韓国知的財産ニュース 2004 年 5 月後期

韓国知的財産ニュース 2004 年 5 月後期
(No.31)
発行年月日:2004 年 6 月 7 日
発行:JETRO ソウルセンター 知的財産権事務所
★★★目次★★★
法律、制度関連
今号はありません。
関係機関の動き
2−1
科学技術部改編、特許庁関連の変化はなし(5 月 24 日)
2−2
特許庁、営業秘密保護ガイドブックの発刊(5 月 27 日)
模倣品関連
今号はありません。
知的財産権紛争
4−1
P2P でミュージックビデオ無断コピー、流通したネティズン約 20 人刑事告訴(5
月 18 日)
4−2
バグズが新たな訴訟を起こされる(5 月 20 日)
4−3 「プレイステーション・PS はソニーの所有」(5 月 25 日)
4−4
日本製 PS2 ゲームが韓国製アーケードゲームに化ける(5 月 27 日)
4−5
大企業対中小企業の特許訴訟(5 月 31 日)
その他一般
5−1
IT 先端技術流出によって国富が漏れる(5 月 17 日)
イベント
6−1
韓国産業財産権法学会、国際学術セミナーを開催(5 月 25 日)
6−2 特許庁、金融部門の BM 特許の説明会を開催(5 月 25 日)
6−3
全国大学発明サークル連合会「第 1 回作品展」開催(5 月 31 日)
6−4
特許庁、国際特許出願制度に対する説明会を開催(5 月 31 日)
6−5
韓国発明振興会、特許技術評価セミナーの開催(5 月 31 日)
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1
法律、制度関連
今号はありません。
関係機関の動き
2−1
科学技術部改編、特許庁関連の変化はなし(5 月 24 日)
「国家革新体制成立のための科学技術部改編方案」に対する政府革新地方分権委員会が
2004 年 5 月 20 日に開催され、科学技術部長官を副総理に格上げすることや国家全体の R&D
事業に対する予算の配分・調整権を付与し、総合調整・企画・評価活動を強化することな
どを骨子とする科学技術部改編案が確定された。
改編の主要内容は「科学技術関連の人力・産業・地域革新政策等に対する有機的調整体
制を構築する」、
「個別部署が推進している国家 R&D 事業を総合的に調整・企画・評価する」、
「科学技術部人材の革新及び拡散体制を構築するために科学技術部の人材管理体系を改善
する」等である。
科学技術部は今回の改編により、今まで様々な部署で重複投資されていた国家 R&D 事業
が効率よく機能できると期待し、韓国の科学技術競争力や生産力が向上すると望んでいる。
なお、科学技術部は長官を副総理に格上げし、国家科学技術委員会の副委員長を兼職す
ることにより、科学技術部の政府関係機関においての地位や調整力が高まることを期待し
ている。
科学技術部は今年の 3 月に、改編に関する公聴会を開き、96 年から横ばいである国民所
得 1 万ドル時代を乗り越えるためには科学技術革新が必要であるとし、国家科学技術政策
を総合的に管理することを提案していた。本提案の中では、特許庁も含めた知的財産に関
する業務を科学技術部の所管にすることも議題にされていたが、今回の改編には反映され
ていない。
2−2
特許庁、営業秘密保護ガイドブックの発刊(5 月 27 日)
最近、国内企業の核心技術が流出され、国富損失が深刻であるという指摘がなされてい
る中、 特許庁は営業秘密保護制度の内容及び具体的な保護要領を収録した『営業秘密保護
ガイドブック』とその縮約版である『営業秘密、自ら保護しましょう』という2種類の解
説書を発刊して、約 5000 の企業、あらゆる大学、公共研究機関、政府機関、地方自治体等、
計 7,500 部を配布した。
主要内容は、営業秘密流出行為に対する「不当利得環収制度」導入、営業秘密侵害主体
の拡大、営業秘密保護範囲の拡大、営業秘密侵害犯に対する親告罪の廃止、営業秘密侵害
の未収・予備・陰謀罪の新設、「企業型」営業秘密侵害犯に対する処罰規定の新設である。
模倣品関連
今号はありません。
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2
知的財産権紛争
4−1
P2P でミュージックビデオ無断コピー、流通したネティズン約 20 人刑事告訴(電
子新聞 5 月 18 日)
法律事務所ドンニョクは、個人間のファイル共有サービス「P2P」で、歌手のペクジヨ
ンのミュージックビデオ「成人向けコンサート」の映像物などを無断でコピー流通させた
