獣医寄生虫学・寄生虫病学モデル・カリキュラムVer_1(PDF形式)

寄生虫学・寄生虫病学モデル・カリキュラム Ver. 1 の作成について
2010. 10. 1
日本獣医寄生虫学会 教育委員会
帯広畜産大学:猪熊 壽
帯広畜産大学:横山直明
北海道大学:片倉 賢(委員長)
日本大学:野上貞雄(副委員長)
京都大学:岡本宗裕
山口大学:佐藤 宏
宮崎大学:野中成晃
わが国における理想的な獣医学教育のためには、学生に具体的な到達目標を明示した詳細
なカリキュラムの内容と教育手法、すなわちモデル・カリキュラムを作成し明示することが
不可欠であります。そこで、日本獣医寄生虫学会では、教育委員会が中心となって獣医学教
育における寄生虫学および寄生虫病学に関するモデル・カリキュラムを作成・整備し、会員
に提供することにしました。本モデル・カリキュラム Ver. 1 では、講義単位数にとらわれず、
教えたい内容を網羅し、それぞれに詳細なキーワードを設定しました。状況に応じて、適宜、
活用して頂きたいという考え方です。今後も、バージョンアップしていく予定でおりますの
で、獣医寄生虫学会の会員の皆様におかれましては、追加・修正・削除等につき建設的なご
意見をいただけますよう、お願い申し上げます。
(連絡先:片倉 賢 [email protected])
モデル・カリキュラムの内容は以下の 5 部に分かれています。
1.寄生虫学・寄生虫病学総論
2.原虫学・原虫病学
3.蠕虫学・蠕虫病学
4.衛生動物学
5.獣医臨床寄生虫学
各到達目標の重要度に応じて○、△がつけられています。
キーワードを充実させるために、大項目,小項目および細項目について、以下の方法を用い
て設定しました。
1.キーワード大項目は分類,形態,生活環,病態,疫学,診断,治療,対策の8つとする。
2.大項目のそれぞれについて,重要な情報であるキーワード小項目を(
)内にまとめ
て記載する。
3.必要に応じて,各小項目についての特徴的情報や別名等であるキーワード細項目を[ ]
内に記載する。
4.寄生虫種ごとにキーワード大項目,小項目および細項目を設定する。
5.各論の到達目標1)に掲げた「本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について
説明できる。
」についても,キーワード大項目,小項目および細項目を設定する。2)以
降の寄生虫種別のキーワードについても大項目は必ず記載するが,1)ですでに掲げた
1
項目共通のキーワード小項目および細項目は省略し,対象寄生虫に特異的なキーワード
がある場合のみ小項目および細項目を記載する。
記載例:
キーワード大項目のそれぞれについて,下記内容の(小項目)および[細項目]を記載する。
選択肢のあるものは適宜選択するが,該当しないか該当が難しいものは省略してもよい。
1)分類:寄生虫が属する目および科を記載する。
例:分類(円虫目・毛様線虫科)
2)形態:主要な発育期と重要な形態を記載する。
例:形態(成虫[交接嚢,交接刺]
,虫卵[中型]
,第3期幼虫[被鞘])
3)生活環:直接型か間接型を選択する。単宿主性か多宿主性を選択する。宿主,終宿主,
中間宿主,待機宿主,ベクター等については特定の動物種あるいは動物群を記載する(多種
あるものについては主要なものをあげ,
・・・などと記載する)
。感染経路については,経口,
経皮,接触,経胎盤,経乳,経気道,自家を 1 つあるいは複数選択する。体内移行について
は,するもののみ記述し特徴的な移行場所や経路があれば記載する。寄生部位については,
終宿主における最終的な寄生場所を記載する。
例:生活環(直接型,単宿主性,宿主[反芻獣]
,感染経路[経口]
,寄生部位[第四胃]
)
4)病態:寄生虫の病原性,特徴的症状や病態に関連する項目を記載する。
例:病態(寄生性胃腸炎,吸血,貧血,春期顕性化現象[spring rise]
,自家治癒[
self cure])
5)疫学:世界的に見た分布域および日本での分布を示す。また,人獣共通感染症に該当す
ればその旨を記載する。
例:疫学(分布域[全世界的,日本全土]
,人獣共通感染症)
6)診断:通常用いられる具体的な診断法を示す。
例:診断(ウイスコンシン変法,マックマスター法)
7)治療:通常用いられる具体的な治療法を示す。
例:治療(抗線虫薬の投与,薬剤耐性,薬剤のローテーション)
8)対策:通常用いられる具体的な対策法を示す。
例:対策(駆虫プログラム,輪牧)
2
寄生虫学・寄生虫病学モデル・カリキュラム Ver.1
2010. 9. 16
1.寄生虫学・寄生虫病学総論
全体目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な寄生虫学および寄生虫病学の総論を理解する。
(1)寄生虫学総論
一般目標:
寄生虫の生物学や寄生現象,および宿主−寄生体関係に関連する用語の意味を理解し,寄生虫
学に関する基本的知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)寄生現象について説明できる。
○2)寄生虫の分類について説明できる。
○3)寄生虫の生活環(生活史)について説明できる。
○4)寄生虫の発育について説明できる。
○5)寄生虫の生殖について説明できる。
【キーワード】
1)自由生活,寄生適応,寄生と共生,相利共生と片利共生,宿主特異性,寄生部位特異性
2)学名,二名法,和名,動物分類学(形態による系統分類と遺伝子による系統分類),原核
生物,真核生物,原生生物界,動物界,線形動物門,扁形動物門,鉤頭動物門,節足動
物門,原虫,蠕虫(線虫,吸虫,条虫,鉤頭虫)
,節足動物(ダニ・昆虫)
,内部寄生虫と
外部寄生虫
3)宿主,終宿主,中間宿主,待機宿主,保虫宿主(キャリア),媒介動物(ベクター),生
活環(直接型,間接型)
,感染経路(経口,経皮,接触,経胎盤,経乳,経気道,自家)
,
伝播(生物学的,機械的)
4)形態変化,変態,感染型幼虫,体内移行,発育停止(春季顕性化現象)
5)無性生殖,有性生殖,二分裂,多数分裂,融合,接合,世代交番,単為生殖,幼生生殖,
雌雄異体と雌雄同体,プレパテントピリオド(前寄生虫証明期)とパテントピリオド
(2)寄生虫病学総論
一般目標:
寄生虫病の発症や重症化の機序(病態)
,診断,治療および予防についての基本的知識,技術
および考え方を習得する。
到達目標:
○1)寄生虫症の診断について概要を説明できる。
○2)寄生虫症の治療について概要を説明できる。
○3)寄生虫症の予防・対策について概要を説明できる。
○4)寄生虫の病原性と寄生虫病の関連について説明できる。
○5)寄生虫感染宿主の生体防御の特徴を説明できる。
3
○6)幼虫移行症について説明できる。
○7)人獣共通寄生虫症の概要について説明できる。
【キーワード】
1)寄生虫学的診断法,生化学的診断法,免疫学的診断法,遺伝子診断法,画像診断法
2)駆虫薬・殺虫薬と予防薬,駆虫効果と副作用,薬物使用禁止期間,薬剤耐性,ワクチン
3)単宿主性と複宿主性,消毒,感染源対策,殺寄生虫処理,検疫,感染動物の摘発隔離・
淘汰,生活環の遮断,ベクター駆除
4)宿主−寄生虫相互作用,固有宿主,非固有宿主,相互適応,寄生部位,寄生態度,体内増
殖,体内移行,年齢抵抗性,日和見感染,アレルギー性反応,飼育環境
5)自家治癒(自然治癒),持続感染免疫(相関免疫,premunition),好酸球,IgE,Th1 反
応と Th2 反応
6)皮膚幼虫移行症,内臓幼虫移行症,眼幼虫移行症,異所寄生,迷入
7)好適宿主と非好適宿主,感染経路,偶発的感染,食品由来寄生虫症,水系感染症,旅行
者下痢症
4
2.原虫学・原虫病学
全体目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な原虫の分類,形態,生活環,病原性,流行の現状・疫学,
病態,診断,治療,予防,および宿主の防御機構について理解し,原虫による病害発生の機
序やその対策についての考え方を身につける。
(1)総論
一般目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な原虫の分類,形態,発育・生殖,感染症,および駆虫薬に
ついての基本的知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)原虫類の分類を説明できる。
○2)原虫類の形態学的特徴を説明できる。
○3)原虫類の発育(形態変化)および生殖の特徴を説明できる。
○4)原虫病および宿主免疫応答の特徴を説明できる
○5)抗原虫薬の種類について説明できる。
【キーワード】
1)原生生物界,肉質鞭毛虫類,アピコンプレックス類(胞子虫類)
,繊毛虫類,微胞子虫類
2)細胞内小器官,偽足(仮足)
,鞭毛,繊毛,波動膜,食胞,収縮胞,頂器官(頂端複合構
造,apical complex),ミトコンドリア,アピコプラスト,グライコソーム,ハイドロゲ
ノソーム
3)栄養型(トロフォゾイト)
,嚢子(シスト)と偽嚢子,無性生殖と有性生殖,二分裂,多
分裂,内部出芽,外部出芽,シゾゴニー,ガメトゴニー,スポロゴニー
4)寄生虫血症(parasitemia)
,Th1 反応,Th2 反応,免疫回避,抗原変異,免疫抑制,持続
感染免疫(premunition)
,不顕性感染症,細胞内寄生
5)サルファ剤,スルファモイルダプソン,ピリメタミン,ポリエーテル系抗コクシジウム
剤,アンプロリウム,アミノキノリン製剤,ジミナゼン製剤,メトロニダゾール製剤
(2)肉質鞭毛虫類Ⅰ(肉質虫類)
一般目標:
肉質虫類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連する知
識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)について説明できる。
△3)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(アメーバ目),形態(栄養型,嚢子[シスト],二分裂,類染色質体,嚢子の核数,
カリオソーム,偽足)
,生活環(自由生活種と寄生種)
5
2)分類(アメーバ目エントアメーバ科),形態(栄養型,4核嚢子,棍棒状類染色質体)
,生
活環(直接型,多宿主性,終宿主[人,サル,犬,猫],感染経路[経口],寄生部位[大腸,
全身転移],二分裂,運搬宿主,食品由来)
,病態(腸アメーバ症,アメーバ性大腸炎,ア
メーバ赤痢,組織侵入性,壺形潰瘍,転移,無菌性膿瘍,全身移行,腸管外アメーバ症,
アメーバ性肝膿瘍),疫学(分布域[世界的],人獣共通感染症,性感染症),診断(ヨー
ド染色,集シスト法),治療(メトロニダゾール,チニダゾール),対策(感染症法5類
感染症,Entamoeba coli[大腸アメーバ]および Entamoeba dispar との鑑別)
3)Entamoeba dispar(病態[非病原性])
,Entamoeba coli(大腸アメーバ,形態[8 核嚢子],
病態[非病原性])
,Entamoeba invadens(病態[は虫類寄生性,病原性])
,Naegleria fowleri
(病態[アメーバ性髄膜脳炎])
,Acanthamoeba spp.(病態[アメーバ性角膜炎])
(3)肉質鞭毛虫類Ⅱ(腸管寄生性鞭毛虫類)
一般目標:
腸管寄生性鞭毛虫について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連する知
識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)ジアルジア(Giardia intestinalis)について説明できる。
○3)牛生殖器トリコモナス(Tritrichomonas foetus)について説明できる。
○4)ヒストモナス(Histomonas meleagridis)について説明できる。
△5)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)形態(栄養型,嚢子[シスト],鞭毛)
2)分類(ジアルジア属,ランブル鞭毛虫,異名:Giardia lamblia,Giardia duodenalis,
宿主と遺伝子型[assemblage])
,形態(栄養型,嚢子,前側鞭毛,側鞭毛,腹鞭毛,後鞭
毛,吸着円盤,カリオソーム,中央小体)
,生活環(直接型,多宿主性,宿主[人,犬,猫,
牛,豚など],感染経路[経口:シスト],寄生部位[小腸粘膜]),病態(不顕性感染,日和
見感染,吸収阻害,脂肪性下痢)
,疫学(分布域[世界的],水系感染症,性感染症,人獣
共通感染症)
,診断(ヨード染色,集シスト法)
,治療(メトロニダゾール),対策(感染
症法 5 類感染症,シストの塩素抵抗性)
3)分類(トリコモナス属),形態(栄養型,3 本の前鞭毛,後鞭毛,波動膜,[偽]嚢子な
し),生活環(直接型,宿主[牛,猫],感染経路[交尾,経口?],寄生部位[牛:生殖器,
猫[小腸],縦二分裂),病態(膣炎,流産,包皮炎),疫学(分布域[世界的,日本ではま
れ],生殖器感染症,自然交配と人工授精),診断(生殖器粘液・洗浄液検査),治療(膣・
子宮洗浄,メトロニダゾール膣剤),対策(届出伝染病[牛,水牛],人工授精,感染雄牛
の治療・隔離)
,
4)分類(ヒストモナス属)
,形態(栄養型[有鞭毛期と無鞭毛期:内腔型と組織型:鞭毛運
動とアメーバ運動]),生活環(間接型,終宿主[クジャク,七面鳥,鶏,キジなど],鶏
盲腸虫を介した感染,鶏盲腸虫感染経路[経口:原虫感染の鶏盲腸虫虫卵の経口摂取,原
虫感染の鶏盲腸虫虫卵を摂取したシマミミズの経口摂取],寄生部位[盲腸,肝臓],病態
(黄色水溶性下痢,盲腸病変[点状潰瘍,壊死性盲腸炎],肝臓病変[菊花状・円形の陥凹
壊死],黒頭病),疫学(分布域[世界的]),診断(剖検,組織検査),治療(フェノチア
ジン,テトラミゾール)
,対策(鶏盲腸虫駆除)
6
5)Pentatrichomonas hominis(腸トリコモナス,宿主[人,犬,猫など],病態[出血性下痢])
,
Trichomonas gallinae(ハトトリコモナス,宿主[ハト,七面鳥など],生活環[ハトミル
クで伝播],病態[上部消化器の壊死性病変]),Tetratrichomonas gallinarum(ニワトリ
トリコモナス,宿主[ニワトリなど],病態[盲腸炎と下痢]),Trichomonas vaginalis(膣
トリコモナス,宿主[人],病態[膣炎],疫学[性感染症])
(4)肉質鞭毛虫類Ⅲ(血液内寄生性鞭毛虫)
一般目標:
血液内寄生性鞭毛虫類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御
に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)について説明できる。
○3)ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)について説明できる。
○4)リーシュマニア(Leishmania spp.)について説明できる。
△/○5)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)吸血昆虫媒介性,ステルコラリア(糞棲類)とサリバリア(唾棲類)
,トリポマスティゴ
ート,エピマスティゴート,プロマスティゴート,アマスティゴート,キネトプラスト,
鞭毛,波動膜
2)分類(キネトプラスト目トリパノソーマ科トリパノソーマ属)
,形態(トリポマスティゴ
ート,エピマスティゴート,アマスティゴート),生活環(間接型,ステルコラリア,多
宿主性,終宿主[人,犬,猫,サル、アルマジロなど],保虫宿主[アルマジロ,オポッサ
ム,アライグマなど],ベクター[サシガメ]
,感染経路[サシガメの糞内の原虫が経皮ま
たは経口感染],寄生部位[細胞内寄生性,細胞内でアマスティゴート,網内系,心筋,
骨格筋、平滑筋),病態(人:シャーガス病,アメリカトリパノソーマ症,心筋炎,巨大
結腸症,ロマーニャ徴候[眼瞼浮腫],シャゴーマ[手足の浮腫])
,疫学(分布域[中南米,
米 国 南 部 ] , 人 獣 共 通 感 染 症 ), 診 断 ( 臨 床 症 状 , 急 性 期 の 血 液 検 査 , 体 外 診 断 法
[xenodiagnosis]),治療(ニフルティモックス,ベンジダゾール),対策(サシガメの
駆除)
3)分類(キネトプラスト目トリパノソーマ科トリパノソーマ属)
,形態(トリポマスティゴ
ート,エピマスティゴート)
,生活環(間接型,サリバリア,多宿主性[Trypanosoma brucei
brucei:牛,豚,馬,ロバ,ラクダ,犬など],Trypanosoma brucei gambiense:人,豚
など, Trypanosoma brucei rhodesiense:人,牛,豚,アンティロープなど,血流型ト
リポマスティゴート,ベクター[ツェツェバエ:プロサイクリック型エピマスティゴー
トとメタサイクリック型トリポマスティゴート],感染経路[ツェツェバエ唾液腺内のメ
タサイクリック型が吸血時に注入],寄生部位[血流中,組織間隙,リンパ液中,脳脊髄
液中)
,病態(免疫回避[細胞外披,surface coat, VSG:variable surface glycoprotein,
ヒト血清抵抗性関連遺伝子],間欠熱,貧血,リンパ節腫脹,神経症状,アフリカトリパ
ノソーマ症,ナガナ病[家畜], 睡眠病[人])
,疫学(分布域[熱帯アフリカ],人獣共通感
染症),診断(臨床症状,血液・リンパ液検査),治療(スラミン,ペンタミジン,ジミ
ナゼンアセチュレートなど),対策(ツェツェバエの駆除,届出伝染病[牛,水牛,馬])
4)分類(キネトプラスト目トリパノソーマ科リーシュマニア属,Leishmania donovani[ド
7
ノバンリーシュマニア], Leishmania infantum,Leishmania chagasi,Leishmania major,
Leishmania tropica[熱帯リーシュマニア], Leishmania mexicana[メキシコリーシュ
マニア], Leishmania braziliensis[ブラジルリーシュマニア])
,形態(プロマスティ
ゴートとアマスティゴート),生活環(間接型,多宿主性,宿主[人,犬,狐,齧歯類な
ど],保虫宿主[犬,狐,齧歯類など],ベクター[サシチョウバエ],感染経路[サシチ
ョウバエ口腔内のプロマスティゴート型が吸血時に注入],寄生部位[内臓型:全身臓器
とくに肝臓,脾臓,骨髄のマクロファージ細胞,皮膚型:皮膚のマクロファージ細胞,
病態(細胞内寄生性,内臓リーシュマニア症[カラアザール],皮膚リーシュマニア症,
粘膜・皮膚リーシュマニア症,東洋瘤腫,皮膚潰瘍,チクレロ潰瘍,貧血,発熱,肝脾
腫,リンパ節腫脹,PKDL),疫学(分布域[中近東,アフリカ,地中海諸国,南アジア,
中南米],人獣共通感染症),診断(病変部生検材料塗抹,N.N.N.培地)
,治療(5価アン
チモン剤,ミルテホシン,アロプリノール)
,対策(ベクター対策,忌避剤)
5)Trypanosoma congolense(宿主[牛,ラクダなど],ベクター[ツェツェバエ],分布域[ア
フリカ],対策[届出伝染病:牛,水牛,馬]), Trypanosoma vivax(宿主[牛],ベクタ
ー[ツェツェバエ, アブ],分布域[アフリカ,中南米],対策[届出伝染病])
, Trypanosoma
equiperdum(宿主[馬,ロバ],生活環[性交伝播],病態[媾疫トリパノソーマ,ターラー
斑],分布域[世界的分布],対策[届出伝染病:牛,水牛,馬])
,Trypanosoma evansi(エ
バンストリパノソーマ,宿主[馬,ラクダ,水牛,犬],生活環[ツェツェバエ非媒介性,
機械的伝播,アブ,サシバエ],病態[スーラ],分布域[世界的],対策[届出伝染病:牛,
水牛,馬])
,Trypanosoma theileri(分類[ステルコラリア],宿主[牛],ベクター[アブ,
サシバエ],病態[非病原性],分布域[世界的,日本],対策[届出伝染病:牛,水牛,馬])
,
Trypanosoma rangeli(分類[ステルコラリア],宿主[多種哺乳類],ベクター[サシガメ],
分布域[中南米])
,Trypanosoma lewisi(分類[ステルコラリア],宿主[ラット],ベクタ
ー[ネズミノミ],病態[非病原性],分布域[世界的])
