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目的地:アジア太平洋 - Spire Research and Consulting

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目的地:アジア太平洋
21 世紀の観光ハブ
© 2014 Spire Research and Consulting Pte Ltd
目的地はアジア太平洋 – 成長中の観光ハブ
現在、世界トップ 10 の観光地のうち 5 つがアジア太平洋地域の都市となっ
ている 1 。しかしこの地域が観光資源をフルに活用しているとは言いがたいこ
とは周知の事実だ。だからこそ十分な成長の余地がある。アジアの観光産業
はこれからどのように進展していくのであろうか?
観光部門はアジア太平洋地域で上向き
2013 年に行われた調査によれば、この年は国際的な観光の当たり年で、アジア太平
洋の観光地にとっては最高の年であった。アジアの成長率は 6%で、海外旅行者は
1400 万人増えて 2 億 4800 万人となった。東南アジアは(アジア太平洋の一部とし
て)、10%の増大を記録2。中国への訪問者は 2013 年に 5569 万人3を記録し、過去
最大となった。
ア ジア の 観光 業は 65 00 万 人
の 雇用 を 生み 出し 、 12 件 に 1
件 の仕 事 をサ ポー ト して い
る 。こ れ は金 融サ ー ビス な ど
の 分野 を 上回 るも の であ る 。
言うまでもなく、このような成長によって新た
な雇用が 100 万件創出され、GDP への寄与は 2
兆米ドルとなった。これは地域の国内総生産
(GDP)のおおよそ 9%に相当する。現在、観光
部門は約 6500 万人の雇用を生み出し、12 件に 1 件の仕事をサポートしていること
になり、金融サービスなどの分野を上回っている4。
観光がもたらすもの
さらに多くのインバウンド観光客が休暇中にアジア太平洋の様々な町を探索する中
で、多くの利益が生み出されている。
経済成長 5
観光分野の当該地域の GDP への寄与は、2024 年まで年率 5.4%増えると予測さ
れている。おもてなしや航空、運輸サービス、飲食などの分野で雇用が増える。
2014 年までには、観光業で 7900 万件の雇用が生み出されると思われる。
「アジア太平洋の都市が世界の旅行先トップ 10 を独占」 Northstar Travel Media(2014 年 7 月 14 日)
「2013 年に 5200 万人 ― 国際観光は予測を超える」 UNWTO World Tourism Organization(2014 年 1 月 20 日)
3「2013 年に最大の海外旅行者を迎えたアジア/太平洋諸国」 Statista 2014 年)
4「アジアの観光産業が『人材危機を迎える』」 Agence France-Presse(14 年 10 月 29 日)
5「経済インパクト 2014 アジア太平洋」 World Travel and Tourism Council(2014 年 12 月 15 日に情報取得)
1
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社会的な利益
観光産業が成熟するにつれて、ソーシャルメディアのプラットフォームが伸長
している。オンラインフォーラムや旅ブログを含め、これらのオンラインプラ
ットフォームの大部分は、企業が幅広い層に情報を拡散するのに利用されてい
る。ソーシャルメディアがアジア地域の人々の旅に対する認識を高めているの
は間違いないだろう。これが 1 つの要因となって、東南アジアにおいて格安航
空を利用した旅行が増えているのだ6。
環境への配慮
7
「持続可能な観光」が当該分野の鍵となる成長要因として上昇中。Asia Pacific
Economic Cooperation(APEC)諸国は、観光業における持続可能な未来に向けて
力を合わせている。そして APEC の「Tourism Working Group」が地域の観光業
の成長促進を先導している。
機会はどこに?
休暇旅行先としてのアジア太平洋の人気がますます高まる中、徐々に観光分野の世
界的なリーダーとして頭角を現してきている8。
今後どのような発展が見られるのだろう?
