見直し版 - 朝倉市

は じ め に
21世紀の更なる朝倉市の環境を保全し創造するために
環境基本計画の見直しを行いました。朝倉市の恵まれた
自然を、みなさんの知恵と工夫で未来に引き継ぐこと、
さらには限りある資源を循環する社会を目指すことは、
私たちの責務です。
朝倉市総合計画における将来像の一つが「自然と共生する循環型社会を築く
まちづくり」です。
大量に排出される廃棄物や地球温暖化などの環境問題は、私たちのライフス
タイルや事業活動によるものです。近年では、東日本大震災後の瓦礫処理、再
生可能エネルギーへの取り組みやPM2.5への対応など、これまでの取り組み
に加え、環境情報・エネルギー情報の共有や環境教育、環境リサイクル産業の
育成が必要です。そのためには、市民、事業者、民間団体、行政がより一層協
働して取り組みを推進していくことが求められます。
朝倉市環境基本計画の見直し版でも、環境の各分野をさらに展開させ、身近
なことから地球規模まで、幅広い視野を持ち持続可能な取り組みを実現すべく、
副題を『
“思いっきり しん呼吸”人と自然がひびき合うまち あさくら』と
しています。
朝倉という広大な扇状地帯は、我々への自然からの贈り物であり、宝物でも
あります。このかけがえのない環境の中で、思いっきり深呼吸できる暮らしを
目指したものです。
環境基本計画の見直し版でも目指す環境の将来像の実現に向けて、市民のみ
なさんと共にこの計画を推進してまいりたいと考えております。市民皆様のご
理解と一層のご協力をお願いいたします。
平成26年3月
朝倉市長 森 田 俊 介
目 次
環境基本計画(前期)の点検と評価
1.計画策定の背景……………………………………………………………………………… 2
(1)大きく変化した今日の環境問題… …………………………………………………… 2
(2)朝倉市の概況… ………………………………………………………………………… 4
2.計画の基本的事項…………………………………………………………………………… 10
(1)計画策定の趣旨と目的… ……………………………………………………………… 10
(2)計画の位置づけ… ……………………………………………………………………… 11
(3)計画の期間… …………………………………………………………………………… 12
(4)計画の対象範囲… ……………………………………………………………………… 12
(5)計画の構成… …………………………………………………………………………… 13
(6)各主体の役割… ………………………………………………………………………… 14
1.朝倉市の誇るべき環境… …………………………………………………………………… 16
2.朝倉市のめざす環境像… …………………………………………………………………… 18
基本方針Ⅰ 自然をはぐくむ
~良質で豊かな自然を守り育てるために~…………………………………… 22
環境目標Ⅰ-1 水やきれいな空気をつくる緑の工場、森林・農地を守り育てる…………… 22
環境目標Ⅰ-2 多様な生態系と豊かな自然の息吹を感じる風景を守り育てる……………… 26
環境目標Ⅰ-3 生活空間等身近なみどり、水を守り育てる… ……………………………… 29
基本方針Ⅱ 暮らしをはぐくむ
~将来の世代も安全で快適に暮らせるために~……………………………… 33
環境目標Ⅱ-1 大気、水、土壌、静けさを守り、安心して暮らせるまちをつくる… ……… 33
環境目標Ⅱ-2 暮らしに4Rが定着した、循環型社会をつくる… ………………………… 39
環境目標Ⅱ-3 資源・エネルギーを大切に使い、地域から地球温暖化防止に取り組む… … 43
環境目標Ⅱ-4 新鮮な水や空気をもとにした安全・安心な食材を提供する………………… 49
基本方針Ⅲ 人をはぐくむ
~一人ひとりの意識を行動に変え、より大きな取り組みにつなげるために~…… 51
環境目標Ⅲ-1 朝倉の歴史・文化を伝える… ……………………………………………… 51
環境目標Ⅲ-2 環境教育・学習を進める… ………………………………………………… 55
環境目標Ⅲ-3 環境保全活動をひろげる… ………………………………………………… 58
数値目標 ~基本方針Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに対する数値目標~……………………………………… 63
1.計画の推進について… ……………………………………………………………………… 68
(1)計画の推進にあたっての留意事項… ………………………………………………… 68
(2)重点プロジェクト… …………………………………………………………………… 68
(3)推進組織と体制… ……………………………………………………………………… 69
(4)各組織の役割… ………………………………………………………………………… 70
(5)広域的な協力体制の確立… …………………………………………………………… 70
2.進行管理について… ………………………………………………………………………… 70
(1)進行管理システム… …………………………………………………………………… 70
(2)環境レポートの作成と公表… ………………………………………………………… 70
(3)財源の確保等… ………………………………………………………………………… 71
資 料 編……………………………………………………………………………………………… 73
○計画の策定経過… ………………………………………………………………………… 74
○朝倉市環境審議会条例… ………………………………………………………………… 76
○朝倉市環境審議会名簿… ………………………………………………………………… 77
○パブリックコメントの結果について… ………………………………………………… 78
○朝倉市環境審議会への諮問書… ………………………………………………………… 79
○朝倉市環境審議会からの答申書… ……………………………………………………… 80
○朝倉市環境問題検討委員会設置規程… ………………………………………………… 81
○朝倉市環境基本計画策定協議会設置要綱… …………………………………………… 83
○上位計画、関連計画… …………………………………………………………………… 85
○用語解説… ………………………………………………………………………………… 87
環境基本計画(前期)の点検と評価
平成25年度に基本計画の中間見直しを行うにあたり、前期分の点検と評価を行いました。
まず、総合的な観点からはこの計画を大きく見直す事象はないと思われます。ただし、
個別的には現状から将来に向けて見直すべき項目があると思われます。
【前期分の点検】
○ 2011年3月に起きた東日本大震災により、原子力発電所が被災し、放射能漏れを起こ
す事態を生じました。このことは、放射能汚染対策のみにとどまらず、日本国内におい
ての電力の安定的供給を脅かす事態へと波及しています。
今後、この様な事態を背景に考えますと、朝倉市においても再生可能エネルギーの存
在がクローズアップされ、太陽光発電・小水力発電等のクリーンエネルギー導入への取
り組みを進めていく必要があると思われます。
○ 気温・水温の上昇や大雨の頻度増大、水稲の高温障害、果実の着色不良など地球温暖
化の影響と考えられる現象が既に発生しており、地球温暖化をできるだけ緩和していく
ためにも今まで以上に二酸化炭素の発生量を抑制する対応が急務とされます。
○ アクションプログラム・指標において、現状にそぐわない事象がいくつか見受けられ
るため、再点検し現状に即したものに見直しをかける必要があります。
【前期分の評価】
○ 環境基本計画に対する朝倉市環境審議会の答申については、環境アクション協議会の
活動を継続的に進めていくため、財源の確保に努め、花いっぱい運動・一斉清掃等の市
民活動を推進しています。これらの活動状況については、環境レポートで公表しており
ます。今後は、環境に配慮した生活や事業活動を定着するため、一層環境教育に重点を
置くことも必要です。基金の創設については、福岡県と協議を行っていますが、創設に
は至っていません。
○ 前半期は、エネルギー関係を除き、概ね環境基本計画書に示す環境像に近づくための
取り組みを実行しました。環境アクション協議会においては、月1回にわたる会議を通
して、企画・実行・検証を行い、市民の目線に立って市民のできることを確認してきま
した。
後半期も引き続き、市民一人ひとりができることから取り組み、朝倉市が目指す環境像
を創り上げていく必要があります。
1.計画策定の背景
(1)大きく変化した今日の環境問題
(2)朝倉市の概況
2.計画の基本的事項
(1)計画策定の趣旨と目的
(2)計画の位置づけ
(3)計画の期間
(4)計画の対象範囲
(5)計画の構成
(6)各主体の役割
1
1.計画策定の背景
(1)大きく変化した今日の環境問題
1)地球温暖化
地球温暖化問題やエネルギー・資源の枯渇問題など、私たちをとりまく環境
の変化は今や人類の生存基盤をも揺るがす地球規模の問題として顕在化しつつ
迫ってきています。国際的には1992年(平成4年)5月に気候変動枠組条約 *
を採択、2005年(平成17年)2月に京都議定書*が発効し、最近ではポスト京
都議定書の議論が始まるなど、地球温暖化問題に対応するための動きが活発に
なってきています。
我が国においては、2007年(平成19年)6月に閣議決定された21世紀環境立
国戦略*では、低炭素社会(温室効果ガス*の大幅削減)、循環型社会(3R*を
通じた資源循環)、自然共生社会(自然の恵みの享受と継承)という取り組みを
統合的に展開して、持続可能な社会の実現を目指すことが示されており、国内
外の幅広い関係者の参加と協働の下、一人ひとりの取り組みの輪を広げていく
ことが重要とされています。
また、2012年(平成24年)4月に第四次環境基本計画が閣議決定され、
「安全」
を基盤として低炭素社会・循環型社会・自然共生社会を統合的に達成すること
を目指しており、重点分野の一つに地球温暖化の取り組みが位置付けられてい
ます。
現在、我が国では地球温暖化対策計画の策定作業が進められています。
2)食料と環境問題
我が国は多くの食料を輸入に頼っています。2012年(平成24年)における
カロリーベースの食料自給率*は39%となっており、2009年(平成21年)と
同水準です。また、福岡県の食料自給率は全国を下回る21%です。
また、近年バーチャルウォーターという概念が注目されています。バーチャ
ルウォーターとは、食料を輸入している国において、その輸入食料を生産した
場合に、どの程度の水が必要かを推定するという考え方です。例えば、1kgのト
ウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800リットルの水を必要としま
す。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kgを生産す
るには、その約20,000倍もの水が必要です。日本は海外から食料を輸入するこ
とによって、その生産に必要な水を国内で使わないで済んでおり、食料の輸入
は、形を変えて水を輸入していることと考えることができます。私たちは水の
大切さ、食料の大切さをもう一度見つめ直す必要があります。
※本文中に「*」をつけた言葉は、「資料編 ○用語解説」で説明しています。
2
3)環境問題と新エネルギー
2011年(平成23年)3月に発生した東日本大震災において多くの方が犠牲
(約18,500人)になり、建築物の全・半壊(約39万9000戸)が確認されてい
ます。
また、この震災により福島第一原子力発電所が被災し、様々な問題や課題が
浮き彫りとなってきました。災害発生時などの特殊な条件下では、ボランティ
ア活動に対する保健衛生上の規制、支援車両に対する道路交通法の規制等現在
の法令による制限が復興の障害となっていました。復興の遅れによる経済や生
活に二次的な被害が生じています。
また、この震災により、膨大な量のがれき(通常年の20数倍)やがれきに付
着した放射性物質が問題視され、広域的な処理が進んでいないのが現状です。
朝倉市においても70km圏に玄海原子力発電所があり、万が一東日本大震災規
模の災害が発生し、原子力発電所が被災したときは、風向き(西北西)によっ
ては放射性物質が飛来することが考えられます。原子力発電所に対する安全神
話が崩壊したことにより、原子力発電所の稼働については、国で議論されてお
り、市においても防災計画等で日頃から対応について、心がけておくことが肝
要です。
また、原子力発電に代わる新エネルギーの対策も喫緊の課題といえるでしょ
う。近年の異常気象においては、原子力発電所の停止の中、夏と冬の電気消費
量が上昇することが予想されます。
朝倉市では、個人住宅用、公共施設、産業用の太陽光システム設置の普及が
進んでいます。特に、平成24年7月から全量買取制度が始まり、一気に設置の
機運が高まっています。これからは買取価格が下がるため、住宅用システム設
置の鈍化やシステムの大容量化の傾向が進むと思われますが、電力供給源の確
保は現代社会には必要不可欠な問題です。
このほかにも、小水力発電を始めクリーンなエネルギーの活用を目指す研究
が民間団体等で進められており、地域の活性化に配慮したクリーンエネルギー
の導入が期待されています。
また、低炭素社会の実現を目指して、官民が連携して省エネルギーやクリー
ンエネルギーを取り入れたライフスタイルを定着させていくことが必要です。
なお、節電についても市民一人ひとりが創意工夫し、各人が出来る範囲で出
来ることから取り組むことも必要なことです。
3
(2)朝倉市の概況
1)自然条件
ア.位置・地勢
朝倉市は、福岡県のほぼ中央部、福岡市の南東約30km、久留米市の北東約
20kmに位置し、東は朝倉郡東峰村及び大分県日田市に、西は朝倉郡筑前町及
び三井郡大刀洗町に、南は久留米市及びうきは市に、北は嘉麻市に接していま
す。市域内には3つのインターチェンジがあるほか、九州自動車道と長崎自動車
道、大分自動車道を接続する鳥栖ジャンクションに近接しており、九州の物流
の中心にも容易にアクセスできる位置にあります。福岡市を中心とする福岡都
市圏への近接性から、通勤通学先や都市圏住民の観光による来訪など、朝倉市
では多様な人の往来・交流がなされています。
朝倉市は東西22.9km、南北17.4kmの広がりをもち、総面積(246.73㎢)
は、福岡県全体の約5%に相当します。
■ 朝倉市の位置
4
イ.地形・水系
市内を西から南東へと貫く国道386号から南側は平野、北側は古処山や馬見山
をはじめとする800~1,000m級の山々が連なっています。朝倉市は、これらの
山々を含む山林が54.7%を占めており、緑豊かな都市という特徴があります。
また、この山地の中に福岡市など周辺地区への水資源供給の役割を担う江川
ダム・寺内ダムがあり、さらに、現在3つ目のダムとして小石原川ダムが建設中
です。
市域南部には境界にほぼ沿うように一級河川の筑後川が流れ、小石原川、佐
田川、桂川を中心とした扇状地を形成しており、肥沃かつ平坦な農地が広がっ
ています。
■ 地形・水系図
5
2)社会条件
ア.人口
平成22年国勢調査の総人口は56,355人で、平成17年から平成22年の5年間
で3,030人減少していますが、世帯数は19,064世帯で、平成17年から平成22
年の5年間に327世帯増加しており、増加傾向が続いています。世帯数は増加
傾向、平均世帯人員は減少傾向にあり、依然として核家族化傾向にあるといえ
ます。
年齢別3階層人口は、平成22年で老年人口(65歳以上)が15,560人(27.6%)
、
年少人口(15歳未満)が7,255人(12.9%)と少子高齢化が顕著になってい
ます。人口動態については、自然動態、社会動態ともに減少傾向が続いてい
ます。
(人口)
(世帯)
70,000
19,500
19,000
60,000
18,500
50,000
18,000
17,500
40,000
17,000
30,000
16,500
16,000
20,000
15,500
10,000
0
15,000
S55
60
H2
S55
高齢者人口(65歳以上)
8,625
7
60
12
H2
17
7
14,500
22
12
17
22
9,606 10,834 12,566 14,302 15,048 15,560
生産年齢人口(15~64歳) 41,906 41,482 40,200 39,051 37,879 36,066 33,467
若年者人口(0~14歳)
14,090 14,040 12,617 10,973
9,501
8,223
7,255
総 人 口
64,623 65,128 63,724 62,593 61,707 59,385 56,355
世 帯 数
16,291 16,725 17,032 17,587 18,540 18,737 19,064
■ 人口・世帯数の推移
6
イ.産業
平成22年度の産業別就業者数の内訳は、第1次産業14.9%、第2次産業
23.8%、第3次産業61.3%で、業種別では製造業の割合が最も高く16.1%を占
め、卸売・小売業(14.9%)、農業(14.6%)の順になっています。
また、平成19年度における経済活動別総生産の内訳は、第1次産業4%、第2
次産業52%、第3次産業37%で、業種別では鉱工業・建設業の占める割合が最
も高くなっています。
公務(他に分類されないもの)2.9%
分類不可能 4.3%
サービス業(他に分類されないもの)4.9%
複合サービス 1.2%
鉱業、採石業、砂利採取業 0%
建設業
7.7%
第2次産業
23.8%
第3次産業
61.3%
生活関連 2.9%
林業 0.3%
第1次産業
14.9%
医療、福祉
11.4%
教育、学習支援業 3.4%
漁業 0%
農業
14.6%
平成22年度
製造業
16.1%
学術研究 1.6%
不動産業 0.8%
宿泊、飲食業 5.0%
卸売、小売業
14.9%
情報通信業 0.5%
電気、ガス、熱供給、水道事業 0.3%
金融、保険業 1.4%
運輸業、郵便業 5.7%
[資料:国勢調査]
■ 産業大分類の構成
対家計民間
非営利サービス生産者
1%
農林水産業
4%
政府サービス生産者
6%
鉱工業・建設業
52%
卸売・小売業、
サービス業、その他
37%
3,020億円
(平成19年度)
[資料:県調査統計課報告書]
■ 経済活動別総生産の構成
7
工業については、事業所数は減少傾向にあり、平成22年時点で125カ所となっていま
す。従業者数も平成11年をピークに減少しており、平成22年時点で4,938人となっていま
す。製造品出荷額等は、平成19年から平成20年にかけて3,000億円を超えた年もありまし
たが、ここ数年は多少の増減はあるものの、2,700億円規模となっています。
(ヶ所、人)
7,000
6,000
6,099 6,052 6,225
6,456 6,524 6,298
6,142
5,758 5,655
5,536 5,676
5,000
5,237 5,231 5,149
4,864 4,938
4,000
3,000
2,000
2,825
2,530
2,507
2,780 2,734
2,718
2,597
2,458
3,012
2,790
2,826
2,663 2,671
2,780
3,068
2,488
(億円)
1,000
0
191
181
H7
178
8
187
9
178
10
11
179
162
12
13
事業所数
159
157
14
147
15
16
従業者数
212
139
17
140
18
19
134
127
20
21
125
22
製造品出荷額等
[資料:工業統計調査]
■ 事業所数・従業者数・製造品出荷額等の推移
商業については、店舗数は、横ばい傾向にあり、平成19年時点で843店舗になっていま
す。反対に、従業者数や販売額については増減を繰り返しながらも全体的には増加傾向に
あり、平成19年時点で5,209人、約1,241億円になっています。これは店舗の大規模化が
進むなど、朝倉市の商業構造が変化していることによるものと思われます。
(ヶ所、人)
(億円)
60,000
5,258
50,000
4,709
4,698
1,053
40,000
1,248
5,209
5,323
5,103
1,241
1,217
1,186
800
600
20,000
0
1,200
1,000
1,029
30,000
10,000
1,400
1,061
H6
934
9
店舗数
996
910
11
14
従業者数
909
16
400
843
19
200
0
年間商品販売額
[資料:商業統計調査]
H19年が最新データ
■ 店舗数・従業者数・年間商品販売額の推移
8
朝倉市は豊かな自然や歴史資源に恵まれ、観光・レクリエーション施設も充実していま
す。観光入込客は年間300万人程度で、うち宿泊客は減少傾向にあり、消費額も平成18年
をピークに下降傾向にあります。
(万人)
(億円)
400
120
110
350
57
300
56
250
80
67
200
51
49
75
97
46
72
40
32
100
21
29
79
29
69
64
24
80
62
60
54
150
248
100
284
244
240
239
254
270
270
297
285
267
40
20
50
0
H13
14
日帰
15
16
17
宿泊
18
消費額
19
20
21
22
23
0
[資料:平成 23 年度福岡県観光入込客推計調査]
■ 入込客・消費額の推移
ウ.生活様式の変化
我が国では、省エネルギー技術の開発を促し機器のエネルギー効率を高める
ため、エネルギーを多く使用する機器ごとに省エネルギー性能の向上を促すた
めの目標基準(トップランナー基準*)を設け、規制しています。今後さらに
トップランナー基準の対象を拡大するとともに、既に対象となっている機器の
対象範囲の拡大や基準の強化を図るとされています。
我が国の家電製品等の世帯あたりの保有台数は全体的に増加傾向にあり、特
