Untitled - ヒッポファミリークラブ

音声プロジェクトより
何度産んでも覚えていないものだと思ったが、赤
ちゃんって生まれたばかりは、すごく大きな声で泣く
のかと思いきや、蚊の鳴くような声の産声だった。大
きな声が出てきたのは、3 日目あたりだったと思う。意
外だった。
ミーファさんが、「りー、可愛い赤ちゃん生まれてよ
かったね!おめでとう!」とミニ・ブーケをくれた。サ
プライズで隠していた様で、ミーファの優しさが、すご
く嬉しく、出産でホッとしたのと、赤ちゃんにようやく
会えた嬉しさで涙が止まらなかった。
赤ちゃんの声を録音して、持ち寄ってみんなでワ
イワイおしゃべりする音声の会を毎月1回、本部で
やっています。今回は、赤ちゃんの音声のおもしろ
さをおしゃべりするうちにお母さんたちが見つけた
お話を二つ紹介します。
何年か前のワークショップで話してくれて、みん
なに衝撃を与えてくれた、猫と赤ちゃんの話を箕作
りーがまとめて書いてくれました!
●「猫が来た!」箕作リー
箕作リー(
リー(ガスト F)
【夜の訪問者】
訪問者】
夜 2 時ぐらいになると、生まれ
たばかりの勇輝が授乳で泣いた。
すると3晩過ぎた、赤ちゃんの声
が大きくなった頃から、どこからともなく猫がやって
来た。「わあ、赤ちゃんの泣き声に誘われて、猫が来た
~!すご~い!」と思いながら、私は授乳していた。
その当時私は、小金井市の築 20 年過ぎた 2 階建て
のコーポの1階に住んでいた。猫はベランダで仲間を
探している様子。
だけど、赤ちゃんが授乳で泣かなくなっているのに、
猫の方はいつまでもあきらめず、夜中の2時に大きな
声で「ナーオ・ナーオ」と鳴いた。この猫、勇輝が泣く
と、夜中の2時だけは、必ずやってくる。そして「ナー
オ、ナーオ」と大騒ぎ。20 分ぐらいベランダで必死に
鳴いて仲間を探して、いつの間にか帰っていく…とい
う日が 10 日間続いた。
さすがに夜中だし、かなり大きな声で近所迷惑だか
ら、困ったなぁと思っていると、その日を境にパタッと
来なくなった。
~6年間で4人の出産、子育てを振り返って~
美月(12 歳)星里(10 歳)
勇輝(8 歳)天志(6 歳)
【勇輝の
勇輝の出産】
出産】
私は3番目の子どもの出産は、自宅出産を選んだ。と
いうのも、上の娘 2 人が年子なので、2 番目の出産の
時は大学病院で 1 週間入院して産んで、実家に帰宅す
ると、1 番目の娘は初めて母の私から離れる寂しさと、
ママを生まれたばかりの赤ちゃんに取られたような気
持ちになった寂しさとで、次女の星里を 1 年間ずっと
「星里、嫌い!」と言い続け、次女が笑うようになり、
一緒に遊ぶようになるまで言い続けていた…という
経緯があって、まだ 4 歳になったばかりと 2 歳の2人の
娘を寂しい思いをさせたくないと思って、あれこれ情
報を集めたら、ヒッポのメンバーで自宅出産した人が
いて、その人に紹介してもらって、産婆さんに来てもら
った。
「自宅で産むんだ!」と言うと、ヒッポに入って初め
ての友だちのチョン・ミーファさん(韓国)が、彼女も出
産に立ち会いたいと言う。
聞くと彼女は日本女子大で、子どもの研究をしてい
て、韓国に帰ったら、助産院を作りたい!と夢を持っ
ている留学生だった。彼女が言うには「病院で産んだ
子どもの表情と、自宅で家族に囲まれながら産まれた
子どもでは生まれた時の表情が違うのだそう。だから、
ビデオを撮りたい!」とお願いされてしまった。
しばらく悩んだけど、彼女の夢に貢献したく、そして
子どものビデオを記念に撮ってくれるというので引き
受けることにした。
あんなに大騒ぎしていたのに、パタッと来なくなった
のも、すごく不思議だったが、その当時の私は、人間
も猫の鳴き声と赤ちゃんの泣き声を間違えるから、き
っと猫も間違えたんだな…と思い、特に来なくなった
理由までは考えなかった。
【優しさも、
しさも、全て大人の
大人の真似】
真似】
勇輝は1月の寒い時期に生まれた。4月ぐらいにな
ると道端にいっぱい小さな花が咲いた。タンポポや、
青い小さな可憐な花、白い花、ピンクの花など…私と
子ども3人で散歩しているときに長女の美月が楽しそ
うに花を摘んでいた。そして私に「ママ、可愛い赤ちゃ
ん、産んでくれて、ありがとう」と4歳になったばかり
の娘が摘んだ花を束にして、私に小さな花束をくれ
た。
私は、すぐに「あ!これは、ミーファさんが私に花束
をくれた様子を娘は真似しているんだ!」と気づいた。
優しさも、周りの大人の真似をそのまま子どもたちは
するんだなぁと実感した出来事だった。
【出産当日】
出産当日】
陣痛の合間の 全く 痛みの な
い時は、旦那やミーファさんや、
産婆さんとおしゃべりしながら、
うろうろ家の中を歩いていた。
上 2 人の病院での出産とは違っ
て痛いけど、あっという間の楽しい時間だった。その
間、私の母は 2 人の娘の面倒を見ていてくれた。家族
の支えがあって、出産に臨めた。
産んでみてびっくりしたが可愛い男の子だった。て
っきり女の子だと思っていたのに…。
2
【 3 番目で
番目 で発見!
発見 ! 4 番目で
番目 で 確認!】
確認 !】
小金井市にはファミリーがなかったので、子ども
のためにファミリーを立ち上げよう!と奮起。無事、1
回目の立ち上げ講演会でメンバーに恵まれ、フェロ
ウとなったが、その一週間後、つわりが…。4番目を
身ごもってしまった。
4番目の出産も、やっぱり自宅出産を選んだ。そ
して出産。また猫が来るのかなぁ~?と思っていた
ら、やっぱり猫が来て、また 10 日目ぐらいでぱった
り来なくなるのかなぁ~?と思うと、やっぱり来な
くなった。しかも2年前と同じ猫。
流石に2度目の猫が来る経験。今回はどうして猫
がぱったり来なくなったのか?ということが気にな
った。だけど特には、その当時はわからなかった。
だから、泣き声もことば!なんだけど、ことばらし
いことばって、上の娘の時は1歳過ぎてぐらいから
だったから、赤ちゃんって1歳過ぎから発語するのだ
と思い込んでいた。育児書にも、そんなことを書い
てあるし…。
2年おきに4人出産していた私は、ず
っと産後体調が悪くて、持病の喘息が
悪化して、点滴を打つほど。なので、勇
輝は3か月で母乳をやめ、粉ミルクに変
更した。
ミルクだとポットに熱湯を入れ、水を
用意し、赤ちゃんが泣いたら、すぐにミ
ルクをあげれるようにスタンバイしていても、適温
になるまで待つため、母乳の早さには勝てず、赤ち
ゃんをあやしながら、私は「はいはい、ミルク、ミル
ク。ちょっと待ってね。ミルクすぐ作るからね~。お
なかがすいたね。もうちょっとだよ…ミルク」と「ミ
ルク」ということばを連発しながら、ミルクを作って
いた。
すると8か月目、背中に勇輝を背負いながら「ミ
ルク、ミルク、すぐ作るからね~」と話しかけながら、
台所でミルクを作っていると、背後からボソッと「ミ
ルク」という声が聞こえて来た!!!!!!
