食品・飲料ガイドライン

ミラノ 2015
地球に食料を、
生命にエネルギーを
食品・飲料ガイドライン
FOOD & BEVERAGE GUIDE
本ガイドライン(食品・飲料ガイドライン)は Copyright©
Expo 2015 S.p.A. – Milano | March 2014 によって著作権を
保護されています。
Expo 2015 S.p.A.から文書による事前許可を得ずに、本ガイ
ドラインの主要部分の再発行、複製、商業利用(電子的方法
を含む)を行うことは、その方法を問わず厳禁です。
本ガイドラインは非売品です。
協力:ALMA イタリア料理学院
ミラノ 2015
目次
はじめに ........................................................................................................................... 4
エグゼクティブ・サマリー ............................................................................................... 6
1章
飲食体験 ................................................................................................................. 8
2章
持続可能性 ............................................................................................................ 11
3章
意識と行動 ............................................................................................................ 15
4章
来場者とその期待に関する予測結果 ...................................................................... 19
5章
博覧会会場における飲食物提供 ............................................................................. 30
6章
食品・飲料ロジスティクスモデル ......................................................................... 38
7章
食という言語......................................................................................................... 61
8章
よくある質問......................................................................................................... 67
付属書 1 博覧会会期中にイタリアで旬を迎える果物、野菜、肉、魚 .......................................... 78
付属書 2 世界各地の料理でよく使われイタリアのマーケットで手に入る原料 .............................. 82
付属書 3 アクセス事情 ....................................................................................................... 85
別表 I 食品・飲料フォーム .................................................................................................. 97
はじめに
政府代表、および代表団の皆様
親愛なる皆様
ミラノ博覧会 2015 に向けた準備が進む中、ミラノ万博公社は参加者
のオペレーションの取り組みをサポートする新たな文書をこのたび
作成した。ここに謹んで紹介する。
この「食品・飲料ガイドライン」はテーマガイドを基盤とし、それ
を拡張するものである。テーマガイドはテーマ解釈やテーマ説明を
作成するための実用的なツールであるのに対し、本ガイドは参加者
に対し、飲食物提供の有用な背景や実用情報のすべてを提供する。
本ガイドには、さまざまな推奨事項やロジスティクス規則が含まれ
ている。質の高い飲食サービスを実現することで、各国の伝統を最
も良い形で紹介するためのモデルを選ぶ材料となることを意図して
いる。
飲食活動は、開催者と参加者の両方にとって、ミラノ博覧会 2015
のテーマ「地球に食料を、生命にエネルギーを」を打ち出す絶好の
チャンスである。このテーマの枠の中に置いたとき、飲食物は従来
の万国博覧会とはまったく異なる様相を呈してくる。ミラノ博覧会
2015 では、すべての飲食体験が、食と生命にまつわる重要なコンセ
プトについて、思考と学びを刺激する機会となる。それも、机上の
理論としてではなく、楽しさを共有する精神のもとで全人的に刺激
されるのである。
物を飲むこと、食べることは生存の手段であると同時に、コミュニ
ケーションと社会化の手段でもある。このため、共に楽しむ、エン
ターテインメントといった要素をできるだけ前面に出す必要がある。
ミラノ博覧会 2015 の飲食体験は、テーマに沿い、教育と娯楽の側面
を持つことで、通常の万国博覧会の飲食体験をはるかに超えるもの
にならなければならない。来場者にとっての広い意味での経験の一
部とならなければならないのである。このことは、ミラノ博覧会
2015 における飲食活動が持つ途轍もないポテンシャルを示してい
るであろう。
それゆえ本ガイドは、参加者が独自の飲食物提供を計画するための
伝統、環境持続可能性、品質を組み合わせるのに必要な情報(原則
や推奨される手配等)を提供する。
この博覧会を完全なものにするには、参加者それぞれの独自の貢献
が不可欠である。何百万人もの来場者がミラノまで足を運び、地球
のなかでも皆様の国ではどのような食料が存在するのか、さらには
より幅広く、人類はいかにしてより持続可能で健康によくすべての
栄養を含む食を実現できるのかを体験し、味わい、そして知りたが
っている。皆様がミラノ博覧会 2015 のテーマ体験のために力を貸し
て下さることが肝要だ。我々は、参加者の皆様が、最高の料理の伝
統、食料、そして食習慣をミラノに集結させるため、全力でサポー
トする所存である。
4 |はじめに
ミラノ 2015
同時に、今後もオペレーションがスムーズに進むよう万全を期すこ
とが必要であり、そのためにも皆様には我々がロジスティクスとオ
ペレーションに関して示す要件を守って頂くよう、この場を借りて
お願いする次第である。
このことはミラノ博覧会 2015 が良好に機能し、ビジター体験を快適
で心地よいものにするのに不可欠である。すでに我々は、各種手続
きを一本化すべく取り組みを行っており、本ガイドでそうした原則
や規則を説明している。これらが皆様の作業に役立つと確信してい
る。
ミラノ博覧会 2015 において飲食体験は、万国博覧会の主要な教育的
メッセージを伝えるための、特権的な手段のひとつである。つまり、
食が消費されるたびに、我々の生命にとって食が果たす役割につい
て、また私たち一人一人が地球に食料を与えるために果たす役割に
ついて、意識的に考えるきっかけを与える。このため参加者は、自
身のビジター体験は適切な飲食の要素をもって初めて完全なものに
なると、これを機会に認識して頂きたい次第である。
さらに、今回参加者が飲食物提供の大きな部分を任されているとい
う事実-床面積で全体の 50%以上、来場者からの期待という点でも
同様である-は、参加者にミラノ博覧会 2015 の成功を左右する重要
な役割を与えられていることを意味する。この点こそ、われわれが
当初から採用している「協働的アプローチ」を体現している。
ミラノ博覧会 2015 は、従来の万国博覧会と比べて長い滞在時間に対
応できる設計となっており、この点を考慮頂ければ幸いである。
「エ
キスポ・バイ・ナイト」があるため、営業時間が従来より長い。こ
の「エキスポ・バイ・ナイト」では、共に楽しむ打ち解けた雰囲気
の中で、飲食や各種イベントが行われる。来場者は万博会場で長い
時間を過ごすことから、幅広い飲食体験を期待することになるだろ
う。それぞれの参加者が独自の、かつテーマを有意義に発展させた
飲食体験を提供することが期待されている。
このため、参加者のパビリオンが魅力的なものになるかどうかは、
飲食面の質と快適さにも大きく左右される。飲食は、これまでにな
い形で五感に訴える教育的な経験、日々の生活に生かせるようなア
イディアや提案が含まれた経験を、来場者に提供するための鍵とな
ると確信している。
本ガイドでは、ミラノ博覧会 2015 の主な構成要素であるテーマ、ビ
ジター体験、協働的アプローチの 3 つが組み合わされ、
「飲食体験」
という示唆に富む表現となった。飲食体験を皆様とデザインし創り
上げていくことを楽しみにしている。
ジュゼッペ・サラ
ミラノ博覧会 2015 政府代表、ミラノ万博公社 CEO
はじめに| 5
エグゼクティブ・サマリー
本ガイドの第 1 章は、ミラノ博覧会 2015 における飲食体験の特徴、
そしてテーマ「地球に食料を、生命にエネルギーを」の体験に飲食
体験が与える価値について説明する。飲食体験は来場者にとって、
教育的にもエンターテインメントの面でも不可欠な要素であるほか、
普遍的なメッセージを伝える道具、文化同士の理解と相互関係を深
め、成功事例を広め、日々選ぶ栄養についての認識を高めるための
道具である。
第 2 章では、持続可能性の枠組みを定める。持続可能性の枠組みの
中に飲食物も含まれなければならない。第 3 章では、飲食体験をな
す 2 つの重要な側面である意識と行動について論じる。
本ガイドの第 1 部の目的は、質の高さを前面に出すとともに来場者
の多様なニーズに応える飲食企画を各参加者が立てられるよう、必
要なすべての情報を提供することにある。この点で参加者は、不可
欠なサービスを提供しているだけでなく、個性的で 1 回限りのビジ
ター体験を提供しているともいえる。このビジター体験は、ミラノ
とイタリア全体という、
「良く食べる」文化の点で与えるべきものを
多く持つ地域を背景として提供される。
第 4 章では、来場者とその期待に関する調査結果を示す。とりわけ、
可能な飲食形態の基本性能に言及する。参加者はここから、パビリ
オンで実現したい体験全体のなかで、自身のパビリオンに最も適し
た飲食形態のあり方を選ぶことが勧められる。
第 5 章では、博覧会会場で飲食物提供の技術的詳細を、自己建築型
パビリオンとクラスター内パビリオンに分けて説明する。
第 6 章では、ミラノ博覧会 2015 の飲食ロジスティクスモデルを紹介
し説明する。参加者は、博覧会会場にアクセスするサプライヤーに
適用される規則の概要を完全に把握することができる。
第 7 章では、食を「普遍言語」として楽しむという概念を導入する。
参加者に共通のフレームワークとなることを意図しているが、飲食
提供の標準化が目標ではなく、むしろ多様化を促しつつ、ビジター
体験の敷居を高めず豊かなものにすることが目標である。
6 |エグゼクティブ・サマリー
ミラノ 2015
最後の第 8 章では、飲食サービスを関連規制や博覧会会場全体のマ
ネジメントに従って確立するにあたっての疑問点を、Q&A(よくあ
る質問)としてまとめた。
付属書 1 では、
ミラノ博覧会 2015 の会期中に旬を迎える果物、
野菜、
肉、魚の一覧を示す。付属書 2 では世界各地の料理でよく使われる
原料のうちイタリアのマーケットで手に入るものの一覧を示す。付
属書 3 では、博覧会会場への具体的なアクセス方法を示す。
本ガイドの末尾に当たる別表 1 では、食品・飲料フォームのサンプ
ルを付した。参加者は参加者デジタルマネジメントシステム
(PDMS)で同フォームに記入すること。
エグゼクティブ・サマリー| 7
1章
飲食体験
ミラノ博覧会 2015「国際参加者ガイド」と「テーマガイド」が示す
通り、ミラノ博覧会の大きな特徴の一つに「ビジター体験」という
コンセプトがある。ビジター体験はミラノ博覧会 2015 にとって最も
付加価値の大きな要素と言えると同時に、また現代の万国博覧会の
あり方を示す新たな概念の中核を占めている。すなわち、現代の万
国博覧会はテーマとの関連性、持続可能性、テクノロジー、そして
来場者中心である必要がある。
飲食の内容を企画するにあたっての最大の任務は、ビジター体験を
より深い理解と認識の場とするための前提条件を決めることである。
言い換えると、参加者は提供する飲食物のなかで、ミラノ博覧会
2015 のテーマと合致しこれを高めるような方法で、来場者の参加に
大きな貢献を行うことが求められている。
ミラノ博覧会 2015 で提供される飲食物は、ビジター体験の中核的に
して不可分な要素と位置付けること、さらにテーマ別旅程表の構成
要素の一つであることを意図することが重要である。そのためには、
以下の要素を持つ体験を来場者に提案することが必要である:
8 |飲食体験
•
テーマに沿っている:飲食体験は、直接体験を通じ、健康に良
い食、食の安全性、持続可能な食料生産・消費といった分野に
おいて、エンターテインメントの要素も持ちながら、来場者の
知識と認識を高めるものである必要がある。参加者は、自身の
特性や強み、ベストプラクティスに沿って、テーマを探るよう
勧められる。飲食の提供は、来場者に世界市民としての思考と
認識を刺激する手段と位置付けられるべきである。
•
ユニークで独創的である:万国博覧会は、他ではできない特別
な体験をする場である。その中には教育的要素も含まれ、来場
者はテーマについて、また自身の日々の選択について、学びた
いと考えている。ミラノ博覧会 2015 では、飲食物の提供と消費
にこれまでになく注意を向けること、またユニークで革新的な
飲食物を用意する必要がある。そうすることでミラノ博覧会
2015 が食と栄養に関する先進的な考えを現出させた場として
記憶に残ることになる。
•
持続可能性:参加者が提供する飲食物は、持続可能でなければ
ならない。参加者は、質の高い食の生産とエネルギー効率や廃
棄物低減は両立可能だと示すことが期待される。持続可能性の
原則は包装、調理方法、原材料の選択に適用し、かつ飲食物の
質に妥協があってはならない。持続可能性は飲食物の質を図る
最大の基準となるべきであり、原材料の調達から飲食物の提供
さらには廃棄物の処分にまで適用されなければならない。同時
に、食のサプライチェーンの持続可能性は生産・流通技術だけ
でなく、消費者一人一人の毎日の行動にかかっていることも明
らかにしなければならない。
ミラノ 2015
•
国際的である:ミラノ博覧会 2015 は、テーマをめぐる議論や研
究、理解のきっかけとなると同時に、さまざまな民族や文化の
間で教育的要素を共有・交換する場でもある。飲食は風習を作
り、儀式の一部を成し、また成果を象徴し集団のアイデンティ
ティを強化するなど、世界の歴史と文化の中で常に主要な役割
を占めてきた。ミラノ博覧会 2015 では、世界の多彩な料理が一
堂に会し、食という普遍言語を通じて互いに語り合うことにな
る。来場者は自分とは異なる文化を代表する食を前にして、味
覚という誰もが持つ感覚器官を頼りに、食の多様性を体験する
ことになる。参加者は自国の食文化の中でも最も特徴的な要素
を紹介し、来場者がそれを実際に体験し味わえるようにするこ
とが期待される。
•
利用しやすい:飲食の提供はビジター体験の中核をなすことか
ら、来場者にとって快適で便利、そして楽しいものでなければ
ならない。来場者の待ち時間を最小限に抑え、博覧会会場内の
自由な動きを妨げないようにしながら、数多くの人をさばける
システムの構築が参加者には要請される。対策としては、行列
を解消するシステムや、購入方法のパーソナライズ(バーコー
ドリーダー、商品の自宅への配送など)などが考えられる。ま
た飲食提供にあたっては要求の厳しい来場者、具体的には子連
れのファミリー層などに配慮すべきである。子供にやさしい環
境(乳幼児用のプレイルームなど)は、家族連れが食事場所を
探す際には大きなポイントになる。
•
学びと啓発の要素:ミラノ博覧会 2015 は「テーマについての高
い認識」を、今後の万国博覧会に伝統として受け継いでいくこ
とになるだろう。テーマの高い認識は、参加者と開催者がとも
に手を携えて、情報とエデュテインメントを通じて伝える教育
的メッセージによって支えられる。提供する飲食は学びとエン
ターテインメントを両立させることが求められるが、その理由
は少なくとも 2 つある。第一に、食事時間はビジター体験の切
り離せない一部として、テーマが伝えようとする原理や価値観
を伝えるまたとないチャンスである。第二に、飲食を取り巻く
さまざまな活動は、メッセージやコンセプト、アイディアを伝
える手段として、しかも従来とは異なり、インタラクティブで
エンターテインメントの要素を持ち、人の注意を引く方法で利
用できる。
飲食体験| 9
10 |飲食体験
•
さまざまな感覚に訴える:飲食提供は、参加者がテーマを机上
の空論としてではなく、実際の経験として提示できる場、しか
も来場者の五感に訴えかけることで全人的な関わりを引き出す
場である。飲食体験ではさまざまな感覚に訴える多感覚式を用
いることで、来場者は視覚・味覚・触覚・嗅覚・聴覚といった
脳が使う記憶形態をフルに使うことになる。感覚分析を用いた
教育は、五感は人の態度を形成するにあたり根本的な役割を持
ち、ひいてはライフスタイルの選択に決定的な影響を持つとの
認識の上にある。
•
エンターテインメント的要素を持つ:来場者には、自分は情報
に基づく選択ができるという気持ちになってもらう必要がある
が、その際エンターテインメントの要素を排除してはならない。
教育とエンターテイメントはエデュテインメントとして問題な
く両立可能である。飲食体験は楽しさ、健康、環境の尊重とい
う 3 つの要素を組み合わせた上に立脚することが求められる。
飲食物を通じて感覚に訴え、多彩なメニューやさまざまな発見
方法を用意しておくことは、参加者の料理と食文化に対する来
場者の見方に決定的な影響を与えるであろう。
•
健康に良い:参加者は来場者に対し、自国の食文化の最良の部
分を提供しなければならない。これは感覚的特徴だけでなく、
健全で健康に良く、栄養の質も高いといった点でも最良の部分
でなければならない。どんな食物も、食べる量や食べ方によっ
て健康によくも悪くもなる。また、身体に必要な主要栄養素や
微量栄養素が他の食品より多く含まれている健康によい食物も
あれば、含まれる栄養素の種類も量も少なかったり、添加物を
含んでいるといった理由で健康に相対的に良くない食物もある。
後者の食物を多くまたは長く食べ過ぎ、かつデスクワークの多
いライフスタイルだと、健康に悪影響を及ぼす可能性もある。
来場者に提供する飲食物やメニューの決定にあたっては、参加
者は健康に良い食物を提供するとのコミットメントを念頭に置
かなければならない。また提供されるすべて飲食物は、食品安
全の法規に完全適合しなければならない。この点については、
参加者デジタルマネジメントシステム(PDMS)で「食品エリ
アの衛生と安全に関するガイドライン-パビリオン」(2003 年
12 月。V2.0 発行)を参照。最後に、来場者の中に宗教上の理由、
栄養上の選択、治療上の制限に由来する特別な配慮から、可能
な飲食体験が制限される場合があることに注意する必要がある。
ミラノ 2015
2章
持続可能性
環境汚染の最大の原因の一つが農業と食料生産であることはよく知
られている。このことは生産、流通、消費、そして廃棄物処分に至
るフードチェーンの全段階に当てはまる。明日の世界における食料
生産能力は、一人ひとりが今日行う栄養的選択によって決定づけら
れており、このことは持続可能性が食や栄養と強く結びついている
ことを如実に示している。
このため参加者は、可能な限り持続可能性を保証するとの見地から
飲食物提供を企画することが不可欠であり、この分野におけるグッ
ドプラクティスを確立し広めることがカギになる。飲食業界は現代
人の消費モデルがもたらす環境負荷の 20%から 30%を占める。
食と栄養をテーマに掲げる万国博覧会である以上、飲食サービスお
よびベンダー選定は根幹をなし、博覧会のすべての側面において持
続可能性が優先事項とされる。参加者には、自身のサプライヤーが
持続可能性の重要性を十分に認識し調達・調製・包装・流通に至る
サービス提供の全段階で環境保護の基準・手段を守ることを、保証
するよう勧める。詳細は「ミラノ博覧会 2015 グリーン調達ガイドラ
イン」を参照。
以上の点を鑑みて、飲食物の提供は、以下の 3 つの基本要素を念頭
において計画・開発しなければならない:
•
健康:健全な食品と正しい栄養は、すべての人の健康と幸福の
中心的な役割を果たす。飲食物の提供は、情報に基づく栄養の
選択と健康なライフスタイルを推進する、シンプルかつ直接的
な手段となる。
•
食の安全:すべての人に健康で十分な食料を保証することは、
世界政治のアジェンダに掲げられた最大の目標の一つであるこ
とに疑いの余地はない。ミラノ博覧会 2015 は、来場者の認識を
高めるためのプラットフォームとなることを意図している。一
人ひとりが日々の選択に必要な情報を得れば、食の安全に貢献
できる。
持続可能性| 11
•
食料の過剰と不足のアンバランス:現代世界では、飢えに苦し
む人も多い一方、食べ過ぎや質の悪い栄養から来る病気に苦し
む人も多い。この矛盾を解決し、ひいては人類と地球を守るた
めにも、利用可能な資源のより良いマネジメントが不可欠であ
る。
グリーン調達の原則に取り組む参加者は、博覧会会場で提供される
商品やサービスの環境負荷を最小限に抑えるエコメカニズムの認識
を高めるという点で、博覧会会場そのものでのプレゼンスが増し国
際的評価が高まるという有意義な利点が得られる。ミラノ博覧会
2015 は、ベストプラクティス、成功したプロセスやテクノロジー、
ソリューションを国際的に紹介するまたとない機会である。これら
は博覧会終了後も重要な無形遺産として残っていくことであろう。
ミラノ博覧会 2015 では、BIE 規則にのっとり、持続可能性を単な
る目標ではなく、博覧会の不可分な要素であり参加の本質的特徴に
するため、いくつかの対策を採用している。環境影響評価(EIA)
手続きにより発生する義務は次の通りである:
•
ごみ発生を防ぎ、リユースを最大限に高め、分別目標を達成す
るため、包装を減らす(この点については、特別規則第 7 条「商
品の輸送、税関、取扱」参照)
。
•
水や清涼飲料水には、できればディスペンサーを使用する。
•
飲食提供をウェイターが行う場合、また、セルフサービスで行
う場合も、水はピッチャーやリターナブルボトルで提供する。
ガラスの利用は限定的とし、飲料が供される場所から来場者が
ガラス容器を持ち帰らないようにするよう勧める。
•
テーブルウェアは使い捨てではなく、できれば洗浄可能のもの
を使用する。使い捨てテーブルウェアを使用する場合は、EN
13432 基準に従い生分解・コンポスト化可能な材料を使用し、
コンポスト・分解施設で処理できなければならない。
•
ごみ分別については、今後開催者が指定する。2014 年 6 月まで
に発行予定の「廃棄物管理ガイド」を参照のこと。
以下のページでは、ミラノ博覧会 2015 での飲食物提供に関する指針
を参加者が実際に導入するための提案を行う。参加者は自国の飲食
における伝統の最良の部分を紹介するとともに、持続可能性のあら
