AX シリーズ フォールト・トレラント・ネットワーク 導入ガイド 第 3 版 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) はじめに 本資料は、AX6000S ファミリーで構成されるフォールト・トレラント・ネットワーク(以下 FT ネットワーク)のシステム 導入に役立てるものとして、FT ネットワークの動作概要、構築方法、運用管理などについて記載しています。 関連資料 ・ AXシリーズ製品マニュアル(http://www.alaxala.com/jp/techinfo/manual/index.html) ・ 【ホワイトペーパー】 「止まらないシステム」を実現する アラクサラネットワークスのフォールト・トレラント・ ネットワーク (http://www.alaxala.com/jp/solution/archive/ftn/pdf/white_paper_FT_network_R1.0.pdf) ・ AX シリーズ SML 活用ガイド ~ 大規模なフォールト・トレラント・ネットワークへの適用 ~ 本資料使用上の注意事項 本資料に記載の内容は、弊社が特定の環境において基本動作を確認したものであり、機能・性能・信頼性につ いてあらゆる環境条件すべてにおいて保証するものではありません。弊社製品を用いたシステム構築の一助とし ていただくためのものとご理解いただけますようお願いいたします。 なお本資料作成時の OS ソフトウェアバージョンは特記の無い限り以下となっております。また AX6600S につい ては、Ver.11.1 以降のサポートとなります。 AX6700S,AX6600S,AX6300S Ver.11.1 AX3600S,AX2400S Ver.11.1.B 本資料の内容は、改良のため予告なく変更する場合があります。 輸出時の注意 本資料を輸出される場合には、外国為替および外国貿易法ならびに米国の輸出管理関連法規などの規制をご 確認の上、必要な手続きをお取りください。 商標一覧 ・ アラクサラの名称およびロゴマークは、アラクサラネットワークス株式会社の商標および登録商標です。 ・ Ethernetは、米国Xerox Corp.の商品名称です。 ・ イーサネットは、富士ゼロックス(株)の商品名称です。 ・ そのほかの記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 2 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 改訂履歴 版数 初版 第2版 第3版 rev. - - Copyright © 2008-2011, 日付 変更内容 2008.11.21 初版発行 2009.07.24 FTスイッチ AX6000Sファミリのラインアップ図を追加 AX6600Sの構成 項追加 AX6300Sの構成 項追加 AX6600SとAX6300Sの障害時と復旧時の動作を追加 FTネットワークのシステム適用例についてAX6608S、 AX6308Sを追加 AX6600SとAX6300Sの構築のポイントを追加 AX6600SとAX6300Sのコンフィグレーション例を追加 FTネットワークの応用例についてサーバファームスイッ チをAX6600Sに変更 ・AX6700Sの冗長ステータスでLED状態図と動作状態 一覧を追加 ・AX6600SとAX6300Sの冗長ステータスを追加 ・冗長構成における運用系と待機系の系情報不一致に ついて追加 5章 新規追加 AX6700S・AX6600S・AX6300Sの差分を追加 6章 新規追加 注意事項を追加 AX6600SとAX6300Sのコンフィグレーションファイルを 追加 2011.03.11 FTネットワーク応用例のAX6300Sの搭載NIFを変更 系切替の実行間隔についての注意事項を追加 AX6300Sに関する注意事項を追加 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 変更箇所 2.1 2.3 2.4 2.5 3.1 3.2 3.3 3.4 4.1 5 6 付録 3.4 6.1 6.3 3 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 目次 1. FTネットワークとは .....................................................................................................5 1.1 FTネットワークの概要 ....................................................................................................................5 1.2 FTネットワークの特徴 ....................................................................................................................5 2. FTスイッチの概要 ......................................................................................................7 2.1 FTスイッチAX6000Sファミリ...........................................................................................................7 2.2 AX6700Sの構成...........................................................................................................................8 2.3 AX6600Sの構成.........................................................................................................................10 2.4 AX6300Sの構成.........................................................................................................................12 2.5 FTスイッチの障害時と復旧時の動作............................................................................................14 3. FTネットワークのシステム適用例 ...............................................................................15 3.1 FTネットワークのシステム構築例..................................................................................................15 3.2 構築のポイント.............................................................................................................................19 3.3 コンフィグレーション例 .................................................................................................................21 3.4 FTネットワークの応用例...............................................................................................................24 4. 運用管理................................................................................................................26 4.1 冗長構成での運用コマンド ..........................................................................................................26 4.2 ソフトウェアの無停止アップデート.................................................................................................36 4.3 トラブルシューティング .................................................................................................................38 5. AX6700S・AX6600S・AX6300Sの差分 ..................................................................42 5.1 主な仕様比較 .............................................................................................................................42 5.2 各シリーズの冗長動作.................................................................................................................43 6. 注意事項................................................................................................................44 6.1 AX6000Sファミリ共通の注意事項 ................................................................................................44 6.2 AX6700Sに関する注意事項 .......................................................................................................45 6.3 AX6600Sに関する注意事項 .......................................................................................................45 6.4 AX6300Sに関する注意事項 .......................................................................................................45 付録. コンフィグレーションファイル...................................................................................46 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 4 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 1. FTネットワークとは 1.1 FTネットワークの概要 従来のダイナミック・ルーティングで制御されるネットワークに対して、システム全体を安定させるグレースフ ル・リスタートと、装置(スイッチ)自体の障害耐性を高めたフォールト・トレラント・スイッチ(以下 FT スイッチ)とい う、2 つの要素を追加することで FT ネットワークは構成されます。 z z グレースフル・リスタート【障害の局所化】 障害時に発生する経路情報の再計算処理を、障害発生装置のみに限定化(局所化)する機能。障害 の影響を他の装置に波及させないことで、システムの安定化を図ることができる。 FT スイッチ【障害箇所の高速切替】 装置 2 台の機能を 1 台に実装することで、装置単体の可用性を高めたスイッチ。装置内での高速・確実 な切り替えにより、通信に影響を与えず瞬時復旧する。STP や VRRP などの、装置や回線を冗長化す るためのプロトコルが不要になるため、システムをシンプル化できる。 グレースフル・リスタートで 障害を該当装置に閉じ込める 障害 周辺装置は影響を受けずに 動作を継続する 障害装置はFTスイッチの装置内切替で 障害から瞬時復旧する 図 1.1-1 1.2 フォールト・トレラント・ネットワークの概要 FTネットワークの特徴 フォールト・トレラント(耐障害性)という名称が意味する通り、障害が起きても動作を継続し続けることができ、 以下のようなメリットがあります。 z z z z z z z グレースフル・リスタートにより、ダイナミック・ルーティングのメリットを活かしながら、ネットワーク全体を 安定化できる 2 台の機能を 1 台に実装しているので、装置台数を削減できる上に、冗長化の面倒な設定やチューニ ングをしなくても高速・確実に切り替わる 回線の冗長化は STP ではなくリンクアグリゲーションによって行うため、ループ障害から解放される ゲートウェイ冗長プロトコル(VRRP など)が不要になるため、装置のバタツキ障害(フラッピング)から解 放される 装置台数と使用プロトコルが減少するので、ネットワークがシンプルになって運用管理コストを低減でき る 無停止バージョンアップが可能 モジュール交換作業時も通信が止まらない(無停止保守が可能) 以上の通り、シンプルさや高可用性を備えた FT ネットワークは、ミッションクリティカル性を求められるシステ ムに適しています。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 5 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 従来の冗長ネットワーク フォールト・トレラント・ネットワーク リンクアグリゲーション FT スイッチ (LAG) OSPF + グレースフル リスタート FT スイッチ FT スイッチ LAG 複雑でトラブルの多いネットワーク シンプルで運用が楽なネットワーク FTスイッチ 運用系 待機系 CPU CPU エンジン エンジン 回線 回線 1台で2台分の機能を実現し 冗長性を確保 図 1.2-1 Copyright © 2008-2011, 従来の冗長ネットワークとフォールト・トレラント・ネットワークの比較 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 6 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 2. FTスイッチの概要 2.1 FTスイッチAX6000Sファミリ アラクサラの提唱する FT ネットワークの基幹となる FT スイッチ AX6000S ファミリとして、AX6700S、 AX6600S、AX6300S の各シリーズをラインアップしています。 性能・機能 AX6708S AX6700Sシリーズ AX6608S AX6604S AX6600Sシリーズ AX6308S AX6304S AX6300Sシリーズ 図 2.1-1 Copyright © 2008-2011, FT スイッチ - AX6000S ファミリ ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 7 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 2.2 AX6700Sの構成 AX6700S のハードウェア構成と冗長概要について解説します。