第3回 環境保全協議会 1.日 時:平成25年6月19日(水) 14:30∼(安全協議会終了後) 2.場 所:思川開発建設所 3階B・C会議室 3.議 題:種の保存法、レッドリストとレッドデータブック 1.種の保存法 1. ○種の保存法とは? ○目的 ○法の構成 ○最近のトピック 2 1.種の保存法 1. ●種の保存法は、正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の 種の保存に関する法律」といい、国内外の絶滅のおそれのある 野生生物を保護するために、平成5年4月1日に施行。 (→外国産の希少野生生物の保護と、国内に生息・生育する希少 野生生物の保護について規定されている) ●目的(種の保存法第1条) この法律は、野生動植物が、生態系の重要な構成要素であるだ けでなく、自然環境の重要な一部として人類の豊かな生活に欠か すことのできないものであることにかんがみ、絶滅のおそれのあ る野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保 全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保 に寄与することを目的とする。 3 ●構成 ①個体保護、②生息地等保護、③保護増殖が3本柱 ①個体保護 ○希少種の捕獲等の禁止 国内希少野生動植物種に指定されているもので、生きている個 体については、捕獲等(捕獲、採取、殺傷、損傷)が原則禁止。 ○希少種の譲り渡し等の禁止 国内希少野生動植物と国際希少野生動植物種に指定されている ものについては、販売・頒布目的の陳列と、譲り渡し等(あげる、 売る、貸す、もらう、買う、借りる)は原則禁止。 (例外:大学や博物館等が学術研究、繁殖、教育、生息状況等の 調査目的の場合で、環境大臣の許可を受けた場合は可) 4 ○希少種の譲り渡し、陳列等が禁止されている動物(一例) <国内> トキ、オオタカ、タンチョウ、シロフクロウ、イリオモテヤマネコ、ヤ ンバルテナガコガネ等 <国際> マナヅル、コアジサシ、パンダ、テナガザル科全種、コンゴウイン コ、マダガスカルホシガメ、アジアアロワナ等 <対象:個体、器官、加工品> 個体:生死は問わない(政令で定めた卵・種子含む) 器官:毛、皮、つめ、羽毛等(政令で定めるものに限る) 個体の加工品:剥製、標本(政令で定めるものに限る) 器官の加工品:毛皮製品、羽毛製品等(政令で定めるものに限 る) 5 ②生息地等保護 国内希少野生動植物種に指定されている種のうち、その生息・生 育環境の保全を図る必要があると認められる場合は、生息地等 保護区を指定する。保護区は管理地区と監視地区に区分され、 それぞれの地区内では、開発行為などが禁止。 ③保護増殖 国内希少野生動植物種に指定されている種のうち、その個体の 繁殖の促進、生息地等の整備等の事業等の推進をする必要が あると認められる場合は、保護増殖事業計画を策定して実施。 哺乳類:ツシマヤマネコほか3種、鳥類:アホウドリほか14種 両生類:アベサンショウウオ1種、魚類:ミヤコタナゴほか3種 昆虫類:ヤンバルテナガコガネほか8種、植物:キタダケソウほか 15種 6 ●最近のトピック ○平成25年5月15日 環境省の中央環境審議会小委員会が、 オオタカの「国内希少野生生物種」の 指定解除の検討開始。 ○背景:1984年の民間調査では全国で300∼489羽と推定。2008 年の専門家調査では約5800羽まで回復(関東地方とその周辺)。 ○オオタカは平成5年の同法施行と同時に希少種に指定。平成18 年環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧種に変更。 ○解除されればH20年に指定解除されたルリカケスに続く2例目。 ○解除されても、鳥獣保護法で捕獲は禁止される。 ○思川事業ではこれまでの経緯をふまえ、引き続き保全対象種 (着目すべき種Aランク)として取り扱う。 7 2.レッドリスト(RL )と レッドデータブック(RDB ) ○レッドリスト(RL)とは? ○レッドデータブック(RDB)とは? ○レッドリストとレッドデータブックの違い ○カテゴリー区分 ○レッドリスト改訂経緯 ○レッドデータブック改訂経緯 ○栃木県レッドリスト ○思川開発事業での取り扱い 8 2.レッドリスト(RL)とレッドデータブック(RDB) ●レッドリスト(RL)とは?(1991年∼) 絶滅のおそれのある野生生物(動植物)のリスト。絶滅の危険性 の高さによるカテゴリー分けがされている。 ○日本では環境省や水産庁、都道府県など地方自治体、学術団 体などによって、同様のリストが独自に作成されている。 ●レッドデータブック(RDB)とは?(1991年∼) 環境省RDBは、同省が作成・改訂したレッドリスト(絶滅のおそれ がある動植物のリスト)に基づき、より具体的な内容が記載された データブック。 ○RLと同様に国内では、環境省の他に水産庁や都道府県等の 地方公共団体、学術団体などにより発行されている。 ※RL,RDBは47都道府県全てで発刊 9 ●レッドリストとレッドデータブックとの違い 環境省では、RLとRDBの2つの資料を作成・公表 ○RLは、絶滅のおそれのある野生生物の名称(学名、和名等現地 名)、カテゴリー等の最低限の情報のみをとりまとめたリスト。 →RDBよりも短期間で作成することができる。 ○RDBは、RLの内容に加え、形態、繁殖・採餌等の生態、分布、 生育・生息環境、生育・生息状況、絶滅の要因、保全対策などのよ り詳細な情報が盛り込まれており、掲載種の基本的な情報を得る ことができるようになっている。 →最新の知見を収集・取りまとめるため、作成に時間がかかる。 →そのため、いち早くRLを確定・公表し、その後詳細な情報を とりまとめたRDBを作成するという2段階の作業をとっている。 10 ●カテゴリー区分(RDB1997版) 絶滅 EX 日本では既に絶滅したと考えられる種 野生絶滅 EW 飼育・栽培下でのみ存続している種 絶滅危惧Ⅰ類 CR+EN 絶滅の危機に瀕している種 絶滅危惧ⅠA類 CR ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高 いもの 絶滅危惧 絶滅危惧ⅠB類 EN ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅 の危険性が高いもの 絶滅危惧Ⅱ類 VU 絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした 圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧 Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの 存続基盤が脆弱な種。現時点で絶滅危険度は小さいが、 生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランク に移行する要素を有するもの 準絶滅危惧 NT 情報不足 DD 評価するだけの情報が不足している種 絶滅のおそれのある個体群 LP 地域に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの 11 ●RL改訂経緯(5年に一度改訂) ○1991年(第1次):脊椎動物、無脊椎動物編 ※RDBという形態で動物のみ作成 ○1997−2000年(第2次):爬虫類、両生類、植物Ⅰ、植物Ⅱ、哺 乳類、鳥類、汽水・淡水魚類、昆虫類、その他の無脊椎動物 合計で2649種 ○2006−2007年(第3次):鳥類、爬虫類、両生類、その他無脊椎 動物、哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ、植物Ⅱ 合計で3155種 ○2012年(第4次):鳥類、爬虫類、両生類、その他無脊椎動物、哺 乳類、昆虫類、貝類、植物Ⅰ、植物Ⅱ(汽水・淡水魚類については 今後まとまり次第公表予定) 合計で3430種(汽水・淡水魚類除く) 12 ●RDB改訂経緯(10年に一度改訂) ★レッドリストを公表後、掲載種の生態、分布、現在の生育状況、 絶滅の要因などのより詳細な情報を盛り込まれたレッドデータブッ クが作成される。 <初版> 1991年5月 日本の絶滅のおそれのある野生生物(脊椎動物編) 1991年10月 同 (無脊椎動物編) <改訂版> 改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブック2000年2月∼2006年8月:第2次RL見直し完了を受け、改訂作業 開始、2006年8月に最終の「昆虫類」完成(全9巻:哺乳類、鳥類、 爬虫類・両生類、汽水・淡水魚類、昆虫類、陸・淡水産貝類、クモ形 類・甲殻類等、植物Ⅰ、植物Ⅱ)。 ※次回改訂は2016年頃を予定 13 ●栃木県レッドリスト ○栃木県でも栃木県版レッドリスト、レッドデータブックを発刊 H16.8 栃木県版レッドリスト策定 H17.3 レッドデータブックとちぎ2005を発刊 H23.3 栃木県版レッドリスト改訂 ・前回レッドリスト策定から6年以上が経過 ・野生動植物の生息・生育状況等の変化 ・環境省レッドリスト改訂(H18~19:第3次) 他 ○改訂内容 ・147種追加、36種削除。掲載種は111種増えて1393種 ・絶滅危惧種(Ⅰ類、Ⅱ類、準)は68種増えて946種 ・新種として、シモツケコウホネ、ナガレコウホネ、シロバナナガバノイシモチソウ ・コガタノゲンゴロウ、ヒメシロチョウは今回絶滅と判断 14 ●思川開発事業での取り扱い ○H20.5 ダム基本設計会議環境部会資料として、環境省第3次 RL(2006∼2007年)、とレッドデータブックとちぎ2005(H17.3) 掲載種をもとに、環境影響評価を実施。 ○2011.3栃木県版RL改訂および2012.8環境省RL改訂(第4次) ○上記改訂を受け、事業用地周辺で確認された種(S55∼H24確 認種)について再度見直しを行い、新規追加重要種・除外種の選 定とその取り扱いについて検討中。 ○H24年度、栃木県版RL(改訂版)掲載種での見直しを実施。 新規追加:鳥類3種、昆虫類:2種、底生動物2種、植物1種 除外:鳥類2種、昆虫類2種、植物1種 ○新規重要種については学識者の意見を踏まえ影響予測を行う。 ○除外種については、これまでの経緯をふまえ、各対象種の評 価結果を継続して扱う。 15
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