日本メディカルハーブ協会 第11回シンポジウム Free Radicals? ハーブとフリーラジカル Free radicals Na Molecular Species e e Na+ e 昭和大学医学部第一解剖学 アンチエイジング医学寄附講座 佐藤和恵 Free Radical? Reactive Oxygen Species(ROS) Oxygen(O2)? 活性酸素とフリーラジカル フリーラジカル O2 Oxygen NO˙ Nitric oxide LO˙ 活性酸素 O2˙Superoxide radical HO˙ Hydroxyl radical 1O 2 Singlet oxygen H2O2 Hydrogen peroxide Alkoxyl radical 1 活性酸素の発生源 ■ 好中球、マクロファージ y NADPH oxidase 血管内皮細胞 y Xanthine oxidase y 構成型NO合成酵素 上皮細胞 y Nox/Duox family ミトコンドリア y Electron transport chain 食事、薬剤、アルコール 放射線、喫煙、環境因子 ■ ■ ■ ■ ■ Electron Spin Resonance (ESR) Spectroscopy MnO MnO ☆ ☆ 健常者 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ MnO MnO 脳損傷代表例 ○ MnO O ○ ● ○ ★ ●● ★ ○○○ ● ○ ○ ● ○ ● ★ ★ N Pre--administration Pre N CH3 ○ ○ ○ ● MnO ★ ●● ★ ○○○ ● ○ ○ ● ○ ● ★ ★ Chemical structure of Edaravone Edaravone? 30mg (i.v (i.v)) 現在の臨床適応:脳梗塞 ○ 臨床例におけるOH 臨床例における OH.NO.消去能 ● 投与量 ● 投与方法と期間 ● Effect of Edaravone ● 適応症例 (副作用) MnO ○○ ● ★ ●● ★ ○○○ ● ★ ○ ● ○ ★ ○ ● 60mg (i.v (i.v)) 2 理念「患者にとって一つでも多くの治療法の選択を」 1997年 日本アロマセラピー学会 Japanese Society of Aromatherapy(JSA) 現代西洋医学 Modern Medicine 代替補完医療 統合医療 Alternative Complementary Medicine Integrative Medicine 13 14 1 アロマセラピーとは? 1)精油の効能、効果を利用した自然の薬物療法 2)植物油に希釈した精油を用いて行う手技療法、 サービスである=トリートメント(理学的作用) 3)身体のみならず心理的、精神的にも効果が期 待される=心身のリラクセーション(精神生理的 作用) 4)セラピストの行う人間的行為である=関係性と 儀式性(心理的作用) Antioxidative Effects of Essential Oils • ORAC (Oxygen Radical Absorption Capacity, Oxygen Radical Absorbance Capacity) Evaluation of Antioxidant Scavenging Activity Blueberry:2,400 Lemons:6,000 Lavender oil:3,700 Clove oils:10,000,000 Essential Oils ? ・精油(エッセンシャルオイル)は植物に含まれ、 揮発性の芳香物質を含む有機化合物 ・「オイル/油]という字が付くが、油脂とは全く別 の物質からできている 可溶性リポイドで 水に の物質からできている。可溶性リポイドで、水に 溶け難く、アルコールや油脂にとける ・精油は100%天然物質。人工的に合成した物質 を一切含まず、アルコール希釈などしていない 完全成分のものだけを指す 精油の使用方法 芳香浴法 • 精油の香りを部屋に漂わせ、その香りを鼻から体内に取り入れ 香りを楽しむ方法。 ex:キャンドル式や電気式芳香拡散器など 沐浴法 • お湯をはった浴槽や洗面器などに精油を落とし湯船につかる方 法。 ex:全身浴、半身浴、部分浴など 吸入法 • 精油の成分を積極的に吸入する方法。 精油 成分を積極的 する方法 ex:蒸気吸入法など 蒸気 法など トリートメント • 特徴的な使い方、キャリアオイルなどで希釈し、直接皮膚に塗 布して使用する。 • 2~4種類の精油をブレンドして使用する。 • 日本では精油の内服、飲用は禁止させている。 • 精油の原液使用は禁止されている。 3 Antioxidative Effects of Lavender and Lemon Background ラベンダーとグレープフルーツ精油の匂い刺激によ る交感神経活動と迷走神経活動への効果 1:Ambient odors of orange and lavender reduce anxiety and impruve mood in a dental office: Physiol Behav,86: 92(2005) 2:Mechanism of change induced in plasma glycerol by scent stimulation with grapefruit and lavender essential oils: Neurosci.ence Lett., 416:241(2007) 3:J Appl pp Microbiol: Antimicrobial activity y of lavender,, tea tree and lemon oils in cosmetic preservative systems:(2009) 4:Mamoru Tanida, Akira Niijima, Jiao Shen, Takuo Nakamura, Katsuya Nagai: Olfactory