薬局 が 変われば 地域医療 が 変わる 医師と薬剤師の 協働から始まる 在宅医療 イノ ベ ーション ファルメディコ株式会社 代表取締役 狭間 研至 総 論 4 現在の医療の問題点と超高齢社会に向けての課題 真の医療崩壊=残薬を知らずに 処方する医師 残薬という医療崩壊 !? 医療崩壊という言葉がさまざまなところで言われます。古くは,東京・虎の 門病院泌尿器科の小松秀樹先生が,その著書の題名に用いられたことで広く知 られるようになりました。そこでは,医療の現場でのさまざまな疲弊は,立ち 去り型サボタージュへとつながり,最終的には地域医療における人的リソース が枯渇し,そこの医療が崩壊するという意味合いで使われていました。当時, 私も外科医として勤務しており,医療過誤・医療訴訟の問題や,少しエキセン トリックな言動をする患者にも遭遇してきました。 ただ,このようなセンセーショナルな状況ではなく,少し別の,もっと地味 かつ深刻な医療の崩壊があると感じるようになりました。それは,高齢者の外 来・在宅医療での明らかになりつつある残薬の問題です。 地味な,しかし深刻な問題 残薬は,薬剤師の在宅での活動が活発化するなかで顕在化してきた問題で す。私自身も,患者のご自宅にお伺いしたときに,いつも診察しているのとは 別の部屋に,大量のお薬が薬局からもらってきた状態のまま放置されているの を見たことがあります。その一方で,介護施設に入所されるときに持参薬を確 認すると,それまでその方の治療を担当されていた医師の紹介状の内容どおり にお薬を服用しておらず,大量に余っているのを見ることもあります。 昨今,薬剤師の在宅医療への参画がさまざまな場面で見られていますが, 「持ってくるだけなら,ヘルパーや家族が取りにいく」とか「お薬の配達だけ で居宅療養管理指導の点数が取れるなんて,ちょっと腑に落ちない」などネガ ティブなお話も耳にします。そのようなご意見への反論として,残薬発見とそ れに引き続く処方調整や処方提案によって,過剰な投薬を防止することによる 経済効果を示すことがあります。 日本薬剤師会も,全国規模の調査を実施し,相当数の患者に飲み残しや飲み 総論 ─ 現在の医療の問題点と超高齢社会に向けての課題 ろを積み上げ正常進化を遂げつつも,場合によっては,すべての可能性を排除 せず,そもそも論に立ち返って薬剤師のあるべき姿を妄想してみることが大切 だと思っています。 国民的議論まで発展させる可能性も もう一つは,薬剤師や薬局のあり方が,薬剤師のみの問題でとどまらず,医 師や看護師を含めた医療人全体,そして,場合によっては国民全体を巻き込ん だ議論に発展していく可能性が高まることです。私がこの数年,少し残念に 思ってきたことは,薬剤師の職能拡大や薬局の機能拡張というテーマが,薬剤 師のみの問題として語られているのではないかということです。もし,そうだ とすれば,薬剤師や薬局の変革は「コップの中の嵐」になってしまい,地域医 療にイノベーションを起こすことにはつながっていきません。 しかし,よく考えてみると,医療行為においては外科治療や侵襲的検査が占 める割合は大きいわけではなく,その大部分を薬物治療が占めています。しか も,高齢化が進むということは,薬物治療の適応患者が増えることとともに, 認知機能の低下,複数疾患の併存,肝・腎機能の低下など,さまざまな理由で コンプライアンスやアドヒアランスが低下したり,至適用量・用法の選択が困 難になったりするケースが増えることを意味するのだと思っています。 そのようななかで,法律上,唯一の薬の専門家たる薬剤師のあり方や,その 拠点となる薬局の姿が変わるということの意味合いは,きわめて大きいのでは ないでしょうか。 職能拡大は目的ではなく医療の問題解決の結果として 逆算型で考えるということは,日本全体が持つ医療における問題の解決策を 考えていくことになり,その過程で,薬局や薬剤師の意味合いを国民的な関心 事として考えていくことになり,地域医療のイノベーションにつながっていく と思うのです。