報告書 - SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI

須磨海岸エリアにおける防災訓練
コミュニティ防災啓蒙活動実施報告
および、地域防災協定に関する報告書
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI実行委員会
ひょうご安全の日推進事業
平成27年3月
【報告書】
はじめに
平成23年3月に発生した東日本大震災では、地震とそれに伴う巨大な津波被害により、死者・行方不明者合わせて2万人近い
被害をもたらしました。そのほかにも液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって、広大な範囲で被害が発生し、各種ライ
フラインが寸断されました。物理的大きな力による災害の前では人間の力は無力であると世界中が感じた。しかしながら、最悪
の状況下でも災害時に備え準備と日々の警鐘を行っていた地域では迅速な避難行動と救助活動により多くの命が救われたの
も事実です。平成26年に発生した長野県神城断層地震では全半壊住宅が 140以上あったにも関わらず奇跡的に死者が 0で
あった。それは街の「住人同士のつながり」が強固でその強い絆と地域住民同士の情報の把握がこの死者ゼロという結果をも
たらしたと後に検証されました。
阪神淡路大震災発生当時、淡路島の北淡町では地元消防団が地域に住む高齢者を救助し、迅速な対応から行方不明者 0と
なっていた。こちらも日頃からのコミュニティ活動により、住民情報の把握がもたらした結果と言われています。
このような事例から、今後発生が懸念されていう南海トラフ巨大地震を想定し阪神淡路大震災より 20年を迎える神戸が世界
に発信できる防災の形として、日常の地域コミュニティの推進を図るとともに、地域の危険箇所の把握、日頃の防災意識の向
上、自助・共助・公助の重要性を認識し、継続的な防災啓蒙活動が必要とされています。
須磨海岸エリアで南海トラフ巨大地震が発生した場合、夏期に観光客の多い須磨海岸エリアでは特に津波被害が想定され観
光客に対する避難誘導の必要性が高く、地域の特性を考慮した災害対策を実 施するよう努めなければいけません。今回取り
組んだ訓練の内容は観光シーズンの災害時におけるシナリオを想定したものや、見て学ぶ物のみならず、目的とする地域のコ
ミュニティ強化を図る体験型の訓練を主とし、阪神淡路大震災を経験していない若者たちが積極的に参加したくなるような遊び
を通じた防災意識の向上を促進させる内容で実施しました。
この報告書では、全国各地の災害により受けた被害を教訓に地域の特性を活かした須磨海岸エリアの住民 主導型防災訓練に
よる取り組みを記し、各地域で行われる防災訓練の企画・準備に際する参考になるようご紹介させて頂いております。
これから全国で行われる防災訓練では『地域の特性』と『コミュニケーション』を意識した取り組みを推進して頂き、
災害における犠牲者を一人でも少なくできれば幸いです。
2
目次
第1章 防災訓練実施目的と対象エリアに地域特性
1 防災訓練実施の目的
・・・4
2 対象エリアとその特性
・・・5
3 阪神淡路大震災の過去
・・・5
第2章 住民主導型防災訓練によるコミュニティ形成
1 住民主導型防災訓練の重要性とコミュニティ防災 ・・・6
2 中規模コミュニティとしての役割と重要性
・・・7
3 地域における個々の役割の把握
・・・7
第3章 訓練概要
1 概要
・・・8
2 実施団体と役割
・・・10
3 防災訓練コンテンツの設計
・・・12
4 準備過程
・・・13
5 防災訓練実施の広報
・・・15
6 webサイトの活用について
・・・17
7 訓練備品の準備
・・・18
第4章 訓練コンテンツ
1 1階部分
・・・19
2 校庭部分
・・・20
3 体育館部分
・・・26
4 鎮魂の灯火
・・・30
5 当日の様子
・・・31
6 タイムスケジュール
・・・33
第5章 問題点と対処
1 防災訓練実施に向けた準備段階での問題点とその内容 ・・・34
2 防災訓練を実施する上での対処
・・・35
3 地域防災の問題点と考察
・・・36
4 段階的な防災への取り組み
・・・37
第6章 アンケート結果
1 アンケート結果
・・・38
第7章 SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI後の活動
1 SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI報告会 交流会
・・・41
2 須磨海岸文化祭における防災マップを使った啓蒙活動 ・・・42
第8章
地域防災力強化に向けた宣言
1 防域防 災に 関す る宣 言を 行う にあ た り
・・・43
2 内容
3 目的
4 防災宣言ポスターの提示
・・・44
5 防災宣言ポスターデザイン
・・・45
3
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
- 2014 SUMA SEASIDE AREA 第1章 防災訓練実施目的と対象エリアに地域特性
1 防災訓練実施の目的
近年 叫ば れる 南海 トラ フ 大地 震。 東日 本大 震災 の教 訓か ら、 被害 は広 域に 海辺 の町 に大 きな ダ メー ジを 与え るこ とが 予測 され ます 。
私た ちは 次世 代へ 受け 継 ぐべ き記 憶、 そこ に備 えて 十分 な準 備と 迅速 に稼 動・ 連携 でき るコ ミ ュニ ティ 作り をし てお かな けれ ばい
けま せん 。須 磨海 岸エ リ アで は地 域の 特性 とし て災 害 発 生時 に地 域住 民の みな ら ず 、夏 期シ ー ズン には 多く の観 光客 がい るこ とも
予測 され ます 。ま た、 新 しい マン ショ ンや 住居 の建 設が 進み 、震 災を 知ら ない 移住 者も 増え て いる 状況 や全 国的 な問 題と して 高齢
者や 要支 援者 とい った 避 難困 難者 の存 在な ど、 自分 自身 の命 以外 にも 、守 るべ き命 があ るこ と を 認 識し なけ れば いけ ない 。し かし
こう いっ た地 域の 特性 、 住民 に対 して 地域 が連 携し た防 災の 取り 組み はま だま だ薄 い現 状。
