パナマ運河拡張が世界の海運・造船 産業に与える影響に関する調査

助成
パナマ運河拡張が世界の海運・造船
産業に与える影響に関する調査
2009 年 3 月
社団法人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会
は じ め に
パ ナ マ 運 河 は 、太 平 洋・大 西 洋 を 結 ぶ 海 上 交 通 の 要 衝 で あ る 。軍 事 的 に も
重 要 で あ る こ と か ら 1914 年 の 開 通 以 来 米 国 の 管 理 下 に あ っ た が 、 1999 年 、
パナマ共和国に返還され、現在に至っている。
近 年 は 、 繁 忙 期 に は 一 日 平 均 40 隻 弱 の 船 舶 が 運 河 を 通 航 し て お り 、 通 航
所 要 時 間 が 大 幅 に 増 加 す る 等 そ の 能 力 の 限 界 に 近 づ き つ つ あ る 。ま た 、パ ナ
マ ッ ク ス サ イ ズ を 超 え る 大 型 コ ン テ ナ 船 等 が 多 数 計 画・建 造 さ れ る よ う に な
り 、世 界 の 海 上 交 通 に お け る パ ナ マ 運 河 の 位 置 づ け が 相 対 的 に 低 下 す る 状 況
となっている。
こ の よ う な こ と か ら 、 パ ナ マ 政 府 は 2006 年 パ ナ マ 運 河 の 拡 張 を 計 画 し 、
同 年 10 月 、 国 民 投 票 に お い て 同 国 民 の 支 持 を 得 た 。 現 在 開 通 100 周 年 に あ
た る 2014 年 竣 工 を 目 指 し 、 工 事 が 進 め ら れ て い る 。 拡 張 工 事 終 了 後 に は 、
最 大 許 容 船 型 は 現 在 の 全 長 294.1m、幅 32.3m、喫 水 12m か ら 366m、49m、
15m へ 拡 大 さ れ る 。ま た 、現 在 の 閘 門 は 拡 張 工 事 終 了 後 も 供 用 さ れ 、運 河 の
キ ャ パ シ テ ィ は 約 80%増 し と さ れ て い る 。
パ ナ マ 運 河 の 拡 張 は 、パ ナ マ 運 河 に お け る 待 ち 時 間 の 減 少 に 加 え 、こ れ ま
でパナマ運河を通航できず南米回りで運航されていた大型船について航海
日 数 の 短 縮 、こ れ ら に 伴 う 使 用 燃 料 の 減 少 等 の 効 果 を 与 え る 。ま た 、パ ナ マ
ッ ク ス 船 型 か ら「 新 」パ ナ マ ッ ク ス 船 型 を 含 む 他 船 型 へ の 需 要 の シ フ ト を 引
き起こす可能性があり、造船業にも影響を及ぼすものである。
今 回 の 調 査 は 、現 状 の 通 航 船 舶 の 船 型 を 分 析 す る と と も に 既 存 の 通 航 貨 物
量 予 測 を 評 価 し つ つ 、こ れ ら を も と に 将 来 の 造 船 需 要 の 方 向 を 検 討 し た も の
である。
この調査が関係各位のご参考に資することができれば幸いである。
ジェトロ・ニューヨーク・センター船舶部
(社団法人日本中小型造船工業会共同事務所)
ディレクター
小濱
照彦
シニア リサーチャー
氏家
純子
目
次
1. 船 舶 の 通 航 と 貨 物 の 流 れ ········································································
1
1.1
船 舶 の 通 航 ··················································································
1
1.2
パ ナ マ 運 河 通 航 船 舶 の サ イ ズ ··························································
6
1.3
通 航 隻 数 の 季 節 変 動 ······································································
8
1.4
船 積 港 と 仕 向 地 ············································································ 11
1.5
コ ン テ ナ 貨 物 通 航 量 の 成 長 ····························································· 17
2. パ ナ マ 運 河 拡 張 が 海 運 に 及 ぼ す 影 響 ·························································· 19
2.1
パ ナ マ 運 河 拡 張 プ ロ ジ ェ ク ト ·························································· 19
2.2
海 運 へ の 影 響 ··············································································· 22
3. 貨 物 の 流 れ の 予 想 ················································································· 25
3.1
PCUMS ト ン 数 予 測 ······································································ 25
3.2
船 舶 の 通 航 隻 数 ············································································ 26
3.3
予 測 の 分 析 評 価 ············································································ 27
4. 造 船 需 要 に 対 す る 影 響 ··········································································· 41
4.1
現 在 の パ ナ マ ッ ク ス 船 ··································································· 41
4.2
将 来 の パ ナ マ ッ ク ス 船 ··································································· 42
4.3
新 パ ナ マ ッ ク ス 型 船 の 建 造 ····························································· 44
4.4
将 来 の 船 舶 建 造 需 要 ······································································ 56
図 表 一 覧
1. パ ナ マ 運 河 を 通 過 す る 航 路 パ タ ー ン ··························································· 1
2. 2008 年 の パ ナ マ 運 河 通 航 量 ····································································· 2
3. 2008 年 に パ ナ マ 運 河 を 通 航 し た 大 型 船 の 船 種 別 隻 数 、 貨 物 量 の 割 合 ·················· 3
4. 船 種 別 通 航 隻 数 の 推 移 ············································································ 4
5. 船 種 別 パ ナ マ 運 河 通 航 量 ········································································· 5
6. 2008 年 パ ナ マ 運 河 通 航 船 舶 の 総 ト ン 数 分 布 ················································· 6
7. パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る パ ナ マ ッ ク ス 型 、 サ ブ パ ナ マ ッ ク ス 型 船 舶 ······················ 7
8. パ ナ マ ッ ク ス 船 が 全 体 に 占 め る 割 合 —2007 年 船 種 別 ······································ 7
9. パ ナ マ 運 河 月 別 通 航 隻 数 ········································································· 8
10. パ ナ マ 運 河 月 間 統 計 ··············································································· 9
11. 太 平 洋 側 で 待 機 す る 船 舶 ········································································· 9
12. 大 平 洋 側 で 係 留 し 運 河 通 過 を 待 つ 船 舶 ························································ 10
13. 主 要 航 路 別 パ ナ マ 運 河 通 航 容 量 ································································· 11
14. 米 国 を 起 点 /終 点 と す る パ ナ マ 運 河 通 航 貨 物 両 ··············································· 13
15. 米 国 以 外 を 起 点 /終 点 と す る 主 要 な パ ナ マ 運 河 通 航 ル ー ト ································ 15
16. パ ナ マ 運 河 コ ン テ ナ 通 航 量 の 推 移 ······························································ 17
17. パ ナ マ 運 河 を 経 由 す る 主 要 航 路 の コ ン テ ナ 貨 物 量 の 変 化 ································· 18
18. パ ナ マ 運 河 ·························································································· 19
19. ミ ラ フ ロ ー レ ス 閘 門 (太 平 洋 側 )·································································· 20
20. 建 設 を 予 定 さ れ て い る 閘 門 と ア ク セ ス 水 路 (太 平 洋 側 ) ····································· 21
21. 新 閘 門 コ ン セ プ ト 図 ··············································································· 21
22. ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 航 路 に お い て パ ナ マ ッ ク ス /ポ ス ト パ ナ マ ッ ク ス 船 を 利 用
し た 場 合 の ユ ニ ッ ト コ ス ト ・ イ ン デ ッ ク ス ·················································· 22
23. 北 東 ア ジ ア -米 国 東 海 岸 貿 易 に パ ナ マ 運 河 航 路 が 占 め る 割 合 ····························· 23
24. APL ポ ス ト -パ ナ マ ッ ク ス ・ コ ン テ ナ 船 ······················································ 24
25. ミ ラ フ ロ ー レ ス 閘 門 を 通 過 す る コ ン テ ナ 船 ·················································· 25
26. 拡 張 す る 場 合 と 拡 張 し な い 場 合 の 運 河 通 航 容 量 予 測 ······································· 26
27. 拡 張 プ ロ ジ ェ ク ト 完 了 後 の パ ナ マ 運 河 通 航 隻 数 予 測 ······································· 27
28. 1980 年 以 降 の 年 間 実 質 GDP 成 長 率 ··························································· 28
29. 先 進 経 済 国 と 新 興 経 済 国 の 実 質 GDP 成 長 率 の 推 移 ········································ 28
30. 米 国 鉄 道 網 ·························································································· 29
31. 2005 年 に ロ サ ン ゼ ル ス /ロ ン グ ビ ー チ 港 を 経 由 す る 貨 物 に よ り 創 出 さ れ た 雇 用 数 ·· 30
32. Edith Maersk ······················································································· 32
33. 拡 張 後 の パ ナ マ 運 河 の 全 長 、 船 幅 制 限 を 超 え る 就 航 、 発 注 コ ン テ ナ 船 ················ 33
34. 香 港 - ニ ュ ー ヨ ー ク 間 の ス エ ズ 運 河 航 路 、 パ ナ マ 運 河 航 路 の 経 済 性 ··················· 36
35. パ ナ マ 運 河 と 競 合 す る 輸 送 ル ー ト ······························································ 37
36. Aker Arctic Technology が 提 案 す る 氷 海 ク ラ ス コ ン テ ナ 船 設 計 ························· 38
37. Techauntepec 地 峡 運 輸 回 廊 計 画 ······························································· 39
38. パ ナ マ 運 河 鉄 道 ····················································································· 39
39. Transisthmaian パ イ プ ラ イ ン ·································································· 40
40. パ ナ マ ッ ク ス 船 の 全 長 分 布 ······································································ 41
41. 既 存 の 閘 門 チ ェ ン バ ー で の 牽 引 機 関 車 の 利 用 ················································ 42
42. 現 在 及 び 将 来 の パ ナ マ ッ ク ス コ ン テ ナ 船 ····················································· 43
43. 発 注 済 み の ポ ス ト パ ナ マ ッ ク ス 設 計 コ ン テ ナ 船 ············································· 46
44. 拡 張 後 の パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る こ と の で き る 発 注 済 の 小 型 ケ ー プ サ イ ズ ・バ ル ク
キ ャ リ ア ····························································································· 49
45. 現 在 の パ ナ マ 運 河 通 航 船 幅 制 限 に よ り 同 運 河 を 通 航 で き な い ク ル ー ズ 船 ············· 53
1.船舶の通航と貨物の流れ
パ ナ マ 運 河 は 太 平 洋 と 大 西 洋 を 結 ぶ 海 上 交 通 の 要 衝 で あ る 。IMO が 作 成 し た パ ナ マ 運
河 周 辺 海 域 の 船 舶 の 位 置 を 示 す 衛 星 チ ャ ー ト ( 図 表 1) を 見 れ ば 、 同 運 河 が 世 界 の 海 運
に 大 き な 役 割 を 果 た し て い る こ と は 一 目 瞭 然 で あ る 。 チ ャ ー ト の 点 は 2006 年 の あ る 時
点 で 観 測 さ れ た 船 舶 位 置 を 示 し て い る 。IMO の チ ャ ー ト か ら は ア ジ ア 太 平 洋 、北 米 、南
米 、ヨ ー ロ ッ パ を 起 点 /終 点 と す る 多 様 な 航 路 パ タ ー ン が パ ナ マ 運 河 で 合 流 し て い る こ と
が明らかに見て取れる。
図表 1
パナマ運河を通過する航路パターン
出 所 : IMO
1.1
船舶の通航
2008 年 に 延 べ 13,147 隻 、1 日 平 均 36 隻 の 大 型 船 1 が パ ナ マ 運 河 を 通 航 し た 2 。こ れ ら
の 船 舶 に よ り 輸 送 さ れ た 貨 物 の 総 重 量 は 約 2 億 1,000 英 ト ン 3 で あ り 、1 隻 当 た り の 貨 物
重 量 平 均 は 約 15,950 英 ト ン と な る ( 図 表 2)。
パ ナ マ 運 河 庁 は 、貨 物 ま た は 旅 客 を 積 載 し て 通 航 す る 場 合 は 最 大 583PCUMS( Panama Canal
Universal Measurement System) ト ン 、 空 荷 で 通 航 す る 場 合 は 最 大 735PCUMS ト ン 、 ま た は
満 載 排 水 ト ン 最 大 1,048 ト ン の 船 舶 に つ い て は 全 長 に 従 っ て 最 低 通 航 料 金 を 計 算 す る 。 本 稿 で
「大型船」は最低通行料金を適用される小型船を除く通航船舶を指す。
1
本 稿 で は 特 に 言 及 の な い 場 合 、「 年 」 は 前 年 10 月 1 日 か ら 9 月 末 日 締 め の パ ナ マ 運 河 庁 の 会
計年度を使用する。
2
3
英 ト ン ( ロ ン グ ト ン ) = 1016.0469088 キ ロ グ ラ ム
-1-
図表 2
パ ナ マ 運 河 通 航 量 ( 2008 年 )
通航隻数
船 種
(延 べ )
1 隻あたりの
貨物量
平均貨物量
(1,000 英 ト ン )
(英トン)
一 般 貨 物 船
766
7,115
9,289
冷 蔵 運 搬 船
2,166
5,988
2,765
ドライバルク船
2,420
78,166
32,300
タ
ー
2,066
42,673
20,655
コ ン テ ナ 船
3,544
60,220
16,992
自 動 車 運 搬 船
817
2,892
3,540
旅
船
241
2
8
その他の大型船
1,127
12,658
11,232
13,147
209,714
15,951
ン
カ
客
合
計
出 所 :パ ナ マ 運 河 庁
船 種 別 で は 2008 年 に は コ ン テ ナ 船 の 通 航 隻 数 が 最 も 多 く 、 パ ナ マ 運 河 の 通 航 隻 数 全
体 の 27%を 占 め た 。 こ れ ら の 船 舶 に よ る 通 航 貨 物 量 4 は 約 1,230 万 TEU で あ っ た 。 2 番
目 に 多 か っ た 船 種 は ド ラ イ バ ル ク キ ャ リ ア で あ り 、通 航 隻 数 の 18%を 占 め 、通 航 貨 物 量
は 約 7,820 万 英 ト ン で あ っ た 。冷 蔵 運 搬 船 が こ れ に 続 き 、通 航 隻 数 の 16%を 占 め 、通 航
貨 物 量 は 600 万 英 ト ン 、4 番 目 は タ ン カ ー で あ り 、通 航 隻 数 の 16%弱 を 占 め 、通 航 貨 物
量 は 4,270 万 英 ト ン で あ っ た 。 自 動 車 運 搬 船 、 一 般 貨 物 船 、 旅 客 船 の 3 船 種 は あ わ せ て
通 航 隻 数 の 14%、 通 航 貨 物 量 は 1,000 万 英 ト ン 、 そ の 他 の 大 型 船 舶 ( LNG キ ャ リ ア 、
艦 艇 、浚 渫 船 、家 畜 運 搬 船 、そ の 他 諸 船 種 )通 航 隻 数 は 全 体 の 9%、通 航 貨 物 量 は 1,270
万 英 ト ン で あ っ た 。2008 年 に パ ナ マ 運 河 を 通 航 し た 大 型 船 の 船 種 別 隻 数 、貨 物 量 の 割 合
を 図 表 3 に 示 す 。 年 間 通 航 隻 数 の 13,147 隻 に は 小 型 商 業 船 舶 は 含 ま れ て い な い 。 2008
年 の 小 型 商 業 船 舶 の 通 航 隻 数 は 延 べ 1,555 隻 で あ り 、 こ れ を 加 え る と 年 間 通 航 隻 数 は
14,702 隻 と な る 。
4 本 稿 で は 「 通 航 貨 物 量 」 は 貨 物 重 量 ま た は TEU を 表 し た も の 、
「通航量」は船舶の総容積を
表したものとする。
-2-
図表 3
2008 年 に パ ナ マ 運 河 を 通 航 し た 大 型 船 の 船 種 別 隻 数 、 貨 物 量 の 割 合
隻数
その他の大型船
9%
一般貨物船
6%
旅客船
2%
冷蔵運搬船
16%
自動車運搬船
6%
コンテナ船
27%
ドライバルク船
18%
タンカー
16%
貨 物 量 (英 ト ン )
自動車運搬船
1%
その他の大型船
旅客船 6%
0%
一般貨物船
3%
コンテナ船
29%
冷蔵運搬船
3%
ドライバルク船
38%
タンカー
20%
通 航 隻 数 は 2000 年 以 来 8%増 加 し て い る 。 2000 年 に 13,651 隻 で あ っ た 通 航 隻 数 は
2008 年 に は 14,702 隻 ( 小 型 商 業 船 舶 を 含 む ) と な っ て い る 。 し か し こ の 期 間 に 一 貫 し
て 通 航 隻 数 が 増 加 し た わ け で は な い 。1990 年 代 半 ば か ら パ ナ マ 運 河 通 航 船 舶 の 数 は 減 少
し て お り 、 2000 年 か ら 2003 年 の 間 も 減 少 傾 向 が 継 続 し て い る 。 2004 年 か ら 上 向 き に
転 じ 、 2007 年 ま で 通 航 隻 数 は 増 加 し 、 2008 年 に は わ ず か に 減 少 し た 。
最近の通航隻数の増加にはパナマ運河を利用するコンテナ船が増加したことが貢献し
て い る 。コ ン テ ナ 船 の パ ナ マ 運 河 通 航 隻 数 は 2000 年 か ら 2008 年 の 間 に 100%以 上 増 加
-3-
し て い る 。 2000 年 に コ ン テ ナ 船 の パ ナ マ 運 河 通 航 隻 数 は 1,704 隻 で あ っ た 。 2008 年 に
は 3,544 隻 に 増 加 し て い る 。 し か し 、 コ ン テ ナ 船 の 通 航 隻 数 の 増 加 分 は 一 般 貨 物 船 と バ
ル ク キ ャ リ ア の 通 航 隻 数 の 減 少 に よ っ て 相 殺 さ れ て い る 。一 般 貨 物 船 の 通 航 隻 数 は 2000
年 の 1,008 隻 か ら 2008 年 に は 766 隻 に 減 少 、 バ ル ク キ ャ リ ア は 2000 年 の 3,117 隻 か
ら 2008 年 に は 2,420 隻 に 減 少 し た (図 表 4)。
図表 4
13651
13491
船種別通航隻数の推移
14033
13183
14010
14193
14721
14702
13152
Other
Passengers
Vehicle Car.