え~~~!赤ちゃんって、8か月からことばにな
ってたの~!? 背後霊じゃないよね?と思いな
がらも、狐につままれたような気分。まさかなぁ
~?でも、ハッキリ聞こえたよな~?嘘じゃないよ
な~?と信じられなかった。
私の良いところは、3番目で発見!4番目で確
認!ができるところ。4番目も私の体調不良で1か
月でミルクに切り替え。するとやっぱり8か月目で
信じられないけど「ミルク」って、4番目の息子も夜
中の授乳時につぶやいたのだった!!毎回「ミルク」
と言えるのではなく、真似してみたらたまたま言え
ちゃったという感じだった。
それから、4年ぐらい経ち、住まいも東京都小金
井市から大田区へと変わり、地元のベベフィーで、
たまたまこの話を思い出し、地域のメンバーに話し
た。そしたら、そこに初めてヒッポのメンバーでない
人が体験に来ていて、その人が私に答えをくれた
のだった。
「私の赤ちゃんはもう6か月ですが、いまだに毎
日猫が来ます。きっと一人っ子だからなのかな?」
聞くと、そのお母さんは、赤ちゃんに毎日話しか
けるというよりは、クラッシックの曲が赤ちゃんに良
いからと家でCDをかけ、電話やチャイムの音も、赤
ちゃんが起きてしまうからと消してしまっていたそ
うで、人の話し声が日常的に聞こえている状態で
はなかったそう。そのお母さんに言われたのだが、
私には子どもがたくさんいて、その子たちの話声を
聴いているから、赤ちゃんの声が変化したのではな
いかと…。
私はすごく驚いた!赤ちゃんって環境があった
ら、たとえ生後 10 日間でも、ちゃんと周りの話し声
を聞き、真似をしていたんだ!真似って1歳ぐらい
からするものだと思っていたけど、生まれてすぐの
時からしていたとは…!!
私は8か月の赤ちゃんって、泣き声で自分の感情
を伝えるけど、ことばにはなっていないと思ってい
た。だけどヒッポに入って3年経ったときに、「ミルク」
と息子が言ったことばを聞き取れたのは、母親の
私が多言語で色んな言語を聞いていて、波をとら
えるのが上手くなったからか、赤ちゃんのことばを
とらえるのが上手になったからだと思う。
そんな話をやっぱり地元大田区のベベフィ―で話
したら、皆、半信半疑。だけど3人の子どものいるリ
エールは、ちょうど8か月の赤ちゃんがいて、私のこ
の話が響き、「うちの子も8か月なんだけど、この前、
本って言ったんです!」と話し始めた。聞くとお兄
ちゃん2人が本棚の前で、どの本をママに読んでも
らおうか、「この本がいい!」「やだ、こっちの本が
いい!」と「本、本、本」と「本」ということばが飛び
交っていたそう。
「8か月の赤ちゃんが、ぼそっと『ほん』って言っ
た!と思いました!」と話してくれました。
猫も最初、赤ちゃんの泣き声を猫の鳴き声と間違
えていたから、仲間と思って探しに来ていたけど、1
0日間経つと、赤ちゃんの泣き声が、人間の泣き声
に変化し、猫の鳴き声ではなくなったから、その日
を境にぱったり来なくなったんだなぁって、5年経っ
て、ようやく答えが見つかったの
だった。
【赤
赤 ちゃんって、
ちゃんって 、 いつから話
いつから 話 してい
るの?】
るの ?】
猫が来た経験から、生まれたらすぐに周りの人た
ちの真似をするということが分かった。赤ちゃんは
生まれた時から話そうとしている。
赤ちゃんの泣き声から、流石に4人も育てると、今
はおなかがすいているな…とか、寝くじだな…とか、
どんな赤ちゃんでも泣き声から、すぐにわかってし
まう。
ハッキリしたことばではないけど、でも空耳でな
3
いくらいクリアにことばになっている!!8か月の赤ちゃ
んのことばは、母にはわかることばになっていたので
した。受け止め手である母親が成長すると、子どもの
ことばをしっかり受け止めることができるのだなぁ…
と思った。上2人の時には全然気がつかなかったから。
(続く)
のも、人が笑っていたら自分も笑ってしまうのも自然
なことなのではないか、駿は自然に真似をしている
のではないかと思った。ファミリーで、メンバーが「メ
タ活が楽しいというのはわからないんだけど…」と言
ったとき、私もわからないけれど、と駿の話をした。そ
れを聞いたほかのメンバーが「子どもたちを見ている
と、メタ活が楽しいというよりも『反射』だと思う」と言
った。なるほど、と思った。「メタ活は意味がわからなく
ていいから、ただ真似をして」と思ってはいたけれど、
私は無意識に意味にこだわり、無駄に頭を使いすぎ
ていたのだと思った。
箕作りーは4人の子育てで見つけた話をもっと書
いてくれましたが、今回はココまで。後半は、次回
の『べべフィーしんぶん』か、全文を『べべフィー
文集』で紹介したいと思います。もうひとり、あっ
さまーもベベフィー快走中です。見つけたね!
●今岡あっさまー(にこ
今岡あっさまー(にこにこハッピー
今岡あっさまー(にこにこハッピーF
にこハッピーF)
駿(2 才 2 ヶ月)
大阪でヒッポをはじめた時、まだ子どもがいなか
ったので、一人で参加していた。その頃の私は『C
Dを聞かないといけない』とか『歌えるようになら
ないと…』と思っていた。ファミリーで、人に会える
のは楽しかったけれど、今週も全然CDを聞いていな
い、歌えないと思うと足が遠のき、ファミリーに行くの
が月 1 回ということもあった。
息子・駿が生まれ、東京に引っ越した。せっかく東京
に来たのだからと本部のべべフィ-に参加するように
なると、今度はそこで出会った人たちに誘ってもらい、
ほかのファミリーや活動にも行くようになった。そして、
人の話を聞いたり、聞いてもらったりする中で、考えが
変わってきた。
↑いろっち達と↓駿くんの描いたいろっち①と
いろっち② 色ががついてないのが残念です!