今回 の防 災訓 練は 小中 学 校区 を範 囲と した 中規 模コ ミュ ニテ ィの 形成 を 促 すこ とを 目的 とし な がら 、災 害 時 にお ける 知識 と経 験の
部分 で学 べる 要素 を含 ん だも のに なっ てお り、 近 隣 住民 の多 種多 様な 人材 が防 災を テー マに そ れ ぞ れの 分野 で取 り組 むこ とが 出来
るも のを コン テン ツ化 し 、 単 にそ れを 提供 する ので はな く、 子供 と大 人が 世代 を超 えて 協働 し て取 り組 み、 街の 中で の役 割と 地域
の特 性を 再確 認す るこ と で防 災 意 識の 向上 にな るよ うに 『SUMAあ そBOUSAI まな BOUSAI 』 を開 催し まし た。
コミ ュニ ティ の強 化に よ る迅 速に 稼動 でき る 共 助の 体制 を整 える とい うこ とは 、震 災を 経験 し た兵 庫か ら世 界へ 発信 する べき 取り
組み と考 えま す。
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第1章 防災訓練実施目的と対象エリアに地域特性
2 対象エリアとその特性
本防災訓練では地域防災力向上のため、実施会場となった神戸市立若宮小学校の校区だけではなく、ともに海岸沿岸部に隣接する神戸市立西須
磨小学校の校区も対象とし、両校と2校の卒業生の大半が進む神戸市立鷹取中学校の協力を得て開催されました。
南海トラフ巨大地震以外にも風水害などが発生した場合、河川、山間部周辺での懸念される被害想定は地理的な条件や地域の特性から多岐にわ
たると推測され、地域の危険箇所の把握が重要となる。須磨海岸周辺エリアは神戸市立須磨海浜水族園、須磨海水浴場をはじめとして、須磨海
釣り公園や須磨浦山上遊園などの沿岸部に隣接する大型観光施設のほか、歴史の古い須磨寺など山間部に神社仏閣を有する幅広い年齢層の観光客
が集まる地域である。地形から見ても海と山が隣接する地域で、商店街と住宅地の密接する人口密集地でもある。この中でも注視すべき点が夏期の観光
客の多さである。海水浴客はシーズン中80万人近い来場があり、日中に巨大地震が発生した場合、迅速な避難誘導と明確な順路、避難場所の確保等、観
光客へ対する防災力の重要性が高い。
3 阪神淡路大震災の過去
1995年の阪神淡路大震災では、六甲・淡路島断層帯の淡路島北部から伊丹市中心部付近まで伸びる約50kmの断層のずれが大きな揺れを
引き起こしたと推定されている。その中でも須磨区から西宮市にかけ、震災の帯といわれる幅1km長さ20kmの被害集中域が生じ、
特に揺れが大きかったことを物語っている。これは内閣府の発表にも神戸市須磨区は震度7の記録がある。
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SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
- 2014 SUMA SEASIDE AREA 第2章 住民主導型防災訓練によるコミュニティ形成
1 住民主導型防災訓練の重要性とコミュニティ防災
近年日本各地で甚大な被害を引き起こす自然災害の対策として「自助、共助、公助」という役割分担の認識が必要とされている。阪神淡路大震災で
は発生直後に16万4000人が瓦礫の下敷きとなり、※自力、もしくは家族に救助された比率(自助)が66.8%、ついで友人、隣人、通行人の比率(共
助)の比率が28.1%と、自助共助で全体の95%近くを占め、災害時には住民が協力し合うことが大切であるとわかった。(公助1.7%)
※(社)日本火災学会「兵庫県南部地震における火災に関する調査報告書」より
災害発生直後はその被害が広域であった場合、被災地域へ救助隊が到着するまでに時間がかかる。特に災害発生から24時間以内の救出は生存率が高
いため、南海トラフ巨大地震を想定した場合、行政機関の救援部隊は太平洋沿岸地域が主となることが予測される。そのことから海岸エリアでは住
民間の協力した救助活動が被害者を減らす大きな要因になる。減災は日頃から地域住民と地域事業者の相互の協力関係を深め、災害発生から自分や
その家族を守るために「自らの安全は自らが守る」という自覚を持ち、自発的に地域の特性を把握しながら防災意識を高めることが重要である。そ
のためにも、日常時には地域課題を解決する目的を持ったコミュニティ連携が大きく役割を持つ。
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第2章 住民主導型防災訓練によるコミュニティ形成
2 中規模コミュニティとしての役割と重要性
コミュニティの規模としては災害発生時に道路や交通機関が寸断されている可能性が
あるため、徒歩で行ける範囲とすることが望ましいことから小中学校区(須磨海岸周
辺エリアを想定)を範囲規模とする。これは避難所運営に関わる住民の可動範囲とし
て予測され、既存する地域の防災福祉コミュニティの活動範囲である。
このことから小中学校区を範囲とした中規模のコミュニティを推進することで地域の
防災力を向上することができると考えた。地区の情報を把握している住民の情報交換
により、より地域の特性に対応した仕組みづくりが可能となる。
それは防災関連の対策だけではなく、高齢者問題地域活性化問題など多様な世代と文
化に有用であると考える。災害時に対応できるよう日頃から地域住民との交流、防災
知識の共有と連携を進めるとともに、日常時は相互の交流による地域活性のコミュニ
ティとして人材の発掘育成、機会創出を行える。
3 地域における個々の役割の把握
須磨海岸エリアでは夏の海水浴シーズンに観光客も多く来訪している。
最悪のシナリオを想定した場合、地域住民と事業者が担う役割として、避難困難者を
誘導、もしくは受け入れる体制を準備しておかなければいけない。
それは住民と事業者の交流から情報交換を行い、周辺施設・団体の救援活動内容、地
域の人材をお互いが把握することで迅速な避難所運営および支援活動が行える。
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SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
- 2014 SUMA SEASIDE AREA 第3章 訓練概要
1 概要
