同 (資料編)

【資料1】
現地調査ヒアリングメモ
機関名:ADR WORKSHOP CANADA(会社名は STIFF FELD HANDY GROUP)........... 1
機関名:AGREE INC. ............................................................................................................. 4
機関名:YORK UNIVERSITY ................................................................................................ 7
機関名:ADR INSTITUTE OF CANADA..............................................................................11
機関名:AMERICAN ARBITRATION ASSOCIATION (AAA)............................................. 15
機関名: JAMS ..................................................................................................................... 18
機関名: PEPPERDINE UNIV............................................................................................. 21
機関名: AMERICAN ARBITRATION ASSOCIATION LOS ANGELES........................... 24
機関名:LOYOLA LAW SCHOOL , THE CENTER FOR CONFLICT RESOLUTION ...... 27
機関名:LACBA (LA COUNTY BAR ASSOCIATION)ロサンゼルス郡弁護士協会 .............. 30
機関名:THE ASIAN PACIFIC AMERICAN DISPUTE RESOLUTION CENTER............ 32
----------------------------------------------------------------------機関名:ADR Workshop Canada(会社名は Stiff Feld Handy Group)
インタビュー対象者:Elinor F. Whitmore(C.Med.)
http://www.sfhgroup.com/
日時
:
2003/9/4 10:00-12:30
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・94 年に設立。
・8 人全員が法律家。
・仲裁、メディエーション、交渉の実施のサービスメニューを持つが、メディエーション
と交渉が主。
・有償のトレーニングプログラムにも力を入れており、収益はむしろトレーニングの方が
過半を占める。
・大学での講義を行っている。
・カナダ年金計画のような大きな機関からのカスタマイズトレーニングの委託も受けてい
る。
・設立者の Alann Stitt は ADR Institute of Canada の元代表。ハーバード大学 Roger Fisher
に師事。
②育成する人材の種類について
・ADR Canada に認められているプログラムを提供できる。
−受講者について
・始めたころは法律家の受講者が多かった。
・企業人事担当者、営業担当者、管理職、教師などの受講も多い。
メディエーション者になりたいというより、交渉のスキルを学びたい点が動機である。
歯科医やジャーナリストさえ受講している。
③コースの有無
−カリキュラムの時間数
3 日間、32 時間の公開コース。
カスタマイズコースは各種。
1 週に 3,4 のワークショップを行っている。
周辺に、これほど頻繁に行っている機関は他にない。
1
−教育費用について
32 時間のコースで$1850。
④教育内容
・ハーバード大学で開発された、interest-based communication の方法論に則っている。
メンバーは全員ハーバードで学んだ経験がある。
・ADR Workshop Canada は法律家が行っているが、interest-based の方法に特化している。
・オープンエンドクエッション、リフレイミング、ボディランゲージ、発言の促し方(プ
ロンプター、エンカレッジ)、座席の配置、距離のとり方。
・一般向けとカスタマイズ講習、トレーナー育成の 3 種類に分かれる。
・トレーナー育成では、フリップチャートの使い方のような初歩的なものから始める。ト
レーナー育成のカスタマイズの幅も大きい。
(短くもできるが、きちんとしたトレーナーを育てるには、実際のクラスを手伝うなど
の実習的なプロセスも必要)
・基本的には、倫理については扱っていない。機関によって倫理コードは異なる。
⑤教育手法
・一般向けの講義は、4 日間のコースが標準。(シラバスのご提供も受ける)
・座学はそのうち 2 コマ(3 時間)程度のみ。残りはすべて参加型の Workshop。
・クラスサイズは 24 人が標準。24 という数字は、2,3,4,6 などで割り切れるのでグル
ープ分けに向いている。
・実習の際、3 人のチームに対して 1 人のコーチがつく。メディエーションスキルを持つ
コーチからのフィードバックが重要だと考えている。
・教材のビデオテープを利用するほか、受講者の実習をビデオに撮影して検討する。
・オンライン教材の開発は昨年行った。自分たちとしてもトライアルである。
コスト面で優れているが、リアルのトレーニングを代替するものではない。
・トレーナー育成には、模擬クラスを用いて行う。
⑥現在感じている課題
・米国に比べてカナダでは市場が小さい。
⑦その他
−収益源
・トレーニングが過半。メディエーションや交渉の実施による収益もある。
2
−ADR の利用状況について
・interest-based(これからどうしたいか)に対立する概念は、right-based(過去におい
て何が正しかったか)と呼ばれることがある。
・right-based なメディエーションも依然として多く、元判事などの司法活動経験が豊富
な人たちによって行われる。
・interest-based に対する理解や関心が増している傾向にある。
・1996 年ごろ、オンタリオ州では刑事事件などの一部を除き、最低 3 時間のメディエーシ
ョンを裁判の前に行うことが義務付けられた。
このことでメディエーションについての認知が非常にあがった。ただし、裁判前置型の
メディエーションでは、right-based なメディエーション者が選ばれるケースが多い傾向
にある。
・裁判前置型とまったく異なり、非営利の団体が市民の小さな問題解決のための手段とし
てメディエーションを行っている。
(
代
表
的
な
も
の
は
St.
Stephen's
Community
House
http://www.ststephenshouse.com/index.shtml)
・メディエーションがどの程度行われているかを示す統計値はないと思われる。人気を示
すような資料については探して連絡する。
−提供いただいた資料
・会社プロファイル
・シラバス
・書籍
Roger Fisher, William Ury and Bruce Patton "Getting to yes" Penguin Book , 1981 ,
1991 (『ハーバード流交渉術』)
Allan J. Stitt "Mediating commercial disputes" Canada Law Book Inc. , 2003
Allan J. Stitt "Alternative dispute resolution for organizaitions : how to design
a system for effective conflict resolution" John Wiley & Sons Canada Limited, 1998
3
----------------------------------------------------------------------機関名:Agree Inc.
インタビュー対象者:Richard A. Russell (B.A., LL.B C.Med President)
http://www.agreeinc.com/
場所:
日時
:
2003/9/4 16:00-18:00
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・1996 年からトレーニングを行っている。
・Richard は、International Academy of Mediators (http://www.iamed.org)のフェロー。
・Colorado の CDR Associates で Mediation Process を学んだ。
・共同設立者の Barbara Landau は、Arbitration and Mediation Institute of Ontario
の元副代表。
・カナダ政府、世銀、中東などでも ADR トレーニングについてコンサルティングを行った
経験がある。
②育成する人材の種類について
・生徒は、メディエーターになりたいものばかりではない。
20∼25%・・法律家
30%
・・精神科医、ソーシャルワーカー
10∼15%・・組合関係
15∼20%・・人事関係
ホテルマンや医者、外科医さえいる。
③コース
・基本コース 42 時間(6 日間)と、アドバンスコース 21 時間(3 日間)がある。
アドバンスコースを持つ機関は少ないため特徴的である。
・6 日のコースは、3 日ずつ 2 回に分ける場合が基本。この場合は間に 1 ヶ月程度間が開く。
夏季などに 6 日間続けて行う場合もある。両者は一長一短。
④教育内容
・実習が基本。座学はほとんどない。
4
・基本スキルを、さまざまな事例で学ぶという方針である。
・基本スキルには、アクティブ・リスニング、リフレイミング、パラフレイジング、相手
を認める(アクノレッジ)、感情を伝える、言葉を客観的にする、など。
・
「利益に基づく(interest-based)」内容は、メディエーターにならない人にも有効である。
right-based との違いを見せながら教える。
・スキルは基本のものを何度も使いながら、ケースを徐々に複雑にしていきながら学ぶ。
・最初は、子供がロックコンサートに行きたいと行ったときの家族内の交渉について学ぶ。
基本コースでも 5 日目くらいに、環境問題(開発業者、土地所有者、環境保護運動グル
ープなど)の対立問題を考える。
倫理上のジレンマというケースによって、倫理の問題もあつかう。
さらに、弁護士や保険会社が入るなど現実のトラブルの状況に近いケースに移っていく。
ケースとして最も難しく、かつ多いのはセクハラ問題である。セクハラのケースは最終
日に扱う。
・Thomas & Kilmann の Conflict Style の理論を使って、行動傾向について学ぶ。
1)競う人、2)譲る人、3)避ける人、4)妥協する人、5)コラボレーションする人
5)が Win-Win 関係を作るものとして理想的だが、様々に使い分けるのが重要。
・基本コースの最後の日には、メディエーターとして広告の仕方、フィーの設定の仕方な
ど具体的なものを学ぶ。
・アドバンスコースは、Pepperdine の Lang 教授の著書の方法論を参考にしている。
The Making of a Mediator: Developing Artistry in Practice
Michael D. Lang (著), Alison Taylor (著)
基本的な考えは、メディエーション者としての自分を改善することだ。
⑤教育手法
・経験→振り返り→理論
説明→見せる→させる
という流れを基本にしている。
というのが従来の流れ。
ただし、中東で行ったときは、後者の方法を採用した。
・3 人のチームに、0.5 人のコーチがつく割合で、即座のフィードバックを行えるようにし
ている。
・コーチには経験のあるメディエーターが担当している。ADR Institute of Canada では、
このコーチの存在を重視し、コース認定の条件にしている。
・ビデオ教材として、モンティパイソンのクリスが出てくるもの、マーティンブラウンの
クリップなどを使っている。
・ビデオ撮影は、かつては行ったが、巻き戻しや早送りなどに時間がかかるので、現在は
使っていない。
5
⑥現在感じている課題
・研修と実践は間があってはならない。
・公認メディエーター(C.Med)になるには実践が必要であるが、資格や経験がないと実践
がつめないジレンマがある。
非営利のメディエーションを行う団体での経験をカウントしようということになってい
る。
⑦その他
−メディエーションの効用
起訴があっても 97%は Settlement(和解、合意)にいたる。
メディエーションでは、40%が 1 回のメディエーションによって Settlement にいたる。
−ADR の利用状況について
・企業側の弁護士(ディフェンス・ロイヤー)は、時間で対価を支払われるので、早く終
わるメディエーションに賛成したがらない。
個人側では、成功報酬を求めているので、メディエーションで早く決着することは望ま
しいため賛成している。
・メディエーションを実施する場合にも、まず起訴が行われるケースが多い。
相手方に対して真剣であるという意思表示になる。
−提供いただいた資料
・会社概要
・トレーニング教材
6
----------------------------------------------------------------------機関名:York University
Atkinson Faculty of Liberal and Professional Studies
Division of Continuing Education
Certificate in Dispute Resolution
インタビュー対象者: Frank Cappadocia, MA
(Program and Logistics Manager)
Cindy Bettcher, MSW(Master of Social Work)
(Director)
http://www.atkinson.yorku.ca/ dce/
場所:York Univ.
日時
:
2003/9/5 10:00-11:30
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・社会人向けの継続教育部門に、96 年から作られた紛争解決(DR)の専門教育部門である。
正式な学科としてはまだ認められていないが、将来的にはそれを目指している。
・大学からは収益を上げることも期待されている。
・Desmond Ellis が設立の中心人物である。Desmond は、もともとパワーインバランスやジ
ェンダーの研究を行っていたアカデミズム出身の学者。
②育成する人材の種類について
・80%は法学部以外の出身の学生。
・組合、人材開発、保険、銀行などクレーム処理がある関係の職場が多い。
他には、ハイテク企業の経営者がいる。高い技術をもつ技術者のモチベーションを高め
るには、決まりきった規則にあてはめるだけでは十分ではないためである。
ソーシャルワーカーや看護婦などの出身者も多い。
経営者、教師、医者などのリタイヤ、セミリタイヤ組もいる。パワーを使ってきた経験
が生きるのでメディエーション者に向いている。
大学を卒業したばかりの若い学生から、65歳以上のリタイヤ組まで、年齢構成は幅広
い。
男女比は半々。
・外国からの受講者も多い。
イギリス、アイルランド、香港、シンガポールなど。
7
③コースの概要
・132 時間の基本コースと、104 時間の上級(アドバンス)コースからなる。
・コースは秋、冬、夏にある。
それぞれに 35 名の卒業者が出るため、年間に合計で 100 名以上が卒業する。
・基本コースで$2,900。
・上級コースは$3,600。
・上級コースはまだできたばかり。
④教育内容
・必須科目と選択科目からなる。
必須科目では、パワーインバランスの理論、商業メディエーションを学ぶ。
アクティブリスニングについても学ぶほか、話し合いにとっての安全な場の作り方、ノ
ートのとり方などの実際的な内容が含まれる。
・選択科目には、以下がある。
−上級商業メディエーション
−ヘルスケア分野の紛争解決
−職場の紛争解決
−教育メディエーション
−家族メディエーション
−組織的紛争解決
・上級コースでは、実際のメディエーションを見学する。
・上級コースで、倫理を学ぶ。
・基本テキストとしては、
"Getting to yes"
"The Art of Negosiation"
"Building Win-Win Agreement"
⑤教育手法
・講義が6割、ロールプレイが4割程度。
必須科目全体で 15 回程度のロールプレイがある。一人につき 5 回はメディエーション者
の役を行う。
8 人につき 1 人のコーチがつく割合。
コーチはメディエーション経験者であるが中級レベル。
・6 年前にコースができた際には理論だけでロールプレイがなかったがこれは大きな誤り
であった。
8
メディエーションは、ロールプレイができないため、オンライン教育には向かない。
・ビデオ教材は扱っている。
・実習をビデオ撮影することはかつて試したが、非常に大変だったので今はやめている。
・生徒一人一人にコーチをつけるコーチングも試したが、やはりコストがかかりすぎるの
でやめている。
⑥現在感じている課題
・卒業後のキャリアパスが課題である。卒業後も現実のメディエーションに参加できる機
会が少ない。法学修士(LLM)の 20 人の卒業生に比べると、就職という意味で見劣りがす
る。コンサルタントとして仕事をしながら、パートタイムでメディエーションを行うよう
な場合はよいが、その他のケースでは、すでに評判の固まったメディエーション者に依頼
が集中するため、新しい人たちが参画しにくい。
・St. Stephensen のトレーニングは、安くせいぜい 3∼5 日である。専門家の育成には十
分でないと思われる。
⑦その他
−収益源
−ADR の利用状況について
・カナダにおいても、10 年前は法律家だけがメディエーションを行っていた。Stiff を含
む法律家の小さなグループが新しいやり方を始めた。その後、裁判よりも効率的であるこ
との認識が広がり、利用が広まった。
また、政府の財政的要請から、司法関係の支出を減らしたいというニーズもあり、これ
もメディエーションを普及させた要因である。
教会やソーシャルワークの分野で、家族メディエーションが行われてきた。その中には
従来「メディエーション」と呼んでいなかったものも含まれる。この家族メディエーショ
ンの流れも合流している。(参照:http://www.fmc.ca/)
さらに、弁護士でない「セミリーガル」のグループもある。会社内や大学内でのトラブ
ル解決を行う人たちである。社内オンブズマンを置く会社も増えてきたが、こういう人た
ちもメディエーションに関心を持っている。
そのうちメディエーションにフォーカスを当てた弁護士ファームの中から成功者が出て
きた。York 大学に DR のコースの設立を求めてきたのも弁護士の声が大きかった。
カナダにおいても、すべてのロースクールが DR のプログラムを持っているわけではなく、
むしろやっと一部の大学にコースができてきたといえる。
ある割合の弁護士からは、メディエーションの有効性に疑問を持つ声も依然として存在
するが、しきい値(クリティカルマス)を超えつつあるように思われる。先日、有力なメ
9
ディエーション者を 10 人集めて会議を行うことがあったが、そのうち 3 人は法律家ではな
かった。
オンタリオ州の 3 つの都市(トロント、オタワ、ウィンザー)で行われている、ほとん
どの裁判の前に 3 時間のメディエーションを行うことを義務付けた結果として、非常に大
きなコスト削減が生まれたという調査結果がある。
フルタイムのメディエーション者になるには、6 年から 10 年かかると言われている。家
族メディエーションはさらに難しいと言われている。パートタイムのメディエーション者
になるケースは多いが、それはそれで意味がある。例えば、大学内の問題では、家庭の事
情で突然大学に来なくなるケースがある。規則を当てはめてその学生を除名すると、学生
から損害賠償の裁判になるといったケースが典型的だが、お互いに事情をきちんと聞けば
かなりの問題は解決する。裁判になった場合には、双方で 1 時間当たり 2000 ドルのコスト
が発生していると言われるが、例えば学内にメディエーションのスキルを持っている人間
が内部で解決すれば双方にとって有益である。
また、コストだけの問題ではなく、評判にも関係してくるのでメディエーションへのニ
ーズは高まっている。評判を気にする業界として、大学や金融機関がある。
リタイヤした経営者が York 大学に来ている例もあるが、
実際の様々な業界にコネクショ
ンを持っているので向いている。
他大学としては、カナダ大学のカリキュラム、スタッフも充実している。
York 大学でも、この分野の講師には、MBA の講師と同水準の高額のフィーを支払ってい
る。
−プロモーション
新聞広告を出している。生徒のうち半分は新聞広告を見ての受講、残り半分は評判を聞
いてのものである。
−提供いただいた資料
・コース概要パンフ
10
----------------------------------------------------------------------機関名:ADR Institute of Canada
インタビュー対象者:Ms. Judy Ballantyne
(Executive Director, Trainer and Coordinator for Correspondence
Cource)
http://www.adrcanada.ca/
場所:
日時
:
2003/9/5 13:30-15:30
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・1974 年に仲裁の機関として設立された。1978 年にメディエーションが加わり、
AMIC(Arbitration and Mediation Institute of Canada)。2000 年に CFDR と合併して、ADR
Institute of Canada(以下、ADR Canada)が設立された。
・CFDR は、カルガリーで石油とガスの紛争解決を行っていた団体。アルバータで石油プラ
ントの大規模な事故があり、プラント全体の再建築に至ってしまった。この時、裁判所は
この問題であふれてしまい、他の問題がまったく処理できなくなった。この反省から、解
決できることは裁判所の外側でも進めようという動きが出てきた。CFDR は、石油会社をは
じめとする企業組織がユーザとなるケースが多かった。
②育成する人材の種類について
③コースの有無
・仲裁用の通信教育(12 時間)がある。このうち 6 時間が法的知識、残りが仲裁に関わる
技能。
・メディエーションについては、教育プログラムを直接持っていない。メディエーション
についてのオンライン教育は難しいと考えている。メディエーションは人によってやり方
が違うし、怒りへの対処など、実際の問題に直面しながら学ぶ必要がある項目も多い。
・メディエーション者向けの 20 分の紹介ビデオはある。
④教育内容
−メディエーションに必要とされる能力
・メディエーションにはアクティブ・リスニングの技術も必要だが、現実の問題をメディ
エーションするという実践活動がなにより必要だ。
11
・ADR Canada でも、メディエーションは、メディエーション者のものではなく当事者のも
のであるというポリシーをとっている。
・ネガティブな感情を扱うスキルも不可欠であるし、何より、実際に起きている問題に関
心がないといけない。
感情の内面に対する理解、事件の本質を明らかにする能力、ひとつのやり方で行き詰っ
たらやり方を変えてみる柔軟性などが必要だ。
・家族メディエーションには法的知識が必須である。
⑤教育手法
・直接教育プログラムを持っていない。
⑥現在感じている課題
−メディエーション者のキャリアパス
・メディエーションだけで生計をたてるのは難しく、実際にほとんどいないと思われる。
・本を書いたり、教育をしたり、人材開発のコンサルティングをしたり様々なことを行っ
ている。
・メディエーションは、専門分野ではあるが、職業とはなっていない。
・メディエーションは、経験をつむのが難しい点がネックになっている。
・York 大学では、トレーニングを受けた後、メディエーションの経験が詰めるようにした
いと考えているようだが、実際にはそれほどうまくいっていない。メディエーションには
双方の合意が必要なためである。
・裁判に付設するメディエーションでは、学生が膨張を行うようになった。
(アドバンスコ
ース)ただし、これについても議論がある。
・C.Med を持っていても、実際にメディエーションに活躍していない人もいる。メディエ
ーション者の 1/4 から 1/3 は、マーケティングや営業に費やしている。
・本来は医学と同様、インターンみたいなものがあるとよいかもしれない。
⑦その他
−ADR の利用状況について
・カナダでは、メディエーション者の資格を与える法律はない。ADR Canada が自主的に C.Med
などを定めているが、その他のメディエーション者を除外するものではない。
・メディエーションを行うと契約に書いている場合を除いて、メディエーションは原則と
して任意に行われる。
・オンタリオ州での 3 つの都市で、ほとんどの裁判の前に 3 時間のメディエーションを義
務付けたのが例外である。
・大企業は紛争をコントロールしたがるので、ADR プロセスを作ろうとする傾向がある。
12
・メディエーションは、経済分野と社会的公正の 2 つの異なる視点で注目を集めている。
社会的公正に関心があるのは、家族メディエーション、近隣関係、学校、コミュニティ、
人種などの問題に取り組んでいる人たちである。
メディエーションに含まれるアクティブ・リスニングなどのスキルを学校でも教える動
きが最近出てきた。
社会的公正に関心があるグループは、だれもがこうしたスキルを持つべきだと考える場
合が多い。
一方で、メディエーションをプロの分野として確立したいという立場もあり、だれもが
メディエーションのスキルを持つという考えとは緊張関係がある。
・メディエーションは、建設業界で人気がある。建設は、エンジニアリング、設計、開発、
環境など様々な要素と専門家が複雑に関係しているため、
メディエーションが向いている。
・メディエーションと仲裁では、仲裁の方が向いている場合もある。仲裁は第三者が結論
を出せるので、早く決着させることも可能。多くの企業が仲裁よりメディエーションを好
むのは、コントロールし易いからだと考えている。
・メディエーションは、進めていくにつれて、当初想定していなかった答えに落ち着く場
合がある点である。
・商業メディエーションの分野で非常に成功した事例が出てきた。成功者とそれ以外の差
が激しいが、彼らの存在が、新規参入を難しくしている面がある。
−C.Med(公認メディエーション者)について
・C.Med は 1998 年に正式に制度化されたが、1990 年ごろから使い始めた。
・3 年で更新すると規定してあるが、実際には機能していない。剥奪や停止は、メディエ
ーションを行って倫理規定に抵触するなどトラブルを起こした場合に限られる。
・もともと、ADR Canada の会員になるためには 40 時間のコアトレーニングを受けている
必要がある。C.Med は、ADR Canada の会員の中でさらに段階をつけるために制度化された。
・80 時間のトレーニング、10 回以上のメディエーション経験、5 回以上の有償のメディエ
ーション経験等等細かく規定されているほか、技術を評価するプロセスも含まれている。
・C.Med は、地域での選抜を経て最終的にカナダ全土での統一資格として認定している。
C.Med は登録商標(トレードマーク)であるので、他の機関や人が勝手に使うことは禁じ
ている。単位(degree)ではなく、ライセンスのようなものである。
・C.Med は CPA(公認会計士)のような標準にしたいという思いがある。
・ADR Canada のメンバーは 1500 名程度。メディエーターと仲裁人はほぼ半々。両方行う
ものも少なからずいる。男女比は半々。平均年齢は 40 から 50 歳の間程度。
(オンタリオ州
の場合)弁護士は 25%(不明?)
