短距離選手の足底の関連性 -特に競技レベル別に見て-

短距離選手の足底の関連性
-特に競技レベル別に見て-
田中
秀忠
(生涯スポーツコース 地域スポーツコース)
指導教員 新宅 幸憲
キーワード:足底圧分布 短距離 競技パフォーマンス
あった。
1.緒言
2)A と C の比較
本研究では、本学陸上競技部短距離パー
A の左右動は 217.14±39.23cm で、C は
トを対象に、競技パフォーマンスが高い選
242.71±36.98cm であった。前後動 A は
手と低い選手における足底圧分布を比較検
116.85±28.37cm、B は 116.43±16.94cm で
討した。そこで、浮き指がなく 5 指が全て
あった。足底圧のAは 602.82±108.63cm で、
地面に接地しているなど、足底圧分布能力
C は 607.79±40.67cm であった。総移動距
が高い選手ほど競技パフォーマンスが高い
離の A は 0.40±0.17cm で、C は 0.54±
と仮説とし、足底圧分布と競技能力の関連
0.17cm であった。
性を明らかにすることを目的とする。
3)B と C の比較
2.研究方法
A の 左右動 は 255.15 ±48.22cm で B は
本研究の対象者は本学陸上競技部短距離
242.71±36.98cm であった。前後動は B は
パート男子部員 15 名(平均身長 170.34±
124.66±23.52cm で、C は 116.43±16.94cm
5.33cm、平均体重 63.92±5.27kg、平均体
であった。足底圧の A は 467.32±213.48cm
脂肪率 13.62±2.20%、平均タイム 11.20±
で、C は 607.79±40.67cm であった。
0.33 秒、平均競技歴は 8±1.41 年とした。
この 15 名を競技パフォーマンス別(100m
測定の結果から、足底圧分布の前後動、
の自己ベストタイム)に、上位を A グルー
左右動、足底圧力、総移動距離にグループ
プ、中位を B グループ、下位を C グループ
ごとの比較では、有意な差は認められなか
の 3 つのグループに分け比較した。
った。それらのことは、立位安静時には様々
足底圧分布の測定においては、RSscan 社製
な筋肉が必要であり、大腿四頭筋、胸骨乳
フットスキャンを使用し足底圧分布の測定
突筋、僧帽筋、腹直筋、脊椎起立筋などの
を行った。開眼にて各 30 秒間の開足直立姿
筋肉が必要あると考えられる。走行中にお
勢で測定を行った。分析方法として 30 秒間
いては片足立支持期で、その姿勢を安定さ
の左右動、前後動、足底圧力、総移動距離
せ必要があり、足関節周囲筋の前脛骨筋や
の 4 項目の各平均値の算出を行い、30 秒間
抗重力筋が重要であると考えられる。
の 2 分割し、
前半 15 秒間の左右動、
前後動、
足底圧、総移動距離の 4 項目の平均値の算
出を行い、後半 15 秒間の左右動、前後動、
足底圧力、総移動距離の 4 項目の平均値の
算出を行った。
3.結果および考察
1)A と B の比較
A の左右動は 217.14±39.23cm で、B は
48.22cm であった。T検定の結果、有意な
4.まとめ
差は認められなかった。
今回の測定おいては、足底圧分布能力が
前後動の A は 116.85±28.37cm であり、B
高い選手ほど、競技パフォーマンスが高い
は 124.66±23.52cm であった。足底圧は、A
ことの本研究の仮説は棄却された。
は 602.82±108.63cm であり、B は 46.73±
5.参考文献
213.48cm であった。(図 1)総移動距離の A
平沢弥一郎(1991):足の裏は語る,筑波書
は 0.40±0.17cm で、B は 0.38±0.38 ㎝で
房,7-25