に、エアコンやテレビについては一世帯あたりの保有台数が平均2.5台を超えて
います。また、新しい機器によるエネルギー消費が近年増加しています。この
ような機器の増加傾向は、世帯あたりのエネルギー消費量を増加させる要因と
なっています。さらに、テレビや冷蔵庫などのように機器の大型化や多機能化
も進んでおり、エネルギー消費量を増加させる傾向にあるといえます。このよ
うな傾向は朝倉市にもあてはまると考えられます。
(台 / 百世帯)
主要耐久消費財の保有率
(%)
主要耐久消費財の普及率
300
120
250
100
200
80
150
60
携帯電話
100
40
ルームエアコン
50
20
0
0
S55 57 59 61 63 H2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
温水洗浄便座
ファンヒーター
カラーテレビ
デジタルカメラ
システムキッチン
光ディクスプレイヤー
パソコン
S55 57 59 61 63 H2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
■ 主要耐久消費財の保有率及び普及率
9
[資料:消費動向調査]
2.計画の基本的事項
(1)計画策定の趣旨と目的
今日の環境問題は、高度経済成長期における大気汚染、水質汚濁等の産業型公害
や無秩序な開発による自然環境破壊などの問題に始まり、大量生産・大量消費・大
量廃棄型の社会経済活動、都市化の進展及びライフスタイルの多様化が背景とな
り、生活排水による河川、海域の水質汚濁、交通機関等からの騒音及び不法投棄に
よる土壌汚染などの問題が加わりました。さらには温室効果ガスによる地球温暖
化、オゾン層*の破壊及び酸性雨*といった地球規模の問題や有害化学物質*の問題
など、広範囲に及んでいます。
これらの環境問題を解決するためには、地球全体を視野に入れ、中・長期的な視
点から、市民、民間団体、事業者、行政が連携・協力して環境に配慮した取り組み
を進めていくことが必要です。
国は、平成5年11月に環境基本法*を制定し、平成6年12月に環境基本法第15条
に基づく環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱として、環境基本計画
を策定しました。この環境基本計画は見直しが行われ、平成12年12月に第二次環境
基本計画、平成18年4月に第三次環境基本計画、平成24年4月に第四次環境基本計
画が策定され、現在に至っています。
また、環境基本法第36条では、国の施策に準じた施策及び地域の自然的社会的条
件に応じた環境保全施策を、総合的かつ計画的に実施するものと規定されています。
このような背景のもと、朝倉市では、地域特性を踏まえ、めざす環境像を明らか
にするとともに、環境保全、創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため
に平成21年度に朝倉市環境基本計画を策定しました。平成25年度は中間年度にあた
るため、見直しを行いました。
10
(2)計画の位置づけ
この計画は、目標とする環境像「“思いっきり しん呼吸” 人と自然がひびき
合うまち あさくら※」を実現するため、市民、民間団体、事業者、行政のそれぞれ
に求められる役割と取り組みの方向性、具体的な行動例を示しています。
また、この計画は第1次朝倉市総合計画*で掲げられた朝倉市の将来都市像『「水
を育み 街を潤す 健康文化都市の創造」~「共生」と「交流」を創る「自立」と「責任」
のまち~』を環境面から社会行動計画の手法を用いて実現させようとするもので、市
民、民間団体、事業者、行政が互いに補完しあい、協働しながら、良好な地域環境
及び地球環境を創造することをめざしています。
第 1 次朝倉市総合計画
将来都市像
「水を育み 街を潤す 健康文化都市の創造」
~「共生」と「交流」を創る「自立」と「責任」のまち~
環境面から実現
分野別計画
都市計画マスタープラン
調整
朝倉市環境基本計画
緑の基本計画
農村環境計画
一般廃棄物処理基本計画
観光基本計画
食と農推進計画
協働
市民・民間団体・事業者・行政
実現
・・・
■ 環境基本計画の位置づけ
※この計画では、私たちが生きていくために大切な営みである呼吸に着目し、人と自然との共生を
通して思い切り深呼吸できるような環境づくりをめざしています。
(「朝倉市のめざす環境像」参照)
11
(3)計画の期間
この計画の期間は平成21年度(2009年度)から平成30年度(2018年度)までの
10年間とします。中間年度である平成25年度(2013年度)に国内外、市内部の環
境政策の動向等を踏まえて見直しを行います。
平成21年度
(初年度)
平成25年度
(中間年度)
平成30年度
(目標年度)
平成31年度
次期計画
見直し
計画の期間
■ 計画の期間
(4)計画の対象範囲
この計画の対象とする環境分野は、自然環境、生活環境、快適環境、地球環境、
環境保全体制とします。
■ 環境基本計画の対象範囲
<環境分野> <主な環境の要素>
自 然 環 境
植生・植物、動物、生態系、自然景観等
生 活 環 境
大気、悪臭、騒音、振動、水質、ごみ、化学物質等
快 適 環 境
まちなみ、みどり、水辺、公園・緑地、史跡・文化財、
伝統行事等
地 球 環 境
地球温暖化、オゾン層の破壊、バーチャルウォーター、食料、
クリーンエネルギー等
環境保全体制
環境関連条例・要綱、行政組織、環境教育・学習等
12
(5)計画の構成
朝倉市環境基本計画の構成は次のとおりです。
環境基本計画策定の背景と基本的考え方
1.計画策定の背景 2.計画の基本的事項
朝倉市のめざす環境像
“思いっきり しん呼吸” 人と自然がひびき合うまち あさくら
環境基本計画の基本方針と取り組みの体系
基本方針Ⅰ
基本方針Ⅱ
基本方針Ⅲ
自然をはぐくむ
暮らしをはぐくむ
人をはぐくむ
~良質で豊かな自然を
守り育てるために~
~将来の世代も安全で
快適に暮らせるために~
~一人ひとりの意識を行動に
変え、より大きな取り組みに
つなげるために~
新 呼吸
浸 呼吸
心 呼吸
Ⅰ−1 水やきれいな空気をつく
る緑の工場、森林・農地
を守り育てる
Ⅰ−2 多 様な生態系と豊かな
自然の息吹を感じる風
景を守り育てる
Ⅰ−3 生 活空間等身近なみど
り、水を守り育てる
Ⅱ−1 大
気、水、土壌、静けさ
を守り、安心して暮らせ
るまちをつくる
Ⅱ−2 暮らしに4R*が定着し
た、循環型社会をつくる
Ⅱ−3 資
源・エネルギーを大切
に使い、地 域 から地 球
温暖化防止に取り組む
Ⅱ−4 新
鮮な水や空気をもと
にした安全・安心な食材
を提供する
Ⅲ−1 朝
倉の歴史・文化を伝える
Ⅲ−2 環境教育・学習を進める
Ⅲ−3 環
境保全活動をひろげる
数 値 目 標 ~基本方針Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに対する数値目標~
この環境基本計画を着実に進めていきます
1.計画の推進について 2.進行管理について
■ 計画の構成
13
(6)各主体の役割
めざす環境像「“思いっきり しん呼吸”人と自然がひびき合うまち あさくら」
を実現するために、市民、民間団体、事業者、行政のそれぞれの役割を次のように
定めます。
市民の役割
☆市民は、地域の良好な環境づくりに対して主体的役割を担います。そのため、日
常生活や活動を通じ、省資源や省エネルギー、クリーンエネルギーの導入、河川
の浄化や緑化などに自発的、積極的に取り組むとともに、環境に配慮した地域づ
くりに参加します。
民間団体の役割
☆民間団体は、専門的な能力を活かして積極的に情報を発信し、多くの市民や事業
者と連携・協力して、組織的な環境づくりの運動を広め、運動を通じた環境意識
の向上に努めます。また、市に対しては環境づくりの意見や具体的なアイデアの
提供、環境施策の評価なども行います。
事業者の役割
☆事業者は、事業活動が地域の環境に与える影響が大きいことを十分認識し、省資
源や省エネルギー、クリーンエネルギーの導入など環境に配慮した取り組みを積
極的に進めていきます。また、地域に開かれた企業として、積極的に情報を公開
し、良好な環境の形成に努めます。
行政の役割
☆行 政は、地域の良好な環境づくりを進める指導的な役割を担います。したがっ
て、自ら率先して事務・事業における環境配慮に取り組むとともに、構想、計
画、実施のそれぞれの段階において、地域の環境特性を考慮するなど、事前の調
整を行い、良好な環境の形成に努めます。また、市民や事業者の行う良好な環境
づくりの適切な支援や指導に努めます。
14
1.朝倉市の誇るべき環境
2.朝倉市のめざす環境像
15
1.朝倉市の誇るべき環境
秋月城本門(黒門)
目鏡橋
小石原川
甘木公園
平塚川添遺跡
名 称
秋 月
目鏡橋
佐田川
古処山
寺内ダム
江川ダム
小石原川
佐田川
■ 朝倉市の誇るべき環境
16
主 な 理 由
・歴史遺産が多く、また、城下町としての風情に溢れている
・四季を通して自然のすばらしさが今に生きている
・約200年の歴史を持つ石造りの橋
・古いまちなみの中で重みのある場所
・ツゲの原始林などすばらしい自然が残されている
・登山が楽しめる標高860mの美しい山
・自然が美しい
・あまぎ水の文化村は人と水との関わりを学ぶことができる
・福岡県の大切な水資源として美しい自然を守るべき
・大事な水源として守るべき
・ホタルが飛び、人と水との関わりが深く、水と親しめる場所が多い
・河川中流域の美しい田園風景を守るべき
・菜の花に彩られた春の風景が素晴らしい
・夏には上流域でホタルの乱舞がみられる
古処山のツゲ原始林
江川ダム
寺内ダム
三連水車
松末の棚田
筑後川の山田井堰
原鶴の鵜飼い
名 称
主 な 理 由
・市民に親しまれる憩いの場
甘木公園
・美しい桜が見れ、運動もでき、イベントもできる貴重な場所
平塚川添 ・重要な遺跡として大切にしたい
遺跡 ・弥生時代の自然にふれることができ、歴史も学べる
原鶴の
・筑後川の夏の風物詩で、風情がある
鵜飼い
筑後川の
・先人の治水への知恵と努力の結晶が今も受け継がれている
山田井堰
・農業に生かされた昔の人々の技術、知恵を将来に伝えていきたい
三連水車
・水車と田園風景が調和しており心が和む
松末の
・古来からの中山間地の美しい景観が守られている
棚田
※こ の地図は、平成19年に行った市民
アンケート調査で、朝倉市の誇れる景
観、みどり、水辺などとその場所を選
んだ理由を記入していただいたものを
全体集計した結果等をもとに整理しま
した。
17
2.朝倉市のめざす環境像
“思いっきり しん呼吸”
人と自然がひびき合うまち あさくら
呼 吸
それは、生きていくために大切な営み・・・
私たちは、思いっきり深呼吸ができる環境を育てていきます。
新 呼吸
「新」は、新しく生み出すこと、新鮮さを表します。新鮮な空気や水が、みどりによっ
て生み出され、浄化し、満々と蓄えられ、循環します。
浸 呼吸
「浸」は、水が浸ったり、しみこんだりしていることを表します。自然で生み出された
空気や水が、暮らしの中で大切にされ、体や物に行き渡っています。
心 呼吸
「心」は、気持ちや意志であり、心の通い合いがあることを表します。自然の恵みを大切
にする人々の努力と、人と人とのコミュニケーションが息づきます。
朝倉市は、自然からの素晴らしい贈り物を大切にし、
「あさくら」らしい環境のスタイルを考えていきます。
地球の中の朝倉市は、新鮮な空気や水 暮らしに浸透する恵み
通い合う心 で呼吸します。
朝倉市には、自然が生み出す澄んだ水、清らかな空気、豊かなみどり、自然の恵
みを活かした産業や暮らし、人と人との温かなつながりなど、多数の誇るべき宝が
あります。私たちは、それらの宝に囲まれ、まるで呼吸をするかのように、その存
在を当たり前に感じています。しかし、宝は宝として認識されなければ宝とはなり
ません。また、磨かれなければ原石のまま、光り輝くこともありません。朝倉市の
宝に気づき、それを守るために行動する人こそが宝なのです。
朝倉市は、豊かな水源地として江川ダム、寺内ダムがあり、多くの人が生活する
福岡都市圏へ水を提供しています。また、豊かな自然が生み出す美しい風景や農産
物、歴史文化を求めて人々の交流を進めています。朝倉市は筑前の奥座敷と呼ば
れ、新鮮な空気や水、暮らしに浸透する自然の恵み、通い合う心の場所であるとと
もに、アジアに向けた玄関である福岡の深呼吸の都市としても光り輝くことができ
るのです。
私たちは、朝倉市の誇るべき宝を慈しみ育んでいくとともに、人類共有の財産と
して、世代、市域の枠を超えた人々と享受するための意識の醸成を図ります。そし
て、このまちに住んでいることを市民一人ひとりが誇りに思うことのできる環境を
めざします。
18
基本方針Ⅰ 自然をはぐくむ
~良質で豊かな自然を守り育てるために~
環境目標Ⅰ-1 水やきれいな空気をつくる緑の工場、森林・農地を守り育てる
環境目標Ⅰ-2 多様な生態系と豊かな自然の息吹を感じる風景を守り育てる
環境目標Ⅰ-3 生活空間等身近なみどり、水を守り育てる
基本方針Ⅱ 暮らしをはぐくむ
~将来の世代も安全で快適に暮らせるために~
環境目標Ⅱ-1 大気、水、土壌、静けさを守り、安心して暮らせるまちをつくる
環境目標Ⅱ-2 暮らしに4Rが定着した、循環型社会をつくる
環境目標Ⅱ-3 資源・エネルギーを大切に使い、地域から地球温暖化防止に取り組む
環境目標Ⅱ-4 新鮮な水や空気をもとにした安全・安心な食材を提供する
基本方針Ⅲ 人をはぐくむ
~一人ひとりの意識を行動に変え、
より大きな取り組みにつなげるために~
環境目標Ⅲ-1 朝倉の歴史・文化を伝える
環境目標Ⅲ-2 環境教育・学習を進める
環境目標Ⅲ-3 環境保全活動をひろげる
数 値 目 標 ~基本方針Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに対する数値目標~
19
《取り組みの体系》
環境像
基 本 方 針
環 境 Ⅰ-1 水やきれいな空気をつくる緑の工場、
“思いっきり しん呼吸”
Ⅰ 自然をはぐくむ
Ⅰ-2 多様な生態系と豊かな自然の息吹を感
~良質で豊かな自然を守り育てるために~
新 呼吸
Ⅰ-3 生活空間等身近なみどり、水を守り育
Ⅱ-1 大気、水、土壌、静けさを守り、安心
Ⅱ 暮らしをはぐくむ
~将来の世代も安全で
快適に暮らせるために~
Ⅱ-2 暮らしに4Rが定着した、循環型社会
人と自然がひびき合うまち あさくら
Ⅱ-3 資源・エネルギーを大切に使い、地域
浸 呼吸
Ⅱ-4 新鮮な水や空気をもとにした安全・安
Ⅲ-1 朝倉の歴史・文化を伝える
Ⅲ 人をはぐくむ
~一人ひとりの意識を行動に変え、
より大きな取り組みにつなげるために~
心 呼吸
Ⅲ-2 環境教育・学習を進める
Ⅲ-3 環境保全活動をひろげる
20
目 標
森林・農地を守り育てる
じる風景を守り育てる
てる
して暮らせるまちをつくる
をつくる
から地球温暖化防止に取り組む
心な食材を提供する
取 り 組 み の 柱
ページ
ア.浄化機能・保水機能の高い森林・農地等の保全・育成
22
ア.動植物の生息・生育環境の保全
28
イ.自然環境に配慮した土地利用
28
ア.水辺とのふれあい空間づくり
31
イ.河川・水路等の水循環の保全
31
ウ.公共空間・民有地の緑化推進
32
ア.大気汚染防止対策・悪臭対策の推進
35
イ.騒音・振動防止対策の推進
36
ウ.水質保全対策の推進
36
エ.化学物質による環境リスクの低減
37
ア.4Rの促進
40
イ.廃棄物の適正処理の推進
41
ウ.散乱ごみ・不法投棄防止対策の推進
41
ア.省エネルギー・省資源の取り組みの推進
47
イ.新エネルギー利用の促進
48
ア.地産地消の推進
49
イ.安全・安心な食材の提供
50
ア.歴史的・文化的資源、伝統文化の保存と継承
53
イ.観光と結びつけた情報発信
54
ア.環境教育・学習を進めるためのしくみづくり
56
イ.環境教育・学習拠点の整備
56
ウ.環境教育・学習の推進
56
ア.環境情報の整備と積極的な環境情報発信
61
イ.環境保全活動の充実
61
ウ.環境保全活動のネットワーク化
62
21
基本方針Ⅰ 自然をはぐくむ ~良質で豊かな自然を守り育てるために~
新 呼吸
私たちが生きるためには、空気と水が欠かせません。植物は、光合成によって二
酸化炭素を吸収し、生物に必要な酸素を出してくれます。また、森林や農地は、
降った雨を蓄え、少しずつ流れるようにする保水機能を持っています。
朝倉市は、山林が54.7%を占めており、平野部にも農地が多く、緑の多い都市
です。この地形と森林の保水力によって、豊富な水が生み出され、複数のダムを持
つという特徴があります。また、全国的にほとんど絶滅したスイゼンジノリ*、オ
キチモズク*が今も生育しており、水の清らかさとともに他の土地にはみられない
水や自然の素晴らしさを持ち得ています。さらに、空気は森林や低地に広がる農地
などによって浄化され、おいしい空気が生み出されています。
朝倉市の特徴は自然の豊かさであり、都市化が進む中で、この自然をいかに守り
育てていくかが朝倉市としての果たす役割であると考えます。私たちは、多様な生
態系を保全、育成するとともに森林や農地の持つ公益的機能が十分に発揮されるよ
うな取り組みを進めていきます。
環境目標Ⅰ-1 水やきれいな空気をつくる緑の工場、森林・農地を守り育てる
1)現状と課題
朝倉市は、総面積246.73㎢のうち、平成25年度現在では、山林が最も多い54.7%を
占め、次に田(15.2%)、畑(8.2%)と続き、宅地は6.6%となっています。山地のほと
んどを覆うスギ、ヒノキ植林の人工林が朝倉市の山地植生の基盤を形成しています。山頂
部に残存する自然植生は「常緑広葉樹」が中心であり、構成樹種の中心は「シイ」、「カ
シ」類などです。山麓地には落葉広葉樹の雑木林のほか、「なし」、「かき」を中心とす
る果樹園も形成されています。平野部の多くを占める「水田」では、稲のほか、麦、大豆
が大規模に作付けられています。小石原川・佐田川沿いには水生植生としての「ヨシ」の
群落が見られます。
森林は木材生産だけでなく、水源のかん養、生物多様性の確保、二酸化炭素の吸収源、
国土の保全、保健休養の場といった様々な公益的機能を有しています。しかし、国産材価
格の低迷や担い手の高齢化、後継者不足などにより、山林の荒廃が進んでいます。また、
全体的に「モウソウチク林」などの竹林が増加しており、里地里山の荒廃が懸念されてい
ます。さらに、農地は食料生産とともに保水機能、地下水のかん養、多様な生物の生息環
境など公益的機能を有しています。しかし、農業就業者の減少や担い手の高齢化、耕作放
棄地の増加が進んでいます。森林や農地の公益的機能を高めるために、地域全体で森林や
農地を守り、育てていく必要があります。
22
地目別面積(H25概要調書)
雑種地 465
原野 123
その他
3,201
その他
13.0%
宅地
1,639
宅地
6.6%
雑種地 1.9%
原野 0.5%
田
3,738
田
15.2%
畑
畑
8.2% 2,015
山林 54.7%
山林 13,492
単位:ha
■ 土地利用状況
[資料:環境省、第2、3、5回自然環境保全基礎調査より作成]
■ 植生図
23
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.浄化機能・保水機能の高い森林・農地等の保全・育成
農地や森林の有する多様な公益的機能を高度に発揮できるように、地域全体で農
地・森林の保全・育成の取り組みを進めていきます。また、二酸化炭素吸収源として
の山林の保全・管理や緑化を推進します。さらに、荒竹林対策を進めていきます。
<市民>
◎地元産の木材を家の新築・改築に使います。また、地元産の木材でつくられた製
品の購入・利用に努めます。
<民間団体>
◎農地や森林の価値を周知するための学習会や見学会を企画・実施します。
◎水源かん養林の保全・育成運動を企画・実践します。
<事業者>
◎農地や森林の持つ多様な機能を認識し、適切な維持管理に努めます。
◎農業者や山林業者は竹の繁殖により農地や山林が荒廃しないよう努めます。
<行政>
◎農地を保全し、水のかん養機能を維持します。
◎環境資源としての意義を十分に踏まえ、農地の維持管理の適正化に努めます。
◎農業及び農村の基盤となる農地・農業用水等の資源の保全管理と向上に対する地
域・農業者の活動を支援します。
◎農村環境計画*の策定と計画に基づく取り組みを進め、より良い農村環境づくり
を進めます。
◎耕作放棄地を解消し、農地の保全に努めます。
◎市民や都市住民が体験的に農業に親しめる「市民農園」の整備を進め、農地の保
全に努めます。
◎エコツーリズム*、アグリツーリズム*、グリーンツーリズム*などの地域資源を
生かした体験・交流・滞在型のプログラムを関係機関と連携を図りながら、情報
発信していきます。
◎生産基盤の整備や担い手対策など幅広く農業の振興を図っていきます。
◎イベントや学校教育などの機会を通して農業・農地に対する理解と認識を高め、
地域全体で農業を支えていく体制を確立します。
◎生産者と消費者との交流促進を図り、農業への理解を深めるための体験事業を推
進します。
◎水源地域における山林の水源かん養機能、保水機能の向上を図ります。
◎水源かん養基金*の創設を図ります。
24
◎森林を守る担い手の育成を進めます。
◎山林の持つ公益的機能を発揮できるように保全整備を強化していきます。
◎林道の整備など、林業の生産基盤整備を積極的に行い、経営の改善を支援します。
◎荒廃山地、荒廃危険山地などの復旧・整理や保安林機能を維持強化するための森
林整備、砂防事業など、治山事業を推進します。
◎公共施設における地元材の活用を進めます。
◎間伐材の利用を促進するとともに、長伐期施業による優良材の生産を促進します。
◎イベントや学校教育を通して林業・山林に対する理解を高め、地域全体で林業を
支えていく体制を確立します。
◎行政と市民の協働によるクリーンアップ活動や森林保全ボランティア活動を推進
します。また、イベントを通じて森林保全への啓発を図ります。
◎荒竹林対策を進めます。
コラム
農業・森林が有する多面的機能
農業や森林は、次のような様々な機能を持っています。これらの機能が十分に発
揮されるように地域全体で農地や森林を守っていきましょう!