ネティズン 20 人余に対して著作権法違反の容疑で刑事告訴する方針だと今月 17 日明らか
にした。
ドンニョクは、これと同時にハム・ソウォンやディバのメンバー、ビッキーのヌード集、
映画「新説国」「キルビル 2」「呪怨 2」などを無料コピー・配布したネティズンに対しても
内容証明を送るなど、対応手続きを踏んでいるとした。
趙・ミョンシク弁護士は「ネティズンは、P2P サービスで無料で配布する行為やダウンロ
ードする行為が著作権侵害に該当するということを知らなかった場合も多い」とし、
「現在、
3500 人余りの著作権法違反事実を確認し、告訴する前に内容証明を通して合意手続きを進
行中」だと明らかにした。
現在、ドンニョクは、
「告訴しない」という条件で小・中・高校生に 10 万ウォン、大学
生に 30 万ウォン、社会人には 50 万などの合意金の基準をネティズンに告知する状態にあ
る。
今回の調査はサイト運営者ではなく、一般使用者であるネティズンを対象に法的対応を
するもので、場合によってはネティズンの集団反発が予想される。
これに先立ち、韓国音盤産業協会(会長 朴ギョンチュン)も去年 12 月、P2P サービス
の「ソリバダ」利用者 50 人を著作権法違反の容疑で告訴し訴訟が進行中である。
<鄭・ジンヨン記者>
4−2
バグズが新たな訴訟を起こされる(5 月 20 日)
5月 18 日、音楽著作権信託管理団体である韓国音楽著作権協会(KOMCA)は、バグズを
相手取り、ソウル中央地方法院に著作権侵害禁止仮処分申請を出したことを明らかにした。
バグズに対して KOMCA が訴訟を起こしたのは初めてである。
バグズは、2002 年 8 月、KOMCA と音楽著作物使用契約をし、去年 5 月までは正常に著作
権料を支払ってきた。しかし、去年 10 月、売り上げの 5%または加入者数に 125 ウォンを
かけた金額の内、多い方の金額を支払う内容に著作権料徴収規定が改定されて以降再契約
をしていない。
KOMCA は、バグズが提供する 21 万曲余りの中で、90%を中止させることができるが、訴状
受付のため、まず 50 曲に対してのみ仮処分申請をし、全体の曲へ適用範囲を拡大していく
予定である。
一方、韓国音源制作者協会は、バグズに対して音盤コピー禁止仮処分違反に対する強制
履行金1億 2900 万ウォンを執行することになったと 19 日に明らかにした。
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ソウル地方法院民事部は、去年 10 月、韓国音源制作者協会がバグズを相手取り音盤コピ
ー禁止仮処分処置を取った 5,084 曲の信託音源に対し「音源をコンピューター圧縮ファイ
ルの状態でコピーしてサービスしてはならず、これに違反する時には違反した日以降、1 日
当たり 300 万ウォンを支払う」という判決を下している。
4−3 「プレイステーション・PS はソニーの所有」(電子新聞 5 月 25 日)
ソニーの世界的なゲーム機「プレイステーション」を意味する「プルス」
(ハングル表記)
や「PS」はソニーの固有商標であるという判決が下った。
ソニーコンピュータエンターテイメントコリア(SCEK)は先月、プレイステーション 2 ル
ームの事業主である「プルスルームドットコム」が当社を相手取って起こした「プルスル
ーム・PS ルーム名称の使用禁止仮処分申請」の訴訟で、ソウル地方法院が棄却判決を下した
と 24 日に明らかにした。
法院は、決定文の中で、
「プルス 2」
、「PS2」という略称で呼ばれ、「プルス」という名前
を含むインターネット同好会が開設されるなど、PS2 ゲーム機のユーザーの間でも「プルス」、
「PS」という略称で広く使用されているので、プルスルームドットコムが商標権を出願し
た 2002 年 10 月以前に既に、この用語は SCEK の営業を表示する商標として広く認識され、
周知性を獲得した」と述べた。
4−4
<李・ジンホ記者>
日本製 PS2 ゲームが韓国製アーケードゲームに化ける(電子新聞 5 月 27 日)
日本製の「プレイステーション(PS)」用ゲームが、韓国製のアーケードゲームに化け、
映像物等級委員会(映等委)の等級審議まで通ったことが分かり衝撃を与えている。
26 日、関連業界によると、日本のコナミコンピュータエンターテイメント東京が開発し
た PS 用ゲーム「ワールドサッカーウイニングイレブン 7 インターナショナル」が、ゲーム
会社 G 社(釜山所在)によって「ワールドサッカーウイニング 7」という「コンソール+ア
