沙漠を緑に! - NTT労働組合データ本部

目 次
はじめに‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
10年の活動を振り返って‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
参加者一覧‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4
スケジュール‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5
活動場所‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6
活動内容報告‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7
事前学習会
平和学習
緑化活動
活動を振り返って‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8
Aグループ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8
Bグループ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1
6
Cグループ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
4
個人報告‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
1
おわりに‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4
7
NTT労働組合データ本部
はじめに
データ本部は、組合員が直接、参加・参画し、ボランティア
や社会貢献に対する意識の喚起・向上を図ることを目的とした
社会貢献活動、
「沙漠を緑に!」データ隊の派遣に継続して取り
組んでいます。
これは、中国・内モンゴル自治区のホルチン砂漠で、NPO
法人、現地の人とともに植林等の緑化活動を行なう取り組み。
これまでの10年間で、23
5人が参加し、7ヘクタールの砂漠が
「データ本部『であいの森』
」に変わりました。
今回、200
8年4月に「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊として、
新たに23人を派遣(事務局含む)し、次へつなぐための活動を
実施しました。
4
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
1
0年の活動を振り返って
1
組合員が参加・参画する活動
加者は年休を拠出し、一部費用負担)
。
データ本部の取り組み
なお、データ本部がオーナーとなって植林を行な
データ本部は、1
9
9
8年(当時:全電通データ地方
っている区域の名称は、組合員から募集し、
「であい
本部)に、データ組織(発足当時:全電通データ通
の森※」に決定しました。
信特別支部)発足1
0周年を記念し、中国での緑化活
その後、2
0
0
3年にSARS問題で中止したほかは、
動「沙漠を緑に!」を開始しました。
毎年2
0人程度を派遣し、継続実施しています。
緑化活動は、全国の組合員が等しく関心を持ち
合える、自らが汗をかき、体でぶつかれる――も
※「データグループの愛の森」の意味の頭文字をとって「で
あいの森」
。また、この森が発展し、オアシスや町が立ち、
新たな出会いができればという希望が込められています。
他にデータグループの会社を超えた愛の結晶と言う意味
も兼ねています。
のであるため、取り組む価値があると判断しまし
た。参加にあたっては、全組合員から一般公募し、
約2
0人の団をデータ隊として派遣してきました(参
2
緑の点から面をつくる
そこに苗木1,
0
0
0本(1本5
0円程度)を植林。現
緑化の方法
地の植生に適したさまざまな樹種を植えていきま
現在、
「沙漠を緑に!」データ隊は、NPO法人
す。1ユニットは点に過ぎませんが、点がつながり
「緑化ネットワーク」と協力し、緑化活動を進めてい
面となることをめざしています。
ます。データ本部は、毎年1ユニット=1ヘクター
※1ユニットには、井戸・柵・その他施設費・管理費(1
0年
間)が含まれます。
ルを購入し※、活動を行なっています。
3
継続することでつながる点と点
環境活動に対する地元住民の意識改革
「沙漠を緑に!」データ隊 10年間の成果
黄砂の発生抑止とCO2削減
「であいの森」
7ヘクタール
直接現地を見ることにより、環境破壊の実態を
植樹総数 1
4,
4
4
0本
知る
ポプラ・松・アンズ・黄柳
(コウリュウ)
・楡
(ニレ)
・檸
条
(ニンティアオ)
・エンジュなど7種類のトータル
「であいの森」は、データ隊が植樹した以外にも
NPO法人「緑化ネットワーク」で種まき等を行
ない、管理されています。
限られた地球の資源の中で、後世により多くの
緑を残す
データグループ内での会社を超えた仲間づくり
生存本数 1
1,
8
4
0本 平均活着率 8
2.
2%
4
今年もつないだ緑化のリレー
「沙漠を緑に!」第11次データ隊の植樹成果
「であいの森」が9ヘクタールに 植樹数 1,
3
8
5本(ポプラ:8
8
5本、アンズ:5
0
0本)
5
NTT労働組合データ本部
参加者一覧
No.
所属分会
氏名
ニックネーム
1
公共分会
江上 辰弥
タツー
2
公共分会
西郷 優子
ゆうちょりん
3
金融分会
鎌田 博之
リュウ
4
金融分会
中川 卓也
リーダ
5
法人システム分会
生田 誠治
いくちゃん
6
製造・流通分会
飯貝 誠
いいちゃん
7
製造・流通分会
河邊 悠
はるはる
8
郵政システム分会
小西 桃
ももちゃん
日比野佑紀
ゆーき
山中 一尚
やまちゃん
橋本 隼吾
ハッシー
酒井 桂佑
ケイ
小林 宏輝
コヒロ
栂 優紀
とがちゃん
榎本 享芳
オヤジン
9
1
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
BS分会
(ビジネスソリューション分会)
CS分会
システムズ分会
(NTTデータシステムズ分会)
NST分会
(NTTデータシステム技術分会)
NST分会
(NTTデータシステム技術分会)
NST分会
(NTTデータシステム技術分会)
NDFS分会
(NTTデータファイナンスソリューション分会)
備考
1
6
北陸分会
八田 剛
はっちゃん
1
7
中国分会
土居 旭
ドーさん
1
8
関西分会
早野 俊郎
としちゃん
1
9
九州分会
一本麻衣子
マイケル
2
0
九州分会
太田 郷子
ごーちゃん
2
1
本社分会
笠井 俊一
たろお
OB参加
2
2
データ本部
藤野 淳
フーさん
隊長
2
3
データ本部
青木 義治
アオさん
事務局
2
4
NTTトラベル
池崎 貴之
テンさん
添乗員
2
5
緑化ネットワーク
齋藤 晴彦
支援スタッフ
2
6
緑化ネットワーク
北浦 喜夫
支援スタッフ
2
7
緑化ネットワーク
大滝 隆司
支援スタッフ
2
8
緑化ネットワーク
他2名
現地支援スタッフ
6
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
スケジュール
日 付
滞在都市
内 容
2/2
7(金)
∼
東京(晴海)
事前学習会
2/2
8(土)
4/8(水)
東京(成田)
事前学習会
結団式
航空機にて、瀋陽空港へ移動
4/9(木)
瀋陽
全体ミーティング
平和学習
九・一八歴史博物館見学
4/1
0(金)
左翼后旗
4/1
1(土)
左翼后旗
4/1
2(日)
左翼后旗
4/1
3(月)
左翼后旗
ホルチン砂漠左翼后旗へ移動
全体ミーティング
緑化活動(午後)
モンゴル式歓迎会
緑化活動(終日)
瀋陽
全体ミーティング
現地学生との交流会
緑化活動(終日)
全体ミーティング
現地学生と合同作業
現地学生との交流会
緑化活動(午前)
全体ミーティング
ワークショップ(午後)
サヨナラ会
瀋陽空港へ移動
4/1
4(火)
航空機にて、成田空港へ移動
東京(成田)
成田空港到着後、解散
植林およびワークショップは、NPO法人緑化ネットワークの指導の下、実施
7
NTT労働組合データ本部
活動場所
日本からわずか約1,
5
0
0、データ隊が緑化活動するホルチン砂漠は、日本から最も近い砂漠です。
8
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
活動内容
1
事前学習会
事前学習会
事前学習会
【開催日時】
【開催日時】
2
0
0
9年2月2
7日(金)∼2
8日(土)
2
0
0
9年4月8日(水)
【開催場所】
【開催場所】
東京都中央区 晴海グランドホテル
千葉県成田市 成田エクセルホテル東急
【目的】
【目的】
緑化活動の内容および今回の取り組みを説明し、
事前学習会の目的・趣旨を踏まえ、個々が1ヶ
活動の目的・趣旨についての理解を深める。また、
月間事前学習した内容をグループ内で取りまとめ、
「沙漠」
「平和」
「中国」等について課題を決め、グルー
全体で共有する。また、翌日からの現地での活動に
プワークを行なう。出発までの約1ヶ月間、参加者
向け、データ隊として心を同じくし、団結をかため
同士でコミュニケーションを図り、グループとして
る。
の一体感を醸成する。
2
平和学習
【目的】
【内容】
中国側からみた「九一八事変」
(満州事変)以降の
九・十八歴史博物館の見学
「侵略」と「抗日戦争」の歴史を知り、平和につい
て考えるきっかけとする。
3
緑化活動
【目的】
【内容】
緑化活動を実際に体験することで、地球環境問題
ポプラ・アンズの植林/剪定作業/草方格作り/
や砂漠化の進行を身近に考えるきっかけとする。ま
灌水/ワークショップ
た、ワークショップで「今後、個人で・企業でどの
ようにしていけば良いか」
「自分にもできることは何
か」ということをグループで話し合い、今後の実践
に向け意識付ける。
9
NTT労働組合データ本部
活動を振り返って
Aグループ
1
テーマ
沙漠(環境保護)について ∼緑化活動、あると思います!∼
2
はじめに
我々は中国のホルチン沙漠という日本から1
5
0
0
の姿・生態系に戻すこと」
ということです。
我々は、それ
の距離に位置する沙漠(※)に行ってきました。日
ほど壮大な目的を持って参加したわけではありません。
本から最も近い沙漠です。この沙漠にて緑化活動を
しかし、実際に現地に赴き、植樹、剪定、バケツリレー
してきました。植林した苗木の本数は実に1
5
0
0本相
などの作業や熱い議論を行っ
当にも及びました。
ていくうちに、自然と環境に対
NPO緑化ネットワークの北浦さんがおっしゃるには、
する問題意識が高まり、沙漠化
「この緑化活動の目的は内モンゴルの沙漠の拡大を防
の現況や緑化活動の意義を理
ぎ、植生を回復させ、最終的には大草原だった5
0年前
3
解するようになりました。
▲初めて訪れたホルチン沙漠
メンバー紹介
ニックネーム
氏 名
所属分会
ニックネーム
氏 名
所属分会
いいちゃん
飯貝 誠
製造・流通分会
はっちゃん
八田 剛
北陸分会
いくちゃん
生田 誠治
法人システム分会
としちゃん
早野 俊郎
関西分会
ももちゃん
小西 桃
郵政システム分会
ゆーき
日比野佑紀
BS分会
とがちゃん
栂 優紀
NST分会
4
取り組み概要
期 間
概 要
2月2
7日∼2月28日
(事前学習会)
Aグループテーマ:「緑化活動について」に向けて、報告書の方向性、今後の計画、テ
ーマを細分化し作業分担を実施。緑化活動をより多くの人に関心を持ってもらえるよう
「緑化活動、あると思います!」をコンセプトに設定。
3月1日∼4月7日
(出発まで)
役割分担して、沙漠、緑化活動についての基礎知識を調査、共有。
現地での緑化活動意識調査アンケート用紙を作成。
4月8日∼4月14日
(事前学習会および
現地での緑化活動)
アンケート用紙を改善しつつ、現地での緑化活動意識調査を実施。
緑化活動を実際に実施し、日次でメンバー間で振り返りを実施、緑化活動を体験したこ
とで発見したことや感想を共有、また、緑化活動の改善ポイントを検討。 最終日のプレゼンにて、改善提案を実施。
4月1
5日∼5月31日
(帰国後のレポート作成まで)
役割分担を行ない、「緑化活動、あると思います!」を作成。
各自作成したものをマージして、報告書の最終見直し(打ち合わせを1回実施)を実施。
10
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
5
事前調査
(沙漠化とは)
沙漠行きが決定したものの沙漠について何も知識
※「さばく」を漢字にすると「砂漠」と「沙漠」と
のない我々は、知らないこと知りたいことを列挙
に分かれます。
し、それらについて各自で事前調査し、現地に行く
元々は「さばく」でなかった大地が枯れたり、
までにグループ内で情報共有することとしました。
雨が降るような天候だったりして、気候的要因で
できた「さばく」の砂の粒子よりも大きい「さば
く」のことを「沙漠」と表記します。
1.沙漠化ってどんなこと?
●沙漠化ってなに?
●沙漠化ってなんで悪いの?
沙漠とは、雨が降らず降雨量よりも蒸発量が多い
沙漠化は以下の弊害をもたらすため、人間にとっ
土地を指します。その気候から水分も少なく、気温
ても地球にとっても悪いと言われています。
〈表1〉
沙漠化によってもたらされる弊害とその連関
の日較差が激しいため、植物がほとんど生息してい
ません。農業には適さず、人間の居住が難しい地域
です。砂の成分、気候、成り立ちなどで分類されま
2.ホルチン沙漠ってどんなところ?
す。また、沙漠化とは、沙漠ではない土地が、上記
今回緑化活動を行なってきたホルチン沙漠は、砂
の沙漠状態になることを指します。
沙漠です。気候は年間降水量は4
0
0∼5
0
0で四季が
●沙漠化ってどうして起きるの?
はっきりとしており、気候帯としては半乾燥∼半湿
沙漠化は、単純な気候の変化に起因するものと、
潤気候帯に属します。これは、本来沙漠ではない土
人為的要因が重なって起きるものの2パターンがあ
地であることを意味します。この沙漠は、わずか5
0
ります。人為的要因には、過放牧、過牧畜、過伐採
年ほど前までは大草原が広がっていて、きじや狼な
などがあります。そしてその人為的要因の真の原因
どの生物も生息していました。
としては、人口過剰、政治・経済政策の失敗などが
ところが、1
9
5
0年以降、現地農民の過度な放牧や
あげられることがあります。現在、沙漠化は世界各
伐採や開墾、の繰り返しによって沙漠化が進行しま
地で急速に進行し
した。さらに強い偏西風
て お り、年 間 約
に吹かれて毎年数キロず
6
0
0万ヘクタール
つ拡大を進めており、そ
の土地が沙漠化し
の砂は黄砂となって日本
ていると言われて
にもやってきているので
います。
す。
▲放牧されている牛たち
〈表1〉沙漠化によってもたらされる弊害とその連関
11
▲大草原だったころの風景
NTT労働組合データ本部
6
活動報告
我々は、現地に赴く前に、沙漠化及び緑化活動に
2.植えて終わりじゃない!
ついてじっくりと事前調査を行ないました。事前調
査で知りえた情報をベースに、ホルチン沙漠にて緑
【日時】
4月1
1日
化活動、ワークショップを行ないました。
【目的】
木を育てるために
必要な作業を体験する。
【作業内容】
1.沙漠を探索してみよう!
草方格作り
【日時】
4月1
0日 1
4時∼1
5時
藁を1m四方の格子状
【目的】
沙漠を探索することにより、現地の状況を
にスコップで埋め込み、
知る。
低い柵を作ります。藁の
【作業内容】
ホルチン沙漠を1時間ほど探索
柵は砂粒の飛散による地
【感じたこと】
面の移動を防止するとと
沙漠には旧式のトラクターの荷台に乗って赴いた
▲10年後のポプラの木と北浦さん
もに、風で運ばれた植物の種が付着し、裸地が草
が、道路の未整備と、トラクターの振動で、最初は
に覆われ、砂が舞い上がるのを防ぎます。
決して気持ちのよいものではありませんでした。し
剪定作業
かし、トラクターから見える雄大な景観がその嫌悪
成長した木の下から3分の1程度の枝を切り落
感をかき消しました。日本では見られないレンガ造
とし、水分、養分を上部へ伝え、成長を促します。
りの家と、柵の中で飼われている多くの牛や羊、そ
ポプラの木見学
して、どこまでも沙地が広がっていたのです。
植林後1
0年ほど経過した、背丈が1
0m程になる
そして、4
0分ほどトラクターで走ると沙漠に到着
しました。イメージしていた沙漠と違い、草木が部
ポプラの木を見学。
【感じたこと】
草方格作りは作業を行なうにあたっての深い知
る砂地が現れました。人的にできた沙漠とはこうい
識、経験無しに行なえるものであり、かつ効果的で
ったものなのかと実感しました。植林したポプラの
あるというところが植林活動を広げていく上で重要
種が風によって運ばれ、ポプラがところどころに生
であると感じました。
えているところに自然の強さを感じ得ました。
また、スコップやハサミなど安価で容易に手に入
また、植林した場所に柵があったのですが、放牧
れることができ、かつメンテナンスも簡易なものが
の家畜はそれを突破し、草木を食べているという現
使われています。日本製の高価な道具を導入し、作
状を知り、憤りを覚えました。現地農民の意識改革
業効率が上がったとしても、農民だけでは複雑な製
が必要だと強く感じました。
品を直すことは難しく、部品を調達することも出来
▲
分的に生えていましたし、砂を少し掘ると湿ってい
トラクターで沙漠ま
で移動
ません。日本の支援を
必要としない、将来を
見据えた良い取り組み
であると思いました。
1
0年経ったポプラの
木は驚くほど成長して
いて、純粋に嬉しく思
▲草方格づくり:スコップで藁を差し込む
いました。木々の周辺
にはポプラ以外にも
様々な植物が成長し、
動物も暮していて、こ
こが少し前まで沙漠で
▲
あったとはとても思え
沙漠を散歩!放牧禁止
の柵がある
ない程でした。
12
▲不器用なゆーきによる剪定作業
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
3.木を植えるのは楽じゃない!
