サイエンスキャンプ2004の開催 - 日本科学技術振興財団

担当者
財団法人
日本科学技術振興財団
Vol.94 October 2004
末永
表紙2-3/r7 04.10.16 4:31 PM ページ 1
Vol.94
CONTENTS
感性を育む ――――――― 1
独立行政法人 国立科学博物館長
佐々木
正峰
科学技術の理解増進に関する作業部会の開催 ――――――― 2
サイエンスキャンプ
の開催 ――――――― 4
サイエンスキャンプ2004
2004の開催
〜高校生と先進的科学技術との対話〜
〜高校生と先進的科学技術との対話〜
第
3
回
APEC青少年科学フェスティバル日本代表団の派遣 ――――――― 6
夏休み特別展
「サマー・カーニバル’04」――――――― 8
科学技術振興調整費 産学官共同研究の効果的な推進
4次元デジタル宇宙映像配給システムの構築 ――――――― 11
「大成 風のミュージアム」夏休みイベントの開催 ――――――― 14
情報化推進事業インターネットを活用した成績報告システム
「SuperGrace」の開発と運用 ――――――― 15
収蔵資料展
「古写真で見る所沢飛行場の名機」を開催 ――――――― 17
夏休み特別展
「のぞいてみよう!マグネットの不思議な世界」を開催 ――――――― 18
企業各社の社会貢献活動のご紹介シリーズ ――――――― 20
世界物理年日本委員会の設立 ――――――― 22
お知らせ
――――――― 24
今日は何の日
企画・編集・発行 ◆ 財団法人 日本科学技術振興財団 広報/マーケティング室 1 03−3212−8584
――――――― 26
平成16年10月15日
感性を育む
独立行政法人 国立科学博物館長
佐々木
正峰
科学技術の高度化と社会への普遍化が一段と進む中で、広く人々は、科学リテラシーを高める
ことを求められています。その実現には、人々が生涯にわたり科学との関係性を維持していくこ
とが大切であり、科学の知識だけでなく、科学に親しみ、興味関心を持つことのできる機会がよ
り多く提供されることが必要です。
❧
小中学校の理科教育については、この観点からさらに改善工夫がいると思われますが、博物館
や科学館の役割もまた、一段と重要なものとなります。
❧
人々が科学に親しみ、興味関心を持つためには、自主的、自発的に必要な知識を得て知性を育
てるとともに、価値あるものを見つけ、気づき、感じることのできる感性を育むことが不可欠で
す。感性は、様々な体験の積み重ねによって、感動、発見、楽しさなどを通じて磨かれていきま
す。博物館や科学館は、子ども達はもちろん、あらゆる年齢層の人々が体験的に感じ取ることが
できる活動をこれまで以上に重視していくことです。感性を育むことを企図して、総合的な視点
から活動を展開していくことが大事です。
❧
例えば、博物館には実物の化石標本があり、それには過去の生き物の歴史が刻み込まれていま
す。博物館に訪れた人々は、斬新な手法による展示によって本物の持つ質感や存在感、魅力を感
じ取ることができます。学芸員やボランティアとの刺激的な対話もあります。その生き物が生息
していた環境や他の生き物との相互関係を見出すことも可能です。自然や科学の中に美しさや不
思議さを見出す、驚く、感動する、このような体験の繰り返しによって感性が育まれていきます。
❧
豊かな感性が無ければ科学も芸術も成り立ちません。何度訪れても、必ず発見がある、新しい
出会いがある、そういう博物館、科学館を志向し、人々が必ず何かを感得できるようでありたい
と思います。
❧
国立科学博物館は、11月2日に新館がグランドオープンします。「地球生命史と人類―自然との
共存をめざして―」をテーマに、広く人々の科学リテラシーの増進に寄与したいと考えました。
そのため、来館者一人一人が自主的、自発的に学習できるように配慮するとともに、知識を伝え
るだけでなく、感性を育むために種々の工夫をこらしました。人々が知的な刺激を共有し、感動
や楽しみを分かち合って頂ければ幸いです。
October 2004 1
科学技術の理解増進に関する
作業部会の開催
日本科学技術振興財団では、理系人材の育成・確保と科学技術の理解増進について産業界各社、団体
のご意見、ご要望をお聞きして、財団の方向性と果たすべき役割をまとめるため「科学技術の理解増進
に関する作業部会」を設置しました。
平成16年1月の日本経団連の提言「産業技術の理解増進に向けた産業界の果たすべき役割について」及び
総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省における審議の状況を踏まえつつ、我が国の科学技術の振興に
資する理解増進活動のあり方、特に産業界のニーズに応えた財団の果たすべき具体的な役割をまとめ、各方
面の理解が得られるよう働きかけて行く所存です。
併せて、これらが平成17年度各省予算編成への織込み、さらには第3期科学技術基本計画の策定に
活かされることを期待するものです。
作業部会の開催概要は以下の通りです。
(1)座
長:当財団副会長
種市
健(東京電力(株)顧問)
(2)作業部会メンバー:当財団理事会社、団体と出展団体等で、参加のご同意をいただいた会社、団体
(3)オブザーバー:経済産業省、文部科学省
(4)開催実績:第1回から第3回まで科学技術館で開催
第1回8月6日
(金)
①第1回
第2回9月10日
(金)
第3回10月1日
(金)
開催概要(作業部会設置の目的、進め方、経緯、背景の説明と財団の活動紹介)
委員から出た主な意見
・企業の社会貢献活動の課題を財団のネットワークなどの強みを発揮して解決してくれるとありがたい
・産業博物館をつなぐネットワークが欲しい。科学技術館のセンター機能に期待したい。
・科学技術館でやっている活動のスケールアップが欲しい。それはやはり学校を使うことである。
・大人が学んだ知識で、実際に起こっている現象を子供に伝えられるだろうか。科学技術館で身近な現象をわかり易
く説明することができないか。
2 Japan Science Foundation
②第2回
開催概要(日本経団連、経済産業省、文部科学省、名古屋市科学館、(株)
リコー、日本学術会議の説明)
委員から出た主な意見
・PUS
(Public Understanding of Science)
とは完成された科学に対する理解であり、PUR
(Public Understanding of Research)
とは現在進行中の研究に対する理解である。産業技術の理解増進についてもPURの視点が重要視されるべきである。
・野依良治先生は、「その道一筋の『I型人間』よりも『T型人間』がだいじ」であると述べておられる。これは重要なこ
とである。
・現実に世のなかで使われている技術は、教員が理解している技術とは大きく乖離している。企業等で行なわれてい
るプログラムに教員が参加することについて、インセンティブはないのか。
・かつてはハンズオフだった。
「手を触れないでください」
。それがハンズオンに変わった。次は
「マインズオン」であ
る。子どもたちに「何かを調べよう何かをやろう」
という意識を起こさせることである。
・「北の丸」は「産業技術の理解増進」を行うところである。「物を作る」楽しさが大事なことだ。物を作るとは物理とい
うより化学である。「北の丸」の弱いところは化学。「北の丸」には、化学のいい展示モデルをつくってほしい。特に
身近なテーマで、見る側の視点に立った展示モデルで、それを全国に展開して欲しい。これに関連して、しゃれて
いると思うのは、フランスの国立科学館「発見の宮殿」である。香料の展示がある。化粧と化学を結び付けている。
また、料理に関する実験もある。
・主役は子どもとその親、つまりファミリーである。そして学校の現場だ。ここと、一緒になってあるべき姿を考え
ないと、ほんとうの意味での真実は見えてこない。
③第3回10月1日(金)(財団からの説明と審議)
委員から出た主な意見については、次回ご報告いたします。
(5)今後の予定:第4回10月29日(金)
、第5回、第6回(最終結論のまとめ)は11月、12月を予定。
(6)ご意見・ご要望について:会議中でのご意見・ご要望のほか、財団ホームページの掲示板でもご意見・ご要望
をお寄せ下さい。
【科学技術の理解増進に関する作業部会事務局】
October 2004 3
サイエンスキャンプ2004の開催
〜高校生と先進的科学技術との対話〜
はじめに
おわりに
平成7年度から、理科離れ対策の一環として実施され
この10年間で参加者は2600名を超えました。参加者の
てきたサイエンスキャンプは、先進的なテーマに取り組