AX6700S に搭載されるモジュールは以下 のとおりで、全てのモジュールが冗長化可能です。 表 2.2-1 AX6700S のモジュール一覧 # 1 2 3 4 5 モジュール種別 概要 CPU 等が搭載され、ソフトウェアが動作します。 BCU (基本制御機構) BSU (基本スイッチング機構) NIF (ネットワークインタフェース機構) PS (電源機構) FAN (ファンユニット) 最大搭載数 2 パケット転送処理を行います。 3 回線(インタフェース)を収容します。 8 電源の供給を行います。 1 つのモジュールに、3 個のファンが実装されていま す。 8(AC) 4(DC) 4 また図 2.2-1に示すとおり、BCU/BSU/NIFは装置前面に、PSとFANは装置背面に実装する構造になって います。 BCU(1系) BCU(2系) PS(スロット1) NIF(スロット1) NIF(スロット2) PS(スロット2) NIF(スロット3) NIF(スロット4) PS(スロット3) BSU(1系) PS(スロット4) BSU(2系) PS(スロット5) BSU(3系) PS(スロット6) NIF(スロット5) NIF(スロット6) PS(スロット7) NIF(スロット7) NIF(スロット8) PS(スロット8) 前面 図 2.2-1 FAN 1 FAN 2 FAN 3 FAN 4 背面(AC電源搭載時) AX6700S モジュール搭載位置 AX6700Sのハードウェア構成例を図 2.2-2に示します。電源(PS)はAC電源の場合、標準構成で 4 ユニット から構成されます。PSを冗長構成にするには、予備電源として 4 ユニット追加します。ファンユニット(FAN)は 4 つのユニットが筐体に搭載され、ユニット内の 1 個のファンが故障しても装置は運転を継続します。 基本制御機構(BCU)は、1+1 の冗長構成です。基本スイッチング機構(BSU)は、シングルアクト運転、ダブル アクト運転、トリプルアクト運転によりスケーラブルにスイッチング容量を拡張することができます。また運用系 (ACT)の他に一つ以上の BSU を待機系(SBY)として構成することも可能です。BSU で障害が発生した場合は、 待機系の BSU があればその BSU が運用系に切り替わります。待機系がない場合も縮退して動作を継続しま す。 ネットワークインタフェース機構(NIF)には BCU/BSU のような運用系/待機系という概念がありませんが、同 一のモジュールを 2 枚搭載した上で、NIF 間でのリンクアグリゲーションを設定することで冗長化が可能です。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 8 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) ACT コントロール部 系切替 電源 SBY PS BCU(2系) BCU(1系) PS 標準電源 PS PS フォワーディング部 ACT SBY ACT BSU(1系) BSU(2系) BSU(3系) ネットワーク インタフェース NIF PS 予備電源 PS PS 系切替 NIF PS NIF FAN FAN FAN FAN 図 2.2-2 AX6700S ハードウェア構成例 (BSU 2+1 冗長 ダブルアクト運用) AX6700S シリーズはこのようにコントロール部とフォワーディング部について、BCU と BSU という物理的にも 論理的にも完全に独立した構成をとることにより、どのような障害に対しても高速かつ安定した系切り替えを実 現します。BCU、BSU いずれも冗長構成が可能な耐障害性に加え、各モジュール毎に容易に交換が可能な 高い保守運用性、要求性能に応じて BSU の構成を選択できる柔軟なスケーラビリティ、そして日々の要求能力 に応じた省エネ運用も可能なダイナミック省電力機能を備えており FT スイッチのフラッグシップ的なモデルと なっています。 BSU の運転モードを以下に示します。指標として 1GbE 中心でシステムを構成する場合はシングルアクト運 転の 1+1 冗長構成、10GbE 中心または性能重視でシステムを構成する場合はダブルアクト運転の 2+1 冗長 構成およびトリプルアクト運転を推奨します。 表 2.2-2 BSU 運転モード 運用形態 シングルアクト ダブルアクト トリプルアクト Copyright © 2008-2011, 概要 BSU×1 アクティブ BSU×2 アクティブ BSU×3 アクティブ 最大スイッチング容量 384Gbps 768Gbps 1.15Tbps ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 推奨冗長構成 1+1 冗長:1 枚スタンバイ 2+1 冗長:1 枚スタンバイ 3 枚アクティブ 9 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 2.3 AX6600Sの構成 AX6600S のハードウェア構成と冗長概要について解説します。AX6600S に搭載されるモジュールは以下 のとおりで、全てのモジュールが冗長化可能です。 表 2.3-1 AX6600S のモジュール一覧 # モジュール種別 概要 1 CSU (制御スイッチング機構) NIF (ネットワークインタフェース機構) PS (電源機構) FAN (ファンユニット) CPU および PSP(※1)が搭載され、ソフトウェアの 動作およびパケット転送処理を行います。 回線(インタフェース)を収容します。 AX6700S で使用する NIF と共通です。 電源の供給を行います。 2 3 4 最大搭載数 AX6608S AX6604S 2 1 つのモジュールに、3 個のファンが実装されてい ます。 8 4 4(AC)/2(DC) 3 2 (※1) PSP(Packet Switching Processor)は CSU の一部分でパケット転送処理を行う部分です。 また図 2.3-1に示すとおり、CSU/NIFは装置前面に、PSとFANは装置背面に実装する構造になっていま す。 AX6608S NIF(スロット1) NIF(スロット3) NIF(スロット2) PS(スロット1) NIF(スロット4) PS(スロット2) CSU(1系) PS(スロット3) CSU(2系) PS(スロット4) NIF(スロット6) PS(スロット5):未使用 NIF(スロット7) NIF(スロット8) PS(スロット6):未使用 NIF(スロット1) NIF(スロット2) PS(スロット1) NIF(スロット5) FAN 1 FAN 2 FAN 3 AX6604S CSU(1系) PS(スロット2) CSU(2系) PS(スロット3) NIF(スロット4) NIF(スロット3) 前面 図 2.3-1 PS(スロット4) FAN 1 FAN 2 背面(AC電源搭載時) AX6600S モジュール搭載位置 AX6600Sのハードウェア構成例を図 2.3-2に示します。電源(PS)はAC電源の場合、標準構成で 2 ユニット (AX6608S/AX6604S共 通) から構 成されます 。 PSを 冗長 構成にす るに は 、予 備電 源 とし て 2 ユニ ット (AX6608S/AX6604S共通)追加します。ファンユニット(FAN)は 3 つのユニット(AX6608S)または 2 つのユニット (AX6604S)が筐体に搭載され、ユニット内の 1 個のファンが故障しても装置は運転を継続します。 制御スイッチング機構(CSU)は、コントロール部(CPU)とフォワーディング部(PSP)の 2 つの部位から成ります。 CPU は 1+1 の冗長構成となりますが、PSP は シングルアクト運転、ダブルアクト運転によりスケーラブルにスイ ッチング容量を拡張することができます。また運用系(ACT)の他に一つ以上の PSP を待機系(SBY)として構成 することも可能です。PSP で障害が発生した場合は、待機系 PSP が運用系に切り替わります。待機系がない 場合も縮退して動作を継続します。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 10 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) ネットワークインタフェース機構(NIF)には CSU のような運用系/待機系という概念がありませんが、同一のモ ジュールを 2 枚搭載した上で、NIF 間でのリンクアグリゲーションを設定することで冗長化が可能です。 電源 コントロール部 CSU(1系) CSU(2系) ACT CPU フォワーディング部 標準電源 PS SBY PS CPU 系切替 PS ACT ACT PSP PS 予備電源 PSP FAN FAN FAN ネットワーク インタフェース NIF NIF NIF 図 2.3-2 AX6608S ハードウェア構成例 (CSU ダブルアクト運用) 以上のように AX6600S シリーズでは CSU として、コントロール部(CPU)とフォワーディング部(PSP)が物理的 にまとまった構成となっていますが、それぞれで独立した運用制御が可能なため、AX6700S シリーズ譲りの高 い転送性能とモジュール数低減による省スペースおよびコストに対するパフォーマンスを両立したバランスの取 れたモデルとなっています。またダイナミック省電力機能も備えています。 CSU の運転モードを以下に示します。指標として 1GbE 中心でシステムを構成する場合はシングルアクト運 転、10GbE 中心または性能重視でシステムを構成する場合はダブルアクト運転を推奨します。 表 2.3-2 CSU 運転モード 運用形態 シングルアクト 概要 PSP×1 アクティブ 最大スイッチング容量 192Gbps ダブルアクト PSP×2 アクティブ 384Gbps 冗長方式 1+1 冗長:1 枚スタンバイ (CPU 部は 1+1 冗長) 2 枚同時アクティブ。1 枚に障害発生 した場合、縮退運転で通信継続 (CPU 部は 1+1 冗長) ※ 最大スイッチング容量は AX6608S 時 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 11 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 2.4 AX6300Sの構成 AX6300S のハードウェア構成と冗長概要について解説します。AX6300S に搭載されるモジュールは以下 のとおりで、全てのモジュールが冗長化可能です。 表 2.4-1 AX6300S のモジュール一覧 # 1 2 3 4 モジュール種別 MSU (管理スイッチング機構) NIF (ネットワークインタフェース機構) PS (電源機構) FAN (ファンユニット) 概要 最大搭載数 AX6308S AX6304S CPU および PSP(※1)が搭載され、ソフトウェア の動作およびパケット転送処理を行います。 回線(インタフェース)を収容します。 2 8 電源の供給を行います。 4(AC)/2(DC) 1 つのモジュールに、3 個のファンが実装されて います。 3 4 2 (※1) PSP(Packet Switching Processor)は MSU の一部分でパケット転送処理を行う部分です。 また図 2.4-1に示すとおり、MSU/NIFは装置前面に、PSとFANは装置背面に実装する構造になっていま す。 AX6308S NIF(スロット1) NIF(スロット2) PS(スロット1) NIF(スロット3) NIF(スロット4) PS(スロット2) MSU(1系) PS(スロット3) MSU(2系) PS(スロット4) NIF(スロット5) NIF(スロット6) PS(スロット5):未使用 NIF(スロット7) NIF(スロット8) PS(スロット6):未使用 NIF(スロット1) NIF(スロット2) PS(スロット1) FAN 1 FAN 2 FAN 3 AX6304S MSU(1系) PS(スロット2) MSU(2系) PS(スロット3) NIF(スロット3) NIF(スロット4) 前面 図 2.4-1 Copyright © 2008-2011, PS(スロット4) FAN 1 FAN 2 背面(AC電源搭載時) AX6300S モジュール搭載位置 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 12 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 電源 MSU(1系) コントロール部 MSU(2系) ACT SBY CPU フォワーディング部 PS 系切替 CPU PS ネットワーク インタフェース NIF NIF 予備電源 PS PSP PSP 標準電源 PS NIF FAN FAN FAN 図 2.4-2 AX6308S ハードウェア構成例 AX6300S シリーズは MSU として、コントロール部(CPU)およびフォワーディング部(PSP)を物理的にも論理 的にもまとめた構成となっており、AX6600S シリーズと同様なハードウェア構成となっています。MSU として搭 載モジュールの低減を図り、MSU の実装枚数が 1 枚であれば一重化で動作し、MSU の実装枚数が 2 枚であ れば待機系としての二重化構成として動作するというシンプルな冗長機能によるコストパフォーマンスを優先し たモデルとなっています。 AX6300S シリーズでは、可用性を高めるため、MSU は 2 枚搭載して運用することをお勧めします。また指標 として 1GbE 中心でシステムを構成する場合にお勧めします。 表 2.4-2 MSU 運転モード 運用形態 概要 MSU 二重化 PSP×1 アクティブ ※ 最大スイッチング容量は AX6308S 時 Copyright © 2008-2011, 最大スイッチング容量 192Gbps ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 冗長方式 1+1 冗長:1 枚スタンバイ 13 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 2.5 FTスイッチの障害時と復旧時の動作 FT スイッチの障害部位と障害時の動作、復旧時の動作および通信への影響についてまとめます。以下につ いては、コントロール部・フォワーディング部・電源が冗長構成、NIF はリンクアグリゲーションで構成することが 前提となります。 表 2.5-1 障害時と復旧時の動作 障害部位 障害時の動作 復旧時の動作 障害時の通信へ の影響 AX6700S BCU 運用系 BCU から待機系 BCU に系 切替を行ないます。 フレームロスなし AX6600S CSU(CPU) 運用系 CSU から待機系 CSU に系 切替を行ないます。 AX6300S MSU(CPU) 運用系 MSU から待機系 MSU に系 切替を行ないます。 AX6700S BSU AX6300S MSU(PSP) 運用系 BSU から待機系 BSU に系 切替を行います。トリプルアクト運 用の場合は縮退動作を行います。 運用系 CSU から待機系 CSU に系 切替を行います。ダブルアクト運用 の場合は縮退動作を行います。 運用系 MSU から待機系 MSU に系 切替を行います。 ネットワークインタフェース (NIF) リンクアグリゲーションの縮退動作 を行ないます。 ポート リンクアグリゲーションの縮退動作 を行ないます。 回線 リンクアグリゲーションの縮退動作 を行ないます。 該当 BCU は再初期化され、自動復 旧し待機系になります。(※1) (自動復旧は 6 回/1 時間まで) 該当 CSU は再初期化され、自動復 旧し待機系になります。(※1) (自動復旧は 6 回/1 時間まで) 該当 MSU は再初期化され、自動復 旧し待機系になります。(※1) (自動復旧は 6 回/1 時間まで) 該当 BSU は再初期化され、自動復 旧し待機系になります。(※1) (自動復旧は 3 回/1 時間まで) 該当 CSU は再初期化され、自動復 旧し待機系になります。(※1) (自動復旧は 6 回/1 時間まで) 該当 MSU は再初期化され、自動復 旧し待機系になります。(※1) (自動復旧は 6 回/1 時間まで) 該当する NIF は再初期化され、自動 復旧しリンクアグリゲーションが回復 します。(※1) (自動復旧は 3 回/1 時間まで) 該当するポートは再初期化され、自 動復旧しリンクアグリゲーションが回 復します。(※1、※2) 自動復旧はしません。 PS (電源) (1) 他電源の電力で継続して動 作します。 (2) 装置の運用に必要な電力が 供給されなくなると装置を停 止します。 (1) ファンユニット内の 1 個が故障 した場合、残りのファンを高速 にします。 (2) 同一ファンユニット内のうち 2 個以上故障した場合、5 分以 上その状態が継続すると装置 を停止します。 コントロー ル部 フォワーデ ィング部 AX6600S CSU(PSP) FAN (ファンユニット) (1) 自動復旧はしません。 (2) 装置が停止するため復旧はし ません。 (1) 自動復旧はしません。 (2) 装置が停止するため復旧はし ません。 フレームロスなし 50 ミリ秒以下の切 替時間 50 ミリ秒以下の切 替時間 50 ミリ秒以下の切 替時間 1 秒以下の切替 時間 1 秒以下の切替時 間。但し、NIF 種に より異なる。 1 秒以下の切替時 間。但し NIF 種によ り異なる。 1 秒以下の切替時 間。但し回線種によ り異なる。 (1) 通 信 へ の 影 響 なし (2) 装 置 が 停 止 す るため全通信 停止 (1) 通 信 へ の 影 響 なし (2) 装 置 が 停 止 す るため全通信 停止 (※1) コンフィグレーションコマンドで「no system recovery」を設定している場合は、自動復旧動は行ないませ ん。また自動復旧動作は、BCU/CSU/MSU では 1 時間以内に障害が 7 回,BSU、NIF およびポートの ハードウェア障害では 1 時間以内に 4 回障害が発生すると自動復旧は行ないません。 (※2) ポート障害には、リンク障害とハードウェア障害があります。リンク障害の自動復旧は無限回、ハードウェ ア障害の自動復旧は 3 回/1 時間までとなります。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 14 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 3. FTネットワークのシステム適用例 FT ネットワークのシステム構築について、構築のポイントおよび設定方法について説明します。 3.1 FTネットワークのシステム構築例 FT ネットワークの基本的な構成例を以下に示します。コア・ディストリビューションスイッチには、2 台の装置を 1 台に集約したシンプルな装置内冗長方式を採用した FT スイッチ(AX6700S、AX6600S、AX6300S)で構成 します。コア・ディストリビューションスイッチとサーバスイッチ間は OSPF とグレースフル・リスタートを併用し、シ ステムレベルでの信頼性を向上させます。またリンクアグリゲーションを使用することで回線部の冗長性を確保 します。 サーバファーム S1: AX3600S フォールト・トレラント ネットワーク リンクアグリゲーション リンクアグリゲーション 1GbE F1: AX2400S 1GbE サーバスイッチ OSPF OSPF ++ グレースフル・リスタート グレースフル・リスタート C1: AX6700S AX6600S AX6300S コア・ディストリビューション スイッチ 1GbE F2: AX2400S フロアスイッチ オフィス オフィス 図 3.1-1 FT ネットワーク構成例 コア・ディストリビューションスイッチの C1 装置を AX6700S、AX6600S、AX6300S それぞれで構成した場合 について、構成を解説します。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 15 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) FT ネットワーク構成例 (1) AX6700S 装置C1 にAX6708Sを使用した場合の物理接続図を図 3.1-2に示します。 装置内の冗長性を確保するため、BCU/BSU/NIF/PS(電源)は冗長構成とし、また BSU は 2 枚搭載の 1+1 冗長方式のシングルアクト運転で運用します。 172.16.100.0/24 S1: AX3630S 172.16.101.0/24 0/1 VLAN100 VLAN10 0/13 0/15 0/2 VLAN101 0/15 VLAN 10 1000BASE-T LAG10 10.0.0.0/8 C1: AX6708S BCU(1系) BCU(2系) NIF1 NIF2 1/1 < AX6700S 冗長構成 > 2/1 ¾ NIF5 5/1 BSU(1系) ACT BSU(2系) SBY 5/2 6/1 NIF6 ¾ 6/2 ¾ ¾ VLAN 20 BCU 二重化 BSU 運転モード:シングルアクト運転 搭載BSU:2枚 冗長方式:1+1冗長 NIF リンクアグリゲーション PS(電源) 4+4冗長 VLAN 30 192.168.100.0/24 192.168.101.0/24 LAG20 LAG30 1000BASE-X 1000BASE-X 0/3 F1: AX2430S VLAN20 0/1 0/4 0/3 0/4 F2: AX2430S VLAN30 0/1 図 3.1-2 装置 C1 に AX6708S を使用したケースの物理構成 製品略称 AX6708S PS-A11 BCU-S1 BSU-LA NK1G-24T NK1G-24S SFP-SX Copyright © 2008-2011, AX6708S 冗長構成時の使用モジュール 製品形名 製品説明 シャーシ筐体&FAN AX-6700-S08 電源 AX-F6300-1A11 コントロール部 AX-F6700-2S1 フォワーディング部 AX-F6700-3LA 1GbE UTP NIF AX-F6700-713T 1GbE 光 NIF AX-F6700-713S AX-F6244-3S1S 1000BASE-SX 用 SFP ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 数量 1 8 2 2 2 2 4 16 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) FT ネットワーク構成例 (2) AX6600S 装置C1 にAX6608Sを使用した場合の物理接続図を図 3.1-3に示します。 装置内の冗長性を確保するため、CSU/NIF/PS(電源)は冗長構成とし、また CSU は 2 枚搭載の 1+1 冗長方 式のシングルアクト運転で運用します。 172.16.100.0/24 S1: AX3630S 172.16.101.0/24 0/1 VLAN100 VLAN10 0/13 0/15 0/2 VLAN101 0/15 VLAN 10 1000BASE-T LAG10 10.0.0.0/8 C1: AX6608S 1/1 < AX6600S 冗長構成 > NIF2 2/1 NIF1 ¾ CPU-ACT CSU(1系) PSP-ACT CPU-SBY CSU(2系) PSP-SBY NIF5 5/2 6/1 NIF6 5/1 ¾ 6/2 ¾ VLAN 20 CSU 二重化(2枚搭載) 運転モード:シングルアクト運転 冗長方式 :1+1冗長 NIF リンクアグリゲーション PS(電源) 2+2冗長 VLAN 30 192.168.100.0/24 192.168.101.0/24 LAG20 LAG30 1000BASE-X 1000BASE-X 0/3 F1: AX2430S VLAN20 0/4 0/1 0/3 0/4 F2: AX2430S VLAN30 0/1 図 3.1-3 装置 C1 に AX6608S を使用したケースの物理構成 製品略称 AX6608S PS-A11 CSU-1A NK1G-24T NK1G-24S SFP-SX Copyright © 2008-2011, AX6608S 冗長構成時の使用モジュール 製品形名 製品説明 シャーシ筐体&FAN AX-6600-S08 電源 AX-F6300-1A11 コントロール部 & AX-F6600-41A フォワーディング部 1GbE UTP NIF AX-F6700-713T 1GbE 光 NIF AX-F6700-713S AX-F6244-3S1S 1000BASE-SX 用 SFP ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 数量 1 4 2 2 2 4 17 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) FT ネットワーク構成例 (3) AX6300S 装置C1 にAX6308Sを使用した場合の物理接続図を図 3.1-4に示します。 装置内の冗長性を確保するため、MSU/NIF/PS(電源)は冗長構成とし、また MSU は 2 枚搭載の 1+1 冗長方 式の二重化で運用します。 172.16.100.0/24 S1: AX3630S 172.16.101.0/24 0/1 VLAN100 VLAN10 0/13 0/15 0/2 VLAN101 0/15 VLAN 10 1000BASE-T LAG10 10.0.0.0/8 C1: AX6308S NIF1 1/1 NIF2 < AX6300S 冗長構成 > 2/1 ¾ ACT MSU(1系) MSU(2系) NIF5 5/1 5/2 6/1 SBY NIF6 VLAN 20 ¾ 6/2 ¾ MSU 二重化(2枚搭載) 冗長方式:1+1冗長 NIF リンクアグリゲーション PS(電源) 2+2冗長 VLAN 30 192.168.100.0/24 192.168.101.0/24 LAG20 LAG30 1000BASE-X 1000BASE-X 0/3 F1: AX2430S VLAN20 0/1 0/4 0/3 0/4 F2: AX2430S VLAN30 0/1 図 3.1-4 装置 C1 に AX6308S を使用したケースの物理構成 製品略称 AX6308S PS-A11 MSU-1A NH1G-24T NH1G-24S SFP-SX Copyright © 2008-2011, AX6308S 冗長構成時の使用モジュール 製品形名 製品説明 シャーシ筐体&FAN AX-6300-S08 電源 AX-F6300-1A11 コントロール部 & AX-F6300-51A フォワーディング部 1GbE UTP NIF AX-F6300-713T 1GbE 光 NIF AX-F6300-713S AX-F6244-3S1S 1000BASE-SX 用 SFP ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 数量 1 4 2 2 2 4 18 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 3.2 構築のポイント 本適用例のシステム構築のポイントは以下のとおりです。 (1) モジュールの冗長化設定 (2) NIFの冗長性確保は、異なるNIF間でのリンクアグリゲーションにて実現 (3) リンクアグリゲーションは、スタティックモードを使用 (4) リンクダウン検出時間の最適化 (5) スパニングツリー(STP)を無効化 (6) グレースフル・リスタート機能が効果的 以下に詳細を説明します。 (1) モジュールの冗長化設定 (a) AX6700S の BCU/BSU 冗長化設定 z BCU の冗長化 モジュールを 2 枚搭載することで冗長化が可能です。BCU では冗長化を定義するようなコンフィグレ ーションおよび運用コマンドはありませんので設定は不要です。但し、ソフトウェアのバージョン、コンフ ィグレーションの内容は運用系と待機系で同じものにしておく必要があります。 z BSU の冗長化 BSU の冗長設定は、運用系の枚数を設定します。 本構成例では、1+1 冗長方式で運用系 1 枚、待機系 1 枚として運用するため、BSU の冗長設定は 1 を設定します。この場合、シングルアクト運転となります。 (b) AX6600S の CSU 冗長化設定 コントロール部に関しては モジュールを 2 枚搭載することで冗長化が可能であり、冗長化を定義す るようなコンフィグレーションおよび運用コマンドはありませんので設定は不要です。但し、ソフトウェア のバージョン、コンフィグレーションの内容は運用系と待機系で同じものにしておく必要があります。 フォワーディング部である PSP は コントロール部と独立して運用系の枚数を設定可能です。モジュ ールを 2 枚搭載した場合のデフォルト設定では、両 CSU モジュールの PSP が運用系になります。 本構成例では、1+1 冗長方式で運用系 1 枚、待機系 1 枚として運用するため PSP の冗長設定は 1 と設定します。この場合、シングルアクト運転となり、もう 1 枚の PSP は待機系となります。 (c) AX6300S の MSU 冗長化設定 モジュールを 2 枚搭載することで冗長化が可能です。この場合、1+1 冗長方式で運用系 1 枚、待機 系 1 枚となります。MSU では冗長化を定義するようなコンフィグレーションおよび運用コマンドはありま せんので設定は不要です。但し、ソフトウェアのバージョン、コンフィグレーションの内容は運用系と待 機系で同じものにしておく必要があります。 (d) NIF の冗長 NIFの冗長はリンクアグリゲーションで実現します。詳細は(2)を参照ください。AX6000Sファミリ共通 の設定です。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 19 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) (e) PS(AC 電源)の冗長 AX6700S の PS はモジュール 4 個で 1 セットとなります。冗長構成にする場合は 2 セット(8 個) 搭 載してください。 AX6600S と AX6300S の PS はモジュール 2 個で 1 セットとなります。冗長構成にする場合は 2 セ ット(4 個) 搭載してください。なお NIF 8 スロットモデル(AX6608S,AX6308S)と 4 スロットモデル (AX6604S,AX6304S)の電源の数は同じです。 電源冗長の設定では、電源が冗長構成でなくなった場合に警告メッセージを出力する機能を設定 することを推奨します。 (2) NIF の冗長性確保は、異なる NIF 間でのリンクアグリゲーションにて実現 NIF 障害に対する冗長性を持たせるためには NIF も冗長構成とし、異なる NIF のポート間でリンクアグリゲー ションを構成します。これにより一方の NIF に障害が発生した場合でも、リンクアグリゲーション機能によりもう一 方の NIF での縮退運用が可能となります。 ※ リンクアグリゲーションの最大収容チャネル数には制限がありますのでご注意ください。 各装置モデルの装置あたりの最大収容チャネル数は以下のとおりです。 AX6708S、AX6608S、AX6308S:63 チャネル AX6604S、AX6304S:48 チャネル (3) リンクアグリゲーションは、スタティックモードを使用 FT スイッチのコントロール部(BSU/CSU/MSU)の系切替動作において、LACP は系切替の通信無停止 には対応していないため、系切替時の通信停止時間が大きくなる場合があります。 スタティックモードでは、系切替時の通信無停止に対応しており通信無停止での系切替が可能です。したが って、リンクアグリゲーションはスタティックモードを使用してください。 (4) リンクダウン検出時間の最適化 スタティックモードのリンクアグリゲーションでは、ポートのリンク状態で回線状態を判断します。従ってリンクダ ウン検出時間 (link-debounce time) の設定は、リンクが不安定とならない範囲でできるだけ短い値に設定しま す。 (5) スパニングツリー(STP)を無効化 FT ネットワークでは、回線の冗長にリンクアグリゲーションを使用するため、スパニングツリーは使用しません。 したがって、すべての装置のスパニングツリーの設定を無効にします。 STP は系切替時の通信無停止機能をサポートしていません。よって STP が動作していると系切替が発生し た際、通信断時間が大きくなってしまいます。このような状況を避けるため、FT スイッチでは STP をディセーブ ルに設定してください。 (6) グレースフル・リスタート機能が効果的 BCU障害等により系切替が発生した場合、OSPF制御は一旦リスタートしますが グレースフル・リスタート機 能を使用すると、通信無停止で通信を継続することができます。 