【日時】
4月1
2日
4.杏50
0本、植えちゃいました!
【日時】
4月1
3日
【目的】
現地農民、大学生と共にポプラの苗木を植
午前
【目的】
杏の木の植樹
える。
【作業内容】
【作業内容】
植樹作業
●杏の植樹
約9
0
0本のポプラの苗木を植えました。具体的
1m間隔で地面を5
0
▲不安定な土壌での杏の植樹作業
には、まず、1m間隔で7
0程度の穴を掘り、苗
程度掘り、杏の苗木を植える。苗木の周りが多少
木を植え、苗木の周りが多少窪む程度まで土を入
窪む程度まで土を入れます。
れます。
その次に、
植えた苗木に沿って、
一列にな
5
0
0本植えました。
り、バケツリレーによる水遣りを行ないました。
【感じたこと】
9次隊の松の木見学
杏の樹はポプラと比べると苗木の背丈は低いが、
昼食休憩の時間に、9次隊が植えた松の木を見
根が長く植えにくかったです。しかし、前日のポプ
に行きました。元気に育っている様子が伺えまし
ラの植樹作業の経験を生かし、スコップを垂直に差
た。
して穴を掘ることで効率的に作業することができま
【感じたこと】
した。植樹作業は特殊な技能などは必要なく、1日
穴を掘って、苗木を植え、水をやるという作業自
作業するだけでコツをつかめるくらい誰にでもでき
体はとても単純なのですが、穴を掘ってもすぐに砂
る作業だと思います。
が落ちてきたり、バケツを渡すたびにびしょ濡れに
植樹作業は、より多くの木を植えることが目的で
なったりと、なかなか大変でした。しかし、現地農
はないのは分かっていますが、何百本植えたという
民や大学生と一緒になって、全員で「ジャーヨー!
数値結果がわかると達成感がありました。現地の方
(がんばれ!)
」の掛け声とともやり遂げた達成感は
と一緒に作業し、現地の方のほうが作業スピード圧
格別のもので、きっと、日本人だけでやったのでは
倒的に早いです。
得られないものだったのではないかと思います。
しかし、効率的に作業を行なうことも重要ですが
現地農民とは言葉は通じないものの、こうした作
楽しく作業することも重要だと感じました。
業や、昼食時の白酒を飲み交わすことを通して、少
しでも交流を深められたことが何よりよかったと思
5.村長に立候補!そして、栂村長の誕生!
います。また、大学生は日本語を学んでいる方々だ
ったので、お互いの文化や緑化活動についても話を
【日時】
4月1
3日 午後
することができ、中国の学生の生の声を聞けたのは
【目的】
現地の立場になって考えることにより、緑
化活動の理解を深める
とても勉強になりました。いろいろな人が関わるこ
とによって、植樹活動がただ植えるだけの活動に留
【作業内容・感じたこと】
緑化活動を終えた後、各グループに別れ、
「この村
▲
まらない実り多き活動になるのだと感じました。
ポプラの木を植え
るための穴堀作
業。人多すぎ? の村長に立候補し、マニフェストを考えよう」とい
うグループワークを2∼3時間行ないました。各グ
ループのマニフェストは以下の通りです。
Aグループ案
緑化活動、観光などで訪れる人(日本人)に物を
売って資金を集め、農業を活性化させよう!
Bグループ案
観光事業(祭りなどイベント)に力を入れ、資金
を集め、どんどん観光事業を活性化させよう!
Cグループ案
▲
大きな町と村との交通網として無料バスを設置
し、買い物や出稼ぎに行くのを簡単にしよう!
バケツリレー。「ジャー
ヨー!」
13
NTT労働組合データ本部
結果は見事Aグループの当選でしたかくし
は素晴らし
て、栂村長が誕生しました
いですね。
職業は何を
しています
か。
」
現地農民 「半農半牧
です。牛や
羊を放牧し
ている。
」
▲Aグループ発表の様子
▲昼休みの宴!現地の人と触れ合う
Aグループ 「半農半牧をやっていて、沙漠化につ
現地農民からは「現地民が苦労しないで実行でき
いてどう思っていますか。
」
現地農民 「非常に深刻な問題だと我々も思って
そう」
「現実味がある」とのお言葉を頂きました。
います。
」
ではそのマニフェストをどうぞご覧ください。
Aグループ 「5
0年前はホルチンも大草原だったと
聞いていますが、沙漠化したことに対
してどのような思いがありますか。
」
現地農民 「もったいないし、本当に悔しい。昔
は杏の木が生い茂っていました。かき
分けないと入れないくらいの草木があ
りました。
」
Aグループ 「そうですか。沙漠化して最も困った
ことは何ですか。
」
地元農民 「畑がなくなり農業ができなくなった
ことです。昔は蕎麦畑もありました。
」
Aグループ 「日本人が中国に来て、緑化活動をし
班員全員の声
て い ま す が、日 本 人 に 対 す る 印 象
「短い時間で案をまとめるのが難しかったけど当
は?」
現地農民 「国にも地元にもよいことをしてもら
選して嬉しいです」
【感じたこと】
っていて、日本人に本当に感謝してい
もっと最新のポンプや車を取り入れるべきだと
る。真っ白なところ、真っ平らなとこ
か、もっと堅牢な柵を取り入れるべきだとか、日本
ろに植林してもらっているのは大変嬉
人は日本人の立場で物を言ってしまいます。現地に
しいです。昔とずいぶん日本人に対す
フィットする方法がキーとなることを強く実感しま
る見方が変わりました。
」
した。
Aグループ 「そうですか。そう言ってもらえると
緑化活動をしてよかったと心底思えま
す。インタビューに答えていただきあ
6.現地の人へのインタビュー
【日時】
4月1
1日∼4月1
3日
りがとうございました。
」
【インタビュー内容の改善】
【目的】
地元の人に日本の緑化活動に対する感想を
現地の農民、学生、町の人たちへのインタビュー
聞く
内容を考えました。取りまとめた結果、聞きたい項
【インタビュー内容】
目が3
0件と多かっ
(昼、一緒に白酒を飲みながら)
たので、グループ
Aグループ 「質問してもよろしいですか。
」
内で検討を重ねて
現地農民 「どうぞ。
」
数件に絞り込みま
Aグループ 「失礼ですが年齢はおいくつですか。
」
した。項目を現地
現地農民 「6
0歳になります。
」
の人に見てもらう
Aグループ 「6
0歳になってもお仕事されていると
ために出来る限り
14
▲インタビュー内容改善に向けての作戦会議
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
の中国語の翻訳をしたが、発音が難しく質問内容が
地農民の意識
うまく伝わりませんでした。そこで、まず自己紹介
改革だけでな
文を用意し、その発音を同行したボランティアの日
く、間接的に
本人に質問内容と合わせて再度中国語に翻訳しても
沙漠を作って
らい、インタビューしました。しかしながら、まだ
いる私たち日
反応が悪かったのでさらに質問内容を絞り込み、ま
本人を含めた
た、紙に中国語を書いて紙芝居のようにして説明す
先進国に住む
ることでようやく円滑にインタビューをすることが
人々の意識を
出来ました。また、日ごろ思っている内容について
変えることも
もアドリブでインタビューし、コミユニケーション
重要だと思
を図りました。次回ボランティアに参加される方々
う。
」
▲僕らが植えた杏の木!早く大
きくなーれ!
は、事前に簡単な挨拶程度の中国語の勉強をしてい
としちゃん 「ももちゃん、珍しく良いこと言うなあ。
」
ったほうがよりよいインタビューができると思いま
いくちゃん 「それと最終日に今後の取り組みにつ
す。インタビュー内容は別紙に記載しております。
いて皆で意見を出し合ったとき、良い
アイディアがたくさん出たよね!」
とがちゃん 「私は職場向けにレポートまとめて部
7.まとめ
会で発表するつもりだよ。
」
日本での事前学習に始まり、現地での緑化活動、
いいちゃん 「とがちゃんは文才あるし、いいレポ
インタビュー、ワークショップ、メンバーでの議論
ート作りそうだよね。
」
を通して、沙漠化の現状、緑化活動について、多く
としちゃん 「うんうん、参加した2
1人皆が同じよ
のことを学ぶ機会となりました。
うに広めていければ十分効果があると
ではA班のメンバーは一体どのようなことを感じ
思うな。
」
いいちゃん 「社内SNSを使って活動を広げるの
取ったのでしょうか。
も有効だと思うよ。一般のSNSも使
ゆーき
「今回の緑化活動に参加する前と後で、
えると思うし。
」
どんなところにギャップを感じた?」
とがちゃん 「皆が何気なく見るところに情報をお
ももちゃん 「現地の農民達が植林活動に積極的だ
くことで少しでも気にとめてくれる人
ゆーき
ったこと!日本の活動に対してもっと
が増えていけばいいね。
」
冷めた目で見てるんじゃないかと思っ
はっちゃん 「うん、その積み重ねが大事だよね。
」
てた。
」
いくちゃん 「なんか皆行く前とは別人みたいに立
「そうだよね。インタビューの中でも
派なこと言うね。笑」
「またこの土地を草原に戻したい」
って
意見が多く聞けたしね。管理もしっか
今回の緑化活動を通して、我々参加者の沙漠化、
りやってくれそうだなって思ったよ。
緑化活動、さらには環境問題に対する意識は確かに
はっちゃんは?」
変わったと実感しており、この意識改革にこそ緑化
はっちゃん 「事前にインターネットで調べたとき
活動の意義がある
は表面的な部分しか分からなかったけ
のではないかと思
ど、実際に現地で体験することでもっ
い ま す。な ぜ な
と本質的な部分が見えた気がする。遠
ら、一人ひとりの
くで起きてることが身近に感じられる
意識改革こそが、
ようになった。
」
次なる一歩につな
ゆーき
「確かに。テレビで見たり、友人から
がり、世界を変え
聞いたりしても他人事にしか思えない
る第一歩に違いな
部分があったけど、実際に現地に行っ
いからです。今、
て緑化活動に対する意識が変わったよ
我々はこの第一歩
ね。
」
を踏み出したばか
ももちゃん 「そうそう。沙漠化を止めるには、現
りなのです!
15
▲緑化活動を終えた、中国の学生(李陽さ
ん)、日本人教師(高橋さん)
とAグループ
NTT労働組合データ本部
【別紙】インタビュー内容
16
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
17
NTT労働組合データ本部
Bグループ
1
テーマ
日中両国の友好に向けて
2
はじめに
緑化活動を通じて現地の人々との交流を深めると
発展へ向けての行動を考える。
ともに、現在の日中関係を探り、
両国のさらなる
3
メンバー紹介
ニックネーム
氏 名
所属分会
マイケル
一本麻衣子
九州分会
文部科学大臣(木の造詣がとても深い)
タツー
江上 辰弥
公共分会
はるはる政策担当秘書(足となって働く)
リュウ
鎌田 博之
金融分会
内閣官房長官(幅広い交友関係を持つ)
はるはる
河邊 悠
製造・流通分会
ケイ
酒井 桂佑
NST分会
ドーさん
土居 旭
中国分会
環境大臣(里山ボランティア経験者&元総理大臣)
やまちゃん
山中 一尚
CS分会
財務大臣兼外務大臣(会計&相撲&クリーン政治)
4
主なポスト
総理大臣(または“リーダー”
)
はるはる公設第一秘書(手となって働く)
取り組み概要
期 間
2月2
7日∼2月2
8日
(事前学習会)
3月1日∼4月7日
(出発まで)
4月8日∼4月1
4日
(事前学習会および
現地での緑化活動)
4月1
5日∼5月3
1日
概 要
事前学習会にて班分けを行ない全体活動のテーマを決定。
報告書の方向性、ならびに今後の活動計画を練る。
日中間の歴史、中国の内情を調査(経済、政治、教育、文化)
。
日中関係を探るためのアンケート用紙作成。
中国にて平和学習、緑化活動などを通じ、現地の人々との交流。
アンケート調査を実施。
アンケート結果をとりまとめ、現在の日中関係を探り、
(帰国後のレポート作成まで) 未来に向けての行動を考える。
18
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
5
活動報告
●九・一八歴史博物館を見
1.事前調査
学して
我々が日本にいて日常耳にする日中関係のニュー
満州事変の発端となった
スでは、歴史教科書問題、首相靖国参拝問題、領土
柳条湖事件の現場のすぐ横
問題など、良くないニュースを耳にする機会が多い
に、カレンダーを形どった
ように感じる。しかしながら、日中関係悪化の発端
旧館と、暗雲の彫刻がたな
となった事象について詳しく知る人は少ないのでは
びく新館の9.
1
8歴史博物館
なかろうか。
があった。
一方、中国でも共産党によるマスメディアへの情
暗雲がたなびき、雷鳴の
報統制や反日教育により、日本が良いイメージで伝
轟きそうな、この巨大なコ
えられていない印象が強いが、実際はどうなのだろ
ンクリートの新館に入ったとき、異様に暗く、寒く、
う。
息苦しい気分になった。
事前調査を行うにあたり、
「日中間に起こった史
そして、時折向けられる中国人の射るような視線
実の確認」ならびに「現在の中国からみた日本の存
がなぜか気になった。
在」について確認する必要があると考えた。そこで
衝撃の展示が続く中で、毒ガスや激寒の地での人
我々は、日中の歴史・経済・政治・教育・文化の各
体実験は、戦争を超えた狂気であった。
方面から調査を行なうとともに、中国の方々が日本
日本軍人に拷問された中国人兵士は、
「内戦で勝
に対して抱いている想いを直接確認するために、ア
利したとき、私は拷問する側の兵士だった。今、逆
ンケートを作成することとした。
の立場になったとき、初めて戦争の非人道性に気が
▲旧館
▲新館
付きました。
」と語ったそうだ。
その拷問の姿がリアルに再現されており、
見る
2.平和学習
(日中間に起こった史実について)
のがつらい場面が続いた。
中国を訪れた我々は、瀋陽の街で九・一八歴史博
1
9
4
5年のポツダム宣言受諾後、中国大陸の日本軍
物館を見学する機会を得た。この博物館では、日中
は全面降伏し、これをもって長きにわたった1
5年戦
両国の間で起こった戦争の歴史について、写真や模
争は終結した。
型などを使い、見学者に対し視覚的に訴えかけるも
この戦争で日本側は、軍人、民間人あわせて3
0
0万
のが数多く展示されていた。
人の犠牲者を出し、そして、中国側では、1
0
0
0万人
以上の犠牲者が出たそうだ。これだけ多くの犠牲者
が出たにもかかわらず、
「罪を憎んで、人を憎まず」
∼九・一八とは∼
という中国の寛大な裁きにより、多くの日本軍人は
1
9
3
1年(昭和6年)9月1
8日、奉天(現、瀋
無罪となり、このとき、釈放された人々は、この寛
陽)郊外の柳条湖で、関東軍(大日本帝国陸軍)
大な処置に号泣したといわれる。
が南満州鉄道の線路を爆破した事件
(満州事変)
この博物館は、戦争の悲惨さや非人道性を目でみ
に端を発し、関東軍はわずか5ヶ月の間に満州
ることができ、戦争を知らない我々世代にとって、
全土を占領した。
かけがえのない貴重な体験となった。
また、中国側が抱いている我々日本人に対する
しかし、現地の抗日運動との衝突が激化し、
1
9
3
3年(昭和8年)5月3
1日の停戦協定を経た
『想い』というものを知ることができたと思う。
後も、武力紛争は続いた。そして、1
9
3
7年の盧
見学を終え、ほっと一息ついてまわりを見渡した
溝橋事件を発端とする日中全面戦争へと発展し
とき、博物館のそばに、中国人民によって倒された
ていく。
炸弾碑と、旧満州国時代に建てられた日本忠烈祀碑
いわゆる1
5年戦争は、この9.
