航空機産業フォーラム - 神奈川県産業技術センター

2PM-A02
平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
航空宇宙用材料研究への慶應義塾大学の取り組み
慶應義塾大学
理工学部
中央試験所
1. はじめに
航空•宇宙機には金属材料、非金属材料、複合材料など
の広範な先端材料が用いられている。どの材料も軽量で
強靭であることや高い耐熱性が求められる一方で、加工
性に富んでいることなど、相反する要求も多く、それら
の開発には多岐な技術が求められる。そこでこれら新規
材料の評価技術の開発と提供を地域関連企業に対して円
滑に行うとともに、これら材料評価技術を有する人材育
成を加速的に進めることを目指し、慶應義塾大学理工学
部では、神奈川県産業技術センター様との連携をはじめ
ている。本年度の経済産業省補助事業「地域イノベーシ
ョン協創プログラム補助金」に採択され、当該分野の取
り組みをさらに加速させている。そのような背景を含め
て、学外共同利用などの考え方について説明する。
2. 先端材料評価センター(仮称)の設置
慶應義塾大学理工学部矢上キャンパスは横浜市と川崎
市の境にあり、
東急東横線日吉駅より徒歩約 10 分に位置
している。矢上キャンパスには種々の研究センターが設
置されており、
中央試験所の下で管理されている
(図1)
。
岡
浩太郎
アリングセンター(大型工作装置等)とは強い連携が可能
である。上記センターで利用可能な装置についての詳細
な情報は慶應義塾大学中央試験所ホームページ
(http://www.sfr.st.keio.ac.jp/kanamono.html)から
入手できる。
3. 主な事業と学内外連携の考え方
先端材料評価センター(仮称)は神奈川県産業技術セ
ンター様と連携して次のような事業を行うことを計画し
ている(図2)
。
①航空•宇宙機材料の非破壊評価が可能な設備を設置し、
地域企業の利用を促進する。
②先端材料とその評価に詳しい理工学部所属教員による
材料評価のコンサルティングを行う場を提供する。また
このようなコンサルティングを行うためのコンソーシア
ムを形成する。
③比較的長期にわたっての材料評価を希望するような企
業に関しては、理工学部「先端材料評価センター(仮称)
」
に安価または無料で利用できる貸スペースを提供する。
④神奈川県産業技術センター様と共同で、先端材料とそ
の評価方法についての連続セミナーを開催する。
微細加工室
中央試験所 X線室 運営委員会 表面分析室 ・環境試験装置
・広範な分析機器
中央試験所 ・1960年開設
・豊富な分析装置を開設以来保有
・学外利用の窓口
・課金業務・装置メンテナンス等
・技術コンサルタント(有料)
・専任職員
マニュファクチュアリン
グセンター 慶應‐ 神奈川ものづくり
技術実証・評価センター 先端材料評価センター
(仮称、本申請) 神奈川県
産業技術センター
・経済産業省の先端技術実証・評価設備整備
等事業にて採択され、地域企業の活性化を
目的とし、平成 25 年 9 月に開所。 ・成膜技術、表面改質、ナノ加工技術に関す
る装置を導入し、実用化が極めて 近い製品
を実証するための施設。 技術提携
セミナー開催 ・先端分析機器整備
・オープンラボラトリー
航空宇宙産業参入プロジェクト
"Aerospace Project in 連携協定
KANAGAWA" 締結済み 微細加工技術の
企業連携窓口
供与と評価
慶應‐ 神奈川
ものづくり技術実証・評価
センター 先端材料評価センター 図1 理工学部中央試験所と各種研究センターとの関係
企業
コンソーシアム 理工学部 研究連携
推進本部
慶応工学会 慶應リーディング
エッジラボラトリー
ズ(KLL)
先端材料企業群 図2 学内外との連携の考え方
今回キャンパスの研究棟の一部を改修するとともに、
中央試験所の設備の一部をここに移設することにより、
航空宇宙用材料研究に特化した先端材料評価センター
(仮称)を設置する。このセンターには多次元イメージング
解析システム (Tecnai Osiris)、アブレッシブジェットカッタ