多くが短い期間ながら、普段出会う機会のない研究所と
んでいる全国の公的試験研究機関を会場とした「科学技術
いう環境や研究者と一緒に行なう様々な体験、同じ志を
体験合宿プログラム」です。全国の高等学校、中等教育学
持つ全国の仲間との出会いから確実に刺激をうけ、夢の
校後期課程または高等専門学校(1〜3年生)に在籍する
実現に向けての第一歩を歩みだしており、参加者の中に
生徒を対象として、夏休み中の3〜4日間かけて講義・
はキャンプ会場となった公的機関の研究者になる者も出
実験・実習等を行い、直接触れる場を提供するものです。
て来ており、確実にサイエンスキャンプは、未来の研究
次の世代を担う若者が、先進的な研究施設や実験装置
者・技術者の育成に貢献してきております。
が活用されている研究現場等で、第一線の研究者・技術
者等から直接講義や実習を受けることにより、科学的に
調べる能力、科学的なものの見方や考え方、科学技術の
基本原理を体得できるようにし、科学技術に対する興
味・関心を高め、知的好奇心や探究心を育てることをね
らいとしています。
開催状況
今年で10年目の節目を迎えた「サイエンスキャンプ2004」
は、定員の2倍を超える750名以上の応募者があり、各
寄生蜂の産卵行動を顕微鏡で観察
(果樹研究所/花き研究所・つくば)
会場の選考により過去最大の352名の参加者が全国から
集まりました。日本を代表する公的試験研究機関の協力
の下、28会場が、それぞれ6〜28人の高校生、中等教育
学校後期課程、高等専門学校(1〜3年生)に在籍する生
徒を受け入れます。研究分野も、ライフサイエンス分野、
情報通信分野、環境分野、ナノテクノロジー・材料分野、
宇宙・海洋などのフロンティア分野、エネルギー分野な
どと多岐に渡り、応募者の希望を十分に網羅しており、
各会場では特定の宿舎に滞在し、それぞれの研究機関の
特徴を生かして、実習・実験を主体とした科学技術プロ
グラムを実施し、研究者・技術者等との対話、参加者同
スパッタリング蒸着実習
(産業技術総合研究所 中部センター・名古屋)
士の交流も行ないました。
開催地も北海道、宮城県、茨城県、東京都、埼玉県、
千葉県、神奈川県、静岡県、新潟県、愛知県と10都道県
にまたがり、参加者の内訳は男女がほぼ同数で、一年生
が112名、二年生155名、三年生は85名でありました。
開催に当たっては、総務省、文部科学省、農林水産省、
経済産業省、国土交通省、環境省、47都道府県教育委員
会、全国高等学校長協会、国立高等専門学校機構からの
後援をいただきました。また、現職の高校理科教諭の助
力を得て、参加者にとって魅力ある環境の構築も万全で
あります。
4 Japan Science Foundation
森林生態系の観測実習
(国立環境研究所・苫小牧)
S C
I
E N C E
C A M P
■会場、参加人数および会期
会場名
参加人数
会期
国土交通省 気象庁 気象研究所
10名
平成16年7月28日(水)
〜30日
(金)
独立行政法人 情報通信研究機構 小金井本部
14名
平成16年8月4日(水)
〜6日
(金)
独立行政法人
Aコース(動物)
10名
平成16年8月2日(月)
〜4日
(水)
〃
Bコース
(植物)
10名
平成16年8月13日(金)
〜15日
(日)
〃
Cコース
(地学)
10名
平成16年8月23日(月)
〜25日
(水)
独立行政法人 物質・材料研究機構
15名
平成16年7月28日(水)
〜30日
(金)
独立行政法人 防災科学技術研究所
15名
平成16年7月26日(月)
〜28日
(水)
独立行政法人 放射線医学総合研究所
20名
平成16年8月17日(火)
〜20日
(金)
独立行政法人 理化学研究所
10名
平成16年7月28日(水)
〜30日
(金)
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 筑波宇宙センター
28名
平成16年7月26日(月)
〜28日
(水)
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 航空宇宙技術研究センター
20名
平成16年8月3日(火)
〜5日
(木)
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 角田宇宙推進技術センター
8名
平成16年8月10日(火)
〜12日
(木)
26名
平成16年8月2日(月)
〜4日
(水)
12名
平成16年8月18日(水)
〜20日
(金)
12名
平成16年8月18日(水)
〜20日
(金)
6名
平成16年8月18日(水)
〜20日
(金)
8名
平成16年8月18日(水)
〜20日
(金)
独立行政法人 農業生物資源研究所
6名
平成16年8月9日(月)
〜11日
(水)
独立行政法人 農業環境技術研究所
12名
平成16年8月18日(水)
〜20日
(金)
独立行政法人 農業工学研究所
6名
平成16年8月9日(月)
〜11日
(水)
独立行政法人 森林総合研究所
12名
平成16年8月9日(月)
〜11日
(水)
独立行政法人 産業技術総合研究所 つくばセンター
17名
平成16年8月24日(火)
〜26日
(木)
10名
平成16年7月26日(月)
〜28日
(水)
9名
平成16年8月24日(火)
〜26日
(木)
10名
平成16年7月26日(月)
〜28日
(水)
8名
平成16年7月27日(火)
〜29日
(木)
日本原子力研究所
18名
平成16年8月9日(月)
〜12日
(木)
核燃料サイクル開発機構
10名
平成16年8月3日(火)
〜5日
(木)
国立科学博物館
独立行政法人 海洋研究開発機構
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構
中央農業総合研究センター 北陸研究センター
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構
果樹研究所/花き研究所
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構
畜産草地研究所
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構
動物衛生研究所
独立行政法人 産業技術総合研究所
北海道センター・地質調査総合センター
独立行政法人 産業技術総合研究所 中部センター
独立行政法人 港湾空港技術研究所
独立行政法人 国立環境研究所 地球環境研究センター
苫小牧フラックスリサーチサイト
合計
352名
【振興部】
October 2004 5
第
3
回
APEC青少年科学フェスティバル
日本代表団の派遣
アジア太平洋地域の高校生どうしが科学研究や文化
業高校、早稲田大学本庄高等学院の男子5名、女子5
の交流を通して国際親善を深め、科学する心を培うこ
名の10名の高校生が学生代表として参加しました。学
とを目的とした「第3回APEC青少年科学フェスティバ
生の引率として、団長の奈良教育大学教授1名、千葉
ル」
が、中華人民共和国科学技術省の主催により、北京
と兵庫の高校理科教師2名、財団の事務局員2名が同
市において2004年8月3日から9日まで7日間にわたり、
行し、支援を行ないました。
北京市第80中学校(日本での高校にあたる)、全国農業
展覧館をメイン会場として開催されました。
フェスティバルでは、各国の学生科学技術展示・発
これは、1998年(平成10年)に大韓民国ソウル市で第
表、各国混成のチームによる「基礎科学」、「航空宇宙
1回のフェスティバルが開催され、続く第2回目が
科学」、「生命科学」、「生態学」、「情報通信技術」など
2000年にシンガポールで開催され大成功を納めたのを
の科学研究プロジェクト、中国科学技術博物館の訪問、
受けて、中華人民共和国が誘致し開催されたものです。
中国空軍航空博物館や北京経済技術開発区など関連施
設の見学、中国の著名な科学者による講演、中国や各
国の文化紹介、万里の長城や故宮博物院の歴史見学な
どの多彩なアクティビティーが行なわれ、各国学生と
の共同作業を通し、科学を学び、友情を育むとても有
意義なフェスティバルとなりました。
今回は、APEC加盟の15の国・地域からブルネイ27
名
(学生20名、理科教師・研究者7名 以下同じ)、カナ
ダ5名(3名、2名)、香港63名(47名、16名)、インド
ネシア16名(10名、6名)、日本15名(10名、5名)、韓
国57名(42名、15名)、ニュージーランド12名(10名、
2名)、シンガポール12名(11名、1名)、台湾54名(30