新たな旅行者カテゴリーの登場 9
旅行者の嗜好には明らかなシフトが起きつつあり、需要を最大限満たすには、
それぞれに特化したアプローチが必要である。レズビアンやゲイ、LGBT の旅
行者は言うまでもなく、女性のビジネス旅行者、小規模なビジネス旅行者、友
人や家族の訪問、高齢者といった様々なカテゴリーが生まれている。このよう
「バタンガス州の観光業におけるソーシャルメディアの効果」 Acedemia(2014 年 6 月)
「島国の成長にとって重要な持続可能な観光」 SciDev、Joel Adriano および Prime Sarmiento( 2014 年 10 月 8 日)
8「アジア太平洋の観光の未来を形づくる」 Amadeus(2013 年 1 月)
9 同上
6
7
3 ページ
に細分化された需要を意識することで、サービス提供者はさらに的を絞った
商品を生み出す機会を得ることができる。
地域のテクノロジー進化 10
オンライン取引やモバイル機器が、旅行の予約を行うための主要媒体となって
きている。タイやインドネシアのような国では、標準だった固定インターネッ
トの段階から進化し、現在ではモバイル機器を中心にインターネットが使用さ
れている。したがって代理店や旅行サービスの提供者はモバイルのソリューシ
ョンをサポートしていくことが肝要であり、それを怠れば時代に乗り遅れる。
また、ソーシャルメディアは情報取得や意思決定のための強力なメディアとな
っている。61%のインドネシア人が、旅行中に友人や窓口からアドバイスを受
けるための手段としてソーシャルメディアを使用していると回答している。
クルーズコントロール 11
18 ~ 30 歳 の消 費 者が 、休 暇
中 のク ル ージ ング に 大き な 関
心 を示 し てい る
多くの旅行者がクルージングに強い興味を
示しており、特に 18~30 歳のグループが
最も高い関心を持っている。これは旅行代
理店にとっては市場機会であるが、インフラ不足がクルーズ業界の足かせとな
っている。当該地域の多くのターミナルには、大型船を係留する能力がない。
格安航空の伸長 12
世界的に中流層が急速に拡大しており、2030 年までには 2100 万人に達すると
予測されている。この拡大の大部分を担うのがインドネシアやインド、中国。
2013 年の調査によれば 47%の観光旅行者が、過去 12 か月間に格安航空会社
の国際線を少なくとも 1 回利用していた。
「Amadeus 委託の調査により、アジア太平洋観光の未来を形成する 4 つの大きな要素が判明」 Amadeus(2013 年 1 月
29 日)
11 同上
12 同上
10
4 ページ
将来的な課題
アジア太平洋地域の観光産業には多くのビジネスチャンスがあるように思えるが、
この成長は持続的なものなのだろうか?
アジア太平洋域内のアクセスの改善 13
アジア諸国の政府は貿易・投資の自由化協定を通じた経済統合に力を入れてお
り、これらの国同士の行き来も増えていくであろう。この自由化の度合いは、
二国間の自由貿易協定(FTA)の増加に強く表れている。2000 年には 53 件の
みだったが、2012 年 9 月時点では 250 件の FTA が幅広く進展しており、さら
なる自由化の可能性を示している。アジア諸国政府は、AEC や RCEP、TPP14な
どの多国間協定により貿易障壁を取り払っている。貿易協定による対応が期待
される障壁の 1 つが、ビザ要件の緩和。中国やインドの旅行者は域内のほとん
どの国についてビザが必要なため、特に中国やインドの需要を取り込む上で業
界にとって大きな壁となっている。
インフラの不足 15
インフラ状況の改善が求められており、特にクルーズ業界では必要性が高い。
クルーズ船の母港は整備されてきているが、大型船や新型の船舶が寄港できる
ターミナルは不足している。さらに、中国やインドからの潜在的なアウトバウ
ンド客に対応するため、航空便の増大や空港インフラの強化、ビザ要件の緩和
などが求められている。
顧客満足度の向上 16
目標とする顧客層へのアピールやオンラインの顧客満足度向上のためのテクノ
ロジーの活用は、競争に勝つための重要な成功要素となっている。旅行者は予