Container
Tankers
Dry Bulk
Refrigerated
Gen Cargo
00
20
区分
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
20
08
通航隻数(延べ)
Ro/Ro
旅客船
その他
1704
723
283
2675
2057
1781
738
236
2561
2683
1808
2017
773
209
2569
2207
2351
1586
2370
816
204
2785
885
2316
2542
1886
2536
794
258
2816
2005
839
2305
2636
1762
2879
754
232
2603
2006
792
2097
2756
1684
3290
766
220
2588
2007
818
2188
2406
1969
3622
835
205
2678
2008
766
2166
2420
2066
3544
817
241
2682
一般貨物
冷蔵船
乾バルク タンカー コンテナ
2000
1008
2004
3117
2137
2001
1120
2076
2922
2002
989
2135
2003
833
2004
注:本データの「その他」には小型商業船舶、通航料金を課徴されずに運河を通航する船舶
が 含 ま れ て い る 。こ れ ら の 船 舶 は 2007 年 と 2008 年 に そ れ ぞ れ 1,488、1,555 隻 で あ っ た 。
出所:パナマ運河庁
-4-
パ ナ マ 運 河 の 通 航 量 は 2000 年 以 来 大 幅 に 増 加 し て い る 。通 航 船 舶 の PCUMS ト ン 数 5
は 2000 年 の 2 億 3,000PCUMS ト ン か ら 2008 年 に は 3 億 900 万 PCUMS ト ン と 34%
増加した。増加のほとんどの部分はコンテナ船通航量の増加によるもである。コンテナ
通 航 通 航 量 は 2000 年 の 4,900 万 PCUMS ト ン か ら 2008 年 に は 1 億 3,300 万 PCUMS
ト ン に 増 加 し た 。現 在 、コ ン テ ナ 船 の PCUMS ト ン 数 が パ ナ マ 運 河 を 通 行 す る 船 舶 全 体
の 43%を 占 め る 。 こ の 他 に タ ン カ ー ( 910 万 PCUMS ト ン 増 )、 自 動 車 運 搬 船 ( 770 万
PCUMS ト ン 増 )、冷 蔵 貨 物 船( 230 万 PCUMS ト ン 増 )の 通 航 量 が 増 加 し て い る 。一 方 、
ド ラ イ バ ル ク ・ キ ャ リ ア ( 1,650 万 PCUMS ト ン 減 )、 旅 客 船 ( 800 万 PCUMS ト ン 減 )
の 通 航 量 は 減 少 し た 。船 種 別 パ ナ マ 運 河 通 航 量( PCUMS ト ン )の 推 移 を 図 表 5 に 示 す 。
図表 5
船種別パナマ運河通航量
(1,000 PCUMS ト ン )
266,918
279,290
297,838
312,117 308,757
242,687
230,178 231,497 235,133
2000
2001
2002
2003
Other
Passengers
Vehicle Car.
Container
Tankers
Dry Bulk
Refrigerated
Gen Cargo
2004
2005
2006
2007
2008
出所:パナマ運河庁
パ ナ マ 運 河 を 通 過 す る 大 型 船 の 約 13%は 空 荷 で あ る 。 2008 年 に 1,659 隻 6 の 大 型 船 が
空 荷 で 通 航 し た 。タ ン カ ー 、冷 蔵 運 搬 船 、自 動 車 運 搬 船 が 空 荷 通 航 の 80%以 上 を 占 め て
いる。
PCUMS( Panama Canal Universal Measurement System) ト ン は パ ナ マ 運 河 庁 が 通 航 料 計
算 の た め に 使 用 し て い る 船 舶 の 総 容 積 を 表 す ト ン 数 で あ る 。 登 録 総 ト ン 数 ( gross registered
ton)に 類 似 し た も の で あ り 、1PCUMS ト ン は 貨 物 ス ペ ー ス 100 立 方 フ ィ ー ト に 相 当 し 、1TEU
は 13PCUMS ト ン で あ る 。 平 均 す る と 、 PCUMS は 登 録 総 ト ン 数 の 約 87%と な る 。
5
出 典 : Panama Canal Authority, Office of Market Research And Analysis, “Laden and
Ballast Traffic through the Panama Canal by Flag of Vessel, Fiscal Year 2008” 11/28/2008
6
-5-
1.2
パナマ運河通航船舶のサイズ
2008 年 に パ ナ マ 運 河 を 通 過 し た 船 舶 の 約 60%を 20,000GT 以 上 の 船 舶 が 占 め た 。 同
年 に パ ナ マ 運 河 を 通 過 し た 船 舶 の 平 均 総 ト ン 数 は 27,095GT で あ っ た 。 総 ト ン 数 に よ る
通航隻数の分布を図表 6 に示す。
図表 6
2008 年 パ ナ マ 運 河 通 航 船 舶 の 総 ト ン 分 布 7
(各 カ テ ゴ リ ー の 通 航 延 べ 隻 数 )
3,209
2,876
2,108
1,753
1,689
1,044
361
0
<2
00
20
-9
00
9
99
0
10
00
4
-1
9
99
15
0
00
9
99
1
-
9
20
0
00
9
99
2
-
9
0
30
9
-3
0
0
9
99
0
40
+
00
出所:パナマ運河庁
パナマ運河を通航することのできる最大サイズであるパナマックス型の船舶が通航隻
数 に 占 め る 割 合 は 著 し く 増 加 し て い る 。2000 年 の 通 航 隻 数 の う ち パ ナ マ ッ ク ス 型 船 舶 は
31.9%で あ っ た 。そ の 後 、毎 年 パ ナ マ ッ ク ス 型 船 舶 の 占 め る 割 合 は 増 加 し 、2006 年 に は
42.8%に 達 し た 。2007 年 に は わ ず か に 減 少 し 42.3%と な っ た が 、こ れ は 通 航 隻 数 全 体 が
3.7%増 加 し た の に 対 し 、 パ ナ マ ッ ク ス 型 船 舶 の 通 航 隻 数 の 増 加 率 は 2.5%で あ っ た こ と
に 起 因 し て い る 。図 表 7 に 詳 細 を 示 す 。2008 年 の デ ー タ で は パ ナ マ ッ ク ス 型 船 舶 の 通 航
隻数は個別に報告されていないため、同年については内訳は不明である。
パナマックス型コンテナ船
7
パナマックス型自動車運搬船
総 ト ン 数 が 不 明 の 107 隻 は 除 外 し た 。
-6-
図表 7
パナマ運河を通航するパナマックス型、サブパナマックス型船舶
2001
2002
2003
2004
8,491
2005
2006
Total
Sub-Panamax
Panamax
6,230
14,702
8,115
6,078
8,377
5,633
8,704
5,329
8,415
4,566
4,424
4,359
2000
4,737
8,617
9,067
9,292
(通 航 延 べ 隻 数 )
2007
2008
パ ナ マ ッ ク ス 船 が 全 体 に 占 め る 割 合 (% )
31.9%
32.8%
34.6%
36.0%
38.0%
42.8%
40.2%
42.3%
N.A.
0.0%
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
出所:パナマ運河庁
パナマックス型船舶の割合は船種によってばらつきがある。パナマックスの割合が多
い 船 種 と し て は 、 2007 年 に は コ ン テ ナ 船 の 75%、 自 動 車 運 搬 船 の 86%が パ ナ マ ッ ク ス
型 で あ っ た 。中 間 と し て は 、バ ル ク キ ャ リ ア の 52%、タ ン カ ー の 56%が パ ナ マ ッ ク ス 型
で あ り 、 そ の 他 の 船 種 の 大 部 分 が サ ブ - パ ナ マ ッ ク ス 型 で あ っ た た め 、 平 均 は 42.3%に
留 ま っ て い る (図 表 8)。
図表 8
パ ナ マ ッ ク ス 船 が 全 体 に 占 め る 割 合 (% )
2007 年 船 種 別
サブパナマックス型
パナマックス型
42.3%
全体
86%
自動車運搬船
75%
コンテナ船
タンカー
ドライバルク船
-7-
56%
52%
1.3
通航隻数の季節変動
パナマ運河の通航隻数には幾分の季節による変動がある。季節により月間平均通航隻
数 に は プ ラ ス /マ イ ナ ス 10%の 変 動 が 見 ら れ る 。一 般 に 上 半 期( 暦 年 )に 下 半 期 よ り も 通
航 隻 数 が 多 く な る 傾 向 に あ る 。過 去 3 年 間 に 最 も 通 航 隻 数 の 多 い 月 は 一 貫 し て 3 月 で あ
った。季節による通航隻数の変動を図表 9 に示す。通航隻数がピークとなる期間には、
パ ナ マ 運 河 で は 深 刻 な 渋 滞 が 発 生 す る 。 基 本 的 に 一 日 の 通 航 隻 数 が 38 隻 を 超 え た 時 点
で 渋 滞 が 始 ま る 。 2008 年 3 月 /4 月 に は 運 河 に 入 る ま で の 待 ち 時 間 は 4 日 間 に 及 ん だ 8 。
運 河 通 航 時 間 ( CWT) 9 は 最 高 の 約 70 時 間 を 記 録 し た 。 あ る 時 点 で 運 河 に 入 る の を 待 つ
船 舶 数 は 130 隻 に 達 し た と 報 じ ら れ て い る 10 ( 図 表 10、 11、 12)。
図表 9
パナマ運河月別通航隻数
1400
2005-06
2006-07
Number of Transits
1300
1200
1100
1000
2007-08
900
800
2005-06
Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep
1030
1197 1130
1105
1058 1060
1059
994
2006-07 1084
975
1064
985 1060 1118
1141 1185
1086
1225 1129
1150
1022 1076
1069
1002
2007-08 1084
1034
1111 1151
1060
1203 1158
1151
1038 1093
1074
990
出所:パナマ運河庁
8
2008 年 3 月 /4 月 期 に 発 生 し た パ イ ロ ッ ト の 労 働 組 合 に よ る 順 法 闘 争 も 渋 滞 の 一 因 で あ っ た 。
運 河 通 過 時 間 ( In-Transit Time) は 船 舶 が 第 1 閘 門 に 入 っ て か ら の 運 河 通 過 時 間 を 指 す 。 運
河 通 航 時 間 ( CWT: Canal Waters Time) は 船 舶 が パ ナ マ 運 河 通 航 の た め に 運 河 水 域 ( 閘 門 よ
り海洋側、防波堤内の投錨水域)に入り運河通過準備が整った時点から、運河を通過し反対側
の 運 河 水 域 を 出 る ま で の 時 間 を 指 す 。CWT に は 船 舶 が 最 初 の 閘 門 に 入 る ま で の 待 ち 時 間 が 含 ま
れるため、運河運転効率の指標として使用される。
9
10
出 典 : Bockmann, Michelle Wiese.
“Panama Canal Transit Times Fall,” 11 June 2008,
Lloyd’s List . 同 記 事 で は 混 雑 期 の 待 ち 時 間 が 最 長 10 日 に 及 ん だ と し て い る 。 2008 年 3/4 月 の
混雑に関しては複数のソースが様々な数字を引用している。一方、パナマ運河局が発表した正
式 統 計 で は 、3 月 の CWT( 運 河 通 航 時 間:第 1 閘 門 に 入 る ま で の 待 ち 時 間 を 含 む )は 最 高 69.47
時 間 と さ れ て お り 、 Lloyd’s List の 記 事 の 内 容 と 矛 盾 す る 。
-8-
図 表 10
2008 年 3 月 ( ピ ー ク 月 )
パナマ運河月間統計
1 日平均
最 高
最 低
39
52
27
航 洋 船 *の 通 航 隻 数
39.13
44
35
運 河 通 航 時 間 ( CWT)
53.77
69.47
39.28
運河通過時間
13.88
18.83
11.28
到着隻数
2008 年 9 月 ( 最 閑 月 )
1 日平均
最 高
最 低
到着隻数
33.83
55
24
航 洋 船 *の 通 航 隻 数
33.47
40
22
運 河 通 航 時 間 ( CWT)
21.75
28.18
12.46
運河通過時間
10.81
14.81
7.76
*パ ナ マ 運 河 庁 が 毎 月 発 表 し て い る 運 河 運 転 状 況 の 統 計 に お い て は 、航
洋船は閘門通過に牽引機関車を使用した船舶とされている。
出所:パナマ運河庁
図 表 11
11
太 平 洋 側 で 待 機 す る 船 舶 (April 18、2008) 11
Copyright 2008 by Don Winner for Panama-Guide.com.