SUMA あそ BOUSAI ま なBOUSAI は須 磨海 岸部 にお 住ま いの 住民 を主 に対 象と し、 周辺 で活 動す る団 体 、 企 業、 学校 、行 政を 中心 とし
学生 、市 民ス タッ フと と も に 協働 して 行う 防災 訓練 です 。 ワ ーク ショ ップ 体験 や展 示物 、昼 食時 に は全 ての コン テン ツを 中 断 し、
参加 者全 員で 昼食 を食 べよ う など 、避 難生 活と 災害 発生 時の 人命 救助 を子 供た ちと とも に楽 しく 交 流し なが ら 学 ぼう と行 うも ので す。
協働 で活 動を 行う こと によ り 、 社 会を の未 来を とも に創 る仲 間作 りと なる こと を目 的と して いま す 。阪 神淡 路大 震災 を 知 る大 人た ちと
東日 本大 震災 を 知 る若 者た ち 。震 災を テー マに 年 齢 を越 えて 各世 代が 担う べき 役割 を 再 確認 し、 改 めて 一つ の場 所に 集い 、目 的を
共に する こと で わ が街 に対 す る思 いを 共感 出来 る街 であ りた いと 、当 企画 を社 会貢 献活 動と して 取 り組 みま した 。
(1) 訓練名
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
(2) 訓練日時
平成 26 年 5 月 11 日 10 時 00 分~19 時 00 分
(3) 訓練場所
神戸市立若宮小学校
兵庫県神戸市須磨区若宮町2-1-21
(4) 題材
大災害に備えたコミュニティ防災の推進と訓練
(5) 訓練の種類
体験型訓練・防災グッズ、写真展示、参加費無料
(6) 訓練対象場面
災害発生後~避難所運営まで
(7) 参加機関・人数
34機関・800名
(8) 主催
須磨あそBOUSAIまなBOUSAI実行委員会 ・共同代表 須磨オーシャンサービス(S.O.S.) 一枝淳治
・共同代表 若宮地区防災福祉コミュニティ 伊藤洪二
・共同代表 株式会社サンテレビジョン 田村憲一
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第3章 訓練概要
役割構成
若宮地区防災福祉コミュニティ
神戸市立若宮小学校
株式会社サンテレビジョン
伊藤洪二
田中準三
田村憲一
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI実行委員会
代表 一枝淳治
事務局
救助活動部
学校関係者
(担当:若宮商店街 元部雅由)
医療救護部
PTA・保護者
企業関係者
(担当:神戸ライフセービングクラブ)
避難所運営部
行政関係者
(担当:神戸女子大学 梶木典子)
地域団体
行政連携
(担当:須磨区役所 鎌田・筑田)
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第3章 訓練概要
2 実施団体と役割
国民宿舎シーパル須磨
総合統括
神戸市立若宮小学校
会場管理・学生サポーター管理・合唱
株式会社サンテレビジョン
テレビ映像・取材・記録
医療法人社団 慈恵会新須磨病院
救急治療・心肺蘇生
神戸ライフセービングクラブ
身の回りのもので救急・街の保健室
須磨消防団
けが人救助・煙体験・消火器・前日準備
防災福祉コミュニティ(若宮)
障害物歩行・消火器
防災福祉コミュニティ(西須磨)
障害物歩行・消火器
兵庫県立舞子高校
パネル展示・クロスロード・学生サポーター・当日準備
神戸市立西須磨小学校
学生サポーター
日本自動車連盟兵庫支部
レッカー車実演・ジャッキで救助
須磨警察署
パトカー・白バイの展示
須磨消防署
消防車・救急車の展示
大阪ガス株式会社
火起こし体験
若宮地区青少年育成協議会
非常食の配給
KOBEパンプロジェクト実行委員会
防災パン
エム・シーシー食品株式会社
非常用スープ
あかし玉子焼・夢工房
非常食の配給補助
若宮商店街
非常食の配給補助
ナナ・ファーム須磨
非常食の配給補助
須磨海浜公園売店協同組合
非常食の配給補助
本部
広報
医療・介護
防災体験
非常食の配給
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第3章 訓練概要
神戸女子大学
紙食器作り・ゆるキャラ・ケアルーム・学生サポーター
小学校PTA
できますゼッケン
須磨区役所
防災クイズ
5日で5000枚の約束。プロジェクト
5日で5000枚の約束。プロジェクト・紙芝居
須磨漁港漁人神戸
漁師のロープワーク
神戸ライフセービングクラブ
まちの保健室・落下物避難ゲーム・ストレッチ体操
株式会社電鉄商事
会場運営補助
有限会社北村電気工業
会場運営補助
学生MIXサポーター
ゆるキャラサポート
神戸市役所
ワケトン
須磨区役所
すまぼう
兵庫県
はばタン
神戸市立須磨海浜水族園
スマッピー
株式会社近畿タクシー
観光客輸送
神戸市立須磨海浜水族園
観光客誘導
S.O.S.
総合統括・準備
神戸市立若宮小学校
会場整理
須磨消防団
会場警備
学生MIXサポーター
当日サポート
校内展示
体育館コンテンツ
ゆるキャラ
観光客輸送
追悼の灯火
※訓練終了後
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第3章 訓練概要
3 防災訓練コンテンツの設計
コミュニティ防災における重要課題として、参加者が交流を持ちながら、防災意識を高めることを目的とし3つの概念を導入して災害対応を設計した。
①コミュニケーション強化とコミュニティ形成の視点
②多様な参加者のケアと啓発
③体験型訓練
○ コミュニケーション強化とコミュニティ形成の視点
災害時を想定したシミュレーションを行い、それぞれができる支援を考察し、提供できるものを示すことで、訓練内容の弱みをカバーするための
協力を行うことができた。このことにより、準備段階においてネットワーク強化が行えた。
○ 多様な参加者のケアと啓発
地域の特性を考察し、避難困難者(観光客・要支援者・高齢者・妊婦・乳幼児等)と地域住民へのその存在の啓発を意識した内容を盛り込んだ。
○ 体験型訓練
訓練実施団体が災害時に行える支援活動を体験することで、地域の事業者・団体との交流接点を作り出した。また、震災を知らない世代へ向け、
参加しやすいプログラムを用意し日頃からの防災意識は工夫をすることで向上すると伝えた。
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第3章 訓練概要