ーケード」型の事業所用ゲームに仕立てられ、今年 3 月に映等委から「全体利用可」の等
級を受けたことが明らかになった。
これに先立ちコナミは PS2 用「ウイニングイレブン 7」を映等委の審議に出し、昨年 10
月 28 日に既に「全体利用可」の等級を受けた状態だった。等級分類まで受ける過程で G 社
側は、コナミから同意を求めず、映等委までも同意の事実を確認しないで審議したことで、
不法コピーを公式的に容認した格好となってしまった。
特に「ウイニングイレブン 7」が、全世界的にスポーツゲームの中で最も人気のある PS2
用タイトルだという点を踏まえると、今回の事件がまかり間違えば著作権と関連して、国
際的な嘲笑の種となる可能性も排除できない。既にコナミのホームページニュース欄には、
この事実が掲載され、日本現地では韓国のゲーム審議と流通体系について批難が殺到して
いる。
事態に火が付いたことで、コナミ側はコナミ株式会社とコナミコンピュータエンターテ
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イメント東京の名義で最近、ソウル行政法院に映等委の等級分類取り消しを求める書簡を
発送する一方、国際法律事務所の金&張を通じて民事・刑事上の対応にまで着手したものと
伝えられた。
ゲーム関連の著作権問題に精通したある弁護士は、
「著作権と関連した国際紛争が頻発す
る状況で、このような旧時代的なことが起こったのは到底理解できない」として、「映等委
という国家機関まで著作権保護の盾になれないという事実がより衝撃的だ」と語った。
一方、G 社側は事態が波及したことで、「ゲームの発売放棄もありうる」と一歩後退する
姿勢を見せた。同社の K 社長は、
「ウイニングイレブン 7 の人気をさらに高めることのでき
る善意の目的だったが、コナミ側が法的に対応するというならば、ゲームをマーケットに
出さない考え」と述べた。
4−5
<李・ジンホ記者>
大企業対中小企業の特許訴訟(5 月 31 日)
キムチ冷蔵庫ディムチェ(ブランド名でキムチの意味)の製造販売業者ウィニアマンド
がサムスン・LG 電子から特許訴訟を受けている。
ウィニアマンドは 3 年に渡る訴訟の結果「2 ルーム貯蔵庫の上部開閉方式」に対する特許
権を得て権利行使をしようとしたところ、LG は先月 20 日ソウル中央地方法院に「ウィニア
マンドがエアコンの風向きを調節する技術など LG 電子の特許 7 8 件を無断で使用した」と
し、特許権侵害禁止訴訟を提起した。また、ウィニアマンドとキムチ冷蔵庫特許関連のロ
イヤルティ交渉を行なったサムスン電子がウィニアマンドを相手にエアコン関連特許権訴
訟に出てもいる。
中小業者が大企業から特許料を受け取るのは大変なようである。
その他一般
5−1
IT 先端技術流出によって国富が漏れる(デジタルタイムズ 5 月 17 日)
今年に入って、韓国国内のコア先端技術流出を試みて摘発された件数がすでに去年全体
のレベルに達し、被害予防規模も去年レベルに近く、産業スパイの問題が深刻なレベルに
なっていると調査された。
今月 16 日、国家情報院によると、今年に入って産業スパイ摘発件数は去年 15 日現在 6
件(未公開事件 1 件を含む)で、去年全体の件数(6 件)と並び、1998 年から産業スパイ
摘発が最も多かった 2001 年(10 件)の 60%に達している状態である。
また、技術流失を事前に防げない国家的損失にまで至る「被害予防規模」もやはり今年
に入って 12 兆 7000 億ウォンに達し、史上最大だった去年の 13 兆 9000 億ウォンに近い。
このような先端技術流出事例は、韓国国内企業が世界的競争力を確保している半導体と
TFT LCD、携帯電話など先端コア産業で発生しており、韓国の未来競争力に致命的な悪影響
を及ぼす可能性がさらに深刻となっている。
1998 年から現在まで発生した、全 46 件(約 38 兆ウォン)の技術流出摘発事件中、情報
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通信 21 件、電気電子 15 件、精密機械 7 件、バイオ 2 件、精密化学が 1 件の順で、情報通
信と電気電子部門が 78.3%を占める。情報通信及び電気電子産業が韓国全体輸出において
占める割合が 30%レベルである点を懸案すると、IT 分野の先端技術流出は、韓国の核心輸
出産業に致命的打撃を加える可能性があり、深刻な問題だというのが専門家の分析である。
