保全インフォメーションきんき 第129号

保全インフォメーションきんき
【平成28年
★
も
第129号
1月20日号】
く
じ
★
1.How To 保全(1)
電気設備の基礎知識⑤ 通信設備その2
2.How To 保全(2)
免震装置の保全について
3.営繕関連情報コーナー
平成 27 年度 保全業務勉強会を行いました
このメールマガジン(メールでの受信が不便な方にはFAXで配信)は、国家機関、
地方公共団体、特殊法人、独立行政法人等において、施設管理に携わっておられる方々
に、施設保全の最新情報や保全の技術をお知らせするために国土交通省近畿地方整備
局がお送りしております。
本メールマガジンについての御意見、御感想や、
「How to 保全」に取り上げて欲し
い内容等をお待ちしております。頂きました御意見等を踏まえまして、今後のメール
マガジンの記事等に反映させていきたいと思っております。
なお、バックナンバーにつきましては、下記WEBページに掲載しております。)
http://www.kkr.mlit.go.jp/build/conservation/info_kinki.html
保全インフォメーションきんき 編集事務局
■営繕部 保全指導・監督室
Tel:06-6443-1791
Mail:[email protected]
■京都営繕事務所
Tel:075-752-0505
Mail:[email protected]
近畿地方整備局 営繕部
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保全インフォメーションきんき No.129
1.How To 保全(1)
電気設備の基礎知識⑤ 通信設備 その2
(拡声設備、誘導支援設備、テレビ共同受信設備、監視カメラ設備)
拡声(放送)設備
拡声(放送)設備は、始業チャイム、呼び出し、案内などの放送を行う設備で、必要に
応じて設けられます。一定の規模以上は、消防法上の非常用放送設備となります。
■拡声(放送)設備の概要
拡声(放送)設備は、放送架(アンプや、マイク、回線選択器などを一体にしたもの)、
リモートマイク、スピーカ、アッテネータなどで構成されます。
【スピーカ】
設置場所や用途に応じて、様々な形状のスピーカがある。
壁掛型
天井埋込型
<主に屋内に設置される>
コーン型
【アッテネータ】
スピーカの音量
を調節するもの。
会議室などの、
放送を切っておく
必要のある室など
に設置されている。
ホーン型
<主に屋外に設置される>
フロア毎や階段等で回線を分けている。
スピーカ
スピーカ
スピーカ
スピーカ
2F
アッテネータ
スピーカ
RM
リモートマイク
AMP
放送架
1F
【リモートマイク】
放送架が設置されている場
所以外で放送を行いたい場所
に設置する放送用マイクで、
回線の選択等も行える。
受付や、守衛室などに設置
されている。
近畿地方整備局
営繕部
スピーカ
スピーカ
スピーカ
アッテネータ
階段室
【放送架】
アンプ(増幅器)、マイク、回線選択器、
CDプレーヤーなどが一体となったもの。
放送エリアの選択、音量の調整、自動放送
の設定など、さまざまな機能を持つ。
録音した音声を保存し、自動的に流す
オートアナウンスマシン等も設置されている
ことがある。
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保全インフォメーションきんき No.129
誘導支援設備
誘導支援設備は、インターホン、トイレ等呼出しなどの設備で、バリアフリーの観点か
ら、来庁者の為に設けられる設備です。また、条例等で設置が義務付けられている場合も
あります。
■インターホンの概要
インターホンは来庁者の対応や、庁舎内連絡用として用いられます。
親機
t
【スピーカ型子機】
玄関の外部受付や、夜間受
付として用いられる。
t
電話型子機
【インターホン親機】
親機は、複数の
子機を接続できる。
カメラ対応の画面
付のものもある。
スピーカ型子機
点字付
【電話型子機】
機械室等の保守
メンテ時の連絡用
など庁舎内連絡用
として用いられる。
画面付
多回線
夜間受付
カメラ
点字付
■トイレ等呼出し装置の概要