1
8の満州事変を
が、歴 史 の 生 き 証 人 と し
基点とした、日本軍部と中国人民の長い戦いの
て、静かに、そして、ひっ
歴史である。
そりと佇んでいたのが心に
残った。
19
NTT労働組合データ本部
ト用紙を介して、多くの方と心の交流を持てたこと
3.アンケート作成・実施 (現在の中国からみた日本の存在について)
は我々にとって非常に有意義な時間であった。
日本に対する忌憚のない意見を聞き出すために、
4.ア ン ケ ー ト 結 果 (現在の中国からみた日本の存在について)
アンケート用紙を用意した。内容は全て中国語に翻
訳し、中国の方々が答えやすいように配慮した。
アンケートの内容としては、
「日本へ親しみを感じ
現地にてアンケート調査を実施した結果、様々な
る か?」
「日 本 に 関 心 が あ る か?関 心 が あ る 分 野
、
方から考えを聞くことができた。
は?」
「日中関係は良好だと思うか?今後良好にし
、
・飛行機の客室乗務員
たいか?」
など、
両国の関係を探るものに加えて、
「歴
・ホテルの従業員(瀋陽・通遼)
史教科書問題」
「首相靖国参拝問題」
、
など、
歴史認識
・街の人々
(九・一八歴史博物館、瀋陽の住民)
に係る内容の質問も存在し、
全部で2
6問となった。
・レストランの従業員(瀋陽)
実施場所については、
『できるだけ多く』
『場所な
・緑化活動で交流した女子学生
ど限定しない』という方針のもと、アンケートがで
他、合計3
7人
きそうなタイミングを計って、メンバー個々が直接
頂いた回答の中から、特に興味深かった6つの設
対面で行なうものとした。
問についての感想を以下にまとめた。
アンケート調査は、往路の飛行機内から開始し
設問1
4.現在の両国の関係を良好だと思いますか?
た。言葉の壁は大きかったが、指差し会話帳でやり
とりするなど、工夫しながら調査を進めていった。
アンケート調査を実施する過程において、
「何に
「どちらとも言えない」
「あまり良好でない」
が多い
使うんだ?」ということを執拗に聞かれたこともあ
と思っていたため、
「良好」関連が6
1%
(1
5%+4
6%)
った。こういった深い会話になると、中国語を話せ
を占めた事は素直に“良かった!”と思う。
ない我々では思うように伝えられずにもどかしい思
しかしながら内訳としては「すこし良好」が半数
いをした。
を占めており、
“歴史教科書問題”
“首相の靖国参拝
しかし、当初の想像以上に回答してくれる人が多
問題”
“領土問題”の影響は否めないと考える。
く、我々のカタコトの中国語に皆が耳を傾けてくれ
よって、これらの問題を解決することは、日中関
て、非常に友好的な感じを受けた。
係の確実な前進に繋がるのではないか。
出発前の予想に反して、アンケート調査は順調に
いずれにせよ、現在の日中関係は「すこし良好」
進んだが、思わぬところから自粛要請があがった。
程度であり、ちょっとしたことで悪化してしまう、
今回、緑化活動をご指導頂いた緑化ネットワークか
まだまだ微妙なところなのかもしれない。
らだった。歴史教科書問題、首相靖国参拝問題な
ど、デリケートな内容の質問が入ってることによ
り、中国国内での緑化活動に支障をきたす恐れがあ
るためであった。
中国での緑化活動は、中国で自由に活動できるわ
けではない。
政府組織の許可が必要であり、今まで良
好な関係を築いてきたからこそ続いているのである。
我々は、自分達の目的達成(日中関係を探ること)
に気持ちがいってしまい、相手の立場やアンケート
活動による周囲への影響、そして、中国国内で実施
するという部分で配慮が足りていなかった。日本で
の常識が中国では通用しないことを実感した。
自粛要請もあり、半ば
設問1
5.両国の関係が『あまり良好ではない』
『まっ
途中でアンケートの実施
たく良好ではない』と考える場合、その理由
を取りやめたが、3
7名と
は両国のどちらに責任があると思いますか?
いう予想以上の成果を得
ることができ、アンケー
「大半が日本」の回答が多いが、これは中国のマス
▲アンケート調査の様子
20
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
コミや教育、及び宣伝による効果だと推察する。主
う物理的に揺るがない環境下では、中国側からのア
観的意見だが、こうも言われ放題では今後の日中関
プローチも必要不可欠だと考える。
係進展に不安を覚えてしまう。
しかし、
「日本と中国の半々」への回答も少なくな
いことから、客観的に日中関係を捉えている人々の
存在が、今後の関係改善に必ず繋がるのではとも思
う。
一方、近年の日本では責任の所在以前に関係悪化
起因となっている事柄自体をあまり知らない人々が
増えている。
これらのことから今後の改善点となる両国共通の
キーワードは“教育”であり、日本側は近代史の教
育強化を、中国側は客観性のある正しい教育が重要
であると考える。
設問2
2.中国との関係以外で日本の良いところ/悪
いところがあればお聞かせ下さい。
●回答の一部
良…勤勉、教育水準の高さ、経済力、漫画 等
悪…自分の気持ちを表に出さない、靖国参拝、歴史
認識 等
主に民度や文化レベルの高さが良いところとして
挙がっており、予想に近い結果となった。このこと
から中国人も日本人の特徴をよく掴んでいるのかな
と思う。
悪いところの回答率が1
6%と低いながら、日本人
設問1
8.日本と良好な関係を築きたいと思います
の本音と建前を挙げており、この点は諸外国の人々
か?
と接する時には注意する点であることを再認識し
た。
後ろ向きな関係構築を望む意見はゼロでかつ「非
しかしながら、
“中国との関係以外で”という設問
常にそう思う」が圧倒的だったことは、親密な友好
にも関わらず、
「靖国参拝」
「歴史認識」を挙げる背景
関係を期待していることに他ならない。
には、これらの問題が根深いと感じざるを得ない。
“良好な関係とは何か、どうしていけば良いか”を
なお、
良いところの回答率も4
6%であったことか
具体的に示すことは難しいが、例えば中国人が魅力
ら、
日本人を詳細には知らないのではないかと考え
に思っている日本の製品や文化風土を今以上に我々
る。
かく言う日本人も中国人のことをそう多くは知
が発信することは、とても有用な手段であると考え
らず、
戦後から今まで影響を受けているアメリカの
る。そしてこれが「どちらとも言えない」という、
ことにしても、
どれだけ詳細に答えられるだろうか。
いわば反日感情の表れともとれる回答を選択した
近年盛んになったオフショア開発や諸外国人との
人々を変えられるのではないかとも思う。
仕事の機会に、我々も“他者を知る”ということを
今回の活動で中国人と接し、彼らは日本人のもつ
心がけるべきだと感じた。
長短所を感じ取れる身近
な存在なのではないかと
設問2
4.私たちの中国での植林緑化活動について感
思えた。親密さを向上さ
想があればお聞かせ下さい。
せ、足かせとなっている
戦時下のイメージを払拭
●回答の一部
したい。
もちろん、
“隣国”とい
とても有意義な旅であり素晴らしいこと、
今後も
▲アンケート調査の様子
21
NTT労働組合データ本部
積極的に来て欲しい、
中国人の危機
もまだデリケートな問題であり、アンケート調査を
意識をもつきっかけとなっており非
途中で断念する結果となってしまった。
常に感謝している 等
アンケートの実施と挫折により、我々は現時点で
率直に評価し、歓迎、感謝されて
の日中関係がまだまだ微妙な位置にいることを肌で
いることは、我々
「沙漠を緑に!1
1
次隊」
にとってうれしい結果である。
しかし、自分たちの国で外国人が緑
感じることができた。
▲第9次データ隊
(0
7年)植林の今
※農民の方々が継
続管理してい
る。
そう遠くない将来、
「沙漠を緑に!」の参加者と現
地の方々が、誰の目も気にせずに本音で話し合える
化していることに対し、もう少し彼
日がくることを切に願うばかりである。そのために
ら自身が主体的に現状を鑑みても良
も、
「沙漠を緑に!」の本当に地道な活動の蓄積が、
いのではないか。
日中両国の関係改善に繋がることを期待したい。改
アンケートの聞き方にもうひと工
夫があれば良かったのかもしれない
が、いずれにせよこの活動は、環境
善の効果がたとえ微力だとしても、途中で放棄する
▲上の写真の拡大
(植 林 後 2 年 の
松)
ことなく、積み重ねることに意味があることを我々
は緑化活動を通して学ぶことができたのだから。
改善への実効性と共に、微力ながら両国の関係改善
へと繋がっていくことは間違いないと考える。
6.さいごに(おまけ)
『好』
(ニイハオ)
設問2
6.あなたが思う平和と
「こんにちは」という意味の中国の言葉である。
はどういうものですか?
中国での挨拶は、朝も昼も夜も、この「好」を交
わすのが一般的と聞く。
●回答の一部
戦争が無いこと・内政干渉
が無いこと、安定した生活が
「好」の個々の漢字の意味を調べてみると、
▲協力して植えたポプラの
苗木(B班+中国の学生)
“”は、日本では使われない漢字であるが「あなた」
という意味になる。
できて毎日笑顔が見られるこ
“好”は、中国では「良い」という意味になるが、
と、友好的な発展をしていく
日本では、
「好意」とか「好感」とか、もっと親近
こと 等
感が湧くような意味合いで捉えることができる。
平和の設問からこれほど多
くの「戦争が無い∼」という
そこで、
「好」を意訳してみると「あなたに好意
▲緑化活動振り返りでの検
討結果
をもっている」
「あなたが好きです」とも取れる。こ
回答が寄せられるとは思わなかった。中国では“戦
う考えると素敵な言葉だと思う。
争”が日本より近い存在なのか、はたまた意識が高
2
0
0
9年現在、中国は日本の最大貿易国となり、日
いだけなのか不明だが、少なくとも“無くしたい”
中両国は密接な関係を着実に築きつつある。我々の
という思いは一つであると考える。
生活の中でも『made i
n ch
i
na』を当たり前のよう
また、回答の中にいくつかあった「内政干渉が無
に目にすることができ、既に切っても切れない関係
い∼」という点も、戦争の引き金になる要素として
といえる。
潜在的に意識している点ではなかろうか。
今後、両国が更なる友好を築き上げ、共に発展し、
他者との平和を築くには“まず知ること”が大切
心から「好」と言葉を交わせる関係になれれば良
であり、そこから協力や助け合いを経て一体感を持
いと思う。
ち、
“戦争”という言葉を気にしない世界を紡ぎ出し
さいごになるが、全体活動を通じて、我々は、本
たい。
当に多くの人々と交流を持つことができた。また、
自分達で調べ、実際に目で見て、耳で聞いて、口で
会話し、肌で感じることができ、少しは中国という
5.未来に向けて(まとめ) 国を知ることができたと思う。
事前調査や九・一八歴史博物館にて日中関係の過
どれもがすばらしい貴重な体験であり、今回の活
去を学び、実際に現代の中国人が日本に対して抱い
動でご協力頂いた全ての方々に感謝するとともに、
ている想いを知るために、敢えて歴史認識に関する
学んだことを今後の糧にしていきたい。
項目を含めたアンケート調査を現地にて実施した。
しかしながら、日本と中国の過去は、現在に至って
22
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
【別紙】
アンケート結果
23
NTT労働組合データ本部
24
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
25
NTT労働組合データ本部
Cグループ
1
テーマ
中国の生活(人・暮らし)について
2
はじめに
私たちCグループは、
「中国の生活(人・暮らし)に
とを日々ランキングし、その結果をもとに最終的な
ついて」というテーマで報告書を作成することにな
ランク付けをおこないました。
りました。
きっと「へぇ∼」と思っていただけることばかり
楽しく読んでいただきたいという想いから、私たちは
だと思います。これさえ知っていれば、初めて中国
『
「へぇ∼」ランキング』をつけることにしました。
に行ってもたいていのことは大丈夫…、間違いあり
中国滞在中に「へぇ∼」と思ったこと、感じたこ
3
ません。
メンバー紹介
ニックネーム
氏 名
所属分会
ニックネーム
氏 名
所属分会
オヤジン
榎本 享芳
NDFS分会
ゆうちょりん
西郷 優子
公共分会
ごーちゃん
太田 郷子
九州分会
リーダ
中川 卓也
金融分会
たろお
笠井 俊一
本社分会
ハッシー
橋本 隼吾
システムズ分会
コヒロ
小林 宏輝
NST分会
Spec
i
a
l Thanks:王さん、大滝さん、北浦さん、高橋先生、現地の学生たち
4
日程・取組概要
期 間
概 要
2月2
7日∼2月2
8日
(事前学習会)
Cグループテーマ:
「中国の生活(人・暮らし)について」に向けて、報告書の方向
性、今後の計画、テーマを細分化し作業分担を実施する。中国と日本の違いや共通
点を楽しく学ぶため「へぇ!ランキング」を作成することとする。
3月1日∼4月7日
(出発まで)
事前学習会2までの詳細スケジュールの作成。スケジュールに応じて各自のテーマ
についてWEBや資料などにより調査。各自、日本の田舎と都会、中国の田舎と都
会について調査し事前に学習する。事務局に「中間報告」を提出する。また現地で
の歓迎会での催し物に向けても企画を実施。
4月8日∼4月1
4日 各自調査した内容で知識共有を図る。
(事前学習会および 現地にて、調査したことの真偽の体験、その他数々の発見。
現地での緑化活動) グループ内にて、日々のへぇ!体験を共有・考察。
4月1
5日∼5月3
1日 現地での体験を振り返り、テーマを分担して「へぇ!BEST5」を作成。
(帰国後のレポート
各自作成したものをマージして、報告書の最終見直し(打ち合わせを2回実施)
。
作成まで) 中国と日本の違いや共通点を見直し、今後の日中友好進展にむけて考える。
26
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
●「へぇ∼」
ランキング ベスト5
1位
¥1
0
0=1
0
0元(中国元は¥で表記する)
2位
昼下がりの新郎新婦
3位
トビネズミをいただきマウス♪
4位
縄と絡む夜…
5位
友情のニイハオトイレ
5位
壮絶Tra
f
f
i
c War ∼無視される標識たち∼
5
活動報告
1.¥1
00=10
0元(中国元は¥で表記する)
世界各国の通貨を表す通貨記号。私たち日本人は
ます。相手を知るということは、自分を知るという
こと。まずは自分の身近な部分から、自分自身のル
ーツをより知ってみませんか?
“¥”を「えんまーく」と発音するし、当然日本円
ちなみになぜ円がenではなくyenなのか。そ
を表すための記号として使用しています。
れはまた別の機会に!
…しかし、私たちが「えんまーく」と呼ぶこの記
号は、日本円を表すと同時に、中国元もまた表すの
2.昼下がりの新郎新婦
です。
日本円はローマ字でyenと表記しますが、それ
中国の結婚式は、大砲のようなもので爆竹をバン
と同様に中国元はピンイン(日本語で言うローマ字
バン鳴らしたりと、なんとも激しい?ようですが、
表記のようなもの)でyuanと表記します。これ
何と朝の6時や7時からといったように、朝から始
ら“y”を通貨記号化したものが“¥”なのです。
まる事が多いらしいです。そして、結婚式を行なう
日本に住み続け日本円を使って暮らしていると意
時間で、ある事が判るのです。
外に感じるこの事象ですが、実は通貨記号の重複は
それは…。午前中に式を行なうカップルは初婚。
¥以外にも多く見られることなのです。
午後から始まる式は、なんとバツイチの人なのだ
ドルマーク$も、US以外にもオーストラリアや
とか。日本では、バツイチなど今や普通にごろご
香港でも使われています。言われてみれば納得です
ろ。別に隠す事でもないことですが、だからといっ
よね。通貨記号が国を跨いで各国通貨の記号として
てわざわざ知らない人にそこまでオープンにしなく
用いられるということは、逆に稀なことなのです。
ても。さてはて、3度目はどうなる
しかしそうなると当然、国際為替市場でこの記号
ほか、中国独自の婚礼習慣は都市部では既に無く
を用いるとなると混乱を招く要因となります。そこ
なっていますが、農村部ではプロポーズしてから結
で使用されるのがJPYやUSDといった三桁の記
婚話を進めるのではなく、恋
号。海外旅行の際に目にかけたことはありません
人同士は1、2年間交際すれ
か?これはISO4
2
1
7として定められた国際標準で、
ば結婚するという暗黙の了解
街角の銀行や両替サービスを行っているお店では主
があるのだとか。また、既に
にこれを用いてレートを張り出しています。
結納を済ませているカップル
¥が繋ぐ中国と日本の関係。実は元を辿れば
「円」
の場合は、衣装に赤を取り入
席者も日本のようにドレスア
になります。また韓国・朝
であり、我々が東アジア人
として深い部分でつながっ
ている事を想起させてくれ
ップしている人はほとんどお
▲
鮮読みをすれば「ウォン」
▲祝砲だけど、ちょっと怖い
れる(何故???)とか、出
「元」それぞれの根源は「圓」というひとつの文字
フライドチキ
ンが9円お
もむろに10円
玉を取り出す
C班メンバ
ー!…あれ?