ー(Varuna sugino)、多目的マクロ-マイクロ領域元素分
析システム (M4 TORNADE Bruker)の先端材料加工•評
価装置を設置するだけでなく、比較的長期間に渡って試
験・評価研究を行うことを希望する企業に対しては、安
価にスペースを貸し出すオープンラボラトリーを設置す
ることを計画している。このような企業が利用できるオ
ープンラボラトリーは、理工学部学生のためのインター
ンシップを行う基盤となるものと期待している。
理工学部矢上キャンパスには、先端材料評価センター
(仮称)と連携することにより相乗的に地域企業への支
援が可能な種々の研究センターが既に設置されている。
特に慶應-神奈川ものづくり技術実証・評価センター(主に
ナノ・マイクロ材料加工装置と評価)とマニュファクチュ
導入予定(または既に設置されている)ハイエンドな
分析装置は大変高感度であり、従来装置のスペックを遥
かに上回る性能を有しているが、一方で試料の調製や得
られたデータの解釈などをルーチンで行うことは難しく、
知識と経験が解析結果に影響するハンドリングの難しさ
がある。慶應義塾大学理工学部にはこれらハイエンド装
置を管理し、また運用することが可能な技術職員と教員
(機械工学科、化学科、応用化学科、物理情報工学科、
物理学科など複数の学科に所属している)が多いため、
解析が困難である複合材料などの評価技術の開発が飛躍
的に進むものと期待される。
4.おわりに
本年度末にはセンターが正式運用可能と思われる。学
外からの利用法などについては、上記の中央試験所ホー
ムページよりご相談頂きたい。多くの地域の関連企業の
方々に利用頂ければと考えている。
以上
2PM-A03
平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
シンポ
我が国の航空機産業
我が国の航空機産業のこれから
のこれから と中小製造
のこれからと
中小製造業への期待
中小製造 業への期待
SKY エアロスペース研究所/JAXA
エアロスペース研究所 /JAXA 客員
坂田公夫
概要
今後 20 年以上にわたって
以上にわたって世界の航空輸送が
以上にわたって世界の航空輸送が
世界の航空輸送が継続的に
継続的に
継続的に拡大
拡大し、
し、
アジア域がその最大の成長エリアになると予測され
アジア域がその最大の成長エリアになると予測され
る中、
る中、我が国の航空機産業を
我が国の航空機産業を
我が国の航空機産業を自動車に次ぐ
自動車に次ぐ基幹産業として育てようと、政府・自民党が
自動車に次ぐ基幹産業として育てようと、政府・自民党が政策
基幹産業として育てようと、政府・自民党が政策
政策検討を始めた。これ
検討を始めた。これ
は、
は、米国の大統領令
米国の大統領令(2006)
米国の大統領令(2006)
(2006)、欧州の
、欧州の 2020 ビジョン、中国の 2009 政策など
政策など、
、国
国が積極的な振興
積極的な振興
積極的な振興策
策を進め
を進め、これま
を進め、これま
でにない熾烈な国際競争が始まっていること
でにない熾烈な国際競争が始まっていることを背景に
を背景に
を背景に、我が国が
、我が国が失われた 20 年から成長の未来へと脱皮として、
、我が国が失われた
産業の構造改革が迫っていること
産業の構造改革が迫っていること、特に中小企業の活力再生が焦眉の急であること
が迫っていること 特に中小企業の活力再生が焦眉の急であること、安全保障上の要求も高まっ
特に中小企業の活力再生が焦眉の急であること、安全保障上の要求も高まっ
ていることなどを要因とす
ていることなどを要因
とす
とする。航空産業は技術、市場
る。航空産業は技術、市場
る。航空産業は技術、市場の成長
の成長、国際化、産業の広がりと高い波及効果などから
の成長、国際化、産業の広がりと高い波及効果などから基
、国際化、産業の広がりと高い波及効果などから基
幹産業
幹産業として
として育て
として育てるためには
育てるためには
るためには、
、この分野に
この分野に国が
この分野に国が
国が重要な役割を担って
重要な役割を担って
