セブンイレブンの情報システムの利用と単品管理 (伊東隆宏)

筒井ゼミ2002年
卒業論文
セブンイレブンの情報システムの利用と単品管理
2002年12月24日
学籍番号5199010
名前
伊東
−1−
隆宏
1.はじめに
2.セブンイレブンの業績
3.セブンイレブンの情報システム
3.1
情報システムの移り変わり
3.2
第5次情報システム
3.3
店舗システム
3.4
物流システム
4.単品管理
4.1
単品管理の定義
4.2
単品管理の重要性
5.POS と発注
5.1
POSシステム
5.2
POSシステムの特徴
5.3
POSシステムの長所
5.4
セブンイレブンでの POS システムの捉え方
5.5
仮説・検証
6.おわりに
7.参考文献
−2−
1.
はじめに
セブンイレブンは POS システムなどの情報システムを利用して、運営を行っているが、
他のコンビニエンスストア(以下 CVS)に比べて高度なシステムだとよく言われている。
そこで本論文では、セブンイレブンの情報システムの特徴や活用法について調査した。調
査に当たってはインターネットや新聞や本を使用した。その結果セブンイレブンの情報シ
ステムの概要と単品管理の重要性、そして発注に対する取り組み方がわかった。本論文で
はまず第2章のセブンイレブンの業績から始まって、第3章セブンイレブンの情報システ
ム、第4章単品管理、第5章 POS と発注という構成になっている。それでは第2章から解
説していきたい。
2.
セブンイレブンの業績
本章では、セブンイレブンの業績を参考文献1)の表を用いて述べた。
表1上場コンビニ大手5社の連結業績1)
上段は 2002 年 8 月中間期実績、下段は 2003 年 2 月期通期予想。
単位億円、店、%、カッコ内は増減率。▲はマイナス。
期末店舗数、店舗純増数は 2002 年 2 月期末比の単体ペース
▽セブンイレ
ブン
▽ローソン
▽ファミリーマ
ート
▽C&S
▽ミニストップ
チェーン
経常利益
全店売上高
11,216
803( 5)
22,160 1,533( 4)
6,658
187(▲17)
12,920
298(▲15)
4,721
161( 11)
9,422
280( 12)
4,545
142( ▲2)
8,955
243( 4)
1,235
57( 0)
2,360
87( 0)
期末国
店舗数
9,314
9,690
7,648
7,734
5,351
※5,601
4,850
4,988
1,444
1,496
店舗
純増数
254
630
▲86
0
64
150
129
267
47
90
既存店
増収率
▲0.7
▲0.3
▲3
▲2.5
▲1.1
0.5
▲2.5
▲1.8
0.6
0.3
(注)エリアフランチャイズ店を含まず、※はエリアフランチャイズの
合併による増加分(164 店)を含む
表1から見てもわかるようにセブンイレブンは 2002 年 8 月中間期実績で売上高 1 兆
1216 億円、経常利益 803 億円で、2 位のローソンと比べても売上高で約 2 倍、経常利
益では約 4 倍以上という優れた業績を出している。店舗数が多いこともさることなが
ら、この業績を残すにはそれなりの経営のありかたと経営システムが構築されている
からではないかと考えられる。そこで次章ではセブンイレブンの情報システムについ
て述べたいと思う。
−3−
3.
