第1章 計画策定の背景及び趣旨 1. 第 2 期 特定健康健康診査等実施計画の策定にあたって 我が国は、国民皆保険のもと、誰もが安心して医療を受けることができる医療制 度を実現し、高い保健医療水準を達成して、世界有数の長寿国となっています。し かしながら、急速な少子高齢化、国民生活や意識の変化等、大きな環境変化に直面 しており、医療保険制度を堅持し、将来にわたって持続可能なものとしていくため には、その構造改革が急務となっています。とりわけ、糖尿病・脂質異常・高血圧 症等の生活習慣病対策が大きな課題となっております。 このような状況に対応するため、国の医療制度改革の一環として、平成 20 年度か ら医療保険者に対して、40 歳以上 74 歳までの方を対象に「特定健康診査・特定保 健指導」の実施が義務付けられました。 東京都信用金庫健康保険組合(以下「組合」という)では、高齢者の医療の確保 に関する法律(以下「法」という)第 18 条に定められた「特定健康診査等基本指針」 に基づき、平成 20 年度から 5 年間の第 1 期特定健康診査等実施計画(以下「第 1 期計画」という)を策定し、特定健康診査・特定保健指導を実施し、メタボリック シンドロームの早期発見と疾病予防に取組んできました。 第 2 期特定健康診査等実施計画(以下「第 2 期計画」という)においては、第 1 期計画の目標達成状況と取組内容を評価し、次期 5 年間の目標及び取組内容を定め、 被保険者とその家族の一人ひとりが健康づくりの主役となり、生活習慣病の予防、 早期治療、並びに症状の重症化予防を目指して、特定健康診査・特定保健指導の効 率的かつ効果的な実施及びその成果に係わる目標に関する基本的事項について定め ます。 2. 東京都信用金庫健康保険組合の現状 当組合は、信用金庫法に基づく金融を主たる業とする事業所及びその関連会社が 加入している総合組合です。 当組合の事業所数は平成 25 年 2 月現在 83 で、加入事業所のうち、信用金庫は 23 事業所、関係団体・関連会社は 60 事業所です。 また、被保険者数は 24,689 人、被扶養者数は 22,954 人で、被保険者の平均年齢 は 42.7 歳で、男性が全体の 67%を占めています。 3. 特定健康診査・特定保健指導の基本的な考え方 糖尿病等の生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、おなか まわりの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きくかかわっていることが分っ ています。 内臓脂肪型肥満が原因となって、高血糖、脂質異常、高血圧症等を引き起こし、 それぞれの要因が重複した場合は、血管の損傷や動脈硬化が生じて、症状の重症化 にともなって虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞等)や脳血管疾患(脳出血・脳梗塞等) の発症リスクが高まります。 この内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖・脂質異常・高血圧症のうち何れか 2 つ以 上をあわせもった状態を、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)といいま す。 特定健康診査は、生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的として、メタ ボリックシンドロームに着目し、生活習慣病予備群を改善するための特定保健指導 を必要とする者を的確に抽出するために行うものです。 また、特定保健指導では、適度な運動やバランスのとれた食事の定着を行うこと により、指導が必要となった者に対して、自らの行動変容と生活習慣の改善を図っ ていきます。 これにより、特定健康診査受診者にとっては、生活習慣、健康診査結果、疾病発 症との関係が理解しやすく、生活習慣改善の取組みが明確となり、自己の健康管理 に活かすことができるようになります。 4. 計画期間 本計画は、5 年を 1 期として策定するものであり、第 2 期計画期間は平成 25~29 年度の 5 年間と定められています。 第2章 第 1 期計画に基づく特定健康診査等の実施状況 1. 特定健康診査・特定保健指導の実施率等 当組合の特定健康診査の実施率は、平成 20 年度で 83.5%、平成 21 年度で 86.6%、 平成 22 年度で 86.8%、平成 23 年度は 87.9%となっており、上昇傾向が続いており ます。この状況は、当初の計画目標値を大きく上回ることとなりました。 要因としては、家族に対して実施しているママさんドック、ファミリードックと あわせて特定健康診査を実施したことが実施率向上に大きく影響していると考えて おります。 また、機関誌による各種健診の受診勧奨の PR 効果も、受診率向上の一因を担って いると思っております。 しかし、特定保健指導の実施率においては、平成 20~23 年度の実施率は上昇傾向 にあるものの、 「第 1 期計画」の目標値を達成することは困難な状況となっているの が現状です。 