-9-
図 表 12
太平洋側で係留し運河通過を待つ船舶
2008 年 5 月 14 日 15:39pm 撮 影 12
“Seeing is Believing - Almost 60 Ships in Panama
Canal Pacific Anchorage”
Copyright 2008 by Don Winner for Panama-Guide.com
12
写真は白黒印刷に最適化するために当方で修正した
- 10 -
1.4
船積港と仕向地
米国東海岸とアジアを結ぶ航路はパナマ運河を経由する最大の海運ルートとなってい
る 。2008 年 に 米 国 東 海 岸 と ア ジ ア を 結 ぶ 航 路 は パ ナ マ 運 河 通 航 量( PCUMS ト ン 数 )全
体 の 43.3%を 占 め た 。し か し 、2007 年 か ら 2008 年 の 間 に パ ナ マ 運 河 通 航 量 全 体 に 同 航
路 が 占 め る 割 合 は 4.7%減 少 し て い る 。2 番 目 に 通 航 量 の 多 い 航 路 は 米 国 東 海 岸 と 南 米 西
海 岸 を 結 ぶ 航 路 で あ る 。2008 年 に こ の 航 路 は パ ナ マ 運 河 通 航 量 全 体 の 8.4%を 占 め 、2007
年 の 6.3%か ら 増 加 し て い る 。 米 国 東 海 岸 - 南 米 西 海 岸 航 路 で は PCUMS ト ン 数 自 体 に
も大幅な増加が見られる。3 番目の航路はヨーロッパと南米西海岸を結ぶ航路であり、
2008 年 に は 通 航 量 全 体 の 7.3%を 占 め た 。 4 番 目 は 南 米 東 海 岸 と 西 海 岸 を 結 ぶ 航 路 で あ
り 、 通 航 量 全 体 の 4.2%で あ っ た 。 主 要 な 航 路 を 図 表 13 に 示 す 。
図 表 13
主要航路別パナマ運河通航容量
(1,000 PCUMS ト ン )
2007
貿易ルート
2008
PCUMS
全体に占
PCUMS
全体に占
トン
める割合
トン
める割合
2008/07
成長率
140,434
45.0%
133,827
43.3%
-4.7%
米国東海岸-南米西海岸
19,761
6.3%
25,936
8.4%
31.2%
ヨーロッパ-南米西海岸
24,000
7.7%
22,493
7.3%
-6.3%
南米東西海岸
10,075
3.2%
13,071
4.2%
29.7%
米 国 東 西 海 岸 (ア ラ ス カ /ハ ワ イ を 含 む )
13,883
4.4%
12,396
4.0%
-10.7%
9,917
3.2%
10,166
3.3%
2.5%
ヨ ー ロ ッ パ - 米 国 /カ ナ ダ 西 海 岸
11,631
3.7%
8,541
2.8%
-26.6%
カリブ-中米西海岸
11,345
3.6%
8,443
2.7%
-25.6%
ヨーロッパ-アジア
4,188
1.3%
4,916
1.6%
17.4%
米 国 /カ ナ ダ 東 海 岸 - オ セ ア ニ ア
5,609
1.8%
4,434
1.4%
-20.9%
南 米 東 海 岸 - 米 国 /カ ナ ダ 西 海 岸
2,205
0.7%
3,511
1.1%
59.2%
141
0.0%
383
0.1%
171.6%
58,928
18.9%
60,640
19.6%
2.9%
312,117
100%
308,757
100%
-1.1%
米国東海岸-アジア
米国東海岸-中米西海岸
世界一周
その他の航路
合
計
出所:パナマ運河庁
- 11 -
図 表 13( つ づ き ) 主 要 航 路 別 パ ナ マ 運 河 通 航 容 量
(2008 年 )
参考:パナマ運河オペレーション
パナマ運河庁は一定数の通航スロットを予約制としており、オペレーターは通常
の 通 航 料 に 10%の 割 増 料 金 を 支 払 う こ と に よ り 通 航 ス ロ ッ ト を あ ら か じ め 確 保 す
る こ と が で き る 。 ち な み に 、 2008 年 12 月 に は 月 間 に 大 型 船 ( 船 幅 91 フ ィ ー ト
/27.74m 以 上 )511 隻 、普 通 船( 船 幅 91 フ ィ ー ト 未 満 )240 隻 分 の ス ロ ッ ト が 予 約
用 に 取 り 置 か れ た 。 予 約 用 通 航 ス ロ ッ ト の う ち 大 型 船 に つ い て は 89.04%、 普 通 船
に つ い て は 92.92%が 予 約 さ れ た 。 予 約 な し で 到 着 し た オ ペ レ ー タ ー に よ る ス ロ ッ
ト入札が実施されることもある。
同 月 の 通 航 航 洋 船 隻 数 は 大 型 船 634 隻 、 普 通 船 490 隻 の 合 計 1124 隻 で あ り 、 そ
の う ち 、 大 型 船 の 約 72%、 普 通 船 の 約 45%が ス ロ ッ ト を 予 約 し て 通 航 し て い る 。
運河水域に到着した船舶は、その日に通航スロットを予約している場合はパイロ
ットが乗り込み、最初の閘門に向かうが、予約していない場合は投錨して通航の順
番を待つことになる。
- 12 -
米国を船積港または仕向地とする貨物がパナマ運河を通過する貨物の圧倒的多数を占
め て い る 。 2008 年 に 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 を 船 積 港 、 ま た は 米 国 西 海 岸 を 仕 向 地 と
す る 貨 物 が パ ナ マ 運 河 経 由 で 太 平 洋 側 に 向 か う 貨 物 量 全 体 の 71.3%を 占 め た 。 同 年 に 米
国 西 海 岸 を 船 積 港 、ま た は 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 を 仕 向 地 と す る 貨 物 は パ ナ マ 運 河 経
由 で 大 西 洋 側 に 向 か う 貨 物 量 全 体 の 59.6%を 占 め た 。太 平 洋 向 け( 西 回 り )、大 西 洋 向 け
(東回り)の両方の方向において米国-アジア間の貿易が主要な貨物の流れとなってい
る 。 詳 細 を 図 表 14 に 示 す 。
図 表 14
米 国 を 起 点 /終 点 と す る パ ナ マ 運 河 通 航 貨 物 量
(1,000 英 ト ン )
船 積 港 /仕 向 地
2007
2008
米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 - ア ジ ア
米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 - 米 国 西 海 岸
米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 - カ ナ ダ 西 海 岸
米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 - 中 米 西 海 岸
米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 - 南 米 西 海 岸
米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 - オ セ ア ニ ア
ヨーロッパ-米国西海岸
南米東海岸-米国西海岸
カリブ海-米国西海岸
アフリカ-米国西海岸
中米東海岸-米国西海岸
中東-米国西海岸
カナダ東海岸-米国西海岸
44,397
939
30
7,731
11,360
1,210
5,553
1,533
1,703
1,180
629
97
411
42,521
827
122
8,385
12,856
1,200
4,151
3,040
1,888
1,031
404
205
44
米国を起点とする西回り航路貨物量
西回り航路全体に占める割合
76,773
72.2%
76,674
71.3%
成長率
西回り航路
米 国 を 起 点 /終 点 と す る 西 回 り 航 路 貨 物 が
パ ナ マ 運 河 通 航 貨 物 ( 西 回 り ) 全 体 に 占 め る 割 合 (2008 年 )
- 13 -
-4.2%
-11.9%
306.7%
8.5%
13.2%
-0.8%
-25.2%
98.3%
10.9%
-12.6%
-35.8%
111.3%
-89.3%
- 0.1%
-
図 表 14( つ づ き ) 米 国 を 起 点 /終 点 と す る パ ナ マ 運 河 通 航 貨 物 量
(1,000 英 ト ン )
船 積 港 /仕 向 地
2007
2008
ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
米 国 西 海 岸 - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
米国西海岸-カナダ東海岸
米国西海岸-中米東海岸
米国西海岸-南米東海岸
米国西海岸-カリブ海
米国西海岸-ヨーロッパ
米国西海岸-アフリカ
カ ナ ダ 西 海 岸 - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
中 米 西 海 岸 - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
南 米 西 海 岸 - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
オ セ ア ニ ア - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
37,971
685
189
278
438
342
2,658
461
887
2,921
8,842
1,734
35,521
775
161
255
648
158
2,756
194
417
2,442
8,922
1,710
米国を起点とする東回り航路貨物量
東回り航路全体に占める割合
57,406
60.7%
53,959
59.6%
成長率
東回り航路
-6.5%
13.1%
-14.8%
-8.3%
47.9%
-53.8%
3.7%
-57.9%
-53.0%
-16.4%
0.9%
-1.4%
- 6.0%
-
米 国 を 起 点 /終 点 と す る 東 回 り 航 路 貨 物 が
パ ナ マ 運 河 通 航 貨 物 ( 東 回 り ) 全 体 に 占 め る 割 合 (2008 年 )
出所:パナマ運河庁
過 去 2 年 間 に わ た り 米 国 を 起 点 /終 点 と す る 西 回 り 通 航 量 は 比 較 的 横 ば い で あ っ た が 、
東 回 り 運 河 通 航 量 は 6.0%減 少 し て い る 。 2008 年 の 東 回 り 通 航 量 の 減 少 の 主 因 は 2008
年 に ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 間 の 石 油 輸 送 量 が 10%減 少( 2007 年 の 2,250 万 英 ト ン か ら 2008
年 に は 2,020 万 英 ト ン に 減 少 ) し た こ と で あ る 。 ア ジ ア か ら 米 国 東 海 岸 へ の 鉄 、 ス チ ー
ル、機械、機器、セメント、ケミカル輸送量も減少している。アジアから米国東海岸へ
の 東 回 り コ ン テ ナ 貨 物 量 は 2007 年 の 1,510 万 ト ン か ら 2008 年 に は 1,570 万 ト ン に 増 加
している。
- 14 -
2008 年 に 米 国 を 起 点 /終 点 と し な い 貨 物 が パ ナ マ 運 河 の 東 回 り 通 航 量 の 40.4%、 西 回
り 通 航 量 の 28.7%を 占 め た 。 同 年 に 南 米 西 海 岸 - ヨ ー ロ ッ パ 航 路 、 ア ジ ア - カ リ ブ 海 諸
国 航 路 、カ ナ ダ 西 海 岸 - ヨ ー ロ ッ パ 航 路 の 3 つ の 航 路 が 米 国 を 起 点 /終 点 と し な い 東 回 り
通 航 量 の 52.4%を 占 め た 。米 国 を 起 点 /終 点 と し な い 西 回 り 通 航 量 の 50.9%を 南 米 東 西 海
岸 間 航 路 、ヨ ー ロ ッ パ - 南 米 西 海 岸 間 航 路 、南 米 東 海 岸 - 中 米 西 海 岸 航 路 の 3 航 路 が 占
め た 。 詳 細 は 図 表 15 に 示 す 。 米 国 を 起 点 /終 点 と し な い 航 路 で 輸 送 さ れ る 貨 物 の 一 部 に
実質的には米国を起点、終点とするものがあることに留意する必要がある。例えばカリ
ブ 海 諸 国 を 起 点 /終 点 と す る 貨 物 量 に は 、米 国 か ら 船 積 み さ れ フ リ ー ポ ー ト 等 の 港 で 積 み
替え輸送されるもの、または最終仕向地を米国として積み替え輸送されるものが含まれ
ている可能性が高い。
図 表 15
米 国 以 外 を 起 点 /終 点 と す る 主 要 な パ ナ マ 運 河 通 航 ル ー ト
(1,000 英 ト ン )
船 積 港 /仕 向 地
2007
トン数
2008
%
トン数
2008/07
%
成長率
西回り航路
南米東海岸-南米西海岸.
6,633
22.4%
8,917
28.9%
34.4%
ヨーロッパ-南米西海岸.
3,772
12.8%
4,221
13.7%
11.9%
南米東海岸-中米西海岸
1,836
6.2%
2,559
8.3%
39.4%
ヨーロッパ-中米西海岸
2,796
9.5%
2,266
7.3%
-19.0%
カリブ海-中米西海岸
1,897
6.4%
2,122
6.9%
11.9%
カリブ海-アジア
1,697
5.7%
1,644
5.3%
-3.1%
南米東海岸-アジア
2,194
7.4%
1,497
4.8%
-31.8%
893
3.0%
1,237
4.0%
38.5%
中米東海岸-南米西海岸
1,436
4.9%
909
2.9%
-36.7%
中米東海岸-中米西海岸
1,108
3.7%
850
2.8%
-23.3%
ヨーロッパ-オセアニア
857
2.9%
843
2.7%
-1.6%
1,012
3.4%
816
2.6%
-19.4%
カナダ東海岸-南米西海岸
656
2.2%
576
1.9%
-12.2%
カナダ東海岸-アジア
835
2.8%
501
1.6%
-40.0%
ヨーロッパ-アジア
266
0.9%
308
1.0%
15.8%
アフリカ-オセアニア
278
0.9%
299
1.0%
7.6%
カリブ海-カナダ西海岸
42
0.1%
251
0.8%
497.6%
カナダ東海岸-中米西海岸
42
0.1%
239
0.8%
469.0%
191
0.6%
210
0.7%
9.9%
1,142
3.9%
615
2.0%
-46.1%
29,583
100%
30,880
100%
4.4%
-
-
カリブ海-南米西海岸
中米東海岸-アジア
アフリカ-南米西海岸
その他
合
計
西回り航路全体に占める割合
27.8%
- 15 -
-
28.7%
船 積 港 /仕 向 地
2007
トン数
2008
%
トン数
2008/07
%
成長率
東回り航路
11,307
30.4%
11,426
31.2%
1.1%
アジア-カリブ海
4,005
10.8%
4,020
11.0%
0.4%
カナダ西海岸-ヨーロッパ
3,122
8.4%
3,740
10.2%
19.8%
アジア-中米東海岸
4,278
11.5%
2,484
6.8%
-41.9%
南米西海岸-中米東海岸
1,792
4.8%
1,564
4.3%
-12.7%
南米西海岸-カリブ海
2,028
5.5%
1,516
4.1%
-25.2%
南米西海岸-南米東海岸
1,223
3.3%
1,459
4.0%
19.3%
アジア-南米東海岸
1,247
3.4%
1,422
3.9%
14.0%
中米西海岸-ヨーロッパ
2,095
5.6%
1,200
3.3%
-42.7%
アジア-カナダ東海岸
754
2.0%
1,068
2.9%
41.6%
オセアニア-ヨーロッパ
893
2.4%
966
2.6%
8.2%
中米西海岸-アフリカ
129
0.3%
943
2.6%
631.0%
中米西海岸-カリブ海
551
1.5%
767
2.1%
39.2%
中米西海岸-中米東海岸
340
0.9%
649
1.8%
90.9%
南米西海岸-カナダ東海岸
491
1.3%
438
1.2%
-10.8%
カナダ西海岸-カリブ海
294
0.8%
405
1.1%
37.8%
中米西海岸-カナダ東海岸
334
0.9%
402
1.1%
20.4%
南米西海岸-アフリカ
382
1.0%
343
0.9%
-10.2%
オセアニア-中米東海岸
175
0.5%
322
0.9%
84.0%
カナダ西海岸-南米東海岸
350
0.9%
291
0.8%
-16.9%
アジア-ヨーロッパ
419
1.1%
285
0.8%
-32.0%
中米西海岸-南米東海岸
429
1.2%
251
0.7%
-41.5%
南米西海岸-中東
176
0.5%
169
0.5%
-4.0%
27
0.1%
101
0.3%
274.1%
オセアニア-カリブ海
209
0.6%
90
0.2%
-56.9%
その他
140
0.4%
287
0.8%
105.0%
37,190
100%
36,608
100%
-1.6%
南米西海岸-ヨーロッパ
オセアニア-南米東海岸
合
計
東回り貨物全体に占める割合
39.3%
-
40.4%
-
-
出所:パナマ運河庁
南米の東西両海岸を結ぶ西回り通航量は著しい成長を示している。この航路の通航量
は 2007 年 か ら 2008 年 の 間 に 34.4%増 加 し た 。成 長 の 主 因 は 石 炭 と 石 油 輸 送 の 増 加 に よ
る も の で あ る 。 過 去 2 年 間 に 石 炭 の 輸 送 量 は 180 万 ト ン 、 石 油 の 輸 送 量 は 70 万 ト ン 増
加した。南米東海岸と中米西海岸を結ぶ航路の通航量も石炭、石油輸送量の飛躍的な増
加により大幅に成長している。カナダ西海岸とヨーロッパを結ぶ航路の東回りの通航量
は 石 炭 輸 送 が 70 万 ト ン 増 加 し た こ と を 反 映 し て 約 20%増 加 し た 。
- 16 -
1.5
コンテナ貨物通航量の成長
総 体 的 に 見 て 、パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る コ ン テ ナ 貨 物 量 は 過 去 数 年 間 に 大 幅 に 増 加 し た 。
東 回 り コ ン テ ナ 貨 物 量 は 2005 年 か ら 2008 年 の 間 に 38%増 加 し た 。 西 回 り コ ン テ ナ 貨
物 は 同 時 期 に 52%増 加 し て い る 13 (図 表 16)。
図 表 16
パナマ運河コンテナ通航量の推移
(1,000 英 ト ン )
30,783
24,593
22,873
33,170
25,397
34,055
27,310
17,969
Eastbound
Westbound
2005
2006
2007
2008
出所:パナマ運河庁
コンテナ貨物通航量の内訳をさらに詳しく見ると、米国東海岸-アジア間の輸送が過
去数年間のコンテナ貨物通航量の増加の主因となっていることは明らかである。アジア
-米国東海岸間航路のコンテナ貨物はパナマ運河を通航するコンテナ貨物量の圧倒的大
部 分 を 占 め て い る 。西 回 り で は 、ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 航 路 の コ ン テ ナ 貨 物 通 航 量 は 2006
年 か ら 2008 年 の 間 に 14%増 加 し た 。東 回 り で は 同 航 路 の コ ン テ ナ 貨 物 通 航 量 は 5.6%増
加 し て い る 。 西 回 り で は パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る コ ン テ ナ 貨 物 総 量 増 加 分 の 約 3 分 の 1、
東回りでは 4 分の 1 をアジア-米国東海岸航路のコンテナ貨物通航量の増加分が占めて
い る (図 表 17)。
13
これらの数字はコンテナ輸送される諸貨物を示していることに留意されたい。この他にもコ
ンテナ輸送されている貨物をパナマ運河庁が個別の貨物カテゴリーで記録していることが考え
られる。
- 17 -
図 表 17
パナマ運河を経由する主要航路のコンテナ貨物量の変化
(1,000 英 ト ン )
航
路
2008 年
2006 年
2008/06
西回り航路
11,947
10,482
14.0%
ヨーロッパ-米国西海岸
2,074
2,219
-6.5%
米国東海岸-南米西海岸
1,678
1,164
44.2%
ヨーロッパ-南米西海岸
1,633
