009 79,427 1,869 5,334 49,274 △ 372 1,559,461 流動負債 875,361 37,067 20,989 9 87 277 △ 372 933,420 固定負債 5,907 250 2,473 1,825 - 2,845 - 13,300 881,268 37,318 23,462 1,834 87 3,122 △ 372 946,720 資本金 379,578 182,900 30,916 - - 47,069 - 640,463 資本剰余金 △ 4,158 3,508 21,564 - 5,117 △2 - 26,030 △ 57,829 1,228 3,484 34 129 △ 915 - △ 53,868 資産合計 石炭資源開発 固定資産合計 負債の部 負債合計 純資産の部 その他有価証券評価差額金 純資産合計 負債・純資産合計 61 55 - - - - - 116 317,651 187,691 55,965 34 5,246 46,153 - 612,741 1,198,920 225,009 79,427 1,869 5,334 49,274 △ 372 1,559,461 地熱資源開発 利益剰余金(又は繰越欠損金) ※百万円単位未満の端数処理については四捨五入としています。このため、各金額の和と合計額が一致しない場合があります。 勘定別損益計算書要旨 金属鉱業一般 勘定 金属鉱業鉱害防 金属鉱業鉱害防 止積立金勘定 止事業基金勘定 石炭経過勘定 調整 金属資源開発 (単位:百万円※) 石油天然ガス等 投融資等・金属 勘定 鉱産物備蓄勘定 法人単位 経常費用 業務経費 91,877 349 3,581 - - 1,060 - 96,867 受託経費 19,407 - 10,356 - - - - 29,763 一般管理費 952 46 361 - - 76 - 1,434 財務費用 840 48 53 - - - - 942 92 - 39 18 119 5 - 273 113,168 442 14,390 18 119 1,141 - 129,279 その他 経常費用合計 運営費交付金収益 11,693 65 2,964 - - - - 14,723 業務収入 58,594 704 2,153 - - - - 61,451 6,373 189 806 - - - - 7,368 19,407 - 10,356 - - - - 29,763 補助金等収益 受託収入 財務収益 その他 経常収益合計 309 131 18 9 76 223 - 768 1,414 6 183 - - 3 - 1,605 1,096 16,480 9 76 226 - 115,678 △ 15,378 653 2,091 △9 △ 43 △ 915 - △ 13,600 臨時損益 △ 14,863 - 0 - - - - △ 14,863 当期純利益(又は当期純損失) △ 30,240 653 2,091 △9 △ 43 △ 915 - △ 28,463 - - - - - - - - △ 30,240 653 2,091 △9 △ 43 △ 915 - △ 28,463 前中期目標期間繰越積立金取崩額 当期総利益(又は当期総損失) 鉱害防止支援 97,791 経常損益 資源備蓄 経常収益 ※百万円単位未満の端数処理については四捨五入としています。このため、各金額の和と合計額が一致しない場合があります。 勘定別キャッシュ・フロー計算書要旨 業務活動によるキャッシュ・フロー 金属鉱業一般 勘定 金属鉱業鉱害防 金属鉱業鉱害防 止積立金勘定 止事業基金勘定 石炭経過勘定 (単位:百万円※) 調整 法人単位 △ 91,821 △ 56,593 △ 3,563 △ 15 20 △ 1,236 - 投資活動によるキャッシュ・フロー 6,476 13,433 12,686 22 17 △ 9,035 - 23,598 財務活動によるキャッシュ・フロー 110,332 42,032 △ 9,349 - - △3 - 143,012 資金に係る換算差額 △ 153,208 △ 31 - △2 - - - - △ 33 24,956 △ 1,129 △ 227 7 37 △ 10,275 - 13,369 資金期首残高 2,764 1,274 785 0 4 10,317 - 15,143 資金期末残高 27,719 145 558 7 40 42 - 28,512 資金増加額(又は減少額) 財務セクション 石油天然ガス等 投融資等・金属 勘定 鉱産物備蓄勘定 ※百万円単位未満の端数処理については四捨五入としています。このため、各金額の和と合計額が一致しない場合があります。 アニュアルレポート 2014 43 監査報告書 独立監査人の監査報告書 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 理事長 河野 博文殿 平成26年6月16日 新日本有限責任監査法人 <財務諸表監査> 当監査法人は、独立行政法人通則法(以下「通則法」という。)