約にインターネットを使うことが多いため、サービス提供者はオンラインでの
存在感が決定的に重要であることを認識する必要がある。また、休暇中の行き
先を決める際にソーシャルメディア(しばしばモバイル機器経由で)を読んで
13
14
15
16
同上
ASEAN 経済共同体、東アジア地域包括的経済連携、環太平洋経済連携協定
同上
同上
5 ページ
お薦めスポットを調べる。従来の情報源よりもオンラインコミュニティからの
支持を求める旅行者が増える中、サービス提供者は、ソーシャルメディアプラ
ットフォームやオンラインフォーラムでのランキングを上げなければばらない
という圧力に直面している。
人的資源の危機 17
観光分野は好景気に沸いているが、ホテルや空港などのインフラにおける人的
資源への投資は遅れているようである。2014 年のある報告によれば、今後 15
~20 年間に 800 万件の仕事で人材不足が起きると予測されている。
次のトレンド
ワンストップの手法はもはや実際的とは言えず、多様な旅行者の需要に応えること
が旅行サービス提供者の大きな課題となっている。将来的なトレンドのいくつかを
以下に示す。
ミレニアル世代への特化
この分野でのミレニアル世代の影響の増大は明白である。この世代は主に 18
~30 歳のカテゴリーに属し、他の世代よりも民族的に多様である18。そして若
く、世界を探求する情熱を持っている。ミレニアル世代の特徴としては、リゾ
ートよりも都市部を好み、自分の好きなことを求めて旅し、統一されたファッ
ションに身を包んだ友人と共に行動することなどが挙げられる19。
高齢者
一般的な通念とは違い、高齢者もまた旅を好む。この層は旅に情熱を持ってい
るだけでなく、要求も高い20。顧客サービスは、旅行体験の中の重要な要素で
ある。
高級志向
17
18
20
同上
「2014 年以降に注視すべき 6 つの旅行トレンド」 Travelmarketreport.com、Robin Amster(2013 年 11 月 14 日)
同上
6 ページ
富裕層が拡大を続ける中、裕福な米国の家庭も増え続けており、2012 年の
1050 万軒から 2020 年には 2050 万軒まで増えると予測されている。これによ
り、休暇の高級志向も高まっている。この分野では米国や日本、ヨーロッパが
主流となるが、中国やインド、中東からも将来的に大きな需要が見込まれる。
他方で高級志向の旅行者はホテルのレビューを書くことに熱心で、2012~
2014 年には世界の全ホテルレビューのうち 52%を占めている。これにより、
目標とする関心分野がまた 1 つ加わったことになる21。
前へ
アジア太平洋地域の観光業は早いペースで成長を続けており、それによって経済や
社会、環境面に恩恵がもたらされている。新たな旅行部門の現出や技術の進歩、改
善の余地を残すクルージング産業の高需要に加え、低予算旅行者にアジアへの道を
開いた低価格航空の驚異的な伸長により、投資家には潤沢な機会が提供されている。
しかし同時に課題も残る。インフラ整備は遅れ、多くの旅行サービス提供者は部門
ごとの差別化を十分に行えていない。例えばミレニアル世代や高齢者、高級志向の
旅行者では、ニーズや希望がかなり異なる。そしてほとんどの業者は、この地域で
のモバイルインターネット利用の驚異的な伸長を完全には活用できていない。
さらに前進を続ける中、アジアの観光業は成熟段階に入っていき、より差別化・細
分化されたサービスがオンラインでもオフラインでも現れ始めると思われる。大き
な観光都市の様々な部署が、多様な旅行者のグループにますます特化していくこと
が考えられる。また国の観光推進委員会によって、幅広いインバウンド客や国内の
旅行者の需要に応える方向へと一層の努力がなされるであろう。
最後に。旅行クラブや旅行会社を見限るべきではないだろう。人間的な接触という
ものはインターネットに完全にとって代わられることはないのだから。
「アジア太平洋の高級旅行者とソーシャルメディア 2012~14 年の高級旅行のレビューの 53%を占める」 4Hoteliers
(2014 年 6 月 18 日)
21
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