NPO-IOJ IOJだより コラム 第45号 2 0 1 2 年 8月 6 日 発 行 日本の将来を 考える会 現会員数 1420名 黙ってはいられない;日本を混迷に陥れた二人の首相経験者 1.あいた口がふさがらない あ い た口が ふさが ら な い と は、総理大臣まで務めた菅氏と 鳩山氏のこと。この両氏のおか げでこの国がどれだけ混乱し、 国益を失ってきたか。充分に報 道・批判されてきたことではあ るが、思い出すだけで不愉快極まりない。鳩山氏の場合、沖 縄の米軍基地の移転問題に関する無責任な対応。私には腹案 があると言いながら、何もなかったこと、これには日本中唖 然とした。笑いこけた人もいただろう。無知、見識のなさ、 あきれるばかり。この人は、友愛精神と称し「日本列島は日 本人だけのものだろうか?」とのたまわったという。恐ろし いことである。中国は「尖閣諸島は中国領土だ」と云い、 「沖縄はかつて中国に属した」と言いがかりをつけ始めた。 我々は現中国大使のように中国の言うままになるのか。同氏 が日本国籍は持つが純潔な日本人かと疑いたくなる。 先日は官邸周りの反原発デモに参加し不見識な発言をして いる。これが総理大臣を務めた人がすることだろうか。こん な人間がどうして総理になりえたのか。当時のムードに酔 い、彼の正体を見破れなかった我々がお人好しそのもので あったのだろう。 菅氏とて同じようなもの。福 島事故で対応を誤り、放射性物 質を大量に放出した最大の責任 者は菅氏である。IOJは当初か ら彼の重大な判断ミスを指摘し てきた。民間、政府、国会事故 調の報告書は表現の違いはある ものの、彼の重大な責任を指摘 している。その後、何の反省も なく、外国では事実に反する談 話を報道し民主党幹部のひん しゅくを買った。浜岡原発の法 的手続きを無視した停止要請。 思い付きのストレステスト導入。脱原発に向かうにしろ、や り方というものがあるはず。今の原子力問題でわざわざ国論 を二分させ混迷を招いた責任は彼にある。そういう混迷を望 んでいるとしか思えない軽挙な振る舞い。反対・推進で意見 は異なっても、同じ国民同士。国益を失わないやり方がある はず。それで電気料金の値上げは抑制される。こういう可能 性が短絡的に踏みにじられているのはどうかと思う。 また、退陣を巡ってあの見識のない鳩山氏にペテン師呼ば わりされて、何とも恥じない菅氏。「ペテン師と越後屋の高 笑い」(参照:IOJだより 7号)を許した自然エネルギー発電 量の全量買い取り価格制度の推進者。また、韓国の原発は中 止する必要がないが日本の原発は中止すべきと主張し太陽光 発電で莫大な収益を得ようとしている偽善的韓国出身の実業 者との連携。 もっと憂慮すべきことがある。日本の原発を潰せば日本を 弱体化できる。そのため外国資金が流れているという。これ だけの反原発運動を継続させるのには巨額の資金がいる。ど こから流れて来ているのか。日本はスパイ天国であることを 忘れてはならない。 今、もっとも警戒すべきは日 本の政治を滅茶苦茶にした小沢 一郎氏だろう。彼は生き残りを かけて国民の「反原発」ムード を利用して選挙に臨もうとして いる。日本の将来より、己の政 治的野心を優先させる人間だ。それを許すマスコミと我々 有権者。本気で反省すべき時が来ている。 2.もう我慢が出来ない 野田政権は政権基盤が弱体である。菅氏をエネルギー問 題の特別顧問にしなければバランスを維持できない。それ でも、「原子力なくしてこの国は立ち行かない」と言明し て、大飯3,4号機の運転再開を決めた。IOJはこれを高く評 価した。しかし、福島事故でマスコミに煽られた一般市民 が自然エネルギーの幻想に惑わされセンチメントに反・脱 原発に傾いている。これが一部の職業的反原発派に大いに 利用されていると思わずにはいられない。 日本の自然エネルギー政策は数年内に破たんする。ドイ ツやスペインの実態を見るとよい。自然エネギーの幻想を 吹聴しこれを反原発デモに繋げ、その見通しのなさをデモ などでまやかしにする。