施行日通知など(PDF)

5 都市建調第 52 号
平成 5 年 5 月 24 日
特定行政庁建築主務部長
多摩東・西建築指導事務所長
殿
東京都都市計画局建築指導部長
木 内 正 二
東京都建築安全条例の一部を改正する条例の施行について(通知)
平成 5 年 3 月 31 日東京都条例第 8 号により「東京都建築安全条例の一部を改正
する条例」が公布されたところであるが、今般、「都市計画法及び建築基準法の
一部を改正する法律」の施行日に合わせて、平成 5 年 6 月 25 日に施行されるこ
ととなったので通知する。
今回の改正の理由及び概要は下記のとおりであるが、福祉のまちづくり対応
等の強化規定については、施行日以降は改正規定が適用されることとなるので、
申請等に際しては特に留意願いたい。なお、今回改正した条例の運用方針につ
いては、追って通知する。
記
1
改正の理由
東京都建築安全条例は昭和 25 年に制定され、社会経済情勢の変化に応じてそ
の都度改正を行ってきた。しかし、近年、進展する高齢化社会のもとで、障害
者や高齢者などを含む全ての都民が利用しやすい福祉のまちづくりに対応した
建築物の整備が強く要請されている。
また、平成 4 年 6 月には、建築物の防災規定の整備を含む「都市計画法及び建
築基準法の一部を改正する法律」が公布された。
一方、興行場等に関する規定は、昭和 31 年以降抜本的な改正がなく、近年の
劇場等の多様な機能及び形態の変化に対応できない状況が生じている。
そこで、このような状況に的確に対応するため、福祉のまちづくりに資する
建築物についての規定を整備するとともに、改正建築基準法に基づく関連規定
の整備及び興行場等の規定の整備・合理化を図る必要がある。
これらの理由により、今般、東京都建築安全条例の一部を改正するものであ
る。
2
改正の概要
第 1 章 総則
第 2 節 敷地及び道路
(1) 角敷地のすみ切り部分を道路状に整備させることとした。また、当該す
み切り部分における一定高さ以上の部分については、建築物を建築でき
ることとした(第 2 条)。
(2) 敷地の路地状部分の長さと幅員の関係を、長さ 20 メートル以下の場合
は、幅員 2 メートル以上、長さ 20 メートルを超える場合は、幅員 3 メー
トル以上と簡素化することとした(第 3 条)。
(3) 路地状部分の幅員が 4 メートル未満の敷地に建築できる階数を、耐火建
築物、準耐火建築物又は建築基準法施行令(以下「政令」という。)第 136
条の 2 の規定に定める技術的基準に適合する建築物の場合は 3、それ以外
の場合は 2 と改めることとした(第 4 条)。
(4) 幅員 6 メートル以上の道路に接しなければならない建築物の規模を 3000
平方メートルを超え、かつ、高さが 15 メートルを超えるものからとし、
さらに、当該道路に 10 メートル以上接しなければならないこととした(第
4 条の 2)。
(5) 敷地内の通路のみに面することができる木造の長屋(準耐火建築物を除
く。)の住戸の数を、2 から 3 に緩和することとした(第 5 条)。
第 4 節 防災構造
(1) 法改正に伴い、3 階以上の階に居室を設けることができる建築物に、準
耐火建築物を加えることとした(第 7 条)。
(2) 主要構造部を耐火構造としなければならない建築物の、避難階における
直通階段から防火区画された避難経路の部分に、守衛室等軽微な用途を
含めることとし、主要構造部を準耐火構造としなければならない建築物
も規制の対象に加えることとした(第 7 条の 4)。
第 2 章 特殊建築物
第 1 節 通則
(1) 法改正に伴い、本条例を適用する特殊建築物の用途に係る規定を整理し、
法の規定との整合を図った(第 9 条)。
(2) 路地状敷地における特殊建築物の建築制限の緩和条件に、路地状部分の
幅員が 10 メートル以上で、敷地面積が 1000 平方メートル未満である敷
地を加えることとした(第 10 条)。
(3) 避難階における直通階段からの出口を、避難上有効に道路及び通路に面
することとし、屋外への出口を 2 以上設けなければならない避難階等の
床面積を、500 平方メートルから 1000 平方メートルに緩和することとし
た(第 10 条の 4)。