従って、 「第 2 期計画」の特定保健指導の目標値を達成するために、当組合として 目標達成に向けてさらに努力していきます。 -1- □ 平成 20~24 年度特定健康診査等の実施状況(国への実績報告値) 項目 H20 年度 H21 年度 H22 年度 H23 年度 H24 年度 (推計値) 特定健康診査実施率 76.0% 78.9% 79.2% 79.6% 80.0% 特定保健指導実施率 5.6% 14.7% 24.4% 34.5% 45.0% 特定健康診査実施率 83.5% 86.6% 86.8% 87.9% 88.0% 特定保健指導実施率 1.4% 8.9% 12.9% 17.0% 17.1% 対象者数 20,899 人 21,144 人 21,417 人 21,586 人 21,600 人 特定健康診査受診者数 17,455 人 18,312 人 18,598 人 18,977 人 19,000 人 特定保健指導対象者数 3,614 人 3,627 人 3,549 人 3,578 人 3,500 人 動機付け支援 1,305 人 1,407 人 1,381 人 1,439 人 1,400 人 積極的支援 2,309 人 2,220 人 2,168 人 2,139 人 2,100 人 特定保健指導実施者数(終了者) 49 人 324 人 459 人 609 人 600 人 動機付け支援 13 人 102 人 154 人 375 人 370 人 積極的支援 36 人 222 人 305 人 234 人 230 人 目標値 実績値 内訳 内訳 □ 被保険者・被扶養者別 特定健康診査実施の推移(国への実績報告値) 区分 H20 年度 H21 年度 H22 年度 H23 年度 男 10,346 人 10,597 人 10,639 人 10,818 人 女 2,117 人 2,388 人 2,570 人 2,786 人 12,463 人 12,985 人 13,209 人 13,604 人 男 14 人 21 人 23 人 21 人 女 4,978 人 5,306 人 5,366 人 5,352 人 小計 4,992 人 5,327 人 5,389 人 5,373 人 計 17,455 人 18,312 人 18,598 人 18,977 人 被保険者 小計 被扶養者 □ 被保険者・被扶養者別 特定保健指導実施の推移(国への実績報告値) 区分 H20 年度 H21 年度 H22 年度 H23 年度 男 48 人 296 人 396 人 522 人 女 1人 28 人 52 人 56 人 49 人 324 人 448 人 578 人 男 0人 0人 0人 0人 女 0人 0人 11 人 31 人 小計 0人 0人 11 人 31 人 計 49 人 324 人 459 人 609 人 被保険者 小計 被扶養者 -2- 2. 後期高齢者支援金の加算・減算措置について 国は、平成 24 年度の特定健康診査・特定保健指導の実施率、並びにメタボリック シンドローム該当者・予備群の減少率の指標をもとに、各医療保険者の後期高齢者 支援金に加算・減算措置を行うこととしていましたが、第 1 期については、特定健 康診査・特定保健指導の実施率が 0.1%未満の医療保険者に対して加算されること が示されました。 また、減算措置は特定健康診査と特定保健指導の参酌標準(目標)を両方達成し た保険者が対象となるため、当組合は、加算・減算のいずれの措置も講じられない こととなっております。 第3章 第2期実施計画 1. 国の目標値 国の特定健康診査等基本指針における平成 29 年度の全国目標値は、下表のとおり で、特定健康診査の実施率を 70%、特定保健指導の実施率を 45%、メタボリックシ ンドロームの該当者・予備群の減少率を平成 20 年度と比較して 25%削減すること としています。 但し、実施率については、医療保険者の種別によりそれぞれ基準値が設定され、 総合組合については特定健康診査を 85%、特定保健指導を 30%としています。 また、メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率については、この基 準値を必ずしも目標として設定する必要はなく、各医療保険者が数値を把握し、保 健事業に活用することが望ましいとしています。 □ 国の特定健康診査等基本指針における目標値(平成 29 年度目標値) 区分 全国目標 総合組合目標 特定健康診査実施率 70% 85% 特定保健指導実施率 45% 30% メタボリックシンドロームの該当者及び減少率 保険者の目標と 25% して設定する必 要はない -3- 2. 東京都信用金庫健康保険組合の目標値 国の示した総合組合の目標値は、平成 29 年度時点で特定健康診査 85%・特定保 健指導 30%となっておりますが、第 1 期計画の実績及び実施率向上にむけた取組状 況も踏まえ、当組合実施率の目標値を下表のように設定いたしました。 □ 年度別目標値 項目 H25 年度 H26 年度 H27 年度 H28 年度 H29 年度 特定健康診査実施率 85.0% 85.0% 85.0% 85.0% 85.0% 特定保健指導実施率 17.0% 20.0% 23.0% 26.0% 30.0% 21,600 人 21,600 人 21,600 人 21,600 人 21,600 人 被保険者 14,500 人 14,500 人 14,500 人 14,500 人 14,500 人 被扶養者 7,100 人 7,100 人 7,100 人 7,100 人 7,100 人 18,360 人 18,360 人 18,360 人 18,360 人 18,360 人 特定保健指導対象者数(推計) 3,500 人 3,500 人 3,500 人 3,500 人 3,500 人 動機付け支援 1,400 人 1,400 人 1,400 人 1,400 人 1,400 人 積極的支援 2,100 人 2,100 人 2,100 人 2,100 人 2,100 人 595 人 700 人 805 人 910 人 1,050 人 動機付け支援 196 人 231 人 266 人 300 人 346 人 積極的支援 399 人 469 人 539 人 610 人 704 人 目標値 特定健康診査対象者数(推計) 内訳 特定健康診査実施見込数 内訳 特定保健指導実施見込数 内訳 3. 後期高齢者支援金の加算・減算措置の要点 ⑴ 加算・減算の対象年度 第 1 期は、平成 25 年度支援金(平成 27 年度に賦課される)の 1 回のみです。 しかし、第 2 期においては平成 26 年度支援金(平成 28 年度に賦課される)の 加減算以降、毎年度の支援金が対象となります。 ⑵ 加算・減算の方法 加算額を確定した後、同額を減算対象の医療保険者の支援金から減額する。 ⑶ 加算対象となる医療保険者 特定健康診査・特定保健指導の実施率が 0.1%未満の医療保険者に対し加算 されます。 ⑷ 減算対象となる医療保険者 医療保険者間調整後の特定健康診査実施率と特定保健指導実施率を乗じた値 が 0.65 以上に該当する保険者が対象となります。 -4- 第4章 第2期特定健康診査等の実施方法 1. 実施場所 特定健康診査は、加入事業所の本支店(巡回健診)または委託契約をする医療機 関(成人健診・人間ドック・ママさんドック・ファミリードック)において実施い たします。 また、特定保健指導については、当組合健康管理センター及び委託医療機関にて 実施いたします。 2. 実施項目 特定健康診査の実施項目は、標準的な健診・保健指導プログラム〔確定版〕の第 2 編に記載されている健診項目といたします。 なお、成人健診、人間ドック、ママさんドック、ファミリードックに特定健康診 査の基本的な健診項目はすべて含まれています。 区分 内容 既往歴の調査 (服薬歴及び喫煙習慣の状況に係わる調査を含む) 自覚症状及び他覚症状の検査 身長 身体計測 血圧 定 康 診 腹囲 BMI 特 健 体重 基本的な健診項目 収縮期血圧 拡張期血圧 中性脂肪 血中脂質検査 HDL‐コレステロール LDL‐コレステロール 査 GOT 肝機能検査 GPT γ‐GTP 血糖検査 空腹時血糖 (何れかの項目の実施で可) HbA1c 尿検査 -5- 糖 蛋白 特 赤血球数 定 貧血検査 健 詳細な健診項目 康 (医師の判断による追加項目) 血色素量 ヘマトクリット値 心電図検査 診 眼底検査 査 3. 実施時期 実施時期は、通年といたします。 4. 受診方法 被保険者・被扶養者(40 歳以上 74 歳以下)は、各種健診(成人健診・人間ドック・ ママさんドック・ファミリードック)を受診していただければ、特定健康診査を受診 したこととなります。 5. 特定保健指導対象者の抽出方法 特定保健指導の対象者は、成人健康診査(巡回)等の受診者から抽出し、動機付け 支援・積極的支援を実施いたします。 6. 健診データ等の受領方法 特定健康診査等のデータは、委託医療機関から電子データを随時(月単位)受領 して、当組合で保管いたします。 第5章 第2期特定健康診査等実施計画の公表・周知 本計画の公表・周知は、各事業主に対して、書面にて通知するとともに、ホームペー ジ上に掲載いたします。 第6章 第2期特定健康診査等実施計画の評価及び見直し 第 2 期特定健康診査等実施計画については、目標と相違している等が生じた場合、そ の他必要な場合は見直すことといたします。 なお、見直しについては、「健診・保健指導計画」を見直すことといたします。 -6- 第7章 個人情報の保護 特定健康診査等の実施にあたっては、当組合の個人情報保護管理規程を遵守いたしま す。 また、当組合及び委託先の特定健康診査等実施機関は、業務によって知りえた情報を 外部に漏らすことがないよう周知徹底を図ります。 なお、当組合の個人情報取扱責任者は常務理事とし、特定健康診査等のデータ利用者 は当組合職員に限ることと共に、外部委託する場合はデータ利用の範囲・利用者等を契 約書等に明記することといたします。 第8章 その他 当組合の保健師等については、特定健康診査・保健指導事業従事者養成のための研修 に随時参加させることといたします。 -7-
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