ただいま、ページを読み込み中です。5秒以上、このメッセージが表示されている場合、Adobe® Reader®(もしくはAcrobat®)のAcrobat® JavaScriptを有効にしてください。 Adobe® Reader®のメニュー:「編集」→「環境設定」→「JavaScript」で設定できます。 「Acrobat JavaScriptを使用」にチェックを入れてください。 なお、Adobe® Reader®以外でのPDFビューアで閲覧されている場合もこのメッセージが表示され ます。Adobe® Reader®で閲覧するようにしてください。 第3日 4月5日(日) 午前の部(9:15∼12:15 一部延長) 頁329 会場名 [A]O伍ce [C]組織同好会 9:15∼17 335 : 00 [1]内分泌・ビタミン 9: 15∼12 : 45 [2]感染症(I)細菌・真菌 9:15∼16 345 351 : 15 6 3 en !O 7 1 CO C︱ [6]膠原病 9:15∼13 : 25 [7]表皮・真皮境界部( 9:15∼15 9:15∼16 377 : 50 [8]メラノーム 383 : 00 7 [4]薬疹( [5]炎症細胞 5 c^ CO [3]脂質一正常と異常( 第3日 4月5日(日) 午後の部(14 : 00∼17:00 一郎短縮) 頁一一一 会場名 [A]乾癖( CO in .︱I 14 m [3]感染症(皿)寄生虫・性病( CO [2]感染症(1)細菌・真菌( CO [C]組織同好会 395 : 00∼16 : 00 -* [7]表皮・真皮境界部(W26),続き 14 : 00∼15: 50 [8]メラノーム : 00 17 : 00 閉会の辞 A会場にて 377 7 1 [6]真皮 14:00∼16 9 0 ro [5]老化( 329 ワークショップ(W19) Office dermatology 4月5日(日) 9:15∼12:15 A会場 主オーガナイザー 佐々木雅英(宗一郎)(神戸市) 副オーガナイザー 北 村 公 一(大阪・豊中市) 座長 佐々木雅英(宗一郎)(神戸市) 北 村 公 一(大阪●豊中市) 日常診療・研究に役立つ臨床検査法 1.序 言 3分 佐々木雅英(宗一郎)(神戸市) 2.発疹を示すウイルス症における臨床検査 8分 田崎高伸(宮崎市) 3.発疹を示すウイルス症における臨床検査(特別発言) 5分 畑清一郎(大阪大) 4.パーカーインク法によるヘルペス感染症および膿痴疹の迅速診断法(特別発言) 5分 ○猿田隆夫,中溝慶生(九大温研) 5。免疫異常性疾患に対する各種検査について 8分 6.免疫異常性疾患に対する各種検査について(特別発言) 日戸平太(新潟・三条市) 5分 旭 正一(福岡大) 7.螢光抗体法の必要性 8分 丸田宏幸(久留米市) 8.螢光抗体検査法の必要性について(特別発言) 5分 今村貞夫(京都大) 9.電子顕微鏡検査の必要性について 8分 木下敬介(山口・長門市) 10.電子顕微鏡検査の必要性について(特別発言) 5分 上田恵一(京府医大) 教11 育 講 演 遺伝性皮膚疾患の外来相談 15分 西田尚史(都立広尾) 12. PUVA療法 8分 13. PUVA療法(特別発言) 斎藤敏昭(湯沢市) 5分 ○大野盛秀(東海逓信),水野信行(名市大) 14.尋常性痘療 8分 15.尋常性座痕(特別発言) 五島悳安(福岡市) 5分 16.肝斑の治療 高橋 久(帝京大) 8分 今川一郎(大宮市) 330 17.肝斑(特別発言) 5分 上田 宏(名保衛大) 18.小児湿疹に対するコルチコステロイド外用上の問題点 8分 小林明博(東京都) 19.小児湿疹に対するコルチコステロイド外用上の問題点(特別発言) 5分 ○島雄周平,阿曽三樹,清水康之(鳥取大) 20,総 括 4分 北村公一(豊中市) 331 W19-5 W19-1 序言 佐々木雅英(宗一郎)(神戸市) 日常診療に際して常により多くの最新の情報をもっ てあたらねばならないことは当然である。近年の基礎 的研究成果は多大で大学の外来においては当然の事項 も実地医家の診僚には結ぴつかぬ場合も少なくない。 そこで我々もそれらをよく理解しその応用や実行手段 について考える磯会としたい。 W19-2 査 発疹を示j'ウイルス症における臨床検 免疫異常性疾患に対する各種検査に ついて 日戸平太 (三条市,新潟) LEを中心に,結合織性疾患を対照とする検査につ いて述べる。LEについては,急性(蝶形紅斑,汎発 性紅斑),亜急性(環状,丘疹落屑性),慢性(円板 状,肥厚性,痘痕性)などの皮疹を夫々主檄とする Subsetと,一般的検査データーに加え,特に,免疫グ ロブリン,補体,抗核抗体,その他,などの所見との 相関性について言及する。 OE日崎高伸(宮崎市) ウイルス性皮膚疾患において、皮疹部からのウイJし スの証明には、培養細胞、ふ化鶏卵、動物などを用い ての分離培養、電子顕び鏡、螢光坑体法、を用いる方 法、およびこれらの組合わせがある。皮膚科の臨床医 かこれらを行うには、設備の問題も含めて現在のとこ ろ非常に困難である。しかし自分の出来る範囲で、こ れらに取り組んでみることもある程度は可能である。 以前に佃告した、単純庖疹症の数例について、これら の検査法を用いて、どのようにウイルスを証明したか について解説するc また間業医にとつては、皮膚の臨床像の観察とギム ザ染色を行うことによりほぼ確定に診断がつくように 思われるが、それ以上の検査については、検査センタ ー、大学などの協力を得る必要がある。 査畑 W19 3 発疹を示すウイルス症における臨床検 清一郎(大阪大) ウイルス性発疹症の診断は臨床症状に基いて行うこ とが最も大切であるが,最近では臨床検査の分野にウ イルス検査が大幅にとり入れられ比較的容易に利用出 来るようになりつつある。しかし,これら検査を適確 に利用するためには或程度のウイルス学的知識をもつ ことが必要である。 諸検査のうち血清検査は利用し易い検査と言えるが 原則として急性期と回復期の抗体価を比較するため回 復期にならなければ判定が出来ないことが多い。また 目標ウイルスを予測しておかねばならない。 ウイルス分離は陽性成績が得られれば診断価値が極 めて高いが,ウイルスの種類により使用する組織培養 細胞の制約や分離の難易があり陰性成績に終ることも 多く,従って対象ウイルスが限定される。