そして、なぜか駿のお絵かきのことが頭に浮かんだ。
去年の5月、ファミリーの講演会の準備会で榊原さ
んのDVDを見た。「赤ちゃんにはレッスン1とかレッスン2
とかはない」ということばが印象に残った。確かに誰
も駿に『今日はレッスン1』などと思って話していない。
駿がわかるわからないに関係なく話しかけているし、
まわりは日本語の音であふれている。「意味がわから
ないヒッポのCDを聞くのと同じなんだ。CDをかけて、
ことばが聞こえる環境を作ればいいんだ」とわかった
ら、CDをかけることに抵抗がなくなった
駿は「いろっち」というマトリョーシカのようなおもち
ゃが好きだ。12 月に駿が書いた「いろっち」は、線を書
いたらなんとなく丸をつぶしたような形ができたと
いうものだった。この前、久しぶりにクレヨンを出して
「いろっち、書いて」と頼んだら、蛸の上半分(足では
なく胴体の部分)のような形を書いた。初めて曲線を
描いたこと、そして 1 か月以上、全く「いろっち」は練習
していないのに、上手になっていたことに驚いたが、
我が家にCDが流れるようになって、数か月。1 歳後
半になった駿は、突然「~ボ」と言ってグーを出してく
るようになった。何かと思ったら、farmer in the dell
が流れていた。2 歳前、突然笑うので、どうしたのかと
思うと、CDから笑い声が聞こえていた。そして、2 歳に
なり、最近「ポ ポ ~ ポ」などとメタ活するように
なったのだが、突然はじまって、すぐ終わる。
(メタ活とは:ヒッポの活動でお話の CD と一緒にこと
ばを歌ったり、CD がなくてもお話のことばを歌うよう
にみんなと楽しむこと)
身体能力があがったのだろうと思った。普段、駿はペ
ンを見つけると書きたがって、紙を渡すと、ぐちゃぐち
ゃと適当に書いている。『ぐちゃぐちゃ書き』に意味は
ない。上手・下手もない、失敗もない、未完成というこ
ともない。それで、いざ絵を描こうと思ったら、上手に
なっている。
私は今まで『「ちゃんと」歌えるようにならない…』
と思って気持ちばかり焦っていた。でも、メタ活はこの
『ぐちゃぐちゃ書き』でいいのか!と気づいたら、肩の
私にとって音楽はBGMで、笑い声を真似しようとい
う気持ちはなかった。メタ活は一つの場面を最初から
最後までやりたいと思っていた。でも、駿は違った。な
ぜかと考えたとき、聞いたことのある音楽に体が動く
力が抜けた。
家事の合間に、駿が一人で遊んでいるときに、ふ
4
と思いついたときに口を動かすようになった。もちろん、
場面の途中で始まり、途中で終わる。意味もわからず、
ただ音を出している。でも、いざとなったら、駿みたいに
前よりことばが話せるようになるのだ!と思ったら気
持ちが楽になった。
『私も赤ちゃんにならなくちゃ』と思っていたけれど、
今は、自然に、自然にしていると楽しくなる、それでいい
のだと思える。
きもそうですね。ある日突然、描けるようになってお
母さんをびっくりさせました。でも駿くんにとっては
ぐちゃぐちゃ書きも「いろっち」の形をなしたとお母
さんには見えるお絵描きも実は同じもの、同じことな
のかもしれませんね。
音声のプロジェクトに関わりながら思うこと
~赤ちゃんはある日突然~
生まれたばかりの赤ちゃんが、一生懸命、身体全体
で、周りの人の声や人いきれに共鳴してどんどん変化
していっているのが、りーの猫の話からわかって、本
当に感動しました。もう生まれた瞬間から、赤ちゃん
とお母さんの人間なるもの同士のコミュニケーショ
ンは始まっているのですね。
月一回の音声プロジェクトでは、我が子のことばを
録音、まずはお母さんが面白いと思うものをチョイス
して持ってきて、みんなに音を聞いてもらいながら、
自分がどこが面白いと思ったか話してみます。それを
みんなでこうかな~ああかな~?どうしてそういう
ことが起こるんだろう?!と仮説を立てては想像をめ
ぐらせて、みんなで考えてみます。そうやって話して
いくうちに次にやりたいこと、録ってみたいものが見
えてきます。
りーの見つけた「今○○って言ったね」という『空耳』
期は、8 ヶ月~10 ヶ月の赤ちゃんとお母さんに特徴的な
現象で、この時期を過ぎるとまたピタっと『空耳』は、
聞こえなくなります。ずっと前から赤ちゃんは真似っこ
していたのに、やっとお母さんや周りがそれに気づくの
がこの時期なのかもしれません。そして赤ちゃんはさら
に次のステージにいってしまって、お母さんの耳には
『空耳』ではなく、メロディのようなものだったり、
はっきりとした音となって聞こえてくるようです。
箕作りーの4人子育てをしながら見つけた猫の話
やミルクの話、このお母さんの観察や実験が、まさに
私たちのベベフィーです。そこにはいつも本物の赤ち
ゃんがいます。ちょっぴり先輩のお母さんもいます。
みんなで赤ちゃんを眺めながら、赤ちゃんの内側でお
こっている変化をことばにしていくのが本当に面白
い。そして、赤ちゃんが次々と誕生するのもベベフィ
ー。私たちの仮説は合っているかな~?やっぱりそう
だった!と、繰り返し観察・検証、私達の興味は尽き
ません。赤ちゃんはますます不思議に満ちています。
一見バラバラのように見える赤ちゃんの振る舞い
もじっとみていると見事に繋がっているように思え
ます。混沌としたぐちゃぐちゃなものの中に何かがあ
ってそれが現われてくる。それがことばでもあるし、
笑顔でもあるし、ハイハイでもあるし、いろんなこと
がそこから生まれてくるような気がしてきました。
ある日の音声の会で、歯が生え始めることで音声
にどんな変化が現われるかをいろいろ話し合ってい
た時のこと、「あっ、そうか、『歯を食いしばる』っ
てことばがあるように、立ち上がるためには歯が必
要だよね~」そう誰かが言いました。歩き始める前
にはやっぱり歯が生え始めないと…。赤ちゃんの見
事にバランスのとれた全体像が見えてきました。赤
ちゃんは生まれた時からしゃべっていると言うヒッ
ポのお母さんたちのおしゃべりは、
「赤ちゃんの指差
しって何かなぁ~?」
「歩くことと指の先が器用に動
くことって実は繋がっているんじゃないかなぁ~?」
「きっとことばも繋がっているよね~!?」いつもこ
んな感じです。お母さんたちのこんな直感的な赤ち
ゃん記述がきっと何か新しいものを見つけるんじゃ
ないか、そんな気がしています。
子育てからちょっと離れてしまった私には考えつ
かないようなお母さんたちの視点もとても面白い。
「愛情」を持って観察するお母さんの目にだけ見えて
くる世界があるのだと思います。
でもそれはお母さんたちにとっては当たり前で、誰に
でも起きる現象で、ベベフィーでは「うちもそう、同じ、
同じ」という声がいたるところから聞こえてきます。
去年一年は、赤ちゃんの音そのものよりは、もっと
全体を眺め、身体の動きや目の動き、身体的生理的な
変化も一緒にことばと関連して考えてみることを楽
しんだように思います。
岩田先生がおっしゃった人間にだけ特徴的な「こと
ばを話す」「ハイハイ」「お絵描き」それがバラバラ
な現象ではなく、それらを可能にした人間の人間な
るものは何だろう?何が人間にとって特徴的なこと
なのか、少しずつ赤ちゃんに教えられているような
気がします。ベベフィーおもしろい!
