愛知の環境のあらまし

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~~~
はじめに
~~~
世界初の環境をテーマとした国際博覧会である愛知万博の開催から 10 年が経ちました。
「自然の叡智」というテーマのもと、環境に配慮した会場づくり、環境負荷の少ない新交通システム、
未来型の資源循環とエネルギー供給システムなど、開催準備段階から会期中、閉幕後まで環境への配慮
が徹底されるとともに、会場内外で展開された様々な環境活動に県民の皆様が自ら参加することにより、
高い環境意識が育まれたことも愛知万博の特徴でした。
この愛知万博で試みられた最先端技術のうち、走行時に二酸化炭素を排出しない燃料電池自動車、植
物を原料とするプラスチック製品、屋外で涼しさが体感できるドライミストなど多くのものが実用化さ
れ、愛知万博で撒いた種が、花開き、実を結んできています。
また、愛知万博をきっかけに育まれた高い環境意識が、NPOや企業など多様な主体による地域全体
の様々な取組につながり、平成 22 年 10 月の「生物多様性条約第 10 回締約国会議(COP10)」、そ
して昨年 11 月の「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」という2つの
国際会議を成功に導きました。
こうした愛知万博、COP10、ESDユネスコ世界会議で得られた成果を推し進め、次の世代に引き
継いでいくことが、開催県であるこの地域の役割と考えており、多様な主体の連携・協働を図りながら、
持続可能な未来のあいちの担い手を育成する「人づくり」を進め、「環境首都あいち」の実現を目指し
ます。
今回の環境白書では、「愛知万博から 10 年の歩み」に加え、愛知万博 10 周年を記念して開催した「イ
ンタープリター愛・地球ミーティング」、「持続可能な未来のあいちの担い手育成『人づくり』」につ
いて、それぞれ特集で紹介しています。
この環境白書が、愛知の環境についての理解を深めていただき、また、県民、事業者、民間団体の皆
様がそれぞれの立場から環境をよりよくするための取組を進めていただくきっかけとなれば幸いです。
愛知県知事
平成 27 年 12 月
目
大村秀章
次
特集1 愛知万博から 10 年の歩み
~自然の叡智とともに歩んだあいちの環境への取組~・・・・・・・・・・・・・ 1
特集2 愛知万博 10 周年記念「インタープリター愛・地球ミーティング」
・・・・・・・・12
特集3 持続可能な未来のあいちの担い手育成「人づくり」
~かがやけ☆あいちサスティナ研究所~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
地球温暖化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
大気環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
騒音・振動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
悪臭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
水環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
土壌環境・地盤環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
廃棄物・資源循環・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
自然環境・生物多様性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
環境リスク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
人づくり・環境学習等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
環境における各種基盤施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
特集1
愛知万博から 10 年の歩み
~自然の叡智とともに歩んだあいちの環境への取組~
1
愛知万博から 10 年
2005 年の日本国際博覧会(愛知万博)から節目となる 10 年を迎えました。この間、愛知県では、2010
年の COP10、2014 年の ESD ユネスコ世界会議といった環境に関わる国際的イベントが開催されました。
これらのイベントを経て、県には、地域全体に高い環境意識が育まれ、様々な施策を推進するうえで
大きな原動力となり、現在では、多様な主体と連携・協働しながら、持続可能な社会づくりに向けた環
境施策に取り組んでいます。
この特集では、愛知万博で芽生えた「自然共生」
、
「低炭素」
、
「資源循環」
、
「人づくり」
、
「連携・協働」
などの取組を礎に展開されている、
「環境首都あいち」の飛躍に向けた県の環境施策を紹介します。
県民みんなで未来へつなぐ
「環境首都あいち」
「国連 ESD の 10 年」の活動を振り返り、
2014 年以降の方策を議論する世界会議
生物多様性保全の国際的枠組み等を決定
する世界会議
「自然の叡智」をテーマとした世界で
初めての環境万博
1
愛知万博
正式名称
主
催
概
要
開催期間
COP10
ESD ユネスコ世界会議
2005 年日本国際博覧会
(愛称:愛・地球博)
財団法人 2005 年日本国際
博覧会協会
生物多様性条約第 10 回締約 持続可能な開発のための教育
国会議
に関するユネスコ世界会議
生物多様性条約事務局、
ユネスコ、日本政府
日本政府
持続可能な社会づくりを支
「自然の叡智」をテーマに 生物多様性の保全について
える担い手づくりについて
した史上初の環境万博
議論する世界会議
議論する世界会議
2005 年 3 月 25 日
2010 年 10 月 11 日
2014 年 11 月 10 日
~9 月 25 日
~10 月 29 日 ※1
~11 月 12 日
開催場所
名古屋東部丘陵
来場者数
約 2,205 万人
公式参加
121 カ国、4国際機関
名古屋国際会議場
名古屋国際会議場
約1万 3,000 人 ※2
約 94 万 5,000 人 ※3
180 カ国・地域、国際機関
約 5,300 人 ※2
約5万 7,000 人 ※3
153 カ国・地域、国際機関
※1「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」第5回締約国会議(COP-MOP5)を含む。
※2 公式参加者を含む開催期間中の名古屋国際会議場への来場者数
※3 開催期間中の名古屋国際会議場への来場者及び開催期間中の併催イベントを含む来場者数
2
愛知万博の成果
(1)自然の叡智
21 世紀の最初の国際博覧会となる愛知万博は「自然の叡智」をテーマとして開催されました。21 世
紀の人類が直面する地球環境問題をはじめとする地球規模の課題に対して、世界中から知恵を寄せ合っ
て考えていこうという新しい万博のモデルを示しました。この「自然の叡智」というテーマには、自然
の有する素晴らしい仕組みや生命の営みに謙虚に学ぶことで、人類が直面している地球環境、人口、エ
ネルギー、食料などの様々な問題の解決の糸口をつかみ、21 世紀の望ましい地球社会を見出していこう
という思いが込められていました。このため、愛知万博では、会期中だけでなく、会期前の会場選定・
建設など開催準備段階から閉幕後まで、県民の声に耳を傾けながら、一貫して自然や環境に配慮した万
博となるよう徹底されたことが大きな特徴でした。
(2)環境への取組
愛知万博では、
「自然の叡智」を具現化する様々な取組みがありました。
会場計画
当初の会場予定地であった瀬戸市郊外の「海上の森」に、希少野生生
物であるオオタカの営巣が確認されたことをきっかけに、会場予定地が
会場風景
変更されました。変更にあたっては、幅広い観点から合意形成が図られる
よう、地域住民や自然保護団体など様々な立場の人々が検討会議に参画し
ました。このように愛知万博は自然と人との関わり合い「自然共生」を再
認識する契機となりました。
グローバル・ループ
2
自然に配慮した会場づくり
地形の起伏やため池を現状のまま活用するなど、環境に極力配慮した会場整備が行われました。中で
も、造成による土地の改変を行わずにパビリオンを結んだ空中回廊「グローバル・ループ」は、会場を
訪れた人々でいつも賑わっていました。
【間伐材の活用】
愛知万博は「木材万博」と評されたほど、会場の随所に木材や竹などの自然素材が使用されまし
た。特に間伐材は多くの施設で利用されました。自然素材として優れた間伐材を活用することは、
木材の利用促進だけでなく、カーボンフリーで循環して活用できる資源であること、間伐が適正な
林地管理につながっていることを気づかせてくれます。
この間伐材の利用は、COP10 や ESD ユネスコ世界会議においても地元の取組として会場装飾に活
用され、世界から高い評価を受けました。
テーブル・ベンチ
(愛知万博)
議長机・卓上プレート
(COP10)
ステージ演台
(ESD ユネスコ世界会議)
環境先進技術
愛知万博では、持続可能な社会の実現に不可欠な地球温暖化の防止に向けた取組として、2,200kW の
電力を供給する大規模な循環型新エネルギーシステムの実証実験が、最先端技術を活用して実施されま
した。具体的には、会場から出る生ごみをメタン発酵させ、水素を取り出して発電する燃料電池、太陽
光発電、蓄電池などを組み合わせた複合発電システムを活用する「低炭素」
、
「資源循環」の取組が行わ
れました。
また、会場には、太陽光などの自然エネルギーを活用した発電システムが数多く設置されたほか、気
化熱を利用して周辺温度の低減を図り、屋外で涼しさを体感できる「ドライミスト」が初めて実用化さ
れました。これらは、地球温暖化対策やヒートアイランド対策のため、現在では全国に普及しています。
ドライミスト
新エネルギー実証研究施設
3
温室効果ガスの排出抑制
植物を利用した二酸化炭素の吸収と酸素の供給及び気温の低減効果を図るため、会場内広場に巨大な
緑化壁「バイオラング」が設置されました。この結果、会期中の気温低減効果は、非緑化壁面と比べて
最大7℃、人工芝と比べて 20~30℃も低いことが実証されました。
廃棄物の3R
愛知万博は、21 世紀の循環型社会のモデルを県民に示しました。会場全体で3R(Reduce、Reuse、
Recycle)を徹底し、来場者が9種類、出展者が 17 種類に分別したごみの再生利用や新エネルギーへの
転換が行われました。この取組により、来場者の環境意識が高まり、現在では、ごみ分別の意識が県全
体に浸透しています。
また、3Rの取組と併せてバイオマスプラスチックが、会場内の飲食施設の食器、パビリオンの壁、
包装紙に使用されました。バイオマスプラスチックは、トウモロコシなどの植物を原料としているカー
ボンニュートラルな素材であるため、地球環境にやさしい取組でした。
バイオラング
9種類のごみ分別
バイオマス食器
【ボランティアの活躍】
愛知万博では、来場者の案内、車いす・ベビーカー等の貸出し、高齢者・障害者のサポート、ご
み分別の案内など、会期中延べ 10 万人以上にのぼるボランティアが活躍しました。
このボランティアの活躍を COP10、ESD ユネスコ世界会議でも受け継ぎ、世界からの会議参加者
を「おもてなし精神」を持って温かく迎えることができました。
このように、国際的イベントでのボランティアの活躍は、県民が世界会議へ参画するきっかけと
なり、ボランティアにとってもよい経験となりました。
名
称:持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議
(UNESCO World Conference on Education
for Sustainable Development)
駅での案内
ベビーカーの貸出し
情報カウンターでの案内
(愛知万博)
(COP10)
4
(ESD ユネスコ世界会議)
環境負荷の少ない先端技術による新交通システム
会場への交通手段として、日本で初めて実用化された磁
気浮上式リニアモーターカー「リニモ」が運行され、9つ
の駅を約 17 分間で結びました。
リニモは、尾張と三河を結ぶ広域的な交通ネットワーク
や地下鉄東山線と愛知環状鉄道を結ぶ鉄軌道網を形成し、
周辺地域における公共交通体系の基幹として、通勤、通学
リニモ
など多くの県民に利用されています。
長久手会場と瀬戸会場の移動手段としては、燃料電池
とバッテリーを動力とする燃料電池バスが導入されまし
た。また、瀬戸会場には、燃料電池バスに水素を供給す
る水素ガスステーションも設置されました。現在、県で
は燃料電池自動車(FCV)などの次世代自動車の普及や水
素ステーションなどのインフラの整備を促進することに
燃料電池バス
より、水素社会の実現に向け、取り組んでいます。
また、広い会場内の移動手段として、当時最先端の IT
と IMTS(Intelligent Multi-mode Transit System)の技
術を活用して、3台の大型バスが連結せずに隊列を組ん
で、無人運転で走行しました。この技術はトヨタ自動車
株式会社が開発し、現在、前の車に接近すると自動的に
ブレーキがかかる運転支援システムなどに生かされてい
ます。
無人走行バス
【エコカーの普及促進による環境負荷の低減】
愛知県は交通の要衝であり、人口も多く、産業の集積地であることから人やモノの移動が多く、
自動車保有台数が日本一となっています。県では、環境負荷の低減につながる次世代自動車の普
及促進のため、時代の流れと共に進化するエコカーを公用車に率先して導入するとともに、各種
イベントに展示するなど、PR活動を行っています。
ハイブリッド自動車
(HV)
電気自動車
(EV)
5
燃料電池自動車
(FCV)
市民参加の拡大
愛知万博では、万博史上初めての本格的な「市民参加」が様々な
形で展開されました。「地球市民村」では、NGO/NPO が主体となり、
「持続可能性への学び」をコンセプトに来場者を巻き込んだプログ
ラムが数多く行われました。また、
「市民パビリオン」でも、シンポ
ジウムや対話型フォーラムが日替わりで行われました。
現在は、愛・地球博記念公園内の地球市民交流センターが、市民
地球市民村
参加・交流活動の拠点として、「交流」と「環境」をテーマに愛知万博の理念を継承した様々なプログラ
ムを実施しており、市民参加は今も広がりをみせています。
環境学習の展開
愛知万博では、市民の自発的な環境配慮行動を促すシステムが万
