特定健康診査等実施計画 第1期

特定健康診査等実施計画
第1期
北 海 道 栗 山 町
目次
第1章
計画策定にあたって
1. 特定健康診査・特定保健指導の導入の趣旨
・・・ 4
2. 特定健康診査・特定保健指導の対象となる生活習慣病
・・・ 5
3. メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目する意義
・・・ 5
4. 内臓脂肪型に着目した生活習慣病予防のための健康診査・保健指導の
・・・ 7
基本的な考え方
5. 計画の性格
・・・ 7
6. 計画の期間
・・・ 8
7. 計画の目標
・・・ 8
1)特定健康診査受診率の向上方策
2)特定保健指導実施率の向上方策
3)メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少方策
第2章
健康状態の現状と課題
1. 栗山町の特徴
・・・10
2. 生活習慣病の治療状況
・・・11
① 高額医療(50万円以上)になる疾病
② 長期入院の状況
③ 生活習慣病全体の状況
④ 高血圧症の状況
⑤ 糖尿病の状況
⑥ 高脂血症の状況
⑦ 虚血性心疾患の状況
⑧ 脳梗塞の状況
⑨ 人工透析の状況
3. 基本健康診査結果による状況
・・・14
1)基本健康診査の状況
2)メタボリックシンドローム危険因子の重複状況
第3章
特定健康診査・特定保健指導の実施
1. 特定健康診査・保健指導実施の基本的考え方
・・・16
2. 各年度の目標値
・・・16
3. 特定健康診査の実施方法
・・・17
1)対象者
2)実施形態
3)実施機関
1
4)実施項目
5)健康診査委託単価及び自己負担割合
6)受診案内
7)事務フローチャート
8)基本的な年間スケジュール
4. 保健指導の実施方法
・・・23
1)対象者の設定と階層化
2)対象者数の見込み
3)優先順位
4)目標の設定
5)実施計画
6)保健指導実施者の人材確保と資質向上
第4章
特定健康診査・特定保健指導の記録管理
1. 特定健康診査等の記録の管理
・・・26
2. 個人情報の保護に関する事項
・・・27
3. 特定健康診査等のデータ保存期間
・・・27
第5章
特定健康診査等実施計画の推進
1. 特定健康診査等実施計画の参酌標準と後期高齢者支援金の関係
・・・28
2. 特定健康診査等実施計画の評価
・・・29
3. 特定健康診査等実施計画の公表・周知
・・・30
【関係法律等】
(1) 高齢者の医療の確保に関する法律
(2) 特定健康診査等基本指針(案)
高齢者の医療の確保に関する法律第 18 条に基づき、特定健康診査及び特定保健指導の
実施方法に関する基本的な事項、実施及びその成果に係る目標に関する基本的な事項、
並びに特定健康診査等実施計画の作成に関する重要事項を定めるもの
(3) 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準
厚生労働省省令第 157 号 高齢者の医療の確保に関する法律の規定に基づき、及び同法
を実施するために定められたもの
(4) 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)
新たな健診・保健指導の方向性と具体的な実施方法、体制・基盤整備等についてまとめ
たもの
(5) 特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き
標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)に基づき、基本的なルールや枠組みをよ
り詳細に整理したもの
2
(参考資料)
資料1:栗山町の全体像
様式6-1
資料2:50万円以上となった個別レセプト一覧
資料3:生活習慣病全体の分析
様式1-1(1)
様式3-1(1)
資料4:生活習慣病(糖尿病)の分析
様式3-2(1)
資料5:生活習慣病(高血圧)の分析
様式3-3(1)
資料6:生活習慣病(高脂血症)の分析
様式3-4(1)
資料7:生活習慣病(虚血変化)の分析
様式3-5(1)
資料8:生活習慣病(脳梗塞)の分析
様式3-6(1)
資料9:生活習慣病(人工透析)の分析
様式3-7
資料 10:国保被保険者のうちの基本健診受診者数
資料 11:男女別および年齢別健診有所見者状況
様式6-9
様式6-2~6-7
資料 12: メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の重複状況
様式6-8(1)
資料 13:保健指導対象者の選定と階層化
資料 14:糖尿病等生活習慣病予防のための健診・保健指導のフローチャート
資料 15:特定健康診査・特定保健指導の対象数
資料 16:保健指導の優先順位と支援方針
資料 17:保健指導の考え方 ~20年度推計
資料 18:支援レベル別保健指導計画
資料 19:特定保健指導と健康づくり支援との関係
資料 20:特定健康診査と特定保健指導の用語の定義と流れ
3
第1章
計画策定にあたって
1.特定健康診査・特定保健指導の導入の趣旨
健康診査や保健指導等の保健事業については、現在、老人保健法や医療保険各法に基
づいて市町村、企業、医療保険者によって実施されていますが、各健康診査の役割分担
が不明確であり、受診者に対するフォローアップが不十分であると指摘されています。
このため、健康診査・保健指導については、
(1)適切に実施することにより、将来の医療費の削減効果が期待され、医療保険者
が最も大きな恩恵を受けること
(2)医療費のデータと健康診査・保健指導のデータを突合することができ、より効
果的な方法を分析できること
(3)対象者の把握を行いやすいこと
から、保険者が実施主体となることにより、被保険者だけでなく、従来手薄だった被
扶養者に対する健康診査も充実し、健診受診率の向上が見込まれるほか、充分なフォロ
ーアップ(保健指導)も期待できることから、保険者にその実施が義務づけられました。
上記趣旨により、栗山町国民健康保険の保険者である栗山町は「高齢者の医療の確保
