デザイン画を元とした立体制作 ~アール・ヌーヴォー調をデザインソースに~

大阪樟蔭女子大学被服学科卒業論文要旨集(2014)
デザイン画を元とした立体制作
~アール・ヌーヴォー調をデザインソースに~
美容感性研究室
111612 下山
愛裕美
キーワード:アール・ヌーヴォー調 ヘアデザイン画 ヘアメイク
はじめに
私は幼少の頃から母と共によく美術館に訪れていた。
3.
その中でもアール・ヌーヴォー調の美術に興味をもち、
特に豪華な衣装を着た女性の絵画に感銘を受けた。
考察
学生大会で描いた初めてのヘアデザイン画は色が薄
く、細かいデザインでありインパクトに欠けていたと
大学で美容を学ぶ中でウィッグなどを使った立体的
考えられた為、今回はメインである人物とドレスを目
なものだけではなく、ヘアデザイン画という平面的に
立たせる事にした。色鉛筆やメイクアップカラーで着
表現する方法を知り、美容の学生大会で初めてヘアデ
色し、ラインストーンなどで装飾を行った。そうする
ザイン画の制作にチャレンジした。また、特殊メイク
事でオリジナリティのあるヘアデザイン画が完成した。
の分野に興味があり、第一線で活躍する AKIHITO 先
立体制作を行う事で、デザイン画の意義であるバラ
生のセミナーに参加した。そこで特殊造形をする際、
ンス感覚を身に付けるという事が理解出来た。ヘアメ
監督から伝えられたイメージをキャラクターとして立
イクを行う際、先にデザイン画を描いておく事で実際
体に仕上げる時に、事前にどのようなキャラクターに
に立体にしてもバランスが狂わない事が分かった。
したいのか、イメージツールとしてデザイン画が必要
とされていると知った。学生大会でなぜ入賞できなか
おわりに
ったのかを考察し、卒業研究として再度ヘアデザイン
実際に美容技術を施す際に、様々な人物に似合うヘ
画を制作することにした。また、ヘアデザイン画を元
アスタイルを提供する為にはバランス感覚が必要であ
に立体作品の制作を行うことで、デザイン画の重要性
る。その為、様々な人物のデザイン画を描く事でその
を探り、それを卒業制作とした。
人物に似合う髪型が分かり、バランス感覚が身に付い
ていく。そういった点を今回は実際にヘアデザイン画
1.
研究手法
からの立体制作を行う事で理解する事が出来た。また
ヘアデザイン画は、自身の美的趣味に影響を受けて
私は将来特殊メイクへの進路を踏まえ、デッサン力や
きたアール・ヌーヴォー様式をデザインソースとして
自分が考えている物を形で表現する力を身に付け、デ
構図を考え、ドレスを身に纏った女性の絵を描いた。
ザイン画を描くという事に理解を深めていきたい。
先ずは鉛筆デッサンを起こし、続いてファンデーショ
ン、色鉛筆、メイクカラーパレットで着色に入った。
次にドレス、ジュエリー、背景にラインストーンとス
パンコールで装飾をした(図-1)。ヘアデザイン画を完
成させた後、立体制作作品として自身がモデルとなり、
ドレスを着用して撮影スタジオで撮影を行った(図-2)。
2.
結果
デザイン画制作の中で、着色は今回初めて行ったが、
柔らかく、軽快な色彩になるように着色した。美しい
ドレスと豪華なジュエリーを表現する為に、ドレスな
どにラインストーンやスパンコールを使用した。自身
図-1 ヘアデザイン画
がモデルとなった立体制作では、4年間の中で習得した
参考文献
自身の美容技術を試す事が出来た。また、撮影はデザ
1)
イン画を描いていた事でスムーズに進める事が出来た。
図-2 立体制作
ミュシャ・リミテッド編、島田紀夫訳「アルフォン
ス・ミュシャ波乱の生涯と芸術」
2)
原研哉「デザインのデザイン」
講談社
岩波書店
2001
2003