13
・ADR の統計値については、CPR が最も詳しい。
−提供いただいた資料
・組織概要パンフ
・ニュースレターサンプル
14
----------------------------------------------------------------------機関名:American Arbitration Association (AAA)
インタビュー対象者:Kristina L. Morison
Director, Education Service Department
http://www.adr.org
場所:3200 North Central Avenue, Suite 2100, Phoenix, AZ
日時
:
2003/9/8 13:00-15:00
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・1926 年に設立。仲裁、メディエーションを行う非営利の団体。
・教育サービスを弁護士事務所、保険会社その他の外部に提供している。
・約 700 人の内部スタッフは主に管理的な業務(メディエーターの手配、場所の手配、会
計関係など)を行う。仲裁人及びメディエーターとなるメンバーは約 10000 人(Web サイ
トでは 8000 人と書かれているが、その後増えている。)このメンバーのほとんどすべては
弁護士である。このうちメディエーターは約 2000 人。
・年間 230,000 ケース(2002 年)のうち、メディエーションは約 10,000 ケース。
・Morison 氏自身も Los でメディエーションを行ってきたように管理的な業務を行うスタ
ッフにも実施に当たることができる人材も多いはずだが、どの程度の割合かは不明。
・国際的な活動も多く、39 の仲裁機関と協力関係を結んでいる。
・米国に 39 のオフィスがあり、それぞれが仲裁、メディエーション、教育といったすべて
の機能を持っている。
・扱う問題で最も多いのは、保険に関する商業仲裁、商業メディエーションである。
②育成する人材の種類について
・AAA のメンバーになるには 40 時間の基本トレーニングを受ける必要があるが、内容は州
や郡、市によって少し異なる場合がある。例えば、州の裁判制度の違いを説明する等。
・カナダのようにメンバーの中からさらに C.Med(公認仲裁人)を選定するといったこと
はしていない。ステータスより経験が必要とされる。専門の委員会活動(例:エネルギー
業界の委員会)メンバーであることなどが評価される場合がある。
・オープンコースとプライベートコース(カスタマイズコース)がある。企業向け、市職
員向けなどにカスタマイズする。
・例えば、労使分野では、メディエーションから仲裁への引き継ぎ方も問題になる。分野
によってスキルをフォーカスして教育プログラムをカスタマイズする。
15
・ノースカロライナでは、アピールコートのレベルでメディエーションを導入した。これ
に合わせて判事向けの研修も行った。
・テンピー市ではソーシャルワーカー向けの研修も行っている。
・生徒は、4 割が弁護士。3、4 割企業の人事関係。残りは、会社経営者、不動産、会計士、
労働組合、建設業界など。企業内部のインフォーマルなメディエーションを行えるように
なりたい、交渉技術を学びたいといった動機も多く、メディエーション者になりたい人だ
けではない。
③コースの概要
・40 時間の基本コースでは、interest-based の理論に基づく実習が中心である。5 回のロ
ールプレイを 10 時間かけて行う。残りの 30 時間については、フルのロールプレイではな
いが、生徒参加型の実習がほとんどであり、座学はほとんどない。
・クラスは最小 8 名、最大 25 名。
・教師の資格は、AAA のメンバーであり、メディエーターとしての経験があり、トレーニ
ングのスキルを持つ者になる。
メディエーターとしての経験が必要なことから教師は現実としては、弁護士になってい
る。
・40 時間のコースで$900∼$1200。カスタマイズコースは一人当たりさらに安くなる。
・20 分のメディエーションを紹介するビデオがあるが、教材としては使っていない。
※AAA のコース概要は「米国等における ADR の人材育成について
2003 年 6 月 17 日」も参
照。
④教育内容
・メディエーションにおいては、interest-based の戦略の内容に基づいている。
「Getting
To Yes」も使う。
・リフレイミング、オープンエンドクエッションなどの聴き方を扱う。
・その地方における裁判の仕組みなどを除いて、法的知識は扱わない。
・倫理については扱っている。AAA として重視している。特に問題となるのは、秘密性の
保持、当事者との利害関係の開示の 2 点が重要。
⑤教育手法
・集合型の研修が基本。
・オンライン教育も一部行っている。メディエーション者向け継続教育、仲裁代理人向け
教育などで、インターネットの動画配信もある。ただし、あまり有力な方法ではない。
16
⑥現在感じている課題
・メディエーションニーズの増加、国際的ニーズの増加など、状況の変化への対応。
⑦その他
−PR
・Web のほか、弁護士や会社の人事関係にダイレクトメールを送っている。
−ADR の利用状況について
・米国では、州や郡によって裁判制度が相当異なる。メディエーションは特にロサンゼル
スで盛んである。ロスでは、50,000 ドルまでの金額の訴訟の場合メディエーションに回す
制度がある。
裁判に付随するメディエーションには弁護士が行うことにしている州もある。
・米国では、interest-based の戦略が有力になっている。AAA の基本方針もこれを採用し
ている。BtoB 関係では、お互いに関係を続けたい場合が多いので interest-based が向い
ている。労働組合、文化ギャップなど posisional(立場に基づく交渉)になりがちな紛争
もある。また、交通事故などでいくら欲しいといった場合には、最終的に裁判ではどの程
度 で 決 着 さ れ る か と い っ た right-based の 交 渉 に な ら ざ る を 得 な い 。 つ ま り 、
interest-based が基本だが、万能ではない。
・メディエーションでは合意に結びつく割合が高いと言われている。制度上設けられてい
るものでも 4、5 割の解決率があり、自主的なものではさらに高い。AAA 全体では、メディ
エーションは 85%の成功率である。
・労働分野で、紛争は仲裁で解決するという条項について、提訴権を奪うという反対意見
がある。
・オンブズパーソンを置いている会社はまだ少なく、せいぜい 500 社程度。オープンドア
プログラム(会社のトップに従業員が直接話をできるようにドアを開けておく)を採用す
る会社もある。
−提供いただいた資料
・AAA パンフレット
・Dispute Resolution Journal2003 年秋号
・教材サンプル一式(40-Hour Mediator Skills Training for Court-Based Settlement
Programs)
17
----------------------------------------------------------------------機関名: JAMS
インタビュー対象者:Mr. John "Jay" Welsh(VP and General Counsel)
http://www.jamsadr.com/
場所:350 South Figueroa Street
Suite 990-World Trade Center
Los Angeles, CA 90071
日時
:
2003/9/9 9:00-10:00
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・1979 年設立。一人の元判事がオレンジカウンティのショッピングセンターで交通事故に
ついての紛争解決をはじめたのが始まり。(元々は、Judicial Arbitration and Mediation
Services の略だった。)1990 年代に小規模な紛争解決に特化した機関として投資家が組織
を拡大させた。しかし JAMS は小規模なケースよりも大規模なケースを扱えることの評価が
高まり、その後リバースバイアウト(被雇用者が投資家から資本を買い戻すこと)を経て、
タフな紛争を処理できる民間会社として知られている。クライアントには日系企業も多い。
・JAMS においてメディエーションと仲裁を行う専門家(neutrals)は約 200 人である。多
くが元判事で、弁護士もいる。管理業務を行うスタッフは 165 人。neutrals は、65 歳以上
が多い。80 歳代も 2 人いる。JAMS の neutrals は JAMS だけで働く。トップの neutrals の
20 人のうち 4 人が女性である。性、民族など多様なスタッフをそろえたいと考えている。
・エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツが主演した映画)のモデルになった紛争は
JAMS が扱った。このようにタフな事例が多い。
・JAMS は年間に約 8000 件のメディエーションを行っている。民間会社としては最大で、2
位の会社はこの 10 分の 1 程度のスケールであろう。
・メディエーションだけで$50 ミリオン(約 60 億円)、仲裁で$20 ミリオン(約 24 億円)
の売上。
・メディエーションの平均時間は 10 時間から 20 時間程度である。額としては 7000 ドル(約
84 万円)程度。ただし、非常に多額になるケースも多い。
・合計では 1 ヶ月あたり$2∼3 ビリオン(約 2.4 千億円∼約 3.6 千億円)。
・メディエーションの費用は、一時間 350 ドル以上、一日 10,000 ドル以下。イニシャルコ
ストは特にない。
・AAA と比較した場合、以下のような違いがある。
18
AAA
JAMS
-------------------------------非営利
営利
仲裁が多い
メディエーションが多い
要件を満たせば OK
審査が厳しい
②育成する人材の種類について
・これまでは外部向けの教育プログラムは、外国からの依頼を受けた場合を除き行ってい
なかった。2002 年から JAMS Society を設立し、JAMS ブランドの浸透などを図るため、外
部向けのハンズオンレベルの情報提供も行っていく予定。
・JAMS では、元判事を中心に採用していることでもわかるとおり、裁判所でのキャリアを
重視している。適性があると思われる候補者に絞って教育を行っている。
・これまでクロアチアやインド、ベトナム、カンボジア、中国でメディエーション者育成
を行ったことがある。
③コースの概要
・内部向けの人材育成のみを行っている。次回は 2003 年 11 月 12 日∼15 日に社内研修を
オレンジカウンティのアーバインで行う。METI または MRI の希望があれば傍聴も受け入れ
られる。
④教育内容
・司法経験の豊富な専門家向けに、メディエーション者としてのスキルなどを教育する。
⑤教育手法
・模擬ケースの DVD を使ってロールプレイの実習を行う。また、実際のメディエーション
の手伝いをするシャドーメディエーションも行う。
・模擬ケースにおいては、ビデオカメラによる撮影も行う。
⑥現在感じている課題
・より多くの人に知られるように、ブランドの確立に取り組む。(JAMS Society もその一
環)
⑦その他
−日本における ADR の導入支援について
・ADR の導入には、文化的な問題がある。どのような人を担い手に考えるのかという制度
19
設計上の問題を考えると、多くの国では元判事が向いていると思われる。元判事や現判事
を教育しようとするとき、元判事が多い JAMS は適当だと思われる。(他のアジアの国でも
同様であった)
・アカデミック(ロースクール)、裁判所、ADR プロバイダー(JAMS など)の 3 者をうまく
組み合わせることが必要である。裁判所と親和性のあるボランティアの活動も重要だが、
制度に信頼感を持たせるためには民間の ADR プロバイダーの活躍する余地をうまく作る必
要がある。ADR のスキルは表面的に教えるのは易しいが、実際に ADR のケースを扱うのは
非常に大変である。特に大企業同士の紛争のようなタフなケースは、司法経験が豊富なメ
ディエーション者でしか扱えない。また、紛争当事者も場合によっては 40 グループが一つ
の紛争に関わるといった非常に複雑な場合がでてくる。このような場合にはスケジューリ
ング一つとっても非常に難しい。JAMS では専用ソフトを開発して使っているが、ADR プロ
バイダーにおける専門性は非常に重要である。
・今年の夏に日本で成立した新仲裁法は、日本での ADR の実践に大きな影響を与えると考
えている。
・個人的には、ADR を裁判制度とリンクさせて必須のプロセスにすることには、米国にお
いては反対であるが、日本では検討に値するように感じている。米国では、メディエーシ
ョンは当事者が選択できることに意味があるので、必須プロセスにするのはむしろ後退に
思える。日本社会は、コンセンサスを重視するので必須プロセスにしないと利用者が出て
こないかもしれない。
・特に企業における ADR プロセスの導入は、ニーズにどのように答えるか、制度をどのよ
うに整えるかというように一種のマーケティングとして認識することが適当だと思われる。
企業組織のなかで ADR プロセスを定着させるには単に看板を掲げるだけではだめで、制度
的なデザインが必要である。例えば、トップの役割、人事部の役割、技術者にとってのそ
の制度・・といったグループ間の動学としてとらえる必要がある。
−提供いただいた資料
・パンフ
・教材 DVD
20
----------------------------------------------------------------------機関名: Pepperdine Univ.
Straus Institute for Dispute Resolution and Professor of Law
インタビュー対象者:
L. Randolph Lowry (Director, Founder)
Peter Robinson (Professional Program Director)
Jim Stott (Assistant Director)
http://www.pepperdine.edu/
場所: 24255 Pacific Coast Highway
Malibu, CA 90263
日時
:
2003/9/9 14:00-16:30
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・1986 年に Lowry によって設立。
・2002 年の U.S.News のランキングで、紛争解決分野ではハーバードの 3 位などを押さえ
て 1 位に選ばれる。
・Pepperdine は、実践教育との関連を特徴にすえ、教育スタッフはメディエーション等の
実践を行っている者で構成している。
・Pepperdine の卒業生の行うメディエーションの解決率は一般の 40%に対して 75%と非常
に高い。
・MDR(紛争解決修士)を持つ全米唯一の大学である。その他、法学修士、MDR の約半分の
サーティフィケートプログラムでも紛争解決を第一に扱っている。MBA とのジョイントプ
ログラムも行っている。
②育成する人材の種類について
・生徒は 8 割が弁護士になろうと考えている若者である。残り 2 割が、企業の人事担当、
ソーシャルワーカー、会計士、建築業界その他のビジネスマンである。
③コースの有無
・MDR、LLM は 360 時間。
・サーティフィケートプログラムは 180 時間。
21
・内部の学生向けのサマーコースは 2 週間。海外からも先生を招聘している。
・6 月に 2 日半の一般公開セミナーを行っている。これが唯一のパブリックなプログラム
である。こちらは弁護士が少なく 1/3 からせいぜい 1/2。
④教育内容
・コミュニケーション促進的(ファシリテーティブ、interest-base)の手法、評価的(エ
バリュエイティブ、right-based)の手法の両方を教えている。
・交渉、メディエーション、仲裁などを教えている。
⑤教育手法
・クラスのサイズは 20 数名程度。
・同じファシリテーティブと言っても、文化的な背景によって異なり幅がある。メディエ
ーションは基本的には、当事者の自己決定の支援であるのに、メディエーション者自身は
手法を自己決定できないという笑い話がある。Pepperdine では、若くて新しい理論に取り
組んでいる教師と、司法関係で経験の深い教師をあえて両方組み合わせている。
・授業によって異なるが、1/3 が理論、1/3 が練習、1/3 が分析といったイメージ。ビ
デオを見たりロールプレイをしたりといった生徒の参加を通じた経験を重視している。
・エクスターンシップ(インターンシップの逆、外部実習)も重視している。大学の外の
機関での実習経験を教育に生かしている。この際、生徒が業界等を指定し、教育スタッフ
がアレンジを行う。外部機関への評価も、学生へのアンケートなどを通じて常に把握して
いる。
・大学で教師を行うものを選択するのは、非常に神経を使っている。また、教師を育てる
のにもコストをかけている。一つのクラスを持つまでにおよそ 2 年かかる。まず別の先生
について授業を見るところから始まり、少しずつ手伝う部分を増やしながら、ノートを作
っていく。一見単純に見える講義でも、教師が行っておくべき分析内容は多い。
・ロールプレイの中でコーチがつくことは基本的にない。フィードバックは他の生徒から
のものになっている。
⑥現在感じている課題
・米国の司法には様々問題がある。
・大学を卒業したばかりの若い人たちがメディエーションの実践を積める場が少ない。そ
の中で、ボランティアベースのメディエーション(多くはコミュニティベースの近隣間や
借主と大家の紛争など)の機会が実践の場となっている。インスタントの養成は困難であ
る。トレーナーズトレーナーを育てるのは容易ではない。
・いいメディエーション者がいい先生になるとは限らない。先生を育てるための教育プロ
22
グラムは容易ではない。
・授業料は高い。その割には、卒業したからといってすぐに経済的成功が約束されている
わけではない。
⑦その他
−ADR の利用状況について
・米国でも ADR は約 20 年の蓄積であり、新しい分野である。
・メディエーションについて、大手企業間のものから、近隣コミュニティのもの、人事分
野、保健分野、建設分野などそれぞれの分野ごとのものなど非常に多様性がある。
・メディエーションは、双方が費用を折半するのが基本だが、労使間や行政の ADR では雇
用者側や政府が全額負担する場合がある。
・1990 年に Administrative Dispute Resolution Act ができて、各省はチーフ ADR オフィ
サーを置くようになった。
・メディエーション者には、複数のバックグラウンドを持つものが多いし、またその方が
向いていると言われている。また、何らかの分野で成功を納めた人が向いていると言われ
ている。会社社長などもメディエーション者に向いている。
・アルゼンチン、インド、イスラエルなどでメディエーションの普及の研究を行ったこと
があるが、文化にフィットさせるのが難しい。米国では、ビジネスに紛争は付き物である
と比較的ポジティブにとられられているが、そのような文化はむしろ少ない。アジアを中
心とする多くの国では、紛争の存在そのものが恥ずかしいことととらえられている。
・Lowny は香港で毎年講義を行っている。インタラクティブな講義自体に生徒が慣れてい
ないが、1 週間もすれば双方ともに慣れてきて、大変楽しい。
−提供いただいた資料
・パンフ
・シラバス
・入学申込書
23
----------------------------------------------------------------------機関名: American Arbitration Association Los Angeles
インタビュー対象者:
Michael R. Powell (Vice President)
http://www.adr.org/
Harold Coleman, Jr. (Trainer of AAA, Attorney at Law, Certified Arbitrator,
Mediator & Educator)
場所:725 South Figueroa Street, Suite 2400, Los Angeles, CA 90017
日時
:
2003/9/10 11:00-12:30
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・機関概要は省略
・AAA の教師は 15 人だけ。この教師を教育するのは本部の VP2 人。AAA の教師になるのは
非常に難しい。
・AAA の特徴はビジネスにフォーカスしていること。保険関係での収入が多い。大学は、
コミュニティ、家族、消費者などを扱う場合が多い。JAMS はマーケティングにフォーカス
している。JAMS は元判事が多い。AAA は教育をもともと重視している。JAMS は最近始めた。
②育成する人材の種類について
・生徒のなかで、弁護士は 60%∼65%とやはり高い。その他、人事関係、技術関係がつづく。
会社社長、保険クレーム関係、銀行関係、プロジェクトマネージャなども多い。
・メディエーションについての 1 日だけのトレーニングコースがある。こちらは、弁護士
は少なく、ビジネス関係者が圧倒的(8 割程度)
③コースの概要
・メディエーションの紹介についての 1 日だけのトレーニングコースがある。
・メディエーションについては、40 時間、5 日間の基本コースがある。これは、多くの州
が 40 時間のトレーニングを要請しているためである。この 40 時間のうち、24 時間は生徒
が直接経験するタイプのトレーニングである。
・アドバンスコースは 16 時間。複雑な問題を扱う。
24
・メディエーショントレーナになる過程は、
(1)メディエーション者としての経験をつみ、評判を得る。
(2)2 日間の教育者研修プログラムを受講する。
(3)実際に教師をさせてみて、観察(メンターシップ)・評価(アセス)する。
・シャドートレーニングはやっていない。
④教育内容
・メディエーション 5 日コース
1 日目:紛争の理論、コミュニケーションスキル(アクティブリスニング、ノンバーバ
ルコミュニケーションを含む)
2 日目:紛争解決のプロセス。メディエーションと仲裁、交渉のスキルの理論。
3 日目:メディエーションの 4 つのステージ(イントロ、イシューの特定、創造過程(例:
コーカス)、クロージング(例:文書作成))
4 日目:メディエーションの実習(各ステージごと)
5 日目:メディエーションの実習(ステージを通して)
⑤教育手法
・最大 25 人のクラス。先生を除いて 2 人のコーチ。
・メディエーションについてはオンライン教育は向かないと思われる。
⑥現在感じている課題
・元判事を教育するのが案外大変である。判事は、問題を自分の手の中に持ちたがるが、
当事者の自己決定がメディエーションの基本である。こういう考え方にパラダイムシフト
があったが、理解したがらない判事が少なからずいる。
⑦その他
−収益源
・コールマンは、弁護士であり、大学教師であり、メディエーション者であり、メディエ
ーションのトレーナーである。専任のメディエーション者というのはまれで、むしろ様々
な活動のひとつにメディエーションとメディエーション者教育があると考えた方がいい。
・元判事などで、フルタイムのメディエーション者を名乗っている場合に、年金その他で
すでに生活基盤ができているので趣味の延長のような形で実施している場合がある。
−日本での ADR の導入について
・米国では、ENV(アーリー・ニュートラル・エヴァリュエーション)と呼ばれる手法があ
る。これは、第三者に意見を求めるというプロセスである。ENV 実施後に、裁判に進んで
25
もよいし、フォーマルなメディエーションに進んでもよい。このプロセスを導入するだけ
で、相当程度紛争は解決するといわれている。特に、技術関係で複雑な案件の場合、裁判
官等が状況を理解するのに時間がかかりすぎるが、ENV ならば、第三者を見つけさえすれ
ば非常に早く結果が出る。
−提供いただいた資料
・AAA 教育セクションのパンフ
26
----------------------------------------------------------------------機関名:Loyola Law School , the center for conflict resolution
インタビュー対象者:Mary B. Culbert
http://lls.edu/community/ccr.htm
場所:919 South Albany Street, Los Angeles, CA 90015-0019
日時
:
2003/9/10 14:00-16:10
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・ロサンゼルスダウンタウンにあるロースクール。スペイン語しか話せないかなり貧しい
人向けのバイリンガルなコミュニティベースのメディエーションプログラムを実践してい
る。ロースクールの学生だけでなく、コミュニティ向けのトレーニングも行っている。
②育成する人材の種類について
・ロースクールの学生とコミュニティプログラムの参加者
・コミュニティプログラムの中にも法律家になりたい人たちもいる。
・その他は、ソーシャルワーカー、コミュニティ活動を行っているものなど。
③コース概要
・1学期が 112 時間。2 学期(224 時間)が基本のセット。
④教育内容
○ロースクール
・ファシリテーティブ、エバリュエーティブ、トランスフォーマティブのうち特にファシ
リテーティブな手法を中心に学ぶ。
(トランスフォーマティブな手法については、
「プロミスオブメディエーション」を参照)
・パワーバランスの差が著しい場合は、エバリュエーティブな手法が有効な場合がある。
○コミュニティベース
・まず教育の最初に、互いに紹介しあう。
⑤教育手法
○ロースクール
・基本教科書:Getting to Yes
27
ビデオ:Riskin、The Spat、Harvard Law School (ビデオについては、ミズーリ大学
で販売しているはずである)
オプション教科書:You Just Don't Understand, Deborah Tannen(1990)- communication
Men Are From Mars, Women Are From Venus, John Gray(1992)
-cross-cultural
Stranger
In
A
Strange
Land,
Robert
Heilein(1961)
-cross-cultural
・電話相談(intake)、電話メディエーション(conciliation)、メディエーション(Mediation)
などの実習。共同メディエーション(Co-Mediation)は、片方が先生、片方が生徒で実施。
シャドーメディエーションも実施。これらを通じて、プロセス、スキル、理論を学ぶ。
・実習内容は、ジャーナルとしえ記録させている。また、毎日何を学んだかを書かせてい
る。
・リーガルアドバイスはしない。
・ヘッドセットをつけて電話相談などを行っている。
○コミュニティベース
・30 時間、5 日間のトレーニングプログラム。通常、1 日 6 時間ずつ、午後のみ行われる。
・コストは、一般$300、NPO 等は$150.
