避難訓練コンサート パネルディスカッション 「劇場における防災管理

避難訓練コンサート パネルディスカッション
「劇場における防災管理について ~3.11の経験から~」
平成26年6月24日
司会:垂水健治(北九州芸術劇場)
パネラー:鷺坂浩考(豊橋市役所危機管理監)、篠田大基(水戸芸術館)、中村晋(いわき芸術交流館ア
リオス)
、浅野芳夫(愛知芸術劇場)
、高瀬洋(穂の国とよはし芸術劇場PLAT)
定刻
飯田
皆様こんにちは。ただいまよりパネルディスカッションを行いたいと思います。タイトルは「劇
場における防災管理について ~3.11の経験から~」となっております。それではパネラ
ー及び、最初の方をご紹介したいと思います。どうぞ、皆様。
ご紹介致します。お立ちになったままご紹介させてください。まずこちらから、二番目の方で
すけれども、篠田大基さま。水戸芸術館音楽部門学芸員でいらっしゃいます。よろしくお願い
致します。
おとなり、右手の方。中村晋さま。いわき芸術交流館アリオス、施設管理課舞台グループサブ
チーフでいらっしゃいます。よろしくお願いします。
続きまして、右の方。浅野芳夫さま。愛知芸術劇場、舞台技術グループチーフマネージャーで
いらっしゃいます。よろしくお願いします。
反対側右手、左から。豊橋市役所危機管理監、鷺坂浩考さまです。よろしくお願いします。
一番右手、我々当劇場の舞台技術グループチーフ。高瀬洋でございます。よろしくお願い致し
ます。
そして、本日司会の方をお願いしております。垂水健治さま。北九州芸術劇場シアターコーデ
ィネーター、舞台技術課長でいらっしゃいます。よろしくお願いします。
どうぞご着席ください。それではこれより垂水さまの司会で始めさせていただきたいと思いま
す。よろしくお願いします。
(飯田退場)
垂水
進行を仰せ使いました垂水と申します。開会に先立ちまして3.11後、一時期、想定外とい
う言葉が、使われております。これは責任を回避する言い訳として使われた様に私は思います。
今日劇場を運営するものにとって、想定外という言葉は安心安全の上から許されない事ではな
いか、という風に思います。
今年3月20日、政府が南海トラフ地震と首都直下型地震の被害想定を出しました。二つ合わ
せて33万人の死者が予測されました。今後この為の対策として、今後10年間で8割、その
死者数を8割削減するという数値目標が出されました。まずこれを抑えておきたい。
2つ目。今年(こんねん)4月1日より、国交省から建築基準法、施工法の一部が改正、施行
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されました。客席の天井等ですね、吊天井と呼ばれるもの。3.11で相次いで天井が脱落し
ました。それまで耐震基準の中で吊天井に対する数値的なものはありませんでした。壁と天井
のクリアランスだけが出されて、後は設計者の判断に委ねられてきました。これに対して今度、
脱落対策として、具体的な数値、基準が定められました。
これは、7月以降新しく、新築、もしくは大改修になる、その劇場に適用されます。私たち多
くの劇場はこの基準をひょっとしたら満たしていない可能性があります。3.11後、各地の
劇場で公演前に耐震基準を満たしているから大丈夫ですよ、というアナウンスが見受けられま
したが、今後このアナウンスの無理な可能性が出てくる、という事を抑えておきたいと思いま
す。
それでは、私の前ふりはこのぐらいにしまして、本日は大きく3つから構成されております。
初めに、行政の立場から防災に対してどう取り組んでおられるのか。愛知県の南海トラフ地震
予測調査結果というのをふまえて、豊橋市役所危機管理監、鷺坂浩考さんのほうから、まず、
レクチャーお願いしたいと思います。
それから3つ目は、3.11で実際被災された施設、その後防災についてどのように取り組ん
でおられるかというテーマで、いわき芸術交流館施設管理課舞台グループサブチーフ、中村晋
さんの方から、未だに余震を含めて、いわきはしょっちゅう地震に見舞われております。その
中で日常的にどのように防災に取り組んでいるかお話を伺います。
同じく被災された中から、水戸芸術館、肩書のほうは略させて頂きます。篠田大基さんから、
被災して浮かび上がった防災の課題。また、被災後開催された避難訓練コンサートについて、
事例紹介をしていただきます。
そして最後に、では各劇場ではどのように防災に取り組んでいるのか。東海地震等をふまえ、
本日は愛知県芸術劇場、浅野芳夫さんの方から複合施設における現状の防災訓練の状況、課題。
またこれから改修を予定されているとの事なので、防災の観点からそれについてお話を伺いま
す。
そして本日の会場でございます、とよはし芸術劇場の高瀬洋さんから、本日の総括を踏まえな
がら、近隣の劇場の防災対策を含めた報告をしていただきます。
このように大変盛り沢山な内容となっておりますので、質疑応答までもっていけるよう努力致
しますが、場合によっては時間をオーバーすることもあるかもしれません。あらかじめご了承
ください。まず、豊橋市役所、鷺坂浩考さんの方から、愛知県南海トラフ地震被害予測調査結
果を踏まえてご報告、レクチャーをお願いします。
鷺坂
皆さんこんにちは。座ったままで恐縮ですが、私の方からスライドを使いまして、この5月3
0日に県が発表しました被害の予測被害を皆さんにお知らせしたいと思います。
それではスライドをお願いします。平成24年の8月29日に国の中央防災会議では、建物の
被害、あるいは人的な被害といった数値を含めて公表されております。全国で南海トラフの巨
大地震による被害は、建物倒壊が約238万棟。死者が32万人であるという事は既にみなさ
ん、各新聞等でご承知頂いていると思います。
そして、今年の1月25日に、国の政府地震調査委員会というところがありましてここから、
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南海トラフでの地震の発生確率は30年以内に70%である、という事が公表されました。
さて、どんな地震が来るか、ということでございますけれども、東北のような巨大な地震が来
るのか、あるいはもう少し小さい地震がくるのか、という事でございますが、なかなかそれは
わからない。でも確立としては発生するだろうという事でございましたが、新聞紙上で言われ
ていますような死者が32万人という南米トラフの巨大地震が70%の確率でこの地域を襲う
だろうという事ではないわけです。どんな地震が来るかわからないけれど、用意をしておけよ、
という発表であろうと認識しております。つまり、皆さんには備えておくことが必要だと、命
を守り、財産を守る、こういったことに繋がるような備えをちゃんとしておこう、という事だ
と我々は考えております。
そして、この5月30日に愛知県が、国の中央防災会議の公表をふまえまして、独自のデータ
を活用しまして被害予測調査を行っております。愛知県は、国が公表しましたような理論上最
大のモデルというものに加えまして、過去の地震の経験からいった最大モデルというこの2つ
のモデルを参考に被害想定を出しました。過去の地震の最大モデルは何かといいますと、大体
300年くらい前の宝永地震というのが1707年にあったんですけれども、この地震から、
昭和の南海地震1946年にこのあたりに地震がありましたが、ひょっとしたら知ってらっし
ゃる方もお見えになるかもしれませんが、この間の5つの地震を想定しながら、一つの最大モ
デルを作ったというものが、過去地震最大モデルでございます。
2つのモデルを同時に発表しましたものですから、どんな内容かというものをこれからご説明
させて頂きますが、一つはAというところは過去地震最大モデル。Bが理論上想定最大モデル。
理論上最大モデルというのは、1000年に一度、あるいはもっと発生頻度が低い物であり、
国が公表したものとほぼ近いものであるという事でございます。という事で、この2つのモデ
ルで説明させて頂きます。
まず、愛知県の被害予測調査の特徴としましては、この土堰堤(どえんてい)と書いてありま
す、1番の盛土構造物ですが、豊橋でもそうですが、みなさんの住んでいるところでも、川な
どは土を盛った堤防でできております。それが土堰堤、あるいは盛土構造物と言ってますけど
も、そういったもの。あるいは土の上にコンクリートなど被っているものもありますけれども、
これも盛土構造物であるという事でございます。この土堰堤というものが、沈下する。揺れに
よって沈下する。液状化によって沈下するという事を想定しております。これ、国の方では、
こういう条件をつけておりません。愛知県ではこういう条件を付けまして、堤防が沈下するで
あろう、と。
それから、コンクリートの構造物も震度6弱以上で倒壊しましょう、とそういう想定をつけて
おります。これも愛知県独自でございます。それから、愛知県内の約57000本のボーリン
グデータを活用して、地盤の内容を確認した上で被害予測調査を行った、というものでござい
ます。
これが豊橋市の地図でございます。Aの過去地震最大モデルだとオレンジ色のところが震度6
強。黄色いところが震度6弱。震度6強のところが35%ぐらいですね、黄色いところが60%
ぐらいというものでございますが、Bの理論上最大モデルで見ますと、これ、ほとんどもう真
っ赤ということで、真っ赤なところが震度7という事でございまして、まぁ震度7以上の震度
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はない、ということですので最大級の震度であるということでございます。こういうような想
定を震度についてしています。なぜ、理論上最大モデルが、こんなに豊橋のところで真っ赤に
なるぐらいの大きな深度になるかといいますと、この、ちょっとわかりにくいんですけれども、
伊豆半島から九州に至るまでの地図がありまして、その中に緑色のポイントがいくつかあると
思いますが、震源域に近い、このあたりから地震が発生するだろうといわれているものですけ
れども、白い丸で打ってあるところがですね、これが、愛知県豊橋市、田原市の、渥美半島と
いいますか、そのあたりに近いところにあるという事でございまして、ここで地震がおきます
と、当然その上にある豊橋市田原市には震度が大きくなるということでございまして、理論上
最大モデルではこれぐらい大きくなる、という事でございます。
そしてこれはですね、揺れに伴って起きるのが、液状化という事でございます。赤いところが
液状がたくさん起きるというものでございますが、赤いところの外側は三河湾という海でござ
いますけれども、海の方、埋立地がある、あるいは干拓の場所があるということもございまし
て、液状化がすぐである。過去地震最大モデルも方も、理論上最大モデルの方も大体同じぐら
いの赤さを持っているということでございまして、まぁ海に近いところは液状化がおこるでし
ょう、と。
そしてこれが、津波の高さでございます。最初に国が公表した時に、豊橋で22m の津波がく
る、という新聞記事が載りまして非常にびっくりした訳ではございますけれども。内海の三河
湾沿いのひとたちはですね、22mの津波が来るんじゃないかと心配されたわけですけれども。
22mの津波はその後修正されまして、18.5mという事になりますが、ここが理論上最大
までくると、津波が18.5mですけども、津波はですね、ずっとこう太平洋側をおしよせま
して、この先に紀伊半島に迫るわけですけども、ずっとこうきて紀伊半島の伊勢を通って、鳥
羽伊勢を通って三河湾の方に入ってくる、あるいは伊勢湾の方に入ってくるということですの
で、ここで18.5mでもこちらに内海に入ってくると最大3mから3.5mぐらいの、一番
奥の所に津波がくるということでございまして、過去地震モデルでいきますと太平洋側がだい
たい7.6mくらいですので、内海に入ってきますと、2m、3m、という程度の地震になる
というものでございます。これを浸水想定、ということでございますけれども、当然ですね、