保に関する法律」に基づき、平成20年度から40歳~74歳の加入者(被保険者およ
び被扶養者)を対象とする、糖尿病などに象徴される生活習慣病に着目した特定健康診
査及び特定保健指導を行います。
【市町村における各種健診(検診)との関係】
4
2.特定健康診査・特定保健指導の対象となる生活習慣病
国民の受療の実態を見ると、高齢期に向けて生活習慣病の外来受診率が徐々に増加し、
次に75歳頃を境にして生活習慣病を中心とした入院受療率が上昇しています。これを
個人に置き換えてみると、不適切な食生活や運動不足等の不健康な生活習慣病がやがて
糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満症(以下、
「糖尿病等」という。
)の生活習慣病の発
症を招き、外来通院及び投薬が始まり、生活習慣病の改善がないままに、その後こうし
た疾患が重症化し、虚血性心疾患や脳卒中等の発症に至る経緯をたどることになります。
このため、生活習慣病の改善により、若い時からの糖尿病等の生活習慣病の予防対策
を進め、糖尿病等を発症しない境界域の段階で止めることができれば、通院患者を減ら
すことができ、この結果、国民の生活の質の維持及び向上を図りながら医療費の伸びの
抑制を実現することが可能となります。
糖尿病等の生活習慣病は、内臓脂肪の蓄積(内臓脂肪型肥満)に起因する場合が多く、
肥満に加え、高血糖、高血圧等の状態が重複した場合には、虚血性心疾患、脳血管疾患
等の発症リスクが高くなります。このため、内臓脂肪症候群(以下、
「メタボリックシ
ンドローム」という。
)の概念に基づき、その該当者及び予備群に対し、運動習慣の定
着やバランスの取れた食生活などの生活習慣の改善を行うことにより、糖尿病等の生活
習慣病やこれが重症化した虚血性心疾患、脳卒中等の発症リスクの低減を図ることが可
能となります。ゆえに、特定健康診査・特定保健指導の対象となる生活習慣病は、メタ
ボリックシンドローム該当者・予備群とします。
3.メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目する意義
平成17年4月に、日本内科学会等内科系8学会が合同でメタボリックシンドローム
の疾患概念と診断基準を示しました。
これは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として、高血糖、脂質異常、高血圧を呈する病
態であり、それぞれが重複した場合は、虚血性心疾患、脳血管疾患等の発症リスクが高
く、内臓脂肪を減少させることでそれらの発症リスクの低減が図られるという考え方を
基本としています。
すなわち、内臓脂肪型肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧は予防可能であり、
また、発症してしまった後でも、血糖、血圧等をコントロールすることにより、心筋梗
塞等の心血管疾患、脳梗塞等の脳血管疾患、人工透析を必要とする腎不全などへの進展
や重症化を予防することは可能であるとの考え方です。
メタボリックシンドロームの概念を導入することにより、内臓脂肪の蓄積、体重増加
が血糖や中性脂肪、血圧などの上昇をもたらすとともに、様々な形で血管を損傷し、動
脈硬化を引き起こし、心血管疾患、脳血管疾患、人工透析の必要な腎不全などに至る原
因となることを詳細にデータで示すことができるため、健康診査受診者にとって、生活
習慣と健康診査結果、疾病発症との関係が理解しやすく、生活習慣の改善に向けての明
確な動機づけができるようになると考えます。
5
■メタボリックシンドロームの診断基準■
腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上であることに加え、次の
3項目のうち2つ以上が該当する場合
(1)収縮期血圧(最高血圧)が 130mmHg 以上か、拡張期血圧(最低血圧)
が 85mmHg 以上のいずれか、もしくは両方に該当する
(2)空腹時の血糖値が 110mg/dl 以上に該当する
(3)中性脂肪が 150mg/dl 以上かHDLコレステロールが 40mg/dl
未満のいずれか、もしくは両方に該当する
■ メタボリックシンドロームの概念図 ■
食べ過ぎ・運動不足・喫煙など
悪い生活習慣の積み重ね
内臓脂肪がたまる〔内臓脂肪型肥満〕
・中性脂肪が多い
・HDL コレステロール
が少ない
〔脂質代謝異常〕
血圧が高め
血糖値が高め
〔血圧高値→高血圧〕
〔高血糖→糖尿病〕
2つ以上が当てはまると
メタボリックシンドローム
動脈硬化
心臓病
脳卒中
6
その他の動脈硬化性疾患
4.内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防のための健康診査・保健指導の基本的な
考え方
これまでの健診・保健指導
健診・
保健指導
の関係
特 徴
目 的
健診に付加した保健指導
最新の科学的
知識と、課題
抽出のための
分析
これからの健診・保健指導
内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防のた
めの保健指導を必要とする者を抽出する健診
プロセス(過程)重視の保健指導
結果を出す保健指導
個別疾患の早期発見・早期治療
内臓脂肪型肥満に着目した早期介入・行動変容
リスクの重複がある対象者に対し、医師、保健師、管理栄養士
等が早期に介入し、行動変容につながる保健指導を行う
内 容
健診結果の伝達、理想的な生活習慣
に係る一般的な情報提供
自己選択と行動変容
対象者が代謝等の身体のメカニズムと生活習慣との関係を理解
し、生活習慣の改善を自らが選択し、行動変容につなげる
保健指導
の対象者
健診結果で「要指導」と指摘され、
健康教育等の保健事業に参加した者
健診受診者全員に対し、必要度に応じ、階層化
された保健指導を提供
リスクに基づく優先順位をつけ、保健指導の必要性に応じて「情
報提供」「動機づけ支援」「積極的支援」を行う
方 法
評 価
実施主体
一時点の健診結果のみに基づく保健
指導
画一的な保健指導