(5)アピコンプレックス類Ⅰ(腸管限局寄生性胞子虫類およびイソスポーラ)
一般目標:
腸管限局寄生性胞子虫類およびイソスポーラの重要種について,その生物学,疫学,病因・
病理学および疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)アイメリア(Eimeria spp.)について説明できる。
○3)イソスポーラ(Isospora spp.)について説明できる。
○4)クリプトスポリジウム(Cryptosporidium spp.)について説明できる。
【キーワード】
1)頂器官(頂端複合構造,apical complex)
,無性生殖,有性生殖,スポロゴニー,シゾゴ
ニー(メロゴニー),ガメートゴニー(ガモゴニー),未成熟オーシスト,成熟オーシス
ト,スポロシスト,スポロゾイト,トロフォゾイト,シゾント(メロント)
,メロゾイト,
マクロガメートサイト,ミクロガメートサイト,マクロガメート,ミクロガメート,チ
ゴート(ザイゴート)
2)分類(コクシジウム類アイメリア属:鶏のコクシジウム[Eimeria tenella, Eimeria
necatrix, Eimeria acervulina, Eimeria maxima, Eimeria brunetti], 牛のコクシジウ
ム[Eimeria zuernii, Eimeria bovis など], めん羊・山羊のコクシジウム[Eimeria ahsata,
8
Eimeria arloingi など],豚のコクシジウム[Eimeria debliecki など],ウサギのコクシ
ジウム(Eimeria stiedai)])
,形態(オーシスト,4つのスポロシスト,ミクロパイル)
,
生活環(単宿主性,感染経路[経口:オーシスト],寄生部位[宿主特異性:小腸,大腸,
盲腸など)
,病態(組織内寄生部位特異性,細胞内寄生部位特異性,組織内発育と病原性
の相関,下痢,血便,混合感染,パテント・ピリオド,プレパテント・ピリオド),疫学
(分布域[世界的,日本全土]),診断(糞便検査,剖検),治療(サルファ剤),対策(予
防薬の飼料添加,消毒[オーシスト対策],オーシスト生ワクチン[鶏])
3)分類(コクシジウム類イソスポラ属:犬のコクシジウム[Isospora canis, Isospora
ohioensis],猫のコクシジウム[Isospora felis, Isospora rivolta], 豚のコクシジウ
ム[Isospora suis],形態(オーシスト,2つのスポロシスト),生活環(多宿主性,ユ
ニゾイトシスト[待機宿主], 感染経路[経口:オーシスト],寄生部位[小腸])
,病態(下
痢,血便,カタル性・出血性腸炎,パテント・ピリオド,プレパテント・ピリオド),疫
学(分布域[世界的]),診断(糞便検査),治療(サルファ剤),対策(消毒[オーシスト
対策])
4)分類(クリプトスポリジウム属,宿主と遺伝子型,Cryptosporidium parvum にヒト型,
ウシ型,ブタ型、サル型,マウス型など,人のクリプトスポリジウム[Cryptosporidium
hominis],犬のクリプトスポリジウム[Cryptosporidium canis],猫のクリプトスポリジ
ウム[Cryptosporidium felis],牛のクリプトスポリジウム[Cryptosporidium andersoni],
マウスのクリプトスポリジウム[Cryptosporidium muris], 鳥類のクリプトスポリジウ
ム[Cryptosporidium baileyi など],は虫類寄生のクリプトスポリジウム,魚類寄生のク
リプトスポリジウム)
,形態(成熟オーシスト,スポロゾイト),生活環(感染経路[経口:
オーシスト],寄生部位[腸上皮細胞の微絨毛,胃上皮],宿主特異性[低い])
,病態(水
溶性下痢,自然治癒,自家感染[スポロゾイト]),疫学(分布域[世界的,日本全土],水
系感染症,塩素抵抗性,人獣共通感染症,AIDS との合併症[人])
,診断(集オーシスト法,
ショ糖浮遊法,キニヨン抗酸染色)
,治療(対症療法)
,対策(感染症法5類感染症)
(6)アピコンプレックス類Ⅱ(組織シスト形成胞子虫類)
一般目標:
組織シスト形成胞子虫類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制
御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)について説明できる。
○3)ネオスポラ(Neospora caninum)について説明できる。
○4)サルコシスティス(Sarcocystis spp.)について説明できる。
△5)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)間接型生活環,終宿主,中間宿主,頂器官,無性生殖,有性生殖,スポロゴニー,シゾ
ゴニー(メロゴニー),ガメートゴニー(ガモゴニー),イソスポーラ型オーシスト,ス
ポロシスト,スポロゾイト,シゾント(メロント)
,メロゾイト,マクロガメートサイト,
ミクロガメートサイト,マクロガメート,ミクロガメート,チゴート(ザイゴート)シ
スト(組織内シスト形成),オーシスト
2)分類(1属1種),形態(シスト,オーシスト,タキゾイト[急増虫体],ブラディゾイ
9
ト[緩増虫体])
,生活環(終宿主[ネコ科動物]
,中間宿主[人,豚,牛,羊,山羊,ネ
ズミ,ウサギなど多種哺乳類と鶏,ハトなどの鳥類]
,タキゾイトとブラディゾイト,シ
ストとオーシスト,細胞内寄生性,寄生胞,内部出芽二分裂,無性生殖,有性生殖,感
染経路[経口:シスト;オーシスト,経胎盤:タキゾイト,臓器移植:シスト]寄生部位[小
腸,リンパ節,全身臓器,筋肉,中枢神経系)
,病態(腸管感染と全身感染,豚のトキソ
プラズマ症[チアノーゼ,発熱,全身症状,流産,死産],人の先天性トキソプラズマ症[網
脈絡膜炎,水頭症,脳内石灰化,精神運動障害,流産,死産]と後天性トキソプラズマ症
[発熱,リンパ節炎])
,疫学(分布域[世界的],人の先天性トキソプラズマ症,人獣共通
感染症),診断(ラテックス凝集反応),治療(サルファ剤,ミリメタミン,クリンダマ
イシン),対策(感染源対策[感染肉,オーシスト],オーシストは外界抵抗性,届出伝
染病[豚,イノシシ,山羊,めん羊])
3)分類(現時点では1属1種)
,形態(シスト[シスト壁は厚い],オーシスト,タキゾイト
[急増虫体],ブラディゾイト[緩増虫体]),生活環(終宿主[犬],中間宿主[牛,羊,
山羊,水牛,馬,ラクダなど]
,タキゾイトとブラディゾイト,シストとオーシスト,細
胞内寄生性,寄生胞,内部出芽二分裂,有性生殖,感染経路[経口:シスト;オーシスト,
経胎盤:タキゾイト],寄生部位[小腸,全身臓器,筋肉,中枢神経系)
,病態(腸管感染
と全身感染,牛のネオスポラ症[先天感染,流産,死産,非化膿性脳脊髄炎,心筋炎],
犬のネオスポラ症[先天感染,流産,死産, 神経症状,上行性麻痺,多発性筋炎,後肢硬
直)]
,疫学(分布域[世界的,日本]),診断(間接蛍光抗体法),治療(サルファ剤)
,対
策(感染源不明,届出伝染病[牛,水牛])
4))分類(Sarcocystis 属),形態(シスト,スポロシスト,タキゾイト[急増虫体],ブラ
ディゾイト[緩増虫体]
,住肉胞子虫)
,生活環(終宿主[肉食獣]
,中間宿主[草食獣],
サルコシスト,感染経路[経口:シスト],寄生部位[小腸粘膜固有層,血管内皮細胞,全
身移行,骨格筋,心筋,中枢神経系])
,病態(Sarcocystis cruzi は病原性[血管破綻,
点状出血,発熱,衰弱,ダルメニー病]),疫学(分布域[世界的],人を終宿主とする種
[Sarcocystis hominis, Sarcocystis suihominis]),診断(糞便検査[スポロシスト検
出])
,治療(情報乏しい)
,対策(スポロシストは外界抵抗性)
5)Besnoitia besnoiti(終宿主[猫],中間宿主[牛,山羊,レイヨウ類],病態:牛のベスノ
イチア症[皮下・結合組織寄生,発熱,全身症状] ,Hammondia hammondi(形態[オーシ
ストはトキソプラズマと区別困難],終宿主[猫],中間宿主[マウス,ラットなど])
(7)アピコンプレックス類Ⅲ(血液内寄生性胞子虫類)
一般目標:
血液内寄生性胞子虫類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御
に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)タイレリアに共通の生物学的特徴を説明できる。
○2)Theileria orientalis について説明できる。
○3)Theileria parva について説明できる。
○4)バベシアに共通の生物学的特徴を説明できる。
○5)牛のバベシアについて説明できる。
○5)馬のバベシアについて説明できる。
○7)犬のバベシアについて説明できる。
○8)鶏ロイコチトゾーン(Leucocytozoon caulleryi)について説明できる。
10
△9)マラリア原虫に共通の生物学的特徴を説明できる。
○10)鶏マラリアの重要な病原虫種について説明できる。
○11)ヘパトゾーンの重要種について説明できる。
△12)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(ピロプラズマ目タイレリア科),形態(オーシストは形成しない),生活環(間接
型,宿主[牛,水牛などの反芻類],ベクター[マダニ:2宿主性と3宿主性],経発育期伝
播,スポロゾイト,リンパ球内寄生,transforming Theileria spp.と non-transforming
Theileria spp.,シゾゴニー,シゾント[マクロシゾントとミクロシゾント],メロゾイ
ト,赤血球内寄生[小型ピロプラズム]
,無性生殖,ガメートゴニー,マクロガメートサ
イト,ミクロガメートサイト,マクロガメート,ミクロガメート,有性生殖,チゴート,
キネート,スポロゴニー)
2)分類(ピロプラズマ目タイレリア科)
,形態(巨大シゾント,柳葉状,コンマ状,桿菌状,
卵円形状,赤血球内にバールやベール構造)
,生活環(終宿主[牛],ベクター[3宿主性
マダニ,フタトゲチマダニ],幼・若ダニ雄雌が媒介,non-transforming)
,寄生部位[リ
ンパ節,肝臓,脾臓,赤血球]),病態(小型ピロプラズマ病,放牧病,発熱,リンパ節
腫脹,非溶血性貧血[血管外溶血]
,他の住血微生物との混合感染)
,疫学(分布域[日本,
韓国,中国,ロシア,東南アジア,オーストラリア],診断(血液塗抹),治療(対症療法,
パマキン,プリマキン)
,対策(マダニ対策,休牧)
3)分類(ピロプラズマ目タイレリア科)
,形態(コンマ状,卵円形状,Y 字状)
,生活環(終
宿主[牛,アフリカ水牛]
,ベクター[3宿主性マダニ,コイタマダニ],transforming)
,
寄生部位[リンパ節,肝臓,脾臓,リンパ球,赤血球]),病態(東アフリカ海岸熱[ECF],
発熱,リンパ節腫脹,貧血,白血球減少,流涙,横臥,肺水腫,他の住血微生物との混
合感染)
,疫学(分布域[東アフリカ]),診断(リンパ節生検材料塗抹)
,治療(対症療法,
感染免疫付与法),対策(マダニ対策,休牧,家畜伝染病[牛,水牛])
4)分類(ピロプラズマ目バベシア科),形態(オーシストは形成しない),生活環(間接型,
宿主[牛・水牛などの反芻類,馬・ロバ・ラバなどの奇蹄類,犬,齧歯類,人],ベクタ
ー[マダニ:1宿主性,2宿主性,3宿主性],経卵伝播(経卵巣伝播[介卵伝播]),スポ
ロゾイト,赤血球寄生[ピロプラズム],メロゾイト,二分裂,ガメートゴニー,マクロ
ガメートサイト,ミクロガメートサイト,マクロガメート,ミクロガメート,有性生殖,
チゴート,キネート,スポロゴニー)
,病態(放牧病,発熱,溶血性貧血[血管内溶血]
,
血色素尿),診断(血液塗抹),治療(イミドカルブ,ジミナゼン,フェナミジン,対症
療法),対策(マダニ対策)
5)Babesia ovata(宿主[牛],ベクター[フタトゲチマダニ],病態[大型ピロプラズマ症],
分布域[日本,韓国]),B. bigemina(宿主[牛,水牛],ベクター[オウシマダニ,コイタ
マダニ,幼・若・成ダニが媒介],病態[ダニ熱,テキサス熱],分布域[世界的,現在日
本にはない],対策[家畜伝染病:牛,水牛,シカ])
, Babesia bovis(宿主[牛,シカ],
ベクター[オウシマダニ,コイタマダニ],病態[脳バベシア症],分布域[世界的,現在日
本にはない],対策[家畜伝染病:牛,水牛,シカ])
6)Babesia equi (Theileria equi との意見もある, 形態[マルタクロス:4 分裂]
,宿主[馬],
ベクター[カクマダニ,イボマダニ,コイタマダニ,オウシマダニ],生活環[経発育期伝
播および経卵伝播],病態[発熱,流涙,貧血,血色素尿],分布域[世界的],対策[家畜
伝染病:馬]), Babesia caballi(宿主[馬],ベクター[カクマダニ,イボマダニ,コイ
タマダニ,オウシマダニ],発育環[経卵伝播],病態[発熱,貧血,黄疸,胃腸炎,後躯
麻痺],対策[家畜伝染病:馬])
11
7)Babesia canis(分類[3亜種],形態[大型,洋梨状],ベクター[コイタマダニ,チマダ
ニ,カクマダニ],生活環[経発育期伝播および経卵伝播,胎盤感染],病態[発熱,溶血
性貧血,黄疸,血色素尿],分布域[世界的]),Babesia gibsoni(形態[小型,多型性],
ベクター[コイタマダニ,チマダニ,カクマダニ],生活環[経発育期伝播および経卵伝播,
胎盤感染],病態[発熱,溶血性貧血],分布域[アジア,日本])
8)分類(ロイコチトゾーン科)
,形態(巨大なシゾント)
,生活環(宿主[鶏],ベクター[ヌ
カカ],スポロゾイト,シゾゴニー,第1代シゾント,第1代メロゾイト,第2代シゾン
ト,第2代メロゾイト,マクロガメートサイト,ミクロガメートサイト,ガメートゴニ
ー,マクロガメート,ミクロガメート,ザイゴート,オーキネート,スポロゴニー,寄
生部位[血管内皮系細胞,赤血球]),病態(血管栓塞,血管破綻,出血,喀血,溶血性
貧血,緑便,耐過鶏で免疫)
,疫学(分布域[アジア,日本]),診断(剖検)
,対策(ヌカ
カ対策,届出伝染病[鶏])
9)分類(Plasmodium 属,遺伝子型:サル型,齧歯類型,鳥型),形態(頂器官[コノイドを欠
く],スポロゾイト,シゾント,トロフォゾイト,メロゾイト,マクロガメートサイト,
ミクロガメートサイト,マクロガメート,ミクロガメート,チゴート,オーキネート,
オーシスト,生活環(間接型,宿主[霊長類,齧歯類,鳥類],ベクター[ハマダラカ:サル
型,齧歯類型原虫,イエカ・ヤブカ:鳥型原虫]),感染経路[蚊の吸血],無性生殖と有性
生殖,赤血球内寄生[マラリア色素],病態(発熱,貧血,肝脾腫)
10)Plasmodium gallinaceum(宿主[鶏,キジ,ウズラなど],ベクター[ヤブカ,イエカ],
寄生部位[肝の細網細胞,赤血球]
,病態[貧血,肝脾腫,耐過で免疫],診断[血液塗抹],
治療[サルファ剤,アミノキノリンなど],疫学[東南アジア],対策[蚊の駆除]),
Plasmodium juxtanucleare(宿主[鶏,アヒル,ホロホロチョウなど],ベクター[ヤブカ,
イエカ],寄生部位[血管内皮細胞,赤血球],病態[貧血,黄疸,緑便,耐過で免疫],
診断[血液塗抹],分布域[東南アジア,日本,メキシコ,南米])
11)Hepatozoon canis(分類[ヘパトゾーン属],形態[ガメトサイト],宿主[犬,猫,キツ
ネなど肉食獣],ベクター[クリイロコイタマダニなど],感染経路[ダニの経口摂取],非
吸血性伝播、寄生部位[好中球,単球],病態[発熱,貧血,高グロブリン血症,高アルブ
ミン血症,好中球血症],分布域[アフリカ,インド,中東,東南アジア,日本]),診断[血
液塗抹],治療[イミドカルブ,ドキシサイクリン],対策[マダニ駆除])
12)Theileria annulata(宿主[牛,水牛],ベクター[コイタマダニ,キララマダニ,チマ
ダニ],病態[熱帯タイレリア病],分布域[北アフリカ,南欧,中東,インド,ロシア東
部],対策[家畜伝染病:牛,水牛]),Theileria mutans(宿主[牛,水牛],ベクター[イ
ボマダニ],病態[良性アフリカタイレリア病],分布域[アフリカ,中東,ロシア]),Babesia
divergens(宿主[牛],ベクター[マダニ属],疫学[人獣共通感染症]), Babesia microti
(宿主[野生げっ歯類],疫学[人獣共通感染症])
,猿マラリア原虫(Plasmodium knowlesi,
Plasmodium cynomolgi),人体マラリア原虫(Plasmodium vivax[三日熱マラリア原虫],
Plasmodium falciparum[熱帯熱マラリア原虫], Plasmodium malariae[四日熱マラリア原
虫], Plasmodium ovale[卵形マラリア原虫])
(8)繊毛虫類
一般目標:
繊毛虫類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連する知
識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
12
○1)大腸バランチジウム(Balantidium coli)について説明できる。
△2)バクストネラ(Buxtonella sulcata)について説明できる。
【キーワード】
1)分類(繊毛虫類バランチジウム科),形態(栄養型,シスト,繊毛,大核,小核,細胞口,
収縮胞)
,生活環(単宿主性,宿主[豚,イノシシ,サル,人, 犬],二分裂,接合,感染
経路[経口:シスト],寄生部位[大腸])
,病態(豚のバランチジウム症:組織侵入性,潰
瘍,下痢,赤痢),疫学(分布域[世界的],人獣共通感染症),診断(糞便検査:シスト
の検出)
,治療(メトロニダゾール)
,対策(シストの殺滅)
2)分類(繊毛虫類バクストネラ属),形態(栄養型,シスト,繊毛,大核,小核,収縮胞,
無繊毛の縦溝)
,生活環(単宿主性,宿主[牛,ラクダ],感染経路[経口:シスト],寄生
部位[盲腸])
,病態(通常は非病原性)
,疫学(分布域[世界的])
,診断(糞便検査:シス
トの検出,大腸バランチジウムとの鑑別)
(9)微胞子虫類
一般目標:
微胞子虫類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連する
知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
△1)Encephalitozoon cuniculi について説明できる。
△2)Nosema apis について説明できる。
【キーワード】
1)分類(微胞子虫類,旧分類名:Nosema cuniculi),形態(栄養型,胞子,極嚢,極糸),
生活環(宿主[ウサギ,モルモット,ハムスター,ラット,マウスなどの齧歯類],発育
[細胞内寄生性,栄養体,スポロント,スポロブラスト,胞子],感染経路[経口:胞子
の摂取],寄生部位[脳,腎臓,マクロファージ],尿中に胞子),病態(通常は不顕性,
肉芽腫性脳炎・腎炎[ウサギ,犬])
,診断(剖検)
2)分類(微胞子虫類ノゼマ科),生活環(宿主[ミツバチ],発育[細胞内寄生性,胞子],
感染経路[経口:胞子の摂取],寄生部位[中腸上皮]),病態(飛翔不能、産卵低下),疫
学(分布域[日本,台湾,欧州),診断(剖検:中腸内胞子の検出)
,対策(届出伝染病[ミ
ツバチ])
13
3.蠕虫学・蠕虫病学
全体目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な蠕虫の分類,形態,生活環,病原性,流行の現状・疫学,
病態,診断,治療,予防,および宿主の防御機構について理解し,蠕虫による病害発生の機
序やその対策についての考え方を身につける。
(1)総論
一般目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な蠕虫の分類についての基本的知識を習得する。
到達目標:
○1)蠕虫類の分類を説明できる。
【キーワード】
1)扁形動物,吸虫,条虫,線形動物,線虫,鉤頭動物,鉤頭虫
(2)吸虫総論