ゆる面にも注意を払うことが勧められる。具体的には-品質:感覚、
特に味覚と嗅覚、盛りつけ、飲食物を供する環境。情報:生産者、
農法(労働保護の側面を含む)など生産チェーンに関する情報。そ
して影響:その飲食物の生産がエコシステムにどのような影響を与
えるかという環境上の側面-という 3 点に注意を払うことが勧めら
れる。
12 |持続可能性
ミラノ 2015
参加者は、情報をベースに地球のために持続可能な食物の消費を行
う方向へと、消費者を向かわせるための手段として、飲食物を用い
ることが期待される。参加者の寄与により、ミラノ博覧会 2015 は栄
養のアジェンダに高い認知度と主要な役割を与えるための世界的な
ステージとなる。参加者はパビリオンと飲食物提供を企画するにあ
たり、明日の市民や消費者への啓発を手助けする大きな責任がある。
同時にこのことは万国博覧会の無形遺産に貢献することになるであ
ろう。
参加者は、持続可能な調達という点で、原材料、消耗品、包装、機
器の選定にあたり、何より環境の持続可能性基準を考慮することが
期待される。推奨される原則や基準はすべて、欧州または国際市場
で入手可能な商品、サービス、テクノロジーが対象である。
以下に、飲食物の提供にあたってのエコロジカル・フットプリント
低減のための提案を行う。持続可能性の具体的な要素を考慮に入れ、
グッドプラクティスを採用することで、環境を尊重し、旬の原材料
を使い、かつ調達コストを引き下げることが同時に可能になる。参
加者の国でしか生産されていない原料以外は、輸送・保存コストの
環境負荷低減のため、地産地消を心がけることが要請される。これ
により、提供される食品は新鮮で、適切な成熟度で収穫され、調達
が容易になる。
参加者は、自国で最も典型的な飲食物を正しく提案すると同時に、
果物、野菜、肉、魚を選ぶ際にはその季節に出回っているものを使
用することが要請される。会期中の 6 カ月間にイタリアで入手可能
な原材料の一覧を付属書 1 に示す。付属書 2 では世界の料理で一般
的に使われる原料のうち、イタリアで広く入手可能なものを示す。
有機農法(地産地消型有機農法ならなおよい)は、製造・使用・処
分にあたって人体と生態系に有害な影響を及ぼす農薬、殺虫剤、合
成肥料を排除し、食品・飲料生産の環境負荷を低減させる。
グリーン調達ガイドラインでは参加者に対し、原料の 15~40%(商
品の種類による)を有機生産者から調達することを推奨している:
•
野菜 40%
•
果物 40%
•
肉 15%
•
魚・海産物 (養殖魚含む) 20%
•
乳製品 40%
•
卵 40%
持続可能性| 13
詳細は、PDMS で「グリーン調達ガイドライン」を参照のこと。
食の安全の基盤は生物多様性にある。さまざまな気候条件にあわせ
た種の多様性が存在することで、環境の変化に直面しても生産量を
調整したり、耕作に必要な労働量を抑えたり、多様性に富む食生活
を送ることが可能になる。現在十分に利用されていない原料、あま
り知られていない原料、特定の地域と密接に結びついている原料(動
物種、肉の部位、野菜種、見過ごされている魚種)を優先的に使う
ことで、参加者は調達コストを抑え、メニューのバラエティーを増
やすとともに、一般的によく使用される種への圧力を減らし、そし
て農業で生物多様性を尊重することの重要性を来場者に教育するこ
とが可能になる。
特に肉については、参加者はあまり知られていない種(国内種、伝
統種、野生の個体、代替種など)を提供し支持するだけでなく、利
用が進んでいなかったり、あまり高い評価が得られていない部位を
提供し支持することが要請される。
14 |持続可能性
ミラノ 2015
3章
意識と行動
参加者は食品と栄養の将来の課題に特に注意を払いつつ、飲食物の
提供を通じ、もっとも卓越した食の伝統を展示することが求められ
る。伝統と革新という相反する要素が、地球全体に食料を供給する
という課題に取り組むための重要なリソースとして、食の分野での
生物学的・文化的多様性を示す対話の中に取り入れられなければな
らない。
提供する飲食物について計画する際、参加者は以下の重要な 2 点を
考慮するとよい。
•
意識:テーマとテーマのもつ様々な側面についての来場者の理
解を高める努力を行う
•
行動:
「どのようにして健康的で持続可能な食料を全員にいきわ
たらせるか」という博覧会全体の中心にある重要な問題に対し、
可能な解決策を提案する
このような側面を考慮した飲食物の提供は、情報にもとづく、より
持続可能な消費モデルへの転換という、ミラノ博覧会 2015 の無形遺
産構築に不可欠である。
意識向上の努力とは、参加者は飲食物の提供を通じ、消費に慣れた
食品が持続可能なものかどうか、その生産・分配の現在の方法が短
期・長期的に地球と我々自身に食料を供給するための我々の能力を
実際は阻害しているのかどうかを来場者に考えさせることができる
ということである。
どのようにして人々にこれを考えさせるか。参加者は、来場者自身
の食品と栄養との関係における持続可能性について来場者に取り組
んでもらうためのもっとも効果的な方法を選び、この課題を自由に
解釈して取り組むことができる。この方法は単に知的なだけでなく、
相互作用的、実験的で、遊び心もある。
栄養と健康-人間の健康だけでなく地球の保護も含めた健康-との
関係を来場者に紹介するための効果的な方法のひとつが、こうした
関係を測定可能な方法でうまくまとめるカロリーの概念について考
えてもらうことである。たとえば、スプーン 1 杯のオリーブオイル
は 90 カロリーだと知られているかもしれないが、90 カロリーとい
うのは通常の活動(安静時代謝、呼吸など)で 90 分間に体が消費す
るカロリー量であることはそれほど知られていない。
意識と行動|15
栄養の問題に関わる人なら誰でも直面する課題のひとつが、消費者
に消費する食物に関する栄養情報(カロリーに加え、個別の栄養素
や微量栄養素)を理解し、それに対処してもらうことである。効果
的な方法のひとつに中性カロリーにもとづくものがあり、さまざま
な食品に含まれるカロリー量とともに、カロリー消費に必要な身体
活動量が歩行の分数やランニングのキロ数などの形で表される。こ
れにより、病気を予防してよりよい生活を送るための定期的な運動
も含めた、健康的なライフスタイルの重要性を理解する方法が消費
者に提供される。
カロリーの概念は健康維持に役立つだけでなく、食料システムの非
効率性を測るのにも有用である。前述の通り、食生活は人間の健康
だけでなく、環境にも影響する。さまざまな種類の食品の生産に必
要なエネルギー量と、タンパク質の形態で食品中に残る量の比(エ
ネルギー投入量とタンパク質産出量の比)を測定する指標がある。
カロリー計算により、私たちの体と環境に対する有益性と有害性の
両方を測ることができる。
こうした準備が整えば、地球の栄養的ニーズを満たす能力は、効率
性の向上と無駄の削減によっていかに食料生産チェーンを改善でき
るかにかかっていることが容易に理解できる。つまり、一方では化
石燃料や土地、水などの再生不能資源の消費を増やさずに 1 ヘクタ
ールあたりの生産高を増やしながら、他方では損失と廃棄物を削減
しなければならないのである。国連食糧農業機関(FAO)によると、
世界中で毎年、総生産量の約 1/3 にあたる 13 億トンの食べられる食
料が廃棄されていると推定される。特に、畑から貯蔵場所に運ばれ
るあいだに 9 億トンが、消費の段階で 4 億トンが失われている。FAO
はまた、西側諸国で毎年廃棄される食料の量はサハラ以南のアフリ
カの年間生産能力全体に等しいとも見積もっている。
ミラノ博覧会 2015 は、多くの人々を食料不足の状態に置いたまま、
生産するにも廃棄するにも費用のかかる余剰を生み出す食料システ
ムの矛盾について考える機会を提供することを目的としている。
明日の食料を想像することは、現在の生産システムを再設計し、無
駄と非効率性をなくすことでもある。参加者には、季節の農産物を
重視し、生産品の特徴と廃棄物管理方法に関して飲食スタッフに研
修を行い、再生材料や再生可能な材料を使用し、食事の準備・包装
方法による環境への影響を最小限に抑えるための具体的な手順を取
ることが推奨される。詳細については、
「グリーン調達ガイドライン」
を参照のこと。
16 |意識と行動
ミラノ 2015
可能な解決策の提示については、参加者には、量と質の両面におけ
る提供物の改良、食料生産の耐衝撃性を高める生物学的・遺伝的多
様性の保護、環境フットプリントの削減、損失と無駄の最小化、畑
から食卓までの距離の短縮、消費者への情報通知に関する貢献に関
し、優れた実践を来場者に示すことが推奨される。これらは飲食物
の提供を注意深く適切に計画することで達成できる教育的目標の一
部である。
飲食物提供計画責任者は、テーマガイドに提示された提案のほか、
以下の問題についても考慮することが求められる。
•
どのような健康的栄養モデルを提供できるか?
•
どのような形態の食料消費が、人間と地球の両方を十分尊重し
ながら持続可能な開発を促進できるか?
•
万博会期中およびそれ以降も、食品安全と食料へのアクセスに
関する継続的な情報交換の促進による栄養不良問題の解決のた
め、ICT やその他の新しい技術をどのように活用できるか?
来場者への情報提供と教育という目的を達成するため、開催者と参
加者は協力し、食料生産の方法や技術、規則に関して、省エネルギ
ーや再生可能なエネルギー源、生物学的多様性、土壌やその他の天
然資源の保存と食料生産を組み合わせるための戦略に関して、また
廃棄物削減に関してもすぐれた飲食展示を行わなければならない。
食物連鎖における損失と無駄の原因は多数あり多様である。この問
題をいくらか単純化すれば、一般的に発展途上の世界では生産技術
や輸送・貯蔵のためのインフラが不十分なため、最大の損失は連鎖
の初期段階で発生するが、工業化社会では、廃棄物の量が最大とな
るのは消費段階であると言えるだろう。
これは環境と経済に負の影響をもたらすだけでなく、社会的公正に
関する重要な問題も提起する。世界の一部の人々が栄養不足に苦し
む中、同数の人たちが過剰摂取の結果に苦しんでいるのである。
このような背景のもと、食品廃棄物を削減するにはさまざまな方法
がある。参加者は開催者と共に、手をつけられていない食品を人間
による消費に回すことで、こうした食品が廃棄のサイクルに含まれ
ないよう保証するシステムを促進することが推奨される。開催者は
各段階で安全かつ適切な廃棄物回収の実施手順の特定に取り組む。
代替手段の目標は、調理済みで未提供だが人間の消費のための再利
用はできない食品をペットフード生産に転用することである。
意識と行動|17
消費者が栄養的選択の環境に与える影響について常に知っているわ
けではないとすれば、これは食料生産チェーン全体で生産者と消費
者を分離している障壁が主な原因である。水は目に見えない形で、
原材料や日常的な食品の原料に取り込まれて世界中を移動する資源
であるため、水の場合、こうした分離はいっそう大きい傾向がある。
そのため、私たちの栄養的選択の地球規模のフットプリントには、
飲料として消費する水として目に見える形で、また、消費する食べ
物内に含まれる水分として目に見えない形で、非常に重要な液体要
素が含まれている。後者は「仮想水」と呼ばれており、これは生産、
変換、流通のさまざまな段階を経て食卓に到着する食品の生産中に
使用される水のことである。
汚染や地球温暖化によっても地球上で利用可能な水の量は徐々に減
っており、人口構造の変化や都市化、動物性タンパク質の消費の人
気が高まる新興国での食生活の変化により、水の需要は急速に高ま
っている。
ウォーターフットプリントに基づき、さまざまな種類の食品をラン
ク付けすることができる。ウォーターフットプリントとは、生産に
必要な新鮮な水の総量を単位時間あたりに消費される(蒸発あるい
は製品中に取り込まれる)水および汚染される水の量で示したもの
である。
参加者には、人間と地球にとってより健康的であり、そのため、よ
り頻繁に消費されるべき食品―多くの場合、ウォーターフットプリ
ントが最小の食品―の種類について考慮することが推奨される。
18 |意識と行動
ミラノ 2015
4章
来場者とその期待に関する予測結果
参加者がターゲット来場者を特定し、飲食の志向や期待に応えられ
るような計画を立てる手助けとなるべく、ここに GFK Eurisko によ
る調査結果を紹介する。この調査は 2013 年 1 月、イタリアを含む
21 ヵ国で行われ、イタリアでは人口構成比に比例した 18 歳以上の
集団を抽出し、2,000 件の面接調査を行い、欧州および世界各国でも
2 万 8,500 件の面接調査を行ったものである。同調査の第 2 ステー
ジが現在行われており、2014 年初頭には最新版のデータが発表予定
である。
この調査によると、ミラノ博覧会 2015 の来場者数は 2,000 万人が見
込まれ、うち 1,200~1,400 万人がイタリア国内から、600~800 万
人が国外から来場すると見込まれる。調査では、来場者を社会人口
学的に分類したほか、社会的関心さらにはミラノ博覧会 2015 に期待
する内容別にグループを編成した。
調査では、イタリア市場を 6 つのターゲットグループに分類した。
第 1 のグループは、イタリア国内からの来場者の 39%を占める。25
歳から 44 歳、学歴・所得・地位はアッパーミドルからハイクラスに
属する。このグループは食に関してはイノベーションを好む。その
ことは自分で作ることにおいても外食においても当てはまり、新た
な食や外国の食に高い関心を示す。この層はミラノ博覧会 2015 の文
化的イベントとしての側面に関心を持つほか、テーマとそのさまざ
まな側面に関心を持つ。
第 2 のグループは、イタリア国内来場者の約 20%を占める。男性が
65%と多く、また 80%が 55 歳以上と年齢層が高い。飲食の点では質
の高い商品(場合によっては最高品質の商品)に関心があるだけで
なく、健康、軽さ、栄養バランスに関心がある。この層はミラノ博
覧会 2015 において、世界の文化に出会いたいと期待している。この
グループにとっては、ショーやコンサート、さらには試食などのサ
イドイベントも、心地よい経験と同様に重要である。
来場者とその期待に関する予測結果|19
これら 2 つのグループと並行して、イタリア国内来場者の約 14%を
占める、主に女性(73%)のなかでも高めの年齢層からなる(55 歳
以上が 67%)グループが存在する。このグループは購買力が非常に
高く、料理を最大の関心事とし、食と栄養に情熱を注ぐ。伝統に高
い価値を置く一方、文化的実験にもオープンで好奇心が強い。この
層にとってミラノ博覧会 2015 は、飲食のさまざまな側面を、物語と
ショーの形で含んだイベントである。
イタリア国内からの潜在的来場者のプロフィール
若年無関心層
50% 男性、50% 女性
18~40 歳
学歴、所得、地位:平均
保守的
55% 男性、45 歳以上
学歴、所得:平均以下
リタイア層
64% 女性、65 歳以上
学歴、所得、地位:平均以下
若年層、新し物好き
56% 男性 25~44 歳
学歴、所得、地位:
平均以上
熱心な女性
73% 女性、55 歳以上
学歴:平均以下
退職者・主婦が中心
都会派
65% 男性、 55 歳以上
学歴、所得、地位:高い
文化・旅行への出費:高い
以上の 3 グループで、イタリア国内からの全来場者の 73%を占める。
残る 27%は、少なくとも現時点ではミラノ博覧会 2015 とそのテー
マにそれほど関心は抱いていないが、飲食、エンターテインメント、
そして高年齢層向けで伝統重視のサービスを目当てに来場してもよ
いと考えている。
20 |来場者とその期待に関する予測結果
ミラノ 2015
調査では、イタリア国外からの来場者のプロフィールも調査し、異
なるニーズと期待を持つ 5 つのターゲットグループを特定した。
イタリア国外からの来場者の 33%は、雑多な層からなるセグメント
である。男性が 3 分の 2(65%)を占め、年齢も中間層が多い(25
~49 歳が 3 分の 2 を占める)
。大半が、イタリアの芸術と自然の美
しさに惹かれて訪れる観光客からなる。この層にとってミラノ博覧
会 2015 は、その年の最も重要なイベントであるイタリア旅行の一部
であり、そこに博覧会への来場を含めることでイタリア旅行を最大
限に生かしたいと考えている。
国外からの潜在的来場者の 28%は、男性より女性がわずかに多く、
年齢は 35~50 歳、高学歴で、文化的関心が高い高所得層である。
イタリア国外からの潜在的来場者のプロフィール
無関心層
60% 男性 、35 歳未満
学歴、所得、地位:
平均以下
セミリタイア層
65% 女性、50 歳以上
学歴:平均以下
退職者・主婦が中心
万博ファン
55% 女性 35~49 歳
学歴:平均以上
文化への関心
環境意識の高い若年層
55% 女性 18~35 歳
学歴:平均以上
所得:平均以下
外国人観光客
65% 男性 25~49 歳
学歴、所得、地位:平均以上
来場者とその期待に関する予測結果|21
月別予想来場者分布
来場者数が最も多く見込まれるのは 6 月と
7 月である。5 月と 9 月は学校単位の見学に
最良の時期であり、来場者数の大きな割合
を占める可能性がある。
5月
6月
イタリア
7月
ヨーロッパ
この時期は 6~19 歳のニーズに特に注意が
必要である。また、これまでの万博ではオ
ープン日と最終日には特に多くの来場者が
訪れている。
8月
9月
10月
ヨーロッパ以外
3 番目に大きなターゲットグループは、外国人来場者の 19%を占め、
全グループの中で最も若く、熱意があり、テーマに関心を寄せる層
である。内訳は 24 歳以下が 65%、男性より女性がわずかに多い
(55%)。学歴は中程度から高く、大学生や求職中の若者も多い。
上記の値のすべてを考慮に入れながら、提供する飲食の内容を計画
する必要がある。参加者は、来場者数がピークを迎える時期やター
ゲット特性を考慮しながら、また平均的な気候条件にあわせて飲食
提供計画を立てる必要がある。
22 |来場者とその期待に関する予測結果
ミラノ 2015
月
最低気温
最高気温
降水量
降雨日数
湿度
5月
11°C (52° F)
22°C (72° F)
97 mm
8
72%
6月
15°C (59° F)
26°C (79° F)
65 mm
16
71%
7月
17°C (63° F)
29°C (84° F)
68 mm
11
71%
8月
17°C (63° F)
28°C (82° F)
93 mm
5
72%
9月
14°C (57° F)
24°C (75° F)
69 mm
7
74%
10 月
8°C (46° F)
18°C (64° F)
100 mm
6
81%
ミラノ博覧会 2015 の会期の半年間は、春(5 月・6 月)、夏(7 月・
8 月)
、秋(9 月・10 月)の 3 つの季節に及ぶ。ミラノ県は温暖な亜
大陸性気候に属する。7 月と 8 月の平均気温は 30 度に達し、突発的
豪雨も珍しくない。
同調査では、テーマ「地球に食料を、生命にエネルギーを」はイタ
リア国内外の幅広い人々に関心を持たせることが裏付けられた。実
際、食と栄養への意識と関心の高まりは、テーマを別の角度から探
る手段としての飲食物が重要であること、また飲食は五感すべてに
訴えかける革新的なビジター体験を提供する機会となることを、改
めて示している。
また調査によると、潜在的来場者の大半はミラノ博覧会 2015 を「外
国文化について深く知る機会」
「未来を垣間見る機会」ととらえてい
る。伝統的飲食はあらゆる文化を表象する強力な手段であり、楽し
みながら来場者と直接コミュニケーションを取るための手段へと転
化できる。
食を通じてさまざまな、そして往々にして遠い土地の文化を発見す
る、最もシンプルで直接的な方法は、典型的なメニューと原料を味
わうことである。このため参加者は、スピーディーで手軽な消費方
法を編み出すと同時に、食の伝統の最良の部分を紹介できるよう工
夫を凝らすことを勧める。飲食物は教育のツールとしても絶大な効
果がある。楽しみながらシンプルな形で学べるため、若い来場者に
特に適している。
来場者とその期待に関する予測結果|23
来場者が期待すること
参加者の代表的なメニューやレシピを味わう
アートショー
ミラノ往復シャトルサービス
子供向けサービス
(おむつ交換・授乳スペース、ベビーカー貸出など)
テクノロジー専用パビリオン
遊び場
コンサート
(保育士による)シッターサービス
子供用教育コンテンツ
その他
イタリア
ヨーロッパ
ヨーロッパ以外
潜在的来場者のうちかなりの割合(イタリア国内来場者の 64%、国
外来場者の 48%)が、ミラノ博覧会 2015 を食と栄養の学習体験の
場として期待しており、世界中の食とレシピに触れる機会に魅力を
感じている。このため、参加者による飲食物の提供は非常に大きな
役割を果たし、ビジター体験に大きな付加価値を与える。この飲食
体験はあくまで“本物”でなければならない。参加者各国の代表的
な料理と良質な滋養を正しく反映することが何より求められるので
ある。
24 |来場者とその期待に関する予測結果
ミラノ 2015
来場者が期待すること
食と持続可能な環境に関する教育的経験
家族と、いつもと違う場所に外出
未来の世界を垣間見る(明日の食、テクノロジーなど)
友達と1日リラックスして過ごす
外国文化の発見
楽しいお祭り
世界中のレシピや食を試すチャンス
イタリア
ヨーロッパ
ヨーロッパ以外
調査結果を踏まえ、4 種類の来場者カテゴリーが特定された。以下
に示す通り、飲食に関する期待とニーズはそれぞれ異なる:
グループ
食への支出を
惜しまない人
特徴、消費行動
• 先取の気性、高い計画能力
• 新奇な物事や発見を、特に楽しい状況で行うこと
に強い関心を持つ
• イノベーションとテクノロジーを楽しいと感じる
• 家庭の外に豊かな社交生活を持つ。外食が多い(定
期的でない場合も)
• 素朴だが質の高い食を好む
• 知らない物、外国の産物に惹かれる
会場内の食へのニーズと期待
• 値段はあまり意識しない
• イノベーションに敏感、レストランには枠にとらわれず常
•
•
•
•
識外れである(新感覚を含む)ものを好む
新たな経験や味などを試したがる
食事は、陽気で社交的、友人と楽しみ交流する場
食事は多感覚的経験としても位置付けられる
食と料理へのテクノロジーの活用という概念に関心を持つ
来場者とその期待に関する予測結果|25
グループ
特徴、消費行動
会場内の食へのニーズと期待
エリート
• 教育・文化レベルが高い
• 文化消費が多い。政治経済のニュースに強い関心を
• メニューの値段にはほとんど関心がない
• 最高のものを常に求める。大量生産よりも特別限定品や高
持つ
• 個人的成果、社会的評価が大きな原動力となる
• 自分の肉体、健康、外見を非常に気にする。その結
果として食に関心を持つ
• 高級で特別な、「ステータスの高い」食を求める
級品を好む
• 五感を喜ばせ、味覚の喜びを最大限に高めることに関心を
持つ
• 洗練、希少性、上品さを食に求める。
「すべてにおいて最高」
をよしとする
• 食事はリーダーシップを示し、人間関係と娯楽を楽しむ場
• レストランには装飾性、快適性、サービスなど、食以外の
要素に関心を示す
裕福な中年層
• 文化消費は中程度から高い
• 社会・環境問題を強く意識する
• バランスがとれた食事パターン:美味しくて健康に
よく、軽いものを好む
• 安さより本質的な質の高さ(ブランド)を好む
• あくまでも穏便でバランスがとれ、オーセンティッ
ファミリー
(子供連れ)
• 一次産品が本来持つ性質や原産地に関心を持つ(フードマ
イルが最小限、オーガニックなど)
• 食事は、文化の交換と発達の場であり、かつイタリアの伝
統的な生活様式を守る場である
• 飲食物の「ハード」に関心(原材料、調理法、調理技術な
ど)
クな料理の伝統と関連する範囲内において、飲食に
好奇心とオープンマインドを示す
• 料理に強い情熱を持つ
• 騒音、混乱、混雑した空間を嫌う