健診結果の経年変化及び将来予測を踏まえた保
健指導
データ分析等を通じて集団としての健康課題を
設定し、目標に沿った保健指導を計画的に実施
個々人の健診結果を読み解くとともに、ライフ
スタイルを考慮した保健指導
アウトカム(結果)評価
アウトプット(事実実施量)評価
実施回数や参加人数
市町村
行動変容を促
す手法
糖尿病等の有病者・予備群の25%減少
医療保険者
5.計画の性格
この計画は、
「高齢者の医療の確保に関する法律第18条」に基づき、栗山町国民健
康保険が策定する計画であり、北海道医療費適正化計画と十分な整合性を図るものとし
ます。
【高齢者の医療の確保に関する法律 第 18 条】
7
6.計画の期間
この計画は、5年を一期とし、第1期は、平成20年度から平成24年度とし、5年
ごとに見直しを行います。
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
【高齢者の医療の確保に関する法律 第 19 条】
7.計画の目標
この計画の実行により、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者・予備
群が減少すること目指し、特定健康診査等の実施及び成果に係る目標値を設定し、その
達成に向けた取り組みを強化します。
<平成24年度までに達成しようとする目標値>
① 特定健康診査の受診率:65%
② 特定保健指導の実施率:45%
③ メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率:10%
1)特定健康診査受診率の向上方策
健診受診率を向上するには、未受診者の実態把握が必須です。栗山町においては、健診
受診率は低く、かつ医療機関にすでに通院中の方も多いという現状にありますが、新たに
医療機関での個別健診が可能となるため受診数増加が期待されます。
しかし、生活習慣病予防の観点から、医療機関に通院していない方の理解促進に重点を
置く必要があります。よって、今後の受診者動向を注視し、未受診者の実態把握に努め、
適切な勧奨方法(未受診者対策)や受けやすい健診体制を構築していきます。
また、今後の健診対象となる若年層(39歳以下)へ、健康や健診に対する関心を高め、
対象年齢到達時には健診を受診してもらえるような、アプローチ方法を検討していきます。
8
2)特定保健指導実施率の向上方策
健診受診後の保健指導は、健診結果内容を問わず原則全員を対象に、主に家庭訪問や結
果説明会、来所相談にて行ってきました。結果を直接手渡しして説明することで、従来か
らあった“健診結果が悪い時(精密検査が必要等)に、保健師から連絡がくる”という意
識から“健診結果は保健師が説明にくる”という意識へ変化してきています。
今後も、
「全員に結果説明を行う」ことを原則に、集団健診後に行う健診結果説明会にて、
結果説明を行い、その後、必要な方を対象に特定保健指導を行います。個々にあった丁寧
な結果説明を行うことで、健診受診の利点を理解し継続した健診受診を勧奨、またスムー
ズな特定保健指導への導入を図っていきます。
説明内容は様々な資料を活用し「身体のメカニズム」
「重症化のメカニズム」の視点を重
点的に説明し、生活改善への動機付けを行ってきました。今後も、
「標準的な健診・保健指
導プログラム(確定版)
」の学習教材等、様々な指導用教材を活用し、町民にわかりやすい
結果説明と生活改善に向けた動機付けに努めていきます。
3)メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少方策
メタボリックシンドローム該当者を減少させるためには、未受診者対策と受けやすい健
診体制の構築といった健診受診率の向上、わかりやすい学習教材の作成や効果ある保健指
導の方法といった保健指導実施率の向上が重要です。栗山町の現状として、メタボリック
シンドロームでは糖尿病・高血圧の重複が多く、医療の分析からも、虚血性心疾患や脳血
管疾患、人工透析患者の基礎疾患に、糖尿病・高血圧が多いです。そのため、健診項目に、
HbA1c(平均血糖)や血清クレアチニン、血清尿酸値等の糖代謝および腎臓機能の検査項
目を追加し、さらに、必要な方には75g 糖負荷検査や頸部エコー検査等の詳細な検査を受
けられる体制として、保健指導の効果をさらに上げるよう努めていきます。
9
第2章
健康状態の現状と課題
1.栗山町の特徴
栗山町は年々高齢化率が高くなり、平成19年4月には 30%を超えました。要介護
認定率は全道並ではあるものの、要介護2以上の重度の認定率は高い状況です。また、
国民健康保険による医療給付費も依然、全道平均を上回っており大きく好転する状況に
はありません。
人口の年齢別構成(平成17年の人口のピラミッド)によると、50歳代の占める割
合が多く次いで40歳代と当面、高齢化が進む傾向にあります。
このことから、特に40歳代からの早期対応により予防可能な生活習慣病対策を行うこ
とで、健康な生活を実現し、ひいては医療給付費・介護給付費の縮減につながるものと
考えます。
(資料1参照)
平成17年の人口ピラミッド
平成17年男
平成12年男
平成17年女
平成12年女
(歳)
85∼
80∼84
75∼79
70∼74
65∼69
60∼64
55∼59
50∼54
45∼49
40∼44
35∼39
30∼34
25∼29
20∼24
15∼19
10∼14
5∼9
0∼4
800
(人)
600
400
200
0
0
200
400
600
800
(国勢調査の結果から)
10
2.生活習慣病の治療状況
栗山町国保被保険者における健康課題について、1 ヶ月分(平成19年3月診療分)
のレセプト(診療報酬明細書)
、および長期入院リスト等の統計資料より分析しました。
その結果、主に次の項目に掲げる傾向がありました。
(1)高額医療者では糖尿病や高血圧を重ねもち、虚血性心疾患を発症する場合が多
く、さらに大動脈疾患や脳血管疾患を合併して医療費が高額になる。また、長
期入院患者に、脳血管疾患や虚血性心疾患を傷病名にもっている方が多いこと