らず、みなラフな格好で出席
するのだとか。
また、農村部におけるプロ
27
▲お祝いのケーキも中国フ
レーバー
NTT労働組合データ本部
ポーズの言葉は『我愛(私はあなたを愛していま
4.縄と絡む夜…
す)
』
という一言だけだという話も聞きました。その
ほか、左手小指にリングをするのは結婚しない意思
ここは瀋陽。中国東北部に位置する遼寧省の都市
表示をしているそうです。
(なお、人差し指は恋人
です。中心街である人民広場周辺では、夜になれば
募集中)
さながら東京の銀座の様な美しいネオン街が一望で
文化が違うといろいろありますね。ちなみに、通
きます。そう、ここは中国でも屈指の大都市です。
訳の方は左手小指にリングをしてました。が∼!
この瀋陽の夜を熱く彩る光景…それはネオンだけ
ではありません。人々を虜にし、熱中させているス
ポーツがあります。
3.トビネズミをいただきマウス♪
それは…
「なわとび」!!!!
中国人は実にさまざまなものを食べます。
「四本
夜の広場で、何百人もの人々が縄跳びに興じてい
足で食べないのは机と椅子。飛ぶもので食べないの
るのです。その姿は圧巻の一言。
は飛行機だけ」という、中国人の悪食?ぶりを評す
子供から若い女性、おじいちゃんおばあちゃんま
るジョークまであるほどです。
で、ありとあらゆる世代の人々が自分のスタイルで
今回、我々も中国に行き、さまざまなものを食す
ピョンピョンピョンピョン。
る機会がありました。
広場の中央に置かれたスピーカーからは大音量の
なかでも印象的だったのは、屋台でのハト、蚕
(か
ハウスが流れ、それを取り囲むようにピョンピョン
いこ)の串焼きでしょうか。ハトについては、生き
ピョンピョン。
ている鳩が檻に入れられており、それを捕まえてそ
面白いのが、中国雑技団の様なアクロバット技を
の場で絞め、お湯に浸して羽根をもぎ…という文字
決めている人は誰もおらず、普通の一重飛びです。
にすると耐えられないような調理プロセスを辿りま
音楽に合わせて飛びまくる!※表情はいたって真面
す。蚕もまたあのなんとも言えぬ食感と口解けの悪
目です。
さといったら、もう。
実際に広場のおばちゃんに「どうして縄跳びをし
それはさておき、沙漠で植林作業の休憩中、現地
ているの?」と聞いてみると、
「健身」とのこと。中
のおじさんが、可愛らしい動物を我々に見せてくれ
国では肥満対策に縄跳びが奨励されたことがあり、
ました。沙漠に生息する「とびねずみ」というねず
日常のフィットネスのために縄跳びを行なっている
みの一種。砂漠などの乾燥地帯に生息し、後ろ足が
のですね。またダイエットのためにも毎日通う人も
長くカンガルーのように跳躍して移動します。なん
いるそうです。おばちゃんは「スリムになりたい。
」
と一跳びで3m程度跳躍でき、逃げ足の速い臆病な
と一生懸命ボディランゲージで伝えてくれました。
生き物だとか。日本ではペットとして可愛がられて
どこの国でも女性は乙女心を持ってますね。
いる動物だそうです。
(1匹2
0,
0
0
0円前後)
中国の健康法といえばどうしても朝の太極拳とい
現地でも当然子供には大人気!沙漠の巣を探し当て
うイメージが強いですが、今の中国の若者は朝早く
る遊びや、追いかけっこなど楽しい遊び相手となり
の太極拳にあまり熱心ではないそうです。
「太極拳
ます。
しないの?」とこちらもボディランゲージで聞いて
ただし、実にショッキングなことに、子供に捕ら
みると、
「古代」と紙に書い
えられたら最後、夜にはお父さんのお酒のつまみに
て く れ ま し た。ナ ウ く な
なってしまうという悲しい運命のねずみなのです。
い。そ う い う こ と で し ょ
われわれ日本人には味など想像だにできないですね
う。代わりに、夜は若い世
…。おそるべし中国の食文化といったところでしょ
代を中心に縄跳びがブーム
うか。
になっているようですね。
▲ネオンをバックに…跳ぶおっ
ちゃん
▲ダイエットのため、真顔で跳
ぶおばちゃん
▲こんなにかわいいのに…
(泣
28
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
に入ります。皆入口向きにしゃがむのは、その方が
5.友情のニイハオトイレ
無防備でなく、友達とも話がしやすいからと思われ
噂の中国トイレに入りました。事前情報では、ド
ます。田舎の夜は懐中電灯を持って用を足しにい
アがないとか、トイレットペーパー持参だとか、実
き、他の人が出入りした場合は、その人のために懐
際はどんなトイレか好奇心いっぱいでした。
中電灯で道を照らしてあげたりするそうです。なん
そして、今回田舎の公衆トイレに行ってきまし
てマナーが良いのでしょう日本のように個室にな
た。もちろん男性用と女性用に分かれています。入
っている社会に比べると、日本の田舎のような?情
って見ると…なんと!そこには3つの四角い穴が…
の厚さを感じました。ニイハオトイレといわれる由
そしてこの臭い…!噂どおり、個室にもなってい
縁ですね。一緒に並んで、ニイハオって。
なくドアや仕切りがありませんでした。流す水もな
しかし、最近では海外観光客をターゲットに、無
く、トイレットペーパーは当然持参しておかなくて
防備にトイレに座っていると、脅して財布を盗ると
はいけません。穴には***の山が…
いう手口があります。中国のトイレを経験すると、
田舎ではよくあるトイレです。大学や、他の公衆
その仲間に入ったような、ひとつの体験をクリアし
トイレもドアがないことは多いそうです。そして用
たようなそんな気分を味わえますが、犯罪には十分
を足している最中に前を人が通り過ぎて見ていきま
注意しましょう。驚きばかりの中国トイレでした。
す。ここで不思議に思ったのは、皆どちらを向いて
しゃがむのでしょう?中国の人や長く滞在している
補足…サバクにはトイレがありません。そのため砂
人に聞くところによると、皆入口(本来ドアがある
丘の陰になったところにいきます。さばくで、
方)に向かってしゃがむそうです。入口にお尻を向
友人と話をしながら用を足すのは大変開放感が
けている人はいません。トイレ自体がだいたいドア
あります。ぜひ試してみてください。でも風向
の方を向くように作られているようですが、つくり
きにはご注意ください。
がどうであれ、皆ドアの方を向いてしゃがむそうで
す。もし、壁の方に向いて座っていたりしたら、入
6.壮絶!!Traff
ic War ∼無視される標識たち∼
ってきた中国の人はびっくりです。
そして、トイレ横にはごみ箱があり、使用したト
イレットペーパーは流さずに、そのゴミ箱へ捨てま
先の上海モーターショーでは各国のエコカーの展
す。トイレットペーパーが日本のように水に溶ける
示が目立ちました。中国の自動車メーカーも電気自
ものではないため、詰まってしまうからです。当
動車やハイブリッドカーの開発に力を入れており、
然、田舎の公衆トイレにはそのごみ箱すらありませ
都市部の人々も環境への関心が高まっているようで
んでした。
す。既に中国の都市部ではガソリンバイクの通行が
私達が宿泊したホテルは、洋式トイレは個室にな
規制されており、代わって電動スクーターが大人気
っていなくドアもありませんでしたが、和式トイレ
です。
は個室になっており、まあまあキレイな水洗トイレ
しかし、そんな中国の交通事情はというと…
でした。ちょっと安心。ですが、トイレットペーパ
ーホルダーはあるのにトイレットペーパーはありま
●完全車優先社会
せんでした。ホテルなのに…
車やバイクは人を避けて
日本とは異なる中国のトイ
はくれません。人は車やバ
レ、都市部は順次ドア付きに
イクを必死に避けながら横
なっているようなので、ドア
断しなければなりません。
がないのは昔からのつくりの
車は歩道も走ってくるし、
名残のようです。経済的でも
都市・瀋陽の一方通行道路
あり、簡易につくれるという
は観光バスなら逆走レーン
点では良いですが、衛生面で
さえあります。右側通行の
は良いとは言えません。初め
中国では赤信号でも右折は
してくるので、横断歩道で
て経験する日本人は誰もが驚
くことでしょう。また、中国
では友達と話しながらトイレ
▲道路一つ渡るのも命懸け。己
の身を守れるのは己のみ…。
さえ一瞬たりとも油断でき
▲男子トイレも女子トイレ
も形状がまったく同じな
ので注意が必要です…
ません。車は大きいほど勝
29
▲中国のバスは大半がウサ耳。
そ
の萌え∼なルックスに似つかな
い強引な追い越しに恐怖。
NTT労働組合データ本部
者となり、バスやトラックが片側2車線道路を全て
7.まとめ
塞いでUターンしてきます。歩行者はただの障害物
ランキング結果から、衣食住すべてにおいて日本
に過ぎません。
と中国ではかなりの違いがあるということが読み取
れるでしょう。
耳をすませば、聞こえてきます。発進、追い越し、
もちろん違いがあって当然ですが、同じアジアの
すれ違い、左折、歩行者の傍を通過…全ての動作に
住民として、これらの文化、思想の違いを知るとい
もれなくクラクションが付いてきます。オレが通る
うことはきわめて重要なことだと思います。
ぞ!というアピールなのしょうが、お互い一歩も譲
反対に、通貨表記において「¥マーク」を利用す
らないので鳴り止むことがありません。騒音対策と
るなど、共通する部分もあることも注目すべき点だ
▲
●クラクション・オーケストラ
道路でラッ
パ吹いちゃ
ダメ…?
いやいや、
これはクラ
クション禁
止の標識!
して、上海などの都市部で
はクラクション⇒罰金(約
3,
0
0
0円)
となっているよう
です。
と思います。日本人と中国人が相互に理解しあい、
日中友好を進展させていくうえで、これらはひとつ
のきっかけとなるのではないでしょうか。ここから
硬直した日中関係のアイスブレイクを期待せずには
いられません。
●歩行者の逆襲
最後にお伝えしたいことは、
「へぇ∼」はこれだけ
片側3車線道路を器用に
ではないということです。きっと違った「へぇ∼」
横断していきます。横断歩
を見つけられることでしょう。
道かどうか、信号が青かど
来年度以降、中国で緑化活動を行なうデータ隊に
いようです。郊外では信号
は、それらを探していただきたいと思います。そし
▲ちょっと!赤信号ですよ!!
クラクションもなんのその。
てこのような形でみなさんと共有してもらえれば、
▲
うかはあまり意識していな
自体がまだまだ整備されて
私たちCグループにとってこれほど嬉しいことはあ
青信号の中
の人も走っ
てます。
こいつ…動
くぞ!
いない、という事情もあり
ますが。
りません。
8.∼番外編∼
●スピード狂対策
都市・瀋陽から高速道路
惜しくもランク外となった「へぇ∼」をまとめま
でほどよく離れた内モンゴ
した。
ル自治区境に、鉄道が走っ
●びっくり&ありえない
ています。この踏切の前後
約2
0
0m間は、舗装道路が
全く整備されていません。
・沙漠を1
0掘ると水が出る。
(湿っている)
▲内モンゴルの車窓から。線路
は美しいが踏切はデコボコ。
・砂が舞い上がり塵肺が心配。空が茶色い、月が
霞んでいる。
中国では一般道であろうと高速走行が基本なので、
・モンゴル式歓迎会は、危ない。強いお酒で一気
そのまま踏切に突っ込んでしまうととても危険で
飲み、断れない。
す。つまり、舗装されていないデコボコ道路では、
・オムツを使わない、尻割れパンツ使用。
(詳細
否応なしに減速せざるを得なくなります。これは中
版へ)
国政府の温かい配慮なのですね。道路と鉄道では管
・吉野家に寿司がある、人気1はカレーライ
理局が異なっており、道路の整備責任をお互い押し
ス。
(詳細版へ)
付けあって未だ整備されていないだけ、という説も
・鳥が少ないのは食べてしまうからか?
ありますが。
日本の鳩はすぐに捕まる。
(日本では食費に困
らない)
日本の交通常識がことごとく通じません。クラク
・ホテルで出された会議室の水がお湯。
(詳細版
ションの多さは特に気になります。交通量の多い道
へ)
路では鳴っていない瞬間を探す方が難しいほどで
・モンゴル族の7
0%は「包(パオ)さん」
、名字
す。中国では電気アシスト自転車など意外にもエコ
が同じ。
が進んでいるのですが、エコカーより先に交通マナ
ーへの意識改革が必要かもしれません。
30
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
●知らなかった
てしまいます。バスの中でこの場面に遭遇すると
・円卓は日本から逆輸入、目黒雅叙園が発祥。
床板の上を流れる液体が靴を濡らす事と成りま
(詳細版へ)
す。
・乾杯はグラス底でターンテーブルを
「かんかん」
と叩く。手が届かないので。
紙オムツの価格が高い国々では主役です。現地
の方の話では、やはり便利だと言います。オムツ
・疲弊した大地で「とうもろこし」を作り、
(日
かぶれも無く。出かける時のみオムツを使用して
本の家畜飼料となり、
)
水不足で砂漠が拡大。い
いるとの事。子供もオムツを嫌がると思われま
わば「とうもろこしが、とろとろもろこし‥」
す。
(中国および近隣諸国∼北アフリカ諸国など
状態。
でも活躍)あなたは、どちらがいいですか。
・民族自治区において、民族間の争いはないが一
吉野家で寿司
揆はある模様。
・日本のアニメ・ドラマを見ると日本語がしゃべ
吉野屋=牛丼。これが、私たちの常識。だけれ
れるようになる。
(アニメは「犬夜叉」
、
「テニス
どそれを覆す話を聞きました。
の王子様」が有名、ドラマは「ごくせん」が人
「お寿司は食べたことあります。吉野家で。
」…
気)
えっ?吉野家で寿司耳を疑い、聞き返すと、
「は
・国民的娯楽はテレビ観賞。TV好き。
い。瀋陽の吉野家で食べました。
」
日本語を流暢に
話す現地の学生は当たり前のように話していたの
●習慣が違う
です。
・昼休みが長い、2時間。
(詳細版へ)
確かな情報は得られていないが、瀋陽で見た吉
・テーブルクロス1日単位で使い捨て。
(詳細版
野家のメニューには鯖の定食らしきものがあった
へ)
し、一部の中国人から吉野家には寿司があるとい
・通学時間駅に学生がいない、全寮制のため週末
う話も聞けました。
(知らない人の方が多かった
のみ帰宅。
のですが)
・大学生の遊びは公園でのおしゃべり、散歩。
また、中国で人気が高い熊本のラーメンチェー
・携帯を使っている人がいない。
(日本と比べて
ン店「味千ラーメン」があるが、そこにも寿司が
少ない)
あるという。日本食ファーストフード店には、メ
・屋外で卓球をすることが多い。
イン料理関係なく、寿司を置いてみたりするので
・畑の真ん中にぽつんとお墓がある。
しょうか。
・駅の売店にはなぜか無料電話。
ちなみに、現地ガイドさんの話によると一番人
・中国の子供電車賃は年齢でなく身長で決まる。
気メニューは「カレーライス」だそう。
(1
5
0センチ以上は大人料金)
中国に行って日本食が恋しくなれば、吉野家で
お寿司はいかがですか??
※お寿司があるという保障は出来ません。
9.∼番外編∼ 詳細版
尻割れパンツ
中国ではお冷ではなく、お白湯が出てくる
オムツを使いません。中国独特の幼児パンツが
中華料理を食べに行くと、日本でもお冷ではな
有るからです。一見ごく普通のパンツなのです
く食事と一緒にお茶が出てくることがよくありま
が、股の部分だけ縫っていない。このパンツだ
す。ジャスミンティが主流で脂っこい中華料理に
と、親の手を煩わすことなく排泄が可能。このパ
はよく合います。
ンツが普及している地域の家の床は、簡単に掃除
しかし、今回の旅ではじめに宿泊したホテルで
が出来る構造にしています。
まず驚かされたのが、
『白湯』です。
しかし、
中国に入り1泊目のホテルで、全体ミーティン
背負う事
グを行なった時のこと。会議室として使った宴会
はしませ
場らしき部屋でウエイターが入れてくれたのは、
ん。待っ
ティーポットから注がれる
「熱いお湯」
でした。グ
た無しで
放尿され
ラスに注がれる透明の液体=冷たい水という感覚
しかない日本人にとっては珍しく、お湯だという
▲…どちらも、かなりインパクトありますね
31
NTT労働組合データ本部
ことに気付かずにグラスを持って初めて気づくメ
某中国の大学では1
1時半から昼休みとなってお
ンバーもいました。
り、学生は食堂でランチをした後、各自寮に戻り
中国では冷たい水を飲む習慣がありません。最
ます。そして昼寝を1時間程度したあと、
1
4時
(サ
近では冷やして出す店も出てきているようです
マータイムになったら1
4
:
3
0)
から開始される午後
が、ビールも常温のまま飲むことが多いのです。
の授業に向かいます。田舎に行けばいくほど昼寝
白湯が出された理由は、中国で冷たいものは胃
の習慣はあり、昼食後、ほとんどの学生は昼寝を
に悪いと考えられているというのと、中国は硬水
するそうです。他の人も家が近い人は家に帰って
であり、水道水をそのまま飲めばお腹を壊してし
休みます。
まうためだそう。
私達のいた通遼は大きくない街なので、昼寝の
上海などの中国の大都市では水道水を沸騰させ
習慣はある方だそうです。学校の先生に限って言
るのではなく、飲料水を購入するケースが多いそ
えば、みな家に帰って休みます。家に帰らなくて
うです。
も、職場でうだうだ休むとか、どこかで酒を飲む
など、したいようにしている感じに見受けられる
中華料理店の回転テーブルは日本発祥!