博史上初めての試みとして実施されました。森林が広いエリアを占
める会場内では、自然とふれあい、学び、遊びながら「自然の叡智」
を体感できる様々な環境学習プログラムが実施され、また会場外で
は、NO レジ袋やグリーン購入などの取組が活発となるなど、会場内
自然体感プログラム
外で環境に関する「人づくり」が推進されました。
森の案内人と呼ばれる「インタープリター」のガイドで自然を体
感するプログラムは、愛知万博で多くの参加者でにぎわいました。
現在では、愛知万博のフィールドセンターを改修し、環境学習施設
として開館した「もりの学舎(まなびや)」に受け継がれています。
ここでは、土・日・祝日に、インタープリターと歩く森のツアーな
どの環境学習プログラムが展開されています。
平成 27 年7月に 40 万人の来館者を
達成した「もりの学舎」
また、県は 2015 年 10 月に、愛知万博 10 周年記念事業として、日本を含む世界6カ国からインタープ
リターを招いて「インタープリター愛・地球ミーティング」を開催しました。このミーティングでは、世
界の自然の魅力や次の世代に豊かな自然を残すためのメッセージが発表されました。
【詳細は特集2参照】
【県民参加型イベント】
COP10 や ESD ユネスコ世界会議において、約 2,205 万人が訪れた愛知万博の盛り上がりを再現する
ため、県民が参加できるイベントを数多く実施し、地域全体での開催機運の醸成を行いました。
白鳥公園での交流フェア
(COP10)
モリコロパークでのイベント
(COP10)
6
オアシス 21 でのイベント
(ESD ユネスコ世界会議)
3
COP10 の成果
愛知万博から5年後、2010 年 10 月に国連の「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関す
るカルタヘナ議定書」第5回締約国会議(COP-MOP5)及び「生物多様性条約第 10 回締約国会議(COP10)
」
(両会議を総称して「COP10」という。)が愛知県で開催されました。
2010 年は、国連の定めた国際生物多様性年であるとともに、2002 年の COP6(オランダ・ハーグ)で
採択された「締約国は現在の生物多様性の損失速度を 2010 年までに顕著に減少させる」という「2010
年目標」の目標年でもありました。
COP10 では、2010 年目標に代わる新たな目標(ポスト 2010 年目標)の設定、遺伝資源へのアクセス
と利益配分(ABS)に関する国際的な枠組みなどについて話し合われ、合計 47 の事項が採択されました。
このうち生物多様性に関する新たな世界目標である条約の新戦略計画の短期目標には、具体的な個別
目標として 20 項目からなる「愛知目標」が含まれています。
この愛知目標は、県にとって、愛知万博のテーマ「自然の叡智」や「自然共生」の理念を継承するも
のであり、
「あいち生物多様性戦略 2020」の策定など生物多様性への取組を一層推進していくこととな
りました。
長期目標
(ビジョン)
短期目標
(2020 年まで)
【新戦略計画】
「自然と共生する」世界
2050 年までに生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益
を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される世界
主目標
2020 年までに生物多様性の損失を止めるために、効果的かつ緊急な行
(ミッション)
動を実施する
個別目標
(主な内容)
(愛知目標) ・生物の生息生育空間の保全
生きものがすむ場所を確保する
・生物多様性の主流化
生物多様性の保全や持続可能な利用が、基本的な考えとして日常
生活や社会経済活動に組み込まれ、行動につながる
【子どもたちの参画】
愛知万博、COP10、ESD ユネスコ世界会議のそれぞれの開催に併せ、子どもたちが主役となる子ど
も会議が開催されました。子どもたちが純粋な気持ちで活発に議論を行い、交流を通して成長して
いく姿は、持続可能な社会づくりのための人材育成につながりました。これらすべての会議では、
子どもたちによる心のこもった宣言や提言が取りまとめられ、発表されました。
こども環境サミット 2005
子ども COP10 あいち・なごや
7
ESD あいち・なごや子ども会議
4
ESD ユネスコ世界会議の成果
愛知万博が開催された 2005 年は、「国連持続可能な開発のための教育の 10 年(国連 ESD の 10 年)
」
がスタートした年でした。この国連 ESD の 10 年は、
「持続可能な開発」の実現には人材育成が重要であ
ることから、日本政府が提案し国連総会で採択されたものです。
「国連 ESD の 10 年」の最終年である 2014
年 11 月に ESD ユネスコ世界会議が愛知県で開催されました。
ESD ユネスコ世界会議では、
「国連 ESD の 10 年」を振り返るとともに、2015 年以降の ESD の推進方策
として5つの優先行動分野が示された「ESD に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)
」を
今後推進していくための議論が行われました。この会議の最終日には、GAP を後押しし、2015 年以降に
各国の政策に ESD を取り入れることを呼びかける「あいち・なごや宣言」が採択され、この宣言は翌月
(12 月)に国連総会で決議されました。
県は、愛知万博や COP10 の開催により、
「持続可能な社会」の大切さへの意識が高い地域ですが、ESD
ユネスコ世界会議の開催を通じて、環境面における「人づくり」を多様な主体と連携・協働して地域全
体で取り組んでいくことが重要であることを改めて認識し、新たな「人づくり」の推進に向けて取り組
んでいます。
【GAP の5つの優先行動分野】
【ユース世代の活躍】
愛知万博、COP10、ESD ユネスコ世界会議のそれぞれの開催に併せ、大学生をはじめとするユース世
代による会議やシンポジウムが行われ、若者自身がライフスタイルを転換するきっかけとなりました。
愛・地球会議
生物多様性に関するユース会議
in 愛知 2010
8
ESD 大学生リレーシンポジウム
5
国際的イベントの成果を生かした取組
愛知万博、COP10、ESD ユネスコ世界会議は、この地域に多くの成果を残しました。
県は、これら国際的イベントの経験を生かして、「環境首都あいち」の実現に向けた取組を行ってい
ます。
(1)
「自然との共生」に向けた取組
愛知万博が「自然の叡智」をテーマとして開催されたこと
は、私たちの暮らしのあらゆる場面において、自然から大き
な恩恵を受けていることを学ぶよいきっかけとなりました。
その後の COP10 では、県民、NPO、企業、学校など様々な
主体が、県内各地でセミナー、イベント、体験プログラムな
ど多くの取組を行い、生物多様性の保全という考えを受け入
地域の多様な主体による環境保全活動
れ、その理解を深めていくこととなりました。
県は、この COP10 で採択された生物多様性保全に向けた「愛知目標」の達成のため、現在、生態系ネ
ットワークの形成に積極的に取り組んでいます。多様な主体と協働して、地域ごとにその地域本来の生
態系の保全・再生に努める「生態系ネットワーク協議会」と連携し、
「愛知目標」の名にふさわしい取
組を推進していきます。
また、県の里海である三河湾の環境再生に向けて、平成
24 年度から県民、NPO、企業、関係団体、教育機関、行政な
どが一体となり三河湾環境再生プロジェクトを展開してい
ます。この取組を、さらに発展、定着させていくことを目指
して、平成 27 年6月に「三河湾環境再生パートナーシップ・
クラブ」を設立するとともに、本クラブのサポーターを随時
募集するなど、地域全体で三河湾の環境再生に取り組んでい
三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ
設立総会
ます。
(2)
「社会の低炭素化」に向けた取組
地球規模の課題である地球温暖化を防止するため、愛知万
博では多くの環境負荷低減を図る取組が行われました。会場
間の移動に燃料電池バスが使用されてから 10 年を経て、今、
燃料電池自動車(FCV)をマイカーにできる時代がやってきま
した。とりわけ、自動車産業は県の基幹産業でもあることか
ら、FCV を始めとする次世代自動車の普及は、環境と産業を
好循環させるためにもその意義は大きく、充電インフラや水
素ステーションの整備促進と併せ、低炭素社会の構築に向け
平成 27 年9月から運用を開始した
「愛知県庁移動式水素ステーション」
における水素充填の様子
た取組を進めます。
9
また、愛知万博でも太陽光発電システムが導入されていました
が、現在、県では温室効果ガスの排出量を削減するため、再生可
能エネルギーで賄う「エネルギーの地産地消」を進めています。
また、この施策により、災害時に安定的にエネルギーを確保でき
る地域づくりを進め、「安全で快適に暮らせるあいち」を目指し
ています。
(3)
「資源循環」に向けた取組
愛知万博では「循環型社会」がサブテーマの一つとなっていま
愛・地球博記念公園の太陽光発電施設
した。会場の各所で採用された間伐材の利用、バイオマスプラス
チックの導入や来場者や出展者による徹底したごみの分別など、
県のごみの減量化やリサイクルの推進につながる取組が行われ
ました。
愛知万博以降も、多くの県内企業等の努力により、この地域の
資源循環や環境負荷低減に関する効果的な環境技術の開発など
2014 愛知環境賞 10 周年記念イベント
が積極的に取り組まれています。
県では、これらの取組を促進していくため、愛知万博を開催した平成 17 年から県独自に「愛知環境
賞」として優れた環境技術や活動を表彰しています。
また、優れた環境技術を持つ企業を国内外へ発信し、環境ビジネスの普及・促進を図るため、メッセ
ナゴヤやエコプロダクツなどの大規模な企業展への出展を支援しています。このような取組により、新
しい生産スタイルや生活スタイルを社会に根付かせ、資源循環型社会を促進し、
「環境と経済の調和の
とれたあいち」を目指しています。
(4)
「人づくり」の推進
愛知万博をきっかけとして、県民、NPO、企業、教育機関等、多
様な主体による環境をテーマとした様々な取組が展開された結果、
この地域には高い環境意識が根付きました。さらに、COP10、ESD
ユネスコ世界会議の開催を通して、地域全体に環境活動の輪が広
がってきました。この広がりをさらに進め、持続可能な社会づく
りを推進していくため、県では、環境施策の方向性を示す新たな
Let's エコアクション in AICHI
計画「第4次愛知県環境基本計画」を平成 26 年に策定し、暮らし、地域、経済活動などあらゆる場面
において、エコアクション(環境配慮行動)が自然になされている社会「県民みんなが行動するあいち」
を目指しています。このエコアクションの実践に向けて、県では、ESDユネスコ世界会議を契機にエコ
アクションのきっかけづくりとなる県民参加型の啓発イベント「Let'sエコアクション in AICHI」を平
成 26 年度から開催しています。
10
あえる
併せて、県内の環境学習施設のネットワーク「AELネット」による環境学習等の機会の提供や、ウェ
ブサイト「エコリンクあいち」を開設して環境情報の発信
を行うなど、エコアクションの促進に取り組んでいます。
持続可能な社会づくりには、その担い手となる「人づく
り」が大切です。このため、県では、平成 20 年度から公益
財団法人名古屋産業科学研究所と共同で、人材養成塾「あ
いち環境塾」を開講し、この地域における環境リーダーを
育成しています。
また、ESD ユネスコ世界会議を契機に、平成 27 年度から
大学生を対象に「かがやけ☆あいちサスティナ研究所」を
かがやけ☆あいちサスティナ研究所
開講し、若い世代の意欲を生かして環境面におけるリーダ
ー養成を行っています。
【詳細は特集3参照】
さらに、
「ほの国」東三河においても、豊かな自然環境を
保全、再生する活動の中心となる人材をフィールドワーク
などにより育成していく「ほの国自然ソムリエ学校」を平
成 27 年度から開講しています。
このように、地域全体にエコアクションの推進を図りつ
つ、未来のあいちの担い手となる人材育成による「人づく
り」を進めていきます。
ほの国自然ソムリエ学校
(5)
「連携・協働」による取組
県の「自然との共生」、「社会の低炭素化」、
「資源循環」
、「人づくり」に向けた取組について、県民、
企業、NPO、大学など多様な主体との連携・協働を図ることにより、地域全体での環境活動の促進につ
なげていく必要があります。このため、多様な主体間の連携・協働を図り、
「県民みんなで未来へつな
ぐ『環境首都あいち』」の実現を目指します。
6
「環境首都あいち」の飛躍に向けて
このように、県の環境への取組は、
「自然の叡智」をテーマにした愛知万博、
「生物多様性」の保全を
議論した COP10、
「持続可能な開発のための教育」
を議論した ESD ユネスコ世界会議の開催とともに歩み、
広がっていきました。
こうした成果をさらに推し進め、持続可能な社会づくりを未来へつなげていくことが、3つの国際イ
ベントを開催した県の役割と考えます。
愛知万博から 10 年、これからも県は、環境面のトップランナーとして世界を牽引していくことがで
きるよう、
「環境首都あいち」の飛躍に向けた取組を積極的に進めていきます。
11
特集2
1
愛知万博10 周年記念「インタープリター愛・地球ミーティング」
はじめに
2005 年の愛知万博で行われた「森の自然学校」では、
「森の案内人」と呼ばれるインタープリターが、
自然の発するメッセージを楽しく分かりやすく伝えることにより、子どもたちを含む多くの参加者が、
自然とのふれあいを通して「自然の叡智」を体感することができました。
今年、万博 10 周年の節目にあたり、改めて「自然の叡智」に学ぶことの大切さを県民の皆様に思い
起こしていただき、その想いを次世代につなげ、環境面における人づくりの輪を一層大きく広げていく
ため、インタープリターに焦点を当てた「インタープリター愛・地球ミーティング」を平成 27 年 10 月
に開催しました。
このミーティングは、世界6か国のインタープリターからの活動発表や意見交換、会場参加者との交
流を行う「世界のインタープリターとのトークセッション」と、国内各地で活躍している約 50 名のイ
ンタープリターが愛・地球博記念公園全体を利用して実施する「自然体感プログラム特別企画」で構成
しました。
また、関連事業として、愛知万博で実施された「森の自然学校」のプログラムを再現する「おかえり!
