車載ネットワーク用デバイス世界市場に関する調査

2014 年 1 月 21 日
車載ネットワーク用デバイス世界市場に関する調査結果 2013
-ECU の搭載個数増加、ISO26262 の影響により市場規模は拡大-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて車載ネットワーク用デバイスの世界市場について調査を実施した。
1.調査期間:2013 年 9 月~2013 年 12 月
2.調査対象:半導体メーカ、カーエレクトロニクスメーカ、自動車メーカ
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<車載ネットワーク用デバイスとは>
車載ネットワークとは、自動車の電子機器を制御するために搭載されている ECU(Electric Control Unit)がデー
タ通信をするために必要な技術で、伝送するデータの容量や制御機器に応じて通信プロトコル〔CAN(Controller
Area Network)や LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay など〕が使い分けられている。
本調査における車載ネットワーク用デバイスとは、車載ネットワーク向けに用いられるデバイスを指し、主にマイコン
(MCU)やトランシーバなどが含まれる。また、乗用車および車両重量 3.5t 以下の商用車に搭載されるデバイスを対象
とする。
【調査結果サマリー】
‹ 2013 年における車載ネットワーク用デバイスの世界市場は 2,192 億円になる見込み
2013 年における車載ネットワーク用デバイスの世界市場規模は、2,192 億円(メーカ出荷金額べース)に
なる見込みである。制御系別に内訳を見ると、パワートレイン 614 億円、シャーシ 247 億円、ボディ/コンフ
ォート 565 億円、パッシブセイフティ 310 億円、アクティブセイフティ 456 億円となる。
◆ 2020 年における車載ネットワーク用デバイスの世界市場は、ECU の搭載個数上昇、センサイン
ターフェイスのデジタル化により 4,648 億円に拡大すると予測
2020 年における車載ネットワーク用デバイスの世界市場規模は、4,648 億円(メーカ出荷金額ベース)に
なると予測する。2013 年から 2020 年までの年平均成長率(CAGR)は 11.3%となる。主な成長要因として
は、新興国市場における車両 1 台あたりのECUの搭載数量増加、各種センサデバイスのインターフェイ
スのデジタル出力化などが挙げられる。
◆ 最も市場拡大するのがパワートレイン向け車載ネットワーク用デバイスであり、2013 年の 614 億
円から、2020 年には 1,567 億円に達すると予測
パワートレイン向け車載ネットワーク用デバイスの世界市場は、2013 年の 614 億円から 2020 年は 1,567
億円に成長と予測する。車載ネットワーク市場全体でのパワートレイン向けが占める割合は、2013 年の
28.0%から 2020 年には 33.7%に上昇する。2013 年から 2020 年までの年平均成長率(CAGR)は 14.3%と
なり、車載ネットワーク市場全体の同年平均成長率 11.3%を上回る。
◆ 資料体裁
資料名:「車載用ネットワークの最新動向と将来展望 2013」
発刊日:2013 年 12 月 20 日
体 裁:A4 判 132 頁
定 価:130,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
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2014 年 1 月 21 日
【 調査結果の概要 】
1. 車載ネットワーク用デバイスの市場概況
2013 年における車載ネットワーク用デバイスの世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、2,192 億円に
なる見込みである。
制御系別内訳を見た場合、パワートレイン 614 億円、シャーシ 247 億円、ボディ/コンフォート 565 億円、
パッシブセイフティ 310 億円、アクティブセイフティ 456 億円となる。パワートレインやシャーシ、パッシブ/
アクティブセイフティは CAN(Controller Area Network)インターフェイスが中心であり、データ通信容量の
小さいボディ/コンフォートは LIN(Local Interconnect Network)インターフェイスが採用されている。電装
品の高機能化、システムの統合制御などから ECU 間で送受信されるデータ通信容量は年々増加してお
り、CAN よりも高速通信が実現出来る CAN FD(CAN with Flexible Data-Rate)が注目されている。
2. 今後の可能性と市場展望
2020 年における車載ネットワーク用デバイスの世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、4,648 億円
に達すると予測する。2013 年から 2020 年までの年平均成長率(CAGR)は 11.3%で、2014 年以降も高い
成長が見込める。
最も市場が成長するのがエンジンやトランスミッション制御などのパワートレイン向け車載ネットワーク用