4 準備過程
1 実行委員会の設立
2011年1月より地域の商業施設6団体が結成した須磨オーシャンサービス(所属:神戸市立国民宿舎シーパル須磨、神戸市立須磨海浜水族園、
若宮商店街、須磨漁港漁師、須磨海浜公園売店協同組合、ナナ・ファーム須磨、以下『S.O.S.』と略す)は2011年春より年1回のペースで
地域連携による活性化イベントを開催してきたが、より地域住民や事業者との交流を深めたいと防災という共通テーマで須磨海岸周辺で事業、
活動を行う施設、団体を集い、今後発生することが懸念されている南海トラフ巨大地震に備えコミュニティ防災の重要性を訴え2014年1月に
実行委員会を設置した。
2 訓練規模、内容、目的の決定
防災訓練を企画するに当たり、海岸エリアで多くの避難者が集うと予測される神戸市立若宮小学校(以下、若宮小学校)を会場とすることとし、
その訓練規模を隣接する神戸市立西須磨小学校区を含む須磨海岸エリア周辺(東西約4km、南北約1.5km)とした。
訓練参加者は両校生徒合計約1000名とその両親の2~3割、加えて地域住民、その他(参加条件、予約等はなし)と考え1200名の参加予測を出した。
南海トラフ巨大地震の被害予測の検証を行い、周辺事業者、団体、自治会、消防団への協力を打診し、震災を知らない世代へ向けた参加しやすい
プログラムの企画の立案を行った。震災20年を振り返り取り組むべき課題として震災経験の継承と地域の特性を熟知した住民が本企画を遂行すべき
と考え、町中の危険箇所、防災意識の共有を図ることで地域防災力の向上を行うこととした。
3 プログラムの設計
防災訓練のプログラムの設定に関して、協力団体、事業者の日常業務から想定される支援方法を考察した。災害発生時から避難所運営までの
シナリオとし、①消火・救助・防犯活動 ②要支援者の保護・医療救護活動 ③避難所運営・物資供給の管理・情報収集、発信活動の
3つに分類した活動の中でコミュニティ形成という目的の整合性と実施意義を考え内容のブラッシュアップを行った。
例)神戸ライフセービングクラブによる避難所でのストレッチ運動
避難所では運動不足になり病気やストレスを抱えることを想定し、避難所内でできる簡単な運動をレクチャーした
防災訓練
消火活動
救助活動
防犯活動
バケツリレー
消火器訓練
けが人搬送
火災脱出訓練
要支援者の救護
医療救護活動
緊急処置法
妊婦・乳幼児避難
要支援者避難
メンタル・健康管理
避難所の運営
物資供給の管理
情報の収集・発信
緊急車両展示
非常食提供
写真・防災グッズ展示
ロープワーク
火おこし体験
ジャッキで救助
体育館避難
防災啓発活動
情報発信連携
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第3章 訓練概要
会場となる若宮小学校の校内マップを作成し、訓練参加者の行動と防災意識啓発、災害時の避難所運営を想定した順路を決定していく
図上シミュレーション訓練を行い、一般参加者に加えて避難困難者へのケアの対応を検討した。
この図上シュミレーション訓練では避難所運営に関して検討すべき課題があがった。
例1) 避難所内での避難困難者の安否情報の把握
⇒ 市外からの来訪者専用の安否情報記入用紙の作成と掲示板の設置
例2) 車椅子の参加者順路とケア
⇒ 待機スペースの準備とエレベーターの使用・案内
例3)ペットを連れた避難者の対応
⇒ 本訓練では対応が難しいとされたが、課題があるとわかった。
静岡県で考案された避難所模擬運営ゲーム『HUG』で多様なシーンを想定した。
全体会議 2014/1/22 2/7 3/7 3/28 4/16(各2時間)
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第3章 訓練概要
5 防災訓練実施の広報
防災訓練実施に関するポスター、チラシの製作を行い、専用サイトで詳細の案内を行った。
専用サイト(http://asomana.boo.jp/)での告知(4/10-)
神戸市交通局沿線NAVIにて紹介(http://ktbsp.jp/area/865/)
須磨海岸周辺施設でのポスター掲示とチラシ配布
広報こうべの折込(対象エリア約3000部)
神戸市営地下鉄全駅(21駅)にポスターの掲示とチラシの設置(2014/4/21-4/27)
若宮小学校、西須磨小学校、鷹取中学校全生徒にチラシの配布
ラジオ関西『羽川秀樹ハッスル!』での告知(4/23)
神戸市青少年館でのチラシ配布
チラシデザイン(表裏)
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第3章 訓練概要
須磨海岸エリアでは須磨海浜水族園、国民宿舎シーパル須磨に加え、地域の物産を扱うナナ・ファーム須磨に
観光客が訪れている。災害発生時、土地勘のない方々をどのように避難所まで誘導し対処するのかを
問われることになります。そこで今回は過去の海岸エリアで開催したイベントコンテンツを利用し輸送バス運行を
実施して観光客誘導を行いました。また、要支援者は地域の課題啓発の意味も兼ね、ご招待することとし
地域一般参加に関しては地域情報紙、チラシやポスター、お誘い合わせ、webを使った広報を行い参加を促しました。
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第3章 訓練概要
6 webサイトの活用について 防災訓練を知る
調べて内容や趣旨を知る
興味を抱く
webサイトを活用した
防災訓練を知った時に内容を把握して頂くためには
広告やポスター内にすべての言葉を盛り込むのは難しい。
情報を知りたい人が気軽に検索できる状況を作り出し
『その時』
『その後』
内容を把握した上で参加することで目的を達成しやすい。
防災訓練を体験
新たな発見と
出会いが生まれる
その時の瞬間を
記録し伝える。
『それまで』
今回の防災訓練の目的の一つとして『コミュニティの形成』がある。
コミュニティは人と人とがつながることであり、そのきっかけとして
『SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI』を開催する。
人がつながる瞬間、ともに地域の課題を考える瞬間、協働して
絆が生まれる瞬間、この日がスタートとなる。
ただの1日にならないように、その様子を記録し伝える。
発信するのは『それまで』と『その時』と
それをきっかけに生まれる『コミュニティ形成』の様