この動きを自らの政治的野心に利 用して、知事選にまで出馬した飯田哲也氏。日本を黙々と 支えているサイレントマジョリティーが原発事故で冷静さ を失っている時に乗じて大衆に幻想を振りまく挙動。 8月1日の新聞報道では、見識もなく恥を知らないこの両 人(鳩山・菅)が、与党の新規制委員会委員人事案に対 し、同意せず反対票を投じると表明した。冷静に判断すべ き案件を政治問題化しようとする。民主党は一体どうなっ ているのか。野田総理はもう毅然とやるしかないのではな いか。日本をこんな混迷状態に落としいれた民主党であ る。日本を憂うる国民として、福島での失敗を教訓にして 新しい再生につなげたいと思うが、原発問題を人質に取ら れている構図の下では、国民の健全な判断と見識ある政治 家の信念に期待するしか方策はない。破滅に繋がるかもし れない将来の「万が一問題」(参照:IOJだより 22号)を思 えば、反原発運動は日本を間違った方向に導く。原発の代 替エネルギーは当面存在しないと思うべき。8月2日の産経 新聞の論説では、原発廃止は“地獄”をもたらすと論じて いた。 3.国民の良識を期待したい 飯田哲也氏の主張を精査するとよい。実に巧妙な詭弁家 である。自然エネルギーは基幹電力になり得ると喧伝して きた。彼はドイツを見よと言った。そのドイツでは、太陽 光発電に10年間10兆円投資して現在の発電量は3%以下であ る。そして財政負担に耐えられなくなって、買い取り価格 は数度にわたって引き下げられている。長い梅雨がある日 本で、太陽光発電の限界は明白。これは数年先の日本の姿 であろう。やがて、国民はとてつもない電気料金の値上げ にびっくりする。企業の日本脱出。雇用の喪失。志がある とは思えないこれらの人々は、「国民が反原発の幻想にい つ気が付くか」、それまでが勝負だと思っているはず。国 民が反原発の「空気」の金縛りにあっているうちに権力を 握り、この国をいいようにしようとしている。その意図は政 権を取って何一つマニフェストを実現できなかった民主党と 同じ手口ではないか。 4.国際情勢 原発を徐々に少なくしていく、それはそれで妥当な選択か も知れない。しかし、考えても見よ。中国は後10年足らずで 100基の原発を保有する。韓国も大きな増設計画を持つ。世 界で原発を止める国もあるが、今後20年間で数百基が建設さ れる。日本が原発で滅びれば、数百兆円市場で韓国、中国は 大活躍、日本は蚊帳の外。国内で電気を節約し、雇用は失わ れ、若者たちの就職先はなく、明日への希望がなくなって、 衰退の一途。いったい誰が責任を取るのか。民主党には“責 任”という文字はない。結局責任を取らざるを得ないのは 我々国民。福島の悲惨さだけに囚われて国の将来を決めては ならない。日本はどこか狂い始めている。 5.原発を政争の具にしてはいけない 国民よ、目を覚まそう。エネルギー問題は国の根幹だから 一時の政党に左右されてはならない。センチメントに流され ている市民に左右されてはならない。エネルギーの三択問題 <緊急メッセージ> で、原子力0%を選択する人が7割だと報道はいう。それは 参加者が偏っているから当然と云えば当然。原発問題を政 争の具にしてはならない。被告人の小沢一郎が原発問題を 政争の具にして、見識や力量もないネームバリューだけの 素人を再び国会に送るなどということがあったらこの国は どうなるか。それで国が被るダメージは深刻なものにな る。日本がこのように自滅の道を歩むことを気にしない リーダー達。彼らを深刻に評価する時が来ているのではな いだろうか。 結言: さる6月12日、野田首相は大飯原発の再稼働やその後の原 発の運転について明確な方針を打ち出した。また、政府は この国のエネルギー全体の取り組み方を定めようとしてい る。この方針は極めて重要で、日本の将来を決める鍵とな るものである。事故後の一時の感情や選挙対策をにらんだ 党利党略で決めることがあってはならない。