この地域は太平洋側に津波がくるわけですけれども、たまたまここはだいたい40mから70
mくらいの崖がございます。行かれた方は承知いただいてると思いますけども、その崖によっ
て津波がはねかえされますので、ここについては基本的には海岸沿いが浸水がするであろいう
ということで、あと内海の方はこういう風に赤くなってる所、黄色くなってる所がありますけ
ども、こういう浸水域があるということでございまして、赤い所の一番深い所がだいたい2m
から5mくらいですね、ということでございます。こちらも同じように、2mから5mくらい
の浸水があると、いうことですが、黄色い所が浅いので、過去地震モデルの方が浸水の深さは
低くなっているということでございますが、内海に入ってくるときには東日本大震災のような
ああいう津波がですね、映像で見られていると思いますけど、ああいう津波がですね、内海で
襲ってくるということはないと考えられております。むしろですね、堤防がきれた、そこから
ひたひたと水がくると、いうような感じになってくるんではないかというふうに想像しており
ます。
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これはですね、30cm、水深が30cmいったすぐ、時間ということでございますけども、
だいたいですね、この外海で9分くらいで津波がきますとぐるっとまわって、こちらの方にや
ってくるのがだいたい60分からまあもう少し、70分くらいかなと、いう感じでございます。
こちらも同じですけども、ここが5分くらいできたあとにですね、やはり75分くらいで浸水
するであろうというものでございますが、赤い所の時間の方がですね、早い時間ですね、0分
から30分となります。それがこういうところに、こちらもありますけども、これはなにかっ
て言いますと地震でですね、先程言いました、土堰堤、森と構造物の堤防が、沈下したりとか
きれたりしますと、そこからですね、水がはいってくると。そうすると、0分から30分の間
(あいだ)に入ってくる場合があるということで、ここについてはそういうようなことがあり
ますが、実際の、津波の影響で浸水してくるのは、75分くらいあとでしょうというものでご
ざいます。
これちょっと見にくいんですけども過去の地震ですね、ちょうどこの緑の所ですけども、緑の
所ですね、宝永地震1707年の宝永地震の、津波がどこまできたかという文献をですね、い
ろいろ探って、こう調査した物でございますがこの辺りまで、地震がきてるということですが、
当然1707年ということですので、こういう埋立地、干拓もないし埋立地もないし、もっと
海がですね、深く入り組んでいるという状況の中ですので、このくらいまできたんだなという
ふうに思いますが、これは過去の地震を、非常に重要なデータですのでこういったことも調査
しております。
それではですね、被害の状況はどんなもんかっていう、愛知県が公表した物ですけども、ここ
に過去地震モデルではどれぐらい、理論上最大モデルでどれぐらい、それから先程言いました
ように、国の中央防災会が公表したのはどれぐらい、いう算段書きでやっておりますが、建物
被害ですので、揺れによる全壊、液状化による全壊、浸水津波による全壊、急傾斜地全壊、地
震火災による全壊、ということで、過去地震モデルですと、だいたい全部で9万4000棟く
らい。それから理論上最大モデルと38万2000棟くらい。ほぼ国が発表したものとあまり
変わらないという状況ではございますが、ただですね、浸水津波による全壊がですね、県の理
論上最大モデルだと2万2000棟になっている。国がだした2600棟。これは先程も申し
上げたように、国はですね、土で作った森の構造物が沈下しないという、沈下するかもという
ことを考慮にいれてないですね、2600棟でしたけども、愛知県はそれを沈下するというこ
とで想定した物がこれですので、2万2000棟というかなり多くなっている、約8.5倍く
らいになっているという数値でございます。
人的被害につきましてはですね、同じように、建物倒壊、浸水とありまして、過去地震が62
00人。理論上最大モデルが2万9000人と。で、国は2万3000人ということですので、
まあ国よりは若干多いということですが、同様にですね、浸水による死者が1万3000人と
いうことで、国の倍くらいになっていると、いうものでございまして、特に、自力脱出困難、
逃げ遅れってのがありますね、途中で低い所にお住みの方はですね、先程も浸水地域、という
ような所にお住みの方は、やっぱりあの、まずは建物の倒壊しないように身を守るということ
が重要ですね。そして家具の転倒防止も、家具の下敷きにならないようにということも重要で
す。まず自分の身を守って、そしてすぐに逃げてもらうということが必要になりますが、この
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場合は家具の転倒によって自分が下敷きになってるとか、建物の下敷きになってると、いう場
合に自力で避難困難ということで、ここの数字が5500人と。そしてそういう所からなんと
か逃れてきたけれども、逃げる時間が遅くなったということで、逃げ遅れて7500人と、い
う数字がでているということでございます。
次はですね、ライフラインですけども、地震が起きたあとはですね、自分の家で水道水が飲め
ると思ったら大きな間違いでございまして、ここにありますように復旧、止まるんですね当然。
復旧するまでに6週間ほどかかると。1週間後、地震が起きて1週間後には52%が断水とい
うことですが、半分ぐらいはなおるけども、6週間くらいかかって全体が復旧するということ
ですね。当然1日後はですね、86%はもう断水してると、いう状況だと。下水道も同じでし
て、復旧は3週間くらいかかるということで、1日後には60%がトイレを使えない、いう状
況になります。電気も当然、1週間程度の復旧がかかりますが、1 日後には、81%が停電であ
る状況であると、いうことですので、今の生活スタイルは、電気がないとなかなかなにも出来
ないということになりますので、そういう意味ではですね、これは東北でも同じだったんです
けども、水と食べ物がありますよね。なんとか手に入ったと、食べたとしてもですね、やっぱ
りトイレは、排泄はどうしても重要ですので、ここでやっぱり困るということですので、水と
食料とトイレの準備をしといていただきたいと思います。電話ですね、固定電話は、復旧 1 週
間。携帯電話も復旧 1 週間。都市ガスも復旧が2週間。LPガスは1週間程度と、いうことで
すので、ほぼ1週間はなにをやってもマヒしてる、という状況になると思います。
そういった中で、じゃあ避難者はどれぐらいかっていうことですけども、愛知県全体で 1 日後、
の避難者が避難所に行く避難者が約37万8000人、避難所外の人が34万1000人と、
いうことですが、1週間後にはですね、これが全部増えてます。全体で150万くらいいくと、
これはなにかっていいますと、1 日2日は自分の所の水と食料で何とかなるんだけども、1週間
になるともう水と食料がつきてしまうので、避難所の方へ殺到するという状況があるんではな
いかと、いうことでこういう格好になっております。帰宅困難者数、ここも駅に近いので新幹
線が止まったりしますと、帰れない人たちがあふれるわけですね。たまたまこのPLATは帰
宅困難者支援施設なので、こちらにはいっていただいて、新幹線が通るまで待機するとかです
ね、そういうようなことになるわけですけども、この帰宅困難者数も93万人くらい愛知県全
体であると、これはもう名古屋がありますので大きな数字になるわけですけども、こういった
ようなことがございます。
それから、じゃあ豊橋の場合はどうかということですけども、県がはじいていただいたもの見
ますと揺れによる全壊、これ建物ですけども、液状化等々(とうとう)で約9000棟が過去
地震モデルでは倒れるでしょうと、全壊するでしょうと。しかし理論上最大モデルだと、4万
6000棟くらいに増えますねと、いう数値でございます。豊橋の建物の棟数がですね、だい
たい13万3000棟くらいですので、揺れによる全壊で理論上最大モデルであると、約25%
くらいが建物が全壊するという格好になってます。そしてそのあとですね、大きいのが火災で
すね、関東大震災では、火災によって多くの人命が失われたんですけども、やはり火災も起こ
るだろうということで、1万1000棟くらいが、火災によって全壊する、8.3%程度にな
るということでございます。これグラフを見ますと、やはり揺れ、過去地震においてもこっち
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の理論上最大モデルでも、揺れによる被害が大きいと、いうことが言えます。人的被害につき
ましても、同じように、建物の倒壊による理論上最大モデルだと1900人、全体で約300
0人くらいが亡くなるが、過去地震モデルだと400人程度で済むであろうと、いうことでご
ざいますので、冒頭に言いましたように、過去地震モデルのが少し震度が小さいということで
ありますので、こういう形になってると思います。これも見ますと、グラフで見ますと、建物
の倒壊があるんですが、理論上最大モデルでは堤防の沈下がありますので、浸水津波による死
者も少し多くなっております。
県ではですね、被害がこれだけ大きい大きいというだけではいけませんので、当然こういうこ
とをすれば被害は少なくなるでしょうと、いうこともあわせて報告しておりまして、例えば、
100%の耐震化をしますと、4万7000棟ぐらいの全壊が2万棟ぐらいになるでしょうと
いうことを想定しております。したがって、耐震化をぜひやっていただきたいと、いうことで
ございますね。理論上最大モデルの場合でも、24万2000棟が半分くらいになるでしょう
ということを試算しております。また、同じように耐震化にあわせて家具の転倒防止、発災後
すぐ避難すると津波の場合あります、すぐ避難するということをすると死者もですね、過去地
震モデル6200人が1200人くらいに減るでしょうと、81%減るでしょうと。理論上最
大2万9000人が1万1000人くらいに減るでしょうと、62%減少する効果があります
ということを言っております。ぜひですね、みなさん方にも、耐震化をしていただきたいと思
います。昭和56年よりも前に建てられた建物については耐震化のですね、まずは診断をして
もらって、耐震化をはかっていただくというのがおすすめでございますし、またですね、30
年くらい経つと家もですね、なかなかこうちょっと古くなってくるんで、そういった方もです
ね、耐震診断をしてくだだってくれればいいかなということで、市役所の方でご相談いただけ
ればと思います。
さてこれは、阪神淡路大震災ですけども、阪神淡路大震災は5時46分、朝の5時46分に地
震がおきまして、午前6時まで、つまり15分程度の間に81%の方がですね、81%下敷き
になったりして、81%ぐらいの方が午前、15分間の間にお亡くなりになったという死亡推
定時刻の調査がございます。その人達のお亡くなりになったその原因はというと、窒息、建物
の下敷きですので窒息、それから家具等の圧死。ショック死。打撲。そして、焼死の方もおみ
えになりますが、その内の何割かは家の下敷きになってそのまま逃げられなくって、そのまま
焼死されたということもありますので、そういう所からすると下敷きになった人が88%お見
えになったと。10万棟の住宅が全壊して、16万4000人が行方不明になりましたと、自
力で脱出できなかった人が3万5000人ほどいたと、いうことが国土交通省の調べで分かっ
ております。3万5000人の内の2万7000人は救助されまして、その救助された人の8
0%は生存しましたということでございまして、この人たちはどうしたかといいますと、近隣