重要な役割を担っていることから、
いることから、政府の
いることから、政府の
政府の産業あるいは技術政策
産業あるいは技術政策
が振興策の基本となる。
が振興策の
振興策の基本となる。ここでは、我が国が目指すべき航空産業と技術の将来像に向けた振興政策について、検
基本となる。ここでは、我が国が目指すべき航空産業と技術の将来像に向けた振興政策について、検
討し
討し、政府が議論し始めた事柄を
、政府が議論し始めた事柄を示した
、政府が議論し始めた事柄を示した上で、
示した上で、
上で、我が国産業が目指す方向と
我が国産業が目指す方向と
我が国産業が目指す方向と、
、中小企業の役割あるいは期待につい
中小企業の役割あるいは期待につい
て述べる
て述べる
述べる。
。
1. 我が国
我が国にとっての航空産業
にとっての航空産業
にとっての航空産業の意義
の意義と政策の基本
の意義と政策の基本
航空分野は、
以下の諸要素により我が国の基幹産業
たるべきである。
①海に囲まれた
海に囲まれた我が国の国際交通
海に囲まれた我が国の
我が国の国際交通・
国際交通・モビリティ
モビリティ
②産業高度化の担い手
産業高度化の担い手
③中小企業再活性化
中小企業再活性化
④科学技術的先導性
科学技術的先導性、波及効果への期待
科学技術的先導性、
波及効果への期待
⑤技術セキュリティと
技術セキュリティと安全保障
技術セキュリティと安全保障
⑥ICAO
ICAO 活動など、国の国際指導性向上
国の産業振興
、将来のあるべき姿
として
国の
産業振興政策
産業振興政策に
には
は、
将来のあるべき姿
将来のあるべき姿として
「将来ビジョン」が必要であり、
力強化
の「将来ビジョン」が必要であ
の「将来ビジョン」が必要であ
り、産業
産業総合
産業総合力強化
ための完成機
事業の
のための
のための
完成機(
完成機(自主開発
自主開発)事業
自主開発)
の推進
推進と国際共同開
と国際共同開
TC 基盤
発や部品生産の拡大、そのための技術基盤、
発や部品生産の拡大、そ
のための技術基盤、
のための技術基盤、TC
の強化、ファイナンスやビジネス基盤の強化、中小
企業の参入促進策、搭載機器の国産化推進、技術的
強みのある素材、部品、製造技術などの一層の強化
研究機関を
などが重要となる。JAXA をはじめとする研究機関
をはじめとする研究機関
すること 、国家プロジェ
欧米に伍する程度に強化すること
欧米に伍する程度に強化
することと、
国家プロジェ
。施策
施策
クトの推進、多様な
クトの推進、多様な人材育成が不可欠
多様な人材育成が不可欠である
人材育成が不可欠である
である。
省庁がビジョンの元に結集す
の確立と実行には関係省庁
の確立と実行には関係
省庁
ビジョンの元に結集す
る体制も必要で、法制強化も
も必要で、法制強化も検討すべきである
検討すべきである。こ
。こ
る体制
も必要で、法制強化も
検討すべきである
基本要素とその流れ
流れを
れら政策の基本要素とその
れら政策の基本要素とその
を PDCA として図1
に示した。
航空産業
2. 航空
産業
のこれか
ら
20 年で 500
兆円超の新市
場が生み出さ
場が
生み出さ
れると予測さ
れる世界の航
れる
世界の航
空機産業で、
我が国は
は現在
我が国
現在
2.5%の規模
の規模
2.5%
の規模に
図 1 政策・施策の PDCA
過ぎず、
過ぎず、開発中の
開発中の MRJ を除けば他に
を除けば他に自主
自主ブランド機
ブランド機
はない。我が国
はない。我が国の主体
の主体は
の主体は欧米大企業
欧米大企業
欧米大企業の開発
開発 製造の
開発・製造の
一部を分担
一部を分担
分担し
している状態。
ている状態。
技術
技術は評価
評価
評価されている
されているが
されているが、
防衛機を除いてシステム開発機会
防衛機を除いてシステム開発機会の
のない我が国の技
ない我が国の技
術に
術には偏り
偏り
偏りが
が見られる
られる。中小企業をはじめとする搭
られる。中小企業をはじめとする搭
載品、
部品
部品産業も育っていな
産業も育っていない