薬剤師の職能拡大や薬局の機能拡張は目的ではなく結果です。 積み上げ型でなく逆算型で考えることは,このピットフォールに落ち込まない ためにも重要なポイントではないでしょうか。 地域包括ケアというキーワード そういった意味で,近年,国から発信されている情報のそこかしこに見られ る「地域包括ケア」という概念を薬剤師が理解しておくことは,非常に重要だ 各 論 1 薬剤師を取り巻く環境の変化はイノベーションのチャンスである 1 薬学教育が変わり, 薬学生の意識が変わる 薬学教育 6 年制というインパクト 2006 年から,薬学教育は 6 年制に移行しました。わが国で 6 年の教育課程 を持つのは医師,歯科医師,獣医師のみでしたが,そこに薬剤師が加わったわ けです。この薬学教育 6 年制は,薬学 100 年の悲願ともいわれますが,まさ に明治以後,近代国家として歩みを続けてきたわが国において,薬剤師が医師 や歯科医師とその教育課程が等しく並ぶことは,確かに大きなことだといえる でしょう。 この薬学教育が 6 年制に移行するときには,学校教育法と薬剤師法という 2 つの法律の改正が必要でした。 2004 年 5 月 14 日に可決成立した改正学校教育法では,薬剤師養成のため の薬学教育において薬学部での修業年限が 4 年から 6 年に延長されました。そ の目的は医療技術の高度化,医薬分業の進展などを背景に,高い資質を持つ薬 剤師を養成するためだとされています(図 1) 。一方,4 年制の教育課程も残す こととなりましたが,こちらは薬剤師としてではなく,薬学の基礎的知識を 持って社会のさまざまな分野で活躍するような人材を輩出することを目的とし ています。 また,この学校教育法の改正に伴って,同年 6 月 15 日には薬剤師国家試験 の受験資格を定めた薬剤師法も,基本的に 6 年の教育課程を修了したものとす るように改正されました。 附帯決議に込められた期待 法律の一部が改正されるということは,とても重要かつ重大なことで,日本 においては衆議院,参議院の両院での可決が必要です。この 2 つの法律の衆参 両院での各 2 回の採決においては,与野党の対決もなく可決されており,国民 の総意として,薬剤師が臨床現場でさらに活躍し,医療の質的向上を支える職 種として飛躍することを認めたということになります。ただ,興味深いことに 各 論 1 3 薬剤師を取り巻く環境の変化はイノベーションのチャンスである 医療提供体制が変わり, 薬剤師の活躍の場が変わる 日本の医療が変わりつつある いま,薬剤師が変わるということは,薬学教育 6 年制や調剤薬局ビジネスの 頭打ちなどが原因ではありません。日本の医療全体が大きな転換期にさしか かっていて,その一環として,結果的に薬局や薬剤師が変わっているのです。 よく考えてみるとあたりまえのことのようですが,前述した「積み上げ型」と 「逆算型」の話のように,普通に考えると薬剤師側の事情,もっといえば医療 従事者側の事情でそれぞれの未来のあるべき姿を論じがちです。 しかし,いまわが国の医療が変わろうとしているのは,医療に対するニーズ が,別のいい方をすれば人口構成や疾病構造が急速に変わっていっていること が,そのすべての原因です。 その原因に対して,国はきちんとした社会保障制度を整備し,国民が安心し て暮らせる国づくりをしなくてはなりません。しかも,日本は戦後 50 年の間 に世界に類例を見ない成長を遂げ,一敗戦国から世界をリードする経済大国と なりました。同時に,国民皆保険制度を整備し,世界最長寿を達成するとい う,いわば「偉業」を成し遂げているのです。これは,私たちの先輩たちがた いへんな努力をしてくださったおかげであり,保険証 1 枚あれば,3 割以下の 自己負担で,世界的にみればきわめて高水準の医療を受けられる国になったと いうことです。 