そうです。
その発祥の店とは、目黒に店を構える雅叙園
初めて聞いたときは、時間を持て余すのではと
HPにも「目黒雅叙園が発祥の地である回転テー
思いましたが、食後に眠くなるのは、食事により
ブルが備えられた」と記載されています。
消化器全般の活動が活発になって、脳に送られる
もともと、中国の大衆的な食堂では、お互いの
血液の量が減るからであり、通常の生理現象で
皿の料理をシェアして食べる文化があったようで
す。それに応じた時間の使い方をする中国は、仕
す。それに加えて、一人分ずつ料理をいちいち配
事をするにしても日本よりも効果的なのではと思
るよりも、大皿で人数分を運んでいく方が、人手
いました。食後の会議など睡魔が襲うのはよくあ
がかからなくてよいということで一気に普及した
ること、
1
0分でも休みをとると集中力が高まるの
との事。
だから、日本も見習ってもよい習慣なのではない
あまりにも溶け込みすぎていて、まさか!とい
でしょうか
う感じですが、他にもこういったものが無いか、
探してみるのもまた楽しい旅になるかもしれませ
使い捨てテーブルクロス∼!
んね。
テーブルクロスが非常に薄くつくられていま
す。ところどころに穴も開いており、微風で浮い
中国は昼休みが長く、お昼寝タイムがある!
てくるのです(笑)
今回緑化活動を現地の人と実施しました。ラン
食事が終わったらくるんでゴミ箱へポイと便利
チタイムには、現地の人とお酒を飲み交わしたり
なもの。
しましたが、食事後もなかなか午後の活動が始ま
中国では、食べかすを
りません。と、そこで耳にしたのが、中国は昼休
テーブルの上や、テーブ
みタイムが長い!とのこと。なんだか羨ましい!
ルの下に捨てる習慣もあ
結局日本人の私たちにとっては時間もあり、皆で
ることから利用されてい
縄跳びなどをしていました。現地の人は、のんび
るものと推察されます。
り過ごされていました。昼休みタイムが長いって
ちなみに値段は1
0枚4
どういうことなのでしょう。気になって、現地に
元(約6
0円)と格安?
ついて聞いていました。
32
▲うっすら白い部分、わかりま
すでしょうか?
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
個人報告
Aグループ
す。是非公開された際は、皆さんのその目でどのよ
Group A
うな出来になっているか確認いただければと思いま
日々真剣に向き合い
信頼できる仲間に
す。
●緑化活動を通じて得た実感
チーム活動にて事前にホルチン砂漠のできた原因
を調査していた私は、中国に赴く前の段階では、私
製造・流通分会
一人が木を植えようが砂漠化の原因となっている現
飯貝 誠
地民のライフスタイルが変わらないことにはなんの
今回第1
1次沙漠緑化隊に参加し、私は、数えきれ
意味もないのではとの思いを抱いていました。です
ないほどすばらしい経験を得ることがでました。す
が、実際に現地に赴き、木を植え、水を撒き、現地
べて書きだすときりがないのですが、それらの経験
農民と一緒に飯を食い、酒を飲み、話をし、過去に
の中から特に印象深かった事項について、記載させ
植林された木が管理され立派に育っていることを確
ていただきます。
認し、といった活動を行なっているうちに、自分の
●チームの団結
行なった作業がたとえ沙漠全体に対してほんのちっ
Aチームのメンバーとは、事前研修に始まり、事
ぽけな範囲であろうと、確実に影響を与えることが
前準備、現地での活動、及び毎日の振り返りミーテ
できるとの実感を持つことができました。また、自
ィングと、本当に多くの、そして濃厚な時間を共に
分の行動が現地民のライフスタイル変革の第一歩に
しました。地域、会社、職種、年齢(2
0代前半∼5
0
繋がるとも実感することができました。これらの実
代後半)も様々で個性にあふれており、活動内容に
感は、私の価値観を大きく変えたと言えます。
「一
ついて議論するたび、想像を超える意見が飛び交
人一人の行動が地球を守る」という環境活動のスン
い、こんな見方もあるのかと、毎日刺激を受けるこ
タスンスにいまいち共感できない方には、是非体験
とだらけでした。忌憚なき意見をぶつけ合い(時に
することをお勧めしたいです。
は家畜の糞をぶつけ合い)
、真剣に向き合う日々を
●最後に
通して、本当に信頼のできる仲間になれたと思いま
今回の活動を通して多くの人々と出会いました。
す。
現地の農民の方々、中国の大学生、NPOの方々、
特に、
「現地での緑化活動に対する意識調査」にお
そして緑化隊メンバー、共通して言えることは、自
いて準備していったアンケート用紙では全然アンケ
分のやりたいことをやっている人特有の生き生きと
ートが取れないという事態に際した時は、なにがう
した魅力を備えていたことです。
まくいかない原因なのか、どうやればアンケートが
私も、自分がなにをやりたいのかを目の前の仕事
うまくいくか、また今あるものでどうやったら対応
に忙殺され見失わないよう意識し、また今回の経験
できるかについて、じっくりメンバーで話し合いま
から得た実感を大切に活かして、今後の生き方に磨
した。結果、話し掛け方がわからないこと、アンケ
きをかけていきたいと思います。
ート項目が多く内容も分かりにくいことが原因とわ
かり、その対応として、TV番組にあるような街頭
Group A
インタビューボードの中国語版を即席で作成するこ
とで、アンケートを実施することに成功したのでし
た。原因分析、対応策案出し、翻訳、声調付け、ボ
ード作成など、みんなで一致団結して協力し合って
沙漠化の阻止へ
意識改革が重要
行なったからこそ得られた結果だと思います。
法人システム分会
Aチームの行動テーマは、
「いかに多くの人に緑
生田 誠治
化活動を伝えるか」です。今もチーム報告を取りま
とめている最中ですが、ありきたりな報告書にはし
私が訪れた中国のホルチン沙漠は、日本から1
5
0
0
たくないとの思いで、みんなで推敲を重ねていま
ほどのところに位置し、日本から最も近い沙漠で
33
NTT労働組合データ本部
す。総面積は4
2,
3
0
0平方キロメートルで、スイスや
思っております。
オランダとほぼ同じ面積です。この沙漠は、わずか
そして、この活動を継続していくこと、自分の意
5
0年ほど前までは、緑豊かな大草原が広がっており
識の変革こそが、世界を変える第一歩となるのだと
ました。しかし、
1
9
5
0年以降、現地農民による過放
強く感じました。一人一人ができること。それはと
牧の繰り返しにより沙漠化が進行しました。まさに
ても小さなことかもしれません。しかし、エコバッ
人間の手よって沙漠化されたわけです。
クやマイ箸を持つ、ゴミの分別を適切に行なう、昼
沙漠化は、ただ植林をするだけでは、防ぐことは
食時に電気を極力消灯する、日本国内の緑化活動に
できません。現地農民に放牧することをやめさせた
参加する、など、身近なことで出来ることは我々の
り、高付加価値の作物・商品を作らせたり、他の職
身の周りでも沢山あります。
業につかせる等の手があるかもしれませんが、これ
我々の地球を守るために。
らには多額の投資と教育が必要となります。現地農
民1人あたりの所得は2万円から3万円くらいと言
Group A
われており、これらの投資を捻出することは非常に
難しいのが現状です。さらに、現地農民の意識を変
えることは容易ではないでしょう。現地農民に緑化
の意義、価値を伝え、実際に緑化活動を継続的に、
沙漠化の現状を知り
日本へ持ち帰る
かつ、主体的に取り組んでもらうことが、沙漠化を
郵政システム分会
阻止する最も近道なのです。
小西 桃
また、沙漠化を阻止する為には、現地農民の緑化
への意識改革が最も重要ですが、我々日本人を含め
私たちが今回行ったホルチン沙漠での緑化活動に
た先進国に住む人々の意識が変わることも重要だと
ついて、実際の現地での活動だけを振り返ると、た
思います。先ほど、沙漠化の要因は、過放牧と申し
かだか2、3日の緑化活動で沙漠に緑を取り戻せる
ましたが、その放牧を促しているのはカシミアを愛
わけもないですし、すぐに結果の出る活動ではない
する先進国に住む我々かもしれないのです。人間の
ので、一言でよい活動だったとは言えません。た
無尽蔵の欲望が限りある自然を破壊しているので
だ、私たち自身の変化や築いた関係に着目すると、
す。言い換えれば、沙漠化を促している張本人は
今回の緑化活動はとても意義のあるものだったと思
我々である、と言っても過言ではないかもしれませ
います。
ん。そういった事実を我々もきちんと把握、理解
今回の活動は、出発約1ヶ月に行われた事前学習
し、意識を変革していくことも重要だと感じまし
会から始まりました。その後、事前調査、各班での
た。
打ち合わせを経て、現地入りとなりました。現地で
今回、ホルチン沙漠にて緑化活動を体験してきま
は植林や剪定といった緑化活動を行なうのはもちろ
した。それは世界規模から見たら小さな活動だった
んですが、一緒に活動した現地の農民の方や女子大
かもしれません。しかしながら、この貴重な体験を
生にインタビューをしたり、WSをしたり、随時気
通して、まずは自分から、身近な人、ゆくゆくは世
づいたことを話し合ったりと、様々な経験をメンバ
界中の人々に緑化活動の大切さを伝えていきたいと
ーと共有することができました。今振り返ると、こ
うした経験の共有が、実は今回の活動の中で一番意
義のあることだったのではないかと思います。
もちろん、
「沙漠化した土地に緑を取り戻すこと」
が緑化活動の第一の目的です。しかし、緑化活動に
日本人が参加することの意義は、この第一目的以上
に
「沙漠化した現状を見ること、知ること」
、そして、
「現地で見たもの、感じたものを日本に持ち帰るこ
と」なんだろうと思います。つまり、今回の活動は、
参加した私たち自身の「気づき」のための活動であ
り、
「きっかけ」にすぎません。
今、日本での日常生活を送る中で、常に「環境の
ために」
「地球のために」と考えて行動できているわ
34
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
けでは決してありません。しかし、ホルチン沙漠に
ていましたから、日本をこのままにして何処へ行こ
行く前と行った後では、
「沙漠化」や「緑化活動」と
うとしているのだろうか、と想ってしまうのです。
の心的距離が明らかに異なります。そして、芽生え
田舎では農民は農業を辞め、サラリーマンとして
た問題意識について、共に語ったり、考えたりでき
働きます。子ども達はその姿を見て勉学に励み、結
る仲間を得たことは、私にとって大きな財産です。
果、故郷を捨てて都会で働きます。人は減り、農業
何かに問題意識を持ったとき、一人で行動を起こ
は廃れていきます。反面、田舎では自然を守ろうと
すことはなかなか勇気のいるものです。しかし、ホ
いった取り組みが行なわれますが、少ない人口で、
ルチン沙漠で得たかけがえのない仲間と一緒なら
小さな共同体で行なわれる取り組みには限界があり
ば、次への一歩を踏み出せると感じています。そし
ます。
「都会の人たちが変わらなければ意味がない
て、必ず1
2次隊に襷(たすき)をつなぎ、この活動
のだ」という言葉にはとても重くて深い心があるの
を絶やさないことが、私たちにできることだと思い
です。
ます。
そんな想いの中で中国の沙漠へ向かった私が、こ
今回の緑化活動をサポートしてくださったNPO
の目で枯れた大地を見て感じたことは美しさでし
緑化ネットワークの北浦氏が、最後に「不満足で帰
た。沙漠はとても美しく、広大で、私に衝撃を与え
ることが大事だ」とおっしゃったことがとても心に
ました。未知なる物は人に感動を与えるのでしょ
残っています。確かに、現地での活動を終えてみ
う。心が動きました。溜息には大地をこのようにし
て、
「もっとああすればよかった」と思う点はいくつ
てしまった人間への悲しさと広がる大地の美しさへ
もありました。しかし、
「不満足な部分があるから
の喜びが入り混じり、私は何とも言えない表情をし
こそ、次に繋げることができる。
」そう考えると、ま
てしまいました。涙が出そうなんだけれど、何故か
だまだ始まったばかりの私にとっての緑化活動が、
と聞かれると言葉に出来ないような。
仲間と共に今後どう拡がっていくか無限の可能性に
沙漠も自然の一つなんだと私は想いました。早
期待が膨らんでいます。
朝、昼間、夕方、夜。1日だけで沙漠は太陽の光と
風、温度に空気の色、めまぐるしく変化し、様々な
顔を見せてくれます。地球は凄いなぁ、と想いまし
Group A
た。
沙漠も自然のひとつと
受け入れる
触ってみると砂は砂浜のような感触でした。カイ
ロの沙漠と随分違う。私はそう想って現地スタッフ
の人に訪ねると、
「気候もエジプトの方が乾燥して
いるし、沙漠である年数が違いすぎるよ」と言われ
NST分会
ました。
栂 優紀
まだ、ここは救える。まだ、できることがあるん
父が県庁の環境課で仕事をするようになってから
だ。私はそう想いました。この大地はまだ、生きて
自然と環境問題に興味が沸き、機会があれば何かし
いる。だから美しく見えたのでしょう。空気が、自
てみたいと、ずっと想っていました。身近な事から
然がまだ失われていないから、何かを感じるのでし
とエコバックやマイ箸、水筒、お弁当を持ち歩いた
ょう。
り、過剰包装を断わったり、節電、節水、ゴミの分
現地の勉強会やスタッフの人の話から沙漠化を進
別、リサイクル…等々、自分に出来る限りのことは
める一番の原因は世界経済の仕組みにある、と私は
やっていましたが、それはあまりにも小さくて目に
感じました。先進国は富と欲望を満たす為に、地球
見えないもので、焦燥感が生まれてしまうのも事実
に与える損害から目を背けていると想います。
でした。父はよく言います。
「都会の人たちが変わ
沙漠に木を植えたり、水をやったり、実際に体験
ってくれなければ意味がないのだ」と。
すると今まで聞いていたことや考えていた事が鮮明
この緑化活動に参加する時、葛藤がありました。
になって、逆に何も考えられなくなります。ただた
私は海外に行き、何をしようとしているのだろう、
だ感動して身体に入り込んでいくような感じです。
と。もっと身近な国内のことすら目を伏せて、背け
「中国で何か出来た」という達成感は、
「日本でも
たままで何をしようと言うのだろう、と。私は過疎
何か出来るかもしれない」とか「日本だけでなく世
が最も進んでいるといわれる県の出身で、実家や近
界全体で考えていくべきことなんだ」というような
所の人たちが農業を辞めていくのを目の当たりにし
発想を生み出しました。私は、中国には日本のよう
35
NTT労働組合データ本部
に近代化によって農業を縮小していくような流れに
変わらない」と考え、砂漠化や地球温暖化を止める
ならず、維持していけるような環境になれば、と想
ためのエコ活動なども意識して行なっていませんで
います。それは国の対策として考えることでもあり
した。しかし今回の活動の中で、過去の隊により砂
ますし、故郷を捨てて旅立つ者の寂しさでもあるの
漠だった場所が緑化されているのを自分の目で見
かもしれません。自然を身近に感じ、家族を身近に
て、
「どんな小さなことでも行なうこと、継続するこ
感じ、もっと近代化のものと自然が融合できたのな
とに意味がある」と変わりました。
ら、日本とは違う新しい何かが生まれて、それはモ
私が作業した場所も、面積では砂漠のほんのわず
デルになるかもしれません。
かな部分ですが、過去の隊により緑化された場所と
この先どうなるのかわかりませんし、色々考えた
同様に、少しでも砂漠化を小さくできることに意味
けれど意味があることかどうかの判断がすぐにはつ
があると思います。
きませんが、海外へ出てより一層日本に目が向き、
当初は明確な目標もなく参加した緑化活動でした
視野も広がり、結果としてはとても良い体験をさせ
が、第1
1次隊として活動し、今は参加できて本当に
ていただけたと想いました。ありがとうございまし
よかったです。
た。
今後は、私が1
1次隊で感じたこと周りに伝えてい
きたいです。また、自分が植林した場所が緑になっ
ている姿を見るため、砂漠化を少しでも食い止める
Group A
ためにもう一度緑化活動に参加したいと考えていま
緑化活動は
継続に意義がある
す。
今回は1
1次隊に参加させていただき、本当にあり
がとうございます。
北陸分会
Group A
八田 剛
私が第1
1次データ隊に応募した理由は、明確なも
のでなく「砂漠がどんなものか見たい、感じたい」
程度のものでした。
若い仲間と
充実した時間を過ごす
しかし、実際に緑化活動に参加して、自分のイメ
関西分会
ージしていたものとはかなり異なって、現地では毎
早野 俊郎
日が刺激の連続でした。まず、温度差が非常に激し
いことに驚きました。雨が降った日は手がかじかむ
今回の「沙漠を緑に!」に応募した動機は組合か
ほど寒く、晴れた日は半袖でも非常に暑く同じ場所
らのメールを受けたことです。
で作業しているとは思えませんでした。
今までのボランティア活動では、福井県の大雨災
そのような環境の中で作業して、まず感じたのは
害後の山間部の家の納屋に積もった土砂をスコップ
「緑化」
の意味の違いでした。私はこれまで緑化活動
で掘りバケツに入れ外に出す作業と、新潟県の大地
=植林活動と思っていました。しかし実際に作業し
震後の仮設住宅での家具の運搬及び仮設住宅の近辺
てみて植林活動も重要ですが、植林できるような環
での旗を持っての交通整理等したが、今回は今まで
境にする作業や、植林した後に維持管理する作業が
とは全く違った研修でした。
非常に重要であることを感じました。
2月2
7日、2
8日の事前研修ではNPO緑化ネット
私は、これまでボランティアと言っても学校から
ワークの北浦さん等から「なぜ砂漠になるの」
「砂漠
の強制でしか参加したことがなく「ボランティアは
のどこが悪いの」
「砂漠のちがい」
「緑化活動の意義」
面倒」と思っていました。しかし作業中は地元の方
等の説明を受け、それらを大変興味深く感じまし
と交流をしたり、同じ1
1次隊のメンバーと協力して
た。
取り組めていたので、
「ボランティアで地元の方に
興味深く聞いたその後、グループ分けでAグルー
貢献している」という意識はなく、自分が楽しんで
プとなり「沙漠(環境保護)について」グループ内
作業していました。
で話し合いをし、課題に対しての目的や目標を話し
私は今回の活動を通して、自分の考えが変わりま
合いました。
した。私はこれまで、
「自分一人で何かしても何も
グループメンバーは3
0代が一人、2
0代が4人、5
7
36
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
才の私です。
4月9日成田空港から瀋陽空港行き、瀋陽市内で
9.