からも高額医療とのつながりが伺える。
(2)人工透析患者の状況(12 人)では、糖尿病性腎症が 58.3%(12 人中 7 人)を
占めており、基礎疾患に高血圧・高尿酸血症を重ねもっている方が多い。また
現段階でも、糖尿病治療者で腎臓障害を合併している方、つまり人工透析予備
群が82人と多数存在している。
(3)国保被保険者全体の2人に 1 人(42.2%)は医療にかかっている。治療疾患は、
高血圧を中心に、高脂血症・糖尿病を重ねもった方が多い。年齢では、40歳
代から生活習慣病の治療が開始されており、心臓血管変化(虚血変化)の合併
も若い年代からみられている。性差では、男性の方が各疾患ともに治療してい
る割合は高い。
この分析から、生活習慣に起因する基礎疾患を重ねもつことで重症化に至るため、基
礎疾患を重ねもつ前の若い年代からの予防活動が必要です。そして血管が傷んだ結果で
ある脳血管疾患や虚血性心疾患、さらに腎臓障害などを防ぐには、自覚症状なく、血管
を傷め続ける糖尿病を中心とした予防活動が重要です。
①高額医療(50万円以上)になる疾病
高額な医療費を要する疾患は、虚血性心疾患、大動脈疾患、脳血管疾患と考え
られ、31人中19人が占めており 61.3%になっています。
基礎疾患では、糖尿病が 58.1%と最も多く、次いで高血圧が 48.4%と多くなっ
ています。また、下表のとおり、100万以上の高額医療になると、虚血性心疾
患の割合が高くなる傾向が伺えます。
右は各疾患
虚血性心疾患
大血管疾患
脳血管疾患 閉塞性動脈硬化
件数
割合
件数
割合
件数
割合
件数 割合
述べ件数を
9 表記
4 40.0%
2 20.0%
3 30.0%
2 20.0%
22
6 28.6%
5 23.8%
8 38.1%
4 19.0%
実人数 重複により
100万円台
100万円以下
(資料2参照)
11
②長期入院の状況
老人医療受給者において6ヶ月以上入院している方は71人であり、虚血性心
疾患、大動脈疾患、脳血管疾患などの循環器疾患が傷病名に上がっている方が5
8人(81.7%)になっています。一般・退職者においても同様に、虚血性心疾患、
大動脈疾患が傷病名に多く上がっています。
【平成18年度 6ヶ月以上入院一覧】
*一般・退職者(1年間のレセプトから)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
性別
年齢
女
男
男
男
男
女
男
男
男
74
72
71
71
69
63
63
48
42
入院
時年
齢
68
71
64
70
68
61
59
41
41
件数
心疾患
虚血性心疾患
大動脈疾患
●
●
●
●
●
脳血管疾患
閉塞性動脈
硬化症
●
●
●
●
●
●
●
●
5
3
3
2
*老人医療受給者(1年間のレセプトから)
心疾患
年齢
60∼69
70∼79
80∼89
90∼100
実人数
男
1
0
0
0
0
女
2
0
0
2
0
男
7
3
4
6
0
女
14
4
6
9
0
男
14
4
4
8
2
女
21
6
11
13
4
男
1
0
0
1
0
女
11
7
3
10
2
24
28
49
8
実人数合計
虚血性心疾患 大動脈疾患
脳血管疾患
閉塞性動脈硬
化症
性別
71
件数
③生活習慣病全体の状況
生活習慣病の罹患率は、男女共に、40歳代ですでに 15%前後います。また、
60歳代には 40%を越えて約半数となり、2人に1人は生活習慣病で医療にか
かっている状況です。
12
生活習慣病治療者のうち、男女共に、圧倒的に高血圧症(70.7%)が多く、次
いで高脂血症(49.9%)
、糖尿病(32.1%)
、高尿酸血症(9.3%)の順となって
います。
(資料3参照)
④高血圧症の状況
高血圧症治療者の基礎疾患占有率(合併率)について、男性は高脂血症(43.0%)
の次に糖尿病(35.0%)が多く、また、女性より糖尿病の合併率が高いことが伺
われます。虚血変化治療者及び脳梗塞治療者の基礎疾患においても高血圧の合併
率が一番多く、次いで高脂血症、糖尿病の順となっています。ゆえに高血圧症を
中心に、高脂血症・糖尿病を重ね持った方が多いと言えます。
(資料4参照)
⑤糖尿病の状況
糖尿病治療者は、全体の約 1 割で、男性が多いです。また、糖尿病治療中の男
性では、女性に比べて、40歳代からすでに、他の基礎疾患や虚血変化を合併し
ており、合併率もどの疾患においても高いです。
糖尿病合併症の状況は、男性では人工透析・腎臓障害が女性より多く、女性は、
インスリン治療・網膜変性症が男性より多い。腎臓障害合併者82人(人工透析
合併者6人を除く)は人工透析予備群と言えます。
(資料5参照)
⑥高脂血症の状況
高脂血症治療者の基礎疾患占有率(合併率)は、どの疾患においても女性より
男性の方が高いです。また、40歳代で高血圧 37.5%を合併し、50歳代でさ
らに合併率は 70.8%と高まっています。
(資料6参照)
⑦虚血性心疾患の状況
虚血変化は、40歳代からみられ、女性よりも男性の方が多いです。男性につ
いては基礎疾患との合併率も2割前後と高いです。
(資料7参照)
⑧脳梗塞の状況
脳梗塞の発症は、男女共に、50歳過ぎから起こり、60歳を過ぎると実人数
は約5倍に増えています。 (合計の実人数:50~59歳15人⇒60~69歳70人)
(資料8参照)
⑨人工透析の状況
腎機能低下による人工透析患者12人の基礎疾患をみると、高血圧症10人・
高尿酸血症8人・糖尿病7人の順に多く、更に基礎疾患を重複している方が多い
です。したがって、腎機能低下の要因となる基礎疾患を予防することにより、人
工透析を避けることが可能と考えられます。
(資料9参照)
13
3.基本健康診査結果による状況
基本健康診査結果については、受診率が低いため、十分な健康課題の把握ができない
ことから、そもそもの受診率が低いことが大きな課題です。
しかしながら、現状で可能な分析では、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