赤ちゃんは或る日突然、何かができるようになりま
す。実はずいぶんと前から、変化はおきていて、そし
てある日突然「できた!見つけた!」。本人もできて
初めて自分ができることがわかるような劇的な変化
です。全体ががらっと変化するよう…駿くんのお絵描
5
地域のベベフィーの話題より
*横浜南地域のべべフィールドは毎月第2木曜日
の 10 時~13 時の 3 時間。地域の公共施設の保育
室というおもちゃ完備の素敵なお部屋に 10~15
人くらいの子育て真っ最中ママたちが赤ちゃんと
一緒に集まります。子育てのちょっぴり先輩のマ
マたちも加わって、おっぱいをあげたり、おむつ
を替えたりもしながら、元気に遊ぶ子どもたちの
声に負けじと、ママたちのおしゃべりは続きます。
*そんな地域のベベフィーの様子を少し紹介しま
す。
名前を
名前を呼ばれるとわかる
みんなで集まっておしゃべりするベベフィーの
楽しさの一つはたくさんの子どもの様子を並べて
みることができること。横浜でやっているベベフ
ィーに 7 か月~2 歳 7 か月の赤ちゃんが 7 人そろ
いました。お座りから歩き始めの赤ちゃんも 3
人!お座りができる頃といえば、バイバイ、パチ
パチ、ハイハイがそろって出てくるおもしろい時
期ですが、この日は名前を呼ばれるとわかるか?
という話題で盛り上がりました。
ちょっと月齢の小さい順に並べてみると、
●7か月のゲンキくん
⇒ テレビで「みんな、げんき~?!」と聞こえてく
ると、画面を見つめます。自分の名前を呼ばれたと
思ったのかな?おっ、知ってるぞ!と思ったのか
な?
●1 歳 3 か月のみずきちゃん
⇒ 「きたみずきさ~ん」と声をかけると「ハーイ」
「ハイ」とお返事。でも、お父さんの名前でも同じ。苗
字が違うおばあちゃんの名前でも同じ。語尾に反
応?全体で反応?
●2 歳 1 か月の楽くん
⇒ ことばをゆっくり熟成中の楽くんもみずきち
ゃんと同じく、どんな呼び方でも「はぁ~い」と笑顔
でお返事。でもお出かけリュックを持ったら、自分か
ら「バ~イ」と言ったりもできます。
他にも自分の名前ってどんなふうにわかってい
るのか実験中のママの報告がいっぱい。
「仕掛ける」
こと、
「重ねる」ことで見えてくるおもしろさはべ
べフィーならではの自然科学のやり方ではないか
な~と思います。
6
いつから物語
いつから物語のビデオを
物語のビデオを見
のビデオを見れるようになる?
れるようになる?
教育的にはあまりよくないことかもしれないけ
ど、赤ちゃんがテレビやビデオに集中してくれる
と、何かと忙しいママはちょっと手が離せて助か
っちゃう!!
音楽が大好きな赤ちゃん。テレビの幼児番組とか、
歌や踊りが次々と展開の速い番組は集中して見る
ことができるようになっても、長いストーリーの
ビデオはアニメでも最初は難しいみたいで、すぐ
飽きてしまいます。いつぐらいになったら、長い
物語のビデオにも興味を持ってくれるのかな?
●1歳 9 か月の希ちゃん
⇒ 最近ノンタンのビデオが見れるようになりま
した。どんなふうに楽しんでいるのかなと観察して
いたら、自分の良く知っている犬のキャラが出てく
ると反応していたよ。
●希ちゃんよりお兄ちゃんのけいま(2 歳 7 か月)
⇒ 完全に物語の世界に入り込んで、ストーリー
の展開と共に、悲しい場面では涙を流して泣いたり、
一緒に踊ったり、走ったり、怒る場面ではうなったり
…。ことばのなかなか出ないけいまだけど、彼の中
で育っている内面の世界の豊かさがわかります。
こんなに「
こんなに「わかっている」
わかっている」
●歩き始めたばかりのかずくん(1歳0か月)
⇒ 自分が食べたいお菓子が入っている袋を持
ってきてアピールしたり、気を引けそうな人を見
つけては「かわいい」のポーズをして見せたり、
自己アピール爆発期。単語は一言も話せなくても
何も困っていない。効果的と思ったポーズは誰に
向かっても乱発していた時期があったと思ったら、
1か月くらい経つと、より効果的な人を狙って、
絞り込んでやるようになったりも…。歩き始めた
1 歳児のわかっている度は相当高い!!
●りこちゃん(1 歳 6 か月)
⇒ パパもママもお兄ちゃんのゆうたくんのこと
もみんな「ママ」と呼ぶ。でも話の中ではちゃんとそ
れぞれがわかっている。そんなりこちゃん、ゼスチャ
ーで何でも自分の欲求は伝えることができる。
周りで話していることはかなりよくわかっていて、
お兄ちゃんのゆうたくん(4歳)が「りこちゃん、くさ
い」とママに言っているのを聞いて、自分で新しい
おむつを持ってきた!!
しゅうま(
しゅうま(4 歳 11 か月)名前を
名前を書く
幼稚園でお手紙交換がはやっていて、崇雅も何
通かお手紙をもらってきました。しかし、文字が読め
ない崇雅はあまり興味がないようでした。見かねた
父が「お返事を書こう!」と平仮名を教え始めまし
た。
父が書いたお手本
「ののかちゃん、しゅう
ま」通りに書くように言
われても、書く気がな
いのか、書いたのは縦
棒1本。読めない平仮名
はお手本を見ても書け
ないようです。
でもこれをきっかけに「平仮名を読む」ことに目
覚めたようで、私に読み方を聞いてきたり、五十音
表を眺めるようになり、一週間後、なにやら平仮名
のようなものを書き出しました。何かお手本になる
ものを見て書いたわけでは
なく、頭の中にあるイメージ
を書き出しています。何を書
いているか書きながら言って
いましたが、後から聞いたら
違うことを言っていたりしたので、本人もあとから
見たら何を書いたか分からないようです。
そして 10 日後、自分で書
く気になったらしく、父のお
手本(右半分)を見ながら
今度は見事に自分の名前
を書きました(左半分)。読
めない平仮名=自分の頭
にイメージがないものはお
手本を見てもまねっこして
書くことができないようで
す。少し読めるようになるとそれらしきものを書き始
めました。
似たようなことを私もメタ活で経験しました。ヒッ
ポに入会後、初めて出会った言語はすぐにはまねっ
こできませんでした。その後、家でかける CD の音や
ファミリーで聞こえてくる音に浸っているといつの
間にか口からスルッと音が出せるようになりました。
入会当初どうしても言えなかった「オーチンブリアッ
トナー」が今では簡単に言えるようになりました。
くんの絵や文字のように、受け身じゃなくて、常
に自由で創造的なんですね。大人はヒッポで多言
語のCDをかけながらじゃないとまねできない!