しかし全身 性発疹の原因探究に際して今後重視されるべき方法で ある。 W19-4 パーカーインク法によるヘルペス感染症お よび膿痴疹の迅速診断法 ○猿田隆夫、中清廉生(九大温研) ヘルペスウイルスによる感染症すなわち単純性庖疹、帯状庖 疹、水痘の診断について通常は困難を覚えることはない。膜廊 疹についても同じである。しかし異所性の単純性庖疹や性病、 ベーチエット病などとまぎらわしい陰部庖疹、また帯状庖疹で も汎発性の場合、さらに水痘のごく初期や軽症例、それに膿痴 疹においても成人例などの場合、診断困難なことがしばしばあ る。以前演者らはこのようなヘルペス感染症の場合に、パーカ ーインク法による細胞診が有用であることを示した(西日皮膚 39:338、1977)。今回は本法が診断困難な膿邸疹の場合にも有 用であることを確認したため、ヘルペスの症例とともに供覧す W19-6 ついて 免疫異常性疾患に対する各雌検脊に ○旭 正一(福岡大) 免疫機能の低下ないし欠損が疑われる症例をみたと きにおこなうべき検査法についてまとめる。自分で実 施する翌床的検査と、中央検査センターなどを利用し て実施可能な範囲でのin vitro検査を例挙し、その意 義と限界を簡単にのべる。 W19-7 螢光抗体法の必要性 丸田宏幸(久留米市) 螢光抗体法が一般に普及しはじめてから約30年の 歳月が流れ,その間この方法による検査法か数々生み 出されてきた。螢光抗体法の原理は抗原一抗体特異反 応を応用するものであり,直接法と間接法がある。皮膚科領域 におヽける臨床検査としては梅毒にふヽけるFTA-ABS, SLEにおヽける抗核抗体, Lupus band testの他,水 庖症の診断,乾癖,扁平苔癖,血管炎などに応用され その病因に追ろうとしている。本法を応用するについ ては,クリオスタット,螢光顕微境など特殊器具類を 必要とし,開業医が診療の片手間にふ・こ々うには無理 がある。しかし,本法を応用した検査法の重要性を理 解し,必要のある症例においてはしかるべき施設に検 査を依頼することが間接的にも病態の解明に寄与する 結果になると考えるo W19-8 蛍光抗体検査法の必要性について ○今村貞夫(京大) 蛍光抗体法は組織レベルでもって特異的免疫反応を起 させるものであり,抗原物質や抗体の検出,同定に広く 応用されている。臨床面でも,本法は応用範囲が広く, 皮膚科領域では,特に水庖症,膠原病,血管炎などの診 断や治療方針の決定には,臨床所見,病理組織学的所見 とほとんど匹敵する位の価値をもって利用されている。 ここでは,蛍光抗体法が皮膚疾患の診断や治療方針の 決定に如何に必要とされるかを症例を呈示しながら出来 るだけ具体的に示すと共に,その検査を依頼する場合, 血清や組織をどのように採取して,どのように運べばよ いか等の注意事項についてもふれたい。 Wgり 電子威微鏡検査の必要性について 木下敬介(長門市) 開業医の日常診療において電子顕微鏡検査の必要性 は、一般にはほとんどないといってよいoしかし、微 細構造的に検索してみたい症例はときどきある・たと えば、きわめて稀な疾思で微細構造的所見が興味深い 症例、あるいは光顕レベルでは確診の困叢な腫瘍、と くに附属器腫瘍や軟部組織腫瘍などであるoそこで、 山口大皮膚科教室の協力を得て、日常診療のかたわら 開業医に電子顕微鏡検査が可能かどうかを検討してみ たo診療中に採取した生検材料の一部を、ただちに、 1.25%ダルタールアルデヒドで2時間固定し、ミロニ ックバファーで洗肺してオーバーナイトさせたあと、 後日、山口大皮膚科教室でエポy包埋し、これを電子 顕微鏡検査に供した。他方、光顕用にフォルマリン固 定した標本を、電顕用に固定しなおして電頭的観察に 供することも試みた。皮膚腫瘍、とくに附属器腫瘍に ついて検討した成蹟を報告したいO かからむ。出来るから行う、出来ても代償かなければ 行わない、また社会的なシステムの問題などもあり、 現状では当事者によることになろう。 W19-12 P U V A療法 斎藤敏昭( 湯沢市) 叱は、 尋常 本症の多彩力こ臨床症状を良く納得させヽ社会性を加味 した治療の原則を確立する必要がある。私の管理下に 入り5年以上の治療、観察を続けている症例を中心に、 8-MOP内服、軟膏、ローシヨンによるPUVAの効果 の差、及び新鮮例の取扱いについて報告する。 W19-13 PUVA療法 大野盛秀(東海逓信),水野信行(名古屋市大) 1)適応疾患:尋常性白斑,尋常性乾癖,掌箭膿庖症,膿庖 性乾IS (Zumbusch) W19-10 電子顕微鏡検査の必要性について (特)○上田恵一(京都府立医大) 皮膚疾患を細胞レベルで検索することは,細胞内の 小器官,核,異常な物質,細胞の連結,細胞間物質な どの状態(病態)∼動態により,細胞の同定,分化の 程度と方向性,異常代謝産物∼沈着物,またウイルス などが,光顕像と異なり,明確に捉えることが出来, 診断的意義を深め,さらに治療に対する反応性も知り 得る場合がある。これらを捉える手段としては,透過 型電子顕微鏡による超薄切片法の他に凍結開裂法によ る刮断面像(膜構造の検索),燐タングステン酸染色 によるウイルスの検索,また細胞化学,分析電顕法に よる特異な反応物の検出,さらに走査型電子顕微鏡に よる表面,割面の構造などが観察し得る。 皮膚科臨床検査面への応用につき述べ,皮膚疾患に 用いた場合の電顕像につき供覧する。 W19-11 遺伝性皮膚疾患の外来相談 O西田尚史 (都立広尾) 診断を確定することが大切。遺伝性皮膚疾患は分類 が複雑になっていて、学派によって病名が異っている。 そのいずれに糠るとしても、診断をつける。その際、 一応の大分類の診断を先につけ、対症療法的に投薬す る。それから、生検、血液検査、諸検査をすすめて行 き、患者との親和をはかり、書物を読んだり人に聞い たりして診断を確定して行く。一応の結論か出たとこ ろで患者の要望に応じて今后の治療の問題についての 方針を話す。これは遺伝病であってどうしようもない ということは云わない。極小部分でも改善に努める姿 勢でのぞみ、励まして行く。 遺伝相談は、一言で云えば罹患児の次子の発病の確 率の問題で、本人の問題ではない。