該当者は全国並みに存在しており、その疾患の組み合わせでは血糖値及び血圧値異常が
多いです。
1)基本健康診査状況
従来から、栗山赤十字病院にて通年受診できる「いきいきミニドック」や、食品関
係の事業所や小規模事業所を対象とした「営業者健診」
、65歳以上の高齢者を対象と
した「いきいき健診」などの集団健康診査を実施してきましたが、次のとおり受診率
は低い状況です。
<平成17年度 基本健診受診率>
H17年度基本健診受診率
全国(H16 年度値)
道
町
44.8%
33.6%
24.8%
(平成 18 年版 空知地域保健情報年報より)
<国保被保険者の受診者数>
健診受診者
92
国保被保険者
916
健診受診者
182
国保被保険者
1,770
健診受診者
195
国保被保険者
1,087
健診受診者
332
国保被保険者
2,016
10.0%
40∼64歳
男
性
10.3%
40∼74歳
17.9%
40∼64歳
女
性
16.5%
40∼74歳
※国保被保険者数は平成17年度平均、受診者数は平成18年度実績で算出
(資料 10 参照)
14
2)メタボリックシンドローム危険因子の重複状況
基本健康診査の受診者全体の分析から、40歳から70歳までのメタボリックシンドロ
ーム該当者は、男性 26.5%女性 19.9%と男性に多くみられます。
危険因子(基礎疾患)の重複では、男女ともに、高血糖+高血圧の2項目重複の場合が一
番多く、次いで高血糖1項目のみの場合が多い状況です。高血糖+高血圧+高脂血症の3
項目重複の場合は男性 24%女性 18.8%と男性の方が高いことが伺えます
<メタボリックシンドローム該当者数>
(40歳∼74歳)
平成18年度の基本健康診査の受診者 699人
男性
226
女性
人
473
人
腹囲などの状況
基準:BMI(25以上)または腹囲(男≧85cm 女≧90㎝)
男性
女性
基準値以上
基準値以下
基準値以上
基準値以下
A
B
C
D
104 46.0 122 54.0 144 30.4 329 69.6
人
%
人
%
人
%
人
%
男性 104 人
女性 144 人
メタボリックシンドローム予備軍 メタボリックシンドローム該当者
E
44
人
(E/226人) F
19.5%
60
人
メタボリックシンドローム予備軍
(F/226人) G
26.5%
50
人
メタボリックシンドローム該当者
(G/473人) H
10.6%
94
人
(H/473人)
19.9%
(資料 11・12 参照)
15
第3章
特定健康診査・特定保健指導の実施
1.特定健康診査・保健指導実施の基本的考え方
予防に着目した効果的・効率的な特定健康診査・保健指導実施のための取り組みを強
化します。
①健診未受診者の確実な把握
②保健指導の徹底
③医療費適正化効果までを含めたデータの蓄積と効果の評価
2.各年度の目標値
「特定健康診査等基本指針(案)
」の参酌標準をもとに、栗山町国民健康保険における各
年度の目標値を下記のとおり設定します。
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
3,497 人
3,462 人
3,409 人
3,375 人
3,341 人
25%
35%
45%
55%
65%
874 人
1,212 人
1,534 人
1,856 人
2,172 人
45%
45%
45%
45%
45%
59 人
82 人
104 人
126 人
148 人
―
―
―
―
10%
対象被保険者
数(40~74 歳
までの国保加
入者数)
特定健康診査
の受診率
想定
人数
特定保健指導
の実施率
想定
人数
内臓脂肪症候
群の該当者・
予備群の減少
率
*平成 20 年度対象被保険者数は、国民健康保険被保険者年齢別調査表(平成 20 年 3 月 31
日処理日)により算出しています。
16
3.特定健康診査の実施方法
1)対象者
栗山町国民健康保険被保険者のうち、特定健康診査の実施年度中に40歳から74歳
となる者で、かつ当該実施年度の一年間を通じて加入している方とします。
(対象にならない方)
「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」の規定に基づき、下記の方は
対象外になります。
(1) 妊産婦
(2) 刑事施設・労役所その他これらに準ずる施設に拘禁された者
(3) 国内に住所を有しない者
(4) 船員保険の被保険者のうち相当な期間継続して船舶内にいる者
(5) 病院又は診療所に6ヶ月以上継続して入院している者
(6)
高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第55条第1項
第2号から第5号までに規定する施設に入所又は入居している者
2)実施形態
栗山町と委託契約を締結した健診(医療)機関において、集団健診及び個別健診を実施
します。
(1) 集団健診は、年6回(平成20年度計画)
、がん検診と同時開催で実施します。
(2) 個別健診は、医療機関にて、通年受診できる体制を整えます。
3)実施機関
受診者の利便性を考慮し、
「特定健康診査の外部委託に関する基準(特定健康診査・特定
保健指導の円滑な実施に向けた手引き)」を満たす健診(医療)機関に委託します。
※
栗山町農業協同組合で実施している、組合員を対象とした健康診査については、特
定健康診査に係る項目について、町の委託とします。
4)実施項目
(1)内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防のための保健指導を必要とする者を抽
出する健診項目とします。
(2)健診受診者にリスクに基づく優先順位をつけ必要に応じた保健指導レベル別の内
容を決定する際に活用する質問項目とします。
17
<基本的健診項目>
国が示す
必須項目
町実施項目
●
実施
身長
●
実施
体重
●
実施
肥満度・標準体重
●
実施
腹囲
●
実施
理学的所見(身体診察)
●
実施
血圧
●
実施
中性脂肪
●
実施
HDL−コレステロール
●
実施
LDL−コレステロール
●
実施