人口構成も疾病構造も医療の内容も変わっている 高度成長期を過ぎ,元号が昭和から平成に変わり,日本の経済・消費・文化 を形作ってきた団塊の世代が,高齢者の枠組みに入ってくることにより,まず は社会保障制度の永続性ということについて疑義が生じるようになってきまし た。 簡単にいえば,社会保障制度というものは,医療にしても介護にしても福祉 にしても,働く世代が支える制度です。団塊の世代が生産人口の真ん中を占め 2.疑義照会を追いかけろ また,薬局は近隣の処方医との関係が良好であることが,さまざまな意味で 重要ですから,あまり事を荒立てずに「まぁ,先生がそうおっしゃるのであれ ば……」と,そこで疑義照会をした事実を薬歴に残すのみで,薬剤師的には一 件落着してしまうことも多いでしょう。 患者が溝にはまっても関係ない? しかし,いうなれば疑義照会というのは,このまままっすぐ歩いていくと溝 にはまってしまうから,進む方向や進み方を変えたほうがいいですよ,という ことだと思います。しかし,そのことを医師に言っても「いや大丈夫だ,その まま進めばいい」と返答される,という状況だとしたら,薬剤師が,そこで引 き下がってしまうということは,患者は薬剤師が想定した溝に向かって進み続 けてしまうはずなのです。 薬剤師の仕事の終点は薬歴に記録するところまでだと考えるなら,「患者が 溝にはまるかどうか」は自分の業務範囲外だと思われるかもしれません。でも それが,薬剤師が若い頃に自らの道を定めたときに思い描いていた理想の姿 だったでしょうか? 「国民の健康な生活を確保する」という薬剤師法第一条 の理念に合致しているのでしょうか? 患者がどうなっても,本当に薬剤師に は関係がないのでしょうか? だから疑義照会を追いかけろ! 私は,薬剤師は受け入れられなかった疑義照会を追いかけるべきだと思うの です。例えば,アムロジピンの投与量が 5 mg という処方が出たとしましょう。 この患者にとって,それは過剰ではないか,最初は 2.5 mg ぐらいでいくか, ACE 阻害薬などを用いる手もあるのではないか,と考えて疑義照会をします。 しかし,医師がそれを聞き入れずに「そのまま出してくれ」と言う,いわゆる かなわない疑義照会になってしまった。 現状では,当然そのまま調剤してお渡しするしかありません。最大限,自分 の思いを伝えるとすれば,服薬指導の際に「もし服用しはじめてふらふらする とか,顔がほてるといったことがあれば,お薬が効きすぎている可能性もある ので,医師の診察を受けてくださいね」とお伝えすることになるのかもしれま せん。 しかし,これを聞いた患者は,ひょっとすると「え,この薬はそんなにきつ 各 論 2 3 薬剤師に求められているのは患者・薬物治療に寄り添うことである 薬歴は過去の記録ではなく 未来予測のツールである 薬歴の充実 薬剤師のこれからを考えるときに,薬歴(薬剤服用歴)のありようや意味合 いを,今一度考え直すことは重要ではないかと思っています。 薬剤師にとって薬歴は,なかば公的な文書であり,薬局ではレセプト請求の エビデンスともなるきわめて重要なものです。医師にとってのカルテと同じ で,それが真っ白だと何もしていないことになります。薬剤師は,医薬分業の 進展や,病院での臨床業務が増えていくなかで,薬剤師らしい真面目さで薬歴 の記載について充実を図ってきたのではないでしょうか。 その充実のベクトルは,Problem Oriented System に則って,SOAP 形式 で書くということかもしれません。患者の情報をいかに多く引き出すかが勝負 で,そのためのコミュニケーションスキルをいかに高めるかに注力されている 方もいらっしゃるでしょう。さらに,昨今では,客観的なデータがさまざまな 方法で入手できるようになってきたので,血圧や脈拍のみならず,処方箋の余 白に記載された血液検査データももれなく薬歴に記載することで,より充実し た薬歴を残そうと奮闘されているかもしれません。薬歴に関するさまざまな良 書も発売されていますから,それらの情報を頭に入れ,セミナーにも出席し, 薬歴の充実を図っておられる薬剤師がほとんどだと思います。 