の人達によって助けられたということでございまして、近くの人たちがみんなで助け合ったと、
いう結果がこの結果です。じゃあ、警察消防自衛隊が救出したのはどれくらいかっていうと、
残りの8000人。3万5000人の8000人ですね、が救出したんですけども、いかんせ
ん、警察消防自衛隊が現場にくるのが大変遅くなって、道路が通れないなどがありまして、遅
いということもありまして、生存確率が50%未満であったよと、いうことがありますので、
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いかに隣近所の助け合いが大切かっていうのがここでよくわかるというふうに考えてます。
これは豊橋の古い地図ですね、明治23年の古地図ですね、もうここに神野新田がありますけ
ども、こちらの工業、明海町とか工業、企業団地の所はもうないですね。こういう古い地図を
見ながら自分の住んでいる町がどんな町であったか、ということを確認していただいて、ため
池の上に建ったのかどうかということも含めてですけれども、確認しながらみんなで話し合っ
てどう助け合うか、ということを豊橋ではおすすめしておりまして、町づくりにつなげていこ
うということを今すすめているところでございます。
そうした結果からしますとですね、ここに四つほどあげてありますけども、こういったことを
ですね、ぜひ進めていただいきたいなあというふうに思っておりまして、書かせてもらいまし
たが、今言いましたようにまず1人1人が我が事意識をもってですね、備える。備蓄品もそう
ですけど、いろんな面で備えるというのが一番重要である。から、隣近所とコミュニケーショ
ンを十分にとっていただいて、どういう人が住んでいて、例えば隣の人がスコップ持ってると
かですね、バールを持ってるとかそういったことも話し合っていくといいんじゃないかなと、
思いますけども、そういうコミュニケーションが大事だと、コミュニティが大事だと。組単位、
町単位で町の確認をすると、ブロック類のある所、自動販売機がある所、そういった所を確認
していく、チェックしておくということをして、町のしつらえをよくみんなで話し合ってくと
いうことがいいんじゃないかなと。そういった中で、避難場所への避難経路などを決めておく
ってことが重要かなというふうに考えております。
訓練を継続すること、話し合いを継続すること、これが日常的に行われることがですね、地震
に対して強くなるという。そういう意味での地域の文化化ってのがここにあるんではないかな
と、いうふうに考えておりまして、せっかくこの文化施設の中でやってますので、それと関連
してるとは思いますけれども、生活の中での地域の文化化っていうのをすすめていけたら、我々
もありがたいなと思っております。
ということで、防災マンZという豊橋のマスコットではないですけども、そういったもので我々
も頑張っております。どうも、ご清聴ありがとうございました。
(場内拍手)
垂水
鷺坂さん、どうもありがとうございました。このように、具体的なデータで示されますと、劇
場の危機管理等を考える上で、リアリティのある計画、なってきます。私ももう一度、北九州
に帰って市がどのように取り組んでおられるのか確認しようと思います。次に、では実際に震
災に被害を受けた所がその後どのように防災に取り組んでいるのか、まず、いわきアリオス、
中村さんの方からお願いいたします。
中村
はい、よろしくお願いいたします。では映像の方お願いします。
いわき市にあります、いわきアリオスというところからきました。本日はですね、最近はだい
ぶ少なくなってきた地震に対しての対応というのを、少し話をさせていただければと思います。
2009年の5月に、グランドオープンした、わりかし新しいホールでございます。で、見え
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てるのが、大ホールになります。大ホールの反射板を組んでいるところでございます。客席数
が1705席ございます。1840増席できるようになっております。震災中、当時3月11
日、大ホールの状況ですが、催事が入ってませんでした。大ホールの話ですけども。当日は、
ピアノのスタインウェイの保守点検を舞台上で行っておりました。こういう、照明が吊ってあ
るブリッジといいますけども、それを少し下げて対応してるという状況でした。客席ですね。
白い部分がシーリングライトと言って、客席の上に吊ってあるという照明ですね。建物の、客
席は4階まであります。震災の時なんですけども、反響板の時に、客席天井が昇降できるよう
になってます。それにあわせて、プロセが、昇降できるようにはなっているんですけども、今
赤い丸がついている部分が、壁とのクリアランス、震災、設計時に、地震対策も揺れない程度
の距離はとってはいたんですけども実際、地震が起きた時、はがれて落ちました。これが落ち
たものです。で、可動部分の対応をどういう風にしたかというと、これが上からみた部分なん
ですけども、壁側の躯体の方に、吊り天井とクロスするように、ワイヤーを吊ることにしまし
た。こういうような形でアンカーを打ちまして、ワイヤーをはりました。斜め、ちょっと見づ
らいんですけども、斜めのようにワイヤーをいれました。
これが、照明反射板、反響板の正面にあたる部分なんですけども、下に降りたときの、ストッ
パーになります。で、これが、ちょうどこの部分が、4階にあたるんですけども、ここに、震
災の時揺れであたりまして、落ちたということがあります。約12mの高さ、約10キロぐら
いの重さの物が落ちました。
で、震災明けの復旧の時に、落ちないようにとボルトの強度をあげ、なおかつ、落下用のワイ
ヤーをつけたということです。で、これがボルトです。もう1つの対応として、地震で揺れる
のはしょうがないということで、うちはそれをどういうような形で対応していくかと、いうこ
とをいろいろ考えました。吊り物が揺れて破損するのはしょうがないということで、1つは、
新たな設備で地震対策をする。それは照明反射板と、側反、天井反射板がコンクリートと接触
する場所に低反発素材の、ソルボというものを設置しました。これです。コンクリートと接触
する場所にこういうものをつけましたと。これはソルボ社製のスポーツシューズの靴底に使用
されている低反発クッションで、地震対策の専用の物ではないというものです。うちの方がい
ろいろと取り寄せて、ハンマーで殴ってみたりとかいろいろやってみて、これが一番いいんじ
ゃないかという事で、ソルボ社製のものを使ったということです。
もう1つ、運用で地震に対する対応ということで、通常反響板を組んでる時、地震で揺れて落
下する分、反響板を組んだままその次の日に繰り越す場合、地震が来ていろいろとまた壊れて
また復旧、復興ということを、少しでもなくすために、反響板とかそういうものをあげて、床
と設置している部分を減らすと。物と物の設置している、近づいているものをクリアランスを
とることによって、少なくするという対応をしていきます。この部分ですね。で、もう1つが、
通常の幕形式の時なんですけども、プロセの中に、スピーカーがはいっているのでそれを下げ
ておくという事と、プロサスというものがその中にはいっているのですけども、下げて対応す
ると。地震があって結局、またおりなくなってきたことがあるので、そういうことをすること
によって、自分たちがいないときにでもそういうふうなことをして、少しでも二次災害と修繕
と、そういうものを対応していくと、いう形にしております。
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次に、中劇場になります。基本的にここは約687席のホールになります。ここの、ちょっと
見づらいけども、ここが大臣になっておりまして、ここが客席、これがホーバークラフトとい
うですね、動くようになっております。で、幕形式が、ここが8間とここが6間になりますの
で、若干、ホーバークラフトで、ユニットを動かすことによっていろんな形式ができるような
ホールになっております。震災の時の個々の被害状況ですけど、先程ここにあった照明を吊る
ブリッジというものが、ちょうど4階の位置に乗り込み口がありまして、ちょうどコンクリー
ト○○?ですけども、ここに3基の内、3つブリッジがあるんですけども、1つがですね、そ
こにあたってへこんだということです。ちなみにこの日はですね、照明の保守点検が入ってお
りまして、照明を2基だけ下げといたと、1基だけこういうふうに残ってたということです。
同じく設備による対策として、ブリッジの側面に同じく、ソルボを設置することに致しました。
もう1つ。運用の方法として、劇場使用してないときは乗り込み口より下げておいておくとい
うような形で対応しております。下から見た図がこういうことですね、ここが4階の照明の乗
り込みの所。それより、通常使わないときはいつもさげておくというような対応をしておりま
す。
先程言いました、ホーバークラフト、若干青い人が写ってるんですけども、ユニットは、動く
ものですから、設計の段階からですね、約10mの高さがあって12トン近くあるものなので、
アウトリガーであったりとか、ハンガーを出して躯体の方にひっかけて揺れないように、対応
をしております。これは震災前から、設置しておいたものでありました。これは3月11日の
ときに、これは問題なく、若干コンクリートのかけらがでてたりとかしてましたけど、問題は
なかったということです。
もう1つ、小劇場というのがあります。で、真ん中の棟の、建物の4階から6階部分にあるホ
ールでございます。客席数が233席です。この日唯一ですね、自主公演の明かり作りをして
る最中でございました。で、自主公演でうちのスタッフしかいなかったんですけども、4階と
いう部分にあるものですから相当揺れたそうです。赤い部分がピンルームです。通常ワイヤー
がはってあるんですけども、一方方向からの固定だったため、揺れに耐えきれず倒れたという
ことです。で、震災明けはより太いワイヤーを使用して、二方向から設置することで、転倒防
止を対応しているということです。これですね。で、大ホールの先程あったプロサスに吊って
あったものなんですけども、ノードのアルミハンガーが揺れに耐えきれず破損して落下したと
いうことですね。ノード自体はワイヤーをひっかけてたので、ワイヤーで安全帯つけてたので、
落下はしなかったんですけども、アルミハンガーがとんだということですね。
で、震災明けに、先程あった小劇場の照明のところが躯体から直接ついているブリッジになり
ます。さすがに6階部分にありますので、直接揺れが来ますので、灯体に結構な揺れの力がい
くということで、照明の会社に、お願いして、震災用のアルミを作ました。ちなみに丸茂製の
ハスの2、のハンガーにハスの3のネジをつけたと、いう風に聞いております。どうもハスの
2.5と呼んでいるらしいです。ていうのをつけて、小劇場と中劇場にこのハンガーを設置し
ております。
*ハス=HAS(ハンガーの型番名)
一度、フロアチャート、危機管理マニュアルに対してお話ししたいと思います。これが震災前
のマニュアルになっております。で、一番最初、震災前には、避難誘導班が消火したりとか、
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指揮班、通報班、いろいろと区分けされているんですが、その通りにフロアチャートは作って
ありました。ただ、日常の業務であると、それがどうしてもマニュアルに反映されないという
問題がありまして、震災後、こういうふうな形に、時間軸と、場所。そういうものを作ってみ
ました。初動であったり、初期、初動、避難誘導というものが、こういうような流れでマニュ
アル化してみたということです。舞台部の中で、催事をやるにあたってですね、主催者さんと
ですね、うちはお話をするようにしております。地震の揺れが大きかったり、中くらいだった
り弱かったりということで、それに対して中断してもう一度続けるのか、中止するのか、その