なんて悩んじゃう時もあるけど、しゅうまくんの
ように自分の中にある音を信じて、自由にのびの
びと音もまねっこしてみたいなと思いませんか?
ママも見
ママも見つける
前の月のべべフィーで「(下の娘の)さえちゃん
(2 歳 4 か月)のことばができちゃったから、も
う私のベベフィーはおしまい」と宣言し、みんな
から「うそ~!!」とブーイングを浴びたママ、め
るちゃんが次のベベフィーでは大発見!!
●かおりちゃん(4 歳)が書いたお手紙
⇒ バッテン派の文字が 2 枚
の小さい便箋にびっしり並んで
いて、その文字はハングルマル
のようでもあり、でも誰が見て
もお手紙!とわかる。明らかに
絵ではない。最初の呼びかけの
一言と本文も明らかに書き分け
ている!のにもびっくり。
●かおりちゃんの 2 枚の絵に驚く
⇒ たった 1 か月の差なんだけど、こんなに一気
に上手になったの!! で、その前はどうだったかと
いうと・・・と 1 年前まで何枚かそのプロセスを持って
きてくれたママ、メルちゃん。そして、子どもの成長
ってこうだと思っていたけど、こうだった!と「斜め
線」と「階段状の線」のアクションで表現。そうだよ
ね~とみんなが大きく共感したのでした。
●さえ(2歳4か月)のことばのできかたも同じだっ
た!!!
⇒ 年末にはたいしてしゃべっていなかったのに、
年が明けたらべらべら話し始めていたさえのことば
の変化も、かおりの絵の変化と同じなんだよね!そ
う思ったら、すごくおもしろいって思えたの。
先月とは違う観点から、わが子の成長に驚き、
感動しているメルちゃん、本当に素敵でした。一
見、別のことのように思えるかおりちゃんの字や
絵と、さえちゃんのことばの成長に”同じ”を見
つけたメルちゃん。さらに「私も同じ!」とヒッ
ポに入って半年の自分の変化も重ねて語ってくれ
ました。ベベフィーの卒業宣言はもちろん取り消
し!!でした。
赤ちゃんや子どもたちのまねっこは、しゅうま
8
大学生もベベフィー
大学生もベベフィー 安福カンナ
安福カンナ(
カンナ(あんシャンテ F)
20 年以上続いてきたこの地域のべべフィー。か
つてはネタの提供者だった赤ちゃんが、今ではマ
マたちと一緒に観察する側になっています。大学
3 年生になったカンナの報告から。
●お母さんって何
さんって何?!
新しくできた WIP(World Internship Project)でア
メリカのボストンにインターンとして 6 ヶ月間行って
きました。私がステイしたホストファミリーはいつも
子どもたちがいるお家。彼女たちのことばの発見や
成長を見てると私と同じがいっぱい。LEX America の
メンバーにもぜひベベフィーをシェアしたいと思っ
て、ベベフィーの文集を読み返しながら、どの記事
なら LEX America のメンバーも interesting かな?
というのを探す作業をやり始めました。もうおもし
ろいのなんのって!
YL でフランスにいたときの経験をベースに持って
ベベフィーに参加してたときは、0 歳から 2 歳ぐらい
までの話に共感することが多かったのが、今回のア
メリカでの経験は 2 歳から 3 歳児に深く共感!3 単
語以上で喋り始めたくらいのところから、何でも報
告するとか、文字や数字に興味を持ち始めるとか、
時制をマスターしたがるとか、一人で〜〜ごっこと
か。一緒だらけ!人間ってコミュニケーションをとる
ときに、自分がすでに持っているイメージと相手の
話のイメージを想像しながら照らし合わせて相手の
言うことを聞いているよね?だから母語だろうと
第二言語以上だろうと、同じバックグラウンドをもっ
ている人の話は楽に受け止められる。だから他の大
人にはわかりにくいことばでもお母さんは赤ちゃん
が言ってること全部わかっちゃうんだよね??
実は、今回のインターンで一番悩んだのはホスト
ファミリーとの関わり方でした。短期の交流とは違っ
て、ある程度の期間一緒に'生活'するわけで、でも
American culture と my age の関係で YL のときみた
いに子どもになりきれない部分があって、ホストファ
ミリーのことをママ・パパって呼べなかったり。ある
日、ホストシスター(7 歳の女の子)に“why don't you
call my mom 'mom'??”って聞かれて、正直ぐさっとき
ました。
同じ日の夜にホストファミリーの友達が家に遊び
にきたときのこと。そのお友だちと、私がアメリカに
来て太ったっていう話をしてるときに、“so how much
did you put on??”って聞かれ、すぐに反応できなか
った。今思えばな〜んだって思う程簡単な文章だっ
たのにも関わらず、そのときは何を聞かれてるのか
全く想像がつかなかった。そしたら隣にいたホストマ
マがすかさず“how much did you gain?? that's what
she wants to ask you I think.”って間に入ってくれ
た。そのお友だちの英語がなまってたわけじゃない
し、特別難しい文法だった訳でもない。なのにわか
らなかった自分にちょっと落ち込んだけれど、それ
以上にやっぱりホストファミリーは私の'お母さん'だ
って思った瞬間でした!ベベフィーに関わってると
すっごく自然習得のベースに戻れるから好き!やっ
ぱりホストファミリーの存在ってお母さんだ〜って思
ったエピソードでした。
●アメリカの赤
アメリカの赤ちゃんのかわいい大波
ちゃんのかわいい大波
おやすみ〜のあいさつのときのこと。ホストシス
ター(18 ヶ月)が私に向かって'や〜ゆ〜'って一言。
“え?did she just say 'love you?!”ってママにいっ
たら“yeah she did!”って。毎朝私がリビングに上がっ
ていく直前にはもう一人のホストシスター(3 歳半)
と一緒に“Hi ややよ〜(かなこ~)”と連呼。私が出か
けるときには“bye ややよ〜 や〜ゆ〜”と私を見送
ってくれる彼女。love you は L だから Y に入れ替わ
るのって自然だよね?