もちろん,これらのことは,今も,そしてこれからも重要です。しかし,あ えて申し上げると,大切なのはその手技や内容ではなく,薬歴を記載するとき のスタンスだと思うのです。 過去の記録か未来の予測か では,薬歴に何を書くのでしょうか? それは,過去の記録か? 未来の予 6.薬局に来る患者だけが患者ではない 2003 2054 1.0 51 年 3.0 51 年 2.0 51 年 1.0 1945 1974 1996 2.0 2025 (年) 図 5 薬局のライフサイクル かもしれないなと思って見ています。 薬局というビジネスモデルのライフサイクル これはおもしろいと,さらに考えを広げてみました。 日本は,終戦で焼け野原になっていったんリセットされたとしましょう。導 入・成長・成熟の各 17 年が 3 つ合わさった 51 年がビジネスモデルの 1 サイク ルとすれば,1945(昭和 20)年に端を発した昔の「町の薬局」というビジ ネスモデルは,戦後の混乱期,復興期,高度成長期を経て,衰退期へと突入し ていきました。一方で,1974 年から医師の処方箋発行料が 5 点から 10 点, 50 点へと段階的に引き上げられ,医薬分業へと舵が切られました。まさに, 新しい薬局のビジネスモデルの登場です。商店街ではなく,医療機関の隣に出 店する。OTC 薬や医療雑貨を売るのではなく,医療用医薬品だけを処方箋に 基づいて調剤するスタイルに変わったわけです。 この「医薬分業のビジネスモデル」は,私たちが知っているように急速な成 長を遂げました。 1974 年と 1945 年の間は 29 年間あります。ホップステップジャンプでは ありませんが,1974 年からさらに 29 年間経過した 2003 年に,新しい薬局 像が立ち上がっているのではないかと,2006 年当時に考えたのです(図 5) 。 町の小売業としての薬局(=薬局 1.0)から,いわゆる“調剤薬局”(=薬 1.地域医療で薬剤師に求められるのは何か るでしょうし,セルフチェックシートのようなものも載っているかもしれませ んから,そういったものを読みながら, 「あぁ,きっと自分は,胃酸過多の症 状なのだな」と思い当たって,とりあえず買おう,とさらにページを進んでい きます。 併用薬やアレルギー歴など一般的な説明もいろいろと目を通しますが,あま りにも説明が多すぎて,一気に画面をスクロールして,最後の「すべて読んだ うえで,クリック」を押します。心の中は,早くこのむかつきや痛みから解放 されたい,という思いかもしれません。代金の決済はクレジットカードや振り 込み,代引きなどお好みの形態を選ぶことができ,商品そのものは宅配便でお そらく 1∼2 日後には自宅に届くはずです。 このようにして,H 2 ブロッカーを手に入れることができました。お気づき のように,本や服であればこれで十分なのです。このまま「積ん読」にしよう が,熟読しようが,流し読みしようが,それはその方の自由です。洋服も,当 日すぐに着てパーティに出かけようが,着てみて違うなぁと思ってオークショ うが,情報をたくさん見せられ,豊富なラインアップから選んで買い物ができ たということで,目的のほとんどは達成されたような気分になるのかもしれま せん。 しかし,H 2 ブロッカーは,これを入手し服用することで「心窩部不快感が すっきりと解消されるかどうか」が勝負なのです。 飲んだ後はどうする? OTC 薬は,箱や説明書に用法用量や注意点など多くの情報が記載されてい ます。ただ,とりあえず,何錠を 1 日何回飲めばいいかをチェックしてコップ 1 杯のお水で飲みますが,これでもまだ問題は解決していません。患者の状態 によって,これからの経過は大きく異なり,そのバリエーションの多さは,一 般の方が自分で判断できる範疇を超えているのではないかと思います。 まずは,胃酸過多が原因で症状が起きている場合。これは,おそらく 1∼2 日のうちに,すっと症状はよくなるでしょう。