⑥現在感じている課題
⑦その他
−ADR の利用状況について
・コミュニティのメディエーション活動を行っている自分たちからすると裁判所で実際に
進 ん で い る の は 依 然 と し て right-based の 話 が 中 心 で あ る よ う に 見 え る 。 ま だ
interest-based な考え方が浸透したとは考えていない。コミュニティには法律家がいない
ので right-based な話がそもそもできない場合が多い。
1977 年にジャスティスセンターがパイロット的に 3 つ作られたが、そのうちの一つがロ
サンゼルスにあった。法律家でない人が紛争解決にあたるというコンセプトであったが、
これが予想を上回るパフォーマンスを見せた。8 割以上の解決があると言われている。こ
のときの流れを引き継いでいる。
カリフォルニアでは、1986 年にできた The Dispute Resolution Programs Act(DRPA)に
よって、裁判時に提出する申請費用の一部が地方のインフォーマルな紛争解決プログラム
に財政を流す枠組みができた。現在では、約 200 ドルの手数料のうち 8 ドル分が ADR に使
われる。いまでもほとんど法律家でない人たちが実践している。
28
−提供いただいた資料
・コミュニティ向け教材一式(25 ドルで購入)
29
----------------------------------------------------------------------機関名:LACBA (LA County Bar Association)ロサンゼルス郡弁護士協会
インタビュー対象者:Mr. Neal Blacker
(EVP and Director of Dispute Resolution Services)
http://www.lacba.org/
場所:261 South Figueroa, Suite 310, Los Angeles, CA 90012
日時
:
2003/9/11 10:00-11:15
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・全米中、NY の弁護士協会と並んで最大規模の弁護士協会である。
・カリフォルニア州では、裁判費用の問題では、必ず仲裁をしなければならない。その問
題だけで年間 500 件を扱っている。
・裁判所から来るメディエーションや仲裁と、直接持ち込まれるものの両方を行っている。
また、トレーニングも重要なパートである。
・典型的な紛争内容は、大家と借主、近隣、消費者と企業、労使、苦情処理、家族、境界
線、集合住宅その他。
②育成する人材の種類について
・LACBA は、コミュニティ向けと若者向けの教育を行っている。
・若者向けは、中学生と高校生がメイン。
・Neal は、クロアチアでの商業メディエーションの制度の導入のコンサルタントをしてい
る。
③コースの概要
・30 時間、5 日間の基本コースと、16 時間のアドバンスコースを行っている。
④教育内容
・コミュニケーションの仕方(アクティブリスニングなどを含む)、合意文書の書き方など
が扱われる。
⑤教育手法
・ロールプレイ型の教育を中心に行っている。
30
⑥現在感じている課題
⑦その他
−日本での ADR の普及のための戦略について
・Neal は弁護士でないが弁護士協会(Bar Assosiation、LA 郡弁護士協会と全米弁護士協
会の両方)に所属し、重要なポストを担当しているが、これは極めて珍しいケースだ。
・Neal はクロアチアをはじめ、東欧、南欧、アジアでメディエーション制度の導入のコン
サルタントをしている。
・クロアチアのケースでは、商業メディエーションの仕組みとしてクロアチアで始めての
ものを作った。トレーニングが第一の課題であったが、理論や、米国内での実践だけを教
えてもトレーニングにはならない。その国の文化や法制度に合わせて実践の場を作らなけ
ればならない。
・ ク ロ ア チ ア の ケ ー ス で は 、 USAID ( the United States Agency for International
Development)の枠組みでの支援である。USAID からブーズアレン・ハミルトンが請負い、
その下で依頼を受けている。制度設計はコンサルティングファームの仕事であり弁護士事
務所の仕事ではない。
・メディエーション制度の設計には、導入方法、運営方法、構造、マーケティング、管理
方法、ケースの管理方法、予算、メディエーション者の確保、メディエーション者の維持、
メディエーション者の評価その他を総合的にデザインすることが必要だ。メディエーショ
ンを一つの独立したビジネスと見なすことが重要だ。
・クロアチアのケースでは、10 人が LACBA でアドバンスコースのトレーニングを受け、そ
の後 JAMS がメンターシップを行う予定になっている。
・米国の司法関係者は米国の司法制度や文化が優れていると考えている人が多く、他の国
でも単純に米国と同じようにすべきだという前提に立つ場合が多いが、外国での制度の導
入にはそのような考え方は邪魔になる。それぞれの国で自己決定しながら行うべきだ。
・米国で若者向けのメディエーションの研修をするときには、生徒がメディエーション者
になるピアメディエーションを日々行うようにする。理論の研修だけでなく、すぐに使う
のが大切だ。
・弁護士のみがメディエーション者になれるという日本の制度は早急に見直すべきだろう。
−参考になる資料
・Web サイトとしては、Mediator.com、ABA の DR セクションなどが参考になるはずだ。ま
た、CPR は ADR を企業に導入するための報告書を持っていると思う。
−提供いただいた資料
・LACBA DRS のオーバービュー、Neal のレジュメ
31
----------------------------------------------------------------------機関名:The Asian Pacific American Dispute Resolution Center
インタビュー対象者:Najeeba Syeed-Miller (Executive Director)
http://www.apadrc.org/
場所:1145 Wilshire Blvd., Suite 100, Los Angeles, CA 90017
日時
:
2003/9/11 13:00-14:30
インタビュー:
入江、Thomos Spargo
メモ作成:
入江
----------------------------------------------------------------------①機関の概要
・1986 年の紛争解決プログラム条例(Dispute Resolution Program Act(DRPA)、ビジネス・
プロフェッション法 464 条)に従って 1989 年に設立された。LA 州政府から財政的な支援
がある。これに先立って、アジアリーガルセンターの活動があった。
・2001 年 7 月∼2002 年 6 月までで、クライアント数は 828。教育した人数は 5278 人。
・15 人の弁護士と 50 人のスタッフがいる。
・スタッフは性、民族などのバランスを考慮している。
・人間関係、人種関係のトラブルが多い。
・異文化の紛争解決の実践に特徴がある。
・典型的には、近隣関係、消費者と企業、大家と借主の争いなど。引越しの敷金に関する
ものも多い。
・シニア向けのメディエーションもある。シニアのメディエーションには若いメディエー
ション者よりはシニアが向いている。
・電話相談などから紹介を受ける場合も多い。
②育成する人材の種類について
・一般向け、若者向けがある。
・大学の学生の実習の受け入れも行っている。
・一般向けでは、弁護士、ソーシャルワーカー、ビジネスマン、大学生など多様。メディ
エーション者自身が受ける場合もある。
③コースの概要
・25 時間の基本コースがあり、アドバンスコースもある。
・電話相談やメディエーションの手伝いをするボランティアスタッフの受け入れも行って
いる。
32
④教育内容
・ファシリテーティブなメディエーション手法を中心に、エバリュエーティブなもの、ト
ランスフォーマティブなものを含めて教えている。異文化交流について特に力を入れてい
る。例えば、とても声の大きい星から来た人と、人と目を合わせて話をしない星から来た
人の仮想的な対立の仮想的なケースを使う場合もある。
・アフガニスタン向けに作ったプログラムの事例では、西洋的な解決方法、国内での従来
型の解決方法、その組み合わせによる解決方法の 3 段階のものも作った。
⑤教育手法
・トレーニングコースとしては、ロールプレイと理論はおよそ半々。
・ボランティアスタッフとしては、電話相談を行っている時間が長い。
⑥現在感じている課題
・特に文化的な側面の扱い方に取り組んでいる。
⑦その他
−収益源
・財政的には DRPA の枠組みによる政府の支援が大きいが、トレーニングの収入も貢献して
いる。
−ADR の利用状況について
・カリフォルニア州は、メディエーションが普及しているが、州によってばらつきがある。
−日本での ADR の制度設計に向けて
・メディエーションの制度設計上重要なのは以下の 3 つである
(1)証拠の取り扱い
メディエーションでの発言がその後裁判に使われると、自由な発言ができなくなる。
メディエーション過程の発言内容は原則破棄されるべきである。
(2)裁判を行う権利を奪わないこと
メディエーションは選択肢の一つとして位置づけられるべき。
(3)メディエーション者、目撃者その他の第三者を守る仕組み
メディエーション者が当事者から不当に訴えられる心配を排除する仕組み、
保険制度
も重要。
・Mediation(メディエーション)、Neutrals(中立者)といった概念そのものが西洋的な考
え方である。文化の中でそのような概念そのものがない場合がある。韓国では Arbitration
33
(仲裁)と Mediation(メディエーション)すら区別がない。
・家族の中には秘密がないのが当然であるとする文化もある。
・アジアの文化では、全体的に、紛争そのものを隠そうとする傾向がある。メディエーシ
ョンを行う前に、電話相談が重要な役割を果たす。また、電話会議システムを使ったメデ
ィエーションも、相手と直接向かい合わなくてよいので、アジア人のメンタリティには合
っているようである。
・リフレクティブリスニングといって「あなたはとても怒っているのですね」というよう
に感情を言葉で確かめて、相手の感情をコントロールする技法があるが、日本人などのア
ジア人には逆効果になる場合がある。
・アジアでは、個人の概念が薄いので、当事者が増える(家族中が当事者となる、近隣も
含めて当事者となるなど)傾向がある。
・アメリカに住むアジア人は異文化の中で生活しているので、生活ルールを知らない場合
がある。何に巻き込まれているのかがわからないことが多い。
・メディエーションではファシリテーティブな技法(interest-based)が最も重要だが、
パワーインバランスが強すぎる場合にはエバリュエーティブ(right-based)な技法が必要
になる場合もある。社会正義を守るためには、ファシリテーティブな技法は万能ではない。
・アジア人の場合、お金の問題ではなく、礼儀の問題、どのように謝るかも重要になる。
その意味でエバリュエーティブな技法が求められるケースが多い。
・トランフフォーマティブな技法は、メディエーションの進め方そのものを当事者に渡し
てしまうという考え方だが、アジア人は当惑することが多いようである。
−提供いただいた資料
・パンフレット
34
【資料2】
試行プログラムプレゼンテーション資料
海外(主として北米)における
ADRトレーニングの状況
2003/11/15
(株)三菱総合研究所
情報通信政策研究部
入江秀晃
目次
1.米国におけるMediationの潮流
2.ADRの制度化
· 法律家以外の活躍をサポートする仕組み
3.ADRの効果
4.北米以外でのADRの潮流
5.ADRの活用される領域
6.Mediation手法の潮流
7.各機関が定義するMediation
8.北米でのADR教育
∼組織の性質を反映∼
1
米国におけるMediationの潮流
· 米国においても、新しいコンセプトに基づくMediationが活発になったのは最近のこと
であり、せいぜい20∼30年程度の歴史に過ぎない。
年代
できごと
年代
できごと
60年代
·公民権法(64年)により、コミュニティ関係サー
ビス(CRS)が作られ、人種問題が原因の市民ト
ラブルを話し合いで解決する地域における調停
機関となる。
90年代
70年代
·アトランタ、カンザスシティー、ロサンゼルスにお
けるジャスティス・センターの設置が効果的(77
年)。
·カリフォルニア州オレンジカウンティのショッピン
グセンターで元判事が、紛争解決相談開始。こ
れが全米最大のADRサービス企業であるJAMS
の前身。(78年)
·行政紛争解決法(Administrative Dispute
Resolution Act、90年、96年)により、政府機
関にADR部門の設置が制度化。
· 民事司法改革法(Civil Justice Reform Act、9
0年)により、民事に関する司法費用と遅延へ
の対策としてADRの活用が盛り込まれる。
·ADR法(Alternative Dispute Resolution Act、9
8年)により、連邦司法裁判所としてADRの利
用が位置づけられた。
2000年∼
·2001年、ユニフォーム・メディエーション・アクト
(Uniform Mediation Act)により、メディエーショ
ン(調停)の位置づけを全米レベルで明確化。
80年代
·ロジャー・フィッシャー=ウィリアム・ユーリー
ゲッティング・トゥ・イエス(Getting to Yes,邦題
「ハーバード流交渉術」)(82年)が出版され、原
則立脚型交渉/利益に基づく交渉/促進的
(ファシリエーティブな)交渉が理論化される。
·紛争解決法(The Dispute Resolution Program
Act、86年、カリフォルニア州)
2
ADRの制度化
· 米国、カナダにおいてはADRが様々な形で制度化されている。米国では、州による制度
の違いが大きいが、単なる草の根の動きでもなければ、法曹界だけの動きでもない大き
な動きが様々に観察される。
事例
内容
カリフォルニア州
86年の紛争解決法(DRPA)ができて、地域の紛争解決機関への財政的な支援が行われている。提
訴時に支払う約200ドルのうち8ドル分が、地域の紛争解決機関への財源に使われる仕組みとなっ
ている。例えば、アジアパシフィック紛争解決センターはこのDRPAの元に設立された機関であり、ロ
スに住むアジア系の人々(日系を含む)への紛争解決サービスを提供している。この機関では、約
50人のスタッフがおり、そのうち15人が弁護士である。相談、紛争解決、教育などを実施している。
カナダ・オンタリオ州の3
都市
トロントなどオンタリオ州の3都市では、99年1月から原則として調停を民事訴訟の先に義務付ける
仕組みの試行を始めている。
イリノイ州
裁判所付属型の(非拘束型)メディエーションについて、93年からパイロット事業として実施してきた
が、2001年4月に州レベルでルール化された。
ヴァージニア州
メディエーターになるための州としての公認のプログラムを持っている。フロリダ州でも同様に、州公
認プログラムがある。
3
法律家以外の活躍をサポートする仕組み
非法律家メディエーターが、法律違反を
犯さないためのガイドライン
(カナダ・オンタリオ)
Loyola大学(LA)のコミュニティ向け教材
はスペイン語との2ヶ国語で用意されて
いる
•
①
②
③
④
両当事者およびメディエーターによって
署名された「同意書」を用意する。
弁護士不要、他のサービスより安いとい
う広告をしない。
メディエーターが合意文書のドラフトを
作らず、当事者自身の言葉からなる「理
解のメモ(Memorandum of
Understanding)」を作成する。
裁判所に提出する文書をつくらない。
学校内でのピア・メディエーションも盛
んである
•
http://www.mediate.ca/avoidingunauth.htm
ロサンゼルスのダウンタウンにある
Loyola大学では、貧困層が多いスペイン
語話者への調停サービスを行っているが
、教育プログラムで用いられる教材にも
、2ヶ国語の用意がされている。
コミュニティ向けと並んで、若者向けの
メディエーショントレーニングは、広く
実施されている。学校内(中学、高校、
大学など)で、生徒達同士が問題解決を
することで、学内問題解決と教育効果が
あると言われている。
4
ADRの効果
· ADRの実施により、司法コスト削減、迅速化などの効果が観察されている。
カナダのトロントとオンタリオでは、裁判の早期段階に調停を強制的に入れるよう、「強制調停プログラム」(Mandatory Mediation
Program)を実施している。
1999年1月4日に、民事訴訟法第24.1条により試験的に、非家事の民事事件(non-family civil case-managed cases)に強制調停プログラムを導入。積極的な評価
の結果、同条項は2001年7月3日から永続条項となった。ウィンザーでは2002年3月からこのプログラムを導入している。
・24.1条の強制調停によって、多くの事例
が早期に解決している。(およそ10件に4
件が7日間の調停で完全に解決されている
。)
ネガティブな
影響があった
2%
かなり削減さ
れた
57%
45%
41%
40%
33%
35%
29%
28%
28%
30%
26%
26%
26%
25%
23%
25%
21%
20%
15%
15%
15% 12%
9% 9% 10%
8%6%
10%
4%
5%
0%
過
失
そ
の
物
他
的
信 財産
託
受 権
託
義
務
不
ケ
当
ー
解
ス
雇
の
全
類
型
削減された
28%
幾分かネガ
ティブな影響
があった
2%
債
権
療
過
誤
自
動
車
削減されてな
い、わからな
い
11%
第一抗弁後、6ヵ月以内で解決した事例の割合
医
・調停された訴訟における速度(時間)に
ついては、24.1条の下では、導入前よりも
迅速に処分決定に進むということがわかっ
た。(右の棒グラフは、トロントにおいて
、第一抗弁から6ヶ月以内に解決した事例
の割合を24.1条の導入前と導入後を比較し
たもの。)
(訴訟提起者対象)訴訟提起者にかかるコストへの影響
業
契
約
・明らかに、早期強制調停はコストを削減
する効果が見られる。(右の円グラフはメ
ディエーションがコスト削減に与える影響
について、訴訟当事者を対象に行なったア
ンケートの結果を示したグラフである。)
http://www.attorneygeneral.jus.gov.on.ca/english/courts/manmed/factsheet.asp
商
その間23ヶ月間の評価が、強制調停試行プ
ログラムの評価委員会である民事規則委員
会(Civil Rules Committee)の監督の下で独
立の評価機関によって行なわれた。
24.1条導入前
24.1条導入後
出典:Evaluation of the Ontario Mandatory Mediation Program (Rule 24.1): Executive Summary and
Recommendations March 12, 2001, pp.5-11.
5
北米以外でのADRの潮流
· EUなどでも制度化の動きがある。経済のグローバル化に伴い、各国でADRの重要性が増し
ていると考えられる。
事例
内容
EUにおけるグリーンペー
パー
EU市場の登場によって、モノと人の移動がEU域内で活発になったことに伴い、加盟国間の紛争も増加してい
る。この結果、ADRが、EUレベルでもフェアで効率的な紛争解決メカニズムとして注目され、2002年4月にEU
委員会は民事及び商事におけるADRに関するグリーンペーパーを発行し、議論が開始された。グリーンペー
パーは契約における条項、期限、秘密保持、同意の有効性、プロセスによって発生した合意の効果、第三者
(メディエーター)のトレーニングと認定と責任範囲等に言及している。ADRの質のためには、職業的訓練が重
要であることを説き、判事がトレーニングを受ける必要性や、ADR機関が会員にトレーニングを提供し、認定制
度を確保することを勧めている。
(EU委員会が発行するグリーン
ペーパーとは、特定の分野につい
てEUレベルで議論を促し、会議・
審議会を設定するための文書のこ
とで、これはいずれ議論でまとまっ
たものを実行に移すためのホワイ
トペーパーとなる。)
イギリス
・CEDRなど年間数百件規模で調停を実施する機関がある。
・大法官府(Lord Chancellor’s Department。日本の法務省に相当。新しく出来たDepartment for Constitutional
Affairsに合併される)により、1994年民事訴訟制度の改正のためにウルフ委員会が設立され、ウルフ卿のもと
でADR導入を含む民事司法制度改革がなされた。1999年4月以降の民事訴訟法にADRを組み入れたにも関
わらず、現在それほど発展していない理由について、ウルフ卿は「ADRを強制しなかったため」とコメント。
・調停人を養成するプログラムを持っているADR機関としては、CEDR、Chartered Institute of Arbitrators、
Academy of Experts、ADR Group等がある。
フランス
・ADRの活用状況について、概況は不明。
・民間の機関(AMELYやCMAP(パリ仲裁・調停センター))、大学の心理学研究所(リヨン第2大学、パリ第5大
学)などで、カウンセリング手法を調停に取り入れた、教育プログラムがある。
オーストラリアにおける
NADRACのフレーム
オーストラリアでは、知識、技術、倫理の3つの分野について、ADR実践者が獲得すべき能力を定義している。
6
ADRの活用される領域
· 多様な機関が、多様な動機でADRを実施している。特に、Mediationは非常に大規模な
企業間紛争から、非常にローカルな近隣間紛争など広い分野で利用されている。
機関名
機関の概要
職員数
設
立
年
次
受付件数、 ADR実施の有無
(実施している場
調停件数
機関の特徴
(調停型か仲裁
型か、裁判所と
の関係)
合の扱う分野:
例-商取引など)
AAA
仲裁を中心に行う、世界最大のADRを実施
する非営利団体。全米に39のオフィスが
ある。
管理スタッフ
約700人、登録
されている専
門家メンバー
(Neutrals)約
1万人)
1926
年
23万件
(2002年、
うち調停は
1万件程
度)
保険関係が最も多
い。
仲裁が多い。専
門家(Neutrals)
は弁護士がほと
んど。各州向け
にカリキュラム
を変えている。
JAMS
民間会社として最大のADR機関。国際的な
管理スタッフ
案件、大規模案件を扱えるため日系を含
165人、
む大企業の顧客が多い。専門家は元判事
Neutrals200人
が中心。調停で$50ミリオン(約60億円)、
仲裁で$20ミリオン(約24億円)
1979
年
8000件の調
停。
企業間紛争が多い
模様。
調停が多い。
Loyola Law
School
Center for
Conflict
Resolution
*
ロサンゼルスダウンタウンにあるロース
クール。スペイン語しか話せないかなり
貧しい人向けのバイリンガルなコミュニ
ティベースの調停プログラムを実践して
いる。ロースクールの学生だけでなく、
コミュニティ向けのトレーニングも行っ
ている。
1920
年
不明
コミュニティ調停
(近隣紛争等)、
家族、商取引。
調停、相談。
教員6名
•Loyolaと同様にLAカウンティで、紛争解決及び教育プログラムの提供を行う機関は14ある。そのうちのひとつである、The
Asian Pacific American Dispute Resolution Centerが年間に受け付けた数(相談を含む)は、828件。
7
ADRの活用される領域
(続)
機関名
機関の概要
職員数
設立
年次
受付件
数、調
停件数
ADR実施の有無
(実施している場
合の扱う分野:
例-商取引など)
ADR Workshop
Canada
ロジャー・フィッシャーに師事したAllan
J. Stittらのハーバード出身の弁護士グ
ループが設立した民間会社。StittはADR
Canadaのディレクターを務めたこともあ
る。ADR実施とADR教育が収益源。
8人。(すべて
弁護士)
1994年
不明
商業、契約違反、
調停及び交渉。
環境、保険、過失、
株主、自営業、財
産、人的被害、不
動産、職場、ハラ
スメント、不当解
雇、取り締まり、
専門的違法行為・
過失
St. Stephens
(トロントの
NPO)
http://www.stst
ephenshouse.co
m/index.shtml
非営利のボランティア機関として、近隣
の紛争解決を行っている。85年と、カナ
ダでは比較的早くから紛争解決サービス
を始めたため、NPOでありながら老舗的な
存在となっている。
4人
(ボランティ
アメディエー
ター60人この
うち弁護士は
少数)
1964年 年間約
(紛争 200件
解決は、
1985年
から)
CEDR(英)
英国で最も大きい非営利のADR機関。商業
的調停トレーニングでもリーダー的存在
で、継続教育のスキームも持っている。
36人。会員は、 1990年
法律事務所、
11月14
企業等多数。
日
年間500
∼600件
機関の特徴
(調停型か仲裁
型か、裁判所と
の関係)
近隣、家庭、不動
産賃貸、商取引
など。
調停。
商業分野、公的分
野の契約および約
款に関する争いを
扱っている。
調停を含め、
ADR全般
8
Mediation手法の潮流①
· メディエーションの手法は3つあると言われており、それぞれ特徴がある。
結論を持
つのは誰
か
プロセスを
持つのは
誰か
概要
評価的な手法
(Evaluative)
中立の第
三者
中立の第
三者
中立の第三者(Neutral(s))が、両当事者の上に立ち、裁断的に問題を解決する
手法。法律を含む専門知識により、問題を「評価」するところに特徴がある。元判
事集団からなるJAMSは、非常に複雑な紛争に対しても、裁判所での結論を予
想できるという強みを生かして、年間約8000件のメディエーションを扱う。
促進的な※手法
(Facilitative)
当事者
中立の第
三者
ロジャー・フィッシャー=ウィリアム・ユーリー ゲッティング・トゥ・イエス(Getting
to Yes,邦題「ハーバード流交渉術」)(82年)で理論化された交渉及び調停の手
法。「過去における正しさ」ではなく、「未来における利益」に基づいて交渉するメ
リットと方法を説いた。米国、カナダで普及したメディエーションの多くは、この手
法を中心的に扱っている。中立の第三者は、法的知識を持つよりは、会話の促
進者としての能力を持つことが求められる。
コミュニティレベルでのメディエーションに用いられる場合が多かったと言われる
が、弁護士グループも採用している。
パワーバランスが大きく崩れている場合には有効でないといわれる。
変容力のある手
法
(Transformative)
当事者
当事者
Robert A. Baruch Bush , Joseph P. Folger,“The Promise of Mediation”によって理
論化された。プロセスを含めて当事者がコントロールする手法で、第三者は双方
の当事者をエンパワーする。習得し使いこなすことは容易でないとも言われる。
※「助成的」と訳される場合もある。
9
Mediation手法の潮流②
· 評価的な手法は、従来の司法システムと同様、第三者が当事者達の上
に立ち、評価を下す。一方、促進的な手法は、当事者が問題解決を行
うために議論の場をコントロールするのが第三者の役割となる。
評価的(Evaluative)な手法
促進的※(Facilitative)な手法
第三者(neutrals)
評価
評価
利益
当事者
当事者
立場
当事者
立場
促進
促進
当事者
第三者(neutrals)
Right-based(どっちが正しい?)
Interest-based(どうするのが得?)