3.1
セブンイレブンの情報システム
情報システムの移り変わり
本章では、セブンイレブンの情報システムの移り変わりを参考文献2)を用いて述べる。
表2セブンイレブンのシステム構築年表2)
第 1 次店舗システム
1978 年 8 月
1978 年〜1982 年
発注端末機「ターミナル 7」の導入開始
[日本電気(株)との共同開発]
・発注番号のバーコード化と、商品台帳
兼発注表の作成。
・発注業務のコンピューター化に伴い、
会計処理の面では注文データを先行
記録とするターン・アラウンド方式が可
能となり精度及び効率が大幅に向上。
第 2 次総合店舗情報システム
1982 年 10 月
1982 年〜1985 年
・世界で初めてマーチャンダイズ・マーケ
TC(ターミナルコントローラー)
[日本電気(株)との共同開発]
ティングに POS 情報を活用。
・発注精度の向上と欠陥防止、個店対と
POS レジスターの導入開始
[(株)東京電気との共同開発]
1982 年 11 月
単品管理の深耕、POS 情報の活用、
共同配送の推進等が大幅に進展。
発注端末機 EOB(エレクトリック・オーダ
ー・ブック)の導入開始
[日本電気(株)との共同開発]
第 3 次総合店舗情報システム
1985 年 5 月
1985 年 8 月
1985 年〜1990 年
グラフ情報分析コンピューターの導入開
始
[ロジックシステム・インターナショナル社
との共同開発、日本電気(株)との保守契
約]
双方向 POS レジスターの導入開始
[(株)東京電気との共同開発]
−4−
・販売データがグラフで表示できるように
なり、イメージとして把握し易く、販売デ
ータが本格的に活用されるようになると
ともに予約商品在庫問い合わせなどネ
ットワーク活用ビジネスの可 能性が開
ける。
第 4 次総合店舗情報システム
1990 年 9 月
1991 年 4 月
1990 年〜
GOT(グラフィック・オーダー・ターミナ
ル)、 ST(スキャナー・ターミナル)、SC(ス
トア ・コンピューター)の導入開始
[日本電気(株)との共同開発]
ISDN(総合デジタル通信網:NTT)の導入
開始
・POS データの分析情報に加えて、商品
情報や催事・温度変化などに応じた商
品の動きの変化を先行的にアドバイス
する文字情報の提供等店舗内でレベ
ルの高い発注・単品管理を行う仕組み
作り。
・店舗-ベンダー-本部間でやり取りされ
1992 年 3 月
新型 POS レジスターの導入開始
[(株)東京電気との共同開発]
る大量のデータをリアルタイムで伝達
することにより本部が直近の情報を把
握でき商品調達や店舗への情報発信
の飛躍的な迅速化が可能。
・店頭のサービスレベルの向上と情報サ
ービスへの広範な活用。
第 5 次総合店舗情報システム
1996 年 11 月
1996 年〜
「ネットワークシステム」、
「発注・物流・取引先システム」の導入開
始
・衛星通信と ISDN を統合した世界最大
「グループウェアシステム」の導入開始
・営業部門約 1,500 名全員へ携帯パソコ
「マルチメディア情報発信システム」の導
入開始
・オープンアーキテクチャへ全面移行。
・専用ハードウェア・ソフトウェアなどの共
規模のネットワークを構築。
・動画、音声などのマルチメディア技術を
本格的に活用。
1997 年 5 月
ンを配備。
1997 年 6 月
1997 年 11 月
1998 年 9 月
1999 年 3 月
同開発による信頼性、メンテナンス性、
サービスレベルの向上などを特徴とし
た世界でも最先端のシステム構築。
「店舗システム」の導入
「POS 情報システム」の導入開始
・EC などの新規ビジネスを支援する事
業インフラを確立。
「店舗 POS レジシステム」の導入開
始
・(株)野村総合研究所、日本電気(株)な
ど 12 社のパートナーメーカーの協力に
より統合された総合システム。
上の表のようにセブンイレブンはこれまで何度も情報システムを作り直してきたが、こ
れは基本的に単品管理と発注をより徹底する為に行われてきたように思われる(単品管理
については第 4 章で詳しく述べたい)。
3.2
第5次情報システム
次にここでは一番新しい第5次情報システムの概要を参考文献 2)を基にして図1に示し
た。第 5 次情報システムは1997年11月中旬からスタートし、今では全店に導入され
ている。このシステムで一番脚光を浴びているのは、動画や音声の入出力ができる点であ
−5−