本構成例では、FTスイッチ AX6000Sファミリをリスタート装置に、これに接続するL3スイッチ AX3630Sをヘ ルパー装置に設定します。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 20 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 3.3 コンフィグレーション例 (1) 装置 C1:AX6700S,AX6600S,AX6300S の設定 コアスイッチ C1 の設定 モジュール冗長化の設定 AX6700S の BSU 設定 (config)# redundancy max-bsu 1 AX6600S の CSU 設定 (config)# redundancy max-psp 1 AX6300S の MSU 設定 (設定不要) BSUの冗長化設定を行います。BSU1 は運用系,BSU2 は 待機系となります。この場合 待機系BSUはホットスタンバイ 状態です。(構築ポイント(1)) PSPの冗長化設定を行います。CSU1 のPSPは運用系, CSU2 のPSPは待機系となります。この場合 待機系PSPは ホットスタンバイ状態です。(構築ポイント(1)) AX6300Sの場合,MSUを 2 枚搭載することで冗長化が可能 です。冗長化の設定は不要です。この場合 待機系PSPは ホットスタンバイ状態です。(構築ポイント(1)) PS 冗長化の設定 (config)# power redundancy-mode redundancy-check PSが冗長構成でなくなった場合に警告を出力するように設 定します。(構築ポイント(1)) データ転送 VLAN の設定 使用する VLAN の設定を行います。 データ転送 VLAN10、20、30 (config)# vlan 10,20,30 ポートの設定 (config)# interface range gigabitethernet 1/1, gigabitethernet 2/1 (config-if-range)# link debounce time 0 (config-if-range)# channel-group 10 mode on (config)# interface range gigabitethernet 5/1, gigabitethernet 6/1 (config-if-range)# link debounce time 0 (config-if-range)# channel-group 20 mode on (config)# interface range gigabitethernet 5/2, gigabitethernet 6/2 (config-if-range)# link debounce time 0 (config-if-range)# channel-group 30 mode on 各ポートの設定を行います。 ポート 1/1、2/1 は装置 S1 接続用にチャネルグループ 10 を構成します。 ポート 5/1、6/1 は装置 F1 接続用にチャネルグループ 20 を構成します。 ポート 5/2、6/2 は装置 F2 接続用にチャネルグループ 30 を構成します。 (構築ポイント(2)(3)(4)) ポートチャネルの設定 (config)# interface port-channel 10 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 10 (config)# interface port-channel 20 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 20 各ポートチャネルの設定を行います。 ポートチャネル 10 では VLAN10 を設定します。 ポートチャネル 20 では VLAN20 を設定します。 ポートチャネル 30 では VLAN30 を設定します。 (config)# interface port-channel 30 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 30 IP アドレスの設定 (config)# interface vlan 10 (config-if)# ip address 10.0.0.1 255.0.0.0 (config)# interface vlan 20 (config-if)# ip address 192.168.100.1 255.255.255.0 各 VLAN に IP アドレスを設定します。 VLAN10: IP アドレス:10.0.0.1/8 VLAN20: IP アドレス:192.168.100.1/24 VLAN30: IP アドレス:192.168.101.1/24 (config)# interface vlan 30 (config-if)# ip address 192.168.101.1 255.255.255.0 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 21 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) コアスイッチ C1 の設定 スパニングツリーのディセーブル化 (config)# spanning-tree disable STPはディセーブルにします。(構築ポイント(5)) ルーティングプロトコルの設定 (config)# router ospf 1 (config-router)# router-id 100.1.1.1 (config-router)# graceful-restart mode restart (config-router)# network 10.0.0.0 0.255.255.255 area 0 (config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 0 (config-router)# network 192.168.101.0 0.0.0.255 area 0 OSPF をルーティングプロトコルに指定します。 ルータ ID を指定します。 グレースフルリスタートのリスタートルータとして指定します。 (構築ポイント(6)) OSPF で制御対象とするネットワークを指定します。 (2) 装置 S1:AX3630S の設定 サーバファームスイッチ S1 の設定 データ転送 VLAN の設定 (config)# vlan 10,100-101 使用する VLAN の設定を行います。 データ転送 VLAN10、100、101 ポートの設定 (config)# interface range gigabitethernet 0/13, gigabitethernet 0/15 (config-if-range)# link debounce time 0 (config-if-range)# channel-group 10 mode on (config)# interface gigabitethernet 0/1 (config-if-range)# media-type rj45 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 100 各ポートの設定を行います。 ポート 0/13、0/15 は装置 C1 接続用にチャネルグループ 10 を構成します。 ポート 0/1 はサーバ 1 接続用に VLAN100 をアクセスポー トとして設定します。 ポート 0/3 はサーバ 2 接続用に VLAN101 をアクセスポー トとして設定します。 (構築ポイント(2)(3)(4)) (config)# interface gigabitethernet 0/3 (config-if-range)# media-type rj45 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 101 ポートチャネルの設定 (config)# interface port-channel 10 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 10 ポートチャネルの設定を行います。 ポートチャネル 10 では VLAN10 を設定します。 IP アドレスの設定 (config)# interface vlan 10 (config-if)# ip address 10.0.0.2 255.0.0.0 (config)# interface vlan 100 (config-if)# ip address 172.16.100.1 255.255.255.0 各 VLAN に IP アドレスを設定します。 VLAN10: IP アドレス:10.0.0.2/8 VLAN20: IP アドレス:172.16.100.1/24 VLAN30: IP アドレス:172.16.101.1/24 (config)# interface vlan 101 (config-if)# ip address 172.16.101.1 255.255.255.0 スパニングツリーのディセーブル化 (config)# spanning-tree disable STPはディセーブルにします。(構築ポイント(5)) ルーティングプロトコルの設定 (config)# router ospf 1 (config-router)# router-id 100.1.1.2 (config-router)# graceful-restart mode helper (config-router)# network 10.0.0.0 0.255.255.255 area 0 (config-router)# network 172.16.100.0 0.0.0.255 area 0 (config-router)# network 172.16.101.0 0.0.0.255 area 0 Copyright © 2008-2011, OSPF をルーティングプロトコルに指定します。 ルータ ID を指定します。 グレースフルリスタートのヘルパールータとして指定します。 (構築ポイント(6)) OSPF で制御対象とするネットワークを指定します。 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 22 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) (3) 装置 F1:AX2430S の設定 アクセススイッチ F1 の設定 データ転送 VLAN の設定 使用する VLAN の設定を行います。 データ転送 VLAN20 (config)# vlan 20 ポートの設定 (config)# interface range gigabitethernet 0/3, gigabitethernet 0/4 (config-if-range)# link debounce time 0 (config-if-range)# channel-group 20 mode on 各ポートの設定を行います。 ポート 0/3、0/4 は装置 C1 接続用にチャネルグループ 20 を構成します。 (config)# interface gigabitethernet 0/1 (config-if-range)# media-type rj45 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 20 ポート 0/1 は端末 1 接続用に VLAN20 をアクセスポートと して設定します。 (構築ポイント(2)(3)(4)) ポートチャネルの設定 (config)# interface port-channel 20 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 20 ポートチャネルの設定を行います。 ポートチャネル 20 では VLAN20 を設定します。 スパニングツリーのディセーブル化 (config)# spanning-tree disable STPはディセーブルにします。(構築ポイント(5)) (4) 装置 F2:AX2430S の設定 アクセススイッチ F2 の設定 データ転送 VLAN の設定 使用する VLAN の設定を行います。 データ転送 VLAN30 (config)# vlan 30 ポートの設定 (config)# interface range gigabitethernet 0/3, gigabitethernet 0/4 (config-if-range)# link debounce time 0 (config-if-range)# channel-group 30 mode on 各ポートの設定を行います。 ポート 0/3、0/4 は装置 C1 接続用にチャネルグループ 30 を構成します。 (config)# interface gigabitethernet 0/1 (config-if-range)# media-type rj45 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 30 ポート 0/1 は端末 2 接続用に VLAN30 をアクセスポートと して設定します。 (構築ポイント(2)(3)(4)) ポートチャネルの設定 (config)# interface port-channel 30 (config-if)# switchport mode access (config-if)# switchport access vlan 30 ポートチャネルの設定を行います。 ポートチャネル 30 では VLAN30 を設定します。 スパニングツリーのディセーブル化 (config)# spanning-tree disable Copyright © 2008-2011, STPはディセーブルにします。(構築ポイント(5)) ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 23 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 3.4 FTネットワークの応用例 FT ネットワークの大規模ネットワーク向けの構成例を以下に示します。ここでは、システム構築のポイントと構 成例について紹介します。 外部接続 サーバファーム WAN/Internet AX2400S AX2400S サーバ収容スイッチ AX3600S AX6604S 10GbE フォールト・トレラント・ ネットワーク サーバファームスイッチ OSPF OSPF + + グレースフル・リスタート グレースフル・リスタート AX6708S コアスイッチ 10GbE AX6304S 10GbE 10GbE AX6304S AX6304S ディストリビューション スイッチ AX2400S AX2400S AX2400S AX2400S AX2400S AX2400S アクセススイッチ ビル/フロア1 ビル/フロア2 ビル/フロア3 図 3.4-1 大規模ネットワーク構成例 (1) 構築のポイント ポイント 1 広帯域化 ポイント 2 高可用性 コアスイッチとの接続は 10 ギガビットイーサを使用し広帯域化を図ります。またコアスイッ チ・サーバファームスイッチはトラフィックが集中することが予想されます。よってコアスイッ チには AX6700S、サーバファームスイッチには AX6600S の高性能な FT スイッチを配置 します。 信頼性が重要視される部分には、FT スイッチを配置します。装置内冗長方式により装置 レベルでの信頼性を向上させます。また回線をリンクアグリゲーションで冗長化することで ループを防止します。コアスイッチはサーバファーム側とビル/フロア側の NIF を独立させ て冗長性を高めます。 ポイント 3 シ ス テ ム の 安 定 レイヤ3のルーティングプロトコルは OSPF を使用し、グレースフル・リスタートと併用するこ とでシステムレベルでの信頼性と安定性を向上させます。 化 ポイント 4 コスト低減 ディストリビューションスイッチには、スタンダードな FT スイッチ AX6300S を配置すること でコスト低減を図ります。 ディストリビューションスイッチやサーバファームスイッチを L2 スイッチで構築する場合は、AX シリーズの SML 機能の活用が有効です。SML 機能の詳細については別途 システム構築ガイドの 「AX シリーズ SML 活用ガイド ~大規模なフォールト・トレラント・ネットワークへの適用 ~」を参照ください。