1
8事変博物館の見学です。
残酷な行為の写真等があり、日本のテレビで見た
とおりの内容です。
中国には、何カ所も同様の博物館があり、博物館
を訪れた中国人を事実ではありますが、悪いイメー
ジを植えつけてしまい、日中関係がなかなか円満に
いくことは難しいと感じました。
さて、瀋陽市内ですが、バス、普通車、タクシー
が何車線もある道路を我が道のように走っていま
す。
道路も殆ど信号が無く、人々は何車線もある道路を
北浦さんから「あなたが村長に立候補するとした
平気で横断しています。
ら」
「どうしたら農村がよくなるか」等の課題を与え
タクシーは普通車で市内であればどこまで行って
られ、グループで討論しました。
も3元だそうです。
(一元が1
5円です)
感想ですが、中国の都会と農村の住居等で貧富の
市役所広場では、音楽を流し縄跳びをしているも
差、交通事情についても審陽市のタクシは普通車だ
のすごい多数の若者たちを見て、何とも言えず感動
が、左翼后旗では見たこともない軽自動車の三輪
し、ものすごい中国のパワーみたいなものを感じま
で、農村には馬が見える程度です。
した。
宿泊したホテルの従業員、日本語を専攻している
4月1
0日瀋陽から左翼后旗にバスで約4時間3
0分
学生、農村の現地住民の顔の表情は、きびしい顔の
かけての移動です。
人はいましたが、難しい表情の人は見あたりません
午後はホルチン砂漠に行き現状視察です。
でした。
夕食はモンゴル式歓迎会で馬頭琴演奏、モンゴル
農村の人たちは粗末な服です。
歌手による歓迎会です。
また、住居についても町は、ビルと古い住居が混
4月1
1日は本格的な砂漠での作業です。
在しています。
午前は草方格、午後はポプラの木の剪定です。
農村は粗末な小さな赤い煉瓦作りで、家の前には
草方格とは砂漠にわらを碁盤状に引き、スコップ
馬が2、3頭繋がれていて、にわとりが5、6羽と
でわらを砂漠に差し込み風により砂が飛ぶのを防ぐ
アヒルがいる程度です。
作業です。
中国のほんの一部しか見ていませんが、まだまだ
3つのグループ単位でわらをほぐす、わらを運び
住居等いろいろ未開発のためまだまだ開発の余地が
砂の上に置く、スコップでわらを砂の上に埋め込む
いっぱい有り、これから発展すると思います。
作業を分担してたくさんの草方格を作ることが出来
ホテルから砂漠に行く場までの交通手段はバスで
ました。
4
0分、そこからトラクターの後ろの荷台に4
0分ぐら
ポプラの木の剪定とは、ポプラの木の下の無駄な
い乗り、そこから徒歩で4
5分ほど歩きました。
枝をハサミ、ノコギリで落とし養分が上部に上がる
砂漠は思っていたような白い砂ばかりではなく
ように1本の株を大きく育てるための作業です。
所々に雑草等が生えていました。
4月1
2日はポプラの植林作業を一日中行ないまし
普段、職場では同じお客様、職場の同僚というコ
た。
ミニケーションも、今回の研修では若者たちと職場
植林作業とは、グループ単位に砂地にスコップで
の話、何気ない会話がすごく新鮮で3
5年ほど前の、
深さ5
0∼7
0の穴を掘り1本ずつポプラの苗を植え
電電公社時代の中央学園での研修を思い出しまし
る作業です。
た。
苗を植えると全員でバケツリレーで水を苗に入れ
仕事に追われ、あっという間に3
0代、4
0代になっ
る作業を行ないました。
てしまった人たちに、緑化活動等何でもいいから普
4月1
3日は午前中のみの作業で、アンズの苗の植
段とは違う人たちとコミニケーションをとることを
林を前日と同様の要領で行ないました。
望みます。
午後はワークショップです。
研修は時間に追われ、精神的にも肉体的にも楽で
37
NTT労働組合データ本部
はありませんが、今回のメンバーと出会えたことは
の一つや二つ考え付くはずだと思ってしまいがちな
私の人生において非常に有意義であり、非常に楽し
のだが、これまで代々何百年も行なってきた、環境、
い充実した期間でした。
職業を変える発想をする方が理解しがたいことなの
今後の活動として、職場に戻り緑化活動の意義楽
かもしれない。
しさを話し、話を聞いた人々が緑化活動に参加した
また、この緑化活動がただの自己満足的な活動で
いと思えるようにしたいです。
はなく、先を見据えた活動であることを理解するこ
自分の今後ですが、今のところ「これ」というの
とができた。
は見えてませんが、新鮮な気持ちで職場に戻り、残
現地に苗木を1
0
0
0本植えると聞いたとき、広大な
り少ないデータ社員としての仕事を精一杯がんばり
面積である沙漠に対し、僅か1
0
0
0本ではさほど効果
ます。
のないことであるように思えたし、植えた苗木がそ
の後すぐに枯れてしまうのではないかと思ってい
た。
Group A
しかし、実際に植えてから1
0年程経った木々を見
偏っていた見方
緑化活動で変わる
学し、その成長の様を見て驚いた。
1
0m程に成長し
た木々があり、さらにその周りには他の様々な植物
が育ち、動物も暮らしている。良い波及効果が起き
ていた。
BS分会
また、植えた木々を現地の農民の方たちが管理す
日比野 佑紀
る仕組みも作られている。水やりや剪定作業、そし
今回の緑化活動を通じて得ることが出来た一番の
て牛や馬から木々を守る柵作りや苗木を風から守る
収穫は、日本人としての偏った見方を変えられたこ
草方格作りなど様々な作業が必要となるが、これら
とである。
の木々を守り続けていくことが自分達の為になると
現地へ赴く前は、沙漠に植林するためには国全体
いうことを理解した上で、彼らは継続的な管理を行
を巻き込んだ活動を行なうことが効果的であるだと
なっている。
か、沙漠化の原因となっている放牧に関しても、代
最後に、1
0
0
0本のポプラの木を植えることが一見
わりとなるビジネスを見つけることで対策を打つこ
大した意味を成さないと思えるように、今回データ
とができると安易に考えていた。
隊として参加した2
0数名だけでは大きな意味を成さ
しかし、実際に現地へ赴くと、国としての対策が
ないように思える。しかし、この2
0数名がどれだけ
行なわれてはいても名ばかりなものであったり、目
の意味を示すことができるかは、今後の我々の活動
先のことしか考えられていない内容であった。
によってようやくその意味を示すことができるのだ
また、現地の農民の方も農業、放牧に代わるよう
と 思 う。今 回 の 活 動 を 企 画 し て 下 さ っ た 組 合 の
なビジネスプランを持っているわけではない。しか
方々、緑化ネットワークの方々、カンパをして下さ
し、これは当たり前のことだと思うし、そもそもお
った方々への感謝の気持ちを忘れずに、今後の活動
金だけを欲しているわけではない。どうしても日本
に繋げていきたい。
を基準として考えてしまうので、代わりのビジネス
Bグループ
対して、自分でもできることがないか、なにか役に
Group B
立ちたいという思いから今回第1
1次データ隊への応
当たり前の日常に
「なぜ」と問いかけたい
募を行ないました。
実際に沙漠化の進むホルチン沙漠に訪れて一番驚
いたことは、農村のすぐそばに沙漠があり、農民の
方々が暮らしていること(裏庭が沙漠といったイメ
九州分会
ージ)でした。日本から来た緑化隊が緑化活動を始
一本 麻衣子
めるまで、農民の方々は、自分の住む場所の目の前
に沙漠が迫ってきていても、緑化活動を行なわず、
今メディア等で多く取り上げられている沙漠化に
38
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
「
(放っておけば)そのうち沙漠化は治るだろう」と
がくるかもしれません。今後当たり前のことに「な
思っていたようです。それを聞いた時、
「なぜ、5年
ぜ」を抱けるようになっていきたいと思います。
後1
0年後の自分の将来を見据えて行動をとらないの
たくさんの気づき、たくさんの出会いの機会を与
だろう、なんて呑気な人たちなんだ」とあきれ返っ
えてくださったこの活動にとても感謝しています。
てしまいました。しかし、半農半牧をずっと行なっ
ありがとうございました。
てきた農民の方々にとって、草木は自分から植える
ものではなく、放っておいたら生えるものであっ
Group B
て、かれらの文化の中に「緑化」という言葉は存在
しなかったことを知り、
「知ることの大切さ」を実感
しました。これまでのデータ隊の継続的な活動とそ
の成果を受けて、現地の農民たちは、少しずつです
多くの出会いに
毎日が新鮮
が、
「緑化の必要性、緑化のメリット」のように少し
公共分会
先の未来まで考えることができるようになり、緑化
江上 辰弥
活動の方法を学び取り組んでいるようです。沙漠化
しているから樹を植えるというのではなく、どうし
「沙漠を緑に!」
の活動に参加して本当に良かった
て沙漠化したかを考え、農民の考え方という問題の
と思います。活動を振り返ったとき、
「環境問題(沙
根本の改善を目指すこの活動はとても有意義なもの
漠化)
に対する考え方の変化」
、
「新たな出会い」
、
「一
だと感じました。
体感の醸成」の3点が、非常に印象深く私の中に残
ホルチン沙漠の農民たちが緑化を知らず、問題に
っています。
思うこともなかったことは、今の日本においても起
「沙漠を緑に!」
の活動を通じて沙漠を体感するこ
こっていることではないでしょうか。今回の活動を
とにより、私は沙漠化という事象について、初めて
通して感じたのは、日常から「なぜ」と思うことが
自発的に考えることができました。沙漠化などの環
ないということです。中国のホルチン沙漠という今
境問題について、私はこれまでマスコミを通して与
日常を過ごしているところとまったく別の世界に行
えられた情報しか知らず、それでいて理解している
き、自分の当たり前が通用しなくなったとき、はじ
気になっていました。
めて私は、ホルチン沙漠の農民の方々の行動に「な
NPO法人「緑化ネットワーク」の方々から話を
ぜ」を抱くことができました。しかし、日本で日常
聞き、沙漠化は人為的な要因(家畜の過放牧や土地
を過ごしていると、当たり前のことを当たり前とし
の負担を考えない無理な農耕など)により進み、さ
てしかとらえておらず、そこに「なぜ」を思うこと、
らにはこの土地で育った蕎麦などの食物を我々が輸
改善していこうとすることはほとんどないような気
入して食べていることが遠因になっていることを知
がします。農民の方が「なぜ」を抱かずに沙漠化と
ることができました。
いう問題に直面したように、このまま当たり前を当
しかしながら、もしも私が日本にいて、テレビな
たり前としていたら、何か大きな問題にぶつかる日
どのフィルターを通して我々の食生活が沙漠化の一
因だと言われても、前後左右に広がっている途方も
ない面積の沙漠を実際に体感しない限りは、沙漠化
という事象について当事者意識を持って考えること
はできなかったと思います。
また、
「沙漠を緑に!」は、私に新たな出会いを与
えてくれました。第1
1次データ隊の参加者、NPO
法人「緑化ネットワーク」の方々、民族大学の学生、
農民の方々、グループ活動で行ったアンケート調査
に協力してくれた現地の方々など、
「沙漠を緑に!」
には多くの人と出会う機会があります。
これほど多様な人たちと一度に出会えたことは、
私にとっては就職してから初めてのことで、毎日が
とても新鮮でした。緑化活動を通して得ることがで
きた新しい出会いをこれからも大切にしていきま
39
NTT労働組合データ本部
す。
くという神秘的な部分についても、実際に目で見た
さらに、私は「沙漠を緑に!」において、日常生
り触れたりできたことは、感動であった。
活ではなかなか味わえない一体感を得ることができ
時間と労力はかかるが、ゆっくりと元の姿に戻っ
ました。草方格、植樹、バケツリレー、剪定などの
てほしいと願うと同時に、今回、自分の経験したこ
作業を共に経験し、沙漠化の原因、植樹後の管理の
とを、少しでも多く周囲の方々に伝えたいと考えて
難しさ、緑化活動継続の意義などについて全員で考
いる。そして、少しでも意識を共有できればと思
えるなかで、年齢がバラバラで、ほぼ全員が初対面
う。
であるメンバーの間に一体感が醸成されました。
併せて、今回の旅程の合間合間で中国の方々にい
一体感が醸成していく過程で、私は一日一日が充実
くつかの質問をした際の回答の中で、
「日本人は環
していることを肌で感じ、チームワークの大切さに
境保護に意識が高い」と思われていたり、
「緑化活動
ついても改めて体感することができました。
を歓迎している」
「感謝している」という回答が多か
私が経験して感じることができた緑化活動の難し
ったことについても伝えたいと思う。
さや大切さ、
「沙漠を緑に!」の楽しさや継続するこ
今回、ホルチン沙漠へ入るのに、まず空路で瀋陽
との意味については、私にできる限り発信していき