(4) 耐火建築物等としなければならない特殊建築物の規定を、法改正に伴い
整合を図った(第 10 条の 5)。
(5) 特殊建築物の屋外に設ける階段の構造規定を、法改正に伴い整合を図っ
た(第 10 条の 7)。
(6) 行き止まり廊下等を禁止する対象用途から、窓先空地への 2 方向避難が
確保されている共同住宅等を除くこととした(第 10 条の 9)。
(7) 建築物の高さが 31 メートルを超える部分に通じる直通階段を、1 以上は
特別避難階段とし、その他の階段を屋外避難階段で良いこととし、興行
場等を規制の対象に加えることとした(第 10 条の 10)。
(8) 防火区画の構造規定を、特殊建築物の各用途ごとの条項で規定すること
とし、削除することとした(第 11 条)。
(9) 外壁等の防火構造規定を、法改正に伴い整備した(第 11 条の 2)。
(10) 遮音間仕切壁の設置を必要とする用途から、病院及び診療所を削除す
ることとした(第 11 条の 4)。
(11) 居住形態の変化に伴い、改良便槽とすることができる規定を削ること
とした(第 11 条の 5)。
第 2 節 学校
(1) 4 階以上に、小学校低学年用の教室を設けることができることとした(第
12 条)。
(2) 木造校舎の本屋と隣地境界線との距離に関する規定は、国の「小学校施
設整備指針」等で対応することとし、削除することとした(第 15 条)。
第 3 節 共同住宅等(共同住宅、寄宿舎及び下宿)
(1) 飲食店等の用途と複合する一定規模以上の共同住宅等は、主要構造部を
耐火構造又は準耐火構造としなければならないこととした(第 16 条)。
(2) 共同住宅等の主要な出入口が面する通路の幅員の算定基準を、「共同住
宅等の床面積の合計」から「住戸等の床面積の合計」に改め、ただし書の通
路幅員と長さとの関係を、「道路位置指定基準等との整合を図った(第 17
条)。
(3) 法改正に伴い、2 以上の直通階段を設置しなければならない木造の共同
住宅等から、準耐火建築物の共同住宅等を除くこととした(第 18 条)。
(4) 共同住宅等の居室からの避難規定のうち、窓先空地の幅員算定基準を、
「共同住宅等の床面積の合計」から「住戸等の床面積の合計」に改めること
とした(第 19 条)。
(5) 法改正に伴い、共同住宅等の廊下の構造規定の緩和条件に、一定の防火
性能を有する準耐火構造を加えることとした(第 19 条の 2)。
(6) 居住形態の変化に伴い、寄宿舎の寝室の構造規定及び共同住宅の炊事場
及び便所の設置の各規定を、削除することとした(第 19 条の 3 から第 22
条)。
第 4 節 物品販売業を営む店舗及び飲食店
(1) 大規模店舗の主要な出入口に設ける寄り付きの数は、2 以上設ければ良
いこととした(第 25 条)。
(2) 大規模店舗の売場の天井の吹抜き禁止規定は、政令の規定で安全性が確
保されるため、削除することとした(第 2 6 条)。
(3)
百貨店の屋上広場の構造規定は、安全上支障がない場合は、弾力的な運
用ができることとした(第 26 条の 2)。
(4)
連続式店舗の出入口及び通路に関する規定は、第 10 条の 4 の避難階に
おける直通階段からの出口等の規定を適用することとし、削除すること
とした(第 26 条の 3)。
(5)
連続式店舗が面する廊下の幅は、各店舗の規模に関係なく 3 メートル以
上とし、廊下の天井の高さは、2.7 メートル以上と合理化することとし
た(第 26 条の 4)。
(6)
連続式店舗の防火区画を、「各店舗ごとの区画」から「500 平方メートル
以内の区画」に改め、防煙区画と整合を図ることとした(第 26 条の 5)。
第5節
自動車車庫等(自動車車庫、自動車駐車場、自動車修理場、自動車洗車
場、自動車教習所、自動車ターミナル及びタクシー、ハイヤー等の営
業所)
(1) 建築物の一部に設ける自動車車庫等で耐火建築物としなければならない
場合の構造規定を整理するとともに、第 29 条へ統合することとした(第
30 条)。
(2) 法改正に伴い、耐火建築物としなくもよい自動車車庫等の用途に供する
部分とその他の部分との区画に、準耐火構造による区画を加えることと
した(第 32 条)。
(3) 法改正に伴い、簡易な構造の自動車車庫に対する構造規定の適用を除外