る。マルチメディアを活用して、動画・静止画・音声・文字・数値データといった多様な
情報を店舗に提供しているのである。各店舗の商品発注担当者はコンピュータの画面 上で
最新の商品情報や天候・催事をチェックしたり、現在放映中のテレビコマーシャルを見た
り、商品陳列方法を確認することが簡単にできるのである。また、音声、手書き文字によ
る店内コミュニケーションの円滑化や、様々な販売実績等のデータベース化が可能となる。
図1
セブンイレブンの情報システムの流れ
図のそれぞれの項目を述べると以下のようになる。
(1)セブン‑イレブン本部
店舗経営や販売促進を支援。同時に、メーカーや取引先の商品開発、物流などの効率化や
最適化をバックアップするための情報を集積し、管理・分析している。
(2)ホストコンピュータ
POS、発注、販売、会計の各データ、双方向問い合わせ情報など、ネットワーク情報をすべ
て収集、処理。目的に応じて使いやすく情報を加工し、各端末機器にフィードバックして
いる。
−6−
(3)共同配送センター
共同配送によって、取引先や物流業者の省力化と生産性の向上を実現。温度帯別 の一貫し
た品質管理体制で商品鮮度の向上とタイムリーな納品を実現している。また、ホストコン
ピュータからの受入指示と店舗別 、商品別の配送順仕分け情報をもとに仕分け、加盟店に
いち早く配送する。
(4)メーカー/取引先
受注−生産−仕分け−配送の流れをシステム化。取引先は総合パッケージシステムの運用
を通し、味、鮮度の高い商品を効率的に生産・納品している。また、各店舗の発注データを
もとにホストコンピュータからの出荷指示を受けて発注から納品・請求までが一貫処理さ
れる。
(5)OFC 携帯パソコン
OFC(OFC:オペレーション・フィールド・カウンセラー=店舗経営指導員)全員が携帯。発注
締切の2時間後に配信される発注状況、お店ごとの単品 POS 情報、商品情報などがその場
で確認できるため、各店舗へタイムリーなアドバイス、サポートが可能。
(6)セブン‑イレブン地区事務所
加盟店の経営指標や商品の仕入れ先に対する請求、支払いのデータベース作成を行うなど、
最先端のシステムで加盟店の会計簿記サービスを提供している。
図1のように実写の動画で音声つきの CM を流す等、セブンイレブンがここまでこだわ
るのは、CVS の商品は CM の有無やその内容に大きく売れ行きを左右されるからである。
お客は CM が流れた途端、すぐその商品を買いに来ることが多い。だから、セブンイレブ
ンは他のチェーンに先駆けて、全国どこの店でも CM が流れるその日には、商品を陳列し
ておける体制を作っている。また第5次情報システムの投資へは、発注の精度を高めるた
め、つまり仮説・検証のためだとも言える(これについては第 5 章で詳しく述べたい)。
3.3
店舗システム
ここでは店内のシステムについて参考文献2)から図を用いて解説したい。
お店はお客が買い物に来る場所である。お客のニーズはつねに変わり、安定して売れつ
づける商品は限られている。それゆえに商品 1 品ごとの動きを管理し、データで検証しな
がら次の発注の精度を高める単品管理という手法が不可欠になってくる。セブン‑イレブン
ではこれを徹底するため、マルチメディアを活用した最先端の店舗システムを構築し、お
店における発注業務に加え、情報の収集・共有化のバックアップを行っている。
以下、図2の各項目を簡単に説明する。
−7−
図2
店舗内情報システム
(1)GOT(グラフィック・オーダー・ターミナル)
A4サイズの発注用パソコン。見やすいカラー画面に、天気予報、陳列方法、販売動向や季
節・催事に応じた重点商品の情報など、発注のアドバイスを画像、グラフ、文章で表示す
る。
(2)SC(ストア・コンピュータ)
店舗システムのコントロール・ステーション。単品の販売、売り切れなどのデータがリア
ルタイムで更新。衛星通 信を通じて詳細な天気情報、催事、キャンペーン、CM などの情報
を動画や静止画で提供。検証記録を音声や手書き文字で蓄積できるほか、再確認も容易に
できる。
(3)ST(スキャナー・ターミナル)
商品のバーコードを読み取ることにより、簡単に検品ができる。また、鮮度管理を行った
り、陳列位置情報を入力し、品揃えや陳列に活かしている。
−8−
(4)POS レジスター
一般的には、商品のバーコードを読み取って商品の売上情報管理をしている(詳しくは第 4
章の POS についてで述べたい)。
3.4
物流システム
ここでは店に配送されてくる商品の物流システムについて参考文献2)からの図を用い