森の自然学校」を、
「愛知万博 10 周年 第 32 回全国都市緑化あいちフェア」の開催期間に併せて、同公
園内の県の環境学習拠点施設「もりの学舎(まなびや)」とその周辺で開催しました。
万博 10 周年の節目にあたり、改めて「自然の叡智」に学ぶことの大切さを思い起こし、
その想いを次世代につなげ、環境面での人づくりの輪を一層大きく広げるためのプロジェクト
インタープリター愛・地球ミーティング
<世界のインタープリターとの
トークセッション>(10 月 11 日(日))
<自然体感プログラム特別企画>
(10 月 12 日(月・祝)
)
<インタープリター愛・地球ミーティング関連事業「おかえり!森の自然学校」>
(9月 12 日(土)~11 月8日(日)
)
12
2
世界のインタープリターとのトーク・セッション
トーク・セッションでは、アメリカ、スリランカ、ドイツ、ケニア、コスタリカの5カ国及び日本で
活躍するインタープリターを招き、それぞれの活動発表、インタープリター相互の意見交換、会場参加
者との交流等を行いました。多くの会場参加者にとって、グローバルな視点で地球環境や自然の大切さ
を考える機会となりました。
1
【世界のインタープリターとのトーク・セッションの概要】
日 時 平成 27 年 10 月 11 日(日)午後1時から午後4時まで
2
場 所 愛知県立大学長久手キャンパス講堂
3
出演者 世界のインタープリター
氏名
国名
アンバー・パーカー
アメリカ
サラス・コダガマ
スリランカ
ゲーザー・ヴォルツェ
ドイツ
職名等(敬称略)
シンコティーグ湾フィールド・ステーシ
ョン事務局長
コロンボ大学教授(環境科学・動物学)
/鳥類学者
ズュートプファルツ「森の幼稚園」理事
マサイの森「デュポト・フォレスト」リ
ーダー
環境エネルギー省保全地域庁地域連携環
ジェイミー・セデーニョ
コスタリカ
境教育コーディネーター
NPO 法人もりの学舎自然学校インタープ
浅野智恵美
日本
リター
コーディネーター 川嶋 直(公益社団法人日本環境教育フォーラム理事長)
司
会
鉄崎幹人(アウトドア自然派タレント)
堀江美穂(ZIP-FM ナビゲーター)
会場参加者数 約 500 人
サムウェル・ナイカダ
4
ケニア
5
プログラム
□ アトラクション
カラーキッコロによるパフォーマンス
□ 開 会
・主催者あいさつ(大村秀章 愛知県知事)
・来賓あいさつ(杉浦孝成 愛知県議会副議長)
□ メインセッション(世界のインタープリターの活動発表)
□ 交流セッション(インタープリター間の意見交換、ステージと会場参加者との交流)
□ 「インタープリター愛・地球ミーティング」メッセージの発表
□ 閉 会
6
その他
・講堂ホワイエで、県内の NPO、企業、学生、自治体等による環境取組のパネル紹介等
・トークセッション終了後に関係者交流会を愛知県立大学食堂で開催
・子育て世代の参加を促すための託児を実施
13
(1)メインセッション
メインセッションでは、世界のインタープリターが自らの活動発
表を行い、どこで、誰に、どのような活動を実施しているのか、そ
して、どのような思いで活動しているのかなどについて、色鮮やか
な写真や動画、具体的なエピソードを交えて楽しく紹介されました。
「泥の香りが生涯記憶に残る」、「静寂を聴く」など、参加者の感性
を揺さぶる言葉、心に残るフレーズがいくつもありました。
印象的な写真を多用した活動発表
【世界のインタープリターからのメッセージ】
(敬称略)
□
アンバー・パーカー【アメリカ】
泥の中で足を濡らして自然を体感した経験は、記憶に深く刻まれます。自然体験を
通して、私たちは自然の一部だということを知り、自然を慈しもうという気持ちが
生まれてくると信じています。
□
サラス・コダガマ【スリランカ】
インタープリテーションとは、何かを説明するのではなく、参加者の心に事実を伝
えること。自然は体感しなければ分かりません。自然の声を聞いてください。ただ
手をこまねいているのではなく、行動することが必要です。
□ ゲーザー・ヴォルツェ【ドイツ】
幼少時代は、感性を養う時期。子どもたちにとって冒険はご褒美。
幼い頃に自然を体感する機会を提供することが、かけがえのない自然を尊重する、
自立した人格を育てる一番の方法だと思います。
□
サムウェル・ナイカダ【ケニア】
森では、人と自然の関わりや自然の大切さを体感でき、自然からの恩恵に気づくこ
とができます。次世代に豊かな自然を残すため、みんなが考え方を変え、環境を愛
し、環境保全のために変化を求めていくことが大切と考えます。
□
ジェイミー・セデーニョ【コスタリカ】
環境問題を解決するためには、答えをすぐ求めるのではなく、体験を通して感性に
働きかける必要があります。言葉を並べるよりも多くを伝えることのできる「行動」
を通して、皆で環境の大切さを分かち合うことが重要です。
□ 浅野智恵美【日本】
大切にしたいのは、参加者が発見する喜びです。参加者にワクワクしながら五感を
フル活用して旬の自然を体感いただけるよう演出しています。
14
(2)交流セッション
次の交流セッションでは、コーディネーターの進行のもと、6
人のインタープリターが、他のインタープリターの活動に対する
感想やインタープリテーションを通して参加者にどうなってほし
いかをテーマに話し合いました。「国や文化は異なっても、参加・
体験型のプログラムを提供をしている」、「五感で自然を知ること
が大切である」といった意見が出され、6人のインタープリター
回答を準備するインタープリター
が同じような思いで活動をしていることが会場参加者にも伝わり
ました。
また、会場参加者からも「幼い頃に自然に触れることが大切だ」
、
「自然を感じることから始めよう」などの意見が出されました。
(3)メッセージ発表
トークセッションの締めくくりとして、
スクリーンに映されたメッセージ
「織り上げよう、持続可能な未来を。
私たちと、将来世代の幸せのために。
『自然の叡智』を縦糸に、
『豊かな交流』を横糸にして。」
というメッセージが発表されました。
(4)閉会
最後に、司会者から「自然体感プログラムに興味が沸いた人や、
色紙で応える参加者
参加したくなった人、インタープリターになりたくなった人は、
色紙を挙げてください。
」との声がけがあり、それに応えて多くの
参加者が色紙を挙げ、会場全体が、自然体感の素晴らしさや大切
さを共感する雰囲気に包まれました。
(5)交流会
トーク・セッション後には、国内外のインタープリターを始め、
環境活動団体、企業、行政関係者等による交流会を開催しました。
3
交流会の様子
自然体感プログラム特別企画
10 月 12 日(月・祝)には、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)全体を会場として、自然体感プ
ログラム特別企画を実施しました。
愛知万博で活躍したインタープリターなどを中心とした総勢 54 名により、
「もりのツアー」
、
「工作教
室」などの多彩なプログラムを行いました。これらのプログラムには、海外インタープリターを含む延
べ約 7,000 人が参加し、
「自然の叡智」を思い出したり、自然と人間との関係を見直すための気づきを
得るきっかけとなりました。
15
【自然体感プログラム特別企画の概要】
インタープリターと歩くもりのツアー
ネズミとドングリものがたり
ネズミになったつもりでドングリを隠すことを通し、森
の中の生命のつながりに気づく。
水辺の小さな美術館
公園内の風景を各々の感性で切り取り観察することで、
多様な生き物や互いの関わりに気づく。
おしゃべりな森
木や石などの自然物を擬人化することで、自然が発して
いるメッセージを想像し、感性を育む。
インタープリターと歩くもりのツアー
(ネズミとドングリものがたり)
あそび工房(工作教室)
森のフォトフレーム
森の中で見つけた自然素材で写真立てを作ることで、自
然物の造形の面白さや美しさに気づく。
むささビー
ムササビを模した遊具(フリスビー)の工作を通じて、
地域の森の大切さについて考える。
あそび工房(工作教室)
(森のフォトフレーム)
おもいで教室
かえるが鳴くから、かーえろ♪
遊びに対する価値観の昔と今の違いに気づき、今後の生
活に生かせる知恵を発見する。
おもいでの青空教室 “美味しいお弁当”
お弁当の中身から、普段の暮らしと世界との関わりに気
づき、今後に活かせる知恵を発見する。
セルフプログラム(参加者が自分自身で行うもの)
森あそびセレクトツアー (デジカメ 575)
森の中で撮った写真をはがきに印刷し、写真に合った一
句をひねり、自然への感性を磨く。
おもいで教室
(かえるが鳴くから、かーえろ♪)
絵ものがたりの散歩道
森の中を散策しながら絵本を楽しみ、人と森のつながり
や生き物の生態、森の循環を知る。
森の図書館
森の中で「あいち環境絵本」を楽しみながら、様々な環
境問題に気づく。
生物多様性・電子絵本
私たちの暮らしを支える「生物多様性」を学ぶ。
塗り絵コーナー
沢山の色の色鉛筆を使って塗り絵を楽しみながら、自然
への感性を磨く。
16
セルフプログラム
(絵ものがたりの散歩道)
4
おかえり!森の自然学校
インタープリター愛・地球ミーティングの関連事業として、全
国都市緑化あいちフェア期間中の9月 12 日(土)から 11 月8日
(日)の土・日・祝日を中心に、自然体感プログラム「おかえり!
森の自然学校」を実施し、延べ約 45,000 人が参加しました。
この自然体感プログラムは、愛知万博で実施された「森の自然
学校」を再現するもので、現在、もりの学舎で活躍しているイン
タープリターにより実施されました。
インタープリターと歩くもりのツアー
(オリジナル家紋づくり)
【おかえり!森の自然学校の概要】
インタープリターと歩くもりのツアー
森の万華鏡
鏡を使って森を見ることで、光と自然がおりなす
美しさに気づく。
オリジナル家紋づくり
家紋をとおして、日本人と自然との関わりについ
て考える。
あそび工房(工作教室)
(さわってちょう)
あそび工房(工作教室)
さわってちょう
つるつるした物や、ざらざらした物を使って、手
帳を作ることにより、感触の違いに気づく。
どんぐりころころ迷路
木の実や小枝を使って迷路を作り、ドングリを転
がせることにより、自然を使った遊びを学ぶ。
おもいで教室
いただきます!給食の時間
食に対する価値観の昔と今の違いに気づき、今後
の生活に生かせる知恵を発見する。
おもいで教室(いただきます!給食の時間)
セルフプログラム(参加者が自分自身で行うもの)
森の探検ゲーム
探検シートを片手に森を観察することにより、自
然の不思議を発見する。
絵ものがたりの散歩道
(「もりのうた」
、「そよこ」)
森の中を散策しながら絵本を楽しみ、森のつなが
りや生き物の生態、森の循環を知る。
17
セルフプログラム(森の探検ゲーム)
特集3
持続可能な未来のあいちの担い手育成「人づくり」
~かがやけ☆あいちサスティナ研究所~
2014 年(平成 26 年)は、県の環境面における「人づくり」を推進する上で、大きなターニングポイ
ントになりました。
その理由は、2つの大きなきっかけがあったためであり、これらを踏まえ、より積極的に県は「人づ
くり」の推進に取り組んでいます。
まず1つ目は、2014 年5月に「第4次愛知県環境基本計画」を策定し、
「県民みんなで未来へつなぐ
『環境首都あいち』」を目標として、県民・事業者などのあらゆる主体の高い環境意識を背景に、省エ
ネルギーや省資源といった環境への負荷を減らす身近な環境配慮行動の実践へとつなげる、持続可能な
未来のあいちの担い手育成「人づくり」に重点的に取り組んでいくことを掲げたことです。
この「人づくり」については、「安全・安心の確保」、
「社会の低炭素化」
、
「自然との共生」及び「資
源循環」の4つの分野における県の環境施策を総合的に推進するための基盤となる取組として位置づけ
ています。
2つ目は、2014 年 11 月に愛知県で、「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会
議(以下、
「世界会議」という。)
」が開催されたことです。この世界会議のテーマである ESD とは、
「今
の世代はもとより、将来の世代も含めたすべての命を想い、子どもたちが将来、安心して幸せに暮らせ
る『持続可能な社会』のために今何をしたらいいかを考え、行動する」ことであり、持続可能な社会の
担い手づくりを意味します。この世界会議の成果としては、
「あいち・なごや宣言」の採択や、
「ESD に
関するグローバル・アクション・プログラム」の開始が宣言されたことで、
「国連 ESD の 10 年(2005 年
~2014 年)
」以降も ESD の取組をさらに推進することが決定されたことです。
この「あいち・なごや宣言」では、①ユースをキーとなるステークホルダーに巻き込み尊重すること
②ユースの課題解決能力等の能力育成を強化することが重要とされており、これらのことを踏まえ、県
では、2015 年から、大学生を対象に、「人づくり」プログラムを立ち上げました。
本特集では、この学生向けの「人づくり」プログラムである「かがやけ☆あいちサスティナ研究所」
について紹介します。
18
1
研究所の概要
県は、近い将来、地域の担い手となる学生が、グローバルな視点を持って、継続的に環境配慮行動を
実施していくプログラムとして「かがやけ☆あいちサスティナ研究所」を 2015 年に立ち上げました。
本研究所は、大村知事を所長、中日新聞論説委員の飯尾歩氏を顧問とし、大学生 20 名が研究員として
活動しました。5社のパートナー企業から環境面での取組に関する課題を提示され、研究員4名が1チ
ームとなって、各パートナー企業の現場での調査や企業の担当者とのディスカッションを経て、解決策
を研究するとともに、その成果を YouTube や「エコリンクあいち」
、イベント等を通じて発信しました。
パートナー企業
かがやけ☆あいちサスティナ研究所の概要
2
パートナー企業と研究課題
本研究所に協力したパートナー企業5社と、研究員に与えられた研究課題は以下の表のとおりであり、
各企業が実施している環境に関する取組について魅力的な課題が提示されました。
パートナー企業と研究課題
19
3
プログラム
研究員は8月から 11 月までの3か月間にわたり研究活動を実施し、以下の表のとおり、8月 21 日の
開所式・知事表敬訪問を皮切りに、企業環境活動研究、成果発表準備、研究成果プレゼンテーション、
修了式・成果発表会を実施しました。成果発表会に向けては、パートナー企業の担当者の方やファシリ
テーターを交えてディスカッションを実施するなど積極的に研究活動を実施しました。
日程
-
1日目
プログラム
オリエンテーション
開所式・知事表敬訪問
時期
8月6日(木)
8月 21 日(金)
2~5日目
企業環境活動研究
8月下旬~9月下旬
6~8日目
成果発表準備
10 月
場所
名古屋市内
愛知県庁
県内
(パートナー企業)
名古屋市内
9日目
研究成果プレゼンテーション
10 月 31 日(土)
名古屋市内
10・11 日目
修了式・成果発表会
11 月 14 日(土)
・15 日(日)
アスナル金山
-
出張成果発表会
12 月
県内大学
プログラムの内容と時期
ア
開所式・知事表敬訪問
開所式では、県内 13 大学から参加した研究員 20 名はパートナー企業5社から研究課題についての説
明を受けました。このほか、飯尾歩氏による基調講演、環境省中部環境パートナーシップオフィスの新
海洋子氏によるセミナーが行われた後、研究員たちは、各チームに分かれ、研究員をサポートするファ
シリテーターやパートナー企業と熱心にディスカッションを行いました。
また、開所式にあわせて、研究員は本研究所の所長である大村知事を表敬訪問しました。知事からは、
「日本一の産業県である愛知だからこそ、環境面でもトップランナーでありたい。若者のアイディアで
ぜひ良い提案をしてほしい。」と激励を受けました。研究員からは、各チームのリーダーが研究所での
活動に対する抱負や意気込みを話しました。
知事表敬訪問
開所式
研究員の所属大学
愛知教育大学
愛知県立大学
愛知淑徳大学
金城学院大学
大同大学
中京大学
中部大学
名古屋学院大学
名古屋学芸大学
名古屋工業大学
名古屋市立大学
南山大学
日本福祉大学
20
合計 13 大学
イ
企業環境活動研究
企業環境活動研究では、研究員が各チームでパートナー企業に赴き、各企業が実施する環境に関する
取組を現場で調査・研究しました。
チーム・AISIN GROUP は、
「アイシン環境学習プログラム」を実施している学校に赴き、担当の教諭か