することとした(第 33 条)。
第 6 節 ホテル等(ホテル、旅館及び簡易宿所)
(1) 簡易宿所の宿泊室の構造規定は、政令及び旅館業法の規定に委ね、削除
することとし、避難上の規定を新たに設けることとした(38 条)。
第 7 節 公衆浴場
(1) 公衆浴場の用に供する建築物は、平家建ての場合を除き、耐火建築物と
しなければならないこととした(第 41 条)。
(2) 公衆浴場の火たき場、燃料小出し場及び灰捨場並びに燃料置場に関する
各規定(第 42 条から第 44 条)を、「ボイラー室等の構造」として整理統合
することとした(第 42 条)。
第 8 節 興行場等(劇場、映画館、演芸場、観寛場、公会堂及び集会場)
(1) 興行場等の各規定は、避難上の合理性から、「客席の床面積」による基準
から「客席の定員」によることとし、その算定基準を新たに定めることと
した(新第 40 条)。
(2) 興行場等の敷地の接道長さの基準を、敷地の外周の「5 分の 1 以上」から
「6 分の 1 以上」に緩和し、建築物の構造等による緩和基準を統合すること
とした(第 46 条)。
(3) 興行場等の周囲に設ける空地は、客待ちのための前面空地のみを設けれ
ば良いこととし、側面空地に係る規定は、避難規定に含め、削除するこ
ととした(第 47 条)。
(4) 興行場等の出入口、非常口及び階段と客席からの出入口及び非常口並び
に客用の廊下の規定を、国の「興行場等に係る技術指針」に準じて改める
こととした(第 49 条及び第 50 条)。
(5) 客席の構造規定のうち、いす間隔、客席内通路幅等の規定は、東京都火
災予防条例の規定に委ね、削除することとした(第 51 条及び第 52 条)。
(6) 興行場等の設備関連の規定である喫煙所の設置、便所、照明設備及び客
席の換気設備等の各規定のうち、政令、東京都火災予防条例及び興行場
の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例で規定しているものは、
削除することとした(第 53 条から第 60 条)。
(7) 客席部と舞台部との防火区画の設置規定基準を、「客席の床面積」から
「舞台部の床面積」とすることとし、一定の条件のもとに防火区画の設置
を免除することとした(第 64 条)。
(8) 舞台部における消火設備及び排煙設備の規定は、政令及び東京都火災予
防条例の規定で対応することとし、削除することとした(第 65 条)。
(9) 客席とその他の部分とを防火区画することとし、その構造基準を定める
こととした(第 66 条)。
(10) 管理人事務室の設置位置に関する規定は、削除することとした(第 67
条)。
(11) 映写室の構造及び設備並びに技士室の設置に関する規定は、映写機器
の近代化等により、火災の発生のおそれがなくなったため、削除する
こととした(第 68 条)。
(12) 主階が避難階以外にある興行場等の規定のうち、主階を地下に設ける
場合の規定と屋上広場の規定とを一定の条件のもとに緩和することと
した(第 70 条)。
(13) 演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の制限の緩和規定を、範囲及び対
象を拡大し、興行場等のすべてに適用できることとした(第 71 条)。
第 9 節 障害者及び高齢者に配慮を要する特殊建築物(新設)
(1) 福祉のまちづくりに対応するため、特殊建築物の構造規定を、「東京都
における福祉のまちづくり整備指針」に基づき整備することとし、特殊建
築物の適用範囲、道路から出入口に至る通路、出入口の構造、浴室の構
造、便所の設置及び構造、廊下の構造、直通階段の構造、エレベーター
の設置及びエレベーターの出入口の幅の規定を新設することとした(新
第 53 条から新第 62 条)。
第3章 地下建築物
第3節 地下の構え等
(1) 自動車車庫等の用途に供する地下の構えから地下道等までの歩行距離
は、50 メートル以下でよいこととした(第 73 条の 13)。
第 4 章 建築設備(雑則)
(1) 耐火構造等としなければならない床又は壁を貫通する建築設備に関す
る措置規定を、政令に準じて新たに設けることとした(新第 74 条)。