このことに関して は、医師、カウンセラー、患者、クライアントの利害 , Eosinophilic pustular folliculi― tis ,角層下膿庖症, Sweet病,慢性膿皮症,多形溶出性 紅斑, Munch srUabermann 病,アナフィラタトイド紫斑, S chambe rg-Ma jocch i紫斑,アトピー性皮膚炎,菌状息肉 症,尋常性天庖債,水庖性類天庖癒,強皮症,家族性良性 慢性天庖癒および沈贅状表皮発育異常症など。2)副作用: 急性皮膚障害および慢性皮膚障害(萎縮,色素斑釦よび発 癌の可能性)がある。その他白内障,肝障害,抗核抗体の 陽性化ア1どかある。8)将来の展望①発癌の危険性の少左い 化学物質( 3 ― carbethoxypsoralen,methylangelicins おヽよびdimethylangelicins)の開発②Psora 1enのphoto― productの使用。 W19-14 尋常性蝶継 五島噫安(福岡市j 昭和54年度K私の外来を訪れたニキピ患者総数は281 名(女254,男27)である。外釆患者総数の約8価に相当 する。保険請求件都に占めるニキビの割お合いは,各 月によわ著るしぐ異なるが,1月分についてみれば。 13,りである。ニキビ新患数についてみれば, 5, 6。 7月と減少し8月よ徊 達する。この傾向は例年認められる。年令別では,19 −24才女子107名(38 {6) 25ヽ͡29才女子71名(25知が 主である。両親にニキピの既往のあるものに症状の高 度左ものが多い。治療は,ミノマイシンの内服と,ビ タミンA酸外用のみを行う。ステロイド剤は,外用, 内服ともに絶対に与え;ない。治療期間は,3ヶ月を目 安とするが,治療を中断しない患者で治しえないとい う印象は全く持ち合わせない。むしろ,ニキビの臨床 上最も重要次問題は再発だと考えている。次か,私か カネミ油中毒症を手掛けた当時から痛感していること は,一般の(内科,皮膚料医を含む)ニキビに関する 認識の低さである。 これはニキビ○治療文に研究発展の阻害因子の1つで あると考える。 333 W19-15 0高橋 久 尋常性座喩 (帝京大) 尋常性座廉を類縁疾患である脂漏性湿疹および酒鯖。 との関連にお・いて検討した。患者年令分布:座愉は20 ∼25才に山を示し,35才まで続くカーブを示すのに 対して,脂漏性湿疹は15才から漸増して30∼50才 までの平らか忿山を,酒気は15才∼30才の山と45 ∼60才の山の2峰性を示した。性別:痙喩受診患者 は,女性が多いのに対し,脂漏性湿疹は男性に,酒豊 は女性に優位を示したo疾患相互の合併:感喩と脂漏 性湿疹は合併例を多く認めたo発生要因:感慨はステ ロイド内服後3週間∼3ヶ月に発生,結核治療開始後 1ヶ月目に発生,乳癌に対する男性ホルモン投与後1 年目に発生左どの症例を見たo脂漏性湿疹は過労状態, 糖尿病と関係があるごとき印象を受けた。 紫斑・多毛・ステロイド座癒・感染症の誘発なで局所 性の副作用はreversibleな変化であるが難治性を示し、 特にハロゲン含有ステロイドによる口囲皮膚炎・酒皺 様皮膚炎は医原病として医師の責任が問われよ‰部 位別では顔面・頭部・陰部に多い。基剤・配合剤によ る場合を除きステロイド自体の薬理作用K基く。作用 機序からみて抗炎症作用との解離は困難で、切れ味の よいステロイド程副作用が強い。office dermatologist は家庭医としての性格が強く。湿疹患児を長年にわた ってfollow up する。計画性のある治療方針の下に、 原因・接触原の追求、増悪因子の回避、他薬剤との併 用と共に、症状に応じstrongからmildなステロイド外 用剤を、きめ細かく使い分けることが必要である。 W19-19 小児湿疹K:対するコノレチコステロイド 外用上の問題点 ○島雄周平、阿曽三樹、清水康之(鳥取大字) W19-16 肝斑の治療 今川一郎(大宮市) ①ステロイド外用剤は、臨床効果が優れていて同 時に経皮吸収による全身的影響がアiいことが理想で 本症の成因に関してはいまだ定説はなく,複雑な病因の からみ合いで発症するものと思われる。それ故確立した治 ある。一般に、臨床効果と副作用は平行するが、両 者の分離の可能性もある。0.026 S b e clom ethas one dipr oplonate剤は抗炎症作用が強力で、かつ全身的 療法はないが,現在行われているものを大別すると1)メラ エン生成能抑制剤,2)表皮細胞のturnoverの促進剤,3) 作用が比較的軽いもののように観祭される。演者は 小児の湿疹には本剤をfirst choice としている。②ス 表皮剥離剤,4)日光遮断剤等である。演者はこれらの治療 法に立脚して,外用剤としては・ヽイドロキノン,白降承, テロイド外用による小児にお・ける臨床的、全身的副 作用の報告は数は少ないが欧米の文献を中心として チオ硫酸ナトリウム(ハイポ),胎盤抽出液,トプンムタ リーム,ドレニソンテープ,カバーマータ等を用い,内服 薬としてはvit C, rオリザノール,トランサミン,当帰 散見される。先天性魚鱗癖様紅皮症の乳児にmoon faceを生じた自験例を示す。@ pregnant hairless mouseにhalclnoniae ― '゛Ca rea、mをODTした場合、胎児 へのステロイドの移行はみられなかった。④血中cor- 句薬散,加味逍遥散,桂枝狭苓丸料等を用いている。ブそーこ で,これら薬剤を用いた経験r基づき実地医家の立場から 肝斑の治療ぼ:関して私見をのべたい。 W19-17 0上田宏( 肝斑 名衛大) 肝斑はわが国では比較的よくみられる疾患であるが、 その原因は不明であり、治療も困難tものである。 1)経口避遊薬内服の開題。 tlsol値の変動、rapid AGTH test K よる副腎皮質予 備能を指標として検討した結果、小児アトヒ'一性皮 膚炎患者にステロイド剤を外用する場合、短期間であ れ長期間の場合でも、普通の単純塗布方法であれば、 副腎皮質機能抑制を中心とする全身的な影響は非常 に:少フ1いように観察される。 M19-20 0北村公一 office Dermatology,一一総括(豊中市) 2)肝斑と黒皮症の鑑別。 5)肝斑とバッチテスト。 4)治療の問題点。 左どにつき、自分の考え方を述べてみたい。 日進月歩する皮膚科学も、医療にその成果が継続し て反映されなければ意味がない。そのためには医療行 為の学問的裏付けのみならずそれにみあったDoctor feeの裏付けがなければ々らない。