名、24名)、タイ106名(36名、70名)、アメリカ25名
日本の学生代表は、各国の高校生と共同でアクティ
(19名、6名)、マカオ11名(6名、5名)、ロシア12名
ビティーに参加し、科学研究や文化の交流を通して、
(10名、2名)、ベトナム2名(0名、2名)、中国832
国際交流の難しさを経験するとともに、その重要性を
名(652名、180名)の15〜18歳の学生が約900名、理科
認識しました。将来、科学者を目指す高校生にとって
教師・研究者が約340名の合計1,240名が参加した大き
は、世界を知るよい機会となり、大きな刺激を受け、
なイベントとなりました。
今後の科学活動に更に意欲を高めました。
日本からは、文部科学省が指定しているスーパーサ
●学生科学技術展示
イエンスハイスクールに公募し、応募のあった北海道
フェスティバル会期中、全国農業展覧館で行なわれ
札幌北高校、栃木県立宇都宮高校、京都教育大学附属
た展示に日本代表は、
「燃料電池の可能性」、
「リフター
高校、富山県立富山高校、東京工業大学工学部附属工
(静的浮上装置)」、「走査型電子顕微鏡写真によるヒル
6 Japan Science Foundation
ガオ科の分類」、「地球温暖化と生物季節の関係」など
●学生代表の体験感想から
9テーマを出展しました。初日には、各国学生に英語
科学技術展示や科学研究プロジェクトといった場で、
で説明を行ない、紙で円筒飛行機を作りその場で飛ば
様々な文化的背景を持った各国の人との交流ができ、
す実験を行ったブースや上総掘の掘る仕組みを体験で
そして科学の話題で一緒に盛り上がれることに喜びを
きる実験を行ったブースには多くの学生が来ました。
感じることができました。これは、まさにサイエンス
※
キャンプ を通して感じてきた楽しさそのものでした。
●科学研究プロジェクト
5テーマに分かれた科学研究プロジェクトは、さら
国が違っても、科学への熱い思いが共通していると感
じることができたのは本当に嬉しかったです。
に28の課題に別れて研究活動を行ないました。日本代
(早稲田大学本庄高等学院3年生)
表は、「環境に優しい国際オリンピック」、「ハイテク
次世代コンピュター」、「ナノテクノロジーの進歩」、
「海の未来」、「次世代飛行機」などのチームに参加しま
した。
例えば、「クローン技術の失敗と成功」チームでは、
それぞれ、賛成、反対に分かれて討論し、賛成派は、
「移植などに利用することができ、人命を救うことが
できる」
「著名な科学者たちをよみがえらすことができ、
さらなる科学の発展が期待できる」という意見をあげ、
一方、反対派は、「造ったクローン人間が社会に適応
できるのか」
「今の科学で造り出したクローンは悪影響
がまったくない完璧なものなのか」という意見をあげ
ました。これらの意見をまとめ、「クローンはいった
い人間になにをもたらすのか、それは希望の光なのか、
それとも絶望の闇なのか」ということを追求した論文
とDIY作品として劇を作成し、発表しました。
最後に、フェスティバルの派遣に際し、ご指導いた
だきました諸先生、中国のボランティア、3rdAYSF事
務局のスタッフの方々をはじめ、ご支援いただきまし
た文部科学省、科学技術振興機構の関係各位に深く感
謝申し上げます。
※サイエンスキャンプは、公的研究機関等の研究所が高校生を
受け入れ2泊3日で科学技術体験を行なう合宿プログラム。
【振興部】
October 2004 7
夏休み特別展
「サマー・カーニバル’04」
毎年夏休み期間中、自由工作・自由研究のヒントや作品制作を求めて多くの親子が来館されます。そのニーズに応えるべく、
今年も8月12日(木)から8月22日(日)の会期で、夏休み特別展「サマー・カーニバル'04」
を開催しました。
自由工作・自由研究の参考となる電子工作・モーター工作教室を中心に、新エネルギーをテーマとした「科学演劇」や、来館者
との触れ合いを交えながら様々な難問を解決する
「実験ジャー」ショーなど、館内が活気で溢れました。
以下に、
実施した内容を簡単に紹介します。
開館前から並ぶ来館者
1. 工作教室コーナー
自由工作・自由研究のヒントを求めて、多くの来館者で賑わいました。電子工作やモーター工作を中心に、以下の
ような内容を実施しました。
①電子工作「コンパクト蛍光灯キット」
②電子工作「FMラジオ」
③電子工作「マイコンデジタル時計」
④モーター工作「シャボン玉マシンを作ろう」
⑤モーター工作「くるくるヘリコプターを作ろう」
⑥モーター工作「ペットボトル掃除機を作ろう」
⑦風船張子(ミニ行灯)を作ろう
⑧マイグラスを作ろう
⑨キーホルダー作り
など
電子工作
8 Japan Science Foundation
モーター工作
マイグラスを作ろう
※電子工作は、基盤に各材料をハンダ付けしていく、非常に手間のかかる作業でした。初めてハンダを使用した人も
いましたが、貴重な経験になったことと思います。また、モーター工作では、モーターが回転する仕組みを理解す
ると同時に、いろいろな製品にモーターが利用されていることなど、モーターが身近にあることを再認識していた
だきました。
2. 夏休み特別天体ライブショー
当館4階の「ユニバース」
展示室において、3Dによる夏の星空解説を中心に、宇宙・太陽系の話しをしました。
各回満席となり、来館者の星や宇宙に対する興味・関心が高いことがわかりました。今後も新しい話題を提供で
きるよう、機会を増やしていきます。
協力:理化学研究所、ちもんず
3. サイエンス・バーチャルファイター「地球最大のピンチ、新エネルギーを探せ!」
地球環境やエネルギー資源が深刻化する中、太陽光発電を中心とした新エネルギーは、大変関心の高いテーマで
した。親子で集まるこの時期に、身近な問題に対して意識を持っていただけるように楽しく、そして平易に解説す
る科学演劇を上演しました。
サイエンス・バーチャルファイター
October 2004 9
4. ワゴンによる移動科学実験ショー「実験ジャー」
4年前にキャラクターとして登場した「実
験ジャー」は、子供たちに大人気の科学イン
タープリター的存在です。
科学技術館征服を目論む「ナゾナゾマン」。
ナゾナゾマンが出すいろいろな難問を解い
ていく「実験ジャー」。楽しい掛け合いを交
えながら、科学の楽しさ、不思議さを来館
者へ振りまきました。
5. 企業の協賛
本イベントを実施するにあたり、下記の
企業より協賛をいただきました。
(株)アイデント
アサヒ飲料(株)
実験ジャー
(株)APJ企画
(株)科学館サービス
(株)北の丸商事
(株)紀文食品
(株)グリーンハウス
(株)新日本コンピュータサービス
(株)丹青社
(株)日展
日本ミルクコミュニティ(株)
日本冷凍食品販売(株)
(株)博秀工芸
(株)乃村工藝社
マブチモーター(株)
(株)ムラヤマ
(以上50音順)
協賛により、イベントの内容も充実し、参加者に大変喜んでいただきました。今後もイベント企画の充実を図り、
様々な企業との連携に取り組み、学校ではなかなか体験できないような機会を提供していきます。
6. 各地での実施について
当館は、全国各施設で利用できる貸出用展示物を数種類所有しています。これまで、多くの施設でご利用いただき、
好評を博しております。
本展で実施した科学演劇「サイエンス・バーチャルファイター」やワゴンによる移動科学実験ショー「実験ジャー」、
さらには様々な工作教室も含めて、全国を巡回する展開を図っていきます。
イベントを開催する際の一助として、ご検討いただければ幸いです。
<お問合せ先>
科学技術館運営部
TEL:03−3212−8509
【科学技術館運営部】
10 Japan Science Foundation
科学技術振興調整費 産学官共同研究の
効果的な推進
4次元デジタル
宇宙映像配給システムの構築
本研究は、平成16年度科学技術振興調整費による共同研究プロジェクトに応募し採択されました。研
究業務に関して(財)日本科学技術振興財団の担当部分である、機器の評価・試験を8月23日、24日に実施
し、24日には国立天文台
海部天文台長、観山副天文台長にもご参加いただきました。
共同研究の概要及び評価試験実施内容は下記の通りです。
◆共同研究機関
研究開発の過程で制作される映像ソフトは、インター
大学・独法等 国立天文台
民間企業
ネットで配信するとともに、学校等でも操作可能な可動
理化学研究所
式4Dシアターシステムを開発する。これら4Dシステ
財団法人 日本科学技術振興財団
ムは、基礎科学のみならず、広範な分野で応用可能であ
コニカミノルタプラネタリウム株式会社
り発展性が見込まれる。
