緩和ケア通信 No.4(2013年8月号)

No.4
~ The Same Direction ~
「星の王子様」の作者であり、パイロットでもあったサン=テグジュペリ。
44歳で戦死した彼は、パイロットとしての劇的な経験を克明に記した「人間の土地」の中で、
“愛し合うということは、二人で見つめ合うことじゃない。二人で同じ方向を見ることだ。”
と綴っています。
何を見るかは様々だと思いますが、同じ景色をみて共有する時間は
何ものにも代えがたいということでしょうか。
Dr.牧野の一口メモ
記憶
<ナロキソン>
モルヒネをはじめとするオピオイドの拮
抗薬であるナロキソン。
この薬は、オピオイドによって生じた呼
吸抑制などの副作用を速やかに改善し
ます。
しかしナロキソンの半減期は約1時間と
短いため、ナロキソンの作用が切れた
あと、再びオピオイドの副作用が出現し
てしまい、危険なことがあります。
ですからナロキソンの投与後も注意が
必要です。
永六輔さんの著書「お話供養」のなかで紹介されて
いるいずみたくさんは「手のひらを太陽に」、
「見上げてごらん夜の星を」、「いい湯だな」、
「夜明けのスキャット」など、よく耳にする歌を
たくさん作っておられます。
普通の人は、形あるものをたくさん残すことはむず
かしいかもしれません。しかし仮に多くのものを残
せなくても、その人にまつわる何かが誰かの記憶に
残っていれば、その人の心は生き続けているという
気がします。
芸術家の命は・・・
フランス映画「モンパルナスの灯」では、
35歳で夭折したイタリア出身の画家モディリアーニの
悲しい人生が描かれています。
一度見たら忘れられないモディリアーニの絵は、
彼が亡くなってからしかその価値は認められませんでした。
演じたのはフランスの名優ジェラール・フィリップですが、
彼もまた36歳の若さで肝臓がんのためにこの世を去りました。
一度ご覧に
なってはいか
かでしょうか?
「
サヨナラ」ダケガ人生ダ
この言葉は時々
耳にすることがあると思います。
これは井伏鱒二が
厄除け詩集の中で、
干武陵
漢詩を訳した中の一文です。
酒勧
勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