※「助成的」と訳される場合もある。
10
北米でのADR教育
○育成する人材の種類
· 生徒は、弁護士、企業の人事担当者などが多いが、必ずしもプロのMediatorにならない人も多く、交渉に関し
て学ぶという動機で、会社社長その他多様な受講者がいる。近隣紛争等のためのMediationを実施している
コミュニティベースの機関では、やはりコミュニティの住民向けや、若者向けの教育を行っている。
○コース
· Mediatorトレーニングの標準は、25∼40時間程度。ワークショップ形式で、生徒が模擬事例を実演することに
多くの時間が使われている。
· 大学及び大学院レベルでは、紛争解決(Dispute Resolution)の分野として、主にロースクールにコースが設置
されている。ロサンゼルスのPepperdine大学は、この分野で有名で、紛争解決だけの修士課程を持つ全米で
唯一の大学である。通常1∼2年のカリキュラムとなっている。
○教育内容
· Mediationトレーニングの理論的基礎として、 Getting To Yes が用いられるケースがほとんど。利益に基づく
(Interest-based)交渉の理論が学ばれている。その他、異文化コミュニケーションなどの交渉についても学ばれ
る。
· 模擬実習に加えて、実践活動を通じた教育も重視されている。例えば、Loyola Law Schoolでは、コミュニティ
ベースの紛争解決センターを学内に持ち、電話相談やCo-Mediatorの形で学生が現実の問題に当たる。
○教育機関
· ADR実施機関(AAA、JAMS、ADR Workshop Canadaなど)や大学が教育を行っている。
11
各機関が定義するMediation
∼組織の性質を反映∼
機関
定義
Uniform Mediation Act
メディエーションとは、当事者間の紛争で当事者自身が自発的に合意に達することができるように、メ
ディエーター(調停人)が当事者間のコミュニケーションや交渉を促進するプロセスを指す。
ADR Institute of Canada
メディエーションとは、当事者が、中立の第三者を指名し、自由意思に基づく解決を達成することを試
みるプロセスのことである。中立の第三者は判断を下さず、当事者はそのプロセス(進行)をいつでも
停止することができる。コンフィデンシャルで偏見ないものである。当事者は独立した法的助言を探
すことが奨励されており、自由意思に基づく解決が達成され、当事者が合意文書を締結したときのみ
拘束力を持つようになる。
Federal Judicial Center
メディエーションとは、中立の第三者であるメディエーターが、当事者間の交渉を促進して、当事者の
紛争を手助けする、柔軟で非拘束的な紛争解決プロセスである。
(連邦司法センター)
“Guide to Judicial
Management of Cases in
ADR”
AAA
メディエーションとは、当事者が拘束力を持たない合意に至るために中立の第三者が支援するプロ
セスをいう。
JAMS
評価的メディエーションとは、裁判で導き出されるであろう結果を「試験」することをいう。
促進的メディエーションとは、コミュニケーションを広げ、解決の選択肢の創造を助けることをいう。
Loyola Law School
The Center for Conflict
Resolution
紛争にある人々が、中立の第三者とともに、同席し、フェースツーフェースで話をすることをいう。
12
まとめ
· 米国、カナダでもMediationを中心とするADRが定着したのは、ここ20年程度のことである。
· Mediationは、当事者の自己決定を促進することで、早く、納得性の高い解決を実現するプロセ
スであり、効果が見出されており、様々な制度化の動きも進んできている。
· 北米では、非法曹関係者もメディエーターになることができる。専門分野としては成立している
が、職業としてはまだ充分な広がりがあるわけではない。
· 北米では、JAMSに代表される、Mediationサービスをビジネスとして提供する民間企業が登場
し、存在感を増している。JAMSでは、200人に上る元判事を中心とする専門家集団が複雑な案
件も処理できることを売りにしている。
· 北米では、コミュニティベースの相談、Mediation及びメディエータートレーニングの実践を行う機
関がある。
· 北米でのトレーニングは、受講者が参加するワークショップ形式をメインにとるものが多い。模
擬ケースを用いたワークショップで理論とおおよそのスキルを身につけ、紛争の電話受付やCoMediatorとして実際の問題に当たりながら、実践を通じてスキルを身につけている。
13
ありがとうございました
本資料に関する問い合わせは、下記までお願いいたします。
株式会社三菱総合研究所 情報通信政策研究部 入江、土屋
TEL 03-3277-5583 FAX 03-3277-3473
[email protected], [email protected]
14
Memo
15
【資料3】
試行プログラム資料・ADR用語集
【ADR 用語集】
本用語集の位置づけについて
本用語集は、米国を中心として、ADR 関連用語がどのように定義されているかをとり
まとめました。別資料で説明したとおり、米国等においても、ADR の考え方や制度は比
較的新しい考え方で、取り組みの主体も市民団体から、弁護士事務所、あるいは元判事
をずらりと揃えた民間会社まで非常に多様です。当然、取り組む主体によって、米国等
でも用語の定義の仕方も微妙に異なってきます。本用語集は正しい一つの説明を記述す
るのではなく、複数の定義を併記する体裁としました。本資料をひとつのタタキ台とし
て、日本における ADR に関する議論と ADR に関する取り組みに少しでもお役に立てた
ら幸いです。
用語の訳間違い等、ご指摘、ご教授いただけますと助かります。よろしくおねがいい
たします。
株式会社三菱総合研究所
情報通信政策研究部
入江、土屋
TEL 03-3277-5583
FAX 03-3277-3473
[email protected]
[email protected]
1
(アイウエオ順)
ADR (Alternative Dispute Resolution)
・ ADR プロセスは、裁判長(presiding judge)による判決以外の手順で、例えば、ENE (Early
Neutral Evaluation)やメディエーション、ミニ・トライアル、仲裁のような手続を通じて、
中立の第三者が論争になっている問題の解決を助けるために介入すること。
(ADR Act)
・ ADR は、通常、紛争を解決しようと紛争当事者が自ら開始する伝統的な訴訟プロセス外
の一連の手続きをいう。(ADR Canada)
・ 訴訟や仲裁(arbitration)の非柔軟性を回避する紛争解決手法の総称。当事者が直接およ
び間接費用を最小限におさえ、より良い又は似たような結果を達成することに焦点をあ
てる。(CEDR)
以下、アイウエオ順
アービトレーション(arbitration)・仲裁
・ 紛争を解決する方法の 1 つで、紛争当事者が公平な第三者に事件を委ね、その第三者が
紛争を解決すべく判断を行なうことである。この判断は通常拘束的である。第三者が単
に紛争当事者らで解決策をみつけるのを助けるメディエーションとは異なる。(C)
・ 最終および拘束ある判断のために、公平な一個人または複数の人に紛争を付託すること。
契約上の規定に基づいて、当事者は、解決される問題の範囲、判断される救済の範囲、
プロセスの多くの手続上の局面をコントロールすることができる。(AAA)
・ 当事者が、中立の第三者である仲裁人の判断に拘束されることに同意する、伝統的な非
公開の紛争プロセス。仲裁人が下した裁定は通常法廷の判断と同様に法的に執行可能で
ある。(CEDR)
・ おそらく非公開の紛争解決法として最もよく知られている仲裁は、正式な拘束力あるプ
ロセスで、紛争が、指名された第三者、即ち一人または二人以上の仲裁人の判断によっ
て解決される。(CIArb)
・
[仲裁] 紛争を、当事者が選定し、その判断に服することを合意した第三者の裁定に委
ねること、または、それによる紛争処理手続。コモン・ロー上の仲裁は強制履行ができ
ないが、制定法上の仲裁は強制履行が可能。制定法としてイギリスでは 1950 年法、1979
年法、アメリカでは連邦法(1925 年)と州については Uniform Arbitration Act(統一
仲裁法)を採用した法律その他がある。なお、アメリカ諸州では、裁判所の負担軽減の
ため、前審的に仲裁を司法機構に取り入れた強制仲裁(judicial arbitration)制度が普及
しつつある。
(英米法辞典)
アーリー・ニュートラル・イバリュエーション(Early Neutral Evaluation、ENE)
2
・ ケースプランを改善するため、紛争の早い段階で当事者に、アドバイス的な評価を与え
る非拘束的なプロセス。メディエーションと同様、民事の多くのタイプの紛争に広く適
用できる。特に、非常に複雑なケースでの適用が有効であると言われている。(FJC)
・ 第三者(通常、判事か法的資格を有している者)が解決のディスカッションとして裁判
で出されるであろう結果に関して意見を述べる、非公開且つ非拘束的な手法。(イギリス
CIArb)
アクティブ・リスニング(active listening)
・ 完全に相手が言っていることに耳を傾け、そのメッセージの内容とその背後にある感情
両方を適切に理解しているかどうかを確認することである。(C)
アドボカシー(advocacy)
・ 紛争において特定の側につく(又は特定の側のために働く)プロセス。紛争当事者は彼
ら自身、ネゴーシエーション(交渉)・メディエーション・政治的ディベートにおいて
自己の立場を主張するためにアドボカシーに従事することができる。相手側を自分の要
求に同意するよう説得する試みはアドボカシーである。(C)
・ ①弁論、②訴答を行なうこと→pleading、③擁護;唱道
一定の立場を強く訴える説得
活動(英米法辞典)
イシュー(issue)
・ 問題が「何」か;討論または話し合いの議題。(AAA テキスト)
インタレスト(interests)
・ 人々があるポジション(p.8 参照)をとるきっかけとなる潜在的な欲求や懸念。ポジショ
ンが「この家をここに建てたい!」というような彼らが欲しいというものである一方で、
インタレストはそのようなポジションをとる理由(よい景色がみえる静かな場所が欲し
いから、という理由等)である。当事者同士のポジションが正反対でも、しばしば、当
事者同士のインタレストは矛盾しないので、話し合う余地はある。(C)
・ ポジションの原因となる「なぜ」;当事者の懸念、ニーズまたは欲望。(AAA テキスト)
インタレスト・ベースド・プロブレム・ソルビング(interest-based problem solving)
・ ポジションではなく、インタレストの意味で問題を定義し、お互いに満足する解決策を
得るために互いのインタレストを調和させるべく取り組むことである。(C)
ウイン−ウイン・アプローチ(win-win (cooperative or problem solving) approach)
・ 全ての紛争当事者を満足させる解決法を見つけたいと思っている人々によって取られ
3
る紛争へのアプローチである。このウィン−ウィンの取引では、紛争渦中の当事者は双
方が 勝つ ような方法で共通の問題を解決するために協力することを試みる。対峙す
る者を敵とみなし、紛争に勝つためには相手が負けなければならないとするウィン−ル
ーズアプローチと比較対照される。
(C)
エンパワメント(empowerment)
・エンパワメントとは、個人またはグループ(集団)に、よりパワー(p.6 参照)を与える
ことである。これは、教育、連合形成やコミュニティの組織化、リソースの発展または
アドボカシーを支援することを通じて当事者自身によっても行なわれる。または、より
パワーが少ない(力関係が弱い)個人やグループを効果的に演出することを助けるメデ
ィエーターによっても行なわれる。このアプローチは倫理的ジレンマを生じさせるが(と
いうのも当事者の一方をより支援することはメディエーターの中立性を損なうからであ
る)、このアプローチが二人の当事者のパワーが比較的均衡している時に最もよく機能す
ることから、問題解決またはメディエーションの
合意志向(settlement-oriented)方法
においてよく行なわれている。しかしながら、ブッシュ(Baruch Bush)とフォルガー
(Joe Folger)は、変容的なメディエーションを通じて両当事者を同時にエンパワメント
することを主張している。これは、紛争当事者の
び人生の問題を扱う自己能力
自己の価値と強みに関する自覚およ
を回復させる。このアプローチは一方側のみのエンパワ
メントの倫理的ジレンマを回避するが、解決(settlement)達成という本来の目的を犠牲
にする。(C)
オープン・エンド・クエスチョン(open-ended question)
・ 答えが一つに決まらない広がりのある質問。
・ (多肢選択法によらない)自由回答式の質問。
(リーダーズ英和辞典)
・ 例)
−この紛争がどのようにして始まったか教えてくれますか。
−この問題をあなたはどう捉えていますか。
−可能な解決策は何ですか。
−他の代替的手段(alternatives)として何が考えられますか。
(AAA テキスト)
コーカス(caucus)
・ メディエーターが、個々の当事者と問題点を話し合うために行なうミーティングのこと。
(AAA)
・ メディエーターと各当事者との非公開の秘密の話し合い。コーカスの面会はしばしば各
当事者の重要な問題とニーズを考察し、強みと弱みに関してオープンにするよう促し、
4
解決のための選択肢を話し合うために行なわれる。(CEDR, ADR Group)
コー・メディエーション(co-mediations)共同調停
・ 同一のメディエーションで 2 人以上の調停人を使うプロセスのこと。(CEDR)
・ 同一のメディエーションで 2 人以上の調停人を使うプロセスのこと。すぐには解決しそ
うもない困難な問題や当事者が数多く関わっている場合によく使われる。(ADR
Group)
コモン・グランド(common ground)/コモナリティーズ(commonalities)
・ 2 人またはグループが共有している、又は共通にもっているもの。例えば、同じ場所に
住んでいる、似ている価値観、関心、ニーズをもっている、或いは、似た恐怖体験があ
るなど。紛争当事者同士はしばしば相手とは共通点が全くないと思っているが、大抵、
共通のものを持っているものである。少なくとも、他者を恐がることなく平和で安全な
場所に住みたいということはほとんど万人が共通にもつニーズである。(C)
コンシリエーション(conciliation)
・ メディエーションに似ているが、コンシリエーター(conciliator)は合意に達する前に当
事者に解決策を提案できる。(CIArb)
・ 中立の第三者が、当該事例における解決策や意見を言うなどして積極的な役割を果たす
プロセス。しかしながら、メディエーションとコンシリエーションのどちらのプロセス
が積極的かということについては国際的な意見の一致はなく、商事紛争においては第三
者ファシリテーションの一般的な条件として、メディエーションの適用が増加している。
(CEDR, ADR Group)
・ 争訟的方法によらずに紛争を解決する手続。両当事者が合意によって解決に到達する手
続。両当事者が合意によって解決に到達することを目的とするから、たとえ、conciliator
(調停者)が解決案を示す場合にも、それは当事者を拘束するものではない。裁判外の
手続としては、イギリスの Employment Protection Act 1978(雇用保護法)、アメリカ
の National Labor Relations Act(連邦労働関係法)のように、労使紛争の円満な解決
のために行なわれることが多い。これに対して裁判手続に付置されるものとしては、少
額裁判手続があり、アメリカの一部の州では,調停手続の付置された裁判所を court of
conciliation とよぶことがある。(英米法辞典)
ニーズ(needs)
・ 心理学者のアブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は、全ての人々は一定の生物学的
および心理学的要求の獲得に駆り立てられることを示し、それを基本的な人間の欲求
ニーズ と呼んだ。ジョン・バートン(John Burton)やハーバート・ケルマン(Herbert
5
Kelman)のような紛争理論学者は、このアイディアを紛争理論に適用し、安全(security)、
アイデンティティと認識への欲求は、根強く長引く紛争の背後にあることを示唆した。
彼らが主張するには、例えば、最も民族的(ethnic)で人種的な(racial)紛争は、インタレ
スト・ベースド(interest- based)の紛争ではない(それゆえに交渉はできない)が、
従属するグループのこれらの基本的要求へのニーズによって駆り立てられている。欲求
の紛争が解決されるためには、全てのグループの基本的欲求をみたすように社会を再編
成するしかない。(C)
ネゴーシエーション (negotiation)
・ 交渉(bargaining)−2 人またはそれ以上の、共通の問題に対して解決策を探している紛
争当事者間におけるディスカッションまたはギブ・エンド・テイクのこと。交渉は人々
−親子間、夫婦間、雇用者と被雇用者との間−や国家間で常に起こる。お互いにとって
便益のある解決策をもとめることで比較的協力的にもなり得るし、逆に、相手よりも勝
ろうと思えば、対立する交渉(取引)にもなり得る。(C)
・ 当事者がお互いに差異についてカンファレンスやディスカッションを通じて伝え合い、
解決のために妥協を図ろうとするプロセスである。(AAA)
バトナ(BATNA, best alternatives to negotiated agreement)
・ BATNA はロジャー・フィッシャー(Roger Fisher)とウィリアム・ユーリー(William
Ury)が開発した定義で、”best alternative to a negotiated agreement”の頭文字である。
ネゴーシエーターは交渉で決まった合意(neogotiated agreement)に同意する前に
BATNA を考えなければならない。その合意が一方の BATNA と同等かそれよりも良い
場合、当該合意は受け入れられるべきである。しかし、他に考えた代替的手段が良い場
合は、話し合い(交渉)で決まった合意の代わりに遂行されなければならない。一方の
BATNA が良い場合(若しくは単によく見える場合)、その代替的手段を遂行し、当事
者は交渉には入りたがらないことが多い。(C)
・ ハーバード・ネゴーシエーション・プロジェクトのロジャー・フィッシャー(Roger
Fisher)とウィリアム・ユーリー(William Ury)によって開発された手法で、交渉を
する当事者に彼らの選択肢を評価させるものである。BATNA は、交渉をやめた(中止
した)ときに、当事者が期待できる最もよい結果である。(CEDR)
・ 交渉する当事者に彼らの選択肢を評価させる手法。BATNA は交渉をやめたときに当事
者が期待できる最も良い結果である。(ADR Group)
パラフレイジング(paraphrasing)
・ わかりやすく言い換えること。(リーダーズ英和辞典)
6
・ 目的:話している人が何を話しているか、あなた(メディエーター)と話者自身で確認
(はっきりさせる)すること。話し手は自分が話したことの言い換えを聞き、それが自
分が話したかったことなのかどうかを確認する。聞き手は、自分の理解の正確度を確認
する。
手法:1.話し手が話したことの要旨を話す。
2.あなたが聞いたことが正しいかどうか確かめる。
3.正しければ、当事者が話し続けることができるように促進する;「もっと教え
て下さい」
4.もし、理解ができなければ、もう一回説明してもらう。(話し手は修正してま
た話し続けるだろう)
5.話している最中に何を話したか、何を話してないかを聞くのに有益。あなたが
次に何を言おうかとか、話し手(当事者)が何を次に話すだろうか、と考えて
はならない。
例)話し手:これまた彼が時間厳守でない例なんですよ。私の評判を下げてます!彼は
とにかく、我々の契約に違反したのです。彼の言い訳にはもう飽き飽きし
てますし、もう聞いてあげようなんて思いません。
聞き手:あなたは彼が遅れたことに対して苛立っているのですね。遅れたことは前
にもあり、それであなたの評判を下げていると。あなたは彼が契約違反を
したと思っており、もう遅れたことに対する理由は受け付けないというこ
とですね。
話し手:そうです。契約を解除して損害賠償をいただきたい!
聞き手:あなたは、金銭的な損害賠償を受ける権利があり、契約が断たれるべきだ
とお考えですね。
(AAA テキスト)
パワー(power)
・ 紛争理論家のケネス・ボールディング(Kenneth Boulding)の定義に従えば、パワー
とは、自分が欲するものを得る能力または「未来を変える」能力のことである。これは、
力(時々”power-over”と称される)や協力(”power-with”または exchange power と称
される)または integrative system−人々を集団でいさせるアイデンティティや関係−
によって起こる。(C)
ファシリテーション(facilitation)
・ コンセンサスづくりのミーティングを運営することを助ける第三者によって行なわれ
る。ファシリテーターは典型的に当事者が基礎的ルールと議事を設定・執行し、当事者
が相互にゴールに迎えるよう助ける。メディエーターに類似しているが、ファシリテー
7
ターは審議についてはメディエーターよりも少ない関与の仕方で、メディエーターのよ
うに「解決」することがその目的ではない。(C)
フレーミング(framing)
・ 問題が何なのか定義するプロセス。写真のフレームがある部分のみを囲んでいて他の部
分は切り落としてあるように、人々は問題のある部分を重要だと定義することができる
一方で彼らに関心がない問題は無視する(又は気がつかない)。(C)
ブレーン・ストーミング(brainstorming)
・ 創造的集団思考法。(リーダーズ英和辞典)
・ 例)
1.プロセスをやめ、大きな画用紙かフリップチャート*を用意する。
*講演などで使う 1 枚ずつめくれる大型の解説用図表
2.部屋にいる人全員に、他の代替手段はないかどうか聞く。
a. 時間制限をつける(2∼3 分)
b. 量が重要なのであって、質ではない。
c. 良し悪しの判断をしてはならない。
3.あなた(メディエーター)もクリエーティブな解決策を話すために参加する(これは、
採用されるべき解決策ではなく、あくまでも、あなたのアイディアで、もしかした
ら当事者によって採用されるかもしれないし、断られるかもしれないし、拒否され
るかもしれない)。
4.ブレーンストーミングをやめる。
5.当事者に何が良いと思うか尋ねる。
6.最も見込みのある(期待できる)解決策(promising solution(s))を進展させる。
(AAA テキスト)
ポジション、立場(position)
・ 人々が欲しいと言うもの―相手に対して行なう表面的な欲求。インタレストとポジショ
ンを最初に区別したフィッシャー(Fisher)とユーリー(Ury)によれば、ポジションとは、
人々が判断をするのに依拠するもので(decided upon)、インタレストとはそう判断する
ようになった原因である。しばしば、一方当事者のポジションは他方当事者のポジショ
ンの反対であるが、彼らのインタレストは事実上矛盾しない(共存できる compatible)。
(C)
・ 議題に対する一方当事者が提案した解決策(ソリューション)。(AAA テキスト)
ミーダブ(med-arb; mediation-arbitration)
8
・ 紛争においてメディエーター兼仲裁人として働く中立の第三者を活用する。必要に応じ
て、メディエーションにおける説得の自由意思のテクニックと、仲裁人の最終且つ拘束
力ある判断を下す権限を組み合わせる。(AAA)
・ メディエート(調停)された交渉が解決に至らなかった場合、当事者が、メディエータ
ーに仲裁人に「変わって」(仲裁人になって)法的拘束力ある判断(裁定)を下す権限
を付与する契約をするプロセス。(CEDR)
メディエーション(mediation)
・ メディエーションとは、当事者間の紛争で当事者自身が自発的に合意に達することがで
きるように、メディエーターが当事者間のコミュニケーションや交渉を促進するプロセ
スを指す。(UMA)
・ メディエーションとは、当事者が拘束力を持たない合意に至るために中立の第三者が支
援するプロセスをいう。
(AAA)
・ メディエーションとは、中立の第三者であるメディエーターが、当事者間の交渉を促進
して、当事者の紛争を手助けする、柔軟で非拘束的な紛争解決プロセスである。
(FJC)
・ メディエーションとは、仲介者(intermediary)が当事者と一緒になって行なう紛争解
決手法である。仲介者が当事者間のコミュニケーションと紛争状態の分析を向上させる
のを手助けすることで、当事者はその紛争に関わる者全ての利益又はニーズに応えるべ
く当該紛争を解決すべく選択肢を認識し、選択することができる。仲裁では仲介者は両
方の側の主張を聞き、当事者のために判断を下すのに対して、メディエーターは紛争当
事者自身が解決策を設計するのを手助けする。
(C)
・ ①調停;介入
中立な第三者が紛争当事者の間に入って説得によって紛争の解決を図る
行為。②国際調停
中立の第三国が紛争当事国の主張を調和させて解決を図る手続。
(英米法辞典)
評価的メディエーション (Evaluative Mediation)
・ このプロセスを使って、当事者は当該事例がどのような結果になるかについて「試行」
することができる。メディエーターは当事者に事実関係および法律的な主張をさせる。
その後で、メディエーターは裁判に関する自己の評価(予想)または結果の予想につい
て言及する。当事者間のギャップが大きい場合や問題がいくぶんか複雑で利害関係が大
きいなど、より困難な事例についてよく利用される。(JAMS)
・ メディエーションのアプローチで、中立の第三者が、提案を示したり当該事例のメリッ
トや当事者間の特定の問題に見解を示したりするなどして比較的アクティブな又は介
入的な役割を果たすこと。(CEDR, ADR Group)
促進的なメディエーション (Facilitative Mediation) ※助成的と訳される場合もある。
9
・ このプロセスでは、結果のコントロールは殆ど完全に当事者およびその弁護士(counsel)
に委ねられている。メディエーターはコミュニケーションを促進させ、全ての関連する
情報が当事者間で交わされ、聞かれていることを保証しながら解決のための選択肢を生
み出すのを助ける。メディエーターは、当事者の利益から問題を区別することも助ける。
(JAMS)
・ メディエーションのアプローチで、中立の第三者が、当事者が解決しようとする自己努
力を手助けすること。メディエーターはプロセスに責任があるが、当事者は中身
(content)に責任をもつ。このアプローチは時々、”interest-based” mediation と呼ばれ
る。(CEDR, ADR Group)
変容的なメディエーション (Transformative Mediation)
・促進的なメディエーションと似ている手法だが、使うプロセスを決定するのはメディ
エーターと当事者である。(CEDR, ADR Group)
リフレイミング(reframing)
・ メディエーターによって使われる手段で、当該状況がより肯定的(ポジティブ)にみら
れるように、言い換えや言葉の構成、状況構成・順序の並び替えをすること。
(CEDR)
10
(凡例)
凡例
国
出典
C
米
University of Colorado, USA
http://www.colorado.edu/conflict/peace/glossary.htm 2003
UMA
米
Uniform Mediation Act of 2001 (US)
ADR Act
米
Alternative Dispute Resolution Act of 1998 (US)
FJC
米
Federal Judicial Center
“Guide to Judicial Management of Cases in ADR” 2001
JAMS
米
http://www.jamsadr.com/images/PDF/PressKit/jams_glossary.pdf
2003
AAA
米
American Arbitration Association
http://www.adr.org/index2.1.jsp?JSPssid=16235&JSPsrc
=upload/livesite/focusArea/consumer/glossary.htm 2003
AAA テキスト
米
トレーニングテキスト
“Mediation – 40-Hour Mediator Skills Traing for Court-Based
Settlement Programs”
CIArb
英
http://www.arbitrators.org/DRS/adr_def.htm 2003
CEDR
英
http://www.cedr.co.uk/index.php?location=/library/glossary.htm
2003
ADR Group
英
http://www.adrgroup.co.uk/glossary_of_adr_terms.html 2003
ADR Canada
カ
ADR Institute of Canada
ナ
http://www.adrcanada.ca/news/faq.html 2003
ダ
リーダーズ英
日
松田徳一郎監修『リーダーズ英和辞典』研究社
日
田中英夫編『英米法辞典』(東京大学出版会、1991)
和辞典
英米法辞典
※ 全て、英語文献はすべて、抄訳かつ仮訳です。
※ レビン小林久子『調停者ハンドブック−調停の理念と技法』信山社出版株式会社
(1998 年)は、単語選定に当たって参考にしました。
11
【資料4】
国別 ADR 及び ADR 人材育成概況表
ADR制度の概要
国
アメリカ
カナダ
イギリス
フランス
ドイツ
オーストラリア
ADR概況
ADRが活用されている分野
制度概要
利用の状況
最近の動向
備考(背景知識その他)
メディエーション以外に仲裁、ENE、オ
ンブズマンその他多様な制度の利用が
ある。「利益に基づく交渉」の考え方
がメディエーションにおける主流的な
位置を占める。メディエーターになる
要件は州によって異なり、資格制度を
採る州と登録制度を採る州とがある。
州が認めているトレーニングプログラ
ムは25∼40時間程度が標準的な規模で
あり、一般市民でもメディエーターに
なることができる。
JAMSでは、年間$5000万(60億円)の
売上げ、AAAでは年間約1万件のメディ
エーションが行われている。地域に
よって、ADRの利用状況は異なり、カリ
フォルニア州は最も利用頻度が高い地
域であると言われている(LAでは年間
に1万件以上のADRが行われている)。
企業内、建設業、高度に専門的な事
案、近隣紛争(コミュニティ)、裁判
に訴えるに足りない少額な紛争。
継続的な関係が存在するケース(近隣
紛争、取引先との紛争)や多国籍企業
同士の非常にグローバルな事案、技術
的に新しく法的な判断が困難な事案等
非常にタフで高額な事案ではメディ
エーションが、継続的な関係がない
ケース(交通事故)では仲裁が向いて
いると言われている。
新しいコンセプト(利益に基づく交
渉)に基づくメディエーション(社会
正義の実現のためのメディエーショ
ン)が活発になったのはここ20∼30年
程度。また、JAMSのように法曹関係者
のニュービジネスとしてのメディエー
ションが出てきた。JAMSでは利益を中
心とする対話促進型のファシリエー
ティブなメディエーションと評価型の
エバリュエーティブなメディーエー
ションの両方を実施している。さら
に、特定分野における最適な紛争解決
としてのADRにも多様なものがある。
コミュニティベースの紛争解決にはボ
ランティアの活躍も大きいが、公的な
財政支援の仕組みも存在する。(例:
カリフォルニア州の紛争解決プログラ
ム条例(DRPA)は提訴時に支払う約200
ドルのうち8ドル分が地域の紛争解決機
関への財源に使われる。)
メディエーションを行うための資格要
件は存在しない。カナダ全土における
メディエーター等のADR専門家の業界団
体として全国的な組織としては非営利
組織のADR Institute of Canada (ADR
Canada)があり、7つの各州の地域支部
でトレーニングプログラムが実施され
ている。
交渉学に基づくメディエーションはこ
こ10年位の歴史である。ADR Institute
of Canadaには1500人の登録がある(メ
ディエーターと仲裁人が半々)。また
民間企業としてADRサービスとトレーニ
ングを行っているADR Workshop Canada
では、ADRとビジネスネゴシエーション
と呼ばれる交渉のサービスを行ってい
る。
経済分野(ビジネス)と社会的公正を
実現する手段という2つの点で注目を集
めている。社会的公正に関心があるの
は、家族、近隣関係、学校、コミュニ
ティ、人種などの問題に取り組んでい
る人たちである。また、オンタリオ州
のトロントなど裁判所もADRを取り入れ
ている。
オンタリオ州のトロントなど3つの都市
では、「強制メディエーションプログ
ラム」(Mandatory Mediation Program)
というパイロットプログラムを実施し
ている。
ADR Workshop Canadaを主宰するAllan
Stittはハーバード大学でRoger Fisher
に師事し、カナダでの促進的なメディ
エーションの普及を行った中心的な人
物で、ADR Institute of Canadaのチェ
アーにもなった人物。
訴訟が紛争解決の主流を占めてきたと
いう伝統がある等の理由からADRの利用
頻度はアメリカやオーストラリアほど
高くない。しかし、90年代から主に政
府において、各種ADRを奨励する取り組
みがなされている。
大法官府(Lord Chancellor's
Department; 現在、Department for
Constitutional Affairs)のレポートに
よると、2002年度に政府においてADRが
利用された、または試みられたのは617
件である。地方自治体での利用状況は
依然として低い。
従来:国際商事取引および建築紛争に
おける仲裁、労使紛争におけるコンシ
リエーション
現在:家事、コミュニティ、ビジネス
オンラインのADR、いわゆるODRの機関
(e-Settle.co.uk, e-mediator,
Intersettle.co.uk/, TheClaimRoom)
がある。
特になし。
米英ほど盛んではないが、従来から国
レベルでは数々の試みがなされてき
た。1990年代以降、民事訴訟法・刑事
訴訟法でADRの議論が盛んになり、法的
にもメディエーションの導入が進めら
れた。特に、1996年施行の新民事訴訟
法では裁判所付属型のADRの利用促進の
ための立法がなされ、小規模である
が、ADRの活用が始まっている。
全体を概観できる統計資料は見当たら 行政、刑事、一般民事、労働、消費
者、近隣、家事、映画・放送
ないが、CMAPのメディエーションで
は、販売、保険等様々な分野でメディ
エーションが行われている。フランス
で特に発達している刑事分野でのADRで
は、訴追件数の1割以上がメディエー
ションに付され、その割合は年々増加
している。
主に仲裁が用いられる。1998年に仲裁
法を制定。
市民間の紛争(複数の州でほぼ全ての 十分な状況把握ができていない。
全体的な統計は見当たらない。
1994年のDISでの調停・仲裁受理件数は 地方自治体/市ごとに仲裁機関が設置さ
れている)、商業、消費者相談、金融
数十件と推定。(日本貿易振興会)
1994年の医療関係の仲裁新規申立て件 (銀行)、職人・職人組合、自動車、
建築業
数は7,934件。(損保ジャパン)
様々なADRの方式がとられているが、最 利 用 件 数 に つ い て は 、 NADRAC 産業、通信、金融(銀行、保険、クレ
Alternative
Dispute ジット)、電気機器。また、州によっ
も広く利用されているのはメディエー (National
Resolution Advisory) が 集約 して いる て特定分野の紛争に対してメディエー
ション。
が、連邦全体としての利用件数を把握 ションの採用を義務づける動きも存
するのは困難である。最も取扱い件数 在。
が 多 い 連 邦 裁 判 所 の 1 つ の Family
Court of Australiaが2000年度に取り
扱ったメディエーションは20,890件。
1
ADRの選択肢が広がりつつある。裁判所 フランス語のconciliationとmédiation
付属型では、メディエーション、仲裁 については日本語訳に混在がみられる
のほかミニトライアルも最近は利用さ ため注意を要する。
れている。パリの紛争解決センターに
よれば、ADRの中で最も普及しているの
は、メディエーションである。
NADRACではADRの用語について定義する
作業を進めている。
特になし。
ADR制度の概要
国
アメリカ
主なADR機関
人材育成の主な主体
ADR実施協会と大学(York)
カナダ
ADR機関
Centre for Effective Dispute
Resolution Group(CEDR)
Academy of Experts
Alternative Dispute Resolution
Group
ADR Chambers、Mediation UK
Professional Mediation
Resolutions Ltd. (PMR)
Chartered Institute of
Arbitrators (CIArb) 等。
AMELY
CMAP
なし。(弁護士以外でもメディ
エーターになれる)
最近では公認メディエーター
(Chartered Mediator,
Chartered Arbitrator)の制度
もできた(ADR Institute of
Canada)。
なし。(弁護士以外でもメディ
エーターになれる)
しかし、CEDRの認定制度があっ
たり、Mediation UKやPMRでは一
定の教育トレーニングを受ける
と全国的に公認されたOCNクレ
ジット証明書が授与される。
ADR実施機関、大学(パリ第5大 なし。(弁護士以外でもメディ
学、リヨン第2大学)、高度教育 エーターになれる)
および公共リサーチ機関(例:
Cnam)の生涯教育
フランス
経済調停紛争管理協会(GWMK)
ADR実施機関
ドイツ仲裁協会(GIAまたはDIS)
公的資格の存在については確認
ができていない。
ADR実施機関と大学
LEADR
IAMA
ACDC(Australian Commercial
Disputes Centre: オーストラリ
ア商業紛争センター)
1997年のMediation Actにより認
定制度が設けられているが、具
体的な基準は承認機関が独自に
設定することになっている。ま
た、ADR実施機関が仲裁人やメ
ディエーターを選定する際に独
自の基準を設けることも多い。
ドイツ
オーストラリア
資格の所管
2
調停人の需給等の課題
大学を卒業したばかりの若い人たちが
メディエーションの実践を積める場が
少ない。その中で、ボランティアベー
スのメディエーションの機会が実践の
場となっている。しかし、学ぼうとす
る者も多く、多様なキャリアを持った
人たちがそのキャリアを活かしつつメ
ディエーターになっている状況があ
る。
AAA、JAMS、カリフォルニア州の ADR実施機関と大学(Pepperdine, なし。(弁護士以外でもメディ
エーターになれる)
DRPAに基づく紛争解決サービス提 Loyola)
カリフォルニア州ではメディ
供機関
エーターに対して公的資格を与
えるのではなく、トレーニング
プログラムに対して認証する構
造になっている。
ADR Institute of Canada (ADR
Canada)
ADR Workshop Canada
St.Stephens(トロント)
イギリス
ADRの担い手育成の体制
公的資格の有無
資格の概要
ADR Institute of Canadaは連邦 ADR Institute of Canada
商標法の下、公認調停人および
公認仲裁人の称号の認定を受け
た。
CEDRの認定制度。
Mediation UKやPMRのOCNクレ
ジット証明書。
専門分野としては成立しているが職業
としては成立していない。
コミュニティのメディエーターについ
てはフルタイムの職業とするには限界
があり、殆どがボランティアである。
賃金をもらえるのは地域のメディエー
ション・サービスのコーディネーター
やマネージャーである。
非営利団体やコミュニティによるメ
ディエーションサービスの提供は盛ん
になってきているが、メディエーター
の需給のギャップの存在については不
明。
【資料5】
機関別 ADR 及び ADR 人材育成概況表
No. 国
機関名
機関の概要
機関の概要
職員数
設立年
次
受付件
数、調
停件数
ADR実施の有無
(実施している場合
の扱う分野:例-商
取引など)
機関の特徴
(調停型か仲裁型
か、裁判所との関
係)
育成する人材の種類
公的資格に 認定制度
認められる の有無
かどうか
コース有無
対象とする分野 受講対象者
受講者にとって 初級 中級
(例:商務、家 (例:法律事務 の動機
コー コー
事、労務etc) 所、企業顧客対
ス
ス
応部門、企業人
(∼ (30
事部門etc)
15時 ∼40
間) 時間
程
度)
教育内容
上級 法的知識教育
コー
ス
(100
時間
以
上)
倫理教育
教育手法
聴く力に関する 扱う領域は何か ワー
理論
(例:調停、仲 ク
裁、ファシリ
ショ
テーション)
ップ
形式
の有
無
1 アメリカ合 AAA
衆国
仲裁を中心に行う、世界最大の
管理スタッフ 1926年
ADRを実施する非営利団体。全米 約700人、登
に39のオフィスがある。
録されている
専門家メン
バー
(Neutrals)約1
万人)
23万件 保険関係が最も多
(2002
い。
年、うち
調停は1
万件程
度)
2 アメリカ合 JAMS
衆国
民間会社として最大のADR機関。
国際的な案件、大規模案件を扱え
るため日系を含む大企業の顧客が
多い。専門家は元判事が中心。
8000件 企業間紛争が多い模 調停が多い。
の調停。 様。
調停で
$50ミリオ
ン(約60
億円)、
仲裁で
$20ミリオ
ン(約24
億円)
内部向けト なし。
レーニング
か、外国向
けのカスタ
マイズトレー
ニング。
ほとんどあらゆる 元判事などで、
JAMSの専門家と 分野
JAMSに入るもの なる。非常に高額
を対象とする。
の報酬を得ている
もの(年収7000万
円程度)もいる。
○(3 日)
司法経験の豊富 不明。
であることが前
提。
不明。
3 アメリカ合 Pepperdine Univ.