AST(GOT)
●
実施
ALT(GPT)
●
実施
γーGT(γーGTP) ●
実施
腎機能 血清クレアチニン
★
実施
空腹時血糖
△
実施
血清尿酸
★
実施
ヘモグロビンA1c
△
実施
半定量
●
実施
尿蛋白 半定量
●
実施
検査項目
質問(問診)
計
測
診
察
等
脂
質
基
本
検
査
肝
機
能
血
液
検
査
代
謝
系
尿糖
尿
実施理由
必須項目に準じる
★腎臓透析患者
および予備群の
状況から必要
△糖尿病患者お
よび予備群の状
況から必要
必須項目に準じる
〔詳細健診項目〕
検査項目
詳
細
検
査
血
液
検
査
血
液
一
般
心機能
実施項目
ヘマトクリット値
○
血色素測定
○
赤血球数
○
12誘導心電図
○
実施
○
実施
眼底検査
※摘要
●=必須項目
○=医師の判断基準に基づき選択的に実施する項目
△=いずれかの項目の実施で可
★=必要に応じて実施することが望ましい
18
実施
実施判断基準
貧血の既往歴を有す
る者又は視診等で貧
血が疑われる者
前年度の健診結果で
血糖・脂質・血圧・
肥満の全てに該当し
た者
5)健診委託単価及び自己負担割合
委託単価は医療機関の設定した額に応じ、自己負担は委託単価の3割に設定します。
6)受診案内
年度当初に受診券を発行し、特定健康診査受診の案内とともに郵送します。
19
7)事務フローチャート
(1)特定健康診査の実施
国保加入者
健診機関(指定)
代行機関(国保連合会)
受診券
(指定健診機関)
被保険者証、受診
券を窓口に提出
保険者(栗山町)
受診券発行
台帳
被保険者
台帳
受診券
(指定健診機関)
被保険者証、受診
券を確認(受診券を
受取り、保管)
窓口での負担額
を支払
窓口での負担額
を請求
特定健診を受診(実施)
健診データを入力
健診データ管理
台帳
(2)特定健康診査の結果説明
国保加入者
健診機関(指定)
代行機関(国保連合会)
保険者(栗山町)
健診データを入力
健診データ管理
台帳
メタボリックシンド
ローム判定の実施
結果通知表
(結果説明)
結果通知表を保存
結果通知表を出
力・送付
結果データの
受理
結果通知表のメタボリックシン
ドローム判定区分欄に以下の
いずれかを記載する。
・基準該当
・予備群該当
・非該当
結果データ
(結果説明)
20
健診(医療)機関の依
頼により結果説明を実
施
(3)特定健康診査の結果データの保険者への送付
国保加入者
健診機関(指定)
代行機関(国保連合会)
保険者(栗山町)
健診データ管理
台帳
健診データファイル
健診データファイルを作成、送付
健診データファイル
を読込
簡単な事務点検を実施
被保険者番号、受診券発行番
号等を用いて特定健診の受給
資格を確認する。健診機関との
契約情報を用いて請求額等を
確認する。
疑義があれば、健診機関に返
戻する。
保険者別健
診データ
保険者別に健診データ
ファイルを作成、送付
健診データファイル
(4)特定健康診査の結果データ管理と保健指導
国保加入者
健診機関(指定)
代行機関(国保連合会)
保険者(栗山町)
健診データファイル
健診データファイル
を読込
簡単な事務点検を実施
保険者においても簡単な事務
点検を実施する。疑義があれ
ば代行機関に返戻する。
特定健診記録
台帳
保健指導の対象者リス
トを出力・確認
保健指導の開始
21
8)基本的な年間スケジュール
基本的年間スケジュール
特定健康診査
特定保健指導
・健診機関・保健指導機関との契約
4月 ・健診対象者の抽出
・受診券等の印刷及び送付(随時も可)
5月
・特定健診の開始(個別健診は医療機関と
受診者の都合で調整)
(集団健診は結果説明会実施)
・保健指導の開始
6月
7月
8月
5 月診療分のレセプト分析を実施
3∼6ヶ月期間で実施
9月
10月
11月
・適時、少人数のグループ支援を実施
12月
1月
2月
3月
・当該年度の実績は翌年度の中頃に確定
- 22 -
4.特定保健指導の実施方法
1)保健指導対象者の選定と階層化
(1)特定保健指導の基本的考え方
①特定保健指導は内臓脂肪型肥満に着目し、その要因となっている生活習慣病を改
善するための保健指導を行います。対象者が自らの生活習慣における課題を認識
し、行動変容と自己管理を行うとともに健康的な生活を維持することができるよ
うになることを通じて、糖尿病等の生活習慣病を予防することを目的とします。
②特定健康診査の結果に基づき、特定保健指導の対象者を選定し階層化する基準、
及び特定保健指導として行う積極的支援及び動機付け支援の内容については、
「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」で定められた方法で実施
します。
(2)特定保健指導の対象とならない受診者への対応
受診者の健康の保持及び増進、さらに医療費適正化のため、特定保健指導対象外
の全受診者に対して、特定健康診査の結果を活用し、生活指導や受診の勧奨等
個々に必要な保健指導の実施に努めます。
(資料 13 参照)
2)保健指導対象者数の見込み
糖尿病等生活習慣病予防のための健診・保健指導のフローチャートに基づき、健康診
査結果から保健指導レベル別に4つのグループに分けます。
(対象者数の推計は平成 19 年 4~9 月基本健診受診者
(国保被保険者)の健診結果分析から算出)
レベルX
(健診未受診者グループ)
実態把握と特定健診への受診勧奨が必要な方
現在、生活習慣病で服薬治療を受けている方。
(対象疾患は様式 6-10 に記載)
また、主治医(健診医)より保健指導の必要が
あるとの指示があった方も含める。
特定健診の結果が、受診勧奨判定値であり、健
レベル3
診機関の医師の判断により医療機関受診が必
(医療機関受診勧奨グループ)
要とされた方
レベル2
特定健診の結果、階層化により、動機付け支援
(特定保健指導グループ)
及び積極的支援となった方
特定健診の結果、階層化により情報提供となっ
レベル1
た方及び、肥満のリスクはないが追加リスク数
(特定保健指導以外の保健指導 (血糖・脂質・血圧)において情報提供となっ
