大親友の訪問

大親友の訪問
しゅ
わがたましいよ。主をほめたたえよ。
しゅ よ なに ひと わす
主の良くしてくださったことを何一つ忘れるな。
しゅ
わがたましいよ。主をほめたたえよ。
せい みな
私 の う ち に あ る す べ て の も の よ 。聖 な る 御 名 を ほ め た た え よ 。
しゅ とが ゆる
主はあなたのすべての咎を赦し、
やまい あな
あなたのすべての病をいやし、あなたのいのちを穴から
詩篇 103:1(聖書)
あがな めぐ かんむり
贖い、あなたに、恵みとあわれみとの冠をかぶらせ、
いっしょう よ みた
あなたの一生を良いもので満たされる。
わか あたら
あなたの若さは、わしのように、新しくなる。
詩篇 103:2-5
かみ ご よ つか かた
神はそのひとり子を世に遣わし、その方によって
え
私たちに、いのちを得させてくださいました。
かみ あい しめ
ここに、神の愛が私たちに示されたのです。
かみ あい かみ あい
私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、
つみ
私たちの罪のために、
そな もの みこ つか
なだめの供え物として御子を遣わされました。
あい
ここに愛があるのです。
1 ヨハネ 4:9-10
よ いき
いま私が、この世に生きているのは、
あい じしん す
私を愛し私のためにご自身をお捨てになった
つみ みこ しん しんこう
神の御子を信じる信仰によっているのです。
かみ めぐ む
私は神の恵みを無にはしません。
ガラテヤ 2:20-21
(聖書)
作者不明
Translator Sachi Nakamura . Illustrator Junko Kato
かれ きょうかい はな こうじょう はたら 彼は教会からやや離れた工場で働いているのでした。
大親友の訪問
ぷん ひるやす りよう ちから げんき え まいにち
30分だけの昼休みを利用して、力と元気を得るために、毎日
ひ ひるごろ ぼくし れいはいどう だれ いの き
ある日の昼頃、牧師は礼拝堂に誰か祈りに来ているかどうか、
のぞ おも れいはいどう なか はい
ちょっと覗いてみようと 思い、礼拝堂の中に入っていきました。
いの き
そこに祈りに来ていたのです。
はたら
「ほんのちょっとしかいられないんですがね、なにしろおいらが働い
こうじょう きょうかい はな
ている工場は、この教会からはちょっと離れているもんで。ここに
とびら ひら おとこ
ちょうどそのとき、扉が開き、ひとりの男がやってきました。
かみ ぐあい いの
こうしてひざまづいてね、神さんにこんな具合に祈るんでさぁ。
おとこ かお ぶしょうひげ の ぼくし まゆ
その男の顔には無精髭が伸びているのをみると、牧師は眉をひそめ
かれ うすよご うわぎ す き
ました。彼のシャツは薄汚れており、上着はヨレヨレで擦り切れて
おとこ あいだ あたま た
いました。 男はひざまづき、しばらくの間、頭を垂れ、そして
た あ で
すぐに立ち上がり出ていきました。
ひ いらい おとこ まいにちしょうご れいはいどう あらわ
その日以来、その男は毎日正午になるときまって礼拝堂に現われ
びょう
ました。そして30秒ほどひざまづくのです、
て べんとうばこ ふくろ も
手には弁当箱とおぼしき袋を持って。
かみ い き
『 神さん、これが言いたくて、また来ました。 つみ と のぞ いらい
あなたがおいらの罪を取り除いてくださって以来、おいらは
うれ しかた
ずーっと嬉しくて仕方がないんですよ。
だいしんゆう うれ
あなたがおいらの大親友になってくださって、すごく嬉しいんです。
いの
どうやって祈ったらいいのかあんまりよくわからないんですが、
かみ まいにち おも
とにかく神さんのこと、毎日思っていますよ。 か お だ き
だから、イエスさん、ジムです、顔出しに来ました。』」
ごうとう はい すき ねら
「強盗にでも入る隙を狙っているのだろうか?」
おも ぼくし とき おとこ よ たず
いぶかしく思った牧師はある時 ついに男を呼びとめ、尋ねました。
うたが も はずか おも ぼくし