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 24 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) (2) システム構成例 コアスイッチ×1 台 1 台あたりのハードウェア構成 製品略称 製品形名 AX6708S AX-6700-S08 PS-A11 AX-F6300-1A11 BCU-S1 AX-F6700-2S1 製品説明 AX6708S シャーシ筐体(FAN ユニット含む) AC 電源機構(冗長構成) 基本制御機構(冗長構成) BSU-LA NK10G-4RX XFP-SR NK1G-24S SFP-SX スイッチング機構(テーブルサイズ標準) (冗長構成) ネットワークインタフェース機構(10GbE) 10GBASE-SR 用 XFP ネットワークインタフェース機構(1GbE) 1000BASE-SX 用 SFP AX-F6700-3LA AX-F6700-722F AX-F6244-3X1S AX-F6700-713S AX-F6244-3S1S 数量 1 8 2 3 4 8 2 2 ディストリビューションスイッチ×3 台 1 台あたりのハードウェア構成 製品略称 製品形名 AX6304S AX-6300-S04 PS-A11 AX-F6300-1A11 MSU-1A AX-F6300-51A 製品説明 AX6304S シャーシ筐体(FAN ユニット含む) AC 電源機構(冗長構成) 管理スイッチング機構(テーブルサイズ標準) (冗長構成) NH10G-4RX XFP-SR NH1G-24T ネットワークインタフェース機構(10GbE) 10GBASE-SR 用 XFP ネットワークインタフェース機構(1GbE) AX-F6300-722F AX-F6244-3X1S AX-F6300-713T 数量 1 4 2 2 2 2 アクセススイッチ×6 台 1 台あたりのハードウェア構成 製品略称 製品形名 AX2430S-24T AX-2430-24TE-B 製品説明 AX2430S-24T ベーシックモデル 数量 1 製品説明 AX6604S シャーシ筐体(FAN ユニット含む) AC 電源機構(冗長構成) 制御スイッチング機構(テーブルサイズ標準) (冗長構成) ネットワークインタフェース機構(10GbE) 10GBASE-SR 用 XFP ネットワークインタフェース機構(1GbE) 数量 1 4 2 2 2 2 製品説明 AX2430S-24T ベーシックモデル 数量 1 製品説明 AX3630S-24T アドバンストモデル 数量 1 サーバーファームスイッチ×1 台 1 台あたりのハードウェア構成 製品略称 製品形名 AX6604S AX-6600-S04 PS-A11 AX-F6300-1A11 CSU-1A AX-F6600-41A NK10G-4RX AX-F6700-722F XFP-SR AX-F6244-3X1S NK1G-24T AX-F6700-713T サーバ収容スイッチ×2 台 1 台あたりのハードウェア構成 製品略称 製品形名 AX2430S-24T AX-2430-24TE-B 外部接続用スイッチ×1 台 1 台あたりのハードウェア構成 製品略称 製品形名 AX3630S-24T AX-3630-24TE-A Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 25 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 4. 運用管理 4.1 冗長構成での運用コマンド ここでは、FT スイッチの冗長構成に関する基本的な運用について解説します。 (1) 冗長ステータスの確認 装置内冗長の構成状態、リンクアグリゲーションの状態、およびグレースフル・リスタートの状態を確認す るには、以下に示すコマンドで確認します。 z AX6700S 各モジュール(PS(電源)/FAN/BCU/BSU)の状態確認 (「show system」コマンド) 「show system」コマンド実行時の表示例(抜粋) C1# show system Date 2009/07/03 15:31:18 UTC System: AX6708S, OS-SE Ver. 11.1 Node : Name=C1 …基本制御機構(BCU)が冗長構成 Device redundancy cpu status : duplex Power control : normal …通常電力モード Power redundancy-mode : check is executed …電源が冗長構成でない場合に警告メッセージで通知す PS1 = active るモード。コンフィグで設定可能。 PS2 = active PS3 = active …【PS のステータス】 PS4 = active 8 個の電源が搭載されているため、 PS5 = active 冗長構成を示す。基本構成数は 4 個。 PS6 = active PS7 = active PS8 = active Fan : active No = FAN1(1), FAN1(2), FAN1(3), FAN2(4), FAN2(5), FAN2(6), FAN3(7), FAN3(8), FAN3(9), FAN4(10), FAN4(11), FAN4(12) Speed=normal …【FAN のステータス】 1 モジュール内に 3 つのファンを搭載し 4 モジュールで構成 BCU1 : active CPU : AX-F6700-2S1 [BCU_S1 , 80200020] Boot : 2009/07/03 11:23:02 , power on , 0 times restart Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=green , SYSTEM1 LED=green System operation panel : No error Board : CPU=PowerPC 833MHz , Memory=2,097,152kB(2048MB) …【BCU のステータス】 BCU1 が Active 系、BCU2 が Standby 系 BCU2 : standby CPU : AX-F6700-2S1 [BCU_S1 , 80200020] Boot : 2009/07/03 11:23:12 , power on , 0 times restart Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=light off , SYSTEM1 LED=green System operation panel : No error Board : CPU=PowerPC 833MHz , Memory=2,097,152kB(2048MB) Redundancy bsu-mode : fail-safe BSU1 : active AX-F6700-3LA [BSU-LA] , 0 times restart Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=green BSU2 : standby hot AX-F6700-3LA [BSU-LA] , 0 times restart Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=light off BSU3 : notconnect Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. …【BSU のステータス】 BSU1 が Active 系、BSU2 が Standby 系 1+1 冗長構成のシングルアクト運転 26 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) BCU BSU モジュール種別 LED BCU (コントロール部) STATUS 緑点灯:電源ON 消灯:電源OFF BCUの動作状態を示す。 ACTIVE 緑点灯:運用系 消灯:待機系 BCUの系状態を示す。 SYSTEM1 緑点灯:動作可能 運用系および待機系で動作中を示す。 SYSTEM2 緑点灯:省電力モード 消灯:通常電力モード 電力モードの状態を示す。 STATUS 緑点灯:電源ON 消灯:電源OFF 消灯の場合,以下 2つの状態がある。 待機系停止状態・コールドスタンバイ状態(cold2) ACTIVE 緑点灯:運用系 消灯:待機系 BSUの系状態を示す。 BSU (フォワーディング部) 状態 AX6700S BCU/BSU の動作状態とその状態表示は下記のようになります。 表 4.1-1 AX6700S BCU/BSU 動作状態一覧 モジュール 状態 BCU ACT BSU モジュール内部の状態 コントロール部 フォワーディング部 ACT なし パネル LED show system 表示 BCUm :active SBY SBY なし BCUm :standby 停止 電源 OFF なし BCUm :inactive 未実装 ACT - なし - ACT SBY なし SBY(hot) BSUn :standby hot SBY(cold) BSUn :standby cold SBY(cold2) BSUn :standby cold2 停止 なし 電源 OFF 未実装 - - BCUm :notconnect BSUn :active - (※2) - BSUn :inactive BSUn :notconnect (※1) show system 表示の m は BCU の搭載位置(m=1,2)、n は BSU の搭載位置(n=1,2,3)を示します。 (※2) BSU の場合、2 つの LED が消灯している状態はコールドスタンバイ(cold2)状態またはモジュール停止中のいずれか であり、外観上は同じ表示になります。モジュール交換の際は必ず「show system」で確認してください。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 27 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) z AX6600S 各モジュール(PS(電源)/FAN/CSU)の状態確認 (「show system」コマンド) 「show system」コマンド実行時の表示例(抜粋) C1# show system Date 2009/07/02 18:06:18 UTC System: AX6604S, OS-SE Ver. 11.1 Node : Name=C1 Device redundancy cpu status : duplex …制御スイッチング機構(CSU)が冗長構成 Power control : normal …通常電力モード Power redundancy-mode : check is executed …電源が冗長構成でない場合に警告メッセージで通知す PS1 = active るモード。コンフィグで設定可能。 PS2 = active …【PS のステータス】 PS3 = active 4 個の電源が搭載されているため、 PS4 = active 冗長構成を示す。基本構成数は 2 個。 Fan : active No = FAN1(1), FAN1(2), FAN1(3), FAN2(4), FAN2(5), FAN2(6) Speed=normal …【FAN のステータス】 1 モジュール内に 3 つのファンを搭載し AX6604S は 2 モジュールで構成 CSU1 : active CPU : AX-F6600-41A [CSU-1A , 80200020] Boot : 2009/07/02 18:00:40 , power on , 0 times restart PSP : active Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=green SYSTEM1 LED=green , SYSTEM2 LED=light off System operation panel : No error Board : CPU=PowerPC 667MHz , Memory=1,048,576kB(1024MB) …【CSU のステータス】 (1) コントロール部(CPU) CSU1 が Active 系,CSU2 が Standby 系 CSU2 : standby CPU : AX-F6600-41A [CSU-1A , 80200020] Boot : 2009/07/02 18:01:48 , power on , 0 times restart PSP : standby hot Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=light off SYSTEM1 LED=green , SYSTEM2 LED=light off System operation panel : No error Board : CPU=PowerPC 667MHz , Memory=1,048,576kB(1024MB) (2) フォワーディング部(PSP) CSU1 が Active 系,CSU2 が Standby 系 (1+1 冗長構成のシングルアクト運転, Standby 系の PSP はホットスタンバイ状態) CSU モジュール種別 LED CSU (コントロール部 & フォワーディング部) STATUS 緑点灯:電源ON 消灯:電源OFF CSUの動作状態を示す。 ACTIVE 緑点灯:運用系 消灯:待機系 CSU(コントロール部)の系状態を示す。 SYSTEM1 緑点灯:動作可能 運用系または待機系で動作中を示す。 待機系の場合,以下 3つのPSP状態がある。 アクティブ状態・ホットスタンバイ状態(hot)・コールドスタンバイ状態(cold2) SYSTEM2 緑点灯:省電力モード 消灯:通常電力モード 電力モードの状態を示す。 Copyright © 2008-2011, 状態 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 28 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) AX6600S CSU でのモジュールの動作状態とその状態表示は下記のようになります。 表 4.1-2 AX6600S CSU 動作状態一覧 モジュール 状態 CSU ACT SBY モジュール内部の状態 コントロール部 フォワーディング部 ACT ACT パネル LED 表示 show system 表示 CSUn :active (PSP :active) SBY ACT CSUn :standby (PSP :active) SBY SBY(hot) CSUn :standby (PSP :standby hot) SBY SBY(cold2) CSUn :standby (PSP :standby cold2) 停止 電源 OFF 未実装 - CSUn :Inactive - CSUn :notconnect (※1) show system 表示の n は CSU の搭載位置(n=1,2)を示します。 (※2) CSU の動作状態は STATUS LED と ACTIVE LED の点灯状態で動作状態を確認できますが、スタンバイ状態(ACTIVE LED 消灯)では PSP の状態が LED からは判断できません。PSP を含めた動作状態を確認する場合は「show system」 で確認してください。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 29 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) z AX6300S 各モジュール(PS(電源)/FAN/MSU)の状態確認 (「show system」コマンド) 「show system」コマンド実行時の表示例(抜粋) C1# show system Date 2009/07/03 11:57:43 UTC System: AX6304S, OS-SE Ver. 11.1 Node : Name=C1 Device redundancy cpu status : duplex …管理スイッチング機構(MSU)が冗長構成 Power control : normal …通常電力モード Power redundancy-mode : check is executed …電源が冗長構成でない場合に警告メッセージで通知す PS1 = active るモード。