ら実施状況についてヒアリングしました。また、チーム・ソニーイーエムシーエスは、ソニー幸田サイ
トにある「ソニーの森」で、同社が取り組む環境活動を実際に体験しました。チーム・東邦ガスでは、
地球温暖化とエネルギーをテーマにした施設「ガスエネルギー館」やビオトープの取組を現場で調査し
ました。このように、研究員は各パートナー企業が実施する取組を現場で調査・研究し、企業の担当者
から直接話を聞くことで、各企業の環境活動に対する理念や、担当者の高い環境意識に大いに刺激を受
けました。
チーム・AISIN GROUP
ウ
チーム・ソニーイーエムシーエス
チーム・東邦ガス
研究成果プレゼンテーション
研究員は、企業環境活動研究の後、各チームで研究課題に対する提案内容を検討し、成果発表準備を
経て、パートナー企業に対してその成果をプレゼンテーションしました。各チームの提案内容は、以下
の表のとおりです。
チーム名
チーム・
AISIN GROUP
チーム・
ソニーイーエム
シーエス
チーム・
東邦ガス
チーム・
三井住友銀行
チーム・ユニー
提案内容の概要
プログラムの効果をより正確に把握するため、記述の苦手な児童でも本音を答えられるよ
う、教員による児童への個別ヒアリングの実施を提案。
児童が継続的にエコ活動を実践するためには、教員の環境意識の向上が必要であると分析
し、教員の環境に関する知識と環境意識の醸成を図る教員研修を提案。
新入社員を森の案内人として育成するプロジェクトや、学生が地域の人を巻き込んで実施
する生き物マップづくりや、幸田町役場と連携した植樹活動等により、「ソニーの森」の環
境活動を社員、学生、地域が連携して取り組むことを提案。
同社の環境活動に参加したことのある人による「エコティなクラブ」と、大学生達による
「エコティなサークル」という2つの団体を組織し、これらの団体が東邦ガスの環境活動に
関する企画・運営・広報に積極的に参加することにより、東邦ガスの環境活動を県民に広く
紹介し、多くの参加を促す企画を提案。
地域資源を活用した環境配慮型モノづくりを行っている県内の中小企業を対象に、製品の
デザインや PR 動画を学生の斬新な発想で製作するサービスを提供する融資特典「あいちエ
コもの+(プラス)」を提案。
店頭でのインタビュー調査などにより、消費者と従業員の「eco!on」の認知度が低いと
いう課題を明らかにしたうえで、従業員による商品のキャッチコピーコンペ、学生による商
品のパッケージデザインコンペ、商品 PR 動画の作成を提案。
各チームの提案内容の概要
21
チーム・三井住友銀行
エ
チーム・ユニー
修了式・成果発表会
11 月 14 日(土)・15 日(日)に開催した「Let's エコアクション in AICHI~実らせよう!地球への
想い。~」において、研究員は所長である知事から修了証と記念品(名刺)を受領し、研究所の第1期
生としての研究活動が称えられました。
また、同イベントのブースにおいて研究成果を発表するとともに、県内の大学で同世代の大学生に対
して自分達の活動を広く PR しました。
修了式
4
ブースでの成果発表
今後の展開
研究所の第1期生からの提案内容の中で、研究員として継続的に企業等と連携して環境活動を実践し
たい、学生同士の結びつきを強めたいという要望が出されました。こうした要望を踏まえ、今後は、本
研究所がより地域に根付いたものとなるよう取り組んでいきます。
チーム・AISIN GROUP
チーム・ソニーイーエムシーエス
チーム・三井住友銀行
チーム・ユニー
22
チーム・東邦ガス
「人づくり」に関するドイツ先進事例だより
ここでは、ESD 先進国であるドイツにおいて実施されている先
進的な学生向けの「人づくり」の取組を紹介します。
○
第7回サスティナブルサマースクール
主に EU の大学生 30 人程度が参加し、若い世代の視点で持続
可能な社会をデザインすることを目的に、教育機関、大学等か
らなる実行委員会の主催で開催されています。
参加学生は7泊8日の泊り込みで、3つのテーマに分かれて
ワークショップを実施し、持続可能な社会づくりについて学生
やファシリテーターである大学、研究機関のスタッ
フを交えてディスカッションを行い、最終日には研
日程
1日目
究成果を取りまとめてプレゼンテーションを実施
2日目
します。ワークショップの3つのテーマは以下のと
3日目
おりです。
4~6日目
7日目
8日目
①Setting up mental models to translate
sustainability into practice
第7回サスティナブルサマースクールの会場
(NIKOLAUS KLOSTER)
内容
アイスブレイク
イントロダクション、各ワークショップテーマの説明、
デザインガイド※の説明
Expert Day(各ワークショップのテーマに沿った
著名人等の講義)
各ワークショップに分かれてディスカッション
プレゼンテーション、交流会
解散・帰宅
※デザインガイドとは、 ワークショップの各テーマを議論するに
当たり、事前に学習する教科書のこと。
(日々の生活で無理なく持続可能性を実現する
ための精神モデルの構築)
②Design as a transformational narration
(日々の生活で持続可能性を意識できる伝え方
のデザイン)
③Time to change!(日々の生活の時間感覚に変革をもたらし、
長期的な視点で生活スタイルを見直すことにより、エコロジカル
フットプリントを減少させるモデルの構築)
サスティナブルサマースクール3日目の「Expert Day」では、
企業の代表者や映画監督、オーケストラのディレクターなど様々
プレゼンテーションを熱心に聴講する学生
な分野の第一線で活躍する講師から講義を受け、ワークショップのテーマに関する知見を深く得ること
で、より有意義な議論を進めることができます。
7日目のプレゼンテーションでは、学生達が検討した成果を発表し、学生の間で共有しています。
このサスティナブルサマースクールは企業と連携して取り組まれており、ドイツ国内の企業に対して
も発表の場が用意されるなど、より多くの人にその成果を発信することで、持続可能な社会づくりに向
けた取組を多様な主体に浸透させることに貢献しています。
23
地球温暖化
● 地球温暖化とは
地球温暖化とは、大気中の二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの濃度が増加し、地球の平均気温が
上昇していく現象であり、大気中 CO2 濃度(世界平均値)は、産業革命(18 世紀~19 世紀頃)前の約 280ppm
から 2013 年には 396.0ppm に上昇しています。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、2013 年(平成 25 年)9月~2014 年(平成 26
年)4月に順次公表された三つの作業部会の報告書を取りまとめ、2014 年 11 月2日に「第5次評価報
告書 統合報告書」を公表しました。
この中では、1880 年から 2012 年までに世界の平均気温は 0.85 度上昇しており、その主な原因は人為
起源の温室効果ガスの排出である可能性が極めて高いとしています。
また、有効な対策を取らず、現状のまま温室効果ガスの排出が続いた場合、今世紀末の平均気温は最
大 4.8 度上昇し、海面水位は最大 82 センチ上昇すると予測しており、人々の健康や生態系に不可逆的
な影響を及ぼすリスクが非常に高くなるとしています。
その上で、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるとの国際目標を達成するためには「多様な
道筋がある」としており、そのためには、温室効果ガスの排出量について、2050 年までに 2010 年比で
40~70%削減するとともに、今世紀末までにほぼゼロとすることが必要としています。
● 本県における温室効果ガスの状況
2012 年度(平成 24 年度)の本県の温室効果ガス排出量は、約 77,410 千トン-CO2 であり、前年度の排
出量と比べて、3.9%減少しています。
排出量減少の主な要因は、電力量あたりの CO2 排出量が前年度比 20.5%減少(0.469kg-CO2/kWh から
0.373kg-CO2/kWh)したためです。
また、平成 24 年2月に策定した「あいち地球温暖化防止戦略 2020」の基準年度である 1990 年度と比
べて、0.5%増加しています。
(千トン-CO2)
本県における温室効果ガスの排出量の推移
(資料)環境部調べ
24
本県における温室効果ガス排出量
区分
基準年度排出量
(千トン-CO2)
産
業
民 生 ( 家 庭 )
民 生 ( 業 務 )
エネルギー
起 源 CO2 運
輸
エネルギー転換
小
計
非エネルギー起源 CO 2 、CH 4 、N 2 O
代 替 フ ロ ン 等 3 ガ ス
合
計
2012 年度排出量(割合)
(千トン-CO2) (%)
42,898
7,315
8,387
11,041
1,481
71,124
3,224
2,664
77,012
39,737( 55.6)
8,755( 12.3)
9,551( 13.4)
10,993( 15.4)
2,378( 3.3)
71,413(100.0)
3,994
2,003
77,410
増加率(1990→2012) (%)
区分内
▲ 7.4
+ 19.7
+ 13.9
+ 0.4
▲ 0.4
+ 60.6
+ 0.4
+ 1.0
▲ 0.9
+ 0.5
(注) 1 基準年度は 1990 年度〔ただし、代替フロン等 3 ガス(HFC、PFC、SF6)は 1995 年度〕である。
2 増減率は、区分内については基準年度排出量に対する 2012 年度排出量の増減を、それ以外は基準年度排出量の
合計(77,012 千トン-CO2)に対する 2012 年度排出量の増減を示す(基準年度より増加している場合は+、減少して
いる場合は▲で表示している)。
3 四捨五入により計と内訳が一致しない場合がある。
(資料)環境部調べ
● 地球温暖化対策に関する施策
「あいち地球温暖化防止戦略 2020」では、2020 年度 (平成 32 年度)における県内からの温室効果ガ
ス排出量を、1990 年度 (平成2年度)比で 15%削減という目標に向け、本県の地域特性を踏まえた4つ
の取組方針の下、17 の重点施策の展開により、
「環境と暮らし・産業が好循環する持続可能な愛知」を
目指すことにしています。これらの取組を中心に、多様な主体の参加を促しながら地球温暖化対策を推
進しています。
◇
あいち CO2 削減マニフェスト 2020
「あいち CO2 削減マニフェスト 2020」とは、事業者の方々に地球温暖化対策に主体的に取り組んで
いただくため、事業者が自ら定めた具体的な取組内容を宣言し、県が認定・公表することで他の事業
者や他地域への展開を期待するものです。平成 24 年度に従来の「CO2 排出削減マニフェスト」を拡充
し、宣言後の取組実績に応じてランクアップする制度等を導入しました。平成 24 年度における認定
事業者数は 21 社、平成 25 年度は9社、平成 26 年度は7社となっています。
◇ 地球温暖化対策計画書制度
県民の生活環境の保全等に関する条例では、温室効果ガスの総排出量が相当程度多い工場・事業場
を設置し又は管理する者(地球温暖化対策事業者)に対し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措
置に関する計画書(地球温暖化対策計画書)を原則3年の計画期間ごとに作成すること及び前年度の
措置の実施の状況を記載した書面(地球温暖化対策実施状況書)を作成し、知事に提出することを義
務づけています。
また、この制度について、平成 24 年3月に県民の生活環境の保全等に関する条例を一部改正し、
事業所単位の制度から事業者単位の制度への見直し等を行い、平成 25 年4月に施行されました。
なお、平成 26 年度までに提出された計画書及び実施状況書によると、実績年度(平成 25 年度)に
おける温室効果ガスの排出量は全体で計画基準年度(平成 24 年度)比 3.4%減少しました。
25
◇
太陽エネルギー利用施設等の普及促進
家庭の CO2 削減に効果の大きい太陽光発電施設などの普及促進を図るため、
県は、
平成 15 年度から、
補助制度を有する市町村と協調して、住宅用太陽光発電施設を設置する県民に対しその費用の一部を
補助しています。平成 27 年度からは家庭用エネ
ルギー管理システム(HEMS(ヘムス))、燃料電池、
蓄電池及び電気自動車等充給電設備を補助対象
として拡大しました。また、国においては補助制
件数
140,000
電力買取制度が開始されました。
123,701
120,000
100,000
普及件数
累積普及件数
80,000
度に加え、平成 21 年 11 月から太陽光発電の余剰
住宅用太陽光発電施設普及件数
60,000
40,000
これらの支援制度の効果もあり、本県の住宅用
20,000
太陽光発電施設の設置数は、平成 26 年度末で約
0
8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 年度
12 万4千基に上り、全国第1位となっています。
◇
「あいちエコチャレンジ 21」県民運動
平成 26 年度は、地球温暖化防止活動推進センターや地域における地球温暖化対策推進等の担い手
として知事が委嘱した地球温暖化防止活動推進員(平成 27 年3月末現在で 157 名)などの協力を得
て、小学校等における「ストップ温暖化教室」
、
「あいち緑のカーテンコンテスト」などを行いました。
また、家庭から排出される CO2 の「見える化」を図るため、環境家計簿をウェブ上で記帳できる「わ
が家の省エネ& CO2 ダイエット作戦」を平成 23 年度から実施しており、夏冬には、記帳した家庭に
協賛企業からの賞品が当たるキャンペーンも実施しています。
大気環境
● 大気汚染とは
大気汚染とは、工場、事業場から排出されるばい煙、自動車排出ガスなどの各種汚染物質によって大
気が汚れ、人の健康や生活環境に悪影響が生じる状態をいいます。
● 大気汚染の概況
愛知県、名古屋市、豊橋市、岡崎市及び豊田市は、二酸化硫黄などによる大気汚染の状況把握のため
の調査を行っていますが、その概況は次のとおりです。
◇
二酸化硫黄(SO2)
二酸化硫黄は、石油や石炭等の燃料を燃焼する際に、その中に含まれる硫黄が酸化されて発生しま
す。大気中の二酸化硫黄の濃度は改善が進み、平成 26 年度の環境基準達成率は、一般環境大気測定
局(一般局)
、自動車排出ガス測定局(自排局)のいずれにおいても 100%でした。また、年平均値は
昭和 48 年度比で1割未満に低下しています。
◇
二酸化窒素(NO2)
物質の燃焼により、空気中の窒素等が酸化されて発生します。平成 26 年度の環境基準達成率は、
26
一般局、自排局のいずれにおいても 100%であり、近年、年平均値は緩やかな減少傾向にあります。
◇
一酸化炭素(CO)
一酸化炭素は、主に物質の不完全燃焼によって発生します。昭和 48 年度以降、環境基準達成率は
一般局、自排局いずれも全て 100%を維持しています。また、年平均値は、昭和 48 年度比で1/4未
満に低下しています。
◇
浮遊粒子状物質(SPM)
浮遊粒子状物質は、
大気中に浮遊する粒子状物質のうち粒径が 10μm 以下のものをいい、
産業活動、
自動車走行、土砂の巻き上げなどにより発生します。平成 26 年度の環境基準達成率は、一般局、自
排局いずれにおいても 100%でした。なお、近年、年平均値は緩やかな減少傾向にあります。
◇ 光化学オキシダント(Ox)
光化学オキシダントは、大気中の窒素酸化物と炭化水素等が太陽の紫外線などにより光化学反応を
起こし二次的に生成される汚染物質の総称で、その生成は気象条件に左右されます。平成 26 年度に
おいては、平成 25 年度と同様すべての測定局で環境基準を達成していません。光化学スモッグ予報
等の発令日数は1日で、注意報、警報の発令はありませんでした。なお、昼間(5時から 20 時まで)
年平均値は横ばいの傾向が見られます。
◇
微小粒子状物質(PM2.5)
微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が 2.5μm 以下の粒子のことです。
粒径が小さいため吸い込むと肺の奥深くまで達し、健康への影響が懸念されています。平成 21 年9