1,920
-14.9%
カリブ海-アジア
1,064
691
54.0%
南米東海岸-南米西海岸
776
632
22.8%
中米東海岸-南米西海岸
664
769
-13.7%
中米東海岸-アジア
620
821
-24.5%
ヨーロッパ-オセアニア
548
476
15.1%
21,004
19,174
9.5%
15,706
14,876
5.6%
南米西海岸-ヨーロッパ
3,673
2,556
43.7%
アジア-カリブ海
2,152
1,796
19.8%
アジア-中米東海岸
1,503
2,822
-46.7%
南米西海岸-米国東海岸
1,373
1,757
-21.9%
オセアニア-米国東海岸
1,009
935
7.9%
米国西海岸-ヨーロッパ
769
879
-12.5%
南米西海岸-南米東海岸
582
410
42.0%
アジア-南米東海岸
497
170
192.4%
オセアニア-ヨーロッパ
475
669
-29.0%
27,739
26,870
3.2%
米国東海岸-アジア
西回り航路合計
東回り航路
アジア-米国東海岸
東回り航路合計
出所:パナマ運河庁
南米西海岸からヨーロッパに向かう東回り航路でもコンテナ貨物通航量が大幅に増加
し て い る 。 2006 年 か ら 2008 年 の 間 に 同 航 路 の コ ン テ ナ 貨 物 通 航 量 は 約 44%増 加 し た 。
ア ジ ア か ら カ リ ブ 海 諸 国 に 向 か う 東 回 り 航 路 の 通 航 量 も 2006 年 以 来 大 幅 に 増 加 し 、 コ
ン テ ナ 貨 物 通 航 量 は 約 20%増 加 し た 。米 国 東 海 岸 と 南 米 西 海 岸 を 結 ぶ 西 回 り 航 路 の コ ン
テ ナ 通 航 量 も ま た 大 幅 に 増 加 し 、 2006 年 か ら 2008 年 の 間 に 44%増 加 し て い る 。
- 18 -
2.パナマ運河拡張が海運に及ぼす影響
パナマ運河拡張プロジェクトは主要な国際商業航路としての同運河の競争力を強化す
ることを目的とした大規模な事業である。現在は閘門の制約によりパナマ運河を経由す
る 東 回 り /西 回 り 航 路 に 使 用 で き る 船 舶 の 大 き さ が 制 限 さ れ て い る 。ま た 、特 に 最 盛 期 の
通航の遅延はパナマ運河経由航路と代替輸送モードの経済性を大きく左右する。運河拡
張プロジェクトは遅延の原因となっているボトルネックを解消することを意図している。
拡張プロジェクトが海運に与える影響を論じる前に、まず拡張プロジェクトそのものを
概観する。
2.1
パナマ運河拡張プロジェクト
既 存 の パ ナ マ 運 河 は 2 本 の 閘 門 水 路 で 構 成 さ れ 、閘 門 水 路 は そ れ ぞ れ 3 段 階 の 閘 門 を
使用して海面レベルとガトゥン湖のレベル間の船舶の通航を可能にしている。太平洋側
では閘門は 2 つのコンプレックスにわかれている。ひとつは 2 つの閘室(チェンバー)
を有するミラ・フローレス閘門であり、もうひとつは 1 チェンバーのペドロ・ミゲル閘
門 で あ る 。大 西 洋 側 は ガ ト ゥ ン 閘 門 の み で あ る 、同 閘 門 は 3 チ ェ ン バ ー で 構 成 さ れ て い
る。
図 表 18
パナマ運河
- 19 -
図 表 19
ミ ラ フ ロ ー レ ス 閘 門 (太 平 洋 側 )
現在のパナマ運河には重大な運航上の制限がある。既存の閘門の船舶最大許容サイズ
は 全 長 294.1 メ ー ト ル 、 船 幅 32.3 メ ー ト ル 、 喫 水 12 メ ー ト ル で あ り 、 パ ナ マ 運 河 を 経
由する航路ではこのサイズを超える船舶を使用することができない。運河は現在フル稼
動に近い状態で運転されており、効率に影響が出ている。パナマ運河庁は運河の持続可
能 な 最 大 キ ャ パ シ テ ィ は 年 間 3 億 3,000 万 ~ 3 億 4,000 万 PCUMS ト ン と 推 定 し て い る 。
2008 年 に パ ナ マ 運 河 の 通 航 量 は 3 億 900 万 PCUMS ト ン で あ り 、 こ れ は 最 大 キ ャ パ シ
テ ィ の 91~ 93.5%と な る 。水 路 の 保 全 の た め 、1 年 間 に 平 均 5 回 、1 回 あ た り 約 11 日 間
水 路 の 運 転 が 中 止 さ れ 、運 転 中 止 期 間 中 の 通 航 キ ャ パ シ テ ィ は 平 均 32%減 少 す る 。前 述
し た よ う に 、 最 盛 期 に は 通 過 時 間 は 平 均 53 時 間 、 運 河 に 入 る た め の 待 ち 時 間 は 最 大 4
日間に達している。
拡 張 プ ロ ジ ェ ク ト は (1)大 西 洋 側 と 太 平 洋 側 に 1 カ 所 づ つ 新 た な 閘 門( 第 3 閘 門 )を 建
設 す る 、 (2)既 存 水 路 の 幅 を 広 げ 、 第 3 閘 門 利 用 の た め に 必 要 な 水 路 を 掘 削 す る 、 (3)既
存の水路を増深し、ガトゥン湖の最高運転水位を引き上げる、の 3 つの部分からなる。
総 事 業 費 は 52 億 5,000 万 ド ル で 完 成 に は 8 年 間 を 要 す る と 見 込 ま れ て い る 。 プ ロ ジ ェ
クト資金はすでに確保されており、日本の国際協力銀行が 8 億ドル、欧州投資銀行が 5
億 ド ル 、米 州 開 発 銀 行 が 4 億 ド ル 、ア ン デ ス 開 発 銀 行 が 3 億 ド ル 、国 際 金 融 公 社 が 3 億
ドルを融資している。最初の建設契約はすでに発注されている。
新 閘 門 は 全 長 427 メ ー ト ル 、幅 55 メ ー ト ル 、水 深 18.3 メ ー ト ル と な る 。閘 門 内 で の
タ グ ボ ー ト に よ る 航 行 支 援 、 及 び 安 全 マ ー ジ ン の た め 、 船 舶 最 大 許 容 サ イ ズ は 全 長 366
メ ー ト ル 、船 幅 49 メ ー ト ル 、喫 水 最 大 15 メ ー ト ル に 制 限 さ れ る 。チ ェ ン バ ー 内 で は 船
舶が両側の壁にあたらないようにするための牽引機関車に代えて、タグによる牽引が使
用される。
- 20 -
図 表 20
建設を計画されている閘門とアクセス水路(太平洋側)
6.2 キ ロ メ ー ト ル の 北 水 路 に よ り 新 閘 門 は ミ ラ ・ フ ロ ー レ ス 湖 を 回 避 し て ゲ イ ラ ー ド
水 路 に 連 絡 さ れ る 。 1.8 キ ロ メ ー ト ル の 南 水 路 は 新 閘 門 と 太 平 洋 側 の 既 存 の 運 河 入 り 口
と を 繋 ぐ 。い ず れ の 水 路 も 幅 218 メ ー ト ル と な る 。航 行 水 路 は 直 線 部 分 は 最 低 280 メ ー
ト ル 、 湾 曲 部 は 最 低 366 メ ー ト ル に 拡 張 さ れ る 。 ガ ト ゥ ン 湖 の 最 高 運 転 水 位 は 26.7 メ
ー ト ル か ら 27.1 メ ー ト ル に 引 上 げ ら れ る 。
既存の閘門は拡張プロジェクトの後にも運転を継続する。拡張プロジェクトの完了時
に は 、運 河 の 維 持 可 能 な 最 大 キ ャ パ シ テ ィ は 年 間 6 億 PCUMS と な る 。こ れ は 現 行 キ ャ
パ シ テ ィ の 約 80%増 で あ る 。
図 表 21
新閘門コンセプト図
- 21 -
図 表 21
新閘門コンセプト図(つづき)
出 所 : パ ナ マ 運 河 庁 (PCA)
2.2
海運への影響
パナマ運河拡張の最大の影響は、アジア-南米・北米東海岸コンテナ航路の競争力が
強 化 さ れ る こ と で あ ろ う 。 大 型 コ ン テ ナ 船 を 利 用 す る こ と に よ り TEU あ た り の コ ス ト
が大幅に低下すると考えられる。パナマ運河庁によれば、アジア-米東海岸航路で現行
の 4,000TEU コ ン テ ナ 船 に 代 え て 6,000TEU コ ン テ ナ 船 を 使 用 す る こ と に よ り TEU あ
た り 8%、8,000TEU コ ン テ ナ 船 で は TEU あ た り 16%の コ ス ト 減 が 見 込 ま れ る 。も ち ろ
ん パ ナ マ 運 河 庁 の 推 定 は 3 つ の サ イ ズ で 積 載 率 が 同 じ で あ る こ と を 前 提 と し て お り 、現
実 は 必 ず し も そ う で あ る と は 限 ら な い ( 図 表 22)。
図 表 22
アジア-米国東海岸航路において
パナマックス/ポストパナマックス船を利用した場合のユニットコスト・インデックス
(4,000TEU 船 を 100 と す る )
100
4000 TEU
92
6000 TEU
84
8000 TEU
出所:パナマ運河庁
現在、米国のミシシッピ川よりも東を起点または終点とする太平洋横断貨物の相当な
部分は米国西海岸の港湾を経由している。パナマ運河拡張プロジェクトを正当化する第
一の根拠は、この市場を獲得することである。パナマ運河庁は拡張を行なわなければ、
- 22 -
北 東 ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 航 路 に お け る パ ナ マ 運 河 の マ ー ケ ッ ト シ ェ ア は 2005 年 の 38%
か ら 2025 年 に は 23%に 減 少 す る と 推 定 し て い る 。 パ ナ マ 運 河 の シ ェ ア を 奪 う の は 米 国
西 海 岸 港 湾 /陸 海 複 合 一 環 輸 送 シ ス テ ム と 米 国 東 海 岸 港 湾 /ス エ ズ 運 河 航 路 で あ り 、 パ ナ
マ 運 河 庁 は 前 者 の マ ー ケ ッ ト シ ェ ア は 65%、後 者 の マ ー ケ ッ ト シ ェ ア は 12%に 拡 大 す る
と見ている。パナマ運河拡張プロジェクトが実施された場合、当該航路のパナマ運河の
シ ェ ア は 2025 年 に は 49%に 増 加 し 、米 国 西 海 岸 港 湾 /陸 海 複 合 一 環 輸 送 シ ス テ ム の シ ェ
ア は 50%に 減 少 、米 国 東 海 岸 港 湾 /ス エ ズ 運 河 航 路 の シ ェ ア は 引 き 続 き 1%に 留 ま る と 予
測 さ れ て い る (図 表 23)。
図 表 23
北東アジア-米国東海岸貿易にパナマ運河航路が占める割合
(拡 張 す る 場 合 と 拡 張 し な い 場 合 の 予 測 )
38%
40%
40%
38%
46%
44%
49%
36%
29%
23%
With Expansion
Without Expansion
05
20
10
20
15
20
20
20
25
20
出 所 :パ ナ マ 運 河 庁
北 東 ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 航 路 に お け る パ ナ マ 運 河 の シ ェ ア は 過 去 10 年 間 堅 調 に 増 加
し て い る こ と を 指 摘 す る 必 要 が あ る 。 1999 年 に パ ナ マ 運 河 は 同 航 路 の 11%を 占 め た 。
パ ナ マ 運 河 の シ ェ ア は 2000 年 に は 15%、2001 年 に は 21%に 増 加 し た 。さ ら に 2002 年
に は 24%、2003 年 に は 34%、2004 年 に は 38%と 成 長 を 続 け た 。基 本 的 に パ ナ マ 運 河 庁
は拡張プロジェクトを実施しなければ、北東アジア-米国東海岸航路のパナマ運河のシ
ェアは今世紀初めのレベルに戻ると予測していることになる。
コンテナ貨物輸送における競争力の強化に加えて、パナマ運河庁は運河拡張により新
たな市場が開かれると考えている。チェンバーを拡大することによりスエズマックス型
タ ン カ ー 、 ケ ー プ サ イ ズ ド ラ イ バ ル ク 船 、 最 大 Q- Flex 級 の LNG 船 、 ク イ ー ン メ リ ー
II 規 模 の ク ル ー ズ 船 の 通 航 が 可 能 に な る 14 。 新 た な 市 場 と し て 、 パ ナ マ 運 河 庁 は 米 国 及
た だ し 15 メ ー ト ル と い う 喫 水 制 限 に よ り 、積 載 キ ャ パ シ テ ィ が 限 ら れ る た め 、部 分 載 貨 と す
る 必 要 が あ る 。 Q-Flex LNG 船 の 寸 法 は 全 長 315 メ ー ト ル 、 船 幅 50 メ ー ト ル 、 喫 水 12 メ ー ト
ル で あ る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は 新 閘 門 の 最 大 通 航 船 幅 を 49 メ ー ト ル と し て い る の 、 Q-Flex の 船 幅
は 新 閘 門 を 利 用 す る に は 大 き す ぎ る か も し れ な い 。し か し 、閘 門 自 体 の 幅 は 55 メ ー ト ル で あ る
た め 、 49 メ ー ト ル の 上 限 が 適 用 さ れ る か ど う か は 現 時 点 で は 不 明 で あ る 。
14
- 23 -
びコロンビアから東アジア向けの石炭輸送、ベネズエラから東アジア向けの石油輸送、
ペ ル ー か ら 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 へ の 天 然 ガ ス 輸 送 、ポ ス ト - パ ナ マ ッ ク ス 型 ク ル ー
ズ船の通航を見込んでいる。
図 表 24
APL ポ ス ト -パ ナ マ ッ ク ス ・ コ ン テ ナ 船 15
一般的には、新たな閘門の建設により使用可能なキャパシティが拡大し、最盛期の運
河のボトルネックが解消されることは確実である。例えば、現在船舶が閘門を通過する
こ と が で き る 時 間 は 1 日 13 時 間 で あ る が 、照 明 の 改 善 に よ り 最 大 16 時 間 の 通 過 が 可 能
となる。入閘の順番を待つ待機時間と通過時間が短縮されることにより、海運会社の最
終的な損益(ボトムライン)に影響を与えるであろう。
欧 州 投 資 銀 行 は ま た 、パ ナ マ 運 河 拡 張 は 世 界 の CO 2 排 出 量 に 影 響 を 与 え る と 指 摘 し て
い る 。欧 州 投 資 銀 行 の ラ テ ン ア メ リ カ ・ア ジ ア 部 の デ ィ レ ク タ ー に よ れ ば 、パ ナ マ 運 河 の
拡 張 は「 こ の 10 年 最 大 の CO 2 削 減 プ ロ ジ ェ ク ト 」で あ る 。彼 は 、
「パナマ運河の現状で
は、多くの船舶がインド洋を通航、またはスエズ運河を経由している。その結果、航路
が長くなり、より多くの燃料を消費することになっている」と述べた。スエズ運河経由
で 77 日 か か る ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 間 の 輸 送 時 間 は パ ナ マ 運 河 を 経 由 す れ ば 56 日 に 短 縮
さ れ る 。欧 州 投 資 銀 行 の 推 算 に よ れ ば 、こ れ に よ り CO 2 の 排 出 量 を 14%減 ら す こ と が で
きる。
Image ID: line0534, America's Coastlines. Collection Location: San Francisco California
Publication of the National Oceanic & Atmospheric Administration (NOAA), USA
15
- 24 -
3.貨物の流れの予想
パナマ運河拡張計画により同運河の通航隻数及び通航量が著しく増加すると期待され
ている。しかし、この予測は将来の競合状態について特定の前提に基づいている。本章
で は パ ナ マ 運 河 庁 に よ る 通 航 量 予 測 と 同 予 測 の 前 提 の 分 析 ・評 価 を 行 な う 。
3.1
PCUMS ト ン 数 予 測
パ ナ マ 運 河 庁 は 運 河 拡 張 を 実 施 し た 場 合 の 年 間 通 航 量 が 2025 年 に 5 億 800 万 PCUMS
ト ン と な る と 予 測 し て い る 16 。 こ れ は 2005 年 の 通 航 量 の 82%増 で あ り 、 パ ナ マ 運 河 庁
の 予 測 に よ る 運 河 拡 張 を 実 施 し な か っ た 場 合 の 処 理 能 力 を 1 億 7,800 万 ト ン ( 54%) 上
回る数字である。
拡張プロジェクトにより最も影響を受けるのがコンテナ船通航量であると考えられて
い る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は 、 運 河 を 拡 張 し な か っ た 場 合 の 2025 年 の コ ン テ ナ 船 通 航 量 を 1
億 8,500 万 PCUMS ト ン と 予 測 し て い る 。 運 河 を 拡 張 し た 場 合 、 2025 年 の 通 航 量 は 2
億 9,600 万 PCUMS ト ン で あ り 、 20 年 間 で 3 倍 以 上 拡 大 す る と 予 測 さ れ て い る 。 バ ル
ク 船 通 航 量 は 拡 張 し な か っ た 場 合 11%減 少 す る の に 対 し 、 拡 張 が 実 施 さ れ た 場 合 に は
33%増 加 す る と 予 測 さ れ て い る 。自 動 車 運 搬 船 の 通 航 量 は 拡 張 し た 場 合 に は 61%増 加 す
る が 、拡 張 し な か っ た 場 合 に は 11%し か 増 加 し な い と 見 ら れ て い る 。ク ル ー ズ 船 の 通 航
量 も ま た 運 河 拡 張 に よ り 大 幅 に 増 加 す る と 予 測 さ れ て い る 。拡 張 が 実 施 さ れ た 場 合 に は 、
ク ル ー ズ 船 の 通 航 量 は 90%増 加 す る が 、拡 張 さ れ な か っ た 場 合 に は 増 加 は 30%に 留 ま る
とされている。タンカー通航量は拡張を実施したとしても減少すると予測されている。
ただし、プロジェクトが実施されなかった場合よりも減少率は低い。パナマ運河庁によ
る 予 測 の 詳 細 を 図 表 26 に 示 す 。
図 表 25
ミラフローレス閘門を通過するコンテナ船
写 真 提 供 : International Maritime Associates
1 6 こ れ は 最 確 予 測 数 で あ り 、 上 方 予 測 は 6 億 PCUMS ト ン 、 下 方 予 測 は 4 億 2800 万 ト ン と さ
れている。
- 25 -
図 表 26
拡張する場合と拡張しない場合の運河通航容量予測
(100 万 PCUMS ト ン )
508
Other
General Cargo
Refrigerated
Car Carrier
Passenger
Liquid Bulk
Dry Bulk
Containers
330
279
Without
With
Expansion
Expansion
- - - - - 2025 - - - - -
2005
2005
市場区分
拡張しない場合
2025
成長率
拡張する場合
2025
成長率
船
98
185
89%
296
202%
ド ラ イ バ ル ク 船
55
49
-11%
73
33%
液 体 バ ル ク 船
34
19
-44%
28
-18%
ク
船
10
13
30%
19
90%
自 動 車 運 搬 船
36
40
11%
58
61%
リ
ー
フ
ァ
ー
19
15
-21%
22
16%
一
般
貨
物
船
7
3
-57%
4
-43%
他
20
6
-70%
8
-60%
279
330
18%
508
82%
コ
ン
ル
そ
テ
ー
ナ
ズ
の
合
計
出所:パナマ運河庁
3.2
船舶の通航隻数
図 表 27 に パ ナ マ 運 河 庁 に よ る 拡 張 プ ロ ジ ェ ク ト 完 了 後 の 通 航 隻 数 予 測 を 示 す 。 最 確
予 測 で は 2005 年 の 12,700 隻 で あ っ た 通 航 隻 数 は 2025 年 に は 15,100 隻 と 19%増 加 す
る と さ れ て い る 17 。 し か し 、 上 方 予 測 と 下 方 予 測 の 間 に は 大 き な 差 が 出 て い る 。 最 も 悲
観 的 な 状 況 を 前 提 と し た 場 合 、2025 年 の 通 航 隻 数 は 2005 年 と さ ほ ど 変 わ ら な い 。最 も
楽 観 的 な 状 況 を 前 提 と し た 場 合 に は 、2025 年 の 通 航 隻 数 は 2005 年 の 約 50%増 と さ れ て