コンフィグで設定可能。 PS2 = active …【PS のステータス】 PS3 = active 4 個の電源が搭載されているため、 PS4 = active 冗長構成を示す。基本構成数は 2 個。 Fan : active No = FAN1(1), FAN1(2), FAN1(3), FAN2(4), FAN2(5), FAN2(6) Speed=normal …【FAN のステータス】 1 モジュール内に 3 つのファンを搭載し AX6304S は 2 モジュールで構成 MSU1 : active CPU : AX-F6300-51A [MSU-1A , 80200020] Boot : 2009/07/03 11:53:35 , operation reboot , 0 times restart PSP : active Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=green , SYSTEM1 LED=green System operation panel : No error Board : CPU=PowerPC 667MHz , Memory=1,048,576kB(1024MB) …【MSU のステータス】 MSU1 が Active 系, MSU2 が Standby 系 AX6300S は PSP も同様 MSU2 : standby CPU : AX-F6300-51A [MSU-1A , 80200020] Boot : 2009/07/03 11:54:51 , power on , 0 times restart PSP : standby Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=light off , SYSTEM1 LED=green System operation panel : No error Board : CPU=PowerPC 667MHz , Memory=1,048,576kB(1024MB) MSU モジュール種別 LED MSU (コントロール部 & フォワーディング部) STATUS 緑点灯:電源ON 消灯:電源OFF MSUの動作状態を示す。 ACTIVE 緑点灯:運用系 消灯:待機系 MSU(コントロール部&フォワーディング部)の系状態を示す。 SYSTEM1 緑点灯:動作可能 運用系または待機系で動作中を示す。 SYSTEM2 常に消灯 未サポートのため 常に消灯。 Copyright © 2008-2011, 状態 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 30 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) AX6300S MSU でのモジュールの動作状態とその状態表示は下記のようになります。 表 4.1-3 AX6300S MSU 動作状態一覧 モジュール 状態 MSU ACT SBY モジュール内部の状態 コントロール部 フォワーディング部 ACT ACT SBY パネル LED 表示 MSUn :active (PSP :active) MSUn :standby (PSP :standby) SBY 停止 電源 OFF 未実装 - show system 表示 MSUn :inactive - MSUn :notconnect (※1) show system 表示の n は MSU の搭載位置(n=1,2)を示します。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 31 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) z リンクアグリゲーションの状態確認 「show port」コマンドでは、ポートのステータスとリンクアグリゲーションのサマリー情報を表示します。 「show port」コマンド実行時の表示例(抜粋) C1# show port Date 2008/10/15 14:15:41 UTC Port Counts: 96 Port Name Status 1/ 1 geth1/1 up 2/ 1 geth2/1 up 5/ 1 geth5/1 up 5/ 3 geth5/3 up 6/ 1 geth6/1 up 6/ 3 geth6/3 up ポート ポート 番号 名称 ポート 状態 Speed 1000BASE-T 1000BASE-T 1000BASE-SX 1000BASE-SX 1000BASE-SX 1000BASE-SX 回線種 (速度) Duplex full(auto) full(auto) full(auto) full(auto) full(auto) full(auto) 接続 形態 FCtl FrLen ChGr/Status off 1518 10/up …リンクアグリゲーションの off 1518 10/up グループ ID と状態を表示 off 1518 20/up off 1518 30/up off 1518 20/up off 1518 30/up フロー 制御 LAG 状態 「show channel-group」コマンドでは、リンクアグリゲーションのモード、ポートステータスをグループ ID ご とに表示します。これにより NIF の冗長性が確認できます。 「show channel-group」コマンド実行時の表示例 C1# show channel-group Date 2008/10/15 14:14:08 UTC channel-group Counts:3 ChGr:10 Mode:Static …リンクアグリゲーションのモード CH Status :Up Elapsed Time:00:18:02 Multi Speed :Off Load Balance:MAC-IP-PORT Max Active Port:16 Max Detach Port:15 MAC address: 0012.e2e0.da99 VLAN ID:10 Port(2) :1/1 2/1 Up Port(2) :1/1,2/1 …LAG10 のポートステータス Down Port(0) : ChGr:20 Mode:Static CH Status :Up Elapsed Time:00:18:03 Multi Speed :Off Load Balance:MAC-IP-PORT Max Active Port:16 Max Detach Port:15 MAC address: 0012.e2e0.daa3 VLAN ID:20 Port(2) :5/1 6/1 Up Port(2) :5/1,6/1 …LAG20 のポートステータス Down Port(0) : ChGr:30 Mode:Static CH Status :Up Elapsed Time:00:18:03 Multi Speed :Off Load Balance:MAC-IP-PORT Max Active Port:16 Max Detach Port:15 MAC address: 0012.e2e0.daad VLAN ID:30 Port(2) :5/3 6/3 Up Port(2) :5/3,6/3 …LAG30 のポートステータス Down Port(0) : Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 32 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) z グレースフル・リスタートの状態確認 グレースフル・リスタートの状態は 「show ip ospf」コマンドで確認することが可能です。 「show ip ospf」コマンド実行時の表示例 ------ << リスタートルータ >> -----------------------------------------------------------------C1# show ip ospf Date 2008/10/15 15:42:11 UTC OSPF protocol: ON : Graceful Restart: Restart …リスタート装置として動作 Restart Time : 60s Restart Status: Finished 2008/10/15 15:41:53 ------ << ヘルパールータ >> -------------------------------------------------------------------S1# show ip ospf 前回のグレースフル・リスタートが Date 2008/10/15 15:42:19 UTC 起動された時間を表示 OSPF protocol: ON : …ヘルパー装置として動作 Graceful Restart: Helper Helper Status : Finished 2008/10/15 15:41:04 リスタートルータにおいて、BCU 障害などによる系切替およびユニキャストルーティングプログラムの再起動 により、グレースフル・リスタートが起動した場合、リスタートルータおよびヘルパールータでそれぞれメッセージ ログが出力されます。 グレースフル・リスタート起動時のログ出力 ------ << リスタートルータ >> -----------------------------------------------------------------10/15 15:41:53 OSPF: Graceful restart finished successfully (in domain 1). ------ << ヘルパールータ >> -------------------------------------------------------------------10/15 15:41:04 OSPF: Adjacency 100.1.1.1 address 10.0.0.1 (VLAN0010) is established. (2) 冗長構成切替のオペレーション 各冗長モジュール(BCU・CSU・MSU/BSU/NIF)を手動で切替える場合は、以下に示すコマンドを使用 します。BCU・CSU・MSU は運用系で実行します。BSU、NIF は該当モジュールに対して実行します。 表 4.1-4 モジュール切替オペレーション モジュール BCU(AX6700S) CSU(AX6600S) MSU(AX6300S) BSU(AX6700S) 切替えコマンド redundancy force-switchover 切戻しコマンド redundancy force-switchover inactivate bsu <bsu no.> activate bsu <bsu no.> NIF Inactivate nif <nif no.> activate nif <nif no.> (※1) (※1) 切戻しコマンド実行後の運用・待機系は、冗長構成により異なります。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 33 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) (3) 冗長構成における運用系と待機系の情報不一致 各シリーズのコントロール部を搭載するモジュール BCU(AX6700S)、CSU(AX6600S)、MSU(AX6300S) では、モジュールの増設や交換時などで 運用系と待機系でソフトウェアバージョンの不一致、コンフィグレー ションの不一致、ライセンスキーの不一致が両系で発生する場合があります。 ここでは、その 3 つの両系不一致時の検出方法と対処方法について説明します。 表 4.1-5 系情報不一致時の検出方法と制限される動作 系情報の不一致 ソフトウェアバージョン 不一致状態の検出方法 ・ ログ出力による警告 制限される動作 ・ コンフィグ変更 ・ 同期化「synchronize」 コンフィグレーション ライセンスキー ・ ・ ・ ・ ログ出力による警告 LED(SYSTEM1) 橙点灯 ログ出力による警告 LED(SYSTEM1) 橙点灯 ・ 系切替「redundancy force-switchover」 ・ 系切替「redundancy force-switchover」 (※1) 上記系情報の不一致は、同時に発生する場合があります。その場合、ソフトウェアバージョン不一致に おいても 系切替は不可となります。 運用系と待機系の情報不一致が発生した場合、メッセージログ出力や LED 状態で確認することができま す。下記にそれぞれのメッセージログ出力例を示します。また本状態では、表 4.1-5 に示すような動作が制 限されます。 運用系と待機系で情報不一致が発生した場合のログ出力 ------ << ソフトウェアバージョンの不一致を示すログ >> ----------------------------------------07/13 04:31:56 E3 SOFTWARE 01300462 1001:1e0700000000 There is mismatch between active and standby software version. …運用系と待機系のソフトウェアバージョンが不一致 ------ << コンフィグレーションの不一致を示すログ >> ------------------------------------------07/09 07:09:50 E5 CONFIG 00010007 0100:1e2700000000 There is mismatch between active and standby configuration. …運用系と待機系のコンフィグレーションが不一致 ------ << ライセンスキーの不一致を示すログ >> ------------------------------------------------07/14 04:38:29 E5 SOFTWARE 01300479 1001:1e4700000000 There is mismatch between active and standby license key. …運用系と待機系のライセンスキーが不一致 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 34 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 運用系と待機系の情報不一致が発生した場合は、次のように対処してください。下記に系情報の一致を示 すメッセージログの出力例を示します。 z ソフトウェアバージョン不一致 待機系のソフトウェアを運用系と同じバージョンにアップデートしてください。 z コンフィグレーション不一致(※2) 「synchronize」コマンドにてコンフィグレーションの同期をおこなってください。 z ライセンスキー不一致(※2) 「synchronize」コマンドにてライセンスキーの同期をおこなってください。同期したライセンスキーを有効 にするには待機系を再起動してください。 (※2) ソフトウェアバージョン不一致と同時に発生した場合は、先に待機系のソフトウェアを運用系と同 じバージョンにアップデートしてください。 運用系と待機系の系情報一致を示すログ出力 ------ << ソフトウェアバージョンの一致を示すログ >> ------------------------------------------07/22 00:54:24 E3 SOFTWARE 01300463 1001:1d2d00000000 Active and standby software version is identical. …運用系と待機系のソフトウェアバージョンの一致を示す ------ << コンフィグレーションの一致を示すログ >> --------------------------------------------07/22 00:55:32 E3 CONFIG 00010006 0100:1d0d00000000 Active and standby configuration is identical. …運用系と待機系のコンフィグレーションの一致を示す ------ << ライセンスキーの一致を示すログ >> --------------------------------------------------07/22 00:56:37 R5 SOFTWARE 01300479 1001:26db00000000 Active and standby license key is identical. …運用系と待機系のライセンスキーの一致を示す Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 35 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 4.2 ソフトウェアの無停止アップデート (1) 無停止ソフトウェアアップデート手順 運用中のソフトウェアアップデート手順について説明します。