まま避難誘導するのかというのを、必ず主催者の舞台監督であったり一般の方であったり進行
の方であったりとか、お話しするような形になっております。で、一般の方にでも、利用者に
あたって、各役割を明確にしてもらおうということで、進行責任者であったりとか、お名前で
あったりとか一発でわかるような対応をしております。
震災前は、担当してる人が、おおざっぱな時間しかわからないという状況でした。こういうこ
とで、震災明けに、ここで、災害対策本部を設置する場所ということで当日の利用状況は一目
で確認できるようなホワイトボードを設置して、専用の内線電話も設置いたしました。通常は
打ち合わせスペースだったりとか、そういう感じになります。細かくしたものです。ホワイト
ボードには、当日の各ホール、練習系の施設状況を、一覧にした用紙や緊急時のフロアチャー
トやホール各の平面図とか、そういうのを全部置いてあるようにしてあります。で、利用状況
の一覧は、ホール系と練習室系、別館とかそういうのがあるんですけども、エリアごとにわか
るようにしております。で、練習室系なんかは、入っている、利用している人数がわかるよう
に、当日受付にきたら何人いますかという形で、人数を把握するような形で記入していきます。
階層はわかるようにしているということ。で、大ホールもこういうふうなかたちでやっていき
ます。
うちのホールの通常の震災に対してどのように対応しているかという話をさせていただきまし
た。だいたい、最近は先程も申し上げたようにだいぶ落ち着いてはきています。この間、久し
ぶりに震度4の地震がきたんですけども、まず最初に何をするかっていうと、小劇場に行って、
アルミのハンガーが緩んでいないかどうか、全体的に歩いてみて問題ないかどうか、そういう
のを確認してからその日の対応をしていくという形をしております。大体もう1年、2年くら
い前までは、2年ぐらい前までですかね、震度5だとか、そういうふうな地震が来るとですね、
床を伝わってですね、音がしてくるんですよね。そうすると、あ、くるな。っていうのがよく
わかりました。なかなか経験できないことを経験させてもらったなと、いう風に思っておりま
す。以上です、ありがとうございました。
(場内拍手)
垂水
どうもありがとうございます。やはり、被災されたと、ポイントいくつか私なりに指摘させて
いただきますと、建築や設備の被害を最小限におさえる為の具体的な措置が講じられている、
ということですね。また、よく危機管理マニュアルを震度で、地震の場合、震度で分けるとこ
ろが多いと思いますが、震度ではなく揺れ方。で判断されているのもポイントかなと。あと、
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すぐに対策本部が作れるような状況になっているという事。利用状況、時間共有も含めまして、
具体的な、整備されているなと思います。
引き続きまして、水戸芸術館、篠田様の方から水戸芸術館についてご報告、お願いします。
篠田
はい。水戸から参りました、水戸芸術館の篠田です。よろしくお願いします。
それではパワーポイントを…ありがとうございます。私の発表は水戸芸術館で、2011年の
8月27日に行った、避難訓練コンサートの事例紹介が中心になります。こちらがその時の写
真です。まあコンサートホールにも設備とか、技術とかとういう話よりも、コンサートを企画
したり制作する側の話になりますけれども、午前中にこの会場で行われました避難訓練コンサ
ートとともに、これからもし避難訓練コンサートを考えてらっしゃるというホールの方、いら
っしゃいましたら、何かのヒントになれば幸いです。それから、一般のお客様にとっても他の
ホールの避難訓練コンサートはどうなんだろうと、ちょっと見てみようかと、いう気持ちにな
っていただけましたらこれもとてもありがたいと思っております。
さて。コンサート中に災害が発生したという想定でお客様をまじえて、避難訓練を行うという
この避難訓練コンサートの取り組みは、近年、全国各地で広がってきています。東日本大震災
以前にもありまして、その多くはただし、火災を想定したものでした。震災以後になって、地
震を想定したのが多くなってきました。また、海に近い所のホールですと、地震の後に津波が
来る、という事も想定しまして、お客様を屋外に避難させるのではなくて、建物の上層階の方
に避難をしていただくという例も、これ実際にあります。どんな災害を想定して避難訓練を行
うのか。ここにはホールの個性がとっても現れるところでもありまして、もちろん開催をする
地域、時期、その時に関心を持たれている災害の種類ですね。それから、その施設の立地条件
ですとか、特徴、こういったものが反映されてくるように思えます。実はわたくしどもが避難
訓練コンサートを企画して、準備を進める中でああこれは大事だな、と気づかされたことの1
つが、この災害の想定に関する事でした。つまり、災害の状況条件設定を明確にする、という
ことです。火事なのか、地震なのか、どんな規模で、津波はあるのか、あるいは場合によって
は、テロとかですと、最初は何が起こったかわからないとか、本当に起こったのかわからない、
という事もあるかと思います。それから、その時に建物がどういう状態になっているのか。な
どなどで、こういうことによって避難行動の仕方とか、避難経路の設計が変わってくる、とい
うことがあるわけです。
一例を、たった一例だけなんですけども、あげたいと思います。3.11の時の話です。これ
が、水戸芸術館のエントランスホールという場所です。水戸芸術館はコンサートホールと、劇
場とギャラリーという複合施設でして、その共通の入口はこのエントランスホールです。正面
にパイプオルガンが設置されておりまして、その下に外につながる扉と、非常口の誘導灯があ
ります。もしみなさんこの場所にいたとして、さあ逃げてくださいと言われたら、おそらく、
こういうことになるわけなんですけども、3月11日の、あの震災を経験したことで、強く、
認識されたことがありました。東日本大震災の時、当館では幸い死傷者はでませんでしたが、
大きな被害の一つとして、このようなことがありました。パイプオルガンのパイプが崩落する。
現在は、パイプの落下防止の為にワイヤーで吊るという措置を施していますが、やはり地震の
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際には、このパイプの落下には注意しなければなりません。ですからもし、火事であれば、最
短ルートで、オルガンの下を通って避難すれば、それでよいでしょう。しかし地震の場合には、
落下物に警戒しなければならないので、オルガンの下を避けて通らなければいけません。避難
訓練コンサートでは、災害の状況、条件設定を明確にすることで、準備段階の避難誘導の方法
ですとか、経路、その時に適切な人員の配置。そういったことが綿密に検討できるように、そ
れによって、必要に応じては防災マニュアルの改善を、図ることも可能になってきます。避難
訓練コンサートというこの企画は、予算的に言いますと、実は普通のコンサートと、それほど
大きくは変わりません。ただ、マンパワーと言いますか、ヒューマンリソースといいますか。
ようするに、手間がおそろしくかかるコンサートでありまして、水戸芸術館でこの避難訓練コ
ンサートを行った際にも、事前にもちろん、芸術館でもあの、毎年2回、防災訓練を行ってい
るんですけども、それに加えて職員有志で練習を行いました。練習の中では、避難誘導に関す
る問題点や注意点、気付いたことをそれぞれが出し合って、その解決策を話し合ったり、また
繰り返し練習してきましたけれども、まぁ本番では、私も含めたスタッフ全員、ものすごいプ
レッシャーと緊張の中で、本番に臨みました。スタッフでこう練習していますと、いろいろな
疑問がでてくるんですね。地震の時はこういう動きでいいけれども、じゃあ火災の時も同じ動
きでいいのか。震度5とか6だったらわかるけども、じゃあ震度3とか4でも同じ動きでいい
んですか。たまたまこのときここの職員が休んでいました。じゃあどうしたらいいんですか。
いろんな疑問が出てきます。もちろんこれはどれも重要な問題なんです。ただ、話し合ってい
るとだんだんとこれ、議論の収拾がつかなくなってまいりまして、避難訓練コンサートそのも
のの準備が停滞してしまうと、いうこともありました。どんな災害が起こって、建物がどんな
状態にあるのか、ということを明確に決めて、その場合の避難誘導行動をシュミレーションし
ようという方針を決めたことで、ある意味でこれは割り切ったと、いうことでもあるんですけ
ども、これで準備が円滑に進んだという面は、確かにあったと思います。ただこれは同時に、
1回の避難訓練コンサートの限界を示すものでもあります。災害は当然、千変万化です。それ
に対して避難訓練は、ある状況、条件のシュミレーションでしかないというわけです。水戸で
避難訓練コンサートを実施してみて思ったのは、このコンサートの本番を、もちろん大事なん
ですけども、そこに至るまでの話し合いですとか練習のプロセス。それから、終わったあとに
どうしていくか。ということがもっと実は、大事なんだということがわかりました。実際にお
客様をいれて防災訓練をする、ということでスタッフはもちろん大変緊張するんですけれども、
それだけに準備のプロセスでは、避難誘導の方法や人員配置を確認して、必要に応じて、改良
を図る。そのとってもよい機会になります。それから、避難訓練コンサート終わって、成功し
た。それで安心、ではなくて。その成果を防災マニュアルに反映させていったり、また別の状
況や条件ではどういうふうにすべきか考えていったり、という必要があります。例えば、それ
が防災マニュアルの検討会ですとか、次の避難訓練コンサートとか、また別の形の防災訓練に
なるとかという風に、だんだんとこう、また発展していくというのが避難訓練コンサートの理
想だと思っています。実は水戸芸術館でも今年度、再びもう一回避難訓練コンサートを開催す
る予定でおります。
さて。水戸芸術館の前回、2011年の避難訓練コンサートの内容を簡単にご紹介いたします。
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東日本大震災から約半年後に開催しました。もしコンサート中に地震が発生したらどういうこ
とになるかということで、東日本大震災の時の状態をできるだけ再現しようということにしま
した。つまり、震度は6強。建物は、健全。つまり倒壊の恐れはないと。火災もない。ただし
停電が発生して非常照明に切り替わっている、という状況設定でした。本番では、実は前回は、
後半の3曲目の演奏中に地震が発生したという想定で、演奏を中断してもらったのですけれど
も、この、発生させるタイミングに関しましては事前には公表しませんでした。スタッフと、
出演者のみに教えました。本当はですね、個人的には出演者の方にも秘密にしておきたかった
んですけれども、
「すいません、この曲はどうしても集中したいんで、演奏をとめないでくださ
い」と頼まれてしまいまして、しょうがないということで、あの出演者の方には伝えると、い
うことにしました。そのときのプログラムがこういう形になります。最初に、この出演者とい
うのは、木管楽器のアンサンブルと金管楽器のアンサンブル、2チームに出て頂きまして、基
本的に交互に演奏していく、という形式をとりました。最初にまあ、顔見せというか、イント
ロダクション的に短い曲を2チーム演奏していただいたあとに、30分間、震災時の心理と震
災後の行動という、具体的に言うと、人はなぜ逃げ遅れるのかという、とても危機感のあふれ
る講演をしていただきまして、休憩をはさんで音楽会の中で地震を発生させたと、いう形にな
ります。この避難訓練の手順と致しましては、だいたい次のようになっています。まず、地震
の発生です。これは、今日の避難訓練コンサートの時とほとんど変わらない形です。コンサー