月に環境基準が設定され、平成 23 年4月から常時監視を開始しました。平成 26 年度においては、一
般局では 37 局中8局で環境基準を達成し、
自排局では 15 局中4局で環境基準を達成しました。なお、
平成 27 年 10 月 31 日時点で、県全体で 55 測定局に拡充し測定しています。
◇
有害大気汚染物質
有害大気汚染物質のうち、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタ
ンの4物質については環境基準が、また、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化
合物、ニッケル化合物、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエン、ヒ素及びその化合物、
マンガン及びその化合物の9物質については「環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を
図るための指針」が定められています。県は、ベンゼン等4物質及びアクリロニトリル等9物質につ
いてモニタリング調査を実施しており、平成 26 年度はすべての地点で環境基準を達成するとともに
指針値を満足しています。
大気汚染に係る環境基準達成率の経年変化
二酸化硫黄(SO2)
(%)
100
100 100
二酸化窒素(NO2)
100 100 100 100
(%)
100
100 100
100
96
浮遊粒子状物質(SPM)
一酸化炭素(CO)
100 100
(%)
100
100 100
100 100
100 100
(%)
100
100 100
98 100
100 100
光化学オキシダント(Ox)
(%)
微小粒子状物質(PM2.5)
(%)
100
100
80
80
80
80
80
80
60
60
60
60
60
60
40
40
40
40
40
40
20
20
20
20
20
20
40
22
(資料)環境部調べ
0
24
25
26
0
0
0
24
(年度)
25
26
(年度)
24
25
26
0
24
25
26
(年度)
(年度)
一般環境大気測定局
自動車排出ガス測定局
27
0
0
24
0
0
25
0
0
26
(年度)
14
27
10
0
0
24
25
26
(年度)
環境基準が定められている常時監視物質の全県年平均値の経年変化
(ppm)
二酸化硫黄(SO2)
0.03
0.04
二酸化窒素(NO2)
(ppm)
0.030
0.027
0.03
0.024
0.02
0.02
0.022
0.020
0.01
0.003 0.003 0.003 0.003 0.003
0.003 0.003 0.002 0.002 0.002
0
昭和 48
平成 17
18
19
(ppm)
3
20
0.002
0.001
21
22
24
25
0
26 (年度)
昭和
0.017
0.025
0.024
0.023
0.022
0.021
0.020
0.013
0.013
0.013
0.012
24
25
26
0.020
0.016
0.015
0.014
21
22
(年度)
48
平成
17
18
19
(mg/㎥)
一酸化炭素(CO)
20
23
浮遊粒子状物質(SPM)
0.06
2.7
0.027
0.019
0.01
0.002 0.002
0.001 0.002
0.001 0.001 0.001 0.001
23
0.030
0.058
2
0.038
0.04
0.036
0.033
1.8
0.033
1
0.6
0
昭和
0.04
48
平成
0.6
0.5
0.5
0.4
0.5
0.5
0.5
0.4
0.3
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
17
18
19
20
21
22
23
24
25
(ppm)
0.029
0.03
0.031
0.032
0.032
0.032
0.028
0.029
0.032
0.033
0.029
0.029
0.026
0.4
0.3
(年度)
26
光化学オキシダント(Ox)
0.030
0.032
0.02
0
35
0.033
昭和
48
平成
17
18
(μg/㎥)
19
20
0.026
0.024
0.023
0.022
0.023
0.024
0.022
0.022
0.021
0.022 0.022
21
22
23
24
0.021
0.020
0.022
0.025
0.025
0.027
0.025
0.027
0.028
25
26
(年度)
微小粒子状物質(PM2.5)
30
25
0.029
0.02
0.022
0.028
19.4
20
15
17.2
10
0.01
15.8
16.5
14.7
15.4
24
25
15.4
14.5
5
0
昭和
昭和
48
平成
平成
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
(年度)
0
昭和
48
一般環境大気測定局
平成
17
18
19
20
21
22
自動車排出ガス測定局
23
26
(年度)
(資料)環境部調べ
● 大気汚染の防止に関する施策
◇
工場・事業場への規制
大気汚染防止法に基づき、硫黄酸化物、ばいじん、窒素酸化物等のばい煙や粉じんの発生施設に対
する排出規制を行っています。また、生活環境保全条例に基づき、ばい煙や粉じんの規制対象施設を
追加するとともに、それらの排出基準を定めることなどにより排出規制を強化しています。平成 26
年度は延べ 2,487 工場・事業場について立入検査を実施し、6工場・事業場に対し指導票等により指
導を行いました。
◇
県内のVOC排出量の推移
VOC(揮発性有機化合物)対策の推進
浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの原因物質の
ひとつである揮発性有機化合物(VOC)は、大気汚染防止
法の改正により、平成 18 年4月から排出規制が始まりま
した。県は、啓発資料の作成、講習会等の開催や、
「愛知
県窒素酸化物及び粒子状物質総合対策推進要綱」に基づ
き、事業者の VOC 排出抑制の取組を支援しています。そ
(資料)環境部調べ
の結果、県内の VOC 排出量は平成 12 年度 7.3 万トンから平成 22 年度 4.4 万トンに約4割削減され、
目標の 4.6 万トンを達成しました。
◇ アスベスト対策の推進
アスベスト(石綿)は、大気汚染防止法により、人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質と
して特定粉じんに指定されています。特定粉じんについては特定粉じん発生施設及び特定粉じん排出
28
等作業の規制が行われています。県内の特定粉じん発生施設については平成 18 年度末までにすべて
が廃止されており、特定粉じん排出等作業については、平成 26 年度は県に 186 件の届出があり、立
入検査等により事業者指導を行いました。
◇
自動車による大気汚染対策
自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別
措置法(以下「自動車NOx・PM法」という。
)が制定されたことなどを受け、県の特色を活かした
先進的かつ効果的な施策を盛り込んだ「あいち新世紀自動車環境戦略」及び「愛知県自動車排出窒素
酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画」を策定し取り組んできました。その結果、県内の大
気環境は概ね改善傾向にありますが、今後とも、二酸化窒素及び浮遊状粒子物質に係る大気環境基準
を確保するとともに、自動車騒音対策や温室効果ガスの削減を強化していく必要があります。
このため、平成 23 年度から検討を重ね、
「自動車環境戦略」の中に「総量削減計画」を取り込み、
1つの計画として整理し、平成 32 年度(2020 年度)を目標とした「あいち自動車環境戦略 2020」
(以
下「新戦略」という。)を平成 25 年3月に策定しました。
現在、この新戦略に基づき、目標年度に向けて「安心・快適な暮らしを支え、環境と自動車利用が
調和した社会」の実現を目指し、低公害車の普及促進や流入車の排出基準の適合車への転換の促進な
どの自動車環境対策を推進しています。
あいち自動車環境戦略 2020 の施策体系
【目標年度】
2020 年度
【めざす将来像】
安心・快適な暮らしを支え、環境と自動車利用が調和した社会
【環境目標】
【社会の姿】
■ 環境に優しい自動車が普及した社会
■ 澄んだ空気の中で安心して生活できる社会
■ 環境負荷の少ないスマートな
交通システムを実現する社会
■ 環境に配慮した自動車利用が
広く行われている社会
■
■
■
■
二酸化窒素 ⇒ 大気環境基準確保
浮遊粒子状物質 ⇒ 大気環境基準確保
騒音 ⇒ 自動車騒音環境基準達成
温室効果ガス ⇒ 運輸部門からの排出量
12%削減(対 1990 年度比)
【施策】
1 自動車単体対策の強化等
2 車種規制の実施及び流入車の
排出基準の適合車への転換の
促進
◇
3
4
5
6
低公害車の普及促進
エコドライブの普及促進
交通需要の調整・低減
交通流対策の推進
7 自動車交通集中地域等の
対策の推進
8 普及啓発活動の推進
9 道路環境改善対策
自動車NOx・PM法対策地域における流入車対策
県は、名古屋市及び岡崎市とともに「貨物自動車等の車種規制非適合車の使用抑制等に関する要綱」
を平成 22 年8月に策定、施行しました。
この要綱では、運送事業者等が県内の対策地域でトラック・バス等を運行する場合は、車種規制適
合車を使用するとともに、荷主等が貨物等の運送を委託する場合には、運送事業者等に対して車種規
制非適合車を使用しないよう要請することとなっています。また、一定規模以上の荷主等は、その要
請状況を毎年度報告することとなっています。
29
騒音・振動
● 騒音・振動とは
騒音とは「好ましくない音」、
「大きすぎる音」で、人に心理的・生理的な影響を与えます。また、振
動とは「人為的な揺れ」で、騒音と同じく人に心理的・生理的な影響を与えます。騒音・振動は、好み
や感じ方に個人差があることから「感覚公害」と呼ばれています。
● 騒音・振動の現況
◇
一般の騒音・振動
平成 26 年度の騒音に係る苦情件数は 1,450 件、振動に係る苦情件数は 121 件で、発生源別の内訳
はそれぞれ次の図のとおりです。
振動に係る発生源別苦情件数
騒音に係る発生源別苦情件数
(資料)環境部・公害等調整委員会調べ
◇
自動車騒音・道路交通振動
平成 26 年度の主要幹線道路沿いの自動車騒音は、996 区間 487,327 戸中 466,535 戸(95.7%)で環
境基準を達成しました。一方、自動車騒音に関する要請限度については、測定した 137 地点中8地点
(5.8%)で超過しました。また、道路交通振動については、平成 26 年度に測定した 65 地点のすべ
てで要請限度を下回りました。
要請限度:騒音規制法第 17 条第 1 項に基づき市町村長が、自動車騒音により道路周辺の生活環境が著し
く損なわれると認めるときに、県公安委員会に対して措置要請する際の基準。また、振動規
制法第 16 条第 1 項に基づき市町村長が、道路交通振動により道路周辺の生活環境が著しく損
なわれていると認めるときに、道路管理者又は県公安委員会に対して措置要請する際の基準。
◇
航空機騒音
県営名古屋空港では、平成 26 年度は5地点で通年測定、10 地点で短期測定を実施し、15 地点中7
地点で環境基準を達成しました。
中部国際空港では、平成 26 年度は、夏季と冬季に、空港周辺の7地点で短期測定を実施し、環境
基準の地域類型を指定した地域の5地点については全て環境基準を達成、指定地域外の2地点につい
てもいずれも環境基準値を下回りました。
30
◇
新幹線鉄道騒音・振動
平成 26 年度は、新幹線沿線 76 地点で新幹線
鉄道騒音を測定した結果、49 地点で環境基準
新幹線鉄道騒音の環境基準達成率の推移
(%)
(dB)
を達成し、達成率は 64.5%でした。また、測
定結果の平均値(各地点の測定結果の算術平均
値)は 69.1 デシベル(dB)でした。最近5か
年の環境基準の達成率は右図のとおりです。
また、新幹線鉄道振動については、沿線 30
地点で測定した結果、すべての地点で振動指針
(資料)環境部作成
値を下回りました。
● 県の施策
県は、工場・事業場の操業に起因する騒音・振動及び建設作業に伴う騒音・振動を規制するため、騒
音規制法及び振動規制法に基づき町村の規制地域の指定及び規制基準の設定を行っています。
また、生活環境保全条例に基づき、法律で規制されていない深夜営業騒音の規制、音響機器の使用制
限等を行うとともに、規制対象の施設や建設作業の範囲を拡大しているほか、三河山間部についても規
制地域とし、生活環境の保全に努めています。
悪臭
● 悪臭とは
悪臭とは、「嫌な臭い」、「不快な臭い」で、人に心理的・生理的な影響を与えます。騒音・振動と同
じく、悪臭は「感覚公害」と呼ばれ、毎年多くの苦情があります。
● 悪臭の現況
悪臭に係る発生源別苦情件数
平成 26 年度の悪臭に係る苦情件数は 832 件で、発生源
別の件数は右図のとおりです。
● 県の施策
工場・事業場からの悪臭を規制するため、県は、悪
臭防止法に基づき規制地域の指定及び規制基準の設
定を行っています。
また、生活環境保全条例では、工場・事業場に対し
て悪臭物質の排出の防止義務を定めるとともに、悪臭
関係 15 業種を指定し、これらの工場・事業場には施
設の構造、作業の方法等について毎年度届出すること
を義務づけています。
31
(資料)環境部・公害等調整委員会調べ
水環境
● 水質汚濁とは
水質汚濁とは、河川や海域などの公共用水域や地下水に含まれる有機物、重金属などの有害物質や富
栄養化の原因である窒素、りんの量が増加した状態をいいます。その汚濁原因は、家庭、工場・事業所、
畜舎、田畑等からの排水です。
● 水質汚濁の現況
公共用水域の水質の環境基準については、すべての公共用水域に適用される「人の健康の保護に関す
る環境基準(健康項目)」と、水域類型の指定がされた河川、湖沼及び海域に適用される「生活環境の
保全に関する環境基準(生活環境項目)
」の2種類が設けられています。平成 26 年度は、河川 105 地点、
湖沼2地点、海域 41 地点の調査を行いました。現況は以下のとおりです。
◇
公共用水域(河川、湖沼、海域等)
<健康項目>
カドミウム、鉛など 27 項目について、141 地点(河川 100 地点、湖沼2地点、海域 39 地点)で調査
を実施しました。その結果、名古屋市内水域の荒子川の荒子川ポンプ所で 1,2-ジクロロエタンが環境基
準を達成しなかったものの、その他の 140 地点においては、すべての項目で環境基準を達成しました。
<生活環境項目>
生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)など 12 項目の調査を実施しました。
河川に適用される BOD については、平成 26 年度は調査開始以来、初めて 49 水域すべてで環境基準を
達成しました。
湖沼の COD の環境基準が適用される油ヶ淵では、環境基準を達成しませんでした。海域の COD につい
ては、伊勢湾、衣浦湾及び渥美湾の 11 水域のうち5水域で環境基準を達成しました。
全窒素及び全りんについては、伊勢湾及び三河湾の6水域のうち、全窒素は6水域すべてで、全りん
は4水域で環境基準を達成しました。
BOD の達成率の長期的な推移をみると改善傾向であり、COD、全窒素及び全りんの達成率の長期的な推
移は、いずれの項目においても概ね横ばいです。
水生生物の保全に係る環境基準項目(全亜鉛、ノニルフェノール及び LAS(直鎖ベンゼンスルホン酸
及びその塩))については、河川 42 水域のうち全亜鉛は 33 水域で、ノニルフェノールは 42 水域で、LAS
は 41 水域で環境基準を達成しました。また、湖沼(油ヶ淵)及び海域4水域では、すべての水生生物
の保全に係る環境基準項目の環境基準を達成しました。
河川及び海域の環境基準達成率の経年変化
( )
環
境
基
準
達
成
率
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
%
92 100
86
80 69 83 83 90
67
64
67
67
64 67
64 61