獣医臨床および公衆衛生上重要な吸虫の分類,形態,発育・生殖および駆虫薬についての基
本的知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)吸虫類の分類について説明できる。
○2)吸虫類の形態学的特徴について説明できる。
○3)吸虫類の発育(形態変化)および生殖の特徴について説明できる。
△4)抗吸虫薬について説明できる。
【キーワード】
1)扁形動物門,単生綱,吸虫綱,楯吸虫亜綱,二生亜綱
2)成虫:外被(棘)
,基底層,筋層,柔組織,口吸盤,腹吸盤,消化器系(口,咽頭,食道,
腸[盲管]),雌雄同体(住血吸虫類は雌雄異体),雄性生殖器(精巣,輸精管,貯精嚢,
陰茎,陰茎嚢)
,雌性生殖器(卵巣,輸卵管,卵黄腺,卵黄管,ラウレル管,受精嚢,メ
ーリス腺,卵形成腔,子宮),生殖孔,排泄系(炎[焰]細胞[排泄細胞],排泄管,排
泄嚢,排泄孔)
,神経系
虫卵:卵蓋(小蓋)
(住血吸虫を除く)
,排泄時の虫卵内容(卵細胞+卵黄細胞,ミラシジ
ウム)
ミラシジウム:繊毛
スポロシスト:嚢状,胚細胞
レジア:口,咽頭,腸,胚細胞
セルカリア:体部と尾部,口吸盤,腹吸盤,消化管,排泄系,生殖原基,腺細胞系,眼
点
メタセルカリア:被嚢
3)間接型生活環,多宿主性,終宿主,
(第一・第二)中間宿主,虫卵,ミラシジウム,
(母・
娘)スポロシスト,(母・娘)レジア,セルカリア,メタセルカリア,成虫,幼生生殖,
14
無性生殖と有性生殖
4)ビチオノール製剤,ブロムフェノホス,ニトロキシニル,トリクラベンダゾール,プラ
ジカンテル
(3)蛭状吸虫科(肝蛭類)
肝蛭類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)肝蛭類について説明できる。
○2)日本産肝蛭の特徴について説明できる。
△3)肝蛭科に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)肝蛭(Fasciola hepatica)
,巨大肝蛭(Fasciola gigantica),分類(棘口吸虫目,肝蛭
科),形態(成虫[扁平・木の葉状,頭円錐,複雑な腸管の分岐,分葉精巣],虫卵[黄
褐色,大型,小蓋,排泄時ミラシジウムの形成なし〈虫卵内容は卵細胞+卵黄細胞〉,卵
細胞の位置]),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[主に反芻動物,その他豚,馬,人
など],中間宿主[Lymnaea 属巻貝,幼生生殖],第二中間宿主を欠く[メタセルカリアが
水草に被嚢]
,感染経路[経口]
,体内移行[腸管→腹腔→肝表面→肝実質→胆管],寄生
部位[胆管]
),病態(急性肝蛭症[肝内移行期,創傷性肝炎]
,慢性肝蛭症[胆管内寄生
期,胆管炎,胆管周囲炎,胆管の肥厚,石灰結石による閉塞,左葉の萎縮と右葉の代償
性肥大,寄生虫性肝炎,肝硬変]
,異所寄生[気管支,脊髄,子宮,胎児への迷入→気管
支炎,腰麻痺,繁殖障害],好酸球増多),疫学(分布域[肝蛭:全世界的;巨大肝蛭:
アジア,アフリカ],人獣共通感染症),診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈渡辺法,時計皿
法,昭和式法,ビーズ法〉,双口吸虫との鑑別],皮内反応,ゲル内二重拡散法,ELISA),
治療(トリクラベンダゾール,ブロムフェノホス,ニトロキシニル,ビチオノール:虫
齢特異性,残留規制)
,予防・対策(虫卵の殺滅,中間宿主の撲滅,メタセルカリアの撲
滅)
2)Fasciola sp.,分類,形態(肝蛭と巨大肝蛭の中間体,2倍体,3倍体,モザイク体,精
子形成異常,単為生殖)
,生活環(第一中間宿主[ヒメモノアラガイ,コシダカモノアラ
ガイ(北海道)]
)
,病態,疫学(分布域[日本全土]
,稲作,放牧と保虫動物)
,診断,治
療,予防・対策
3)肥大吸虫(Fasciolopsis buski)分類(棘口吸虫目,肝蛭科)
,形態(成虫[肝蛭に似る
が管状腸管]虫卵[黄褐色,大型,小蓋,排泄時ミラシジウムの形成なし〈虫卵内容は
卵細胞+卵黄細胞〉])
,生活環(間接型,多宿主性,終宿主[豚,人など],中間宿主[ヒ
ラマキガイ],第二中間宿主を欠く[メタセルカリアが水草に被嚢,ヒシの実],感染経
路[経口]
,寄生部位[小腸])
,病態(小腸の糜爛,潰瘍)
,疫学(分布域[中国,台湾,
タイ,ベトナム,インドなど,日本に分布せず]),診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈渡辺
法,時計皿法,昭和式法,ビーズ法〉]
),治療[プラジカンテル],予防・対策
(4)双口吸虫科(双口吸虫類)
一般目標:
双口吸虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
15
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)双口吸虫類について説明できる。
【キーワード】
1)分類(棘口吸虫目,双口吸虫科,腹嚢双口吸虫科,腹盤双口吸虫科,前胃寄生種
[Calicophoron 属, Orthocoelium 属, Paramphistomum 属, Fischoederius 属〈長形双口
吸虫:F. elongatus〉],盲腸寄生種[平腹双口吸虫: Homalogaster paloniae])
,形態(成
虫[前吸盤と後吸盤],虫卵[無色透明,大型,小蓋,排泄時ミラシジウムの形成なし〈虫
卵内容は卵細胞+卵黄細胞〉,卵細胞の位置]),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[反
芻動物など],中間宿主[水棲巻貝[種によって異なる],第二中間宿主を欠く[メタセ
ルカリアが水草に被嚢]
,感染経路[経口]
,体内移行[前胃寄生種:小腸→胃],寄生部
位[前胃,盲腸])
,病態(腸双口吸虫症)
,疫学(分布域[全世界的,日本全土],稲作,
放牧と保虫動物,肝蛭との混合感染),診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈渡辺法,時計皿法,
昭和式法,ビーズ法〉],肝蛭との鑑別診断),治療(ニクロスアミド,ニクロフォラン,
ブロチアニド,レゾランテル,オキシクロザニド)
,予防・対策(虫卵の殺滅,中間宿主
の撲滅,メタセルカリアの撲滅)
(5)二腔(槍形)吸虫科(膵姪類,槍形吸虫類)
一般目標:
二腔吸虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)二腔(槍形)吸虫類に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)膵蛭類について説明できる。
○3)槍形吸虫類について説明できる。
【キーワード】
1)分類(斜睾吸虫目,二腔[槍形]吸虫科),形態(成虫[小形],虫卵[小形,小蓋,2
個の顆粒塊,排泄時にミラシジウム形成]),生活環(間接型,多宿主性,第1中間宿主
[ミラシジウムの孵化],レジア期を欠く,母スポロシスト,娘スポロシスト),病態,
疫学,診断,治療,予防・対策
2)膵蛭(膵吸虫,Eurytrema pancreaticum),小形膵蛭(小形膵吸虫,Eurytrema coelomaticum),
分類,形態(成虫[葉状,赤色,薄く内部臓器が見える]
,虫卵[左右対称]
),生活環(終
宿主[反芻動物,豚,ウサギ,人など], 第一中間宿主[オナジマイマイ,ウスカワマ
イマイなど陸生巻貝〈カタツムリ類〉],娘スポロシストの遊出,第二中間宿主[ササキ
リ類]
,保虫宿主[野ウサギ]
,感染経路[経口]
,体内移行[小腸→膵管]
,寄生部位[膵
管]),病態[膵管炎,膵炎,膵硬変],疫学(分布域[アジア,南米,日本〈西日本〉],
人獣共通感染症)
,診断(虫卵検査[沈殿集卵法])
,治療(ニトロキシニル,プラジカン
テル),予防・対策(定法なし,保虫宿主対策)
3)Dicrocoelium chinensis, Dicrocoelium dendriticum, 分類,形態(成虫[柳葉状,淡
紅色]
,虫卵[左右不対象])
,生活環(終宿主[反芻動物,豚,馬,犬,猫,サル,ウサ
ギ,人など]
,第一中間宿主[ヤマホタルガイなど陸生巻貝〈カタツムリ類〉
]
,セルカリ
16
アの遊出[粘球],第二中間宿主[アリ類]
,保虫宿主[野ウサギ,シカ],感染経路[経
口],体内移行[小腸→胆管],寄生部位[胆管]
),病態(胆管炎など),疫学(分布域[全
世界的,日本〈とくに東北〉]
,人獣共通感染症)
,診断(虫卵検査[沈殿集卵法]
),治療
(アルベンダゾール,プラジカンテル,チアベンダゾール,フェンベンダゾール),予防・
対策(保虫宿主対策)
(6)腸管の吸虫類(重口吸虫類,棘口吸虫類,異形吸虫類)
一般目標:
腸管の吸虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学お
よび疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)壺形吸虫のような重口吸虫類について説明できる。
○2)浅田棘口吸虫のような棘口吸虫類について説明できる。
○3)横川吸虫や高橋吸虫のような異形吸虫類について説明できる。
【キーワード】
1)壺形吸虫(Pharyngostomum cordatum)
,分類(壺形吸虫目,重口吸虫科)
,形態(成虫[小
形,付着器官,葉状体]
,虫卵[黄褐色,大型,小蓋,卵殻表面に亀甲状紋理,排泄時ミ
ラシジウムの形成なし]
),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[猫など]
,第一中間宿主
[ヒラマキガイモドキ]
,第二中間宿主[カエル]
,待機宿主[ヘビ,タヌキ],感染経路
[経口感染],寄生部位[小腸]),病態(腸絨毛の機械的損傷),疫学(分布域[ヨーロ
ッパ,アフリカ,アジア,日本〈とくに南日本,西日本〉],マンソン裂頭条虫との混合
感染)
,診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈ホルマリン・エーテル法など〉
],棘口吸虫卵との
鑑別),治療(プラジカンテル)
,予防・対策(第 2 中間宿主および待機宿主の捕食防止)
2)浅田棘口吸虫(Echinostoma hortense), 分類(棘口吸虫目,棘口吸虫科),形態(成虫
[柳葉状,淡桃色,頭冠,頭冠棘],虫卵[淡黄褐色,小蓋,大型,排泄時ミラシジウム
の形成なし),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[犬,人,ドブネズミなど],第一中
間宿主[モノアラガイ],第二中間宿主[カエル,サンショウウオ,ドジョウなど]
,感
染経路[経口],寄生部位[小腸])
,病態(腸炎),疫学(分布域[日本,他?],人獣共
通感染症[ドジョウのおどり食い〈注:顎口虫〉]
)
,診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈ホル
マリン・エーテル法など〉)
,治療(プラジカンテル,ビチオノール)
,予防・対策(第 2
中間宿主の捕食防止)
3)横川吸虫(Metagominus yokogawai)
,高橋吸虫(Metagonimus takahashii)
,分類(後睾
吸虫目,異形吸虫科),形態(成虫[生殖腹吸盤装置],虫卵[黄褐色,小型,小蓋,排泄
時にミラシジウム形成]
),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[犬,猫,人など],第一
中間宿主[カワニナ],第二中間宿主[アユ,ウグイ,シラウオなど]
,感染経路[経口]
,
寄生部位[小腸]),病態[カタール性腸炎],疫学(分布域[極東アジア,日本],人獣
共通感染症[アユやシラウオの生食]),診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈ホルマリン・エ
ーテル法など〉]
),治療(プラジカンテル)
,予防・対策(第 2 中間宿主の捕食防止)
(7)住胞吸虫科(肺吸虫類)
一般目標:
住胞吸虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
17
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)住胞吸虫類に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)ウエステルマン肺吸虫(Paragonimus westermani)について説明できる。
○3)宮崎肺吸虫(Paragonimus skrjabini miyazakii)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(斜睾吸虫目,住胞吸虫科),形態(成虫[淡紅色,豆状],虫卵[中型,小蓋,左
右不対象,排泄時ミラシジウムの形成なし]),生活環(間接型,多宿主性,終宿主,第
一中間宿主,第二中間宿主,感染経路[経口],体内移行[小腸→腹腔→胸腔→胚]
,寄
生部位[肺〈虫嚢〉])
,病態[創傷性肝炎,腹膜炎,胸膜炎,気胸,喘息様発咳,好酸球
増多など]
,疫学,診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈ホルマリン・エーテル法など〉
],ゲル
内沈降反応,ELISA,X 線撮影[結節状陰影像,虫道の陰影像])
,治療(ビチオノール,
プラジカンテル),予防・対策(第 2 中間宿主の捕食防止)
2)分類,形態(成虫[2倍体〈両性生殖〉と3倍体〈単為生殖〉],虫卵[黄金色,大きさ
は 3 倍体>2倍体,卵殻厚く一様でない,逆卵円形]
),生活環(終宿主[人,犬,猫,
タヌキ,キツネ,イタチ,テンなど],第一中間宿主[カワニナ],第二中間宿主[2倍
体:サワガニ;3倍体:モクズガニ]
,待機宿主[イノシシ,ネズミ]
),病態,疫学(分
布域[アジア,日本〈北海道を除く〉],人獣共通感染症[時に迷入と関連]),診断,治
療,予防・対策(待機宿主の捕食,給餌防止)
3)分類,形態(成虫[ウエステルマン肺吸虫より細長,楕円形]
,虫卵[卵殻は厚く一様]),
生活環(終宿主[イタチ,テン,タヌキ,イノシシ,犬,猫,人など]
,第一中間宿主[
ホラアナミジンニナ,ミジンツボなど]
,第二中間宿主[サワガニ])
,病態,疫学(分布
域[日本のみ全土]
,人獣共通感染症)
,診断,治療,予防・対策
4)大平肺吸虫(Paragonimus ohirai)
(8)後睾吸虫科(肝吸虫類)
一般目標:
後睾吸虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)肝吸虫(Clonorchis sinensis)について説明できる。
【キーワード】
1)分類(後睾吸虫目,後睾吸虫科),形態(成虫[暗赤色,柳葉状,樹枝状の精巣,陰茎と
陰茎嚢なし]
,虫卵[黄褐色,小型,陣笠様小蓋,表面に亀甲様模様,排泄時ミラシジウ
ム形成]
),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[人,犬,猫,豚,イタチなど]
,第一中
間宿主[マメタニシ],第二中間宿主[コイ科魚類など],感染経路[経口],体内移行[小
腸→胆管,胆嚢]
,寄生部位[胆管]
),病態(慢性胆管炎,間質性肝炎,肝硬変,胆石),
疫学(分布域[東南アジア,日本〈北海道,青森,岩手を除く〉],人獣共通感染症[鯉
のあらい])
,診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈ホルマリン・エーテル法など〉
])
,治療(ト
リクトトメチルベンゾール,プラジカンテル),予防・対策(第2中間宿主の生食防止,
18
加熱処理)
(9)住血吸虫科(住血吸虫類)
一般目標:
住血吸虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)住血吸虫類に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)について説明できる。
△3)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(壺型吸虫目,住血吸虫科),形態(成虫[雌雄異体,抱雌管],虫卵[小蓋なし])
,
生活環(間接型,多宿主性,レジア期を欠く,母スポロシスト,娘スポロシスト,岐尾
セルカリア,第二中間宿主を欠く,メタセルカリアを欠く,感染経路[経皮]
,寄生部位
[血管内])
,病態,疫学,診断,治療,予防・対策
2)分類,形態(成虫,虫卵[黄褐色,長円形,中型,産卵時ミラシジウムの形成なし,排
泄時ミラシジウム形成],シストソミューラ),生活環(間接型,多宿主性,終宿主[哺
乳類全般],中間宿主[ミヤイリガイなど],感染経路[経皮],体内移行[皮膚→血管,
リンパ管→心臓→肺→心臓→大循環→門脈系,胎盤感染]
,寄生部位[門脈・腸間膜静脈])
,
病態(体内移行期および産卵と病原性の関係[セルカリア皮膚炎,住血吸虫性肝硬変],
虫卵性肉芽腫,分子擬態)
,疫学(分布域[東南アジア,日本〈撲滅〉
],人獣共通感染症
[片山病]),診断(虫卵検査[沈殿集卵法〈ホルマリン・エーテル法など〉],腸粘膜バ
イオプシー,ミラシジウム孵化法,循環抗体・抗原検出,卵周囲沈降反応),治療(プラ
ジカンテル)
,予防・対策(セルカリアの経皮感染阻止,中間宿主の撲滅)
3 ) マ ン ソ ン 住 血 吸 虫 ( Schistosoma mansoni ) , ビ ル ハ ル ツ 住 血 吸 虫 ( Schistosoma
haematobium ) , イ ン ド 住 血 吸 虫 ( Schistosoma indicum ) , ム ク ド リ 住 血 吸 虫
(Trichobiruharzia stumiae):水田性皮膚炎
19
(10)条虫総論
一般目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な条虫の分類,形態,発育・生殖および駆虫薬についての基
本的知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)条虫類の分類について説明できる。
○2)条虫類の形態学的特徴について説明できる。
○3)条虫類の発育(形態変化)および生殖の特徴について説明できる。
△4)条虫感染に対する宿主免疫応答の特徴を説明できる。
△5)抗条虫薬について説明できる。
【キーワード】
1)扁形動物門、条虫綱、擬葉目(裂頭条虫類)
、円葉目
2)成虫:外被、頭節、未熟片節、成熟片節、受胎(老熟)片節、吸溝、吸盤、額嘴(吻)、鉤、
雌雄同体、精巣、卵巣、卵黄腺、子宮、副子宮(有線条虫)
、生殖孔、産卵孔(子宮孔)
、
メーリス腺、膣、排泄系(炎[焰]細胞[排泄細胞]
,排泄管)
虫卵:六鉤幼虫(コラキジウムを含む)、卵殻、幼虫被殻、幼虫被膜、小蓋(卵蓋)
(裂頭
条虫類)
、排泄時の虫卵内容(卵細胞+卵黄細胞,六鉤幼虫)
プロセルコイド:ソーセージ様、尾胞、3 対の鉤
プレロセルコイド:頭部、尾胞・鉤はなし
テトラチリジウム:反転陥入した頭部、4 つの鉤
嚢虫:擬嚢尾虫、嚢尾虫、単尾虫、片節嚢尾虫、共尾虫、包虫、反転した頭部
3)間接型生活環、中間宿主、第一中間宿主、第二中間宿主、待機宿主、六鉤幼虫、コラキ
ジウム、プロセルコイド(前擬尾虫、前擬充尾虫)
、プレロセルコイド(擬尾虫、擬充尾
虫)、嚢虫、擬嚢尾虫(システィセルコイド)、テトラチリジウム、嚢尾虫(システィセ
ルクス)
、単尾虫(システィセルクス)
、片節嚢尾虫、共尾虫、包虫(エキノコックス)
4)再感染防御、随伴免疫
5)ビチオノール製剤、プラジクァンテル、アルベンダゾール、ニクロサミド
(11)裂頭条虫類
一般目標:
裂頭条虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.日本海裂頭条虫(Diphyllobothrium nihonkaiense)について説明できる。
○2.マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)について説明できる。