普通に考えたら間違っ
ている英語のような気
がするけれど、ベベフィ
ーが大好きな私はつい
ついベベフィー目線で
彼女のことを自然と見
てしまう!ただかわい
いのではなくてちゃん
と秩序に、プロセスにの
っとっているところに感動!
★ママたちのしゃべり場として始まった地域のべ
べフィー。そこで育った赤ちゃんが大きくなって
「ことばとは?」
「人間とは?」という話題で世代
を超えておしゃべりを楽しめる場になるのは、マ
マも子どもも同じヒッポで多言語を楽しんでいる
仲間だから。この子たちが赤ちゃんを連れて参加
する日も近い?!
★赤ちゃんからママへのメッセージ「当たり前と
思っていたことに、もっと驚き、感動してよ!」。
ママは自然科学者!!子育ても自分育ても楽しめ
る!!ベベフィー、皆さんも身近な仲間と始めてみ
ませんか?
9
●ぐちゃぐちゃ描きの、その次
手を動かすと、そこに何か痕が残ることが楽しい。しゅっしゅっ!てんてん!グルグル…。ママにすごい
ね∼なんて言われると、嬉しくなってもっともっと描いちゃう。
そんな時期を越えると、自分の描いたものに意味を付けるようになります。描いているうちに偶然描け
ちゃって、「あ、これ⃝⃝みたい…」って思うことから始まるのかな∼?周りの人に「これなぁに?」って聞
かれることがきっかけだったりもしますよね。
おしゃべりの始めのプロセスと、そっくりだと思いませんか?始めは、いっぱいいっぱいいろんな線が描
けることを楽しみ、いつの間にかいろんな描き方が出来るようになっている。そのプロセスを通らないと、
自分の描きたい物を表現出来る所まで行かないよね。自然のプロセスなんだな∼。
←せいちゃん(1歳9ヶ月)
おにぎり
↑しーちゃん
(1歳1ヶ月)
↑康平(1歳9ヶ月)
あんぱんまん
↑ここちゃん(1歳5ヶ月)
保育園でお絵描きしたもの
●「らしさ」を捉える天才!文字の書き始めから見えること。
←はなちゃん
(3歳1ヶ月)
ゴロゴロの雨
はなちゃんの場合は、もう
しっかり「⃝⃝を描こう!」
という意識があります。
↑ピンクちゃん(3歳7ヶ月)計算ドリルのマネっこ
4人兄弟の上から3番目のピンクちゃん。お兄ちゃ
んたちが宿題をしているのをいつも見ています。マネっ
こでやった計算ドリルと漢字ドリル。文字の「らしさ」
をちゃんと書き分けていると思いませんか?正しいか
どうか、意味は何か、そんなことは後から…。まずは「ら
↑ピンクちゃん(3歳7ヶ月)漢字ドリルのマネっこ
しさ」が大切!
←崇史くん(小1)の1ハングル
昨秋、韓国の家族交流に行った崇史くんは、帰国後に手紙
を書きました。何かを見たのではなく、頭の中のハングルの
イメージ。超「ハングル」らしい!
11
最 初 の お宅 で はし おり
はパパを「トントン(仏語で
おじさん)」、ママを「タタ
(おばさん)」、高校生のフ
ロラン君を「にーに」と呼
び、2件目ではおじいさん
を「じーじ」、おばあさんを「ばーば」と呼びました。
人見知りのしおりがこんなに早く懐くのは初めて。
きっと、交流中多くの人に優しくしてもらったので、
人との距離が近くなったのだと思います。今でも、
フランスでの写真やビデオを見ると「にーに、じーじ」
と指さしたり、飛行機を見ては「のい(り)たい、のい
(り)たい」と言います。
日本へ帰国後、とても嬉しいメールが届きました。
最初のホスト家族から、「3年以内に日本へ遊びに
来ることを考え始めました。」というものでした。ホ
スト家族と再会した時に、しおりが初めて会う人の
ように泣いてしまっては可哀想だと、ヒッポの場で
は意欲的に交流報告を続けています。すると、面白
い発見がありました。
交流報告を 5 回、10 回と重ねたころ、しおりが私
の真似をして、マイクを使い「ボンジュー。サバ?」
から始まり、写真を使って家族の紹介をします。ま
だ日本語で“ありがとう”は言えなかったのですが、
「メッシークー(Merci beaucoup)」と言いマイクを次
の人に回しました。
交流報告が 20 回を過ぎると、家族紹介で「パパ
マモー “エ” しーちゃん」と、“エ”が入るように
なりました。2 歳になり、日本語でも「パパと ママ
と」と、“と“が入るようになった頃でした。
交流報告が30回を過ぎると、「ジュシザレ オン
フロンス セテテ アベック ・・イッポ」と、私がいつも
使っている言葉を独り言で言うようになりました。
交流報告が 35 回を過ぎ、しおりが 2 歳 3 カ月に
なった今は、「グローン グラス(大きなアイスクリー
ム)」や、「セ にーに キラフェ(にーにが作りまし
た)」など、写真を指さして言うようになりました。
そしてなぜか、「グラッシア(スペイン語のグラッシァ
ス)」と言って話を締めくくります。ファミリーでいつ
も聞いているからだと思います。また、日本語でも
「にーに かいたの」と言っていたものが「にーに
がかいたの」と、助詞が入るようになりました。
11 日間の交流が楽し
かったことは言うまでも
ありませんが、帰国後、
交流報告を重ねるたび
に私としおりの新しい思
い出が増え、特別な宝物
ものになっていくように
思います。
子連れでホームステイ
*飛行機代が高くなる2歳になる前に赤ちゃん
連れのホームステイ!はもはや常識?昨年夏か
ら冬にもたくさんの仲間が家族交流に参加しま
した。
台湾家族交流:
台湾家族交流:今泉コチュリとみちるくん
今泉コチュリとみちるくん(
コチュリとみちるくん(1歳)
ホスト(リタ)は私より1歳年上の女性で、幼稚園の
先生。あと、だんなさんと、子どもが一人(シューツ
ン・4歳)。リタは日本語が
とても上手だったので、
色々な話ができました。
台 湾 での みちる は日
本にいる時と同じように、
公 園で鳩 (ゴー ツ)を 見
つければ追いかけ、何でもよく食べました。不思議
だったのが、私が日本語で話しかけるときと同じよ
うに、リタが「ハオツマ?(おいしい?)」と聞くとう
なずき、「ライ!(おいで!)」と言うと駆けてくる。
初めて聞いたことばなのに、どうして分かるんでし
ょう? でも、自分も同じだということに気づきまし
た。私も赤ちゃん体験をしたんだ!
それからは私もリタの真似も、4歳のシューツンの
真似もしました。エレベーターに乗ると、家がある4
階まで昇るのに、「イーロウ リャンロウ サンロウ
スーロウ タオラー!」と大きな声で言うシューツン
の隣りで、私も大きな声で真似していたら、“1階 2
階 3階 4階 着いたー!”だと分かってしまった!