衆国
Strous Institute
for Dispute
Resolution and
Professor of Law
大学における紛争解決分野で、
教員11人(う 1986年
2002年のU.S. ニュースで1位に選 ち専任9人)。
ばれるなど、評価が高い。MDR(紛
争解決分野での修士課程)を持
つ、全米で唯一の大学である。
教員は調 停や仲裁
の実務を
行ってい
るが、大
学機関と
しては実
施してい
ない。
MDR(紛争
解決修士)、
LLM(法学
修士)
分野は全般。
○(3 ○
日) (180
時
間、
360時
間)
カリキュラムとして あり。
は紛争解決分野
にほぼ特化し、法
的知識の解説は
ない。学部レベル
で修了している前
提
アクティブリスニン あらゆる領域を扱 あり。
グの手法を含め う。
て実施。
4 アメリカ合 Loyola Law
衆国
School
Center for
Conflict
Resolution
ロサンゼルスダウンタウンにある
教員6名
ロースクール。スペイン語しか話せ
ないかなり貧しい人向けのバイリン
ガルなコミュニティベースの調停プ
ログラムを実践している。ロース
クールの学生だけでなく、コミュニ
ティ向けのトレーニングも行ってい
る。
1920年
不明
○
法学部の講義とし あり。
(224 てあり。
時
間、
法学
部向
け)
アクティブリスニン 調停及び電話相 あり。
グの手法が中心。 談。
5 カナダ
ADR Institute of
Canada (ADR
Canada)
www.adrcanada.c
a/ 又は
www.amic.org/
カナダにおける紛争解決サービス
の発展と促進に全国的なリーダー
シップを発揮している。紛争解決の
ためのカナダ全域の専門家組織と
して初めて創立された。
2000年8 ?
月に
AMIC
(1974 )と
CFDR
(1994)が
統合。
全般
6 カナダ
ADR Workshops
Canada
www.adr.ca/
The Stitt Feld Handy Group(カナダ 8名(全員法
銀行協会、オンタリオ州の物理学 律家)
者・外科医の団体、温帯ロ人権委
員会、上部カナダの法律協会、カナ
ディアン・タイヤのような組織によっ
てADR制度の設計図を持っている)
がカナダ、アメリカ合衆国、ヨーロッ
パ、アジア、アフリカ、オーストラリ
ア、カリブ諸島でADR Workshopを
提供している。ADRおよび交渉
(negotiation)の分野で教育、実践、
研究、出版を行なっている。
1994年
商業、契約違反、環 交渉、調停、仲裁(調 ADRワーク ウィンザー・ 特に言及なし
境、保険、過失、株
停と交渉が主)
ショップと上 ロー・ス
主、自営業、財産、人
級ADRワー クールの認
的被害、不動産、職
クショップ
定書
場、ハラスメント、不
は、オンタリ
当解雇、取り締まり、
オの必須調
専門的違法行為・過
停プログラ
失
ムの要件を
満たすよう
に設計され
ている。
管理スタッフ 1979年
165人、
Neutrals200
人
1600人の個
人(仲裁人、
調停人、その
他ADR専門
家)および60
のビジネスコ
ミュニティ組
織(大手企業
や法律事務
所)、その他
数百の学生
およびアソー
シエート会員
?
仲裁が多い。専門家
(Neutrals)は弁護士が
ほとんど。各州向けに
カリキュラムを変えて
いる。
-
コミュニティ調停(近隣 調停型。
紛争等)、家族、商取
引。
調停、仲裁
40時間のト
レーニング
を必要とす
る州が多い
が、AAAの
メンバーに
なるために
もこれが必
要。調停人
以外の人材
育成も行っ
ている。
学内では、
学部の単位
に認められ
る。コミュニ
ティ向けは、
ロサンゼル
ス州の30時
間のトレー
ニング。
×(調停者
の資格を付
与する法律
はない)
1
メンバーと 商務(特に保険)、
しての認定 労務、弁護士向け
以外の精 (代理人行為等)
度はない。
カナダのよ
うなC.Med
の制度はな
い。
修士課程
は32単位
(360時間)
が必要だ
が、14単位
(180時間)
の認証プロ
グラムもあ
る。また、6
月に公開
カリフォル
ニア州
Dispute
Resolution
Actで必要
とされる25
時間のト
レーニング
要件を満た
す
Chartered
Mediator、
Chartered
Arbitrator
弁護士4割、企業
人事関係3,4割、
その他会社経営
者、不動産、会計
士、労働組合、建
設業界など。
調停者になるだけ ○
ではなく、企業内
のインフォーマル
な調停ができるよ
うになることや、交
渉技術を学びたい
動機の受講者もい
る。
ロースクールであ 調停などのスキル るので、弁護士等 に優れる弁護士に
の法曹関係者を なる。
養成する。
○
-
基本的にはない
が、州の制度の
解説ていどの内
容は含まれる。
行っている。AAA アクティブリスニン 調停、仲裁、電話 あり。
として重視してい グの手法が中心。 相談におけるアク
る。特に問題とな
ティブリスニング
るのは、秘密性の
技術の活用など
保持、当事者との
がある。
利害関係の開示
の2点が重要。
調停のケーススタ あり。
ディ中心。
コミュニティ調停 ロースクールの学 調停手法を学ぶ。 (近隣紛争等)、家 生。コミュニティプ
族、商取引。
ログラムの参加者
には、ソーシャル
ワーカー、コミュニ
ティ活動を行うも
のなど。ビジネス
マンもいる。
○(5
日、
30時
間)
全般
-
通信 教育
コー
ス(仲
裁)
契約法、不法行
為法に関する理
解および商業的
仲裁法の理解。
○
(法律
一般1
日等)
○
−
(基本
4日、
応用3
日)
民事司法の1日セ 激しい感情への対処法、調停におけ 調停、仲裁、交渉 ○
ミナーでは、訴訟 る嘘への対処法
の知識一般およ
び司法制度にお
いて調停がどのよ
うに使われるかに
ついて学ぶ。法律
一般では、契約、
不法行為、財産、
雇用、、人身損害
等を学ぶ。
通信教育コース
(左記)の受講者:
高等学校修了者
(post-secondary
education)(法学位
や仲裁のトレーニ
ング受講は必須で
はない)非法律家
および法律家対
象
マネージャー、
ヒューマンリソース
専門家、政府職
員、ビジネスパー
ソン、教育者、労
働関係スペシャリ
スト、ヘルスケア
の専門家、弁護
士、プロの調停人
志願者等。
困難な状況への
対処、感情意的な
人の扱い方、パ
ワーのアンバラン
スへの対処法、問
題解決を学びた
い。
仲裁人の権限と
役割
仲裁
×
No. 国
機関名
機関の概要
機関の概要
職員数
設立年
次
受付件
数、調
停件数
ADR実施の有無
(実施している場合
の扱う分野:例-商
取引など)
機関の特徴
(調停型か仲裁型
か、裁判所との関
係)
育成する人材の種類
公的資格に 認定制度
認められる の有無
かどうか
コース有無
対象とする分野 受講対象者
受講者にとって 初級 中級
(例:商務、家 (例:法律事務 の動機
コー コー
事、労務etc) 所、企業顧客対
ス
ス
応部門、企業人
(∼ (30
事部門etc)
15時 ∼40
間) 時間
程
度)
7 イギリス
Alternative
Dispute
Resolution Group
www.adrgroup.co.
uk/
イギリスにおける最初のADRカンパ ADR Netは70 ADR Net
ニーであるIDR Europe Ltd.がこの の弁護士団 は1989
グループの始まり。ADR市場で国際 体(ソリシ
年創立。
的に認知されたリーダーで、他の機 ター、バリス
関と同様、ウルフ改革による英国の ター)、ADR
民事司法制度に根本的な変化をも Family/ FMA
たらしてきた機関。スペインの子会 は家事調停
社等を通じて国際的展開を図って 実務家350人
いる。3つのトレーディングカンパ
ニー(ADR Net Ltd.、 IDR Europe
Ltd.、ADR Group Family Mediation,
Training Ltd.)から成る。ADRのト
レーニングを13年間実施しており、
これまで1500人の調停人および専
門家を養成してきた。イングランド
および外国でトレーニングコースを
実施している。
2001年4 商事 (commercial)、
月1日- 民事 (civil)、家事
2002年3 (family) (分野は多岐
月31日 →www.adrgroup.co.uk
の間に機 /types_of_disputes_m
関ADR ediated.html)
Net)が
扱った商
業調停は
141件。
主として調停。その
他、仲裁、裁決
(adjudication)、和解
(conciliation)、ENE
(early neutral
evaluation)に関するア
ドバイス・支援を提
供。
○?(イギリ
スでは、
ADR Group
の認定制度
(accreditati
on)は他の
ADR機関に
よって当機
関の調停人
が様々な裁
判スキーム
において調
停を実践す
ることが認
められてい
る。)
○(ADR
ビジネス、商業、
Groupの商 家事、イン-ハウス
業調停の
基礎コース
を受講した
者には認
定証が付
与され、世
界どこでも
調停人とし
て実務がで
きる。この
認定証は、
イングラン
ド&ウェー
ルズのLaw
Society、
the Bar
Councilお
よびthe
Chartered
Institute of
Arbitrators
(CIArb)に
よって認定
されてい
る。)
8 イギリス
Centre for
Effective Dispute
Resolution
(CEDR)
www.cedr.co.uk/
財界と専門家のアドバイザーに支
えられた独立の非営利団体。その
目的はADRの利用を推進奨励する
ことである。商業分野、公的分野の
契約および約款に関する争いに関
して柔軟で実際に即したアプローチ
を提供している。特に商業的調停ト
レーニングではリーダー的存在であ
る。調停人のためのContinuing
Professional Development scheme
を最初に確立した。
・これま 建築、保険、情報技
で、2000 術
件以上の
紛争解決
サービス
を提供。
2001年
度は338
件(2001
年4月∼
2002年3
月)。
ADR
発展途上の
分野のた
め、調停を
するために
必要な法的
な資格
(statutory
qualification
s)はない。
○
調停一般
internation
al
benchmark
of
mediation
excellence
として認識
されてい
る。
9 イギリス
CEDR Solve
CEDRの紛争解決および予防サー
www.cedrsolve.co ビス。先駆的な商業調停提供者。
m/
Expert determinationやadjudication
やENE等の他のADRのサービスも
提供する。効果的に紛争を管理・解
決するためにビジネスパーソンや専
門家や、調停において顧客を代弁
する弁護士のためのトレーニングが
ある。また、ビジネスや公共セク
ターでADRのプロセスと制度を発展
すべくコンサルタント業務も行なっ
ている。
6000件 ・2002/2003年の統計
の商業的 は、516件調停
調停の照 (2001/2002年から比
会を取り べて28%増)。
扱う。
・ボランタリー調停は
50%増加。
・Judicially directed
mediation30%限だ
が、裁判型(courtbased scheme)の事
例は増加。
・スキームケースは
62%増。
Chartered
Institute of
Arbitrators
(CIArb)
www.arbitrators.o
rg/
?
10 イギリス
36人。会員 1990年
は、法律事務 11月14
所、企業等多 日
数。
もともとは仲裁人を統合する組織と 86ヶ国で、
1915年
して設立された非営利組織で、
10,000人以上
1990年に慈善目的の地位を獲得 の会員
し、今ではグローバルな組織として
ロンドンを本部として世界各地に支
部がある。
法律、建設、船荷、エ 仲裁型。その他、調
ンジニアリング、IT、メ 停、裁定(adjudication)
ディア、スポーツその
他自動車産業といっ
たビジネス、商業活動
分野
ビジネスの調停ト
レーニングは企業
やセクターのマ
ネージャー、従業
員を対象。商業調
停トレーニング
コースは、調停人
として実践したい
者またはこのユ
ニークなプロセス
をもっと学びたい
者(熱心がある
者)。また特に以
下の人に役立つ
だろう:ビジネスお
よび産業界のマ
ネージャー・意思
決定者、法律・財
政・建設または他
の専門の代表者
又はアドバイ
ザー、医療・ヘル
スケアセクター、
政府・自治体関係
者、雇用トレード
ユニオン紛争に関
係しているHRマ
ネージャーその他
意思決定者。
紛争を解決しなけ 調停を理解した
ればならない者、 い、実践したい
商業、パブリック、
ボランティアの分
野におけるマネー
ジャー・執行部
員、弁護士・会計
士・専門家アドバ
イザー、HRマネー
ジャー・トレー
ナー、カスタマー
サービス代表者、
ヘルスケア・教育
者、紛争解決制度
を発展させたい
サービスプロバイ
ダー
-
-
2
教育内容
上級 法的知識教育
コー
ス
(100
時間
以
上)
倫理教育
教育手法
聴く力に関する 扱う領域は何か ワー
理論
(例:調停、仲 ク
裁、ファシリ
ショ
テーション)
ップ
形式
の有
無
商業 調停
基礎
コー
スは5
日間
だ
が、
最初
の2日
間文
は遠
隔
ラー
ニン
グプ
ログ
ラム
で受
講す
ること
がで
きる。
包括的対話式トレーニングコース。紛 民事および商事
争の歴史と理論、調停人の能力、調 調停
停プロセス、コミュニケーションスキ
ル、問題解決と創造性、心理学と調
停、交渉戦略(negotiation strategies)
5日間
(Medi
ator
Skills
Traini
ng
cours
e)
交渉、調停、仲裁 ○
調停のスキル(調停人、アドバイ
ザー、当事者の役を演じる)、ケース
スタディ&フィードバック、模擬ケー
ス、グループラーニング、ディスカッ
ション、ロールプレイ
5日間 -
調停入門(具体的
な内容について
は公開されていな
い。)
調停、
adjudication
特にな
し
なし
No. 国
機関名
機関の概要
機関の概要
職員数
設立年
次
受付件
数、調
停件数
ADR実施の有無
(実施している場合
の扱う分野:例-商
取引など)
11 イギリス
ADR Chambers
(UK) Limited
(ADR Chambers)
www.adrchambers
.co.uk/
全世界的なalternative dispute
スタッフ4人
resolution groupのイギリス版。ウル
フ卿の改革を支援するために設立
され、ADR提供者の中で独特なの
は、リタイアした法律卿(Law
Lords)・司法卿、高等裁判所・巡回
裁判所その他の判事の司法関係
者に基礎を置いている。
1999年
これまで 全般(航空、金融、
1億5千 IT、家事、今日、地方
万ポンド 政府、人身損害、メ
分の紛争 ディアエンタテイメント
が解決さ 等)
れた。
12 イギリス
Professional
Mediation
Resolutions Ltd.
(PMR)
www.workplacem
ediation.co.uk/
職場調停における公認のスペシャ ?
リストとレーニングをデザイン・発達
させるイギリスにおける初めての組
織。認定コース(certificate course)
はPMRによって毎年実施されてい
る。
?
?
13 イギリス
MediationUK
地域(コミュニティ)の紛争を解決す 600会員
http://www.media るための建設的な手法を発達させ
tionuk.org.uk/
ることに従事している全国的なボラ
ンタリー組織。1984年にFIRM
(Forum for Initiatives in Reparation
and Mediation)の名の下に設立。
1991年までにはFIRMは近所の調
停および学校調停まで拡大し、
「MediationUK」と改名した。包括機
関として600会員にサービスを提供
し、Mediation Wales, Scottish
Mediation Network, Disability
Conciliation Serviceの業務をサ
ポートしている。
1984年に
FIRM(For
um for
Initiative
s in
Reparati
on and
Mediatio
n)の名の
下に創
設。
Mediatio
nUKのオ
フィスは
1999年に
ウェール
ズに開設
した。
Scottish
Mediatio
n
Network
は2002
年に開
設。2000
年に
Disability
Conciliati
on
Service
を設立・
管理して
いる。
機関の特徴
(調停型か仲裁型
か、裁判所との関
係)
調停、仲裁仲裁、
MedArb、Neutral
Evaluation、ミニトライ
アル、Private Final
Appeals,その他政府・
民間企業、研究・調査
機関のADR制度のデ
ザインも行なってい
る。
職場
コミュニティ
育成する人材の種類
公的資格に 認定制度
認められる の有無
かどうか
他のADR団
体とともに、
共通のト
レーニング
プログラム
を確立し、
産業スタン
ダードの資
格をつくるこ
とを試みて
いる。
○ 優秀な 商業紛争
参加者は、 (commercial
調停人とし disputes)
て認定
(accredited
)される。
全国的に公 ○
認された
(nationally
recognized)
Open
College
Network
(OCN)が授
与される。
調停
○ National
Open
College
Network
(NCON)の
認定
3
コース有無
対象とする分野 受講対象者
受講者にとって 初級 中級
(例:商務、家 (例:法律事務 の動機
コー コー
事、労務etc) 所、企業顧客対
ス
ス
応部門、企業人
(∼ (30
事部門etc)
15時 ∼40
間) 時間
程
度)
職場
○ 2つのト コミュニティ
レーニング
を認定;①
コミュニティ
調停スキル
のNational
Open
College
Network
(NOCN)
Programme
と
②Mediatio
nUKによっ
て認定され
ている
Community
Mediation
Services
in-house
training
programme
市民(public)、企業
(company)・政府
(government)・法
律事務所(law
firm)
チームリーダー、
マネージャー、人
事部、ハラスメント
対策委員、カウン
セラー
-
教育内容
上級 法的知識教育
コー
ス
(100
時間
以
上)
4日間 -
二者間の職場紛 3日間 3日間 争の調停を行なう (Unit (Unit
ための能力・スキ 1)
2)
ルを身に付けたい
倫理教育
教育手法
聴く力に関する 扱う領域は何か ワー
理論
(例:調停、仲 ク
裁、ファシリ
ショ
テーション)
ップ
形式
の有
無
フレーミング、コー 調停
カス(caucus)の利
用、調停で嘘をつ
く者への対処法。
ロールプレイ。ビ
デオに収録された
実践の比較を勉
強。プロセスから
逸脱しようとする
厄介な弁護人
(counsel)と共に
調停をするという
練習。
職場調停を遂行するためのスキル、
職場調停の利用方法
○市
民対
象およ
び企
業・政
府・法
律事
務所に
対する
オー
ダーメ
イドの
ワーク
ショッ
プ
(custo
mized
worksh
op)
○
No. 国
機関名
機関の概要
機関の概要
14 フランス
AMELY
(Association
deMEdiation de
Lyon;リヨン調停
協会)
amely.ifrance.com
/amely/
15 フランス
Institut de
Psychologie de
l'Université
Lumière LYON 2
(リュミエール・リヨ
ン第2大学心理学
研究所)
16 フランス
Université René 調停人養成目的。
Descartes,
Faculté des
sciences
humaines et
socials et Institut
de psychologieパ
リ第5大学(ルネ・
デカルト大学)
ヒューマン・社会
サイエンス学部お
よび心理学研究
所
17 フランス
Cnam
(Conservatoire
National des Arts
et Metiers)
高度教育および公共リサーチ機関
で、文部省の監督下にいる。各種、
生涯教育、研修、資格のための教
育等を実施。経済・経営、人文社会
科学、コンピューターサイエンス、数
学、メカニカルエンジニアリング、電
機物理、科学、生物、核サイエンス
等。
18 フランス
CMAP(Chambre
de Médiation et
d'Arbitrage de
Paris パリ仲裁・
調停センター)
パリ商工会議所によって設立され、
「パリ商工会議所の会員(27万3000
人)に紛争解決手続を提供している
非営利団体。
職員数
調停に関する研究者と教育者を集 HP上ではス
めた組織。AMELYの教育者は社会 タッフ3名?