に入り、そこからバスで移動という行程だったが、
ます。
その瀋陽に降り立ってすぐ、町を見渡したところ、
しかしながら、実際に経験してみないと伝わらな
大きな壁に大きな赤文字でいかにも中国というよう
いこともあると思います。皆様も「沙漠を緑に!」
な感じで、
「ONE WORLD ONE DREAM」と書
の活動に是非とも参加してみてください。後悔する
かれていた。
ことは絶対にありませんから。
これは昨年のオリンピックのスローガンであり、
まだ街中に残っているのか…くらいにしか最初は思
っていなかったのだが、現地に数日滞在して、実際
Group B
に緑化活動に取り組んでみると、日本に帰る頃に
ゆっくりでも
元の姿に戻ることを願う
は、この言葉が何度も頭に浮かぶ自分がいた。
これからも、自分に何ができるかわからないが、
意識だけは少しだけでも「世界」…を考えていきた
いと思う。
金融分会
最後に、今回お世話になって緑化ネットワークの
鎌田 博之
今後の活動に期待するとともに、数年後、今回緑化
今回、この緑化活動に参加でき、すごく感謝して
活動をした場所に立てられる「であいの森」の石碑
いる。
が、緑に囲まれていることを願う。
実際、沙漠化に伴う激しい寒暖の差が生じる気候
や、風による砂塵の嵐など、想像以上に厳しい環境
Group B
を体感しながら、沙漠と隣あわせで生活している農
民の方々が、沙漠化が進むことで生活を脅かされる
という切実な状況を目の当たりにした中で、ボラン
ティア精神や正義感を持って皆で作業したことは、
「私たちにできること」
考え・伝えていきたい
今まで築いてきた人生観に大きな影響を与える素晴
製造・流通分会
らしい経験であった。
河邊 悠
同時に、自然相手に緑を元に戻すということは容
易ではなく、沙漠化の進行を食い止めるだけでも大
「沙漠を緑に!」
1
1次隊として参加し、大きく分け
変であるということも、身を持ってわかったような
て「砂漠を減らすために、自分ができることは何
感じがする。
か」
、
「よりよい日中関係を築くために何をすべき
そんな状況の中、沙漠という自然を客観的に見て
か」
の2点を改めて考える機会となった。
「よりよい
みると、これから沙漠に緑が復活していく過程に
日中関係を築くために何をすべきか」に関しては、
は、植林した木が根付いて大きくなるだけではな
グループ活動の事前調査、現地でのアンケート調査
く、パイロット生物と呼ばれる生物が存在し、それ
を通して考えたが、当報告書には記述せず、全体報
らが緑を増やし、ゆっくりと生態系を変化させてい
告書に記述する。
40
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
参加する前は、
「植物がほとんど育たず、岩石や砂
ない大変さをNPOスタッフの方から伺った。牛、
礫からなる砂漠をどのように緑豊かにするのだろう
羊、ヤギを財産と考える現地住民にとって、家畜に
か。温暖化の影響で拡大している砂漠をどのように
与える食糧がなくなると、放牧せざるえない現状が
抑止するのだろうか。植林する際、保水技術等を駆
ある。その他、現状を様々とヒアリングしたうえ
使するのだろうか。
」と、緑化運動に対して疑心暗鬼
で、
「現地住民は何を望んでいるのか、私たちに何が
であった。
できるか」を改めて考えることができた。
実際、中国内モンゴル自治区にあるホルチン砂漠
明確な解はないが、緑化活動を通して見聞きした
の地を踏み、まず土の生命力を感じ、砂漠化の主原
ことを部署、事業本部、部会、教育現場等に伝え、
因が人為的なものであることを知った。砂を触って
一緒に私たちに何ができるかを考え、身近なことか
みると、表面はさらさらであったが、
1
0ほど掘る
らできる環境政策を実施していきたいと考えてい
と、手で握って団子を作れるぐらいの湿りっぽい砂
る。
が出てきた。現地の住民から「2
0年前までは、草原
が広がり、野兎、キツネ、オオカミ、雉がいたが、
Group B
牛、羊、ヤギの増加による過放牧により、砂漠化が
深刻に進み、国の政策で強制引っ越しせざるをえな
い状況まで陥った」という話を伺った。
次に、草方格作り、植林、水やり、剪定作業等を
緑化も仕事も
人とのつながりが大切
実施して、砂漠の緑化の大変さを身に染みた。ま
NST分会
ず、植林をする前に、砂を飛ぶのを防ぐため、束ね
酒井 桂佑
た藁を薄く並べたうえで、スコップで藁を1m四方
の基盤目状に差し込む草方格を作らなければならな
沙漠は“音が砂に吸収されて無音になる”んです。
かった。去年の1
0次隊の緑化地も見学させてもらっ
苗木を植えている時にみんなから少し離れてみた
たが、1年経っても草方格が残っており、昔の人の
ところ、この体験ができました。
知恵の偉大さを感じた。植林に関しては、ポプラと
(さぼったわけではありません。広大に広がる天
杏子の苗木を植えたが、苗木を植える場所、穴の大
然の砂トイレに行っていただけです。
)
きさも異なった。その他、木の種類により植える時
さて、緑化についてですが、行く前までは「砂だ
期が異なるなど考慮しないといけない点が多くある
らけの大地に木を植えて育つのだろうか?」という
とともに、植えて
疑問をもっておりました。しかしそのハテナは、実
も管理が大変なこ
際に大地を踏みしめ、砂と友達になってはいません
とを知った。家の
が、そのくらいの勢いで作業に精を出しているうち
庭に水撒きするよ
に、自ずと解消されました。例えば“サラサラの砂
うにはできず、バ
を数掘ると、少し湿った土が出てくる”
、
“広大な
ケツリレーで水撒
大地の一部には下草が生え、虫や小動物、鳥が生息
きを実施した。ま
する”
、
“
(当然ながら)少量の雨は降る(旅程の中で
た、成長を促すた
一日、雨に遭遇)
”…。
めに、無駄な枝を
結果、ポプラを約9
0
0本、あんずを約5
0
0本植えた
切り落とす剪定作
ので、黄砂が日本にやってくる量は激減するでしょ
業にも携わった。
う。というのはもちろんウソです。
何年にも渡り、
痩せた沙漠の少ない養分や水のみで木が根付くに
水撒き、剪定作業
は何十年もかかりますし、その期間には木を管理
を実施しないとい
(苗木の時には風による対策を、その後も不必要な
けないことに加
枝の剪定などなど)
をしていかなければなりません。
え、村長をはじめ
そもそも、たった数日間の緑化活動で環境が急回復
とする半農半牧す
するわけがない事は誰でも分かります。そうです。
る住民へ、緑化運
実態としては、現地中国(内モンゴル自治区)の農
動に対する理解を
民の方々が日本人の緑化活動団体と、お互いの立場
促さなければなら
や社会的意義、メリットを調整しながら良好な関係
41
NTT労働組合データ本部
を維持して緑化に努めているのです。
植えても本当に効果があるのだろうかという想いが
私たちの日常はビルの中でPCに向かい、同僚
あり、この大自然の営みに比べて、我々人間の行動
(上司や部下、仲間)やお客様と良い関係を築いてい
がいかに小さな存在かを思い知らされたような気が
く事で、継続性のある仕事をしています。仕事の環
した。
境は全く違いますが緑化活動も、人と人の継続した
しかし、その後、1
0年前に植えたポプラ並木を見
繋がりによって進められているのは同じようです。
たとき、やはり少しづつでも人間の手で植えない限
継続といえば、我々1
1次隊より前に植えた木もす
り、この緑は生まれてこないのだという現実を見る
くすく育っている事を確認してきました。この活動
ことが出来た。
自体の“継続”も確認することができ、少し誇らし
翌日からの植樹と、枝打ち剪定作業は、
「一滴の水
く思いました。
は、岩をも穿つ」の想いで頑張りました。
環境保全の大切さと共に、
“継続する事”と“人同
8
8
5本のポプラと、5
0
0本の杏の植樹と、灌水作業
士の繋がり”の合わせ技が、あらゆる活動に於いて
を終えて、そこに立ったとき、広い砂漠の中で、こ
は重要である事に改めて気付かされ、大変意義深い
の苗木が輝いて見えました。
事が経験できました。
そして、枯れずに無事成長して欲しいと、心から
願いました。
ところで、特に印象に残ったことは、3日目の枝
Group B
打ち作業を終えて帰りのバスの中で、現地の農民の
一滴の水は
・ ・ ・
岩をもうがつ
ポーさんに質問した時のことです。
「あなたにとって、一番大切なものは何ですか?」
と尋ねると、ポーさんは暫らく考えた末に、
「牛で
す。
」と答えられました。
中国分会
お金でもなく、家財でもなく、牛はやはり一番大
土居 旭
切な財産なんだなと思い、その牛を増やす為に、大
深刻化する環境問題、とりわけ中国大陸からの黄
切な緑を犠牲にしたんだなと思いました。
砂被害、増え続けるCO2による温暖化問題。これら
しかし、今回の緑化活動を通して、自然を壊して
の問題は、企業、労組を超えて地球人として避けて
は牛も育たないということを知っていただけたと思
通れない課題となっている。
います。
今回、この重大な課題の、対策の一翼を担う「沙
実は、この質問をして、ポーさんが「牛」と答え
漠に緑を!第1
1次テータ隊」が、全国より選ばれた
る前に、
「木」という言葉を小さな声で照れくさそう
2
1名の隊員によって結成された。
に言われたそうです。通訳の方がそのことを聞いて
そして、1ヶ月前より東京に結集し、事前学習会
他に無いですかと質問したら「牛」と言われたそう
で基礎的な学習と、3つのテーマを中心としたグル
です。この「木」という言葉が実は本心かも知れま
ープ学習を行なってきた。
せん。
中国の歴史や、政治、文化、経済等を学ぶうちに、
あまりにも隣国中国のことを知らない自分に気付
き、また歴史の中で、度々の中国への侵略戦争によ
って、多くの罪の無い人民を殺戮した過去を振り返
ることが出来た。
今回、旅の初日に訪れた瀋陽市の9.
1
8事変歴史博
物館では、その侵略戦争の悲惨な出来事を目の当た
りにし、あらためて日本の軍隊の侵した過ちを振り
返ることが出来た。
さて、いよいよ本隊の主目的である緑化活動です
が、2日目に中国東北部のホルチン沙漠に着いたと
き、目の前に広がる広大な沙漠に感動した。
そして、この様な所に植える樹は本当に育つのだ
ろうかという想いと、こんな広い所へ僅かな本数を
42
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
その事を聞いたとき、私は、素晴らしいことを聞
我々の植えた苗木も5年1
0年と大きく成長し、林や
いたなと思いました。
森へ成長していってほしいと願う。
そして、この事がポプラの生長と共に、実感とし
さて、緑化活動は苗を植えて終わりではありませ
てわかる時が必ず来るのではないかと思い、期待に
ん。植えた苗木がきちんと育つよう管理する必要が
胸が膨らむ想いでした。
あります。今回、緑化活動をご指導頂いた緑化ネッ
わずか1週間の緑化活等でしたが、この体験は、
トワークさんは、その部分に力を入れていて、現地
私の長い人生の中でも忘れることの出来ない、貴重
の人を雇い、現地の人が自分達で沙漠を緑に戻して
な体験になりました。
いけるよう活動しているとの事だった。そういった
そして、この緑化の想いを、2
1名の同志と過ごし
努力があることも今回の緑化活動で知ることができ
た楽しい思い出と共に、いつまでも大切に育てたい
たのは良かった。
と思います。
我々のやった緑化活動は、広大な沙漠の中では、
小さな事だけど、継続することにより着実に成果が
出てきています。来年も再来年も、この緑化隊が継
Group B
続していく事を切に願います。また、今回の活動を
前データ隊の成果に
活動継続を願う
通じて、1
1次隊メンバー、緑化ネットワークさん、
中国の学生さんや農村、街の人、それ以外にも本当
に多くの人との出会いがあり交流がありました。そ
のどれもが自分にとってかけがえのないものとなり
CS分会
ました。
山中 一尚
帰国後、この1週間撮った写真を見返してみまし
『百聞は一見に如かず』
まさにそんな言葉の旅であ
たが、どの顔も笑顔でいっぱいだったのが印象的で
った。日本から一番近い沙漠は、数十年前までは緑
した。作業は、けして楽ではありません。沙漠の移
豊かな草原だったそうだ。それが過度の放牧によっ
動も大変ですし、バケツリレーなどは、めちゃくち
て草木が食べつくされ、あれよあれよと沙漠になっ
ゃハードです。それでも笑顔が絶えない素敵な時間
てしまった。所々緑も残ってはいるが、それでも広
を過ごせました。緑化活動でご一緒できた皆様に、
大な沙漠の中では、ごく一部分でしかない。そんな
そして、業務多忙の中、快く緑化活動へ送り出して
ところへ、たかだか数十人がちょこっと行って苗木
くれた職場の皆様に感謝したいと思います。
を植えてきてもどれだけの効果があるのだろう?