第39条の規定に基づき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の平成25年4月1日か ら平成26年3 月31 日までの平成25事業年度のすべての勘定に係る勘定別利益の処分に関する書類(案)及び勘定別損失の処理に関する書類(案)を除く財務 諸表、すなわち、すべての勘定に係る勘定別貸借対照表、勘定別損益計算書、勘定別キャッシュ・フロー計算書、勘定別行政サービス実施コスト計算書、重要な会 計方針、その他の注記及び勘定別附属明細書からなる勘定別財務諸表並びに法人単位貸借対照表、法人単位損益計算書、法人単位キャッシュ・フロー計算書、法 人単位行政サービス実施コスト計算書、重要な会計方針、その他の注記及び法人単位附属明細書からなる法人単位財務諸表について監査を行った。 財務諸表に対する独立行政法人の長の責任 独立行政法人の長の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる独立行政法人の会計の基準に準拠して財務諸表(すべての勘定に係る勘定別利益の 処分に関する書類(案)及び勘定別損失の処理に関する書類(案)を除く。以下同じ。)を作成し適正に表示することにある。これには、不正及び誤謬並びに違法 行為による重要な虚偽の表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために独立行政法人の長が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 会計監査人の責任 当監査法人の責任は、当監査法人が実施した監査に基づいて、独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。当監査法人は、我が国において一 般に公正妥当と認められる独立行政法人の監査の基準に準拠して監査を行った。この監査の基準は、当監査法人に財務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうか の合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施することを求めている。監査は、独立行政法人の長又はその他の役員若しくは職員に よる不正及び誤謬並びに違法行為が財務諸表に重要な虚偽の表示をもたらす要因となる場合があることに十分留意して計画される。 監査においては、財務諸表の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続が実施される。監査手続は、当監査法人の判断により、不正及び誤謬並びに 違法行為による財務諸表の重要な虚偽表示のリスクの評価に基づいて選択及び適用される。財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するた めのものではないが、当監査法人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、財務諸表の作成と適正な表示に関連する内部 統制を検討する。また、監査には、独立行政法人の長が採用した会計方針及びその適用方法並びに独立行政法人の長によって行われた見積りの評価も含め全体と しての財務諸表の表示を検討することが含まれる。 当監査法人は、意思表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。この基礎には、当監査法人が監査を実施した範囲においては、財務 諸表に重要な虚偽の表示をもたらす独立行政法人の長又はその他の役員若しくは職員による不正及び誤謬並びに違法行為の存在は認められなかったとの事実を 含んでいる。なお、当監査法人が実施した監査は、財務諸表の重要な虚偽の表示の要因とならない独立行政法人の長又はその他の役員若しくは職員による不正 及び誤謬並びに違法行為の有無について意見を述べるものではない。 監査意見 当監査法人は、上記の石油天然ガス等勘定、投融資等・金属鉱産物備蓄勘定、金属鉱業一般勘定、金属鉱業鉱害防止積立金勘定、金属鉱業鉱害防止事業基金 勘定及び石炭経過勘定に係る各勘定別財務諸表並びに法人単位財務諸表が我が国において一般に公正妥当と認められる独立行政法人の会計の基準に準拠して、 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の各勘定及び法人単位の財政状態、運営状況、キャッシュ・フローの状況及び行政サービス実施コストの状況をす べての重要な点において適正に表示しているものと認める。 <通則法が要求する利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)並びに決算報告書に対する意見> 当監査法人は、通則法第39条の規定に基づき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の平成25年4月1日から平成26年3月31日までの平成25事業 年度の各勘定に係る利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)並びに各勘定に係る決算報告書及び法人単位決算報告書について監査を 行った。 利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)並びに決算報告書に対する独立行政法人の長の責任 独立行政法人の長の責任は、法令に適合した利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)を作成すること並びに予算の区分に従って決算 の状況を正しく示す決算報告書を作成することにある。 会計監査人の責任 当監査法人の責任は、利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)が法令に適合して作成されているか並びに決算報告書が予算の区分に 従って決算の状況を正しく示しているかについて、独立の立場から意見を表明することにある。 通則法が要求する利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)並びに決算報告書に対する監査意見 当監査法人の監査意見は次のとおりである。 (1)各勘定に係る利益の処分に関する書類(案)及び損失の処理に関する書類(案)は、法令に適合しているものと認める。 (2)各勘定に係る決算報告書及び法人単位決算報告書は、独立行政法人の長による予算の区分に従って決算の状況を正しく示しているものと認める。 <事業報告書に対する報告> 当監査法人は、通則法第39条の規定に基づき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の平成25年4月1日から平成26年3月31日までの平成25事業 年度の事業報告書(会計に関する部分に限る。)について監査を行った。なお、事業報告書について監査の対象とした会計に関する部分は、事業報告書に記載さ れている事項のうち会計帳簿の記録に基づく記載部分である。 事業報告書に対する報告 当監査法人は、事業報告書(会計に関する部分に限る。)が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の財政状態及び運営状況を正しく示しているものと 認める。 利害関係 独立行政法人と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 44 アニュアルレポート 2014 以上 JOGMECの概要 ■名 称 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 Japan Oil, Gas and Metals National Corporation(JOGMEC) ■代表者 理事長 河野博文 ■資本金 6,899億円(2014年10月現在) ■職員数 523人(2014年10月現在) ■沿 革 旧石油公団と旧金属鉱業事業団の業務を承継しつつ、2つの組織の機能を統合し た独立行政法人として2004年2月29日に設立されました。 2012年9月に石炭資源、地熱資源開発業務をNEDO(新エネルギー・産業技術総 合開発機構)から継承致しました。また、2013年4月から石炭経過業務もNEDO から継承致しました。 ■目 的 石油及び可燃性天然ガスの探鉱等、石炭の探鉱、地熱の探査並びに金属鉱物の探 鉱等に必要な資金の供給その他石油及び可燃性天然ガス資源、石炭資源、地熱資 源並びに金属鉱物資源の開発を促進するために必要な業務並びに石油及び金属 鉱産物の備蓄に必要な業務を行い、もって石油等、石炭、地熱及び金属鉱産物の 安定的かつ低廉な供給に資するとともに、金属鉱業等による鉱害の防止に必要な 資金の貸付けその他の業務を行い、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全 並びに金属鉱業等の健全な発展に寄与することを目的とする。 ■所在地 本部 〒105-0001 東京都港区虎ノ門二丁目10番1号 虎ノ門ツインビルディング TEL:03-6758-8000 / FAX:03-6758-8008 技術センター 〒261-0025 千葉県千葉市美浜区浜田一丁目2番2号 TEL:043-276-9212 / FAX:043-276-4061 独立行政法人について 独立行政法人制度とは、各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分 離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えて、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自 律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度です。