い る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は 通 航 隻 数 に つ い て 船 種 の 内 訳 を 明 ら か に し て い な い 18 。
2005 年 の 通 航 隻 数 12,700 隻 と い う 数 字 は 同 年 の 通 航 隻 数 と し て パ ナ マ 運 河 庁 が 報 告 し た
11,407 隻 ( そ の 他 を 除 く ) と 異 な っ て い る 。 数 字 の 不 一 致 の 理 由 は 不 明 だ が 、 い ず れ の 数 字 も
パナマ運河庁の公式の報告書に記載されたものである。
17
18
パナマ運河庁と同庁のコンサルタントにより複数の予測が実施されている。本稿ではパナマ
運 河 庁 の Proposal for the Expansion of the panama Canal, Third Set of Locks Project , April
23, 2006 に 記 載 さ れ た PCUMS ト ン 及 び 通 航 隻 数 予 測 を 使 用 し た 。
- 26 -
図 表 27
拡張プロジェクト完了後のパナマ運河通航隻数予測
出 典 : パ ナ マ 運 河 庁 、 パ ナ マ 運 河 拡 張 提 案 、 2006 年 4 月
予 測 さ れ る 通 航 隻 数 の 増 加 は 予 測 さ れ る PCUMS ト ン 数 の 増 加 を 下 回 っ て い る 。上 記
の よ う に 、2005 年 か ら 2025 年 の PCUMS ト ン 数 増 加 の 最 確 予 測 は 82%で あ り 、同 時 期
の 通 航 隻 数 増 加 の 最 確 予 測 は 19%で あ る 。こ れ は 運 河 拡 張 後 に は 大 型 船 が 利 用 さ れ る こ
とを反映している。
3.3
予測の分析評価
パナマ運河庁は最も可能性の高い需要シナリオとして、パナマ運河を経由する可能性
の あ る 海 運 貨 物 が 年 間 3%増 加 す る と 仮 定 し て い る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は ま た 、 運 河 拡 張 に
より貨物がパナマ運河経由航路に流れることで影響を受ける競争相手が何の対抗策も講
じないことを前提としている。パナマ運河庁が需要シナリオと競争相手の反応の根拠と
している前提が現実的であるかどうかさらに評価する必要がある。
海運貿易の成長
世 界 の 海 運 貿 易 量 は 長 年 に わ た り 高 成 長 を 続 け て き た 。国 連 貿 易 開 発 会 議( UNCTAD)
は 2007 年 海 運 報 告 書( Review of Maritime Transport)で 海 運 貿 易 量 が 1970 年 の 10.7
兆 ト ン マ イ ル か ら 2006 年 に は 30.7 兆 ト ン マ イ ル に 増 加 し た と し て い る 。こ れ は 年 間 成
長 率 約 3%に 相 当 す る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は こ の 成 長 率 を 需 要 シ ナ リ オ の 前 提 と し て い る 。
長 期 的 な 海 運 貿 易 量 は 基 本 的 に 世 界 の 実 質 GDP の 長 期 的 ト レ ン ド を 追 っ て い る 。 図
表 28 に 示 す よ う に 、世 界 の 実 質 GDP の 年 間 成 長 率 は 1980 年 以 来 平 均 3.5%で あ る 。詰
まるところ世界の生産が成長すれば、貿易量も成長する。
- 27 -
図 表 28
1980 年 以 降 の 年 間 実 質 GDP 成 長 率
6.0%
5.0%
4.0%
Average Real
Growth 3.5%
3.0%
2.0%
1.0%
0.0%
19
81 983 985 987 989 991 993 995 997 999 001 003 005 007 009 011 013
1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2
出 典 : IMF、 世 界 経 済 予 測 デ ー タ ベ ー ス 、 2008 年 10 月
しかしながら、過去のトレンドから導いた推定に基づいて貿易量を予測するのは少々
楽 観 的 す ぎ る 可 能 性 が あ る 。図 表 29 に 示 す よ う に 、先 進 経 済 国 と 新 興 経 済 国 の GDP 成
長 率 に は 明 ら か な 相 違 が 見 ら れ る 。 新 興 経 済 国 の GDP 成 長 率 は 上 昇 傾 向 に あ る 一 方 、
先 進 経 済 国 の GDP 成 長 率 は 下 降 傾 向 に あ る 。 過 去 10 年 間 の 先 進 経 済 国 の GDP 成 長 率
は 2.5%で あ っ た 。 し か し 、 今 後 5 年 間 の GDP 成 長 率 は 2.1%と 予 測 さ れ て い る 。 パ ナ
マ 運 河 経 由 の 海 運 貨 物 の 主 要 な 船 積 み 地 ・仕 向 地 で あ る 米 国 で は 、GDP 成 長 率 は 過 去 10
年 の 平 均 2.6%か ら 今 後 5 年 間 に は 平 均 2.0%に 低 下 す る と 予 測 さ れ て い る 。先 進 経 済 国 、
特に米国における経済の基礎的諸条件(ファンダメンタルズ)は軟化しており、パナマ
運河を経由する可能性のある海運貨物量がこれまでのように成長するとは考えにくい。
将来、海運貿易の成長がスローダウンする可能性に加えて、パナマ運河の通航量予測
はパナマ運河経由に代わるルートの競合による影響を大きく受ける。パナマ運河の市場
シェアに食い込む可能性のある競合ルートは現実にも、潜在的にも多数存在する。
図 表 29
Percentage Annual Growth
10%
先 進 経 済 国 と 新 興 経 済 国 の 実 質 CDP 成 長 率 の 推 移
Advanced Economies
Emerging Economies
8%
Projected
6%
4%
World Growth
2%
0%
81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13
19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 20 20 20
出 典 : IMF、 世 界 経 済 予 測 デ ー タ ベ ー ス 、 2008 年 10 月
- 28 -
西海岸港湾の競合
パナマ運河経由に代わる最も明らかな航路は米国西海岸港湾を経由し、ミシシッピ川
以東の市場と鉄道または高速道路で連絡する米国発着ルートである。現在アジア-米国
東 海 岸 市 場 間 を 輸 送 さ れ る コ ン テ ナ の 約 60%は 米 国 西 海 岸 の 港 湾 を 経 由 し て お り 、38%
が パ ナ マ 運 河 を 経 由 し て い る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は 運 河 拡 張 に よ り 2025 年 に は ア ジ ア - 米
国 東 海 岸 間 市 場 の 49%を 獲 得 し 、 西 海 岸 港 湾 /陸 海 複 合 一 環 輸 送 シ ス テ ム の シ ェ ア は 約
50%に 減 少 す る と 予 測 し て い る 。 し か し パ ナ マ 運 河 庁 も 、 そ の 他 の 予 測 も 、 既 存 の 主 要
な 競 争 相 手 ( 西 海 岸 の 港 湾 /米 国 の 鉄 道 会 社 /ト ラ ッ ク 輸 送 会 社 ) が パ ナ マ 運 河 に シ ェ ア
を奪われるに何の対抗策もとらないと仮定しているように思われる。
図 表 30 に 明 ら か な よ う に 、 米 国 に は 全 国 に 貨 物 を 輸 送 す る 能 力 の あ る 大 型 の 貨 物 鉄
道 網 が 存 在 す る 。 米 国 の 貨 物 鉄 道 網 は 全 長 140,810 マ イ ル の 線 路 か ら な り 、 そ の う ち
52,340 マ イ ル が 主 要 鉄 道 回 廊( コ リ ド ー )で あ る 。さ ら に 、主 要 な 連 邦 、州 の 貨 物 高 速
道 路 が 約 162,000 マ イ ル( route mile)を カ バ ー し て お り 、そ の う ち 47,000 マ イ ル が 州
際 高 速 道 路 シ ス テ ム ( Interstate Highway System) の 一 部 で あ る 。
この大型貨物鉄道、道路網は貨物を迅速に効率的に全国輸送する手段となっている。
極東で船積みされたコンテナは西海岸の港湾で荷揚げされ、鉄道またはトラック輸送に
よ り わ ず か 2、 3 日 で 米 国 東 海 岸 に 到 着 す る 。 配 船 パ タ ー ン に よ り 輸 送 時 間 が 大 幅 に 短
縮 さ れ る 可 能 性 が あ る 。 例 え ば 、 Maersk 海 運 に よ り 香 港 か ら ジ ョ ー ジ ア 州 ア ト ラ ン タ
に 輸 送 さ れ る コ ン テ ナ は 、 パ ナ マ 運 河 経 由 の 海 路 で は 29 日 で 到 着 す る 。 同 じ コ ン テ ナ
を フ ラ ン ス の CMA CGM を 使 っ て 太 平 洋 経 由 で ロ ン グ ビ ー チ 港 で 荷 揚 げ し た 場 合 、ア ト
ラ ン タ に 25 日 で 到 着 す る 。 船 社 の 配 船 パ タ ー ン に よ っ て は 輸 送 時 間 に さ ら に 大 幅 な 差
が出る可能性がある。
図 表 30
米国鉄道網
出 典 : Cambridge Systematics, National Rail Freight Infrastructure Capacity
and Investment Study, September 2007
- 29 -
パナマ運河庁及び同庁のコンサルタントだけでなく、多くのアナリストが運河拡張プ
ロジェクトが完了すれば、市場シェアに大幅なシフトが起きると予測している。英国の
ア ナ リ ス ト で あ る Drewry Supply Chain Advisors の ニ ュ ー ス リ リ ー ス に よ れ ば 、 貨 物
が パ ナ マ 運 河 経 由 航 路 に 流 出 す る 結 果 、 今 後 10 年 間 に 米 国 西 海 岸 港 湾 の 貨 物 ベ ー ス の
最 大 25%が 東 海 岸 及 び メ キ シ コ 湾 岸 の 港 湾 に 奪 わ れ る 可 能 性 が あ る と し て い る 。オ ラ ン
ダ の ア ナ リ ス ト で あ る Dynamar は 、 ニ ュ ー ス リ リ ー ス に よ れ ば 、 米 国 西 海 岸 港 湾 を 経
由 し て い る コ ン テ ナ 貨 物 の 最 大 25%が 運 河 拡 張 後 に は パ ナ マ 運 河 経 由 の 海 路 に 移 行 す
ると予測している。
し か し 、こ れ ら の 予 測 も パ ナ マ 運 河 に 事 業 ベ ー ス を 奪 わ れ る の を 西 海 岸 の 港 湾 /陸 海 複
合一環輸送の利害関係者が手をこまねいて傍観することを前提としているように思われ
る。競争相手が何の対策も講じないとは考えがたい。西海岸の利害関係者は失うものが
大 き い 。た と え ば 、ア ラ メ ダ 回 廊 運 輸 管 理 委 員 会 は 、ロ サ ン ゼ ル ス /ロ ン グ ビ ー チ 港 を 経
由 す る コ ン テ ナ 貨 物 輸 送 に よ り 2005 年 に は 全 米 に 330 万 人 の 雇 用 が 創 出 さ れ た と 推 定
し て い る ( 図 表 31)。 重 要 な の は 推 定 さ れ る 雇 用 数 の う ち 110 万 人 分 が カ リ フ ォ ル ニ ア
またはその近辺の西部州で創出されている点である。これらの西部州は雇用が失われる
ことに非常に敏感であり、現在のボトルネックを解消するためのキャパシティ拡大への
投資をはじめとし、市場シェアを維持するための対策を講じることは確実である。競争
力を維持するために西海岸港湾及び陸海複合一環輸送インフラストラクチャーを改善す
るために連邦政府による多額の財政支援を求めて活発なロビーイングが展開されること
が考えられる。
図表 31
2005 年にロサンゼルス/ロングビーチ港を経由する貨物により創出された雇用数
Source: BTS, Trade Impact Study prepared for Alameda Corridor
Transportation Authority, 2005
- 30 -
結 局 、拡 張 後 の パ ナ マ 運 河 が 獲 得 す る 市 場 シ ェ ア は ア ジ ア - 米 国 東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸
市場間の輸送サービスルートの選択肢の相対的な経済性にかかっている。経済性を占う
ためには、現在存在しない将来の港湾及び陸海複合一環輸送システムの改善に関する情
報が必要であり、極めて困難な作業である。船舶のみに焦点を当てれば、5 隻によるサ
ービスはアジアと西海岸間で週一便のサービスを提供することができるのに対して、パ
ナマ運河経由ルートでは週一便のサービスを提供するには 8 隻が必要となる。3 隻を必
要 と し な い こ と に よ る 節 約 は 多 大 で あ る 。し か し 、西 海 岸 /陸 海 複 合 一 環 シ ス テ ム が 競 争
力を得るためには、西海岸の港湾キャパシティを拡大し、アジア-米国東海岸間のコン
テナ輸送量の増加を効率的に扱うために鉄道及び道路システムを整備する必要がある。
しかし、パナマ運河ルートでも関連して必要となるインフラストラクチャー整備コスト
が存在する。拡張されたパナマ運河を経由するメガ-コンテナ船を受け入れるためには
東 海 岸 /メ キ シ コ 湾 岸 の 港 湾 は 浚 渫 及 び 大 規 模 な 整 備 を 必 要 と す る 。( ニ ュ ー ヨ ー ク で は
Bayonne Bridge を 架 け 替 え る 必 要 が あ る 。)
スエズ運河の競合
アジア-米国東海岸間を輸送されるコンテナのうちスエズ運河を経由するものは約
1%で あ る 。 パ ナ マ 運 河 庁 の 輸 送 量 予 測 は ス エ ズ 運 河 の 市 場 シ ェ ア は 将 来 も 1%前 後 に 留
まると仮定している。この仮定は非現実的である。
パナマ運河庁の分析によれば、アジア-米国東海岸間をパナマ運河経由ルートで運航
するパナマックス型船舶は、スエズ運河ルートで運航する同様のサイズの船舶と比較し
て 、総 輸 送 コ ス ト が 23%節 約 さ れ る 。し か し パ ナ マ 運 河 ル ー ト で 運 航 す る パ ナ マ ッ ク ス
級 船 舶 を ス エ ズ 運 河 ル ー ト で 運 航 す る 6,000TEU の ポ ス ト - パ ナ マ ッ ク ス 型 船 舶 と 比 較
し た 場 合 、コ ス ト ア ド バ ン テ ー ジ( 費 用 優 位 )は 14%に 留 ま る 。パ ナ マ 運 河 庁 は パ ナ マ
運河拡張後にはパナマ運河はスエズ運河と同じサイズのコンテナ船を受け入れることが
できるようになると主張している。この時点でスエズ運河ルートとパナマ運河ルートの
コスト比較は類似したサイズの船舶を基することになり、パナマ運河庁によればパナマ
運 河 の コ ス ト ア ド バ ン テ ー ジ は 23%と な る 。
この分析にはひとつの問題点がある。パナマ運河庁によれば、拡張後のパナマ運河の
船 舶 最 大 許 容 サ イ ズ は 全 長 366 メ ー ト ル 、 船 幅 49 メ ー ト ル で あ り 、 こ れ が 新 た な パ ナ
マックス型コンテナ船となる。このサイズを上回る就航船、または発注済みコンテナ船
は 60 隻 で あ る ( 図 表 33 参 照 )。 こ れ ら の コ ン テ ナ 船 は 拡 張 後 も パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る
こ と は で き な い こ と に な る 。 さ ら に 、 拡 張 後 の パ ナ マ 運 河 の 最 大 許 容 喫 水 は 15 メ ー ト
ル で あ る 。先 の 60 隻 に 加 え 、こ の 喫 水 制 限 を 超 え る コ ン テ ナ 船 が 70 隻 存 在 す る 。た だ
し 、 こ の 70 隻 の パ ナ マ 運 河 通 航 の 可 否 は 荷 積 み 状 態 ( loading condition) に 左 右 さ れ
る。
- 31 -
ス エ ズ 運 河 は 現 在 最 大 船 幅 77 メ ー ト ル 、喫 水 19 メ ー ト ル の 船 舶 の 受 け 入 れ が 可 能 で
あり、現在計画段階のメガ・コンテナ船のいずれも同運河を通航することができる。こ
の点を考慮した場合、アジア-米国東海岸間航路のスエズ運河とパナマ運河の将来のコ
ス ト 比 較 で は 、 新 パ ナ マ ッ ク ス 型 船 ( 最 大 13,000TEU) と ス エ ズ マ ッ ク ス 型 船 (14~
15,000+ TEU)に つ い て 比 較 す る の が 適 切 で あ る 。 船 舶 最 大 許 容 サ イ ズ の 差 に よ り ス エ
ズ運河ルートの経済性が向上する可能性は十分にある。
図 表 32
Edith Maersk 19
写 真 Credit: ' hebster, commons.wikipedia.org ' or '
http://commons.wikimedia.org/wiki/User:Hebster '
19
- 32 -
図 表 33
拡張後のパナマ運河の全長、船幅制限を超える就航、発注コンテナ船
(太 字 は パ ナ マ 運 河 通 航 上 限 を 超 え る 寸 法 )
- 33 -
オペレター
船名
TEU
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
ステータス
China Shipping
1819
14,000
51.2
365.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
China Shipping
1820
14,000
51.2
365.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
China Shipping
1821
14,000
51.2
365.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
China Shipping
1822
13,296
51.2
365.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
China Shipping
1823
13,296
51.2
365.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
China Shipping
1824
13,296
51.2
365.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
China Shipping
1826
13,296
51.2
365.5
16.0
24.1
2012
Samsung
発注
CMA CGM
4156
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2009
Daewoo
発注
CMA CGM
4157
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2009
Daewoo
発注
CMA CGM
4158
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2009
Daewoo
発注
CMA CGM
4159
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2010
Daewoo
発注
CMA CGM
4160
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2010
Daewoo
発注
CMA CGM
4161
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2010
Daewoo
発注
CMA CGM
4162
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2010
Daewoo
発注
CMA CGM
4163
9,100
51.2
365.5
15.5
N.A.