トイレ等呼出し装置は、多目的便所などで、気分が悪くなった場合や、緊急時に知らせ
る為の設備で、表示盤、表示灯、呼出ボタン、復帰ボタンで構成されます。
【表示盤】
呼出しの場合、ランプが
点灯し、ブザーが鳴ります。
1~5回線程度までのも
のがあります。
多目的便所
表示灯
表示盤
R
復帰ボタン
L
呼出ボタン
【表示灯・呼出・復帰】
呼出ボタンを押すと、廊下
等の表示灯が点滅し、同時に
事務室等の表示盤が点灯ブ
ザーが鳴ります。対応後復帰
(復旧)ボタンを押します。
表示灯
呼出ボタン 復帰ボタン
■その他の誘導支援設備
高齢者や視覚障害者など、誰にでも使いやすい施設とするため、様々な誘導支援設備が
あります。
【誘導鈴】
建物の入口上部などに設置され、
チャイムや音声で入口であること
を伝えます。
【音声案内板】
庁舎内の案内図などを触ることに
より、音声で説明をします。
【来客検知センサー】
来庁者があったことをセンサーが
検知し職員に知らせることにより、
素早い対応ができます。
センサー
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保全インフォメーションきんき No.129
テレビ共同受信設備
テレビ共同受信設備は、アンテナで受けた電波を庁舎内の各所に送出する設備(マン
ションなどと同じ)で、必要に応じて設けられます。
■テレビ共同受信設備の概要
テレビ共同受信設備はアンテナ、混合器、増幅器、分配器、テレビ端子などで構成され
ます。
【アンテナ】
地上デジタルは、U
HFアンテナ。必要に
応じて衛星用パラボラ
を設置します。
【テレビ機器収納盤】
地上波と衛星放送の電波を混
合する混合器、電波を増幅する
増幅器、各端子に電波を分配す
る分配器などを収めた盤。
テレビ
アンテナ
パラボラ
アンテナ
混合器
衛星
アンテナ
混合器
増幅器
UHF
アンテナ
【テレビ端子】
室内の
取出し口
増幅器
テレビ
端子
分配器
テレビ
端子
分配器
分配器
テレビ機器収納盤
監視カメラ設備
監視カメラ設備は防犯や防災等のため、庁舎内外の撮影、伝送、表示、記録等を行う設
備で必要に応じて設けられます。
近年は、技術発展により多機能なカメラが多く出ています。
■監視カメラ設備の概要
監視カメラ設備は、監視、録画、操作等を行う機器を集約した監視カメラ架と監視カメ
ラで構成されます。
【監視カメラ架】
モニタ、遠隔カメラ操作器、
録画装置、カメラ電源供給ユ
ニットなどが一体となったもの。
←モニタ
←操作器
←録画装置
電源ユニット
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CCTV
監視カメラ架
監視カメラ
監視カメラ
【監視カメラ】
カメラには
屋内型・屋外型
可動型・固定型
カラー・白黒
アナログ・デジタル
などの種類がある。
<屋内>
ドーム型
カメラ型
監視カメラ
<屋外>
ハウジング型
ドーム型
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保全インフォメーションきんき No.129
1.How To 保全(2)
免震装置の保全について
阪神・淡路大震災以後、免震構造の建物が急増しました。庁舎においても、既存の構造を
免震構造に改修する免震レトロフィットや、新築時から免震構造として設計された庁舎が数
多く存在するようになりました。
免震構造の解説
■ 免震構造
免震部と非免震部の間に免震装置を配置した構造をいいます。地震時に揺れを吸収するた
め、建物はゆっくり大きく揺れます。
エキスパン
ションジョイント
免震部
免
震
ク
リ
ア
ラ
ン
ス
免震装置
非免震部
近畿地方整備局
免震部
営繕部
非免震部
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保全インフォメーションきんき No.129
■ 免震装置(アイソレータ)
免震装置はアイソレータとダンパーに大別され
ます。車体のサスペンションとショックアブ
ソーバーの関係と同じです。
アイソレータは建物の自重を支える機能と地震
のときに建物をゆっくりと移動させる機能があ
ります。
種類としては、積層ゴム・転がり支承などがあ