いらぬ疑いを持ったことを恥ずかしく思いつつ、牧師はジムにいい
たいへん すばら
ました。「そうですか。それは大変素晴しいことですね。
きみ いったい なに
「君、ここで一体何をしているのかい?」
1
いの き くだ
これからもいつでも祈りに来て下さい。」
2
しごと おく たいへん
「さぁ、もういかなくちゃ。仕事に遅れちまったら大変だ。」
わら おおいそ ば た さ い
ジムはにっこり笑うと、大急ぎでその場を立ち去って行きました。
ひ ご ご ぼ く し ひ き き づ
ある日の午後、牧師はまだジムがその日は来ていないことに気付き
あら ひ なんにち つづ
ました。そしてジムが現われない日は何日も続きました。
しんぱい ぼくし こうじょう い たず
心配した牧師がついに工場へ行きジムのことを尋ねると、
ぼくし さいだん まえ
牧師はジムがいつもするように、祭壇の前にそっとひざまづきました。
びょうき にゅういん
ジムは病気で入院していたのです。
はじ かれ ひ こころ
こんなことをするのは初めてでした。彼の冷えていた心はときほぐ
あい み
され、イエスの愛で満たされていくのがわかりました。
ほ ほ な み だ つ た か れ ち い こ え い の く か え
びょういん いしゃ かんごふ うわさ
病院では医者や看護婦たちがジムのことを噂していました。
かれ はな でんわ いっぽん いっつう おく
頬を涙が伝うのもかまわず、彼は小さな声でジムの祈りを繰り返し
彼には花はおろか、電話一本、カードの一通も送られてこない、
てみました。
い
見舞客も一人も来ない、それなのに、ジムはいつも笑顔で喜び一杯
み ま い き ゃ く ひ と り こ え が お よ ろ こ い っ ぱ
かれ よろこ まわ ひとたち でんせん
なのです。しかも彼の喜びは回りにいる人達にも伝染して、ジムが
か み さ ま い き
「 神様、これが言いたくてまた来ました。
つ み と の ぞ い ら い う れ
あなたが私の罪を取り除いてくださって以来、私はずーっと嬉しく
しかた だいしんゆう
て仕方がないのですよ。あなたが私の大親友になってくださって、
うれ いの
すごく嬉しいのです。どうやって祈ったらいいのか
にゅういん いらい びょうとう ふんいき いってん
入院して以来、その病棟の 雰囲気が一転してしまったのです。
びょういん ぼくし よこ
病院にかけつけた牧師は、ベッドに横たわっているジムのかたわら
た い
に立ち、言いました。
あんまりよくわからないのですが、とにかく
かみさま まいにちおも
神様のこと、毎日思っています。
さま
かんごふ み ふしぎ
「看護婦さんたちは皆んな不思議がっていますよ。
つ そ みま ぜんぜん うれ
だから、イエス様、私です、
付き添いも見舞いも全然ないのに、あなたがいつも嬉しそうに
かお だ き
顔を出しに来ました。」
ニコニコしているから。」
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い き
ジ ム、これが言いたくて、また来ましたよ。
つみ と のぞ いらい
私があなたの罪を取り除いて以来、
うれ しかた
私はずーっと嬉しくて仕方がないんですよ。
だいしんゆう
私はあなたの大親友になって、
うれ
すごく嬉しいんです。
いの き だいす
私はあなたが祈るのを聞くのが大好きです。
かんごふ まちが
「看護婦さんたちは間違えているんでさぁ!
まいにち おも
と に かくあなたのこと、毎日思っていますよ。
かお だ き
だ か ら 、ジム、イエスです、顔を出しに来ました。
むり まいにち ひる
まぁわからないのも無理はないですがね。 毎日、昼になるとね、
か た き く だ だ い し ん ゆ う か た
あの方が来て下さるんですよ。おいらの大親友のあの方が。
ぼくし
牧師さんならわかるでしょう?
かた すわ て にぎ
あの方がね、ほらここ、ここんとこに座って、おいらの手を握ってね、
い
こういうふうに言ってくれるんですよ。」 5
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