stimulation with scent of essential oil of grapefruit affects autonomic neurotransmission and blood pressure: Brain Research 1058(2005)44-55 5:Atsumi T. Tonosaki K: Smelling lavender and rosemary increases free radical scavenging activity and decreases cortisol level in saliva: Psychiatry Res.2007 Feb.28; 150(1):89-96 ラベンダーとグレープフルーツ精油の匂い刺激の 血漿グリセロール濃度への効果 ラベンダーとグレープフルーツ精油の匂い刺激が 交感神経活動に及ぼす効果 ラベンダーとグレープフルーツ精油の匂い刺激が 体重変化に及ぼす効果 ラベンダーとグレープフルーツ精油の匂い刺激が 摂食量変化に及ぼす効果 4 グレープフルーツ精油およびリモネンの匂い刺激が 体温に及ぼす効果 脳波のα波 • ラベンダー:α波 • ジャスミン • ティートリー • サンダルウッド ラベンダー、レモン、蒸留水のα波のトポグラフ 蒸留水 ラベンダー Linalyl acetate Linalool ラベンダーの構成成分 (リラクゼーション効果↑) (好き嫌いに拘らず) } α波 (リラクゼーション効果 ↑ ) 好きだと感じる人のみ ラベンダーとレモンのスーパーオキシド消去活性 レモン Limonene 酢酸リナリル、リナロール、リモネンの スーパーオキシド消去活性 レモンの構成成分 5 ラベンダーとレモンのDPPHラジカル消去活性 一重項酸素の産生方法 Rose Bengal (光増感剤)と緑色光(550 nm)との光増感反 応により産生させた一重項酸素を、水溶性で安定な4-OHTEMP (4-hydroxy-2,2,6,6,-tetramethyl piperidine) をスピン トラップ剤として使用し、生成したニトロキシドラジカルを捕捉(電 子スピン共鳴:Electron Spin Resonance ESR測定)する。 リモネン、リナロール、酢酸リナリルのDPPH ラジカル消去活性 一重項酸素の産生(550 nm hν) 0 min 10 min 20 min 30 min B+NaN3 ラベンダーとレモンの一重項酸素消去活性 酢酸リナリル、リナロール、リモネンの 一重項酸素消去活性 6 NO Radical ラベンダーとレモンのNOラジカル消去活性 • 一酸化窒素=NO (nitrogen oxide) • Nitroglycerin ⇒ NO ラジカル↑ • 内皮由来弛緩因子 (endothelium-derived relaxing factor) 血管拡張因子 • 抗炎症作用=anti-inflammatory effect 酢酸リナリル、リナロール、リモネンのNO消去活性 抗酸化物質を含む「ごま油」 植物の根、茎、花、種子などにはリグナンという成分が含まれてい る。ゴマに含まれているリグナンをゴマリグナンと呼ぶ。ゴマリグ ナンは抗酸化物質のセサミン、セサモール、セサミノール、セサモ リナンなどの総称。なかでも強い抗酸化作用があるのがセサミノー ル。中華料理の必需品のゴマ油、ゴマそのものに多量に含まれるセ サモリンが、油を作る過程でセサミノールに変身。 Sesamol Superoxide Scavenging Activity of Sesamol and Interaction with α-tocopherol and γ-tocotrienol O O OH Sesamol (3, 4-Methylenedioxyphenol) 7 DPPH Radical Scavenging Activity of Sesamol and Interaction with α-tocopherol and γ-tocotrienol Singlet Oxygen Scavenging Activity of Sesamol Singlet Oxygen Scavenging Activity of Sesamol and Interaction with α-tocopherol and γ-tocotrienol NO Radical Scavenging Activity of Sesamol and Interaction with α-tocopherol and γ-tocotrienol Hydroxyl Radicak Scavenging Activity of Sesamol and Interaction with Vitamin C カロテノイド類(アンチエイジング) • • • • • • βーカロテン(人参、かぼちゃ) リコピン(トマト、柿、スイカ) ルテイン(ほうれん草、卵黄) (ほうれん草 卵黄) フコキサンチン(わかめ、ヒジキ) カプサンチン (唐辛子) アスタキサンチン(かに、えび、鮭) 8 皮膚と毛髪 カロテノイドの薬理 カロテノイド(βーカロテン)の抗酸化作用 • 皮膚の老化 1:一般老化 a :ガンの予防(抗腫瘍作用):口腔癌、子宮頸癌 2:光老化 加齢と共に平坦化し乾燥 UVにより活性酸素が生じ、コラーゲンの重合促進 UVにより活性酸素が生じ コラ ゲンの重合促進 →シワ、たるみ βーカロテンの細胞増殖抑制効果(EGFレセプターの低下) b :動脈硬化の予防 LDL(low density lipoprotein)の酸化抑制 アテローム性動脈硬化(free radicalによる障害) ● 毛髪の老化 加齢で毛嚢の機能が落ち、40歳すぎから灰色毛髪や白髪 女性は更年期前後、男性は60歳ころから毛髪数や径の減少 人は血管と共に老いる Optical spectral skin permeation カロテン類の皮膚内分布 紫外線と活性酸素 カロテノイド類の皮膚に対する作用の 分類(化粧品への応用) • 