ト中に、揺れをあらわす地鳴りのような、効果音をいれる。それから、揺れで照明が明滅する。
ついたり消えたりする。それを地震発生の合図にしました。これで、あ、これはただならぬ地
震だ、揺れだ、ということで、公演責任者。このときは実はわたしなんですけれども、舞台に
出て、公演を、演奏を中断させます。公演の責任者と、それから客席の案内誘導係が、お客様
に対して、身をかがめて安全を守ってくださいと、揺れがおさまるまでその場で待機していて
くださいと、いうことを呼び掛けます。実は、舞台上のどこに立つと、全てのお客様からみえ
るのかと、それから、拡声器はどのように使ったら聞き取りやすいかと、事前にかなり練習、
研究を重ねました。拡声器というのは、実はコンサートホールで使うことというのが滅多にな
いので、実際にしゃべってみると、客席ではすごく聞きづらい、ということがあります。です
から、このときには私は拡声器をいくつかの方向に向けて、何度か繰り返し同じ指示をだしま
した。これがその時の写真ですね。それから、この写真だと見えづらいんですけども、ここ…
ここの奥に、スタッフが、制服を着たスタッフが、非常口の確保、ドアを開けようとしていま
す。ここにもすでにドアを開けた、舞台技術課内?のスタッフの一人がいます。それから出演
者が、また別のスタッフの誘導でステージ上から逃げていくという形ですね。で、お客様は、
頭を守って身をかがめるという形になっています。このあと、やがて、停電がおきます。この
時は、ホールと非常を、避難経路にあたるところの電源を全部落としました。停電になっても、
もちろんご存知の方もいらっしゃると思いますけども、真っ暗にはなりません。これは、あの
非常照明があるためです。ただ、これを非常照明があるから災害時にも真っ暗にはならないよ、
ということを一般のお客様に伝える、このことも1つの、ここのコンサートの狙いではありま
した。さて、地震の効果音が終わると、揺れがおさまったという事になります。建物は安全な
んですけれども、余震を警戒して、避難指示が出されます。この放送のタイミングに関しまし
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ては、特に打ち合わせはしませんでした。ただ、放送が入った時には放送が聞こえないわけに
はいきませんので、その時には拡声器ではしゃべらない。お客様に話しかけることも一回やめ
る。ということを徹底させる。最後に、これで安全確認ができた経路から、スタッフが順次、
お客様や演奏家を誘導して屋外の広場に集合させる。そして最後にホールの中に誰も残ってい
ないことを確認して、スタッフも避難します。それで避難完了になります。広場で各避難経路
を誘導した担当スタッフが報告を行います。で、本来であればそのあとに安否確認をとるわけ
なんですけれども、それをやっていると時間がかかってしまうということで、避難訓練コンサ
ートの中では、省略をしました。で、みなさんがお客様が外に出ている間に、裏の方の技術ス
タッフが電源を復旧させて公演を再開にもっていく形をとっています。以上が水戸芸術館で行
った避難訓練の手順です。避難訓練コンサートを通じて・・・あっ、そうですね、これがその、
最後の広場に出た時の写真です。
このコンサートを通じて、避難誘導の方向、それから人員の配置。そういったものをわたした
ちも工夫してきましたけれども、それでも1個、強調しとかないといけないってことがありま
す。それは何かというと、正解とは限らない、ということです。わたしたちもやっぱりあの、
暗中模索の中で避難訓練コンサートをつくってきました。避難誘導に関して、注意が行き届い
ていない場所、きっとあったと思います。それから、繰り返しにもなるんですけれども、災害
の種類や規模や建物の状態などの条件が変われば、これはなにが正解なのか、ということも当
然変わってくるということです。では、そのような正解が見えない避難訓練コンサートを、な
ぜやるのか、という事を考えていこうと思います。
目的は3つくらいあると思うんです。まず1番目は、お客様も参加しての実地訓練によって、
避難誘導の方法、確認、改善をはかる、ということ。これはつまりホールにとっての、対内的、
内部的な、目的ですね。2番目は、災害時のホールの対応を、デモンストレーションして、防
災への取り組みをアピールする。これは、ホールにとっての、対外的、外向きの目的になって
いきます。それから3番目は、今度は、参加するお客様やスタッフ、個人の目的になっていく
んですけれども、災害についての学びを通じて、防災意識の向上をはかる、ということ。この
3つの目的に対応して、そうして考えていきますと、避難訓練コンサートをやるときに、何に
工夫すべきだとか、どういうことを心がけしなければいけないのか、ということが見えてくる
ように思います。というか、これはわたしが実際に考えていたことをこれから話していこうと
思います。まず第1の目的に関しては、できるだけリアルな訓練、リアリティのある訓練をし
たいということです。そのためには、先程から言っている通り、状況、条件の設定を明確にす
ることが必要になります。改めて避難誘導の方法を見直して練習を重ねてみると、お客様を非
常口に誘導する為の人員配置が、掲示の必要性とか、あるいはお客様への呼びかけの仕方、安
全確認の仕方、改善すべき点がかなりみえてきます。で、その対応策が、避難訓練コンサート
1回を終わらせるために、対策に追われるのでなくて、防災マニュアルの反映に役立つことを
願っています。やはり訓練の為に備えるのではなくて、災害の為に備える、という心構えが1
番重要なことだと思います。次に、2番目の目的に関してですけれども、これも同じ話になり
ます。リアリティのある訓練をするということは、これによってやはり、聞いているお客様見
ているお客様にとっては、説得力、というのが生まれてきます。また、この取り組みをアピー
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ルするという意味では、広報や宣伝活動の、非常に、重要になってきます。水戸芸術館の場合
には、特に地域の方々に向けた広報宣伝活動、地元の新聞ですとか、ラジオとかテレビでの告
知に、力をいれました。それから、お客様を参加しやすくするために、入場無料で事前の申込
制も取らないことにして、当日に、当日だけなんですけども、定員管理の為に入場整理券を配
布するという形にしました。ちなみに入場整理券は、ホールの定員が620で、620枚すべ
てなくなったんですけれども、不思議なことにこういう無料で配布する、ということがあると、
なぜか余分にもらっていくというお客様が必ずいらっしゃいまして、入場者数は432人でし
た。この辺りは改善の余地ありだというふうに考えております。3番目なんですけれども、こ
の防災意識の向上に関しては、まず、お客様にとってこういうコンサートに参加してきたんだ
ぁという、記憶に残していただける、あるいは、そこでの体験をご家族やお友達に伝えて、学
んだことを広めていただくという工夫、心がけたいと思っています。もちろんコンサートで、
その会場で配布している防災に関するパンフレット、おうちに帰って読み返していただけたら、
これとてもうれしいですし、それから、ホールにとってはそのコンサートの記録ですか、報告
をきちんと残すこと、まとめること、ということも非常に重要になってくると思います。それ
から、避難訓練コンサートをやっている多くのホールがいらっしゃるということですけれども、
多面的に学べる工夫、ということですね。例えば、防災の専門家の講評ですとか講演を行った
り、今日もこの会場でもやっていますけれども、ロビーで災害のデータですとか、防災グッズ
の展示をしたり、いったことですね。水戸芸術館の場合では先程もちょっと紹介しましたけれ
ども、災害心理学を専門にする、ヒロセ ヒロタカ先生という方に、30分間の講演を行ってい
ただきました。また、エントランスホール、先程もお話しした空間なんですけれども、そこで
災害のためにどんなものを水戸市が備蓄しているのかという、そういう展示を行いました。こ
れが、その時の展示の様子ですね。展示品の中には、今日も同じなんですけれども、非常食が
入っていました。実はこれも反省点でして、展示の仕方が良くなかったなーって思ってるんで
すよ。まるで御自由にお取り下さいみたいな感じに見えましてですね、朝置いて、夕方にいっ
たら減ってるんですね。これも、やりかたを考えなければと思いまして、今日の会場の展示の
仕方がとても参考になりました。あと、他に私が知っている例ですと東日本大震災の時の津波、
に遭遇して、たまたまアマチュアでビデオカメラをまわしていたっていう方も、そのビデオ映
像を上映した。もう津波が迫ってくるという視点を、その時に現場にいた人の見てる、追体験
をしているようなそういう映像を、もちろんこれアマチュアの映像ですからいいわけでは、綺
麗な映像なわけではないんですけれども、それだけに生々しさ、リアリティがある、そういう
映像を上映されているホールもありました。
最後に、今までお話ししてきた3つの目的とともに大事なこと。それは、避難訓練コンサート
という1つのコンサート。イベントとしての前提というか、原点のような話です。楽しいコン
サートだなぁとか、避難訓練とはどういうことをやるんだろう、ドキドキするなわくわくする
な、展示を見たり話を聞いて、ああなるほど!って思ったとか、つまり、そうやって参加した
お客様に喜んでいただく、納得していただく、満足していただく、そういうことが大事なこと
だと思っています。なによりも、別に避難訓練をエンターテイメントにしようってことでは、
まったくありません。お客様の顔を思い浮かべて、お客様はどういうふうに思うか、どういう
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ふうな動きをするのか、ということを考えていくと、実は避難訓練のやり方、避難誘導のやり
方でもあるんですけれども、ある程度よい解決策の方に、だんだんと導かれていく。そんな風
な気が、わたしはしています。避難訓練コンサートの最大の特徴は、言うまでもありませんが、
お客様が訓練に参加する、ということです。つまり避難訓練コンサートの成功の鍵は、お客様
です。成功の鍵を掴むためには、お客様とどう接するのか。どういう風にしてお客様の心を掴
むのか。ということを考えることが、そこに最終的にはいきつくのではないか、いう風に考え
てます。ご清聴ありがとうございました。
(場内拍手)
垂水
篠田さん、どうもありがとうございました。御存じの方も多いかと思いますが、水戸芸術館は
自主事業だけ行っている劇場です。つまり、災害があった場合、公演の中断、もしくは中止の
判断がご自分たちでできるというところがあります。貸館の場合は、このようには参りません。
それと、各公演には施設を熟知した専門のフロントスタッフが、レセプショニストが必要数、
常に配置されているということです。こういうところを目指したのですが、できない地域の、
私いるものですから、非常にそういう意味で、今回のコンサートのご報告もそうなんですが、
水戸芸術館の劇場としての在り方が、常に勉強になるところです。2つの、東日本大震災を経
験された施設から、貴重なご報告をいただきました。
それでは、今後予想される東海沖地震、南トラフと、もしくは東海地震と言ってもいいんでし
ょうが、それをどのように考えておられるのか、愛知県芸術劇場、浅野さんの方から、よろし
くお願いいたします。
浅野
はい、みなさん、こんにちは。愛知県芸術劇場の浅野と申します。
いま、素晴らしい発表のあと、お二人の発表のあとで、ちょっとこんな適当でいいのかとは思
いつつ、ちょっと心配しておりますが、まず、パワーポイントの作り方がどうだというような
お話はさて置かせていただきまして、愛知芸術劇場というのは、愛知芸術文化センターの中に