人と人とがつながるためにはきっかけが必要である。
そのつながりが深くなるためには時間と共感が必要である。
今回の防災訓練をきっかけとして経験した情報を発信し、共感を投げかける。
地域の皆様と対話をし、助け合い(コミュニティ)で解決できる課題をクリアしていく。
どのような経緯で街中の課題を解決していったのかをメディアに取り上げられたとき
情報の拡散は気軽に誰もがいつどこででも得ることができる環境が必要となる。
海岸エリアの防災に関する情報をまとめ、海岸エリア各施設のサイトでリンクをし
地域の防災の取り組みを広く知って頂き、緊急時も可動するコミュニティ形成と
街の魅力を発信して地域活性化に繋げるモデルとなりたい。
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第3章 訓練概要
7 訓練備品の準備
避難所での情報共有、コミュニケーションツールを想定し下記のものを製作した。
(製作物に関しては別添付する)
〇避難所での情報共有ツール
『私はここにいます用紙』…避難所(待避所)を移り変わる際に次の居場所を記す用紙
『安否確認用紙』…探し人の名前と自身の連絡先を書き、安否連絡を求める用紙
『安否確認用紙(写真添付型)』…写真を添付し、周辺の方々にも情報を求める用紙
『避難場所連絡表』…安否と避難場所をわかりやすく一覧表にした用紙
『支援情報用紙』…事業者、団体が避難所に支援情報を記す用紙
〇防災訓練体験証明バッジ…子供たちの訓練参加を推進するため使用
〇できますゼッケン…コミュニケーションツールとして使用
〇防災アンケート…訓練参加者へ防災意識と訓練内容に関するアンケートを行った。
市外からの来訪者想定した安否確認表
コミュニケーションツールとして出来ますゼッケンを使用
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SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
- 2014 SUMA SEASIDE AREA 第4章 訓練コンテンツ
防災訓練は会場となる若宮小学校の1階部分、校庭、3階の体育館を使い行われました。
各会場ごとにコンセプトを分け、訓練を行った。
1 1階部分
〇東日本大震災の写真パネルと防災アイデアグッズの展示
提供:兵庫県立舞子高校
内容:東北へ震災復興のためボランティアに行った学生たちの活動の様子を展示
そのほか生徒たちが考えた防災グッズを展示し参加者に説明しました。
〇非常品持ち出しゲーム
提供:NPO法人兵庫県防災士会
内容:災害発生時に持ち出す荷物としてどういったものを選ぶか?というゲーム
重量制限がありそれに見合うものをリュックにつめる。
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第4章 訓練コンテンツ
〇できますゼッケン
提供:県立舞子高校
内容:自身ができる支援とニックネームを専用用紙に書き込み胸に貼り付けるコミュニケーションツールとして活用した。
小学校 1F・校庭
〇奥須磨の水マロッ飲料水の提供
提供:サン神戸ウォーターサプライ株式会社
内容:避難所でのミネラルウォーター提供支援
2 校庭部分
〇巨大マッピング
提供:S.O.S.
内容:5×2mの海岸エリアのマップを掲示し、危険箇所や避難所を記した。
参加者には自宅にマーキングして頂き、地域防災情報を知って頂いた。
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第4章 訓練コンテンツ
〇けが人救助搬送
提供:須磨消防団
内容:棒とマットを使用して担架を作りけが人救助体験を行った。
小学校 1F・校庭
〇障害物歩行
提供:若宮地区防災福祉コミュニティ
内容:くじ引きで目隠しや障がい者誘導といった役割で障害物を置いたルートを歩いた。
〇消火器訓練
提供:須磨消防署
内容:水消火器を使って的当てゲームを行い消火器訓練を行った。
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第4章 訓練コンテンツ
〇救急処置
提供:医療法人慈恵会新須磨病院
内容:AEDを使った心肺蘇生のレクチャーを行った。
小学校 1F・校庭
〇火起こし体験
提供:大阪ガス
内容:棒と板を使った火起こし体験。業種別対抗など競いながら体験した。
〇煙体験
提供:須磨消防団
内容:校庭に用意された煙の充満するテントを通り抜ける訓練
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第4章 訓練コンテンツ
〇地震体験車ゆれるん
提供:須磨消防署
内容:震災体験車を使い参加者に阪神淡路大震災当時の揺れを体験してもらった。
小学校 1F・校庭
〇パトカー展示
提供:兵庫県警須磨消防署
内容:パトカー、覆面パトカーの展示を行った。ゆるキャラとふれあい。
〇消防車・救急車の展示
提供:須磨消防署
内容:消防車と救急車の展示を行った。キッズ衣装を用意し写真撮影が出来た。
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第4章 訓練コンテンツ
〇JAFレッカー展示
提供:日本自動車連盟兵庫支部
内容:緊急車両レッカー車の展示と事故発生時の対処
小学校 1F・校庭
〇飲料水の供給
提供:神戸市水道局
内容:給水車で避難所に水を供給する体験を行った。
〇放水訓練
提供:須磨消防団
内容:火災発生時に出動する消火ポンプを使用した放水体験を行った。
24
〇非常食のサンプリング
提供:神戸パンプロジェクト、エム・シーシー食品株式会社、須磨海浜公園売店協同組合
内容:避難所での配給を想定した防災パン、スープのサンプリングを行った。
小学校 1F・校庭
25
第4章 訓練コンテンツ
3 体育館部分
〇5日で5000枚の約束。プロジェクト
提供:5日で5000枚の約束。プロジェクト
内容:体育館に畳60枚を敷き、避難所を想定した。畳の上で休憩や体操、紙芝居を行った。
小学校 3F
〇紙芝居とイグサプール
提供:前田畳製作所
内容:震災に関する紙芝居を行った。子供たちが楽しめるようイグサのプールを設置
〇漁師のロープワーク
提供:須磨漁港漁師
内容:漁師が日頃使うロープの結び方のレクチャーを行った。
26
第4章 訓練コンテンツ
〇防災グッズ作り
提供:森本高広