現行の医療保険制 W19-18 小児湿疹に対するコルチコステロイト’ 外用上の問題点 ○小林明博(東京都) ステロイド外用剤は湿疹病変の治療に不可欠である が、副作用の点で晏易な使用に問題がある。軽皮吸収 による全身作用の他、ステロイドによる接触皮膚炎・ 乾皮症乃至魚鱗御掻変化・皮膚萎縮・毛細血管拡張・ 度をふりかえっても皮膚科特有の検査、治療の点教化 が少々く、皮膚科専門医としてのDoctor fee はきわ めて少ない。今回の企画では、健保問題としての独立 した演題をとか上げず、序言でのべたごとくOffice dermatologyとして今後とり入れてゆくべき横査、日 常よくある皮膚疾患の治療にしぼったが単に医療内容 の質的向上にとど1らず、健保問題を含めて今後のお り方についての個々の問取を討而の場で、余よび総括 の場でとり上げたい。 335 ワークショップ(W14)組織同好会 4月4日(土) 9:15∼17 : 00 組織標本展示 4月5日(日) 9:15∼12 : 15 14 : 00∼17 第4会場 : 00 主オーガナイザー 池 田 重 雄(埼玉医大) 副オーガナイザー 日 戸 平 太(新潟・三条市) 本 問 箕(国立姫路) 教 育 講 演 9 15∼ 15 一一 rD 1 〇 1 ” ’b 1 9 12 C会場 座長 池 田 重 雄(埼玉医大) 1.悪性リンパ腫 50分 10 : 15∼11 : 15 片山 勲(埼玉医大・一病) 座長 日 戸平 太(新潟・三条市) 50分 2.悪性軟部組織腫瘍の形態学的鑑別 大西義久(新潟大・二病) 11 : 15∼12 3. Histopathologic malignant : 15 differential 座長 本 間 員(国立姫路) diagnosis and early melanoma 50分 R. - of borderline 般演題 14 00 ∼17 : 00 14 00 ∼14 : 40 Sagebiel 座長片 斎 (米・California大・皮膚病理) 勲(埼玉医大・一病) 山 藤 一 義(埼玉医大) 5分 4。右前腕部皮膚腫瘍 ○伊藤 泉,山本雅章,三橋善比古,菅原光雄(弘前大) 5,小児のlymphoma? 5分 ○福代新治,長尾 洋,高岩 尭(岡山大) 6。Immunoblastic lymphadenopathy ? ○石垣 優,斎藤一義,池田重雄(埼玉医大),片山 勲(同一病) 7. Woringer-Kolopp disease 5分 ○今井清治(小千谷総合),日戸平太(新潟・三条市),岡 吉郎(長岡日赤) 8. Lymphomatoid papulosis 5分 本間 真(国立姫路) 14 : 40∼15 : 30 座長 大 西 義 久(新潟大・二病) 日 戸 平 太(新潟●三条市) 9. Malignant hemangioendothelioma の1例 5分 ○斎田俊明(埼玉がんセンター),土屋真一,山田邦雄 (同病理),竹生田勝次,枝松秀雄(同耳鼻),砂倉瑞良 (同放射線),堀 嘉昭(東大分院) 10.新生児にみられた皮膚軟部腫瘍(血管由来)の1例 5分 ○木村鉄宣,熊切正信,青柳 俊(北海道大), 本間賢一,浜本淳二(同形成) 336 1L興味ある経過を呈したKasabach・Merritt症候群? ○北村啓次郎,田村晋也,木村俊次(慶応大) 12●前額,頭部に生じた開葉系腫瘤の1例 5分 ○藤田 優,寄藤和彦,赤松 徹(千葉大),守田英治(国立国府台) 13.皮膚にも転移を来たした頬粘膜原発多形性横紋筋肉腫 5分 ○山本桂三,村田洋三(大阪厚生年金),古川 裕 (同耳鼻),友沢 健(同内科) 5分 14. Lymphangioleiomyoma ○大熊守也,中野朝益,岸本 武,手塚 正(近畿大) 5分 15.放射線照射後に生じた腫瘤 15 座長石川 : 30∼16 : 10 謹絹 ○岡崎美知治,成田博実,緒方克己(宮崎医大) 中 村 16. Congenital giant pigmented nevus の1例 也(川崎市立) 代(北里研附属) 5分 石原和之,0早坂健一(国立がんセンター) 5分 17,皮膚腫瘤 ○堀 真,広瀬寮二,吉田彦太郎(長崎大) 18. Intraepidermal epithelioma (Jadassohn) ○今井清治(小千谷総合),日戸平太(新潟・三条市) 19●皮膚腫瘍 5分 ○稲田修一,木下三枝子,碓井美智子,永井 勲(県立広島) 20●皮膚腫瘍 5分 ○瀬口俊一郎(高知市民),田中雅祐(徳島大) 21.表皮内上皮腫? 5分 ○三和敏夫,山田晃司,森 俊二(岐阜大) 22. Nodular hidradenoma 5分 ○滝野長平,加藤卓朗(九段坂) 23. Organoid nevus with secondary complication 5分 ○水谷ひろみ(代々木),池田重雄(埼玉医大) 16 : 10∼17 : 00 座長 本 間 員(国立姫路) 松 中 成 浩(和歌山医大) 24.附属器腫瘍 5分 ○田中敬子,阿曽三樹,三原基之(鳥取大) 25. A case of suspected malignant trichilemmoma 5分 ○浪花志郎,岡崎泰典,安野秀敏(山口大) 26.頭部腫瘍 5分 ○安木良博,藤沢竜一(昭和大),古賀道之(都立大久保) 27. Subepidermal calcified nodule の1例 5分 ○西沢慶昭,小関史朗,真家興隆,高橋伸也(秋田犬) 28,口唇に生じたmucoepidermoid tumor 5分 大原国章(東大分院) 5分 337 29.組織学的にB・C・Eの腺腫様型増殖を伴った炎症性多発性丘疹 ○桐都志夫,久保邦臣,島影達也,松中成浩(和歌山医大) 30.頬部の皮膚腫瘍 5分 ○谷井 司,演田稔夫(大阪市大) 31.左大腿部腫瘤 5分 ○影下登志郎,小野友道(熊本大) 5分 338 WW-1 悪性リンパ腫 片山 勲(埼玉医大・第一病理) lesion Malignant 12 cases lymphoma gic changes rついて次の4点を述べる。 2 0fwhich 型分類するかに関しては著しい見解の相違がみられる。 SSMM: LymiAioma Study Group of Japanの提唱するLSG分類 Panel (2)各リンパ腫の臨床像及び組織像:skinに初発しskin biopsyで診断された実例を主として述べる。