ある劇場になっております。それで、これが愛知県芸術文化センター。で、こちらがNHKの
名古屋放送局の、建物です。ここはオアシス21という、施設でございまして、ぜんぜん余談
なんですけども、ここには水がはってあって、夜は綺麗かなと、いうような建物になっており
ます。劇場はこの中に、はいっておりまして、この中にはですね、愛知県美術館、そしてアー
トスペースというスペース、A~Hと、Xというアートスペース名前がついておりますが、そ
れが9室と、リハーサル室が2室。あと、レストラン、喫茶、飲食ができる店舗が4店舗、シ
ョップですね、アートショップと呼んでおりますが、ショップが2店舗。の、複合施設となっ
ております。劇場、この芸術文化センター全体で最大人数がはいるとすれば、ほぼ8000人
ほどのお客様が、最大で常駐するという、施設という、大きめな施設となっております。
写真が、このようにありますが、施設の中の説明をさせていただきますと、大ホールが250
0席、コンサートホールが1800席、小ホールは330席そして、愛知県美術館、先程申し
上げた、その他のショップ等々(とうとう)がございまして、これだけの施設が寄り集まって
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おりますので、なかなか防災訓練というのが、至難の技となっております。
現状の防災訓練は、どのような形で行っているのかといいますと、年2回の内、美術館で主に、
事例が発生したバージョンと、それから劇場で事例が発生したバージョンと、いう2パターン
でございます。で、劇場で発生した場合は、主に劇場の、職員が中心になりまして、美術館の
職員の方が、お手伝いをいただいている。美術館で発生したバージョンでいきますと、美術館
の職員の人がメインとなって、劇場の人間が、若干お手伝いするという、事になっています。
これを聞いてですね、みなさんお感じになると思いますが、先程から話がある、地震の時に、
別に建物が揺れて劇場だけが、被災するわけではないでしょうという風にお思いになると思い
ますが、なかなかですね、この複合施設で同時発生という、美術館と、劇場も3ホールありま
すので、この3ホール、全ての避難誘導を同時にやるという事が、現状は正直なところできて
いないと。いうことで、これがまず一番大きな課題となっております。一応、劇場バージョン
の方で申し上げますと、あとはレストランと、喫茶のみなさん、そしてアートショップの方、
警備の方もいらっしゃいますので、あとは客席案内の方。または利用者の方で、日頃、貸館も
たいへん多くなっておりますので、テレビ局のみなさん、音楽の、多く主催される、主催者の
方にも参加していただいて、一緒に防災訓練を行うと、いうようなことを行っております。
また過去には消防局に協力していただいて、ヘリコプターによる、救助訓練。街中にある施設
ですので高いところにも、逃げ遅れた人がいるだろうということで、ヘリコプターを使った訓
練等(とう)も行っております。次のページにいっていただきますと、これがですね、ちょっ
と大変見にくくて申し訳ないんですが、愛知芸術文化センターは12階建ての建物に、劇場や
美術館、いろんなものがはいっております。で、各美術館、これは美術館バージョンの図面な
んですけども、この、手書きで書いてある、ナンバー11、13、12とか書いてあるんです
が、これは、お客さん役の職員の配置です。ですから、各ポジションにお客さん役として職員
の人、職員の配置して、誘導係と分けて避難訓練を行うと。いうことで、訓練終了後に、全職
員にアンケートを行いまして、客席、お客さん役の人には、こういう風に案内してもらった方
がよったんではないかとか、誘導係の者は、お客さんをこうやって案内した方がよかったんで
はないかという、アンケートをとって、次の反省材料とデータにしているという、いう風に、
な状況です。あとはですね、先程申し上げたように、近隣にオアシス21、という商業施設。
それから、えーと、隣に愛知県、NHKの名古屋放送局、またはですね、すぐ近くに、地下鉄
の栄、名古屋鉄道の栄町駅とか、いろんな施設が、混在、近い所に人数集まる所が、混在して
おりますので、できれば一体的な、それらも含めた一体的な訓練、どのようにそれだけのたく
さんの人数が、移動したらいいかというような、こともできたらいいかなという風に思ってお
りますが、現状、名古屋市さんの方も一応、若干の問い合わせをしたところ、オアシス21と
いった施設、こちらはオアシス21を管理する方がいらっしゃるんですが、そこは、何かあっ
たらシャッターを閉めてお客さんが入れないようにするので、芸術劇場、芸術文化センターの
お客さんがそこの施設に逃げ込むことは不可能であるということと、久屋大通公園という、名
古屋のテレビ塔が建っている辺りが、道路の真ん中が公園となっておりますが、そこは名古屋
市の避難所になっておるわけですが、愛知県芸術劇場及び、美術館の8000人ほどの規模の
人が逃げてくる想定は、現状できていないという事ですので、我々としては、ただ単に外に出
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すだけではなくて、その方たちがどのようにして待っている場所であるとかを、見つけていく、
あとは協力体制をとっていくということが、ちょっとなかなか、至難の業になっております。
そしてですね、次のスライドにいっていただきますと、いまそんな中でも、やはりこういう防
災についてかなり、話し合いができておりますので、劇場内、それからセンター内でも、ワー
キンググループを、作ったりしていろいろ考えているところでございます。この、考えている
人もいま会場にきておりまして、まさかこれが、ここにいきなりでてるとは思ってもみないの
でたぶん、ご本人は笑っておりますが、いまこのようなことをちょっと、考えていたりするわ
けです。
それで、まず複合施設で、実は今日も避難訓練コンサートに参加させていただいて、みなさん
お客様がこの中央のところから非常口をでて、正面の階段をおりるという導線をしておりまし
たけれども、8000名の方になりますとですね、一点集中ができないため、舞台の上手側と
下手、右左(みぎひだり)の所の方はどの階段を通ってどこへ行くかという、ちょっとその、
詳しい図面を作る必要があって、実はその図面もあるんですけれども、それは劇場だけを対象
にしてますので、県美術館の人がそこに交じってきた場合その階段が対応できるかどうか、も
ちろん、基本的にはエレベーター、エスカレーターっていうのメイン導線ですけれども、地震
のときには、使えないということがありまして、すべて階段移動するにあたって、12階から
1階まで、どのように渡していくとか、中でその、いろんなお客さんが合流してこう、渋滞が
起こる想定も、考えられますので、それをどうしたらいいかっていうことも、一つの問題にな
ってまいります。そこがですね、まず職員がその階段を、位置がわからないといけない、いう
ことがありますので、一応ですね、これ避難経路ツアーというとたいへん楽しいものに感じて
しまうわけですが、一応、大小ホールコースと、コンサートホール、アートスペース、などの
コースを作って、月1くらいで、コースを職員でまわったらどうだということでございます。
これには、愛知県劇術劇場としては防災の日というのを月1回決めて、毎月1回、なにかそう
いう取り組みをしていこうかと、いうことで、まず、階段の、職員がわかっていないと、案内
できない、というところを解決していこうと、いうことも考えております。ですから、課題と
して、先程も申し上げたように、1つの階段に集中しないように、それから、もしかしたら、
1つのある階段は壁が崩れたり、なにか上から落ちてきて通れないかもしれない。それの判断
を、一括で、確実に命令系統、支持していく必要があるんですけれども、それをどこで、先程
のお話の中で、そういうセンター機能をつくるという、ところがでておりましたけども、まだ
いまそういうことができておりません。で、防災センターというのもありますし、中央監視の
役もありますが、防災センターは地下1階、中央監視は地下2階ということで、現状がモニタ
ーでしか把握できない、位置にございますので、それは、目視して、今現状はこういう状態だ
ということがすぐわからないので、きちんと連絡系統がとれて、命令がきちんと各部署に伝わ
るような、方法を考えないといけないという、課題があります。あとは今日も、お越しになっ
てましたが、車いすをご利用のお客様、についての移動がたいへん難しい、状況な建物になっ
ております。だいたい22年ほどたっておりますけども、バリアフリーが、完璧ではないと、
いうところからの、どのような誘導をしたらいいかというところですね、そこも一つの大きな
課題です。それからあの、巨大施設ですので、もし建物の歪(ひずみ)が、起こった場合、非
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常扉が、いざというとき開か(ひらか)ないのではないか、という心配もございます。皆様の
施設も、どこか行かれた時でもそうだと思いますが、煙対策のために、おおかた階段の扉は閉
める必要があるので、閉めた状態にしておりますが、それが建物が歪んだ(ひずんだ)時に、
開かない。そこが非常の階段となっておりますので、それが開かない時に、誰がどのように壊
したりしながら、進んでいくのかと、いうようなことも考えなければいけない、ということと、
遅番、早番というのが、これは施設にありまして、一日中全員が働くわけにいきませんので、
朝早い人、それから夜残る人、数が極端に夜になると減ります。その夜になって数が減った時
にどのような役割を、少ない人数の時にどうしたらいいか、ということの問題点もございます
ので、これも解決していかなければいけないなぁと、いう風に、いま、思っているところです。
お客様を安全に、誘導するのがわたくしどもの、仕事ですので、楽しい施設で悲しいことが起
こらないように、努力をしていきたいという風に、思っております。それからあの、若干、冒
頭でも、垂水様の方からもご紹介いただきましたけれども、吊天井のいま問題がございまして、
お客様を守る為には、劇場内が安全であるという、完璧ということではないんですが、より、
安全度が高いという施設にしていく必要があるということで、実はですね、これあのまだ県の
方からもきちんと、発表されておりませんし、それからなにぶんにも予算が、大きくかかるこ
とですので、声を大にして、いつということが言えないのが、なかなか苦しいところではござ
いますが、現状ではあの、水面下ではあればそのことを、いろいろ話しあっております。で、
当劇上の大ホールは3年前からの予約になりますので、少なくとも、3年前には、この日を休
館にしこういうスケジュールでやらなければいけないというのを、お客様に発表していく必要
がありますので、そのスケジューリングと、いっぺんにやるのではなくて、各ホールずつ、改
修工事も含めて、取り組んでいく必要があるのではないかということで、ここ数年、数年の内
にはみなさまがたのお耳にですね、この時期に、愛知県芸術劇場は休館をして、これだけの、
期間を休館してこういうことをしますというような、お話がでる、ことがあるのかなあと、い
う風にこんなちょっと、歯に衣(ころも)がひっかかった、歯になにかがつまったような形で
しか申し上げられませんが、一応そのような、前向きな形でおります。
大ホールについてはですね、この部分、多くの施設がそうだと思いますが、この天井の部分に
クリアランスをとるということで、天井に隙間をあけるという、想定をしております。5階ま
でありますので、全部天井をおとしてやるということは大変に、難しいということで、高い足
場を組んでですね、ここに、隙間をあけていくという、いま想定をしております。それから。
コンサートホールに関してはこれは、ちょっと布っぽく見えるんですが、特殊なコンクリート