(2) 共同住宅に設置するエレベーターの戸には、かごの中を見通すことがで
きる窓を設けなければならないこととした(第 75 条)。
(3) エレベーターの地震時管制運転装置の設置を、地上 15 メートル以上の
階に通ずる乗降用のエレベーターにも義務づけることとした(第 75 条の
2)。
(4) エレベーターの点検用コンセント等及びエスカレーターの,点検口に関
する規定は、「昇降機設計・施工上の指導指針」で対応することとし、削除
することとした(第 77 条から第 79 条第 1 項及び第 2 項)。その他所要の
規定の整備を図ることとした。
東京都建築安全条例の一部を改正する条例の施行について(通知)
5 都市建調第 90 号
平成 5 年 6 月 30 日
東京都都市計画局建築指導部長
木 内
正
二
東京都建築安全条例の一部を改正する条例(平成 5 年 3 月 31 日東京都条例第 8
号)の施行については、先に平成 5 年 5 月 24 日付 5 都市建請第 52 号により改正
の概要とともに通知したところであるが、今般 6 月 25 日付で施行された。
そこで、今回の改正した条例の趣旨と運用方針を下記のとおりとりまとめた
ので、記載の諸点に留意の上、改正条例の適切な運用に努められたい。
記
第 1 総則関係
1 角敷地の取扱い(第 2 条)
第 1 項に規定する「道路状に整備する」とは、長さ 2 メートルの底辺を有する
二等辺三角形の各頂点に杭を打つなどにより、境界を明確にするとともに、人
や車が容易に通行することができる程度の整備状態を求める主旨である。なお、
整備時期については、確認通知時までに行うよう努められたい。
また、第 2 項ただし書に規定する「4.5 メートル」の根拠は、道路構造令第 12
条及び東京都屋外広告物条例施行規則別表第 3 に規定する建築限界等に準拠し
たものである。
2
路地状敷地の取扱い(第 3 条)
本条の改正は、路地状敷地の接道幅を簡素合理化したものであるが、木造等
の建築物で延べ面積が 200 平方メートルを超える規模のものは、第 2 項の規定
により第 1 項の表の幅員に各 1 メートルを加えた幅員が要求されることとなる
ので注意されたい。
3
路地状敷地の建築制限(第 3 条の 2)
改正前の第 4 条の規定を「路地状敷地」に限定適用し、本条として整理したも
のである。既成市街地の商店街等には、比較的広幅員の道路に接していても間
口が狭く、建て替えが困難な事務所や店舗等が多く見受けられる。そこで、道
路への避難等に支障がないと考えられる「路地状部分を有しない敷地」について
は、適用外としたものである。
4
3 階以上の階に設ける居室(第 7 条)
改正法第 27 条の規定により、一定の準耐火建築物に該当するものであれば、
木造 3 階建の共同住宅等の建築が、防火・準防火地域以外の区域に限って認めら
れることとなったため、都内においても、主として郊外地域での建築が可能と
なるよう改正を行ったものである。
第 2 特殊建築物関係
1 適用の範囲(第 9 条)
第 1 号中「博物館、美術館」は改正前の第 10 号から移行したもの、第 3 号の 2
は法改正により追加したもの、第 10 号は法改正により用語の整理をしたもの、
第 13 号は工場のうち自動車関連用途を整理したものである。
なお、「博物館、美術館」については、従前の規模の規定が削除されているの
で注意されたい。
2
路地状敷地の制限(第 10 条)
路地状部分の緩和幅員を「10 メートル以上」としたのは、安全性の確保には、
位置指定道路〔幅員 6 メートル+隅切り〕が築造できる程度の幅は必要である
と考えたものであり、また、敷地規模については、周辺宅地への影響を考慮し
て歯止めを設けたものである。
3
4 階以上に設ける教室等の禁止(第 12 条)
第 1 項に規定する「児童又は生徒が使用する居室」とは、児童又は生徒が一定
時間以上継続して使用するもので、図書室、視聴覚室等が該当する。
なお、ただし書において排煙設備を設けるのは、4 階以上の階でよいものとす
る。
4
共同住宅等の主要な出入口と道路(第 17 条)
床面積の算定対象を改正前の「共同住宅等の用途に供する部分」から「住戸等」
に改めたが、その主旨は、廊下、階段等の避難経路部分の面積が増加するに従