2010
Daewoo
発注
Maersk
Emma Maersk
12,508
56.4
398.0
16.0
24.5
2006
Odense
就航
Maersk
Edith Maersk
12,508
56.4
397.7
16.0
24.8
2007
Odense
就航
Maersk
Eugen Marersk
12,508
56.4
397.7
16.0
26.0
2008
Odense
就航
Maersk
Ebba Maersk
12,508
56.4
396.4
16.0
24.5
2007
Odense
就航
- 34 -
オペレター
船名
TEU
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
ステータス
Maersk
Eleonora Maersk
12,508
56.4
396.4
16.0
24.5
2007
Odense
就航
Maersk
Elly Maersk
12,508
56.4
396.4
16.0
26.0
2007
Odense
就航
Maersk
Estelle Maersk
12,508
56.4
396.4
16.0
24.5
2006
Odense
就航
Maersk
Evelyn Maersk
12,508
56.4
396.4
16.0
24.5
2007
Odense
就航
Maersk
Maren Maersk
7,668
42.8
371.0
15.5
25.0
2008
Odense
就航
Maersk
Marit Maersk
7,668
42.8
371.0
15.5
25.0
2009
Odense
発注
Maersk
Mathilde Maersk
7,668
42.8
371.0
15.5
25.0
2009
Odense
発注
Maersk
Mette Maersk
7,668
42.8
371.0
15.5
25.0
2008
Odense
就航
Maersk
Margrethe Maersk
7,668
42.8
367.0
15.5
25.0
2008
Odense
就航
Maersk
Marchen Maersk
7,668
42.8
366.9
15.5
25.0
2008
Odense
就航
MSC
MSC Daniela
14,000
51.2
366.1
16.0
24.1
2008
Samsung
就航
MSC
MSC Daniela
14,000
51.2
366.1
16.0
24.1
2008
Samsung
就航
MSC
CPO Ancona
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2011
Daewoo
発注
MSC
CPO Genova
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
MSC
CPO La Spezia
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
MSC
CPO Livorno
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
MSC
CPO Palermo
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2011
Daewoo
発注
MSC
CPO Savona
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2009
Daewoo
発注
MSC
Daewoo 4170
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
MSC
Daewoo 4181
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
MSC
Daewoo 4183
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
- 35 -
オペレター
船名
TEU
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
ステータス
MSC
Daewoo4185
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2010
Daewoo
発注
MSC
Daewoo 4186
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2011
Daewoo
発注
MSC
Daewoo 4295
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2011
Daewoo
発注
MSC
Daewoo 4197
14,000
51.2
366.5
16.0
N.A.
2011
Daewoo
発注
MSC
MSC Bettina
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0
2009
Samsung
発注
MSC
MSC Emanuela
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0
2009
Samsung
発注
MSC
MSC Eva
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0
2010
Samsung
発注
MSC
MSC Gaia
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0.
2010
Samsung
発注
MSC
MSC Ereme
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0
2009
Samsung
発注
MSC
MSCLa;oma
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0
2009
Samsung
発注
MSC
MSC Beatrice
14,000
51.2
366.5
16.0
24.0
2009
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1876
13,296
51.2
366.5
16.0
24.1
2010
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1877
13,296
51.2
366.5
16.0
24.1
2010
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1878
14,000
51.2
366.5
16.0
24.1
2010
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1879
13,296
51.2
366.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1880
14,000
51.2
366.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1881
14,000
51.2
366.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1882
14,000
51.2
366.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1883
14,000
51.2
366.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
United Arab Shipping
Samsung 1884
14,000
51.2
366.5
16.0
24.1
2011
Samsung
発注
Source: Lloyds Register Sea-Web
拡張後のパナマ運河よりも船舶最大許容サイズが大きいことはスエズ運河庁がアジア
-米国東海岸コンテナ輸送にスエズ運河ルートの利用を推進するうえでの主要なセール
ス ポ イ ン ト で あ る 。 図 表 34 に 示 す よ う に 、 ス エ ズ 運 河 庁 は ス エ ズ 運 河 ル ー ト と パ ナ マ
運河ルートの境界は香港だと確信している。スエズ運河庁の観点からは、香港以北のア
ジ ア を 起 点 /終 点 と す る 米 国 東 海 岸 貨 物 は 米 国 西 海 岸 ま た は パ ナ マ 運 河 を 経 由 す る 。し か
し、香港及び東南アジアを起点とする貨物はスエズ運河経由ルートの方が経済性が高い
とスエズ運河庁は主張している。
図 表 34
出 典 : Mahmoud Rezk, Suez Canal Authority, Presentation to
the China Trade and Logistics Conference, June 2007
スエズ運河はアジア‐米国東海岸間のコンテナ輸送ルートとしてスエズ運河経由航路
の重要性が高まることが予測される。米国東海岸で港湾施設が使用できるならば、スエ
ズ 運 河 ル ー ト に は 14,000+TEU の コ ン テ ナ 船 が 使 用 さ れ る で あ ろ う 。こ れ は 拡 張 後 の パ
ナマ運河を通過することのできる船舶よりも大きい。主要なオペレーターは 9 隻の
13,000+TEU 船 で 週 一 便 の ロ ー テ ー シ ョ ン を 組 み 、 少 数 の ハ ブ 港 ( 例 え ば 、 シ ン ガ ポ ー
ル、サララ、アルヘシラス、サバナ)に寄港し、そこからコンテナを集荷して地域的に
( ア ジ ア 北 部 発 /着 の 可 能 性 も 考 え ら れ る )分 配 す る こ と も 考 え ら れ る 。貨 物 が 存 在 す る
と 仮 定 す る と 、 こ の サ ー ビ ス の 輸 送 時 間 は も ち ろ ん 経 済 性 も 船 幅 49 メ ー ト ル に 限 ら れ
る船舶を利用してパナマ運河を経由するサービスと比べて非常に有利となる可能性がある。
その他の潜在的な将来の競合
米 国 西 海 岸 港 湾 /陸 海 複 合 一 環 輸 送 と ス エ ズ 運 河 経 由 ル ー ト と い う 2 つ の 明 ら か な 代
替ルートのほかにも複数の代替ルートが提案されており、将来パナマ運河経由ルートと
競合する可能性がある。
- 36 -
メキシコ政府は西海岸にアジア-米国東海岸市場間の貨物輸送において競合する新た
な 港 湾 を 建 設 す る こ と を 提 案 し て い る 。提 案 さ れ て い る Punta Colonet 港 は 米 国 /メ キ シ
コ の 国 境 か ら 約 150 マ イ ル 南 の バ ハ・カ リ フ ォ ル ニ ア に 位 置 す る 。同 港 湾 の 初 期 段 階 の
コ ン テ ナ 取 り 扱 い 能 力 は 年 間 200 万 TEU と さ れ て い る 。 長 期 的 に は 段 階 的 開 発 に よ り
最 終 的 に 取 り 扱 い 能 力 を 700 万 TEU に 拡 大 す る 計 画 で あ る 。 ス ペ ー ス の 点 で 、 同 港 は
ロ サ ン ゼ ル ス 港 の 4 倍 の 広 さ と な る 。イ ン タ ー モ ー ダ ル ・ イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー を 新
たに建設し、同港を米国内の既存のインターモーダル・インフラストラクチャーに連結
す る 。 同 港 の 開 発 に は 、 必 要 と さ れ る イ ン タ ー モ ー ダ ル 整 備 を 含 め て 50 億 ド ル の 投 資
が 必 要 と 推 定 さ れ て い る 。 民 間 投 資 家 か ら プ ロ ジ ェ ク ト 入 札 が 募 集 さ れ て い る 。 Punta
Colonet 開 発 が 実 現 す れ ば 、 現 在 西 海 岸 港 湾 で 混 雑 を ひ き お こ し て い る ボ ト ル ネ ッ ク が
解消され、アジア-米国東海岸コンテナ輸送で競合することになる。
図 表 35
パナマ運河と競合する輸送ルート
- 37 -
北 海 航 路 も パ ナ マ 運 河 経 由 ル ー ト と 競 合 す る 可 能 性 が あ る 。米 国 北 極 研 究 審 議 会( U.S.
Arctic Research Commission) に よ れ ば 、 北 極 圏 を 通 過 す る 北 海 航 路 は 2050 年 か ら 年
間数ヶ月間不凍(アイスフリー)となると予測されている。北海航路はパナマ運河経由
ルートよりも大幅に距離が短く、アジア-米国東海岸間の代替ルートとなる可能性があ
る。しかし、北海航路の利用は夏季に限られるであろう。夏季以外には航路は海氷に覆
われるため、商業航行は制限される。北海航路で通年運航することのできる氷海船舶を
使 用 す る 研 究 が 進 め ら れ て い る 。 Aker Arctic Technology は 図 表 36 に 示 す 5,000TEU
コンテナ船の概念設計を作成している。同型船を使い北海航路経由でアリューシャン列
島 と ア イ ス ラ ン ド 間 を コ ン テ ナ 輸 送 す る コ ス ト は 「 平 均 的 な 年 」 で TEU あ た り 354 ド
ル と 推 定 さ れ て い る 。 気 候 が 厳 し い 年 に は TEU あ た り 526 ド ル と な る 。 し か し 、 こ の
コスト推算には随行する砕氷船コスト、アリューシャン列島とアイスランドから先の輸
送 コ ス ト 、港 湾 /タ ー ミ ナ ル・コ ス ト が 含 ま れ て い な い 。北 海 航 路 が 商 業 的 に 実 行 可 能 で
あることを立証するためにはさらに研究が必要である。しかし、長期的に北海航路がパ
ナマ運河ルートと競合する可能性があることは否定できない。
図 表 36
Aker Arctic Technology が 提 案 す る 氷 海 ク ラ ス コ ン テ ナ 船 設 計
出 典 : Aker Arctic Technology, 「 米 国 ア ラ ス カ か ら ヨ ー ロ ッ パ
ま で の 北 極 シ ャ ト ル コ ン テ ナ 航 路 」 March 2006
実 現 す る 可 能 性 は 極 め て 低 い が 、第 三 の 長 期 的 な 可 能 性 と し て Tehuantepec Isthmus
(地 峡 )運 輸 回 廊 計 画 が あ る 。 同 プ ロ ジ ェ ク ト は Tehuantepec 地 峡 の メ キ シ コ 湾 、 太 平 洋
両岸に大型港を開発し、ふたつの港を鉄道と高速道路システムで結ぶものである。開発
は 民 間 投 資 家 の 出 資 で 行 な わ れ る こ と が 期 待 さ れ て い る 。実 現 す れ ば Tehuantepec 地 峡
回廊はパナマ運河に代わるルートとなりえる。しかし、同プロジェクトが計画どおりに
進行するかどうか、進行したとして、パナマ運河にとって手ごわい競争相手となるかど
うかについては大きな疑問がある。同ルートは両岸で貨物を積み替え、中間を陸上輸送
する必要がある。
- 38 -
図 表 37
Tehuantepec 地 峡 運 輸 回 廊 計 画
出 典 : The Columbia Encyclopedia, Sixth Edition. 2008.
Encyclopedia.com. 3 Jan. 2009
パ ナ マ 運 河 に 並 行 し て 走 っ て い る の が バ ル ボ ア と コ ロ ン を 結 ぶ 47 マ イ ル の パ ナ マ 運
河 鉄 道 で あ る 。 パ ナ マ 運 河 鉄 道 は 1998 年 以 来 50 年 間 の 利 権 を 保 有 す る カ ン サ ス シ テ
ィ ・ サ ザ ン 鉄 道 と Mi-Jack Products が 運 転 し て お り 、 パ ナ マ 運 河 と 競 合 し て い る 。 最
近 約 8,000 万 ド ル を 投 じ て 鉄 道 の 機 器 と イ ン フ ラ 整 備 が 行 な わ れ た 。 パ ナ マ 運 河 庁 に よ
る通航量予測、競合分析はパナマ鉄道の存在をまったく考慮していない。しかし、パナ
マ運河庁はパナマ運河鉄道を競争相手として認識する必要がある。パナマ運河鉄道が輸
送するコンテナ数が増加する分だけパナマ運河の通航量は失われる。パナマ運河鉄道は
現 在 年 間 50 万 個 の コ ン テ ナ を 取 り 扱 う 能 力 を 有 し て い る が 、年 間 200 万 TEU に 取 り 扱
い 能 力 を 拡 大 す る 計 画 で あ る 。こ の 目 標 が 達 成 さ れ れ ば 、200 万 TEU は 10,000TEU 級
船 200 隻 分 に 相 当 す る 。
図 表 38
パナマ運河鉄道
出 所 : Panama Canal Railway Company
- 39 -
パ ナ マ の 西 側 の 地 峡 部 分 を 131km の Transisthmian パ イ プ ラ イ ン が 横 断 し て い る 。
こ の パ イ プ ラ イ ン は Petroterminal de Panama が 運 転 し て お り 、 1970 年 代 末 に ア ラ ス
カ 産 原 油 輸 送 を 目 的 と し て 建 設 さ れ た 。ポ ス ト -パ ナ マ ッ ク ス タ ン カ ー で ア ラ ス カ 産 原 油
が太平洋側のターミナルに輸送され、大西洋側で小型タンカーに積み替えられてメキシ
コ 湾 岸 の 製 油 所 に 輸 送 さ れ た 。ピ ー ク 時 に 同 パ イ プ ラ イ ン は 860,000 バ レ ル /日 を 扱 っ て
い る 。同 パ イ プ ラ イ ン は ア ラ ス カ 石 油 生 産 量 の 減 少 に よ り 、1996 年 以 来 運 転 を 休 止 し て
い る 。Petroterminal de Panama は 輸 送 方 向 を 逆 に す る こ と に よ り 、パ イ プ ラ イ ン の 運
転再開を図っている。これにより、西アフリカ、ベネズエラ、北海、ブラジル産の原油
を 西 回 り 航 路 で 輸 送 す る こ と が 可 能 と な る 。 2009 年 か ら BP が 7 年 契 約 で 65,000 バ レ
ル /日 、 Tesoro が 107,000 バ レ ル /日 を 太 平 洋 方 向 に 輸 送 す る こ と で 合 意 し て い る 。 同 パ
イ プ ラ イ ン に 顧 客 が 流 れ る こ と に よ り 、パ ナ マ 運 河 通 航 タ ン カ ー 隻 数 が 減 る こ と に な る 。
BP と Tesoro を あ わ せ た 原 油 輸 送 量 は ア フ ラ マ ッ ク ス 型 タ ン カ ー が 5 日 お き に 運 河 を 通
航 す る 輸 送 量 に 相 当 し 、 年 間 70 隻 分 の 通 航 隻 数 と な る 。 し か し 、 パ ナ マ 鉄 道 の 場 合 と
同様に、パナマ運河庁の通航量予測ではパイプラインの競合の可能性が考慮されていな
いように見える。
図 表 39
Transisthmian Pipeline
出 所 : Petroterminal de Panama
総体的に、パナマ運河庁の通航量予測は楽観的な傾向にあり、競争を過小評価してい
る よ う に 思 わ れ る 。 パ ナ マ 運 河 庁 は 貿 易 量 3%成 長 を 見 込 ん で い る が 、 こ れ は 過 去 の ト
レンドの延長でしかない。しかし、過去の貿易量成長率がそのまま将来の成長率となる
とは限らない。米国の輸出入を支える経済の基礎的条件は減退しているように見える。
同様に重要な点はパナマ運河が市場と無関係に運営されているわけではないことである。
競争相手が市場シェアを維持するために何らかの手段を講じると考えて当然である。パ
ナマ運河庁の予測にはこれらの点が十分に反映されていないように思われる。
- 40 -
4.造船需要に対する影響
本章ではパナマ運河拡張プロジェクトが船舶設計及び将来の造船需要に及ぼす影響に
ついて分析する。
4.1
現在のパナマックス船
現 在 パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る 船 舶 は 全 長 294.1 メ ー ト ル 、船 幅 32.3 メ ー ト ル に 制 限 さ れ
ている。コンテナ船、バルクキャリア、その他の船種の多くがこの寸法を上限として設
計されてきた。しかし、パナマックス型船舶の大多数は全長がパナマ運河通航上限に達
す る 以 前 に 船 幅 の 点 で 上 限 に 達 し て い る 。 図 表 30 に 船 幅 32.0 メ ー ト ル か ら 32.4 メ ー
ト ル の 世 界 の 船 舶 の 全 長 分 布 を 示 す 。 前 述 の よ う に 、 こ れ ら の 船 舶 の 大 部 分 が 全 長 230
メ ー ト ル 未 満 で あ る 。 多 数 の 船 舶 が 全 長 220~ 230 メ ー ト ル と 180~ 200 メ ー ト ル に 集
中 し て い る 。前 者 は 70,000~ 80,000dwt バ ル ク キ ャ リ ア 、3,000 か ら 3,400TEU コ ン テ
ナ 船 、65,000 か ら 75,000dwt タ ン カ ー 、8,000 台 自 動 車 運 搬 船 で あ る 。後 者 は 大 部 分 が
50,000~ 60,000dwt バ ル ク キ ャ リ ア 、 42,000~ 53,000dwt プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー 、 4,500
~ 6,000 台 自 動 車 運 搬 船 、2,500TEU コ ン テ ナ 船 で あ る 。280~ 294 メ ー ト ル の カ テ ゴ リ
ー は 4,000+TEU の パ ナ マ ッ ク ス 型 コ ン テ ナ 船 と 約 40 隻 の ク ル ー ズ 船 で あ る 。
図 表 40
パナマックス船の全長分布
(船 幅 32.0-32.4 m の 就 航 、 発 注 船 舶 )
2232
2129
1097
357
8
<1
0
1
-1
80
90
1
-2
90
00
020
21
0
021
22
0
2
-2
20
337
182 232 126
148 209
30
2
-2
30
40
2
-2
40
50
025
26
Vessel Length (Meters)
出 所 : Lloyd’s Register Sea-Web
- 41 -
0
026
27
0
2
-2
70
80
028
29
258
83
75
0
029
29
4
4.2
将来のパナマックス船
前 述 の よ う に 、新 閘 門 は 全 長 427 メ ー ト ル 、幅 55 メ ー ト ル 、水 深 18.3 メ ー ト ル で あ
る 。 パ ナ マ 運 河 庁 に よ れ ば 、 通 航 船 舶 最 大 許 容 サ イ ズ は 全 長 366 メ ー ト ル 、 船 幅 49 メ
ー ト ル 、 喫 水 15 メ ー ト ル で あ る 。 閘 門 の サ イ ズ と 通 航 最 大 船 舶 の サ イ ズ の 差 は 、 新 閘
門では牽引機関車に代えてタグを使って船舶を牽引することに起因する。既存の閘門で
は 機 関 車 が 使 用 さ れ て お り 、閘 門 幅 と ほ と ん ど 同 じ サ イ ズ の 船 舶 の 通 航 が 可 能 で あ る( 図
表 41 参 照 )。 新 閘 門 で は 、 チ ェ ン バ ー 内 に 16,000~ 18,500hp の タ グ が 船 舶 を 牽 引 す る
ためのスペースを確保する必要がある。
図 表 41
既存の閘門チェンバーでの牽引機関車の利用
牽引電気機関車
出 所 : パ ナ マ 運 河 庁 ( PCA)
新 関 門 の 船 舶 最 大 許 容 サ イ ズ に よ れ ば 、 閘 門 チ ェ ン バ ー は 最 大 約 13,000TEU の コ ン
テナ船を受け入れることができる。これは現在のパナマックス型コンテナ船の積載能力
の 約 2.8 倍 で あ る 。 現 行 パ ナ マ ッ ク ス 船 で は コ ン テ ナ は 横 13 列 が 上 限 で あ る が 、 新 パ
ナ マ ッ ク ス 船 で は 19 列 と な る 。 現 行 パ ナ マ ッ ク ス 船 と 新 パ ナ マ ッ ク ス 船 の 設 計 の 比 較
を 図 表 42 に 示 す 。
- 42 -
図 表 42
現在及び将来のパナマックスコンテナ船
出 所 : Panama Canal Authority
た だ し 、 パ ナ マ 運 河 庁 が 発 表 し た 49 メ ー ト ル の 最 大 許 容 船 幅 に は 柔 軟 性 が あ る こ と
も 考 え ら れ る 。 船 幅 49 メ ー ト ル を 超 え る 船 舶 が 新 閘 門 を 通 航 し た 実 績 が で き れ ば 、 パ
ナマ運河庁が最大許容船幅を拡大する可能性が示唆されている。これは海運会社にとっ
て 大 き な ジ レ ン マ と な る 。 新 パ ナ マ ッ ク ス 船 の 最 大 許 容 船 幅 は 49 メ ー ト ル と 発 表 さ れ
て い る 一 方 で 、最 大 船 幅 52 メ ー ト ル 、さ ら に は 54 メ ー ト ル 強 の 船 舶 が 最 終 的 に 新 閘 門
の 通 航 を 許 さ れ る 可 能 性 が あ る 。 後 者 の 船 舶 は そ れ ぞ れ 20 列 、 21 列 の コ ン テ ナ 積 載 が
可 能 で あ り 、 積 載 能 力 は 14,000TEU 強 と な る 。 必 要 な 積 載 率 ( load factor) を 満 た す
だ け の 輸 送 量 が 存 在 す る と 仮 定 す る と 、 船 幅 49 メ ー ト ル の 新 パ ナ マ ッ ク ス 型 コ ン テ ナ
船 を 複 数 建 造 す る 船 主 は 、同 じ サ ー ビ ス を 船 幅 52 メ ー ト ル ま た は 54 メ ー ト ル の コ ン テ
ナ船を使って提供する船主に比べてコスト上不利となる。
も う ひ と つ の 不 確 定 要 素 は ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー と ス タ ッ テ ン 島 を 結 ぶ Bayonne 橋 に よ
る 高 さ 制 限 で あ る 。 通 過 船 舶 の 高 さ 制 限 ( air draft) は 46 メ ー ト ル で あ る 。 ニ ュ ー ヨ
ー ク /ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー 港 の タ ー ミ ナ ル を 大 型 コ ン テ ナ 船 が 利 用 で き る よ う に 同 橋 を 架
け直すことが提案されている。しかし現時点では決定は下っておらず、資金調達が難題