■ 農業・森林の多面的機能
農業の多面的機能(例)
森林の多面的機能(例)
★持続的食料供給が国民に与える将来の安心
★生物多様性の保全
・遺 伝子保全、生物種保全、生態系
保全
★農 業的土地利用が物質循環系を補完することに
よる環境への貢献
□農業による物質循環系の形成
・洪水防止、土砂災害防止、河川流況の安定、
地下水かん養、水質浄化、有機性廃棄物の
分解、大気調節(大気浄化、気候緩和)
□二次的(人工)自然の形成・維持
・生態系保全、野生動物保護、優良農地の動態
保全、日本の原風景の保全
★地球環境保全
・二酸化炭素吸収、地球気候の安定
★生産・生活空間の一体性と地域社会の形成・維持
□地域社会・文化の形成・維持
・地域社会の振興、伝統文化の保存
□都市的緊張の緩和
・保健休養・安らぎ、体験学習と教育
★土砂災害防止・土壌保全
・土砂災害の防止、防風、防雪
★水源かん養
・洪水緩和、水量調節、水質浄化
★快適環境形成
・大気浄化、騒音防止、アメニティ
★保健・レクリエーション
・療養、保養、行楽、スポーツ
★文化
・景観、労働・自然体験、伝統文化
★物質生産
・木材、食料、工業原料、工芸材料
[資料:農林水産省資料をもとに作成]
25
環境目標Ⅰ-2 多様な生態系と豊かな自然の息吹を感じる風景を守り育てる
1)現状と課題
朝倉市には「古処山のツゲ原始林(国指定特別天然記念物*、環境省特定植物群落*)」、
「鳥屋山のスダジイ林(環境省特定植物群落)」など貴重な植生があります。また、国指
定天然記念物の「隠家森」、「久喜宮のキンメイチク」、県指定天然記念物の「祇園の大
樟」、「普門院のビャクシン」、「古塔塚のケンポナシ」、市指定天然記念物の「妙見の大
イチイガシ」、「松尾神社の大楠」などの指定天然記念物があります。一方、福岡県の希
少野生生物(福岡県レッドデータブック2011)によると、朝倉市では24種の選定種の植
物が生育し、46種の選定種の動物の生息が知られています。なおこれ以外に、環境省レッ
ドリスト改訂版(平成24年8月)においてもオキチモズクやスイゼンジノリが絶滅危惧Ⅰ
類として掲載されていますが、清らかな水辺でないと生育できず、その自然環境が失われ
つつあるのも事実です。しかしながら朝倉市には、まだ貴重で豊かな自然が残されていま
すが、平成25年度に実施した市民アンケート調査によると、「生き物とのふれあい」に対
する市民の満足度は4割程度にとどまり、環境基本計画策定時と同水準で、一層すぐれた
自然を保全し、生物の多様性を確保する必要があります。
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
和 名
カヤネズミ
スミスネズミ
ニホンザル
ハタネズミ
ムササビ
コテングコウモリ
クマタカ
ブッポウソウ
アオバズク
イカルチドリ
サンコウチョウ
タカブシギ
トモエガモ
オオルリ
オシドリ
ハチクマ
トノサマガエル
ヤマアカガエル
アカハライモリ
オオウラギンヒョウモン
シルビアシジミ
ウラギンヒョウモン
エズスジグロシロチョウ
分類区分
哺乳類
哺乳類
哺乳類
哺乳類
哺乳類
哺乳類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
鳥類
両生類
両生類
両生類
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
カテゴリー
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
準絶滅危惧
準絶滅危惧
準絶滅危惧
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類
絶滅危惧ⅠA類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
準絶滅危惧
準絶滅危惧
絶滅危惧ⅠB類
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
No.
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
和 名
オオムラサキ
コツバメ
コムラサキ
ツマグロキチョウ
ミズイロキチョウ
ミヤマセセリ
ミヤマチャバネセセリ
ウラキンシジミ
オナガアゲハ
カラスシジミ
ヒオドシチョウ
フジミドリシジミ
オオヒラタトックリゴミムシ
オオトラフコガネ
カンムリセスジゲンゴロウ
トラフカミキリ
ベニツチカメムシ
アメイロギセル
キセルガイモドキ
ニセマツカサガイ
ヤマキサゴ
オキギセル
ヤマタニシ
分類区分
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
鱗翅目
昆虫類
昆虫類
昆虫類
昆虫類
昆虫類
陸・淡水産貝類
陸・淡水産貝類
陸・淡水産貝類
陸・淡水産貝類
陸・淡水産貝類
陸・淡水産貝類
カテゴリー
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
準絶滅危惧
準絶滅危惧
準絶滅危惧
準絶滅危惧
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
準絶滅危惧
準絶滅危惧
[資料:福岡県の希少野生生物(福岡県レッドデータブック2011)]
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
和 名
カテゴリー
サクラソウ
絶滅
ズミ
絶滅
ホソバママコナ
絶滅
スイゼンジノリ
絶滅危惧Ⅰ類
オキチモズク
絶滅危惧Ⅰ類
クマガイソウ
絶滅危惧ⅠA類
シナミズニラ
絶滅危惧ⅠA類
ジングウスゲ
絶滅危惧ⅠA類
ツノハシガミ
絶滅危惧ⅠA類
ナカミシシラン
絶滅危惧ⅠA類
ヌマハリイ
絶滅危惧ⅠA類
ミヤコアオイ
絶滅危惧ⅠA類
メヤブソテツ
絶滅危惧ⅠA類
ヤナギイボタ
絶滅危惧ⅠA類
リュウキュウマメガキ 絶滅危惧ⅠA類
ワカナシダ
絶滅危惧ⅠA類
エダウチホングウシダ 絶滅危惧ⅠB類
キバナチゴユリ
絶滅危惧ⅠB類
ナガミノツルキケマン 絶滅危惧ⅠB類
エビネ
絶滅危惧Ⅱ類
キセワタ
絶滅危惧Ⅱ類
サンヨウアオイ
絶滅危惧Ⅱ類
シライトソウ
絶滅危惧Ⅱ類
ツクシガシワ
絶滅危惧Ⅱ類
ツゲ(アサマツゲ)絶滅危惧Ⅱ類
ヒノキシダ
絶滅危惧ⅠB類
ルリミノキ
準絶滅危惧
■ 朝倉市の貴重な動植物
■ 黄金川(スイゼンジノリ自生地)
■ 久喜宮のキンメイチク(国指定天然記念物)
26
土地利用関連の法規制状況をみると、耶馬日田英彦山国定公園の普通地域が筑後川河
川沿いに、筑後川県立自然公園の特別保護地区(第1種特別地域、第2種特別地域、第3種
特別地域)、普通地域は古処山山系及び筑後川河川沿いや周辺部丘陵地に指定されていま
す。また、農業振興地域*は市域の広い範囲を占めています。さらに、甘木地域では都市
計画区域*及び用途地域*が設定され、朝倉地域及び杷木地域では準都市計画区域*の設定
が行われています。公共事業や民間開発を行う際には、これらの土地利用法規制を守り、
自然環境に配慮した適切な土地利用を図る必要があります。
自然と人とのつながりの中で生み出された景観についてみてみると、
「白川の棚田*」は
(農
昔ながらの土羽・石積により、農村の美しい原風景が形成されており、
「日本の棚田百選*
林水産省)」に選ばれています。他にも、松末の棚田などの美しい農村風景があります。
さらに、
「甘木公園」、
「普門院」、
「朝倉菱野の三連水車」、
「古処山」は福岡県文化百選 *
(名勝・景観編)に選ばれています。こうした美しい景観は次世代へと継承していく必要
があります。
■ 土地利用関連の法規制状況
27
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.動植物の生息・生育環境の保全
生物多様性においては、危機的な状況になってきていること、経済社会と密接につ
ながっていることに配慮した動植物の生息・生育環境や生態系に関する調査に基づ
き、地域に生息する動植物の多様な生態系を保全し、その育成を進めていきます。
また、自然環境保全意識を高めるための啓発を進めていきます。
<市民>
◎家庭や地域で自然の生態系と生活との関係を学び、自然を大切にします。
◎ボランティアとして、様々な自然保護活動に参加します。
<民間団体>
◎動植物や生態系に関する調査に協力します。
◎自然観察会などの企画・実施を進めます。
<行政>
◎民間団体と協力して動植物や生態系に関する調査を進めます。
◎指定文化財(天然記念物)の保存・管理・活用を進めます。
◎自然探訪等を支援するインストラクターの配置を進めます。
◎絶滅危惧種の保全に努めます。
イ.自然環境に配慮した土地利用
土地利用法規制を遵守するとともに、自然景観や農村景観などの保全に努め、自然
環境に配慮した適切な土地利用を進めていきます。
<事業者>
◎開発や土地利用に関しては、計画段階から自然の生態系などに十分配慮します。
<行政>
◎森林法や福岡県環境保全に関する条例など法令等を適正に運用し、自然環境の保
全に努めます。
◎「わくわく100年森づくり*」を推進します。
◎水資源機構と連携し、ダムと自然環境の共生に配慮した取組みを進めていきます。
◎景観維持・保全のPR、イベントによる意識啓発を推進します。
◎景観法に基づく、景観計画の策定や景観条例の制定により、良好な景観形成を推
進します。
◎棚田、森林などの農村景観の保全を検討します。また、自然環境と調和した住宅
及び公共施設の整備を促進することで総合的な景観づくりを図ります。
28
環境目標Ⅰ-3 生活空間等身近なみどり、水を守り育てる
1)現状と課題
小石原川河川敷の水辺広場、寺内ダムの一部には親水護岸が整備されています。また、
筑後川沿いに広がる原鶴温泉の鵜飼い、菱野の三連水車や三連水車の里あさくらなど水辺
とふれあうことができる場があります。
甘木地域(選定当時は甘木市)は「澄んだ空気と清い水が、スイゼンジノリや葛を産出
する。筑前の小京都といわれる秋月の城下町には石積みの水路が残り、歴史を感じさせ
る。」という理由で「水と緑の文化を育む“水の郷百選”*(国土交通省)」に選ばれてい
ます。また、堀川用水は朝倉地域及び甘木地域の一部の約660haの水田を潤しており、
「野鳥川」、
「黄金川(川茸の
「疏水百選 *(農林水産省)」に選定されています。さらに、
里)」、
「筑後川」、
「三連水車群」、
「山田井堰」、
「小石原川」、
「都高院の滝(現在は枯れてい
ます)」、
「潭空庵」、
「寺内ダム(あまぎ水の文化村)」が福岡県文化百選(水編)に選定され
ています。
このように、朝倉市は身近な場所に水を感じることのできるまちであり、こうした状況
を反映してか、平成25年度に実施した市民アンケート調査によると、「水や水辺とのふれ
あい」は市民の満足度が3割弱で、平成19年度に比べて減少しています。今後は、身近な
水辺の再生や人が水と親しむことのできる水辺環境の創出を図る必要があります。
一方で、都市化の進展による森林や農地の減少が雨水の不浸透域の拡大につながり、近
年の森林管理不足とあいまって、河川水量の減少が指摘されており、河川水量の維持確保
が課題となっています。
また、かつては市内の至る所に湧水がありましたが、その数はどんどん減っており、ス
イゼンジノリが自生する黄金川に代表されるように、残された湧水の保全が課題となって
います。
都市公園については、総合公園の甘木公園(31.70ha)、近隣公園の梅園公園(1.70ha)、
街区公園の甘木中央公園(一部供用)などがあり、37.78haが供用されています。また、
平塚川添遺跡公園や伝統的建造物群保存地区の秋月などの指定文化財におけるみどりやキ
リン花園などの民間施設も季節感を感じさせるみどりがあります。朝倉市のこうした緑の
豊かさを反映して、平成25年度に実施した市民アンケート調査によると、「緑とのふれあ
い・緑の多さ」は約7.5割の市民が満足していますが、平成19年度に比べて若干減少して
います。今後も身近な緑を保全・創造していく必要があります。
■ 筑後川の眺め
■ キリン花園のポピー
29
■ 朝倉市の公園と花・紅葉の名所
不 満
0.3%
未回答
7.4%
該当しない
0.3%
未回答
2.2%
やや不満
2.6%
該当しない
8.7%
満 足
4.8%
不 満
6.7%
どちらとも
いえない
15.1%
おおむね満足
22.4%
満 足
37.5%
やや不満
23.7%
おおむね満足
36.9%
[資料:市民アンケート調査(平成25年)]
どちらとも
いえない
31.4%
[資料:市民アンケート調査
(平成25年)]
■ 「緑とのふれあい・緑の多さ」に関する満足度
■ 「水や水辺とのふれあい」に関する満足度
30
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.水辺とのふれあい空間づくり
水辺とのふれあい空間づくりや多自然型の河川整備を進めるとともに、河川美化活
動を促進し、親しみのある水辺空間づくりを進めていきます。
<市民>
◎一斉清掃*やノーポイ運動*など河川美化活動へ積極的に参加します。
<民間団体>
◎水辺の環境学習会やイベントなどを企画・実施します。
<事業者>
◎ノーポイ運動など河川美化活動へ積極的に参加します。
<行政>
◎小石原川ダム水源地域整備計画に基づき事業を推進します。
◎堤防や河川敷の美化整備を進めます。
◎一斉清掃やノーポイ運動など市民参加による河川美化活動を促進します。
◎生態系などに配慮した多自然川づくり*を進めます。
◎階段護岸や休憩スペースの設置を検討し、快適な親水空間の整備に努めます。
◎自然を活かした公園の整備とともに親水空間の整備を図り、魚や水鳥などが生息
できる環境づくりに努めます。
イ.河川・水路等の水循環の保全
水の循環による働きを健全な状態で確保できるように、河川や水路の水量の維持・
確保を図ります。
<市民>
◎地域の河川・水路の清掃を行うなど、水辺の美化や維持管理に参加・協力します。
<事業者>
◎事業所周辺の河川・水路の清掃を行うなど、水辺の美化や維持管理に参加・協力
します。
<行政>
◎河川や水路などの水量の維持・確保について努めるとともに、管理者に対して積
極的に要請していきます。
◎側溝や水路等の清掃により水量の維持・確保に努めます。
31
◎筑後川やその支流の周辺環境の保全活動を促進します。
ウ.公共空間・民有地の緑化推進
公園や公共空間、民有地の緑化を進めるとともに、市民参加の緑化活動を通じて、
緑化空間の維持管理に努めます。また、緑地を守るしくみづくりを検討していきます。
<市民>
◎庭やベランダなどの緑化を進めたり、ブロック塀にかえて生け垣を作ったりする
など、みどりあふれる生活の場づくりに努めます。
<民間団体>
◎公園や街路樹、市民緑地の緑化活動や維持管理活動を進めます。
◎「あさくら美花美化バンク*」を市全域に広めて進めていきます。
<事業者>
◎工場や事業所の敷地内の緑化を積極的に進め、みどりの拠点として市民への開放
を行っていきます。
<行政>
◎「朝倉市保存樹木等の指定に関する条例」に基づいて市の美観風致の維持に資す
る樹林・樹木の保存に努めます。
◎市民の憩いの場となる公園・緑地の適切な管理を進めます。
◎地区の憩いの場となる緑化空間づくりのための支援を進めます。
◎「花いっぱい運動」を進めていきます。
◎自然を活かした公園の整備とともに親水空間の整備を図り、魚や水鳥などが生息
できる環境づくりに努めます。
◎インターチェンジ周辺等の整備・にぎわいの場を創出するとともに、自然と調和
した憩いの場の整備を進めます。
32
基本方針Ⅱ 暮らしをはぐくむ ~将来の世代も安全で快適に暮らせるために~
浸 呼吸
私たちは、空気や水、食物をとりながら命を育み、自然の恵みを活かして、産業
をおこし、健康で快適な暮らしを送っています。
朝倉市は、安全・安心でおいしい野菜、果物、米を生産する農業をはじめ、良質
な空気や水を生かした食料品製造業が盛んであり、市内あるいは市外へと供給して
います。
この土地でつくられる清らかな空気や水を維持しながら、生産物に浸透させ、多
くの人に提供していくことが朝倉市の目標となります。私たちは、朝倉市の自然を
活かした暮らし方や生産活動を追求し、自然の恩恵から生み出される生産物に対し
て感謝し、「もったいない」という気持ちで循環型社会を築きあげていくととも
に、省資源や省エネルギーに取り組み、地球温暖化防止等の喫緊の環境問題への対
応を進めていきます。
環境目標Ⅱ-1 大気、水、土壌、静けさを守り、安心して暮らせるまちをつくる
1)現状と課題
市内には、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局はなく、近傍の小郡市に筑後
小郡一般環境大気測定局があります。経年的な測定結果をみると特に問題はありません。
平成25年度に実施した市民アンケート調査をみても「空気のきれいさ」は約7割の市民が
満足しています。平成23年度の苦情処理状況をみると、雑草の苦情が全体の3割強を占
め、次いで個人宅の野焼きや事業者の野焼きに関する苦情は2割弱となっており、5年前と
は状況が変化してきています。
悪臭については平成23年度の苦情処理状況では、全苦情件数の1割程度になっています
が、内訳は全て事業所、農業、畜産に関するものであり、悪臭の未然防止のために適切な
指導や啓発を行っています。
道路交通騒音については、平成24年度に県道福岡日田線(旧国道386号線)の沿線の実
態調査を行い、昼夜共に環境基準値以下である割合は93.6%でした。また、平成21年度
に行った同じ調査では、甘木停車場線は98.5%、一般国道386号線は74.8%となってお
り、特に一般国道386号線については、自動車交通騒音対策が必要と考えます。平成25年
度に実施した市民アンケート調査では「まちの静けさ」は約7割の市民が満足しており、
今後も静穏な生活環境を保全していくことが必要です。
市内の河川は全域が環境基準のA類型に指定されています。平成24年度の水質検査結果
をみると、佐田川の一部(佐田川大橋下流)ではBOD*の環境基準値(2mg/L以下)を
上回っています。また、経年的にデータを比較すると主要河川は横ばいながら、都市排水
路等の水質は改善傾向が認められます。市内の湖沼では、寺内ダムが湖沼類型のA類型、
33
全燐に係るⅡ類型に指定されています。COD*が環境基準値(3mg/L以下)前後で横ば
いの状況になっているのに対し、全燐については環境基準値(0.01mg/L以下)を下回っ
た状態で推移しています。平成25年度に実施した市民アンケート調査によると、「川や池
のきれいさ」に満足している市民は約5割で、平成19年度よりも向上しています。こうし
たことから、河川やダムの水質保全対策を推進する必要があります。
一方、水質汚濁の要因の1つと考えられる生活排水等の処理施設については、朝倉地域
が特定環境保全公共下水道事業を進めているほか、甘木地域は流域関連下水道*事業を中
心に一部特定環境保全公共下水道*事業を進めており、杷木地域においては浄化槽設置事
業を進めています。福岡県建築都市部下水道課資料による平成23年度末現在の下水道整備
率は25.9%となっており、今後の整備が急がれます。
土壌汚染については、朝倉市では、平成17年に土地所有者が自主的に実施した土壌調査
で農薬工場での砒素及び鉛の土壌汚染が判明し、関係機関、企業等の努力により、汚染土
壌の除去や浄化などの措置が進められています。今後とも土壌汚染の未然防止に努めると
ともに、水質調査の継続が必要です。
科学技術の進歩とともに、多種多様な化学物質が製造され、日常生活や事業活動におい
て使用されています。これらの化学物質は人の健康や環境への影響が懸念されています
が、有害性や環境中の分布状況など科学的に未解明の部分があり、調査・研究が進められ
ています。
朝倉市では平成23年度に河川及び河川底質の各5地点のダイオキシン類*の調査を行っ
ており、全て環境基準を下まわる結果となっています。
今後も国の調査・研究などの情報収集に努めるとともに、「特定化学物質の環境への排
出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR*法)」に基づく事業者によ
る自主的な管理の促進などにより、化学物質に対する安全性を確保する必要があります。
雑草
33
野焼
16
悪臭
12
騒音
8
水質汚濁
7
その他
27
苦情件数については、延べ件数ではありません。(同一内容のものは、1件として標記しています。)
[資料:環境課実績]
■ 環境苦情件数(平成23年度)
34
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.大気汚染防止対策・悪臭対策の推進
自動車や工場・事業場からの大気汚染防止対策・悪臭対策を進めます。これに加
え、PM2.5における情報発信にも努めます。なお、PM2.5については、世界保健機
関(WHO)が「発がん性を有する」と認定したことから、今後の情報に一層注意す
る必要があります。また、野焼きに関する指導を強化します。
<市民>
◎駐車時のアイドリングストップ*や急発進、急停車をやめるなどのエコドライブ*
を心がけます。
◎自動車の購入にあたっては、低燃費かつ低排出ガス自動車を選択します。
◎家庭から出るごみ等の野焼きはしません。
<事業者>
