Ⅰ 計画の策定にあたって 1.計画策定の趣旨 少子高齢化、都市化、女性の社会進出、食の市場化などの社会情勢の変化 により、家族構成や食生活などのライフスタイルも大きく変わってきました。 このような状況のもとで、わたしたちは毎日の「食」の大切さを忘れがち になっており、食べることは人間が生きていく上での基本的な営みの一つで、 健康な生活を送るためには健全な食生活は欠かせないものであり、身体の健 康を維持することだけではなく、心の形成にも大きな役割を果たすと言われ ています。 家族全員が一緒に食卓を囲む機会が減少し、1 人で食事をとる「孤食」が増 加しているほか、家族がそろっていてもそれぞれが違ったものを食べる「個 食」や、朝食の欠食など、家庭における食生活の変化が大きな問題となって います。 このほか、外食や、調理せずに食べることのできる弁当・惣菜などの「中 食」の利用により、家庭での調理が減少し、これまで家庭において伝えられ てきた食習慣や食文化が失われつつあります。また、肥満や痩せ、糖尿病な どの生活習慣病の増加や低年齢化など、健康面における問題も発生していま す。 さらに、食品の偽装表示などにより、消費者の安全・安心への関心が高ま り、食の安全性に対する正しい知識を持つことが求められています。 このような中、国は、国民一人ひとりが健全な食生活を実践し、豊かな人 間性を培うとともに、生涯にわたって健康な生活を送るために、食に関する 様々な知識や食を選択する判断力を身に付ける「食育」の推進を重要課題と 位置づけ、平成 17 年 7 月、「食育基本法」が施行されました。 これを受けて、本町においても、地域の特性を活かした安全・安心で良質 の農畜水産物を生産し、消費者の身近なところに生産現場があり、新鮮な食 材に恵まれた環境にあるということを理解し活かしながら、町民一人ひとり が健康で豊かな生活実践するために、総合的に「食育」を推進する「上川町 食育推進計画」を策定するものです。 食育基本法の中では「食育」を次のように位置づけています。 ① 生きるうえでの基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべき もの - 1 - ② 様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得 し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること 2.計画の位置づけ 上川町食育推進計画は、食育基本法第 18 条の規定に基づく市町村食育推進 計画と位置づけ、本町における食育の目指すべき方向を示し、その実現のた めに必要な施策を総合的に推進するための指針となるものです。 また、計画の実施にあたっては国の食育推進基本計画や北海道食育推進計 画との整合性を図り推進します。 食 育 基 本 法 食育推進基本計画(国) (法第 16 条) 都道府県食育推進計画(法第 17 条) 市町村食育推進計画(法第 18 条) 北海道食育推進行動計画 上川町食育推進計画 3.計画の期間 計画の推進期間は平成 21 年度から 25 年度までの 5 年間とし、5 年ごとに計 画の見直しを行います。 なお、計画期間中において、国の食育推進基本計画が見直された場合や新 たに計画に盛り込む事項などによって、計画の変更が必要になった場合は、 この期間にかかわらず計画を見直すこととします。 4.計画の推進体制 本町においては、これまで家庭、学校、保育所等などでそれぞれが独自に 食育を取り組んできましたが、これらの取り組みを連携し、総合的に「食育」 を推進する必要があります。 このため町では、関係課が共通の認識を持ちながら横断的な推進体制を図 るとともに、関係団体とも連携をとりながら計画を進めていきます。 - 2 - Ⅱ 食をめぐる現状と課題 1.食生活 食事は本来楽しいものであり、大事なコミュニケーションの場です。しか し、近年、ライフスタイルの多様化などにより、家族全員が同じリズムで生 活することが困難となり、家族全員がそろって食事をする機会が減少し、 「孤 食」や「個食」などの問題も生じています。 また、一日の活力源となり、食事の中でもっとも大切な朝食を食べない人 が増えています。朝食を食べないと、午前中の授業や仕事に集中できない、 活動的に過ごせないなどの影響が出るといわれています。また欠食すること で昼食・夕食の 2 食を多く食べがちになるため、肥満を誘発することにもな ります。 欠食の大きな要因の一つに、夜遅くまで起きているため、朝なかなか起き られず、時間がない、食欲がわかないという状況があります。