ります。
左上:転がり支承
右下:積層ゴム
■ 免震装置(ダンパー)
地震時には建物が水平に動き、元の位置を通り
越して反対方向に再び変形します。
アイソレータだけではいつまでも続く揺れを止
めることができないので、ダンパーが抑える働
きをします。ダンパーが変位する際に抵抗を発
生し、運動エネルギーを減衰します。
種類としては、オイルダンパー・鉛ダンパー な
どがあります。
左上:鉛ダンパー
右下:オイルダンパー
■ 免震層
免震装置が設置された階層。
メンテナンスのみの空間であれば、床面積、階数
に算入されません。
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営繕部
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免震装置保全のポイント
■ 注意事項
・免震層への立ち入りは管理者、もしくは管理者の許可を得た者のみとしてください。
・免震装置は火に弱い性質なので、火気は厳禁です。
・免震層を物置がわりにしないでください。地震時の挙動に影響すると共に、関係法令
に違反する可能性があります。
・通常の建物と異なるため、設備配管、電気配管、建物周囲の工事等は専門家にご相談
ください。
・建物周囲に物を置かないでください。地震時に建物が大きく動きます。
(例)車両、植木ポット、看板等
■ 点検
通常の構造体と異なるので、特別な技術を有した「免震建物点検技術者」が行います。
定期点検
…
毎年:目視を主体とした見回り。
建物竣工後5年,10年,以後10年毎 ※ 計測を含めた総合的な点検。
応急点検
…
地震、強風、水害、火災などで免震層に影響が及んだ場合、
被災直後に目視を中心とした見回りを行います。
詳細点検
…
定期点検、応急点検で、免震装置の異常が認められた場合、
計測を含めた詳細な点検を実施します。
※
…
建築基準法第12条による建築構造の点検は、目視による確認が
3年以内毎に必要です。3年以内に実施した免震建物点検技術者に
よる点検の記録がある場合は、当該記録により確認することがで
きます。
詳しくは、一般社団法人日本免震構造協会ホームページ
を参照してください。
出典:一般社団法人日本免震構造協会
http://www.jssi.or.jp/
免震建物の維持管理基準
(調整課)
近畿地方整備局
営繕部
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保全インフォメーションきんき No.129
3.営繕関連情報コーナー
平成27年度 保全業務勉強会を行いました
平成27年11月24日に大阪の十三(じゅうそう)にある星光総合研修センターにて、国家
機関並びに一部の地方自治体・独法の職員を対象に「平成27年度 保全業務勉強会」を行いま
した。星光総合研修センターは、メンテナンス技術者の育成を目的した民間の研修施設で、実機
を用いた研修が行えるのが特徴です。
かねてより保全業務の担当者から建築設備がわかりにくく、年1回の勉強会を要望する声が多
くありましたので今年度もこのような勉強会を開催し約50名の方に参加して頂きました。
出来るだけ実機の近くで専門的な説明を理解して頂ける様に少人数制で各官署にご案内をしま
した。
保全勉強会は、まず座学にて「電気設備の基礎知識」
「空調設備、衛生設備の基礎知識」を説明
しました。
「電気設備の基礎知識」では電力設備と通信設備、直流と交流、各受変電機器の名称と
役割について説明しました。
「空調設備、衛生設備の基礎知識」では、空気調和の意味、中央方式
と個別方式、冷暖房のしくみ、給水(水道直結と受水槽)
、排水、各機器の名称と役割について説
明しました。
その後3班に分かれて実機を用いた保全勉強会に入り、受変電設備、空調設備、給排水設備を
説明しました。出席者からは高い満足度と、多くの方から引き続き年1回開催して欲しいという
要望を頂きました。このような研修場所をご提供頂いた星光ビル管理株式会社に感謝しておりま
す。
(保全指導・監督室)
近畿地方整備局 営繕部
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