skin以外の extra― lymrtinodal si tesと同様にskin においても各種 のリンパ腫の侵襲がみられる。8)skinにおける1 ymrfioma とpseudo lymphomaの鑑別診断:SaUsteinら, Evans らの記載をもとに考按する。(4)研究的補助診断法:PAP I ramunope roxi da se法及び酵素組織化学反応について言及 AMH in early border type; lesions SSMM in diagnosis from nocytic lated gnancy nevi nevi will the melanocytes syndrome, the halo in as those of AMH of with both pattern dysplastic of changes the dysplastic nevus, in the newborn such phase of pre‘existing association melanocytic nevus of 工I。 The differential growth of the to the growth incidence nevi level of functional melanoma of AMH in excised. 2) Similarity of the radial melanocytic and recurrence incompletely as invasive and 3)A similar benign the precursor Local were spreading features advancing which recurred superficial the represent include: 1) o£ AMH (1)分類:まずホヂキン病と非ホヂキンリンパ腫にわけ,前 者を四分類( LP, NS, MC, LD),後者を2分類(ろほ う性とびまん性)する所貫では,諸家の見解が略々一致し ている。しかしびまん性非ホヂキンリンパ腫を更にどう亜 は分t)易く実用的でしかもExpert Inter。tional の最新提案とも酷似しているので,それを紹介する。 of AMH of SSMM and congenital various associated with mala- stimupre- be discussed. する。 Wl')-2 悪性軟部組織腫瘍の形態学的鑑別 大西義久(新潟大・医・第二病理) W14一七E119 右前腕部皮膚腫瘍 ○伊藤泉,山本雅章,三橋善比古,菅原光雄(弘前大) 最近の検査法の進歩に伴い,疾患の診断はかなり容易に なってきてはいるが,必ずしも通常の外来検査のみでは確 診がつかず,組織検査により始めて診断しうる疾患があり, 軟部組織の肉腫もその一つと考えざるをえない。その摘出 標本の診断が直接治療にも反映するだけに良性・悪性の診 断のほか,その起源を探求于ることが必要に々る。 過去十余年に亘る演者の経験例の次かから線維肉腫,筋 肉腫,脂肪肉腫,血管肉腫や滑膜肉腫々どを取り上げて症 例を呈示すると共に,それぞれの鑑別について述ぺる。次 に最近話題となっているMalignant fibrous histiocytoma(MFH)の解説を試み,さらに比較的珍らしい腫易 たとえばトロトラストの局所注入によって発生したと考え ざるをえない肉腫例,皮下腫瘤を初発したEBウイルスに よると考えられる腫瘍例,乳癌摘出後,放射線治療をりけ リンパ管拡張をきたし,やがてこれがリンパ管肉腫の像を 呈した症例々どを提示する。 症例:17才男。高校生。昭和55年1月頃に右前腕伸 側に小指頭大結節発生,放置していた所次第に増大。 初診時右前腕伸側に鶏卵大の半球状の弾性硬の暗赤色 腫瘤あり,表面は一部潰瘍化,表皮と癒着,皮下との 可動性も乏しい。他に左前腕伸側に2個,左頬部鼻翼 附近に小指頭大の皮下結節あり。 組織像:表皮直下から深層にわたり,核縁明瞭で比 較的淡明な類円形核を有し,胞体の狭い細胞か一様な 浸潤増殖を示す。核は大小不同,多形性かうかがわれ 小型と大型の異型細胞か混合増殖している。 考えられる病名: 1)Non-Hodgk 「slymphoma 2 ) Reticulosis cutis 3) Lymphomatoid papulosis 4 ) Monocytic leukemia W14-3 HISTOPATHOLOGIC DIFFERENTIAL DIAGNOSIS OF BORDERLINE AND EARLY MALIGNANT MELANOMA WW-5. E120 小児のLymriioma ? s福代新治,長尾 洋,高岩 尭(岡山大) Richard Sagebiel (Pathology 4 Dermatology, Univ. 0fCalifornia, San Francisco, U.S.A.) 9才,男児。昭和52年春頃より左前腕に硬貨大の自覚症 状を欠く紅斑が出現し,同年暮頃には右上腕にも同様紅斑 The earliest recongnizable of melanocytic nant neoplasia melanoma malignant in are used in the early superficial tiated cytic level different changes in trasted SSMM type from seen diagnostic histologic II. Factors malig atypi- These terms to indicate melanoma and can of the be differen- dysplastic melano- in a variety of are series of AMH, described of early suggesting the and con- invasive that を生じた。昭和53年5月,当科初診時には左前腕屈側に比 較的境界鮮明なやや隆起性の紅斑があり,中心部は萎縮性 であるが浸潤を触れる。辺縁には小豆大までの扁平丘疹も 散在し鱗屑も少し認める。右上腕外側には母指頭大の紅褐 色斑があり,萎縮性陥凹や正常色の部も混在する。