特に、乳幼児 期は親の生活リズムの影響を受けやすく、夜型の子どもが増えているという 現状もあります。生活リズムの見直しを進めるとともに、朝食の欠食が心身 に与える影響を理解し、朝食の大切さに対する知識を身につけることが重要 です。 【北海道における孤食状況】 一 人 で 家族の誰かと 家族揃って そ の 他 小 学 生 23.7% 55.6% 17.5% 3.2% 中 学 生 36.3% 49.0% 11.8% 2.9% (平成 16 年度北海道 PTA 連合会調べ) 2.栄養バランス 食事の第一の目的は、健康を維持し生活するための栄養をとることで、そ こで重要になってくるのが栄養のバランスです。 しかし現在は、外食産業やコンビニエンスストアの発展により食の外部化 が進み、いつでもどこでも好きなものが簡単に食べられるようになったこと により、偏食が増加し、栄養バランスの偏りにつながっています。とりわけ、 バランスの良い栄養を得ることのできる野菜と牛乳・乳製品の摂取量の不足 がみられます。 栄養バランスの偏りは、肥満や生活習慣病を誘発することとなり、健康へ 深刻な影響をもたらします。 また、若い女性に多く見られる痩身(ダイエット)志向も問題です。様々 - 3 - な情報に振り回され、食事を取らなかったり、偏った食事をしたりするなど の無理なダイエットは、身心のバランスを崩します。 健康な日々を送るためには、栄養バランスの取れた食事に関する知識を得 るとともに、自分の適正な体重を知ることも大切です。 北海道における身体の状況 【肥満者の割合】 平成 11 年度 平成 16 年度 平成 22 年度 男 性 38.4% 39.9% 28%以下 女 性 34.0% 33.8% 24%以下 【20 歳代女性の「やせ」の割合】 平成 11 年度 平成 16 年度 平成 22 年度 15.4% 28.8% 10%以下 (平成 16 年度 健康づくり道民調査) 【上川町における肥満者の割合】 平成 11 年度 平成 16 年度 平成 20 年度 男 性 21.3% 37.5% 39.4% 女 性 11.5% 19.5% 26.3% (「老人保健事業報告」他より) 3.食を大切にする意識 社会経済状況が急激に変化し、忙しい生活を送る中、食に対しても利便性 や効率性を追求するあまり、どうしても食の大切さを忘れがちになります。 我が国の食料自給率はカロリーベースで約 40%と先進国中最低レベルにあ り、自国の農地の 2.5 倍に相当する農作物の作付けを海外に依存している計 算になります。 一方では、大量の食べ残しや食品の廃棄が行われており、環境への負荷や 資源の浪費など、大きな社会問題となっております。 食べ物は、もともと自然の中の生命から得られたものであることを今一度 認識するとともに、それを育てている農業への理解を深め、食に対する感謝 の気持ちを培うことが必要です。 4.食文化 全国各地には、古くから受け継がれている食文化があります。しかしなが ら、食の外部化や核家族化による食文化の担い手が減少したため、地域の特 色ある料理が食卓に並ぶことは少なくなり、伝統ある食文化が失われつつあ - 4 - ります。 本町においても、地元で生産された農畜水産物を活かした料理や、それぞ れの家庭において受け継がれてきた料理や食文化があります。 この食文化を次世代に継承することは、わたしたちの歴史の一端を引き継 ぐとともに、新たな食文化の基礎となる大切なものです。 また、さまざまな食生活を選択することができるようになったため、お米 を主食とした日本型食生活が減少している傾向にあります。 野菜、肉、魚などの多彩な副食からなる、栄養バランスの優れた日本型食 生活の良さを再度見直すことが必要です。 5.食の安全・安心 近年の BSE の発生や食品の偽装表示、無登録農薬の使用等、食品をめぐる 多くの事件や事故の発生や、食品添加物、残留農薬による健康上の懸念など、 食の安全や安心に対する関心が高まっています。 本町においては、消費者・生産者・行政などの関係者が協働で、農畜産物 をはじめとする「食の安全・安心」確保に取り組んでいくとともに、引き続 き、生産者をはじめ食品を供給する立場にあるものは、消費者の信頼を得る ために、食品の安全性の確保に努める必要があります。 また、消費者においても、食の安全に関する正しい知識を身につけ、自ら の判断で食を選択することが求められます。 Ⅲ 目 標 1.食育の基本目標 本町における食をめぐる現状と課題を踏まえ、町民一人ひとりが生涯にわ たって健康な生活を送ることができるよう、食育を推進するため、基本目標 を次のとおり定めます。 ① 規則正しい食習慣と栄養バランスの 取れた食事を実践する 1 日 3 食の食事を、なるべく決まった時間に食べることは、元気に毎日を生 活する基本であり、栄養バランスの崩れの防止につながります。特に 1 日の - 5 - エネルギーの源となる朝の食事をきちんととることが大切です。 また、食事の外部化や欧米化が進み、食の選択肢が多様化している中で、 自らが栄養バランスを考え、食を選択し、自ら作ることが求められています。 生活のリズムを整え、規則正しい食習慣を身につけるとともに、第 6 次改 定「日本人の栄養所要量 食事摂取基準」(平成 11 年)を参考に栄養素の偏 りのない、規準量に基づく栄養バランスのとれた食生活の実践を目指します。 ― 別 紙 「1 日のバランス食(1 次予防)」参照してください。― ② 楽 しく食 べる習 慣 を身 につける 食事は、空腹を満たしたり栄養をとったりすることだけでなく、家族や仲 間との大事なコミュニケーションの場であります。 一緒に料理をしたり、会話をしながら笑顔で楽しく食事をしたりすること により、豊かな心を育むとともに、食に対する興味や関心を高めることにつ ながり、効果的に食育を進めていくことができます。 おいしいと思って食べることと、そうでないものとでは心身への影響も違 ってきます。誰かと一緒に料理する、食べる、会話するなど、食を通じたコ ミュニケーションにより、食の楽しさを実感することを目指します。 【北海道における孤食状況】 一 人 で 家族の誰かと 家族揃って そ の 他 小 学 生 23.7% 55.6% 17.5% 3.2% 中 学 生 36.3% 49.0% 11.8% 2.9% (平成 16 年度北海道 PTA 連合会調べ) ③ 食 へ の 感 謝 の 心 を 育 む 経済成長に伴い、飽食の時代といわれる今、食べられることが当たり前と 思うようになり、食べ物を大切にする気持ちを忘れがちになっています。 食べ物が私たちの口に入るまでには、自然の恵みや生産者をはじめとする 食にかかわる多くの人の苦労や努力があることを理解し、「いただきます」、 「ごちそうさま」の心、食への感謝の心を育み、食べ物を無駄にしないこと や、食べ残しをしない生活習慣を身につけることを目指します。 - 6 - ④ 農 業 や伝 統 的 な食 文 化 への理 解 を深 める 食への感謝の気持ちを深め、食の安全に対する意識を高めるためには、食 べ物を生み出す農業等への理解は重要なことです。 様々な体験活動や情報提供をとおして、農業等への正しい理解を深めます。 また、伝統的な行事に結びつく料理や、地元の食材を利用した料理、それ ぞれの家庭で受け継がれてきた料理などを通し、地域で培われてきた食文化 やその歴史への理解を深め、次世代へ継承していくことを目指します。 ⑤ 地場食材を使った豊かな食生活を実践する 本町には、大根、馬鈴薯、もち米、そば、大雪高原牛、渓谷・味豚、ニジ マスなど、多彩な食材があります。 近年は日本全国をはじめ、海外からの輸入も増え、一年中様々な食材が手 に入るようになりましたが、その土地で採れたものを旬の時期に食べること は、身心の健康や環境のためにも望ましいといわれています。 また、地域の農業等がこれからも発展するためには、町民に農業等を知っ てもらい、応援してもらわなければなりません。 地元の食材を家庭の食卓や給食などに積極的に導入し、地元でとれたもの を地元で消費する「地産地消」を目指します。 2.食育推進の目標数値 食育の推進、基本目標の達成に関する状況を客観的な指標により把握する ため、定量的な目標値を設定します。 (1) 朝食を欠食する町民の減少 朝食の欠食は、食生活の中でも大きな問題の一つです。1日3食きちん と食べて、健康的な食生活をするためには、まず朝食を欠かさないことが 一番大切です。特に、子どもと、子どもにとって身近な手本である保護者 の欠食の減少を目指します。 国の計画(食育推進基本計画:平成 18 年 3 月)では、 ▼ ほとんど朝食を食べない小学校 5 年生の割合 平成 12 年度 4% ⇒ 平成 22 年度 - 7 - 0% ▼ 調査日において「菓子・果物などのみ」 「錠剤などのみ」 「何も食べない」に該当し たもの 平成 15 年 20 代男性 30% ⇒ 平成 22 年度 15%以下 〃 30 代男性 23% ⇒ 〃 15%以下 北海道における食事の摂取 ① 朝食を食べない人の割合 性 別 平成 11 年度 平成 16 年度 男 7.6% 5.0% 女 4.7% 3.3% (平成 16 年度道民調査) ② 小中学生の朝食摂取状況 毎日食べる 食べたことがある ほとんど食べない 小 学 生 77.5% 18.1% 4.4% 中 学 生 74.3% 18.6% 7.1% (平成 16 年度北海道 PTA 連合会調べ) (2) 野菜と牛乳・乳製品の摂取量の増加 豊富なビタミンやカルシウムなどを含んだ野菜と牛乳は、栄養のバラン スを整える大切な食品です。 