△3.本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(擬葉目)
、形態(成虫 [大型:数m〜十数m]、虫卵[小蓋,1個の卵細胞、多数の
卵黄細胞]、幼虫[六鉤幼虫、コラシジウム])、生活環(終宿主[ヒト、クマ、イヌ]、間
接型、第一中間宿主[ケンミジンコ]、プロセルコイド[前擬尾虫、前擬充尾虫]、第二中
間宿主[小魚?、サケ、マス類]、プレロセルコイド[擬尾虫、擬充尾虫]、待機宿主[サケ、
20
マス類]、感染経路[経口]
,寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[日本]
,人獣共通感染症)
,
診断(虫卵検査[沈殿集卵法]
),治療(プラジカンテル)
,予防・対策(第 2 中間宿主の
捕食防止)
2)分類(擬葉目)
、形態(成虫 [大型]、虫卵[小蓋,1個の卵細胞、多数の卵黄細胞、左右
非対称]、幼虫[六鉤幼虫、コラシジウム])、生活環(終宿主[イヌ、ネコ]、間接型、第
一中間宿主[ケンミジンコ]、プロセルコイド[前擬尾虫、前擬充尾虫]、第二中間宿主[オ
タマジャクシ、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類]、プレロセルコイド[擬尾虫、擬充尾虫]、
待機宿主[カエル、ヘビ]、感染経路[経口]
,寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[日本])
,
診断(虫卵検査[沈殿集卵法]
),治療(プラジカンテル)
,予防・対策(第 2 中間宿主の
捕食防止)
、人獣共通感染症(幼虫移行症[マンソン弧虫症])
3)広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、大複殖門条虫(Diplogonoporus grandis)、
芽殖弧虫(Sparganum proliferum)
(12)裸頭条虫科
一般目標:
裸頭条虫科の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.ベネデン条虫(Moniezia benedeni)について説明できる。
○2.拡張条虫(Moniezia expansa)について説明できる。
○3.葉状条虫(Anoplocephala perfoliata)の生物学的特長を説明できる。
△5.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円葉目、裸頭条虫科)
、形態(成虫 [大型:4m、頭節、額嘴なし、吸盤、線状の
片節間腺、2対の生殖器、受胎片節]、虫卵[洋梨状装置、卵殻、幼虫被殻、四角形]、幼
虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[ウシ、ヒツジ]、間接型、中間宿主[ササラダニ]、シス
ティセルコイド[擬嚢尾虫]、感染経路[経口]
,寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[世界
的]),診断(虫卵検査),治療(プラジカンテル、ニクロサミド),予防・対策(有効な
方法無し)
2)分類(円葉目、裸頭条虫科)、形態(成虫 [大型:ベネデン条虫に較べ体幅が狭い、頭節、
額嘴なし、吸盤、線状の片節間腺、2対の生殖器、受胎片節]、虫卵[洋梨状装置、卵殻、
幼虫被殻、三角形]、幼虫[六鉤幼虫])、生活環(終宿主[ヒツジ、ウシ]、間接型、中間
宿主[ササラダニ]、システィセルコイド[擬嚢尾虫]、感染経路[経口],寄生部位[小腸])
,
疫学(分布域[世界的]),診断(虫卵検査),治療(プラジカンテル、ニクロサミド),
予防・対策(有効な方法無し)
3)分類(円葉目、裸頭条虫科)
、形態(成虫 [小型:5cm、ラペット、頭節、額嘴なし、吸
盤、1対の生殖器、受胎片節]、虫卵[洋梨状装置、卵殻、幼虫被殻、不整型]、幼虫[六
鉤幼虫])、生活環(終宿主[ウマ、ロバ]、間接型、中間宿主[ササラダニ]、システィセ
ルコイド[擬嚢尾虫]、感染経路[経口],寄生部位[回盲口]
),疫学(分布域[世界的])
,
診断(虫卵検査),治療(プラジカンテル、ニクロサミド),予防・対策(有効な方法無
し)
4)大条虫(Anoplocephala magna)
、乳頭条虫(Paranoplocephala mamillana)
、Thysanietia
giardi、Stilesia globipunctata
21
(13)二孔条虫科
一般目標:
二孔条虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.瓜実条虫(Dipylidium caninum)について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円葉目、二孔条虫科)、形態(成虫[頭節、額嘴、吸盤、鉤、2対の生殖器、受胎
片節]、虫卵[卵囊]、幼虫[六鉤幼虫])、生活環(終宿主[イヌ、ネコ]、間接型、中間宿
主[イヌノミ、ネコノミ、イヌハジラミ]、システィセルコイド[擬嚢尾虫]、感染経路[経
口]
,寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[世界的])
,診断(運動性のある受胎片節、虫卵
検査),治療(プラジカンテル、ニクロサミド),有線条虫との鑑別、予防・対策(外部
寄生虫の駆除)
、人獣共通感染症
(14)中擬条虫科
一般目標:
中擬虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.有線条虫(Mesocestoides lineatus)について説明できる。
△2.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1) 分類(円葉目、中擬条虫科)、形態(成虫[頭節、額嘴、吸盤、鉤なし、副子宮、受胎片
節]、虫卵[卵殻無し、薄い幼虫被殻]、幼虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[イヌ、ネコ]、間
接型、第一中間宿主[ササラダニ]、システィセルコイド[擬嚢尾虫]、第二中間宿主[ヘビ、
両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類]、テトラチリジウム[腹腔、肝臓、肺、無性増殖]、感染経
路[経口],寄生部位[小腸]),疫学(分布域[世界的]),診断(運動性のある受胎片節、
虫卵検査)
,治療(プラジカンテル、ニクロサミド),瓜実条虫との鑑別、予防・対策(第 2
中間宿主の捕食防止)
、人獣共通感染症
2)Mesocestoides paucitesticulus
(14)テニア属条虫
一般目標:
テニア属条虫の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学お
よび疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.有鉤条虫(Taenia solium)について説明できる。
○2.無鉤条虫(Taenia saginata)について説明できる。
22
○3.胞状条虫(Taenia hydatigena)について説明できる。
○4.猫条虫(Taenia taeniaeformis)について説明できる。
○5.多頭条虫(Taenia multiceps)について説明できる。
△6.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円葉目、テニア科)、形態(成虫[頭節、4個の吸盤、大小2列の鉤、1対の生殖
器、受胎片節、子宮分岐]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテ
ニア科条虫と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫])、生活環(終宿主[ヒト]、間接型、
中間宿主[ブタ、イノシシ、イヌ、ヒト]、システィセルクス[単尾虫、筋肉内寄生、有鉤
嚢虫]、感染経路[経口],寄生部位[小腸]),疫学(分布域[世界的]),診断(虫卵検
査、受胎片節の子宮分岐、無鉤条虫との鑑別),治療(プラジカンテル[賛否有り]、ヨメ
サン),予防・対策(中間宿主の生食の防止)、人獣共通感染症(人体有鉤嚢虫症[皮下、
筋肉、大脳]、ブドウ状嚢虫、自家感染)、食肉検査、と畜場法(屠殺禁止、解体禁止、
全部廃棄)
2)分類(円葉目、テニア科)、形態(成虫[頭節、4個の吸盤、鉤なし、1対の生殖器、受
胎片節、子宮分岐]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテニア科
条虫と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫])、生活環(終宿主[ヒト]、間接型、中間
宿主[ウシ]、システィセルクス[単尾虫、筋肉内寄生、有鉤嚢虫]、感染経路[経口]
,寄
生部位[小腸]),疫学(分布域[世界的]),診断(虫卵検査、受胎片節の子宮分岐、有
鉤条虫との鑑別),治療(プラジカンテル、ヨメサン),予防・対策(中間宿主の生食の
防止)、食肉検査、と畜場法(部分廃棄)
3)分類(円葉目、テニア科)、形態(成虫[頭節、4個の吸盤、大小2列の鉤、1対の生殖
器、受胎片節]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテニア科条虫
と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[イヌ]、間接型、中間宿主[ヒ
ツジ、ブタ]、システィセルクス[単尾虫、腹腔漿膜面、細頸嚢虫]、感染経路[経口],
寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[世界的])
,診断(離脱片節の確認、虫卵検査)
,治療
(プラジカンテル、ニクロサミド)
,予防・対策(中間宿主の生食の防止)、食肉検査(一
部廃棄)
4)分類(円葉目、テニア科)、形態(成虫[頭節、4個の吸盤、大小2列の鉤、1対の生殖
器、受胎片節]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテニア科条虫
と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[ネコ]、間接型、中間宿主[ド
ブネズミ、ハツカネズミ]、システィセルクス[単尾虫、肝臓、帯状嚢尾虫]、感染経路[経
口]
,寄生部位[小腸]
)
,疫学(分布域[世界的])
,診断(離脱片節の確認、虫卵検査)
,
治療(プラジカンテル、ニクロサミド),予防・対策(中間宿主の捕食の防止)
5)分類(円葉目、テニア科)、形態(成虫[頭節、4個の吸盤、大小2列の鉤、1対の生殖
器、受胎片節]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテニア科条虫
と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[イヌ]、間接型、中間宿主[ヒ
ツジ]、システィセルクス[共尾虫、脳、脳共尾虫、無性増殖]、感染経路[経口],寄生
部位[小腸]
),疫学(分布域[世界的])
,診断(離脱片節の確認、虫卵検査)
,治療(プ
ラジカンテル、ニクロサミド)
,予防・対策(中間宿主の生食の防止)
6)豆状条虫(Taenia pisiformis)
、羊条虫(Taenia ovis)
、連節条虫(Taenia serialis)
、
アジア条虫(Taenia asiatica)
(15)エキノコックス属条虫
23
一般目標:
エキノコックス属条虫の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・
病理学および疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.多包条虫(Echinococcus multilocularis)について説明できる。
○2.単包条虫(Echinococcus granulosus)について説明できる。
△3.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円葉目、テニア科)
、形態(成虫[小型:数 mm、5片節、頭節、4個の吸盤、大小
2列の鉤、1対の生殖器]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテ
ニア科条虫と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫]、包虫[多包虫、多房性、クチクラ
層、胚芽層、繁殖胞、原頭節、PAS 染色]、生活環(終宿主[キツネ、イヌ]、間接型、中
間宿主[野ネズミ、エゾヤチネズミ、ブタ、ウマ、ヒト、非固有宿主]、包虫[多包虫、肝
臓、無性増殖]、感染経路[経口]
,寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[北方圏、北海道]
),
診断(虫卵検査、ELISA),治療(プラジカンテル)
,予防・対策(中間宿主の捕食の防止)
、
人獣共通感染症(免疫診断、画像診断、外科手術、2次包虫症、転移[肺、脳、骨髄]、
アルベンダゾール)
2)分類(円葉目、テニア科)
、形態(成虫[小型:数 mm、4片節、頭節、4個の吸盤、大小
2列の鉤、1対の生殖器]、虫卵[卵殻壊れやすい、厚い幼虫被殻、ブロック状、他のテ
ニア科条虫と形態による鑑別不能]、幼虫[六鉤幼虫]、包虫[単包虫、単房性、クチクラ
層、胚芽層、繁殖胞、原頭節、PAS 染色]、生活環(終宿主[イヌ、オオカミ]、間接型、
中間宿主[ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヒト、非固有宿主]、包虫[単包虫、肺、肝臓、無
性増殖]、感染経路[経口]
,寄生部位[小腸])
,疫学(分布域[全世界的、輸入感染症]
),
診断(虫卵検査、ELISA),治療(プラジカンテル)
,予防・対策(中間宿主の生食の防止)
、
人獣共通感染症(免疫診断、画像診断、外科手術、2次包虫症、転移[肺、脳、骨髄]、
アルベンダゾール)
3 ) Echinococcus vogeli, Echinococcus oligarthrus, Echinococcus shiquicus,
Echinococcus felidis, Echinococcus ortheppi, Echinococcus equinus, Echinococcus
canadensis
(16)膜鱗条虫科
一般目標:
膜鱗条虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.小形条虫(Hymenolepis nana)について説明できる。
△2.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円葉目、膜鱗条虫科)
、形態(成虫[頭節、額嘴、吸盤、鉤、1対の生殖器]、虫卵
[卵殻が発達]、幼虫[六鉤幼虫])、生活環(終宿主[ネズミ類、実験動物、類人猿、ヒト]、
24
間接型、中間宿主[昆虫類]、システィセルコイド[擬嚢尾虫]、感染経路[経口],寄生部
位[小腸]、自家感染[腸絨毛、感染免疫、密度効果]),疫学(分布域[世界的]),診断
(運動性のある受胎片節、虫卵検査),治療(プラジカンテル、ニクロサミド),予防・
対策(中間宿主、野ネズミ類との接触遮断)
、人獣共通感染症
2)縮小条虫(Hymenolepis diminuta)
、Hymenolepis microstoma
(17)家禽の条虫類(ダベン条虫科,膜鱗条虫科、二孔条虫科)
一般目標:
鳥の条虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.ダベン条虫科の条虫について説明できる。
○2.膜鱗条虫科の条虫について説明できる。
○3.二孔条虫科の条虫について説明できる。
△2.本項目に含まれる種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円葉目、ダベン条虫科、方形条虫[Raillietina tetragona]、棘溝条虫[Raillietina
ehinobothrida] 、 有 輪 条 虫 [Raillietina cesticillus] 、 橿 原 条 虫 [Raillietica
kashiwarensis])、形態(成虫[頭節、額嘴、ハンマー型の鉤、吸盤周囲の小鉤、1対の
生殖器]、虫卵[卵囊]、幼虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[鶏、ホロホロチョウ、ウズラ]、
間接型、中間宿主[アリ、甲虫、その他の昆虫類]、システィセルコイド[擬嚢尾虫]、感
染経路[経口]
,寄生部位[小腸下部]
、疫学(分布域[橿原条虫を除き世界的])
2)分類(円葉目、膜鱗条虫科、楔形条虫[Amoebotaenia sphenoides])、形態(成虫[頭節、
額嘴、吸盤周囲の小鉤、1対の生殖器、3個の精巣]、虫卵[卵囊]、幼虫[六鉤幼虫])、
生活環(終宿主[鶏、七面鳥、ウズラ]、間接型、中間宿主[糞食性甲虫]、システィセル
コイド[擬嚢尾虫]、感染経路[経口]
,寄生部位[小腸下部]
、疫学(分布域[世界的])
3)分類(円葉目、二孔条虫科、鶏膜様条虫[Hymenolepis carioca])
、形態(成虫[頭節、額
嘴、鉤、1対の生殖器、楔形の外観]、虫卵[卵囊]、幼虫[六鉤幼虫])
、生活環(終宿主[鶏、
七面鳥、ウズラ]、間接型、中間宿主[ミミズ]、システィセルコイド[擬嚢尾虫]、感染経
路[経口]
,寄生部位[十二指腸、小腸上部]
、疫学(分布域[世界的])
4)鶏無鉤条虫(Hymenolepis cantaniana)
、鶏有鉤条虫(Hymenolepis exigua)
25
(19)線虫総論
一般目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な線虫の分類,形態,発育・生殖,感染症および駆虫薬につ
いての基本的知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)線虫類の分類を説明できる。
○2)線虫類の形態学的特徴を説明できる。
○3)線虫類の発育(形態変化)および生殖の特徴を説明できる。
△4)線虫感染に対する宿主免疫応答の特徴を説明できる
△5)抗線虫薬について説明できる。
【キーワード】
1)有ファスミッド亜綱,無ファスミッド亜綱,回虫目,蟯虫目,円虫目,糞(桿)線虫目,
旋尾線虫目,エノプリダ目
2)角皮,角皮下層,側線,排泄管,排泄孔,擬体腔,クチクラ,感覚乳頭,神経輪,アン
フィッド,ファスミッド,口唇,口腔,食道,腸,肛門,総排泄腔,交接刺,交接嚢,交
接翼,精巣,卵巣,子宮,膣,陰門,雌雄異体,虫卵,3 期幼虫
3)虫卵(受精卵)
,幼虫形成(包蔵)卵,1期幼虫~5期幼虫,脱皮,自由生活期,ミクロ
フィラリア,卵胎生,感染(期)幼虫,(第一・第二)中間宿主,待機宿主,自家感染,
異所寄生・迷入,幼虫移行症
4)ワクチン,自家治癒(自然治癒)
,好酸球増加,IgE 上昇,アレルギー反応
5)ベンツイミダゾール系、マクロライド系、アンチモン化合物,イミダゾチアゾール系,
ピペラジン系,ピリミジン系、カルバマジン系、ヒ素化合物、有機リン系
(20)円虫類Ⅰ(馬の円虫類:円虫・小円虫)
一般目標:
馬の円虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)普通円虫(Strongylus vulgaris)について説明できる。
○3)無歯円虫(Strongylus edentatus)について説明できる。
○4)馬円虫(Strongylus equinus)について説明できる。
△5)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目、円虫科),形態(口腔[歯環,口冠、口腔底突起[背側歯、腹側歯]],交
接嚢,交接刺)
,生活環(直接型生活環,自由生活期[R 型、L 型、高温多湿]
,虫卵,経
口感染[3期幼虫]
、体内移行、大腸粘膜、馬[盲腸・結腸])
、病態(不顕性感染、下痢)
、