デバイスである。2013 年の 614 億円から 2020 年には 1,567 億円に拡大すると予測し、2013 年から 2020
年までの年平均成長率は 14.3%となる。市場を牽引するのは、アイドルストップシステムや HV/EV(Hybrid
Vehicle/Electric Vehicle)向けの需要である。環境規制、燃費向上などの面からアイドルストップシステム、
HV/EV は拡大傾向にあり、ECU に使われる CAN インターフェイスのマイコン、トランシーバの需要は増加
する。また、HV/EV ではモータ制御用 ECU のデータ通信容量が大きく、現行の CAN インターフェイスで
は数本のワイヤハーネスが必要となる。このため、CAN よりもデータ通信容量の大きい CAN FD への置き
換えも期待される。さらに、エンジン制御 ECU に各センサからの検知信号が送信されているが、センサイ
ンターフェイスとして SENT(Single Edge Nibble Transmission)の採用が進む。すでに電子制御スロットル
バルブの開度を検出する角度センサで SENT インターフェイスを持つ製品が出荷されており、ISO26262
(自動車向け機能安全規格)に対応するために、今後は他のセンサにも採用が広がると考える。
次いで市場規模が大きいのがボディ/コンフォート向け車載ネットワーク用デバイスである。2020 年の市
場規模は 1,140 億円に拡大すると予測し、2013 年から 2020 年までの年平均成長率は 10.5%である。LIN
インターフェイスが中心で、オートエアコンやパワーウインド、メーターなどの制御で使われる。車両 1 台あ
たりの電装品は増加しており、今後も堅調に市場は推移する。また、ボディ系 ECU を集中制御する BCM
(Body Control Module)の搭載は欧州自動車メーカがこれまで先行していたが、今後は日系自動車メー
カでも採用が進む見込みである。
セイフティ向け車載ネットワーク用デバイスについては、ADAS(Advanced Driving Assistance System:
先進運転支援システム)を中心とするアクティブセイフティ向けの需要が拡大する。2014 年に車両、2016
年には歩行者向け AEB(Automatic Emergency Braking:緊急自動ブレーキ)のレーティング(評価)が
EuroNCAP(European New Car Assessment Programme)で始まり、ADAS 搭載車両は欧州や米国、日本
市場で増加する。このため、カメラやレーダーなどからの検知信号を ECU に送信するために CAN や
CAN FD の需要増が見込める。このため、2013 年の 456 億円から 2020 年は 1,009 億円に達すると予測
し、2013 年から 2020 年までの年平均成長率は 12.0%となる。
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2014 年 1 月 21 日
一方のパッシブセイフティ向けは、エアバッグ向けの需要が中心であり、2020 年の市場規模は 476 億
円と予測し、2013 年から 2020 年までの年平均成長率は 6.3%である。サイドやカーテンエアバッグの標準
化が進み、衝撃を検知するためのサテライトセンサの数が増えている。このため、サテライトセンサとエア
バッグ ECU 間のワイヤハーネスを減らすために、PSI5(Peripheral Sensor Interface 5)、DSI(Distributed
System Interface)によるネットワーク構築が必須となってきている。
※参考資料:車載 Ethernet 世界市場に関する調査結果 2013(2013 年 11 月 19 日発表)
http://www.yano.co.jp/press/press.php/001178
図表 1.車載ネットワーク用デバイスの制御系別世界市場規模予測
(単位:億円)
5,000
アクティブセイフティ
パッシブセイフティ
4,500
ボディ/コンフォート
シャーシ
4,000
パワートレイン
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
2013 年見込み
2020 年予測
(単位:億円、%)
2013 年見込み
金額
パワートレイン
2020 年予測
構成比
614
金額
28.0%
構成比
1,567
33.7%
シャーシ
247
11.3%
456
9.8%
ボディ/コンフォート
565
25.8%
1,140
24.5%
パッシブセイフティ
310
14.1%
476
10.2%
アクティブセイフティ
456
20.8%
1,009
21.7%
2,192
100.0%
4,648
100.0%
TTL
矢野経済研究所推計
注 1:メーカ出荷金額ベース
注 2:2013 年は見込み、2020 年は予測値
注 3:車載ネットワーク向けに用いられるデバイスで、主にマイコン(MCU)やトランシーバなどが含まれる。また、乗用車およ
び車両重量 3.5t 以下の商用車に搭載されるデバイスを対象とする
注 4:四捨五入のため、表内の比率が一部異なる
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