となることは明らかである。ニューヨーク港に入港することのできるコンテナ船を複数
建 造 し よ う と し て い る 船 主 は 、甲 板 上 の コ ン テ ナ を 7 段 積 み に す る か 8 段 積 み に す る か
と い う 設 計 上 の 問 題 に 直 面 す る 。前 者 は Bayonne 橋 の 下 を 通 過 す る こ と が で き る が 、後
者 は 通 過 で き な い 。Bayonne 橋 の 通 過 船 舶 の 高 さ 制 限 を ク リ ア す る 暫 定 的 な 手 段 と し て 、
マストを折りたたみ式とし、煙突(ファンネル)を短くし、船橋を低くすると同時に視
界不良を防ぐために船橋を前方 3 分の 1 に配置する新パナマックス型コンテナ船の設計
が 検 討 さ れ て い る 。Bayonne 橋 が 架 け 替 え ら れ た 際 に は 、船 橋 と フ ァ ン ネ ル を 高 く す る
ことにより 8 段積みとすることができる。
- 43 -
コ ン テ ナ 船 の ほ か に 拡 張 後 の パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る こ と の で き る 最 大 115,000dwt 強
のバルクキャリアの設計開発も進んでいる。サノヤスヒシノ明昌は新パナマ運河通航に
最 適 化 し た 116,000dwt を 開 発 し た 。 同 船 は 全 長 245 メ ー ト ル 、 船 幅 45 メ ー ト ル で あ
り 、 7 倉 構 造 と な っ て い る 。 同 船 の 積 載 量 は 現 行 の パ ナ マ ッ ク ス 型 の 20%増 で あ る 。 他
にも、中国の造船所が拡張後のパナマ運河に最適化したバルクキャリアの開発に積極的
に取り組んでいる。
4.3
新パナマックス型船の建造
現在建造中または発注済みの船舶のうち拡張後のパナマ運河の通航に合わせた設計と
思 え る も の は 約 200 隻 で あ る 。こ れ に は 現 在 の パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る に は 大 き す ぎ る が 、
拡張後の船舶最大許容サイズに納まるコンテナ船、バルクキャリア、クルーズ船が含ま
れる。
70 隻 を 超 え る 発 注 済 み コ ン テ ナ 船 が 新 閘 門 の チ ェ ン バ ー に 入 る こ と の で き る 最 大 サ
イ ズ と な っ て い る 。こ れ ら の 船 舶 は 全 長 が 350~ 366 メ ー ト ル 、船 幅 が 48~ 49 メ ー ト ル
で あ り 、積 載 能 力 は 12,500~ 13,000TEU と さ れ て い る 20 。三 星 は こ の 種 の 船 舶 を 25 隻 、
現 代 重 工 は 17 隻 、 現 代 三 湖 は 8 隻 、 HHIC( 韓 進 重 工 建 設 ) フ ィ リ ピ ン は 8 隻 、 STX
は 9 隻 、 大 宇 は 5 隻 を 建 造 し て い る 。 こ れ ら の 船 舶 は MSC、 COSCO、 そ の 他 の 船 舶 リ
ー ス 会 社 数 社 向 け に 建 造 さ れ て い る 。当 該 船 舶 は サ ー ビ ス・ス ピ ー ド 24.6~ 25.3 ノ ッ ト
で航行するように設計されている。発注済みの新パナマックス型コンテナ船の詳細を図
表 43 に 示 す 。
現在建造中または発注済みのバルクキャリアのうち拡張後のパナマ運河経由の航路で
使 用 す る た め に 最 適 化 さ れ て い る と 見 ら れ る も の が 少 な く と も 90 隻 存 在 す る 。 こ れ ら
の船舶は一般に小型ケープサイズ・バルクキャリアと呼ばれる。現在建造中のこれらの
船 舶 の 大 部 分 は 中 国 で 建 造 さ れ て い る 。 Shanghai Jiangnan( 上 海 江 南 造 船 ) は 小 型 ケ
ー プ サ イ ズ・バ ル ク キ ャ リ ア 22 隻 を 受 注 し て い る 。New Times Shipbuilding は 20 隻 、
Shanghai& Chengxi( 上 海 -澄 西 船 舶 修 造 廠 ) は 13 隻 、 Zhejiang( 浙 江 船 廠 ) は 8 隻 、
Yangzhou Dayan( 揚 州 大 洋 造 船 ) は 7 隻 を 受 注 し て い る 。 日 本 で は サ ノ ヤ ス ヒ シ ノ が
13 隻 、 三 井 千 葉 が 3 隻 を 受 注 し て い る 。 こ れ ら の 船 舶 は す べ て 積 載 能 力 110,000 か ら
120,000dwt で あ る 。 寸 法 が 不 明 の も の も あ る が 、 全 長 240~ 255 メ ー ト ル 、 船 幅 43 メ
ー ト ル 前 後 で あ る 。 小 型 ケ ー プ サ イ ズ ・ バ ル ク キ ャ リ ア は 商 船 三 井 、 CITIC、 COSCO
をはじめとし、その他多様なバルク海運オペレーター向けに建造されている。発注済み
の 小 型 ケ ー プ サ イ ズ ・ バ ル ク キ ャ リ ア の 詳 細 を 図 表 44 に 示 す 。
加えて、現在発注済みのクルーズ船のうち現行のパナマ運河は通航できないが、拡張
後 の 運 河 を 通 航 す る こ と の で き る も の が 18 隻 存 在 す る 。 こ れ ら の ク ル ー ズ 船 の 全 長 は
290~ 360 メ ー ト ル で 、 船 幅 は 35~ 47 メ ー ト ル で あ る 。 最 大 の Allure of the Sea は 全
20
一部には満載喫水が拡張後のパナマ運河の喫水制限をこえる設計もある。
- 44 -
長 360 メ ー ト ル 、 船 幅 47 メ ー ト ル で あ り 、 乗 客 定 員 4,500 人 、 乗 員 定 員 3,000 人 と な
っ て い る 。こ れ ら の ク ル ー ズ 船 は す べ て ヨ ー ロ ッ パ で 建 造 さ れ て い る 。ア ー カ ー 、Meyer
Werft、フ ィ ン カ ン テ ィ エ リ が 各 6 隻 建 造 し て い る 。さ ら に 、就 航 中 の ク ル ー ズ 船 35 隻
が現在はパナマ運河を通航できないが、拡張後には通航可能となる。拡張後のパナマ運
河 を 通 航 す る こ と の で き る 発 注 済 み 及 び 就 航 中 の ク ル ー ズ 船 の 詳 細 を 図 表 45 に 示 す 。
また拡張後のパナマ運河の通航が可能なアフラマックス型タンカーも数多く発注され
て い る 。例 え ば 現 代 三 湖 は 全 長 250 メ ー ト ル 、船 幅 45 メ ー ト ル 、積 載 能 力 119,950dwt、
喫 水 15.2 メ ー ト ル の ア フ ラ マ ッ ク ス タ ン カ ー 10 隻 を 建 造 し て い る 。 こ れ ら の タ ン カ ー
は基本的なアフラマックス設計であるが、新閘門の最大許容サイズに収まる。
- 45 -
図 表 43
オペレーター
発注済みのポストパナマックス設計コンテナ船
船 名 /番 号
TEU
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
- 46 -
COSCON
HYUNDAI SAMHO S452
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai Samho
COSCON
HYUNDAI SAMHO S453
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2011
Hyundai Samho
COSCON
HYUNDAI SAMHO S454
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2011
Hyundai Samho
COSCON
HYUNDAI ULSAN 2177
13092
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
COSCON
HYUNDAI ULSAN 2178
13092
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
COSCON
HYUNDAI ULSAN 2179
13092
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
COSCON
HYUNDAI ULSAN 2180
13092
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
COSCON
HYUNDAI ULSAN 2181
13092
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
Doehle P
SAMSUNG 1793
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2010
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1794
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2010
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1795
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2010
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1796
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2010
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1797
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1798
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1799
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1800
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1829
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1830
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1831
12562
48.4
366.0
15.5
n.a.
2011
Samsung
Doehle P
SAMSUNG 1832
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2012
Samsung
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2154
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2155
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2156
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2157
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
オペレーター
船 名 /番 号
TEU
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
- 47 -
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2164
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2165
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2166
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
ER Schiffahrt
HYUNDAI ULSAN 2167
13092
48.2
366.0
14.5
24.7
2010
Hyundai HI
MSC
STX JINHAE 3011
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2010
STX
MSC
STX JINHAE 3012
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2010
STX
MSC
STX JINHAE 3015
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2010
STX
MSC
STX JINHAE 3016
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2009
STX
MSC
STX JINHAE 3018
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2010
STX
MSC
STX JINHAE 3021
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2011
STX
MSC
STX JINHAE 3022
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2011
STX
MSC
STX JINHAE 3023
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2011
STX
MSC
STX JINHAE 3024
12400
48.4
366.0
15.5
25.2
2011
STX
MSC
CPO VENEZIA
13050
48.4
365.5
16.0
n.a.
2011
Daewoo
MSC
DAEWOO 4199
13050
48.4
365.5
16.0
n.a.
2011
Daewoo
MSC
DAEWOO 4201
13050
48.4
365.5
16.0
n.a.
2011
Daewoo
MSC
DAEWOO 4202
13050
48.4
365.5
16.0
n.a.
2011
Daewoo
MSC
DAEWOO 4203
13050
48.4
365.5
16.0
n.a.
2011
Daewoo
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 026
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2010
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 027
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2010
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 028
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2010
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 029
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2011
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 033
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2011
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 034
12825
48.4
365.6
15.5
n.a.
2011
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 035
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2011
HHIC-Phil Inc
NSC Schifffahrtsges
HHIC-PHIL 036
12825
48.4
365.6
15.5
24.6
2011
HHIC-Phil Inc
船 名 /番 号
オペレーター
TEU
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
- 48 -
Offen C-P
SAMSUNG 1814
12562
48.4
366.0
15.5
25.3
2011
Samsung
Offen C-P
SAMSUNG 1815
12562
48.4
366.0
15.5
n.a.
2011
Samsung
Offen C-P
SAMSUNG 1816
12562
48.4
366.0
15.5
n.a.
2011
Samsung
Offen C-P
SAMSUNG 1817
12562
48.4
366.0
15.5
n.a.
2011
Samsung
Offen C-P
SAMSUNG 1818
12602
48.4
366.0
15.5
n.a.
2011
Samsung
Rickmers
HYUNDAI ULSAN 2170
13100
48.2
366.0
15.5
24.7
2010
Hyundai HI
Rickmers
HYUNDAI ULSAN 2171
13100
48.2
366.0
15.5
24.7
2010
Hyundai HI
Rickmers
HYUNDAI ULSAN 2172
13100
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
Rickmers
HYUNDAI ULSAN 2173
13100
48.2
366.0
15.5
24.7
2011
Hyundai HI
Zim
SAMSUNG 1843
12600
49.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1844
12600
49.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1845
12600
49.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1846
12600
49.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1847
12600
49.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1840
12600
48.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1841
12600
48.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zim
SAMSUNG 1842
12600
48.2
350.0
15.5
n.a.
2012
Samsung
Zodiac
HYUNDAI SAMHO S433
10070
48.2
366.0
14.5
n.a.
2010
Hyundai Samho
Zodiac
HYUNDAI SAMHO S434
10070
48.2
366.0
14.5
n.a.
2011
Hyundai Samho
Zodiac
HYUNDAI SAMHO S435
10070
48.2
366.0
14.5
n.a.
2011
Hyundai Samho
Zodiac
HYUNDAI SAMHO S436
10070
48.2
366.0
14.5
n.a.
2011
Hyundai Samho
Zodiac
HYUNDAI SAMHO S437
10070
48.2
366.0
14.5
n.a.
2011
Hyundai Samho
出 所 : Lloyds Register Sea-Web
図 表 44
オペレーター
拡張後のパナマ運河を通航することのできる発注済みの
小型ケープサイズ・バルクキャリア
船 名 /番 号
DWT
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造 船 所
- 49 -
Anangel Maritime
SHANGHAI 1155
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Anangel Maritime
SHANGHAI 1156
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Anangel Maritime
SHANGHAI 1157
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Anangel Maritime
SHANGHAI 1158
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Arpeni Pratama Ocean Line
JIANGSU EASTERN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Jiangsu Eastern Heavy Industry
Arpeni Pratama Ocean Line
JIANGSU EASTERN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Jiangsu Eastern Heavy Industry
Augustea Ship Management
NEW TIMES 0111515
115000
43.0
255.0
14.5
14.5
2011
New Times Shipbuilding
Augustea Ship Management
NEW TIMES 0111516
115000
43.0
255.0
14.5
14.5
2011
New Times Shipbuilding
CITIC
JIANGYIN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Shanghai & Chengxi - Jiangyin
CITIC
JIANGYIN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Shanghai & Chengxi - Jiangyin
CITIC
JIANGYIN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Shanghai & Chengxi - Jiangyin
CITIC
JIANGYIN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Shanghai & Chengxi - Jiangyin
CITIC
JIANGYIN
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2012
Shanghai & Chengxi - Jiangyin
CITIC
H1015A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1016A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1017A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1018A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1019A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1020A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1021A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1041A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1042A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
船 名 /番 号
オペレーター
DWT
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造 船 所
CITIC
H1044A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1045A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
CITIC
H1046A
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
COSCO
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
COSCO
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
COSCO
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
COSCO
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
COSCO
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
COSCO
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
- 50 -
Doun Kisen KK
SANOYAS 1313
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2013
Sanoyas Hishino Miz'ma
Gestioni Armatoriali
NEW TIMES 0111513
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2010
New Times Shipbuilding
Gestioni Armatoriali
NEW TIMES 0111514
115000
43.0
255.0
14.5
n.a.