診断(虫卵検査[浮遊法]、虫卵培養法)、治療・予防(アベルメクチン[イベルメクチ
ン]
、ベンツイミダゾール[チアベンダゾール]
、イミダゾチアゾール、ピペラジン)
2)分類(大円虫),形態(成虫,虫卵),生活環(宿主,感染経路,体内移行経路[腸壁、
前腸間膜動脈)
、迷入、細動脈、結節、盲腸)
,寄生部位[盲腸])
,病態(寄生性動脈瘤,
疝痛、高い病原性)
,疫学(分布域:最も普通)
,診断,治療,予防・対策
26
3)分類(大円虫),形態(成虫[口腔底の歯無し,虫卵),生活環(宿主,感染経路,体内
移行経路[腸壁、門脈系、肝臓、腹腔、大腸壁、化膿性結節、結腸)
,寄生部位[盲結腸
口部)),病態(腹膜炎、肝石症・肝砂粒症),疫学(分布域:ごく普通),診断,治療,
予防・対策
4)分類(大円虫),形態(成虫,虫卵),生活環(宿主,感染経路,体内移行経路[小腸,
盲腸結腸壁、小結節、腹腔、肝臓、膵臓、盲腸・結腸],寄生部位[盲腸・結腸]
),病態
(肝・膵臓の出血)
,疫学(分布域:少ない)
,診断,治療,予防・対策
5)馬の小円虫類(体内移行なし[粘膜内への移行のみ:病原性は低い])
(21)円虫類Ⅱ(反芻動物の毛様線虫類)
一般目標:
毛様線虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)捻転胃虫(Haemonchus contortus)について説明できる。
○3)オステルターグ胃虫(Ostertagia ostertagi)について説明できる。
○4)牛捻転胃虫(Mecistocirrus digitatus)について説明できる。
○5)ネマトディルス(Nematodirus spp.)について説明できる。
○6)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目,毛様線虫科)
,形態(発達しない口腔、唇状片、クチクラの隆起線、交接
嚢、交接刺、副交接刺)
、生活環(直接型生活環,孵化[1期幼虫]
、自由生活期[R 型、
L 型],感染[3期幼虫]
),病態(毛様線虫症、混合感染[寄生虫性胃腸炎、アレルギー、
低栄養状態])、診断(虫卵検査[浮遊法]、虫卵培養法)、治療・予防(マクロライド系
[イベルメクチン]
、イミダゾチアゾール系[レバミゾール]、ベンズイミダゾール系[チ
アベンダゾール])
2)分類,形態(成虫[鉤状の歯、Barber’s pole worm],虫卵),生活環(宿主[めん羊、
山羊、牛],経口感染,寄生部位[第四胃],胃腺、発育停止[hypobiosis]),病態(寄
生性胃腸炎,胃潰瘍、吸血,点状出血、小結節、鉄欠乏生貧血,低蛋白血症、好酸球増
多、浮腫、春期顕性化現象[spring rise]
,自家治癒[self cure])
,疫学(分布域:世
界的),診断,治療,予防・対策
3)分類,形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[牛、めん羊、ニホンジカ、トナカイ],経口
感染,寄生部位[第四胃]
,胃腺、発育停止[hypobiosis]
)
,病態(寄生性胃腸炎,タイ
プⅠオステルターグ症[3期幼虫],タイプⅡオステルターグ症[発育停止幼虫],春期
顕性化現象[spring rise]、胃腺上皮細胞、浮腫、高い病原性),疫学(分布域:世界的)
,
診断,治療,予防・対策
4)分類,形態(成虫[1本の歯、副交接刺を欠く、長い膣部、Barber’s pole worm],虫
卵[大型))
,生活環(宿主[牛、水牛、山羊、ニホンジカ、ヒト),経口感染,寄生部位
[第四胃]、胃腺),病態(寄生性胃腸炎,胃潰瘍、吸血,点状出血、鉄欠乏性貧血、低
蛋白血症、好酸球増多)
,疫学(分布域:アジア、アフリカ)
,診断,治療,予防・対策
5)分類,形態(成虫[副交接刺を欠く、とがり棘]
,虫卵[大型)
、3期幼虫の孵化)
,生活
環(宿主[めん羊、牛)
,感染経路,寄生部位[小腸]
、粘膜下組織),病態(寄生性胃腸
27
炎)
,疫学(分布域:世界的),診断,治療,予防・対策
6)クーペリア(Cooperia spp.,寄生部位[小腸])
,トリコストロンギルス(Trichostrongylus
spp.,寄生部位[第四胃と小腸]
)
(22)円虫類Ⅲ(腸結節虫類)
一般目標:
腸結節虫の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)牛腸結節虫(Oeophagostomum radiatum)について説明できる。
○3)コロンビア腸結節虫(Oesophagostomum columbianum)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の種および関連する種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目),形態(頭胞、交接嚢)、生活環(直接型生活環,自由生活期,経口感染
[3期幼虫]
、腸結節[4期幼虫]
、体内移行なし、寄生部位)
,病態(幼獣、寄生性腸炎,
腸結節虫症[めん羊、特異姿勢])、診断(虫卵検査[浮遊法]、虫卵培養法)、治療(イ
ベルメクチン、チアベンダゾールなど)、予防・対策(衛生管理、駆虫)
2)分類,形態(成虫[頭胞、頸翼、乳頭],虫卵),生活環(宿主[牛、水牛],感染経路,
寄生部位[盲・結腸]),病態(幼虫の腸壁侵入、腸結節、寄生虫性胃腸炎、貧血、低蛋
白血症)
,疫学(分布域:世界的)
,診断,治療,予防・対策
3)分類,形態(成虫[頸翼、乳頭]
,虫卵)
,生活環(宿主[めん羊、山羊]
,感染経路,寄
生部位[盲・結腸]
),病態(めん羊,幼虫の腸壁侵入、腸結節、下痢)
,疫学(分布域:
世界的)
,診断,治療,予防・対策
4)豚腸結節虫( Oesophagostomum dentatum 、腸結節),山羊腸結節虫( Oesophagostoma
venulosum、腸結節なし),大口腸線虫(Chabertia ovina,病態[めん羊、山羊、牛、腸
結節なし、成虫の腸粘膜咬着,点状出血])
(23)円虫類Ⅳ(鉤虫類)
一般目標:
鉤虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)犬鉤虫(Ancylostoma caninum)について説明できる。
○3)牛鉤虫(Bunostomum phlebotomum)について説明できる。
○4)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目,鉤虫科),形態(口腔[歯(鉤),切板,切器),切板,交接嚢),生活環
(直接型生活環,自由生活期(高温多湿)
,3期幼虫(被鞘幼虫)
,経皮感染、経口感染、
28
体内移行),病態(吸血性、鉤虫症)、診断(幼獣の貧血、下痢、浮腫、虫卵検査[浮遊
法]
、虫卵培養法[濾紙培養法、瓦培養法]
)
,治療(アベルメクチン、ベンツイミダゾー
ル、イミダゾール、対症療法[貧血])
,予防・対策(冬期の駆虫、糞便処理)
2)分類(Ancylostpma 属),形態(成虫[3対の歯(鉤)]
,虫卵)
,生活環(宿主[イヌ科],
感染経路[経口感染(リーベルキューン腺窩)
,経皮感染,経乳感染(口腔粘膜〜気管型
移行),胎盤感染],体内移行経路[気管型移行,全身型移行]
,発育休止,待機宿主[ゴ
キブリ]
,寄生部位[小腸(空腸)]
)
,病態(甚急型[子犬:虫卵まれ]
、急性型[幼犬]、
慢性型、寄生性[好酸球性]腸炎,点状出血,小球性低色素貧血[鉄欠乏性貧血]、寄生
性肺炎、皮膚幼虫移行症[人の皮膚爬行症],自家治癒[self cure],背弯姿勢),疫学
(分布域:北半球,人獣共通感染症)
,診断,治療,予防・対策(経皮弱毒生ワクチン)
3)分類(Bunostomum 属)
,形態(成虫,虫卵)
,生活環(宿主[牛)
,感染経路[経皮感染,
経口感染],寄生部位[小腸(十二指腸)]),病態(幼牛、寄生性腸炎,貧血、浮腫、人
の皮膚爬行症)
,疫学(分布域:世界的),診断,治療,予防・対策(コンクリート化)
4)猫鉤虫(Ancylostoma tubaeforme),ブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense:人の皮
膚 爬 行 症 ), セ イ ロ ン 鉤 虫 ( Ancylostoma ceylanicum ), ズ ビ ニ 鉤 虫 ( Ancylostoma
duodenale),アメリカ鉤虫(Necator americanus)
(24)円虫類Ⅴ(肺虫類)
一般目標:
肺虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)牛肺虫(Dictyocalus viviparus)について説明できる。
○3)豚肺虫(Metastrongylus elongatus)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目)
,形態(交接嚢)
,生活環(含仔虫卵(胎生),1期幼虫,3期幼虫,自由
生活期,寄生部位[気管・気管支(細気管支)]),病態(寄生性肺炎)、診断、治療(ベ
ンツイミダゾール系[フルベンダゾール]、イミダゾチアゾール系[レバミゾール]、ア
ベルメクチン系、マクロライド系[イベルメクチン]
)、予防・対策
2)分類(肺虫科、胎生肺虫),形態(成虫[交接嚢、交接刺)、1期幼虫[黒色の栄養顆粒
],虫卵),生活環(宿主[牛、水牛、シカ、ラクダ),自由生活期[弱乾燥、強低温]、
感染経路[3期幼虫の経口摂取]
,体内移行[小腸、腸間膜リンパ節、胸管、右心室、気
管],発育停止,寄生部位),病態(初放牧の若牛、咳:husk、前駆期、成虫寄生期、回
復期、自家治癒),疫学(分布域:世界的),診断(咳、幼虫検出[糞便内子虫遊出法:
遠心管内浮遊法、ベールマン法、ポリ袋法))
,治療,予防・対策(牛の導入対策、駆虫、
経口弱毒生ワクチン)
3)分類(擬円虫科),形態(成虫[交接嚢、長い交接刺),虫卵],生活環(宿主[豚、イノ
シシ],幼虫形成卵、中間宿主[シマミミズ、3期幼虫],感染経路(ミミズ体内の3期
幼虫、排泄感染幼虫の経口接種),体内移行,寄生部位),病態(子豚、点状出血、カタ
ール性気管支炎、発咳、限局性肺気腫),疫学(分布域),診断(咳、虫卵検査[浮遊法]
、
ミミズ体内の幼虫検出)
,治療,予防・対策
29
4)糸状肺虫(Dictyocalus filaria:めん羊、山羊),犬肺虫(Filaroides hirthi:自家感
染)
、猫肺虫(Aelurostrongylus abstrusus:カタツムリ、ナメクジ)
(25)円虫類Ⅵ(住血線虫類)
一般目標:
住血線虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)について説明できる。
△3)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目,住血吸虫科)
,生活環(中間宿主、動脈寄生)
2)分類,形態(成虫[雌:らせん状模様、雄:交接嚢、交接刺)
,虫卵]
,糞便(1期幼虫)、
生活環(経口、経皮感染、宿主[ネズミ(ドブネズミ、クマネズミ)
],中間宿主[経口、
経皮侵入、アフリカマイマイ,ナメクジ、リンゴガイ:3期幼虫]
,待機宿主[テナガエ
ビ,カニ、カエル],感染経路[中間宿主、待機宿主の捕食、付着野菜の生食],体内移
行[小腸、心臓、肺、心臓、全身:くも膜下静脈叢、心臓、肺動脈]
,寄生部位[肺動脈]
)
,
病態(人[非固有宿主]:くも膜下腔の幼若虫、肺動脈の移行なし、好酸球性髄膜脳炎、
頭痛、神経症状),疫学(分布域[世界的、太平洋諸島、東南アジア、沖縄,人獣共通感
染症],診断(人:頭痛、好酸球増加、免疫診断法),治療(人:対処療法[頭蓋内圧の
低下、ステロイド]
),予防・対策
4)コスタリカ住血線虫(Angiostrongylus coataricensis)
(26)円虫類Ⅶ(開嘴虫類)
一般目標:
開嘴虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)気管開嘴虫(Syngamus trachea)について説明できる。
△3)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目,開嘴虫科)
,形態(雌雄差[雄が小型)
、口腔],生活環(雌雄が交尾した
状態で寄生:Y 字型)
、病態(開嘴虫症)
2)分類,形態(成虫,虫卵[大型、小蓋]),生活環(宿主[鶏、七面鳥、キジ、ホロホロ
鳥]
,糞便(虫卵)、待機宿主[シマミミズ:シスト],感染経路[3期幼虫の経口摂取:
直接感染、間接感染],体内移行(小腸、血流、肝臓、肺),寄生部位[気管、気管支],
病態(キジ、ヤマドリ、七面鳥の雛鳥:呼吸困難、気管・気管支狭窄[コリーザ様症状:
開嘴病(gapes)]
),疫学(分布域:世界的),診断(症状、虫卵検査、剖検[成虫の検出]
),
30
治療(ベンツイミダゾール系[チアベンダゾール]、イミダゾチアゾール系[レバミゾー
ル])
,予防・対策(ミミズの駆除)
3)Syngamus skriabinomorpha
(27)糞線虫類
一般目標:
糞線虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)糞線虫(Strongyloides stercoralis)について説明できる。
○3)乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)について説明できる。
○4)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(桿線虫目,糞線虫科),形態(虫体:小型、threadworm)、生活環(直接型生活環,
ラブディティス型(R 型)幼虫,フィラリア型(F 型)幼虫[尾端:逆 V 字型],直接発
育、間接発育、世代交代[ヘテロゴニー]
,寄生生活性世代[雌:単為生殖,F 型雌成虫、
食道球なし]
,自由生活性世代(雄と雌:有性生殖,R 型雌成虫,R 型雄成虫,食道、有
弁食道球)
,感染幼虫[R 型3期幼虫]
、経皮感染,経口感染[口腔粘膜]
,体内移行経路
[血流、肝、心臓、肺、気管、咽頭、食道、小腸]、自家感染、寄生部位[小腸]
),病態
(寄生性腸炎)、治療(アベルメクチン、イベルメクチン、ベンツイミダゾール系[チア
ベンダゾール)
、イミダゾチアゾール系)
2)分類,形態(成虫,幼虫),生活環(宿主[犬、猫、キツネ、ヒト、猿),感染経路[経
皮感染,経口感染],体内移行経路,寄生部位[十二指腸、空腸],自家感染,自家再感
染、糞便[子虫:1期幼虫])
,病態(皮膚炎,急性限局性気管支炎,出血性下痢,Kennel
disease,播種性糞線虫症[敗血症、肺炎、化膿性髄膜炎)
,免疫不全患者)
,疫学(分布
域[熱帯、亜熱帯、日本〈九州、沖縄〉)
,人獣共通感染症)
,診断(糞便内子虫の検出,
糞便培養[瓦培養法、濾紙培養法、寒天平板培養法)
,治療,予防・対策(ヒト:接触の
回避、自家感染の回避)
3)分類,形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[反芻動物]
,感染経路[経口感染、経皮感染、
経乳感染,胎盤感染]
,体内移行経路,寄生部位、糞便[幼虫形成卵]
),病態(突然死:
子牛のポックリ病)
,疫学(分布域[日本、世界的],オガクズ敷料)
,診断(虫卵検査[浮
遊法]、培養法、遠心沈殿法),治療,予防・対策(駆虫、清掃、乾燥、日光消毒)
4)猫糞線虫(Strongyloides planiceps)
,豚糞線虫(Strongyloides ransomi)
(28)回虫類
一般目標:
回虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
31
○2)豚回虫(Ascaris suum)について説明できる。
○3)犬回虫(Toxocara canis)について説明できる。
○4)猫回虫(Toxocara cati)について説明できる。
○5)犬小回虫(Toxascaris leonina)について説明できる。
○6)アニサキス類について説明できる。
○7)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(回虫目),形態(成虫[乳白色、雌が大きい、3個の口唇、2本の交接刺],虫卵
[黄褐色、卵殻、蛋白膜])
,生活環(直接型生活環,成熟虫卵[幼虫形成卵:3期幼虫],
経口感染、体内移行[気管型]、寄生部位[小腸])
、病態(回虫症:体内移行の幼虫[寄
生性肺炎、肝障害]
、成虫[カタール性腸炎、腸閉塞、腸捻転、胆管閉塞、回虫毒(アレ
ルギー)
])
、診断(虫卵検査[直接法、浮遊法])、治療(ピペラジン誘導体、ミクロルボ
ス、パモ酸ピランテル、アベルメクチン系、サイアベンダゾール、パーベンダゾール、
レバミゾール、イベルメクチン、対処療法[抗生物質、副腎皮質糖質ステロイド、抗ヒ
スタミン剤]
、予防・対策(糞便処理、熱湯消毒、乾燥、駆虫、待機宿主の駆除)
2)分類(回虫科),形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[幼豚),感染経路[経口感染],体
内移行[気管型移行),寄生部位[小腸),幼虫移行症),病態(肝白班:milk spot,寄
生性間質性肝炎、出血性肺炎),疫学(分布域:世界的,人獣共通感染症,人回虫),診
断,治療,予防・対策
3)分類(回虫科),形態(成虫[頸翼],虫卵),生活環(宿主[イヌ科:幼犬],待機宿主
[げっ歯類、鳥類、ヒト],感染経路[経口感染(成熟虫卵、待機宿主),経乳感染,胎
盤感染],体内移行経路[気管型移行:幼犬,全身型移行:成犬],発育停止,寄生部位
[小腸]),病態(年齢抵抗性,好酸球性胃腸炎、寄生性肺炎[肝炎]、[内蔵]幼虫移行
症[肉芽腫性結節]
、人トキソカラ症)
,疫学(分布域:世界的,人獣共通感染症,砂場),
診断(人:免疫診断)
,治療,予防・対策
4)分類(回虫科),形態(成虫[頸翼],虫卵),生活環(宿主[ネコ科],待機宿主[ミミ
ズ、ゴキブリ、甲虫類、げっ歯類、鳥類、ヒト]
,感染経路[経口感染(成熟虫卵、待機
宿主)
,経乳感染]
,体内移行[気管型移行,全身型移行]
,待機宿主の捕食[体内移行な
し]
、発育停止,寄生部位[小腸])
,病態([内蔵]幼虫移行症,人トキソカラ症)
,疫学
(分布域:世界的,人獣共通感染症,砂場)
,診断(人:免疫診断)
,治療,予防・対策
5)分類(回虫科),形態(成虫[頸翼],虫卵[蛋白膜不明瞭]),生活環(宿主[犬、猫],
待機宿主[ネズミ]
,感染経路[経口感染(成熟虫卵、待機宿主)
],寄生部位,体内移行
せず),病態,疫学(分布域),診断,治療,対策
6 ) 分 類 ( ア ニ サ キ ス 科 : Anisakis simplex, Pseudoterranova decipiens, Anisakis
physeteris),形態(幼虫[穿歯,尾突起,レネット細胞]),生活環(終宿主[クジラ、
イルカ、オットセイ、アザラシ],
(第1)中間宿主[オキアミ:3期幼虫],待機宿主(第
2中間宿主)
[サバ、イカ、タラ、イワシ:被嚢])
,海産魚(シメサバ)の生食、病態(ヒ
ト:胃痛、腹痛、好酸球性肉芽腫,劇症型アニサキス症、即時型アレルギー反応),疫学
(分布域,人獣共通感染症,食品由来感染症,幼虫移行症,食中毒)
,診断(問診、内視
鏡検査)
,治療(幼虫の摘出),予防・対策(生食の回避、冷凍)
7)回虫(人回虫)(Ascaris lumbricoides),牛回虫(Toxocara vitulorum:経乳感染、待
機宿主[母牛]),馬回虫(Parascaris equorum),鶏回虫(Ascaridia galli:体内移行
なし),アライグマ回虫(Baylisascaris procyonis:待機宿主[ネズミ、ウサギ、鳥:
致命的]
)
32
(29)蟯虫類
一般目標:
蟯虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)馬蟯虫(Oxyuris equi)について説明できる。
○3)ネズミ盲腸蟯虫(Syphacia obvelata)について説明できる。
○4)ネズミ大腸蟯虫(Aspicularis tetraptera)について説明できる。
△5)蟯虫(人蟯虫)