• 食にまつわる文化や芸術の側面に関心がある
• ビジター体験の中でも、アミューズメント/エデュ
• 食事は子供のニーズに引きずられて栄養を重視する
• レストランは、メニューの質だけではなく、子供が遊べて
テインメント的要素に関心を持つ
• 食事パターンは伝統的が中心。若い家族の場合は多
少の好奇心と実験精神も見られる
• 家族で 1 日を過ごす方法として博覧会来場をとら
えている
親がリラックスできるかどうかでも判断される
• 最大の基準は子供のニーズに合うかどうかであり、食事内
容はその次である
• 飲食物にはシンプルさと対応力を期待する(乳幼児用メニ
ュー、屋外で食べられる持ち帰り用メニューなど)
グループごとに、博覧会に来場したらどのような食を消費するか、
社会人口学、行動学、心理学の側面から特性のプロファイリングを
行い、各グループの好む飲食形態と提言を整理した。
カテゴリー
食への支出
を惜しまな
い人
形態
説明
革新的な外食
•
午前や午後の休憩のひとときを過ごせるような、職人気質の
カフェ、バー、パン屋、ペストリーショップ、ワインバーな
ど。実験的・革新的な特徴を備えている(パン生地・パスタ
生地をこねる様子が見えるなど)。
“実験的”レストラン
•
実験的なレストランやテイスティングバー(単一テーマのも
のを含む)。選び抜かれた軽食が供され、斬新な内装やサー
ビス/食事形態など
レストラン、ナイトスポット
•
プレミアムグレード、エンターテインメントの要素(ゲーム、
音楽、アーティストなど)を持つレストラン
ディナー前のアペリティーボ、または生演奏付きの夜食を楽
しめるレストラン
•
エリート
高級レストラン
•
•
26 |来場者とその期待に関する予測結果
一流レストラン(ミシュランの星付き、または同等のもの)、
洗練されたメニュー、高価格帯
非常に革新的。特別感、ユニークさ、アピールポイント(博
覧会会場全体を見渡せるパノラマビューなど)を特徴とする
ミラノ 2015
カテゴリー
形態
説明
エリート
高級エリア
•
裕福な中年
層
正統派レストラン
•
超高級ラウンジバー、リラックスできるエリア、オイスタ
ーバーなど、特別メニューを提供する(主に食間の消費を
意図する)
• 慎重に選ばれたエンターテインメント(アペリティーボと
ファッションショーなど)
• ビジネス客には特に注意が必要
•
ファミリー
(子供連
れ)
徹底的に本物だけを提供し、新鮮な素材(オーガニック、
地産地消、グルテンフリーなど)を使用し、健康で真のイ
タリア料理を提供するプレミアムレストラン。
エデュテインメント的要素(料理教室など)
子供向けレストラン
•
家族連れに優しいレストラン(ピザハウスなど単一テーマ
のレストランを含む)、広々としたオープンスペース、プ
レーンでナチュラル、多彩で対応力の高いメニュー(弁当、
持ち帰りランチなど)
軽食スタンド
•
食間の飲食用に、子供とファミリーを特にターゲットとし
た小規模売店/持ち帰り専用キヨスク(アイスクリームス
タンド、フルーツバーなど)
楽しさ、エンターテインメントの要素を含む必要がある
•
来場者の要求を満たす飲食物の提供を正しく計画するには、来場者
の欲求を理解し、その期待を予測することが重要である。このため、
開催国であるイタリアの食習慣を理解することはかなり重要である。
イタリア人は通常、朝食、昼食、夕食、軽食の 1 日 4 食である。
朝食は午前中(10 時頃までに済ませる)
、昼食は 12 時~15 時、夕
食は 19 時~22 時である。このほか、学校に通う子供は「メレンダ」
を呼ばれる軽食を、朝食と昼食の間、および/または午後に食べるの
が一般的である。メレンダは果物、ヨーグルト、パン類(甘い場合
も甘くない場合もある)からなる。
またイタリア人はアペリティーボも非常に好む。アルコールまたは
ノンアルコールドリンクとおつまみを夕食の前に供する。
イタリアの伝統的な飲料は水、ワイン、ビール、コーヒーである。
近年はワインとビールの消費量が減る一方で、アペリティフ(食前
酒)
、ビター、蒸留酒の消費量が増えつつある。公共の場所では通常、
ボトル入り飲料水(炭酸水の場合もそうでない場合もある)が供さ
れる。コーヒーは朝食、午前中、昼食後、そして頻度は減るが夕食
後にも飲まれる。エスプレッソはコーヒーバーまたは家庭で消費さ
れている(家庭では直火で抽出するタイプが多い)
。アラビカ種かア
ラビカ/ロブスタ種のブレンドがよく飲まれている。なお、イタリア
のノンアルコール飲料の消費量は(清涼飲料水、果汁など)はヨー
ロッパ平均を下回る。
来場者とその期待に関する予測結果|27
イタリア人は伝統的に地中海式食生活を送っている。これは主にオ
リーブオイル、穀類(パン、パスタ、米)
、生または乾燥させた果物
と野菜、多すぎない量の魚、乳製品、肉からなる。地中海式の食は
イタリア観光の最大目的の一つであり、博覧会会場では「地中海の
生物」クラスターは最大の特徴となる(詳細は PDMS で「クラスタ
ーガイドライン」を参照)
。
ただし、イタリア人の 4 人に 1 人は、イタリア以外の食文化を試す
ことに前向きであり、いわゆるエスニックレストランも近年はミラ
ノを中心にかなりの広がりを見せている。またイタリア人が外国旅
行をする際は、地元の料理を試し、原料や調理法に興味を示す傾向
がある。特に、ミラノ博覧会 2015 に来場すると予想される人たちは、
未知の飲食の伝統を試したいと思っている。この点こそがミラノ博
覧会のテーマに関わる魅力の一つだからである。
最後に、ミラノ博覧会 2015 は革新的でハイテクな万国博覧会となる
であろう。最新技術を参加者と来場者の目の前に現出させることで、
より豊かなビジター体験を提供する。来場者が個別の旅程表を作成
し、来場を前もって計画できるのもその一例である。
オンラインサービスに期待すること
博覧会会場にオンラインアクセスできる
万博会場の排出量、エネルギー生産量・消費量の
数値(環境データ)
来場者の関心に合わせ、前もって来場計画を立て
るためのガイド
来場者数、会場入口・各パビリオンの待ち時間の
リアルタイム情報
オンラインチケット購入
動画・画像コンテスト
学校用コンテンツ、特にミラノ博覧会のテーマに
合わせたマルチメディアコンテンツ
その他
イタリア
28 |来場者とその期待に関する予測結果
ヨーロッパ
ヨーロッパ以外
ミラノ 2015
このため、参加者は飲食物を含めた提供物のあらゆる側面をつなぐ
キーワードを使うことを勧める。別表 I に、参加者が提供する飲食
物の主な特徴を記述するフォームのサンプルを示す。こうした情報
をきちんと集めることで何より、来場者がテーマ別旅程表のさまざ
まな段階に飲食物を含めることが可能になる。
来場者とその期待に関する予測結果|29
5章
博覧会会場における飲食物提供
本章では、博覧会会場内での飲食物提供の全体像を紹介する。前述
の通り、ミラノ博覧会 2015 における飲食物の提供は、ビジター体験
の主要要素であり、万博の成功に決定的な役割を果たす。これは参
加者が提供する飲食物と、サービスエリアで開催者が直接運営する
サービスの両方に当てはまる。
博覧会開催期間の 6 ヵ月間で約 2,400 万人の来場者が見込まれてお
り、約 2,600 万食が提供されると推定される。内訳は以下の通り:
•
土日祝日にあたる 55 日の繁忙日に約 1,300 万食。なお繁忙日に
は 1 日当たり 25 万人の来場者が見込まれている。
•
オフピークにあたる 129 日間に約 1,300 万食。オフピーク時の
1 日来場者数は約 9 万人と見込まれている。
現在入手可能なデータによると、消費量の 6%は朝食、65%は昼食、
17%は午後の軽食、残り 12%が夕食時に提供されるという推定であ
る。
計算では、必要な飲食商品(実際の食品・飲料、付属品正味量)の
合計は約 4 万 6,000 トン(飲料 3 万 3,000 トン、食品 1 万 3,000 ト
ン)に上ると見込まれる。
これほどの大きな需要に対応すべく、開催者は約 140 ヵ所の飲食ポ
イント(床面積合計約 6 万 m2)を計画している。これらの運営方法
は次の通り:
30 |博覧会会場における飲食物提供
•
40%は開催者自身が運営する。サービスエリア内に 23,000 m2
以上(サービスユニット、キヨスク含む)が設けられる。
•
50%は参加者が自身のパビリオン内で運営する。合計床面積は
推定 29,000 m2。
•
7%はパートナーと参加者が、クラスター内で共同運営する。合
計床面積は推定 4,000 m2。
•
3%はカルドとパラッツォ・イタリア内に設けられる。合計床面
積は 1,600 m2。
ミラノ 2015
この数字からも、飲食物提供において参加者がいかに重要な役割を
果たすかが明らかである。参加者は飲食物専用スペースの最大部分
を占める以上、飲食需要の 50%以上を満たすことが期待される。こ
のことは当然、それなりの努力を要求するが、一方で来場者と直接
的かつ効果的にコミュニケーションをはかるまたとない機会となる。
質の高い飲食物の提供は来場者を引きつける重要な方法であるとと
もに、それ自体がメッセージを発し、アイデンティティと伝統を正
しく体現する方法である。
博覧会会場: フードエリア
自己建築型
クラスター
開催者
イタリア
博覧会会場: 開催者フードエリア
10 サービスユニット–3,500 m2
10 リニアビルディング–19, 500 m2
10 キヨスク各 30 m2
運営担当者-持ち帰り
博覧会会場における飲食物提供|31
開催者自身が運営する飲食物提供には 5 つのカテゴリーが計画され
ている:
•
10 の大型建物(デクマヌスと直角に配されたリニアビルディン
グ)
•
東入口と西入口に配置された 2 つの建物
•
会場全体に均等に配置された、9 の中規模のサービスユニット
•
持ち帰り式、10 の小型キヨスク
•
来場者の通行量が多く見込まれる特定のエリア(野外劇場、レ
イクアリーナなど大型イベント施設周辺)に、軽食やドリンク
をリヤカーで販売するベンダー
さまざまなハイレベルな運営担当者に委託して多彩な飲食施設を運
営し、イタリア料理の粋を表現するとともに、博覧会会場内で多彩
で質の高い飲食物を早くて安く快適なサービスとともに提供する。
開催者は、参加者との継続的協力体制のもと、一部の飲食エリアを
参加者と共同で運営したいと考えている。また参加者には、自国の
ハイレベルな飲食会社による関連入札参加への関心を高めて頂きた
いと考えている。関心の表明は開催者になるべく早く表明されたい。
本ガイドのこれまでの章では、ミラノ博覧会 2015 の飲食体験構築の
ための開催者との協力原則を示すとともに、ミラノ博覧会での飲食
提供全体にとっては提供飲食物の質と量こそが主要な役割を果たす
ことを説明した。
以下の章では、参加者が可能な限り最高の効果となる飲食物提供の
さまざまな面を設計するにあたっての具体的な提案・推奨や物流ル
ールを示す。以下のページでは、パビリオン内の飲食施設のレイア
ウトから、来場者の飲食関連の期待にどう応えるかまで、飲食に関
するあらゆる面で自身の強みを最大限に生かすための実用的なアド
バイスを提供する。
参加者には、自身の全体的なテーマとパビリオンの特性を踏まえつ
つ自国の料理の特性を最大限に生かし、かつ来場者にとって革新的
で魅力的な何かを生み出すよう、以下の提案・推奨から飲食物提供
の最適な形態を適宜取捨選択して頂きたいと考えている。
32 |博覧会会場における飲食物提供
ミラノ 2015
すべての参加者は、ミラノ博覧会 2015 への参加のなかでも飲食コン
ポーネントに特に留意されたい。自身が入居する物理的エリアのみ
ならず、また単なる商業的側面を超えて留意して頂きたいと考えて
いる。このため、20%ポリシーは実際の商業スペース(サービス販
売スペース)にのみ適用され、調製エリア、ショップ、その他バッ
クエリア、さらには飲食物の無料試食やエデュテインメントが行わ
れるエリア(調製ワークショップ、デモンストレーションなど)に
は適用されない。
ミラノ博覧会で可能な飲食物の形態の詳細は、さまざまなお客様に
満足していただける迅速なサービスによる飲食物の提供、ピーク時
への対応力、季節の農作物や天候の変化にあわせたメニュー構成変
更の提案、飲食物提供を来場者とのコミュニケーション手段さらに
は各参加者のアイデンティティを紹介する場とするなど、本ガイド
でも繰り返し登場している要素に基づいている。
以上を踏まえ、参加者は来場者の 2 種類の飲食ニーズに対処する方
法を見出すことが求められる。第一は、幅広い種類のお客様が集中
した場合の需要に対応したものであり、キヨスク、バー、持ち帰り
などクイックサービスのフリーフローに基づくものである。もう一
方は、参加者の優れた料理形態に深く参加できるような、ターゲッ
トを絞りこんだ飲食体験の提供である。後者の例としては、レスト
ランディナーの事前予約枠などが考えられる。
2 種類の飲食物提供形態は、異なる顧客セグメントを対象としてい
るが、どちらも同等に真剣な準備とマネジメントが必要である。ど
ちらも、来場者のさまざまなニーズに応え、ミラノ博覧会 2015 にお
ける飲食体験を豊かにするものである。
特に、自己建築型パビリオンを建設する参加者は、飲食物提供を含
めることが義務づけられている。開催者はすでに、
「公式参加者ガイ
ド-自己建築型パビリオン-設計・施工・設営・解体」
(2013、PDMS
で閲覧可能)で、飲食エリアの編成に関する規則・制限を発行済み
である。
上記ガイドの主要規則を以下に示す。詳細は上記ガイド参照:
•
利用可能なオープンスペースを最大限に活用し、何らかの形の
飲食物提供を行う
•
パビリオン入場の待ち時間を、飲食体験のチャンスとして活用
する
•
飲食エリアには専用入口を設ける
•
パビリオン内に、2 日分以上の飲食物を保管するよう手配する
博覧会会場における飲食物提供|33
•
飲食エリアに隣接して、専用トイレを設ける
•
ごみの分別回収を行う
ミラノ博覧会 2015 の最も革新的でテーマに即した要素である 9 つの
クラスター内の参加者エリアで、飲食をどう扱うかについて、開催
者は 2013 年ワーキンググループ会合の席上、参加者にモジュール型
のソリューションを示した。すなわち(2 階構成で)250 m2 のシン
グルユニットから一部クラスターで利用可能なトリプルユニットに
おいて、個々の参加者が自身の飲食物を提供できるというものであ
る。この方法なら、フロア面積が小さな参加者であっても、テーマ
に即したクラスター内で、マーケットの農産物から食のテーマに即
した展示に至るまで、豊かで多彩な飲食物を提供できる。
なお、クラスター内のシングルモジュール型パビリオンに入居する
参加者には、飲食物提供の有無を検討して頂きたい一方、ダブル/
トリプルモジュールに入居する参加者は、何らかの飲食物提供を行
うことが強く推奨される。
以下に、床面積に応じて各パビリオンでカスタマイズ可能なソリュ
ーションを 2 つ示す。なお、二階建てのユニットでは、飲食サービ
スは一階でしか許可されず、二階は事務所やスタッフ用のエリアに
制限される。
クラスター内パビリオンで飲食物を提供する第一の方法は、バック
エリアに 45 m2、飲食物提供エリアに 60 m2 をあてる、ワンフロア
のレイアウト構成である。以下の図が示す通り、45 m2 のエリアに
は調製(事前に換気口が設置されていれば調理も含まれる)、食品保
管、ごみ容器、スタッフの洗面所・トイレが配置される。60m2 の
エリアは、持ち帰り、展示、マーケット伝統食のサンプル販売(主
に乾燥食品が想定される)が意図されるため、来場者用の座席は設
けられない。
このソリューションはクラスター内の全サイズのユニットに適用可
能である。シングルユニット(二階分、250 m2)の場合、一階全体
を飲食サービス専用スペースとし、ダブルユニット(二階分、500 m2)、
トリプルユニット(二階分、750 m2)の場合、展示スペースも同時
に設けてよい。
第二の方法は、パックエリアを 75 m2 に拡張し、調製・保存、ごみ
容器、スタッフ用トイレ、さらには来場者用トイレを含めるという
ものである。この方法の場合、飲食物提供専用の 60 m2 に最大 40 人
分の座席を設けることが可能である。
34 |博覧会会場における飲食物提供
ミラノ 2015
このソリューションはダブルユニット・トリプルユニットのみ可能
であり、いずれの場合も展示スペースも設けることが可能である。
クラスター: 食品・飲料 提供
ミラノ博覧会 2015 でのアクセンチュア
A
B
C
調製
シングル ユニット.持ち帰りの例
ダブル (またはトリプル) ユニット持ち帰りの例
ダブル (またはトリプル) ユニット. 飲食物サービス+座席エリアの例
保管
m2
持ち帰りサービス
陳列
A 食品の調製
B 食品の提供
C マーケット展示、試食
m2
調製
保管
m2
持ち帰りサービス
m2
調製
m2
レストラン(最大 40 席)
陳列スペース
m2
陳列スペース
m2
m2
博覧会会場における飲食物提供|35
クラスターユニット内での飲食施設の詳細はクラスター技術規制
(PDMS)参照。
飲食物提供施設の設計に当たっては、参加者は保健/安全の規則・規
制を考慮しなければならない。詳細は「パビリオン内食品エリアの
衛生安全ガイドライン」
(2013、PDMS)参照。また参加者は、参加
形態の全体設計にあわせ、自身のパビリオンで利用可能な床面積の
特性を念頭に置かなければならない。ただしこうした考慮は、小さ
なロットの参加者を失望させるものではない。むしろ、以下の表に
示す通り、クイックサービスやキヨスクなど、数多くの来場者に迅
速にサービスを提供する飲食形態は、小型パビリオンで上手に運用
できる可能性がある。
参加者は、飲食物提供にクイックサービスと持ち帰りを含めること
が推奨される。これは、会場内の全飲食需要の 50%以上に参加者が
対処しなければならないと予想されることに加えてさらに重要なこ
とには、参加者の独自の食や最高の料理を、できる限り幅広い来場
者に提供できる形態であることによる。参加者が選択する他の飲食
物提供形態とともに、持ち帰りサービスを提供することが一般的に
推奨される。これにより、参加者の料理に関する口コミがさらに広
がるであろう。
なお、
GFK Eurisko によると、
注目すべきは来場希望者の約 6 割が、
世界中の食文化を発見できるような飲食体験を期待しているという
ことである。このため、数多くの来場者をさばけるような飲食物提
供形態が数多くの来場者の期待に応えることとなり、飲食サービス
を各参加者のやり方にあわせてテーマを伝達・表現する重要な手段
へと転化させることにつながる。
前述した通り、開催者は参加者、特に小型・中型のパビリオンでの
参加者に対し、多様性を確保しより多く幅広い来場者層が満足でき
るよう、飲食を 2 種類以上の方法で提供することを期待する。
この点を念頭に置き、参加者は、イベントのステージングに連動し
て飲食物を提供するよう手配することが勧められる。あらゆる伝統
には宴会的要素が含まれ、人々と文化の橋渡しとなり、エンターテ
インメントを一層味わい深いものにする。イベントのステージング
は、参加者のパビリオンを超えて飲食物を紹介する機会となる。
具体的には、例えばミラノ地域のレストランとの各種コラボレーシ
ョンにより、博覧会会場を越えてこれまでにない飲食の形態を創出
することなどが考えられる。このような取り組みは、何度も行われ
るフェスティバルや特別イベント(国家的記念日など)、あるいはエ
キスポ・バイ・ナイトのような非公式なエンターテインメントに特
に適していると考えられる。
36 |博覧会会場における飲食物提供
ミラノ 2015
博覧会会場の共有エリア(参加者のパビリオンの外側)でのイベン
ト開催については、ミラノ博覧会 2015 イベントガイドラインを参照
(近日 PDMS で公開)
。
参加者は、本ガイド附属書 I のフォームに記入し、パビリオン内で
提供する飲食形態を開催者にお知らせ下さい。
最後に、テーマ説明書の中で、特定のテーマ旅程表(itinerary)の
一部を成すことを表明している参加者は、テーマ別旅程表のサブテ
ーマ専用のスペシャルメニューを考案するよう要請する。
以下の表に、バビリオンの大きさ別に推奨される飲食形態を示す。
形態
ウェイター
1
推奨パビリオン
サービスの特徴
高級ダイニング
サービス
面積
原材料の質、加工方法、盛り付けの点で最高水準を満たして調理された食事を提供
大以上
するレストラン。訓練の行き届いたウェイターと、フランス料理の完全なヒエラル
キー(メートル、シェフ・ドゥ・ラン、コミ・ドゥ・ランなど)にのっとり、高い
レベルのサービスを提供する。通常はソムリエも擁する。ドレスコードが存在する。
2
クラシック&
幅広い価格帯で質の高い飲食サービスを提供する施設。さまざまな農作物を使用し、
カジュアル
メニューの選択肢がある。客はテーブルで食事を供される。バーサービスを設けて
中以上
もよく、通常は限定的なワインリストを持つ。
セルフ
3
フリーフロー
サービス
大規模なケータリング施設。安くて多彩なメニューと迅速なサービスを提供する。
大以上
セルフサービス式で、客は通常はトレーを使用してさまざまなスタンドに並べられ
た料理を自分で取り、レジで支払いを済ませ、食堂で座席を自分で確保して食べる。
4
ビュッフェ
固定価格でさまざまな種類の料理を提供する。ビュッフェテーブルに料理が並べら
大以上
れ、皿やカトラリーはセルフサービスで確保する。料理の種類は少ない場合も多い
場合もあり、サラダ、温/冷スープ、デザート、果物を含む。特定のアイデンティテ
ィに関連した料理が提供されることが多い。ウェイターはドリンクの提供やテーブ
ルの片付けを行う。
5
クイックサービス
安い食事をスピーディーに提供する飲食施設。通常は 1 種類の商品のみ扱う。カウ
中・小
ンターの背後に調製エリアがあり、客はカウンターで食事の提供を受け、テーブル
で食べる。食事はカウンターでの再加熱や短時間調理方法などでスピーディーに用
意される。
6
キヨスク
スピーディーなサービスを提供する。フードはシンプルで、最小限の調製しか要し
全
ない。座席はない。
7
バー
スピーディーなサービスで幅広いメニューを提供する施設。客はフードの調製が行
全
われるバーで料理を受け取り、席に座って食べる。フードは調理不要、加熱または
焼く以外の調製は行われない(サンドイッチ、パニーニ、冷製メニュー、サラダな
8 デリカテッセン、ス
トリートフード
ど)。
デリカテッセンは、高級食事施設または高級食品店と位置付けられ、飲食スペシャ
全
リティを販売する店舗からなる。テーブルはないが、試食用の什器を備えたエリア
(調味料やテーブルウェアを用意したカウンターか島など)を設けてもよい。
ストリートフードは、路上またはその他の公共の場所(マーケット、フェアなど)
ですぐ食べられる飲食物を提供し、路上販売者または手押し車で販売される。
自己建築型 ロットの面積: 小 – 1,000 m2 以下、中 – 1,000 ~2,000 m2
大 – 2,000~約 3,000 m2、特大 – 約 3,000 m2 以上
クラスター ユニットの面積:クラスター内ユニット(シングル、ダブル、トリプル)は、飲食物提供に関しては小型の自己建築型ロットと
みなされる。
博覧会会場における飲食物提供|37
6章
食品・飲料ロジスティクスモデル
食品・飲料のロジスティクス
ミラノ博覧会 2015 テーマガイドに記載されている内容に従い、飲食
物の提供は博覧会の成功を左右する基本的な役割を果たし、ビジタ
ー体験の重要な部分をなす。
よって開催者は、全参加者が食物取扱規則、衛生安全基準、および
前述の飲食物搬入規則に適合しつつ、質・量ともに最高の飲食物を
提供できるよう、博覧会会場内の飲食物供給のロジスティクスを規
制する。
一般原則
参加者とミラノ博覧会 2015 全体にとって最も効果的かつ効率的な
ソリューションと最高の結果を実現するため、開催者の規制は以下
の 2 点を原則とする:
1.