ただ、パパに対しては最初、コミュニケーション
をどう取ればいいのか、よくわかりませんでした。
でも、パパはみちるとはことばがなくてもすぐ仲
良くなってしまいました。そんなみちるを見て、うら
やましく、私も、思い切ってパパに話しかけてみまし
た。その日は、パパの実家に行って食事をした日だ
ったので、「ニーダ ママ ツーツァイ ヘン ハオ ハ
オツー ハオツー」 何度か繰り返すうちに、パパは
分かってくれて「そう、うちのママは料理が上手で
しょ。うちの奥さんは料理、まあまあ。」中国語と日
本語まじりで答えてくれました!うれしい!!
やっぱり赤ちゃんはすごい。今回、みちると一緒に
行けて、本当によかったです。自分の中にも、赤ちゃん
になれそうな可能性を感じることができました。
フランス家族交流
フランス家族交流 小栗ボア
小栗ボア&
ボア&しおり(
おり(1歳9カ月)
しおりにとっては、大変な大冒険でした。日本語
もまだ単語をいくつかしか言えてなかったしおりか
ら、フランスに着いた途端、出たことばは「かえる
ー!」。初めて言えた日本語でした。
12
赤ちゃんは生まれた時から100%!
~べべフィーメーリングリストより~
赤ちゃんはまねっこ上手
ちゃんはまねっこ上手!
上手!
よく見ていないとお母さんでも赤ちゃんたち
のまねっこを見逃しているかも。こんなことまで
まねしていたんだ~。
べべフィーでは、うちにもあるある!という話
題がいっぱい。いつも 100%の姿を見せてくれる
赤ちゃんたちの話の重なりにハッと驚いたり、な
んでだろう?と不思議に思うことがたくさんあ
ります。人間って、ことばって、どうなっている
の?
さあ、今回もメーリングリスからべべ達の可愛い
エピソードをお届けします。
赤ちゃんって不思議
ちゃんって不思議
誰からも教わらないのに、自分であれこれ見つ
けていく赤ちゃんたち。その成長は「当たり前」
なんてことばでは表せない。不思議がいっぱいで
す。
●るいるい
るいるい(
るいるい(もうすぐ 2 ヶ月)
今日で 54 日目。生
まれてすぐから、一人
でニヤっとすることは
ありましたが、ここ数
日、人のリアクションに
反応して笑うようにな
りました。2 ヶ月くらいで、あやすということができ
るようになるのか~と思ったのですが、もしかして
見えるようになったからなのかな?人の笑顔が見
えるようになるから、自分も笑うのか、単にあやさ
れていることを楽しいと思えるようになったの
か?
●里海
里海(6
里海(6 ヶ月)
最近までのブームは、「n ぐ
っ」でした。ダミ声のような発
声なので、「なんでこんな声ば
っかり出すのー!?」ってはじ
めは思っていたけど、よく聞い
ていると、喉の奥をならす、ま
るで、フランス語の「r」の音だ
ったり、スペイン語やポルトガ
ル語の「rr」の音のようだったので、「日本語にない
音を出してるわ、すごい!この子も多言語人間
ね!」なんて、思っていると、同じ発声を聞いてた
母が「里海ちゃん、じいじのせき払いのマネをする
ねー」っていうものだから、ずっこけてしまいました。
娘のことばをいろんな形で受け止めて楽しんでま
す。
13
●やよいちゃん
やよいちゃん(
やよいちゃん(11 ヶ月)
踊ります^ ^。私や兄、姉が歌うと、座りながら横揺
れしています。
私がくしゃみした時、「ハッ」って声も出してた。話
してる、これは生理現象、とか区別なく、ぜーんぶ
真似るんだ!とびっくりしました。
●のぼさん
のぼさん(
のぼさん(1歳)
まねっこも 0 歳の大波時代から、歩けるようにな
った 1 歳、ずいぶんとまねっこも切れこんできて、
家族の中では真似している場面がずいぶんとわか
るようになりました。
寝かしつけるおんぶの背中で突然、手拍子…な
ぜ?ふと気づいたスピーカーからは、ヒッポ CD イチ
ローの合宿のシーン。そう、シエルトリンドの曲が流
れてきました!そう言えば、今週やったよねー、木
曜の体験会で!最近は毎日、気づかされ、驚かされ
ています。
●さらちゃん
さらちゃん(
さらちゃん(1 歳 6 ヶ月)
生後 2 ヶ月にはすでに泣き声だけでなく、ハミン
グのような音を出し始めていました。それから、兄
の笑い声に笑ったり、姉のピアノの演奏に歌ってみ
たり、既に真似が始まっていました。半年も経つと、
発する音の数がさらに増え自分の名前がわかり、
「さらちゃん」と呼ぶと振り向いたり手を挙げるよう
になりました。
1 歳になるとできることが沢山増えて「ありがと
う・バイバイ・ちょうだい・
拍手・嫌(首ふり)」。声の種
類もすごく増えた。こちら
の言っていることはほぼわ
かっているようで、言ったことに対しての反応はほ
ぼパーフェクト。最近は「ろー」(お風呂入ろう!)、
「おー」(ご飯食べよう!)など語尾をいえるように
なってきました。
●のんちゃん
のんちゃん(
のんちゃん(1歳 10 ヶ月)
横南べべフィーで、この時期のべべは一生懸命
しゃべっているけどママたちが聞き逃しているとい
う話を聞いたのでよく聞いていたら、兄姉が言った
「どうもすみませんねー」を瞬時にマネしていた。
どこまでわかっているんだろう?
どこまでわかっているんだろう?
赤ちゃんの一番そばにいるお母さん。でも見つ
めるだけでは子供たちの中に起きているかはわか
りません。べべフィーのお母さんたちは不思議に
思ったことをたくさんの仲間たちと一緒にいろい
ろ仕掛けて実験しています。そう、お母さんは自
然科学者なのです。
◆◆◆間違いじゃないんだよ!
◆◆◆間違いじゃないんだよ!◆◆◆
間違いじゃないんだよ!◆◆◆
~可愛い言いまつがい~
可愛い言いまつがい~
本人は完璧に言えているつもりだけど、ちょっ
と惜しいいいまつがい。多言語のやっている私た
ちにも同じことがよくおこりますよね。
◆ふうか
ふうか(
ふうか(2歳9ヶ月)
「チョコレート」は、2歳で「これちょっと」。
今は少し進化して「こちょれーと」。なんかくすぐっ
たいね。
◆ごうくん
ごうくん(4
ごうくん(4 歳)
「サンドイッチを精一杯作って!」と言われ、一生
懸命作り、「できたよ」と渡すと「せいちょっと
だ!!」と言われてしまいました。食パン一斤分く
らい作ったら精一杯(沢山)なのかな!?