胃酸過多がストレスや寝不足, 週末の暴飲暴食など一時的な理由で起こっている場合というのは,可能性とし ても最も高いものであり,OTC 薬が自由に選べて気軽に手に入り症状が楽に 各 論 3 ンに出品しようが,はたまた,いつか着るだろうと「タンスの肥やし」にしよ 4.ツールを活用する,スキルを磨く 医師・看護師と薬剤師 ٨٨٨٨٨ 効能効果で医薬品を見る 副作用が頭に浮かぶ 薬を足し算してしまう 薬の引き算が可能 図 9 医師・看護師と薬剤師は薬に対する言葉,考え方が違う す。 この発想だと,例えば薬物治療中の患者が「気持ちが悪いです。おぇっ!」 とえづいていれば,看護師や患者の家族は背中をさすりながら医師に向かって 「先生,お薬お願いします」と言いながら「吐き気止めを出してください」と 思っているわけです。その雰囲気を医師は察して,患者の状態を診察したうえ で,吐き気を止める薬を追加します。 現在は,そのようにして作成した処方箋が薬剤師のもとに持ち込まれ,薬剤 師は,それを迅速,正確に調剤し,服薬指導とともに渡すという,モノと情報 の枠組みのなかにいるわけです。しかし,これではチームとしての一体感は出 ませんし,薬剤師の“キャラが立った”関わりができているとはいえません。 もし,薬剤師が自ら調剤した薬を服用している患者を評価する場合,嘔気が あると聞いた時点で「あの薬の副作用かな?」と思うかもしれませんし,調剤 したあとを時系列で追っていれば,一番良いタイミングでその危険性を察知し 知らせてあげることもできます。この薬剤師の一報で,予期しうる副作用が回 避できたり,軽減できたとすれば,それはプレアボイドの 1 つととらえること もできます。 このように,バイタルサインは医療チームのなかで自分の“キャラを立て” 各 論 3 を出すという考え方です。症状が増えれば,それに合わせて薬を足していきま 各 論 3 イノベーションに必要なことを理解する 5 患者の謎を解く 薬剤師 3.0 以前はわが国の標準的な薬局であった,医薬品などの小売を主業務とする薬 局を第 1 世代と考えれば,処方箋の応需に特化した薬局が第 2 世代にあたり, 超高齢社会の地域医療を支えるために,外来処方箋のみならず,在宅での薬物 治療支援やプライマリケア,セルフメディケーションといった部分へも活動の 場を広げる薬局を第 3 世代薬局,薬局 3.0 と提唱したのが 2006 年でした。 薬局のチェーン化が進み,上場企業も出てきた業界で,医療機関に近接した 新規開局の土地を見つけることが,個人薬局としてはなかなか難しくなってい た時期に,要介護高齢者の在宅療養支援を行ったり,OTC 薬やサプリメント を扱ったりする薬局ならば,立地に依存せずともやっていけるのではないかと 考えたことがきっかけです。 ただ,それを進めていく際に,当然のことながら薬局のあり方が変わるので あれば,薬剤師のあり方も変わるはずだということに気がつきました。振り 返ってみれば,昔の OTC 薬主体の小売業としての薬局で求められた薬剤師の 職能と,処方箋調剤がほとんどの医療提供施設としての薬局で求められている 薬剤師の職能は大きく異なります。まさに,世代が違うといっていいほどに異 なります。 そこで,薬剤師が患者の健康や疾病に関する相談を受け,それらに OTC 薬 や機能性食品などを用いて対応すべく,それらの商品を販売していた薬剤師を 第 1 世代ということで薬剤師 1.0,処方箋調剤に専従して,処方監査,疑義照 会,調剤,服薬指導,薬歴と現在の薬局を支える薬剤師は第 2 世代の薬剤師 2.0 と名づけました。どの世代の薬剤師も,日本の地域医療インフラとして重 要な役割を果たしてきました。特に 1974 年以降,急速に進展した医薬分業制 度を支えるために,薬剤師 2.0 はきわめて重要な役割を示し,リスクマネージ メントや患者コミュニケーションなどの進化に加え,いわゆる医療薬学の知識
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