でできておりまして、これに、クリアランスを、どのようにしてとっていくのか。また、現状
ですね、これでひとつの、音響空間をつくっておりますので、満席時残響2.1というのが、
クリアランスをとったときにどのように変化してしまうのかと、いう問題もありますので、コ
ンサートホールの方は、かなり、なかなか内容が難しく、改修について天井についてはかなり、
難しいことになっております。小ホールについては、一応その施工は非常に、難しくはないっ
ていうか、やりやすいようにはなってるんですが、天井、1番元の天井と、吊天井の間隔が、
狭すぎて、作業者の人がですね、中腰になってやらなければいけないと、いうことで、やりや
すいけど、やりたくないんではないかという、そんなような意見もありますので、なかなかそ
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の、どのホールについても、簡単に天井を、こうすればこうなるという状況ではないというこ
とですね。中には、天井の中にもう1個天井があって二重天井になっている、部分もあります
ので、1つめの天井をネットで、補強せずネットで受けて、もう1つの天井にクリアランスを
あけてというような、ちょっと特殊なこともしなければいけないという、現状話し合いの中で
は、でております。なので、できるだけ、多くのご来場の方が安心して、ご利用いただけるよ
うな、努力を、引き続きしていきたいということを、考えております。わたくしに与えられた
時間は10分くらいで、すいません、こんな感じでよろしかったでしょうか?はい、充分、は
い。結構です。
垂水
はい、ありがとうございます。あとで。北九州と同じ、問題を抱えておりますので、あとで、
また、わたくしの方からも、ご報告いたしますので。どうもありがとうございました。
浅野
はい。ご清聴ありがとうございました。
(場内拍手)
垂水
はい、そして。本日の、避難訓練コンサートを、実施されたうえで、いろいろ。また、近隣の、
劇場等(とう)の状況も、ご紹介ください。
高瀬
どうも、高瀬でございます。みなさん、どうもお疲れ様でした、ありがとうございました。
いたらない所たくさんあったと思うんですが、今日の一日をちょっと振り返ってみたいなと思
っています。
今回は、劇場が公演を企画する。つまり、自主公演という形を想定しました。ですから、公演
を継続するのか、中止にするのかということは、我々の判断で決めるということですね。これ
が、さっき垂水さんからも言われましたが、貸館の場合は、主催者に判断をゆだねて、一旦、
その主催者さんを探して、このぐらいの震度だと、劇場としては、やめた方がいいんじゃない
か思いますがどうしますかみたいな相談をする事になるだろうと思うんです。ですが、今回の
訓練の想定は、技術部から、劇場事務所に連絡を入れて、今、地震がおきてますと。この地震
の規模では公演を続けるのは困難なので公演を中止いたしますと、袖中の判断で、事務所に連
絡いれて。で、今日、実際に舞台上では演奏をしている最中でしたが、演奏を中止してもらっ
て、舞台上でお芝居や、コンサートをやってる人たちを、できるだけ早く舞台からはけさせる、
上空に落下物。つまり吊り物とか、照明が吊られてるんですが、それが落下する恐れがやっぱ
り一番高いわけですね。客席の上の、天井というのは、いわゆる構造物でつくられていますの
で、客席の上部から落ちるというよりも、舞台上の上部からものが落ちてくる可能性が非常に
高いということで、なるべく早く舞台上の人間を、舞台袖に呼び込む必要があるだろうと思っ
ています。今日、実際、いろいろ、客席にいらっしゃる舞台関係者の方に、どうだったんです
かと、今日の進行についてはと、いろいろお話を、短い時間でしたが聞いてまわりましたが、
舞台上の俳優さんたち、あるいは今日は音楽隊の方たちだったんですが、を、呼んだのはいい
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んだけど、客席に何も言わずに終わってしまったと、客席の人たちは、自分たちのことを見捨
てられたみたいな感じを受けるんじゃないか、というようにおっしゃっていました。やはり、
舞台の人間もですね、今回、いくつか、訓練をやってますが、こういう風にお客さんをいれて
の訓練ていうのが初めてでしたので、どうも客席の考慮がちょっとたらなかったようです。
客席のお客さんのですね、落下物。基本的に客席の上部からの物が落ちてくることはないと想
定してますが、身をかがめて、上からの物に対して身を構えてるという事になります。それと、
うちの2階席なんですが、2階席は立ち上がると、手すりがかなり低い位置にある。それは、
座った時に2階席からの舞台が見えなくしないために、手すりをちょっと低めに作ってありま
す、まだ揺れてる最中に、立ち上がったりすると、落ちる可能性も出てくるんじゃないかなと
思っております。ですから、こういう場合は必ず身をかがめて、揺れがおさまるまで待機して
もらいました。
車イスのお客さんも今日居らっしゃいましたが、車イスを先に通すという誘導順。又、車イス
の避難通路としましては、北口と、こちら南口になりますが、南口はスロープがありますので、
車イスの方は南口の通路を使って、南口の駐車場へまわり込むという、導線をとることになり
ます。これは後ろ、つまり、客席の奥を通って北口の広場での待機という導線を、想定した動
きになってますね。はい、次お願いします。これは、南口の駐車場への途中ですが、これは訓
練がおわってから、客席にいったん戻るときの導線ですね、線路が左にありますので。これ、
北に向かって歩いてらっしゃると思いますので、これは、客席に戻るときの、道順だと思いま
すが、ここを通るということもございます。これはですね、我々のスタッフがピッチを使いま
して、僕と彼女、彼女は南口の駐車場での責任者となっておりますが、連絡を取り合っている
ところだと思います。で、ピッチをこのときは使ってやったんですが、なかなかこう、あわて
て、ピッチの番号を間違えたりとか、そういうこともありました。なるべくこう、慌てないで、
正確に言葉を使って、連絡を取り合うことが大事なのかなと思いました。それと、ここの駐車
場に、お客様を誘導したわけですが、お客様が何名いらっしゃるのかという事は、なかなか難
しい問題があるわけです。我々は、この劇場は、ホールの観客だけがお客様ではなくて、一般
市民の方も、ホール客席以外は自由に通る事が出来ますので、なかなか数までは把握すること
ができません。あなたはホールのお客様なんですか、普通の一般市民の方なんですか、という
風に区別で数えるわけにはいきませんので、今日は一緒にいらっしゃったお客様で、見当たら
ない方はいらっしいませんかとか、そういう言葉をつかって安否確認を致しました。それと、
公演が、避難誘導が終盤に差し掛かった時に安否確認として、各スタッフを、トイレ、あるい
は袖中、あるいは階段の途中に、怪我をしている人がいないか、そういうのを最終的に見回っ
て、それをわたしが報告を受けるという形をとりました。で、南口の彼女と北口にわたしが控
えてまして、そこに避難してくる人たちを、数で確認するんではなくて、だいたいの一緒に来
たお客さんの数で、確認を、様子を聞くという形をとらしてもらいました。次、お願いします。
これは北口ですね。北の入口のところになりますが、ここを、ドアを、非常口のドアが3か所
ございます。3か所あるうちのドアを開放して、こっから、外へ避難するという事です。ここ
はガラスが非常に多くあるとこなんで、ガラスを避けて、ガラスが落ちる可能性もありますの
で、ガラス面を避けて、本当は待機させるべきでしたが、今日ちょっと日差しががすごかった
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もんですから、赤ん坊もいらっしゃったので、影のとこにいてもらおうかなという、壁際に待
機してもらいました。次、お願いします。はい。あと、劇場関係者の方から言われたんですが、
階段が崩落した場合はどうやって下に降りるんだと、いうことがありましたが、基本的にこの
劇場というのは地震に強い建物。地震に強い建物というのは、東日本大震災の地震にも、壁、
あるいは階段は耐えられるという事を、建設の方に言われてますが、もうひとつ、送ってくだ
さい。ここですね、ここのガラス面があって、壁側にみなさんを待機させることにしたんです
が、これはやっぱり、もうちょっと広い所あるいは、ガラスが落ちてこないだろうと思われる
ところに、みなさんを待機させて、ここで休んでもらう、という風にすべきだったんじゃない
かなと思っております。次、お願いします。これでおわりですか?はい。
すいません、いまいらしてるお客様の内に劇場関係の方、ちょっと手をあげて、お願いできま
すか?お、大部分の方が劇場関係なんですね。で、豊橋、この近隣の劇場の方っていうのはい
らっしゃいますでしょうか?はい。ありがとうございます。先程、近隣の劇場の避難訓練につ
いてのことを話してくれとおっしゃってましたが、わたくしが聞いているところによりますと、
田原市文化会館が、5月の29日に、避難訓練コンサートをやったばかりだという風に伺って
おります。そしてその訓練の模様は、研修室の大で展示してありますが、それが一カ所。それ
と、愛知芸術が、2月。今年の2月に、やはり避難訓練をやったという情報は伺ってます。で、
我々、私ですね、今回のこの訓練を企画した時に一番思ったのは、これは、1回こっきりの企
画ではなくて、パターンをかえての何回も何回もやるべきなんじゃないかなという風に思って
ます。そのパターンを変える理由としましては、やはり、この劇場では貸館の公演が約8割ぐ
らいはあって。あと2割が、自主公演とか提携公演があります。つまり、主催者さんがいて、
主催者さんの判断で、公演を中止するのか、継続するかと判断をしてもらうと、いうことがあ
ります。で、当然、当然といいますか、この愛知県の近くの劇場になりますと、やっぱり貸館
というのが、非常に大きな、比重を占めると思いますので、そういうパターンのある、そうい
うパターンでの、避難訓練もやらざるを得ないかなと、思っています。いまあの、みなさんの
ご意見を、パネラーのご意見をお聞きした場合、かなりの頻度で、自分たちの中に、防災訓練
あるいは防災関係の部署、部署をつくるといったそういう会議をやって、みなさんの意識を高
めるというところを、ものすごく大事にしてらっしゃる劇場があるみたいだと思っております。
当劇場もですね、正直な所、この訓練をやるために何名かで自主的に僕がやりますという風な、
人間もでてきましたので、その人間に頼んで、いろんなこういうパネルとか、こういう、図面
等(とう)を作って一緒にやってきましたが、やはり、こういうのは訓練の為の訓練をもう日々
やらなきゃダメなんだなと思いました。今日、各ドアに立って下さった、フロントスタッフの
みなさんも、これは実は、名古屋からやってくる女性たちなんですが、なかなか彼女たちに日
常的にもこういう呼び込みの声を出すことの訓練をやっておりません。ですから、中には、声
がとても小さくて聞こえづらかったという声が、お客様の方からあったみたいですが、やはり、
そうい訓練を重ねることによって、防災への意識が高まっていくんじゃないかなと思っており
ます。かなり時間が、ないようですのでこの辺にしたいと思います。今日は本当にどうも、あ
りがとうございました。
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(場内拍手)
垂水
はい、どうもありがとうございました。今日、アンケートの方もとっておられるようですので、
また、そういうものを参考に引き続き、取り組んでいただければと思います。
最後に、時間がない中で恐縮なんですが、北九州の事例だけ簡単に報告します。どうぞ。はい、
どうぞ。これ、北九州芸術劇場が入居している複合施設、リバーウォーク北九州と言います。
