人の顔の審美評価における色彩の効果 応用バイオ学科 新井 佑 (指導

15BB2-08
人の顔の審美評価における色彩の効果
応用バイオ学科 新井 佑 (指導教員 吉澤 達也)
1. はじめに
2-2. 色彩を変更した画像の評価実験
私たちは普段、ヒトの顔を見て美しい顔だと思う
作成した 360 枚の画像を評価する実験を行った。
ことがある。ヒトが美しいと思う顔はヒトによって
実験は 20 歳代の男子学生 12 名の被験者で行った。
異なり、それは目、鼻、口、眉などの位置や大きさ、
実験は暗室で行い、ディスプレイの中央に呈示され
輪郭や顔の色彩で変化する 1)。また、顔の魅力や印象
る画像を‘美しい’か‘美しくない’の二択で評価
研究は多岐にわたって行われており、学際的に関心
させた。
が高いテーマである 2)。そこで、顔の色彩に注目して
3. 結果
研究したいと考えた。本研究では色彩によって顔の
色彩を変更した画像の評価実験の結果を図 4・図 5
美しさはどのように変化するのかを明らかにするこ
に示した。図中の英字は顔の色彩のパターンを表し
とを目的とする。
たものであり、1 つめの英字が頬紅、2 つめの英字が
2. 実験
2-1. 顔画像の作成と評価実験
アイシャドー、3 つ目の英字が口紅を表している。一
つの縦棒には全ての形状の顔 10 種を含めた。美しい
FaceGenModellerを用いて顔の形状が異なる日本
と答えた割合が最も高かった顔が、C-C-C パターン
人の画像を 30 枚作成し、その画像を 10 枚まで絞る
と C-A-C パターンで、43%であった。美しくないと
ために評価実験を行った。実験は 20 代の学生 13 名
答えた割合が最も高かった顔が、D-C-B パターンで、
で行い、7段階の評価で実験した。
91%であった。全ての画像で美しいと答えた割合は
2-2. 顔画像の色彩の変更
23%であった。
評価実験で絞られた 10 枚の画像の色彩を変更し
た。色彩の変更は FaceGenModeller で行い、色彩は
化粧品のカタログを参考にした。色彩を変更した部
分は、肌全体の色合い、目の周辺、唇の 3 点である。
肌全体の色彩は、化粧品の頬紅を参考にし、4 パター
ンの変更を行った(図 1)。目の周辺は、化粧品のアイ
シャドーを参考にし、3 パターンの変更を行った(図
2)。唇は化粧品の口紅を参考にし、3 パターンの変更
図 4 色彩を変更した画像の評価実験の結果
を行った(図 3)。その結果、360 枚の画像が作成され
た。
図 1 参考にした頬紅の色
図 5 色彩を変更した画像の評価実験の結果
4. 考察
全体的に美しいと答えた割合が低くなったのは、
色彩を変更する前の顔画像で美しいと答えた割合が
元から低かったことが原因の一つであると考える。
図 2 参考にしたアイシャドーの色
5. 参考文献
(1) 山口真実 『美人は得をするか 「顔」学入門』 集英
社 (2010) p.182
(2) 伊師華江(2009). 顔の魅力認知の多様性に関する心
理学的考察. 感性工学, 第 8 巻 2 号, pp.253-256.
図 3 参考にした口紅の色