76 80
67
67
59
55 55 55
57
65
55 55 55
50
50
64
60
59 55
55 45
55
55 45
55 55 55
55
55
50 50 50 50
50
50
50
45
79 77
64
64 64
55
48
48
45
50 50 45
55
29
96 94 94 100
98
96 98
83
83
83 83
83 83
64 83 83 83
67
55 55
55 55
河川(BOD)
海域(COD)
海域(全窒素)
海域(全りん)
昭和
平成
48 50 52 54 56 58 60 62 元 2
3
4
5
6
33
73
33 33
32
67
45 45
50
33
7
8
100
100
83
33
17
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
年度
(注)達成率(%)=(達成水域数)÷(総水域数)×100
(資料) 環境部調べ
33
45
94
河川の BOD 及び湖沼・海域の COD の環境基準適合状況(平成 26 年度)
凡例
:
:
:
:
犬山橋
環境基準適合地点
新たに環境基準適合となった地点
新たに環境基準不適合となった地点
環境基準不適合地点
濃尾大橋
待合橋
北今橋 五
条
川
日
光
川
木
曽
川
大留橋
木瀬川
城嶺橋
新
川
水分橋
庄内川
矢作ダム
堀越橋
枇杷島橋
矢田川
小渡新橋
萓津橋
東海橋
日光大橋
大森橋
堀 山
川 崎
川
中
川
運
荒河
子
川
天神橋
港新橋
名古屋港
(甲)
N-1
N-6
N-2
N-4
巴川
明治用水頭首工
細川頭首工
境大橋
豊
川
岩津天神橋
猿渡川
鹿
市原橋
三ッ又橋
乗
衣浦港 稗田橋 長田川 半川
場
K-1
川
高浜橋
乙川
K-2
学校橋
米津小橋
米津大橋
古川頭首工
水門橋
K-3
油ヶ淵
常滑地先海域
K-4
衣浦港
南部
宇
連
ツノジ橋
音羽川
矢作古川
江島橋
柳橋
豊川放水路
小坂井大橋
A-6
A-9
K-6
雨山川
長篠橋
佐奈川
剣橋
A-2
川
乙女川
A-1
朝 鮮川 ・坂下 小橋
蒲郡地先海域
K-5
K-5
N-8
鳳来橋
占部用水取入口
男川
潭水橋
坂下橋
岡崎市上水道取入口
半田大橋
N-7
常盤橋
逢
妻
川
境大橋
阿
久
比
川
N-5
大千瀬川
道徳橋
千鳥橋
新境橋
N-3
矢作川
境
川
荒子川
ポンプ所
名古屋港
(乙)
介木川
天白川
吉田大橋
渥美湾(甲)
A-5
A-3
A-4
A-7
梅田川
御厩橋
A-8
衣浦湾
渥美湾(乙)
船倉橋
汐川
伊勢湾
神野・田原地先海域
N-9
<岐阜県及び三重県測定分>
環境基準点数
基準適合数
岐阜県測定分
木曽川下流
1
1
三重県測定分
木曽川下流
1
1
(注)木曽川中流では岐阜県の、木曽川下流では三重県の調査結果も使用して環境基準達成を評価します。
海域の全窒素の環境基準適合状況(平成 26 年度)
海域の全りんの環境基準適合状況(平成 26 年度)
環境基準の適合状況 その2(全窒素)
伊勢湾(イ)
Ⅳ
N-3
N-6
凡例
凡例
:
:
:
:
N-2
伊勢湾(イ)
Ⅳ
環境基準適合地点
新たに環境基準適合となった地点
新たに環境基準不適合となった地点
環境基準不適合地点
:
:
:
:
N-3
N-4
N-6
伊勢湾(ハ)
Ⅲ
環境基準適合地点
新たに環境基準適合となった地点
新たに環境基準不適合となった地点
環境基準不適合地点
N-2
N-4
伊勢湾(ハ)
Ⅲ
N-5
N-5
三河湾(イ)
Ⅳ
N-7
K-3
伊勢湾(ニ)
Ⅱ
三河湾(ハ)
Ⅱ
K-4
K-5
N-8
三河湾(イ)
Ⅳ
N-7
三河湾(ロ)
Ⅲ
K-6
K-8
A-1
伊勢湾(ニ)
Ⅱ
A-9
A-7
三河湾(ハ)
Ⅱ
K-4
A-4
A-14
三河湾(ロ)
Ⅲ
K-3
A-6
K-5
A-5
N-8
A-4
A-7
A-14
A-8
N-13
N-9
N-9
<三重県測定分>
<三重県測定分>
水域名
環境基準点数
基準適合数
水域名
環境基準点数
基準適合数
伊勢湾(ハ)
3
3
伊勢湾(ハ)
3
3
伊勢湾(二)
6
5
伊勢湾(二)
6
4
(注)伊勢湾(ハ)及び伊勢湾(ニ)では、三重県の調査結果も使用して環境基準達成を評価します。
(資料)環境部調べ
33
A-6
A-9
K-6
A-8
N-13
A-1
K-8
A-5
◇
地下水
平成 26 年度においては、メッシュ調査(県内を 176 のメッシュに区切り、その中から毎年度新た
な地点を選定して行う調査)では、100 地点中 89 地点ですべての項目で環境基準を満たしたものの、
11 地点で環境基準を超過した項目がありました。基準を超過した項目は、砒素、総水銀、トリクロロ
エチレン、テトラクロロエチレン、ふっ素でした。定点調査(経年変化を把握するため毎年度同じ 19
地点で行う調査)では、19 地点中 16 地点ではすべての項目で環境基準を満たしたものの、3地点で
は環境基準を超過した項目がありました。基準を超過した項目は、砒素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒
素、ふっ素、ほう素でした。
平成元年度から 26 年度までのメッシュ調査結果の累積をみると、2,497 地点中 174 地点で、鉛、六
価クロム、砒素、総水銀、揮発性有機化合物(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)、
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素、ほう素並びに 1,4-ジオキサンが環境基準を超過していました。
● 水環境保全に関する施策
◇
工場・事業場に対する規制指導
水質汚濁防止法に基づく届出が必要な事業場に対し、pH、BOD 等の生活環境項目及びカドミウム、
トリクロロエチレン等の有害物質について排水濃度の規制を行うとともに、COD、窒素、りんに係る
排出水の汚濁負荷量を規制しています。
平成 26 年度は、届出事業所に対し延べ 3,328 件の立入検査と 774 件の採水検査を実施しました。
そのうち排水口における検査 561 件中、排水基準を超えたのは 31 件でした。項目別では、pH、BOD 等
の一般項目で延べ 30 件、有害物質で延べ1件であり、これらは全体の 1.0%でした。排水基準を超え
た事業場に対して 12 件の改善勧告等を行い、
排水処理施設の改善や維持管理の徹底を指導しました。
◇
油ヶ淵浄化対策の推進
県内唯一の天然湖沼である油ヶ淵周辺を生活排水対策重点地域に指
定し、
「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)
」に基
づき、下水道、浄化槽等の生活排水処理施設の整備、ヨシ等による植
生浄化等の水環境改善事業や地域住民、NPO 等と協働して取り組む水環
境モニタリングなどを実施しています。
平成 26 年度のCOD75%値は7.5mg/Lであり、
水質は改善傾向にあります。
◇
油ヶ淵全景
(写真提供:株式会社小島組)
伊勢湾・三河湾の浄化対策の推進
伊勢湾・三河湾は水深が浅く、突き出した半島によって湾口が狭くなっていることなどから、外海
と水の交換が行われにくい状況にあり、典型的な閉鎖性水域となっています。このため、国の総量削
減基本方針に基づき、平成 24 年2月に「第7次総量削減計画」を策定し、総合的、計画的な水質保
全対策を推進しています。
また、古くから豊かな海の恵みをもたらしてくれる「里海」である三河湾の再生に向け「三河湾里
海再生プログラム」を策定し、様々な取組を推進しています。
34
さらに、平成 24 年度からは、県民、NPO 等団体、市町村及び県が一体となって三河湾の環境再生に
向けた取組の機運を高めるため、
「三河湾環境再生プロジェクト -よみがえれ!生きものの里“三河
湾”-」として、里海再生に向けた調査活動などの事業を展開しています。平成 26 年度には、
「三河
湾環境再生プロジェクト行動計画」
(平成 25 年度策定)の目標の一つである多くの人々に三河湾に関
心を持ってもらう取組として、8月に蒲郡市内で「三河湾大感謝祭」を開催しました。
◇
生活排水対策の推進
県は、生活環境保全条例に基づく「生活排水対策に関する基本方針」を策定し、各種団体・業界へ
の働きかけや、10 月のクリーン排水推進月間を始めとした啓発事業を実施するほか、生活排水処理施
設を効率的に整備するとともに、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進しています。
◇ 地下水汚染対策
県内の地下水の汚染状況を把握するため、メッシュ調査や定点調査等の常時監視を行っています。
また、生活環境保全条例において、特定有害物質を取り扱う事業所等は土壌・地下水の汚染状況の調
査や、汚染が基準に適合しないことが判明したときの知事への届出義務について規定しています。
◇
ゴルフ場の農薬による水質汚濁防止対策
愛知県ゴルフ場農薬適正使用指導要綱及び愛知県ゴルフ場農薬適正使用指針を定め、ゴルフ場によ
る農薬の適正使用の指導を行っています。また、平成 26 年度は、県内 25 ゴルフ場からの排出水中の
農薬濃度の実態調査を実施しました。その結果、指針値を超えていたものはありませんでした。
◇ 水循環の再生
急激な産業の発展や都市化の進展、森林や農地をとりま
く状況の変化等により、水循環の状況は大きく変化し、水
質汚濁、身近な水辺の減少等様々な問題が発生しています。
県では、平成 17 年度に策定したあいち水循環再生基本
構想に基づき、
「人と水との豊かなかかわりの回復・創造」
を目指し、健全な水循環の再生に取り組んでいます。その
一環として、県民、事業者、民間団体、行政で構成する水
循環再生地域協議会を県内3地域で設立し、地域の実情に
沿った行動計画を作成するとともに、独自に定めたあいち
水の流れと水循環の問題点
の水循環再生指標を用いた「流域モニタリング一斉調査」を実施しています。平成 26 年度は県内全域
で 146 地点、691 名の参加がありました。
◇
水生生物調査結果
身近な自然にふれあうことで、県民の環境問題への関心を高めること等を目的に、小中学校の夏休
みの期間を中心に、昭和 60 年から毎年度、水生生物調査を実施しています。平成 26 年度は、66 団体・
延べ 4,098 名が、県内の 65 河川 108 地点で水生生物調査を実施したところ、45 地点が水質階級Ⅰ(き
れいな水)と判定されました。
35
土壌環境・地盤環境
● 土壌汚染とは
土壌汚染とは、土壌が直接的あるいは大気汚染や水質汚染を通じて間接的に汚染されることをいいま
す。土壌汚染が進むと、農作物の生育阻害、汚染土壌で生産された農作物や汚染地下水による健康被害
につながるおそれがあります。
近年、市街地での有害物質による土壌汚染の事例が増えていることから、国は土壌汚染対策法を、県
は生活環境保全条例をそれぞれ制定し、汚染の状況把握や汚染による健康被害の防止に関する措置を定
めています。
● 土壌・地下水汚染対策
土壌汚染対策法では、一定の機会をとらえて汚染の状況の調査を行うよう定めています。県は、法令
の内容を土地の所有者等に周知するとともに規制・指導を実施しています。調査の結果汚染が判明した
土地は、県が要措置区域又は形質変更時要届出区域に指定します。また、生活環境保全条例では、特定
有害物質等取扱事業所の廃止時等の調査義務や、汚染の状況及び応急措置の内容等の知事への届け出、
さらに、法や条例の規定に基づかない土壌・地下水調査(自主調査)により土壌・地下水汚染が判明し
た場合についても、調査実施者は知事への報告に努めるよう規定しています。
土壌汚染対策法や生活環境保全条例、自主調査により土壌・地下水汚染が判明した場合は速やかに公
表するとともに、土地所有者等による適切な措置を指導し、地下水汚染が判明した場合は周辺の井戸調
査を実施するなど、土壌・地下水汚染による健康被害防止に努めています。
土壌汚染対策法に基づく区域指定の状況 (平成 26 年度末)
区
分
これまでに指定した土地の区域数
これまでに解除した土地の区域数
指定されている土地の区域数
要措置区域
形質変更時要届出区域
19 (9)
10 (5)
9
106 (27)
47 (12)
59
(注1)
( )内の数字は平成 26 年度に指定又は解除した区域数
(注2)政令市(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市及び豊田市)の件数も含む。
(資料)環境部調べ
● 地盤沈下とは
地盤沈下は、主に粘土層が厚く軟弱な地盤の地域において、地下水の過剰な揚水によって地下水位が
下がり、その通り道である帯水層の水圧が低下することで、帯水層の上下に存在する粘土層の中に含ま
れる水が水圧の低い帯水層に絞り出され、粘土層が収縮することによって発生します。広い地域にわた
ってゆっくりと進行するため人間が感知することは難しく、また一旦発生すると元には戻りません。本
県は、濃尾平野、三河地域沿岸部に広範囲の海抜ゼロメートル地帯を有し、洪水や高潮、津波等に対す
る防災面からも地盤沈下の防止が重要です。
36
● 地盤沈下の現況
工業用水法や生活環境保全条例による地下水揚水規制など、各種の地盤沈下防止対策を施した結果、
地盤沈下は概ね沈静化の傾向にあります。
平成 26 年における観測結果では年間1㎝以上の沈下を示した水準点は1点観測されましたが、地盤
の沈下域は見られませんでした。ただし、直近5年間の累積では愛西市立田町の水準点で 3.11 ㎝、同
市同町の別の水準点で 1.78 ㎝沈下しており、沈下しやすい軟弱な粘土層が厚く堆積している尾張西部
においては依然として沈下の傾向にある地点が見られました。
過去5年間の年間最大沈下量と地盤沈下域面積
年(平成)
最大沈下量(cm)
1cm 以上の地盤沈下域面積(km2)
22
0.70
0
23
0.90
0
24
0.99
0
25
0.91
0
26
1.00
約0
注)地盤沈下域面積で「約 0」とは、沈下した水準点は存在するものの、沈下域の形成には至らなかったことを示してい
る。
(資料)環境部調べ
● 地盤沈下対策
本県では、過去に尾張地域で激しい地盤沈下が起きたことから、工業用水法や生活環境保全条例によ
る地下水揚水規制に取り組んでいます。また、国は、関係閣僚会議において、濃尾平野全体の地盤沈下
防止を目的とする「濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱」を決定し、今後も要綱を継続して地盤沈下対策
を推進していくことが関係府省連絡会議で決定されています。
地盤沈下は、概ね沈静化の傾向にあるものの、依然として広範囲な地盤沈下が発生する可能性がある
ため、県は、地域の状況に合わせて、地盤沈下、地下水位及び地下水揚水量の調査からなる監視、工業
用水法や生活環境保全条例による地下水揚水規制などの防止対策、海岸・河川堤防や排水施設の整備な
どの防災対策による地盤沈下対策を進めています。
廃棄物・資源循環
● 廃棄物とは
廃棄物とは、自ら利用したり他人に有償で
譲り渡したりすることができないため不要に
なったものをいいます。家庭等から発生する
ごみやし尿などの一般廃棄物と、工場などの
事業活動に伴って発生する燃え殻、廃油、汚
泥等の産業廃棄物とに区分されます。一般廃
棄物は市町村、産業廃棄物は排出事業者に処
理責任があります。
37
● 廃棄物の現況
◇
一般廃棄物
ごみの総排出量は、近年、減少傾向にあります。平成 25 年度における本県のごみの総排出量は 257
万2千トンで、県民1人1日当たりに換算すると 940gでした。また、行政、県民、事業者によるご
みの減量化・再資源化の取組が進んだことにより、平成 25 年度のごみのリサイクル率は 22.7%で近
年は横ばい傾向にあります。
ごみの総排出量と最終処分量の経年変化
(注 1)
「ごみの総排出量」とは、
「収集ごみ量」、
「直接搬入ごみ量」、
「自家処理量」
、「集団回収量」の合計値をいう。
(注 2)
「人口」の定義について、平成 19 年度から住民基本台帳人口に外国人登録人口を含めている。
(資料)環境部調べ
総資源化量とリサイクル率の経年変化
(千トン)
(%)
700
総
資
源
化
量
600
500
400
300
200
100
599
554 565
504
289
320 333
354 370
409 17.4
12.6 222
617
22.0
20.3
21.1
19.2 19.4