健康を維持するための野菜や牛乳・乳製品の必要性を理解し、摂取量の 増加を目指します。 北海道の計画(北海道食育推進行動計画:平成 17 年 12 月)では、 ▼ 成人 1 日当り野菜の摂取量 平成 16 年度 299.3g ⇒ 平成 21 年度 350g以上 ▼ 牛乳 1 人 1 日当り消費量 平成 15 年度 79ml ⇒ 平成 21 年度 110ml (3) 自分の適正体重を知っている町民の増加 自分の適正体重を知ることは、肥満や痩せの防止につながります。一人 ひとりに適した食生活を実践するため、適正体重を知っている町民の増加 を目指します。 - 8 - 国の計画では メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)(注1)を認知している国民の割合を、 平 22 年度までに 80%以上とする。 (注1) メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓脂肪による肥満の人 が、「糖尿病」「高血圧」 「高脂血症」といった生活習慣病になる危険因子を併せて持 っている状態のことです。これらの危険因子は、それぞれ一つだけで動脈硬化を招 きますが、複数が重なることによって互いに影響しあい、動脈硬化を飛躍的に進行 させます。 (4) 農業体験をしたことのある町民の増加 農畜水産物の生産に関する体験活動は、食に関わる人々への理解を深め、 食への感謝の心を育みます。また、地域の農業等がこれからも発展するた めには、町民に農業等を知ってもらい、応援してもらわなければなりませ ん。 生産現場が身近にある本町の特性を活かし、さまざまな農業体験の機会 を提供し、農業を体験する町民の増加を目指します。 北海道の計画では ▼ ふれあいファーム登録数 平成 16 年度 891 農場 ⇒ 平成 21 年度 (上川町ふれあいファーム登録数 1,200 農場 平成 21 年度 2 農場) (5) 学校給食における地場産農畜水産物の使用量の増加 学校給食に地場産の農畜水産物を使用し、食に関する指導の「生きた教 材」として活用することは、子どもが地域の農業等への理解を深めるとと もに、地産地消の推進に有効です。 また、地元の食材を食べたいと思う児童生徒の割合を増やすためにも、 学校給食や保育所などにおける安全で安心な地場産農畜水産物の使用量の 増加を目指します。 北海道の計画では ▼ 学校給食における道産農畜水産物の活用 ○ 道産食材の購入率(金額ベース) 平成 13 年度 ○ 39% ⇒ 平成 21 年度 70% 学校給食に道産小麦パンを利用している市町村数 平成 16 年度 74 市町村 ⇒ 平成 21 年度 - 9 - 全市町村 (6) 家庭における地場産農畜水産物の使用量の増加 地産地消は、消費者の食に対する安全・安心志向の高まりの中、生産者 と消費者の信頼関係を築くための重要な取り組みです。 生産者と直接話をしながら新鮮な農畜水産物を買うことができる直売施 設や朝市などは、本町農業への理解を深めるとともに地場産農畜水産物へ の愛着心を育て、地産地消の核となるものです。 家庭における地場産農畜水産物の利用を促進するために、消費者と生産 者が直接顔を合わせて農畜水産物を購入できる機会の増加を目指します。 Ⅳ 食育推進のための施策展開 食育は、食べ物を生産する農業等をはじめ、栄養や健康、幼少期の教育課程 や大人の食に対する意識、食事マナーや食文化など、対象が広く、家庭や学校、 地域など、様々な場面で取り組みを進めなければなりません。 上川町食育推進計画では、家庭、学校、地域などの生活シーンごとに関係者 が連携しながら取り組みを進めます。 1.家庭における食育の推進 家庭は、最も大切な食育の場です。家族が囲む食卓は、食事のマナーや食 文化、栄養に関することなど、食に関する様々な知識を学ぶ場であるととも に、家族の健康状態を知る場でもあります。 また、食卓での家族とのコミュニケーションは、子どもが豊かな人間性を 育むための重要な役割を担っています。 このように、食育の基本となる家庭においての食育を充実させる取り組み を進めます。 (1) 食育に関する情報提供 町民が家庭において食育を主体的に取り組めるように、学校給食だより などを利用し献立内容や使用食材をお知らせするとともに、学校、保育所 等を通じて食育情報を分かりやすく提供するなど、健全な食習慣を身につ けるための家庭の役割についての啓発に努めます。 (2) 家族で楽しむ機会の提供 親子で参加できる料理講習会などを開催し、親子が一緒に料理や食事を することの楽しみを感じることにより、家族がそろって楽しい食卓を囲む ことを推進します。 また、父親の食育に対する関心を高めるため、父親を対象とした食育講 - 10 - 座などを開催します。 (3) 妊産婦や乳幼児を対象とした栄養指導 妊婦の栄養摂取や健康状態は、胎児の発育や発達に影響を与えます。子 どもの生涯にわたる健康の基盤づくりのため、妊婦とその家族を対象に、 バランスの良い食事内容など、妊娠中の栄養について学習する機会を設け ます。 また、乳幼児の著しい成長発達を支える食事をどのように整えるか、各 月齢や年齢に応じた必要な栄養素や食品など、母親と家族が学習できる機 会を設けるほか、乳幼児健診時において、離乳食や幼児の食事について個 別に相談に応じ、食に関する情報を提供します。 (4) 成人を対象とした食生活改善の推進 過食や外食などバランスのとれない食生活は、生活習慣病に深くかかわ っています。検診を受けることで自分の健康状態を知り、食生活や運動等 の生活習慣の改善を図ることが大切です。 そのためには、検診後はメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群) に着目した生活習慣病予防のための保健指導や栄養指導の提供や、集団で の運動の実践や継続学習、出前講座などを通じて健康づくりを推進します。 (5) 家族で農業とふれあう機会の提供 家庭において農業への理解や食への感謝の気持ちを深めていくことを推 進するため、播種から収穫までの一連の農業体験と生産者との交流を親子 で体験できる機会を提供します。 2.保育所等における食育の推進 乳幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要な時期であり、子ど もの成長に応じた食育が必要です。 乳幼児が、その生活時間の大半を過ごす場である保育所等では、家庭と連 携しながら、食に関する様々な体験や指導に取り組み、望ましい食習慣と豊 かな人間性の育成を図ります。 (1) 保育所給食を活用した食育の推進 地元でとれた野菜を保育給食に積極的に利用し、子どもに地域の食材を 知ってもらうとともに、献立に行事食を取り入れて、食文化の継承に努め ます。 - 11 - (2) 食育体験活動 収穫体験や料理体験などを通じ、子どもが食べ物に触れることにより、 食への関心を高め、食べ物を大切にする心を育てる取り組みを進めます。 (3) 保護者への啓発 給食だよりや懇談会などを通じて、子どもに対する食育にかかる情報を 提供し、家庭内の食育の推進を図ります。 3.学校における食育の推進 学齢期は、身心の発育や発達とともに、体力や運動能力が急速に高まり、 個性が確立され、食習慣が形成される大切な時期です。また、一生のうち最 も学びに適した時期でもあります。 子どもの健全な育成に重要な役割を担う学校では、食に関する指導の全体 計画を策定し、望ましい食習慣を身につけるための取り組みを進めます。 (1) 望ましい食習慣を身につけるための環境づくり 食については家庭の役割が重要であることから、児童・生徒向けのリー フレットを作成し、食に対する関心や理解を深めるとともに、給食だより などを利用した啓発活動や情報発信を行うことにより、家庭における健全 な食習慣の定着を推進するため、保護者への働きかけを行います。 また、学校での食育の中心的役割を果たす栄養教諭を中心に、食に関す る指導体制を充実します。 (2) 食に関する学習内容の充実 家庭科や総合的な学習の時間などにおいて、調理実習、学校菜園やふれ あいファームによる農業体験などの体験を重視した教育活動を推進し、児 童・生徒が栄養バランスや食の生産に対する関心や理解を深めるよう努め ます。 また、保健体育における生活習慣病予防のための指導や、特別活動にお ける健康で安全な生活態度と望ましい食習慣の形成に関する指導を推進し ます。 (3) 学校給食を活用した食育の推進 学校給食は、共に食することによってふれあいの場をつくり、好ましい 人間関係を図るなど、教育活動のほか、社会生活に必要なことを、自らが 体験・体得できる「生きた教材」としての重要な役割を担っています。 