独立行政法人を所管する主務大臣 は、その中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織 の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置 を講ずるものとされています。 2013年4月からの第三期中期目標においては、JOGMECの役割(ミッション)として、資源エ ネルギー開発の中心的機関としての役割、セキュリティの最後の砦である備蓄を担う機関として の役割、環境保全の一翼を担う機関としての役割が明記されています。 アニュアルレポート 2014 45 役員一覧 役 職 氏 名 任 期 前 歴 通商産業省資源エネルギー庁石油部長 河野 博文 2008.4.1 ~ 理事長 2016.2.28 通商産業省基礎産業局長 経済産業省資源エネルギー庁長官 ソニー(株)社外取締役 JFEスチール(株)専務執行役員 新日本製鐵(株)常務取締役 黒木 啓介 2013.6.10 ~ 副理事長 2016.2.28 新日本製鐵(株)常務執行役員 君津製鐵所長 新日本製鐵(株)副社長執行役員 新日本製鐵(株)代表取締役副社長 新日本製鐵住金(株)常任顧問 理事 理事 理事 ~ 石油開発推進本部長 2016.2.29 ~ 明吉 研二 2013.5.1 2014.3.1 ~ 市川 真 石油開発技術本部長 2016.2.29 辻本 崇史 2014.3.1 金属資源開発本部長 2016.2.29 渡辺 正俊 2014.4.1 資源備蓄本部長 安達 直隆 金属・石炭事業支援本部長 国際エネルギー機関(パリ)へ派遣 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 企画調整部長 兼 統括部長 兼 技術ソリューション事業グループリーダー 兼 調査部担当審議役 ~ 理事 2016.3.31 ~ 理事 監査室、総務部、経理部、評価部、 調査部担当理事 2014.4.1 2016.3.31 2014.7.1 ~ 理事 藤野 真司 経済産業省商務情報政策局サービス産業課長 2016.6.30 中東事務所副所長 技術調査部担当審議役 技術企画部長 事業推進部長 技術調査部特命調査役 事業推進部担当審議役 ヒューストン事務所長 事業推進部長 金属資源技術グループリーダー 独立行政法人日本貿易保険へ出向 金属資源開発本部特命審議役 金属資源開発本部特命参与 兼 金属資源技術部長 石油備蓄機動グループ担当操業第1チームリーダー 備蓄企画部企画課長 備蓄企画部担当審議役 石油備蓄部長 資源探査部担当審議役 兼 企画調査部企画課長 プロジェクト企画部担当審議役 希少金属備蓄部長 金属・石炭事業支援本部担当特命参与 兼 希少金属備蓄部長 熊本国税局総務部長 肥後 治樹 2014.4.1 ~ 監事 2016.3.31 国立大学法人筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授 国税庁課税部資産課税課長 国税庁長官官房参事官 税務大学校教頭 石油公団パリ事務所長 窪田 寛 ~ 監事 2011.7.1 2016.2.28 石油公団経済評価部調査役 石油公団総務部会計課長 総務企画グループ広報・情報公開チームリーダー 事業推進部担当審議役 (2014年10月現在) 46 アニュアルレポート 2014 組織図 理事長 副理事長 理事(6名) 監事(2名) 監事室 技 監 管理部門 監査室 業務、会計に係る内部監査 総務部 組織及び業務運営の基本方針、業務の総合調整、広報・情報公開等に関する業務 経理部 予算及び決算、財務、経理、契約に関する業務 評価部 プロジェクトの審査及び業務評価に関する業務 調査部 エネルギー資源及び金属資源の探鉱・開発、備蓄等に係る情報の収集・分析・提供等に関する業務 石油開発推進本部 企画調整部 石油・天然ガスの探鉱・開発プロジェクトの企画・発掘・組成、資源外交の支援等に関する業務 事業推進部 石油・天然ガスの探鉱・開発プロジェクトに対する出資・債務保証等、ロシアにおける地質構造等調査の実施等に関する業務 石油開発技術本部 管理・研修部 石油・天然ガス開発の技術開発業務の管理、成果の管理及び普及、海外技術者の研修に関する業務 探査部 石油・天然ガスの探鉱・開発に係る海外地質構造等調査の実施に関する業務 物理探査船グループ 物理探査船「資源」の運航及び三次元物理探査の実施に関する業務 技術部 石油・天然ガスの探鉱・開発技術の開発、技術評価、技術調査に関する業務 技術ソリューション事業グループ 資源国等へのソリューション提供に関する業務 メタンハイドレート研究開発グループ メタンハイドレートの研究開発事業に係る国からの委託事業の実施に関する業務 金属資源開発本部 金属企画部 金属資源業務の企画・立案、資源外交の支援等に関する業務 