FTスイッチでは、無停止ソフトウェアアップデ ート機能により通信を中断させずにアップデートを行うことが可能です。 ソフトウェアアップデート手順の詳細に関しては、 「AX6700S・AX6600S・AX6300S ソフトウェアアップデートガイド」を参照してください。 ① 「show system」コマンドで以下を確認します。 内蔵フラッシュメモリの空き容量がアップデートファイルの容量以上を確保さ れていること。 ② アップデートファイルを準備します。 運用系の”/usr/var/update/”配下にアップデートファイルを k.img という名前にし て転送し、”/usr/var/update/”に移動します。 ③ 待機系のアップデートを実行します。 「ppupdate k.img standby」コマンドを実行すると待機系のアップデートが開始 されます。完了後に待機系が自動的に再起動します(※1)。再起動が完了する まで待ちます。「show system」コマンドで確認します。 (※1) この際、運用系と待機系のバージョン不一致を示すメッセージログが出力されます。 ④ 運用系のアップデートを実行します。 「ppupdate k.img active」コマンドを実行すると運用系のアップデートが開始さ れます。完了後に運用系が自動的に再起動します。この際、系切替が発生しま す。再起動が完了するまで待ちます(※2)。 「show system」コマンドで確認します。 (※2) この際、運用系と待機系のバージョン一致を示すメッセージログが出力されます。 注意:リモート操作でのアップデートでは、系切替の際にセッションが切れますので再度 ログインしてください。 ⑤ 「show system」コマンドで運用系と待機系のバージョンが一致していることを確 認します。 図 4.2-1 ソフトウェアアップデート手順 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 36 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) (2) 適応条件と注意事項 無停止ソフトウェアアップデートの適応条件について以下にまとめます。 表 4.2-1 無停止ソフトウェアアップデートの適応条件 項目 装置構成 適応条件 AX6700S サポート機能 ソフトウェアバージョン コンフィグレーション ライセンスキー • BCU が冗長構成であること。 • BSU を 2 枚以上実装していること。 AX6600S • CSU が冗長構成であること。 AX6300S • MSU が冗長構成であること。 通信無停止の系切替をサポートしている機能を使用していること。 詳細はマニュアル「コンフィグレーションガイド Vol.2 12.1.5 系切替時の通信無停止 対応機能一覧」を参照してください。 アップデート作業前に,運用系,待機系ともに同じバージョンのソフトウェアで動作して いること。 • ランニングコンフィグレーションとスタートアップコンフィグレーションが一致している 状態であること。 • 運用系システムと待機系システムのスタートアップコンフィグレーションが一致して いる状態であること。 運用系と待機系のライセンスキーが一致している状態であること。 なお、ライセンスキーはキー入力だけでは反映されません。装置再起動後にライセンス が適応されます。 ソフトウェアアップデートでは BSU または NIF の制御に関するソフトウェア(HDC:Hardware Dependent Code)を更新することがあります。更新時には、ソフトウェアアップデートによって BSU、CSU または NIF を再起 動するため、次のことに注意してください。 z AX6700S では BSU を 2 枚以上実装し、すべての BSU を運用系またはホットスタンバイの待機系として おく必要があります。 z AX6600S では CSU を 2 枚実装し、一方の PSP を運用系、もう一方の PSP をホットスタンバイの待機系 としてください。 z NIF の HDC アップデートを手動アップデートに設定しておく必要があります。詳細はマニュアル「コンフィ グレーションガイド Vol.1 12.2.3 HDC アップデート設定」を参照してください。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 37 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 4.3 トラブルシューティング FT スイッチは障害時も継続して動作することが可能です。ここでは、AX6700S の各冗長部に障害が発生し たケースについて、障害部位の特定までの手順と実際の障害例を紹介します。また障害部位の交換手順と復 旧時の確認手順について説明します。 なお、AX6600S と AX6300S についても同様な手順で対応可能です。 (1) 障害時の対応の流れ 装置に障害が発生した場合、障害を検知する方法として装置内の LED 状態、装置のメッセージログ、SNMP のトラップがあります。以下に障害時の切り分け手順を示します。まず装置異常を検知した場合、「show system」コマンドで装置の状態を確認します。このコマンドで大よその障害部位が特定可能です。次に「show logging」コマンドで過去のイベントを確認します。これにより過去の障害履歴や障害が発生した日時などが確認 できます。 障害が発生 LED 状態 or 装置メッセージログ or SNMP トラップで 装置異常を検知 障害が発生した装置にログイン 「show system」コマンド等で装置の状態を確認 「show logging」コマンドで装置のログを確認 障害部位を特定 障害部位の交換 復旧の確認 図 4.3-1 障害時の対応の流れ Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 38 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) ここからは、各モジュール(BCU/BSU/NIF/PS(電源)/FAN)が実際に障害となったケースの障害ログ例をもと に障害部位特定と対応について紹介します。 z BCU の障害例 C1# show logging ----------------EVT 11/04 16:37:43 E3 BCU 01300412 2314:259200000000 System status changed from duplex to simplex. …システムの運用状態が二重化構成から一重化構成になった。 ERR 11/04 16:37:43 E5 BCU 01300440 2314:0eb600000000 Fatal error detected on other system. This system (BCU2) is active. …待機系 BCU で致命的障害が発生。このシステムは BCU2 が運用系。 ************************************************************************************************* 【要因】BCU1 でハードウェア障害が発生し、自動復旧が不可能 C1# show system 【対応】BCU1 を交換 ---------------BCU1 : fault …ハードウェア障害などにより運用停止の状態 BCU2 : active CPU : AX-F6700-2S1 [BCU_S1 , 80200020] Boot : 2008/11/04 14:05:54 , power on , 0 times restart Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=green , SYSTEM1 LED=green BCU1 で致命的な障害が発生し、BCU は二重化構成から一重化構成になりました。また BCU1 は運用停止 状態となっています。対応として BCU1 の交換が必要となります。 z BSU の障害例 C1# show logging ----------------ERR 11/04 15:00:11 E6 BSU-LA BSU:1 25080400 3281:000000000000 BSU restarted, but not recovered from hardware failure. …BSU1 を再起動したが、ハードウェア障害から回復できなかった。 EVT 11/04 14:55:42 E3 BSU BSU:2 25070900 1681:000000000000 This BSU changed to active. EVT 11/04 14:55:42 E3 BSU BSU:1 25070901 1681:000000000000 This BSU changed from active. ERR 11/04 14:55:42 E5 BSU BSU:1 25070204 1681:000000000000 Fatal error detected on active BSU. ERR 11/04 14:55:41 E6 BSU-LA BSU:1 25080200 3280:400100001000 BSU restarted because of its hardware failure. …BSU1 でハードウェア障害が発生したので、再起動した。また BSU2 が運用系になった。 ************************************************************************************************* 【要因】BSU:1 でハードウェア障害が発生し、自動復旧が不可能 C1# show system 【対応】BSU:1 を交換 ---------------System operation panel : Event level : E6 Location of event occurrence : BSU-LA Message identifier : 25080200 Event occurrence interface identifier : BSU:1 ---------------------------------------------------BSU1 : fault AX-F6700-3LA [BSU-LA] , 3 times restart …ハードウェア障害などにより運用停止 Lamp : STATUS LED=-------- , ACTIVE LED=green の状態 BSU2 : active AX-F6700-3LA [BSU-LA] , 0 times restart Lamp : STATUS LED=green , ACTIVE LED=green BSU3 : notconnect BSU1 でハードウェア障害が発生し、BSU1 が運用系になりました。また BSU1 は過去に 3 回再起動しており、 自動復旧ができない状態となっています。対応として BSU1 の交換が必要となります。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 39 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) z NIF の障害例 C1# show logging ----------------ERR 11/04 14:21:22 E6 NK1G-24T NIF:1 25020400 5540:000000000000 NIF restarted, but not recovered from hardware failure. …NIF1 を再起動したが、ハードウェア障害から回復できなかった。 EVT 11/04 14:20:50 E3 MAC 20120010 0800:000000000000 Port(1/1) detached from Channel Group(10) - Port down. …NIF1 障害により回線(1/1)がダウン状態となり、チャネルグループ(10)から離脱した。 ERR 11/04 14:20:47 E6 NK1G-24T NIF:1 25020200 5540:840100010000 NIF restarted because of its hardware failure. …NIF1 でハードウェア障害が発生したので、再起動した。 ************************************************************************************************* 【要因】NIF:1 でハードウェア障害が発生し、自動復旧が不可能 C1# show system 【対応】NIF:1 を交換 ---------------System operation panel : Event level : E6 Location of event occurrence : NK1G-24T Message identifier : 25020200 Event occurrence interface identifier : NIF:1 ************************************************************************************************* C1# show nif ---------------NIF1: fault 24-port 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T Average:0Mbps/48Gbps Peak:0Mbps at 00:00:00 retry:3 …ハードウェア障害などにより運用停止 の状態 NIF1 でハードウェア障害が発生し、リンクアグリゲーションが縮退しました。また NIF1 は過去に 3 回再起動し ており、自動復旧ができない状態となっています。対応として NIF1 の交換が必要となります。 z PS(電源)の障害例 C1# show logging ----------------ERR 11/04 16:59:38 E8 PS 00000102 2200:000000000000 Power unit isn't redundantly mounted. …電源が冗長実装ではなくなった。 ERR 11/04 16:59:38 E8 PS 00000001 2200:000000000000 PS8 is notconnect. …PS8 が未実装。 ************************************************************************************************** 【要因】PS8 が未実装 C1# show system 【対応】PS8 の実装状態を確認 ---------------System operation panel : Event level : E8 Location of event occurrence : PS Message identifier : 00000102 Event occurrence interface identifier : none PS8 が未実装状態となっています。また「電源が冗長実装ではない」と警告メッセージ(※1)が出力されます。 対応として PS8 の実装状態を確認してください。実装状態に問題ない場合、PS8 の交換が必要になります。 (※1) コンフィグレーションで「power redundancy-mode」の設定が必要です。未設定の場合、警告メッセー ジは出力されません。