て述べたい。
セブンイレブンは、物流システムに対しても消費者のニーズに合わせて構築してきた。
異なるメーカーの商品を温度帯またはカテゴリーごとに共同配送センターに集めて、専用
配送車両で店舗に共同配送している。共同配送センターは、出店に合わせた合理的な配置
を行い、効率的な配送ルートを組んでいる。それにより創業当時1店あたり 70 台納品を行
っていたのを平成 11 年においては 10 台にまで減らすことができた。
その取り組みの一つにドミナント(高密度集中出店)方式を行っている。ドミナントを
展開することにより、配送車一台あたりの走行距離が短くてすみ、配送コストが安くなる。
一つの店から次の店までの距離が短いことにより予定時間通りに配送できる。生鮮品は鮮
度に余裕を持てる。配送ルートも一定化しやすいという効果がこれにはある。またこの戦
略はセブンイレブンの知名度をアップさせる働きもある。
図3
1店当たりの配送車両台数の推移
−9−
4.単品管理
この章では上で何度か述べられていた単品管理についての定義と単品管理の重要性を述
べたい。
4.1
単品管理の定義
セブンイレブンは単品管理について意識している。単品管理を言葉だけで見ると商品を
一つ一つ管理するという意味に捉えることが多い。しかし、今の単品管理は、マーケティ
ング活動の意味するものが強い。今デフレ状況の中でスーパーチェーンなどが
安売り
を売りにしているが、そうしたことで商品の価格は下がり、低い荒利益率しか出せなくな
る。またそういったことがマーケティング活動を希薄なものにさせていったとも言える。
それではいけない。ではどうすればいいのか。それはお客のニーズを掴むことである。そ
れこそがマーケティング活動なのだと言える。そして単品管理とは、そんなマーケティン
グ活動を支えるものとなる。
このように単品管理は、けっして単なる POS による単品動向把握のテクニックではない。
単品動向とそれを生んだ背景、要因との因果関係の検証のなかで、顧客を捉え、生活のニ
ーズを把握するための、さらには個人の生活にまで深く踏み込んでいくためのなる重要な
ものである。
4.2
単品管理の重要性
インターネットやイントラネットを通じ、マルチメディア化した情報システム(第5次
情報システム)を実現したが、クレンリネスやフレンドリーサービス、鮮度管理も視野に
入れているとはいえ、情報システムの核になる目的は単品管理だと言える。なぜそこまで
して単品管理を追及するのか。それは消費者の商品に対する選び方に差が生じているから
だ。例えば、炭酸飲料を買いにいくとする。炭酸飲料の A 商品が欲しかった。しかし売り
切れていた。その代わりに B 商品があると奨められた。以前だったら「しょうがない」と
いう気持ちはあっても、買っていくお客がかなりいたはずだ。しかし、今は A 商品が飲み
たいのであって、他の炭酸飲料を飲もうとは思わない。他で探すという行動に出る。
つまり、以前なら自分の欲しい商品がなくても似たものがあれば買ってくれた。その率
が高かった。ところが、今は、自分が本当に欲しい商品でないと買ってくれない。なぜそ
うなったのか。一つは他の店でも買えるほど商品が出回っているからである。人気商品で
生産が追いつかない場合を別にすればそうだ。もう一つは消費者ニーズが進化してシビア
になったこともある。消費者ニーズの進化に対応しようとメーカーが商品の品質を進化さ
せ、その商品を食べたり飲んだり使ったりすることで、さらに、ニーズが進化し、さらに
メーカーがそれに対応してという繰り返しを行ってきた結果だ。
−10−
このような単品にこだわって買うとどうなるか。同じカテゴリー、同じグループ、同じ
品番でも、商品ごとに販売動向が違ってくる。お客が自分の欲しい商品がなかったら他の
類似の商品を買えば、三ヶ月に一回の棚卸など一定の期間で区切ってみると、同じカテゴ
リー、グループ、品番なら同じような動きをしている。だから、商品管理はそのレベルで
行えば十分だった。
しかし、今は単品ごとに販売動向が異なる以上、単品管理以外、商品の販売動向を正確
に掴むことができない。だからこそ単品管理が重要なのだ。そしてセブンイレブンは単品
管理を重要視している。言うなれば今までのセブンイレブンの情報システムの改良は単品
管理の為だと言っても過言ではない。また単品管理を正確に行うことによって在庫を減ら
しながらも売上を伸ばすことが可能なのである。
5.POS と発注
この章では POS と発注の関連性について述べていきたい。
5.1