内容:工作のように楽しみながら作れる防災グッズを展示紹介した。
小学校 3F
〇ポンチョ・紙食器作り
提供:神戸女子大学
内容:ビニール袋や折り紙などを使って手作りポンチョを子供たちと製作した。
〇ゆるキャラ防災クイズ
提供:須磨区役所・兵庫県立舞子高校・神戸AMP
内容:緊急災害時の対処方法をクイズ形式で出題。ゆるキャラと歌のお兄さんとともに楽しく子供たちがクイズに参加した。
27
第4章 訓練コンテンツ
〇ダンボールハウス作り
提供:神戸女子大学
内容:ダンボールを使った避難所を参加した子供たちとかわいく作った。
小学校 3F
〇体ほぐそう体操
提供:神戸ライフセービングクラブ
内容:畳の上で簡単にできるストレッチ運動を行った。
〇まちなか保健室
提供:神戸ライフセービングクラブ
内容:身近なものでできる救急処置を行った。
28
〇落下物避難ゲーム
提供:神戸ライフセービングクラブ
内容:頭上から落ちてくる落下物を机などの下に隠れてよけるゲーム
地震の際の避難を想定したゲーム
第4章 訓練コンテンツ
小学校 3F
29
5 当日の様子
第4章 訓練コンテンツ
30
5 当日の様子
第4章 訓練コンテンツ
31
4 鎮魂の灯火
鎮魂の灯火
(防災訓練終了後)
第4章 訓練コンテンツ
阪神淡路大震災
須磨区の亡くなった方399名。
1995年1月17日
多くの命が消えた日
大切な人を失った悲しみを
忘れないように
そして、私たちの未来の光が
明るいものであるように
399本の火を灯しました。
32
5 タイムスケジュール
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI タイムスケジュール
2014年5月11日(日)10:00~19:00開催
校庭
廊下(1F)
体育館
7:00
テント設営・準備
(展示物の準備は前日より)
8:00
展示車両搬入
9:00
各コンテンツ準備
各コンテンツ準備
各コンテンツ準備
10:00
非常訓練開始
参加者入場開始
防災訓練開始
11:00
非常食提供開始
12:00
(全員昼食)
(全員昼食)
(全員昼食)
終了・展示車搬出・テント撤収
終了・撤収
終了・撤収
資材搬入開始
13:00
14:00
15:00
16:00
17:00
17:30
撤収確認後、キャンドルナイト準備
キャンドル点火式 挨拶
18:00
18:30
19:00
片付け開始
19:30
完全撤収
33
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
- 2014 SUMA SEASIDE AREA 第5章 問題点と対処
防災訓練を開催するにあたり、企画の設計段階で訓練内容や準備段階や地域の問題が見えてきた。
訓練実施に当たり解決できたもの、出来なかったものを挙げ今後の課題としたい。
1 防災訓練実施に向けた準備段階での問題点とその内容
項目
公助に関して
問題点
内容
防災意識の行政依存
防災は行政がするものという意識がある
行政機関との日頃の連携
行政と住民の役割の把握が出来ていない
調整業務の単純化
災害対策室が一本化されていない
観光地という地域特性
.避難経路指示の明瞭化
避難困難者への配慮
帰宅支援、避難支援の住民共有が必要
学校との連携訓練の必要性
学童と地域住民の接点の機会が少ない
震災後の新住民とのコミュニティ
地域の特性を共有する機会が少ない
防災コミュニティの高齢化と次世代の育成
若者と地域の関係が希薄で高齢化が進んでいる
災害発生時リーダーの明瞭化
日常のコミュニティ強化で住民の把握が必要
状況判断のシミュレーションと処理速度
災害予測の想定を明瞭化する必要がある
地域の特性に関して
地域コミュニティに関して
防災に関して
34
第5章 問題点と対処
2 防災訓練を実施する上での対処
問題点
対処
防 災意 識 の 行 政 依 存
企 画 の 設 計 か ら 主 導 し て 住 民が 行 っ た
行政機関との日頃の連携
行政が防災訓練内で一つのコンテンツを担った
調整業務の単純化
事 務局 を 統 一 し た が 手 続 きが 煩 雑 に な り 要 検 討 課題
観 光地 と い う 地 域 特 性
観光施設からのシャトルバス運行を行った
避難困難者への配慮
避 難所 で の 情 報 共 有 掲 示 板 の 設 置 を 行っ た
学 校 と の 連携 訓 練 の 必 要 性
会 場を 学 校 と す る こ と で 教 師 と 住 民 の 協 働 と し た
震 災後 の 新 住 民 と の コ ミ ュ ニ テ ィ
訓練地区の小中学校全生徒に案内を送り広報誌に折込を入れた
防 災コ ミ ュ ニ テ ィ の 高 齢 化 と 次 世 代 の 育 成
地 区 の 防 災 福 祉 コ ミ ュ ニテ ィ と 連 携 し て 企画 を 進 め た
災 害発 生 時 リ ー ダ ー の 明 瞭 化
地 域の コ ミ ュ ニ テ ィ 創 出 機 会と し て 会 議 を 連 携 し て 行 っ た
状況判断のシミュレーションと処理速度
今 後継 続 し た 情 報 共 有 の 機 会 を 創 出 す る 必要 が あ る
35
第5章 問題点と対処
3 地域防災の問題点と考察
問題点
考察
民 間 団 体 が 公 的 な 資 金 を 調 達 す る に は 手 続 きが 煩 雑 で あ る こ と か ら 、 時間 と 労 力 がか か
る 。 民 間 で 防災 事 業 の 資 金 を 捻 出す る こ と が 理 想 で あ る が 、 震 災 か ら 2 0 年 と い う 記 憶 の風
防災事業の資金
化 に よ り 、 防 災 意 識 の 低 下 が 地域 の 企 業 や 各 所 団 体 か ら の 資 金 調 達 を 難 し く し て い る と 感
じ た 。 今 回 は 地 域 事 業 者 の 集ま り か ら ス タ ー ト し た と い う 観 点か ら 、 防 災 事 業 と し て 成 立 さ
せ る た め の 専門 知 識 や 人 材 の 確 保 、 雇 用を 改 め て 行 う こ と は そ れ 以 上に 難し い 。
小 中 学 校 区 で は 防 災 福 祉 コ ミ ュ ニ テ ィ や 消 防 団 と い っ た地 縁 団 体 が 主 と し て 防 災 活 動 を
防災事業の継続と人材育成
地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ の活 動 場 所