◎駐車時のアイドリングストップや急発進、急停車をやめるなどのエコドライブを
心がけます。
◎自動車の購入にあたっては、低燃費かつ低排出ガス自動車を選択します。
◎事務所から排出される廃棄物等の不法な焼却はしません。
<行政>
◎公用車の利用に際しては駐車時のアイドリングストップや急発進、急停車をやめ
るなどのエコドライブを心がけます。
◎公用車への低燃費かつ低排出ガス自動車の率先導入と市民・事業者への啓発に努
めます。
◎交通の流れの円滑化を行うために、交通が集中する変則な交差点を改良します。
◎関係機関との協力により、公共的な交通サービスの提供に努めます。
◎歩道、自転車道、駐輪場の整備により徒歩、自転車の利用向上に努めます。
◎工場・事業場からのばい煙等の排出規制の徹底を推進します。
◎工場・事業場からの悪臭の実態把握に努めます。
◎事業所に対して、法規制の周知徹底を図り、必要に応じて、施設改善などの指導
を行います。
◎畜産施設整備を促進し、地域社会と共存できる畜産経営を推進します。
◎野焼きに対する指導を強化します。
◎PM2.5については、今後の動向を踏まえ、福岡県からの注意喚起がなされたと
きには、防災無線等にて市民にお知らせします。(注意喚起:現時点では、朝は
85μg、昼は80μgを超えたときに、発令されます。)
35
イ.騒音・振動防止対策の推進
自動車や工場・事業場からの騒音・振動対策、建設作業に伴う騒音・振動対策を進
めます。
<市民>
◎自動車の空ぶかしをしない、不要なクラクションを鳴らさないなど、自動車から
の騒音に気を配ります。
<事業者>
◎騒音、振動に関する法令を遵守するとともに、建設作業を行う場合は、低騒音、
低振動型の建設機械や施工方法の採用に努め、作業時間や作業方法等、周辺地域
住民への説明を行います。
<行政>
◎市内の主要な幹線道路の騒音・振動実態調査を実施します。
◎環境騒音調査を適宜実施します。 ウ.水質保全対策の推進
特定環境保全公共下水道事業、流域関連下水道事業、浄化槽設置事業を進めるとと
もに、河川浄化運動や日常生活や事業活動における化学物質の適正使用などの水質保
全対策を進めていきます。
<市民>
◎下水道との接続や浄化槽の設置に努めます。
◎家庭菜園や庭での農薬や化学肥料などの適正使用に努めます。
<民間団体>
◎他の団体と連携して、河川浄化運動を広げていきます。
<事業者>
◎工場や事業場の排出規制を守り、水質汚濁防止に努めます。
◎有機農業、生ごみの堆肥利用、農薬の適正使用など、環境保全型農業を進めてい
きます。
<行政>
◎河川水質調査や河川底生物調査について従来調査項目の継続と追加項目の検討を
行い、水質監視の充実を図ります。
◎公共下水道事業を推進します。
36
◎下水道整備区域外の地区における浄化槽設置を促進します。
◎都市下水路や生活排水路の汚濁防止についての周知徹底を図ります。
◎既設浄化槽の適正な維持管理の指導、合併処理浄化槽*への改善指導を行います。
◎し尿処理施設による生活排水等の処理を適正に行い、水質汚濁を防ぎ、環境負荷
の軽減に努めます。
◎水 質汚濁防止に向けた市民・事業者意識の高揚を図るための普及・啓発を進め
ます。
◎事業所排水による水質汚濁防止のために事業所への規制遵守の指導を徹底します。
◎農業排水による水質汚濁防止のために化学肥料・農薬の適正使用を指導します。
◎畜産廃棄物や畜産排水の適正な管理を指導します。
◎地下水の汚染状況を把握するために、地下水概況調査を実施します。
◎汚染物質が確認された場合は、地下水のモニタリング調査を実施します。
◎工場・事業所などに対する監視や指導の徹底を図ります。
◎農薬等による土壌汚染の防止についての普及・啓発に努めます。
◎有機質肥料の使用を進め、地力向上などの土づくりを推進します。
エ.化学物質による環境リスクの低減
化学物質に対する情報提供を進めるとともに適正な使用・管理を促進し、化学物質
による環境リスクの低減に努めます。
<市民>
◎農薬や殺虫剤などの化学物質製品の取扱いに注意します。
<民間団体>
◎化学物質に関する環境リスクを周知するための研修会などを企画・実施します。
<事業者>
◎化学物質を取り扱う事業者は、化学物質の移動及び排出量を把握し、適正管理を
徹底します。
<行政>
◎関係機関と連携して、ダイオキシン類に関しての環境調査の充実を図ります。
◎有害化学物質の調査結果等の情報を公表し、不安の解消に努めます。
◎事業所へ化学物質の適正な管理を行うよう指導・啓発に努めます。
◎化学物質の排出の少ない生産工程の導入や使用方法の改善等の指導・啓発を推進
します。
◎農薬等による土壌汚染の防止についての普及・啓発に努めます。
◎有機質肥料の使用を進め、地力向上などの土づくりを推進します。
37
コラム
低燃費車・低排出ガス自動車について
低燃費車とは、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)に基づ
き定められた燃費基準(トップランナー基準)を早期達成している自動車のことで
す。国土交通省では、「自動車の燃費性能の評価及び公表に関する実施要領」に基
づき、ガソリン・LPG・ディーゼル車を対象に、燃費基準達成車について公表を
行っており、該当する自動車には下表に示すステッカーが貼付されます。
低排出ガス自動車とは、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)等の大気汚染
物質の排出が少ない、又は全く排出しない自動車のことです。国土交通省では、
「低
排出ガス車認定実施要領」に基づき、認定された自動車の公表を行っており、該当
する自動車には以下に示すステッカーが貼付されます。
■ 低燃費車・低排出ガス自動車のステッカー
①平成27年度燃費基準達成車
②平成27年度燃費基準+5%達成車
○平成17年基準 75%低減レベル
③平成27年度燃費基準+10%達成車
④平成27年度燃費基準+20%達成車
○平成17年基準 50%低減レベル
⑤平成22年度燃費基準+25%達成車
⑥平成22年度燃費基準+38%達成車
○平成21年基準 10%低減レベル
⑦平成22年度燃費基準+50%達成車
[資料:国土交通省資料]
38
環境目標Ⅱ-2 暮らしに4Rが定着した、循環型社会をつくる
1)現状と課題
大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動は徐々に改善されていますが、市民一
人ひとりまで浸透しているとはいい難い状況にあります。朝倉市におけるごみ総排出量を
みると、平成9年度から平成22年度までの14年間で約1%増加しています。また、平成22
年度の1人1日あたり排出量は約810g/人・日で福岡県平均の約1,001g/人・日を下回っ
ているものの、平成9年度から約22%も増加しています。
ごみのリサイクル率は、平成15年3月にリサイクルプラザが稼働したこともあり、平成
9年度より増加していますが、平成19年度に実施した市民アンケート調査によると、ごみ
の排出量は6割程度の市民が「現在より削減できる」と回答しており、さらにごみの減量
化やリサイクルを進めていく必要があります。また、事業者においては、特に多量排出事
業者への指導などにより、ごみの減量化を推進する必要があります。
一方、朝倉市では環境美化推進条例に基づき、各地区に環境美化推進員を配置し、毎月
2回、地区内の巡回パトロール、ごみのポイ捨て防止や不法投棄防止の啓発活動を行って
います。しかしながら、山間部や河川敷などでは不法投棄が後を絶たない状況が続き、平
成22年度は、63件の不法投棄が報告・確認されています。今後、不法投棄防止に向けた
取り組みをさらに強化する必要があります。
( t )
( K / 人・日)
18,500
844
742
792
790
786
18,000
786
856
900
832
810
797
805
765
800
761
17,500
700
666
17,000
600
16,500
18,178
17,853
18,162
16,000
18,147
17,259
15,500
500
17,977
17,511
400
17,638
17,355
17,349
300
16,887
16,364
15,000
15,710
15,504
14,500
14,000
200
100
H9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
0
※平成 18 年度は第 1 次朝倉市総合計画の実績値に合わせた
[資料:福岡県における一般廃棄物処理の現況]
■ 朝倉市のごみ総排出量及び1人1日当たりごみ排出量の推移
39
( % )
30
25.6
25
25.6
25.5
23.6
25.0
23.5
23.7
24.0
22.5
22.7
22.5
22.7
19
20
21
22
22.1
19.5
20
17.9
19.2
18.4
15
10
12.1
9.4
10.4
10.1
10
11
18.4
11.8
16.3
16.5
19.2
16
17
18
15.1
13.5
5
0
H9
12
朝倉市
13
14
15
福岡県
[資料:福岡県における一般廃棄物処理の現況]
■ リサイクル率の推移(朝倉市、福岡県)
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.4Rの促進
大量生産・大量消費・大量廃棄型の生活様式や事業活動を見直し、「もったいな
い」という意識を持ち、市民・民間団体・事業者・行政が一体となって、4R(リ
フューズ、リデュース、リユース、リサイクル)を推進することにより、循環型社会
の構築を進めます。
<市民>
◎買い物には必ずマイバッグを持参します。
◎過剰包装の製品、使い捨て型容器の製品はできるだけ買わないようにします。
◎ものはできるだけ長く、大切に使うよう心がけます。
<民間団体>
◎地域ぐるみでごみの減量化やリサイクル運動を積極的に進めていきます。
<事業者>
◎マイバッグの利用を消費者に呼びかけます。
◎長期使用できる製品の生産や修理体制を整備します。
40
<行政>
◎現在行っているエコ商品の購入についての取り組みを今後とも継続して行います。
◎マイバッグの持参を今後も市民に啓発します。
◎事業所に対してごみの出し方やごみ減量の指導を行います。
◎ごみ減量・リサイクル意識の啓発を図ります。
◎使い捨てを前提とする生活のあり方を見直し、物を大切にすることから環境問題
を考える環境学習を推進します。
◎廃棄物処理施設の見学受け入れなどを通じて、子どもたちがごみ処理のあり方を
考える機会を提供します。
◎リユースして使われている製品など情報を提供し、普及啓発に努めます。
◎地区住民の協力のもと、ごみ分別収集の徹底を推進し、ごみ減量化・再資源化を
図ります。
◎古紙回収等の資源回収に加え、家電リサイクル法等、排出ルールの周知・徹底に
努めます。
◎食品トレー、紙パック等の回収店舗の周知徹底に努めます。
イ.廃棄物の適正処理の推進
4Rを進めてもなお、やむを得ず廃棄しなければならないものについては、環境汚
染を発生させないように適正な処理を行います。
<事業者>
◎事業活動に伴って発生した廃棄物は、適正に処理します。
<行政>
◎廃棄物の適正処理を啓発推進します。
◎し尿・浄化槽汚泥・農業集落排水施設汚泥の適正処理を進め、堆肥化します。
ウ.散乱ごみ・不法投棄防止対策の推進
まちの美観を損ない、自然環境の悪化につながる散乱ごみや不法投棄を防止するた
めの取り組みを推進します。
<市民>
◎不法投棄等を発見したら、すぐに市へ報告します。
◎自宅周辺の美化を行うとともに地域の美化運動に参加します。
<民間団体>
◎不法投棄防止のための監視作業に協力します。
◎美化活動を企画・実践します。
41
<事業者>
◎所有する空き地や工場・事業所周辺の美化に努めます。
<行政>
◎不法投棄防止のため、あらゆる機会を通じて市民や事業者に対して指導や呼びか
けを行っていきます。
◎環境パトロールを実施するとともに、市民(地域の美化推進員を中心として)・
警察と連携して、不法投棄の監視体制の強化を図ります。
◎「一斉清掃運動」などの環境美化活動をより一層推進し、市民や観光客等にポイ
捨て防止の普及・啓発を図ります。
■ 朝倉市環境センター(汚泥再生処理施設)
■ ごみの分別
42
環境目標Ⅱ-3 資源・エネルギーを大切に使い、地域から地球温暖化防止に取り組む
1)現状と課題
私たちの日常生活や事業活動に伴って消費されるエネルギーの多くは、石油等の化石燃
料を原料にしています。化石燃料は資源が枯渇する恐れがあるとともに、燃焼時に排出さ
れる二酸化炭素によって地球温暖化を引き起こす大きな要因ともなっています。
温室効果ガス排出量の増加は、気候変動や生態系の変化などをもたらし、人類を含む全
ての生物の生存基盤である地球環境に多大な影響を与えることになります。
我が国は、京都議定書の第1約束期間(2008年~2012年)の年平均で、温室効果ガス
排出量を基準年である1990年に比べて6%の削減が義務づけられていました。我が国の
2012年度の温室効果ガス排出量(速報値)は、原子力発電比率の低下等により、基準年
と比べて6.3%増加しています。森林吸収*量の目標を達成し、京都メカニズムクレジット*
を加味してようやく第1約束期間の5か年平均で基準年比8.2%削減となり、目標を達成で
きるという状況です。
また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、このままでは今世紀末に気温は
最大で6.4℃上昇すると予測しており、生態系・農業への影響予測から考えると、産業革
命以前と比べ平均気温2℃の上昇が一つの目途となるといわれています(IPCCの第5
次評価報告では、産業革命以降現在までに平均気温は計画策定時の約0.7℃から0.85℃へ
更に上昇しています)。今後、気温の上昇を2℃未満に抑えるためには、2050年までに世
界全体で温室効果ガスを1990年比で50%も削減する必要があり、我が国を含む先進国で
は、2050年で1990年比6~8割程度の排出削減を図るべきであるとされ、その実現に向け
た取組が検討されています。
一方、現計画策定時の調査では、2004年度における朝倉市内の二酸化炭素排出量は約
52万t-CO2で、1990年度から約14%も増加し、特段の対策を講じない場合、本計画の目
標年度である2018年度の二酸化炭素排出量は、1990年度と比較して23%増加するものと
推計していました。平成25年に実施した調査では、2011年度における朝倉市の二酸化炭
素排出量は約46万t-CO2で、1990年度から約1%減少しています。
これは、製造業部門の減少によるものと考えられます。
■ 朝倉市における二酸化炭素排出量(将来推計) (t-CO2)
区 分
1990 年度 2004 年度
(基準年度)(現況年度)
2013 年度(中間年度)
基準年からの
排出量
増減(%)
62,790
14,731
(31%)
2018 年度(目標年度)
基準年からの
排出量
増減(%)
65,393
17,335
(36%)
民生家庭部門
48,058
54,492
民生業務部門
48,374
69,864
87,014
38,640
(80%)
90,516
42,142
12,940
18,232
20,076
7,136
(55%)
21,193
8,253
6,588
3,907
1,454
− 5,134
1,445
− 5,143
農林・水産業部門
建設業部門
産業部門
鉱業部門
( − 78%)
− 41 ( − 100%)
0
(87%)
(64%)
( − 78%)
− 41 ( − 100%)
41
0
0
製造業部門
206,340
203,085
185,153
− 21,187
( − 10%)
190,770
− 15,570
( − 8%)
小 計
225,909
225,224
206,683
− 19,226
( − 9%)
213,407
− 12,502
( − 6%)
自動車部門
132,870
167,576
194,768
61,898
(47%)
192,723
59,853
1,636
1,155
1,094
− 542
984
− 652
134,506
168,730
195,862
61,356
(46%)
193,707
59,201
(44%)
3,407
4,630
4,515
1,108
(46%)
4,580
1,174
(34%)
460,253
522,940
556,863
96,610
(21%)
567,604
107,351
(23%)
運輸部門
鉄道部門
廃棄物部門
一般廃棄物部門
小 計
合 計
( − 33%)
(45%)
( − 40%)
[資料:温室効果ガス排出量調査(平成19年)]
43
廃棄物部門
0.9%
鉄道部門
0.2%
(t-CO2)
一般廃棄物部門
0.5%
600,000
500,000
運輸部門
32.9%
家庭部門
15.1%
自動車部門
30.2%
456,594
t-CO2
400,000
民生部門
22.0%
300,000
業務部門
22.7%
200,000
製造業部門
28.3%
農林水産業部門
2.2%
産業部門
44.2%
100,000
建設業部門
0.8%
0
鉱業部門
0.0%
一般廃棄物部門
鉄道部門
自動車部門
製造業部門
建設業部門
農林水産業部門
業務部門
家庭部門
1990年度
1995年度
2004年度
2011年度
鉱業部門
[資料:温室効果ガス排出量調査(平成 25 年)
]
■ 朝倉市における二酸化炭素排出量(2011年度)
平成25年度に実施した市民アンケート調査では、約半数の市民が「省エネルギーなど地
球温暖化対策の推進」を特に強化すべき取り組みと考えています。また、約半数の市民が
エネルギー消費量を「現在より削減できる」と回答しており、今後、省エネルギーの取り
組みが市民に浸透していくことが期待されます。
新エネルギーの導入状況をみると、2012年度までに住宅用太陽光発電導入促進事業等
を活用して住宅用太陽光発電設備を導入した件数及び設備容量は1,333件、6,029kWと
なっています。
今後は、人間活動に伴う大量生産・大量消費型の日常生活や事業活動を見直し、省資
源・省エネルギー対策を積極的に進めていくとともに、太陽光や太陽熱など環境への負荷
の少ない新エネルギーの導入を積極的に進めていく必要があります。
(%)
0
20
40
省エネルギーなど地球温暖化対策の推進
60
48.1
ごみのポイ捨て、不法投棄を防止するための
監視、指導の強化
33.7
学校、地域、企業での環境教育の推進
28.2
下水道、浄化槽の整備
26.0
廃棄物の適正処理の推進
23.1
[資料:市民アンケート調査(平成 25 年)]
■ 特に強化すべき取り組み(上位5位)
44
■ 朝倉市太陽光発電システム設置状況
年 度
設置件数
設備容量(kW)
2005 年度
417
1,653
2008 年度
597
―
2009 年度
685
―
2010 年度
840
3,426
2011 年度
1,070
4,513
2012 年度
1,333
6,029
※上記の数値には、2011 年度からの市補助設置分を含む。
(t-CO2)
特段の対策を
講じない場合
600,000
550,000
削減量
105,197
500,000
450,000
400,000
567,604
対策メニューを
実施した場合
460,253
522,940
1990年度(基準年度)
2004年度(現況年度)
約12%
削減
462,407
350,000
300,000
部門
民生家庭部門
2018年度(目標年度)
削減可能量
(t-CO2)
対策メニュー
①日常生活における省エネルギー行動の実践
4,890
②家庭での省エネルギー機器の普及 (トップランナー機器の普及)
6,433
③省エネ設備、新エネ設備の導入 (太陽光発電、高効率給湯器等)
2,990
④住宅の省エネ基準適合を推進
民生業務部門
490
⑤日常業務における省エネルギー行動の実践
3,786
⑥建物の省エネ基準適合を推進
1,434
⑦オフィスでの省エネルギー・新エネルギー設備の導入
自動車部門
5,069
⑧自動車利用の削減
25,853
⑨低燃費車(トップランナー基準適合車両)の普及促進
15,957
⑩自動車の効率的な利用(エコドライブ)による省エネルギー推進
鉄道部門
産業部門
一般廃棄物部門
森林吸収
7,130
⑪鉄道の省エネ化促進
53
⑫製造業での省エネ設備の導入等による省エネ化の推進
3,523
⑬製造業以外(建設業、農林水産業)での省エネ化の推進
141
⑭一般廃棄物の削減目標をふまえた排出量削減
1,852
⑮保安林等の適切な管理・保全
25,597
合 計
105,197
※①、③、⑤、⑦、⑧、⑩、⑫、⑬はアンケート結果等をもとに算定
※②、④、⑥、⑨、⑪、⑮は京都議定書目標達成計画、トップランナー基準における目標指標等を 一部参考にして算定
※⑭は第 1 次朝倉市総合計画における目標指標をもとに算定
■ 朝倉市における二酸化炭素排出量削減目標(2018年度)
45
コラム
家庭で取り組める地球温暖化対策
一人ひとりの小さな省エネでも積み重ねると地球温暖化を防ぐ大きな効果を得る
ことができます。また、省エネに取り組むことは家計の節約にもつながります。
あなたもできることから始めてみませんか?