調停・刑事調停・家事調停・学校調
停の教育をそれぞれ1986年、1989
年、1990年、1993年から行なってき
た。教育はフランス(リヨン、パリ、ナ
ント等)のほか、諸外国都市(ブ
リュッセルズ、ジュネーブ、ローマ、
トリノ)においても行なわれている。
AMELYの講師は、また、青少年の
司法保護の教育センター(Centres
de formation de la Protection
Judiciare de la Jeunesse)の諸大学
(リヨン第二、ディジョン、パリ)にお
ける調停教育にも携わっている。
設立年
次
受付件
数、調
停件数
1988年
?
ADR実施の有無
(実施している場合
の扱う分野:例-商
取引など)
機関の特徴
(調停型か仲裁型
か、裁判所との関
係)
育成する人材の種類
公的資格に 認定制度
認められる の有無
かどうか
調停
コース有無
対象とする分野 受講対象者
受講者にとって 初級 中級
(例:商務、家 (例:法律事務 の動機
コー コー
事、労務etc) 所、企業顧客対
ス
ス
応部門、企業人
(∼ (30
事部門etc)
15時 ∼40
間) 時間
程
度)
社会的調停(La
Mediation Sociale)
と学校調停(La
Mediation
Scolaire)
社会的調停は住
民対象、学校調停
は生徒、その他、
法律家対象のが
ある。
司法および 家事、職場(企業 学生?
慣習の調 間、消費者と生産
停の大学 者との間)
証書
(diplôme
universitair
e de
Médiation
Judiciaire
et
Convention
nelle)を奨
励してい
る。
なし
なし(大学)
大学
×
生涯教育提供機関
DPC,
DEA(advan
ced studies
diploma)
裁判所から付託され ?
ている調停を行なって
おり、商事紛争につい
ては商事裁判所から
付託を受けている。
?
調停人および 1995年5 HPでは ○(主に商事紛争を
/または仲裁 月(1901 具体的な 対象)細かい内訳に
人として150 年?)
件数は見 ついては、HPのLes
名が名簿に
当たらな secteurs d'activiteに
記載。
記載されてい
いが、
る。
92%慣
習的
(conventi
onnelle)
な調停
で、6%
は裁判型
調停
4
商務(企業間;
法の責任者、弁護 調停人になるため
Inter-Entreprises) 士、司法官、企業 の4つの鍵となる
の長、その他調停 能力;①調停の環
人になることを希 境の理解、②調停
望している全ての のプロセスの理
専門家、および、 解、③調停の法的
調停の精神(エス 局面をマスター、
プリ)とその手法 ④調停の人間的
に関心がある者 局面の統合を獲
得する。
-
教育内容
上級 法的知識教育
コー
ス
(100
時間
以
上)
倫理教育
教育手法
聴く力に関する 扱う領域は何か ワー
理論
(例:調停、仲 ク
裁、ファシリ
ショ
テーション)
ップ
形式
の有
無
○
30時
間
社会、学校調停
○
○
企業 30時
間紛 間
争15
時間
○
調停の概念
実習
(20日
半)
−
○
270時
間
-
○
40時
間
調停における関係(コミュニケーショ
ン)
調停の法的側面 調停の環境、プロ
セス
調停
企業間の調停
No. 国
機関名
機関の概要
機関の概要
職員数
設立年
次
受付件
数、調
停件数
ADR実施の有無
(実施している場合
の扱う分野:例-商
取引など)
機関の特徴
(調停型か仲裁型
か、裁判所との関
係)
育成する人材の種類
公的資格に 認定制度
認められる の有無
かどうか
調停。
JETRO
の報告書
(平成13
年6月)に
よると、
99年時
の年間推
定値は
30∼50。
19 フランス
ACP (Arbitration
Chamber of
Paris)
20 フランス
国際商業会議所
国際仲裁裁判所
(ICC国際仲裁裁
判所)
21 オーストラ LEADR
リア
22 オーストラ IAMA (The
リア
Institute of
Arbitrators and
Mediators
Australia)
コース有無
対象とする分野 受講対象者
受講者にとって 初級 中級
(例:商務、家 (例:法律事務 の動機
コー コー
事、労務etc) 所、企業顧客対
ス
ス
応部門、企業人
(∼ (30
事部門etc)
15時 ∼40
間) 時間
程
度)
仲裁
法の責任者、弁護
士、名誉司法官、
会計エキスパー
ト、企業の長、そ
の他仲裁人になる
ことを希望してい
る全ての専門家、
および、仲裁の精
神(エスプリ)とそ
の手法に関心が
ある者
教育内容
上級 法的知識教育
コー
ス
(100
時間
以
上)
倫理教育
教育手法
聴く力に関する 扱う領域は何か ワー
理論
(例:調停、仲 ク
裁、ファシリ
ショ
テーション)
ップ
形式
の有
無
仲裁のプロセスの
理解および実践を
獲得できる。①正
義と仲裁プロセス
の入門、②仲裁の
プロセスの理解、
③仲裁人の役割
および有効的な示
談による仲裁の特
徴を理解する、④
判決の作成を抑
える(?)、⑤国際
的主題における仲
裁を習得(マス
ター)
およそ600名
が仲裁人とし
て名簿に記載
されている。
国際商業会議所(ICC)に常設され
ている、国際商事紛争を仲裁により
解決する機関。
仲裁人の養成や紹介を行う民間非 800名(登録
営利団体である。登録メンバーに 調停人数)
は、ニュージーランドやインドネシア
をはじめとした国外居住者も含まれ
る。
1989年
全般
(仲裁者の紹介、仲裁 −
のセッティング)
有り
全般
弁護士、マネー
ジャー、人事担当
者等
−
Media −
tion
Works
hops
(4日)
特になし
仲裁・調停に関する非営利の研究
機関である。調停人・仲裁人の紹介
も行う。8州に支部を設けており、そ
れぞれが研修を実施している。
1975年
全般
調停、仲裁の双方を
行う
有り
全般
仲裁人その他の
ADRサービス提供
者、あるいは職務
上紛争解決技術
や知識の向上が
必要な者
−
The −
Profe
ssion
al
Certif
icate
in
Arbitr
ation
(Gen
eral、
Adva
nced
それ
ぞれ
30時
間程
度)
−
Practi −
tioner
's
Certif
icate
in
Media
tion
and
Conci
liation
(全5
日間)
−
5
調停において考
慮すべき倫理的
ジレンマ
基本的なコミュニ 調停
ケーションスキ
ル、コミュニケー
ションに対する障
害の理解
全体を
通じて
採用
オーストラリアの
法体系・司法制度
について(予備講
義として提供)、
証拠法、契約法、
商業仲裁法 等
仲裁
コース
最終
回に実
施
調停の法的制約 調停の倫理的制
約
調停および
Conciliation
なし
No. 国
機関名
機関の概要
機関の概要
23 オーストラ ACDC (Australian 民間非営利のADR機関である
リア
Commercial
Disputes Centre)
育成する人材の種類
公的資格に 認定制度
認められる の有無
かどうか
コース有無
対象とする分野 受講対象者
受講者にとって 初級 中級
(例:商務、家 (例:法律事務 の動機
コー コー
事、労務etc) 所、企業顧客対
ス
ス
応部門、企業人
(∼ (30
事部門etc)
15時 ∼40
間) 時間
程
度)
1998年 全般(商務、行政、労 調停、仲裁の双方を
以降未公 務、地域)
行う
表
−
有り
全般(商務、労
非法律家、法律家 短期間かつ安価 概
務、地方自治、IT
に、高い効果が期 論、
等含む)
待できる
交渉
ACDCの発行する 技術
認定は、他機関に 等各
対しても信頼が高 論の
い
講義・
実習
(1∼
2日)
認証 −
コー
ス(3
日間
×3
段階)
問い合わせ中
職員数
設立年
次
受付件
数、調
停件数
8名
1986年
ADR実施の有無
(実施している場合
の扱う分野:例-商
取引など)
機関の特徴
(調停型か仲裁型
か、裁判所との関
係)
教育内容
上級 法的知識教育
コー
ス
(100
時間
以
上)
24 オーストラ The University
リア
of Adelaide
オーストラリアで3番目に古い大学 46名(法学部 1874年
である。ADRについては、法学部の 全体)
(大学)
特別プログラムとして開講されてい
る
なし
なし
大学
−
有り
全般(国際紛争、 行政法履修者ほ
家族を含む)
か
−
通常 −
(42時
間)+
認定
取得
(2日
間・受
講は
任意)
司法制度との関
係、家族関係の
調停 等
25 ドイツ
DIS (Die
Deutsche
Institution für
Schiedsgerichtsb
arkeit e.V.)
国内および国際的な仲裁を促進す (会員700)
る目的の団体。法的側面を中心と
した出版活動のほかに、実際の仲
裁活動も行っている。
1974年
なし
実施
仲裁型
なし
なし
国際商事仲裁
学生および実践
初心者
−
Sum −
mer
Acad
emy
(4日
間)
仲裁の準拠法
26 ドイツ
gwmk(経済調停
紛争管理協会)
経済紛争解決の支援を目的とした (会員118)
非営利組織
1998年
なし
実施
調停型
なし
提携商工 商務
会議所の
認定書を授
与
弁護士、税理士、
企業内教育者、そ
の他経済面での
紛争解決に興味
がある人(2年程
度の職業経験と、
商務・労務での紛
争への接触が求
められる)
−
−
6
倫理教育
教育手法
聴く力に関する 扱う領域は何か ワー
理論
(例:調停、仲 ク
裁、ファシリ
ショ
テーション)
ップ
形式
の有
無
調停、仲裁
ほとん
どの
コース
で実習
を採用
フェミニズム、法、 調停人としての基 全般、特に調停 ロール
文化、商業等
本的スキル
(Mediation)に重 プレイ
様々な観点から
点
を採用
のADR理論およ
び哲学
国際的な商業仲 有
裁
gwmk 経済調停におけ 経済調停の倫理 コミュニケーション 調停
Akad る権利、調停者の
emie 権利と義務 等
有
No. 国
機関名
法
オン
ライ
ン教
育の
有無
利用する テキスト 特徴的な教育手法の紹介
テキスト 以外の教
材
その他
講師のバックグラウン イベント等PR活動を
ド
行っているか
1 アメリカ合 AAA
衆国
一部あ
るが、
あまり
有力な
方法だ
とは考
えてい
ない。
2 アメリカ合 JAMS
衆国
なし。 オリジナル セクハラを ビデオカメラによる撮影を行い、模 JAMSの専門トレーナ。
教材。
題材にした 擬調停の反省を行う。
DVDを制 模擬調停の後、シャドー調停により
作し、利用 研修を行う。
している。
オリジナル
テキスト
"Getting
to Yes"も
使用する。
各州ごとに少しずつカスタマイズし 弁護士と調停者を兼ね 弁護士事務所、企業人事 40時間のコースで900ドル
たトレーニングプログラムを持って ているケースがほとん
関係部署にダイレクトメー ∼1200ドル。カスタマイズ
いる。
ど。大学で教えている場 ルを送付している。
コースはさらに安い。
合もある。AAA全体で15
人しかトレーナはいな
い。
3 アメリカ合 Pepperdine Univ. なし。 様々なテ
衆国
Strous Institute
キスト。
for Dispute
Resolution and
Professor of Law
4 アメリカ合 Loyola Law
衆国
School
Center for
Conflict
Resolution
なし。 オリジナル
のテキス
ト。
"Getting
To Yes"は
基本テキ
スト。
様々なタイプの授業が組み合わ
さっている。ファシリテーションの技
術にフォーカスしたワークショップ
的なものもあれば、豊富な司法経
験に基づく教師によるソクラティッ
ク・メソッドの講義もある。
ビデオ
(ハーバー
ドロース
クールで制
作)
専任講師。基本的に実
践経験者が教員になる。
一人の教師が一つのク
ラスを持つまで約2年間
の指導と準備に当てられ
る。
実際にコミュニティ調停を実践しな 専任講師。
がら教育を行う。スペイン語とのバ
イリンガルの調停に力を入れてい
る。
5 カナダ
ADR Institute of ×
Canada (ADR
Canada)
www.adrcanada.c
a/ 又は
www.amic.org/
商業的調 言及なし
停ハンド
ブック、仲
裁ハンド
ブック
具体的な調停教育は、各地域支部
が本部の基準に則って行なってお
り、本部は、通信教育コース(仲裁)
を設けているのみ。
6 カナダ
ADR Workshops
Canada
www.adr.ca/
ハーバード大Roger
Fisherが交渉している
ビデオ。"Getting to
Yes"
その他、Stittによる本
など。
すべての講義がワークショップ形式 Stitt Feld Handy Group
(ロールプレイ中心)であることが特
徴的。また、オンラインのプログラ
ム(交渉)がある。
○
Webで
学べる
ゲーム
形式
の教
材
教育機関の財政的バッ
クグラウンド
これまでは教育サービス 非営利のJAMS
を外部提供することには Foundationが教材開発。
積極的でなかったが、今 (www.jamsfoundation.org)
後はJAMSブランド浸透の
意味も含めて積極化予
定。
6月の公開講座。夏季に 6月の公開講座は995ド
は、海外から講師を呼ん ル。
で集中コースを実施して
いる。
-
30時間のトレーニングは
一般で300ドル、NPO等向
けは150ドル。
7
No. 国
機関名
法
オン
ライ
ン教
育の
有無
7 イギリス
Alternative
Dispute
Resolution Group
www.adrgroup.co.
uk/
8 イギリス
Centre for
×
Effective Dispute
Resolution
(CEDR)
www.cedr.co.uk/
9 イギリス
CEDR Solve
www.cedrsolve.co
m/
10 イギリス
利用する テキスト 特徴的な教育手法の紹介
テキスト 以外の教
材
CDROMを
使った
遠隔
ラーニ
ング
コー
ス。
Chartered
なし
Institute of
Arbitrators
(CIArb)
www.arbitrators.o
rg/
intensive and interactive and
include lectures, practical
exercised role play mediations
recommen ?
ded
reading list
がある。
その他
講師のバックグラウン イベント等PR活動を
ド
行っているか
ADR Groupの調停人
インターナショナルサマースクール 法律やビジネス界出身
が外国である。
の30人の専門家。講師
全員調停人をやってお
り、幅広い経験から教え
ている。
教育機関の財政的バッ
クグラウンド
○10月29日ADR Group
debate (London) イベント
情報
→http://www.adrgroup.c
o.uk/events.html
○ CEDR CPD events
多国籍企業および先駆的
(Mediators debrief
な専門家組織によって支
session, Further
えられている。
communication skills for
mediators, Power and
neutrality in mediation,
Law and practice for
non-lawyer mediators,
Examining the
architecture of disputes,
Settlement agreements,
Effective use of
flipcharts)
数少ない、法律事務所・
調停人その他特別な利益
団体の財政的保管人から
独立している組織。
例:
ビデオの1 5日間調停トレーニングを海外で行
Mediation: カット
なうスペシャルイベントを行なって
Principles
いる。(2003年度は、商業および建
Process
設の分野の紛争についてで、仏パ
Practice
リで行なわれた。
(The
Institute's
Bookshop
がある。)
○
1990年に慈善的地位
(charitable status)を獲
得した。
8
No. 国
機関名
法
オン
ライ
ン教
育の
有無
11 イギリス
ADR Chambers ○
(UK) Limited
(ADR Chambers)
www.adrchambers
.co.uk/
12 イギリス
Professional
Mediation
Resolutions Ltd.
(PMR)
www.workplacem
ediation.co.uk/
13 イギリス
MediationUK
http://www.media
tionuk.org.uk/
利用する テキスト 特徴的な教育手法の紹介
テキスト 以外の教
材
ADR
Workshops
-Canadaに
同じ。(同
じグループ
であるた
め。)
ビデオ
(Fisher教
授が困難
なビジネス
紛争を解
決するビデ
オ、有名な
アメリカの
調停人が
調停する
特別ビデ
オ)
その他
講師のバックグラウン イベント等PR活動を
ド
行っているか
教育機関の財政的バッ
クグラウンド
"Getting to Yes"に基づく手法。
Allan Stitt & Frank
4日間のクラスルームスタディ、ロー Handy (cf. ADR
ルプレイ、双方向の(interactive)オ Workshops Canada)
ンラインワークと集中的な準備を行
なう。優秀な参加者は調停人として
認定される。
従業員のためのいわゆる
customized トレーニングや1日セミ
ナーがある。
○ セミナーを開催
CHK Charities
Community Fund England, Scotland &
Wales
Department of Health
Office of the Deputy
Prime Minister
Goldsmiths
Home Office (Active
Community Unit)
Lankelly Foundation
Barclays Bank
Lloyds TSB Foundation
Department of
Constitutional Affairs
Welsh Assembly
Government
The Allen Lane
Foundation
WF Southall Trust
Joseph Rowntree
Charitable Trust
9
No. 国
機関名
法
オン
ライ
ン教
育の
有無
利用する テキスト 特徴的な教育手法の紹介
テキスト 以外の教
材
14 フランス
AMELY
(Association
deMEdiation de
Lyon;リヨン調停
協会)
amely.ifrance.com
/amely/
本の紹介 ビデオ
あり。"Les
médiations,
la
médiation"
Editions
ERES 参考
文献、レ
ポート等の
リストあり。
15 フランス
Institut de
Psychologie de
l'Université
Lumière LYON 2
(リュミエール・リヨ
ン第2大学心理学
研究所)
適宜指導を行なうチューターがい
る。
16 フランス
Université René
Descartes,
Faculté des
sciences
humaines et
socials et Institut
de psychologieパ
リ第5大学(ルネ・
デカルト大学)
ヒューマン・社会
サイエンス学部お
よび心理学研究
所
定員は20名−30名
17 フランス
○
Cnam
(Conservatoire
National des Arts
et Metiers)
オープントレーニング、遠隔教育
(インターネット、ビデオカンファレン
ス)、ディスカッションセミナー:5000
人がCnamの遠隔教育プログラムを
受講している。
18 フランス
CMAP(Chambre ?
de Médiation et
d'Arbitrage de
Paris パリ仲裁・
調停センター)
各種本の
リストがあ
る
その他
講師のバックグラウン イベント等PR活動を
ド
行っているか
参加人数20名まで。
状況に身をおく、ロールプレイ、発
表、インタラクティブな参加
教育機関の財政的バッ
クグラウンド
○ カンファレンス・会議
情報等。
大学の委員会によってリ
クルートされた大学また
は特定の分野の能力を
もつ専門家
毎年200ほどのカンファレ
ンス、展示会、会議、セミ
ナー(主題によって一般
向けおよび専門家・エキ
スパート向けがある)
著名な法律家(仲裁人、 ○カンファレンス情報あ
司法官、弁護士) 企業 り。
間の意見対立のルール
を専門とする調停人、ネ
ゴーシエーションの教
授、調停の教育者
(ESCP, Dauphine,
FASSE, etc.)、弁護士、
司法官、企業分野の実
務者(ビジネスパーソン)
パリ商工会議所からの公
的資金(50%)、仲裁およ
び調停の実施、ならびにト
レーニング・コース企画実
施から取得した収益(5
0%)
10
No. 国
機関名
法
オン
ライ
ン教
育の
有無
利用する テキスト 特徴的な教育手法の紹介
テキスト 以外の教
材
その他
講師のバックグラウン イベント等PR活動を
ド
行っているか
教育機関の財政的バッ
クグラウンド
状況に身をおく、発表、インタラク 法学部教授、弁護士、司
ティブな参加。教育の50%が実践 法官、ビジネス業界の実
的なエクササイズにあてられる。11 務者
月3日∼12月15日に行なわれる。
19 フランス
ACP (Arbitration
Chamber of
Paris)
資金調達先は、仲裁およ
び調停の実施から取得し
た収益のみ。
20 フランス
国際商業会議所
国際仲裁裁判所
(ICC国際仲裁裁
判所)
21 オーストラ LEADR
なし
リア
22 オーストラ IAMA (The
リア
Institute of
Arbitrators and
Mediators
Australia)
"Getting 記述なし
to yes"(予
習教材)
言及なし
登録調停人・仲裁人から
会費を徴収している。また
利用者からは、調停人・
仲裁人の紹介費用も徴収
している。
ビデオ(建 法学教育を受けていない受講者の ADR実務者および大学 言及なし
築業界で ための予備講義を準備している
研究者(アデレード大学)
の典型的
な事例を
紹介したも
の)、Web
(最新情
報)
登録調停人・仲裁人から
会費を徴収している。また
利用者からは、調停人・
仲裁人の紹介費用も徴収
している。
有り(2
日間
のス
クーリ
ングへ
の参
加が
必要)
A Guide to
Arbitration
Practice in
Australia,
edited by
Ms Vicki
Waye,
Senior
Lecturer
at the
University
of
Adelaide s
Law
School.
なし
The
なし
Mediation
and
Conciliatio
n
Handbook
シミュレーションが多用される。最 ADR実務者、法曹関係
終日には個々にフィードバックが得 者(弁護士及び判事)
られる。
実習及びロールプレイングが中心
である。
11
No. 国
機関名
法
オン
ライ
ン教
育の
有無
利用する テキスト 特徴的な教育手法の紹介
テキスト 以外の教
材
その他
講師のバックグラウン イベント等PR活動を
ド
行っているか
23 オーストラ ACDC (Australian ×
リア
Commercial
Disputes Centre)
言及なし
言及なし
Mediatorとして仕事を得、経験を高 ADR実務者、法曹関係
めていくためのノウハウについての 者(弁護士及び判事)
コースがある(Stage 3
Mediation/Conciliation Consulting)
24 オーストラ The University
リア
of Adelaide
×
言及なし
言及なし
ロールプレイのビデオ撮影を行い、 大学スタッフ、ADR実務 言及なし
指導の材料にしている。
者等
"Fishbowling"と称される。
25 ドイツ
DIS (Die
Deutsche
Institution für
Schiedsgerichtsb
arkeit e.V.)