子どもの望ましい食習慣の形成や食に関する理解を深めるため、学校給 食の献立内容の充実を図るとともに、各教科において学校給食が「生きた - 12 - 教材」として活用される取り組みを進めるほか、栄養教諭を中心に食物ア レルギーへの対応や指導を行い、食の安全・安心や地産地消などの動きと も連動した幅広い食育を推進します。 また、伝統的な食文化について子どもが早い段階から関心と理解を抱く ことができるよう、郷土食や伝統料理等の食文化を継承した献立を取り入 れるとともに、会食の楽しさや食事のマナーについての学習を推進します。 (4) ふるさと給食などの実施 現在も、学校給食において地元農畜水産物を利用していますが、引き続 き地場産の食材を積極的に活用するとともに米飯給食の一層の普及・定着 を図り、地産地消の推進に努めるとともに、地場産の農畜水産物への理解 と食べ物を大切にする心を育むことや、地域の農畜水産物への関心を高め、 農業等に対する理解を深めるよう努めます。 (5) 学校栄養教諭などによる専門的指導 学校給食センターには学校職員として栄養士が配置されています。 学校での食に関する指導充実のため学校栄養職員が授業を行うことがで きるよう、栄養教諭(注2)資格が設けられ、上川小学校に配置されています。 学校給食に関する栄養管理や衛生管理など、専門性を発揮した取り組みを 進めます。 また、給食時間の教室訪問やバイキング給食の実施等により、給食の正 しい食べ方や健康と食事に関する専門的な指導を行います。 (注2) 栄養教諭は、教育に関する資質と栄養に関する専門性を併せ持つ職員として学校 給食を生きた教材として活用した効果的な指導を行うことが期待されます。この ため、食に関する指導と学校給食の管理を一体のものとして行うことになります。 【食に関する指導の目標】 児童生徒が健全な食生活を実践し、健康で豊かな人間性を育んでいけるよ う、栄養や食事の取り方などについて、正しい知識に基づいて自ら判断し、 実践していく能力などを身に付けさせるため、次のような食に関する指導目 標を設定した。 ○食事の重要性、食事の喜び、楽しさを理解する。 ○心身の成長や健康の保持増進の上で、望ましい栄養や食事の取り方を理解 し、自ら管理していく能力を身に付ける。 - 13 - ○正しい知識・情報に基づいて、食物の品質及び安全性等について自ら判断 できる能力を身に付ける。 ○食物を大事にし、食物の生産等にかかわる人々へ感謝する心を持つ。 ○食事マナーや食事を通じた人間関係形成能力を身に付ける。 ○各地域の産物、食文化や食にかかわる歴史等を理解し、尊重する心を持つ。 4.地域における食育の推進 地域は、子どもから高齢者まで、様々な世代の人が生活を営む場であり、 ライフステージに応じた食生活や豊かな食文化が見られます。 健康づくりや食への関心を高めるとともに、家庭や保育所等、学校などと 連携しながら、食育が地域に定着するための取り組みを進めます。 (1) 町民への食育啓発 望ましい食習慣を学びながら食を楽しむ機会を提供するため、バランス の良い食事について広報誌へ掲載し、情報発信を行うとともに、各種イベ ントを通じ食育についての啓発に努めます。 また、料理教室などを実施し、町民に食に関する学習の場を提供します。 (2) 地域における健康づくり活動の推進 地域における食生活の改善や、健康づくりを推進するため、生活習慣病 予防のための講座を実施し、食生活の改善を推進するとともに、食育の取 り組みの浸透を図ります。 5.生産者と消費者の交流をとおした食育の推進 食に対する感謝の気持ちを持つためには、食の供給源となる農畜水産物や 農業のもつ素晴らしさ、生産の過程、あるいは生活に与えている恩恵などに 関する理解が重要です。 本町は、消費者にとって農業等の現場が身近で、農業等のことを知るには、 とても恵まれた環境にあります。 このような地域特性を活かし、農業体験活動や地産地消をとおして、生産 者と消費者の交流の促進に取り組むことにより、消費者が、農業等に対する 関心を高めるとともに、食や農業等に対する知識を身に付けることに努めま す。 (1) 地産地消の推進 生産者と消費者の信頼関係を構築し、安全で安心な地元農畜水産物への - 14 - 理解と関心の増進を図るため、地産地消を推進します。 学校給食や保育所給食食材に、地場産農畜水産物の積極的な活用を図り ます。 また、地場産物の直売施設の充実に努め、消費者が地場産農畜水産物を 購入しやすい環境づくりに努めます。 - 15 -
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