近代ヨーロッパの文様

イメージの系譜
第6回
近代ヨーロッパの図案
.アールヌーボー、アールデコ
19~20C
19 世紀末の 20 年間と 20 世紀初頭の 10 年間に、ヨーロッパやアメリカでおこった革新的な芸術運
動。「アール・ヌーボー」はフランス語で「新しい芸術」を意味する。建築、インテリア・デザイ
ン、家具、ポスター、ガラス工芸、陶磁器、織物、挿絵などのひろい表現領域に波及した。それら
の図案は非対称の植物や昆虫などの自然界のモチーフの優美な曲線を多用した点に特徴がある。ア
ールヌーボーの発祥の地はフランス北部のナンシーでガラス工芸の中心地となり、世紀末の装飾充
満の世界における一つのジャンルを築いた。
彼らナンシー派もロココの伝統に連なり、日本の美術工芸の影響も受けて新たな様式を確立した。
ウイリアムモリス 壁紙
E.ガレ ガラス花器
ドーム兄弟
花器
アールヌーボーに先立つ前にイギリスでは 19 世紀後半のイギリスにおこった美術工芸運動があり、機械
による量産を否定して、中世の手工芸を理想とした。1861 年、イギリスの工芸家ウィリアム・モリスがモリ
ス・マーシャル・フォークナー商会を創設し、この運動を開始した。アーツ・アンド・クラフツ運動はアール・ヌ
ーボー様式の誕生に大きな刺激をあたえた。また、装飾の少ない平面や素材を重視する点で、この運動
は 20 世紀モダニズムの有力な源泉となった。彼は近代デザインの父といわれている。
アール・デコとは、一般にアールヌーボーの時代に続き、ヨーロッパおよびアメリカ(ニューヨーク)を中心に
1920~30年代にかけて発展したデザインのこと。なかでもニューヨークのルイス・カムフォート・ティファ
ニーはアメリカを代表するアールデコの工芸家である。前時代の一握りの特権階級が享受していた復古
調の芸術に反し、日常生活のあらゆる物に芸術及びデザインが入り込む口火をきったのがアールデコで
ある。
アール・デコのデザインは1925年に開催されたパリ万国装飾美術博覧会で花開いた。博覧会の正式名
称は「現代装飾美術・産業美術国際博覧会で略称をアール・デコ博といい、この略称にちなんでアール・
デコ様式と呼ばれるようになった。19 世紀末に万国博覧会へ出品などをきっかけに、日本美術(浮世絵、
琳派、工芸品など)が注目され印象派やアールヌーボーの作家たちに影響を与えた
A. ミュシャ リトグラフ
花
テキスタイルデザイン
(図版は世界の文様から複写加工)
ブックデザイン (英) ビアズリー
ティファニー
ステンドグラス