って全体の床面積に与える影響が大きくなるため、結果として最低限の避難施
設の整備にとどまっていた矛盾を解消するためである。
5
共同住宅等の居室(第 19 条)
第 2 項に規定する「窓先空地」の幅員算定を、第 17 条と同様の主旨で「住戸等」
に改めたものである。
なお、住戸等がバルコニーを有する場合の幅員算定の起算点は、原則として、
バルコニーの先端からであることは従前のとおりである。
6
屋上広場(第 24 条)
改正前には緩和規定がなく、義務づけ規定のみ記述されていた。しかしなが
ら、近年における百貨店は、その形態の多様化、大規模化により、高層建築物
の低層部を百貨店として利用したり屋上部分にヘリコプターの緊急離着陸場を
設置するなど、屋上部分の利用形態も変化し、多様化している。そこで、本条
ただし書を設けることにより柔軟に対応できるよう考慮したものである。
なお、ただし書の適用に際しては、(財)東京建築防災センターの防災評定を
受けるなど、その防災計画や避難計画の安全性を確認した上で適用されたい。
7
連続式店舗の構造(第 25 条)
改正前の第 26 条の 3 では、店舗等の合計面積で 500 平方メートルを超えるも
のが連続式店舗火に該当すると定義されていたが、今回の改正では面積規定を
設けず、独立した店舗が集合していれば連続式店舗とみなし、本条の適用対象
となるよう改めたものである。
ただし、容易に移動可能な間仕切り壁等で区画されているものは適用外とす
る。
なお、従前は各店舗毎に防火区画を要求していたため、各店舗の境壁の上部
を開放することで連続式店舗の適用を逃れようとする事例が生じていたので、
今回、防煙区画との整合も考慮し、床面積 500 平方メートル(スプリンクラー設
備等を設置の場合は 1000 平方メートル)以内毎の防火区画でよいこととしたも
のである。
8 連続式店舗の廊下(第 26 条)
廊下の幅員の規定を改めた理由は、これまでの規定が地下街と同様の幅員であ
ったこともあり、
また、連続式店舗の特性としてその面積の拡大は一般に横方向であり、それに
連動して廊下も延長されるため、3 メートルの幅員があれば避難上の安全性は確
保されるとの主旨からである。
また、天井高を「3 メートル以上」から「2.7 メートル以上」に改めたのは、近年
の建築物が天井裏に設けられる設備配管等のスペース増大を余儀なくされてい
る状況等を考慮したしたものである。
9
大規模の自動車車庫又は自動車駐車場の構造及び設備(第 32 条)
今回の改正により追加された第 6 号の規定は、改正前の第 31 条第 6 号の規定
を移行したものである。
10
適用の除外(第 34 条関係)
改正法により「簡易な構造の建築物」が定められたことによる。
また、商品である自動車で給油されていないもの等は、改正前の第 33 条の規
定では適用外となっていたが、これらは元来自動車車庫ではなく、店舗等とし
て扱うとの考えにより削除したものである。
11
簡易宿所の宿泊室(第 37 条)
簡易宿所については、旅館業法の規定に委ね、「カプセルホテル」等新たな宿
泊形態のものに対応するため、第 19 条の窓先空地〔幅員は原則として 2 メート
ル以上でよい〕及び 2 方向避難等の準用規定を設け、安全性の強化を図ったも
のである。
【興行場等関連】
12 客席の定員(第 40 条)
客席定員の算定方法については、国が定めた「興行場等に係る技術指針〔平成
3 年 12 月策定。
以下「指針」という。〕」に準じて、客席の形態毎に定めたものである。
なお、いすが固定されていない多目的ホール、宴会場若しくは集会場等につ
いては、本条の規定に定めていないが、他の法令で定員が定められている場合
を除き、1 人当たり 1 平方メートルとして算定するものとする。
13
敷地と道路との関係(第 41 条)
本条は、興行場等の敷地について、道路幅員と接道長さとの規定の一部を整
備したものである。
また、「道路幅員」については、近年の道路計画の幅員に対応させて整理する
とともに、「指針」に準じて客席の定員方式に改めたものである。
14
客席部の出入口(第 43 条)
本条から第 46 条(屋外へ通じる出入口等)まで及び第 51 条〔主階が避難階以
外にある興行場等〕の各規定とも、「指針」に準じて客席の定員方式に改めたも