■ 省エネ行動とその効果(年間の省エネ効果量、二酸化炭素削減量、概算節約額)
取 組 内 容
省エネ効果量
二酸化炭素
削減量
エアコンの暖房は 20℃、冷房は 28℃を目安に
温度設定をする
83.3kWh(電気)
44.0kg-CO2
1,800 円
<石油ファンヒーター>
10.2L(灯油)
25.4kg-CO2
1,000 円
<エアコン>
59.5kWh(電気)
31.2kg-CO2
1,300 円
<石油ファンヒーター>
15.9L(灯油)
3.9kWh(電気)
41.6kg-CO2
1,600 円
< 32V 型液晶>
16.8kWh(電気)
8.8kg-CO2
< 42V 型プラズマ>
56.6kWh(電気)
29.7kg-CO2
< 12W の蛍光ランプ>
4.4kWh(電気)
2.3kg-CO2
100 円
冷蔵庫の扉は開閉を少なくし、開けている時間
を短くする
16.5kWh(電気)
8.7kg-CO2
400 円
お風呂は、間隔をあけずに入り、追い焚きをし
ない
33.8kg(LPG)
101.4kg-CO2
シャワーはお湯を出しっぱなしにしない
11.3kg(LPG)
4.4㎥(水道)
35.5kg-CO2
4,100 円
洗濯する時は、まとめて洗う
5.9kWh(電気)
16.8㎥(水道)
9.1kg-CO2
3,100 円
83.6L(ガソリン)
194.1kg-CO2
加減速の少ない運転を行う
29.3L(ガソリン)
68.0kg-CO2
4,700 円
早めにアクセルオフをする
18.1L(ガソリン)
42.0kg-CO2
2,900 円
不要なアイドリングはしない
17.3L(ガソリン)
40.2kg-CO2
2,700 円
暖房機器は 20℃を目安に温度設定をする
冷暖房機器は不必要なつけっぱなしをしない
(運転を 1 日 1 時間短縮した場合)
テレビをつけっぱなしにしたまま、他の用事を
しない
(テレビの視聴を 1 日 1 時間短縮した場合)
人のいない部屋の照明は、こまめに消灯する
(点灯時間を 1 日 1 時間短縮した場合)
ふんわりアクセル「e スタート」を行う
(発進時に 5 秒間かけて 20km/h 程度に加速する)
概算節約額
400 円
1,200 円
10,000 円
13,200 円
電 気 料 金:九州電力(株)の従量電灯B・電力量料金(121kWh~300kWhの単価22円、平成25年11月)を適用
L P G 料 金:
(財)日本エネルギー経済研究所石油情報センターの価格情報の液化石油(LP)ガス偶数月調査の平成 25 年
(4・6・8 月)の平均単価(20㎥あたり)を kg あたりに換算して適用(294 円 /kg)
(財)日本エネルギー経済研究所石油情報センターの価格情報の灯油月次調査の平成 25 年(4 ~ 11 月)の
灯 油 料 金:
平均単価(98 円 /L)を適用
水道使用料金:一般用、共用(5㎥まで)の月額基本料金 892 円を適用(178 円 /㎥)
ガソリン料金:(財)日本エネルギー経済研究所石油情報センターの価格情報のレギュラーガソリン月次調査の平成 25 年
(4 ~ 11 月)の平均単価(158 円 /L)を適用
[資料:「家庭の省エネ大事典2012年版((財)省エネルギーセンター)」
46
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.省エネルギー・省資源の取り組みの推進
身近にできることから省エネルギー・省資源の取り組みを進め、地域から地球温暖
化防止に貢献していきます。
<市民>
◎環境家計簿*をつけ、省エネルギーや廃棄物の減量に努めます。
水道の蛇口をこまめに閉めるとともに、風呂の残り湯を洗濯水や庭への散水に再
利用するなどして節水に心がけます。
<民間団体>
◎地球温暖化問題に関する講演会や研修会を企画・実施します。
<事業者>
◎国際標準化機構で策定された国際規格(ISO)やエコアクション21*など環境マ
ネジメントシステム*の導入を進めます。
◎工場や事業所での省エネルギー対策を進めます。
◎省エネルギー型の設備の導入を進めます。
◎工場や事業所の新築、改築時には、水の合理的・循環的利用を図るため、節水型
機器への転換や、雨水、排水処理水の利用システムの導入に努めます。
<行政>
◎市民・事業者へ省エネルギー・省資源対策に係る啓発活動を推進します。
◎上水道の普及を図り、節水に関する啓発を進めます。
◎公用車への低燃費かつ低排出ガス自動車の率先導入と市民・事業者への啓発に努
めます。
◎交通の流れの円滑化を行うために、交通が集中する変則な交差点を改良します。
◎鉄道の利用を促進するために駅などの利便性向上に努めます。
◎関係機関との協力により、公共的な交通サービスの提供に努めます。
◎歩道、自転車道、駐輪場の整備により徒歩、自転車の利用向上に努めます。
◎国民一人ひとりができることから、地球温暖化防止の一つである「チャレンジ25
キャンペーン」の国民運動を推進していきます。
47
イ.新エネルギー利用の促進
2011年3月の東日本大震災の発生により、福島原子力発電所が被災し、エネルギー
の在り方について議論がなされています。
様々なエネルギー種類による研究がなされ、実用化されているものもありますが、
まだこれからの開発分野であり、より現実的な実用社会の構築が急務です。朝倉市に
おいても太陽光発電の普及は進んでいますが、他種のエネルギーの可能性についても
検討が必要です。
このようなことを考慮し、地球温暖化防止にもつながる太陽熱、太陽光発電など環
境への負荷の少ないクリーンエネルギー利用設備の導入を進めていきます。
<市民>
◎クリーンエネルギー(太陽熱温水器や太陽光発電設備等)の導入を検討します。
<民間団体>
◎大学、研究機関等と連携し、発電の可能な調査を行い、地域の活性化を促進し、
個性ある活力に満ちた地域づくりを目指していきます。
<事業者>
◎クリーンエネルギー利用設備の導入を進めます。
<行政>
◎公共施設の建替え時等において、新エネルギー設備の導入を進めます。
◎クリーンエネルギーやバイオマス等への理解を深めるための普及啓発活動を推進
します。また、バイオエネルギーを利用した循環型システムを検討します。
48
環境目標Ⅱ-4 新鮮な水や空気をもとにした安全・安心な食材を提供する
1)現状と課題
朝倉市は、久留米市、北九州市に次ぐ、5,560haの耕地面積を誇る福岡県内有数の穀倉
地帯として知られています。筑後川沿いを中心に、肥沃で平坦な農地が形成されており、
米、麦、大豆、野菜等の農産物の生産が行われています。中でも「博多万能ねぎ」は生産
量・生産額・栽培面積ともに日本一であり、全国にその名を馳せています。
また、山間丘陵地では、かき、なし、ぶどう、りんごなどの果樹の生産が盛んに行われ
ています。さらに、良質な水を生かした「秋月の葛」や「黄金川のスイゼンジノリ」な
ど、この地域ならではの特産品があります。地元で採れた食材を地元で消費すること(地
産地消)は輸送に伴うエネルギーの削減につながります。
朝倉市には、こうした農産物や特産品を活用したフルーツ狩りなどの体験型観光や、地
産地消を目的とする農産物直売所、地元で採れる新鮮な食材を使った料理、お菓子など、
食と農の豊かさが体験できる資源を数多く有しています。
今後は、安全・安心な農産物、スローフード*志向の高まり、地産地消など多様化する
消費者ニーズに応えるとともに、朝倉市の食文化を継承していく必要があります。
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.地産地消の推進
朝倉市の食文化の継承、地域経済の活性化、良好な自然環境の保全、輸送エネル
ギー削減による地球温暖化の防止など様々な効果のある地産地消を推進します。
<市民>
◎地元で生産された農産物等を積極的に購入します。
<事業者>
◎地場産の農産物等を積極的にPR・販売します。
◎地元農産物を活用した食事を提供します。
<行政>
◎学校給食への地元産農産物の導入や地場産農産物販売の支援を図ります。
◎農産物直売所で地元農産物を活用した食事や販売を促進します。
◎市内の直売所や農産物産地マップを作成します。
◎学 校・施設・宿泊所との連携を取りながら、地元農産物の食材の提供を促進し
ます。
◎独自の副読本や地元講師などによるふるさと教育の充実とともに、学校給食にお
ける地元健康野菜の導入と地元生産者などとの交流による食に関する指導の充実
を図ります。
49
◎地元農産物の普及宣伝と販売戦略に努めます。また、試験研究機関やJAとの連
携を図り、生産技術の指導や新ブランド農産物の開発支援を図ります。
◎広報紙、ホームページ等で旬の農産物情報等を提供します。
◎朝倉市の郷土料理や伝統料理に関する情報提供を行います。
イ.安全・安心な食材の提供
朝倉市の新鮮な水や空気をもとにした安全・安心な食材を提供できるよう、土づく
りや品質管理などの取り組みを進めていきます。
<事業者>
◎農産物の生産や流通にかかる品質管理を徹底します。
◎環境に配慮した技術の導入や土壌診断に基づく適切な施肥を行うなど、環境保全
型農業に取り組みます。
<行政>
◎農産物の生産や流通に係る品質管理の徹底を図るとともに、減農薬の農産物や地域
の条件に適した農産物の生産と提供を支援し、安心・安全な食の提供に努めます。
◎良質な堆肥生産化のため、家畜ふん尿の適正処理の指導及び体制の確立を図り、
その活用を推進します。
◎環境に配慮した技術導入の促進や土壌診断に基づく適切な施肥の推進など、環境
保全型農業を推進します。
■ 三連水車の里あさくら
■ ファームステーションバサロ
50
基本方針Ⅲ 人をはぐくむ ~一人ひとりの意識を行動に変え、
より大きな取り組みにつなげるために~
心 呼吸
環境を守っていくためには、私たちの努力が必要です。私たちは、これまで自然
の恵みによってエネルギーを消費し、物を生産し、豊かで快適な生活を築いてきま
した。しかしながら、資源には限りがあることや自然のしくみを知り、賢明な利用
をしなければ、私たち人間をはじめ動植物の命を脅かす危機が訪れるのです。私た
ちは、地域の環境や地球規模の環境問題について学習し、一人ひとりがより良い環
境づくりに向けた行動に取り組むことが大切になっています。
朝倉市は、その地形や自然を活かして生活が営まれてきました。平塚川添遺跡、
秋月城跡、恵蘇八幡宮、三連水車、原鶴温泉と鵜飼等、朝倉市の歴史や文化を見て
みると、自然を使いながら自然を知り、自然を大切にしてきた人々の心と努力が
うかがえます。また、朝倉市には「だんだん」、「もやい」という言葉が今も息づ
き、感謝の気持ちを持ち続けています。これらの言葉を通して、朝倉市の誇りを感
じることができます。
朝倉市は先人たちが歴史や文化として残してきたように、自然と積極的にふれあ
いながら、私たち自身がこの土地の良さを知り、活かす活動を進めていく必要があ
ります。私たちは、地域での環境保全活動、他の地域との交流等、心の呼吸を大切
にして環境保全の取り組みを進めていきます。
環境目標Ⅲ-1 朝倉の歴史・文化を伝える
1)現状と課題
国指定の文化財は11件、国選定伝統的建造物群保存地区1件、県指定が34件、市指定が
39件、及び未指定の文化財が18件あります。主な文化財としては、国指定史跡の「平塚
川添遺跡」、「堀川用水及び朝倉揚水車」、「杷木神籠石」、県指定史跡の「秋月城跡」、県
指定無形民俗文化財の「杷木の泥打」、市指定史跡の「宮地嶽前方後円墳」、市指定無形文
化財の「原鶴を中心とした筑後川鵜飼」などがあります。
また、朝倉市歴史的景観条例(平成18年3月20日条例第111号)に基づいて、秋月地区
の約58.6haが秋月伝統的建造物群保存地区に指定され、歴史的まちなみを保存するための
計画の策定や行為に関する制限などが義務づけられています。秋月郷土館には黒田藩時代
を中心とする貴重な文化財が保管・展示されています。
さらに、「秋月城本門、長屋門」、「木造須賀神社本殿」、「普門院本堂」、「旧石井家住
宅」は、福岡県文化百選(建物編)に選ばれています。
このように、朝倉市には歴史的に貴重な資源が数多く存在しています。平成25年度に実
施した市民アンケート調査によると、「歴史的雰囲気」に満足している市民は約4割にと
51
どまっており、今後も広く市民が文化財にふれ、地域の歴史文化を学ぶ機会を増やし、市
民の世代、地域を超えた連帯感を高める必要があります。
伝統行事や伝統芸能についてみると、朝倉市では、福岡県文化百選(祭り・行事編)に
選定されている「バタバタ市」、「泥打ち祭り」、「原鶴の鵜飼い」、「甘木祇園山笠」、
「流灌頂と花火大会」、「恵蘇八幡宮神幸祭」など、古くから受け継がれている地域の祭
りや行事などが年間を通じて行われています。また、近年になって新たに実施されてい
る祭りやイベントなども定着し、市内外からの集客もあります。この他、
「筑前秋月草木
せっくのぼり
て す き わ
し
染」、「杷木五月節句幟」、「秋月手漉和紙」、「鵜飼舟」、「甘木バタバタ(豆太鼓)」が
福岡県文化百選(民芸・民具編)に選ばれています。
平成25年度に実施した市民アンケート調査では「ふるさとの行事」は約半数の市民が満
足しており、今後も文化財や伝統行事や伝統芸能の保存・継承に努め、地域独自の文化を
守る心を後世へと伝えていく必要があります。
■ 指定文化財
52
■ 秋月伝統的建造物群保存地区
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.歴史的・文化的資源、伝統文化の保存と継承
先人が自然とともに歩んできた歴史・文化を理解し、保存するとともに次世代へと
継承していきます。また、そのための人材育成を進めていきます。
<市民>
◎朝倉市の歴史・文化を学び、理解を深めます。
◎地域で行われている伝統行事へ積極的に参加します。
<民間団体>
◎地域の風習や伝統文化を学習会などで掘り起こし、地域コミュニティの中で再生
を図ります。
<事業者>
◎地域固有の歴史・伝統文化・文化財の保存・育成に積極的に協力します。
<行政>
◎指定文化財の保存・管理を進めます。
◎指定文化財や遺跡の歴史公園としての活用を図ります。
◎埋蔵文化財の調査及び記録整備を進めます。
◎未指定の貴重な歴史資源に関する調査・研究、保存を進めます。
53
◎「朝倉市歴史的景観条例」に基づいて歴史的景観を保全します。
◎秋月地区をはじめとして、蔵やわらぶき屋根といった各地に残る歴史的景観の保
全に努めます。
◎歴 史教室、古代体験講座等を通して市民の歴史的・文化的環境への理解を深め
ます。
◎伝統芸能講座等により、伝統芸能の保存と継承を図ります。
◎伝統行事保存のための支援を検討します。
◎文化財案内人(ボランティアガイド)の育成、文化財の連携による歴史探訪ルー
トの整備などにより、文化財の保存と活用を図ります。
◎朝倉市の各地域に点在する歴史的な資源をつなぎ合わせ、歴史散歩道(コース)
等の設定を行います。
イ.観光と結びつけた情報発信
来訪者に対し、観光を通じて朝倉市の歴史的資源・文化的資源への理解を深めても
らうために、積極的なPRを進めていきます。
<事業者>
◎事業活動を通じて、朝倉市の歴史、文化を積極的にPRしていきます。
<行政>
◎歴史資源のゆえんやエピソードなど、ストーリー性のある情報提供を強化します。
◎来訪者の嗜好をとらえた散歩コースや地域マップ、広域マップ等の作成を随時進
めます。特に朝倉市の歴史、花、ホタルなど特徴的な資源については、テーマ別
のマップを作成します。
◎豊富な歴史的資源・文化的資源を活用し、体験型・学習型観光を推進します。
■ 秋月郷土館
■ ホタルの群生
54
環境目標Ⅲ-2 環境教育・学習を進める
1)現状と課題
今日の環境問題の多くは、私たちの日常生活や事業活動に伴う環境への負荷に起因して
おり、その解決に向けては、一人ひとりが身近な地域や地球規模の環境について関心を持
ち理解を深め、環境に配慮した行動をとることができるように環境教育・学習を推進して
いくことが重要です。
朝倉市では各学校で環境教育を行うとともに、市民公開講座、朝倉市出前講座、各コ
ミュニティセンターにおける様々な講座などにより、生涯学習としての環境学習も積極的
に実施しています。
環境教育・学習は、子どもから大人までのあらゆる年齢層を対象として、家庭、学校、
職場、地域等の様々な機会を通して総合的に取り組んでいくことが重要で、市民が気軽に
環境について学ぶことができる場や機会を積極的に提供するとともに、環境教育・学習を
担う人材の育成を進めていく必要があります。
■ 環境教育・学習施設
55
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.環境教育・学習を進めるためのしくみづくり
環境教育・学習を進めるためのしくみづくりを進め、市全体として環境意識のレベ
ルアップを図っていきます。
<行政>
◎学校における環境教育・学習のための教材の充実と提供を行います。
◎学校における環境教育・学習を体系的に推進するための環境教育・学習プログラ
ムを作成します。
イ.環境教育・学習拠点の整備
自然や歴史を学ぶことのできる環境教育・学習拠点の整備を図ります。
<事業者>
◎事業所の敷地や所有する農地・山林などを環境学習の場として公開します。
<行政>
◎「あまぎ水の文化村」の活性化を図り、学習・交流・体験等の拠点として活用し
ます。
◎自然・農林業体験の場としての「たかき清流館」の活用を図ります。
◎「甘木歴史資料館」、「平塚川添遺跡公園」での体験活動を充実し、歴史・文化
に関する環境学習拠点として活用します。
ウ.環境教育・学習の推進
地域、学校などの様々な場における環境教育・学習の機会の充実を図り、市全体と
して環境意識のレベルアップを図っていきます。
<市民>
◎地域や学校等が行う環境教育・環境学習に協力します。
◎環境に関する講演会やセミナー、体験学習などへ積極的に参加します。
<民間団体>
◎学習会や観察会などを企画・実施します。
<事業者>
◎地域や学校・市・民間団体が実施する学習会などへ積極的に協力します。
56
<行政>
◎地域の特色を生かした体験型・参加型の環境教育・学習の充実を図ります。
◎出前講座などの環境学習の内容充実に努めます。
◎「総合的な学習の時間」で環境問題を学ぶ体験活動を充実します。
◎幼稚園児や保育園児に対して「自然を大切にする、ごみを散らかさない」など、
環境保全のための意識づけを行います。
◎幼 少のころからの郷土愛を育むため、子どもを対象とした地域学習の推進を図
り、意識の醸成を図ります。
◎学校・企業等での環境改善運動や教育を推進します。あわせて、地域での清掃・
美化活動を支援します。
コラム
朝倉市出前講座
朝倉市では、市民のみなさんと一緒に「住みよいまちづくり」を進めるために、
「朝倉市出前講座」を開設しています。
「身近なことだけど、よく知らない」、「○○をしてみたいけど、どうすればい
いの?」など、疑問や学習したいことについて、ご相談ください。
なお、出前講座では環境に関するメニューも用意しています。
あなたも出前講座で環境について勉強しませんか?