飲食物の調達に関するセルフマネジメント。参加者は、以下の
条件に従い、a)または b)から飲食物を自由に調達できる:
- a) 参加者が選んだ国内・国際サプライヤー
- b) 開催者が公式選定した国内・国際ベンダーが供給する商品
飲食物のロジスティクスのセルフマネジメント。参加者は、以下の
いずれかを用い、自身の飲食物の納品を自由にマネジメントできる:
- a) 開催者が推奨する公式フードロジスティクスパートナー。博覧
会会場内への優先入場権を持つ。
- b) 認定フードロジスティクスパートナー。開催者が直接認定・推
奨するか、参加者が選定し開催者がこれを認定する。博覧会会
場内への優先入場権を持つ。
- c) 自身が選んだフードロジスティクスパートナー。食品取扱規制、
衛生安全基準、およびサプライヤーによる飲食物搬入規則(次
項参照)に従うことを条件に、参加者のフードサービスポイン
トへの商品納入のため博覧会会場への入場を許可される。
2.
38 |食品・飲料ロジスティクス
博覧会会場への日々の入場のスケジューリング・許可。博覧会
会場への日々の入場のスケジューリング・許可は、マスターデ
リバリースケジュール(MDS)統合プラットフォームで行う。
MDS は開催者のセキュリティ基準に従い、原材料やサービスの
フローを管理する。
ミラノ 2015
開催者は、参加者自身のフードサービスポイント(自己建築型パビ
リオンまたはクラスターエリア)への飲食物の調達に関するすべて
の決定について、参加者のみに責任を負わせる。このため参加者は、
飲食物のマネジメントサイクル全体を保証しなければならない。こ
れには、調達、購入、発注、輸送、ストック管理(倉庫・パビリオ
ン内)
、ロジスティクス、参加者フードサービスポイントへの商品納
入が含まれる。
EU は、食品・飲料の安全衛生に関する具体的な規則・規制・ガイ
ドラインを発行しており、これは全加盟国の輸入に適用される。こ
れらの抄録を PDMS で参加者に公開する。
上記原則は、洗浄可能なカトラリーの代わりに使われる使い捨てケ
ータリング商品(プレート、ソーサー、カトラリー、アイスクリー
ムスプーン、グラス、カップ、ボール、トレー、および飲食物を供
するためのその他容器)のサプライヤーにも適用される。こうした
サプライヤーは EN 13432 基準に適合しなければならない。すなわ
ち、用途(例:温かい飲み物、冷たい飲み物)に合わせる必要があ
り、分別後に廃棄物管理センターで生分解・コンポスト化可能でな
ければならず、またこうした性質について第三者機関の認定を受け
なければならない。開催者は、一つまたは複数の公式サプライヤー
を選定する権利を有し、参加者はその中から必要な原材料を調達す
る公式サプライヤーを選ぶことで、商品特性を保証する。
参加者が自由に選んだサプライヤーは、いずれの場合も、上述の商
品特性の確認を含む開催者認定プロセス(次項参照)に適合しなけ
ればならない。
サプライヤー
ミラノ博覧会 2015 のテーマ「地球に食料を、生命にエネルギーを」
は、ビジター体験の中心に飲食物を据えるものである。このため、
飲食サプライチェーン全体のマネジメントとロジスティクスは博覧
会の成功を決定づける極めて重要な要素である。最重要であること
に加え、これらは、ロジスティクスに大きな影響をもたらす大規模
イベントならではの次の特性により、特に複雑さを増す:
•
イベントスケジュール:各種日付は絶対であり、変更不可能。
•
規模の大きさ:参加者、来場者、企業数とも非常に多いことか
ら、限られた時間内に膨大な量の商品が扱われる
•
不確実性・需要の変動性:会期中の特定時期に、量(納品希望
量)
、種類(通常と異なる/多彩な納品ニーズ)の点で需要のピ
ークが来ることは避けられない。
食品・飲料ロジスティクス| 39
•
国際イベント:世界各国からの参加者のロジスティクスを扱わ
なければならない。その際、各国特有の事項に留意しつつ、開
催国の規則に従う必要がある。
公式サプライヤー
こうしたロジスティクス・組織課題を克服すべく、開催者は参加者
との相互協力の精神のもと、公式サプライヤーを選定する。公式サ
プライヤーは参加者に対し、高品質で効率的なサービスを保証する。
公式サプライヤーは、あらゆる地域と国内外の特産品をカバーする
質の高い食品・飲料品を提供することで、参加者自身が食品を最高
の状態で提供するためのサポートを行う。
公式サプライヤーはまた、コールド、生鮮品、乾燥品などあらゆる
分野のサプライチェーンマネジメントを行い、飲食物の取り扱いに
関する特定のロジスティクスサービスを提供できる。
公式サプライヤー/パートナーは、
ミラノ博覧会 2015 のニーズをカ
バーする具体的な分野に関する申請書(RFP)の提出を受けて選定
されたサプライヤーと定義される。
各参加者は、上記の原則に従い自身の国内・国際サプライヤーを選
定でき、自身のロジスティクスとストックの自己管理を行うことが
できる。しかしながら、調達管理を最適化し、オペレーションを単
純化し、環境の持続可能性を確保するためにも、開催者は全参加者
に対し、フードサービスポイントに関連する全ケータリング活動に
は、できる限り公式サプライヤーを利用することを提案する。
認定サプライヤー
選定されたサプライヤーが、質・量とも最高のサービスを参加者に
提供するよう、開催者は、通常業務の一環として博覧会会場内に定
期的に商品またはサービスを納入するサプライヤー(またはパート
ナー、スポンサー)に認定を与える。
認定サプライヤーは、博覧会会場内に商品またはサービスを供給す
るにあたり、自社倉庫で納品物を直接検査し、チェックし、
・シール
添付を行うことができ、以下に記す通り入場ゲートのアクセスと検
査を一本化することが可能である。
認定サプライヤーとなるには、サプライヤーは以下 2 つの方法で、
納品物の真正性を保証しなければならない:
1.
40 |食品・飲料ロジスティクス
納品物の安全認定:倉庫に入る商品・原材料は点検のうえ、法
令または類似文書に適合していること、また税関・保健・植物
検疫規制が存在し正しいことを確認しなければならない。包装
のシールも点検する場合がある。その後すべての出荷分に X 線
検査・目視検査を行う。
ミラノ 2015
2.
調達プロセスの安全認定:博覧会会場向けの最終商品は、博覧
会の安全基準を満たすいたずら防止(タンパープルーフ)認証
済みのサプライチェーンを経て生産されたものでなければなら
ない。飲食物の公式認定サプライヤーは、食品認証に関する EU
法令に従い、商品の原産地を保証しなければならない。
商品の認証
認定サプライヤーが認定プロセスに正確な安全プロトコルを導入し
なければならない分野は、以下の 4 つである:
•
•
•
•
倉庫
職員
車両
シール、ドキュメンテーション
各分野の手順は次の通りである:
倉庫
•
博覧会会場への搬入物の保管倉庫は、許可を得た職員のみが入
場できる限られた数の入口を持つエリア(エキスポ・ワークス
ペース)を別途設けなければならない。
•
エキスポ・ワークスペースは、適切な高さのフェンス(2.5m 以
上)と、監視付き入場口(防犯カメラまたは守衛)によって保
護されなければならない。
•
荷積・荷下ろしを行う車両を記録しなければならない。
•
エキスポ・ワークスペースへのアクセスは、防犯カメラまたは
守衛によって毎日 24 時間監視されなければならない。
•
倉庫への立ち入りは、許可を得たスタッフのみとする。
•
スタッフおよび私物は、エキスポ・ワークスペース立入前に保
安検査を受けなければならない。
職員
•
サプライヤーは、博覧会会期中、認定プロトコルを実施するた
めに特定職員(監督者、倉庫職員、ドライバー)を配置しなけ
ればならない。
•
上記職員は、警察によるバックグラウンドチェックに合格し、
信用が確認されなければならない。
•
各サプライヤーは、商品の管理、検査、シーリングの監督者を
特定しなければならない。
•
博覧会会場に入場するすべての職員は、通常の博覧会認可プロ
グラムに従い、認可を受けなければならない。
車両
サプライヤーの車両は、以下の要件を満たすものとする:
•
車両は、博覧会オペレーション専用とする。
•
商品積載部は運転席と分離していなければならない。
食品・飲料ロジスティクス| 41
ミラノ博覧会 2015 でのセレス ES
•
•
商品積載部には、セキュリティシールに適合する施錠を施す。
商品積載部には、金属製の側面または防水カバー(穴や破れが
なく、端を密封できるもの)を設ける。
シール、ドキュメンテーション
シールは機密性のあるセキュリティアイテムであり、その使用を追
跡しなければならない:
•
サプライヤーの監督者は、セキュリティシール記録簿(ログ番
号、用途、最終処分)を作成する
•
各車両は車両点検証を搭載する。車両点検証は、貨物とシール
に関する完全な情報が含まれており、ドライバーに渡される。
•
シール記録簿と車両点検証は、検査に備えて安全な場所に保管
しなければならない。
調達プロセスの認定
調達プロセスには、全認定サプライヤーが正確なセキュリティプロ
トコルを導入しなければならない分野が 2 つある:
品質、セキュリティ、トレーサビリティ
開催者は全公式・認定サプライヤーに対し、品質・セキュリティ要
件を満たすことを目的に、食品安全・トレーサビリティ基準、HACCP
基準への適合を保証する特定のプロセスや商品管理を導入し、こう
した基準を満たす商品やサービスを提供することを義務づけている。
プロセスコントロールには、食品安全手順(サプライヤー到着確認、
保管・加工から参加者パビリオンヘの輸送・納品までの間の複数回
の点検など)の適用が含まれ、コールド/生鮮品のサプライチェーン
コントロール用 IT システムの使用を含む。
商品検査には、流通または加工サイクル中にサンプルを採取し、食
品のコンプライアンスを確認する(ラベリング、微生物特性、残留
物質、禁止成分など)ことが含まれる。公式・認定サプライヤーが
流通させる商品は、何千もの試験を含むサンプリングプログラムの
対象となる。
環境の持続可能性
開催者が選定した公式・認定サプライヤーは、以下を保証しなけれ
ばならない:
•
•
•
•
提供サービスに、環境マネジメントシステムが導入されている
こと
生産プロセスの持続可能性
生産チェーンおよびサプライヤーとの関係の持続可能性
CSR の取り組み
公式・認定サプライヤーは、以下の責任も負う:
•
•
42 |食品・飲料ロジスティクス
適格かつ妥当な場合は、開催者の「グリーン調達ガイドライン」
に示す通り、商品およびサプライチェーンのグリーン調達基準
を満たすこと。
開催者の「グリーン調達ガイドライン」を満たす包材を使用す
ること。
ミラノ 2015
•
•
積載率 60%以上になるよう、積荷を最適化すること。
ユーロ 5 以上のエコサステナブル車両を使用すること。
認定の手順
公式サプライヤー、パートナー、スポンサーの認定(イタリアに直
接存在または代表を置くサプライヤーのみが対象)までの手順は、
以下の通り:
• 申請
• 自己認定
• ドキュメントチェック
• 認定前監査(オプション)
認定手順の詳細は以下の通りである。
申請
認定プログラムへの正式な参加申請書を、開催者に提出する。
自己認定
申請者は、上記の分野における基準を満たしていることを示す自己
認定文書を作成する。
ドキュメントチェック
申請者が示すシステムの全部分について、開催者がセキュリティを
チェックする。最も重要な部分について申請者と話し合うミーティ
ングが含まれる場合もある。
開催者による認定前監査
Expo 2015 は、申請者が設けていると宣言する全セキュリティ手順
を対象に、いつでも現地調査を行う権利を有する。申請者が監査に
不合格の場合、Expo 2015 は認定を取り消すか、またはセキュリテ
ィプログラムを変更して認定要件を満たすようサプライヤーに要求
することができる。
その他サプライヤー
ミラノ博覧会 2015 のテーマ「地球に食料を、生命にエネルギーを」
では、博覧会におけるフードサービスをビジター体験の中核に据え
ている。このため、飲食物のサプライチェーンマネジメントは博覧
会の成功にとって極めて重要である。しかしながら、参加者パビリ
オンのフードサービスポイントの運営・供給を参加者に完全に任せ
るべく、開催者は参加者に対し、Expo 2015 が選定・認定したサプ
ライヤーではなく、参加者自身が選定したサプライヤーの利用を許
可する決定を下した。
開催者がミラノ博覧会 2015 を成功させるという最終目標を実現す
るには、参加者と開催者との間の組織的シナジー効果が大きく影響
してくる。そのため、参加者に対し自身のパビリオンの運営と調達
にある程度の自由を持たせるべきとの決定に至った。
このため開催者は、参加者が信頼関係を確立しているサプライヤー
を使用したい場合、これを許可する。信頼関係は、従来のパートナ
ーシップに基づくものと、満たすのが難しい特性を持つ納品につい
て特別保証およびより良い条件を提供できることを理由にするもの
のうち、いずれも可とする。
食品・飲料ロジスティクス| 43
ただし参加者は、飲食物の原産地を保証・認証し、また、2004 年 4
月 29 日に欧州議会および欧州理事会が通過させた食品衛生規制 EC
852/2004 および法律へのサプライヤーの適合を保証・認証しなけれ
ばならない。
同様に、ロジスティクスプロバイダーに関連して、参加者は、飲食
物の取扱・保管・輸送の全段階(例えば、コールド/生鮮サプライチ
ェーンの連続的温度監視)を保証・認証しなければならない。
開催者は、参加者が独自に選定したロジスティクスプロバイダーに
依存するフードサービスポイントで提供された商品の品質に関し、
一切の責任を負わない。
博覧会会場へのアクセス
会期中、博覧会会場への車両入場は、北側の外周に沿った 7 ヵ所の
ゲートから可能となる(南側の外周は鉄道とイタリア郵便集配セン
ターがあるため、車両アクセスは不可。博覧会会場へのアクセスに
関する詳細情報は付属書 3 参照)。すべてのゲートには、車両と人を
監視する保安検査ポイントが設けられている。外から「ループ」
(博
覧会会場全体の外周と東側エントランスエリアを走る環状道路)へ
のアクセスは、北側の 7 ヵ所のゲートから可能とする。
環状道路へのアクセス方法の制限を踏まえ、また緊急車両の通過に
重なる可能性を最小限にしつつ物流フローを最適化するため、開催
者はゲート別に目的を定めることにした。具体的には以下の通り:
•
ゲート 1:緊急車両・サービス車両
•
ゲート 2、3、4:飲料・食品搬入用
•
ゲート 5: 一般商品納入用
•
ゲート 6: VIP アクセス(日中)
、非食品の搬入、必要に応じ
て食品・飲料の搬入(夜間)
•
ゲート 7:道路清掃・ごみ収集
以下に、各ゲートの詳細を示す。
44 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
ゲート 1、2
北西出口前エリアの近くに設けられ、ゲート 1 はループまでの両側
通行路、ゲート 2 はエキスポセンターへのアクセスを提供する。
誤って入場した場合、または保安検査により入場が拒否された場合、
ゲート 1・2 とも U ターン可能である。ゲート 2 からは即時退出が
可能である。ゲート 1 は主に緊急車両・サービス車両用とし、ゲー
ト 2 は飲食物納入車用とする。
ゲート 3
ゲート 3 は、ループへの直接入場か、エキスポセンターより北側の
サービスエリアへのアクセスを提供する。日中はループシャトルが
エキスポセンターから発車し、夜間は荷積・荷下ろしに使用できる。
誤って入場した場合は U ターンが可能。
エキスポセンター西側のループは一方通行(図参照)。ゲート 3 は、
飲食物納入車用とする。
入口経路
出口経路
一
方
通
行
ゲート 4
ヴィア
クリスティーナ
ベルジョイオーソ
ロ
ー
Via Cristina Belgioioso(Rho・タウンセンターに至る一般道)か
らループに入るゲート。幅 7.5m と 7 つのゲート中最も広い。誤っ
て入場した場合、ループに入る前に U ターン可能。ゲート 4 は飲食
物納入車用である。
ゲート 5
ヴィア
モ ン テ ッ ロ
Via Montello沿いに設けられており、両進行方向とも会場に入らず
直進することで U ターン可能である。アクセスバーは幅 3.5m。近
隣の倉庫から近いため、主に一般商品配送車用とし、必要な場合は
飲食物納入車も使用できる。
ゲート 6
ヴィア
クリスティーナ
ベルジョイオーソ
Via Cristina Belgioiosoの終端に位置し、幅 4 メートル以下の車両
が入場可能。
先日、中心部の通行とループへのアクセス性向上をはかる新たなア
クセス条件が最近設けられ、U ターンも容易になった。
食品・飲料ロジスティクス| 45
ゲート 6 はヘリポートに近いことから、営業時間中は VIP 用、夜間
は非食品搬入専用とするが、必要な場合は飲食物の搬入にも使用で
きる。
入口経路
出口経路
ゲート 7
新設道路からループに入るゲート。この新たな道路は東出口エリア
ヴィア ク リ ス ティ ー ナ ベ ル ジ ョ イ オ ー ソ
を通過し、Via Cristina Belgioioso(サッコ病院方面)に出ること
ができる。U ターン可。
ゲート 7 はごみ収集車・博覧会会場内の道路清掃車専用とする。
入口経路
出口経路
ゲートの装備と構造
各ゲートは以下を装備する:
•
バリア 3 基
•
係柱 4 本
•
X 線検査器(手荷物検査用)1 台
•
金属探知ゲート 2 台
•
爆発装置センサー(EDS)1 台
•
鏡 1 枚(車両の下をチェックするため)
•
ターンスタイル(自動改札口)2 基
46 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
セキュリティ職員:
•
セキュリティガード 1 名(武器は携行していない)
•
セキュリティスクリーニング・オペレーター2 名
ループ
各ゲートからは「ループ」と呼ばれる、博覧会会場全体と東出口エ
リアを走る環状道路にアクセスできる。
ループは全長 5.2 キロの両側通行道路で、営業時間中は来場者が会
場内を短時間で移動できるよう、
「ピープル・ムーバー」と呼ばれる
シャトルバスが運行される。ループ沿いには 5 ヵ所の駐車場(下図
オレンジ色で表示)が設けられる。
夜間には、参加者パビリオンの全商品の搬入、および営業時間外に
行うその他サービス(メンテナンス、清掃、ごみ収集、自動販売機
オペレーターなど)の主要通路となる。ループから博覧会エリアに
アクセスするには、博覧会エリアを取り囲む運河に設けられた橋を
渡る。ループは主に両側通行だが、前述の通り一方通行のセクショ
ンがある(ゲート 3 参照)
。
ループから博覧会会場へ
ループから博覧会会場へは、外周と西側区域に沿って設けられた車
両橋と 5 つの歩道橋を通じてアクセスするほか、エキスポセンター
北側と北西出口に設けられた特別通路からアクセスする。車両橋と
歩道橋の大きさはさまざまだが
(図参照)
ほとんどは幅 8.2m である。
食品・飲料ロジスティクス| 47
下図では、橋の幅をそれぞれ異なる色で示す。すべての橋は両側通
行だが、交通の流れを最適化するために一方通行の標識を設ける場
合がある。
歩道橋
車両橋 8.20 m
車両橋 7.50 m
車両橋 12.50 - 15 m
車両橋 18 m
会場内の道路
博覧会会場内の道路は原則として一方通行だが、デクマヌスとカル
ドを例外とすることを検討中である。道路幅は以下の通り:
•
デクマヌス、カルド:35m
•
(カルドに並行する)2 次道路:8m
•
(デクマヌスに並行し、)2 次道路をつなぐ道路:4~5 m
•
運河沿いの道路:3~5m
以下では、一方通行路を茶色、必要に応じて両側通行可能な道路を
オレンジ色で示す。また歩道橋も示す(P0b、P0c、P09、P10、P22)。
48 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
博覧会会場への搬入制限
搬入時間
搬入、荷下ろし、専用保管エリア(食品用は冷蔵)への納入は、博
覧会会場の営業時間外に行う:
•
月・火:午前 0:00~午前 5:00
•
水~日:午前 3:00~午前 7:00
この時間帯の商品搬出入車両のアクセスは、マスターデリバリース
ケジュール(次章で詳述)で厳しく規制される。マスターデリバリ
ースケジュールでは、博覧会会場へ入場する各車両に厳密な時間枠
を割り当てる。
マスターデリバリースケジュールでは、上記の時間帯のなかから正
確な搬入時刻を指定する。
外部倉庫からの緊急搬入、または会場内での商品の移動は、切実に
必要な場合のみ検討できる。これらが会場営業時間内に必要な場合
は、エキスポセキュリティ規則・基準に必ず従うほか、その都度ミ
ラノ博覧会 2015 の評価と承認を得なければならない。
配送車
博覧会会場内の車の通行スペースが限られていることとレイアウト
を考慮に入れると、長さ 7m 以上の車両は通行できない。このため、
搬入には以下のような、相対的に小型の車両を使うことが望ましい:
エステート
最大寸法 (LxLxH)
4 x 1.8 x 1.6
性能 600 リットル
ボックスバン
最大寸法 (LxLxH)
6.5 x 2.1 x 2.5
性能 1,000 リットル
小
最大寸法 (LxLxH)
3.8 x 1.7 x 1.7
性能 800 リットル
バン
最大寸法 (LxLxH)
6.00 x 2.1 x 2.5
性能 1,000 リットル
トラック
最大寸法 (LxLxH)
7.5 x 2.4 x 2.9
性能 18-2,500 リットル
持続可能性
持続可能性は、ミラノ博覧会 2015 の哲学と軌を一にした、基本的な
関心事である。ミラノ博覧会 2015 への商品・サービス提供の環境負
荷を最小限に抑えるため、
「グリーン調達ガイドライン」が発行され
ている。全参加者、パートナー、スポンサー、サプライヤーに送付
されており、パビリオンの装置・什器、マーチャンダイジング、包
装、清掃商品の調達、ならびに飲食関連の活動に特に重点を置いて
いる。
食品・飲料ロジスティクス| 49
博覧会会場への搬入車両には、ユーロ 4 以降の排気ガス抑制システ
ムを搭載しなければならない。電気自動車、ハイブリッド車、最新
世代バイオガス車が優先される。
物流効率を最大限に高め、博覧会会場に入場する車両の数を最小限
に抑えるため、開催者は、車両積載率を 60%以上とすることを強く
推奨する。
速度制限
人の安全を最大限に保証するため、会場内の制限速度は時速 30km
とする。ループでは、住宅区域の速度制限である時速 50km が適用
される。
会期中の会場へのアクセス
会場の保安
会期中は最高レベルの安全性を保証するため、博覧会会場の外周全
体(ハードリングと呼ぶ)を IATA が空港に定めるものと同様の保
安レベルで保護する。開催期間が近づいたらエリア全体を閉鎖し、
ハードリングへのすべてのゲートをクローズする(ロックダウン)。
ロックダウンは、博覧会会場のライフサイクルのうち、保安計画が
実施され、すべてのアクセス制限策が有効になる時期を指す。ロッ
クダウンをもって、IATA が空港に定めるものと同様の保安手順が会
場に導入される。ロックダウンは博覧会初日の数日前に開始し(参
加者には正確な日付を PDMS で通知する)、2015 年 10 月 31 日に
終了する。ロックダウン開始後は、開催者が許可した車両以外はハ
ードリング内への立入が禁止される(DB シェンカー、清掃・メンテ
ナンスサービスなど)。
博覧会会場アクセス規則
ロックダウン期間中は、博覧会会場へのアクセスは開催者の保安規
制により管理される:
50 |食品・飲料ロジスティクス
1.
