40 億ドルの盲点

40 億ドルの盲点
なぜ、検索マーケティング担当者は、
Click to Call におけるキーワードのアトリビューションが必要なのでしょうか?
※本書は米国 MARCHEX 社の文書を引用しアドゲイナー株式会社が編集したものです。
※内容についての著作は米国 MARCHEX 社、アドゲイナー株式会社に帰属します。
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1. Click to Call の盲点とは-本書の概要
マーケターにとって盲点とは、最終利益の損失を招くものです。広告
キャンペーンが購入につながった経緯を完全に見通すことができない
マーケターは、投資する最適化戦略を間違えて予算をどぶに捨てるよ
うな愚行を犯します。
盲点による利益損失が著しいのは、Click-to-Callと呼ばれる広告分野
です。そこでは、目標とする売上/成果につながるキーワードを特定す
る手段を持たない広告主が、消費者からの入電数を増やすために莫大
な予算を投じています。GoogleまたはBingのモバイル検索の結果表示
されたClick to Call広告には、消費者が即座に企業のコールセンター
などに電話できるように、クリック可能な電話番号または電話アイコ
2015 年には、モバイル検索広告の Click to
ンが表示されます。
Call からの架電は 10 億回以上
Marchex Institute の試算によると、入電数の増加を目的とした 2014 年のモバイル検索広告への投資総額は 40 億ドルを超えてい
ます。この金額は、モバイル検索広告の直接クリックから生じた 100 万件超の入電を分析し、その結果に基づいてはじき出された
ものです。これらのことから、今日のモバイル広告における最大の盲点の 1 つは、Click to Call におけるキーワードアトリビュー
ションの欠如であることがわかります。
2.Click to Call がもたらす大きなデータギャップ
Google が「コールエクステンション」あるいは Click to Call を、モバイル検索広告に初めて適用したのは 2010 年です。この機
能は瞬く間に消費者と広告主に頻繁に利用されるようになり、同年内に数百万件の月間入電数を記録するまでになりました。
Google の報告によると、2013 年のコールエクステンションによる月間平均入電数は 4,000 万件を超えており、2015 年にはそ
の数は 10 億件近くに達すると予想されています。
しかし、Click to Call の適用による入電数の急増にもかかわらず、マーケターの前には依然として「測定」という大きな課題が立
ちはだかっています。マーケターがコールエクステンションによる入電から取得することができる情報の量は限られており、消費
者がクリックにより Web サイトを訪問した場合よりもはるかに少数です。
Google Call Extensions からの毎月の数百万にのぼる入電数
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コールエクステンションにおける測定の課題を検討する前に、2 種類のシナリオを想定してみましょう。1 つ目
は、マーケターが購入につながったキーワードを特定するために必要なあらゆる情報を取得することができるケ
ースです。
消費者が「赤い靴」というキーワードを用いた検索の結果表示された検索広告をクリックし、Zappos.com を訪れて靴を購
入しました。この場合マーケターは、消費者が靴を購入するために辿った経路を把握するために必要なあらゆる情報を取得
することができます。まずは Google または Yahoo から、Zappos.com への訪問につながったキーワードが提供されます。
次に Zappos.com のサイト全体に配置されたコンバージョンピクセルによってキーワード検索から購入に至るまでの経路が
追跡されます。マーケターはそれらの情報を Acquisio、Marin、DoubleClick といった有料検索自動化ツールに容易に取り込
むことができ、それにより各キーワードへの予算配分が自動更新されます。
2 つ目のシナリオはこうです。消費者が「ホームセキュリティ」というキーワードを用いてモバイル検索を行い、検索結果に
表示された電話番号を直接クリックして商品を発注しました。この場合マーケターは、Zappos.com の例で言及した一切の
情報を取得することができません。Google または Yahoo からは、キャンペーンレベルのデータは提供されても、入電につな
がったキーワードは提供されません。また発注の電話であったのかどうかを判断できない場合もあります。受電に関する情報
は有料検索自動化ツールに取り込むことができません。この事実は、Click to Call に推定 40 億ドルもの莫大な予算を投じて
いるマーケターにとって、極めて大きな盲点であると言えるでしょう。
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3.測定の課題-1: Click to Call 向けのキーワードアトリビューション
検索キャンペーンには通常 1 つ以上の広告グループが設定されており、広告グループには通常 1 つ以上のキーワードが設定さ