<お問合せ先> 朝倉市役所 TEL:0946 -22-1111
57
環境目標Ⅲ-3 環境保全活動をひろげる
1)現状と課題
平成25年8月に実施した環境保全団体調査結果などによると、市内では多くの団体がそれ
ぞれに工夫を凝らした環境保全活動に取り組んでいます。また、公益財団法人日本環境協会
が支援する「こどもエコクラブ*」には、1つの団体の登録に減少しましたが、身近な環境
保全活動に取り組んでいます。福岡県は、地域の人々の誇りとして、地域団体、NPO、
市町村などにより環境保全活動が行われている、五感に響くような自然景観に優れた場所を
「快適な環境スポット30選」に選んでおり、朝倉市では夕月神社が選定されています。
平成25年度に実施した市民アンケート調査によると、今後参加してみたい環境保全活動
は「古紙・缶・ビン等の集団回収活動」が半数を超え、「道路や河川などの清掃活動」が
約半数を占めているものの、その他の項目はいずれも3割未満にとどまっています。しか
し、環境保全活動に「参加する気はない」という市民はごくわずかであり、環境情報や行
動を行うための場や機会を提供することにより、環境保全活動への市民の参加率を高める
素地はあります。
一方、平成25年度に実施した事業者アンケート調査では8割弱の事業所が、環境保全は
「企業の社会的責任(CSR*、社会貢献を含む)の一つである」と回答しており、事業
活動と環境保全が切り離せない関係にあることが認識されています。事業者の環境保全活
動を進める上で有効なツールである環境マネジメントシステムの導入状況をみると、朝倉
市内の事業所(平成25年8月現在)ではISO14001*が8事業所、エコアクション21が4事
業所となっています。また、平成19年度に実施した事業者アンケートによると、「自治会
主催の催し物への参加や協力」、「地域の清掃活動への参加や協力」、「地域の住民に対す
る事業内容や作業場等の公開」の現在の実施率は比較的高くなっています。
今後も、様々な環境情報を収集整理してわかりやすい形で市民や事業者に提供するとと
もに、環境保全活動の支援、人材育成や地域間・団体間の交流の促進により、コミュニ
ティの活性化を図る必要があります。
(%)
(%)
0
20
40
0
49.4
道路や河川などの清掃活動
ガレージセールやフリーマーケット
24.7
環境保全活動の状況や工場の環境
保全施設などの現地見学会
24.0
16.7
参加したいが、できない
65.95
地域の道路や公園などの
清掃活動への参加や協力
48.93
リサイクルできる資源ごみの
回収場所の提供
13.5
野鳥・昆虫・植物などの自然観察会
地域の自治会等が主催する
催し物への参加・資金協力
42.55
地域活動に対する敷地や
施設の提供
15.1
水源の森を守る活動
10 20 30 40 50 60 70
地域の住民に対する事業内容や
作業場等の公開
21.2
講演会や展示会
環境問題のモニターになる
80
59.6
古紙・缶・ビン等の回収活動
参加する気はない
60
40.42
29.78
6.4
地域の道路や公園などの
植樹活動への参加や協力
2.9
[資料:市民アンケート調査(平成 25 年)]
21.27
[資料:事業者アンケート調査(平成 25 年)]
■ 環境保全活動への参加意向(市民)
■ 環境保全活動の実施状況(事業者)
58
■ 市内の主な環境保全団体
No. 地域
団
体
名
活
動
内
容
1
甘木 語ろう 21
ほたるの里づくり、桂川清掃、ちくご川凧揚げ大会
2
甘木 朝倉自然の会
自然調査、自然に関するボランティア、会誌「朝倉の自然」
発行(年1回)
3
甘木 馬田少年環境パトロール隊
月1回のゴミ・空き缶等の回収、環境美化に関する地区
住民への啓発、年1回自然環境学習
4
甘木 さくらを育てる会
寺内ダム付近の桜の消毒・下草刈り・三奈木コミュニティ
センターの桜の消毒
5
甘木 三奈木を美しくする会
川ニナ採取・放流、三奈木コミュニティセンター裏小川
の消毒、地区内のゴミ拾い
6
甘木 花ショーブの会
花木を育て景観を良くする
7
甘木
8
甘木 黒田屋敷を守る会
花木を育て景観を良くする
9
甘木 高木村づくり部会
ホタルの育成と保護活動、彼岸花の植栽・手入れ
10
甘木 立石商工振興会
大平山の登山道・山頂の整備・イルミネーション
11
甘木 立石コミュニティ協議会
大平山の草刈(年2回)
12
甘木 立石女性の会
大平山のトイレ清掃(月2回)、柿原ひょうたん池清掃
13
甘木 安川コミュニティ協議会
白川水源地草刈・植栽等
14
甘木 安川女性の会
白川水源地ゴミ拾い等
15
甘木 安川地区小石原川を美しくする会 河川敷・堤防の草刈、ゴミ拾い、花木の植栽等
16
甘木 福田コミュニティ協議会
春・秋の花いっぱい運動
17
甘木 甘木地区コミュニティ協議会
九電前ロータリー・甘鉄前ロータリーの花の植栽(年2回)
18
甘木 ロータリー花壇を美しくする会
九電前ロータリー・甘鉄前ロータリーの年間を通して水
やり・草取り等の日常管理
19
甘木 甘木町「小石原川を守る会」
小石原川の高水敷の芝刈り(年4回)・除草作業(年間)
20
甘木 秋月さくら倶楽部
環境整美活動(除草・清掃等)、桜・もみじ等の保護育成
21
甘木 野鳥クラブ
花苗植え・手入れ・水やり・草取り・ネット張り(動物除け)
22
甘木
23
甘木 楢原ホタル保存会
ホタルの育成・保存と水路の水辺景観整備
24
甘木 秋月の自然と水を守る会
生活排水による河川・水路の水質汚染防止、下水道事業
推進、その他水質を保全するための事業
25
甘木 あさくら美花美化バンク
市民・事業者・団体等から善意の拠出金や苗木・種子等
の提供を受け、緑化や花いっぱい運動を進める地域や市
民団体への橋渡し
26
甘木 上秋月地区 区会長会
小石原川・山見川の草刈、空き缶拾い等
国道 386 号線バイパス花木会
(第2緑会)
花木を育て景観を良くする
秋月コミュニティ運営協議会 /
空家対策、河川・道路の実態調査(清掃・看板整備等)
地域づくり部会 / 生活環境委員会
59
No. 地域
団
体
名
活
動
内
容
27
甘木 黄金川を守る会
黄金川の環境美化、豊か丘の草刈り・整備
28
甘木 オキチモズクを見守る会
絶滅危惧種(水生植物 6 種)の保存・不法投棄物清掃・
水路の除草
29
杷木 松末地区赤谷川を守る会
赤谷川沿線の草刈及びポイ捨て缶・ビン等のゴミ回収
30
杷木 星丸地区赤谷川を守る会
赤谷川沿線の草刈及びポイ捨て缶・ビン等のゴミ回収
31
杷木 松末地区乙石川を守る会
乙石川沿線の草刈及びポイ捨て缶・ビン等のゴミ回収
32
杷木 白木湧水の会
白木地区湧水場の整備・管理・保全
33
杷木 夕月さくら会
夕月神社の桜並木の管理、周辺部の草刈、桜並木の新植
34
杷木 原鶴温泉 湯里おこし会
ハーブや花の植栽、ハーブ公園や川の駅の管理・イベント
35
杷木 こども自然塾
大手山 2000 年公園の自然環境の保全と体験学習
36
杷木 七夕の里づくり委員会
東林田区内を流れる赤谷川堤防の桜並木の管理・保全
37
杷木 堂所もみじ村
もみじの植栽
38
朝倉 桜並木育成会
水車公園周辺及び消防署朝倉出張所前の桜並木の清掃・
草刈
39
朝倉 護美の会
朝倉地域における過去の不法投棄場所の環境美化活動
40
朝倉 荷原川を守る会
荷原川周辺の桜並木の消毒及びポイ捨てゴミの回収
41
朝倉 親水公園美化育成会
親水公園でのホタルの育成及び清掃活動
42
朝倉 朝倉地域クリーン活動
朝倉地域の各集落周辺のポイ捨てゴミの回収
43
朝倉 住み良い環境をつくる会
小隈の竹林・梅林の整備・保全
44
市内 あまぎ緑の応援団
植林、枝打ち、間伐、下草刈り
[資料:環境保全団体調査結果(平成25年)から]
60
2)わたしたちのアクションプログラム
ア.環境情報の整備と積極的な環境情報発信
より多くの市民や事業者が、環境に配慮した行動を進めていくため、無関心層の目
にも見えるような形で積極的な情報発信を進めていきます。
<民間団体>
◎ホームページなどを活用して環境情報を発信します。
<事業者>
◎環境報告書などにより、環境保全に関する情報を積極的に公開します。
<行政>
◎朝倉市環境基本計画の周知徹底を図ります。
◎環 境基本計画の進捗状況や各種調査結果などをまとめた環境レポートを作成し
ます。
◎各種環境行政情報や各種調査結果などの情報提供に努めます。
◎環境関連施設、環境関連イベント・活動等の情報提供に努めます。
イ.環境保全活動の充実
環境保全活動を通じて地域コミュニティが活性化するように、取り組みを進めてい
きます。
<市民>
◎家族みんなで環境保全活動に参加します。
<民間団体>
◎地域での環境保全活動を企画・実践します。
<事業者>
◎地域の環境保全活動へ積極的に参加し、支援を行います。
<行政>
◎市民、民間団体、事業者への環境保全活動に関する情報提供の充実を図ります。
◎こどもエコクラブなどの自主的な環境グループの支援を推進します。
◎市民や民間団体が気軽に利用することができる活動拠点を確保します。
◎民間団体のNPO法人格取得を支援します。
◎地 域での環境保全活動を推進するために、環境保全活動リーダーの育成を行い
ます。
61
ウ.環境保全活動のネットワーク化
各種団体の連携による広域的な環境保全を進めるためのネットワークづくりを進め
ていきます。
<民間団体>
◎環境保全活動団体のネットワークづくりに参加し、活動に取り組みます。
<行政>
◎市 民・民間団体・事業者の連携強化を図るため、コーディネーター育成を行い
ます。
◎市民・民間団体・事業者がお互いに意見交換のできる交流の場を確保します。
コラム
エコアクション21
エコアクション21認証・登録制度
代表者(経営者)が、
組織全体で取り組む
ことを決定する
エコアクション21へ取り組むことを決定
は、広範な中小企業、学校、公共機関
取組の対象組織・活動の明確化
などに対して、「環境への取組を効果
実施体制の構築
用・維持し、環境への目標を持ち、行
環境への負荷の自己チェックの実施
見直し
動し、結果を取りまとめ、評価し、報
告する」ための方法として、環境省が
環境への取組の自己チェックの実施
策定したエコアクション21ガイドラ
環境方針の策定
インに基づく、事業者のための認証・
環境目標及び環境活動計画の策定
登録制度です。積極的に環境保全の取
計画の策定(Plan)
的・効率的に行うシステムを構築・運
計画の実施(Do)
り組みを進めましょう!
取組状況の確認及び評価(Check)
<福岡県内の地域事務局(平成 25 年 11 月現在)>
全体の評価と見直し(Action)
・エコアクション21地域事務局 ECO-KEEA九環協
・エコアクション21地域事務局 福岡
・エコアクション21地域事務局 久留米商工会議所
環境活動レポートの作成と公表
[資料:エコアクション21中央事務局資料より作成]
■ 取り組みの手順
62
数値目標 ~基本方針Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに対する数値目標~
この計画の目標年度である平成30年度に向けて、朝倉市の環境づくりをどのように進め
ていくかを分かりやすく示すために、数値目標を設定していましたが、今回の中間見直し
により、現状に即さない項目については、新たな数値目標を設定しました。
この数値目標は、3つの基本方針に対応する形で定められたもので、それぞれの基本方
針を代表する指標と考えられるものです。
この指標に向かって、朝倉市として最大限の努力をはらうとともに、市民、民間団体、
事業者にも協力を求め、それぞれの協働によって、より良い環境づくりを進める際の共通
の目標とするものです。
★基本方針Ⅰ 自然をはぐくむ ための指標
朝倉市は、「多様な生態系を保全、育成するとともに森林や農地の持つ公益的機能が十
分に発揮されるような取り組みを進めていく」という基本方針を定めています。
このことから、朝倉市の多様な生態系の基礎となる森林や農地の面的な広がりを重視す
るという観点で、「農地面積」、「森林面積」を指標とします。また、森林や農地の持つ
公益的機能が十分に発揮されるためには、適切な維持管理が必要なことから、「荒廃農地
及び荒廃樹園地面積」、「農業の担い手となる認定農業者経営体」、「森林での植林活動へ
の参加人数」を、さらに、市民の自然環境保全意識を高める活動の場の提供、あるいはそ
の成果を表すものとして、「水源の森を守る活動への参加意識(市民アンケート)」を指
標とします。一方、多様な生態系を形づくるためには、身近な場所の自然を守り育てると
いう観点も必要であり、「美花美化バンク利用団体数」を指標とします。
そして、各主体が、先に示した様々なアクションプログラムに取り組むことで、自然
に対する市民の満足度が徐々に高まっていくものと考え、「生き物とのふれあいに関す
る満足度(市民アンケート)」、「水や水辺とのふれあいに関する満足度(市民アンケー
ト)」、「緑とのふれあい、緑の多さに関する満足度(市民アンケート)」を中心的な指標
とします。
指標項目と現状値・目標値
指 標
計画策定時
(平成 20 年度)
現状値(見直し)
(平成 25 年度)
目標値
(目標年度)
農地面積
5,560ha
(平成 18 年度)
5,480ha
(平成 24 年度)
5,440ha
(平成 30 年度)
森林面積
13,573ha
(平成 19 年度)
13,515ha
(平成 24 年度)
13,570ha
(平成 30 年度)
荒廃農地及び荒廃樹園地面積
127ha
(平成 18 年度)
88ha
(平成 24 年度)
70ha
(平成 29 年度)
農業の担い手となる認定農業者経営体
465 経営体
(平成 19 年度)
425 経営体
(平成 24 年度)
465 経営体
(平成 30 年度)
63
指標項目と現状値・目標値(つづき)
指 標
計画策定時
(平成 20 年度)
現状値(見直し)
(平成 25 年度)
目標値
(目標年度)
森林での植林活動への参加人員
200 人
(平成 19 年度)
150 人
(平成 25 年度)
200 人
(平成 30 年度)
水源の森を守る活動への参加意識
(市民アンケート)
20.4%
(平成 19 年度)
15.1%
(平成 25 年度)
25%
(平成 30 年度)
あさくら美花美化バンク利用団体数
年間 3 団体
(平成 19 年度)
年間 5 団体
(平成 25 年度)
年間 6 団体
(平成 30 年度)
生き物とのふれあいに関する満足度
(市民アンケート)
42%
(平成 19 年度)
43%
(平成 25 年度)
50%
(平成 30 年度)
水や水辺とのふれあいに関する満足度
(市民アンケート)
50%
(平成 19 年度)
54%
(平成 25 年度)
60%
(平成 30 年度)
緑とのふれあい、緑の多さに関する満足度
(市民アンケート)
75%
(平成 19 年度)
74%
(平成 25 年度)
80%
(平成 30 年度)
★基本方針Ⅱ 暮らしをはぐくむ ための指標
朝倉市は、「朝倉市の自然を活かした暮らし方や生産活動を追求し、自然の恩恵から生
み出される生産物に対して感謝し、「もったいない」という気持ちで循環型社会を築きあ
げていくとともに、省資源や省エネルギーに取り組み、地球温暖化防止等の喫緊の環境問
題への対応を進めていく」という基本方針を定めています。
このことから、市民の暮らしや事業者の生産活動の基盤となる生活環境の状態を表すも
のとして、「道路交通騒音環境基準未達成地点数」、「河川における水質環境基準(BO
D)未達成地点数」、「寺内ダムにおける水質環境基準(COD)」を指標とします。ま
た、循環型社会や省資源・省エネルギーに関する市民の暮らし方や事業者の生産活動を表
すものとして、「市民1人1日あたりのごみ排出量」、「ごみのリサイクル率」、「環境美
化活動への年間参加者数」、「一斉清掃・ノーポイ運動・道路愛護・河川清掃等への参加
意向(市民アンケート)」、「二酸化炭素総排出量」、「住宅用太陽光発電設備の設置件
数、設備容量」、「太陽光や太陽熱などの自然エネルギーを利用する設備を積極的に導入
する割合(市民アンケート)」、「外出の際は、できるだけ公共交通機関を利用する、も
しくは自転車・徒歩にする割合(市民アンケート)」、「エコファーマー*認定件数」を指
標とします。
そして、各主体が、先に示した様々なアクションプログラムに取り組むことで、生活環
境や地球環境に対する市民の満足度が徐々に高まっていくものと考え、「空気のきれい
さに関する満足度(市民アンケート)」、「まちの静けさに関する満足度(市民アンケー
ト)」、「川・池のきれいさに関する満足度(市民アンケート)」、「まちの清潔さに関す
る満足度(市民アンケート)」を中心的な指標とします。
64
指標項目と現状値・目標値
指 標
計画策定時
(平成 20 年度)
現状値(見直し)
(平成 25 年度)
目標値
(目標年度)
3
1
(平成 17・18 年度) (平成 24 年度)
0
(平成 30 年度)
1
1
河川における
水質環境基準(BOD)未達成地点数※2 (平成 17・18 年度) (平成 24 年度)
0
(平成 30 年度)
達成
達成
寺内ダムにおける水質環境基準(COD)
(平成 17・18 年度) (平成 24 年度)
達成維持
(平成 30 年度)
道路交通騒音環境基準未達成地点数※1
市民 1 人 1 日当たりのごみ排出量※3
805 g/人・日
(平成 18 年度)
810 g/人・日
(平成 22 年度)
564 g/人・日
(平成 29 年度)
ごみのリサイクル率※ 4
25.5%
(平成 18 年度)
25.0%
(平成 22 年度)
37%
(平成 29 年度)
環境美化活動への年間参加者数※ 5
延べ 45,920 人
(平成 19 年度)
策定時維持
(平成 24 年度)
延べ 50,000 人
(平成 30 年度)
一斉清掃・ノーポイ運動・道路愛護・
河川清掃等への参加意向
(市民アンケート)
57%
(平成 19 年度)
49%
(平成 25 年度)
70%
(平成 30 年度)
二酸化炭素総排出量
(平成 16 年度比で約 12%削減)
522,940t-CO2 /年 456,594t-CO2 /年
(平成 16 年度)
(平成 23 年度)
現状維持
(平成 30 年度)
住宅用太陽光発電設備の
設置件数、設備容量
417 件
1,653kW
(平成 17 年度)
1,333 件
6,029kw
(平成 24 年度)
2,500 件
10,000kW
(平成 30 年度)
太陽光や太陽熱などの自然エネルギーを
利用する設備を積極的に導入する割合
(市民アンケート)
15%
(平成 19 年度)
27%
(平成 25 年度)
35%
(平成 30 年度)
外出の際は、できるだけ公共交通機関を
利用する、若しくは自転車・徒歩にする割合
(市民アンケート)
11%
(平成 19 年度)
17%
(平成 25 年度)
20%
(平成 30 年度)
エコファーマー認定件数
166 件
(平成 19 年度)
140 件
(平成 24 年度)
200 件
(平成 30 年度)
空気のきれいさに関する満足度
(市民アンケート)
72%
(平成 19 年度)
69%
(平成 25 年度)
80%
(平成 30 年度)
まちの静けさに関する満足度
(市民アンケート)
68%
(平成 19 年度)
67%
(平成 25 年度)
80%
(平成 30 年度)
川・池のきれいさに関する満足度
(市民アンケート)
41%
(平成 19 年度)
50%
(平成 25 年度)
50%
(平成 30 年度)
まちの清潔さに関する満足度
(市民アンケート)
49%
(平成 19 年度)
55%
(平成 25 年度)
60%
(平成 30 年度)
※1:道路交通騒音測定地点のうち、環境基準を達成していない時間帯がある地点数
※2:河川水質環境基準点のうち、環境基準を達成していない地点数
※3:(収集ごみ量+直接搬入量+自家処理量)÷行政人口÷ 365 日
※4:(集団回収量+直接資源化量+中間処理後再生利用量)÷(集団回収量+直接焼却量+直接埋立量+焼却以外の中間処理量+
直接資源化量)
※5:一斉清掃運動、ノーポイ運動、筑後川ノーポイ運動、クリーン作戦運動への参加者数の合計
65
★基本方針Ⅲ 人をはぐくむ ための指標
朝倉市は、「私たち自身がこの土地の良さを知り、地域での環境保全活動、他の地域と
の交流等、心の呼吸を大切にして環境保全の取り組みを進めていく」という基本方針を定
めています。
このことから、自然や歴史に培われた朝倉市の特徴を知るという観点から、「甘木歴史
資料館への年間入館者数」、「平塚川添遺跡公園への年間入場者数」を指標とします。ま
た、環境について学ぶ機会を表すものとして、「広報による環境情報の年間掲載回数」、
「環境出前講座の年間開催数」、「たかき清流館の受け入れ団体数」を指標とします。さ
らに、市民、民間団体、事業者などの自主的・積極的な環境保全活動の状況を表すものと
して、「こどもエコクラブ登録数」、「市内の環境保全活動団体数」、「エコアクション
21導入事業所数」を指標とします。
そして、各主体が、先に示した様々なアクションプログラムに取り組むことで、歴史な
どこの土地の良さに対する市民の満足度が徐々に高まっていくものと考え、「歴史的雰囲
気に関する満足度(市民アンケート)」、「祭り、市の伝統行事などふるさとの行事に関
する満足度(市民アンケート)」を中心的な指標とします。
指標項目と現状値・目標値
指 標
計画策定時
(平成 20 年度)
現状値(見直し)
(平成 25 年度)
目標値
(目標年度)
甘木歴史資料館への年間入館者数
約 1 万人
(平成 19 年度)
約 8,500 人
(平成 24 年度)
約 1.5 万人
(平成 30 年度)
平塚川添遺跡公園への年間入場者数
約 2.5 万人
(平成 19 年度)
約 16,400 人
(平成 24 年度)
約 3 万人
(平成 30 年度)
広報による環境情報の年間掲載回数
12 回
(平成 19 年度)
策定時維持
(平成 25 年度)
12 回
(平成 30 年度)
環境出前講座の年間開催数
3回
(平成 19 年度)
3回
(平成 24 年度)
6回
(平成 30 年度)
たかき清流館の受け入れ団体数
68 団体
(平成 20 年度)
36 団体(注1)
(平成 24 年度)
80 団体
(平成 30 年度)
こどもエコクラブ登録数
2 団体
(平成 19 年度)
1 団体
(平成 24 年度)
2 団体
(平成 30 年度)
市内の環境保全活動団体数
(市把握分のみ)
38 団体
(平成 20 年度)
43 団体
(平成 25 年度)
50 団体
(平成 30 年度)
エコアクション 21 導入事業所数
2 事業所
(平成 20 年度)
4 事業所
(平成 25 年度)
5 事業所
(平成 30 年度)
歴史的雰囲気に関する満足度
(市民アンケート)
32%
(平成 19 年度)
39%
(平成 25 年度)
45%
(平成 30 年度)
祭り、市の伝統行事などふるさとの
行事に関する満足度(市民アンケート)
52%
(平成 19 年度)
57%
(平成 25 年度)
65%
(平成 30 年度)
注1)九州北部豪雨による予約取消が要因
66
1.計画の推進について
(1)計画の推進にあたっての留意事項
(2)重点プロジェクト
(3)推進組織と体制
(4)各組織の役割
(5)広域的な協力体制の確立
2.進行管理について
(1)進行管理システム
(2)環境レポートの作成と公表
(3)財源の確保等
67
1.計画の推進について
(1)計画の推進にあたっての留意事項
本計画に示す様々な取り組みを展開していく際に、特に留意すべきものとして次
の事項を設定します。
<計画の推進にあたっての留意事項>
①環境アクション協議会の率先垂範による環境保全施策の展開
②市環境行政の組織的・技術的レベルの向上
1)環境アクション協議会の率先垂範による環境保全施策の展開
環境保全行動を推進するためには、市民、民間団体、事業者、行政による協
働の体制づくりがかかせません。その中でも特に行政には施策を進めるための
リーダーシップ、取り組みの適切な管理能力が求められています。そこで、事
務・事業において率先的な環境配慮を進めるとともに、その実施状況を点検・
評価し、新たな取り組みへとつなげていきます。
2)市環境行政の組織的・技術的レベルの向上
環境基本計画で対象とする環境分野は範囲が広く、多岐にわたるため、所管
する行政部署も複数に及ぶものが多くみられます。そのため、それぞれの施策
を総括し、有効に進めていくためには、環境保全部局と事業部局との連携を強