グループ、情報提供グループ) た方を情報提供グループ、それ以外の方を特定
保健指導以外の保健指導グループと区別する。
レベル4
(生活習慣病治療中グループ)
(資料 14 参照)
- 23 -
3)保健指導の優先順位
特定保健指導対象者が最優先ですが、特定保健指導対象者以外の方に対しても、リス
クの該当がある場合は、個々に必要な保健指導を実施することで、病気の発症及び重症
化予防の視点で医療費適正化に寄与できます。よって、医療の必要性がない方で、リス
ク数が多い方を優先とし、さらに各グループ内においては年齢が若い方を重点とします。
〔優先順位とその理由〕
優
先
保健指導区分
順
位
特定保健指導
1
グループ
特定保健指導以外
2
で保健指導が必要
なグループ
3
4
5
情報提供グループ
医療受診勧奨
グループ
生活習慣病治療中
グループ
理 由
特定健康診査等の評価指標である特定保健指導実施率向
上及び、医療費適正化計画の目標達成に寄与できる。
自己管理に向けた継続支援が必要であり、病気の発症予防
の視点で医療費適正化に寄与できる。また継続受診勧奨に
より、特定健康診査実施率向上に寄与できる。
病気の発症予防の視点で医療費適正化に寄与できる。また
継続受診勧奨により、特定健康診査実施率向上に寄与でき
る。
病気の発症及び重症化予防の視点で医療費適正化に寄与
できる。
すでに病気を発症していても重症化及び合併症予防の視
点で医療費適正化に寄与できる。
(資料 15・16 参照)
4)目標の設定
糖尿病や高血圧の早期発見と重症化予防に重点を置き、下記の順に優先とします。
また、保健指導区分毎に該当者数やリスク数の増減など健診結果の数値を年度毎に比較
し、悪化しないことを目標に設定します。
<保健指導全体の目標>
1.健診結果において、特定保健指導グループに該当する割合が増加しない。
2.健診結果において、肥満・血糖・脂質・血圧のリスク数が減った方が増加する。
3.健診結果において、血糖値(HbA1c)が改善した方が増加する。
4.レセプト分析において、糖尿病および高血圧の治療者が増加せず、合併症(糖
尿病合併症・虚血性心疾患・脳疾患)を重ね持つ者が増加しない。
5)保健指導実施計画
(1)集団健診実施後
全受診者を対象に健診結果説明会を開催し、健診結果説明を実施します。同時に、
保健指導グループ毎に下記の方針で対応し、特定保健指導対象者については、説
明会後、個々の状況に合わせた支援を展開していきます。
- 24 -
<支援方針と面接時間の目安>
保健指導区分
特定保健指導
グループ
特定保健指導以外で
保健指導が必要な
グループ
情報提供
グループ
医療受診勧奨
グループ
生活習慣病治療中
グループ
※面接時間:最低限必要な時間
面接時間の
支援方針
目安
健診結果説明時に特定保健指導対象者であ
1 回 1 時間
ることを説明。その後の指導を受けてもら
えるよう関係を築き、個々に応じた支援を (年2~6 回)
展開する。
健診結果説明及び個々に応じた支援を展開
する。
1 回 45 分
(年 1 回)
健診結果説明を個々に応じて行い、健康に
対する関心を高め、今後の継続受診を促す。
健診医による指示に従い、個々に応じた健
診結果説明及び支援を展開する。
健診結果説明を個々に応じて行い、健診結
果を診療に活用してもらうよう説明し、治
療疾患の重症化及び合併症の発症を予防す
る。
1 回 45 分
(年 1 回)
1 回 45 分
(年 1 回)
1 回 1 時間
(年1回)
(2)個別健診実施後(医療機関での受診)
全受診者に対し、かかりつけ医(健診医)と連携しながら、個々に必要な保健指
導を実施します。
(3)健康教室の実施
主に特定保健指導グループを対象に、集団指導の場として、糖尿病予防をテーマ
とした健康教室(元気が一番教室)を開催します。利用者の利便性を考慮し、集
団健診後の時期に合わせて実施します。
(資料 17・18・19 参照)
6)保健指導実施者の人材確保と資質向上
専門職としての資質の向上を図るため、
「地域・職域連携推進協議会」の実施する健
診・保健指導プログラムの研修等に積極的に参加するとともに、関係者による事例検討
も実施します。また、5年後の目標達成に向け、効果的な保健指導を展開できる人員体
制にします。
役 場
職種
国保( )は臨職等
保健( )は臨職等
保健師
(1)
専任3、兼任4
管理栄養士
(1)
事務員
1
- 25 -
第4章
特定健康診査・特定保健指導の記録の管理
1.特定健康診査等の記録の管理
1)特定健康診査等のデータの形式
特定健康診査等のデータ互換性を確保し、継続的に多くのデータを蓄積していくため、
国において設定された電子的な標準様式を利用し保存するものとし、電子データでの送
受信を原則とします。
2)特定健康診査結果通知
特定健康診査の受診者に対する通知は次の様式で行います。本通知を個人の健康情報の
管理に役立ててもらうために、健診結果の見方や健康の保持・増進に関する内容の情報も
併せて送付します。
(表面)
特定健康診査受診結果通知表
フリガナ
生年月日
氏 名
既
往
服
性別/年齢
覚
症
状
他
覚
症
状
喫煙歴
項
目
基 準 値
身
長
(cm)
体
重
(kg)
腹
囲
(cm)
身 体 計 測
B
M
I
収 縮 期 血 圧
(mmHg)
拡 張 期 血 圧
(mmHg)
中
圧
血中脂質検査
肪
(mg/dl)
HDL−コレステロール
性
(mg/dl)
LDL−コレステロール
(mg/dl)
G
肝機能検査
血 糖 検 査
(い ずれか の項目 の実施 で可)
脂
O
G
P
T
(IU/l)
T
(IU/l)
P
(IU/l)
空 腹 時 血 糖
(mg/dl)
ヘモグロビンA 1 c
(%)
γ
−
G
T
糖
検
特定健康診査
歳 受診券番号
男・女
歴
自
尿
年 月 日
歴
薬
血
年 月 日 健診年月日
査
蛋
白
- 26 -
今
年
月
回
日
前
回
年 月 日
前
々
回
年 月 日
(裏面)
貧 血 検 査
心
検
電
赤
血
球
数
(万/㎣)
血
色
素
量
(g/dl)
ヘマトクリット値