251 250
643 649 655 638 627
614 607
248
255
22.8 23.5 23.6
22.6
30
589 584
22.8 22.7
23.4
22.1
213 209 201 195 189
247 255 250 238
25 リ
20
サ
イ
ク
ル
率
15
12.4 195
11.6 11.9
185
10.5
192
396 394 405 400 414 405 406 394 395
192
344 369
315
201
303
178
282
214
185
162
111 119 141
9.8
10
5
0
0
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
(年度)
集団回収量
資源化量
リサイクル率
(注1)「総資源化量」とは、
「資源化量」と「集団回収量」の合計値をいう。
(注2)「リサイクル率」=(
「総資源化量」/(
「収集ごみ量」+「直接搬入ごみ量」+「集団回収量」
))×100
(注3)四捨五入により計と内訳が一致しない場合がある。
(資料)環境部調べ
38
◇
産業廃棄物
平成 25 年度の産業廃棄物の発生量、中間処理による減量化量、資源化量及び埋立処分量は前年に
比べ増加しています。
産業廃棄物の発生量等の推移
(資料)環境部調べ
● 廃棄物・資源循環施策
◇
資源循環型社会の形成
・あいちエコタウンプランの推進
平成 24 年 10 月に改定した「新・あいちエコタウンプラン」に基づき、地域の特性を踏まえ、先導
的で効果的なリサイクル施設等の設置や未利用資源の活用によって得られた新たな製品やエネルギ
ーの地域内循環を促進することとし、循環ビジネスの普及・振興等の手法を用いて「環境と経済が好
循環するモノづくり県」のさらなる発展を目指して施策を進めています。
県庁西庁舎に設置した「あいち資源循環推進センター」を産学行政の連携拠点とし、循環ビジネス
の発掘・創出を図る「循環ビジネス創出会議」の開催、先導的・効果的なリサイクル事業に対する補
助制度の実施、資源循環や環境負荷低減を目的とする優れた技術や活動に対する「愛知環境賞」の表
彰、持続可能な社会を担う人づくりを行う「あいち環境塾」の開講などを行っています。
・あいちゼロエミッション・コミュニティ構想
「あいちゼロエミッション・コミュニティ構想」の推進を通して地域が自立的に持続可能性を高め
ていくためには、地域の特性を活かした事業を実施していく必要があります。そのため、構想では地
域特性に応じた先導的な9つの事業モデルを用意しています。
平成 26 年度は、
「都市マンション等におけるゼロエミッション」
、
「工場等排熱の有効利用」及び「食
品廃棄物等のバイオマス多目的利用」について事業化検討を行うとともに、平成 25 年度に事業化検
討した「農業・畜産業のバイオマス利用ネットワーク」構想事業について事業化を実現しました。
39
◇
愛知県廃棄物処理計画の推進
廃棄物処理法に基づき、県は、5年ごとに「愛知県廃棄物処理計画」を策定しています。
愛知県廃棄物処理計画による平成 28 年度における廃棄物の減量化目標
○
廃棄物の排出量について、平成 20 年度に対して一般廃棄物は約9%削減し 254.1 万トンに、産業廃棄
物は約6%削減し 1545.3 万トンにする。
○ 処理しなければならないごみの一人一日当たりの量(一般廃棄物の一年間の全排出量から、資源ごみ量
及び集団回収量を差し引いて換算した量)は、平成 20 年度に対して約 12%削減し、720gとする。
○
排出量に対する再生利用量の割合(再生利用率)について、一般廃棄物は約 26%、産業廃棄物は約 68%
とする。
○ 最終処分量について、平成 20 年度に対して一般廃棄物は約 23%削減し 23 万トンに、産業廃棄物は約
18%削減し、95.4 万トンにする。
一般廃棄物の減量化目標と処理実績
産業廃棄物の減量化目標と処理実績
・一般廃棄物対策
一般廃棄物が適正に処理されるよう、循環型社会形成推進交付金等を活用した計画的なごみ処理施
設の整備を促進するなど、ごみの発生抑制、リサイクルの推進等について市町村に対し技術的支援、
財政的支援をしています。
40
市町村が設置しているごみ焼却施設等に対して立入検査を実施し、廃棄物処理法の構造基準・維持
管理基準やダイオキシン類対策特別措置法の排出基準の遵守や改善等を指導しています。
市町村と連携した放置自動車ゼロ推進月間などの普及啓発事業を実施しています。
・産業廃棄物対策
産業廃棄物を多量に排出する事業者に対して産業廃棄物の減量化や適正処理に関する計画の作成
を指導しています。
産業廃棄物の適正処理の促進の観点から、産業廃棄物処理業者や産業廃棄物処理施設に対する立入
検査や監視指導を実施しています。
産業廃棄物税の税収を産業廃棄物の発生抑制、再使用及び再生利用の促進、最終処分場の設置の促
進並びに適正な処理の推進を図るために活用しています。
産業廃棄物や副産物が再生品として流通・使用される際に、事前に県が届出を受け、環境安全性等
を審査する「再生資源活用審査制度」を平成 20 年7月から運用しています。
・公共関与による最終処分場の確保
産業廃棄物及び一般廃棄物の最終処分場の確保が困難な状況となっていることから、県内全域を受
入れ対象として、知多郡武豊町地先に衣浦港3号地廃棄物最終処分場を整備し、平成 23 年3月1日
から全面供用しました。
自然環境・生物多様性
● 自然環境の現況
本県は、本州中部の太平洋側に位置し、三河湾、伊勢湾及び太平洋に面しています。県土面積は5,165km2
で、東西106㎞、南北94㎞にわたっています。海岸総延長は約598㎞で、そのうち自然海岸が約37㎞で、
約2,062haの干潟及び約859haの藻場が確認されています。また、本県は、奥三河山間地から、里山、平
野部と多様な自然環境を有し、動物については哺乳類(海生哺乳類を含む)72種、鳥類413種、爬虫類
19種、両生類21種などが、植物については約4,220種が確認されています。
●
自然公園の保護と利用
愛知県内の自然公園・自然環境保全
県内には、自然公園法に基づく4つの国定公園と愛知
県立自然公園条例に基づく7つの県立自然公園が指定
されており、自然公園の陸域総面積は88,881haで、県土
面積の17.2%を占めています。
自然公園の優れた風景地を保護し、生物の多様性を確
保するため、公園計画に基づき、区域内に特別地域及び
特別保護地区(県立自然公園は特別地域のみ)を指定し、
地域内の風致景観を含む自然環境を損なう現状変更行
為等を規制(許可制)しています。平成 26 年度の公園
内における自然公園法又は愛知県立自然公園条例によ
る行為許可、届出の件数は計 755 件(前年度 1,226 件)で、前年度に比べて減少しています。
41
● 自然環境保全地域の保全
◇
自然環境保全地域の指定及び現況
自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例に基づき、優れた自然環境を有する地域を自然環境保
全地域として指定し、その保全に努めており、現在、15の自然環境保全地域を指定しています。
● 生物多様性の保全
◇
生態系ネットワークの形成
生態系ネットワークの形成は、生きものの生息・生育に必要な森や水辺等の多様な環境を保全・再
生してつなぐことによって、生態系を回復しようとするものです。
本県では、平成 22 年度に生きものの生息可能な地域を示した「生物多様性ポテンシャルマップ」
を作成しました。また、生態系ネットワークを形成するための具体的方法を確立することを目指して、
平成 22 年度から 24 年度まで県内3地域(東部丘陵、知多半島、西三河)において、生態系ネットワ
ーク形成モデル事業を実施し、併せて、平成 23 年度から有識者等による検討会の指導・助言を得つ
つ、モデル事業の検証や生態系ネットワーク形成手法の検討を進めました。
さらに、モデル事業の3地域以外においても、地域に応じた生態系ネットワークのあり方やテーマ、
指標種等を検討する生態系調査を実施した4地域(尾張北部、新城設楽、東三河、渥美半島)で協議
会が設立されました。平成 26 年度には西三河南部地域で、平成 27 年度には尾張南部地域で生態系調
査を実施しており、調査が終了した地域から生態系ネットワーク協議会を設立して、県内展開を図っ
ていきます。
◇
希少種の保護
絶滅のおそれのある種の中でも特に保護の必要がある種を、指定希少野生動植物種に指定して捕獲
や採取等を規制するとともに、特に生息・生育地の保護を必要とする種について生息地等保護区を指
定しています。平成26年度には、絶滅のおそれのある野生生物種の状況を最新の知見により見直し、
平成27年1月に「レッドデータリストあいち2015」を作成しました。
指定希少野生動植物種(平成 22 年3月 30 日指定)
鳥
類
は
爬虫類
両生類
淡水魚類
昆虫類
クモ類
貝 類
維管束植物
コノハズク
生息地等保護区(平成 24 年 3 月 16 日指定)
名称
区分
アカウミガメ
田原市伊良湖町ハギクソウ生育地保護区
管理地区
ナガレタゴガエル
ウシモツゴ
ヒメヒカゲ
ミカワホラヒメグモ
オモイガケナマイマイ
キンセイラン※
ハギクソウ
ナガバノイシモチソウ
シロバナナガバノイシモチソウ
エンシュウツリフネ※
ナガボナツハゼ
田原市小中山町ハギクソウ生育地保護区
管理地区
ハギクソウ
※平成 27 年2月 20 日指定
42
◇
移入種対策
人為的に移入された動植物種のうち、ミシシッピアカミミガメなど地域の生態系に著しく悪影響を
及ぼすおそれのあるものを自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例に基づき、28 種公表し、みだ
りに野外へ放つ行為を規制しています。
(平成 26 年6月にヒガタアシが外来生物法に基づく特定外来
生物に指定されたため、県の公表種は 29 種から 28 種になりました。
)
◇
野生生物の保護・管理の取組
第11次鳥獣保護管理事業計画に基づき、鳥獣保護区の指定などの事業を行っています。また、個体
数が著しく増加し農林業被害が深刻なイノシシ、ニホンザル、ニホンジカ、カモシカの4種について、
第二種特定鳥獣管理計画を策定して、適正な保護管理を実施しています。
◇
緑化の推進・森と緑づくり
第5次愛知県緑化基本計画に基づき、公園緑地や道路、河川、学校等の公共施設の緑化、市町村及
び民間事業者等の緑化事業への助成、県民意識の高揚、緑化木の生産振興等を図り、多様な緑に育ま
れる豊かなあいちを目指しています。
様々な公益的機能を持ち、県民の安心、安全で快適な暮らしを支える森や緑を守り育て、健全な状
態で将来へ引き継ぐため、平成21年度から「あいち森と緑づくり税」を活用した「あいち森と緑づく
り事業」を実施しています。
環境リスク
● 化学物質の適正管理
◇
化学物質による環境リスクの低減
化学物質は、現在、原材料や製品など、数万種類が流通しているといわれており、我々の生活に不
可欠である一方、取り扱いを誤ると、人体や環境を脅かす有害な物質として作用するおそれがありま
す。化学物質を適切に管理し、環境への排出を未然に防ぐとともに、環境リスクを持つ化学物質の排
出削減に取り組んでいく必要があります。
◇
化学物質の排出量等の状況
化学物質排出移動量届出制度(PRTR 制度)により、毎年度、事業所から大気、水、土壌等環境への
排出量及び廃棄物等に含まれて事業所外へ移動する量を事業者が自ら把握し、県を通じて国に届け出
ています。平成 25 年度の化学物質の届出排出量(県内 2,074 事業所から届出)は、県全体として約
12 千トン(全国の 7.4%)であり、うち約 96%は大気中へ排出されました。また、届出外排出量(家
庭からの排出量等)は約 12 千トン(全国の 5.2%)でした。これらをあわせた全排出量のうち、最も
多いのは溶剤や合成原料として幅広く使用されているトルエンでした。
生活環境保全条例等に基づく平成 25 年度の化学物質の取扱量(1,774 事業所から届出)は、県全体
で約 4,093 千トンでした。このうち、取扱量が最も多いのはキシレンでした。
43
発生源別排出量の内訳(平成 25 年度)
愛知県の全排出量 24,296 トン/年
届出対象事業者による届出(届出排出量)
国による推計値(届出外排出量)
12,437トン (51.2%)
11,859トン (48.8%)
家庭からの排出
3,215トン
合成洗剤
防虫剤
接着剤
乗り物から排出
3,117 トン
自動車
鉄道
船舶
13.2%
など
12.8%
48.8%
など
届出対象とならない事業所
6,105トン
25.1%
【届出対象事業所】
年間取扱量
1t以上
従業員数
21人以上
対象業種
製造業など24業種
非対象業種
(農業など)
届出要件未満
愛知県は届出事業所数(2,074事業所)と
排出量が、共に全国で1番多い県です。
※ 国では届出対象とならない事業所や家庭、
自動車などからの排出量を推計しています。
これを「届出外排出量」といいます。
(資料)環境部調べ
届出取扱量上位5物質とその割合(平成 25 年度)
キシレン
21.7%
その他
39.6%
トルエン
15.9%
ノルマル
-ヘキサン
5.2%
テレフタル酸
7.2%
ベンゼン
10.4%
(資料)環境部調べ
● ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物対策
平成 13 年6月に公布されたポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法で
は、PCB の処分期限を平成 39 年3月までとしたうえで、処分するまでの間、保管事業者は、適正に保
管するとともに、毎年度、保管及び処分の状況を届出することとなっています。平成 26 年度は、県
内の 3,048 事業所から届出がありました。
PCB 廃棄物の処理については、国が平成 15 年4月に策定した「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本
計画」に基づき、全国5か所で中間貯蔵・環境安全事業株式会社による広域処理が行われています。
本県を含む東海地区では、同社豊田 PCB 処理事業所(平成 17 年9月開始)が高圧トランス等及び廃
PCB 等の処理が進められています。また、平成 26 年6月に同処理計画が変更され、これまで処理が行
われていなかった、本県を含む東海地区内の安定器等、汚染物は、同社北九州 PCB 処理事業所で処理
が進められることとなっています。
●
ダイオキシン類対策
ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、ダイオキシン類の環境調査、事業場への立入検査、事業
者測定結果の公表等を行っています。平成 26 年度はすべての地点において環境基準を達成しました。
44
ダイオキシン類環境調査結果(平成 26 年度)
調査地点数 環境基準値を
(注1) 下回った地点数
調査項目
37
37
河川
41
41
湖沼
1
1
海域
10
10
河川
36
36
湖沼
1
1
海域
10
10
水生生物
(魚類)
4
16
大気環境
水
質
水
環
境
公
共
用
水
域
底
質
地下水
濃度範囲
(注2)
環境基準値等
0.0091~
年間平均値
0.069pg-TEQ/m 3 0.6pg-TEQ/m 3以下
0.024~
0.86pg-TEQ/L
年間平均値
1pg-TEQ/L以下
0.13~
42pg-TEQ/g
150pg-TEQ/g以下
4
0.32~
1.3pg-TEQ/g
0.032~
33pg-TEQ/g(注3)
16
0.023~
0.062pg-TEQ/L
年間平均値
1pg-TEQ/L以下
0.0015~
1,000pg-TEQ/g以下
13pg-TEQ/g
(注1) 調査地点数は、愛知県、名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市、その他県内14市町及び国土交
通省中部地方整備局で実施した合計地点数である。
(注2) 濃度範囲は年間平均値の最小値及び最大値である。
(注3) 水生生物(魚類)については、環境基準が設定されていないため、国が実施した全国調査結果
(平成11年度)の濃度範囲を示す。
土壌環境
24
24
(資料)環境部調べ
● 内分泌かく乱化学物質対策
内分泌かく乱作用などを有することが推察された、あるいはその可能性がある化学物質について環境