産業も育っていないことも課題で
ことも課題であるが、
ことも課題であるが、
これら課題
これら課題
課題が我が国の方向性を示している。
が我が国の方向性を示している。
(1)完成
(1)完成
機推進のための TC 基盤強化と技術基準発信、
基盤強化と技術基準発信、(2)
強化と技術基準発信、(2)競
争力のある技術の高度化とシステムへの発展、(3)
争力のある技術の高度化とシステムへの発展 (3)
超音速機などの国の
プロジェクト推進、
推進、 4)JAXA
超音速機などの
国のプロジェクト
国のプロジェクト
推進、(4
JAXA を
中核にした技術と人材の
(5 中小企業を
中核にした
技術と人材の産学官活動、
技術と人材の産学官活動、
(5)中小企業を
中心とする世界市場に向けた部品、搭載品開発、(6)
(6
などが行く道である
防衛基盤
防衛基盤を活用した民間活動、
を活用した民間活動、
など
が行く道である
が行く道である。
3. 中小企業への期待
我が国の中小企業の製造技術と製品品質
我が国の中小企業の製造技術と製品
品質 極めて
品質は極めて
これを生かし、部品、素材、搭載品の
高い。これを
高い。これを
生かし、部品、素材、搭載品のブラン
生かし、部品、素材、搭載品のブラン
ドとして
ドとして世界発信することは航空産業の主要課題で
世界発信することは航空産業の主要課題で
企画、認証、海外展開
、人材、販売
ある。企画、
ある。企画、
認証、海外展開、人材
認証、海外展開、人材
販売力などの
販売力などの
向上が必須だが、単独で行うことには無理があり
向上が必須だが、単独で行うことには無理があり、
技術の幅と広がりを相乗的に獲得することも含め、
クラスター化あるいは
クラスター化
あるいはコンソーシアムによる
あるいはコンソーシアムによるグルー
コンソーシアムによるグルー
プ化が鍵となる。図2に
プ化が鍵となる
。図2に参入と事業成功のための
。図2に参入と事業成功のための中
参入と事業成功のための
小企業の地域クラスターの要件を図式化した。
図 2 中小企業参入の鍵・クラスター
1
2PM-A04
平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
3D 金属積層造形装置と金属粉末材料の動向並びに事例紹介
愛知産業株式会社
常務取締役
金安
力
愛知産業(株)は70年以上にわたり溶接関連技術、最近は同時5軸工作機械などのビジネスも加えて展
開し、
「ものづくり」にかかわる情報とノウハウを蓄積してきた。今、先進諸国で最も注目される技術の一つ
として、3D金属積層造形技術があげられるがその技術は他の加工技術に比べて材料の溶融凝固特性や流体
特性など、材料特性への依存度が大きい。用途に応じて求められる造形物特性を得るためには装置と材料お
よびプロセスのそれぞれの技術が必要である。3D 金属積層造形技術は弊社が持つ技術の延長線上にあると
位置づけ、ドイツ SLM 社の3D 造形装置、3D 技術に大きな役割を果たす粉末材料を英国 LPW 社のそれぞ
れの日本総代理店となった。プロセスは70年以上の溶接技術のノウハウ生かして、3D 金属積層技術のト
ータルソルーションを提供する事業を始めた。
1. はじめに
金属積層造型機は世界ですでに 1,100 台が市場に入り、日々ユーザーから装置メーカーへフィードバッ
クが繰り返され、装置メーカーはその改良に余念がない。その 1,100 台のユーザーは3D 金属積層造型機
を使って新商品開発を目指し、必要に応じ商品やプロセスを含め工業所有権の確立を目指しながら商品開
発に取り組んでいる。一方日本の導入台数はわずか 40 から 50 台程度であると言われている。日本も経済
産業省主導のもと、国産の高品質で安価な装置の開発を目指し、将来世界市場で日本が装置を含め3D 関
連ビジネスの主導権を握るための国家プロジェクトが本年 6 月にスタートしたばかりである。しかし、世
界の中の日本のものづくりの立場を考えるに、時間軸も大変重要であると考える。世界の最先端装置と高
品質パウダーを含めた3D 関連技術を用い、今アイデアで新商品開発を行う姿勢が重要と考える。