経過中 に右上腕の皮疹は搬痕性に治癒したが左前腕の皮疹は褐色 調が強まり浸潤も増した。リンパ節腫脹はない。検査所見 では末梢血液像,骨髄像に異常なく骨X−Pも正常で肝牌 腫もない。病理組織像では表皮に軽度のリンパ球浸潤があ るが主な変化は真皮以下であり。真皮浅層から血管周囲性, 所により皮下脂肪織にリンパ球,組織球からなる欄密な細 胞浸潤があり赤血球の遊出もともなう。リンパろ胞の形成 はなく,浸潤細胞の異型性も目立だない。 considerations。 of 325cases changes to a similar level (AMH1. malignant histologically called spreading laboratories spreading Based on a series early been changes 1 〔SSト佃I〕,and hyperplasia proliferations differential have situ,superficial melanoma cal melanocytic histologic histolo- 339 W14-6, E121 Immunoblastic O石垣優,斉藤一義,池田重雄 片山勲(同,病理) Lymphadenopathy (埼玉医大) ? 63才,女性。3年来,下剤,降圧剤,精神安定剤を 服用。躯幹及び爪の白癖のため,グリセオフルビン内 服をはじめて,5日目に右凩蹊部に紅斑か出現し,数 日間で全身に拡大すると共に全身のリンパ節腫張をき たした。熱発もあり,紅斑は数日後には網状の色素沈 着になったか,その後遠退傾向はなく,リンパ節腫張 も軽快しないので来院。検査所見は,白血球数約20,000, 分画ではリンパ球70∼80%で,いわゆるクローバ状の 核形を示すやや大型な異型リンパ球か多数認められた。 細胞性免疫は顕著に低下。リンパ節生検所見では,リ ンパ節の基礎構造は消失し,びまん性の小血管のarb― orizationあり,その隙間にはImmunoblast及び形質球 を含む炎症性細胞浸潤とPAS陽性好酸性物質の沈着 が認められ, Immunoblastic Lymphadenopathy 末血所見も反応性のものと解釈した。目下,ベスタチ ン及びペプレオマイシン投与でリンパ節腫張は軽快し と診断。 つつある。 ww-ア. E122 Woringer ―Kolopp disease O今井清治(小千谷総合),日戸平太(三条市), 岡 吉郎(長岡日赤) 患者:44才,女。初診:昭5 4, 6 o現病歴:5∼ 6年前,左大腿に紅斑性皮疹を生じたが,自覚症状が ないため,現在まで放置。その間に漸次,病変部が拡 大。現症:左大腿の上部%の伸側から内側にかけて, 小豆大位の境界不鮮明な淡紅褐色斑が散在性に認めら れる。浸潤日。瘍坪○。全身の表在リンパ節は触れえ ず,全身状態良好で臨床諸検査成績に異常なし。組織 学的所見:表皮はやり巴厚して,表皮突起は延長,一 部で基底層の破壊がみられる。真皮上層にはリンパ球 様,組織球様細胞の浸潤が著しいが,これらの細胞の 他に,表皮内及び真皮乳頭層にhyper-chromaticな核を 有するatypicalな細胞がみられる。これらの異常細胞 は特に表皮内で目立ち,孤立性のものと数個が集族し てPAUTRIER微小膿瘍の所見を呈するものとがある。 なお,この異常細胞については電顕的検索をも行なっ た。 W14-8 Lytnphoma 本間 真 (国立姫路) t o id papu 1 0s i s 36才男。5年前より顔面,類,背部,前腕に小豆 大り皮疹が出現。個疹は紅色丘疹,増大して結節とな り,ヤ央壊死を生じ臍嵩状に凹み,次いで潰瘍を形成 し,陥凹状癩痕をのこして全経過3週間で自然治癒を みる。夏季に増悪傾向がある。全身状態良好。組織像, 壊死性結節:表皮は壊死,真皮上層から皮下脂肪織に 及ぶ梱密なリンパ球様細胞浸潤と赤血球の遊出をみる。 浸潤は小型のリンパ球と大型の核に切れ込みのある細 胞よりなる。 考えられる診断名 1) L ymp h oma to i d pa pu1o s 1s 2) Mu ch a ―Hab e rma nni^i W14-9, E123 Malignant hemangioendotheliomaの 1例 ○斎田俊明(埼玉県立がんセンター)土屋真一,山田 邦碓(同病理部)竹生田勝次,枝松秀雄(同耳鼻科) 砂倉瑞良(同放射線鄙)堀嘉昭(東大分院) 67才男。1979年秋。左側頭部に軽い熱傷を負った 後が難治となり、略爪甲大の痴皮形成・脱落をくり返 していた。1980年2月頃、左側頭から左前額部にか けて発赤が出現、拡大してきて、3月には左眼瞼にも 発赤・腫脹を生じるに至った。同年5月当科初診時に は、左側頭部から左顔面の大部分にまで、浸潤性紅斑 が存在していて、やや浮腫性に腫脹していた。左側頭 部は特に浸潤が強く、その一部は紫褐色調の出血斑と なってお・り、数個の浅い小潰瘍も認められた。 組職学的には、異型な内皮細胞様細胞が大小の管腔 を形成するところから、びまん性に増殖するところま で、種々の段階が観察された。 治療は左上甲状腺動脈cantiulationにて左外頚動 脈より、5FUを持続動注するとともに、電子線照射 を実施した。 WW-10. E124 新生児にみられた皮膚軟部腫瘍 (血管由来)の1例 ○木村鉄宣,熊切正信,青柳 俊(北大皮膚科) 本間賢一,浜本淳二(北大形成外科) 生下時から存在した血管由来の皮膚軟部腫瘍について 組織学的に検討した。 症例:9ヵ月の男リ&初診:昭和55年3月19日。生 下時から,左大腿伸展側に淡紅色の,小指頭大から母指 頭大までの,弾性軟の硬結を数個触れた。徐々に増大し てきたため,同年9月12日に広範囲切除を施行した。 組織像では,紡錘形の,異型性の乏しい,線維芽細胞 様の細胞か真皮上層から脂肪組織にまで密にみられ,血 管も比較的豊富である。小血管腔を形成し,また腫瘍細 胞が血管壁を構成してふ・り,血管由来の悪性腫瘍を疑っ た。 W1£4-11, E125興味ある経過を呈したKasabach一 Merritt症候群? ○北村啓次郎,田村晋也,木村俊次(慶大) 患者:8歳女子。初診:昭和53年7月13日。主訴 :左耳後部∼側頭部の多発性血庖。