化することが必要です。また、環境に関する専門的知識や経験を持つ人材は今
後、取り組みを進めていく上で貴重な存在となります。そこで、庁内外にかか
わらず、これらの人材を活かせる仕組みづくりも併せて検討します。
(2)重点プロジェクト
環境に関連する各主体の取り組みについては、「基本方針」に示したとおりです
が、朝倉市では、行政、市民、民間団体、事業者の協働により、特に効果の見込め
るもの、緊急性のある課題を「重点プロジェクト」として位置づけます。
重点プロジェクトは、「朝倉市環境アクション協議会」において、具体的な内
容、実施主体、実施方法、実施スケジュールを検討し、市民、民間団体、事業者、
行政の連携・協力のもと、取り組みを進めていきます。
68
(3)推進組織と体制
本計画の推進組織は、市長の諮問機関である「朝倉市環境審議会」、市民、事業者
等と行政との協働の取り組みを進めるために設置する「朝倉市環境アクション協議
会」、市役所内に設置する「朝倉市環境アクション委員会」です。
推進体制は下図に示すとおりで、お互いの行動についての連絡・調整、情報共有
を図りながら、自主的な環境の保全及び創造の取り組みを展開していきます。
朝倉市環境審議会
①環境基本計画の策定及び変更、②環境の保全及び公害防止対策、③環境調査の指針、
④その他環境行政の総合的推進に関することの調査・審議
意見・提言
報告
朝倉市
朝倉市
環境アクション協議会
連携・協力
・環境基本計画に基づく施策・
事業の実施や推進に関する事
項の調査・研究
・重点プロジェクトの企画・実践
・環境基本計画の進行管理
・重 要施策・事業に係る庁内の
横断的な連絡・調整
施策・事業の
点検
朝倉市
環境アクション協議会
意見・提言
事務局(環境課)
参加
市民・民間団体・
事業者・行政
・環境レポートの作成
■ 計画の推進体制
69
(4)各組織の役割
1)朝倉市環境審議会
朝倉市環境審議会は、市長が任命する17人以内の委員で組織され、①環境基
本計画の策定及び変更に関すること、②環境の保全及び公害防止対策に関する
こと、③環境調査の指針に関すること、④その他環境行政の総合的推進に関す
ることについて、市長の諮問に応じて、調査・審議します。
2)朝倉市環境アクション協議会
朝倉市環境アクション協議会は、市長が委嘱した市民、民間団体、事業者の
代表と市職員で構成される組織で、環境基本計画に係る策定・見直しの作業及
び施策・事業の実施や推進に関する事項について、市民、民間団体、事業者及
び行政が連携・協力して調査・研究を行うための協議会組織であるとともに、
重点プロジェクトの企画・実践を行う組織です。
3)朝倉市環境アクション委員会
朝倉市環境アクション委員会は、市の関係部署で構成する組織で、環境基本
計画の進行管理、重要施策・事業に係る庁内の横断的な連絡・調整などを行い
ます。
(5)広域的な協力体制の確立
水循環や地球温暖化対策など広域的な環境問題に対処していくために、国、県、
関係市町村との連携・協力関係を構築するとともに、具体的な課題への共通認識を
もち、具体的な対応策、役割分担などを検討する場の整備に努めます。
2.進行管理について
(1)進行管理システム
本計画の進行管理は、『Plan(方針・目標の設定)⇒Do(実施と運用)⇒Check
(実施状況の点検・評価・是正)⇒Action(見直し)』という環境マネジメントシ
ステムの考え方を導入して、一連の手続き(PDCAサイクル)による進行管理シス
テムを構築して行っていきます。
(2)環境レポートの作成と公表
本計画に掲げた目標の達成状況や施策の進捗状況、市民、民間団体、事業者、
「朝倉市環境アクション協議会」の取り組み状況など、その成果をとりまとめた環
境レポートを作成します。環境レポートは朝倉市環境審議会で点検・評価を受けた
後、市のホームページへの掲載など広く市民に公表します。
70
(3)財源の確保等
市は、めざす環境像の実現にむけて、環境基本計画に掲げる施策を積極的に推進
し、市民や民間団体、事業者、「朝倉市環境アクション協議会」の活動を安定的か
つ継続的に進めていくため、必要な財政的措置を図ります。また、国や県等の補助
制度の活用等、財源の確保に努めます。
Plan
(方針・目標の設定)
●計画の見直し・改定
●基 本 方 針 ・ 目 標 ・ 施 策 等 の 修
正・追加
●重点プロジェクト内容の修正・
追加 など
Action
Do
(見直し)
(実施と運用)
継続的改善
●施策・目標の見直し
●重点プロジェクト内容の見直し
●新規取り組みの検討
●庁内各課による施策の実施
●重点プロジェクトの実施
●各主体による自主的取り組み
Check
(実施状況の点検・評価・是正)
●環境の状況と課題の把握
●数値目標達成状況の点検・評価
●施策の実施状況の点検・評価
●重点プロジェクトの実施状況の
点検・評価
●各主体の取り組み状況の把握
■ 計画の進行管理システム
71
公表
朝倉市
環境レポート
資料編
○計画の策定経過
○計画見直しの経過
○朝倉市環境審議会条例
○朝倉市環境審議会名簿
○パブリックコメントの結果について
○朝倉市環境審議会への諮問書
○朝倉市環境審議会からの答申書
○朝倉市環境アクション委員会設置規程
○朝倉市環境アクション協議会設置要綱
○上位計画、関連計画
○用語解説
73
資料編
○計画の策定経過
日 付
平成 年度
18
平成 18 年 11 月 16 日
第 1 回環境問題研究会(基本計画策定のスケジュール)
平成 18 年 11 月 25 日
第 2 回朝倉市環境問題研究会(市内現地調査)
平成 18 年 12 月 18 日
第 4 回朝倉市環境問題研究会(講演会:「地域づくりと環境」)
平成 19 年 2 月 27 日
第 5 回朝倉市環境問題研究会(講演会:「朝倉市のもつ水の魅力について」)
平成 19 年 3 月 22 日
第 6 回朝倉市環境問題研究会
(市勢要覧について、講演会を聴いて感じること、環境基本計画策定に向けて)
平成 19 年 4 月 26 日
第 7 回朝倉市環境問題研究会
(班会議:情報発信・啓発、水と緑を生かした地域づくり、環境保全)
平成 19 年 5 月 29 日
第 8 回朝倉市環境問題研究会
(班会議:情報発信・啓発、水と緑を生かした地域づくり、環境保全)
平成 19 年 6 月 27 日
第 9 回朝倉市環境問題研究会
(班会議:情報発信・啓発、水と緑を生かした地域づくり、環境保全)
平成 19 年 9 月 18 日
平成 年度
平成
年度
20
第 3 回朝倉市環境問題研究会
(市内現地調査を終えて感じること、環境基本計画に対する思いや望み)
平成 19 年 1 月 22 日
平成 19 年 8 月 7 日
19
経 緯 ・ 内 容
第 1 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画策定作業)
第 2 回朝倉市環境基本計画策定協議会
(朝倉市の水・緑について、アンケート調査票)
平成 19 年 10 月 1 日~
平成 19 年 10 月 31 日
環境保全団体調査
平成 19 年 10 月 15 日
第 3 回朝倉市環境基本計画策定協議会(講演会:「第 1 次朝倉市総合計画案」)
平成 19 年 10 月 18 日~
平成 19 年 11 月 19 日
小学生アンケート調査(対象 97 人、回収率 97.9%)
中学生アンケート調査(対象 101 人、回収率 95.0%)
平成 19 年 10 月 31 日~
平成 19 年 11 月 13 日
市民アンケート調査(対象 3,000 人、回収率 39.1%)
事業者アンケート調査(対象 100 社、回収率 54.0%)
平成 19 年 12 月 17 日
第 4 回朝倉市環境基本計画策定協議会(アンケート調査結果速報)
平成 20 年 1 月 21 日
第 5 回朝倉市環境基本計画策定協議会(アンケート調査結果)
平成 20 年 2 月 18 日
第 6 回朝倉市環境基本計画策定協議会(アンケート調査結果)
平成 20 年 2 月 1 日~
平成 20 年 2 月 15 日
環境関連施策・事業等調査
平成 20 年 3 月 17 日
第 7 回朝倉市環境基本計画策定協議会(アンケート調査結果)
平成 20 年 4 月 21 日
第 8 回朝倉市環境基本計画策定協議会(基礎調査報告書、朝倉市観光基本計画)
平成 20 年 5 月 19 日
第 9 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画の骨格)
平成 20 年 6 月 16 日
第 10 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画の目次構成・骨子案)
平成 20 年 7 月 22 日
第 11 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画骨子案)
平成 20 年 8 月 15 日~
平成 20 年 10 月 31 日
広報あさくらによる意見募集(応募 22 人)
平成 20 年 8 月 18 日
第 12 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画素案)
平成 20 年 9 月 18 日
朝倉市環境基本計画策定協議会代表者会議
(環境基本計画素案(計画策定の背景、基本的事項))
平成 20 年 9 月 25 日
朝倉市環境基本計画策定協議会代表者会議
(環境基本計画素案(めざす環境像、現状と課題、アクションプログラム、推進方法))
平成 20 年 10 月 20 日
第 13 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画素案)
平成 20 年 11 月 25 日
朝倉市環境問題検討委員会(環境基本計画素案)
平成 20 年 12 月 15 日
第 14 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画案)
平成 21 年 1 月 29 日
朝倉市環境審議会(環境基本計画案の諮問)
平成 21 年 2 月 1 日~
平成 21 年 2 月 20 日
パブリックコメント
平成 21 年 2 月 23 日
第 15 回朝倉市環境基本計画策定協議会(環境基本計画案の最終確認)
平成 21 年 2 月 26 日
朝倉市環境審議会(環境基本計画案の答申)
74
○計画見直しの経過
日 付
平成 年度
25
経 緯 ・ 内 容
平成 25 年 6 月 5 日
第 1 回朝倉市環境アクション協議会(基本計画見直しのスケジュール説明)
平成 25 年 6 月 27 日
第 2 回朝倉市環境アクション協議会(基本方針の確認)
平成 25 年 8 月 6 日
基本計画に係る市民アンケート調査(対象 1,000 人、回収率 31.2%)
平成 25 年 9 月 6 日
基本計画に係る事業者アンケート調査(対象 100 社、回収率 47.0%) 平成 25 年 9 月 6 日
朝倉市環境アクション委員会へアクションプログラムの再点検依頼
平成 25 年 10 月 16 日
第 3 回朝倉市環境アクション協議会(基本計画見直しの経過説明)
平成 25 年 12 月 6 日~
平成 25 年 12 月 26 日
パブリックコメント
平成 25 年 12 月 18 日
第 4 回朝倉市環境アクション協議会(基本計画見直しの素案提示)
平成 26 年 1 月 10 日
第 5 回朝倉市環境アクション協議会(基本計画見直しの内容点検)
平成 26 年 1 月 15 日
第 1 回朝倉市環境審議会(見直し版に係る諮問)
平成 26 年 2 月 4 日
第 2 回朝倉市環境審議会(見直し版に係る答申)
平成 26 年 2 月 25 日
平成 26 年第 1 回朝倉市定例議会へ議案として上程
75
○朝倉市環境審議会条例
平成18年3月20日
条例第146号
(設 置)
第1条 朝倉市における環境行政の総合的かつ計画的な推進について調査審議するため、朝倉市環境審議
会(以下「審議会」という。)を設置する。
(所掌事務等)
第2条 審議会は、市長の諮問に応じて、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。
(2) 環境の保全及び公害防止対策に関すること。
(3) 環境調査の指針に関すること。
(4) その他環境行政の総合的推進に関すること。
2 審議会は、前項に掲げる事項を調査審議する場合において、必要があると認めるときは、環境に
関する情報その他必要な資料の提出を市長その他関係機関に求めることができる。
3 審議会は、環境行政に関する重要事項について必要があると認めるときは、市長その他関係機関
に助言又は勧告をすることができる。
(組織等)
第3条 審議会は、17人以内の委員をもって組織する。
2 審議会の委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 市民代表
(3) 関係行政機関の職員
(4) その他市長が必要と認める者
3 前項の委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任
者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第4条 審議会に会長及び副会長を各1人置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選によって定める。
3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
4 副 会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理
する。
(顧 問)
第5条 審議会に顧問若干人を置くことができる。
2 前項の顧問は、市長が委嘱する。
(会 議)
第6条 審議会は、会長が招集し、その議長となる。
2 審議会は、委員の半数以上の者が出席しなければ開くことができない。
3 議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(関係者の出席)
第7条 審議会において必要があると認めるときは、関係行政機関の職員等の出席を求め、その意見、説
明等を聴くことができる。
(庶 務)
第8条 審議会の庶務は、市民環境部環境センターにおいて処理する。
(委 任)
第9条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営その他必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
附 則
この条例は、平成18年3月20日から施行する。
附 則(平成20年条例第10号)
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
附 則(平成21年条例第1号)
この条例は、平成21年5月1日から施行する。
附 則(平成21年条例第15号)
この条例は、公布の日から施行する。
76
○朝倉市環境審議会名簿
在任期間:平成25年1月23日~平成27年1月22日
所属団体等
氏 名
朝倉市環境条例第 3 条第 2 項関係
1
朝倉市区会長理事会
田子森 英 樹
関係行政機関の職員
2
朝倉市コミュニティ協議会会長会
森 喜八郎
関係行政機関の職員
3
朝倉市コミュニティ事務局長会
井 上 徹
関係行政機関の職員
4
福岡県北筑後保健福祉環境事務所環境長
橋 本 正 利
関係行政機関の職員
5
朝倉市衛生連合会(会長)
前 田 幸 保
関係行政機関の職員
6
〃 (副会長)
永 露 惣三男
関係行政機関の職員
7
〃 ( 〃 )
伊 東 洋
関係行政機関の職員
8
環境関係資格保有者
石 井 茂 善
学識経験を有する者
9
〃
飯 田 大 和
学識経験を有する者
10 朝倉商工会議所(副会頭)
大 隈 晴 明
市民代表
11 JA筑前あさくら
熊 本 都志子
市民代表
12 あさくら美花美化バンク会長
小 林 繁 隆
市民代表
13 福田花いっぱい運動代表
下 釜 弘 行
市民代表
14 護美の会会長
小 川 孝 文
市民代表
15 白木湧水の会
井 上 陽 生
市民代表
16
17
77
○パブリックコメントの結果について
25 朝環第 2 1 7 8 号
平成 25 年 12 月 27 日
各 位
朝倉市環境アクション協議会
会 長 山 部 裕 文
朝倉市環境基本計画<見直し版>(素案)についての
パブリックコメント結果について
朝倉市環境課において、平成 25 年 12 月 6 日から 12 月 26 日まで、
「朝倉市
環境基本計画<見直し版>(素案)」について、パブリックコメントを実施し
ました。
この結果、ご意見は寄せられませんでした。
78
○朝倉市環境審議会への諮問書
25 朝環第 2 1 8 5 号
平成 26 年 1 月 15 日
朝倉市環境審議会
会 長 小 林 繁 隆 様
朝倉市長 森 田 俊 介
朝倉市環境基本計画<見直し版>について(諮問)
朝倉市環境審議会条例(平成 18 年条例第 146 号)第 2 条の規定により、
下記のとおり諮問します。
記
朝倉市における地域特性を踏まえた、めざす環境像を明らかにするとともに、
環境保全、創造に関する施策を総合的、かつ計画的に推進する基本的な計画
(環境基本計画<見直し版>素案)について
79
○朝倉市環境審議会からの答申書
25 朝環審第 1 号
平成 26 年 2 月 4 日
朝倉市長 森 田 俊 介 様
朝倉市環境審議会 会 長 小 林 繁 隆
平成 25 年 1 月 15 日付 25 朝環第 2 1 8 5 号で諮問がありました、標記の
件について慎重に審議した結果、その内容は妥当であると判断し、答申します。
なお、今後の施策については、下記の意見に配慮されるよう付記します。
記
主 要 意 見
(1)不法投棄に関して、住民と関係機関との一層の協力体制づくりを行い、
その行動を推進すること。
(2)市内の水の保全を推進していくこと。
(3)森林・農地を守り育てるため、関係機関と連携し取り組んで頂きたい。
(4)環境基本計画における関連項目について、実現化を図ること。
80
○朝倉市環境アクション委員会設置規程
平成21年6月1日
訓令第22号
(設 置)
第1条 将来を展望した長期的観点から環境のあり方を予測し、望ましい環境象と長期的な目標を明らか
にした朝倉市環境基本計画(以下「基本計画」という。)に基づき、環境の保全と創造を進める
事業の実施及び推進を図るため、朝倉市環境アクション委員会(以下「委員会」という。)を設
置する。
(所掌事務)
第2条 委員会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1) 基本計画に基づくアクションプログラムの推進
(2) 基本計画に基づく重要な施策及び事業に係る庁内の横断的な連絡、調整等
(組 織)
第3条 委 員会の組織は、市民環境部長及び別表に掲げる課(所、室、局を含む。以下「課等」とい
う。)の長で組織し、辞令を用いることなく委員に命ぜられたものとする。
2 委員会に委員長及び副委員長1人を置き、委員長は市民環境部長をもって充て、副委員長は委員
の互選により定める。
3 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるとき又は欠けたときは、その職務を代理する。
(会 議)
第4条 委員長は、必要に応じて委員会を招集し、その議長となる。
2 委員会の会議は、委員の半数以上の出席がなければ、開くことができない。
3 委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 委員長は、必要に応じて、委員以外の者に委員会への出席を求め、その意見を聴くことができる。
(報 告)
第5条 委員長は、必要に応じて、委員会における会議の内容を市長に報告しなければならない。
(部 会)
第6条 委員会に環境アクション部会(以下「部会」という。)を置く。
2 部会の会員は、別表に掲げる課等の長が指名した者をもって充てる。
3 部会は、第2条に定める事項について、委員会の指示により、企画、調査及び研究を行い、その
結果を委員会に報告するものとする。
4 部会に部会長及び副部会長1人を置き、会員の互選により定める。
5 部会長は、部会を招集し、これを主宰する。
6 部会長に事故あるとき又は欠けたときは、副部会長がその職務を代理する。
(事務局)
第7条 委員会の事務を処理するため、環境課に事務局を置く。
(その他)
第8条 こ の規程に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定
める。
附 則
この規程は、平成21年6月1日から施行する。
附 則(平成23年訓令第16号)
この規程は、平成23年8月1日から施行する。
附 則(平成24年訓令第14号)
この規程は、平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成25年訓令第9号)
この規程は、平成25年5月1日から施行する。
81
別表(第3条関係)
総務財政課
行政経営課
農林課
農業振興課
商工観光課
ダム対策室
建設課
都市計画課
下水道課
教育課
文化課
農業委員会事務局
82
○朝倉市環境アクション協議会設置要綱
平成19年6月15日
告示第119号
(設 置)
第1条 将来を展望した長期的観点から環境のあり方を予測し、望ましい環境像と長期的な目標を明らか
にした朝倉市環境基本計画(以下「基本計画」という。)の策定及び見直しに係る作業並びに基
本計画に基づく朝倉市の良好な環境の保全及び創造を進める事業の実施及び推進に係る事項につ
いて、市民、事業者、民間団体及び行政が協働して調査、研究、企画及び実践を行うため、朝倉
市環境アクション協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第2条 協議会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1) 基本計画に基づく重要な施策及び事業の実施並びに推進に関する事項についての調査研究
(2) 基本計画に基づく重点プロジェクトの企画及び実践
(3) 基本計画の策定及び見直しに係る作業
(組 織)
第3条 協議会の委員(以下「委員」という。)は、30人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げるもののうちから市長が委嘱又は任命する。
(1) 市民代表
(2) 事業者代表
(3) 市職員
(4) 民間団体
(委員の任期)
第4条 委員の任期は、2年とする。ただし、任期中であってもその職を離れたときは、委員の職を失う
ものとする。
2 前項ただし書の委員の後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第5条 協議会に、会長及び副会長1人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選による。
3 会長は、会務を総理し、協議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代理する。
(協議会会議)
第6条 協議会の会議は、会長が招集し、その議長となる。
2 協議会の会議は、委員の半数以上の出席がなければ、これを開くことができない。
3 協議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 会長は、必要に応じて、委員以外の者に協議会への出席を求め、その意見を聴くことができる。
(報酬及び費用弁償)
第7条 委員には、朝倉市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例(平成18年朝倉市
条例第49号)で定めるところにより報酬及び費用弁償を支給する。
(補助機関)
第8条 協議会の効率的な運営を行うため、協議会に専門部会(以下「部会」という。)を置くことがで
きる。
2 部会に、部会長及び副部会長1人を置く。
3 部会長及び副部会長は、部員の互選による。
4 部会長は、会務を総理し、部会を代表する。
5 副部会長は、部会長を補佐し、部会長に事故あるときは、その職務を代理する。
(部会議)
第9条 部会の会議は、部会長が招集する。
2 部会での決定事項は、協議会の承認を得なければならない。
(事務局)