有り
(http:/
/www.
arbitra
tioninterac
tive.de
/)
事例集
記述なし
「Arbitratio
n
Interactive
」(DVDつ
き)
事例シナリオに基づき、双方向的 弁護士、大学教授等
な学習を行う。仲裁過程での心理
的要因を重視する。
26 ドイツ
gwmk(経済調停
紛争管理協会)
なし
記述なし
ケーススタディ(Fallstudien)
弁護士、調停人、大学教
グループ
授、経営コンサルタント
ロールプレイング、ディスカッション 等
記述なし
言及なし
教育機関の財政的バッ
クグラウンド
仲裁・調停等サービスの
ほか、ADRおよびADR人
材育成関連のコンサル
ティング等も行っている。
授業料収入等
Arbitrationに関する会議 セミナーは、ケルン大学
を年2回程度開催。また、 法学部と共同で実施
"German Arbitration
Journal,"誌を隔月で刊行
するほか専門書の出版。
奨学金制度も運営。
各地の商工会議所と提携
して講座を実施している
12
【資料6】
ADR参考文献リスト
【ADR に関する文献】
アメリカ合衆国
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・ 柏木秀一「米国における裁判所 ADR の導入と概要−連邦裁判所での ADR を中心にし
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・ 澤井啓「欧米の ADR 最新事情(2)
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・ 澤井啓「欧米の ADR 最新事情(6)」
『JCA ジャーナル』46 巻 11 号、1999 年 11 月。
・ 澤井啓「欧米の ADR 最新事情(7)」
『JCA ジャーナル』46 巻 12 号、1999 年 12 月。
・ 澤井啓「欧米の ADR 最新事情(8)
」『JCA ジャーナル』47 巻 1 号、2000 年 1 月。
・ 澤井啓「欧米の ADR 最新事情(9)
」『JCA ジャーナル』47 巻 2 号、2000 年 2 月。
・ 澤井啓「欧米の ADR 最新事情(10・完)」
『JCA ジャーナル』47 巻 3 号、2000 年 3
月。
・ 鈴木仁志「アメリカ合衆国の ADR と訴訟社会(下)」『NBL』No.717、2000 年 7 月。
・ 高橋彩「マサチューセッツ州における裁判所の ADR」
『World justice』(2)、2002 年 3
月。
・ 松山昇平「ジョージア州におけるプライベート ADR」
『World justice』(1)、2000 年 3
月。
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『NBL』、2001 年 9 月。
・ レビン・小林・久子「アメリカ ADR 事情(2)
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『JCA ジャーナル』47 巻 5 号、2000
年 5 月。
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(William L. Ury, Getting Past No / Negotiating with Difficult People, William
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・ ロジャー・フィッシャー/ウィリアム・ユーリー/ブルース・パットン,金山宣夫/浅
井和子訳『新版ハーバード流交流術』(Roger Fisher, William Ury and Bruce Patton,
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『JCA ジャーナル』49 巻 6
号、2002 年 6 月。
・ 坂巻紀久「ADR 機関は利用者視点からの改革を」
『JCA ジャーナル』48 巻 7 号、2001
年 7 月。
・ 佐藤安信「ADR 検定制度の導入:裁判所中心主義から当事者本位主義への脱却を」
『JCA ジャーナル』49 巻 7 号、2002 年 7 月。
・ 高橋裕「現代社会における ADR の役割(上)
」『JCA ジャーナル』47 巻 9 号、2000
年 9 月。
・ 高橋裕「現代社会における ADR の役割(下)」
『JCA ジャーナル』47 巻 10 号、2000
年 10 月。
・ 早川吉尚「米国からみた日本の ADR とその問題点(1)(2)(3)(5・完)」『JCA
ジャーナル』46 巻 7 号、1999 年 7 月∼11 月。
・ 早川吉尚「再論:日本の ADR の批判的考察」
『JCA ジャーナル』49 巻 12 号、2002
年 12 月。
・ 山本和彦「日本における ADR の現状と課題」
『JCA ジャーナル』49 巻 9 号、2002 年
9 月。
消費者
・ 内閣府国民生活局消費者企画課「消費者問題における ADR に関する意識調査の概要」
『国民生活』
、2003 年 1 月。
・ 田中圭子「銀行・消費者間紛争から見た ADR の問題点とその方向性(3)」『JCA ジ
ャーナル』47 巻 12 号、2000 年 12 月。
・ 田中圭子「銀行・消費者間紛争から見た ADR の問題点とその方向性(5・完)」
『JCA
ジャーナル』48 巻 2 号、2001 年 2 月。
・ 田中圭子「ADR をめぐる多様な視角 消費者問題をめぐる ADR の制度設計−ADR と
パラ・リゾーションの差別化と連携」『JCA ジャーナル』49 巻 9 号、2002 年 9 月。
ODR(オンライン ADR、サイバーADR)
・ 「ミニ情報 ADR ネット社会の紛争解決手段」
『ジェトロセンサー』
、2001 年 10 月。
・ 紙谷雅子「シンポジウム報告インターネットと ADR」
『法とコンピュータ』No.20、2002
年 7 月。
・ 河村寛治「アメリカにおけるサイバーADR の現況」『JCA ジャーナル』49 巻 10 号、
2002 年 10 月。
・ 河村寛治「仲裁アメリカにおけるサイバーADR の最近の動き−ABA の ODR ガイドラ
インについて」『JCA ジャーナル』49 巻 11 号、2002 年 11 月。
・ 澤井啓「オンライン ADR の未来」『JCA ジャーナル』48 巻 9 号、2001 年 9 月。
・ スティーブン・コール「グローバルな電子商取引で消費者の信頼を高める三つの鍵」
『月
刊 Keidanren』、2002 年 4 月。
・ 町村泰貴「インターネット社会と ADR(上)」
『NBL』No.689、2000 年 5 月。
・ 町村泰貴「インターネット社会と ADR(下)」
『NBL』No.690、2000 年 6 月。
・ レビン・小林・久子「アメリカ ADR 事情(9)−動き出したオンライン紛争解決手続」
『JCA ジャーナル』47 巻 12 号、2000 年 12 月。
3
ADR 全般
(雑誌)
・ 「ADR について−ADR とは」『JCA ジャーナル』48 巻 11 号、2001 年 11 月。
・ 「ADR について−裁判と ADR」『JCA ジャーナル』48 巻 12 号、2001 年 12 月。
・ 「ADR について−ADR の活用」『JCA ジャーナル』49 巻 2 号、2002 年 2 月。
・ 「ADR の可能性」『法学セミナー』No.560、2001 年 8 月、25 頁以下。
・ 青山善充、廣田尚久、山本幸助「今、なぜ ADR なのか」『JCA ジャーナル』49 巻 5
号、2002 年 5 月。
・ 井上匡子「コミュニティと ADR」『法学セミナー』46(8)、2001 年 8 月。
・ 大渕憲一・今佐景子「紛争解決の心理学:ADR のための考察」
『JCA ジャーナル』49
巻 9 号、2002 年 9 月。
・ 高橋裕「ADR をめぐる多様な視覚−連載によせて」『JCA ジャーナル』49 巻 9 号、
2002 年 9 月。
・ 早川吉尚「WIPO International Conference on Dispute Resolution in Electronic
Commerce」『JCA ジャーナル』48 巻 1 号、2001 年 1 月。
(書籍)
・ 石川明『調停法学のすすめ−ADR私論−』信山社、1999 年。
・ 稲葉一人『訴訟代理人のための実践民事訴訟法』民事法研究会、2003 年。
・ 井上治典・佐藤彰一『現代調停の技法∼司法の未来∼』判例タイムズ社、1999 年。
・ 大川宏・田中圭子・本山信二郎『ADR活用ハンドブック−相談・紛争解決機関ガイ
ド−』三省堂、2002 年。
・ 河合隼雄・加藤雅信『人間の心と法』有斐閣、2003 年。
・ 小島武司『ADR・仲裁法教室』有斐閣、2001 年。
・ 廣田尚久『紛争解決の最先端』信山社、1999 年。
・ 廣田尚久『民事調停制度改革論』信山社、2001 年。
・ 廣田尚久『紛争解決学〔新版〕』信山社、2002 年。
・ 和田仁孝・太田勝造・阿部昌樹『交渉と紛争処理』日本評論者、2002 年。
・ レビン小林久子『調停ガイドブック−アメリカのADR事情−』信山社、1999 年。
・ レビン小林久子『調停ハンドブック−調停の理念と技法−』信山社、1998 年。
・ レビン小林久子『紛争管理論:新たな視点と方向性』日本加除出版株式会社、2003 年。
(ファシリテーション)
・ 中野民夫『ファシリテーション革命 参加型の場づくりの技法』岩波書店、2003 年。
・ 堀公俊『問題解決ファシリテーター「ファシリテーション能力」養成講座』東洋経済新
報社、2003 年。
(相談)
・ 東京弁護士会・消費者問題特別委員会『消費者相談マニュアル』商事法務、2003 年。
(ワークショップ)
・ 伊藤雅春・大久手計画工房『参加するまちづくり ワークショップがわかる本』農文協,
2003 年。
・ 中野民夫『ワークショップ−新しい学びと創造の場−』岩波書店、2002 年。
4
トレーニング
・ 稲葉一人「調停技法トレーニングと調停の可能性」
『市民と法』No.18、2002 年 12 月。
・ 井上匡子「コミュニティと ADR」『法学セミナー』46(8)、2001 年 8 月。
・ 浦山孝子「まずは『聴く』技術を磨くことから始めよう」
『The21』18 巻 8 号、2001
年 8 月。
・ 勝田利文「ADR フォーラム 2002『模擬調停』開催報告」『JCA ジャーナル』50 巻 1
号、2003 年 1 月。
・ 小島武司「改革の議論のための ADR 理論」『法律文化』14(4)、2002 年 4 月。
・ 小林徹「ADR の拡充、活性化に向けた取り組み」『法律文化』14(4)、2002 年 4 月。
・ 佐藤歳二「裁判所外 ADR の類型化とそれに応じた人材養成の必要性」
『法律文化』14(4)、
2002 年 4 月。
・ 佐藤安信「ADR 検定制度の導入:裁判所中心主義から当事者本位主義への脱却を」
『JCA ジャーナル』49 巻 7 号、2002 年 7 月。
・ 杉浦君代「コミュニティ調停−コミュニケーション的行為による紛争の解決」
『金城学
院大学大学院人間生活学研究科論集』(2)、2002 年。
・ 廣田尚久「制度定着に向けて乗り越えるべき三つのハードル」
『法律文化』14(4)、2002
年 4 月。
・ 福田健「聞き上手がコミュニケーションを活性化する」『セールスマネジャー』、2001
年 11 月。
・ 森守人「調停クリニック(トレーニング)体験」『市民と法』No.18、2002 年 12 月。
・ レビン・小林久子「アメリカの紛争管理システムの理論」
『法律文化』14(4)、2002 年
4 月。
・ 「特集 2 法律家の「聞く」技術に学べ!ロイヤリング入門」
『法学セミナー』No.570、
2002 年 6 月。
塚原英治「法律家に必要な『話を聞く』技術」
齋藤知子「消費者相談ではどうやって話を「聞き出す」か?」
矢野和雄「高齢者の法律相談は『終わらない』
」。
以上
5
【資料7】
試行プログラムヒアリング結果(個票)
資料7
試行プログラムヒアリング結果(個票)
目
次
廣田尚久様(弁護士・大東文化大学環境創造学部教授) .................................................... 1
稲葉一人様(科学技術文明研究所特別研究員、東京大学大学院医学系研究科客員研究員、
元大阪地方裁判所判事) ...................................................................................................... 3
中村芳彦様(弁護士).......................................................................................................... 6
稲村厚様(司法書士・日本メディエーションセンター) .................................................. 12
中西淑美様(九州大学法学府修士二年) ........................................................................... 17
A 氏 .................................................................................................................................... 18
■ヒアリング対象者:
廣田尚久様(弁護士・大東文化大学環境創造学部教授)
ヒアリング:入江、土屋
メモ作成:土屋
1.プログラムの中身を充実させるために必要な事項
<ADR 人材育成試行プログラムの総括>
・ 全体的によくまとまっていたと思う。
・ 時間との関係であのようなプログラムが精一杯だったと思う。
・ 参加した人たちがどういうふうに受け取ったかという問題があるが、ある種のカルチャ
ーショックがあったのなら効果的だった。
・ 稲葉先生の講義やエクササイズはよくまとめられていた。
・ 試行プログラムでは、調停の枠組みが分かったということではないか。
・ 次の段階のことになるが、取り扱った事例で、例えば、妹が夫に無断で実母の扶養費用
を出していたというケースがあったが、あのような段階で解決したようなケースは滅多
にない。もう少しこじれてきたらどうなるか、ということもある。もう少し時間を延ば
してどういうふうに事例を発展させるか。多少経験した人から見れば、「あれで収まっ
てしまう」のは、ほとんどない。もともと妹も、姉も扶養義務がある。扶養問題として、
抜本的に取り組むという、理想の形態であり、トランスフォーマティブなメディエーシ
ョンとは、そういう状態を目指すものを指す。
・ 大沢先生の報告はよく研究されまとまっていた。
・ ADR の歴史的背景をしっかり教える方法もある。自分自身も取り組んでいるつもりだ
が、なかなか浸透しない。そうした歴史的背景を踏まえ、調停の意義を根から分かれば
取り組む態度が変わってくる。
・ 相談については従来研究されてこなかった。中村先生の報告は画期的であり、高く評価
できると思う。
・ 相談にはいろいろな種類があるので研究する余地がある。日本の PL センターや消費者
生活センターは相談と調停との間のユニークなものだと思っている。苦情処理の研究も
必要である。
2.人材育成プログラム活動の体制
・ 今後は RIETI ができないとしたら、JMC などが行うのだろうか?トレーニングのニー
ズがあれば実施出来るという体制があれば良いと思う。
・ ロースクールでは ADR を教えるカリキュラムがあるとよい。自分自身もロースクール
で ADR を教えるカリキュラムを考えている。1年週2コマ程度の時間をかけて、理論
と実践を教え、調停を仕事として行える人を育てたいという腹案も暖めているが、それ
1
をロースクールでどの程度実施するかは未定である。中村先生と私は、法政大学のロー
スクールで講座を持つことが決まっている。法政大学では、法律事務所を内部に持ち、
実際の事件を扱いながら教育を行う予定である。
・ 裁断する訴訟に比べて、和解を前提とする調停は、実は難しい。しかも、背景理論など
も豊富にある。聴く力だけでなく、教えるべき内容は豊富にある。
3.普及・啓発活動として必要な事項
・ 教養には役立つ。これをアピール材料にするのも一つの手である。例えば、日常生活、
営業に応用できる。
・ しかし、それだけでは、メッセージが弱いのでやはり調停人になれる道を拓くことが大
事である。日本では「資格、資格」と言われるが、資格よりも、実力を身につけるほう
が大事である。このプログラムを受講すれば身につくというようなプログラムがよい。
資格制度があっても職業として成り立っていないものも多い。新たな資格を単純につく
るだけになるのは良くない。
・ 最終的には、法の支配をどう浸透させるかが問題である。自分がドイツに行ったとき、
タクシーの運転手まで法律のことをよく知っていることを実感する体験があった。この
ように、法の支配が浸透している。日本の弁護士法 72 条は、日本社会に法の支配を浸
透させるのに邪魔をする存在である。この問題に気付いている人は法曹関係者にも多い
が、司法制度改革のような場面で発言する人は少ない。
・ 普及、啓発活動としては、講演会が考えられる。弁護士に ADR を浸透させることも必
要である。調停に付託するような事件には大きなものがないと弁護士は思っているので
なかなか取り組まないが、実は私自身が行った中にも、大きな事件を調停で解決した例
もある。
4.その他
・ 裁判外紛争解決が良いという本を 1988 年に書いたが、この当時は現在のように調停や
和解に注目が高まる日が早くくることを想定していなかった。米国で Administrative
Dispute Resolution Act が 1990 年に採択されたことや、1985 年の UNCITRAL モデル
仲裁法が制定されたことなど、世界的な流れにも必然性が見える。自分が想定していた
よりも早く変化が訪れた。この変化は必然的なものであるし、世界的なものであると信
じている。
・ 訴訟手続きやシステム論の学者ばかり集めて ADR を議論してもダメである。実務家と
理論家を兼ねている人が多く輩出して、その人々が議論することが望ましい。
以上
2
■ヒアリング対象者:
稲葉一人様(科学技術文明研究所特別研究員、東京大学大学院医学系研究科客員研究
員、元大阪地方裁判所判事)
ヒアリング:原英史様、入江秀晃
メモ作成:入江
1.プログラムの中身を充実させるために必要な事項
○ビデオについて
・ ビデオは今後のトレーニングに役立てて欲しい。ビデオに表れている内容は、すべて完
璧なスキルというものではない。批判的な目を持ちながら、使ってもらいたい。スクリ
プトも提供できるので、これと合わせての利用が望まれる。
○事例について
・ 事例については、今後もっと充実させる必要がある。例えば、消費者トレーニングなど
分野ごとに用意する必要があるだろう。また、簡単なものから、難しいものへ、多様な
事例を組み合わせていくことで充実した内容のプログラムになる。良いトレーニング実
施機関は、多数のよい事例を持っている機関ということになるかもしれない。今後、ADR
トレーニング機関の競争が生まれると思われるが、事例はひとつの競争のポイントにな
るだろう。
・ 自分のトレーニングを含めて、いままでは、理論を事例に当てはめるタイプのトレーニ
ングだったが、むしろ今後は、事例をベースにしたトレーニングになるだろう。
○参加型であることについて
・ 参加型であることは重要だ。米国のロースクール自体が情報提供型であっても対話をベ
ースにした教育であるソクラティック・メソッドを採用している。つまり、情報提供を
しながら、参加もさせる教育手法の蓄積が米国にはある。
・ しかし、参加型のプログラムは、先生が能力をつけるのに時間がかかるため、日本では
なかなか行われていない。
・ プログラムを、より市民に近いところに持っていくなら、なおさら参加型を増やすべき
だと考えている。
○利用について
・ ビデオや事例は、プライバシーに配慮して作ってある。広く使ってもらえればいいと考
えている。
「オリジナルは、きちんと示す」、という引用元をあきらかにするということ
だけしっかりしておけばいい。
・ 地方では、取り組む人数が少なく、自分達で充分に教材をつくれない場合がある。一方
JMC などには ADR を相当研究している人が多く集まっている。利用のニーズは機関に
よって異なるだろう。
○プロトコール
3
・ ①教えるテーマ(狙い、主題)、②問い、③プロトコール(教え方の手順。班分けして、
○○の作業をする等)をしっかりつくったものをたくさん残しておくと、利用価値が高
まる。このワンセットを残しておくと使いやすい。
○理論について
・ 理論を示すパワーポイント資料は自分で作らないと、教えにくい。事例やビデオがたく
さんあると使いやすい。
・ 理論的なものを深める必要があるとおもう。日本で ADR が普及しないのは、紛争解決
の理論そのものに問題がある可能性がある。日本には ADR 制度論の研究家はいるが、
ADR とは領域横断的なものであり、また、かなりのプラクティスが要求される。その
意味での ADR 専門家は日本にはいない。たとえば、メディエーションにも理論はたく
さんある。米国では、スタイルと理論があり、日本でもプラクティスを踏まえた発達が
待たれる。
・ 私自身は、心理学的な面、紛争心理学的な面、ハーバード流の紛争特有の対話構造の視
点の 3 つの理論的なバックグラウンドから組み立てた教育プログラムを現在のところ、
ベターだと考えている。新しいものがどんどん出てくるといい。たとえば、ペッパーダ
インの STAR(Stage、Task(What)、Action(How)、Result)は、ADR の実践から体系
ができたものだ。アメリカの紛争解決学の教授はみな実践者であり、ここが日本とは大
きく違う。日本も、今後はロースクールで実務をやると聞いているので、少しは期待で
きる。大学の法律相談所や調停クリニックで、学生に調停の席に立たせることができれ
ば教育効果は高いだろう。
・ 廣田先生は例外的存在で、日本では実務家であり理論家である人がほとんどいないので、
ADR についての理論が育ちにくいと思う。
○他分野との連携
・ ビジネス、まちづくりの分野、学校教育など多様な場面との接点があることは確かだ。
大阪大学の「臨床哲学」「対話シンポジウム」の取り組み自身、そもそもまちのなかの
対話の促進を目指したものであって、法律家向けのものはではなかった。イベントを仕
掛ける可能性もあるとおもう。医療関係での、ターミナルケアの場面での対話も考えら
れる。ビジネス分野でのファシリエーティブなコンサルテーションもあるだろう。非常
に多様な広がりがある。関連諸団体や、学会からも研修の依頼があり、興味を持たれて
いることもわかる。
2.人材育成プログラム活動の体制
・ ロサンゼルスでのこの数ヶ月の2回の調査では、人材育成プログラムの中心はロースク
ールにあると感じた。例えば、裁判所付設型の ADR 機関へのトレーニングもペッパー
ダイン大学が行っていた。さらに、NPO、地域のセンターにも、大学の講師がトレーニ
ングを提供し、各機関の独自のトレーニングと、このような外からのものを組み合わせ
て調停人をトレーニングしている。
4
・ まちづくりなどは、コミュニティベースのトレーニングが向いているだろう。
・ 人材育成のプログラムを作ろうと考えているところは多い。関連諸団体にもトレーニン
グには大変興味を有している。私は、業種横断的な人材育成のセンターが出来るといい
と考えているが、なかなか難しいかもしれない。
・ 自治体を含めた行政の相談窓口との連携も考えるべきだろう。私自体、行政の苦情窓口
職員へのトレーニングの実績があるが、可能性はあると思う。
3.普及・啓発活動として必要な事項
・ 2004 年度も、第3回対話シンポジウムを計画している。対話シンポジウムは、哲学者
の鷲田清一教授をチーフにした、大阪大学の COE プログラムの一環として実施されて
いるものだ。鷲田教授が提唱する臨床哲学では、哲学者が理を説くのではなく、哲学者
がナビゲータになって対話を円滑にするというコンセプトのものだ。
(2003 年度の第2
回対話シンポでは、稲葉さんがプログラム全体をデザインし、その中で廣田教授、中村
弁護士、丸山先生(東京社会保険社労士会・副会長)らによる「試行プログラム」の紹
介があった。
)
・ 2004 年度の第3回対話シンポジウムでは、今年の 12 月に、アメリカの人たちに来ても
らい、アメリカのトレーニング実際を体験してもらうために、米国のプログラムの実施
を考えている。他には、VOM(被害者加害者調停)、ADR サミット(地域での ADR 実
施機関が一同に会する試み)などもプログラムに組み込みたい。
・ 私自身による、個人トレーニングは、キャパを超えている。2003 年は JMC だけで 90
時間以上、地方を合わせると、全部で数百時間を越えており、個人の活動として、トレ
ーニングをすることは明らかに限界が来ている。今後は、地方は除き、イベント的なと
ころで、対話の価値を共有するといった活動にシフトし、他のトレーナの育成を支援す
ることを考えている。
4.その他
・ 今回の取り組みは、全体会を経て、一旦終了することになろう。現在の状況で、更に発
展的に、次のバージョンを作ることは、内容面での形骸化をまねくだけだろう。
・ むしろ、理論や人選をまったく変えてやるのだったら、意味があるかもしれない。例え
ば、まちづくりでも震災後の復興や、迷惑施設の建設といった場面で、ファシリテーテ
ィブな手法が利用されている。また、南山大学でも人の対話に焦点を合わせたプログラ
ムがある。こうした法律家とは関係がないメンバーで検討するのも一案かもしれないし、
この試行プログラムが様々なところで、利用され、反響を理解し、その上で、新たな構
想を練るほうが、建設的と思う。
以上
5
■ヒアリング対象者:
中村芳彦様(弁護士)
インタビュー対象者:中村芳彦先生(弁護士)
インタビュー者:入江
メモ作成:入江
1.プログラムの中身を充実させるために必要な事項
<ADR 人材育成試行プログラムの総括>
・ プログラムの途中から参加したので、当初の経緯がもうひとつわかっていないところが
あるが、3 者間の調停やメディエーションに至る前提として、実際に広く行われている
2 者間の相談やその変形としてのあっせんを独立して位置づけ、トレーニングにより、
その人材を育成することが、ADR の拡充・活性化のためには合わせて重要であると認
識している。
<相談と調停について>
・ 調停については、これまで実務面での具体的な取り組みは、仲裁センターにおけるなど
の弁護士(会)に限られ、しかも人材養成という視点からは、必ずしも十分なものとは
言えなかった。一部、司法書士そのほかの専門職種の方が、裁判所の調停委員になって
いる場合はあるが、いずれも法律や条理を基準としたもので、調停に関してのスキル・
トレーニングへの新たな取り組みは、これから広げていく必要があると思っている。し
たがって、そのやり方の適否はともかくとして、これまで多様かつ活発に行われている
相談とかかる調停とでは、置かれている社会的状況がかなり異なる。
・ 相談に関しては、プログラムに参加された方の比較的多くは消費者相談の形で関与され
ている方が多かった。彼らのニーズをどうとらえるかが課題であると思っていた。
・ それぞれの現場が持っている課題・ニーズを踏まえないとプログラムそのものが成り立
たないと思った。したがって、相談自体は、各相談現場での多様であるが、今回のカリ
キュラムでは、消費者相談のケースを、意図的に取り上げた。
・ 消費者相談については、あっせんという手続の位置づけ、評価、そこでの課題や実際の
展開といった点がポイントである。この点が課題だと思った。他の相談業務にとっては
あっせんの流れがない。
・ 相談から調停の流れを考えると、あっせんという行為をしっかりと位置づける必要があ
る。現実の消費者相談は、あっせんの部分がむしろ機能している側面がある。しかし、
あっせんをどのように扱ってよいかというところまで、今回の検討では必ずしも深めら
れなかった。この点はこれからの課題である。
・ もともと、ADR の人材育成を、どこの範囲で考えていくのかについて、ある程度共通
の認識が必要である。実際にトレーニングにより、どういうふうに相談から ADR へ繋
6
がるかが見えてこないといけないし、このような相談から調停への流れを、ADR に関
与する人達が押さえていかないと、調停の利用も伸びないし、ADR は根付かないだろ
うと思った。したがって、調停だけでなく相談を含めることを提案した。
・ 人材育成については、相談についても、今回のような観点ではほとんど研修されていな
かったとおもう。いままでの研修は、法律知識面について限られていて、相談や ADR
についての考え方の再検討の機会やロールプレイはほとんどなかったと思う。例えば、
弁護士についても、司法研修所での研修は訴訟技術や訴訟文書の書き方といった知識面
やスキルの提供に限られており、今回のようなスタイルの研修は十分行われてこなかっ
た。しかし、最初は聴くところから始まるのだから、面談技法のトレーニングは極めて
重要である。消費者相談と弁護士の法律相談には違いはあるが、共通点も多い筈である。