車両許可:すべての車両(トレーラーを含む)は、許可データ
ベースにログオンし、車両種別・車種・モデル・登録プレート・
積載量を特定しなければならない。
2.
車両は、商品アクセスセキュリティ手順に適合しなければなら
ない。これには貨物のスクリーニングと、貨物への封印シール
添付が含まれる。加えて、車両は参加者からの発注の証拠、お
よび(行われていれば)事前保安検査の証拠を示す正しい輸送
文書を積んでいなければならない。会場に入場するすべての商
品および原材料は事前チェックを受け、搬入が禁止されている
アイテムが含まれておらず、かつ輸送中に貨物の真正性が損な
われていないことを示す封印シールを付さなければならない。
ミラノ 2015
3.
ライバーの認定:ドライバーは全員、認定データベースにログ
オンするほか、開催者発行の ID パスを携行しなければならない。
4.
車両でのアクセスは、マスターデリバリースケジュールにてあ
らかじめ予約しなければならない(以下参照)
。MDS での予約
を経ていない搬入は許可されない。
ロジスティクスの効率性を最大限に高めつつ、会場内に入る車両の
数を最小限に抑えるため、開催者は車両積載率を 60%以上とするこ
とを強く推奨する。
公式・認定サプライヤーの博覧会会場へのアクセス
公式サプライヤーおよび認定サプライヤーは、アクセススケジュー
ルで優先権を得ることができ、参加者のフードサービスポイントへ
の商品を適時に届けることが保証される。
公式サプライヤーおよび認定サプライヤーの場合、入場方法は以下
のとおり非常に簡単である:
MDS で予約
貨物の準備
ゲートに到着
車両に
封印シール添付
保安検査
MDS で予約
サプライヤーは、以下の方法で会場入場許可を申請する。
貨物の準備と封印シール添付
貨物はサプライヤー倉庫内で許可を受けた職員により準備され、安
全が完全確保され区分けされた搬入口に置かれる。貨物の準備がで
き、最終目的地別に分類されたら、会場内への輸送に向けて車両に
積み込まれる。積み込みが完了した車両には封印シールが施される。
車両への積込・封印シール添付の手続きは終始監視し、認証を受け
なければならない。
入場ゲートに到着
車両は直接入場ゲートに来て良い。MDS に示された時刻または時間
枠(一般に 10~15 分)内に到着しなければならない。
保安検査
ゲートでは、以下の保安検査を行う:
•
車両許可チェック:車両やトレーラー(トレーラートラック、
セミトレーラーなど)のアクセス許可(バッジ、ステッカー)
のチェック、車両登録プレートの確認
食品・飲料ロジスティクス| 51
•
ドライバー許可チェック:ドライバーと同乗者のアクセス許可
と ID パスの照合・確認
•
承認一連番号と封印シール番号の照合
•
積荷輸送文書の確認
•
MDS 予約確認:スケジュールとアクセス時刻の確認
車両点検。点検中、ドライバーと同乗者は車内にいてはならない。
私物は車外に出してスクリーニングを受け、本人はチェックポイン
トで保安検査を受ける。車内ではランダムチェックが行われる。検
査では、選ばれたエリア(とその中身)について手動で完全なチェ
ックが行われ、禁止品目が含まれていないことを合理的に確認する。
特殊器具として、爆発物検出器や車両の下をチェックする鏡などが
使われる。ランダムチェックとして、ドライバーに貨物を開けるよ
う依頼し、商品を直接検査する場合もある。
その他サプライヤーの博覧会会場へのアクセス
その他サプライヤーは、博覧会会場への入場許可を受ける前に、以
下の照合・認証・検査プロセスを経なければならない:
貨物の準備
ドライバー 登録
車両 登録
原材料
スクリーニング
合格すれば
MDS での予約
保安検査
サービススクリーニング
エリアに到着
照合
許可
車両
スクリーニング
車両に封印シール
添付
文書発行
ゲートに到着
サービススクリーニングエリア
サービススクリーニングエリアは、全保安手順のほか、商品の照合・
検査(原材料スクリーニング)
、および会場搬入車の照合・検査(車
両スクリーニング)を行うことを目的に、開催者が指定するエリア
である。
開催者は、サービススクリーニングエリアの場所とサプライヤーを
参加者に伝える権利を有する。なおこれらは博覧会会場から 30 分以
内、大ミラノ都市圏に設けられる。
照合・登録・承認
ドライバーと車両の照合・登録・承認プロセスには、開催者による
保安検査と警察の協力が最終的には関わってくる点に注意が必要で
ある。
52 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
このため最低 3 時間は考慮に入れておかなければならない。これは
一切の例外なく適用されるため、参加者はサプライヤー選定にあた
ってこの点を考慮しなければならない。
車両検査
サービススクリーニングエリアでは、会場への入場を許可する前に、
車両を対象に以下の保安検査を行う:
•
ドライバーの許可をチェックする。許可がない場合、ドライバ
ーはデータベースで許可を完了しなければならない。
•
車両の許可をチェックする。許可がない場合、車両はデータベ
ースで許可を完了しなければならない。
•
運転席の検査
•
車両外側の検査
原材料スクリーニング
サービススクリーニングエリアでは、商品の保安検査も行う。その
他サプライヤーが会場内に商品を持ち込む際には、以下を行う:
1. 商品のスクリーニングを行い、個別に X 線検査器を使ってチェッ
クする。
2. X 線スクリーニングに合格した商品には「セキュアグッズ」のマ
ークが付される。
3. 積荷がスクリーニングに合格したことを示す文書が発行される。
上記の検査に合格すれば、車両には封印シールが付され、サプライ
ヤーは MDS でアクセス申請を行う。
スクリーニングに不合格の場合、搬入は先に進めず、商品受入は許
可されない。
博覧会会場への入場許可、X 線検査、商品の封印シーリングの料金
は後日通知する。
開催者は、参加者が直接選定したサプライヤーの不適合に関する一
切の責任を負わない。検査は商品の目視検査と、顧客の発注に文書
が対応していることを確認することにとどまる。
MDS での予約
サプライヤーは、博覧会会場への入場許可を申請しなければならな
い(次章参照)。申請を期日までに MDS に入力した場合、スケジ
ューリングは通常通りに行われる。申請が期日を過ぎた場合は、車
両入場を許可できる空いている時間枠を見つけるために最大限の努
力が必要である。
ゲートに到着
車両は直接入場ゲートに来て良い。
食品・飲料ロジスティクス| 53
MDS に示された時刻または時間枠(一般に 10~15 分)内に到着し
なければならない。
保安検査
ゲートでの保安検査は前述の通りである。
マスターデリバリースケジュール
ミラノ博覧会 2015 は、大ミラノ都市圏内の住宅と工場が密集する地
域で開催される。
前述の通り、博覧会会場近隣は道路が密集しており、交通量も多い
一方、環境負荷低減が求められており、また入場ゲートでの車両保
安検査が行われることを考えると、博覧会会場周辺の交通管理はと
りわけ複雑である。
こうした要素から、ミラノ博覧会 2015 ほどの大型イベントにふさわ
しく効率的かつ効果的に、博覧会会場から搬出入される原材料・サ
ービスのフローを管理するための、手順やサポートツールが必要で
ある。
マスターデリバリースケジュール (MDS)は、オリンピック、各
種万博、展示会などの大規模イベントで導入実績のあるフローマネ
ジメントシステムである。これは、会場への商品とサービスの全搬
入スケジュール(人の輸送以外のすべて)をあらかじめ設定するも
のである。本質的には開催者のニーズに応えるために開発された車
両アクセスマネジメントシステムであり、会場からの搬出入のフロ
ーマネジメントを保安性・効果・効率性をもって行うものである。
本節では、マスターデリバリースケジュールの主な機能、プロセス、
手順を説明する。
MDS の仕組み
MDS は、会場のレイアウトと入場ゲートの詳細情報、および事前定
義された各種パラメータを用い、博覧会会場内の目的地との往復の
交通を最もスムーズにするような、毎日のゲートアクセススケジュ
ールを作成・出力する。特定パビリオンまたは会場内の特定エリア
への特定日付の搬入申請データを入力する。
申請は搬入前日の午後 8
時までに行わなければならない。
アクセス時刻が重複した場合、MDS はこれを明らかにし、別のソリ
ューションを提案することも可能である。
午後 8 時までに申請を行わなかった場合、優先ルール(次章で説明)
を考慮しながら、最大限の努力をもって博覧会会場へのアクセスの
スケジューリングを行う。
ロジスティクスモデル
MDS システム運用開始次第(会場のロックダウンと同時に行う予
定)、博覧会会場へのすべての搬入は、出発地を問わず MDS でス
ケジューリングを行う。
54 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
MDS でスケジューリングを行わない搬入は許可されない。
これは、イタリア国内外の車両を問わず、以下の車両に適用される:
•
DB シェンカー倉庫から原材料を搬入する車両
•
サプライヤー、スポンサー、公式パートナー、または博覧会会場
に直接搬入するその他の車両
•
サービス車両。例:
-
ごみ収集車、道路清掃車
-
飲食物搬入車
-
メンテナンス車
-
その他
MDS スケジュールとの照合は、会場へのアクセスゲートで行う。車
両は MDS に示された時刻または時間枠(一般に 10~15 分)に到着
しなければならない。これを過ぎて到着した車両は、開催者が決定
する保安手順に従わなければならない。
MDS アクセス予約方法
データベースの
セットアップ
MDS スケジューリング
アクセス通知
アクセス申請
データ確認
博覧会会場にアクセス
個人情報、基本データ(1 回限り)
基本データとは、システムが搬入スケジューリングに使う構成情報
を指す。各サプライヤーは開催者に対し、ドライバー・車両許可取
得に必要な全データを、アクセス申請を初めて行う 2 ヵ月前までに
提出しなければならない。
タスク説明
•
博覧会会場アクセス許可取得のための必須個人情報
責任
•
MDS
時期
•
アクセスの 2 カ月前までに
入力
•
以下のデータを入力する:
- 配送業者(ベンダーID、企業名、所在地、電話番号、ファ
ックス、e メール、携帯電話番号、担当者氏名[電話番号、フ
ァックス、携帯電話番号、e メール]、プライオリティコード、
出入り ID、留意点、使用車種)
食品・飲料ロジスティクス| 55
-
配送車の車種(車種コード、積載量、可搬重量、最大積載率、
荷下性能[重量/時])
車両データ(車種コード、登録プレート、ドライバーID)
ドライバー(ドライバーID、氏名、サプライヤー、携帯電
話番号、許可)
配送ユニット(包装種別、寸法、重量、体積)
搬入先(ロット番号、テーマ別エリア名など、プライオリテ
ィコード、配送時間枠、荷下時間・方法、同時搬入受入の可
否、受け入れ可能な車両の種類、荷下ポイントの数)
出力
•
サプライヤーと車両の許可取得
博覧会会場へのアクセス申請
博覧会会場に搬入する前に、すべてのサプライヤーは、ゲートアク
セス予定のスケジューリングに必要な情報を MDS に入力しなけれ
ばならない。この申請は搬入前日の午後 8 時までに行うものとする。
申請後、配送計画を立てられるタイミングで返信が届く。以下の情
報をすべて MDS のフォームに入力して PDMS を通じて送信する
(フォームは今後数カ月以内に利用可能となる)。
タスク説明
•
博覧会会場へのアクセス申請
責任
•
サプライヤー
時期
•
アクセス希望日の前日午後 8 時まで
入力
•
以下のデータを入力する:
- 搬入先、および可能なら正確な搬入ポイント
- 搬入希望日時(入場は、特定の時間枠内ごとに許可される)
- 配送業者データ(サプライヤーID、会社名)
- 車種、登録プレート
- ドライバー(ドライバーID、氏名、サプライヤー、携帯電
話番号、許可)
- 搬入される商品の種類
- 荷下車両/リソースへの要請
- 配送単位(パレット、箱など)、個数
- 担当者の氏名・電話番号(サプライヤー、ドライバー)
- 搬入の種類
(マルチドロップ、単一行先、ストップオーバー、
荷下・集荷同時など)
- 荷下予定時刻・停車予定時間(分)
56 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
出力
•
申請受信確認
システムデータ分析
MDS は、入力されたデータを基に、各ゲートとアクセス申請ごとの
チェックポイント到着時刻を決定する。チェックポイントでは上述
の検査を行うほか、
到着時刻が申請通りであるか MDS と照合する。
タスク説明
•
MDS ではアクセス申請に漏れがないか確認する。
•
漏れがある場合は、チェックの最後に自動警告メッセージが表
示され、訂正が促される。
•
入力された予約内容はチェック・照合に用いられるまでは一時
テーブルに保管され、滞在時間(分)の推定を行うシミュレー
ションモジュールには使用できない。
責任
•
MDS
時期
•
アクセス希望日の前日午後 8 時まで
入力
•
アクセス申請
出力
•
配送計画許可通知
MDS スケジューリング
各サプライヤーから受信したアクセス申請と、会場でのサービスの
日々のニーズをもとに、夜に翌日のデイリースケジュールを作成す
る。
すべての当事者(サプライヤー、スポンサーなど)は指定時刻・方
法で必要情報を提供し、MDS に搬入内容を入力できるようにしなけ
ればならない。
タスク説明
•
MDS は確認プロセスに合格した搬入予約について、規則・制
限・優先順位を考慮に入れながら、ゲートごとにデイリースケ
ジュールを作成する。
•
スケジュールが承認されるまでは、想定外の事態に合わせた変
更が可能である。
•
特に、搬入物の優先順位の修正は可能である。
•
一つ以上の搬入を選択し、特定の搬入先のスケジュールを決定
する。
食品・飲料ロジスティクス| 57
責任
•
MDS
時期
•
アクセス前日
入力
•
アクセス申請
出力
•
各ゲートのアクセススケジュール
搬入スケジューリングの基本ルール
a
レベル
パートナー
0
強制的に優先される
公式グローバルパートナー、プレミアムパートナー、公式パートナー、
1
スマートロジスティクスプロバイダー、公式サプライヤー/プロバイダー、
2
認定サプライヤー/プロバイダー
イベント/プロジェクトスポンサー
3
その他サプライヤー/プロバイダー
レベル
種類
A
認定済み
B
未認定
レベル
搬入方法
a
マルチドロップ/メンテナンス
b
シングルドロップ
許可取得の優先順位:高い順
0
1.A.a
1.A.b
2.A.a
2.A.b
2.B.a
2.B.b
3.B.a
3.B.b
開催者は、個々の搬入の優先順位を自由に変更できる。加えて、一
部のサプライヤーについてはアクセス時刻を固定とする(ごみ収集、
清掃、メンテナンスなど)
。
緊急サービス、警察、救急(118)
、消防は常に優先される。
58 |食品・飲料ロジスティクス
ミラノ 2015
優先順位に従って当事者全員へのアクセス通知
スケジュールでは、各車両のゲートチェックポイントへの到着時刻
を定めている。チェックポイントでは保安職員が車両と MDS デー
タを照合し、
(到着時間が申請時間と同じであることを)チェックす
る。
MDS チェックポイント到着は 10~15 分の遅れは許容される。これ
以上遅れた車両は、開催者が定める保安手順に従う。
タスク説明
全サプライヤーのゲートごとのスケジュール(PDF 形式)は、e
メールまたは PDMS で閲覧可能である。
• 承認済みのスケジュールは以下に送信する。
- 博覧会会場にアクセス申請するすべてのサプライヤー
- 各ゲートの保安職員
- コントロールルーム
•
責任
MDS
•
時期
アクセスの 1 時間前までに
•
出力
以下の情報が出力される:
- 搬入日
- アクセスゲート
- ゲート到着時間枠
- 配送業者データ(サプライヤーID、会社名)
- 車種、登録プレート
- ドライバーデータ(ドライバーID、氏名、サプライヤー、
携帯電話番号、許可)
- 搬送先、マルチドロップの場合は最初の搬送先
- 搬入の種類
(マルチドロップ、単一行先、ストップオーバー、
マルチピックアップなど)
- 推定荷下時刻、停車時間(分)
•
アクセスのモニタリング
パフォーマンスを追跡し、最大限のオペレーションサポートを行う
ため、MDS は以下の情報を含むモニタリングレポートを定期的に発
行する:
•
特定日の、ゲートごとの完全なスケジュール
•
サプライヤーごとの完全なスケジュール(各車両の詳細含む)
各ゲートについての各種統計データも発行できる:
•
特定日に特定ゲートから搬入を行うサプライヤーの一覧
•
連続した数日に、特定ゲートから搬入を行うサプライヤーの一
覧
食品・飲料ロジスティクス| 59
60 |食品・飲料ロジスティクス
•
特定日に特定ゲートから搬入を行うサプライヤーの数
•
連続した数日間に、特定ゲートから搬入を行うサプライヤーの
数
•
特定ゲートからの入場車数
•
特定ゲートからの入場車数(サプライヤー種類別)
•
時間枠ごとの入場車数
ミラノ 2015
7章
食という言語
世界中で、飲食は単に生存のための手段であるだけでなく、コミュ
ニケーションと自己表現の手段でもある。食卓は家族やグループが
自分の食文化や伝統を展示する日常の万博と言ってもよいだろう。
実のところ、
「地球に食料を」は各家族やグループの貢献によるこの
小さな単位から始まる。また、
「生命にエネルギーを」は飲食の象徴
的、儀式的で、アイデンティティの主張に関わる内容と関連してお
り、吸収されるエネルギーは人類全体の心身両方への栄養へと変換
される。
これに関して、参加者は全員、原材料の選択、調理技術、消費方式
という 3 つの重要な要素に関する各自の見解を検討することが望ま
しい。
原材料の選択により、コミュニティの食文化の基礎が決定される。
食品という地位を与えられるべき食用に適するもの全体からの選択
が第一段階である。この選択から農業、牧畜、狩猟等に基づくコミ
ュニティの本質が引き出される。
その後、何を食品として扱うかという決定が地形や貿易、商業、原
料の価値に影響を及ぼす。各参加者が利用可能な食品品目の中には
身近な食品で誰でも手に入れられるものもあれば、珍しく、貴重な
ものもある。認定を受けた原材料もあれば、神聖なもの、禁じられ
たもの、工場生産品、職人技の品、昔からのもの、新しく取り入れ
られたものもある。どんなものであれ、食品の選択は、私たちの食
を味わってもらう人たちに物語を伝えるための出発点である。
第二の決定的な特徴は調理技術である。同じ材料に異なる技術が適
用されることで、決定的な文化の違いが生まれる。何かの原材料と、
さまざまな料理の伝統におけるその原材料の異なる演出方法につい
て考えてみよう。その伝統により、その原材料を調理する場合もあ
れば、調理せずに生で食したり、切ったり、刻んだり、液状または
粉状、ムース状にしたり、元の硬さや形状、色を保ちながら自然の
ままの状態で食する場合もあるだろう。こうしたあらゆる決定から、
多少なりとも発展した技術やさまざまな習慣、エネルギーの乱用ま
たは節約、エネルギーの再利用、代替源の発見などが明らかになる。
個々の伝統において、原材料の性質を変化させる特定の方法が認め
られたり認められなかったりする様子は、世界の食について解釈す
るための二つ目の普遍的な重要ポイントである。
食という言語| 61
最後に、消費方法や消費時間・場所を計画する方法の違いもまた決
定的な特徴のひとつである。食品を立って食べることもあれば、座
って、あるいはひざまずいて食べることもある。指や手を使うこと
もあれば、特別な道具を使うこともあり、ボウルから食べることも
あれば、食卓用食器類や陶器、バナナの葉から食べることもある。
消費方式により、特定の文化が特徴付けられ、明白に示される。食
べ物の出し方で、食のコミュニケーションに特定の位置づけや雰囲
気、価値が与えられる。急いで食べることもあればゆっくり食べる
こともあり、ビジネスの場や祝い、儀式の席で食べることもある。
食べ物の提供に関して私たちが構築する設定全体が、その経験にと
って欠かせない要素である。これにより、舞台が設定され、雰囲気
が提供される。食事の環境は、その食事を生み出した文化を大いに
象徴する。
参加者には、飲食物の提供や、特に展開したいコミュニケーション
方式を計画する際、これら 3 つの「演出の重要ポイント」を心に留
めておいていただきたい。提供する飲食物の原材料や調理技術、特
別な消費方式を明確に伝えることで、来場者がその飲食物固有の特
徴を理解しやすくなるだけでなく、その飲食物とその他の参加者の
提供する飲食物との違いを十分理解するのにも役立つ。
ミラノ博覧会 2015 の全体的なビジター体験は今までに例のない、文
化、教育、娯楽の機会を提供し、記憶に残るものとなることを目指
す。飲食体験がこの目標達成に大きな役割を果たすことは間違いな
い。このため、形式と時間の両方について多様な性質をもった多感
覚体験の形態で、食という世界共通語を万博来場者に届けることが
非常に重要である。
飲食物の消費を体験化し、実際にイベント化するには多くの方法が
ある。参加者が各パビリオンのため単独で、あるいは組み合わせて
参考にできる 4 つの異なったやり方を以下に提案する。
62 |食という言語
•
試食:これはミラノ博覧会 2015 の飲食の「最小単位」である。
パビリオンやイベント会場で試食の機会を設けることは、食と
栄養を通じて理解を得るための主要でもっとも単純な方法であ
る。
•
食事:これは飲食体験の主要な方法である。元となる特有の文
化に応じた食の伝統により、何が食事であるかは、その形態や
時間、配置、環境について大きく異なる。食事の体験は、試食
よりも完全に長時間来場者の注意を引き、注目を集める飲食体
験の代表的なものである。
ミラノ 2015
•
フードショー:これは、多少なりとも華やかな設定で行われる、
起源や歴史、現代における重要性の説明を通じてひとつあるい
は複数の種類の食物のさまざまな調理段階を見せるデモンスト
レーションである。これは「フードシアター」の一部である。
特に、食をテーマとした純粋なショーよりも、シェフによる料
理教室や、研究者や生産者によるレクチャーの形態を提案する。
こうしたアクティビティの強みは、飲食物の消費を通じたコミ
ュニケーションの効果にある。さらに、この種のアトラクショ
ンは試食体験と組み合わせたり、試食体験につなげたりもでき
る。
•
体験イベント:双方向性と来場者の関与は、来場者による能動
的に参加というレベルまで高めることができる。この場合、体
験はデモンストレーションや試食に留まらず、飲食物の取り扱
いに関する個人的な冒険へとつながる。体験イベントにはさま
ざまな形態があり、それぞれが子どもなど、もっとも適した特
定のターゲットグループがある。
「食という世界共通語」モデルは、参加者が提供するさまざまな飲
食物の設計とコミュニケーションに関する正しい方向性を提供する。
あらゆるタイプの提供物について、参加者は付属書 I に含まれるフ
ォームに記入し、提案するサービスに関する情報を提出することが
求められる。
このフォームで集めた情報を通じ、開催者はミラノ博覧会 2015 で提
供される飲食物を網羅したリストをまとめ、一種の「飲食プラット
フォーム」を設定することができる。食の物語の伝達方法は特に重
要だと考える。そのため、参加者が食という世界共通語についての
見解を均一的に活用できるよう、参加者にモデルを提供することと
した。たとえば、法により、参加者はパビリオン内で提供予定の原
料をすべてリストアップしなければならない。また、提供予定のレ
シピについても開催者に通知することが求められる。
「飲食物プラッ
トフォーム」
、つまり飲食物の提供に関する情報データベースはこう
した貴重な情報をひとつの便利な管理ツールとしてまとめたもので、
来場者にとって非常に有用なものとなる。
飲食物に関する情報提供は義務であるだけでなく、開催者にとって
の優先事項でもある。また、参加者にとっては重要なツールでもあ
る。参加者には、多少なりともハイテクな手段を用いて、提供する
飲食物のあらゆる側面に関する理解と情報を共有することが推奨さ
れる。
「食という世界共通語」のひな形は原材料、調理技術、消費方
式というもっとも重要な側面をカバーするコミュニケーションの機
能的な手段を提供する。
食という言語| 63
各参加者が各自の製品と調理方法のそれぞれについて、
少なくとも 3
つの側面の情報を提供すれば、重要で豊かな知識が、合意された共
通の方法でわかりやすく表現されることになる。その後、各参加者