現病歴:3歳の頃, 左側頭部に紫紅色斑を生じ,外傷にて止血せず,血小 板減少あj) Kasabach―Merritt症候群と診断され,副腎 皮質ホルモン内服,リナノク照射(1500 r )にて皮疹, 検査成績とも改善。昭和52年6月水痘に罹患したが, その廠痕部に血庖を生じ,漸次拡大。現症:左耳介を 中心に左側頭∼頚部に約16×11cmの境界不鮮明々暗 赤色斑あや,耳介は暗赤色に腫大,有髪頭部は脱毛し 紅斑と共に小豆大紅輦ある辺縁隆起性,中心陥凹萎縮 性の丘疹,小結節が混在し強い圧痛あ飢病変部に多汗あ呪 検査では血小板5.6×103 , 血中フィブリノーゲン88呪/ 面,プロトロンビン時間14.5秒(54価),FDP 160≪/me.全 身骨X-Pでosteolytic lesionsの多発あか。組織学的 には皮疹部は小結節状に毛細血管増生を強く認めるが,部 分的な内皮細胞,及びper icyteの著しい増生を見,中には 悪性血管内皮細胞腫と診断し得るところもあった。また骨病 変部の生検ではnonべossifyingfibromaと診断された。本例 は全経過を一元論的に説明できる力ヽ否かが興味ある点てある。 340 WU-12 前額、頭部r生じた間葉系腫瘤の1例 〇藤田 優゛、寄藤和彦貰、赤松 徹゛、守田英治゛' 千葉大≒国立国府台¨ 84才、男。初診:昭和54年ア月9日。数力月前よ り、とくに誘因なく、前額部に紅色小丘疹出現、急速 に拡大するも自覚症なし。税症:前額中央に6×ろX 1.5≪>の半球状、表面凹凸を有する弾性硬○腫瘤。腫 瘤の周辺に小豆大腫瘤数コ散紆。頭部に1.ろ×2. 7 on の皮面よpやゝ降起、凹凸ある腫瘤。所属リy・゛節は 触知せす。組織像、額部:真皮中に境界比較的明確乃: 腫瘍細胞塊あね。細胞は紡錘形、クロマチンに富む核 を有し、東状あるいは塊状に存在、Cartwheel様あるい はherringbone様構造を示す。核の大小、多核細胞、 分裂像も散見される。頭部:徹部と同様の紡錘形細胞 もみられるが、主に円形、比較的明るい胞体を有する 細胞よ!)カ:り、異型性も強く、銀染色にて好銀繊維の 形成も少い。経過:広範囲切除。中間層植皮術施行す るも、本年4月よ!)、頭部よね再発す。額部の臨床、 組織像よジ隆起性皮膚細維肉腫を考えたが、頭部はそ の悪性化、転移像と考えうるか否か。 W111-15、E128 放射線照射後に生じた腫瘤 ○岡崎美知治、成田博実、緒方克己(宮崎医科大学) 症例:80才、女性・ 初診:53年11月24日。 現病歴:30才頃、右頚部結核性リンパ節炎(?)に対し 放射線治療を受けた。15年程度より同部位に発赤、疼痛 を伴なう腫瘤が出現してきたので、1年間にわたり60 Co を照射されている。約2年前より同部位が潰瘍化して植皮 術を受けている。53年9月、再び同部に発赤、腫脹、疼 痛が出現し腫瘤は急速に増大して来た。 現症:右頚部に5.9X3.C)cm大の硬い腫瘤があり下床 と癒着している。周辺の皮膚に慢性放射線皮膚炎の像を認 める。 治療および経過:切除、植皮、Cryosurgeryなどを行 なうも再発傾向が強く、約半年後に死亡した。 と組織球様細胞より成 り、また一部にstoriform patternが認められる。 W14‘16 Congenital giant plgmented ne vue の/例 石原和之、0早坂健一(国立がんセン・ター皮膚科) W14-13、E126 皮膚にも転移を来たした傾粘膜原発多 形性横紋筋肉腫 ○山本桂三、村田洋三(大阪厚生年金) 古川 裕(同 耳鼻科) 友沢 健(同 内科) 昭和52年】1月、左傾粘膜の無痛性小腫瘤に気づく も放置。やゝ増大のため、53年4月耳鼻科受診。初診 時、左上第三大臼歯後上部頬粘膜部に小指頭大の潮紅 を伴う弾性硬隆起性腫瘤あり、生検後、Crf°596 0R照 射にて完全消失。原発部の再発は々いが、54年日月胸部 x線像にて多発性結節性陰影。同時に顎下、頚部リン パ節触知、。肝シンチにて陰影欠損2ヵ所。オンコピン、 クレスチン投与も胸部陰影増悪。55年5月、右腹部皮下 腫瘤に気づき、以後順次左腹部、右上腕、右膿席、右 股部に皮下腫瘤。55年6月当科受診、左腹部腫瘤生検。 組織学的には原発腫瘤と同じであった。組織学的所見: 腫瘤細胞は索状ないし集塊状を痙して存在し、個々は 楕円形次いし紡錘形で大小不同を呈し、細胞質ぱ比較 的豊富であるが、境界不明瞭で空胞状を呈するものも ある。核は楕円形々いし紡錘形で異型性に富み、分裂 像も散見出来る。一部細胞でグリコー・ゲン頼粒認め、 PTAH染色で横紋を認む。 71歳男性 WW-11. E127 Lymphangioleiomyoma O大熊守也、中野朝益、岸本 武、手塚 正(近畿大) 26才男性の包交の単発、索状小結節、無症状。組織学 的所見:腫瘍のまわりに被膜なし、弁があり、内弾性板が 認れられないが弾性線維が貧弱にみられ、外弾性板なし。 筋線維が増殖し、まわりの組織に移行している。迷路のよ うな入りくんだ管腔がある。モンドル病、非性病性硬化性 陰茎リンパ管炎、静脈型の血管平滑筋腫ならびに口腔の血 管平滑筋腫、静脈瘤、海綿状血管腫とも所見が異なる。 /。2才女児。生下時よカ頭部にNevusあj。j∼ j年前より脳回転状皮膚に腫脹し、某大学病院にて切 除。Malignancy と言われた。 Sφ。2年、jヶ月検診にて右耳後部のTumorあり。 7月タ日切除。後頭部、脊部にもTumorあ!7.、2∼j 才頃よ!)背部、上下肢にも同様のTumorあ!7. ope 約/j回。Sjμ年//月某大学小児科よか紹介 され来院、opeのため入院となる。頭部全体に。2∂ ×/7sの黒紫色Pigmentat ion、硬度は弾性軟、 切除。植皮術施行。組職標本所見は大部分のdermi s 中にj∂∼数/∂ヶのNe vuB cellからなるNeet が多数存在。上皮のNevus 0611 の胞体には多数の Melanin pigmen・じありo NevuB 0611はPolygonal で類円形、ves icularで厚い核膜と明瞭フ1核小体を 持った核と好酸性の胞体を持っている。深部では胞巣 様構造を待ち、Neurofibroma状と次っている所が 見える。以上の所見によ夕Congenital giant pigment ed nevuB とした。 