れています。キャンペーンのクリック単価が平均 2 ドルで、1,000 回のクリックが 50 件の受注をもたらした場合、当該のキ
ーワードによる受注単価は 40 ドルということになります。(1,000 [クリック数] x2 ドル[クリック単価] /50 [受注件数] =
40 ドル[受注単価])
しかし、受注単価が 40 ドルを下回り、マーケターに売上促進の圧力がかかっている場合を想定してみてください。そこで必
要となるのはキーワードレベルのデータです。広告主は、各キーワードに対して生成されたコストとクリックのデータを用い
て上記の計算を行い、その結果から受注単価の高いキーワードを見極めることにより、キーワードの入札戦略を最適化するこ
とができるからです。
電話による受注においてもキーワードレベルのデータが重要であることに変わりはありません。下のデータは、Marchex の
Call Analytics for Search を使用しているフォーチュン 100 企業の広告主における、上位 10 のキーワードによる検索から生
じた入電における受注単価(cost-per-call)を示しています。
この広告主は、数千種類のキーワードによるモバイル検索から生じた入電を年間数十万件受けています。これらの入電に関す
るデータの測定は、顧客獲得コストの低減には欠かせない重要な手段となります。
4.測定の課題-2: 消費者の意向
まず最初に取り掛かるべきことは、入電につながったキーワードを把握することです。しかしそれだけでは、真の意味で ROI
を改善することはできません。なぜならカスタマーサービスに関する電話、誤操作によってかかってしまった電話、あるいは顧
客からの再入電など、購入意向に基づくものでない入電が多数存在するからです。そのような入電はどれくらいあると思います
か。おそらく想像を上回る数でしょう。
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このグラフは、あるナショナルケーブルテレビの広告主における 2014 年の入電数のデータを示しています。ご覧の通り、購入
意向に基づくものでない入電が全体の 80%以上を占めています。
この割合はマーケターによる入電数増加の取り組みが不要であることを示唆するものではありません。事実は真逆です。クリッ
クによって Web サイトを訪問した消費者よりも、電話をかけてきた消費者の方が商品を購入する確率ははるかに高いのです。
したがって、購入につながった入電と、入電をもたらしたキーワードを把握することは、最適化の鍵となります。
前節のグラフは 10 種類のキーワードがもたらした入電に対する購入単価を示すものでした。この図は 2 つ目のデータセット、
つまり「販売に関するお問い合わせ」の入電に対する購入単価をキーワード別に示しています。これにより、真の購入意向に基
づく入電であるかどうかを検討しないマーケターは、最適化の大きな機会を逸していることがわかります。
5.モバイル検索から生じた 2 種類の架電
モバイル検索から生じた架電には、検索広告の直接クリックによる架電と(Click to Call)、モバイル用のランディングページか
らの架電があります。試算によると、Click to Call によって検索広告から直接かけられた電話の数は、全体の 60%に上ってい
ます。つまりマーケターには、これらの 2 種類の入電を測定できるソリューションが必要であるということです。
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6. 測定の課題-3: オートビッドツール(有料検索自動化ソリューション)
この世に存在するあらゆるデータは、適切に利用されなければ何の役にも立ちません。
高実績を上げているマーケターの大多数は、なんらかの有料検索自動化ソリューションを活用しています。
それには Kenshoo、Marin、DoubleClick、IgnitionOne、Acquisio といった業界で有数の地位を誇るプラットフォームが含ま
れます。
高実績を上げたいマーケターはこれらのプラットフォームを利用しないわけにはいきません。これらのプラットフォームにキー
ワード別の受注単価データを取り込み、Google または Bing のオークションにおける入札戦略を精緻化することにより、投資利
益率(ROI)が自ずと改善するからです。キーワードレベルの入電データを自社の有料検索自動化プラットフォームに取り込むこ
とがマーケターにとって必須であるのはそのためです。
7. 盲点を競争優位に転換
「保険」、「ケーブルテレビ」、「オンラインMBA」といった頻繁に使用される検索ワードに関しては、クリック単価が50ドル
もの高額に上ることもありえるため、最上位の掲載位置をめぐって多数の広告主による競り合いが繰り広げられます。
広告主はコールエクステンションを測定する技術を取り入れることにより、実際に新規契約、購読者、学生の獲得につながった
キーワードを把握し、それに基づいて予算を配分できるようになります。
以上のことから、Click to Callのキーワードアトリビューションを提供する技術を早期に採用した企業は、モバイル検索において
大きな競争優位を得ることができると予想されます。
以上
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