- 1 - 今日は、「いのちのお話」をします。 日野原重明さんというお医者さん

今日は、「いのちのお話」をします。
日野原重明さんというお医者さんが書かれた本を読んで、なるほどと思ったことを皆さ
んに伝えます。
まず、本を書かれた日野原先生について少し紹介をします。
日野原先生は、今105才です。1911年山口県に生まれ、京都大学を卒業されお医
者さんとして活躍してこられました。今も現役のお医者さんです。それに加え全国各地
をまわって小学生に「いのちの授業」をされています。
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いのちとは、なんでしょう。
この質問をすると、「心臓」という答えが一番多く返ってきます。
心臓は、どこにありますか?
いのちは心臓にあるとおもっている人は多いでしょう。でも、心臓はポンプです。
心臓は、私たちがすった息の中の酸素や腸から吸収した栄養素を血液といっしょに、体
全体に送り続けている、いのちを動かす役割を果たすもので、いのちそのものとはいえ
ません。
2 心臓について少し勉強しましょう。
心臓の大きさは、どのくらいか知っていますか?
心臓の大きさは、その人の拳の大きさと同じくらいです。
10才の子どもだと、レモンぐらい。大人だとマンゴーぐらい。心臓をたくさん使うマ
ラソン選手、あの高橋尚子選手の心臓は、グレープフルーツぐらいあるそうです。
心臓の音を聞いたことがありますか?
親指側の手首のはしに、もう一方の手の人差し指・中指・薬指の三本をそろえて軽く当
ててみてください。指先に規則正しいリズムを感じるでしょう。これが、脈です。この
回数が心臓が血液を送り出す回数と同じです。
脈を感じることはできましたか?
生まれたばかりの赤ちゃんは1分間に130回ぐらい脈を打ちます。成長すると脈はだ
んだん少なくなってきます。
10才で、80回ぐらいです。大人になると70回ぐらいになります。100才では、
60回ぐらいです。
小さい動物の心臓は早く打ちます。うさぎやねずみは1分間になんと200回。
では、象はどうでしょう?
だいたい25回ぐらいだそうです。
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心臓はポンプです。いのちを動かす役割を果たすものす。
だから、いのちではありません。
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もう一度いのちとはなんでしょう?
では、もう一度考えてみてください。
いのちとは、何なのでしょう。
たとえば、風は見えますか?風を見ることはできませんね。でも、木の枝がゆれたり、
するのをみると、風が吹いていることがわかります。ゆれる木の枝が、「風がふいてい
るよ。」と教えてくれるのです。
いのちも見ることはできませんが、風と木の関係のように、見えなくても教えてくれる
ものがあります。
そのヒントは、あなた達のもっている時間の使い方にあります。
あなたたちの持っている時間があなたたちのいのちといえるのです。
君が、自分お時間を使って野球をしている。それを見て、
君は、生きている、
いのちを持っているとわかるのです。
いのちは、時間。いのちは、自分が使える時間。
今から50年前の日本人の平均寿命は69才でした。100才以上の人は153人しか
いませんでした。今は、82才です。100才以上の人は、なんと2万8千人もいます。
50年前より12年も長く生きられるようになったのです。12年いのちがのびたとい
う言い方もできますね。医学の進歩はすばらしいですね。
「 いのちは、時間なんだ」確かにその通りです。
でも、たとえばその12年間という「いのちの時間」を寝てばかりで過ごすのと、あち
こちへ旅をしたり、いろいろな人と友だちのなったりして過ごすのとは、全く違います
ね。
1時間自由に使える時間があると考えてみてください。
ぼんやりすごしてもいい
友だちと遊ぶために使ってもいい
お母さんのお手伝いをしてもいいし
公園にすてられたゴミをひろってもいい
同じ1時間でも使い方はいろいろです。
自分の持ち時間の使い方には、いろいろあるのです。
ですから、いろいろある時間の中で
「いのちとは、あなた達が使える時間」だと、みなさんに伝えたいのです。
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皆さんは今、自分の持ち時間のすべてを自分にために使っています。
お父さんやお母さんはどうでしょう。皆さんのために働いたり、ご飯を作ったり、PT
Aのお仕事をしたりしているでしょう。先生達もそうす。学校にきて、自分のことばか
りしている先生はいないよね。みんなのために、自分の時間を使っていますよね。大人
になると、そういう時間が増えてきます。
さて、今日は「いのちとは、自分で使える時間」というお話をしました。
そこで宿題です。大きな宿題です。
1日の中で少しでも、自分以外の人のために、自分の時間を使ってみてください。
そして、あなた達が20才になったとき、自分はどんなことに時間を使っているのかと
考えてみてください。それは、自分のいのちをどのように使うかを考えるということな
のです。
20才、成人を迎えるとは、大人になるとは、自分が一人で考えて自分の時間の使い方
を決められる大人になるということなのです。
いのちは、いつまでもつづくものではありません。長い時間いのちを持つことができる
人もいれば、少ない時間しか生きられない人もいます。急に、自分のいのちを無くして
しまうひともいます。
今ある自分の時間は、無限大ではありません。
あったあたり前のいのちの時間、自分の使える時間なので、あらためてその使い方を考
えることはしませんが、今日の先生のお話を思い出して、自分の持ち時間をどのように
使ったらいいのかなと考えてみてください。
いのちは、時間
いのちは、自分が使える時間
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