最良の取り組 み方を決めるに当っては、これまで基幹エネルギーを担っ てきた原発の信頼性回復を見極め、代替エネルギーが短期 間で量的にかつ経済的に基幹エネルギーになりうるのか、 火力発電への逆行は資源獲得競争が進む国際情勢の中でい つまで許容されるのか、日本が率先してきた地球温暖化対 策をどうするのか、などを総合的に吟味しながら政策を決 定しなければならない。 このようなことは、総理経験者は百も承知しているはず なのに、一部の反原発の国民感情に迎合し、常識では考え られない短絡的言動を行っている。この状況は私たち国民 を愚弄するものではないだろうか。そういう人間が総理で あった事実を私たちは恥ずかしく思うと同時に二度と許し てはならないと思う。 それでも原子力は日本のエネルギー安全保障に欠かせない!~新しいエネルギー政策への要望と期待~ 昨年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故により、今もなお避難生活を余儀なくされている方々を はじめ、多くの方々に多大のご不便とご心労をおかけしたことは、長年原子力に関係してきた者として、実に痛恨の極みであり、深 くお詫び申し上げます。その一方、この事故が原子力発電に対する不安と不信を増大させ、我々の生活に欠かせないエネルギー供給 構造を脱原子力、縮原子力の方向へ性急に転換させようという風潮が広がっていることを強く危惧します。 現在提案されている3つの選択肢はすべて、再生可能エネルギーの全電力に占める割合が2030年までに30%~35%になることを前提 としています。この目標を実現するためには膨大な太陽光発電や風力発電が必要となりますが、これらの設置に適した平地が狭く、 発電に適した風況に恵まれない我が国では実現が極めて困難です。また省エネ、節エネにも限度があります。結局不足を補うには化 石燃料への依存を増大せざるを得ません。しかしながら、世界の原油や天然ガス生産はすでに頭打ちで、いつ減り始めてもおかしく ありません。これに代わるシェールガスなどの非在来型資源にも多くを期待することはできません。石炭もいずれピークになりま す。他方、価格高騰する化石燃料の消費増加は富の国外流出や産業の空洞化を加速させ、我が国の経済力を一層弱体化するばかりで なく、地球環境への悪影響を拡大させる結果となることは避けられません。 目を世界に転ずると、人口の増大、生活の質の向上などにより特に発展途上国でエネルギー需要が爆発的に増大しつつあり、化石 燃料資源争奪戦の激化が不可避です。これに対応するにはエネルギー供給源の多様化が必要となり、中でも原子力発電は将来の最も 有力な供給源として、先進国はもとより発展途上国からの期待も高まっています。 一方、脱原子力を決めたドイツを見習えという 意見もありますが、同国では国産の石炭が豊富で発電の約5割を占めるほか、フランスからの買電も可能であり、日本の参考にはな りえません。また、ドイツの再生可能エネルギー政策は行き詰っています。 このような国内外の現状に鑑みると、原子力発電の早 期戦列復帰と維持が我が国の経済基盤を強化し、少なくとも現状レベルの国民生活を維持するために、また世界の原子力発電の発展 に貢献するために必要不可欠です。 もとより、原子力の早期戦列復帰と維持には、徹底的な安全性改善と健全な原子力規制及び推進体制の確立が必須条件でありま す。地域住民の避難を余儀なくするような事態を二度と起こしてはなりません。近く発足する原子力規制委員会の下、全関係者一丸 となって「安全で安心できる原子力」の実現に粉骨砕身努力しなければなりません。 以上により、日本と世界のエネルギー安全保障の為に、「選択肢3」(20~25%)、あるいはそれ以上の原子力発電比率とするエネ ルギー基本計画の策定を強く望むものです。 2012年8月10日 原子力学会シニアネットワーク連絡会、エネルギー問題に発言する会 エネルギー戦略研究会(EEE会議)、NPO法人IOJ 日本の将来を考える会
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