はこれらの基本データに歴史、文化、経済、栄養、持続可能性に関
する情報を付け加えることができ、飲食物の提供を通じてテーマの
実践的発展に貢献できる。
たとえば、メニューにカロリー内容についてのアドバイスや各料理
や原材料についての栄養情報を加えることができる。こうしたアド
バイスに加え、カロリー消費に必要な運動量を表して、数値を実用
的な提案に変える注釈をつけることもできる。簡単に言えば、昼食
のカロリーを燃焼するためにパビリオンをいくつ訪れればよいのか、
という注釈である。
この種の情報はさまざまな手段で伝達可能である。たとえば、スマ
ートフォン用アプリケーションを使い、来場者がこれから食べよう
とする食物について、どこで生産されたか、どのように加工された
か、畑から皿に載るまでにどのような環境への影響があったか、製
品の歴史、どのような文化から来ているか、伝統的にはどのように、
どんな機会に食べられてきたのか…といった情報をダウンロードし
てもらうことなどが考えられる。
当初からずっと革新の展示の場であり、最先端のアイディアを試し、
未来を覗く場であった万博の伝統の中でも、ミラノ博覧会 2015 は最
先端の技術が広く用いられる傑出した万博となることを思い出して
いただきたい。
ミラノ博覧会 2015 が参加者と来場者の使用のために提供する技術
インフラにより、来場者との直接かつ迅速なコミュニケーションを
提供する統合的な方法で革新的なサービスと最先端のツールを経験
することが可能となる。
例えば、万博が近くなれば、
「世界からのレシピ」という欄がミラノ
博覧会 2015 のウェブサイトに追加される。ここには参加者の文化
的・地域的伝統に関連した各国のレシピ集が含まれており、来場者
にとって有益で、刺激的なものとなる。ウェブサイト上の参加者に
関連する欄では、6 ヵ月の開催期間を通じて、パビリオンで参加者
が提供する料理の全レシピも公開される。来場者は、来場者支援の
ための対話型情報端末やスマートフォン用アプリケーションなど、
万博会場で提供される革新技術ソリューションにより、提供される
飲食物について調べることができる。
全参加者が利用可能な重要なコミュニケーションツールのひとつが、
飲食サービススタッフの研修と関与である。味覚の文化は常に口承
伝統と関連してきた。これは、飲食体験を価値のあるものとするだ
けでなく、感動的で普遍的なものとしてくれるのは、食文化に熱心
で、誇りに感じている人との出会いである。
あらゆる種類の飲食サービスについての参照の枠組みであるミラノ
博覧会 2015 のテーマに関して教育を受けた、熱心なスタッフの選定
と研修は、世界のあらゆる場所から提供される飲食物についての共
通のアプローチを確実なものとしてくれる真のコミュニケーション
の切り札である。
64 |食という言語
ミラノ 2015
忘れてはならない明白な推論がある。飲食体験は、本来、伝え、共
有されるべきものであるため、来場者にお土産を買う気を起こさせ
る。ここで、飲食に関するコミュニケーションの重要な要素、つま
り、通常の品質と持続可能性の水準を保ったまま、自宅に持ち帰れ
る製品を提供できる能力が問われることになる。こうした製品は世
界中の訪問者の自宅に持ち帰られるため、ミラノ博覧会 2015 から多
数の家庭への「食のポストカード」としての役割を果たすことにな
る。これはつまり、各参加者は、来場者以外にも、そして世界へも
届くよう、独特な調理品や伝統を展示できる可能性をもっていると
いうことである。
最後に、飲食プラットフォームにより、
「食という世界共通語」モデ
ルは、参加者の提供物やミラノ博覧会 2015 全般で提供される飲食体
験を通じ、来場者を導く羅針盤を提供することができる。
ある特定の原材料や調理法、消費方式を追いながら、来場者は会場
全体にわたる自分なりのルートで、さまざまなパビリオンを探索す
ることができる。ある意味、ミラノ博覧会 2015 とその会場は世界旅
行を表現しており、地球に食料を与えるさまざまな文化を発見・比
較する独特の機会であると言える。
飲食を論じる際、ビジター体験のその他の要素について、来場者は
自分とのつながりを感じるものや好きなものから始める傾向がある
ことを知っておくとよい。一般的に、まずは知っているものから始
め、そこから類推によって徐々に知らないものへと移っていく。考
えられる組み合わせの数だけ潜在的なルートも存在し、そのどれも
が開催者や個々の参加者によるコミュニケーションや宣伝努力、あ
るいは実際のところ、個々の来場者の好みによっても影響を受ける。
これは、飲食経験の特定の要素に感銘を受けた来場者が、ますます
ハイテク化する口コミでそれをほかの人たちに伝え、ほかの来場者
がそうしたお薦めを取り入れて自分たちのルートを変更するためで
ある。
意識的なものであれ思いつきであれ、完全にリサーチ済みであれ表
面的なものであれ、また計画的であれ行き当たりばったりであれ、
個々のルートは最終的には、旅行者が個人的なバランスを取った旅
程となる。このため、来場者が刺激的な体験の最後に自分たちの足
取りをたどりなおし、自分たちが巡った個人的なルートを再現でき
るように配慮しなければならない。
ひとつまたは複数の特定のルートを守るという各参加者の決定は特
定の状況に基づいて行われるが、全参加者が守るべき第一のルート
は「地球に食料を、生命にエネルギーを」というテーマであり、さ
まざまな民族や文化の出会いと知識の共有の全員のための普遍的な
機会として、食物と栄養という大きな主題に取り組むことを目的と
したものであることを常に心に留めておく必要がある。
食という言語| 65
テーマの内容があらゆる種類の提供物に浸透すればするほど、ミラ
ノ博覧会 2015 の共通項が飲食要素を表現し、共有するための革新的
な方法となる。そして、独特で、実際、繰り返し不能な個々の来場
者の個人的なルートが、地球、地球の食物、生物、エネルギーが緊
急に必要とする回答の探究における、より広範で共通なルートの一
部となる。
66 |食という言語
ミラノ 2015
8章
Q&A
参加者による飲食物提供・関連エリアの考案を手助けすべく、開催
者は博覧会会場での飲食物の製造と提供のさまざまな側面に関する
Q&A を分野別にまとめた。
オペレーションとサービス
1)
パビリオン内の清掃は有料か。
すべてのサービスは有料である。基本的な考え方は集合住宅と同じ
であり、つまり参加者は自分のパビリオンの清掃に責任を持つ一方、
共有部分の清掃とごみ収集は開催者が責任を持ち参加者は一定の料
金を負担する。開催者は参加者(自己建築型またはクラスター内)
に対し、2 段階料金でパビリオン清掃サービスを提供する。これは
1m2 単位の基本料金と、1 時間単位の追加サービス(ほこり取り、
拭き掃除など)からなる。サービス実施中は、参加者の委託スタッ
フが敷地内にいなければならない。
2)
スタッフ更衣室の構成は?
各パビリオンは、スタッフ用に更衣室を設けなければならない。詳
細は「公式参加者ガイド-自己建築型パビリオン-設計・施工・設営・
解体」
(2013 年 12 月 V2.0 発行)参照。
3)
エネルギーサービスは無料で提供されるのか。
提供されない。現在、地元の電力会社等と割引料金について交渉中
である。利用可能なエネルギーサービスの詳細については、
「公式参
加者ガイド-自己建築型パビリオン-設計・施工・設営・解体」を
参照。
4)
テクノロジーサービスは無料か。
テクノロジーサービスは 3 種類のパッケージで提供される(ベーシ
ック、アドバンスト、トップ)
。各パッケージには複数のサービスが
含まれており、関連する料金はサービス内容に応じて異なる。テク
ノロジーサービスの詳細と料金については、
「参加者ガイド-テクノ
ロジーサービス(自己建築型パビリオン)
」第 5 章参照。
Q&A| 67
5)
夜間監視サービスは提供されるか。
博覧会会場内のセキュリティサービスとパトロールは開催者が行う
が、個々の参加者に割り当てられたパビリオンは範囲に含まれない。
開催者は数社の請負会社を選定し、そこから参加者は自身のパビリ
オン用に夜間監視員を個別に手配できる。詳細は近日中に発表する。
6)
テーブルウェアのレンタルや洗濯サービスなどの周辺サービス
は提供されるか。
近日中に詳細を発表する。
7)
ごみ減量サービスにはどのようなものがあるか。
参加者は、未使用の食品の栄養価と衛生性を保ちつつ保管できるよ
う手配しなければならない。開催者は、回復可能な飲食物の量によ
っては、食品を回収して慈善団体に輸送し寄付するサービスを会場
内に設けることを検討中である。詳細は近日中に発表する。
8)
障がい者への特別な手配はあるか。
参加者は、パビリオンをユニバーサルデザインの成功事例に従って
バリアフリー設計とし、障害をお持ちの方でもパビリオン内に同等
にアクセスでき、すべてのサービスを楽しめるようにすることが要
請される。詳細は 「公式参加者ガイド-自己建築型パビリオン-設
計・施工・設営・解体」を参照のこと。
9)
グリーン調達ガイドラインのうち飲食物提供に関わってくる重
要な面は何か。
持続可能性原則は、食品・飲料の商品とサービスの提供については、
原材料、包装、消耗品、機器、ロジスティクス・輸送、サービスの
環境マネジメント、顧客情報の原則が含まれる。詳細は「グリーン
調達ガイドライン」参照。
10) グリーン調達ガイドライン記載の持続可能性原則の採用につい
て、具体的なデータ収集の予定はあるか。
開催者は、グリーン調達ガイドラインに定める環境原則に従い環境
的利点を測定するにあたり、参加者の協力を要請する。このため参
加者は、自身が選んだ食品・飲料に関するデータを提供できる体制
を整えておくことが要求される。詳細は近日中に発表する。
68 |Q&A
ミラノ 2015
11) 調理器具は電気とガスのどちらを使用すべきか。
調理器具は電気か、または事前許可を得た場合に限り薪を火力源と
することが可能である。ガス器具は許可されていない。詳細は「食
品エリア衛生安全ガイドライン」
(2013 年 12 月 V2.0 発行)参照。
12) 使用すべきテーブルウェアの種類は何か。
参加者は、リユース可能と使い捨てのテーブルウェアのいずれも使
用できる。後者の場合(大小のプレート、トレー、カトラリー、ア
イスクリーム用スパチュラ、カップ、グラス)調達した製品はすべ
て EN 13432 基準に従い生分解・コンポスト化可能な材料を使用す
るものとし、分別収集後にコンポスト・分解施設で処理できなけれ
ばならない。詳細は「グリーン調達ガイドライン」参照。
13) 使い捨てテーブルウェアは提供されるか。
使い捨てテーブルウェアの使用を検討している参加者は、これを自
己調達する必要がある。ただし調達した製品はすべて EN 13432 基
準に従い生分解・コンポスト化可能な材料を使用するものとする。
開催者はいくつかのベンダーを選定する可能性があり、その場合参
加者はその中から必要なテーブルウェアの調達を個別に手配できる。
詳細は近日中に発表する。
14) 軟水は供給されるか。
供給されない。博覧会会場には公共水道の飲用水のみ供給される。
博覧会会場で利用可能なサービス機器の一覧については「公式参加
者ガイド-自己建築型パビリオン-設計・施工・設営・解体」参照。
軟水化の手配は参加者自身で行い、その場合は詳細設計提出時に詳
細を提出すること
(特に
「独立工事活動開始通知フォーム附属文書 2、
C.3.1 参照)
。
15) 廃棄物保管エリアはどこに設置されるか。専用の場所か。
自己建築型パビリオンは、その日の夜のごみ収集まで、日中に廃棄
物を保管できる専用エリアを含む設計をしなければならない。廃棄
物保管エリアの性質に関する詳細は PDMS で「公式参加者ガイド-
自己建築型パビリオン-設計・施工・設営・解体」
「食品エリア衛生
安全ガイドライン」
(2013 年 12 月 V2.0 発行)参照。
廃棄物管理情報は、2014 年 6 月までに発行予定の「ミラノ博覧会
2015 廃棄物管理ガイド」に詳述する。
Q&A| 69
16) 保管エリアの大きさは決定しているか。
自己建築型パビリオンはそれぞれ、参加者のニーズに合わせたサイ
ズの保管エリアを設けなければならない。とりわけ飲食物に関して
は、保管エリアは少なくとも 2 日分のストックができるほどの容積
とすることを推奨する。商品保管エリアの性質に関連する詳細は、
PDMS で「公式参加者ガイド-自己建築型パビリオン-設計・施工・
設営・解体」
「食品エリア衛生安全ガイドライン」
(2013 年 12 月 V2.0
発行)参照。
17) クラスター シングル ユニット内では食品の調理を含む調製は
可能か。
参加者があらかじめ、厨房エリア(調製エリア・サービスエリア)
を含むレイアウトを選択している場合は可能である。選択していな
い場合は、マーケットの一部として乾燥食品の提供のみ可能である。
管理・規制上の問題
飲食提供を正しく運営するためには、参加者は飲食サービスに関連
する法的義務を完全に認識していなければならない。
以下では、労働安全衛生と食品衛生規則の簡単な説明を、Q&A の形
で示す。
ビルトイン機器や構造的特性に関する詳細は PDMS で「公式参加者
ガイド-自己建築型パビリオン-設計・施工・設営・解体」
「食品エ
リア衛生安全ガイドライン」(2013 年 12 月 V2.0 発行)技術システ
ム要件(自己建築型展示スペース)
」参照。
大枠は、欧州規制とイタリアの国と州レベルの法律からなる。
特に、飲食物提供のマネジメントを行おうとする参加者は、HACCP
マニュアルの作成が義務づけられている点に注意が必要である。
HACCP は「危害分析・重要管理点」を表す英語の頭文字をとった
もので、製造工程のうち生物的・化学的・物理的汚染が発生する可
能性のある段階のモニタリングを基盤とするシステムを指し、食品
汚染のハザードを防ぐためのものである。HACCP プロセスの詳細
は、WHO の公式サイト(www.who.int)参照。なお開催者は現在、
食品安全の具体的なガイドラインを作成中であり、2014 年中に発行
予定である。
現在開催者は関連当局と協力しながら、この件を一本化するための
部分的例外の可能性を探っている。今後数カ月以内にヘルプデスク
を設け、参加者が必要な許可を取得するためのサポートを行う予定
である。
70 |Q&A
ミラノ 2015
1)
食品製造・提供エリアの設計にあたり、最低限クリアしなけれ
ばならない安全特性は何か。
食品製造・提供エリアは、イタリア法に定める最低要件に適合しな
ければならない。詳細は「食品エリア衛生安全ガイドライン」
(2013
年 12 月 V2.0 発行)参照。
2)
保険補償内容はどのようなものが提供されるか。
参加者は、イタリア法で義務づけられた保険に加入しなければなら
ない。追加の保険補償内容を希望する場合、開催者は保険ブローカ
ーを紹介する。詳細は特別規則第 8 条、特に第 5 項「必須保険の分
類」参照。
3)
廃棄物回収は有料か。
有料である。廃棄物回収料金の詳細は、上記の廃棄物管理ガイドで
詳述予定である。
4)
売上納付金は課されるか。
課される。売上納付金の料率は特別規則第 9 条参照。
5)
環境影響評価(EIA)の手続きにより、飲食物に対して発生す
る義務は何か。
環境影響評価(EIA)手続きにより発生する義務は次の通りである:
•
ごみ減量、リユース拡大、高い分別目標を目指す戦略に基づき、
包装を減らすこと。この点については、特別規則第 7 条「商品
の輸送、税関、取扱」参照。
•
水や清涼飲料水には、できればディスペンサーを使用する。
•
飲食提供をウェイターが行う場合、また、セルフサービスで行
う場合も、水はピッチャーやリターナブルボトルで提供する。
ガラスの利用は限定的とし、飲料が供される場所から来場者が
ガラス容器を持ち帰らないようにするよう勧める。
•
テーブルウェアは使い捨てではなく、できれば洗浄可能のもの
を使用する。使い捨てテーブルウェアを使用する場合は、EN
13432 基準に従い生分解・コンポスト化可能な材料を使用し、
コンポスト・分解施設で処理できなければならない。
•
ごみ分別については、今後開催者が指定する。
Q&A| 71
6)
パビリオンにチェックや検査は入るか。
開催者は参加者に対し、定められた対策の実施度を評価するため、
敷地内立入を要請する場合がある。詳細は近日中に明らかにする。
7)
飲食スペースが適合すべき主な法律、基準、規制は何か。
主な食品衛生規定には、食品法の一般原則と要件を定める EC 規制
178/2002 の導入規定、および食料品衛生に関する EC 規制 852/2004
がある(EC 規制の対象となる全事項については、欧州法の公式サイ
トを参照 http://eur-lex.europa.eu/en/index.htm)
。
8)
どのような登録が必要か。
すべての飲食物提供者は、地方保健委員会(Azienda Sanitaria
Locale)に登録する必要がある。現在開催者は関連当局と協力しな
がら、この件を一本化するための部分的例外の可能性を探っている。
今後数カ月以内にヘルプデスクを設け、参加者が必要な許可を取得
するためのサポートを行う予定である。
9)
フードビジネスオペレーターの義務は何か。
フードビジネスオペレーターは以下の義務を有する:
•
食品加工の全ステージが衛生的な方法で実施されている旨を確
認すること。
•
HACCP の原則に従い、恒久的な食品安全手順を導入・実施・
維持すること(食品安全重要管理点の特定を含む)
。
•
HACCP 食品安全手順の性質、頻度、結果に関するすべての指
示を含む、セルフモニタリングマニュアルを作成すること。
•
顧客にとって、直ちに健康リスクを呈する可能性のある商品を、
直ちに販売停止とすること。
10) セルフモニタリングマニュアルとは何か。HACCP メソッドと
は何か。
HACCP(上記参照)は、消費者の健康への衛生被害を特定し防ぐた
めの分析手法であり、セルフモニタリング手順の導入を基盤とする。
生物的・微生物的・化学的・物理的汚染リスクを検出する衛生セル
フモニタリングシステム文書(HACCP マニュアル)の作成義務、
および具体的なセルフモニタリング対策の導入義務が発生する。
72 |Q&A
ミラノ 2015
重要管理点には、保管温度、冷蔵システム(あれば)、納品検査、調
理台の衛生などがある。
11) 特別なトレーニングは必須か。
EC 規制 852/2004 には食品安全トレーニングの義務が定められて
いる。飲食業に従事する者は全員、食品業界トレーニングコースを
完了しなければならない。ロンバルディア州ではこの件について州
法 33/2009 に定めている。
12) トレーサビリティ手順はどのように導入できるか。
トレーサビリティのオペレーションは、ベンダーによる購入文書の
適切な管理および原材料特定システムを通じ、EC 規制 178/2002 に
適合しなければならない。
13) 「商品撤回」とは何か。
販売中の食品・飲料品が食品安全要件を満たさないとオペレーター
が判断した場合、かかる商品の撤回手順を直ちに実施するとともに、
関連当局に通知しなければならない。これを行うには、オペレータ
ーは商品追跡/トレーサビリティ手順を導入していなければならな
い。
14) すでに商品が販売済みの場合はどうなるか。
その商品がすでに顧客の手に渡った場合は、オペレーターは慎重か
つ効果的に、消費者に対し販売撤回理由を伝え、必要なら顧客の手
に渡った商品のリコールを行う(これは他の方法では健康を十分に
守れない場合に行う)
。
15) 食品・飲料品はどのように保管するべきか。
食品・飲料品は当初包装のまま保管し、品質保持期限、バッチ番号、
ベンダー詳細が常に分かるようにしておくのが望ましい。当初方法
のまま保管できない場合は、食品用容器に入れ、品質保持期限とバ
ッチ番号を表示し、汚染を防ぐよう密封する。異なる種類の食品を
一つの容器で保管してはならず、また保管温度を尊重すること。
16) 飲食物の保管期限を定める規制は存在するか。
存在する。EU 規則 853/2004 のほか、国内法でも大統領令 327/80
が食品の保存温度を定めている。
Q&A| 73
以下に、食品保存温度の一覧を示す。
17) 生魚は販売可能か。
生魚は、24 時間以上-20℃で、または 15 時間以上-35℃で冷凍し
て安全を確保した場合のみ販売可能である。
EC 規制 853/2004 および 1276/2011 では、アニサキス幼虫(人の体
内に入ると健康に重大な悪影響を及ぼす可能性がある)を死滅させ
る方法を定めており、同様の規則を守ることが要求される。これら
の規則は条鰭類および頭足類(イカ、タコ、コウイカ)が生または
半生(中心部が 60℃以下)で提供される場合のみ適用される。
安全冷凍法の使用は、地方保健委員会(Azienda Sanitaria Locale)
に登録するほか、厳格なモニタリング・記録手順に適合しなければ
ならない(この点は HACCP マニュアルにも含めるものとする)。
冷凍処理済の魚をベンダーから購入した場合は、上記の趣旨の証明
書を納品ごとに同封する。
18) パッケージ済み商品のラベリングに関する法律は存在するか。
EU で食品・飲料品を販売する者はすべて、食品の消費者情報提供
に関する EC 規制 1169/2011 に適合しなければならない。
商品
温度(C°)
無殺菌乳飲料
+4
各種ヨーグルト
生パスタ、包装済み
+4
+4
生パスタ、未包装
+4
乾燥パスタ
室温(18°-20°)
生乳
食用ゼラチンに覆われた食品
クリームおよび/またはカスタードのフィリングの入った生菓子
冷製で供する調理済み食品(調理肉、ローストビーフなど)
+6
+4
+4
+4
生肉
豚肉、ウサギ肉など
+7
+4
卵
室温
生または解凍済み魚製品、調理済み冷蔵甲殻類・貝類
融点に近い温度
冷凍食品
冷凍肉
温製で供する調理済み食品(調理済み食品、軽食、チキンなど)
-18
-18
+60°C~+65°C
74 |Q&A
ミラノ 2015
19) ばら売りの原料・食品に関する規則にはどのようなものがある
か。
一般に、食品はすべて原材料を記載しなければならない。最も良い
方法は、質問を受けた際に示すことのできる原材料詳細一覧を用意
することである。EC 指令 89/2003、規則 1169/2011 附属書 II に記
された全アレルゲンの警告を表示する必要がある。
以下に、アレルギーまたは不耐性に含まれる成分および商品の一覧
を示す。
A. グルテンを含むシリアル類:小麦、ライ麦、大麦、オート
麦、スペルトコムギ、カムットおよびそのハイブリッド、
ならびにこれらの製品。ただし以下を除く:
(a) 小麦ベースのグルコースシロップ(デキストロースを含
む)(*)
(b) 小麦ベースのマルトデキストリン(*)
(c) 大麦ベースのグルコースシロップ
(d) 蒸留酒(農業由来エチルアルコールを含む)の原料となるシリ
アル
B. 甲殻類およびその加工品
C. 卵およびその加工品
D. 魚およびその加工品。ただし以下を除く:
(a) ビタミン/カルチノイド強化食のキャリアとして使用さ
れる魚ゼラチン
(b) ビールおよびワインの清澄剤として使用される魚ゼラチ
ンまたはアイシングラス
E. ピーナツおよびその加工品
F. 大豆およびその加工品。ただし以下を除く:
(a) 完全精製された大豆油脂(*)
(b) 大豆由来の天然混合トコフェロール(E306)、天然 D-α
トコフェロール、天然 D-α トコフェロールアセテート、
天然 D-α トコフェロール酸塩
(c) 野菜油由来のフィトステロール、大豆由来のフィトステ
ロールエステル
(d) 野菜油由来の植物スタノールエステル、大豆由来のステ
ロール
G. 牛乳およびその加工品(ラクトース含む)。ただし以下を
除く:
(a) 蒸留酒(農業由来エチルアルコールを含む)の原料とな
る場合
(b) ラクチトール
H. ナッツ:アーモンド(Amygdalus communisL.)、ヘーゼ
ルナッツ(Corylus avellana)、クルミ(Juglans regia)、
カシューナッツ(cashew nutsum occidentale)、ピーカン
ナッツ(Carya illinoinensis(Wangenh.) K. Koch)、ブ
ラジルナッツ(Bertholletia excelsa)、ピスタチオナッツ
(Pistacia vera)、マカデミアナッツまたはクイーンズラ
ンドナッツ(Macadamia ternifolia)、およびこれらの加
工品、ただし蒸留酒(農業由来エチルアルコールを含む)
の原料となる場合を除く。
Q&A| 75
およびこれらの加工品、ただし蒸留酒(農業由来エチルアルコール
を含む)の原料となる場合を除く。
I.
