BRST量子化とアノマリー

1 string 勉強会 (2015/7/3) のまとめ
やったこと
• 3.2.1 節「BRST チャージの構成」について
• 3.2.1 節の前半は一般論を扱う
– ある対称性演算子 Ki がなす Lie 代数 G を
[Ki , Kj ] = fij k Kk
(3.2.1)
とする。G の adjoint 表現で変換されるものとして「反ゴースト」bi を、G の
adjoint 表現の双対で変換されるものとして「ゴースト」ci を定義する。
– bi , ci の正準反交換関係
{ci , bj } = δji
– ゴーストの個数演算子は
U=
∑
ci bi
(3.2.2)
(3.2.3)
i
で定義する。そのため bi が消滅演算子、ci が生成演算子になっている。
– BRST 演算子を
1 k i j
Q = ci Ki − fij
c c bk
2
(3.2.4)
と定義する。この演算子の基本的な性質は
Q2 = 0
(3.2.5)
– ゴースト数 k の状態 χ(U χ = kχ) が BRST 不変な状態であるとは
Qχ = 0
(3.2.7)
– ゴースト数 0 で BRST 不変な状態は G による変換に置いて不変である:
U χ = 0 and Qχ = 0 → Ki χ = 0
(3.2.10)
• 後半では, 最初に考えていた Ki を Virasoro 演算子で置き換えて考える。
– 前半の議論は群 G が無限次元の時に少し違ってくる。具体的には Q2 にアノー
マリーが含まれるようになる。また normal ordering をいれて Virasoro 代数
を扱う必要がある。
1
– BRST 演算子 Q とその二乗は
Q=
∞
∑
−∞
(α)
L−m cm
∞
1∑
−
(m − n) : c−m c−n bm+n : −ac0
2 −∞
(3.2.11)
∞
Q2 =
1∑
([Lm , Ln ] − (m − n)Lm+n )c−m c−n
2 −∞
(3.2.19)
である。ただしここで Virasoro 演算子 Lm は物質場とゴースト場を含めたも
のになっていて、Q2 のアノーマリーは Virasoro 代数のアノーマリーに比例す
る形になっている。
→ 3.1.3 節の議論からアノーマリーは a = 1, D = 26 の時消える。
– 個数演算子 U は
U=
∞
∑
: c−m bm :
(3.2.13)
−∞
=
∞
∑
1
(c0 b0 − b0 c0 ) +
(c−n bn − b−n cn )
2
n=1
(3.2.28)
であり、normal ordering のために c0 , b0 の順序が決められなくなっている。
– そのため n > 0 に対し、bn , cn は消滅演算子、b−n , c−n が生成演算子である
が、c0 , b0 は生成、消滅どちらとも取ることができる。
– ゴーストを含まない状態を (ゴーストの) 消滅演算子で消える状態として書
くと、
cn |χ⟩ = bn |χ⟩ = 0
n>0
(3.2.30)
– 更に、c0 あるいは b0 のどちらかによって消える状態を考えることができる。
b0 |↓⟩ = 0 c0 |↑⟩ = 0
{c0 , b0 } = 1 であるからこれらは互いに
c0 |↓⟩ = |↑⟩
b0 |↑⟩ = |↓⟩
(3.2.29)
という関係にある。したがって、b0 , c0 の両方で消える状態は作れない
– 以上から BRST 不変で、かつゴーストを含まず、b0 で消える状態を考えると、
∑
(α)
0 = Q |χ⟩ = (c0 (L0 − 1) +
c−n L(α)
(3.2.31)
n ) |χ⟩
n>0
を満たす。これは共変量子化での物理状態の条件と一致する。(b0 ではなく c0
で消える状態を指定すると (L0 − 1) |χ⟩ = 0 の条件式は出てこない)
2
ゴースト数について。normal ordering をとっているために、個数演算子に
は本来 normal ordering 定数が含まれている。そのため、固有値としての
ゴースト数にはその定数が含まれることになる。ここで |↓⟩ , |↑⟩ のゴースト
数を
U |↓⟩ = U↓ |↓⟩ ,
U |↑⟩ = U↑ |↑⟩
とすると、(3.2.29) 式から U↑ = U↓ + 1 であることが分かる。しかしその
大きさ自体は normal ordering 定数のために決まらない。しかし、対称性
や単純のために U↓ = −1/2, U↑ = 1/2 と取るのが自然である。実は個数演
算子を書き下した式 (3.2.28) はそうなるように定めている。
結論
– BRST 演算子の Q2 = 0 という性質は元の代数の次元が無限次元の時
アノーマリーが含まれる。Virasoro 代数の時は Virasoro 代数のアノー
マリーが出てくるので、a = 1, D = 26 の時にそのアノーマリーは消
える。
– (共変量子化でやった)「ボソンひも理論の物理的状態」の条件は、
「ゴー
スト数が-1/2 であり、BRST 不変な状態」という条件と同じである。
3