PowerPoint プレゼンテーション

機能構造学分野(組織)では「重層扁平上皮」を研究しています
口腔粘膜上皮は重層扁平上皮でできています。口腔内は細菌をはじめとした種々
の刺激物質・因子にさらされていますが、口腔粘膜上皮はこれらが生体内に侵入す
ることを防ぐ物理的バリア(特にタイト結合)として働いています。さらに、口腔粘膜
上皮はディフェンシンなどの抗菌物質を分泌し、化学的バリアとしても働いています。
これらのバリアの破綻は歯周病とも関連します。我々は、三次元培養系で重層扁平
上皮を再構成(図2)し、研究を進めています。現在は、重層扁平上皮層のバリア機
能、重層扁平上皮内での癌細胞の挙動、角化・非角化の制御、重層扁平上皮の層
分化の制御などの解析に取り組んでいます。
図1.ヒト表皮由来HaCaT細胞においてJNKシグナルを阻害することで、基底層細
胞のマーカーであるケラチン5が消失し、顆粒層細胞で形成されるタイト結合の形成
が誘導できることがわかりました。
図2.ブタ口腔粘膜より単離したケラチノサイト(角化細胞)を使って角化重層扁平
上皮を再現することができました。最近、完全合成培地で角化重層扁平上皮を再現
できるようになり、現在は不死化ヒト正常ケラチノサイトの樹立に取り組んでいます。
【メンバー】
教授
稲井 哲一朗
助教
北河 憲雄
大学院生 瀬尾 皓(3年)
大学院生 中山 英明(2年)
大学院生 二階堂 美咲(1年)
大学院生 尾崎 茜(1年)
control
SP600125
HE
K4 + K5
図1.ヒト表皮由来HaCaT細胞をJNK阻害剤であ
るSP600125で処理すると、ケラチン5(K5, 緑)の
蛋白発現が消失し、タイト結合膜蛋白occludin
(赤)が細胞接着部位に濃縮する。 HaCaT細胞
はJNK阻害で細胞分化(タイト結合形成)を誘導
できることがわかった。
図2.ブタ歯槽粘膜由来のケラチノサイト
をフィルター上で培養し、角化重層扁平上
皮を再構成することができた。ケラチン4
(K4, 緑)が上層部で発現しており、層分
化が確認できた。