セロリおよびその加工品
J. マスタードおよびその加工品
K. ゴマおよびその加工品
L. 二酸化硫黄および亜硫酸塩のうち、SO2 合計量の濃度が 10
mg/ kg または 10 mg/リットルの場合。ただし調製済み食品
またはメーカーの指示に従って再調理した状態のもので計
測する。
M. Lupin およびその加工品
N. Molluscs およびその加工品
*「およびその加工品」:加工プロセスにより、当該商品原産地当局
の評価によるアレルゲン性が上昇する可能性がない場合に限る。
20) 食品添加物規制はどうか。
他所で許可されている食品添加物の多くが EU 内では禁止されてお
り、イタリアも例外ではない。許可される食品添加物は EC 規制
1333/2008(EC 規制 438/2013 で修正)に記載されたものに限られ
る。
21) 上記義務に違反した場合、罰則はあるのか。
イタリア刑法第 515 条および第 440~445 条に、事業遂行上の詐欺
を罰する規定がある。
イタリア食品安全法(法令 193/2007)でも、食関連の罰則を定めて
いる。
22) 仕事場の安全に関する法は存在するか。
イタリア労働安全衛生法(法令 81/2008)が施行されている。
23) 労働安全衛生法の主な内容はどのようなものか。
以下の通り:
76 |Q&A
•
専従の労働安全衛生職員(RSPP, Responsabile del Servizio di
Prevenzione e Protezione)を置くこと
•
リスク評価(DVR, Documento di Valutazione dei Rischi)を作
成すること
•
安全計画(POS, Piano Operativo di Sicurezza)を作成するこ
と
ミラノ 2015
24) DVR とは何か。
DVR(リスク評価)とは、リスクを記述・評価し、必要な防止・保
護策を特定する文書である。
25) 緊急事態に関連して行うべきことは何か。
緊急対応手順を定めておくこと。そのなかで、消火担当・救急担当
を含む緊急対応チームを決めておく必要がある。
Q&A| 77
付属書 1
6 カ月の万博開催期間中のイタリアの季節の産物カレンダーを、野
菜と果物、肉と魚に分類して下記に示す。このリストは指標となる
もので、すべてを網羅しているわけではない。
野菜
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
アーティチョーク
アスパラガス
豆
ビーツ
ソラマメ
ブロッコリー
キャベツ
ニンジン
セロリ
チャード
キュウリ
カールレタス
エンダイブ
ニンニク
サヤマメ
セイヨウワサビ
リーク
レタス
モンクズベアード
パセリ
エンドウ豆
ピーマン
ラディッシュ
ルバーブ
ルッコラ
春タマネギ
エシャロット
ホウレンソウ
葉タマネギ
トマト
ターニップ
ズッキーニ
アスパラガス
ナス
豆
ビーツ
ルリジサ
ソラマメ
キャベツ
ニンジン
セロリ
チャード
ズッキーニフラワ
ー
キュウリ
カールレタス
ニンニク
サヤマメ
タマネギ
パセリ
エンドウ豆
ピーマン
ジャガイモ
ラディッシュ
ルッコラ
サラダ
ホウレンソウ
トマト
ズッキーニ
ナス
バジル
ローリエ
ビーツ
ニンジン
セロリ
チリ
チャイブ
キュウリ
エンダイブ
ニンニク
サヤマメ
レタス
マジョラム
ミント
モンクズベアード
タマネギ
オレガノ
パセリ
ピーマン
ジャガイモ
ルッコラ
サラダ
スイバ
タイム
トマト
ターニップの葉
ワイルドフェンネ
ル
ズッキーニ
ナス
バジル
ローリエ
ビーツ
ニンジン
セロリ
チリ
チャイブ
キュウリ
エンダイブ
ニンニク
サヤマメ
レタス
マジョラム
ミント
タマネギ
オレガノ
パセリ
ピーマン
ジャガイモ
ルッコラ
サラダ
スイバ
スイスチャード
タイム
トマト
ターニップの葉
ワイルドフェンネ
ル
ワイルドマッシュ
ルーム
ズッキーニ
ナス
バジル
豆
ビーツの葉
ビーツ
キャベツ
ニンジン
カリフラワー
セロリ
チコリ
キュウリ
エンダイブ
フェンネル
ニンニク
サヤマメ
リーク
レタス
マロー
タマネギ
パセリ
ピーマン
ジャガイモ
ルッコラ
エシャロット
スイスチャード
トマト
ワイルドマッシュ
ルーム
ズッキーニ
バジル
豆
ビーツ
ブロッコリー
芽キャベツ
キャベツ
ニンジン
カリフラワー
根セロリ
セロリ
チコリ
キュウリ
エンダイブ
フェンネル
ニンニク
ラムズレタス
リーク
レタス
マロー
タマネギ
パセリ
ピーマン
ジャガイモ
レッドレタス
ローマンチコリ
エシャロット
ホウレンソウ
トリュフ
ターニップの葉
ターニップ
ワイルドマッシュ
ルーム
ズッキーニ
78 |付属書 1 博覧会会期中にイタリアで旬を迎える果物、野菜、肉、魚
ミラノ 2015
果物
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
バナナ
ブラックチェリー
ブラッドオレンジ
チェリー
レモン
セイヨウカリン
桃
プラム
ラズベリー
イチゴ
アプリコット
バナナ
ブラックチェリー
ブラックカレント
チェリー
レモン
セイヨウカリン
メロン
桃
梨
ラズベリー
イチゴ
スイカ
アプリコット
バナナ
ブラックベリー
ブラックカレント
ブルーベリー
レモン
メロン
クワの実
桃
梨
松の実
プラム
紫イチジク
ラズベリー
スイカ
ワイルドストロベ
リー
バナナ
ブラックベリー
ブラックカレント
ブルーベリー
グースベリー
ブドウ
レモン
メロン
クワの実
桃
梨
松の実
プラム
紫イチジク
ラズベリー
スイカ
ワイルドストロベ
リー
アーモンド
バナナ
ブラックベリー
キャロブ
イチジク
ベリー類
グレープフルーツ
ブドウ
ナツメ
レモン
メロン
桃
梨
プラム
ザクロ
ウチワサボテン
クルミ
スイカ
アーモンド
リンゴ
バナナ
栗
シトロン
グレープフルーツ
ブドウ
ヘーゼルナッツ
レモン
梨
柿
パイナップル
ザクロ
マルメロ
スロー
クルミ
海水魚
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
ニシン
アンチョビ
エンゼルフィシュ
ヒラメ
ニベ類
ヨーロッパレンコ
ダイ
ツノザメ
マトウダイ
ヨーロッパヘダイ
ボラ
ほうぼう
メルルーサ
サバ
スナメガイ類
ヒメジ
イワシ
シーバス
シタビラメ
メカジキ
マグロ
アンチョビ
エンゼルフィッシ
ュ
バーベル
タラ
ニベ類
ヨーロッパレンコ
ダイ
ツノザメ
マトウダイ
ヨーロッパヘダイ
ボラ
ハタ
メルルーサ
サバ
スナメガイ類
ヒメジ
メバル
イワシ
シーバス
シタビラメ
メカジキ
マグロ
アンチョビ
アンチョビ
エンゼルフィッシ
ュ
二枚貝
タラ
ニベ類
ヨーロッパレンコ
ダイ
ヨーロッパヘダイ
ボラ
サバ
スナメガイ類
ヒメジ
メバル
シタビラメ
メカジキ
マグロ
ニシン
アンチョビ
エンゼルフィッシ
ュ
BREEDS
ヒラメ
タラ
ニベ類
ヨーロッパレンコ
ダイ
ツノザメ
マトウダイ
シュモクザメ
ヨーロッパヘダイ
ボラ
ハタ
サバ
ウツボ
スナメガイ類
ヒメジ
メバル
イワシ
シタビラメ
メカジキ
マグロ
アンチョビ
ヨーロッパレンコ
ダイ
ヨーロッパヘダイ
ボラ
ハタ
サバ
ヒメジ
メバル
イワシ
タイ類
シタビラメ
メカジキ
マグロ
タラ
ニベ類
マトウダイ
ヨーロッパヘダイ
ボラ
ハタ
メバル
イワシ
タイ
シーバス
シタビラメ
マグロ
付属書 1 博覧会会期中にイタリアで旬を迎える果物、野菜、肉、魚| 79
甲殻類・貝
5月
6月
7月
8月
アルゼッレ
小イカ
クラム
コウイカ
石馬刀貝
ロブスター
ムール貝
タコ
エビ
ウミヘビ
小エビ
イカ稚魚
ロブスター
エビ
マテガイ
アカザエビ
クラム
コウイカ
ロブスター
イカ稚魚
9月
クラム
コウイカ
ロブスター
モスカルディーニ
ムール貝
タコ
カキ
エビ
イカ稚魚
10 月
クラム
コウイカ
ロブスター
ムール貝
タコ
カキ
イカ稚魚
淡水魚
5月
コイ
スズキ
キタカワカマス
サケ
シャッド
チョウザメ
テンチ
マス
6月
ブリーク
コイ
チャブ
ウナギ
カワヒメマス
スズキ
キタカワカマス
チョウザメ
テンチ
7月
バーベル
ブリーク
コイ
チャブ
ウナギ
カワヒメマス
スズキ
テンチ
マス
ウグイ
8月
9月
10 月
キタカワカマス
ホワイトフィッシ
ュ
バーベル
ブリーク
コイ
チャブ
ウナギ
カワヒメマス
スズキ
キタカワカマス
サケ
テンチ
マス
ホワイトフィッシ
ュ
アゴーネ
バーベル
ブリーク
チャブ
ウナギ
カワヒメマス
スズキ
キタカワカマス
サケ
テンチ
マス
ホワイトフィッシ
ュ
肉
5月
牛肉
鶏肉
ロバ
カモ
馬肉
子ヤギ
子ヒツジ
ヒツジ
クジャク
ハト
ウサギ
若鶏
七面鳥
子牛
6月
牛肉
鶏肉
ロバ
カモ
馬肉
クジャク
ハト
ウサギ
若鶏
子牛
7月
牛肉
鶏肉
鶏肉
カモ
クジャク
ハト
ウサギ
子牛
8月
牛肉
鶏肉
カモ
クジャク
ハト
ウサギ
子牛
80 |付属書 1 博覧会会期中にイタリアで旬を迎える果物、野菜、肉、魚
9月
牛肉
鶏肉
ロバ
馬肉
豚肉
ウサギ
子牛
10 月
牛肉
鶏肉
ロバ
カモ
馬肉
クジャク
ハト
豚肉
ウサギ
子牛
ミラノ 2015
狩猟
5月
6月
7月
8月
9月
野ウサギ
ヒバリ
ヤマウズラ
キジ
ウズラ
ツグミ
ヤマシギ
野ウサギ
ヒバリ
ヤマウズラ
キジ
ウズラ
シギ
ツグミ
ウグイス類
イノシシ
カモ
ヤギ
ヤマシギ
10 月
野ウサギ
ヒバリ
ヤマウズラ
キジ
ウズラ
シギ
ツグミ
ウグイス類
カモ
ヤギ
ヤマシギ
付属書 1 博覧会会期中にイタリアで旬を迎える果物、野菜、肉、魚| 81
付属書 2
世界のさまざまな料理でよく使われる材料でイタリアの市場で入手
可能なものの一覧を例として下記に示す。
このリストはすべてを網羅するものではない。
アビューラ
アヒ・アマリージョ
Akkawi チーズ
藻類
リンゴ:ゴールデン、ジョナゴールド、ブ
レバーン、クリスプピンク、フジ XF、グラ
ニースミス、レッドデリシャス、レッドデ
リシャス・ファンシー、レッドデリシャス
各種
アーティチョーク
Aru
阿魏
アタ粉
アボカド、アボカド(フェルテ種)、アボカ
ド( ピンカートン種)、アボカド(Ryan 種)、
アボカド(ハス種)
小豆
ババコ
ベビーコーン
Bajra
竹
バナナ、バナナの花、バナナの葉、No Gas
Bonita バナナ、レッドバナナ
ベルベレ
ビルトング
Biyori
ブラックレンティル
クロウミガメ
ブラックベリー
軟白セロリ
紫ジャガイモ
青スイカズラ
ブルーベリー
ブラジル・ジンジャー
パンノキ
ナス
ブルグア、ブルガー
カプチーノ・キャベツ、白菜
カカオの実
Caino
スターフルーツ
カルダモン
カシューナッツ
キャッサバ、キャッサバの葉
チャパティ
ハヤトウリ
チェリモヤ
ヒヨコマメ粉
竹輪
グリーンチリ・赤唐辛子ミックス
中国ナス
チャイブ
Choclo Conf.