◆ショウ
ショウ(6
ショウ(6 歳)
家を出るとき私が長男に
「Have A Nice Day~」と言ったら、
すかさずショウが「ハンバーグ
アイスだ~(^.^)」…面白いね~、
今考えたの?と尋ねると、「だっ
てそう聞こえたよ?ホントは何?」だそうです。あ
~、メタ活ってこれでいいんだ!と、あらためてべ
べに教えられました。
◆マリー(小1)
マリー(小1)
去年のクリスマス。学校にサンタクロースが来た
日、帰宅後「今日、サンタが来た。でも『はんたい』は
英語の先生だっだ!次に別のサンタも来たの。その
『ほんたい』はクラスの(担任の)先生だったの!」こ
こまで聞いたらわかりました。『正体』といいたかっ
たようです。
●プチミ
プチミ―
プチミ―(5 ヶ月)
まだおしゃべりはしないけれど、出す音の音域が
広くなってきた。「かわいい~」というと、ニコニコ。
「えらい」にはキョトンとしている。リズムに反応して
いるのかな?声色から雰囲気を感じ取っているの
かな?ことばではないものを読んでいるのかな?
何に反応しているのか、あれもこれも実験してみよ
うっと!
●ふうか
ふうか(2
ふうか(2 歳 9 ヶ月)
絵本も大好きな娘は2歳になった頃から、絵本を
開いて自分でも読むように。よーく聞いてみると、
ほぼ内容と一致していてびっくり!!読めるの?しば
らくすると、他の本もストーリー通りに読んでいて、
私がわざと名前を変えて読んだりすると『ママ違う
よ!』と、すかさず訂正が入ります。
●コ
ココ(2 歳 8 ヶ月)
2歳を境にことばが切れ込んできた感じです。2
歳前に行ったボストンのことを2歳過ぎてから話し
出したり、2歳半頃からは「昨日」ということばを使
って、過去のことを話ようになりました。昨日のこと
も、一週間前のことも、もっと前のことも、全部「昨
日」。それに気づいてるのは多分、世界で私だけな
んだけど。
●駿
駿(2 歳 1 か月)
駿は『痛いの痛いの飛んでいけ』
が好き。ぶつかると、すぐ「ここ」と
ぶつけたところを指さしてアピー
ル し て き ます 。 左 足 を 指さ し て 、
「ここ」と言うので私が「痛いの痛
いの飛んでいけ」とすると、今度は右足を指さして
その度に「ここ」と言ってくる。私が「痛いの痛いの
飛んでいけ」とすると今度は、おなかを指さして「こ
こ」。そんなところ打ってないでしょ!と思いつつ
「痛いの痛いの全部飛んで行け」と言うと、何も言
わずに遊び始めました。「全部」ってわかっている?
今度「痛いの痛いのちょっとだけ飛んで行け」とか
言ってみようかなと企んでいるのですが、待ってい
ると言ってくれないんですよね。
ミニーちゃんを描いたまやちゃん(3歳9ヶ月)
14
を捨てて、よちよちと歩くことを選んでいく日がも
うすぐ来ます。
どうして便利なハイハイよりも、危なっかしく、移動
速度だって遅くなるのに立って歩くことを選ぶん
だろう?
●マネっこ爆発期の2歳5ヶ月の男の子と遊んでい
た時のこと。男の子はすぐに私のマネしていました。
折り紙を半分に折るときに「はんぶんちょ」と言う
と、ぴったりのタイミングで「~~ちょ」。折り紙をち
ぎって遊ぶ時「びりびりびっぽんぽん!」と言いな
がら「ぽん」のところで紙を破くと「ぽん」だけを言
えるようになった後「びりびりびっ、ぽん」とひとつ
だけリズムが抜けてしまうのを7~8回繰り返して、
その後は私と同じリズムで言えるようになっちゃっ
た。その間約3分。言いながら、ぴったりなリズムを
見つけていくのが見ていて面白かった!
お母さんだけでなく、たくさんのべべフィー仲
間が赤ちゃんを優しい目で見つめています。目の
前で見せてくれる赤ちゃんたちの振る舞いに感
動しているお話しを紹介します。
●ファミリーに新しいお友達紗南ちゃん(2ヶ月)が
来た日、リッキー(11か月)の
反応が凄かったんです~。
もう嬉しくて嬉しくて爆発し
てました。大人の手につか
まりながらも、立ち上がって、
指さしも始まってるので指
も思い切り使って顔も使っ
て、音声は出せる音は全部
だしながら目はキラキラと
見開いてリッキーの全部で表現するのです。もう”
最高のことば”でした。
●紗南ちゃん(2 ヶ月)が今日のファミリーで、新しい
サダをみんなで輪になってやりました。輪の真ん中
には、お座布団に寝かせられた紗南ちゃん。みんな
が足踏みをしていたら、紗南ちゃんも足をひょこひ
ょこ動かし出しました!!
「おお!やってる!踊って
る~~!」とみんなで大
騒ぎ。曲が終わって、足踏
みが終わると足が止まり
ました。2か月の赤ちゃん
のサダ、この目で見たの
は初めてです。すごい~
~~~
そして、至福のメタカツタ
イム。 膝の上に乗せて、顔を覗き込んで歌うと・・・
歌う~~~♪今の 100 パーセントで歌います。フェ
ロウの私、トゥジュのはしゃぎっぷりは皆さんの想像
どおりです。
他のメンバーの膝にも連れて行かれて、「歌ってる
~!しゃべってる~!」と波紋が広がっていきま
す。
●2 月のべべフィーの会では、11 ヶ月・1 歳のべべた
ちが自分の力で立てるようになり、歩き始めるとこ
ろ。ターゲットを見つけては、高速ハイハイで向かっ
ていく子。やっ
とよちよち歩き
出したけれど、
目的を達成する
ためにはハイ
ハイの方が早
いことを知って
る子 。ハ イハイ
たくさんのべべたちの話を聞きながら、誰にで
も分かる形で見えてくる前の、「わかる」の時期
がすごくおもしろいと思っています。私の中では
まだまだはっきりしていないけれど、すごく気に
なることです。
その時期その時期でどの子も全部分かってい
る!すべてその子のなかにある!一つも過不足
なく、最初から全部があり、どんどんくっきりし
て いく 様子 をちら っと垣 間見 るこ とで見 つけ
た!と思うと、すぐにこれまで気にもならなかっ
たことがなぜ?どうして?と気になります。
私も赤ちゃんと一緒。「分からない」ことは重
要ではなく、「分かる」ことがどんどん増えてい
くのが楽しい!子供たちの成長を見る視点が変
わるとこんなに子育てが面白くなる!やっぱり
べべフィーはやめられない!
15
今後の本部べべフィーは
4月18日(木) 10:30~13:00
5月17日(金) 10:30~13:00
渋谷本部にて
3回連続子育てワークショップは
5月26日(日) 13:15~15:00
5月28日(火) 10:30~12:00
5月31日(金) 10:30~12:00
渋谷本部にて