ロシア国際教育会議で本学職員が講演

2009/07/24
ロシア国際教育会議で本学職員が講演
7月1日から4日にかけて本学ロシア協定校のブリヤート国立大学(本学窓口:人
文学部・中村唯史准教授)で開催された第3回国際会議「教育と国際化」に山形大学
が招待され、桑村国際化主幹が出席し講演活動等を行いました。ブリヤート国立大学
(BSU)のあるブリヤート共和国ウランウデ市は、世界最深のバイカル湖に近い風光
明媚なシベリアの主要都市で、1991年より山形市の姉妹都市となっています。BSUは
1932年に教育院として創立し、現在では人文・社会科学、自然科学、医学等15学部を
擁するシベリア屈指の総合大学に成長しています。特に言語学・教育学・心理学系分
野に伝統があり、外国語学部では主要・少数言語等様々な言語が学ばれている他、東
洋学部では現在
約100名の学生が日本語を勉強しています。
今回の国際会議はロシア連邦教育局ロシア教育アカデミー、ブリヤート共和国教育
科学省、およびブリヤート国立大学の共催で実施され、同アカデミー高官、同省前次
官、BSUクリマイコフ学長はじめロシア諸大学学長・教職員・学生、およびロシア各
地および欧州・アジア・米国の高等教育機関からの国際教育関係者・地元学生等数百
名が出席し、基調講演、分科会、レセプション、学生による民族舞踊、バイカル湖畔
懇親会等が行われ、参加者同士が自然に親交を深めていく形式で進められました。
初日は、チベット仏教寺院での指導者・学生との懇談と同寺院の見学で過ごした後、
2日目の全体会議では、桑村国際化主幹が「日本留学と必要言語能力」と題して日本
の高等教育の紹介と山形大学の事例を交えた英語での講演を行いました。講演後、参
加者からの相次ぐ質問や地元テレビ局等メディアからの連日の取材に応じ、日本の高
等教育等についての関心の高さが伺われました。
同日夜の学生によるブリヤート共和国等の民族舞踊と歌のコンサートでは、色鮮やかな
衣装を纏い、ユニークな小道具を見事に使いこなす踊り子たちや声量のある歌い手の表現
力、エネルギッシュな躍動感、そして技量の高さに、少数民族の文化継承に対する真摯な
態度と情熱を肌身に感じさせる内容でした。
最後に、バイカル湖畔での交流会では、懇親会やレクリエーション活動を通じて、イン
フォーマルな形で自然に親交が深められました。その中で、今回の国際会議のコーディネ
ーターを務めたブリヤート国立大学理学部長から本学での次回国際会議開催時の来学希望
や、イルクーツク国立大学(ロシア)、モンゴル国立大学、およびチタ国立大学教授(ロシ
ア)からスポーツ科学、幼児児童教育等の分野での交流の打診がありました。帰国後、早
々にカルマイコフ学長よりお礼状を頂戴しています。今回のロシア訪問は、同国および極
東・中央アジア諸国、欧州諸国の高等教育機関等との関係強化やネットワークの拡大によ
る山形大学・地域の国際化への寄与という意味で大変有意義なものとなりました。
● ブリヤート国立大学(BSU)、ウランウデ市との交流経緯
・ 1991 年、山形市とウランウデ市が姉妹都市の盟約を締結。以後 2006 年まで 10 回にわ
たり、両市の職員や市民が相互訪問し、交流を深める。
・ 2001 年、山形・ウランウデ友好協会設立(山形市)
・ 2003 年、人文学部人間科学学科松尾剛次教授が山形大学として BSU を初めて訪問し、
日本仏教についてロシア人学生に講義。
・ 同年、山形大学人文学部と BSU 東洋学部が学部間交流協定を締結。
・ 同年夏、バイカル湖夏期サマーキャンプに本学人文学部教員 4 名(福山泰男教授、洪
慈
乙教授、中村唯史准教授、相澤直樹准教授)および学生 10 名が参加し、文化交流や両
大学教員による講義を通じて、両国の知見や親交を深める。
・ 2005 年、本学人文学部が BSU 教員と東洋学部学生 11 名受け入れ、短期研修を実施。
講義やスポーツ等交流活動で更に親交を深める。
・ 2006 年、BSU と大学間交流協定の締結。中村唯史教授が窓口教員として交渉にあたる。
・ 2007 年、第1回アジアネットワーク会議(本学開催)にカルムイコフ学長等 2 名招聘。
・ 同年、本学から BSU へ第一期交換留学生 2 名派遣すると共に、BSU より大学院社会文
化システム研究科修士課程へ1名受け入れ。
・ 2008 年、BSU より大学院社会文化システム研究科修士課程へ 2 名受け入れ。
・ 2009 年、本学職員の国際会議参加および講演。
● ロシアについて
日本とロシアとの国交は 150 年以上にも及び、最近では宮城県がロシア極東地域との経
済交流を進めるなど東北地方でも自治体ベースの極東外交が動き出しています。ロシアと
の交流言語は、現地での英語話者がまだ少ないためロシア語中心となり、BRIC 諸国の一角
を占めるロシアの公用語を習得した人材は今後貴重な戦力として活躍の場が得られるでし
ょう。山形大学では、ロシア文学・文化専門の教員(前述)が在籍しており教養教育課程
でレベル別ロシア語コースも開講していますので、極東地域に興味がある方は、受講して
みて下さい。ロシア語の文字と発音は英語に近い為、学習しやすい言語かもしれません。
ロシアの物価は、日本の約 3 分の1で、日本から 1 学期か 1 年の短期留学をする場合は、
往復渡航費込みでも生活費の負担が日本よりかなり軽減されます。また、BSU は山形大学
の大学間協定校なので推薦を受ければ文部科学省の短期留学奨学金(月 80,000 円)の応募
資格も得られますので、BSU の授業料を納めても、十分メリットがあるでしょう。
本学協定校 BSU のあるシベリア地方は距離的に近く時差も 0~1 時間です。ただ、ウラ
ンウデ市(英 Ulan-Ude・露 Улан Удэ)までの交通は、航空便数と出発時間が限られ
ているため片道 1 泊必要です。行き方は、新潟空港からハバロフスク又はウラジオストク
経由でロシア国内航空・シベリア鉄道を利用する方法と、成田空港からウランバートル(モ
ンゴル)経由で国境越え鉄道利用の 2 通りあり、入国にはビザが必要となります。
●写真集
ブリヤート国立大学本部建物入口(左から東洋学部マリーナ・ジャンツァーノヴァ日本語科主任、
独クンブルック教授(講演者)、独語専攻学部生)
講演後、イルクーツク国立大学プロハドーフスカヤ教授と
バイカル湖畔での交流(ウランウデより車で 2 時間)
カルマイコフ学長と記念写真(学長主催懇親会の席で)
レーニン頭像の前で国際部ディレクターと
(ウランウデ市レーニン広場)
ブリヤート国立大学学生による見事な民族舞踊
ウランウデ目抜き通り(歩行者天国)
ウランウデ駅(シベリア鉄道)
道中のイルクーツク市にて
チベット仏教寺院(ウランウデ市南郊外)
シベリア鉄道車内(イルクーツク・ウランウデ間)