資源探査部 金属資源の探鉱に必要な地質構造等の調査の実施に関する業務 金属資源技術部 金属資源の開発に係る技術支援、並びに金属鉱物の採鉱・選鉱・製錬等の技術開発、深海底鉱物資源の探査及び調査船「白嶺」 の運航に関する業務 資源備蓄本部 備蓄企画部 国家石油備蓄事業の企画・推進、民間備蓄支援、国際業務、石油備蓄に係る技術に関する業務等 石油備蓄部 国家備蓄石油及び国家石油備蓄基地の管理、備蓄石油の取得・保有・譲渡、環境安全、備蓄技術等に関する業務 石油ガス備蓄部 国家備蓄石油ガス及び国家石油ガス備蓄基地の管理等に関する業務、岩盤技術に関する業務 希少金属備蓄部 希少金属鉱産物備蓄に関する業務 金属・石炭事業支援本部 金属環境事業部 鉱害防止等の技術開発及び地方公共団体等が実施する鉱害防止事業に関する支援業務 金属ファイナンス部 金属資源の探鉱・採掘等資金に係る出融資・債務保証、鉱害防止に係る融資に関する業務 石炭開発部 石炭の探鉱に対する出資、開発に必要な資金に係る債務保証、採掘等の技術に関する実証・支援、地質構造調査、開発に必要な 調査に係る助成、情報収集・提供に関する業務 石炭資産管理部 石炭経過業務に係る旧保有鉱区管理、貸付金の償還、鉱害賠償担保管理及び指定法人監督等に関する業務 九州支部 石炭経過業務係る旧保有鉱区管理(九州地方、中国地方、沖縄県に限る。)、指定法人監督等の支援に関する業務 地熱部 地熱の探査に対する出資、地熱の採取に必要な資金に係る債務保証、探査に必要な地質構造調査及び助成金の交付、 情報収集・提供に関する業務 (2014年10月現在) アニュアルレポート 2014 47 海外事務所 事務所名 TEL FAX +86-10-6590-9520 +86-10-6590-8366 +62-21-522-6640 +62-21-522-6650 +61-2-9264-9611 +61-2-9264-2493 +61-2-9264-4914 +1-202-775-0602 +1-202-775-0605 ヒューストン事務所 (U.S.A.) One Riverway, Suite 450 Houston, Texas 77056, U.S.A. +1-713-622-0204 +1-713-622-1330 バンクーバー事務所 (CANADA) +1-604-685-1282 +1-604-685-4123 +52-55-5280-1099 +52-55-5280-0214 +51-1-221-5088 +51-1-221-1871 +56-2-2203-6130 +56-2-2203-6121 +7-495-967-0405 +7-495-967-0407 北京事務所 (CHINA) ジャカルタ事務所 (INDONESIA) シドニー事務所 (AUSTRALIA) ワシントン事務所 (U.S.A.) 住所 中華人民共和国 北京市朝暘区建国門外大街26号長富宮弁公楼3005号 5th Floor, SUMMITMAS II,Jl Jend,Sudirman Kav,6162, Jakarta 12190 INDONESIA Level 23, BT Tower, 1 Market Street, Sydney NSW 2000 AUSTRALIA 1233 20th Street, N.W. Suite 206 Washington,D.C. 20036 U.S.A. 1710-400 Burrard Street, Vancouver, B.C. V6C3A6 CANADA Goldsmith No. 37, Oficina 401, Col. Chapultepec Polanco, メキシコ事務所 (MEXICO) C.P.11560 MEXICO, D.F., MEXICO Av. Camino Real 348, Torre El Pilar, Piso 7, oficina 704, リマ事務所 (PERU) San Isidro Lima-27, PERU サンティアゴ事務所 World Trade Center, Torre Norte 1005, Av. Nueva Tajamar (CHILE) 481, Las Condes, Santiago, CHILE Room 650, Hotel:Mezhdunarodnaya-2 モスクワ事務所 (RUSSIA) Krasnopresnenskaya Nab.12 Moscow 123610 RUSSIAN FEDERATION Carrington House, 126-130 Regent Street, London W1B ロンドン事務所 (U.K) 5SE U.K. P.O.BOX 6270 Al-Masaood Tower #904, Sheikh Hamdan Street, Abu 中東事務所 (U.A.E.) Dhabi, U.A.E. ボツワナ・地質リモートセンシ Plot 54353, 5th Floor Office