(%)
図
査
所
見
眼 底 検 査
所
見
メタボリックシンドローム判定
医師の判断
判断した医師の氏名
(備考)
1.この用紙は、日本工業規格A列4版とすること。
2.「性別」の欄は、該当しない文字を抹消すること。
3.基準値を外れている場合には、「*」を測定結果欄に記入すること。
4.「メタボリックシンドローム判定」の欄は、「基準該当/予備群該当/非該当」を記入すること。
5.「医師の判断」の欄は、
①特定健康診査の結果を踏まえた医師の所見
②貧血検査、心電図検査及び眼底検査を実施した場合の理由
を記入すること。
2.個人情報の保護に関する事項
特定健康診査等のデータ等に記載された個人情報については、個人情報保護法(平成1
5年法律第57号)及び同法に基づくガイドライン(
「医療・介護関係事業者における個人
情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
、「栗山町個人情報保護条例(平成8年9月1
9日条例第10号)
」に基づき、厳正に管理します。
3.特定健康診査等のデータ保存期間
特定健康診査等のデータの保存義務期間は「特定健康診査及び特定健康保健指導の実施
に関する基準」に基づき、データ策定の日から最低5年間または国民健康保険被保険者が
他の医療保険者の加入者となった日の属する年度の翌年度の末日までとなりますが、標準
的なプログラムでは生涯を通じた自己の健康管理の観点から、継続的な健康診査等のデー
タが必要であるとされているため、被保険者となっている限りはデータ等の保存に努めま
す。
また、保存してあるデータを被保険者の求めに応じて当該被保険者に提供するなど、被保
険者が生涯にわたり自己の健康診査情報を活用し、自己の健康づくりに役立てるための支
援を行うよう努めます。
- 27 -
第5章
特定健康診査等実施計画の推進
1.特定健康診査等実施計画の参酌標準と後期高齢者支援金の関係
平成20年度からの75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」で給付費の一部(4
割)を74歳以下が加入している保険者が支援し(支援金)
、残り5割を国等が公費で、
1割が75歳以上の保険料で負担することとなります。
保険者が負担する後期高齢者支援金については、国が「特定健康診査等基本指針」で示
す「特定健康診査等の実施及びその成果にかかる目標に関する基本的な事項」
、及び保
険者が「特定健康診査等実施計画」で定める「特定健康診査等の実施及びその成果に関
する具体的な目標」の達成状況を勘案して、±10%の範囲内で、政令で定める方法に
より、加算・減算等の調整を行う(法第120条第2項・第121条第2項)こととさ
れており、平成25年度から納付される後期高齢者支援金に適用される(法附則第15
条)ことになります。
そのため、この特定健診・特定保健指導では、実施主体の効率・効果的な実施だけでは
なく、被保険者の理解と実践が最も必要となり、生活習慣病を予防することが医療費の
伸びの抑制と後期高齢者支援金の負担軽減となり、結果、被保険者の負担を減らすこと
になります。
【高齢者の医療の確保に関する法律】
- 28 -
【高齢者の医療の確保に関する法律附則】
【加算・減算のイメージ】
2.特定健康診査等実施計画の評価
本計画の評価は、特定健康診査及び特定保健指導に関する実績、特定健康診査結果分
析や国保被保険者のレセプト分析により、設定した目標達成状況について評価します。
また、各年度毎の目標値については、前年度までの実績を基に毎年度、見直します。
1)特定健康診査・特定保健指導の実施率
これらの実施率については、実施計画において毎年度の目標値を設定していることか
ら、実施率を翌年度に確認して達成状況を把握します。未受診者の状況から受けやすい
健診体制の見直し、また、健診結果の分析から、保健指導方法や優先順位などの保健指
導実施体制を毎年度見直していきます。
2)メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率
目標値は平成24年度時点での平成20年度との比較で、平成25年度に検証し、5
年間の成果の検証に活用します。
3)その他
実施計画上の内容と、実際の実施状況・結果や利用者の満足度(調査結果)等と総合
的に比較し、計画通りか否かを整理します。
- 29 -
3.特定健康診査等実施計画の公表・周知
日本内科学会をはじめとする8学会により、メタボリックシンドロームの概念が提唱
され、内臓脂肪が原因で高血糖になる糖尿病、高血圧による高血圧症等の生活習慣病は、
内臓脂肪を減らすことにより、予防が可能であることが明らかになりました。
(1)保健師・管理栄養士が医学的根拠に基づいた保健指導を実施すれば、内臓脂肪
を減らすことができる
(2)対象者が健診結果から代謝等の身体のメカニズムと生活習慣との関係を理解し、
生活習慣の改善を自ら選択し、行動変容につなげることができる。
(3)適度な運動と栄養改善で内臓脂肪を減少させることにより、血糖、血圧、脂質
等の検査結果を改善させることは可能である。
このことから、生活習慣病の改善により、若いときからの糖尿病等の生活習慣病の予
防対策を進め、糖尿病等を発症しない境界域の段階で留める事ができれば、通院患者を
減らすことができ、更には重症化や合併症の発症を抑え、入院患者を減らすことができ、
この結果、国民の生活の質の維持及び向上を図りながら医療費の伸びの抑制を実現する
ことが可能となります。
そのため、特定健康診査等実施計画及び趣旨の普及啓発について、本町の広報誌及び
ホームページへの掲載、保健事業等の実施に併せたパンフレットの配布など、公表・周
知を行います。
*8学会
日本内科学会、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、
日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本栓止血学界
- 30 -
平成20年3月
栗山町 住民福祉課
- 31 -