株式会社 五藤光学研究所
4. 共同研究体制
目標を達成するための研究開発項目と役割分担は以下
◆研究の概要・目標
の通りです。
1. 共同研究の主旨
宇宙全体をシームレスに時間と空間の旅が出来るよう
な4Dデジタルコンテンツ群を国立天文台が中心となっ
て開発する。家庭や学校、大学・研究機関や科学館に配
布可能なよう、用途に合わせた3種類の映像システムを
共同研究機関と開発し、天文学に限らず広く4Dコンテ
ンツを国内外に配布することを目的とする。
2. 目標
国立天文台、理化学研究所他
2)作品化と配給
(株)
コニカミノルタプラネタリウムと五藤工学
(株)
3)ドーム型シアターの評価
サンシャインプラネタリウム他
4)可動式4Dシステムの評価
期待できる成果を時系列に分け記述
●
1)デジタル4Dコンテンツとソフトウエアの開発
(財)
日本科学技術振興財団 他
研究開始後1年目の目標:ホームシアター用パーソナル
4Dソフト配給
●
研究開始後2年目の目標:教室用可動式4Dシアターシ
ステムの開発
●
研究開始後3年目の目標:ドーム型4Dシアターの開発
◆機器評価・試験内容
立体投影システムを構築する場合、使用目的に応じた
最適な機器や方式を選択する必要があり、機器及び立体
方式の選択に必要な評価・試験を行いました。
3. 内容
天文学の先端研究結果の4次元映像(4D)を、何処でも
誰でもが楽しめるよう実用的な計算機とソフトウエア、
1. 評価・試験の項目
立体投影に関係する性能・機能はおよそ下記の通りと
さらに4Dプラネタリウムシステムを開発し、ドーム型
考えられる。この項目のうち性能表だけでは確認できな
劇場での投影を最終目標とする。
い項目について評価・試験を行った。
October 2004 11
1)プロジェクター(評価を行う項目 ②、④、
)
①解像度:
②元画像に対する色への影響
③光量の減衰
利用するコンテンツや情報に必要な十分な解像度が
④左右の視野角の広さ
あるか
⑤投影画面と見る者との関係(角度)
②色表現、発色:
方式ごとの発色の違い
⑥目の疲れ具合
⑦価格
③明るさ:
使用目的に合った光量があるか
④投影素子による特徴の違い:
2. 評価・試験の方法
試験の方法については数値的に表現が難しい項目が
素子ごとの特徴、例えばドット間の隙間の差や、画
あるため、基準となる方式を決め基準からの相対評価と
面の粒粒感など
し、参加研究員が各自評価シートに記入し、評価点の平
⑤レンズシフト等の機械的な調整項目:
レンズシフトなど光軸調整に有効な調整項目の種類
と有無
⑥デジタル台形補正などの電気的調整項目:
台形補正など光軸調整に有効な調整項目の種類と有
無
⑦大きさ・重量:
目的・設置場所に合った大きさ・重量であるか
⑧価格:
予算に合いかつ適正な価格であるか
2)立体方式(評価を行う項目 ①、②、③、④、⑤、⑥)
①左右のクロストーク
均を評価結果とする。
1)相対評価の基準は次の通りとする
・プロジェクター
XG−P25X シャープ製4000ANSIルーメン液晶プロジ
ェクター
・偏光方式
直線偏光フィルター
・スクリーン
メタルシルバースクリーン
2)評価に使用する画像
・DVDによる動画、シミュレーション画面、CG、テ
ストパターン
評価・試験の様子
12 Japan Science Foundation
今回の評価の目玉である、インフィテック搭載のBARCO製ギャラクシー→
3)評価の方法
①プロジェクター
フィルター等無い単体の状態で、DVD(動画)、シミ
ュレーション、CGなどを同時に投影し比較評価を
行う。
②立体投影方式
プロジェクター同様に可能な限り同時投影にて評価
を行う。
③組み合わせ評価
立体方式の変更が可能な機種については、数種類の
立体方式について比較を行う。
◆今後の展開と計画
・移動式シアターシステム
・ドーム型4Dシアター
平成16年度は、移動式簡易シアターシステムの試作・
ドーム型4Dシアターについては、平成17年度、18年
設計・開発を行います。
度に開発を行い、18年度には立体投影を成功させる予
17年度は、移動式シアターシステムの評価を行うと共
定です。
に、システムの改良を行う予定です。
【科学技術館運営部】
October 2004 13
「大成 風のミュージアム」
夏休みイベントの開催
当財団では、4月にオープンを迎えた大成高等学校「大成 風のミュージアム」の今年度の運営コンサルティ
ング業務の一環として、夏休みイベントのコーディネート・実施支援を行いました。実施されたイベントは
以下の通りです。
(1)
「エアークラフト」手作り製作ワークショップ
実施日:平成16年8月4日、8月23日
対象者:近隣の小学生親子等
内
容:型が印刷されたボール紙を切り抜いて、地面すれすれを滑走する「エアークラフト」を製作しました。
完成後、自分の製作したエアークラフトを床に固定された輪ゴムの力で飛ばし、距離を競い合うコ
ンテストを実施しました。
エアークラフトの形状データ及びワークショップのノウハウについては、越谷市科学技術体験セン
ターの全面的なご協力をいただきました。
(2)
「エコオランダ風車」手作り製作ワークショップ
実施日:平成16年8月6日、8月25日
対象者:近隣の小学生親子等
内
容:8月4日の回には、まずゲスト講師として参加していただいた足利工業大学の牛山泉教授から、風
力発電についての分かりやすく楽しい実演を交えたレクチャーがありました。続いて牛山研究室の
西沢良史助手の指導で、同研究室の開発したリサイクル素材活用のオランダ型風車模型を製作しま
した。羽根に色を塗って自分だけの風車をデザインし、最後に風を受けて発電させ、LEDが点灯す
るのを全員が確認しました。8月25日の回は、大成高校の先生方と学芸説明員の方々の指導により、
同じ内容のプログラムを実施しました。
なお、大成高等学校と足利工業大学は、平成16年7月13日に当財団の立ち会いにより姉妹施設協定
を締結しております。今後のさらなる発展的な協力関係が期待されます。
(3)東京大学 半田利弘博士講演会「宇宙の風」
実施日:平成16年8月27日
対象者:近隣市民等
内
容:東京大学天文学教育研究センター
の半田利弘博士を迎え、
『宇宙の風』
と題した講演会を実施しました。
天文学教育研究センターは
「大成 風
のミュージアム」と同じ三鷹市にあ
ることから(国立天文台内)、これ
を機会に両施設の連携が深まるこ
とが期待されます。
【企画開発部】
14 Japan Science Foundation
情報化推進事業
インターネットを活用した成績報告システム
「SuperGrace」の開発と運用
■SuperGraceとは
いかなければなりません。しかし経営環境が厳しくなっ
企業内研修において外部教育機関の研修プログラム
(通
ている中、各教育機関とも情報化投資が難しくなってい
信教育、セミナー、e-Learning等)を活用するケースが一
るのが現実です。そこで、本来、競合する教育機関同士
般的となっていますが、この時に問題となるのが社員
(受
がそれぞれの学習進捗報告業務のしくみを共同、共有す
講者)の学習進捗管理です。今までの学習進捗管理方法
ることで、より効果の高い情報化投資となり、かつ、教
というと外部教育機関から月1回郵送される成績一覧表
育機関共通のしくみとすることで顧客企業の利便性を図
(複数の教育機関研修プログラムを活用した場合、各教
ったのがこのSuperGraceの取り組みです。
育機関から郵送される成績一覧表は、毎月いつ届くかも
教育機関同士でいかに質の高い学習進捗状況報告サー
バラバラ、様式もバラバラ)を基にしていたため、企業
ビスであるかを競争するのではなく(そういったことを
の教育担当者にとって、学習進捗管理はとても煩雑なも
しても企業の教育担当者にとっては、ありがたくないこ
のでした。
とも多い)均一な質の高いサービスを顧客企業に提供す
社会の情報化を背景に、80年代後半から紙の成績一覧
ることを目的としている点が大きな特徴です。
表に代わり電子媒体(主にフロッピーディスク)を基に学
習進捗管理を行うケースが増え、それに伴い電子化情報
■当財団の役割
の統一仕様も取決められましたが、それでも各教育機関
システム開発および運用を担当と言えばそれまでです
から毎月届くフロッピーディスクの処理には、手間のか
が、前述のように本来、競合する教育機関同士の共同、
かる作業を余儀なくされていました。
共有システムですので当然ながら、お互いの都合で意見
そこで、企業向け研修サービス大手の
が食い違います。当財団は情報化推進という目的で本事
・学校法人 産業能率大学