(Enterobius vermicularis)について説明できる。
○6)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(蟯虫目),形態(成虫[白色、小形、細長い尾端、pinworm、R 型(後部食道球)、
雌が大きい]
,虫卵[小蓋,幼虫形成卵、左右不相称]
)、生活環(直接型生活環,経口感
染[成熟虫卵(3期幼虫)],孵化[小腸]、体内移行なし、肛門周囲に産卵,落下)、病
態(蟯虫症)、診断[セロファンテープ肛門周囲検査法]、治療(ピペラジン系、ベンツ
イミダゾール系[チアベンダゾール]
、アベルメクチン系、パモ酸ピランテル、サイアベ
ンダゾール、イベルメクチン)
、予防・対策(摘発、駆虫、衛生、乾燥)
2)分類(蟯虫科)
,形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[馬],産卵様式(夜間、灰白色の卵
塊),感染経路,盲・結腸の粘膜腺窩(4期幼虫)、寄生部位[盲腸・結腸]),病態(不
顕性、肛門周囲の掻痒症、結腸炎、流産[膣や子宮への侵入])
,疫学(分布域),診断(肛
門周囲検査[セロハンテープ]法)
,治療,予防・対策
3)分類(蟯虫科)
,形態(成虫[マメロン],虫卵),生活環(宿主[マウス、ラット、ヒト]
,
産卵様式[午後]、感染経路,寄生部位[盲腸]),病態,疫学(分布域),診断(肛門周
囲検査[セロハンテープ]法)
,治療,予防・対策
4)分類(蟯虫科)
,形態(成虫,虫卵[紡錘型、左右対称))
,生活環(宿主[マウス、ラッ
ト),感染経路,寄生部位[盲腸)、腸管内で産卵),病態,疫学(分布域),診断(糞便
の虫卵検査[浮遊法))
,治療,予防・対策
5)分類(蟯虫科),形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[ヒト],産卵様式[夜間],感染経
路(経口感染、自家再感染[肛門への逆行]),寄生部位[盲腸・結腸]),病態(肛門周
囲の掻痒症),疫学(分布域、集団感染),診断(夜泣き、肛門周囲検査[セロハンテー
プ]法)
,治療,予防・対策(爪切り、手洗い、清潔、乾燥、集団駆虫)
6)ラット蟯虫(Syphacia muris)
,ウサギ蟯虫(Passalurus ambiguus:腸管内で産卵),胎
生蟯虫(Probstmayria vivipara:紡錘虫科,卵胎生,自家感染)
(30)旋尾線虫類I(眼虫類)
一般目標:
眼虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
33
○2)ロデシア眼虫(Thelazia rhodesi)について説明できる。
○3)東洋眼虫(Thelazia callipaeda)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(旋尾線虫目,眼虫科)
,生活環(中間宿主[昆虫:口吻、3期幼虫]
,寄生部位[眼
球周囲:結膜嚢、瞬膜下],涙液,被鞘幼虫[1期幼虫])、病態(眼虫症)、診断、治療
(ドラメクチン、テトラミゾール、イベルメクチン)
、予防・対策
2)分類,形態(成虫[乳白色、小形、クチクラ、環状の条理、雄の尾部の湾曲],幼虫)
,
生活環(終宿主[牛、めん羊、山羊、水牛],1期幼虫、中間宿主[ノイエバエ、クロイ
エバエ],感染経路[3期幼虫保有バエ、涙を舐める],寄生部位[結膜嚢]、卵胎生),
病態(放牧牛、夏季:角膜損傷,結膜炎、失明),疫学(分布域:世界的),診断(塩酸
オキシプロカイン:瞬膜の反転、虫体の確認),治療(機械的除去),予防・対策(殺虫
剤、忌避剤:ハエの除去)
3)分類(oriental eye worm)
,形態(成虫[乳白色、鋸歯状の条理、雄の尾部の湾曲]
,幼
虫)
,生活環(終宿主[犬、ヒト、猫]
,幼虫形成卵、落下傘状の脱嚢幼虫,中間宿主[シ
ョウジョウバエ科:メマトイ、オオメマトイ],感染経路[メマトイが涙を舐める時],
寄生部位[結膜嚢]
),病態(流涙、角膜損傷,結膜炎、失明),疫学(分布域:東南アジ
ア、インド、中国、ロシア、韓国、日本,人獣共通感染症)
,診断(塩酸オキシプロカイ
ン:瞬膜の反転、虫体の確認),治療(機械的除去),予防・対策(殺虫剤、忌避剤:メ
マトイの除去)
4)スクリアビン眼虫(Thelazia skryabini:牛、ノウエバエ),マンソン眼虫(Oxyspirura
mansoni:鶏、オガサワラゴキブリ)
(31)旋尾線虫類Ⅱ(顎口虫類)
一般目標:
顎口虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum)について説明できる。
○3)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(旋尾線虫目,顎口虫科),形態(成虫[頭球(head buld),頭球鉤,皮棘],虫卵
[栓構造]),生活環(終宿主[肉食獣]、第一中間宿主[ケンミジンコ:2期幼虫],第
二中間宿主[3期幼虫],待機宿主[食物連鎖]、感染経路[経口摂取]、体内移行経路[消
化管壁、肝、腹膜下、胸膜下、筋肉内、胃]、寄生部位[胃壁、食道壁])、病態(顎口虫
症:終宿主[肝障害、嘔吐、下痢、貧血、腹膜炎]、ヒト[幼虫移行症、皮膚爬行症])、
診断(終宿主[虫卵検査、好酸球増加]、ヒト[移動性皮下腫瘤、問診、好酸球増加、免
疫検査]
)、治療(ヒ素化合物[ジソフェノール]
、ベンツイミダゾール系、チアベンダゾ
ール)、予防・対策(ケンミジンコ汚染水の生飲や第二中間宿主の生食の回避)
2)分類,形態(成虫[こけし状、棘、皮棘)
,幼虫,虫卵[黄褐色])
,生活環(終宿主[犬,
猫、ミンク),第一中間宿主[第3期前期幼虫],第二中間宿主(待機宿主)[ライギョ、
34
ドジョウ、両生類、爬虫類、鳥類、第3後期幼虫],感染経路[第二中間宿主の捕食],
体内移行経路,寄生部位[胃壁:虫嚢性腫瘤]),病態(ヒトの遊走性限局性皮膚腫瘤[
長江浮腫)、皮膚爬行症),疫学(分布域:アジア、オセアニア、アメリア、日本,人獣
共通感染症)
,診断,治療,予防・対策
3)剛棘顎口虫(Gnathostoma hispidum:終宿主[豚]、第2中間宿主[ドジョウ]、寄生部
位[胃壁:孔]、分布域[アジア、ヨーロッパ])
,ドロレス顎口虫(Gnathostoma doloresi:
終宿主[イノシシ、豚]、第2中間宿主[サンショウウオ、ヘビ、イワナ、ヤマメ]、寄
生部位[胃壁:孔]、分布域[アジア、オセアニア、日本]),日本顎口虫(Gnathostoma
nipponicum:終宿主[イタチ]、第2中間宿主[ドジョウ、ウグイ]、寄生部位[食道:
腫瘤]、分布域[アジア、オセアニア、日本]
)
(32)旋尾線虫類Ⅲ(胃虫類)
一般目標:
胃虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)大口馬胃虫(Draschia megastoma)について説明できる。
○3)ハエ馬胃虫(Habronema muscae)について説明できる。
○4)猫胃虫(Physaloptera praeputialis)について説明できる。
○5)類円豚胃虫(Ascarops strongylina)について説明できる。
△6)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類[旋尾線虫目]
,形態(成虫[小形])
、生活環(中間宿主[昆虫],寄生部位[胃]
)
2)分類(馬胃虫科)
,形態(成虫[乳白色、頭球,ロート状の口腔,側翼、交接刺],虫卵
[幼虫形成卵])
,生活環(終宿主[馬、ロバ、シマウマ、ラバ]
,糞便[1期幼虫]、中
間宿主[イエバエ]
,口吻(3期幼虫)
、感染経路[経口感染:皮膚(粘膜、創傷面)に
ついた子虫を舐める]
,寄生部位[胃])
,病態(胃馬胃虫症[肉芽性丘状結節(幽門部)
],
顆粒性皮膚炎[幼虫の皮膚侵入]
,粘膜馬胃虫症[幼虫の眼結膜侵入、結膜炎]),疫学(分
布域、夏から秋),診断(糞便検査[幼虫形成卵、幼虫:ベールマン法]
、皮膚・粘膜検
査[幼虫])
,治療(アベルメクチン系、イベルメクチン)
,予防・対策(衛生管理、ウジ
の撲滅、殺虫剤の散布)
3)分類(馬胃虫科)
,形態(成虫[オレンジ色、同筒状の口腔、側翼、交接刺],虫卵)
,生
活環(終宿主[馬]
,糞便[1期幼虫]
,中間宿主[イエバエ]
,口吻、感染経路[経口感
染:皮膚(粘膜、創傷面)についた子虫を舐める],寄生部位[胃])
,病態(胃馬胃虫症
[胃壁の炎症、潰瘍]
,顆粒性皮膚炎[夏創:幼虫の皮膚侵入],粘膜馬胃虫症[幼虫の
眼結膜侵入、結膜炎]
),疫学(分布域、夏から秋),診断(糞便検査[幼虫形成卵、幼虫:
ベールマン法]、皮膚・粘膜検査[幼虫]),治療(アベルメクチン系、イベルメクチン)
,
予防・対策(衛生管理、ウジの撲滅、殺虫剤の散布)
4)分類(胞翼線虫上科),形態(成虫[淡紅色、尾端の鞘、尾翼、陰門のリング、太い),
虫卵[厚い卵殻、幼虫形成卵]
),生活環(終宿主[猫、犬、コヨーテ、キツネ),1期幼
虫,中間宿主[ゴキブリ、コオロギ、バッタ:被嚢]
,待機宿主[カエル、トカゲ、鳥、
ネズミ:被嚢],感染経路[中間宿主、待機宿主の経口摂取],寄生部位[胃],吸血),
35
病態(出血、カタール性胃腸炎、潰瘍),疫学(分布域:ヨーロッパ以外の世界的),診
断(虫卵検査[浮遊法、沈殿法))
,治療(ベンツイミダゾール系、ペーベンダゾール)
,
予防・対策(ゴキブリの駆除、感染宿主の捕食の監視)
5)分類,形態(成虫[赤色、頸翼、咽頭壁、尾翼、交接刺]
,虫卵[厚い卵殻、斑点、幼虫
形成卵]
),生活環(終宿主[豚、イノシシ]
,1期幼虫,中間宿主[糞食性甲虫(コガネ
ムシ):3 期幼虫],待機宿主[トンボ、両生類、爬虫類、コウモリ]
、感染経路[中間宿
主の経口摂取]
,寄生部位[胃]
)
,病態[潰瘍、胃炎]
,疫学(分布域:世界的)
,診断(虫
卵検査[浮遊法、沈殿法])
,治療(ドレメクチン),予防・対策
6)小口馬胃虫(Habronema microstoma:終宿主「馬」、中間宿主[イエバエ、サシバエ(感
染サシバエは吸血できない)])
,鶏の胃虫
(33)旋尾線虫類Ⅳ(食道虫類)
一般目標:
食道虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)血色食道虫(Spirocerca lupi)について説明できる。
○3)美麗食道虫(Gongylonema pulchrum)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(旋尾線虫目)
,生活環(中間宿主[昆虫:3期幼虫)、体内移行]、病態(食道虫症)
2)分類(スピロセルカ科),形態(成虫[淡紅色、コイル状、尾端、尾翼],虫卵[厚い卵
殻、幼虫形成卵])
,生活環(終宿主[犬、キツネ、オオカミ、コヨーテ],中間宿主[糞
食性コガネムシ、ゴミムシダマシ、ギンヤンマ:被嚢]
,待機宿主[両生類、爬虫類、鳥
類、ウサギ],感染経路[経口摂取],体内移行経路[胃壁、血流、大動脈壁、胸部大動
脈、消化管壁、食道・胃(虫嚢)],寄生部位[食道、胃],異所寄生[気管、リンパ節、
腎、皮下]),病態(食道壁・胃壁・大動脈壁の肉芽性腫瘍結節、動脈瘤、食道狭窄、嘔
吐、胸膜炎、膿胸、脊椎炎),疫学(分布域:熱帯・亜熱帯),診断(結節[剖検、X線
検査,内視鏡検査]、虫卵検査[沈殿法、浮遊法]
、虫体検査、糞便、吐物),治療(ジエ
チルカルバマイシン、ジソフェノール、ドラメクチン)
,予防・対策
3)分類(ゴンギロネマ科)
,形態(成虫[疣状突起、頸翼、細長い、交接刺、宿主によって
大きさが異なる、stitch worm),虫卵[厚い卵殻、幼虫形成卵]),生活環(終宿主[反
芻動物、ラクダ、豚、イノシシ),中間宿主[糞食性昆虫、ゴキブリ),感染経路[経口
接種、水飲],体内移行[食道粘膜、咽頭、舌、口腔粘膜、食道],寄生部位[食道)),
病態(食道粘膜、ヒトの舌麻痺、咽頭炎)
),疫学(分布域:世界的,人獣共通感染症)
,
診断(虫卵検査[浮遊法))
,治療,予防・対策
4)Gongylonema macrogubernaculum
(34)腎虫類
一般目標:
腎虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
36
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)豚腎虫(Stephanurus dentatus)について説明できる。
【キーワード】
1)分類(円虫目,Stephanurus 属[一属一種]),形態(成虫[透けた体表、交接嚢の発達
が悪い]
,虫卵[薄い卵殻、尿、粘着性])
,生活環(宿主[豚、イノシシ],待機宿主[ミ
ミズ],3期幼虫、感染経路[経口感染,経皮感染],体内移行[胃壁、門脈、肝臓、腹
腔、輸尿管壁(虫嚢)]
,寄生部位[腎臓:脂肪組織、輸尿管壁、腎盂]
、迷入[肺、胸腔、
脾臓、膵臓、腰椎腔]),病態(肝組織障害:血栓、肝炎、肝硬変、腹腔内出血[腹水]、
腎臓の嚢胞・膿瘍[急性腎炎]
、後嗣麻痺[起立不能]
、皮膚小結節),疫学(分布域:熱
帯、亜熱帯、日本),診断(好酸球増多、肝臓障害値、尿中の虫卵検査:粘着性),治療
(ベンツイミダゾール系[フェンベンダゾール、メベンダゾール、アルベンダゾール]、
アベルメクチン系、レバミゾール)
,予防・対策(日光、乾燥、保虫豚の排除、消毒、ミ
ミズ駆除)
(35)旋尾線虫類Ⅴ(糸状虫類)
一般目標:
糸状虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)犬糸状虫(Dirofilaria immitis)について説明できる。
○3)指状糸状虫(Setaria digitata)について説明できる。
○4)頸部糸状虫(Onchocerca cervicalis)について説明できる。
○5)沖縄糸状虫(Stephanofilaria okinawaensis)について説明できる。
○6)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(旋尾線虫目)
,生活環(中間宿主,昆虫,ベクター,卵胎生、ミクロフィラリア[1
期幼虫]
)、病態(糸状虫症)、予防・対策(中間宿主の駆除)
2)分類(オンコセルカ科),形態(成虫[乳白色、素麺状],卵胎生、ミクロフィラリア[無
鞘、直腸原基細胞]
),生活環(終宿主[犬科、猫科、イタチ科]
,中間宿主[カ:トウゴ
ウヤブカ、ヒトスジシマカ、アカイエカ:3期幼虫],感染経路[カの吸血],体内移行
経路[皮下、筋膜下、筋肉、脂肪組織、右心室],寄生部位[肺動脈,右心室]、異所寄
生),病態(慢性イヌ糸状虫症[元気消失、浮腫、腹水、不整脈、右心房・肺動脈拡張、
うっ血性右心不全、死亡],大静脈症候群[急性イヌ糸状虫症:肺動脈弁・三尖弁機能不
全、肝障害、腎障害、呼吸困難、死亡],奇異性塞栓症[左右短絡の心奇形、動脈塞栓、
運動障害]、幼虫移行症[中枢神経迷入(精神異常、痙攣)、前眼房迷入(混濁)],アレ
ルギー肺炎、糸球体腎炎、定期出現性[日内周期性(夜間),季節出現性],オカルト感
染[ミクロフィラリアが検出されない:未成熟虫体の寄生、単性成虫の寄生、抗体によ
る排除、予防薬の作用],人獣共通感染症[ヒト:誤認による肺葉切除]、猫、フェレッ
トの急性犬糸状虫症),疫学(分布域:熱帯・亜熱帯、日本),診断(ミクロフィラリア
37
の検出[直接法(直接塗抹法、厚層塗抹染色法)
、集虫法(ヘマトクリット管遠心法、ノ
ット法、アセトン集虫法、フィルター集虫法)
],循環抗原検査[ES 抗原]
、抗体検査)
,
治療(抗成虫剤[ヒ素化合物(メラルソミン):栓塞やアレルギー反応],抗ミクロフィ
ラリア剤[イベルメクチン、ミルベマイシン:栓塞や生体反応]
、外科的治療[アリゲー
ター鉗子]、適切な治療),予防・対策(抗幼虫薬による予防プログラム:マクロライド
系[イベルメクチン、ミルベマイシン])
3)分類(オンコセルカ科),形態(成虫[クチクラ突起],ミクロフィラリア[有鞘]),生
活環(終宿主[牛、水牛、コブウシ],中間宿主[シナハマダラカ、トウゴウヤブカ],
非固有宿主[めん羊、山羊、馬:迷入],感染経路,寄生部位[体腔]
),病態(固有宿主
は無症状、非固有宿主への迷入,脳脊髄:脳脊髄糸状虫症[セタリア症]
・腰麻痺、起立
不能,前眼房:溷睛虫症)
,疫学(分布域:インド、スリランカ、ミャンマー、朝鮮半島、
日本),診断(症状、剖検[非固有宿主]、ミクロフィラリアの検出[固有宿主]),治療
(ジエチルカルバマイシン),予防・対策(牛における駆虫[ジエチルカルバマイシン]
)
4)分類(オンコセルカ科),形態(成虫,ミクロフィラリア),生活環(終宿主[馬、ロバ]
,
中間宿主[セタダラヌカカ],感染経路,寄生部位[頸靭帯の筋肉、結合織]
),病態(き
甲腫[成虫],夏癬[子虫],無ミクロフィラリア血症),疫学(分布域),診断(ミクロ
フィラリアの検出)
,治療(イベルメクチン、モキシデクチン),予防・対策
5)分類(糸状虫科)
,形態(成虫,ミクロフィラリア)
,生活環(終宿主[牛、水牛],中間
宿主[ウスイロイエバエ]
,感染経路,寄生部位[鼻鏡、乳頭])
,病態(成虫、鼻鏡:鼻
鏡白斑症、乳頭:糜爛、潰瘍、脱落),疫学(分布域:日本の南西諸島,黒毛和牛),診
断(症状、ミクロフィラリアの検出),治療(パーベンダゾール、レバミゾール),予防・
対策
6)マーシャル糸状虫(Setaria marshalli:分類[オンコセルカ科]、中間宿主[シナハマ
ダラカ、トウゴウヤブカ]
、終宿主[牛、水牛、コブウシ]
、胎盤移行、寄生部位[腹腔])
,
牛のパラフィラリア(Parafilaria bovicola:分類[糸状虫科]、中間宿主[イエバエ],
終宿主[牛、水牛]
、寄生部位[皮膚結節内]
、病態[血汗症]),馬糸状虫(Setaria equi:
分類[オンコセルカ科]、中間宿主[シナハマダラカ、トウゴウヤブカ]、終宿主[馬、
ロ バ 、 シ マ ウ マ ]、 寄 生 部 位 [ 腹 腔 、 胸 腔 、 肺 ]), 多 乳 頭 糸 状 虫 ( Parafilaria
multipapillosa:分類[糸状虫科]、中間宿主[ノサシバエ],終宿主[馬、ロバ]、寄生
部位[皮下織、筋間結合織:出血性小結節]、病態[血汗症])
,咽頭糸状虫(Onchocerca
gutturosa:中間宿主[ツメトゲブユ]、終宿主[牛、水牛、コブウシ]、寄生部位[頸靭
帯の皮膚組織内]、病態[ワヒ病・コセ病(慢性皮膚病:ミクロフィラリア)]),豚の糸
状虫
(36)鞭虫類Ⅰ(鞭虫類)
一般目標:
鞭虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)犬鞭虫(Trichuris vulpis)について説明できる。
○3)豚鞭虫(Trichuris suis)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
38
1)分類(エノプリダ目,鞭虫科),形態(成虫[鞭状:whipworm,食道腺細胞,スチコソー
ム、尾端、交接刺鞘]
,虫卵(栓様構造物、レモン型、厚い卵殻、黄褐色、卵細胞、卵黄
細胞))
,生活環(直接型生活環,成熟虫卵[幼虫形成卵:環境抵抗性]
,経口感染、小腸
で孵化,リーベルキューン腺での発育、寄生部位[盲腸])、病態(鞭虫症、多数寄生:
下痢、粘血便)
、診断(虫卵検査:浮遊法、沈殿法)
2)分類,形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[犬:成犬に多い、キツネ、狸、ヒト],感染
経路,寄生部位[盲腸,結腸]),病態(粘膜侵入,吸血),疫学(分布域:世界的),診
断,治療(メチリジン、ベンツイミダゾール系、アベルメクチン系)
,予防・対策
3)分類,形態(成虫,虫卵),生活環(宿主[豚、イノシシ],感染経路,寄生部位[盲腸,
結腸])
,病態(急性豚鞭毛虫症、粘膜侵入,吸血,混合感染:子豚の斃死)
,疫学(分布
域:世界的,醗酵オガクズ豚舎)
,診断,治療(ジクロルボス、ベンツイミダゾール系[パ
ーベンダゾール、フルベンダゾール]
、アベルメクチン系、レバミゾール、ミルベマイシ
ン)
,予防・対策(清浄化、高温・乾燥、駆虫)
4)牛鞭虫(Trichuris discolor:牛、めん羊、山羊)