一番右側の建物の、6階部分からが中劇場、そして、真ん中の黒い部分に、小劇場、赤い部分
に、大ホールというように、建物が異なる所の高所階に、分散配置、されているという、立地
条件です。はい、次どうぞ。これ断面図です。この、グリーンというか、黄色の部分が、劇場
であると。いうことで、劇場部分へのアクセスはエレベーター、もしくはエスカレーター。オ
ープン階段は一切ございません。建物を上から下までいく非常階段もすべて、通常は電子錠で
ロックされております。自分たちでは開けることができないという構造です。これは、結局そ
こにはいっている通り、NHKや朝日新聞社がはいっていることもあり、テロですね、まず。
そういうことも想定した建物で、その中に劇場があるんだと。はい、次どうぞ。これ大ホール
です。1301名。最大。天井の部分が、先ほど申し上げた特定天井であります。はい、次ど
うぞ。はい、これが中劇場。ちょっと天井が暗くて見えないんですが、ここも、高さ6mを超
え、面積が200メートル、㎡を超えていますので、こちらも特定天井ではあります。はい、
どうぞ。小劇場です。こちらは今、移動観覧席ですね、ロールバックチェアをだしている状況。
これに椅子を置いていくと、最大216席、おけるような所です。こちらは、特定天井ではご
ざいません。
まず高所階劇場の課題ということで、ちょっと、実は中劇場は6階入場口で、それでエスカレ
ーターで上に行って、7階8階部分に客席があります。劇場の中、客席の中、とか周辺にいろ
いろなものが吊ってありますのでね、それが落下する場合もあるということを考えて、じゃあ
一次避難、する場所。あるかっていったら、ないんですね。狭いんです。ホワイエが。ホワイ
エが一次避難の場所にならないということです。はい、どうぞ。えー、これはですね。あのー、
非常階段の構造とアレです。まず客席から中劇場、正面の、えー、ここの部分が非常階段に通
じるドアなんですが、その手前に実は階段が段差があるということ。これは避難をする上で、
えー、非常に困ることなんですが、7階からたとえば、定員700名を。すぐにおろすことが、
実際問題可能かどうかということです。わたくしどもの観客の平均年齢が、実は結構高いです。
で、車いすの方であるとか、結構多いものですから、そういう歩くのに対してちょっと弱い方
たちをどうするのかという問題もまた、別にあります。はい、どうぞ。
先程らい話題になった、特定天井。客席吊天井の、これ北九州芸術劇場、中劇場です。現在、
新しくなった耐震基準の、には沿ってはいませんが、まず、一番その先程あった壁とのクリア
ランスがきっちりとられています。こうやって、クリップできちんと野縁クリップがおさえて
あるということと、吊ボルトの固定は、溶接ではなくてポイントポイントはきちんとボルトで
なっております。この、石膏ボードですね。石膏ボードの所はこういう野縁(のぶち)ってい
うので、ビスでもんであるんです。石膏ボードは、本体にかっちりくっついていますが、その
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客席側の方が、化粧ボードになっていますが、そこが、接着材とチャンネルで固定してはあり
ますが、おちないという保証がない。ただこれは、当時の、建物の高所階にあるということで、
日本設計という大手の設計によるんですが、構造舎内の構造計算ではかなり、厳密にやったと
伺っておりますので。
はい、これはいま、今日のメインなんですが、実はいわきアリオスにスタッフ、わたくしも含
めて4名、お伺いしました。その時に現地調査で確認して、見えたことがいくつかあるという
ことと、時系列に確認したこと。そしていま、これからいまやっていくこと、今後の目標方針
という風にわけてあります。
その中で特に見えたことが3つ、問題、ここでは定義します。防火防災研究、いわゆる消防計
画がどうであるのかということ。あと、災害発生時の対応。特に、もうひとつ、あえてここで
は貸館の対応はどうなのか、ということであります。防火防災計画はシフト勤務のため、防火
防災計画が定めている指揮権が確実に機能はしません、残念ながら。消防計画にはMAXの人
員配置で提出してありますが、北九州芸術劇場の場合は、例えば年末年始だけが条例上、休館
日です。ということは、管理責任者が常にいるとは限りませんので、それを代行する人間が必
要になるということです。あと、災害発生時。災害時に、電源通信手段を確保できているって
保証はないわけです。これはみえました。もうひとつは災害時のリスクを回避し、二次的な被
害をおさえるための、告知や避難誘導など、具体的な対策が不十分だなと。ここは危機管理マ
ニュアルにつうじるところでもありますけども、貸館の、3つめ。貸館。災害発生時の催しを
中断中止するための判断基準をもっていません。残念ながら、まだ。例えば、大規模、発生地
震の、際の避難所の指示、一時避難の安全性か確保されていないということですね、先程の会
館のとかから言えば。はい、じゃあ現状の取り組みなんですが、防火防災委員会で、方でいま、
災害時の初期対応を整理しながら危機管理マニュアルの改善に努めております。じゃあ、防災
プロジェクト、というのは、これは組織を横断した各セクションから、防災担当を、1名選ん
で、ここ2年間活動してきたんです。これは、いわきアリオスの活動にならいました。その中
で、危機管理マニュアル、防災マニュアルをですね、体感するための、実践的な訓練のきっか
けや、実施は、運用、こちらの方で行う。ということです。災害発生時、これは何処もみなさ
ん、名前こそ違う、と思いますが、危機管理リーダーの配置ですよね。その時のいる中の責任
者はこの人であると明確にするっていうこと、をやってくと。で、災害その非常事態に対応す
るための責任体制の構築にどうするのかってことをいま、あらいだし、もう1回し直している
ところです。今回東日本大震災を経験したことにより、かなり、イメージでしかわかっていな
かったことが、具体的に、こういう対策をとらなければいけないなぁというポイントが見えて
きたということです。あと、貸館の場合、先程、水戸芸術館は、自主事業だけであると。で、
フロントスタッフは全部いるよって。うちの場合、貸館の場合は1名から2名なんですね。あ
くまでも主催者の、が主体的に、避難、避難誘導は行っていただく。でも、そのためのサポー
トは常にする。非常階段はこっちですとか、という現地で、公演前に、開場前に必ず説明する
ようにはしておりますが、そこも内容等をもう一回整備、整備しなければいけないだろうなと。
あと、緊急体制の構築てのが。対策本部。いわきは見事でしたね。もう、本部の場所、もう明
確にしてあり、そのための通信手段等もすべて確保してありました。北九州ももう一回ここら
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辺をやらなければならないだろうなぁと。ほんとにいま、継続中なんですね、わたしども。も
う12年なにやってたんだろうというお叱りをうけることもあるんですけども、防災は本当に
難しいです。今後の目標方針は、劇場の立地条件、運用形態を反映した、災害時の緊急体制を
構築する事。危機管理マニュアルは、あくまでも、なにか起きた時に対策を仰ぐためのもので
はありません。あれはあくまでも、防災や危機を、学ぶための教材であるという、とらえたい
と思います。で、その内容が、各スタッフに、はいっていること。で、なにか起きた時に、そ
れをもベースに、判断できるっていうことが理想だろうと。目標とするところです。やはり、
あと、災害発生時やっぱり迅速、適切な判断による組織対応、それは目指さなきゃいけません
よね。なかなか難しいんですが。あと、危機管理マニュアルの想定を超える事態も、職員が自
分の目で確認、判断最善を尽くすこと。いうふうになることが目標です。あと、貸館はですね。
安全、安心な劇場、として、やっぱり、お客様に認めていただきたい。そのためには、災害に
強い施設と、ならなければ、なりたいなと。目標です。で、特に、ここで、ああいうふうな、
立地条件にありますので、二次的被害を、未然におさえる。もしくは、催物中心に判断できる
体制?施設の提携の仕方、あり方を、もう一度見つめていきたいなと思っています。出来てい
ることというよりも、いま、実際にとり、取り組んでいること、これから、目標とするところ
を、ちょっと、ご紹介させていただきました。
はい、以上なんですが、実は予定時間を超えちゃったんですが、最後に、質疑応答、もしあれ
ば、ご質問、また参加者同士、パネリスト同士でもいいですが、パネラーの方でもいいですが、
もしご質問があれば、承りたいと思います。なにかご質問ございませんか。
よろしいですか?では、最後に各パネリストの方々、先程もうしあげたこととも含めて、一言、
お話しいただいて、おわりたいと思いますので、篠田さんの方から順に言っていただけますか?
はい。
篠田
えー、特にないんですけれども、そういうのでも大丈夫ですか?
水垂
はい。大丈夫です。
篠田
はい、では。
中村
特にはないんですが、とりあえず、うちも、防災訓練をずっとやってきておりますけども、や
めていく人はいってくる人、そのバランス、その経験を同じように、意識を持続させていくっ
ていうことの難しさってのを、あらためてずっと痛感しています。うちのホールは、8月の頭
に一課で、やります。今年度(こんねんど)の2月に、下期(しもき)の防災訓練を、やる予
定でいます。はい、そんな感じです。
浅野
はい、今日はありがとうございました。いろいろなことが、自身勉強になりました。我々も今
年度に、避難訓練コンサートを予定しておりまして、また、多くの方にお越しいただきまして、
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ご意見等をいただければ、これが劇場、そして――?の芸術センターの、芸術文化センターの、
安全につながると思いますので、また、みなさんのご意見をたくさんいただければと思ってお
ります。今日はありがとうございました。
鷺坂
えと、私どもはあの、災害対応を、所管している部局としましてはですね、今日の、地震だけ
でなくって大雨であるとか、警報が出るいろんな事柄がございます。それぞれのその災害に対
応した、施設の在り方ってのがあるんではないかなという風に思ってます。幸い、先程も高瀬
さんがですね、継続してこういう訓練をしていって、課題を洗い出していくと、ということで
すので、我々も一緒になりながらですね、それから、どう解決していくかという事を、豊橋の
この劇場についてはやっていきたいなぁ思っていますので、またいろいろな点で、ご意見をい
ただければと、そういう風に思っております。よろしくお願いします。今日はありがとうござ
いました。
高瀬
お疲れ様でした。この劇場で、こういう訓練コンサート等(とう)をやって、パネリストの皆
さんたちに集まっていただき、こういう話し合いをやることが、ものすごく、僕も勉強になり
ましたし、近くの劇場の皆さん、いらっしゃってますが、その方たちも非常に勉強になったな
ぁと思ってます。愛知芸術劇場と共にですね、この愛知県下で、こういう防災についての、意
識を高めるスタッフを、一人でも多く、育てていくのが僕たちの役目じゃないかなぁと、まぁ、
年寄りですから、僕はもう。こういう役目をもって、意識をもって、これから仕事していきた
いなぁと、思っております。あと、劇場スタッフがかなり多くいらっしゃってますが、ダメ出
しをください。いろんな意見を聞いて、これからの訓練あるいは防災対策に、備えたいと思っ
ております。本日はどうもありがとうございました。
垂水
最後に、いたらない進行で、時間オーバーしてしまったことを、お詫び申し上げます。本日は、
長時間どうもありがとうございました。これで、終わります。
(場内拍手)
終演
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