POSシステム
ここでは POS システムについて参考文献7)を用いて述べている。
POS とは(Point of sale)の略で、販売時点情報管理システムのことであり、自動読み
取り方式(スキャニングシステム)のレジスターにより、単品別に収集販売情報、ならび
に仕入、配送などの活動で発生する各種情報をコンピュータに送り、各部門が有効利用で
きるような情報に加工し、伝達するシステムであり、いわば小売業の総合経営システムを
意味する。
POS システムは小売業が商品の品揃え、発注、在庫、陳列、プロモーションなどを効率
的に管理するための仕組みであるが、小売業だけでなく、広く流通システム全体の革新を
促した。また、消費者パネル、小売店パネルなど、調査データの収集方法も大きく変わり、
マーケティングリサーチ体系の変革につながることになった。
5.2
POSシステムの特徴
ここでは POS システムの特徴的な部分を参考文献(7より抜粋してきた。
POS システムの特徴として、商品管理、顧客管理、従業員管理、情報の集中管理、自動
読み取り、販売時点による情報入力を上げることができる。
(1) 商品管理
電子式レジスタから POS システムへの移行によって、部門レベルのデ
ータから単品レベルの POS データが利用でき、 単品管理(ユニットコントロー
ル) が可能になった。例えば今まで 調味料 や お菓子 というように大ざっぱ
−11−
な分類登録をしていたが、POS の単品管理機能により
ビン入りのインスタントコーヒー
○○社製の△△g入りで、
といった単品で登録し、必要に応じて分類集計
することが可能になった。
(2) 顧客管理
クレジットあるいはID(顧客識別)カードを取り扱う小売業では、POS
システムによって信用照会から売上処理までの操作を自動化できる。さらに顧客情
報と商品情報(いつ、何を、いくつ、いくらで、どういう支払条件で等)をコンピ
ュータで処理することにより、より高度な顧客情報管理システムの実現が可能にな
る。
(3) 従業員管理
POS システムに内蔵されたタイマーやストアコントローラに接続さ
れたタイムレコーダによって、従業員の一人一人の勤務状況、営業成績(売上額に
よる評価)等を月、週、日、あるいは時間帯別に把握することである。その結果、
キャッシャー別のレジ作業スケジュール表に基づいたローテーションの決定、キャ
ッシャー教育の見直しなどを実施することができる。
(4) 情報の集中管理
商品管理、顧客管理、従業員管理を通じて、各 POS ターミナル
から収集された情報を次のように活用する。単品別の販売動向の把握(売れ筋商品、
死に筋商品、新製品などの販売動向を把握する)加工・分析(販売価格と販売量の
相関分析、時間帯別の販売分析を行う)他データとのクロス分析(陳列形態、天候、
POP 広告、チラシの有無と期間、競合商品等による影響分析を行う)
(5) 自動読み取り
POS システムの導入により、レジ会計の省力化、迅速化、正確化が
可能になる。商品のバーコードをスキャンすることにより瞬時に売上の登録ができ、
a)レジのチェックアウト生産性が上がる。
b)レジの登録ミスがなくなる。
c)点検、生産、現金・伝票の在高報告等の店舗事務作業が軽減される。
d)レシートに商品名も価格と一緒に表示できる。
などのメリットがもたらされる。
(6) 販売時点における情報入力
ほとんどの重要な情報は店にある
といわれるとお
り、店で発生した情報(発注仕入れ販売などの商品情報、顧客情報)を発生した時
点で把握することにより、生きたデータがつかまえられ、その後のさまざまなデー
タ加工や分析が可能になる。
a)揃えの適正化による売上増大、すなわち売れ筋商品の早期手配による品切れ防止と顧
客のニーズにあった品揃えによる売上増が図れる。
b)死に筋商品の早期発見によるタイムリー、かつ的確な値下げによる値下げゼロの削減
がはかれる。
−12−
c)売れ筋商品、死に筋商品の把握の迅速化、的確さによる商品の回転率の向上により
在庫経費の削減が図れる。
d)クレジットカードなどによる顧客の購買情報や顧客の嗜好が把握でき、それをもと
にした顧客サービスの向上による顧客の固定化と、それによる売上の増大が図れる。
e)導入した新商品の売れ行き情報や売上貢献度の把握、他の商品の売れ行きへの影響な
どの把握、分析が可能になる。
5.3
POSシステムの長所
ここでは POS システムの長所について参考文献7)を用いて簡単ながら述べたい。