2. SLM 社3D 金属積層造型機の特徴
弊社は今年 4 月、世界に既に 170 台以上の納入実績をもつ SLM 社と日本総代理店契約を結んだ。装置
の特徴は、
(1)4 台までのレーザーが搭載できる。それは金属の凝固歪を最小限に出来、また稼働時間の
削減などの効果がある。(2)各種金属材料に適したパラメーターをユーザーが自由に設定できる。(3)
粉末を撒く動作はヘッドの片側移動でパウダー高さ調整まで完了できることで最大30%の施工時間の削
減が可能。
(4)ベースプレートを加熱する機構を有し、歪や応力対策機能を有す。などである。
3. 粉末材料が果たす役割
LPW 社は
2007 年に設立された比較的若い会社である。同社は金属積層造形プロセスの各方式であ
る LMD(Laser Metal Deposition), SLM(Selective Laser Melting ), EBM(Electron Beam Melting )
用の材料を供給することを目的としており、欧米におけるこれらの技術の発展に材料開発の立場から大
きく貢献してきた会社である。積層造形に使われる粉末は多品種に亘る。またそれらは内部欠陥を防ぐ
ために粒度が揃い、サテライトや内部ポロシティの少ない粉末が要求される。即ち、3D 金属造形技術
に使用される粉末材料は大変重要な役割を担っている。
4おわりに
金属積層造形技術はこれまでにない新たな発想で、かつ既存の技術と補完しあうことで更なるものづ
くりの発展が望める。
欧米では既に 1,100 台を超える装置が市場に入り、必要な高品質粉末が開発され、
航空宇宙関係、医療関係、F1 等レーシング関係などの分野で基礎研究から開発へと進み商品化も出始
めている。その意味から日本でも積極的に且つ素早く着手していくことを望みたい。
2PM-A05
平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
日本スピン(株)
本多広道
「匠」の先端技術
9月末で日本スピン(株)は今日55歳を迎えました。
弊社は従来、主に「重電、医療、半導体、液晶」と日本経済発展の主力分野を業とする
比較的安定した会社でしたが
オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックと経済構造の激変を経験する中で
生残りとして、宇宙、航空、関連部品の取込み強化を決断致しました。
取組としては
システムの一環として、JIQ9100を2012年11月取得、2014年10月3回目の更新を実施致し
品質保証の体制を、依り強固にすべき日々努力を傾注致して居ります。
加工分野においては
ヘラシボリ技術、板金技術、処理技術等の特殊工程製品を一環で品質保証できる体制確立に
努力を重ねて参ります。
御陰様で
用途的には、H-Ⅱロケットフェアリング、ボーング向け、(B737用)ラバートリー部品、(B747用)ラウンジ
(B757用)補用部品、エアーバス向け(A380用)タンク、防衛庁向け(C-2、P-1、F15)部品、(ヘリコプター)部品
ホンダジェット用(インテーク部品)等々の加工実績を持って居ります。
更にジェットエンジンの応用で
ガスタービン主要部品(ネンショウキライナー、タービンスクロール他)の加工も特殊工程の分野として今日
取組んで居ります。
弊社の経営方針は「オンリーワンの物創りを目指して」
此れからの取組は、特殊工程の更なる技量深化、品質安定に向けた努力で、顧客満足度のアップを図って
参りますので、今後共皆様のご支援、指導戴きますよう心からお願い致しまして、本日の説明
を終了させて戴きます。
有難う御座いました。
2PM-A06
平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
当社の航空機部品産業への参入と今後の展開
有限会社ケイ・エム・エス
神居 隆
当社は 10 年以上前に航空機部品産業に参入した。現在は、ボーイング 787 向けなどに客室用装備品のうち、ギャ
レー(厨房設備)
、ラバトリー(化粧室)用の部品約 300 アイテムをティア2企業に納入している。航空機市場は、