行 っ て い る 。 そう い っ た 団 体 組 織 と 地 域で 活 動 す る ま ち づ くり 協 議 会 や 自 治 会 、 婦 人 会 、 N
P O 団 体、 そ の 他 活 動 団 体 と の 連 携 で 事 業 の 共 有 と 連 携 を 図 り 、 防 災 啓発 を 行 う こ と が 負
担 の 軽 減 と な り 継 続 性 を高 め る と 考 え る 。 た だ 、 ど の 団 体 組 織 も 人 材 の 不 足 と 高齢 化 が 問
題とされ、世代とジャンルを超えた多様な団体との交流が急務である。
各 団 体 ・ 組 織 は そ れ ぞ れ の 活 動 拠 点 を 持 ち 、 そ れ が 必 ず し も 共 有 さ れ た 場所 で は な く 、
個 々 の も の で あ る こ と が多 い。 こ れ は 災 害 発 生 時 に そ れ ぞ れ が 違 う 場 所 で 活 動を 行 う 可 能
性 が あ る 。 こ の こ と か ら 、 活 動 場 所の 共 有 を す る こ と で 日 頃 の 情 報 交 換 を 行 う こ と が 有 事 の
際 の 迅 速 な 対 応 に 繋 が る と 考え る 。
交流機会創出コーディネーター
地 域 に は そ れ ぞ れ の 趣 旨 を 持 っ た 活 動 団 体 が 存 在 す る 。 その 活 動 内 容 を 集 約 し 、 誰 も が わ
か り や す く 可 視 化 す る こ と で 共 通 す る 取 り 組 み を 協 働 す る こ と が 出 来 る 。 強い て は 活 動 の 活
性 化 に 繋 が る 。 こ う い っ た 地 域 の 活 動 をま と め 、 コ ミュ ニテ ィ 間 の 交 流 機 会 を 創出 し 繋ぐ パ
イ プ 役 と な る コ ー デ ィ ネ ー タ ー が重 要 と な る 。
住民の防災意識の低下
地 域 住 民 の 防 災 意 識 の向 上 の た め に は 、 地域 で 開 催 さ れ て い る 各種 催 し で 防 災 に 関 す る
啓 蒙 活 動 の 必 要 性 が あ る 。 それ は 必 ず し も 『 訓 練 』 と な る よ う な 実動 的な も の で は な くて も 、
ゲ ー ム 性 や デ ザ イ ン 性 を重 視 し た 参 加 し や す い 取 り 組 み で あ る こ と の ほう が 効 果 的な 啓 発
に繋がることもある。
36
第5章 問題点と対処
4 段階的な防災への取り組み
段階的防災啓発活動
今回の防災訓練の実施により準備段階から多くの課題が生ま
れた。地域の防災力向上のためには、段階的なステップアッ
プによる意識改革が必要と考えられる。それは現在地区ごと
に開催されている様々な催しに防災啓発の要素とコミュニ
ケーションを推進する仕組みを盛り込み、継続的にコミュニ
ティ強化を図ることが望ましい。
しかしながら、それには主催者が共通の防災意識を持つこと
が条件となることから、各所団体を繋ぎ調整を図るコーディ
ネート役が必要と思われる。
地区で開催されている催しは様々で、高齢者のふれあいから
児童を対象としたスポーツの催しなど多様にあるが、次世代
の人材育成や人手不足、活動場所といった課題が共通してい
ることが多い。そのため、交流から共有できる人材を発掘育
成し、各種の活動や催しが活性化することで防災への取り組
みも実践的で継続性のあるものになると考える。
本訓練においては問題を今後の課題となってしまったものがある。
行政機関との連携や継続的な防災意識の啓発活動をテーマにオープンな場で
関係者による議論が必要である。
37
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
- 2014 SUMA SEASIDE AREA 第6章 アンケート結果
Q.1 参加者について
年齢
性別
お住まい
3
25
5
男性
女性
無回答
須磨区外
53
3
11
26
須磨区内
8
48
8
6
14
11
0~9
10 ~ 19
20 ~ 29
30 ~ 39
40 ~ 49
50 ~ 59
60 ~ 69
70 ~
無回答
12
Q.2 誰と来ましたか?
Q.3 どうやってイベントを知りましたか?
9
21
家族
友人
一人
その他
40
9
14
7
45
5
パンフレット
友人・知人から
インターネット
ラジオ
街のポスター
その他
15
38
16
第6章 アンケート結果
3
4
4
1
2
1
2
1
3
3
4
3
2
2
2
18
40
5
6
8
4
4
4
4
4
8
10
今回が初
2~3回目
4回以上
7
7
6
6
11
10
12
9
防災への関心
イベント内容が楽しそう
友人・知人の誘い
その他
11
Q.5 まちなか防災訓練への参加は
Q.4 参加のきっかけは?
51
27
Q.6 印象に残ったコンテンツ
0
ゆるキャラ防災クイズ
落下物避難ゲーム
まちなか保健室
体ほぐそう体操
ダンボールハウス
ポンチョ・紙食器作り
防災グッズ作り
漁師のロープワーク
畳屋さんの紙芝居
畳 5000 枚プロジェクト
できますゼッケン
JAF レッカー展示
消防車展示
パトカー展示
ゆれるん
給水車
煙体験
火起こし体験
救急処置
消火器訓練
障害物歩行
けが人救助
非常品持ち出しゲーム
防災グッズ展示
巨大マップ
39
第6章 アンケート結果
Q.6 印象に残ったコンテンツ(理由)※コメントを抜粋して掲載
非常品持ち出しゲーム:持ってみて実感15㎏
煙体験:煙の中の体験が初めてでとても驚いた
ゆれるん:震災を知らない自分の子供に体験させてあげたかった
障害物歩行:目が不自由な事はとても大変だということ
消火器訓練:もし火事がおこった時の消火器の使い方がよくわかってよかった
できますゼッケン:話せなくても他を知ることができる
消防車展示:消防車には普通乗れないが乗れました
火起こし体験:楽しかった
Q.7 今回のイベントテーマを理解できましたか?
(テーマ:コミュニケーション)
Q.8 今回のイベントは今後の地域防災力向上に
有意義でしたか?
11
1
よく理解できた
概ね理解できた
あまり理解できなかった
その他
非常に有意義
有意義
意義はあるが不満足
有意義ではなかった
30
30
40
41
Q.9 今回のイベントのご意見・感想
Q.10 今後、実行委員会に対してどんな活動を期待しますか?