のである。
15
客用の廊下(第 44 条)
第 4 号ロに規定する「階段状とするときは、段を連続させ 2 段以下としないこ
と」の主旨は、非常時の際に段の存在を認識させることにより、避難の際の危険
を防止することである。
16
客席内の構造(第 47 条)
第 1 項ただし書に規定する「客席内の構造上やむを得ない場合」とは、
例えば、
小規模の 2 階席や 3 階席等における最前部又は少人数用のブース内の通路等、
通行者も少なく危険が少ない場合が考えられる。
なお、客席内の通路、いす席等の構造の規定については、火災予防条例に委
ねることとした。
17
客席部と舞台部との区画(第 48 条)
第 1 項ただし書第 1 号に規定する「使用形態が火災発生のおそれがない場合」
とは、例えば、映画館や音楽専用ホール等のように、舞台内に可燃物が存しな
い使用形態の場合をいう。
また、同第 2 号中、「客席と舞台の区画が困難な場合」とは、例えば円形劇場
等のように、客席と舞台とが構造上、利用上一体的である場合等をいう。
18
興行場等の制限の緩和(第 52 条)
改正前は、特定の興行場にのみ適用されていたが、今回全ての興行場等に緩
和の範囲を拡大したものである。
その主旨は、近年における興行場等の形態は、ミニシアター、ビデオシアタ
ーなど小劇場型のほか、他の用途との複合型など多様化しており、一律に適用
することは適当でない場合がある。
そこで、興行場等の形態によっては、国の「指針」に適合し、又は(財)東京建築
防災センターの防災評定を受けるなどにより、安全性が確保されていると認め
られる場合には、本条を適用できることとしたものである。
【障害者及び高齢者に配慮を要する特殊建築物】
第 53 条から第 62 条までの適用にあたり、施設整備の技術標準等の詳細につ
いては、昭和 63 年 2 月 22 日策定の「東京都における福祉のまちづくり整備指
針」を参考とされたい。
19
適用の範囲(第 53 条)
本条は、法第 40 条を根拠として設けられた規定であるため、特殊建築物のみ
が対象用途となるものである。
第 1 号用途は、主として公共的な特殊建築物であるため、原則と規模等に関
係なく適用されるものである。
第 2 号用途は、主として不特定の多数の者が利用する特殊建築物であり、法
令上の大規模建築物の指標である延べ面積 1000 平方メートルを超えるものを対
象としたものである。
対象用途と非対象用途が混在した建築物において、各用途が利用上明確に区
画されている場合は、それぞれ別の建築物とみなしてよいものとする。
なお、第 53 条から第 61 条に係る制限の緩和等については、第 62 条の運用規
定により行われたい。
20
道路から出入口に至る通路(第 54 条)
「利用者が使用する」部分には、従業員及び管理者のみが使用する室又は部分
等は含まない。(以下、各条において同じ。)
21 廊下の構造(第 58 条)
利用者が使用する廊下の範囲は、利用者が使用する居室、便所、浴室等までを
いう。
有効幅の「1.4 メートル」は、車いすが方向転換でき、かつ、健常者とのすれ違い
ができる幅である。
「手すり」は、利用者の使用等を考え、両側に設置することを原則とする。
22
直通階段の構造〔第 59 条〕
第 3 号の「回り段」とは、階段の踊り場に段を設けたものや、らせん状のもの
をいう。
23
制限の緩和(第 62 条)
本条は、第 53 条から第 61 条までの緩和規定であるが、本条の適用に当って
は、例えば、次の何れかに該当する場合等、用途、規模等を考慮のうえ、適切
に対処されたい。
(1)既存建築物で建築行為を伴わない修繕、模様替又は用途変更を行う場合
(2)増築を行う場合で、既存部分への適用が過重又は困難と判断される場合
(3)既存建築物に軽微な増築を行う場合
第 3 建築設備関係
1 外気取入口(第 76 条)
地上 3 メートル未満の部分にある外気取入口で次に掲げるもの以外は、ただ
し書の規定による衛生上支障ないものとして扱ってよい。
(1)中央管理方式の空気調和設備の外気取入口
(2)地下部分に存する居室の機械換気設備外気取入口
2
換気設備の位置(第 77 条)
換気設備の原動機、送風機等の設備位置は、壁から 50 センチメートル未満又