また、技術を海外に持っていく産業スパイが、関係者以外の人間から内部関係者に変っ
ているのも特徴的な現象である。全体の摘発事例中、前職役員が加担する割合が 55%と最
も多く、前職職員の場合も 33%に到達し、全体の 88%が事実上、内部関係者によるものだ
と明らかになった。反面、技術顧問と海外誘致科学者などの関係者以外の者によるものは
12%にとどまった。
国情院の関係者は「終身雇用者の概念がなくなり、先端技術流出が相次いでいる」とし、
「過去、一部の大企業が対象だった技術流出が、最近では中小技術ベンチャー企業に拡散
している」と分析した。
特に先端産業である半導体とディスプレイ、携帯電話、自動車などが世界的な競争力を
確保しながらも、このような技術流出が内部役員や退職した職員によって急増していると
付け加えた。
<呉・ドンヒ記者>
イベント
6−1
韓国産業財産権法学会、国際学術セミナーを開催(5 月 25 日)
韓国産業財産権法学会が主催する国際学術セミナーが「外国における知識財産権制度と
現況」というテーマで 5 月 21 日(金)韓国知識財産センター(KIPS)で開催された。
今回のセミナーで、日本の小野昌延弁護士は「特許と商標の並行輸入に対する判例の動
向」をテーマにして、ドイツのハインチュ・ゴダ博士は「ドイツの職務発明制度」をテー
マにして、英国のジャン・ブレク弁理士は「ヨーロッパ特許庁の特許出願事務」をテーマ
にして発表した。
6−2 特許庁、金融部門の BM 特許の説明会を開催(5 月 25 日)
特許庁は金融機関の特許対応能力の向上のために 5 月 21 日(金)にソウル銀行会館で金融
機関の担当者を対象に「金融部門の BM 特許の説明会」を全国銀行連合会と共同で開催した。
特許庁は今回の説明会で BM(Business Method:営業方法)特許と関連した、政策と審査
基準、出願及び登録の動向、紛争事例と紛争対応策などを紹介した。
6−3
全国大学発明サークル連合会「第 1 回作品展」開催(5 月 31 日)
全国大学発明クラブ連合会「第 1 回 作品展」
(主催:全国大学発明クラブ連合会、後援:
特許庁及び韓国発明振興会)が 5 月 28 日から 30 日までソウル市地下鉄 1 号線の市庁駅(地
下通路)で 開催され、首都圏の 6 大学と地方の 5 大学の学生達の発明品 40 点と特許技術事
業化の成功製品及び特許技術大展の受賞作 10 点が展示された。
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全国大学発明クラブ連合会は、大学発明活動の活性化を目的に特許庁、韓国発明振興会
の後援によって 2002 年に設立され、現在 38 個の発明クラブが、発明キャンプ、特許教育、
発明クラブ競進大会への参加をするなど、多様な活動を行っている団体である。
6−4
特許庁、国際特許出願制度に対する説明会を開催(5 月 31 日)
特許庁は海外特許出願を容易にするために国際的に広く利用されている国際特許出願制
度に対する説明会を 5 月 20 日(木)にソウルを始め、5 月 25 日と 5 月 28 日は釜山と光州で
各々開催した。
今回の説明会は特許協力条約(PCT; Patent Cooperation Treaty)の制度内容と長所を紹
介し、特に米国及びヨーロッパ地域で特許を得ようとする人々のために国際特許出願制度
と同地域の出願手順の連係要領を紹介し、国内企業及び個人発明家等の海外出願戦略を助
けることを目的とし、参加対象は企業体及び研究所の特許担当者、弁理士及び弁理士事務
所の職員、個人発明家である。
6−5
韓国発明振興会、特許技術評価セミナーの開催(5 月 31 日)
特許庁が主催し、韓国発明振興会が主管する学術セミナーが『評価技法及び事例発表』
という主題で、5 月 25 日に韓国知識財産センターにおいて開催された。
今回のセミナーは発明の評価支援事業の活性化を目的とし、特許技術評価機関の関係者
など、約 60 人が参加した。ソウル大学のユン・ミョンファン教授が「評価技法及び標準化」
という主題で特許技術評価の標準化のために実務的に検討されるべき事項に関して発表を
し、技術信用保証基金のジョン・ムンギョ博士は「価値評価の事例」を、韓国産業銀行の
ムン・デグンチーム長は「事業性評価の事例」を、韓国化学試験研究院のラ・ソンスン博
士は「技術性評価の事例」を各々紹介した。
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