中の状況を把握するため、県は水質等の環境調査を実施しています。平成 26 年度は、10 地点8物質を
対象として水質調査を実施しました。その結果、ビスフェノールAは国が示した内分泌かく乱作用試験
における予測無影響濃度を下回りました。内分泌かく乱作用を有する可能性がある物質のうち、フェニ
トロチオン、ダイアジノン及びジクロルボスの3物質は8地点で調査を実施し、生態リスク初期評価に
おける予測無影響濃度を上回る地点がありましたが、水質汚濁に係る要監視項目の指針値を下回りまし
た。また、1-ナフトール、フェノバルビタール及びジクロロブロモメタンの3物質は 10 地点で調査を
実施し、生態リスク初期評価における予測無影響濃度を下回りました。シアナジンは、調査を実施した
地点において検出されました。
● 環境放射能
◇
放射能について
私たちの生活空間には、様々な放射性物質があります。放射性物質には、地球誕生時から存在して
いて、地殻構造物となって土壌中に存在するもの、遠く宇宙からやって来る宇宙線が地球に到来して
大気中で作り出したものなどがあります。これらは自然放射性核種と呼ばれ、代表的なものはウラン
、ラジウム 226(226Ra)
、ラドン 222(222Rn)、カリウム 40(40K)及び炭素 14(14C)など
238(238U)
です。これら自然放射性核種とは別に、1945 年の世界初の核実験以来、私たち人類が地球上に作り出
したものが人工放射性核種と呼ばれ、代表的なものはセシウム 137(137Cs)やヨウ素 131(131I)など
です。1986 年 4 月に旧ソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所において原発事故が発生した際に
は、日本においても5月初旬の雨水から人工放射性核種が全国的に検出されました。
また、平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災による東京電力株式会社福島第一原子力発電所
の事故に伴い、東日本を中心に環境中で放射性物質が検出されています。
45
◇
環境の状況
県では、原子力規制庁(平成 24 年度までは文部科学省)からの委託により、愛知県環境調査セン
ター及び同東三河支所等において環境中の放射能の状況について毎年測定を行っています。大気中の
空間放射線量率はモニタリングポストにより、定時降水中のベータ線はベータ線測定装置により、大
気浮遊じんや降下物等の放射能はゲルマニウム半導体検出器により、それぞれ測定しています。県内
における環境中の放射性物質に関する測定値について、異常値は認められませんでした。
空間放射線量率測定結果
モニタリングポ
ストの高さ
環境調査センター(名古屋市)
34m
環境調査センター東三河支所(豊橋市)
1m
西三河県民事務所(岡崎市)
1m
平成 26 年度
一宮市木曽川消防署大気測定局(一宮市)
1m
新城設楽建設事務所設楽支所(設楽町)
1m
過去3年間の値(平成 23 年度~25 年度)
(測定地点:環境調査センター)
測 定 期 間
測
定
地
点
全国値 (平成 26 年度)注 2
モニタリングポスト
測定値(μSv/h)注 1
0.037~0.064(平均値:0.041)
0.035~0.085(平均値:0.038)
0.074~0.105(平均値:0.078)
0.048~0.096(平均値:0.054)
0.047~0.083(平均値:0.052)
0.032~0.066(平均値:0.041)
0~0.285(平均値:0.053)
(N=299)注 3
(注1)モニタリングポストの測定値は吸収線量(nGy/h)で表示されるが、本資料では放射線量(μSv/h)に換算している(1μSv/h=
1000nGy/h として換算。)
。
(注2)全国値については原子力規制庁の「環境放射線データベース」(http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top)を
参照し(参照日:平成 27 年 6 月 8 日)、放射線量(μSv/h)に換算している。
(注3)N は測定ポイント数を示す。
(資料)環境部調べ
人づくり・環境学習等
● 人づくりの推進
◇
ESD ユネスコ世界会議の開催
2014 年(平成 26 年)11 月 10 日から 12 日まで、国際連合
教育科学文化機関(ユネスコ)及び日本政府の主催で、「持
続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会
議」が名古屋国際会議場において開催され、153 カ国・地域
から 76 名の閣僚級を始め政府代表や教育関係者などを中心
に 1,000 名以上の ESD 関係者が集まり、
「国連 ESD の 10 年」
全体会合の様子
の活動を振り返るとともに、2014 年(平成 26 年)以降の方
策などを議論する大変重要な国際会議でした。皇太子同妃両殿下が御臨席された開会全体会合を皮切
りに、4回の全体会合、34 のワークショップ、25 のサイドイベントが催されるとともに、多様なス
テークホルダーによる取組がブース展示されました。閉会全体会合では、これまでの 10 年間の成果
や本会議の審議を踏まえ、
「あいち・なごや宣言」が採択されました。
◇
ESD ユネスコ世界会議に向けた開催地元の取組
会議開催にあたり、開催地元として、名古屋市や地元経済界、教育機関等と ESD ユネスコ世界会議
46
あいち・なごや支援実行委員会を設立し、
「会議支援」
「あいち・なごやの魅力発信」
「ESD の普及啓発」
「ESD の取組促進」の4つの柱で、ESD ユネスコ世界会議を全力でサポートしました。
◇
ESD あいち・なごや子ども会議の開催
会議開催に併せて、県内の子どもたちが中心となり、持続
可能な社会づくりについて学び、話し合う子ども会議を開催
しました。子ども会議には、県内 65 校から 121 名が参加し、
エクスカーション(現地学習)
、グループ討議を経て、全体会
議によりとりまとめを行いました。
閉会全体会合におけるメッセージ発表
このとりまとめた内容については、子ども会議からのメッセージとして、ESD ユネスコ世界会議の
閉会全体会合において発表しました。
◇
エコアクションの推進
県では、持続可能な社会の構築に向けて、県民や事業者などあらゆる主体が環境について学び、行
動していくため、環境面で地域を支える「人づくり」に取り組んでいます。
愛知万博、COP10、ESD ユネスコ世界会議の開催を通して培われた県民の高い環境に対する意識をさ
らに地域全体の行動へと広げていくため、地球にやさしい身近な環境配慮行動の実践へとつなげる
「あいちエコアクション」を推進しています。
平成 26 年度は ESD ユネスコ世界会議を契機として、平成 27
年2月に「Let's エコアクション in
AICHI」を愛知芸術文化
センターとオアシス 21 で開催し、約2万人の来場者がありま
した。
あえる
また、県内の環境学習施設のネットワーク「AELネット」を
活用した環境学習スタンプラリーを開催し、延べ 48,788 人の
参加がありました。平成 26 年7月には、ウェブサイト「エコ
Let's エコアクション in AICHI
リンクあいち」を開設してエコアクションに取り組む運動を推
進しています。
● 環境学習等の推進
・
県民一人ひとりの環境保全に対する意欲を高めるため、
「あいち環境学習プラザ」
(愛知県東大手
まなびや
(愛・地球博記念公園内)を拠点にして、簡単な実験を交えた環境学
庁舎1階)及び「もりの学舎」
習講座、もりの学舎キッズクラブ、インタープリターと歩くもりのツアー「もりコース」
・
「かめの
池コース」
、夏・冬おやこクラフトなど様々な環境学習事業を実施しています。
・ NPO や学校といった様々な主体が連携し、具体的な行動に繋がる体験型の環境学習を推進するため、
平成 25 年度から「環境学習コーディネーター」をあいち環境学習プラザに設置し、講師・活動場所
の紹介といった相談業務や、講義の日程や学習内容の調整などを行うコーディネート業務を行ってお
り、平成 26 年度は 16 件の相談業務、21 件のコーディネート業務を行いました。
47
・
6月は国が定めた「環境月間」で、県も、毎年、環境月間に各種の行事を実施しています。平成
26 年度は6月 11 日にウィルあいちで「県民のつどい」を開催し、環境保全関係功労者の表彰式と講
演を行いました。
● 国際環境協力の推進
過去の公害克服の経験や優れた環境技術の蓄積を活かし、
(独)国際協力機構(JICA)などと提携し
た環境協力を進めています。平成 26 年度には、中国、韓国、カナダなどから 31 名の研修員等の受入れ
を行いました。
環境における各種基盤施策
● 公害の防止・健康被害者の救済
名古屋市始め7市を対象地域とする「愛知地域公害防止計画」
(平成 24 年 3 月策定)に基づき、発生
源などに対する各種規制及び監視を強化・充実させるとともに、下水道の整備、河川のしゅんせつ等の
公害防止対策事業をはじめとした施策を実施することにより、総合的な推進を図っています。
また、「都市地域における大気汚染対策」、
「自動車交通公害対策」、
「伊勢湾(三河湾を含む)及びそ
の流域都市内河川の水質汚濁対策」及び「油ケ淵の水質汚濁対策」を主要課題として重点的に実施して
いきます。
公害紛争処理法及び愛知県公害審査会の設置等に関する条例に基づき愛知県公害審査会を設置し、迅
速かつ適正な公害紛争の処理に当たっています。また、公害健康被害の補償等に関する法律に基づき、
被認定者に対する補償給付等を行っています。
● 環境影響評価制度
県は、環境影響評価法及び愛知県環境影響評価条例に基づき、道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所、
廃棄物処理施設、下水道終末処理場、工場・事業場、公有水面の埋立て・干拓、土地区画整理事業、新
住宅市街地開発事業、新都市基盤整備事業、流通業務団地、農用地、レクリエーション用地、工業団地
及び住宅団地の造成、鉱物の掘採又は土石の採取等の事業のうち、規模が大きく、環境に大きな影響を
及ぼすおそれがある事業を環境影響評価の対象とし、制度の適正な運用に努めています。
● 企業の環境保全活動への支援
県は、中小企業を対象に、公害防止のための施設整備費、工場移転経費について低金利の融資制度を
設けています。
● 環境の調査・研究に関する主な施策
環境調査センターにおいて、大気、水質、騒音などの調査を行うとともに、国立環境研究所や地域の
研究機関との共同研究を実施しています。
48
平成 27 年の環境行政の動き
県
燃料電池自動車(FCV)
「MIRAI」を全国の自治体で初めて公用
車として導入
1.21
「レッドリストあいち 2015」を発表
1.29
渥美半島生態系ネットワーク協議会設立
1.31
「エコリンクあいち」のすべてのページが完成
愛知県地球温暖化防止活動推進員を委嘱(第 12 次)
2. 1
2. 7・8 「Let's エコアクション in AICHI ~地球へのラブレター
~」を開催
指定希少野生動植物種を追加指定(施行 2.21)
2.20
3.24
廃棄物の適正な処理の促進に関する条例施行規則の一部改
正公布・施行
「愛知県光化学スモッグ緊急時対策取扱要領」一部改訂(協
4. 1
力工場の変更)
コスタリカ共和国環境エネルギー大臣が知事表敬
4.28
5.29
「第 11 次鳥獣保護事業計画」を「第 11 次鳥獣保護管理事業
計画」へ変更
国等
1.20
6. 5
6.10
6.20
6.26
「愛知県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を変更
「三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ」を設立
「AEL ネット環境学習スタンプラリー」を実施
(28.2.29 まで)
愛知県立自然公園条例施行規則の一部改正
3. 1 外来生物法の特定外来生物の追加指定(1種)
4.15 国内希少野生動植物種の追加(41 種)
5.19 自然公園法施行規則の一部改正
5.29 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関す
る法律の施行
6.19 「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」の
公布
7.17 日 本 政 府 が 条 約 事 務 局 に 我 が 国 の 約 束 草 案
(2020 年以降の新たな温室効果ガス排出削減目
標)を提出
7.17 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の一部改
正
「エコリンクあいち」でエコポイントダービーを実施
(28.3.31 まで)
「三河湾環境学習会」を開催
8. 1
「かがやけ☆あいちサスティナ研究所」設立及び開所式
8.21
「あいち生物多様性フォーラム」を開催
9. 4
「もりの学舎☆ふれあいテラス」を設置
9. 6
「アクション油ヶ淵 2015」を開催
9. 8
「愛知県庁移動式水素ステーション」を運用開始
9.10
「第 32 回全国都市緑化あいちフェア」を開催
9.12
「おかえり!森の自然学校」を実施(11.8 まで)
9.12
10.11・12 愛知万博 10 周年記念「インタープリター愛・地球ミーティ
ング」を開催
「第2回三河湾大感謝祭」を開催
10.18
11.14・15 「Let's エコアクション in AICHI ~実らせよう! 地球へ 11.30 国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議
(COP21)開幕
の想い。~」を開催
12.12 COP21 において新たな法的枠組み「パリ協定」を
採択
8. 1
表紙写真
平成 26 年度あいち緑のカーテンコンテスト
幼稚園・保育園部門最優秀賞
名古屋市山下保育園
かがやけ☆あいちサスティナ研究所
開所式
(愛知県公館)
燃料電池自動車(FCV)及び
移動式水素ステーション
(愛知県西庁舎)
三河湾環境再生プロジェクト
三河湾環境学習会
(県立三谷水産高等学校「愛知丸」
)
愛知万博 10 周年記念
インタープリター愛・地球ミーティング
(愛知県立大学)
海岸漂着物に関する
環境学習プログラム
(佐久島 白浜海岸)
環境行政に関する県の問合せ先
部
環境部
東三河総局
新城設楽振興事務所
尾張県民事務所
海部県民センター
知多県民センター
西三河県民事務所
同
○
課 名
環境政策課
環境活動推進課
大気環境課
地球温暖化対策室
水地盤環境課
自然環境課
資源循環推進課
廃棄物監視指導室
環境保全課
環境保全課
環境保全課、廃棄物対策課
環境保全課
環境保全課
環境保全課、廃棄物対策課
豊田加茂環境保全課
所
在
地
電話(代表)
〒460-8501 名古屋市中区三の丸三丁目 1-2
052-961-2111
〒440-8515
〒441-1365
〒460-8512
〒496-8531
〒475-8501
〒444-8551
〒471-8503
0532-54-5111
0536-23-2117(直通)
052-961-7211
0567-24-2111
0569-21-8111
0564-23-1211
0565-32-7494(直通)
豊橋市八町通 5-4
新城市字石名号 20-1
名古屋市中区三の丸二丁目 6-1
津島市西柳原町 1-14
半田市出口町 1-36
岡崎市明大寺本町 1-4
豊田市元城町 4-45
愛知県の環境白書は愛知県環境部のホームページ「あいちの環境」でご覧になれます。
http://www.pref.aichi.jp/kankyo/
また、愛知県の環境白書は愛知県県民相談・情報センターで購入できます。
愛知県県民相談・情報センター
名古屋市中区三の丸2丁目3-2(愛知県自治センター2階 情報コーナー)
TEL 052-954-6164(ダイヤルイン)
エコアクションを
はじめよう!つづけよう!つなげよう!
みんなでアクセス!
http://aichi-eco.com
愛知の環境のあらまし
平成 27 年 12 月
発行 愛知県環境部環境政策課
名古屋市中区三の丸3-1-2(〒460-8501)
電話 052-954-6210(ダイヤルイン)
愛知県環境部ホームページ「あいちの環境」
URL http://www.pref.aichi.jp/kankyo/
古紙パルプを含む再生紙を使用しています。