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 40 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) z FAN の障害例 C1# show logging ----------------ERR 11/04 16:54:17 E8 FAN 00000001 1800:000000000000 Error detected on FAN1(1), Replace FAN1. …FAN1(1)で障害が発生。 ************************************************************************************************** 【要因】FAN1(1)で障害が発生 C1# show system 【対応】FAN1 を交換 ---------------System operation panel : Event level : E8 Location of event occurrence : FAN Message identifier : 00000001 Event occurrence interface identifier : none1 FAN1 の内、前面ファンに障害が発生しました。残りのファンの回転スピードが高速となります。対応として FAN1 の交換が必要になります。FAN の位置については、マニュアル「運用コマンドレファレンス Vol.1 表 9-4 ファン番号と運用ログおよび筐体との対応」を参照してください。 (2) 各モジュールの交換手順 各モジュールの交換が必要となった場合の交換手順と実行コマンドを以下に示します。BCU/BSU/NIF を抜 く場合は「inactivate」コマンドを使用し、BCU 交換後には「activate」コマンドを使用します。 表 4.3-1 モジュール交換手順 交換部位 BCU BSU NIF PS (電源) FAN (ファンユニット) 交換手順 inactive コマンドで電源 OFF 該当 BCU の交換 active コマンドで電源 ON inactive コマンドで電源 OFF 該当 BSU の交換 (交換後、自動で電源 ON) inactive コマンドで電源 OFF 該当 NIF の交換 (交換後、自動で電源 ON) 該当 PS の電源スイッチ OFF 該当 PS の交換 電源スイッチ ON 実行コマンド inactivate standby (コマンド必要なし) activate standby inactivate bsu <bsu no.> (コマンド必要なし) 通信への影響 なし inactivate nif <nif no.> (コマンド必要なし) (コマンド必要なし) リンクアグリゲーショ ン復旧に伴う瞬断の 可能性あり なし 該当 FAN の交換 (コマンド必要なし) なし なし (3) 各モジュールの交換手順 交換作業が完了後に冗長構成が障害前の状態に戻っていることを確認します。交換したモジュールのうち BCU は待機系として運用再開されます。BSU はシングルアクト、ダブルアクト運用で冗長構成を設定している 場合は、待機系として運用再開されます。NIF はリンクアグリゲーションの回復動作が行なわれ、そのまま運用 再開されます。PS と FAN は交換後にそのまま運用再開されます。 各モジュールの復旧確認をするには、「show system」コマンドを使用し冗長構成となっていることを確認し てください。またNIFについては「show channel-group」コマンドで確認してください。コマンド実行例について は「4-1 冗長構成での運用コマンド」を参照ください。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 41 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 5. AX6700S・AX6600S・AX6300Sの差分 主な仕様比較 5.1 FT スイッチ AX6700S・AX6600S・AX6300S 各シリーズの主な違いは、2 章でも述べた通り、装置の中核を 成すコントロール部およびフォワーディング部の物理的な構成および論理的な動作の違いにあり、ネットワーク の規模や用途、予算に応じて選べるようにそれぞれ特徴を持った構成となっています。 表 5.1-1にAX6000Sファミリ 各シリーズの仕様比較一覧を示します。 表 5.1-1 AX6000S ファミリの主な仕様比較一覧 # 1 2 3 コントロール部 最大搭載数 フォワーディング部 最大搭載数 スイッチング容量 (※1) 4 パケット処理性能 (※1) 5 6 7 8 9 ダイナミック省電力機能対応 収容回線数 (10GBASE-R) 収容回線数 (1000BASE-X) コントロール部 障害時系切替時間 フォワーディング部 障害時系切替時間 AX6700S (BCU) 2 (BSU) 3 x1 : 384Gbps x2 : 768Gbps x3 : 1.15Tbps x1 : 240Mpps x2 : 480Mpps x3 : 720Mpps ○ 64 AX6600S (CSU) 2 AX6300S (MSU) 2 x1 : 192Gbps x2 : 384Gbps 192Gbps x1 : 120Mpps x2 : 240Mpps 120Mpps フレームロスなし ○ AX6608S: 64 AX6604S: 32 AX6608S: 192 AX6604S: 96 フレームロスなし × AX6308S: 64 AX6304S: 32 AX6308S: 192 AX6304S: 96 50msec 以下 50msec 以下(※2) (2 分以内) 50msec 以下(※2) (2 分以内) 1 秒以下 192 (※1) フォワーディング部の運用稼動状態によります。表中の xn(n=1,2,3)は稼動数を示します。AX6300S の場合はフォワ ーディング部は常に 1 台のみの稼動となります。 (※2) 上段は ホットスタンバイ時、下段の()内は コールドスタンバイ時となります。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 42 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 5.2 各シリーズの冗長動作 AX6000S ファミリ 各シリーズは、モデルによってコントロール部とフォワーディング部の構成が異なるため、 動作の状態もそれぞれ異なります。 コントロール部はいずれのモデルでも共通であり、BCU/CSU/MSU が 2 枚実装される際はデフォルトの状態 では必ずホットスタンバイ状態で運用されます。コンフィグでの動作設定等はありません。なお AX6600S や AX6300S ではコントロール部とフォワーディング部が物理的に一体となった構成のため、コントロール部に系 切替が発生する場合は連動してフォワーディング部も同時に系切替が発生します。 フォワーディング部は、表 5.2-1のとおりAX6700S、AX6600Sシリーズではコンフィグでの設定により動作モ ードを選択できます。AX6300Sシリーズは常にホットスタンバイ状態での運用となります。 表 5.2-1 AX6000S ファミリのフォワーディング部の動作モード フォワーディング部冗 長モード ダブルアクト (同時動作) ホットスタンバイ (通電状態待機) 特徴 AX6700S AX6600S BSU CSU(PSP) 高速な系切替+ ○ ○ スイッチング容量増加 max-bsu 2(or 3) max-psp 2 高速系切替 ○ ○ max-bsu 1(or 2) max-psp 1 standby-bsu hot standby-psp hot コールドスタンバイ 低消費電力 ○ ○ (非通電状態待機) max-bsu 1(or 2) max-psp 1 standby-bsu cold2 standby-psp cold2 ○:設定可能。下段は該当モードへの設定方法。「redundancy ~」コマンドによる。 ×:設定不可。 AX6300S MSU(PSP) × ○ (コンフィグ設定不要) × AX6000S ファミリ 各シリーズのフォワーディング部の冗長運用状態をに以下に示します。 冗長運用状態 AX6700S AX6600S (※1) BCU ACT ダブルアクト CPU BCU SBY(hot) CSU BSU ACT AX6300S CPU ACT PSP CSU ACT BSU SBY(hot) (本状態なし) PSP ACT ACT BCU 1+1冗長 ホットスタンバイ ACT CPU BCU SBY(hot) CSU ACT CSU ACT BSU CPU CPU ACT PSP SBY(hot) PSP MSU CPU ACT PSP MSU SBY(hot) PSP SBY(hot) BSU SBY(hot) BCU 1+1冗長 コールドスタンバイ ACT CPU BCU SBY(hot) CSU CSU ACT BSU ACT CPU ACT PSP SBY(hot) PSP (本状態なし) SBY(cold2) BSU SBY(cold2) (※1) AX6700Sは BSU 2枚搭載時の運用状態となります。 図 5.2-1 Copyright © 2008-2011, : 系切替の単位 AX6000S ファミリの動作モード ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 43 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 6. 注意事項 6.1 AX6000Sファミリ共通の注意事項 (1) 運用コマンド 「inactivate standby」について BCU/CSU/MSU を 2 枚搭載している状態で、運用コマンド 「inactivate standby」を実行すると 待機系モジ ュールを停止します。この場合 コールドスタンバイ状態ではなく、運用系のみの単一動作状態となりますので ご注意下さい。 (2) リンクアグリゲーションの最大収容チャネル数について リンクアグリゲーションの最大収容チャネル数には制限がありますのでご注意ください。各装置モデルの装置 あたりの最大収容チャネル数は以下のとおりです。 表 6.1-1 リンクアグリゲーションの収容チャネル数 装置モデル AX6700S シリーズ AX6600S シリーズ AX6300S シリーズ AX6708S AX6608S AX6604S AX6308S AX6304S 装置あたりの 最大収容チャネル数 63 63 48 63 48 (3) ソフトウェアのバージョン不一致について ソフトウェアのバージョン不一致は、モジュールを増設および交換したときなどに起こりえますが LED やパネ ル等の外見表示は通常状態と同じでエラー表示はされません。よってモジュール交換作業等を実施した場合 は、運用ログメッセージまたは「show system」コマンドにて確認してください。 ※ 冗長構成の情報不一致の詳細については、 「4.1 冗長構成での運用コマンド (3)冗長構成における運用系と待機系の情報不一致」を参照してください。 (4) 無停止ソフトウェアアップデートの適応について z 装置構成が二重化構成であること。また AX6700S と AX6600S はフォワーディング部がホットスタンバイ 状態であること。 z 通信無停止の系切替をサポートしている機能を使用していること。 z 運用系と待機系が同じバージョンのソフトウェアで動作していること。 z 運用系と待機系のコンフィグレーションが一致している状態であること。 z 運用系と待機系のライセンスキーが一致している状態であること。 ※ 無停止ソフトウェアアップデートの適応条件の詳細については、 「4.2 ソフトウェアの無停止アップデート (2)適応条件と注意事項」を参照してください。 Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 44 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) (5) 系切替の実行間隔について 系切替コマンド「redundancy force-switchover」や ACH スイッチで運用系と待機系を切り替えた場合に、再度 系切替を実行する際は、3 分程度の間隔を空けてください。 間隔を空けずに連続して系切替を実行した場合、通信が一時的に停止する場合があります。 6.2 AX6700Sに関する注意事項 (1) BSU の冗長設定 「redundancy max-bsu」について 「redundancy max-bsu」の省略値(デフォルト)は搭載されている BSU 枚数によらず「3」となります。このため、 「redundancy max-bsu」の設定を省略した状態で BSU が 2 枚搭載されているケースでは BSU が 3 枚から 2 枚に縮退された状態と認識され、本来の性能が得られない場合があります。 従って コンフィグレーションにて、必ず BSU の搭載枚数にあわせて設定してください。 (2) BSU の冗長設定 「redundancy standby-bsu」について AX6700S シリーズのコンフィグレーションコマンド「redundancy standby-bsu」の設定は、待機系が存在する 構成で有効になります。待機系が存在しない状態で、本設定をした場合は これらの設定は無効になります。 6.3 AX6600Sに関する注意事項 (1) PSP の冗長設定 「redundancy standby-psp」について AX6600S シリーズのコンフィグレーションコマンド「redundancy standby-psp」の設定は、待機系が存在する 構成で有効になります。待機系が存在しない状態で、本設定をした場合は これらの設定は無効になります。 6.4 AX6300Sに関する注意事項 (1) 一部の NIF モジュールについての制限 AX6300S シリーズに搭載する一部の NIF モジュールでは、モジュール内電源部の障害などモジュール全体 に影響するような障害で 系切替が発生した場合、通信の停止時間が大きくなる場合があります。その対象とな る NIF モジュールを以下に示します。 製品略称 製品形名 製品説明 NH10G-1RX AX-F6300-721F AX6300S シリーズ用 10GBASE-R×1 ポート イーサネット LAN Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 45 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) 付録. コンフィグレーションファイル 本ガイドにて紹介した構成のコンフィグレーション例です。3 章の FT ネットワーク構成例における各装置の全 コンフィグレーションについて、テキスト形式のファイルとして本ファイルに添付しております。(添付ファイルを抽 出するには、Adobe Reader 6.0 以降が必要です。)各コンフィグレーションについては、以下に示すファイル名 と同じ名前の添付ファイルを参照下さい。 3.1 FTネットワークのシステム構築例 装置名と対象装置 FT スイッチ AX6700S・AX6600S・AX6300S を C1 (AX6708S) 使用した FT ネットワーク構成 (AX6608S) (AX6308S) Copyright © 2008-2011, 対象ファイル 3-1_FTN_C1_AX67S.txt 3-1_FTN_C1_AX66S.txt 3-1_FTN_C1_AX63S.txt S1 (AX3630S) 3-1_FTN_S1.txt F1 (AX2430S) 3-1_FTN_F1.txt F2 (AX2430S) 3-1_FTN_F2.txt ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 46 フォールト・トレラント・ネットワーク導入ガイド(第 3 版) < 空白ページ > Copyright © 2008-2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved. 47 2011 年 3 月 18 日 第3版発行 アラクサラネットワークス株式会社 ネットワークテクニカルサポート 〒212-0058 川崎市幸区鹿島田 890 番地 新川崎三井ビル西棟 http://www.alaxala.com/
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