、鞭虫(Trichuris trichiura:ヒト、
猿)
、羊鞭虫(Trichuris ovis:牛、めん羊、山羊)
(37)鞭虫類Ⅱ(毛細線虫類)
一般目標:
毛細線虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
△2.肝毛細線虫(Capillaria hepatica (syn.Calodium hepaticum)
)について説明できる。
△3.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(エノプリダ目,鞭虫科、毛頭虫、毛体虫),形態(成虫「細い」、虫卵[栓状構造
物、レモン状])
,生活環(直接型生活環または間接型生活環,中間宿主、寄生部位)
、病
態(毛細線虫症、毛体虫症)
2)分類,形態(成虫,虫卵[条線]),生活環(宿主[ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネ
ズミ、犬、ヒト],虫卵:外気に触れないと孵化しない、感染経路[経口感染],生活環
の特殊性[①捕食後の外界(intercalary host)、②死亡による腐敗],小腸で孵化、血
流、寄生部位[肝臓]),病態(肝の黄白色斑),疫学(分布域),診断(虫卵検査:肝臓
の生検)
,治療,予防・対策
3)穿通毛細線虫(Capillaria perforans:終宿主[ホロホロ鳥、七面鳥、キジ、クジャク]
、
寄生部位[口腔、食道、嗉嚢]
)、鶏小腸毛細線虫(終宿主[鶏、ドバト、七面鳥]
、寄生
部位[小腸粘膜])、牛毛細線虫(Aonchotheca bovis:終宿主[牛、水牛、めん羊、山羊]
、
寄生部位[小腸粘膜])
、肺毛細線虫(Capillaria aerophila:終宿主[犬、猫、イタチ]
、
寄生部位[気管、気管支、鼻腔])
、Capillaria plica(虫卵[尿中]、中間宿主[ミミズ]
、
終宿主[犬、猫]、経口摂取、寄生部位[膀胱])
(38)鞭虫類Ⅲ(旋毛虫)
一般目標:
39
旋毛虫類の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環)
,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1.本項目に含まれる寄生虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2.旋毛虫(Trichinella spiralis)について説明できる。
○3.本項目に含まれるその他の種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(エノプリダ目,旋毛虫科),生活環(生活環の特殊性[固有宿主と中間宿主],卵
胎生,被嚢幼虫)、病態(旋毛虫症、トリヒナ症)
2)分類,形態(成虫,幼虫[筋肉トリヒナ]),生活環(全生涯寄生生活、宿主[広域宿主
性]
,感染経路[被嚢幼虫(感染幼虫)の経口摂取]
,体内移行[幼虫、血流、リンパ流、
心臓、横紋筋(骨格筋、横隔膜、舌:嚢胞壁、被嚢幼虫)
],寄生部位[小腸の絨毛間])
,
病態(成虫腸管寄生期[侵襲性:腸トリヒナ症期:カタール性腸炎]
,幼虫筋細胞内寄生
期[筋肉トリヒナ症期:顔面浮腫、筋肉痛、咀嚼傷害、心筋炎]
、回復期[筋肉トリヒナ
の死滅]),疫学(分布域[世界的],野生獣肉からの感染[熊、アナグマ、犬、キツネ、
ジャッカル、イノシシ]、人獣共通感染症:顔面浮腫,筋肉痛),診断(筋生検[幼虫の
検出:圧平法、トリヒノスコープ法,人工消化法]
、好酸球増加、抗体検査[サーレス現
象])
,治療(ヒト:ベンツイミダゾール系[メベンダゾール、チアベンダゾール]、対処
療法[ステロイド剤])
,予防・対策(と畜場法:全部廃棄、獣肉の生食の回避)
3)Trichinella britovi, Trichinella nativa, Trichinella nelsoni, Trichinella
pseudospiralis(非被嚢幼虫)
(39)鉤頭虫総論および大鉤頭虫
一般目標:
鉤頭虫の重要種について,その生物学(分類,形態,生活環),疫学,病因・病理学および疾
病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)鉤頭虫に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)大鉤頭虫(Macracanthorhynchus hirudinaceus)について説明できる。
△3)その他の鉤頭虫について説明できる
【キーワード】
1)分類(鉤頭虫門),形態(成虫[雌雄異体,円筒形、長紡錘形、鉤、吻部,頚部,胴部,
吻鞘,消化管欠如,生殖器(雄:精巣,セメント腺,輸精管,陰茎,交接嚢;雌:卵巣
(球),子宮,子宮鐘,卵管,生殖孔)]
、虫卵[幼虫形成卵:アカントール]
),生活環(中
間宿主,待機宿主,終宿主,発育(虫卵,アカントール,アカンテラ,シスタカンス,
成虫))
、病態(鉤頭虫症)
2)分類,形態(成虫[乳白色、片節様スジ)
,虫卵)
,生活環(終宿主[豚、イノシシ)
,中
間宿主[甲虫類:コガネムシ、ガムシ),感染経路(経口感染),体内移行経路,寄生部
位[小腸))
,病態(急性腹膜炎、腹痛、下痢、血便)
,疫学(分布域:世界的,人獣共通
感染症)
,診断,治療,予防・対策
3)鎖状鉤頭虫(Moniliformis dubius:終宿主[ドブネズミ、クマネズミ、犬、猫]、中間
40
宿主[ゴキブリ類]
、人獣共通感染症), Prosthenorchis elegans
41
4.衛生動物学
全体目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な衛生動物の分類,形態,生活環,病原性,流行の現状・疫
学,病態,診断,治療,予防,および宿主の防御機構について理解し,衛生動物による病害
発生の機序やその対策についての考え方を身につける。
(1)総論
一般目標:
獣医臨床および公衆衛生上重要な節足動物,特にダニおよび昆虫の分類,形態,発育・生殖,
獣医衛生との関連および対策についての基本的知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)節足動物の分類およびダニと昆虫の一般形態や生態の特徴について説明できる。
○2)ダニの分類について説明できる。
○3)ダニの形態学的特徴について説明できる。
○4)ダニの発育(形態変化)および生殖の特徴を説明できる。
○5)昆虫の分類について説明できる。
○6)昆虫の形態学的特徴について説明できる。
○7)昆虫の発育(形態変化)および生殖の特徴を説明できる。
○8)節足動物と獣医衛生との関連性について説明できる。
△/▲9)節足動物の防除について説明できる。
【キーワード】
1)節足動物門,蛛形綱,昆虫綱,外骨格,消化器系(前腸,中腸,後腸),呼吸器系(鰓,
気管,書肺,気門),神経系,排泄系(マルピギー管)
,生殖系,脈管系(開放系),脱皮,
変態,一時寄生と生涯寄生,吸血性節足動物(吸血目的と吸血ステージ)
2)多気門亜目,後気門(マダニ)亜目,中気門亜目,前気門亜目,無気門亜目,隠気門亜
目(ササラダニ)目,tick と mite,動物寄生性と自由生活性
3)顎体部,胴部, 角,口下片,触肢,ハラー氏器官,
4)4発育期(卵,幼ダニ,若ダニ,成ダニ)
,不完全変態
5)昆虫綱,重要な目(食毛目,シラミ目,双翅目,ノミ目,鞘翅(甲虫)目,網翅目)
6)頭部,胸部,腹部,触角,単眼と複眼,口器(上唇,下唇,下咽頭,大あご,小あご,
小 あ ご ひ げ ; chewing type( 咀 嚼 型 ) , cutting-sponging type, sponging type,
chewing-lapping type, piercing-sucking type, siphoning type)
,環節と脚,翔
7)完全変態と不完全変態(無変態発育,小変態発育,半変態発育),産卵(卵生,卵胎生,
蛹生)
8)放牧衛生,衛生害虫,刺咬,吸血,内部寄生と外部寄生,病原体の媒介,動物へのスト
レス,アレルギー
9)殺虫剤(成虫殺虫剤[ピレスリン・ピレスロイド系,有機リン系,カーバメイト系,ネ
オニコチノイド系,GABA 受容体遮断剤,マクロライド系,ピリプロール,アミトラズ,
シロマジン,トリフルムロン]
,昆虫成長制御剤[キチン合成阻害剤,幼若ホルモン様物
質)),防除法(薬浴法,噴霧法,ダストバッグ法,ポアオン法,スポットオン法,イヤ
ータッグ法,注射法,経口投薬法])
42
(2)マダニ類(後気門亜目)
一般目標:
マダニ類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連する知
識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)マダニ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
○2)オウシマダニ(Rhipicephalus (Boophilus) microplus)について説明できる。
○3)フタトゲチマダニ(Haemophysalis longicornis)について説明できる。
○4)シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)について説明できる。
○5)クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)について説明できる。
△6)キチマダニ(Haemophysalis flava)について説明できる。
△7)ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)について説明できる。
△8)ヒメダニ類について説明できる。
【キーワード】
1)分類(マダニ目,マダニ科(hard tick, 背板),ヒメダニ科[soft tick, 背板を欠く,
若虫期が2期以上]
,キララマダニ属(Amblyomma)
,チマダニ属(Haemaphsalis),マダニ
属(Ixodes),コイタマダニ属(Rhipicephalus),カクマダニ属(Dermacentor))
,形態(顎
体基部背面および触肢の形態,眼,肛門,肛門板,肛溝,感染経路,1宿主性,2宿主
性,3宿主性,吸血期,吸血生理,blood pool),疾病(マダニ媒介性疾病,人獣共通感
染症,マダニ麻痺症,フランネル法,旗ずり法,化学的防除法,殺ダニ剤,マダニ駆除
法[薬浴法,噴霧法,ダストバッック法,プアオン法,イヤータッグ法,注射法,経口投
与法])
2)分類(マダニ科コイタマダニ属),形態(尾状の突起,胴部後部・雄],生活環(1宿主
性,宿主[主に牛]
),病態(ピロプラズマ病[Babesia bigemina, B. bovis]
,アナプラ
ズマ病[Anaplasma marginale]
,法定伝染病])
,疫学(分布域[世界的,熱帯,亜熱帯]
)
3)分類(マダニ科チマダニ属),形態(眼[無],顎体基部背面[四角形],一対の突起[フタ
トゲの由来,触肢第3節背面],生活環(3宿主性,単為生殖系統),病態(小型ピロプ
ラズマ病(Theileira orientalis),大型ピロプラズマ病(B. ovate)],犬のバベシア病(B.
gibsoni),ロシア春夏脳炎,Q 熱,紅斑熱),疫学(分布域[ロシア,東南アジア,豪州,
国内最優占種]
,宿主[宿主域大])
4)分類(マダニ科マダニ属),形態(眼[無]),生活環(3宿主性),病態(媒介疾病[ライ
ム病,ロシア春夏脳炎]
),疫学(分布域[北海道から西日本,中国・ロシア・欧州]
5)分類(マダニ科コイタマダニ属),生活環(3宿主性,宿主[主に犬,中・大型哺乳類,
鳥類]),病態(主な媒介疾病[犬のピロプラズマ病,エールリッヒア病,ヘパトゾーン
病,ヘモバルトネラ病]
,同族の R. appendiculatus[東アフリカ海岸熱・法定伝染病,
ナイロビ羊病・届出伝染病],疫学(分布域[世界的])
6)分類(マダニ科チマダニ属)
,形態(体表[黄色,キチマダニの由来])
,生活環(3宿主
性)
,病態(媒介疾病[野兎病,紅斑熱]
,宿主[宿主域大])
,疫学(分布域[日本全土]
7)分類(マダニ科マダニ属),形態(浮縁[多種との区別容易]),生活環(3宿主性),病
態(野兎病,紅斑熱,ライム病),疫学(分布域[日本分布域大])
8)分類(ヒメダニ科[ヒメダニ属,カズキダニ属,otobius 属])
,病態(オーニソドルス ム
ンバータ[Ornithodoros moubata],媒介疾病[アフリカ豚コレラ,西ナイル熱]
)
43
(3)ヒゼンダニ類(無気門亜目)
一般目標:
ヒゼンダニ類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連す
る知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)ヒゼンダニ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
○2)センコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)について説明できる。
○3)ヒツジキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes ovis)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(ヒゼンダニ類,コナダニ類,ヒゼンダニ科,トリヒゼンダニ科,キュウセンヒゼ
ンダニ科),形態(無気門,脚(吸盤,剛毛),生活環(発育[ヒゼンダニ科およびトリ
ヒゼンダニ科,虫卵,幼ダニ,第1若ダニ,第2若ダニ,成ダニ;キュウセンヒゼンダ
ニ科:虫卵,幼ダニ,若ダニ,成ダニ],非吸血性,生涯寄生),病態(疥癬)
2)分類(ヒゼンダニ科ヒゼンダニ属,穿孔疥癬虫),形態(変種[variant]),病態(強い
痒覚,湿疹性皮膚炎,全身性疥癬[イヌ科動物]),疫学(分布域[世界的],宿主[宿主
域大]
,人獣共通,ノルウェー疥癬)
,診断(皮膚の掻爬,虫体の検出)
,治療(クロタミ
トン,イベルメクチン)
,予防・対策(病獣の隔離)
3)分類(キュウセンヒゼンダニ科キュウセンヒゼンダニ属)
,生活環(寄生部位[肩部,頸
部,尾根部周辺,全身性]),病態(キュウセン疥癬,強い痒覚,羊疥癬[届出伝染病],
湿疹性皮膚炎,細菌の2次感染,膿皮症]
,冬季に発生),分布域[世界的])
,診断(皮膚
の掻爬,虫体の検出),治療(クロタミトン,イベルメクチン),予防・対策(病獣の隔
離)
4)ショウセンコウヒゼンダニ(小穿孔疥癬虫[Notoedres cati],センコウヒゼンダニより
小型,宿主[ネコ,イヌ,ウサギ]
),ニワトリアシカイセンダニ(鶏脚疥癬虫[Knemidokoptes
mutans],宿主[鶏,七面鳥]),ウサギキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes cuniculi,宿
主[ウサギ,めん羊,馬]),ショクヒヒゼンダニ(Chorioptes texanus, C. bovis,宿
主[牛,馬,めん羊,山羊]), ミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis,宿主[犬,猫,
フェレット]
)
(4)ヤドリダニ類(中気門亜目)
ヤドリダニ類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連す
る知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)ヤドリダニ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
○2)トリサシダニ(Ornithonyssus sylvialum)について説明できる。
○3)ワクモ(Dermanyssus gallinae)について説明できる。
△4)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(ワクモ科)
,形態(肥厚板(背板,胸板,生殖板,肛板)
,気門と周気管,生殖門,
44
肛門,生活環(発育[虫卵,幼ダニ,第1若ダニ,第2若ダニ,成ダニ],病態(鶏で重
要な外部寄生虫)
2)形態(ワクモとの鑑別[ワクモに比べ小型,背板,肛板・肛板,鋏角]),生活環(寄生
部位[肛門周囲,頭部,体表の一生寄生)
,病態(採卵鶏の外部寄生虫,被害[秋~春]
,
寄生部位[肛門周辺,頭部,全身]),疫学(分布[世界的],生息場所[鶏体上],産卵
場所[鶏体上]),診断(ワクモとの鑑別),治療(殺ダニ剤),予防・対策(定期的なダ
ニ駆除)
3)形態(トリサシダニとの鑑別[トリサシダニに比べ大型,背板,肛板・肛板,鋏角])
,
生活環(寄生部位[全身],一時寄生,夜間吸血性),病態(採卵鶏の外部寄生虫,被害
[春~夏] ),疫学(分布[世界的]
,生息場所[鶏舎の柱]
,産卵場所[鶏体外の鶏舎])
疫学(分布域[世界的]),診断(トリサシダニとの鑑別),治療(殺ダニ剤),予防・対
策(定期的なダニ駆除)
4)イエダニ(Ornithonyssus bacoti),ネッタイトリサシダニ(Ornithonyssus bursa, 宿
主[野鳥])
,ミツバチヘギイタダニ(Varroa destructor, 宿主[ミツバチ], バロア症,
届出伝染病),イヌハイダニ(Pneumonyssus caninum, 寄生部位[犬,前頭洞,鼻腔内],
ハイダニ症)
(5)ツメダニ,ツツガムシ,ニキビダニ類(前気門亜目)
一般目標:
ツツガムシ類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病制御に関連す
る知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)ツメダニ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△2)ツメダニ類の重要種について説明できる。
○3)ツツガムシ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△4)ツツガムシ類の重要種について説明できる。
○5)ニキビダニ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△6)本項目に含まれるその他の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(ツメダニ科),形態(触肢[大きな爪],口器[大]),生活環(発育[虫卵,幼ダ
ニ,第1若ダニ,第2若ダニ,成ダニ]
,全ステージ体表上)
,病態(ツメダニ症,痒覚,
皮膚炎,鱗屑・痂皮形成,寄生部位[耳翼,腰背部,会陰,陰嚢,尾,全身性],人獣共
通感染症)
,診断(虫体の検出,類症鑑別)
,治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策
(感染経路の遮断,罹患動物の隔離)
2)イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri,宿主[犬,猫,ウサギ]
),ネコツメダニ(C. blakei,
宿主[猫])
,ウサギツメダニ(C. parasitovorax,宿主[ウサギ,猫,犬])
,
3)分類(レーウェンフェク科,ツツガムシ科),形態,生活環(発育[虫卵,幼ダニ,若ダ
ニ,成ダニ],寄生部位[体表],自由生活期[若ダニ,成ダニ]非吸血性,寄生期[幼
ダニのみ])
,病態(皮膚炎,痒覚,皮膚炎,鱗屑,ツツガムシ病媒介[リケッチア,Orientia
tsutsugamushi]),診断(虫体の検出,類症鑑別),治療(化学的薬剤による殺虫),予防・
対策(感染経路の遮断,罹患動物の隔離)
4)アカツツガムシ( Leptotrombidium akamushi, 宿主[ノネズミ]),タテツツガムシ
(Leptotrombidium scutellare)
,フトゲツツガムシ(Leptotrombidium pallidam,宿主
45
[ノネズミ,鳥類]
),フジツツガムシ(L. fuji,宿主[ノネズミ])
,トサツツガムシ(L.