業を行っており、各教育機関との利害関係が無いことか
・株式会社 日本能率協会マネジメントセンター
ら、公平、中立の立場でこのシステムの目的を遂行でき
・株式会社 日本マンパワー
るように意見調整、取り纏めを行う役割を担っています。
・社団法人 日本経営協会
・職業訓練法人 日本技能教育開発センター
SuperGrace Webサイト http://www.supergrace.jp
5教育機関が共同で企画し、インターネットを活用し
た成績報告システム「SuperGrace」
を立ち上げました。
SuperGraceは学習進捗状況を管理する教育機関共同の
サーバをインターネット上に構築し、そこから各企業の
教育担当者が自社の社員の学習進捗情報だけを「まとめ
て」
「いつでも」
閲覧・ダウンロードできるシステムです。
当財団は、上記教育機関より委託を受けSuperGraceシス
テム開発および運用(2002年7月運用開始)
をしています。
■SuperGraceの特徴
このシステム最大の特徴は、各教育機関共同、共有の
運営方法にあります。各教育機関とも企業の情報化に対
応して顧客に満足してもらえるようサービスを革新して
October 2004 15
SuperGrace利用者(企業教育担当)数 推移(2002年7月より)
3,000人
2,500人
2,000人
1,500人
1,000人
500人
0人
7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
2004年8月末現在
2,663人
全教育機関分 学習進捗状況報告受講者人数 推移(2002年7月より)
160,000人
140,000人
120,000人
100,000人
80,000人
60,000人
40,000人
20,000人
0人
7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
2004年8月末現在
151,484人
SuperGrace加盟教育機関(敬称略 順不同)
(学)産業能率大学
(株)日本能率協会マネジメントセンター
(社)日本経営協会
(株)日本マンパワー
(訓)日本技能教育開発センター
(財)日本英語教育協会
(株)アイテック
(株)リンガフォン・ジャパン
(財)日本書道教育学会
(株)アイ・イーシー
(株)ディダック
2004年8月末現在 21教育機関
■SuperGraceの今後
現在、SuperGraceでは企業内研修における通信教育
(テキスト&リポート添削)の学習進捗状況報告を主とし
ていますが、他の研修プログラム(e-Learning等)にも活
用可能であると考えています。また、個人情報保護が強
国家試験受験指導センター
(社)日本監督士協会
(株)工学研究社
(株)インタラック
PHP研究所
(社)日本プラントメンテナンス協会
TAC(株)
ネットスクール(株)
(株)創成館
NPO 日本成人病予防協会
考えあわせると、SuperGraceは日本の企業向け研修サー
ビス基盤の一つとして発展していく可能性を大いに持っ
ています。
今後も各教育機関と協調し、取り組むことで情報化推
進事業に貢献していきたいと考えています。
く求められている現在、紙やフロッピーディスクよりも
安全に取扱えるシステムであると評価されていることを
16 Japan Science Foundation
【情報システム開発部】
収蔵資料展
「古写真で見る所沢飛行場の名機」
を開催
9月11日
(土)
から23日
(祝)
まで、喜多川秀男が明治末期から昭和初期にかけて所沢飛行場に飛来した飛行
機を撮影した写真27枚の展示会を、所沢航空発祥記念館で開催しました。
喜多川秀男は明治20年、熊本県で誕生し上京後、新宿の写真館勤務を経て、大正4年所沢飛行場の近くに
「喜多川写真館」
を開業しました。当時、飛行場関係の軍人で写真撮影のできる者はおらず、彼が軍に依頼さ
れて、所沢飛行場に飛来する飛行機の写真を撮影しました。明治43年、東京・代々木練兵場で日本最初の飛
行に成功し、翌年、所沢飛行場でも最初の飛行に成功したアンリ・ファルマン機、大正時代にフランスから
輸入されてライセンス生産された甲式一型練習機、乙式一型偵察機、フランスの影響を受けた流麗な機体が
特徴の九一式戦闘機等、日本の航空の揺籃期を象徴する飛行機を記録しました。
昭和20年の終戦と同時に、憲兵から軍事機密を守るため、それらを撮影したガラス製の写真乾板を処分す
るように命令を受けましたが、密かに防空壕へ隠して守り通しました。所沢の航空の歴史が残り、当記念館
ができたのはこれらの写真のおかげと言っても過言ではありません。
資料展の会期中は、平成生まれの小・中学生から、かつての所沢飛行場を知っていると思われる高齢者の
方まで多くの方が来館しました。いずれも熱心に食い入るように写真を眺め、飛行機、そして時代の雰囲気
を感じ取ろうとしていたのが印象的でした。
当記念館には写真のほか数多くの資料が収蔵されています。今後ともそれらの積極的活用を図りたいと考
えています。
【航空記念館運営部】
October 2004 17
夏休み特別展
「のぞいてみよう!
マグネットの不思議な
世界」を開催
所沢航空発祥記念館では、平成16年7月17日〜9月5日を会期と
して、夏休み特別展「のぞいてみよう! マグネットの不思議な世界」
を開催しました。
「生活」から「理科」に教科名が変わり、「科学的な見方や考え方を
養う」ことが目標となる小学校3年生の理科では、電気と磁石が教
材に取上げられています。そして「光,電気及び磁石を働かせたと
きの現象を比較しながら調べ、見いだした問題を興味・関心をもっ
て追究したりものづくりをしたりする活動を通して、光,電気及び
磁石の性質についての見方や考え方を養う。」ことを具体的目標に掲
げています。
当館における夏休みの入館者は、例年、小学校低学年とその家族連れが過半数を占めています。このため、
家庭ばかりか学校でもなかなか実験に使わない強力なネオジム磁石などを使った体験型の磁石展示品を展示
し、触って、試して、マグネットを科学していただこうと考えました。必ずしも小学3年生が来ていたわけで
はありませんが、それ以外の学年のお子さんにも、マグネットの不思議な現象は楽しんでいただけたようです。
展示品は、「ネオジム磁石とパチンコ玉3,000個」
「空中浮遊磁石」
「磁界観察装置」
「ぶら下がり電磁石」
「3極
大型モーター」
「銅円盤状の磁石浮上」
「電磁調理器」
「さかなつりゲーム」などで、科学技術館の移動展示「マグ
ネット展」を主体にした展示です。
また、会期中の毎土曜日には、電磁石製作などの誰でも簡単に作れる「かんたん工作教室」や、科学技術館
ボランティアの柳沼先生や実験ジャーの出演による「おもしろ科学実験ショー」を行いました。科学実験内容
は科学技術館で定評のある液体窒素の実験などで、さすがに小学生には受けていました。
当館は航空技術を扱う科学館でもありますが、航空機を科学技術的に理解するのは、やはり小学生には難し
いところがあります。まずは、それを理解する基礎を楽しく身につけていただきたいと思います。小学生の時
に「かっこいい」と感じた機体を、将来、今度は専門的な角度から楽しむために来館していただけたらとても
ありがたいと思います。
18 Japan Science Foundation
【航空記念館運営部】
October 2004 19
企業各社の社会貢献活動の
ご紹介シリーズ
日頃から当財団の事業をご理解いただき、ご支援をいただいております企業・団体の皆様、
「ありがとう
日頃から当財団の事業をご理解いただき、ご支援をいただいております企業・団体の皆様、
「ありがとう
ございます」
。心から感謝申し上げます。当財団の諸事業にご支援いただいている企業の社会貢献活動(主
ございます」
。心から感謝申し上げます。当財団の諸事業にご支援いただいている企業の社会貢献活動(主
に科学技術の振興、普及啓発を中心)の取り組みをシリーズで紹介させていただきます。
に科学技術の振興、普及啓発を中心)の取り組みをシリーズで紹介させていただきます。
今回、ご紹介するのは協和発酵工業株式会社(代表取締役社長
今回、ご紹介するのは協和発酵工業株式会社(代表取締役社長 松田
松田 譲)です。協和発酵工業株式会社は、
譲)です。協和発酵工業株式会社は、
当財団の賛助会員であり、また、代表取締役
当財団の賛助会員であり、また、代表取締役 平田
平田 正
正 会長は、当財団の常任理事でもあります。2004
会長は、当財団の常任理事でもあります。2004
年3月には、東京研究所で「のぞいてみようミクロの世界!