Chuka Souba(中華そば)
シナモン
クレムソンオクラ
クローブ
ココナッツ、乾燥ココナッツ、フレッシュ
ココナッツ、ココナッツミルク、ココナッ
ツオイル
粥
コリアンダー
82 |付属書 2 世界各地の料理でよく使われイタリアのマーケットで手に入る原料
カレーペースト
大根、極上大根
石馬刀貝、Date Mussels Barchi
ドドル
テンジャン
Duchi
ドリアン
タロイモ
メロンの種
Enola豆
フェジョアーダ
コロハ
イチジク
フラワーウォーター
サヤマメ
カンジャン
ガラムマサラ
フレッシュニンニク、ニンニクの葉とイエ
ローパティソン、バラのニンニク、編んで
まとめた白ニンニク、Garlic Tris
ギー
生姜、Pura Vida生姜
チョウセンニンジン
もち米
コチュジャン
クコの実
グースベリー
グレープフルーツ・スタールビー
グレープフルーツ・ホワイト
グリーンアスパラガス
ミラノ 2015
グリーン・ザウアークラウト
グラナディージャ
落花生油
トゲバンレイシ
Guanabana Gumbo
グアバ
オクラ
ハルヴァ
ハイビスカスの花
ひじき、かつお節
セイヨウワサビ
レタス
インジェラ
ジャックフルーツ
キクイモ
ジョロフライス
Jowar
カプサ
柿
キムチ
キワノ
キーウィ、ゴールデンキーウィ
Kogane
ラドゥ
ラホーハ
Laos
ラヴァッシュ
セイロン弁慶
レモングラス
レモン
ライムカット
ライム、ライムの葉、乾燥したライムの葉、
ライム(Indaia)、ライム(ナイスグリーン)
、
ライム(La Bamba)
リュウガン
れんこん
ルクマ
ルーロ
ライチ
ミカン
ト ミ ー ア ト キ ン ス Agrodan マ ン ゴ ー 、
Agrodanマンゴー、キーツマンゴー、Omer
マンゴー、スイートマンゴー、マヤゴール
ドマンゴー
マンゴスチン
キャッサバ
パッションフルーツ
マトケ
Meju
カンタロープ・メロン、ガリア・メロン、
ピエール・ド・サポ・メロン、イエローメ
ロン
ミネオラ
ミニ・キャロット
ミニ・カリフラワー
ミニ・フェンネル
ミニ・グリーンアスパラガス
ミニ・リーク
ミニ・パイナップル
ミニ・レッドビーツ
ミニ・レッドキャベツ
ミニ・スイートコーン
ミニ・ターニップ
ミニ・バイオレットアーティチョーク
小玉スイカ
ミニ・ホワイトキャベツ
ミント
みりん
味噌
Mitmita
三つ葉
モーダカ
キクラゲ
リョクトウ
茗荷
ナン
ナメコ
梨
ンドレ
ネクタリン、Platerinaネクタリン
ニシキ
ニテル・キッベー
ニシュタマル
アビ・ナン
Ogbon、オグボノ
Ojara
お米さん
オクラ
ウルクス
カラカラオレンジ
ネーブルオレンジ
バレンシアオレンジ
モクセイ
パカイ
ヤシの芽、パームオイル、パームシュガー
パンチ
パンチホロン
パンダン
パンダナス
パニール
パパイヤ
パラタ
パースニップ
パッションフルーツ
桃、Paraguaianaピーチ、イエローピーチ
パールミレット
Guyotナシ
Limoneraナシ
エンドウ豆
ペピーノ
唐辛子
ペッパー、ハラペーニョ・レッドペッパー、
ハバネロ・イエローペッパー、カホクザン
ショウ
タイ香り米
柿
ほおずき、Savannaほおずき
デルモンテ・ゴールデン・パイナップル、
ゴールデン・ヴェネシア・パイナップル
ピンクジンジャー
うずら豆
ピタハヤ、レッドピタハヤ、イエローピタ
ハヤ
プランティン、Extra Rich Maduroプラン
ティン、プランティンの葉、リッチグリー
ン・プランティン
ざくろモラセス
ポン酢
ジャガイモ、オレンジスイートポテト、レ
ッドスキン・スイートポテト、スイートポ
テト、Ratteポテト
チェリーポテト
ウチワサボテン
Punaヤム
キヌア
ランブータン
Rava
レッドレンティル
レッドカレント
米粉
ライスビネガー
ロコト
バラ、ローズエッセンス、ローズウォータ
ー
ローズアップルレッドウォーター
付属書 2 世界各地の料理でよく使われイタリアのマーケットで手に入る原料| 83
ロティ
サフラン
サゴ
サラク
Sathu
さつま揚げ
胡麻
エシャロット
七味唐辛子
椎茸
シラタキ
紫蘇
蕎麦
スプラウト種
スター・アニス
サトウキビ
Sugraone ホワイトグレープ
スイートコーン
タヒニ
コダチトマト
タマリンド
Tankara
タピオカデンプン
タロイモ
テフ粉
豆腐
つるトマト
Torshi
ツァンパ
Tsoukemono(漬物)
Tsuma(つま)
Tsuyayaka
Tucano Eddoes
ターメリック
84 |付属書 2 世界各地の料理でよく使われイタリアのマーケットで手に入る原料
梅干し
真空栗
クリムゾンスイカ
ホワイトロングビーン
ウッドアップル
Xalvo
ヤク
ヤム
羊羹
キャッサバ
Yucca Tropical Ase
茹で小豆
Yuzo
サボーテ
カボチャ
Delicatカボチャ
ミラノ 2015
付属書 3
ミラノ博覧会 2015 の会場はミラノ大都市圏の中心部に位置して
おり、具体的にはセンピオーネ通り沿いのミラノ北西部道路・公
共輸送ネットワークの中にある。高度に都市化された地域で、バ
ランザーテ、ボッラーテ、ペロ、ローの自治体にまたがっている。
927,000 平方メートルのこのエリアはミラノ~トリノ鉄道線の北
に広がって、豊かな道路・交通インフラにつながり、工業地帯に
囲まれている。万博会場はロー―ペロ見本市会場にも隣接してい
る。
博覧会会場は庭園―水路に囲まれた島―として設計されており、
古代ローマ都市の整理要素であるデクマヌスとカルドという強力
な象徴的価値をもった 2 本の垂直軸を中心に構成されている。会
場は屋外展示エリアとみなされており、28 ヘクタールを超える緑
化スペースをもつ。パビリオン内で参加者が計画するもののほか、
会場内に流通・倉庫スペースは計画されていない。
都市化された環境と密なインフラネットワークの存在は一般的なア
クセス性の点でかなり有利だが、同時にリスク要因でもあり、ロジ
スティクス管理には大きな制約となる。そのため、開催者は参加者
に対し、ロジスティクスを計画する際、貨物輸送と工業地帯・都市
部のあいだの相互の影響を最小限にするため、ミラノ博覧会 2015 会
場の位置する地域構成を適切に配慮するよう要請する。
地域事情
この項では、以下の場所から会場までの人と物の最適なアクセス
方法について簡単に説明する。
•
港
•
空港
•
鉄道、都市交通機関
•
一般・高速道路
参加者、そして利用するロジスティック・パートナーに公共輸送網
への影響を最小限に止めるための具体的なアドバイスも行っている。
付属書 3 地域事情| 85
港
北イタリアの主要な港はジェノヴァ、ラ・スペツィア、リヴォルノ、
ヴェニス、トリエステにある。最大の輸出入港 2 港、ジェノヴァと
トリエステについての簡単な説明を下記に記す。
ゴリツィア
トリエステ
ミラノ
ヴェネツィア
ジェノヴァ
リヴォルノ
アンコーナ
ピオンビーノ
ペスカーラ
チヴィタヴェッキア
ローマ
ナポリ
ポルト・トッレス
バーリ
オルビア
ブリンディジ
カリアリ
カタンザーロ
ポルト・フォルテ
メッシーナ
パレルモ
レッジョ・カラブリア
トラーパニ
ポルト・エンペードクレ
ジェーラ
アウグスタ
ジェノヴァ港
ジェノヴァ港はティレニア海への主要な入口である。交通量と大き
さの両面でイタリア最大の工業・貿易港であり、地中海でもっとも
混みあう港のひとつでもある。13 の貨物・乗客ターミナルは大手輸
送会社によって世界のあらゆる目的地とつながっており、相当量の
輸送を取り扱っている。博覧会会場から約 150km に位置する。
86 |付属書 3 地域事情
ミラノ 2015
利 用 可 能 な サ ー ビ ス の 詳 細 に つ い て は
http://www.porto.genova.it/を参照のこと。
ジェノヴァから博覧会会場へは、高速道路 A7 から高速道路/環
ペ
ロ
ノ ル ド
状道路 A50/E62 を通り、Pero Nord出口で降りる。
トリエステ港
トリエステ港はアドリア海への主要な入口で、博覧会会場から約
400km に位置する。中央・東ヨーロッパの海陸複合輸送交換の国
際拠点で、中国やインド、極東と直接海上便で頻繁につながって
いる。
利 用 可 能 な サ ー ビ ス の 詳 細 に つ い て は
http://www.porto.trieste.it/を参照のこと。
国内外の鉄道に連結した国内鉄道システムにより、トリエステ港
はイタリアでもっとも重要な鉄道拠点のひとつとなっている。
ジェノヴァから博覧会会場へは高速道路 A4 から SS333 を通り、
ペ
ロ
ノ ル ド
Pero Nord出口で降りる。
空港
ミラノ地方の空港システムはミラノ・マルペンサ、ミラノ・リナー
テ、ベルガモ・オーリオ・アル・セーリオで構成されている。マル
ペンサ空港とベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港は旅客便の
ほか、貨物便も取り扱っている。
ソンドリオ
ヴァレーゼ
レッコ
レッコ
コモ
ベルガモ
マルペンサ
モンツァ
オーリオ・アル・セーリオ
ブレシア
ミラノ
リナーテ
パヴィーア
ローディ
クレモナ
マントヴァ
付属書 3 地域事情| 87
ミラノ・マルペンサ空港
ミラノ・マルペンサ空港(MXP)は博覧会会場の北西約 40km に位
置する。旅客ターミナル 2 つ(マルペンサ・ターミナル 1 とマルペ
ンサ・ターミナル 2)と貨物ターミナル 1 つ(マルペンサ・カーゴ)
がある。現在、この空港はイタリア最大の貨物運送拠点であり、イ
タリアに入る貨物全体の 50%近くを取り扱っている。
詳細は http://www1.seamilano.eu/landing/index_it.html を参照の
こと。
ミラノ・マルペンサ空港から博覧会会場へは高速道路 A8 から SS33
フ ィ エ ラ
ノ ル ド
を通り、Fiera Nord出口で降りる。
ミラノ・リナーテ空港
ミラノ・リナーテ空港(LIN)は博覧会会場の東約 30km に位置す
る。この空港は国内旅客便と短・中距離の国際旅客便のみを取り扱
う。
詳細は http://www.milanolinate.eu/it を参照のこと。
ミラノ・リナーテ空港から博覧会会場へは高速道路/環状道路 A51、
A4/E64、A8 を経由する。
ベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港
ベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港(BGY)は博覧会会場の
北西約 50km に位置する。この空港には旅客ターミナル 1 つと貨物
ターミナル 1 つがある。
詳細は http://www.orioaeroporto.it を参照のこと。
ベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港から博覧会会場へは、
ペ
ロ
ノ ル ド
高速道路 A4 から SS33 を通り、Pero Nord出口で降りる。
ミラノ地方のこれら 3 つの空港のほか、主要な貨物の入口としてロ
ーマ・フィウミチーノ空港もある。
ローマ・フィウミチーノ空港
レオナルド・ダ・ヴィンチ―ローマ・フィウミチーノ空港(FCO)
は博覧会会場の南約 500km に位置する。この空港には旅客ターミナ
ル 4 つ(フィウミチーノ空港はイタリア最大の旅客空港)と貨物タ
ーミナル 1 つ(カーゴシティ)がある。
詳細は http://www.adr.it/fiumicino を参照のこと。
ローマ・フィウミチーノ空港から博覧会会場へは、高速道路 A1
タンジェンツィアーレ
オ ヴ ェス ト
フィエラ
ミ
ラ
ノ
から A50 Tangenziale Ovest
(西環状道路)
に入り、
Fiera Milano
ミ
ラ
ノ
- Milano出口で降りる。
88 |付属書 3 地域事情
ミラノ 2015
鉄道
国内外鉄道網
ミラノ大都市圏の鉄道は 2 つの主要な TEN-T(欧州横断輸送ネット
ワーク)の交差点に位置しているという強みがある。
東西:イベリア半島とハンガリー/ウクライナ国境を結ぶコリドー3
(地中海コリドー)
南北:北ヨーロッパの港(ロッテルダム、アントワープ)とジェノ
ヴァを結ぶコリドー6(ライン―アルプス・コリドー)
ロッテルダム
ベルリン
キエフ
モナコ
リオーネ
ミラノ
ブタペスト
トリノ
サラゴサ
ヴァルナ
ジェノヴァ
ソフィア
リスボナ
マドリード
バルセロナ
ローマ
バーリ
パレルモ
ミラノ発着の主要な鉄道路線は下記の通り。
• 西:ミラノ~トリノ
• 東:ミラノ~ブレシア~ヴェローナ~ブレンナー、ミラノ~ブ
レシア~ヴェニス~トリエステ
• 北:ミラノ~ガッララーテ~ドモドッソラ、ミラノ~キアッソ
• 南:ミラノ~ボローニャ、ミラノ~ジェノヴァ
貨物
ミラノ近辺の貨物輸送用にはセグラーテ、ブスト・アルシーツィオ
/ガッララーテの各ターミナルなど、多数の鉄道拠点がある。
詳 細 は http://www.trasporti.regione.lombardia.it
http://www.cargo.trenitalia.it/を参照のこと。
お よ び
貨物村
さらに、ミラノから 100km 圏内にはノヴァーラ貨物村、モルタラ貨
物村(PV)
、リヴェルタ・スクリーヴィア貨物村(AL)といった鉄
道・道路複合運送インターチェンジ用の主要な貨物村がいくつかあ
る。
詳細とイタリアのロジスティクスセンターの完全な一覧表について
は、http://www.unioneinterportiriuniti.org を参照のこと。
付属書 3 地域事情| 89
一般・高速道路
博覧会会場はミラノ北西部への密な輸送インフラ網の中に位置して
いる。この輸送網は会場に隣接する一般・高速道路システムにつな
がっており、道路システムは一部新設・改修されて適切な機能基準
を満たしている。
高速道路
下記の高速道路で、ミラノはヨーロッパやイタリアのその他の地方
とつながっている。
• A8 と A9 でスイスへ
• A4(西)でピエモンテとフランスへ
• A4(東)でヴェニスとオーストリア(A22 ブレンナー)へ
• A7(西)でジェノヴァとフランスへ
• A1 で中央・南イタリアへ
ソンドリオ
ヴァレーゼ
レッコ
ヴェルバニア
コモ
ベルガモ
ブレシア
モンツァ
トリノ/モンテ ビアンコ
ヴェネツィア/トリエステ
ミラノ
ローディ
ブレンネロ
クレモナ
パヴィーア
トリノ
マントヴァ
ローマ/ナポリ
ジェノヴァ/ニッツァ
詳細は http://www.autostrade.it/を参照のこと。
フ ィ エ ラ
博覧会会場近くの高速道路出口は A8(ミラノ~湖水地方)Fiera
ミ
ラ
ノ
ペ
ロ
ノ ル ド
Milano出口、A4(ミラノ~トリノ)Pero Nord出口、SS33 シン
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
プロン主線Fiera Milano出口である。これらの出口から博覧会会
場への行き方は以下の通り。
A8 高速道路から博覧会会場へのルート
A8 高速道路北西方面から博覧会会場へ
ノ ル ド
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
Milano Nord高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
→Fiera Milano出口→SS33/Rho-MonzaをFiera Milano – Rho
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
方面へ→Milano出口→Milano– Rho方面へ
90 |付属書 3 地域事情
ミラノ 2015
A4 高速道路から博覧会会場へのルート
A4 西方面から博覧会会場へ
ギ ソ ル フ ァ
ミ
ラ
ノ
ペ
ロ
ノ ー ド
Milano Ghisolfa高速道路料金所手前でPero Nord 出口を降りる
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
→Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 をComo – Varese方面
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
モ ン ツ ァ
モ ン ツ ァ
へ→最初の出口Fiera Milano→SS50/ Rho – MonzaをMonza方
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
面へ→Milano出口→Milan – Rho方面へ
A4 高速道路東方面から博覧会会場へのルート
ミ
ラ
ノ
エスト
ト リ ノ
Milano Est 高速道路料金所を超えてTorino方面の標識に従う→
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Como – Varese 出口→A8 高 速 道 路 を Como – Varese 方面へ→
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
Fiera Milano 出口→SS8/Rho – Monza をFiera Milano – Rho
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
方面へ→Milano出口→Milan – Rho方面へ
付属書 3 地域事情| 91
A4 高速道路東方面から博覧会会場へのルート
ミ
ラ
ノ
エスト
ト リ ノ
Milano Est 高速道路料金所を超えてTorino 方面の標識に従う→
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ペ
ロ
ラ
ノ
ロ
ー
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
Fiera Milano – Pero 出口→SS33/Rho – Monza をFiera Milano
ロ
ー
ミ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
– Rho方面へ→Milano出口→Milan – Rho方面へ
A1 高速道路から博覧会会場(北入口)へのルート
ス ッ ド
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
Milano Sud高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う→
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
ト
リ
ノ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Tangenziale Ovest(西環状道路)A50– Turin – Como– Varese出口
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
→Tangenziale Ovest (西環状道路)A50 をComo– Varese方面へ→
フ ィ エ ラ
最 初 の 出 口 Fiera
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ミ
ラ
ノ
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
Milano →SS33 を Monza 方 面 へ → Fiera
ノ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
Milano –Milano出口→Milan – Rho方面へ
A7 高速道路から博覧会会場(北入口)へのルート
ミ
ラ
ノ
オヴェスト
ミ
ラ
ノ
Milano Ovest高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
ト
リ
ノ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
→Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 – Turin – Como– Varese
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
出口→Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 をComo– Varese方面
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
へ→最初の出口Fiera Milano →SS33 をMonza 方面ヘ→Fiera
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
Milano –Milano出口→Milan – Rho方面へ
92 |付属書 3 地域事情
ミラノ 2015
A1 高速道路から博覧会会場(北入口)へのルート
ス ッ ド
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
Milano Sud高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う→
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
ト
リ
ノ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 –Turin – Como– Varese出口
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
→Tangenziale Ovest(西環状道路)
A50 をComo– Varese方面へ→2
ミ
ラ
ノ
ガ ッ ラ ラ テ ー ゼ
ペ
ロ
つ目の出口Milano Gallaratese →SS11 をPero 方面ヘ→A8 を
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
ラ
ノ
モ ン ツ ァ
Como– Varese方面ヘ→Fiera Milano出口→ SS33/Rho – Monza
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
ミ
ラ
ノ
ミ
ロ
ー
をFiera Milano – Rho方面へ→Milano出口→Milan – Rho方
面へ
A7 高速道路から博覧会会場(北入口)へのルート
ミ
ラ
ノ
オヴェスト
ミ
ラ
ノ
Milano Ovest高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
ト
リ
ノ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
→Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 – Turin – Como– Varese
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
出口→Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 をComo– Varese方面
ミ
ラ
ノ
ガ ッ ラ ラ テ ー ゼ
ペ
ロ
へ→2 つ目の出口Milano Gallaratese→SS11 をPero方面ヘ→A8
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
ラ
ノ
を Como – Varese 方面ヘ→ Fiera Milano 出 口 → SS33/ Rho –
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
ミ
ラ
ノ
ミ
Monza を Fiera Milano – Rho 方 面 へ →Milano 出 口 →Milan –
ロ
ー
Rho方面へ
付属書 3 地域事情| 93
A1 高速道路から博覧会会場(東入口)へのルート
ミ
ラ
ノ
タンジェンツィアーレ
高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う→Tangenziale
オヴェスト
ト
リ
ノ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Ovest (西環状道路)A50 – Turin – Como – Varese 出 口 →
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 をComo– Varese方面へ→2
ミ
ラ
ノ
ガ ッ ラ ラ テ ー ゼ
ペ
ロ
つ 目 の 出 口 Milano Gallaratese →SS11 を Pero 方 面 へ → C.na
ス テ フ ェ ン ソ ン
メ ル ラ ー タ
Merlata出口→地方道路→Stephenson経由
A7 高速道路から博覧会会場(東入口)へのルート
ミ
ラ
ノ
タンジェンツィアーレ
高速道路料金所を超えてMilano方面の標識に従う→Tangenziale
オヴェスト
ト
リ
ノ
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Ovest (西環状道路)A50 – Turin – Como – Varese 出 口 →
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
コ
モ
ヴ ァ レ ー ゼ
Tangenziale Ovest(西環状道路)A50 をComo– Varese方面へ→2
ミ
ラ
ノ
ガ ッ ラ ラ テ ー ゼ
ペ
ロ
つ 目 の 出 口 Milano Gallaratese →SS11 を Pero 方 面 ヘ →C.na
ス テ フ ェ ン ソ ン
メ ル ラ ー タ
Merlata出口→地方道路→Stephenson経由
都市幹線高速道路を利用しない場合
ロ ー
モ ン ツ ァ
博覧会会場は北東方面から SS33/Rho – Monza経由でもアクセス
ミ
ラ
ノ
エスト
モ ン ツ ァ
可能である 。 Milano Est 高速道路料金所の手前からMonza –
タンジェンツィアーレ
ノ ル ド
タンジェンツィアーレ
Tangenziale Nord ( 北 環 状 道 路 ) A52 出口→Tangenziale
ノ ー ド
コ
モ
ア ウ ト ス ト ラ ー ダ
Nord( 北 環 状 道 路 )A52 をComo方面へ→SS35 をautostrade
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
ロ
ー
モ ン ツ ァ
(高速道路)– Milano方面へ→Rho出口→SP46 Rho – Monzaを
ロ
ー
ボ ッ ラ ー テ
ロ
ー
モ ン ツ ァ
フ ィ エ ラ
ミ
ラ
ノ
Rho – Bollate 方面へ→SS33/Rho – Monza をFiera Milano 方面
ミ
ラ
ノ
ミ
ラ
ノ
ロ
ー
へ→Milano出口→Milan – Rho方面へ
94 |付属書 3 地域事情
ミラノ 2015
周辺/補助道路
博覧会会場は一般市道からもアクセス可能である。
パ リ ッ ツ ィ
ス テ フ ェ ン ソ ン
•
市内からはPalizzi経由、Stephenson経由で
•
Milano-Quarto OggiaroからはAmoretti経由、
ミ
ラ
ノ
ク ワ ル ト
オ ッ ジ ャ ー ロ
ア モ レ ッ テ ィ
ス テ フ ェ ン ソ ン
Stephenson経由で
•
ア レ ー ゼ
バ ラ ン ザ ァ ー テ
ミ
ラ
ノ
Arese – Baranzateからは(北西)Milano経由で
これら周辺道路は住宅が密集し、交通が渋滞する地域を通り、重
量貨物輸送には適さないため、避けるほうがよい。貨物輸送はサ
ッコ病院への救急搬送の妨げとなる可能性もある。
高速道路に関する一般的ガイドライン
ミラノ大都市圏交通網は特に市内・市外の通勤ラッシュの影響を
受けやすい。そのため、この点を考慮し、以下の平日ピーク時の
道路配送を避けることを強く推奨する。
•
•
午前 7 時半~午前 10 時
午後 5 時~午後 8 時
参加者およびそのサプライヤーは、ミラノ博覧会 2015 に関わる
多数の組織が博覧会会場にアクセスし、交通インフラを同時に使
用することを考慮し、公共高速道路上でのロジスティクス活動の
影響を最小限に抑えるための適切な方策を取らなければならない。
タンジェンツィアーレ
オヴェスト
A50 に関して、
また、特に SS33 とTangenziale Ovest(西環状道路)
見本市や展示会の開催にも注意しなければならない。
以下の理由から、
ミラノ博覧会 2015 は高速道路網のみを使用し、
バランザーテ、ペロ、ロー、ボッラーテ市内の地方周辺道路の使
用を避けることを奨励する。
•
日中の交通渋滞悪化を避けるため
•
夜間の騒音公害を避けるため
開催者は全参加者に、鉄道や複合輸送貨物輸送等、より持続可能な
形態を優先しできる限り道路輸送を最小限にすることを推奨する。
付属書 3 地域事情| 95
開催者は、警察や高速道路当局からの問題報告後、参加者に対する
法的拘束力をもつ、会場周辺の公共道路の使用に関する特別規定を
発行する権利を留保する。
バ ラ ン ザ ァ テ
モ ン テ
ッ ロ
Baranzateの A8 高速道路下のMontello地下道では貨物輸送の
制限があり、高さ 2.75m を超えない車両のみ通行可能とされて
いる。
大型貨物や危険物を博覧会会場に輸送する場合、参加者またはロジ
スティクスパートナーは法律に従い、自身で一般・高速道路当局と
の調整を行わなければならない。
イタリア国内法によれば、大型貨物・特別貨物には、特定の要件に
関し、高速道路法第 61・62 条に規定された外形や重量制限を超える
車両が含まれることに注意されたい。
計画されているインフラ工事に変更や遅れが発生する可能性がある。
そのため、ここで提供される情報は参考とすべきで、ミラノ博覧会
2015 に対する拘束力はないものとみなされる。
96 |付属書 3 地域事情
書式
本書式は参加者が参加者デジタルマネジメントシステム(PDMS)
からダウンロード可能な食品・飲料フォームの写しである。
参加者は本フォームに記入する際、できる限りの詳細を記入すること。
テクノロジーオフィシャルパートナー
| 97
フォーム| 97
別表 I
食品・飲料フォーム
公式参加者名
参加通知日
参加テーマ
参加テーマ
自己建築型―区画番号
クラスター―クラスター名―ユニット番号
その他
参加テーマ
主な原料
代表的な原料
調理手法
消費方式
サービス方式
飲食物の形態
グリーン調達適用のための方策
一日当たりの食事数
食器類の種類
申請者連絡先
名前
住所
電話番号
eメールアドレス
ファックス番号
陳列区域政府代表(署名)
98|フォーム
98
|テクノロジーオフィシャルパートナー
洗浄可能、再利用可能
UNI EN 13432 に適合したコンポスト化・生分解可
能な材料でできた使い捨て