tosa,宿主[ノネズミ]),ミヤガワタマツツガムシ(Helenicula miyagawai,宿主[ノ
ネズミ,鳥類]
)
5)分類(ニキビダニ科,毛包虫,毛嚢虫,アカルス,イヌニキビダニ[Demodex canis],
ウシニキビダニ[D. bovis],ウマニキビダニ[D. equi]
,ネコニキビダニ[D. cati])
,
形態(他の小型のダニと著しく異なる[細く伸長した後胴体部,多数の環紋]),生活環
(発育[虫卵,幼ダニ,第1若ダニ,第2若ダニ,成ダニ]
,生涯寄生,宿主特異性[大]
),
病害(毛包虫症,ニキビダニ症,皮膚炎,痒覚,脱毛)
,診断(虫体の検出,類症鑑別),
治療(化学的薬剤による殺虫)
,予防・対策(感染経路の遮断,罹患動物の隔離)
6)アカリンダニ(Acarapis woodi,宿主[ミツバチ],病態(アカリンダニ症,届出伝染病)
(6)ノミ類,シラミ類とハジラミ類
一般目標:
ノミ類,シラミ類とハジラミ類の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および
疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)ノミ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△2)ノミ類の重要種について説明できる。
○3)シラミ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△4)シラミ類の重要種について説明できる。
○5)ハジラミ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△6)ハジラミ類の重要種について説明できる。
【キーワード】
1)分類(ノミ目)
,形態(第3脚の発達),生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態),病態
(ノミ咬症,アレルギー性皮膚炎,中間宿主[瓜実条虫]),診断(虫体の検出,類症鑑
別)
,治療(化学的薬剤による殺虫)
,予防・対策(感染経路の遮断,罹患動物の隔離)
2)ネコノミ(Ctenocephalides felis,宿主域[大])
,イヌノミ(Ctenocephalides canis,
宿主域[大]
),ヒトノミ(Pulex irritans,宿主域[大])
,ニワトリフトノミ(Echidnophaga
gallinacea,宿主域[大])
3)分類(シラミ目[ケジラミ科,ヒトジラミ科,ケモノジラミ科,ケモノホソジラミ科,
ホソゲジラミ科]),形態(ハジラミとの鑑別[翅なし,頭幅<胸幅]),生活環(不完全
吸血性,変態[卵,幼虫・1~3齢,成虫])
,病態(皮膚炎,痒覚,細菌二次感染),診
断(虫体の検出,類症鑑別),治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(感染経路の
遮断,罹患動物の隔離)
4)ウシジラミ(Haematopinus eurysternus,宿主[牛])
,ウシホソジラミ(Linognathus vituli,
宿主[牛]),ケブカウシジラミ(Solenopotes capillatus,宿主[牛]),ヤギホソジラ
ミ(Linognathus stenopsis,宿主[山羊])
,ウマジラミ(Haematopinus asini,宿主[馬]),
ブタジラミ(Haematopinus suis,宿主[豚]),イヌジラミ(Linognathus setosus,宿
主[犬]
),アタマジラミ(Pediculus humanus humanus,宿主[人])
,コロモジラミ(Pediculus
humanus corporis,宿主[人]),ケジラミ(Phthirus pubis,宿主[人])
5)分類(ハジラミ目)
,形態(シラミとの鑑別[翅なし,頭幅>胸幅])
,生活環(脱落組織
や羽毛の摂食,非吸血性,生涯寄生,宿主特異性[高]),不完全変態[卵,幼虫・1~
3齢,成虫]),病態(皮膚炎,痒覚,細菌二次感染),診断(虫体の検出,類症鑑別),
46
治療(化学的薬剤による殺虫)
,予防・対策(感染経路の遮断,罹患動物の隔離)
6)カクアゴハジラミ(Goniodes dissimilis,宿主[鶏]
),マルハジラミ(Goniodes gigas,
宿主[鶏]),ニワトリナガハジラミ(Lipeurus caponis,宿主[鶏]),ハバビロナガハ
ジラミ(Cuclotogaster heterographus,宿主[鶏]
),ニワトリハジラミ(Menopon gallinae,
宿主[鶏]),ニワトリオオハジラミ(Menacanthus stramineus,宿主[鶏]),ニワトリ
ツノハジラミ(Menacanthus cornutus,宿主[鶏]),ウシハジラミ(Damalinia bovis,
宿主[牛])
,ウマハジラミ(Damalinia equi,宿主[馬])
,ヒツジハジラミ(Damalinia
ovis, 宿主[羊]),ヤギハジラミ( Damalinia caprae, 宿主[山羊]),イヌハジラミ
(Trichodectes canis,宿主[犬]
)
,ネコハジラミ(Felicola subrostrata,宿主[猫])
(7)双翅目Ⅰ(ハエウジ症の原因種を除く)
一般目標:
ハエウジ症の原因種を除く双翅目の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学およ
び疾病制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)双翅目に共通の生物学的特徴について説明できる。
○2)蚊の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△3)蚊の重要種について説明できる。
○4)ブユの分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△5)ブユの重要種について説明できる。
○6)ヌカカの分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△7)ヌカカの重要種について説明できる。
○8)アブの分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△9)アブの重要種について説明できる。
○10)サシバエの分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△11)サシバエの重要種について説明できる。
○12)シラミバエの分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△13)シラミバエの重要種について説明できる。
○14)ツェツェバエの分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△15)ツェツェバエの重要種について説明できる。
【キーワード】
1)翅(1 対)
,平均棍,長角亜目,短角亜目,環縫亜目,触角の形態,完全変態,幼虫(無
脚),一時寄生(幼虫期のみ寄生,成虫が寄生),成虫が吸血(雌雄が吸血[サシバエ],
雌だけが吸血)
,ベクター
2)分類(カ科 culicidae,ハマダラカ亜科,ナミカ亜科(イエカ類,ヤブカ類)),形態(成
虫(中胸後部に 1 対の翅,口器の形態,脚は 3 対,平均棍),蛹(頭胸部が融合,呼吸角,
遊泳片)
,幼虫(口刷毛,呼吸管,尾葉,
)卵,卵舟)
,生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完
全変態)
,病態(直接(吸血,刺咬,掻痒,発赤,腫脹),媒介(糸状虫症,日本脳炎,ア
カバネ病,馬伝染性貧血,鶏痘,豚コレラ,西ナイル熱など)),診断(虫体の検出,類
症鑑別)
,治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(成虫対策,幼虫対策),活動期間,
活動時間(昼間活動型,夜間活動型)
,分布域,生息場所
3)シナハマダラカ(Anopheles sinensis;マラリア,日本脳炎,指状糸状虫症,バンクロ
フト糸状虫症),アカイエカ(Culex pipiens pallens;日本脳炎,犬糸状虫症,馬伝染
47
性貧血,バンクロフト糸状虫症),チカイエカ(Culex pipiens molestus),ネッタイイ
エカ(Culex pipiens fatigans;日本脳炎,犬糸状虫症,鶏痘),コガタアカイエカ(Culex
tritaeniorhynchus summorosus;日本脳炎,犬糸状虫症,バンクロフト糸状虫症,ウエ
ストナイル熱/ウエストナイル脳炎)
,ヒトスジシマカ(Aedes albopictus;犬糸状虫症,
日本脳炎)
,トウゴウヤブカ(Aedes togoi;犬糸状虫症,セタリア症,マレー糸状虫症),
オオクロヤブカ(Argimeres subalbatus;セタリア症)
4)分類(ブユ科 Simuliidae)
,形態(成虫(1 対の翅,胸背,口器の形態,脚は 3 対),蛹
(呼吸器,呼吸糸)
,幼虫(後部吸盤,口刷毛)
,卵)
,生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完
全変態)
,病態(直接(吸血(雌成虫のみ吸血),刺咬,掻痒,発赤,腫脹,丘診,水泡),
媒介(糸状虫症,ロイコチトゾーンなど)
),診断(虫体の検出,類症鑑別),治療(化学
的薬剤による殺虫)
,予防・対策(成虫対策,幼虫対策),活動期間,活動時間,分布域,
生息場所
5)キアシオオブユ(Prosimulium yezoense)
,ウマブユ(Simulium salopiense),ツメトゲ
ブユ(Simulium ornatum;牛の咽頭糸状虫症(ワヒ病,コセ病)),ヒメアシマダラブユ
(Simulium venustum)
6)分類(ヌカカ科 Ceratopogonidae,Culicoides 属, Forcipomyia 属,Leptoconops 属),
形態(成虫(1 対の翅,口器,平均棍,先感覚毛,斑点)
,口器の形態,脚は 3 対),生活
環(卵,幼虫,蛹,成虫,雌成虫のみ吸血,完全変態)
,病態(直接(吸血,アレルギー
性皮膚炎),騒覚,掻痒覚,ストレス,媒介(ロイコチトゾーン症,糸状虫症,ブルータ
ング,アカバネ病,チュウザン病,アフリカ馬疫,鶏痘など)),診断(虫体の検出,類
症鑑別)
,治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(成虫対策,幼虫対策),活動期間,
活動時間,分布域,生息場所
7)ニワトリヌカカ(Culicoides arakawae;鶏ロイコチトゾーン病)
,ウシヌカカ(C. oxystoma)
8)分類(アブ科 Tabanidae),形態(成虫(1 対の翅,額瘤,触覚,口器の形態,脚は 3 対,
幼虫(縦溝,口器,擬足))
,生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態,雌成虫のみ吸血)
,
病態(直接(吸血,疼痛,ストレス),媒介(トリパノソーマ病,糸状虫症,馬伝染性貧
血,水泡性口内炎,豚コレラ,炭疽,野兎病)
),診断(虫体の検出,類症鑑別),治療(化
学的薬剤による殺虫),予防・対策(成虫対策,幼虫対策),活動期間,活動時間,分布
域,生息場所
9)ウシアブ(Tabanus trigonus)
,アカウシアブ(Tabanus chrysurus)
,シロフアブ(Tabanus
trigeminus ),キスジアブ( Tabanus fulvimedioides ),イヨシロオビアブ( Hirosia
iyoensis),メクラアブ(Chrysops suavis),クロメクラアブ(Chrysops japonicus)
10)分類(イエバエ科 Muscidae イエバエ亜科 Muscinae サシバエ族 Stomoxyini)
,形態(成
虫の口器,幼虫の後方気門),生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態,雌成虫のみ吸血)
,
病態(吸血,刺咬,掻痒感,掻痛感,喧噪感,貧血,削痩,媒介(小口馬胃虫,トリパ
ノソーマ,機械的伝播(炭疽,ブルセラ病,サルモネラ症,馬伝染性貧血)),診断(虫
体の検出,類症鑑別),治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(成虫対策,幼虫対
策)
,活動期間,活動時間,分布域,生息場所
11)サシバエ(Stomoxys calcitrans)
,ノサシバエ(Haematobia irritans)
12)分類(シラミバエ科 Hippoboscidae),形態(成虫の翅の有無),生活環(卵,幼虫,
蛹,成虫,完全変態,蛹生,雌雄成虫が吸血,生涯寄生),病態(吸血,掻痒,貧血, 寄
生部位)
,診断(虫体の検出,類症鑑別)
,治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(成
虫対策,幼虫対策)
,感染経路,分布域,生息場所
13)ヒツジシラミバエ(Melophagus ovinus;翅なし)
,ウマシラミバエ(Hippobosca equina;
翅あり)
,シカシラミバエ(Lipoptera fortisetosa;翅一時あり)
14)分類(短角亜目 Brachycera 環縫群 Cyclorrhapha ツェツェバエ科 Glossinidae),形態
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(1 対の翅,口器の形態,脚は 3 対)
,生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態,蛹生,
雌雄が吸血),病態(直接的(吸血,痒痛感),媒介(トリパノソーマ病)),診断(虫体
の検出,類症鑑別)
,治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(成虫対策,幼虫対策)
,
活動期間,活動時間,分布域,生息場所
15)wet fly, Glossina palpalis, dry fly, Glossina morsitans
(8)双翅目Ⅱ(ハエウジ症)
一般目標:
ハエウジ症をおこす双翅目の重要種について,その生物学,疫学,病因・病理学および疾病
制御に関連する知識,技術および考え方を習得する。
到達目標:
○1)ウマバエ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△2)ウマバエ類の重要種について説明できる。
○3)ウシバエ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△4)ウシバエ類の重要種について説明できる。
○5)ヒツジバエ類の分類,形態,生活環および疾病との関連について説明できる。
△6)ヒツジバエ類の重要種について説明できる。
△7)皮膚ハエウジ症について説明できる。
【キーワード】
1)分類(ヒツジバエ上科 Oesteroidea ヒツジバエ科 Oestridae),形態(成虫(口器が退化)
,
幼虫(竹の子虫)
,生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態,蛹化,羽化,感染経路(産
卵様式,産卵部位,侵入部位)
,発育と体内移行経路,寄生部位)
)
,病態(偏性ハエウジ
症,胃炎,胃潰瘍,消化障害,成虫襲来によるストレス,ウマバエウジ症,人獣共通感
染症)
,診断(虫体の検出,類症鑑別)
,予防・対策(成虫,幼虫),成虫活動時間,成虫
活動時期,分布域
2)ウマバエ(Gastrophilus intestinalis),ムネアカウマバエ(Gastrophilus nasalis),
アトアカウマバエ( Gastrophilus haemorrhoidalis ),ゼブラウマバエ( Gastrophilus
pecorum)
3)分類(ヒツジバエ上科 Oesteroidea ヒツジバエ科 Oestridae),形態(成虫(口器が退化)
,
幼虫(竹の子虫)
,生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態,蛹化,羽化,感染経路(産
卵様式,産卵部位,侵入部位)
),発育と体内移行経路,寄生部位),病態(偏性ハエウジ
症,成虫襲来によるストレス,ウシバエウジ症,人獣共通感染症),診断(虫体の検出,
類症鑑別),治療(化学的薬剤による殺虫),予防・対策(成虫,幼虫),成虫活動時間,
成虫活動時期,分布域,
4)ウシバエ(Hypoderma bovis,届出伝染病),キスジウシバエ(Hypoderma lineatum,届
出伝染病)
5)分類(ヒツジバエ上科 Oesteroidea ヒツジバエ科 Oestridae),形態(成虫(口器が退化)
,
幼虫(竹の子虫)),生活環(卵,幼虫,蛹,成虫,完全変態,卵胎生,蛹化,羽化,感
染経路(産卵様式,産卵部位,侵入部位)
),発育と体内移行経路,寄生部位),病態(偏
性ハエウジ症,成虫襲来によるストレス,鼻咽頭ハエウジ症,ヒツジバエウジ症,人獣
共通感染症)
,診断(虫体の検出,類症鑑別),治療(化学的薬剤による殺虫)
,予防・対
策(成虫,幼虫)成虫活動時間,成虫活動時期,分布域
6)ヒツジバエ(Oestrus ovis)
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7)ヒトヒフバエ(Dermatobia hominis),キンバエ属(Lucilia),クロバエ属(Calliphora),
コ ブ バ エ 属 ( Cordylobia ), 新 世 界 ラ セ ン ウ ジ バ エ ( Cochliomyia hominivorax,syn
Callitroga americana),旧世界ラセンウジバエ(Chrysomyia bezziana),Wohlfahrtia
属,Sarcophaga 属,偏性ハエウジ症と不偏性ハエウジ症
50
5.獣医臨床寄生虫学
全体目標:
臨床現場や公衆衛生の現場で寄生虫に関連して起こっている事象を理解し対策するために,
原虫・原虫病学,蠕虫・蠕虫病学および衛生動物学で習得した知識の活用法を身につける。
項目
1.牛,めん羊,山羊における最近の感染動向,症例と制御
2.豚における最近の感染動向,症例と制御
3.馬における最近の感染動向,症例と制御
4.犬・猫における最近の感染動向,症例と制御
5.ニワトリにおける最近の感染動向,症例と制御
6.ウサギにおける最近の感染動向,症例と制御
7.実験動物における最近の感染動向,症例と制御
8.エキゾチックアニマルにおける最近の感染動向,症例と制御
9.野生動物における最近の感染動向,症例と制御
10.人獣共通寄生虫原虫症の最近の動向,症例と制御
一般目標
動物とヒトにおける寄生虫感染症の症例を通して,獣医療および公衆衛生分野において寄生
虫が引き起こしている問題とその対策を理解し,今後の改善に向けた考え方を習得する。
到達目標
1)各動物における最近の寄生虫感染症の動向を説明できる。
2)各動物の寄生虫感染症の診断における検査方法とその問題点,および飼育状況,臨床症
状や血液生化学検査結果などを加味した総合的診断方法について,例を挙げて説明できる。
3)各動物とヒトの寄生虫の病原性を制御する寄生虫側因子,宿主側因子,環境因子および
その相互作用について,例を挙げて説明できる。
4)各動物とヒトの寄生虫の伝播を制御する寄生虫側因子,宿主側因子,環境因子,ベクタ
ー因子,およびその相互作用について,例を挙げて説明できる。
5)各動物とヒトの健康向上のための寄生虫の駆虫や中間宿主(待機宿主やベクター)の駆
除とその制御の必要性,およびその評価方法について,例を挙げて説明できる。
6)寄生虫病の効果的な制御プログラムの立案における,寄生虫の生物学,生活環(生活史)
および宿主‐寄生虫関係に関する基礎研究の重要性について説明できる。
(1)検査法Ⅰ(寄生虫学的検査法)
一般目標:
寄生虫学的検査法に関連する知識,技術およびその考え方を習得する。
到達目標:
○1)寄生虫学的検査法について説明できる。
○2)剖検時の寄生虫検査法について説明できる。
○3)寄生虫の標本作製法について説明できる。
○4)糞便検査法について説明できる。
○5)血液内寄生虫検査法について説明できる。
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○6)土壌中の疾病媒介性節足動物検査法について説明できる。
○7)各寄生虫検査に特化したその他の特殊検査法および器具類について説明できる。
【キーワード】
1)糞便検査,喀痰検査,直腸バイオプシー,肛門周囲検査,尿検査,血液検査,被毛・体
表検査,皮膚バイオプシー,皮下切開検査,筋肉バイオプシー,ファイバースコープ検
査
2)消化管内容物検査(粘膜掻爬,沈殿法,希釈法,ふるい法)
,異所寄生の検出,体内移行
虫体の検出,遊出法,消化法,実験動物への検査材料接種法,組織切片作製法
3)虫体固定法(ホルマリン,アルコール,シャウジン液,ブアン液など)
,線虫透過法(ラ
クトフェノール,グリセリンアルコール)
,圧平固定法,虫体染色法(酢酸カーミン,ミ
ョウバンカーミン,鉄ヘマトキシリン,トルイジンブルーO 染色など)
,脱水・透過・封
入法,外部寄生虫標本作製法(採集法,乾燥標本,液浸標本,プレパラート標本)
4)虫卵(オーシスト,シストを含む)鑑別の要点,糞便の鮮度と保存法,直接法(直接塗
抹法,セロファン厚層塗抹法,塗抹染色法(ギムザ染色,コーン染色,ヨード染色,抗
酸染色)),虫卵の比重,産卵(仔)能力,浮遊集卵法(飽和食塩水浮遊法,蔗糖遠心浮
遊法(ウイスコンシン変法),硫酸亜鉛溶液浮遊法,マックマスター法,O リング法),沈
殿集卵法(自然沈殿法,AMSⅢ法,ホルマリン・エーテル(MGL)法,渡辺法(簡易肝蛭
卵検査法)
,時計皿法,ビーズ法,Stoll 法),EPG 計算盤,定性的検査と定量的検査,仔
虫検査法(ベールマン法,遠沈管内遊出法)
,糞便培養法(かわら板培養,濾紙培養,び
ん培養,寒天平板培養,オーシスト培養,シスト培養),3 期幼虫の形態,EPG (eggs per
gram), OPG (oocysts per gram), LPG (larva per gram)
5)生鮮血液検査法,薄層塗抹染色法,厚層塗抹染色法,集寄生虫法(ノット集虫法,アセ
トン集虫法,フィルター集虫法,ヘマトクリット管遠心集虫法)
,体外診断法
6)ツルグレン装置(ササラダニ,ツツガムシ幼虫)
7)トリヒノスコープ,トリヒナ圧平板,肛門周囲検査法,ミラシジウム孵化法,ベールマ
ン装置
(2)検査法Ⅱ(その他の検査法)
一般目標:
寄生虫学的検査法以外の寄生虫検査法に関連する知識,技能,態度を習得する。
到達目標:
○1)抗体検出法とその適用について説明できる。
○2)循環抗原検出法とその適用について説明できる。
○3)糞便内抗原検出法とその適用について説明できる。
△4)遺伝子検出法とその適用について説明できる。
△5)その他の診断の補助となる項目について説明できる。
【キーワード】
1)免疫クロマトグラフィー,沈降反応,凝集反応,補体結合反応,間接蛍光抗体法,酵素
抗体法,ラジオイムノアッセイ,ウエスタンブロット,皮内反応,寄生虫を用いた特殊
検査法(色素試験:トキソプラズマ,サーレス現象:旋毛虫およびその他,卵周囲沈降
反応:住血吸虫)
2)犬糸状虫
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3)プレパテントピリオドにおける診断,呼吸器・消化管内寄生虫(エキノコックス,肝蛭,
ジアルジア,クリプトスポリジウム)
4)PCR, 糞便中 PCR 阻害物質
5)画像診断(X線,CT,MRI,超音波)
,血液検査(好酸球,貧血)
,血液生化学的検査,IgE
(3)寄生虫症に関わる法律
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