年3月には、東京研究所で「のぞいてみようミクロの世界! きみのそばのバイオサイエンス」というテー
きみのそばのバイオサイエンス」というテー
マでスプリング・サイエンスキャンプにご協力いただきました。
マでスプリング・サイエンスキャンプにご協力いただきました。
元町田市内の小・中学校をはじめ、群馬県内の中学校、
<協和発酵工業株式会社の社会貢献活動は>経営
指針として、社会に開かれた経営に努めるととも
東京都内の小・中・高等学校、関東近県へと広がり、の
べ33回
(2004年3月末現在)
の出動回数を数えています。
に、国際基準の考え方を積極的に取り入れますと
謳っています。その中で、社会とのコミュニケー
そのバイオアドベンチャー号と一緒に出前実験を担う
ションを図り、社会貢献活動等を通じて、社会か
のが、現役研究者たちアドベンチャースタッフです。若
ら正しい理解と信頼を得られるように努めると定
手研究員を中心に休日返上のボランティアで出前実験が
めています。
行われています。
今回は、その社会貢献活動の中から、協和発酵東京研
究所が行っている、バイオアドベンチャー号の活動につ
いて紹介します。バイオアドベンチャー号とは、顕微鏡
などの実験器材を専用車に積んで、講師役の当社研究員
が各地の小・中・高校を訪問し、理科教育を支援する理
科移動実験教室で、ラジオ、新聞、雑誌等でも取り上げ
られています。
バイオアドベンチャー号は、協和発酵の創立50周年記
バイオアドベンチャー号
念事業の一つとして1999年にその構想がスタートしまし
た。地域に貢献することを目的に、
「研究成果を子どもた
ちにも知って欲しい」、「理科のおもしろさを感じ取って
バイオアドベンチャー号は、微生物、免疫、遺伝子
の3プログラムで出前実験活動を展開しています。
欲しい」、「科学への好奇心を芽生えさせたい」との研究
者等の思いから出前実験が企画されました。
①微生物授業編 〜微生物は働き者〜
東京研究所の所在する地元の町田市教育委員会(東京
土や葉、部屋の空気などから生えてくる身近な微生物
都町田市)と検討を重ね、翌年の2000年1月29日には第
を観察します。また、チーズ・ヨーグルト・納豆等か
1回目の出前実験が町田市科学教育センターで開かれま
ら、その場でプレパラートを作成し、働く微生物を観
した。それ以来、バイオアドベンチャー号の出動先は地
察します。
20 Japan Science Foundation
②免疫授業編
〜体を守る 体のしくみ〜
昨年から、中学生を対象に免疫授業を始めました。免
疫の意味、免疫のしくみ、抗体とは、とのテーマで
③DNAは生命の設計図編
〜遺伝子探偵〜
「マクロファージの貪食作用を顕微鏡で観察」
「抗体の特
異性をELISA法で確かめる」等を行っています。
する実験を行います。このプログラムでは、最先端の実
細胞からDNAの糸を抽出し、実際に目で観察します。
験室で用いられている本格的な分子生物学的技術が体験
また、異なる生物種の遺伝子配列やタンパク質を比較
できます。
出前実験は東京研究所研究員の有志ボランティアで運営されています。年間10回ほど、主に町田市近辺を中
心に関東近県で実施しています。
October 2004 21
世界物理年
日本委員会の設立
世界物理年日本委員会事務局
(*注)
アインシュタインが、光電効果の理論、ブラウン運動の理論、特殊相対性
理論を発表した1905年(明治38年)の「奇跡の年」から100周年にあたる2005年
(平成17年)
は、国際連合総会によって、物理の
「国際年
(International Year)
」
とすることが決議されました。世界各国では、現在、これを記念したさまざ
まな活動が企画、検討されています。
この記念すべき年に、日本における活動を実りあるものにするため、日本物理学会、応用物理学会、日本天文学会、
日本物理教育学会、日本生物物理学会、日本工学会及び日本科学技術振興財団をはじめとして、関連する学会・協会、
政府をはじめ科学技術の理解増進にあたる機関・団体その他関係する諸団体の協力により、9月30日、科学技術館会
議室にて発起人会を開催し、『世界物理年日本委員会』
(以下「日本委員会」という)を立ち上げることを決定し、続い
て、第1回運営委員会が開催され、記者発表が行なわれました。
日本委員会の会長に就任した当財団会長の有馬朗人は、「基礎物理の重要性や物理学を応用した技術に関心を持っ
てもらえるよう努力したい」と挨拶し、続いて、運営委員長に就任した北原和夫国際基督教大学教授が、日本委員会
の活動の概略を発表しました。
日本委員会では、以下の8つのジャンルに分類して、各機関・団体が企画する計画の連絡・調整にあたるとともに、
日本委員会としての事業を計画、実施していく予定で、関係するすべての機関、団体、個人に対して、このプロジェ
クトの趣旨のご理解とご参加、さらに活動へのご支援をお願いしていくことにしています。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
講演会 ……………………………………Physics Dialogue Projects
出前講義・実験 …………………………Physics Outreach Projects
展示 ……………………………………Physics Instrument Projects
物理コンテスト ……………………………Physics Contest Projects
出版 …………………………………………Physics Booklet Projects
顕彰 …………………………………………Physics Friends Projects
国際対応 ……………………………International Relation Projects
広報・連携 ………………………………Publicity and Coordination
22 Japan Science Foundation
当財団は、日本委員会に発起人として参加するとともに、日本委員会事務局を科学技術館におくことで、学会・協
会と一致協力して、この世界物理年が物理の理解にとって「奇跡の年」になるように努力してまいります。
(時間軸)
■お問い合わせ先:世界物理年日本委員会事務局
東京都千代田区北の丸公園 2−1
電話:03−3212−4785
光
科学技術館内
URL:www.wyp2005.jp
*注:WYP2005のロゴ
ミンコフスキーが表現した特殊相対性理論の時空間「光円錐(light-
未来
現在
(空間軸)
過去
cone)」をデザイン化したものです。時間軸と空間軸の交点に現在の
人間が位置します。円錐面の内側が私たち(観測者)の世界であり、
外側は因果関係が絶たれた世界を意味しています。
October 2004 23
お
知
ら
せ
「夢・化学―21」土曜実験教室の開催
「化学の世界」を中心に不思議さ、楽しさを体験できる土曜実験教室を開催しています。
今後の予定は「太陽電池を作ろう」昭和電工(株)、
「高性能プラスチックでしおり作り」宇部興産(株)、
「ほかほかカ
イロのひみつ」
三菱ガス科学(株)
「ヘアーサイエンス&洗浄の科学」
、
花王
(株)です。
■開催日:平成16年9月〜平成17年3月までの毎週土曜日
■場
所:科学技術館
■参加費:無料(ただし、科学技術館への入場料は別途必要です。)
■主
催:
「夢・化学―21」組織委員会、[(社)日本化学会、(社)化学工学会、(社)新化学発展協会、(社)日本化
学工業協会]、科学技術館
■問合先:科学技術館
TEL:03−3212−8544
特別展「航空業界に生きる人々 〜仕事場は大空!〜」
飛行機が安全に飛ぶためには数多くの人々がかかわって
います。それらの人々は、どのような仕事をしているの
でしょうか。また、その仕事に就くためにはどのように
すればよいでしょうか。大空を仕事場とする航空業界に
憧れる方、かつて憧れた方必見の特別展です。
■会
期:平成16年10月2日(土)
〜12月12日
(日)
■会
場:所沢航空発祥記念館
■主
催:所沢航空発祥記念館
■問合先:所沢航空発祥記念館
展示館内特別展示会場
TEL:04−2996−2225
日本のノーベル賞科学者と2004ノーベル賞受賞者展
日本のノーベル賞科学者に関する展示や関連実験・講演会を開催します。また、スウェーデンでの受賞者発表
をうけてただちに関連情報を速報します
■開催日:平成16年10月2日(土)
〜11月7日(日)
■場
所:科学技術館5階フォレスト内および4階「ユニバース」
■主
催:
(財)日本科学技術振興財団・科学技術館、理化学研究所
■問合先:科学技術館
TEL:03−3212−8544
24 Japan Science Foundation
秋の大型映像フェスティバル
空に憧れた少年少女が大人になってパイロット、整備
士として活躍するストーリーの
「フライング・ドリーム」
を10月2日〜12月28日まで上映します。
秋の大型映像フェスティバル期間中は、この通常上映
作品と併せて「いのち・地球・大移動」
「ヒューマンボデ
ィ」を入れ替わりで上映します。
■会期および上映作品:
前期(10/16〜10/29)
「いのち・地球・大移動」
後期(10/30〜11/13)
「ヒューマンボディ」
■会
場:所沢航空発祥記念館
■問合先:所沢航空発祥記念館
大型映像館
TEL:04−2996−2225
ウインター・サイエンスキャンプ参加者募集のお知らせ
ウインター・サイエンスキャンプは、様々な最先端の研究成果や研究施設・実験装置等を有する日本各地の大学・
公的研究機関(13会場)が、冬休みの3〜4日間高校生を受け入れ、本格的な実験・実習を行なう科学技術体験
合宿プログラムです。参加費は8,000円、応募締め切りは、11月17日(水)必着です。募集要項、申込書は、事務
局に請求するか、WEBサイトでも入手できます。
■会
期:平成16年12月23日〜平成17年1月10日
■会
場:北海道大学、北見工業大学、東北大学、山形大学、筑波大学、足利工業大学、中部大学、同志社大学、
大阪府立大学、鳥取大学、愛媛大学、高知大学、産業技術総合研究所
■主
催:文部科学省
■実施運営団体/問合先:日本科学技術振興財団・振興部 TEL:03−3212−2454
URL:http://ppd.jst.or.jp/camp/
October 2004 25
SCIENCECHRONICLE
き
10月
ょ
う
何
は
の 日
?
