DX 昨今の XML 関連仕様として Web サービス、SOA の二つを取り上げ、標準化動向について解説する。また、前 号で紹介した XSLT2.0(および XQuery)を試すことのできるツールについても最新の情報をお伝えする。 Web サービス関連仕様 Web サービス関連仕様も、新しい規格が次々と開 メタデータを取り込む方法、WS-Addressing をサポー 発され競合するというフェーズは過ぎたようである。 トしていることを WS-Policy を使って示す方法を規定 従って、昨年後半以降発表された主な規格は以下のよ している。 うに数は少ないが、その主なものを以下に紹介する。 WS-I 仕様の国際規格化 W3C で勧告となった Web サービス関連規格 Web サービスの規格をさらにプロファイル化する ◇ W3C Web Services Policy(WS-Policy)1.5 ことによって相互運用性を高めるため WS-I で制定さ (2007 年 9 月) ◇ Web Services Policy Attachment (WS-PolicyAttachment)1.5(2007 年 9 月) Web サービスのポリシーを記述するためのモデ ルと文法を定めた規格(WS-Policy)、そして、その ポ リ シ ー を 対 象 と な る 主 体 や WSDL な ど に 結 び 付 けるための一般的なメカニズムを定めた規格(WSPolicyAttachment)。 ◇ Web Services Addressing 1.0 - Metadata (2007 年 9 月) れた以下の3つの仕様が ISO に持ち込まれ、国際規格 としての承認を得るべく審議が行われている(→の先 が ISO における規格番号)。 ◇ Basic-Profile1.2 → DIS 29361 ◇ Attachments Profile1.0 ( 第2版) → DIS 29362 ◇ Simple SOAP Binding Profile1.0 → DIS 29363 Web サービスも、SOAP や WSDL の使い方に違い が出てしまうと相互運用性がなくなるので、これらの プロファイルが国際規格化されることは望ましいこ とである。プロファイルは Web サービスで利用する Web サ ー ビ ス と メ ッ セ ー ジ を 特 定(address) す 規格の使い方を約束事として決めるものなので、WS- る た め の 機 構 を 定 め た WS-Addressing(2006 年 Addressing などの新規格への対応も必要となる。こ 5 月 W3C 勧 告 と な っ た ) の 関 連 仕 様 で あ り、WS- の た め、WS-I で は、Basic Profile1.1 に 続 く、Basic- Addressing で規定された抽象的なプロパティを WSDL Profile1.2、Basic-Profile2.0 のドラフト化も進行中であ を用いて記述する方法、エンドポイント参照に WSDL る(これらは ISO には送られていない)。 SOA 関連動向− OSOA 仕様 Web サービスも利用しつつ、標準化された手法 で呼び出すことのできるソフトウェアの部品を結合 してアプリケーションを構築しようというのが SOA (Service Oriented Architecture: サ ー ビ ス 指 向 ア ー が前提ではない)。 この SOA 関連の仕様策定などを行うため、2005 年にオラクル、IBM などが協力して設立した Open Service Oriented Architecture(OSOA)が、以下の標 キテクチャ)である。その標準化された手法として 準仕様の原案を作成した。2007 年 4 月に、標準仕様 SOAP メッセージを使った Web サービスを適用する とするための審議を OASIS が担当することがアナウ のが一つの実現手段となる(必ずしも Web サービス ンスされた。ただし、現在のところ、仕様文書の更新 34 DX30NEWS.indd 34 2008/03/11 15:19:31 などは OSOA の Web サイト上で行われているようで ある。以下に OSOA の開発した2つのグループ仕様 を説明する。 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA Web Services Binding V1.00 (2007 年 3 月 21 日) SCA(Service Component Architecture) ◇ SCA JMS Binding V1.00(2007 年 3 月 21 日) SCA(Service Component Architecture) は、 様 々 ◇ SCA EJB Session Bean Binding V1.00 な言語でサービスコンポーネントを作成するためのモ デルであり、また SOA に基くソリューションを構築 するためのサービスコンポーネントを組み合わせて使 用するためのモデルでもある。現在、バージョン 1.0 が開発されており、以下の仕様群から成る。 ◇ SCA Assembly Model V1.00(2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA Policy Framework V1.00 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA Transaction Policy Draft V1.00 (2007 年 12 月 3 日) ◇ SCA Java Common Annotations and APIs V1.00 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA Java Component Implementation V1.00 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA Spring Component Implementation V1.00 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA BPEL Client and Implementation V1.00 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA C++ Client and Implementation V1.00 (2007 年 3 月 21 日) ◇ SCA COBOL Client and Implementation V1.00 (2007 年 9 月 24 日) ◇ SCA C Client and Implementation V1.00 (2007 年 9 月 24 日) ◇ SCA JCA Binding V1.00(2007 年 11 月 5 日) SDO(Service Data Objects) SDO(Service Data Objects)は、データ形式に関 わりなくアプリケーション内でデータを操作できる ようにする統一的手段を提供する仕様であり、データ ベースやサービスなどでのデータ操作を行う手法を提 供する。バージョン 2.1 が開発されており、以下の仕 様群から成る。 ◇ SDO for Java Specification V2.1(2006 年 11 月) ◇ SDO for C++ Specification V2.1(2006 年 12 月) ◇ SDO for COBOL Specification V2.1 (2007 年 9 月) ◇ SDO for C Specification V2.1(2007 年 9 月) XQuery1.0 / XSLT2.0 のツール XQuery1.0 と XSLT2.0 は、 共 に 2007 年 1 月 に W3C 勧告となったが、気軽に試してみることのでき るツールはまだ少ない。現時点で主なものは以下のも のである。 SAXON XSLT2.0 のエディターの Michael Kay 氏の作成し AltovaXML こ れ に 対 し、XML Spy で 有 名 な オ ー ス ト リ ア の ALTOVA 社 は、schema-aware の XQuery1.0 / XSLT2.0 をサポートした AltovaXML 2008 をロイヤ リティ・フリーで提供している(http://www.altova. com/altovaxml.html)。 た SAXON は、XML Schema を認識した動作が行える 標準規格も使える製品の選択肢が増えないことに (schema-aware)バージョン(Saxon-SA)とそれを含 は普及しない。今後、他のベンダーから XQuery1.0 まないバージョン(Saxon-B)の2つが提供されてい / XSLT2.0 の実装ツールの提供が続くことを期待し る(http://www.saxonica.com/)。schema-aware バー たい。 ジョンは有償である。 (奥井康弘) 35 DX30NEWS.indd 35 2008/03/11 15:19:32
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