は天井高 2 メートル未満であっても、次に掲げる場合は、ただし書に規定する
安全上支障ない物として扱ってよい。
(1)機器の上部、周囲の 2 面以上に点検上必要な空間が確保できる場合
(2)天井裏等に設置する機器が天井面に設置された点検口から容易に点検で
きる場合
3
共同住宅に設置するエレベーター(第 78 条)
エレベーターのかご内の防犯を目的とし、かご内に防犯カメラ又は防犯ブザ
ーの装置、若しくは建築物への出入口に身分確認ができる装置を設置したもの
は、第 1 項ただし書において、安全上支障ないものとして扱ってよい。
また、一の階段室に係る部分の床面積の合計が 3,000 平方メートル以下であ
る階段室型共同住宅、又は、担架等を容易に運搬することができる階段幅等を
有する建築物は、第 2 項ただし書において、安全上支障ないものとして扱って
よい。
5 都市建調第 326 号
平成 6 年 4 月 4 日
特定行政庁建築主務部長 殿
東京都多摩東部・西部建築指導事務所長
殿
東京都都市計画局建築指導部長
幸 山
恒 雄
東京都建築安全条例の運用について(通知)
このことについて、東京都建築安全条例の一部を改正する条例の施行に伴い、
平成 5 年 6 月 30 日付 5 都市建調第 90 号により、運用方針を通知したところで
ある。このうち、(障害者及び高齢者に配慮を要する特殊建築物関連)の項目に
ついては、先の取扱いを次のように改めたので通知する。
〔障害者及び高齢者に配慮を要する特殊建築物関連〕
第 53 条から第 62 条までの適用にあたり、施設整備の技術的標準等の詳細
については、昭和 63 年 2 月 22 日策定の「東京都における福祉のまちづくり
整備指針」を参考とされたい。
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適用の範囲(第 53 条)
(1)
第一号は、主として公共的な特殊建築物を対象としている。駅舎、郵便局、
保健所などの公共建築物は特殊建築物ではないが、できるだけ整備するよ
う指導されたい。
第二号の「これらに類する建築物」には、公衆浴場や遊技場など、不特定
多数の者が利用す る特殊建築物が含まれる。
(2)
対象用途と非対象用途が混在する建築物において各用途が利用上明確に
区画されている場合は、それぞれ別の建築物とみなしてよいものとする。
(3)
対象用途と非対象用途が混在した建築物において、第二号の床面積の合計
を算定する場合、対象用途に算入する駐車場や機械室などの共用部分の面
積は、対象用途の規模や利用形態を考慮して算定する。
(4)
対象用途に該当する場合、建築物の計画や経営者や管理者の方針により障
害者又は高齢者の使用を想定しないという理由では、適用を除外すること
はできないものとする。
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廊下及び階段の構造(第 58 条、第 59 条)
(1)
手すりは、利用者の使用等を考え、両側に設置することを原則とする。
(2)
本条例で規定する廊下及び階段の規定による有効幅については、図の W1
の寸法で取り扱ってよいものとする。しかし、廊下の有効幅の 1.4 メート
ルは、車いすが方向転換するために必要な寸法であるので、図の W2 の有効
幅が 1.4 メートル未満となる場合は、適切な位置に、車いすが方向転換す
ることができるスペースを設ける必要がある。
(3)
第 59 条第 2 号の「回り段」とは、階段の踊り場に段を設けたものや、ら
せん状のものをいう。
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制限の緩和(第 62 条)
(1)
次の場合は、本節の規定の適用について、建築物の用途や規模等を考慮の
うえ、適切に対処されたい。
① 既存建築物に、用途変更、修繕又は模様替を行う場合
② 増築を行う場合で、既存部分への適用が過重又は困難と判断される場合
③ 既存建築物に軽微な増築を行う場合
(2)
児童福祉施設等のうち、次に掲げる用途の建築物については、用途や規模
等を考慮のうえ、エレベーターの設置の規定の適用を除外してよいものと
する。
① 保育所
② 母子寮や教護院など、共同住宅に類する建築物