OCTOBER
1日 ◆ (1964)昭和39年 東海道新幹線が営業運転開始。時速200km/h の超特急「ひかり」
「こだま」
デビュー
2日 ◆ (1835)天保6年 麻酔薬で乳癌の手術を行った江戸時代の外科医華岡清洲没(1760.10.23〜 1835.10.2)
3日 ◆ (1989)平成元年 愛知県犬山市の京大「霊長類研究所」のチンパンジー
「アイ」と
「アキラ」
は、4つの檻
の鍵を開け脱走する
4日 ◆ (1957)世界最初の人工衛星、ソ連の「スプートニク1号」打ち上げに成功。1時間35分で地球を1周
5日 ◆ (1931)初の太平洋無着陸横断飛行に成功。アメリカのパングボーとハーンドンは「ミスヴィードル号」
で、青森県淋代海岸からワシントン州ウェナッチまで 7847kmを41時間31分で飛んだ
6日 ◆ (1968)昭和43年 いわき市の高校生鈴木直さんは「海竜」の化石を発見「フタバスズキリュウ」
と命名
7日 ◆ (1959)ソ連の月探査機
「ルナ3号」から初めて月の裏側の写真の電送に成功
8日 ◆ (1988)昭和63年 奈良・藤ノ木古墳の石棺を1400年ぶりに開く
9日 ◆ (1890)フランスのアデールが製作した蒸気機関装備の単葉機
「エオル号」
が50m
浮揚したが操縦はされず、持続飛行もできなかった
10日 ◆ (1946)ロンドンを爆撃したドイツの「V2ロケット」垂直に打ち上げると 100km
の高度に達し1946年の観測では電離層の研究に重要な成果をおさめた
11日 ◆ (1915) フランスの昆虫学者・博物学者アンリ・ファーブル没
(1823.12.22〜 1915.10.11 )
昆虫学的観察の名著「ファーブル昆虫記」
12日 ◆ (1492)
「コロンブス・デー」 8月 3日スペインを出帆したコロンブスの
「サンタ・マ
リア号」がアメリカ・サン・サルバドル島に上陸した日
13日 ◆ (1981)昭和56年 潜水調査船「しんかい2000」が、熊野灘で潜水最深記録 2008mを達成
14日 ◆ (1872)明治5年 「汽笛一声!」
日本最初の鉄道開通(新橋−横浜間 1日9往復、片道53分)
15日 ◆ (1582)ローマ教皇グレゴリウス13世が「ユリウス暦」に代わって「グレゴオ暦」
を制定
16日 ◆ (1982)76年周期で太陽に接近するハレー彗星を1982年のこの日、パロマ天文台の 200インチ望遠鏡が
最初にとらえた。1986年2月に太陽に最接近した
17日 ◆ (1984)
「天王星にもリングがあった」NASAの研究グループが、電子カメラで天王星のリングを撮影し
たと報道された
18日 ◆ (1931)アメリカの物理学者・発明家トーマス・エディソン没(1847.2.11 〜 1931.10.18 )
生涯に1,000件を越える特許をとり、その分野は広く電気通信・映画技術・セメント・蓄電池等
19日 ◆ (1901)ブラジル人サントス・デュモンは、第6号飛行船でエッフェル塔の周回飛行に成功
20日 ◆ (1939)大正14年 大阪毎日・東京日日新聞が主催した「世界一周飛行」に挑んだ「ニッポン号」が、羽田に
帰着した。5大陸 36カ国 52,860km飛んだ(ニッポン号:三菱九六式陸攻機)
21日 ◆ (1929)
「ドルニエDo−X」12発巨人飛行艇は、ドイツ・ボーデン湖で乗客 169人を乗せて
1時間飛行し、人員搭乗の世界記録をつくった
22日 ◆ (1909)フランスのエリーズ・ラロシュ男爵夫人が、女性初の単独飛行に成功
23日 ◆ (1946)イギリスの生物学者・動物作家アーネスト・シートン没(1860.8.14 〜 1946.10.23 )
「シートン動物記」
動物の習性を観察し、それを論文や物語に書いた
24日 ◆ (1601)デンマークの天文学者ティコ・ブラーエ没(1546.12.14〜 1601.10.24 )
コペルニクスの太陽中心説とプトレマイオスの地球中心説の折衷した考えを提唱した
25日 ◆ (1994)イタリア・ルネサンスが生んだ「万能の天才」
レオナルド・ダ・ビンチが書いた自筆ノートが銀座の
ホテルで初公開された。この手稿は翌月「クリスティーズ」
の競売で30億円で落札した
26日 ◆ (1979)WHO(国連世界保険機構)はこの日、全世界から天然痘が根絶したと宣言
27日 ◆ (1938)アメリカのデュボン社は「ナイロン」
を発明したと発表
28日 ◆ (1972)昭和47年 中国から贈られたパンダ(カンカン・ランラン)が上野動物園に到着
29日 ◆ (1998)日本女性宇宙飛行士の向井千秋は、ジョン・グレン米上院議員らが乗り込んだスペースシャトル
「ディスカバリー」
で2度目の宇宙へ出発
30日 ◆ (1938)ラジオドラマ
「火星からの侵入」で大パニック H・G・ウェルズの
「宇宙戦争」
をドラマ化したオ
ーソン・ウェルズがつくった番組で、火星人来襲と思い込んだ人々が恐慌状態に陥った
31日 ◆ (1953)昭和28年 東京に「赤電話」登場
26 Japan Science Foundation
11月
NOVEMBER
1日 ◆ (1974) 昭和49年
気象庁は全国 1300カ所に設置した無人観測システム「アメダス」
による観測を開始
2日 ◆ (1996)平成 8年
世界初の「薬害エイズ国際会議」
が神戸市で開催
3日 ◆ (1940)昭和15年
小西六が初の国産「カラーフィルム」
の発売すると発表
4日 ◆ (1869)科学ジャーナリズムの先駆けとなったイギリスの科学雑誌「ネイチャー」が創刊される
5日 ◆ (1911)初のアメリカ大陸横断飛行に成功
ロジャースは「ライト複葉機」でニューヨークから、68回の
離着陸、82時間以上の飛行をし49日間かかってロングビーチまで飛んだ( 9月15日〜11月 5日)
6日 ◆ (1998)国立天文台がハワイ島に建設中の大型光学赤外線望遠鏡
「すばる」の主鏡が現地に到着
7日 ◆ (1983)昭和58年
奈良県明日香村「キトラ古墳」内部をファイバースコープで覗き、彩色壁画を発見
8日 ◆ (1956)昭和31年
最初の南極観測船「宗谷」
が南極に向け東京を出発
9日 ◆ (1872)明治5年
明治政府は太政官達を出し
「太陰太陽暦」
から
「太陽暦」に改めると発表
明治5年12
月3日が明治6年1月1日となる
10日 ◆ (1960)昭和35年
ソニーが
「エサキダイオード」の特許を取得
11日 ◆ (1997)ユネスコが「人間の遺伝子は人間共通の財産」
と定め、クローン人間や遺伝子差別を禁じた世界
宣言を採択
12日 ◆ (1981)スペースシャトル
「コロンビア2号」
が2度目の飛行。同じ宇宙船の機体が再使用
されたのは、これが初めて
13日 ◆ (1981)昭和56年
山階鳥類研究所が沖縄で発見された新種のクイナを「ヤンバルクイナ」
と命名。翌年特殊鳥類及び天然記念物に指定される
14日 ◆ (1947)昭和22年
倉敷天文台の本田実が新しい彗星を発見。
「ホンダ彗星」
と命名された
15日 ◆ (1630)ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラー没
(1571.12.27〜 1630.11.15 )
惑星運動について問題を提起
「ケプラーの法則」
16日 ◆ (1974)アメリカのアレシボ電波天文台から、24,000光年のヘラクレス座「M13球状星団」に向けて、地
球外文明へのメッセージを発信した
17日 ◆ (1869)1859年4月に起工した地中海と紅海を結ぶ160kmのスエズ運河が完成、開通した