2011
New Times Shipbuilding
Greathorse Shipping
NANTONG MINGDE
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Nantong Mingde Heavy Industry
Greathorse Shipping
NANTONG MINGDE 089
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2009
Nantong Mingde Heavy Industry
Greathorse Shipping
NANTONG MINGDE 090
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
Nantong Mingde Heavy Industry
Hanjin
NEW TIMES
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
New Times Shipbuilding
Hanjin
NEW TIMES
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
New Times Shipbuilding
Hanjin
NEW TIMES 0111517
115000
43.0
255.0
14.5
14.5
2011
New Times Shipbuilding
Hanjin
NEW TIMES 0111518
115000
43.0
255.0
14.5
14.5
2011
New Times Shipbuilding
Hartmann Schiffahrts
DY5001
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Yangzhou Dayang Shipbuilding
Hartmann Schiffahrts
DY5002
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Yangzhou Dayang Shipbuilding
Hartmann Schiffahrts
DY5003
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Yangzhou Dayang Shipbuilding
Hartmann Schiffahrts
DY5004
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Yangzhou Dayang Shipbuilding
Hartmann Schiffahrts
DY5005
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Yangzhou Dayang Shipbuilding
船 名 /番 号
オペレーター
DWT
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造 船 所
- 51 -
Hartmann Schiffahrts
DY5006
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Yangzhou Dayang Shipbuilding
Hartmann Schiffahrts
YANGZHOU DAYANG
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Yangzhou Dayang Shipbuilding
IMC Holdings
IMC SHIPYARD
110000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
China P.R. Unknown
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111501
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111502
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111503
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111504
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111505
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111506
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2010
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111507
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2011
New Times Shipbuilding
Interorient Marine Services
NEW TIMES 0111508
115000
43.0
255.0
13.0
14.5
2011
New Times Shipbuilding
Keishin Kaiun
SANOYAS 1306
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2012
Sanoyas Hishino Miz'ma
Mitsui OSK
SANOYAS 1285
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2009
Sanoyas Hishino Miz'ma
Mitsui OSK
SANOYAS 1286
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2010
Sanoyas Hishino Miz'ma
Mitsui OSK
SANOYAS 1305
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2012
Sanoyas Hishino Miz'ma
Mitsui OSK
SANOYAS
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2012
Sanoyas Hishino Miz'ma
Mitsui OSK
ZHEJIANG
118000
43.0
260.0
14.5
n.a.
2010
Zhejiang Shipbuilding
Mitsui OSK
ZHEJIANG
118000
43.0
260.0
14.5
n.a.
2010
Zhejiang Shipbuilding
Mitsui OSK
ZHEJIANG
118000
43.0
260.0
14.5
n.a.
2011
Zhejiang Shipbuilding
Mitsui OSK
ZHEJIANG
118000
43.0
260.0
14.5
n.a.
2011
Zhejiang Shipbuilding
Mitsui Soko
MITSUI CHIBA 1817
110000
43.0
240.0
n.a.
15.5
2010
Mitsui Chiba Ichihara
Mitsui Soko
MITSUI CHIBA 1818
110000
43.0
240.0
n.a.
15.5
2011
Mitsui Chiba Ichihara
Mitsui Soko
MITSUI CHIBA 1819
111000
43.0
240.0
n.a.
15.5
2012
Mitsui Chiba Ichihara
Mitsui Soko
SANOYAS 1315
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2013
Sanoyas Hishino Miz'ma
船 名 /番 号
オペレーター
DWT
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造 船 所
- 52 -
Mitsui Soko
SANOYAS 1316
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2013
Sanoyas Hishino Miz'ma
Nissen Kaiun
SANOYAS 1310
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2012
Sanoyas Hishino Miz'ma
Norden
SANOYAS 1290
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2010
Sanoyas Hishino Miz'ma
Norden
SANOYAS 1291
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2011
Sanoyas Hishino Miz'ma
Norden
SHANGHAI 1139
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2009
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Norden
SHANGHAI 1140
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Norden
SHANGHAI 1141
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Norden
SHANGHAI 1142
114500
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Shanghai & Chengxi - Shanghai
Orient Line
SANOYAS 1312
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2012
Sanoyas Hishino Miz'ma
Owner Unknown
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
Pacific Basin Shipping
115000
43.0
254.0
12.2
n.a.
2011
Shanghai Jiangnan Changxing HI
Schulte T
EMMA SCHULTE
115000
43.0
255.0
14.5
14.5
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
Schulte T
EVA SCHULTE
115000
43.0
255.0
14.5
14.5
2012
Shanghai Jiangnan Changxing HI
Seaarland Shipping Mgmt
NEW TIMES 0111509
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
New Times Shipbuilding
Seaarland Shipping Mgmt
NEW TIMES 0111510
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
New Times Shipbuilding
Seaarland Shipping Mgmt
NEW TIMES 0111511
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
New Times Shipbuilding
Seaarland Shipping Mgmt
NEW TIMES 0111512
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
New Times Shipbuilding
Sinokor Merchant Marine
NANTONG MINGDE
115000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Nantong Mingde Heavy Industry
Ta-Tong Marine Co Ltd
SANOYAS 1309
116000
43.0
245.0
15.3
n.a.
2012
Sanoyas Hishino Miz'ma
VEGA-Reederei
ZHEJIANG
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Zhejiang Shipbuilding
VEGA-Reederei
ZHEJIANG
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Zhejiang Shipbuilding
VEGA-Reederei
ZHEJIANG
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2011
Zhejiang Shipbuilding
VEGA-Reederei
ZHEJIANG
118000
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2010
Zhejiang Shipbuilding
出 所 : Lloyds Register Sea-Web
図 表 45
現在のパナマ運河通航船幅制限により同運河を通航できないクルーズ船
(発 注 済 み 及 び 就 航 )
オペレーター
船 名
乗客定員
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
発注済
- 53 -
Carnival
CARNIVAL DREAM
4631
37.0
304.2
8.2
22.5
2009
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL MAGIC
4631
37.0
304.2
8.2
22.5
2011
Fincantieri Monfalcone
Carnival
AZURA
3571
36.0
289.6
8.4
22.2
2010
Fincantieri Monfalcone
Celebrity Cruises
CELEBRITY ECLIPSE
2850
36.8
315.0
8.3
n.a.
2010
Meyer Werft
Celebrity Cruises
CELEBRITY EQUINOX
2852
36.8
315.0
8.3
24.0
2009
Meyer Werft
Celebrity Cruises
MEYER 679
2850
36.8
315.0
8.3
n.a.
2011
Meyer Werft
Celebrity Cruises
MEYER 691
2850
36.8
315.0
8.3
n.a.
2012
Meyer Werft
Costa Crociere
FINCANTIERI BREDA 6188
3012
35.5
290.2
8.2
23.2
2011
Fincantieri Breda Ven
Costa Crociere
FINCANTIERI BREDA 6189
3012
35.5
290.2
8.2
23.2
2012
Fincantieri Breda Ven
Costa Crociere
COSTA PACIFICA
3780
35.5
290.2
8.3
23.2
2009
Fincantieri Sestri
Disney
MEYER 687
4000
37.0
339.8
8.3
n.a.
2011
Meyer Werft
Disney
MEYER 688
4000
37.0
339.8
8.3
n.a.
2012
Meyer Werft
MSC Crociere
MSC SPLENDIDA
3971
38.0
335.0
n.a.
23.0
2009
Aker - St-Nazaire
NCL
AKER YARDS ST-NAZAIRE C33
4200
40.2
325.5
8.9
22.5
2010
Aker - St-Nazaire
NCL
AKER YARDS ST-NAZAIRE D33
4200
40.2
325.5
8.9
22.5
2010
Aker - St-Nazaire
Royal Caribbean
ALLURE OF THE SEAS
5400
47.0
360.0
n.a.
n.a.
2010
Aker - Turku
Royal Caribbean
OASIS OF THE SEAS
5400
47.0
360.0
n.a.
n.a.
2009
Aker - Turku
Royal Caribbean
AKER YARDS TURKU
3600
38.6
339.0
8.5
n.a.
2011
Aker - Turku
オペレーター
船 名
乗客定員
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
就航
- 54 -
Carnival
CARNIVAL FREEDOM
4890
35.5
290.2
8.3
22.0
2007
Fincantieri Breda Ven
Carnival
CARNIVAL CONQUEST
3700
35.5
290.2
8.3
19.6
2002
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL DESTINY
3336
35.5
272.4
8.3
18.0
1996
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL GLORY
3700
35.5
290.2
8.3
19.6
2003
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL LIBERTY
3710
35.5
290.2
8.3
19.6
2005
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL TRIUMPH
3470
35.5
272.8
8.3
21.0
1999
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL VALOR
3710
35.5
290.2
8.3
19.6
2004
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL VICTORY
3470
35.4
272.2
8.3
22.5
2000
Fincantieri Monfalcone
Carnival
VENTURA
3574
36.0
288.6
8.5
22.0
2008
Fincantieri Monfalcone
Carnival
CARNIVAL SPLENDOR
2974
35.5
289.8
8.3
22.0
2008
Sestri
Celebrity Cruises
CELEBRITY SOLSTICE
2852
36.8
317.2
8.3
24.0
2008
Meyer Werft
Costa Crociere
COSTA CONCORDIA
3780
35.5
290.2
8.2
n.a.
2006
Sestri
Costa Crociere
COSTA FORTUNA
2720
35.5
272.2
8.2
20.0
2003
Sestri
Costa Crociere
COSTA MAGICA
2702
35.5
272.2
8.3
19.9
2004
Sestri
Costa Crociere
COSTA SERENA
3780
35.5
290.2
8.3
19.6
2007
Sestri
Cunard
QUEEN MARY 2
2620
41.0
345.0
10.3
26.5
2003
Atlantique Chs
MSC Crociere
MSC FANTASIA
2850
37.9
333.3
n.a.
23.0
2008
Aker - St-Nazaire
Princess Cruises
CROWN PRINCESS
3599
36.0
288.6
8.5
22.5
2006
Fincantieri Monfalcone
Princess Cruises
CARIBBEAN PRINCESS
3598
36.0
289.6
8.5
22.0
2004
Fincantieri Monfalcone
Princess Cruises
GOLDEN PRINCESS
3300
36.0
289.5
8.5
22.0
2001
Fincantieri Monfalcone
Princess Cruises
GRAND PRINCESS
3300
36.0
289.5
8.5
22.5
1998
Fincantieri Monfalcone
オペレーター
船 名
乗客定員
船幅
全長
喫水
速度
建造年
造船所
- 55 -
Princess Cruises
STAR PRINCESS
3100
36.0
289.5
8.5
22.0
2002
Fincantieri Monfalcone
Princess Cruises
EMERALD PRINCESS
3573
36.0
288.6
8.5
22.5
2007
Fincantieri Monfalcone
Princess Cruises
RUBY PRINCESS
3575
36.0
288.6
8.5
22.5
2008
Fincantieri Monfalcone
Princess Cruises
DIAMOND PRINCESS
2600
37.5
290.0
8.3
23.0
2004
Mitsubishi Nagasaki
Princess Cruises
SAPPHIRE PRINCESS
3078
37.5
290.0
8.1
23.0
2004
Mitsubishi Nagasaki
Royal Caribbean
FREEDOM OF THE SEAS
4375
38.6
338.8
8.8
21.6
2006
Aker - Turku
Royal Caribbean
INDEPENDENCE OF THE SEAS
4375
38.6
338.9
8.5
22.0
2008
Aker - Turku
Royal Caribbean
LIBERTY OF THE SEAS
4328
38.6
339.0
8.8
22.0
2007
Aker - Turku
Royal Caribbean
ADVENTURE OF THE SEAS
3840
38.6
311.1
8.6
23.0
2001
Kvaerner Masa-Yards
Royal Caribbean
EXPLORER OF THE SEAS
3840
38.6
311.1
8.3
23.0
2000
Kvaerner Masa-Yards
Royal Caribbean
MARINER OF THE SEAS
3807
38.6
311.1
8.6
22.0
2003
Kvaerner Masa-Yards
Royal Caribbean
NAVIGATOR OF THE SEAS
3807
38.6
311.1
8.6
22.0
2002
Kvaerner Masa-Yards
Royal Caribbean
VOYAGER OF THE SEAS
3840
38.6
311.1
8.8
22.1
1999
Kvaerner Masa-Yards
Star Cruises
SUPERSTAR LIBRA
1798
32.6
216.2
7.0
20.0
1988
Wartsila Marine - Turku
Source: Lloyds Register Sea-Web
4.4
将来の船舶建造需要
パナマ運河の拡張により新たな船舶最大許容サイズに最適化された船舶の建造需要が
発生することは間違いない。相当数の新パナマックス型の船舶新造契約が発注されると
考 え ら れ る 。 先 に 図 表 27 に 示 し た よ う に 、 現 在 就 航 中 ま た は 発 注 済 み の 船 舶 で 、 既 存
の パ ナ マ 運 河 閘 門 の 最 大 許 容 船 幅 に 収 ま る よ う に 設 計 さ れ た と 考 え ら れ る も の は 7,500
隻 で あ る 。 平 均 船 齢 を 20 年 と 仮 定 す る と 、 老 朽 船 の 補 充 需 要 だ け で も 年 間 平 均 約 375
隻の発注が必要となる。
し か し 大 型 化 し た 新 パ ナ マ ッ ク ス 設 計 の 発 注 ペ ー ス は 今 後 3~ 4 年 間 に は 比 較 的 ゆ っ
く り と し た も の と な る こ と が 考 え ら れ る 。船 幅 32.3 メ ー ト ル を 超 え る 船 舶 は 少 な く と も
2015 年 ま で パ ナ マ 運 河 を 通 航 す る こ と は で き な い た め 、新 閘 門 が 開 通 す る 前 に 新 パ ナ マ
ックス型の大型船舶を保有することのメリットは限られている。
加 え て 、 パ ナ マ 運 河 庁 が 発 表 し た 49 メ ー ト ル の 新 関 門 の 最 大 許 容 船 幅 が 実 際 に ど の
程度厳格に適用されるか不透明であることから、船主が拡張後のパナマ運河に最適化さ
れたコンテナ船の発注に足踏みすることも考えられる。パナマ運河庁に対してこの制限
の見直しを求めて強い圧力がかけられている。この点がはっきりしない限り、結果的に
最適サイズ以下となる可能性のある船舶を船主が発注することをためらうのは当然であ
る。
さらに、パナマ運河通航船舶の相当な部分が今後も既存の閘門を利用するという事実
がある。パナマ運河庁は既存の閘門と新閘門をどのような形で機能させるかについての
方 針 を 明 ら か に し て い な い が 、船 幅 32.3 メ ー ト ル を 超 え る 船 舶 は 新 閘 門 を 使 用 し 、32.3
メートル以内の船舶は既存閘門を利用すると考えるのが論理的であろう。そのため、現
行のパナマックス・サイズに収まる船舶の建造需要も継続して存在すると考えられる。
より広い観点からは、現在の経済環境を考慮して、船主が新造船の発注を控える傾向
はますます高まっており、新造需要の低迷により建造船台を確保するプレッシャーは消
滅した。これが拡張後のパナマ運河通航に最適化された船舶の受注残高の増加を遅らせ
ることが考えられる。
またパナマ運河拡張プロジェクトは、少なくとも理論的には、将来の海上輸送を取り
扱うために必要な船舶数を減らすことになることに留意するべきである。最終的に、新
閘門を通過することのできる最大サイズにコンテナ船、バルクキャリア、タンカー、そ
の他の種類の船舶が大型化されれば、小型の船舶の積荷を奪うことになる。たとえば小
型 の ケ ー プ サ イ ズ・バ ル ク キ ャ リ ア は 現 在 の パ ナ マ ッ ク ス 型 バ ル ク キ ャ リ ア よ り も 50%
大 き い 。他 の 条 件 が 同 じ と 仮 定 す る と 、パ ナ マ ッ ク ス 型 バ ル ク キ ャ リ ア 3 隻 分 の 積 荷 を
小型のケープサイズ・バルクキャリア 2 隻で輸送することができる。そのため、拡張後
のパナマ運河に最適化された船舶設計を保有する造船所にとっては市場機会が開かれる
一方で、既存の設計に焦点を当てつづける造船所の市場は侵食されることになる。
- 56 -
この報告書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました。
パナマ運河拡張が世界の海運・造船
産 業 に 与 え る 影 響 に 関 す る 調 査
2009 年 ( 平 成 21 年 ) 3 月 発 行
発行
社団法人 日本中小型造船工業会
〒 105-0001
東 京 都 港 区 虎 ノ 門 1-15-16 海 洋 船 舶 ビ ル
TEL 03-3502-2063
FAX 03-3503-1479
本書の無断転載、複写、複製を禁じます。
パナマ運河拡張が世界の海運・造船産業に与える影響に関する調査
二〇〇九年三月