緑化活動のメインは、沙漠に苗木を植えることで
と、ふと考えた。しかし、緑化活動をしなければ、
すが、それ以外にもたくさん得るものがこの旅には
そこは永遠に沙漠のままであり、さらに拡大を続
あります。興味ある方、もしくは、興味もたれた方
け、近隣の農村も人が住めないような場所になって
は、来年、再来年と継続されていくと思いますので、
しまう。そんな中、今回、過去の緑化隊の活動場所
緑化活動に参加し、自分の五感で感じてもらえたら
なども見せていただき、緑が着実に戻ってきている
と思います。
ことを目でみることができたのは大変良かった。
Cグループ
どの様な企画運営環境で実施されているか知りませ
Group C
んでした。今回の参加は私にとってボランティア活
厳しかった分
ひとしおの感動と一体感
動とは、こう言うものであるとのベースを作るもの
であり、全て受け入れる方針で参加した活動感想を
報告させて頂きます。
●グループテーマについて
NDFS分会
Cグループは、事務局から提示されたグループテ
榎本 享芳
ーマに恵まれ「中国の生活について」全員楽しく活
●はじめに
動する事が出来ました。今後も興味を持った活動に
私はボランティア初参加で、ボランティア活動が
は、
「へぇー」調査は必須となると思います。何をす
43
NTT労働組合データ本部
るにも楽しく出来る魔法のアイテムです。
います
(たぶん子供関係かな)
。ボランティア活動に
●企画運営について
興味のある人材を探し/作り広めていきたいと思い
事前学習は、参加者の意識を高め、大きな効果を
ます。
上げられたと思います。
●まとめ
ボランティア初参加の私には、この事前学習がな
ボランティア活動の必要性、環境問題改善を再認
かったら得られる経験/感激は、無かったと思いま
識させていただきました。
す。
すぐ出来る対策として「省エネ」
「もったいない運
また、厳しいぐらいの事務局からの指導が、当時
動」などから開始したいと思います。
は厳しいなと反発感を抱いておりましたが、終わっ
事務局/参加者の皆さん有難う御座いました。
て見ると厳しさがあって初めて得られた感動/一体
感である事に気づきました、有難う御座います。
Group C
●データ隊を通じて「考えたこと」
私自身偉そうな事の言える立場では御座いません
が、このボランティアは感謝されているのだろう
か。または、この対策が正しいのだろうかとずっと
知ること・伝えることの
大切さ再確認
考えていました。
九州分会
しかし、個人的には結果を導き出せず、現状正し
太田 郷子
いと思われる事を行動するしか無いと思っていま
す。
一言で感想を述べるならば、
「とても良かった」
。
●データ隊を通じて「感じたこと」
簡単だけれど、これ以外に表現ができない。現地に
ことわざで「住めば都」という言葉をつくづく感
行って初めて見えたこと、現地に行かなければ考え
じました。
なかったこと、現地に行ったからできること、そし
私の家は農業で、農業労働があり、駅から遠く、
て出会えた素晴らしい仲間、今回の活動を通して得
昔ながらの近所付き合いが大変です。
られたものは多い。帰国してから、私に何ができる
現地で見た住民の笑顔を見て、過酷な環境でもバ
のか分からず、戸惑いを感じた。しかし、自分の目
ランスが取れているのだなと、勝手な感想ですが幸
で真実を見て、体験したことは事実であり、大きな
せそうに感じました。
宝である。
少しずつ生活改善ができれば幸せなのかなと思い
「沙漠」
のイメージは変わったようで全く変わらな
ます。
い。結局帰国してからも参加前と同じように「黄砂
●データ隊を通じて「今後についての決意」
がすごい。
」と感じ、なくなって欲しいけれど沙漠化
緑化活動として砂漠に木を植えましたが、他のボ
は止められないだろう、と冷静に考えている。私た
ランティアにも一層興味がわきました。時期を見て
ちが行ったほんの少しの緑化活動で地球に変化は無
次のボランティア活動にチャレンジしてみたいと思
いと思うからだ。しかし、ホルチン沙漠へ行ったこ
とで「意識」は変わった。そして、続けることで変
わるかもしれないという期待が少しだけある。その
少しの期待や思いが集まることで「変化」を生み出
すことができると願っている。
現地に行って、驚いたのは沙漠のすぐ近くに生活
があることだ。沙漠化により政府から強制引越しさ
せられた人々がいた。もし自分がこの立場で、砂漠
化の地球に与える影響など知らなければ沙漠を緑に
したいと思うだろうか。次に暮らしていける場所が
あれば「まあ、いいか。
」と思ってしまうかもしれな
い。
日本では黄砂の影響や、温暖化についての情報が
メディアなどを通して入ってくる。そのせいか、私
はいつの間にか自然に「沙漠化=環境問題」と紐付
44
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
けている。しかし、伝えられなければ知らないまま
メンバーに、過去の植樹地に行ってみないか、とい
で終わっていたかもしれない。伝えること、知るこ
う提案をしてみた。
とは大切であり、同じように見たものや感じたこと
自分が行きたいのは、6年前、それと去年に植樹
を伝えることが、今、私ができることであると強く
した場所の2ヶ所。ただし、6年前の場所は今回作
感じるようになった。
業する場所から遠いため、見に行くのは現実的に厳
活動中に強制引越により移住してきた村人から話
しい。すると、去年の場所になるのだが、いくら成
を聞く機会があった。
約1
0年前は木が生えていて、
野
長が早いというポプラとはいえ、さすがに1年だと
兎やキツネがいたところが沙漠に変わり、
生活でき
ほとんど延びていないはず。
なくなり村を去っていく。
次の村では日本人がやっ
そんなものを見せると、落胆して皆が作業する気
てきて、
緑化活動を始めている。
そのおかげで、
2
0年
をなくしてしまうだろうか…。不安がよぎる。しか
前は白い沙漠だった場所に木が生え、
動物が戻って
し逆に、伐採するのは簡単。でも育てるには何年、
きているそうだ。
それを聞いて、
継続して活動するこ
何十年とかかる、という現実を見てもらうというの
とで現地の生活は確実に変わっていると感じた。
も手ではないかと思った。結果、賛成多数。見に行
そのために、この「沙漠を緑に!」の活動を絶や
く事が決まった。
さず、継続して欲しい。少しでも多くの人に、私た
当日、これから去年植樹した場所に行きます、の
ちと同じような貴重な体験をしてもらいたい。
声と共に胸の鼓動が高まる。すると、うわ∼、こん
あっという間の1週間だったが、内容の濃い1週
なになるんだ。自分も来年見に来たい!という喜び
間だった。日本の生活に戻ると、夢だったのか?と
の声。提案してよかった。
思えるような1週間だった。しかし、夢で終わらせ
予想通り、さほど成長こそしていなかったもの
ずに、ずっと今の思いを忘れずに生きていきたい。
の、木々は芽を出し、力いっぱい生きている。日本
にいるOB達にも教えてやろう。シャッターを押す
手が止まらなかった。
Group C
OBとして自分に何が出来るのだろうか。それが
OB隊として
自分の植えた木に再会
今回、自分の中で一番の課題であった。
今でこそ、千代田区を通した平和活動や、児童労
働撲滅といった貧困問題など、活動してはいるもの
の、元々のトリガーは、前年度に沙漠緑化に参加さ
本社分会
れた先輩が隣の席で、お前も絶対行った方がいい
笠井 俊一
よ、と声を掛けられ、沙漠を緑に!の活動に参加し
現地で植樹後の管理をしてくれるモンゴル人のリ
たのが始まりである。
ーダー的存在の方が、自分を見るなり何か言ってい
自分が考えるボランティア活動。参加する側で
る。モンゴル語なので何を言っているのかはわから
も、企画する側でもまず自分が楽しむ。自分が楽し
ない。まさか!去年はComware隊と一緒だったの
めないのに、他の人は誘えないのである。またこれ
で、5
0人近くの大部隊。
は、植樹は植えて終わりではなく、その後の管理が
それにも関わらず覚えていてくれた。
大切、というのにも繋がるのだが、楽しめないと続
「お前、去年もいただろ。お前みたくこうしてま
かない。要は継続する事が大切なのである。
た来てくれるやつがいると、俺もやっててよかった
そういった意味で、今回参加のメンバーには、帰
と思う。嬉しいよ。
」
と言っているのだという。抱き
国後に職場の仲間や家族に話しをする事で、いろい
合って再会を喜んだ。
ろな人に沙漠緑化について知ってもらう、という事
実は自分は3度目の参加。沙漠緑化のOBでも、
は勿論必要なのだが、それプラス、自分はまた来年、
よく行くねと驚く人も多いが、自分達が植えた苗が
もしくは数年後にもう一度行ってみたい、という気
元気にしているか、実際に現地に行き、この目で確
持ちになってもらえるとよいのかと思った。
かめたい。気になるのである。もはや、自分の子供
その一貫として、缶の中に現地で一緒に作業した
の成長が気になる親と一緒の感覚なのだ。
民族大学の学生や先生、現地スタッフを含め、皆か
今回のOBは自分一人。数名いれば、OBとして過
ら未来の自分宛てのメッセージを集め、タイムマシ
去の植樹地に行って、という事もあるのだろうが、
ーンとして石碑を建てる際に、一緒に埋めてもらう
基本団体行動のためそれも許されない。そこで参加
提案もした。何を書こう。映画などでこういった光
45
NTT労働組合データ本部
景は観た事はあっても、いざ自分が書こうとする
現在のまま、私たちが欲望のままに求め続ける
と、意外と何を書いてよいのかわからないものであ
だけでは砂漠化は進行を免れ得ないし、それが児
る。
童労働、未教育児童の増加へと直接連関すること
5年後か6年後か。
果たして何人がこの缶を掘り起
で貧困の連鎖へと繋がってしまうこと、そしてそ
こすのだろう。
の結果は国際社会という大きな円環を巡る事で、
その時も、沙漠を緑に!の活動が皆の力で継続し
私たちを含めた誰もが不幸となることを理解でき
ているよう、今後も継続して活動して行きたいと思
た。
う。
以上を踏まえ、私たちには伝える使命・行動す
る使命があると考えている。
一人ひとりの伝えられる量には限りがあるが、
Group C
私たちの伝えた言葉がすぐに現地民の生活改善に
「欲望のまま」を止めて
緑化の推進を
直結しなくとも、
2
0年後の緑化に繋がると考えれ
ば言葉は大きな枝葉となり未来を変える力がある
ことを確認させてくれる。
また行動する使命として、マイ箸・マイカップ
NST分会
をはじめ、まずは各自が負担と感じない範囲で何
小林 宏輝
らかの行動を起こすことが大切であることを強く
認識した。一人ひとりに実現できること、一度に
1.成果
できることは微塵であるが、0ではない。
今回の隊活動により得られた成果を記述する。
積み重ねと継続によりその裾野が広がればそれ
地球市民としての自身を確認する。
は大きな変える力となりえるし、その為目的達成
今回の旅において、砂漠化という問題を通じ複
のためにも我々は行動で示すべきだと考えた。
数の事象の連関を学習することができた。
私たちは「見聞し知った者」として、評論家で
先進諸国の資本主義社会(欲望を肯定し、善と
はなく、行動者として示すべきなのだ。
なす)思想の反映により、先進諸国は物質的豊か
変える力の継続性
さを入手した。しかし先進国の欲望を満たすとい
私たちの作業成果に於ける貢献度が僅かであ
ったその背面で、質量保存の法則に則り、奪われ
れ、活動は継続しなくては意味を成しえないと感
る存在といったものがあることを確認できた。
じた。植え捨てでは誰も幸福にすることができな
そして、そうした存在である彼らと対面するこ
いため、地味であっても、活動のあり方が変わっ
とで現在の自身の置かれた立ち位置を具体的に確
ても、思想と行動の継続は必要であると考える。
認し、私たちが如何に「生かされて」いるのかを
2.最後に
確認することができた。
相手を知るにはまず自分を知ること。
詳述すると、まず、現在私たち日本の住民の多
くは、各自の悩みはあるとはいえ、概ね毎日を笑
顔で過ごすことができていると考えている。
それは、私たちの基本的欲求が満たされている
からであると考えられる。
私たちの基本的欲求である毎日の食事や暖かい
家は、飼料、食料、材木などのあらゆる形で砂漠
周辺の民やその他第1次産業を営む人たちの不断
の努力によって支えられている。
そうした私たちを支えてくれている人々の具象
体として対面した彼らは、砂漠化によって移住を
強いられたりしながらも、今を生き、笑顔でいた。
それを目の当たりにした私たちにできることと
いえば、彼らの笑顔を絶やすことの無いよう、一
歩でも多く動くことではないのか。
46
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
語ることのできる自分を持って相手に耳を傾ける
して皆で力を合わせた活動が、地平線まで続く沙漠
というコミュニケーションの真髄は難しくもある
の一角に緑を与えることになる。あの大地に自分が
が、同じ人間同士であれば普遍的なことであると、
穴を掘り、気持ちを込めてポプラを植え、水をやり、
強く認識した1週間だった。
いつかこの地球に根付くことを考えたら、単純に感
笑顔や音楽など、非言語コミュニケーションによ
動した。
り共有できる「人間」感は、今後の生活でも大切に
昨年度、一昨年に植えた木も見てきたが、現地の
していきたいと思う。
人の維持作業により着実に成長していて、この取り
組みが少しずつでも緑化に影響を与えていることを
実感した。ひとりひとりがこのように意識し行動す
Group C
ることが、黄砂の減少に、温暖化の減速に、地球環
力を合わせた活動が
沙漠の一画を緑に
境保全につながっていくのだ。
●一番感動したこと
植林後の帰り道、トラクターから見た夕陽&トウ
モロコシ畑の景色がとてもキレイだった。
公共分会
●一番楽しかったこと
西郷 優子
広大な土地で声を張り上げて頑張ったバケツリレー。
草方格 1
1
6枠作成、ポプラ苗木 8
8
5本植林、杏
●一番嬉しかったこと
苗木 5
0
0本植林、ポプラの剪定3
0
0
0平方メートル。
気の置けない素敵な仲間ができたこと。
今回第1
1次隊データ隊での緑化活動の成果である。
初日に、九・一八事変博物館見学をした。思った
Group C
以上の日本軍の残酷さに目を覆いたくなった。今で
こそ平和になってきているが、今後の日中間におい
ても忘れてはいけない現実であり、理解した上で友
好な関係を築く必要があると感じた。
「一滴の雫」たちを
大きな潮流に
初めて沙漠を歩いた。どこまでも続く砂地、陰影
金融分会
が大変キレイだと思うと同時に、昔は植物があった
中川 卓也
とは信じられない!このキレイな景色が緑を壊して
できたものであることが悲しく複雑な気持ちになっ
瀋陽空港に着陸する機内と、空港から瀋陽の街へ
た。
と向かうバスのなかで、沙漠化は想像以上に進行し
沙漠化が進行した原因に放牧があげられる。しか
ているという印象を強く受けた。砂埃が舞い上が
し「農村の人にとって一番大切なものはなんです
り、風景が砂混じりに霞んでみえる。木々には葉が
か?」という質問に「牛」と答えたのを聞いて、牛
ついておらず枝のみで弱々しく、等間隔に列をなし
=財産=家族が生活していくため という切実さを
て生えており、明らかに「自然」とは異なる。道を
感じた。そして生活のためには放牧が必要であり、
行きかう人々もマスクや防砂ネットで砂への対策を
それが沙漠化につながってしまうこと、そして沙漠
施している。事前学習会で学んだ沙漠化の現状が、
化を防ぐためには、日本の節電や省エネのように少
目の前の現実と重なる。
しだけ減らすといったことができないものであり、
深刻な場所へきたのだと思った。本当にポプラの
現地の人にとって大変困難な問題である。最近では
苗木を植えることで沙漠化の波を食い止めることが
緑化ネットワークなどの方々の活動のおかげで、現
できるのか、我々人間の力など到底及ばないのでは
地の人にも緑化活動が必要であることが少しずつ理
ないか。無力感が脳裏をよぎった。
解されてきているようだが、あの広大な沙漠を目の
今回の緑化活動に応募した動機はきわめて漠然と
当たりにすると、より大勢の人の力が必要だと感じ
したものであった。かねてより地球の環境問題に関
た。
心は持ちながらも、スケールが大きすぎて自分一人
ポプラ植林では、深い穴を掘った後、水をやる。
どう足掻こうと無駄であろうという諦めの気持ちが
バケツリレーでは、汗を流し、ずぶ濡れになり、声
どこかにあった。今回の旅でその諦観が打ち砕かれ
を張り上げた。一人の人が欠けても大変になり、そ
るきっかけが見つかればよい、そんな短絡的な動機
れぞれの力が、存在が、とても重要だと感じた。そ
であった。
47
NTT労働組合データ本部
仲間たちと沙漠で緑化活動を進めるにつれ、先の
無力感は杞憂に終わった。果てしない地平線にみる
地球の広大さ、農村に流れる悠久の時の流れ、荒涼
たる沙漠に息づく命の実感、そして日本では滅多に
見られないであろう私も含め、皆の心からの笑顔。
充足に満ちた数日間であった。これまで3
0年余り築
いてきた人生観があるとすれば、それが大きく揺ら
ぐのを感じた。
たしかに個々人の力はあまりにも小さく、沙漠化
の進行を食い止めるには至らない。しかし、今回緑
化に携わった一人一人が、遠く日本で一滴の雫とし
て水面に落ち、波紋を起こし、やがてそれが潮流へ
と変われば、大きな力となり得るのではないか。沙
漠化のみならず、様々な環境問題と対峙し得る強大
な力をやがて持ち合わせるのではないか。
れ、沙漠になってゆきます。しかも、現地の人がそ
充足感に満ちた日々に想いを馳せながら、私の緑
れを消費することはほとんどありません。私たちの
化活動はまさに今始まったところである。
消費社会体質のツケが、巡り巡って沙漠化という形
で地球にダメージを与えてしまっているのは明らか
です。
Group C
二つ目の疑問。今回、私たちはおよそ8
5
0本のポ
ボランティアは
バケツリレーの精神
プラを植林してきました。立派な実績ではあります
が、私たちの規模の作業では残念ながら沙漠化の進
行を食い止めるには至りません。大切なことは現地
の人々と地道に交流を続け、彼らに緑化の意識改革
システムズ分会
をすることです。地道で辛く、長期的な利益を目指
橋本 隼吾
す緑化活動など本当は誰もやりたがりません。私た
5
0年前は大草原だったと言われているホルチン沙
ちの活動が少しずつ彼らの自立を促し、彼ら自身の
漠は、私たちが映像でよく見るような本当の「砂漠」
手で沙漠の緑が守られていくこと。そして私たちが
の姿をしていました。木々のざわめきや虫の声が聞
沙漠に行く必要が無くなった時が本当のゴールで
こえず、ひょっとしたら初めての経験だったかもし
す。
れない「音の無い世界」でした。
三つ目の疑問。これはボランティアの在り方その
沙漠を目の当たりにし、疑問が三つ、鎌首をもた
ものが答えかもしれません。この旅で学んだこと
げてきました。
は、ボランティアはバケツリレーの精神であること
1.
「なぜ沙漠になってしまったのだろうか?」
です。自分一人ではわずかな距離の橋渡ししかでき
2.
「こんな世界をどうやったら元に戻せるのだろ
ませんが、長く連なれば大きな川となり、やがて大
きな潮流を生み出すこととなります。大勢の力が持
うか?」
3.
「自分にできることは?」
つ可能性に賭けるため、自分にできることは身近な
一つ目の疑問。沙漠化の原因の背景には、実に
人々に活動を伝え、知ってもらうことです。何もし
様々な要因が見え隠れしています。中国国内では貧
ないことと、例え蟻の様な小さな一歩であっても何
困、児童労働、農村戸籍…一生を農業に従事しなけ
かをやってみることでは、一光年以上の開きがあり
ればならない彼らは放牧や畑を止めるわけにはいか
ます。
ず、また教育を満足に受けられない子供たちは、沙
最後に、ボランティアは一人でやっても辛いだけ
漠化した現状やそれを防ぐ術を学ぶことができませ
で、絶対に続きません。しかし同じ意識を共有でき
ん。そして私たち(日本人)の存在も要因の一つで
る仲間がいれば、新しい活動にも積極的にチャレン
す。穀物の国内消費の大部分を輸入に頼る日本は、
ジすることができます。この旅の大きな成果は、大
中国産の穀物(そば等)も多く輸入しています。中
勢の素晴らしい仲間に出会えたことです。
国では輸出用の穀物を作るために多くの緑が開墾さ
48
「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊 活動報告書
おわりに
今回の「沙漠を緑に!」第1
1次データ隊を派遣するにあたり、
組合員全員の参加・参画によって、継続していくことに意義があ
ると考えました。
そして、組合員がさまざまな形で携わることができるよう、
「緑
化カンパ」と「物品販売」により、組合員の理解と賛同を得る取
り組みを各分会と連携し、実施しました。
取り組み期間:2
0
0
8.
1
2∼2
0
0
9.
1
緑化カンパ
1,
9
3
5,
9
6
7円
物品販売
1
5
5,
5
8
7円 (総売上の10%見合い)
組織支援金
9
8
7,
7
3
2円
集められた金額は、苗木、
「であいの森」の管理・維持費およ
び参加者の渡航費として活用されました(参加者も一部自己負担
で参加しています)。
「沙漠を緑に!」へのみなさんの賛同に感謝いたします。
49
MEMO