POS システムはレジスター機能を備えたコンピュータシステムであるが、情報収集シ
ステムという観点から見た優位性は次のようなところにある。
(1)詳細性:POS システムによって収集される情報はレシート単位の単品別の販売デ
ータである。技術的にはいつ(時間帯別)、どこで(○○店)、誰が(レジ
清算時に顧客の属性コードまたはIDコードの入力が必要)、何を(JAN コ
ード別)購入したかを把握する事ができる。
(2)迅速性:店舗の POS システムを管理するストアコントローラと通信回線でつなげば、
デイリー(日別)はもちろんのこと、原理的にはリアルタイムでの情報収
集が可能となる。
(3)網羅性:POS レジを通過する全単品の販売状況を把握することができる。
(4)拡張性:POS システムで使用される JAN コードが単品を識別するための共通商品コ
ードとして存在していること、またレジでの生産データがダイレクトにコン
ピュータに入力されることによって、流通情報システム、マーケティング情
報システムなどさまざまな分野の情報システムとつなげることができる。
5.4
セブンイレブンでの POS システムの捉え方
以上のように POS システムについて述べたが、その中でもセブンイレブンでは POS シ
ステムを死に筋発見の道具として扱っているのが大きい。POS から出てくるデータは過去
のデータであり、未来のデータは出てこない。わかりやすく言うと、このデータは過去に
自分の店で扱っていたものの数字なのである。したがってこれから出てくるであろう新し
い商品に対しては商品の情報を得ることはできても、どれだけ売れるのかは分からないの
である。それではどのように商品の発注を行っていけばよいのか。そこで仮説・検証が重
要になってくる。
−13−
5.5
仮説・検証
ここでは発注において重要になってくる仮説・検証について述べたい。
コンビニエンスストアでアルバイトをしていて発注をしたことがあるかたは分かるかも
しれないが、季節や月、週、日等によって発注者自身が考えて発注を行わなければならず
難しい。ましてやデイリー(米飯やパンなど)などの廃棄で落ちやすい物を担当している
人は大変だろう。オーナーからはなるべく廃棄を出さないで下さい、欠品を出さないで下
さいなどと言われていないだろうか。上でも述べたが、発注者は POS システムのデータを
利用して発注を行っている。ただこのデータは過去のデータなのである。前に発注を行っ
ていた人が出した数字をデータにしたものであってその時に存在しなかった商品の情報は
ないので、それをうのみにすることはあまりに危険だ。そこで仮説・検証が重要になって
くる。
手順としてはまず POS データや関連情報を分析する。次に仮説を立てる。そして実行し
結果を検証する。結果を検証したことでデータを得られ、それを分析することで、新たな
仮説を立てる。これの繰り返しである。これを行うことにより発注の精度は上がり、廃棄
を大量に出すことなく、高い売上を上げることができるのである。だからこそセブンイレ
ブンは発注においてこの仮説・検証を重要視している。
6.
おわりに
セブンイレブンは第 5 次情報システムを構築し、IT 技術を利用したマルチメディアを活
用することで大きな業績を上げている。この情報システムはパート・アルバイトでも適切
に仮説を立てやすいよう工夫されている。マルチメディアに弱いパート・アルバイトでも
操作しやすいようにしたり、適切な仮説を立てるためには欠かせない情報を分かりやすく
ビジュアルに提供している。
この情報システムは確かに凄い。が、情報システムを有効に使いこなすことができなけ
れば意味がない。そこで上で述べたような単品管理、そして仮説・検証の考え方が重要と
なってくる。それを考え、情報システムを有効に利用し発注を行っているからこそセブン
イレブンは CVS のトップに立ち続けるのだろう。
7.参考文献
1)
2)
3)
4)
5)
「日本経済新聞」2002 年10月(朝刊)3面
http://www.sej.co.jp/index.html「セブンイレブンジャパン」
緒方知行『タンピンカンリ』イーストプレス
国友隆一『セブンイレブンシステムズ』日本実業出版社
溝上幸伸『セブンイレブン
鈴木敏文の考え方』ぱる出版
−14−
6) 浅野恭右『POSシステム導入の基礎』日本企画協会刊
7) http://chubun.lite.tamacc.chuo-u.ac.jp/saitolab/forum98/namiki/ab.pos.html
「boutPOS」
−15−