第10条 協議会の事務を処理するため、環境課に事務局を置く。
(その他)
第11条 こ の要綱に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、会長が協議会に諮って定
める。
83
附 則
この要綱は、平成19年6月15日から施行する。
この要綱は、平成20年4月1日から施行する。
この要綱は、平成21年6月1日から施行する。
この要綱は、平成25年5月1日から施行する。
84
○上位計画、関連計画
1.第1次朝倉市総合計画
朝倉市は、1市2町の合併による新市誕生を受けて、平成20年3月に地方自治体の最上
位計画である「第1次朝倉市総合計画」を策定しました。この計画では、朝倉市の将来像
を『水を育み 街を潤す 健康文化都市の創造~「共生」と「交流」を創る「自立」と「責
任」のまち~』と定め、将来像を実現するために、4つの分野のシンボル事業、6つの施策
の大綱に対応する基本方針・主要施策・主要事業を示しています。
環境基本計画と特に係わりの深い分野は、施策の大綱の「自然と共生する循環型社会を
築くまちづくり」です。
将来像
シンボル事業
共生:人・自然が共生する健やかなまち
水を育み
町を潤す
健康文化都市の創造
∼﹁共生﹂と﹁交流﹂を創る﹁自立﹂と﹁責任﹂のまち∼
交流:交流による地域産業が盛んなまち
自立:元気なコミュニティにより自立するまち
責任:行政の透明性・公平性と財政の健全性・持続性の確立
施策の大綱
基本方針
生涯学習・教育・文化
心豊かに、人が輝く
まちづくり
人権・男女共同参画
保健・医療・福祉
人と人が助け合い、
安心をもたらす
まちづくり
豊かな地域資源を
活かした産業活動を
展開するまちづくり
自然と共生する
循環型社会を築く
まちづくり
人権尊重社会の実現
男女共同参画社会の実現
保健・医療の充実
地域福祉の推進
高齢者福祉の充実
障がい者福祉の充実
低所得者福祉の充実
子どもを安心して生み育てる環境づくり
交流・コミュニティ
コミュニティの活性化
交流・イベントの充実
多様な社会参加機会の充実
農林水産業
農業・農村の振興(活性化)
林業の振興
内水面漁業の振興
商工観光業
商業の振興
工業の振興
観光の振興
雇用・起業
新ビジネスの起業化
就業の場の創出
自然環境の保全と継承
リサイクル型社会の形成と
環境学習の充実
都市基盤・生活環境
新しいふるさととして
定住をうながす
まちづくり
幼児教育の充実
学校教育の充実
生涯学習社会の推進
文化の振興
スポーツの振興
道路・交通
情報
住民との協働
持続的な行財政運営による
まちづくり
行財政運営
自然環境の保全
水と緑の保全活動
景観づくりの推進
4Rの推進
環境学習の充実
都市基盤の整備
生活環境の充実
消防・防災・安全対策
道路・交通の整備
情報化の推進
協働のまちづくり
支所機能の構築
情報の公開と発信
効率的な行財政運営
自主財源の確保
行政サービスの向上
■ 第1次朝倉市総合計画の施策体系
85
2.朝倉市観光基本計画
朝倉市は、自然、歴史・文化、食と農、温泉など、多くの観光資源に恵まれており、観
光振興を通じて、現在あるものを最大限に活用しつつ、埋もれた魅力を引き出し、つな
げ、さらなる地域活性化を実現するための共通の指針として、平成20年3月、「朝倉市観
光基本計画」を策定しました。この計画では、朝倉市の観光の姿を「“だんだん”あさく
ら物語」と定め、3つの基本的な方向性、5つの分野に対応する施策、4つの重点プロジェ
クト、各主体の役割、計画の推進体制を示しています。
環境基本計画と特に係わりの深い分野は、分野別施策の「観光資源の活用」、「観光客
に配慮した環境づくり」、重点プロジェクトの「おもてなし環境プロジェクト」です
将来像
分野別施策
基本的な方向性
観光資源の創出
イメージづくりの推進
(地域ブランド力の強化)
観光資源の活用
体験・学習型観光の推進
観光産業の振興
「感」あさくら
−水・緑・空気を感じる
観光振興−
〝だんだん〟あさくら物語
市民意識の醸成(理解の促進)
市民参加の促進
人材の育成
交流人口の増加
外国人観光客来訪の促進
おもてなしの仕組みづくり
情報提供の推進
観光プロモーションの推進
情報発信の充実
「楽」あさくら
−多彩な歴史・文化を楽しむ
観光振興−
観光客に配慮した環境づくり
観光振興の推進体制づくり
「味」あさくら
−食と農・温泉を味わう
観光振興−
環境・景観の保全
観光関連施設の整備
交通環境の整備
地域間ネットワークの形成
広域連携の推進
関連諸団体との連携体制の構築
重点ポイント
資源活用・魅力向上プロジェクト
おもてなし・環境プロジェクト
情報・交流プロジェクト
連携・推進体制プロジェクト
■ 朝倉市観光基本計画の施策体系
86
○用語解説 【 】は本文で最初に出てくるページです
気候変動枠組条約【2】
気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすことにならない水準で、大気中の温室効果ガ
スの濃度を安定化させることを究極的な目的とし、地球温暖化の防止をめざすための国際
的な枠組みを定めた条約。
京都議定書【2】
1997年に京都で開かれた気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された
議定書(国家間の合意文書)で、削減の対象となる温室効果ガスや先進国の温室効果ガス
排出量に関する法的拘束力のある数値目標などが示されている。
21世紀環境立国戦略【2】
平成19年6月1日に閣議決定された計画で、国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向
を明示し、今後の世界の枠組み作りへ我が国として貢献する上での指針となるもの。
温室効果ガス【2】
1992年に採択された気候変動枠組条約では、「大気を構成する気体(天然のものであ
るか人為的に排出されるものであるかを問わない)であって、赤外線を吸収し及び再放射
するもの」と定義されている。赤外線を吸収したり再放射したりするガスには様々な種類
があるが、1997年に採択された京都議定書では、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、
一酸化二窒素(N 2 O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン
(PFC)、六ふっ化硫黄(SF6)が削減対象の温室効果ガスとして定められた。
3R【2】
ごみ減量における3つの環境政策手法の総称で、「リデュース(Reduce:廃棄物等の発
生抑制)」、「リユース(Reuse:再使用)」、「リサイクル(Recycle:再生利用)」
の3つの頭文字をとったもの。
87
食料自給率【2】
私たちが食べている食料のうち、どのくらいが日本で作られているかという割合。食料
自給率の計算方法には3種類あるが、その食料に含まれるカロリーを用いて計算した自給
率の値を「カロリーベースの食料自給率」という。カロリーベースの食料自給率の場合、
牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、卵には、それぞれの飼料自給率も考慮して計算される。
オゾン層【10】
地表から約10~50kmの高度にあるオゾン(O3)濃度が比較的高い領域。オゾン層には
生物に有害な紫外線を吸収する作用がある。フロンなどのオゾン層破壊物質が大気中に放
出されることにより、特に高緯度地域でオゾンの減少率が高くなっている。
酸性雨【10】
自動車や工場等から大気中に排出された硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)が原
因となって降るpH5.6以下の酸性を帯びた雨。広義には、酸性霧や酸性雪も含めた湿性
沈着と、ガスや粒子状の物質が直接地表や建物などに沈着する乾性沈着を意味する。
有害化学物質【10】
環境を経由して人または動植物に有害な作用を及ぼす化学物質をさす一般的な総称。具
体的には、人の健康または動植物の生息・生育に被害を生ずるおそれのある物質として大
気汚染防止法、水質汚濁防止法、化学物質審査規制法、ダイオキシン類対策特別措置法な
どで指定されたものは有害化学物質といえる。
環境基本法【10】
環境の保全について基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明ら
かにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境
の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進すること等を目的としている。
第1次朝倉市総合計画【11】
平成23年5月2日に地方自治法の一部を改正する法律が公布され、基本構想の法的策定
義務はなくなったが、朝倉市は地方自治体の最上位計画である「第1次朝倉市総合計画」
を平成20年3月に策定した。
88
4R【13】
ごみ減量における4つの環境政策手法の総称。「リフューズ(Refuse:不要物の不購
入)」、「リデュース(Reduce:廃棄物等の発生抑制)」、「リユース(Reuse:再使
用)」、「リサイクル(Recycle:再生利用)」の4つの頭文字をとったもの。
スイゼンジノリ【22】
福岡県朝倉市・久留米市や熊本県熊本市・嘉島町など湧水の豊富な九州北中部の水が清
澄な池などに生息していた淡水産藍藻類。暗緑色で不定形。現在では湧水の豊富な水域が
少なくなり、天然記念物に指定されていた熊本市の上江津湖などの野生のものは、ほぼ絶
滅した。ただ、朝倉市(黄金川)で生き残っている。
オキチモズク【22】
河川の中・上流域の清澄な流れに産し、秋から春にかけて繁茂する淡水産紅藻類。日本
では九州、四国など数十箇所で確認されており、熊本県の志津川など3箇所の生育場は天
然記念物の指定を受けている。また、周辺環境の悪化で多くの産地で絶滅しており、環境
省により絶滅危惧種に指定されている。
農村環境計画【24】
農村地域の自然環境の保全、環境に配慮した農業農村整備や環境負荷の軽減、快適な生
活環境の実現を目標とし、農業農村整備事業を総合的・効率的に実施するための、基本方
針や対応方策を定める計画。
エコツーリズム【24】
自然環境資源や地域文化を対象に活用する観光活動の総称で、地域の自然や文化とのふ
れあいを通して、その価値や重要性を学ぶとともに、環境に対する保護意識を高めること
に意義があるとされている。平成19年6月に制定された「エコツーリズム推進法」におい
ては、「自然環境の保全」「観光振興」「地域振興」「環境教育の場としての活用」を基
本理念としている。
アグリツーリズム【24】
広義には「都市と農村の交流」のことで、農産物や農村景観、農産資源を活用した観光
活動の総称。日本では一般にグリーンツーリズムと呼ばれる。
89
グリーンツーリズム【24】
農山漁村での滞在、農家民宿への宿泊、農作業体験、農産物加工体験、市民農園の利用
等の観光活動の総称。
水源かん養基金【24】
森林の荒廃による水源かん養機能の低下を防止し、将来における安定的な水源の確保を
図るための水源林の整備などに活用することを目的として設置される基金。
天然記念物【26】
学術上価値の高い動物(生息地、繁殖地、渡来地を含む)、植物(自生地を含む)、地
質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む)等で、文化財保護法に基づき文部科
学大臣が指定するもの及び地方公共団体が条例に基づき指定するもの。特に重要なものは
「特別天然記念物」に指定される。
特定植物群落【26】
規模や構造、分布等において代表的・典型的なもの、代替性のないもの、あるいはきわ
めて脆弱であり、放置すれば存続が危ぶまれる植物群落は、その種類や生育地、生育状況
等を把握し、保護対策を検討する必要がある。そこで、環境省では選定基準を設けて、こ
れに該当する植物群落(特定植物群落)を地域特性も考慮しながら都道府県別に選定し、
その分布や生育状況及び変化の状況を調査している。
農業振興地域【27】
自然的経済的社会的諸条件を考慮して総合的に農業の振興を図ることが必要であると認
められる地域で、都道府県知事が指定する。地域の整備に必要な施策を計画的に推進する
ための措置を講ずることにより、農業の健全な発展を図るとともに、国土資源の合理的な
利用に寄与することを目的として定められた制度。
都市計画区域【27】
自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量などの現況及び推移を勘案して、
市町村の行政区域にとらわれず、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全す
る必要がある区域で、都道府県知事が指定するもの。
90
用途地域【27】
都市計画法に基づく地域地区のうち最も基礎的なものであり、都市全体の土地利用の基
本的枠組みを設定するもの。住居系、商業系、工業系の12種類で構成され、これらを適正
に配置して機能的な都市活動を確保するとともに、建築物の用途や形態(容積率、建ぺい
率、高さ)などを規制・誘導し、秩序あるまちづくりに大きな役割を果たすものである。
準都市計画区域【27】
都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物の建築、建設や敷地の造
成が現に行われ、又は行われると見込まれる区域を含み、かつ、自然的及び社会的条件、
土地利用の規制の状況などの現況及び推移を勘案して、土地利用の整序や環境保全のため
の措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保
全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域で、都道府県知事が指定するも
の。
白川の棚田【27】
秋月より県道66号線の細いつづら折りの山道を北西へ直進し、白川峠の手前の集落にあ
る周辺一帯の田で、日本の棚田百選に選定されている。一般に多く見られる石積みの棚田
とは異なり、山の傾斜地を利用して、高い畦で囲まれた多段式の圃場となっている。
日本の棚田百選【27】
棚田は急峻な地形を巧みに利用した農業生産活動を通じて、国土・環境の保全、農村の
美しい原風景の形成、伝統・文化の継承等多面的な機能を発揮しており、国民の健康的で
ゆとりある生活を確保する上からも大きな役割を果たしていることから、その保全や、保
全のための整備活動を推進し、農業農村に対する理解を深めるため、農林水産省が認定し
た棚田。
福岡県文化百選【27】
地域の歴史や風土に根ざした文化を再発見し、先人の知恵を学び、そして次の世代へと
継承していくために、福岡県がテーマ別(祭り・行事編、名勝・景観編、民芸・民具編、
建物編、道編、味編、水編)に選定したもの。
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わくわく100年森づくり【28】
甘水白川地区最終処分場建設計画跡地である甘水谷を「自然のダム」としてとらえ、安
全な生命の水をかん養する湧水の森づくりを計画し、多くの人々が参加・交流する取り組
みで共に学び共に体感することにより、安全で美しい地域への誇りづくりをめざす構想。
水の郷百選【29】
水環境保全の重要性について広く国民にPRし、水を守り、水を活かした地域づくりを
推進するため、地域固有の水をめぐる歴史・文化や優れた水環境の保持・保全に努め、水
と人との密接なつながりを形成し、水を活かしたまちづくりに優れた成果を上げている
107地域を、国土交通省が認定したもの。
疏水百選【29】
疏水とは、潅漑や舟運のために、新たに土地を切り開いて水路を設け、通水させること
をいい、古くから集落の共同作業によって維持管理され、食糧生産のみならず、国土や生
態系の保全など様々な役割を担ってきた。疏水百選は、全国の疏水を①農業・地域振興、
②歴史・伝統・文化、③環境・景観、④地域コミュニティの形成、という4つの視点で農
林水産省が評価し、110箇所を選定したもの。
一斉清掃【31】
市民が一斉に、生活道路・水路及び河川の清掃を行うことで、良好な生活環境を守るた
めの運動。
ノーポイ運動【31】
市民が一斉に、河川等の空き缶や不燃物等を回収することで、不法投棄の防止や環境美
化意識の向上を図る運動。
多自然川づくり【31】
河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、
河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出する
ために、河川管理を行うこと。
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あさくら美花美化バンク【32】
市民や事業者の方々から寄付された花の種や球根、苗木、労力、寄付金などを預かり、
それを自然豊かなまちづくりを行う地域や団体への橋渡しする「花とみどりの銀行」。あ
さくら美花美化バンクの運営は市民や事業者の委員がボランティアで行っている。
BOD【33】
Biochemical Oxygen Demand の略称。水中の有機物が微生物の働きによって分解され
るときに消費される酸素の量で、河川の汚濁を測る代表的な指標。単位は一般的にmg/Lで
表し、この数値が高くなるほど水質が汚濁していることを意味する。
COD【34】
Chemical Oxygen Demand(化学的酸素要求量)の略称。水中の有機物を酸化剤で分
解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもので、海域や湖沼の汚濁を測る代
表的な指標。単位は一般的にmg/Lで表し、この数値が高くなるほど水質が汚濁しているこ
とを意味する。
流域関連下水道【34】
公共下水道のうち、下水処理場がなく、下水道管の下流(流末)を都道府県が行う流域
下水道(2つ以上の市町村の区域にわたり下水道を一体的に整備することが効率的・経済
的な場合に実施する下水道施設)につなぐもの。
特定環境保全公共下水道【34】
市街化区域以外の区域における公共下水道で、①自然公園法第2条に規定する自然公園
区域内の水質保全のために施行されるもの、②公共下水道の整備により生活環境の改善を
図る必要がある区域において施行されるもの、③処理人口が概ね1,000人未満で水質保全
上特に必要な地区において施行されるもの、の3つに分類される。
ダイオキシン類【34】
炭素、酸素、水素、塩素を含むものが燃焼する過程などで自然にできてしまう副生成物
で、ダイオキシン類対策特別措置法では、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCD
D)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)に加え、同様の毒性を示すコプラナーポリ塩
化ビフェニル(コプラナーPCB)と定義している。ごみの焼却による燃焼、自動車排出
ガス等様々な発生源がある。
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PRTR【34】
Pollutant Release and Transfer Register(化学物質排出移動量届出制度)の略。有害
性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出された
か、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計
し、公表する仕組み。
アイドリングストップ【35】
信号待ちや荷物の上げ下ろし、短時間の買い物などの駐停車時に、自動車のエンジンを
かけ続けること(アイドリング)をやめること。不必要なアイドリングをやめることによ
り、エネルギー消費量の削減、自動車からの排出ガス抑制などの効果がある。
エコドライブ【35】
ゆっくり発進する、加減速の少ない運転を心がける、タイヤの空気圧を適正に保つなど
の環境に配慮した自動車の運転方法。
合併処理浄化槽【37】
水洗トイレからの汚水(し尿)や、台所、風呂、洗濯、洗面所等からの排水(生活雑排
水)を、微生物の働きなどを利用して処理する浄化槽。
森林吸収【43】
森林の樹木が光合成を通じて大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する作用。吸収された
二酸化炭素中の炭素は有機物として幹や枝などに蓄えられ、植物の成長につながる。
京都メカニズムクレジット【43】
他国での排出削減プロジェクトの実施による排出削減量等をクレジットとして取得し、
自国の議定書上の約束達成に用いることができる制度。①共同実施(先進国同士が共同で
事業を実施し、その削減分を投資国が自国の目標達成に利用できる制度)、②クリーン開
発メカニズム(先進国と途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が
自国の目標達成に利用できる制度)、③グリーン投資スキーム(具体的な環境対策と関連
づけされた排出量取引の仕組み)という3つの制度がある。
94
環境家計簿【47】
日常生活における環境負荷量の収支計算を、家計簿による家計の収支計算のように行う
もので、日常生活と環境とのかかわりをチェックし、環境に配慮したライフスタイルを実
行していくことを目的としている。家庭での電気、ガス、灯油、ガソリン、水道などの使
用量や支出額を集計して、二酸化炭素排出量などを計算できるように設計されたものなど
がある。
エコアクション21【47】
広範な中小企業、学校、公共機関などに対して、「環境への取組を効果的・効率的に行
うシステムを構築・運用・維持し、環境への目標を持ち、行動し、結果を取りまとめ、評
価し、報告する」ための方法として、環境省が策定したエコアクション21ガイドラインに
基づく、事業者のための認証・登録制度。
環境マネジメントシステム【47】
事業者が自主的に環境保全に関する取り組みを進めるにあたり、環境に関する方針や目
標等を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくためのシステム。
スローフード【49】
イタリアのブラ(Bra)という町から始まった、多忙な現代人の食生活を見直す運動
で、①消えてゆくおそれのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、酒を守る、②質のよ
い素材を提供する小生産者を守る、③子供たちを含め、消費者に味の教育を進めることが
テーマに掲げられ、各地に残る食文化を尊重し将来に伝えていこうという活動。
こどもエコクラブ【58】
こどもが誰でも参加できる環境活動クラブで、1人からと、活動を支える1人以上の大人
(サポーター)で構成される。公益財団法人日本環境協会は「こどもエコクラブ」事業を
通じて、地域における子どもたちの自主的な環境学習や実践活動を支援している。
CSR【58】
Corporate Social Responsibilityの略称。日本語では一般的に「企業の社会的責任」と
訳されている。「企業は法律を守り、提供する商品やサービスに責任を持ち、従業員が働
きやすい環境をつくり、地域社会に貢献し、地球環境に配慮した活動をしなければならな
い」という企業のありかたを表現した言葉。
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ISO14001【58】
組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実
施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築するた
めに要求される国際的な標準規格。
エコファーマー【64】
平成11年7月に制定された「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(持
続農業法)」第4条に基づき、「持続性の高い農業生産方式の導入に関する計画」を都道
府県知事に提出して、当該導入計画が適当である旨の認定を受けた農業者(認定農業者)
の愛称。エコファーマーになると、認定を受けた導入計画に基づき、農業改良資金(環境
保全型農業導入資金)の特例措置が受けられる。
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