1:生理学的:レチノイドの前駆体としての作用 表皮細胞への作用:表皮分化誘導作用 • 2:薬理学的:薬理学的濃度で初めて発現される作用 表皮細胞への作用:抗角化作用(角層剥離作用) 真皮細胞への作用:創傷治癒作用(抗皺作用) • 3:化学的:ビタミン又はホルモン用作用以外の作用: 光線過敏症の予防 活性酸素消去・ラジカル捕獲作用:抗癌作用・抗皺 作用(脂質過酸化生成抑制) 防臭(抗腋臭)作用など 9 カロテノイドによる光線過敏症の治療 • UVA照射:1O2、 日光蕁麻疹:波長特異性420nm β-カロテンの有効性 キサントフィル類、リコピン • UVB照射:O2-→OH・→LOO・ β-カロテンの紅斑反応の抑制 β-カロテンの過剰症・副作用 • 食事性カロテノイド過剰症(食事性柑皮症) 主成分:β-クリプトキサンチン (眼球結膜の黄染 肝機能異常なし) (眼球結膜の黄染、肝機能異常なし) 血清カロテノイド濃度:約1.5~2.0倍上昇 βーカロテンの過剰摂取でビタミンA過剰症は生じない 赤血球造血性プロトポルフィリン症の患者:通常の60倍の 30~180mgのβーカロテンを長期摂取しても副作用なし • • • • 1: 肺癌による死亡率が18%多かった(Finland study) 2: カンタキサンチン:日焼け止め経口薬(アメリカ) 3: 13-cis-レチノイン酸: にきびの薬:催奇形性の警告 (レチノイドの毒性) 4: 不妊:レチノイン酸が関与(ビタミンA欠乏) トマトのOHラジカル消去活性 リコピン • 血清、肝、副腎、肺、前立腺、皮膚 β-カロテンの過剰症・副作用 (他より高濃度) 抗酸化作用:一重項酸素消去能が高い 抗腫瘍作用:乳がん、前立腺癌 血中コレステロール低下作用 血中コレステロ ル低下作用 皮膚紅斑の減少 • リコピン配合サプリメント: • 薬物との相互作用: 科学的根拠なし 製造業者により配合物が異なる HMGCoA還元酵素阻害薬(スタチン) コレステロール合成抑制:作用を増強 スタチン使用で血清中リコペン濃度の低下 10 トマトのDPPH消去活性 トマトのスーパーオキシド消去活性 トマトの一重項酸素消去活性 トマトのNOラジカル消去活性 アスタキサンチン の抗酸化作用 アスタキサンチン…… • 1:脂質過酸化抑制: VEの1000倍 • 2:一重項酸素消去: VEの550倍 βーカロテンの40倍 コエンザイムQ10の800倍 皮膚に対する作用:色素沈着抑制 光加齢抑制&メラニン生成抑制 美肌(シワ取り)効果 Haematococcus pluvialis Produced by H.pluvialis ■ More stable because it is esterified ■ More rapidly absorbed ■ Can be mass produced in a cost efficient way ■ Safe, natural source ■ 1,000 biodomes 4 feet in diameter 11 ルテインとは? アスタキサンチンは一重項酸素を消去する Relative signal intensiity of 4-OH-TMPOL カロテノイドの一種(ホウレンソウ、ブロッコリー、 マリーゴールド等に含まれる 黄色色素) Control ・carotene ルテインとその代謝物 Astaxanthin (眼の水晶体、黄班部に存在) Histidine ルテインは体内では合成できない 食物に含まれる量は僅か Concentration of astaxanthin (mM) min ヘッドトリートメントのリラクゼーション効果 Change in Cortisol before and after Head-treatment * ** 0.3 • 1:ヘッドセラピー(頭皮を中心に肩から背部の肩甲骨, ** Cortisol ((μg / dl) 頸、上腕、顔を施術。全身のエネルギー バランスを整える) • 2:ヘッドスパ (デコルテをオイルトリートメントする。次 いで頭皮をトリートメント、洗髪、機材を 使用せず、施術者の手で行う) 0.2 * Before A fter 0.1 • 3:γ- LAX (頭皮の皮脂除去が目的。毛穴を開 0 Control かせ溶剤を塗布、スチームをあてている 間にハンドトリートメント、ついで洗髪) Headtherapy Headspa γ -LAX Fig. 1 Change in Chromogranin A before and after head-treatment Change in Scavenging Activity in Superoxide before and after Head-treatment 50 15 B efore 10 A fter 5 Scavenging actiivity (%) Chromogranin A (p mol/ml) 20 ** ** 40 30 Before After 20 10 0 C ontrol F ig. 2 H ead therapy H ead spa γ -LA X 0 Total Headthrapy Headspa γ-LAX 12 Change in BAP before and After Head-treatment Change in 17-β-estradiol before and after Head-treatment 20 ** 17β-Estradiol ( pg/ml ) 15 B efore 10 A fter 5 0 C ontrol H ead therapy H ead spa γ -LA X Fig. 5 各種お酒の抗酸化活性 BAP と ESRの相関性 ジュースの抗酸化活性 FRAS と ESRの相関性 ビールの抗酸化活性 BAP と ESRの相関性 Thank you for your kind attention ご清聴ありがとうございました 13
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