今後 20 年間で倍増するといわれており、政府も国内の航空機産業を育成する方針である。難しいと言われる航空機
部品産業に零細企業がどうやって参入出来たのか、現状の課題は何か、今後の展開などについて報告する。
1.参入の経緯
1.1 edgecam(エッジキャム)の導入
元は樹脂加工をやっていた。Gコードの手打ちから、
入力支援ソフトが出始めた頃の 17 年前だった。
加工屋に
は宝の持ち腐れといわれた頃に 3D-CAD を導入した。
それ
と加工プログラムを機械本体に付属するNC装置に保存
することに疑問があった。機械の稼働状況や機械特性を
活かした加工を効率化するためには、加工プログラムは
機械本体とは別に集合的に管理した方が良いと考えた。
そこで、主要CNC工作機械に幅広く対応できる CAD を
限定しない 3D-CAD/CAM システムであるedgecam を早い
段階で導入した。
(図1)
現在稼働している主要機械は、森精機 SV-400、FANUC
ROBODRILL、MAZAK NEXUS の 3 台。すべての加工プログ
ラムはedgecam に保存し、稼働状況や機械特性により
CAM を使い分けている。
1.2 edgecam 導入によりティア2から見積依頼
edgecam の導入で見積りの問い合わせが変化した。
(同じ CAD ソフトを使用していれば発注し易いから)
ティア2企業の A 社もその中の1社だった。現在航空機
の設計は CATIA(世界標準的な CAD ソフト)で行って
おり、加工データも CATIA データで送られてくる。参入の
発端はedgecam だが、継続出来ている理由がある。
1.3 難しい加工の注文を断らない
当社で加工している航空機部品は 100%アルミ無垢材
から削り出しで、しかも異形加工が多い。
(写真1)
図1edgecam の画面(仮想)
写真1左から素材、中間品、仕上品
異形加工を嫌がる加工業者は航空機産業には向いてい
ないかも知れない。加工精度は特に航空機用だから精密
ということはないと思う。むしろ自動車用の方が精度は
うるさいかも知れない。
2.現状の課題は何か
2.1 試作工程が多く採用までの期間が長い
航空機部品の試験は、通常の強度テストだけでなく、
あらゆる事態を想定してテストを繰り返す。爆破や燃焼
のテストもあると聞いている。試作品は購入してくれる
が、この段階は殆ど採算に合わない。しかし、一旦採用
されると長期間受注が継続する場合が多い。そのため、
試作中に将来の継続受注時のコストも想定する。
2.2 CAD データだけで図面がない加工もある
写真2は現在試作中の部品。図面がなく CATIA デー
タだけで試作している。
「正」が無くしかも 5/100 以下
のねじれがある。
このようにどうやって加工すれば良い
のかを悩む場合が多い。
今回は仕上品をメス形状にした
治具で中間品を固定して加工する方法で対応した。
写真2
左から
・素材
・中間品
・加工治具
・仕上品
中間品をここ
に固定して、加
工する。
3.今後の展開
3.1 最新 5 軸マシニングの導入
今回当社の強みをさらに伸ばすため、ティア2企業も
保有していない5軸加工機MAZAK VARIAXISの導入を決定
した。より複雑な加工や工程短縮を目的としている。
3.2 加工作業のマニュアル化
付加価値を生み出している順序は、加工方法の模索段
階や治具製作の段階である。次に加工プログラム作成段
階である。それ以後の素材・刃物の機械へのセット、実
際の機械加工の段階は、
低い付加価値しか生んでいない。
現在、付加価値が低い工程をマニュアル化し、パート社
員を教育してこの工程をまかせることを始めている。
4.おわりに
中国や東南アジアでは最新鋭機械の導入が進んでいる
と聞いている。加工方法が確立してしまった製作につい
ては、いずれ人件費の安い所へ製造場所は移って行くと
思う。日本の製造業の強味は、長年の経験や人間の性質
から加工方法の模索や治具の考案にたけていることにあ
ると考える。当社としては、この強味をさらに伸ばすこ
とで低賃金国との競争に打ち勝っていこうと思う。