・災害などは、いつ起こるか分からないので為になりました。
今日学んだことをこれからも活かしていきたいです。
・せっかくのイベントだからもっとだいだい的にアピールすべきだ
・いろんな方々の協力で素敵なイベントだと思った
・とても有意義なイベントだと思った
・楽しく回りことができ、ボランティアの方のご厚意に感謝します。
・どのコンテンツも簡単でよかった
・子供たちは学ぶというより遊ぶという感じだった。
・これからも、今日のような活動をいろいろな場所でして頂きたいです。
・子供や地域参加イベント的防災もっとたくさん
・子供たちにも楽しめる、伝えていける素晴らしい企画だとおもう
・地域の人がもっとたくさん参加できるイベントを計画してほしい
・小中学校にもイベントの事の参加するようにアピール
・また垂水区等でやってほしい。ありがとうございました。
・今後も定期的に開催していただきたい
40
第7章 SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI後の活動
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI
報告会 交流会
住民主導の自主地域防災の協定に関して説明
2014年5月28日 会場:国民宿舎シーパル須磨
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAIでご協力頂いた皆様や地域の方々を
お招きし、地域防災に関する今後の指針とイベントの報告を行いました。
住民が行う災害対策として最も重要であるとした今回のテーマである
『コミュニケーション』。参加者の皆様には『できますゼッケン』を胸に
貼って頂き、より交流がスムーズに行えるように企画しました。
また、地域住民が主導する自主防災システム構築に向けて地域防災協定
に関するご協力をお願いしました。
41
第7章 SUMAあそBOUSAIまなBOUSAI後の活動
須磨海岸文化祭における
防災マップを使った啓蒙活動
須磨海岸地域の危険箇所と避難所を案内した。
2014年9月21日 会場:須磨海浜公園(海岸文化祭)
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAIで使用した海岸エリアの巨大マップを
掲示し、イベント参加の皆様に周辺の危険箇所と避難所を案内した。
海岸文化祭は近隣住民の参加が多く、中には引っ越してきて間もない
ご家族もいらっしゃり、緊急時の対策を熱心に訪ねていました。
ご自宅をマッピングして頂くことによりそれぞれの状況に対応した
緊急時の対策が必要であることが分かり、東南海巨大地震を想定した場合
避難所として指定されている小学校が地域の規模に対して小さいことが
分かった。一年を通じて最も観光客の多い夏場に巨大地震が発生すると
考えた場合、街中の避難誘導をする役目があるのは地域住民であることを
お伝えしながらご案内させていただきました。
42
第8章 地域防災力強化に向けた宣言
1 地域防災に関する宣言を行うにあたり
2014年5月11日に開催し た防災訓練を通じて地域の課題を再度見直す必要があると 感じた。
それは阪神淡路大震災後から言われ続 けた地域コミュニティの重要性に対し て 未だに世代を超え、活動範囲を超え、また事業内容などを
越えた連携が地域で不足していることでした。 私たちは地域間のコミュニティ強化のためにも 緊急災害時における避難者の多様性に対応
できる防災体制を民間で 協力し て構築すること が重要と 考えた。これは今後起こる可能性がある災害に対し て備え、日常時はコミュ ニティ
を活かした地域活動を行い震災の恐怖と困難を忘れないよう 次世代に伝えるためのものである。
※社説 復興の明日へ(14)コミュニティー1996.1.17
h t t p : / / w w w. k o b e - n p . c o . j p / r e n t o k u / s i n s a i / 0 1 / r e n s a i / 1 9 9 6 0 1 / 0 0 0 5 4 7 2 2 0 9 . s h t m l
※震災20年 あの日からの問い 第1部(5)コミュニティー 共助の挑戦 欠かせぬ検証2014.5.16
h t t p : / / w w w. k o b e - n p . c o . j p / r e n t o k u / s i n s a i / 2 0 / r e n s a i / 2 0 1 4 0 5 / 0 0 0 6 9 6 4 1 9 3 . s h t m l
2 内容
1.防災における企業・団体・ 個人の地域貢献について、具体的な支援内容を盛り込んだ文書を作成する。
2.企業・団体・個人のレベルまで幅広い範囲の特徴を持ち、災害発生直後からの緊急支援をベースに継続的に見直しが図られ、 内容の充
実が促進さ れることが期 待される。また、地域に おける防災に対する共同共助意識の向上に 寄与する。
3.支援内容は、協議を通じ てそれぞれの事業実態(身の丈)に即し た、効果があり実現性の高いものとし、地域の 催しでは防災啓発を行う
など、平素からの連携する関係づくりを行う ものである。
3 目的
1.大地震のような広域災害発生直後から 、自治体等による直接的な緊急支援が開始さ れるまでの一定期間(通常3日間)、地域内に所在
する企業団体個人が地域への応急支援を担おうとするものである。
2.この宣誓は、地震、風水害、その他の大規模災害等が発生し、又は発生のおそれがある場合(以下「危機発生時」という。)に、所属す
る企業、個人等が相互に協力して避難場所の提供、物資の輸送、応急対策等を迅速に実施するとともに、平常時からの協力関係により防災
意識の高揚と地域防災力の強化を図ることなどを目的とし、事前対策、応急対策について定めるものとする。
3.災害対策基本法第7条第2項では、住民の責務を以下のように定めている。
「地域防災協定」は、企業においても、地域コミュニティを形成する住民と同 様の責務を果たすことを目的と するものである。
地方公共団体の住民は、自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動に 参加する等防災に寄与するよう に努めな
ければならない。
43
防災宣言ポスターの掲示
国民宿舎シーパル須磨
第8章 地域防災力強化に向けた宣言
須磨海浜水族園(園内外)
須磨区役所
そのほか地域の事業者・店舗でも掲示
SUMA BOUSAI宣言ポスターの掲示
SUMAあそBOUSAIまなBOUSAIを通じて連携した防災の取り組みの重要性を
東須磨漁業振興会
若宮商店街
ナナ・ファーム須磨
須磨海岸監視委員詰所
感じることができました。そこで危機発生時におけるそれぞれの役割を自主的に
宣言することにより、地域防災の啓蒙とそれぞれが自主的に担える役割を再確認
して頂くきっかけとしてポスターの制作、掲示を行いました。
関係機関のみならず、地域の店舗、事業所等にも配布し、地域防災の啓蒙に
貢献できるのではと考えます。
また今後は日常時は地域間のコミュニケーション強化を図り、顔の見える関係
づくりが防災と繋がるように連携強化を図る取り組みを行っていく予定である。
44
防災宣言ポスターデザイン
第8章 地域防災力強化に向けた宣言
45