18日 ◆ (1975)昭和50年
太平洋横断ヨットレースの小林則子が沖縄に到着。女性単独世界最長航海記録
19日 ◆ (1997)土井隆雄宇宙飛行士が、スペースシャトル
「コロンビア」で宇宙へ。
日本人初の船外活動をする
20日 ◆ (1998)ロシアは、国際宇宙ステーション最初のモジュール「FGBザリャー」打ち上げに成功
21日 ◆ (1930)ドイツの気象学者・地質学者アルフレッド・ヴェーゲナー没(1880.11.1 〜 193.11.21)
「大陸移動説」
を提唱
22日 ◆ (1907)アメリカの天文学者アサフ・ホール没
(1829.10.15〜 1907.11.22 )
火星の衛星「フォボス」と「ダイモス」
を発見。また木星の自転周期を測定した
23日 ◆ (1963)通信衛星「リレー1号」による日米間初の衛星中継に、F・ケネディ暗殺のニュース流れる
24日 ◆ (1859)チャールズ・ダーウィンの「種の起源」
の初版が出版された。世界中の注目を集めた
25日 ◆ (1987)「ハイビジョンの日」ハイビジョンの走査線の数
「1125本」
にちなんで郵政省が1987年に制定
26日 ◆ (1952)スウェーデンの地理学者・探検家スヴェン・ヘディン没
(1856.2.19 〜 1952.11.26 )
シルクロードを探検しロプノール湖の周期的移動を発見
27日 ◆ (1981)ソ連が地質調査のため行っていたボーリングで、1万1,000m の深度に到達したと発表
28日 ◆ (1519)世界一周の途中で、ポルトガルの探検家マゼラン一行は、この日大西洋から海
峡をぬけ太平洋に出た。のちにこの海峡を
「マゼラン海峡」と呼ぶようになった
29日 ◆ (1877)発明家エジソンはこの日、蓄音機に吹き込む、最初の実演をした。吹き込んだ
言葉「メリーさんは小さな小羊を持っていました」
30日 ◆ (1965)昭和40年
この日、東京に初の「スモッグ」
警報が出される
October 2004 27
12月
DECEMBER
1日 ◆ (1992)平成4年
気圧の単位「ミリバール」から
「ヘクトパスカル」
に
2日 ◆ (1594)オランダの地図学・地理学者ゲラルドゥス・メルカトール没(1512.3.5〜 1594.12.2)
円筒投影の「メルカトール図法」は現在の地図でも使われている
3日 ◆ (1967)南アフリカ共和国で、世界初の人間の心臓移植手術を行う(12月21日患者死亡)
4日 ◆ (1772)安永元年
幕府が小石川に「施薬院小石川養生所」を設置
5日 ◆ (1903)明治36年 地球物理学者長岡半太郎
「土星型原子模型」
を発表
6日 ◆ (1989)ニュージーランドのアマチュア天文家オースチンが新しい彗星を発見。
「オースチン彗星」
と名付けられた
7日 ◆ (1993)アメリカがネバダ州の地下核実験場で、過去30年間に 204回の核実験を実施したと公表した
8日 ◆ (1864)ドイツの物理学者マクスウェルは論文「電磁場の力学」を発表、光は電磁波の波動であると結論
9日 ◆ (1993)平成5年 日本初の世界遺産に「白神山地」
と
「屋久島」
の自然遺産登録が決まる
10日 ◆ (1896)スウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル没(1833.10.21〜 1896.12.10 )
ダイナマイトと雷管を発明、特許を取る。遺言により「ノーベル賞」
を設ける
11日 ◆ (1981)昭和56年
12日 ◆ (1979)昭和54年
南極観測船「しらせ」
(11,600トン 最大速力19ノット)進水
分子物理学者谷口維紹が、ガンや肝炎に効く「インターフェロン」を遺伝子工学の手
法を用いて、大量につくる実験に初めて成功したと発表
13日 ◆ (1910)明治43年
生化学者鈴木梅太郎は「オリザニン」
を発見したと報告
14日 ◆ (1911)
「南極の日」この日ノルウェーの探検家アムンゼンが、世界初の南極点到達を記念して
15日 ◆ (1965)有人宇宙船「ジェミニ6号」と
「7号」が史上初のランデブー
16日 ◆ (1947)アメリカ・ベル研究所のショックレーらは、トランジスタ
(接点触型)
の実験に成功
17日 ◆ (1903)飛行機による初の操縦された持続飛行。ライト兄弟(兄ウィルバー/弟オーヴィル)は、キティホ
ーク海岸で「フライヤー1号」
により4回の飛行に成功。最長飛行距離約 250m 59秒
18日 ◆ (1779)安永8年 江戸中期の本草学者・博物学者・発明家・戯作者平賀源内没
(1729〜 1779.12.18 )
エレキテル、寒暖計などを発明
19日 ◆ (1910)明治43年 日本での飛行機の初飛行。徳川大尉の「アンリ・ファルマン複葉機」と
日野大尉の「グラーデ単葉機」
が東京・代々木で公開飛行に成功。アンリ・ファルマン複葉機:高度
70m 距離 3000m 滞空時間4分。グラーデ単葉機:高度 45m 距離 1000m 滞空時間2分20秒
20日 ◆ (1952)コモロ諸島で生きた「シーラカンス」が捕獲される
(体長 137cm 約 40kg )
21日 ◆ (1988)ソ連の宇宙ステーション「ミール」
で2人の宇宙飛行士がまる1年滞在し、宇宙滞在新記録を樹
立して元気に帰還した
22日 ◆ (1983)
「ビッグバン宇宙論」に有力な証拠 アメリカの物理学者ベンジャスとウィルソンの「質量をもっ
た光子」という論文が、この日発刊の
「ネイチャー」
誌に載った
23日 ◆ (1986)アメリカの双発軽飛行機「ボイジャー」
が無給油・無着陸で世界一周9日間の記録達成
24日 ◆ (1708)江戸時代の和算家関孝和没(1642〜 1708.12.24 )方程式で円周率を11ケタまで計算した
25日 ◆ (1642)イギリスの数学者・物理学者アイザック・ニュートン生れる(1642.12.25〜 1727.3.20)
1642年1月8日ガリレオが息を引き取った同じ年のクリスマスにニュートンが産声
をあげた。科学史上の巨星がひとつ消えると、それを受け継ぐかのように新星が誕
生した
26日 ◆ (1938)昭和13年 「雪は天から送られた手紙」中谷宇吉郎らが雪の人工結晶に成功
27日 ◆ (1968)史上初の有人月周回飛行をした「アポロ8号」が地球に帰還
28日 ◆ (1895)最初の商業映画がリュミエール兄弟(兄:ルイ/弟:オーギュスト)
によっ
てパリでスクリーンに上映され、センセーションを巻き起こした
29日 ◆ (1929)昭和4年 上越線・土樽―土合間に
「清水トンネル」が開通
(全長 9,704m)
30日 ◆ (1927)昭和2年 日本最初の地下鉄が上野−浅草間 2.2kmで営業を開始した。
運賃は10銭均一、初日から大人気で約10万人の乗客を運んだ
31日 ◆ (1935)昭和10年 物理学者・随筆家寺田寅彦没(1878.11.28〜 1935.12.31)
「天災は忘れた頃にやってくる」の言葉を残し、科学随筆を数多く著した
28 Japan Science Foundation
担当者
末永
Vol.94/r7 04.10.25 3:45 PM ページ A
北の丸公園
財団法人
日本科学技術振興財団
Japan Science Foundation
〒102−0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号
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