B, Masa Centre, ングセンター(BOTSWANA) Gaborone, BOTSWANA 48 アニュアルレポート 2014 +44-20-7287-7915 +44-20-7287-7917 +44-20-7287-7916 +971-2-6330366 +971-2-6217704 +971-2-6330280 +267-390-2878 +267-390-2879 国内事務所 九州支部 ★本部 ★技術センター(TRC) ●石油備蓄基地事務所 石油ガス備蓄基地事務所 ●柏崎テストフィールド ■鉱害防止支援・地熱開発事務所、管理事務所、九州支部 ■金属資源技術研究所 事務所名 住所 TEL FAX 苫小牧東部国家石油備蓄基地事務所 北海道苫小牧市字静川308番 0144-56-2466 0144-56-1513 むつ小川原国家石油備蓄基地事務所 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字二又525番2 0175-73-3611 0175-73-3612 秋田国家石油備蓄基地事務所 秋田県男鹿市船川港船川字芦沢219番 0185-24-6121 0185-24-4555 久慈国家石油備蓄基地事務所 岩手県久慈市夏井町字閉伊口第八地割105番2 0194-52-2215 0194-52-2216 福井国家石油備蓄基地事務所 福井県福井市石新保町38字臨海1番 0776-85-1229 0776-85-1220 菊間国家石油備蓄基地事務所 愛媛県今治市菊間町種4642番地1 0898-54-2929 0898-54-2928 白島国家石油備蓄基地事務所 福岡県北九州市若松区響町一丁目108番 093-761-1411 093-761-1454 上五島国家石油備蓄基地事務所 長崎県南松浦郡新上五島町続浜ノ浦郷字折島818番地411 0959-52-4610 0959-52-4617 串木野国家石油備蓄基地事務所 鹿児島県いちき串木野市西薩町1番 0996-33-1182 0996-33-1189 志布志国家石油備蓄基地事務所 鹿児島県肝属郡東串良町川東字新洲崎5024番1 0994-63-6993 0994-63-6905 神栖国家石油ガス備蓄基地事務所 茨城県神栖市奥野谷6225番地40 0299-97-3020 0299-97-3021 七尾国家石油ガス備蓄基地事務所 石川県七尾市三室町165部1番地 0767-58-8787 0767-58-8789 倉敷国家石油ガス備蓄基地事務所 岡山県倉敷市潮通二丁目1番2号 086-455-6111 086-450-6110 波方国家石油ガス備蓄基地事務所 愛媛県今治市波方町宮崎甲600 0898-36-4051 0898-36-4061 福島国家石油ガス備蓄基地事務所 長崎県松浦市福島町塩浜免58番地2 0955-41-3030 0955-41-3033 北海道鉱害防止支援・地熱開発事務所 北海道伊達市梅本町30番31 0142-25-1113 0142-23-1259 東北鉱害防止支援・地熱開発事務所 山形県山形市松波二丁目5番17号 023-626-4631 023-626-4632 中国・近畿鉱害防止支援・地熱開発事務所 本部金属環境事業部内 03-6758-8032 03-6758-8062 九州鉱害防止支援・地熱開発事務所 大分県日田市田島本町1番5号 0973-27-6140 0973-27-6141 柏崎テストフィールド 新潟県柏崎市大字平井690 0257-21-5420 0257-21-5443 松尾管理事務所 岩手県八幡平市柏台一丁目3番1号 0195-78-3156 0195-78-3076 金属資源技術研究所 秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字古館9番地3 0186-29-3829 0186-29-3849 九州支部 福岡県福岡市博多区博多駅前二丁目19番24号 092-411-7831 092-471-6975 アニュアルレポート 2014 49 本部 技術センター 〒105-0001 〒261-0025 東京都港区虎ノ門 二 丁目 10 番 1 号 千葉県千葉市美浜区浜田 一 丁目 2 番 2 号 TEL:043-276-9212 FAX:043-276-4061 虎ノ門ツインビルディング TEL:03-6758-8000 FAX:03-6758-8008 溜池山王駅 文部科学省 3番出口 銀座 虎ノ門駅 虎の門病院 アメリカ 大使館 国立印刷局 JOGMEC 線 虎ノ門ツイン ビルディング ホテルオークラ 日比 谷 南北線 線 経済 産業省 日本 郵政 ホテルオークラ テレビ 東京 4番出口 神谷町駅 http://www.jogmec.go.jp/ 環境保護印刷の 「水なし印刷」 で 印刷されています。
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