1.プログラムの内容
・ テキストは、あったほうがいい。理論、スキルのアウトラインを示した教科書的なもの
が必要だと思う。
・ メディエーションには、いろいろなスタイルがある。並列的にやるのか、一つに絞って
やるのかで、やり方が相当に変わってくるだろう。
・ そもそもなんのためにやるのかといった理念的な部分をどう見ておくか、基本的な視点
を設定する必要がある。このあたりが今ひとつはっきりしなかった。
・ これまでの相談や ADR の現実からすると、今は、聴くことを中心とした相談やメディ
エーションの流れが最も重要だとおもう。また、ADR のあり方においても、様々な選
択肢がありうることを示すことが次に重要になる。どういう問題に対して、どういうス
タイルが有効なのかを検討する必要があるが、まずは、聴くことを中心とした流れをき
ちんとトレーニングとして打ち立てることが重要と思っている。
・ 実際的に、法的な問題が出てきたときに、その ADR 機関の中でやるのか、外でやって
きてもらうのかいった点は、はっきりさせておく必要がある。この点は、いろいろな意
見がありうるところであろうが、複数の選択肢を示すなど、バリエーションを示す形で
もいいと思う。
・ 従来の弁護士の活動は、基本的に法適用モデルによる解決手法が中心で、聴くことを、
必ずしも重視してこなかった点で充分ではないと思っているが、新しい動きと現実の活
動との接点をどう示していけるかという点もやはり必要だと思う。
・ メディエーションについては、消費者問題が今回扱われなかった。力の格差がある場合
の、メディエーションの進め方をどのように考えるかも重要な課題と考えるが、これは
応用編になるだろう。今後は、紛争の態様に応じたスタイルを示していく必要があると
思う。
・ 事例は、実際の現場で扱ったものが一番身近に感じられ、またリアリティーも有ってい
と思う。いろいろな現場から事例を、出していただき、ロールプレイの素材を増やして
7
いくことが重要だ。
・ JMC で、クレ・サラ相談のビデオを作った。抽象的に相談のあり方を議論するだけで
なく、実際に、クレ・サラ相談の現場で扱っているものを事例として集めて、その中で
の悩みを考えてもらうことが大事だと思う。例えば、離婚なら感情的な問題が大きい。
「犬が子供を噛んだ」という事件の場合ならば、感情的な問題と法律的なこと(損害賠
償)の両方が具体的に問題になる。このように事例の類型毎に、問題の構造が違う。事
例をいかに集積していくかがかなり重要だとおもう。事例とビデオはセットにしておく
とわかりやすい。
・ 相談のビデオでは、悪い例と良い例で、2つのスタイルを比較して見せるやり方を採用
した。この方法は、比較ができるので、受講者にとってはわかりやすいと思う。相談に
ついては、ビデオは役に立つ。
・ 調停は、本来時間がかかるのが通常で、長くなってしまってビデオを作るのが難しい。
もっと、悪い例はビデオが作りやすい。例えば、別席調停で説得し、結論の押し付けを
やっているような場面を見せればそれなりのものができるだろう。一方、良い例のビデ
オは難しい。どうしても、時間が限られているので、10 分とか 15 分程度でストーリー
を終えらざるをえない。普通の調停の場合、15 分でまとまるということはありえない
が、時間的な制約があるので、何らかの結論を出すことになる難しい。しかし、当事者
が納得するか、反論するかは偶然的要素があり、あんなにはうまくいかないとか、あん
なところで折れるとは考えにくいという風に反応されてしまうと効果が減少してしま
う。ビデオで見てもらうことは、見て体験できるという意味で重要だが、成功例的なビ
デオは難しいというのが実感だ。メディエーションについては、当事者がどのように反
応したかによって、話のパターンをいくつか見せる必要があるかもしれない。終始同席
でやるかどうかについても、意見が分かれるであろうから、ある程度バリエーションを
示しておくと良いように思う。
○参加型
・ 確かに、情報提供型が、まだまだ多すぎたと思っている。新しい理念やスキルを説明し
ようとするとどうしても情報提供型になりがちである。また、全体の時間との兼ね合い
がある。本来は、ひとつひとつのスキルについて、理論と実習が必要だろう。時間配分
はくらいが情報提供と参加型が半々くらいが良いと思う。参加型ばかりになると、楽し
かったが、何がなにが残ったのんだろうかということになる。
・ 参加型でも、ロールプレイ型と振り返り型がある。このバランスもあるだろう。スキル
のロールプレイは必要だろうと思うが、調停のロールプレイは、難しいところがある。
どこで折れるかは、当事者役の気分次第なところがある。調停はここでも、ビデオと同
様に難しい。
・ ロールプレイについても、全員参加型で、複数に分かれてやるのと、一組がやって他の
8
人が見ているものとがある。両方必要なので、適宜組み合わせて実施することが望まし
いと思う。
・ 実際にそこでやってもらっている姿をビデオで撮影して、振り返りをするというのは、
自分自身を見ることができて効果的であるが、参加者数によっては、ちょっと手間がか
かりすぎる場合がある。
○利用上のルール
・ プログラムで作ったものは、広めていくという観点からは、自由に使えるようになって
いる必要がある。
・ 本来、どんどん改善されて新しいものができていくということでいいのではないかと思
う。
・ 継続的に、事例を収集することや、ビデオ、テキストを整備していくことは望ましいと
は思うが、労力との兼ね合いがあり、どこかで集約していく必要がある。
2.人材育成プログラム活動
・ いろいろな相談現場の代表の人が集まって、共通的なものを作っていくことは重要だと
思う。横の連携の価値も重要だと思う。
・ 反面、縦というか、組織ごとの固有の問題、例えば、司法書士さんのクレ・サラ問題は
司法書士さんが代理権を得られるようになったことで相談のあり方が変わってくると
いった面とも関係しており、そうした固有の問題を深めることも一方で必要だろう。つ
まり組織単位の取り組みも合わせて必要だと思う。
・ 司法書士については、組織として、多少動きがあるが、他の組織は、まだそこまでの具
体的な動きになっていないように見える。
・ どういうプログラムを提供するのか。それが現状にあっているのかがポイントである。
実践の場での蓄積というものについて、いままで決め手になるものがなかったように思
える。調停の達人にしかできないものでなく、トレーニング可能で、他の人に使える汎
用的なものが求められている。一言で言えば、こうした相談やメディエーションの実務
基礎教育については、まだどこもやっていないのが現状だ。教育の成果を、実践してい
く場が合わせて必要である。例えば、私自身が、クレ・サラの事件をそれほどやってい
ないから、こうした事例のトレーニングは難しい。一方、相続や離婚なら何度も事件を
やっているので、自分としてもトレーニングできる。現場の中から理論ができてくる流
れが必要だ。
・ 弁護士の多くは、まだ、そもそも、ADR になかなか目を向けてくれない。弁護士会は、
ようやく外国の調停人の方に話を聞く取り組みを始めたところである。日本仲裁人協会
で JAMS の方の講演会があったが、かなりの人が集まった。その後、アメリカの方を
招いた東京弁護士会の調停人プログラムにも 200 名の応募があったが、ビジネスチャン
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スとして参考になると思っている人もいるようだ。外国人や大学の先生がする理論の話
なら聞くが同僚の話は聞けないという感覚がまだあるようだ。弁護士会では人間関係ス
キルとして、別の世界のことだから聞けるという面がある。しかし、本来法律相談に固
有の実務プログラムとして、汎用性のあるものを作っていく必要がある。来談者が最初
に入ってきたときからどうすればいいかという一連の行動理論の構築が求められてい
る。
・ ロースクールの中でということだと、弁護士とか裁判官に限られる。相談業務をやって
いらっしゃる多くの人の実務教育をどのような形で行っていくかが重要な課題だと思
う。
・ ロールプレーも重要だが、実際の事件を扱うのが非常に重要。OJT が不可欠である。
・ 法政大学法科大学院は廣田先生がいるので、ADR の教育やトレーニングをやろうと言
っている。他の法科大学院でも、法律相談に関しては、クリニックやローヤリングを充
実させようとしている。
・ 法科大学院の実務教育の理念をどのように設定するか重要だと思う。従来の弁護士の法
律相談のスタイルで良いとして、それを再生産するというのならあまり意味がない。そ
うではなく、これまでの法律相談スタイルに対する反省を踏まえたものでないと意味が
ない。そのあたりの理論と実践を広げて、これからの相談業務の核にしていくことが必
要である。
・ 従来の、法律学は、訴訟中心でやってきた。しかし、実際の実務は、まずは、相談から
入っていく。理念的なものをどう打ち立てるかということが重要と思っている。しかし、
そこはやはりある程度時間がかかるだろうと思っている。
・ 司法研修所は、最高裁判所が設営していることもあって、訴訟を中心に教育を行ってい
る。弁護士で言えば、訴状をどう書くかを始めに教える。しかし訴状を書く行為は、紛
争のむしろ出口のところで出てくることである。つまり、紛争がどのようにして起こり、
どのように語られるかの部分があまり重視されない結果になりがちである。しかし、実
際には、紛争解決は相談から始まる。これまでは、弁護士になって、先輩のやり方を見
よう見まねでやっていたが、紛争がどういうふうに展開していくか、どういう相談をす
ればいいのか、どのように ADR に繋いでいくかを整理し、トレーニングしていくこと
が大切である。
・ ロースクールでは、司法研修所と異なり、相談や ADR を重視した、しかも実際のケー
スに基づいて教育できる機関ができた。このチャンスを生かしたいと思っている。
3.普及・啓発活動
・ ADR 検討会の議論を見ていると、専門家は本音のところで、ADR を嫌いなのだという
ことが実感する。変なものは作らせないというところに、意識が行ってしまっている。
・ 司法書士や行政書士などの隣接業の方は、業務拡大の期待を持っているようだ。
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・ しかし、私見だが、現段階で、ADR を職業や営業として成り立たせるのは、まだまだ
基本的になかなか困難だと思っている。第二東京弁護士会仲裁センターでは、調停など
の取り組みを15年近くやっても年間 200 件を超えない。その意味で、現在の ADR へ
の注目は、一時の流行かもしれないとおもっている。しかし、だから ADR がダメと思
われるのは残念である。一方、相談がなくなることは、ないと思うので、相談から ADR
に繋げていくところが重要と思っている。相談から変えていくところができれば、成功
であろうと思っている。
・ ADR について醒めた目を持っているということを言ったが、一方で、ADR 基本法が論
議され、ロースクールで実務と理論を連携した研究ができる場ができた、この期を逃す
手はないだろうと思っている。ADR の定着には期待している。
・ 単発的イベントは、一時のもりあがりをもたらすに過ぎない。
・ ロースクールのなかで、訴訟中心の従来型の教育の内容を組み替えるためには、多少月
日がかかるだろうが徐々に成果を上げていければ良いと思う。
・ 同じ ADR でも、どういう ADR を育てようとしていくのかによってアプローチは変わ
るだろう。商業ベースに乗るものか、市民の市民による近隣調停のようなものを重視す
るのかによってかなり異なる。
・ 学校教育などでも、模擬裁判などで法教育を行う動きがあるようだが、むしろ模擬 ADR
の方が身近な解決方法を考えられるという点で向いている。また、法的な考え方を教え
るにも、実際には ADR の方が向いているところがあると思う。スクール・カウンセリ
ングは、問題行動をおこす生徒を管理する手法に使われてしまっている側面がある。法
教育の面で、アクティブ・リスニングなどの技法を積極的に取り入れ、あるいは学校内
での日々の争いや感情のもつれなどの問題に対し、教師や生徒にトレーニングや実践の
機会を作っていくことも意味がある。
以上
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■ヒアリング対象者:
稲村厚様(司法書士・日本メディエーションセンター)
ヒアリング:入江、土屋
メモ作成:土屋
1.プログラムの中身を充実させるために必要な事項
<ADR 人材育成試行プログラムの総括>
○感想
・ 試行プログラムは、司法制度改革の ADR 検討会を受けて始まったと認識している。そ
こで、「調停」がメインに取り上げられたが、日本の「調停」とこれから広がると思わ
れる「メディエーション」を含めた ADR の動きではあまりにもギャップがある。
・ そのようななかで、中村先生がとりあげた「相談」が入ってきたことは非常に大きい意
義があったと考えている。現実との接点という意味で、むしろ「相談」が重要だと気が
付いた。METI としても、ぜひ「相談の面談技法」の問題を検討していただきたいと考
えている。
・ トレーニングそのものは、全体的に、第 1 回にしてはよく出来ていたと思う。
・ 稲葉先生の調停トレーニングはもっと本来時間をかけて行うトレーニングである。今回
は仕方がなかったが、本来は調停だけでも3日くらいかかる。
・ 全体的に参加者の反応は良かったように感じている。ただ、相談について実践を行って
いらっしゃる方が、本当のところでどのように受け取ったのかはよく分らないので聞い
てみたい。
○テキストについて
・ パワーポイントはどうしても情報提供型になってしまう。最新事例のような報告には、
パワーポイントは有効である。ホワイトボードを使って、参加者からの自発的な発言を
くみ上げながら情報提供を行うようなやり方もあり、どちらかといえばこの方が望まし
いと感じている。
・ 南山大学人間関係研究センターでは、社会人向けのオープン講座があり、受講したこと
がある。これも稲葉先生の紹介で受講したが、内容的にも非常に良いものであった。こ
の講座では、いきなり体験型を行い、その後、振り返りを小講義という形で行う。ホワ
イトボードを使ってやる。テキストは読めばよいという位置づけで、講座の中でも一部
しか使わない。同講座で使っているテキストブックは以下のものである:
『人間関係トレーニング』南山短期大学人間関係科監修/津村俊充・山口真人編、ナカ
ニシヤ出版(1992 年 9 月 20 日第 1 刷、2003 年 3 月 20 日第 15 刷)
『ファシリテーター・トレーニング』南山大学人文学部心理人間学科監修、津村俊充・
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石田裕久編、ナカニシヤ出版
○事例・ビデオについて
・ プログラムを作成するにあたって、相談事例を作る際に、事例がもっと欲しいと思った。
・ 後述するが、消費者相談のユーザが持っている不満を調査すべきだと思っている。この
不満を分析して、ビデオなどの教材を作るべきだと考えている。
・ 電話相談ならまだしも短いが、メディエーションは 20 分では終わらないから、ビデオ
ではプロセス全体が見えなくいので見た人の違和感がある。
・ 今回調停で使ったビデオでも、本来は失敗作との対比で見せながら使っていた。今回は
時間の関係上完成品のみを見せたが、失敗例も見せたほうがよい。失敗型を見せて、成
功型を見せるほうが効果的である。その点、失敗作も見せられた相談の方が効果的だっ
た。
○参加型と情報提供型の時間配分
・ 参加型をかなり入れていたと思うが、メディエーションのトレーニングは全体時間を短
くしすぎて消化不良の感がある。
・ 参加型をきっちりやるには時間が非常にかかる。
・ 大切なことは、今回のプログラムですべてを網羅することではなく、何からかの継続的
なものに発展させながら使っていくことである。
・ 例えば、各機関がそれぞれ自分のところに持ち帰ってそれぞれのニーズに合わせてやっ
てもよい。実際の相談などの活動の中で、こうした技法から見てスーパーバイズできる
ひとを置くといったやりかたも考えられる。浅く広くやるよりも、むしろ根本的な部分
は同じなのでいくつかピックアップして深くやる手法をとるべきである。トレーナーそ
れぞれの個性が出るようなトレーニングでよいと思う。
・ 実は、体験型についてはそれぞれの機関で何とかなるという感触を持っている。むしろ、
問題はどういう問題が現にそこにあるかがわかっていないことだ。それがあれば、克服
すべき課題として対処のとり様がでてくる。
○利用上のルール
・ 試行プログラムの資料は何らかの形で冊子になった方がよい。
・ パワーポイントの場合、伝え方によって伝わり方が違う。
・ 試行プログラムの素材はそのまま使えない。
・ 自分で加工して使える人は少ないし、限度がある。
・ ビデオも人によって何を伝えたいかというポイントが違う以上はそのまま使えない。あ
のままビデオをみせても解説しなくてはならない。ビデオに、技法の解説がリアルタイ
ムでテロップ表示されるといった工夫があれば、それなり利用されるようになるだろう。
○その他
・ 元判事という肩書きもある稲葉先生だからこそ出来たという側面はあるだろう。まった
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く同じことを別の人が言っても、聞く側の受け取り方は違うかもしれない。
2.人材育成プログラム活動の体制
○各機関の横の連携
・ JMC 自身では試行プログラムのように広い参加者をつのれない。JMC は ADR に興味
がある人が集まっているが、JMC だけではマニアックな議論になりがちである。今回
の METI-RIETI のお声がけがあったおかげでよい議論ができた。JMC 自身が多様な参
加者を募る面もあるが、JMC は1メンバーとして参加できるような集まりがあったほ
うが望ましい。その意味で、METI-RIETI のプラットフォームでは、いろいろなメンバ
ーが集まり非常に大きな横のつながりが出来た。何らかの形でああいう場がまた結成さ
れて続いていったらよいと思う。
・ ただし、実際には、機関同士の勢力争いの問題もある発生しうる。うまく調整する必要
があるのは確かだ。しかし、情報交換だけでも価値がある。
○実践の場との連携
・ 消費者の苦情処理を行う消費者センター等で、徹底してユーザのセンターに対する不満
をくみ上げてフィードバックする仕組みをつくらないといけない。その不満をどう共有
するか、公開するのは難しいかもしれないがそれがないと発展しない。例えば、弁護士
協会は第三者の学者グループに委託して分析してもらっている。ビデオ撮影まで許可し
ているらしいし、第三者には細かい点で口出しをしない方針で行っている。
・ 今まで消費者センター等苦情処理機関は、自分達の活動の問題を充分に認識していない
ように思える。米国では、ADR でも利用者アンケートを徹底的にやっている。消費者
相談はあるが、「消費者相談の相談」はない。消費者センター等に対する不満をフィー
ドバックする仕組みが、日本ではないところが問題である。もちろん相談を行っている
人たちの中でも心ある人たちは自覚していると思うが、客観的なデータとして「利用者
の不満」という形で見せないと、組織として具体的には動かないと感じている。日本で
も例えば、行政(例:法務局)が行政に対する不満を「目安箱」のような形で集め、フ
ィードバックする仕組みをとるケースが増えてきた。消費者相談の分野でもできないは
ずはない。その際、第三者機関が、不満のデータの収集と分析を行うべきだろう。客観
的なデータとして「利用者の不満」として目の当たりにすると、今回中村先生が行った
ような、「相談の面談技法」に真剣に取り組む必要性が強く自覚されるだろう。民訴法
の改正時に大規模なアンケートを始めて行なったが、利用者の声がきちんと集められて
いない点がそもそもの問題で、司法改革全体もむしろそこからスタートすべきだと考え
ている。
○大学との連携
・ ロースクールが、実務と理論を結ぶ場として発展することが期待している。だが、実際
のところどうなるかはあまりわからない。ロースクールに入学する学生は資格を得る手
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段としてしかロースクールを見ていない可能性がある。
・ 南山大学の人間関係研究センターの講座のように、臨床の場を設けてフィードバックし
て研究の場に活かすことが必要である。どこまでフィードバックできるかにかかってい
る。
・ 大学という場が一番よいが、相談をやっているところを大学にどう組み込んでいくかが
はっきりしない。
・ 隣接機能をロースクールの一部で扱うのがよいと思うが、そこまでの余裕が大学にある
かどうかが問題である。イメージとしては、ロースクールと南山大学人間環境学部の間
に位置するような教育が重要だ。社会的な拡がりをロースクールにもたせるかどうか難
しいところだが、基本的に大学は工夫していかないと生き残れない時代になっている。
・ 地方自治は変わって来ているが、こちらからの見直しがあると面白いかもしれない。
・ (法学部以外の他学部、例えば心理学と連携することはどうかという質問に対して)
社会心理学は分析をする学問だが、メディエーションの学会で横断的なものをつくって、
発展させてやるしかないだろう。現実の大学の心理学科は、それぞれのニッチの中での
議論が多く、臨床(何らかの社会的実践)を持っている例は少ないようだ。実践指向・
臨床指向というより分析指向・理論指向が強いように見える。
・ むしろ、一番近いのは法社会学である。ただ、日本では、これまでのところ法社会学は
法学のなかでは、比較的マイナーな存在であった。心理学や人間関係学と連携できれば
面白い。
・ 司法書士会などがスポンサーになって、新しい学会を作るということが、案外現実的か
もしれない。
・ スクールカウンセリングは管理という立場で問題児に対するカウンセリングを行って
いる側面があり、問題がある。大学教育の中では、新しい臨床の場が必要である。南山
大学の講座の受講生には学校の先生が多かった。その他、民間の会社からの参加もあっ
た。南山大学では法律の分野と連携するまではいってない。講座は毎年あり、今年の講
座については 3 月に発表されるのではないか。
・ 大学が NPO と連携してやる形もあり得る。どこかの大学と JMC が組むのもよいかも
しれない。この分野に限らず、今後 NPO と大学の連携は増えていくだろう。
3.普及・啓発活動として必要な事項
・ 現場の情報交換はよいが、それ自体は普及活動にはならないかもしれない。
・ マスコミによる普及もあるが、果たしてそれでよいのかは疑問である。本当は地道に臨
床の場を実践しつつ ADR をひろげることが理想である。新聞では裁判以外の解決方法
として載ってしまい、裁判所でダメだったものが持ち込まれる場合がある。JMC とし
ては裁判に行く前に来て欲しいのに、裁判が全部終わってから不満とともに持ち込まれ
る場合が出てきてしまい、ちぐはぐなことになりがちだ。
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・ 法律の世界では、メディエーションに対して依然として抵抗が強い。何処の世界でとな
ると医療の場は 1 つのきっかけである。意外なところから拡がるかもしれない。阪大の
シンポジウムでも紹介があったが、医療カウンセリングの場で「あなたのところは何も
やってくれないじゃないか」という不満から始まったとおっしゃっていた。現在 JMC
が受けている批判とも似ていると思い、大変参考になった。
・ 法律家に最初から evaluative なものを示してしまうと自分たちの評価が入るから良い
と思ってしまう。むしろ、facilitative なものを紹介して、その中で自分たちで工夫して
もらわないとメディエーションは残らない。そうでないと仲裁になってしまう。
・ 神奈川県のメディエーション委員会は夫婦間のメディエーションが多いと聞いている。
・ メディエーションが選択肢として拡がるのは難しいのではないかと感じている。むしろ、
相談のほうが入りやすいのではないか。相談は現実の実践がすでにあるからだ。
・ 利用者アンケートもつけて、相談から始めてメディエーションにいったほうがよいかも
しれない。
・ ゴールとして、グループをつくって一定の勢力を持ったということだけでも十分かもし
れない。勢力づくりが普及につながる。
・ ある意味、今回の試行プログラムで一気に拡がったと思う。
・ ただ、消費者生活センターや PL センターでは、後輩が先輩に手法を学ぶという一種の、
先輩後輩の関係がある。新しい手法を後輩が先に勉強したとき、それを持ち帰って実践
することが難しい面があるかもしれない。こうした相談実務のベテランは相談を受ける
のは非常にうまいのも確かである。今回のトレーニングで扱った内容は、ベテランの
方々が知らず知らずに身につけていることを理論的に言っている側面がある。
4.その他
・ 3 月 7 日に岐阜で司法書士の若手の団体がリーガルカウンセリングの集会を行う。菅原
郁夫先生(名古屋大学)が基調講演して下さることになっている。コーディネーターは
稲村先生、パネリストに中村先生と田中さんを招く。
以上
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■ヒアリング対象者:
中西淑美様(九州大学法学府修士二年)
メールインタビュー
ヒアリング:入江
メモ作成:入江
1.全体的な感想
・三日間の日程のうち、二日しか参加できなかったので、「調停」については、コメント
できない。試行プログラムで扱っていた技法のトレーニングは重要だと思っている。
・限られた時間の中で、内容のあるもので、自分自身の能力を高める意味で有意義だった。
・機会があれば、人材育成に関しては、自分自身も育成登録していただきたいので、ぜひ
参加したいと思っている。
2.具体的に改善可能な事項
・参加者の目的に合わせて、参加者の多様な目的に応えようとするなら、参加型のグルー
プトレーニングにはやや時間が足りなかった。
・総論的な内容を扱うにしても、グループトレーニングは、やや準備不足の印象は持った。
・各論に絞ったり、継続的につなげていくのであれば、グループ員をある程度、選別して
いってもいいのではないかと思った。
・重厚な方が多かったせいか、時間的にもと内容的にもやや不足があったように思った。
・特に、相談と調停を分けて扱ったほうがわかりやすいように思える。
・女性受講者にとって、性的な要求と生命を秤に掛けるような事例は、ケースとしては、
やや扱いにくいのではとの感想を持った。
・北米の具体的なところをレクチャーとして、もっと取り入れていただきたいと思った。
3.今後の展開について
・制度的な担保がADR人材養成に対しては必要なので、是非続けて欲しい企画と思っている。
・しかし、どのような位置づけで進めていくかにあたって、具体的イメージ(誰がどうや
ってなんのために)がもうひとつわかりにくい。
・弁護士法 72 条などの厚い壁があるのは承知しているが、実際の紛争事例を通して、紛争
の各分野毎に実践と人材育成が連携していくことが望ましいと思っている。
4.その他
・元助産師。九州大学和田仁孝教授(早稲田大学に移籍予定)の下で医療紛争を研究
・ 九州大学医学部大学院の博士課程進学予定
・ 大阪大学の対話シンポ(2004/1/10)でも医療メディエーションについて報告
以上
17
■ヒアリング対象者:
A氏
電話インタビュー
ヒアリング:入江
メモ作成:入江
1.全体的な印象
・
非常に有意義だと思った。
・
実は、弁護士会でも調停技術に関して、似た講習会が企画されたが、人気があり、す
ぐに定員が埋まったと聞いている。
・ 「聴く」ということに対し、専門的かつ体系的に教育を受ける機会はありそうでない。
・ 基本的、共通的な事項のトレーニングとしては優れている。
・ 弁護士にとって、法廷での活動に直結するものではないが、法律相談や交渉実務に役
に立つと感じた。
・ ロールプレイング的な研修は、司法研修を終了した後には、実は受ける機会があまり
ないので貴重である。
・ 弁護士に限らず、法律関係隣接業種におけるニーズは強いと思える。
2.プログラムの改善事項
・ 自分としては、特に不満は無かった。
・ プログラムは、本来の時間数からすると、かなり圧縮していたようである。しかし、
時間数と考慮すると、充実していたと思う。
・ 消費者相談の現場担当者で、「あんなに物分りのいい人はいない(あんなに簡単に調
停が解決しない)」と言っている人はいたが、時間があり、かつ受け入れ体制が整う
のであれば、ビデオやロールプレイのほかに、現場研修が入れることを検討してはい
かがか。実際の相談現場を見ることで、リアルさが伝わってくる。
3.今後のあり方
・ 裾野を広げる必要があるだろう。
・ 具体的にどのような機関(民間、国その他)で、人材トレーニングを行うかを明確に
する必要があるだろう。
・ ADR 教育プログラムのあり方というよりむしろ、ADR 機関自身をどのようなものに
していくかが問われているように思える。
4.その他
・ 合計3日間の研修プログラムの内2日間に参加。
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・ 特に、ADR に関わる活動をしているわけではない。
以上
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