WW-17 皮膚腫瘤 ○堀 真、広瀬案二、吉田彦太郎(長崎大) 症例こ34才、女性 初診:昭和55年9月3日 主訴:腫瘤 現病歴:初診の約1年前ころより、誘因なく、左第4趾 背に小豆大の腫瘤をみとめ、次第に増大し、大豆大、半球 状となる。自発痛、圧痛なし。 現症:左第4趾背末節に直径1 6mm、半球状の弾力軟 な腫瘤をみとめ、表面は軽度に発赤した皮膚で被われる。 下床との動きは不明瞭で、同部の爪は変形、短縮している。 病理組職学的所見:真皮浅層から深層にかけて、大小の 明るい胞巣がみとめられ、その中に紡錐形の小型の細胞が 散在してみられる。異型性はない。 考えられる診断:nerve sheath myxoma 341 WW-18, E129 Intraepidermalepithelioma ( Jadassohn) ○今井清治(小千谷総合),日戸平太(三条市) 患者:71才,女。初診:昭54 , 3o 現病歴: 発症時期は不明だが,一時,湿疹として治療。現症: 右足腫内側で足関節寄りに16×12 s,不整形,境界 鮮明で浸潤を伴い,わずかに隆起する腫瘤あり,表面 は紅斑乃至ピランを呈し,一部に鱗屑を付着する。組 織学的所見:不全角化,穎粒層の消失あり,表皮は肥 厚して表皮突起の巾は広くなり,その中に境界鮮明に, 多中心性に,単一性の細胞が胞巣状に増殖。この腫瘍 細胞は小型で細胞質に乏しく,基底細胞様形態を呈す る。腫瘍巣の上層には空胞変性がみられ,腫瘍細胞の 一部には核分裂像も認められる。PAS染色では腫瘍 細胞は陰性で錯角化を伴った角質様物質に陽性所見が 得られた。 W14-19 皮膚腫瘍 WW-2h E131表皮内上皮腫? ○三和敏夫,山田晃司,森 倅二(岐阜大) 症例;43才,主婦。初診;昭5 5. 7 . 23. 1年 前に左上腕に粟粒大丘疹に気づくも,自覚症ないため放 置したところ,増大し,易出血性となり,一部に黒褐色 調を呈したため一宮市黒田皮膚科より当科へ紹介された。 現症,左上腕前面に米粒大使書状の単発性黒褐色小肺瘤 あり,表面には一部血4附着。被角血管肺の疑いで切除。 「釦晦;著明な角層増殖,錯角化及び表皮肥厚。乳頭状 増殖をなす表皮内に好塩基性に染まる幕底細胞様細胞の 胸巣形成があり所謂表皮内上皮腫の形を示す。胞巣の一 部に核分裂像或いは個角化を呈する細胞及ぴメラノサイ トの色素閉塞がみられ,また小管腔様構費も散見される͡ 乳頭部は浮腫状,細血管が拡張及び充血,血管周辺の小 円型細胸浸潤あり。 Borst-ぺJadassohn表皮内上皮腫を疑 った。 W14-22. ○稲田修一、木下三枝子、碓井美智子、永井 勲 E132 Nodular hidradenoma O滝野長平,加藤卓朗(九段坂病院 皮膚科) (県立広島) 53才男。 患者:75才、女。初診;昭和54年7月口日。家族歴 既往歴;特記すべきことなし。現病歴■,4-5年前よ リ右大腿伸測に小指頭大の皮膚霧瘍があり、放置して いたところ1年前より急に腫大して来た。初診時所見 ;腫殤は2.6×2Acm大、皮膚面より隆起。表面は赤褐色 調を呈し穎粒状である。下床に結節を触知しない。所 属リンパ節の腫大はがい。組織学的所見;表皮内に腫 瘍細胞の大小の増殖巣がある。腫瘍細胞は基底細胞様 細胞であり、cell atypismは乏しいが核分裂像は少 数;ながらある。腫瘍増殖巣には裂隙形成が著明である。 2,3ヵ月前偶然気付く。腫瘍は右腰部K 単発し皮表よね大豆大程度に軽く隆起する褐色調結節 で,中心部に青味を透見。触れると皮内にかくれ瓦部 分が大きく,全体として桜桃大で弾性硬。下床とは可 動性。炎症症状・自覚症ともになし。単純切除後1年 半,再発なし。組織像:真皮中∼下層に位置し表皮と 繋がりのない境界明瞭な充実性腫瘍。少量がやや緻密 な結合織で囲まれ,かつそれKよる分割と複雑な切れ 込みをみる。腫瘍細胞の主体はいわゆる類表皮細胞と それらの澄明化過程にあると思われる細胞で,一部に 腫瘍細胞にはジアスターゼで消化されるPAS染色陽性 物がある。裂隙にはal c ian b1Ue染色陽性物がある。 澄明細胞もみられる。細胞に異型性はない。細胞質内 応グリコーゲンは細胞yこより多寡はあるが,豊富なも のも目立つ。腫瘍巣内には若干の管腔ならびに嚢腫様 考えられる病名; 構造をみるが,前者では内面に一層の立方形細胞,後 者では一部の内腔Kジアスターゼ非消化性PAS陽性 Hilroacant恥raa simplex ・アルシャyブルー陽性物質をみる。角質嚢腫はない。 腫瘍周辺の炎症性反応は軽曖。 Wlit-20. E130 皮膚腫瘍 ○瀬口俊一郎(高知市民病院)、田中雅祐(徳島大 学) 59歳、女。家族歴、既往歴に特記すべきことな し。約IO年前より腹部の褐色斑に気付く。少しず つ増大。自覚症状はない。 皮疹は3.7×2.ocmの軽度隆起した褐色斑で表 面はやや疵状を示す。全摘。 組織像:表皮は上方へ増殖し、真皮下層への侵入 はない。有線細胞と基底細胞様細胞の増殖からなり 基底細胞様細胞は表皮内胞巣を形成している。偽性 角質嚢胞が多数存在する。褐色の色素を多く含み、 ジアスターゼ消化、PAS陽性穎粒を少量みるところ もある。一郎の胞巣内では円形の小腔があり、好酸 性の小球をみる。 脂漏性角化症、Smi th―Coburn型エックリン汗 孔腫などが考えられた。 W14-23 Organoid nevus with secondary complication 水谷ひろみ(代々奉病気)、池川眼喰(々£医大) 19歳女丿八生来左頬から預、胆こかけて貫喝色調の Tあざ」がある。他医にて2回切峻術をうけた後当科 へ丿介された。 籾、珍侍所見は、左F顎角部から、同側耳孔部、外眼 1りIS、口角部へ向つてイビ弁状にひろがる帯状の黄喝色 局・旧で、皮liより饉度14起注。表圓微細類粒状。局面 内に径2∼3nの喝色調または黒色の丘疹ないし疵状 隆起が多欲散在していた。1部に掻破によるとみられ るびらん、痴皮、小はんこんなどを認められる。同様 の局面は前頚部から側頭部にかけても連続して存在。 組織像では、脂腺の過形成を伴うOrganoid nevus に川Iえて、BCEを含む種々のPilary complex関連性 小腫瘍がみられた。今回はこのうち、主としてアポク リン汗お官に関連ありと考えられるepithelioma の診 畝について倹討を加えたい、 O田中敬子、 W14-27, E135 Subepi dermal calcified noduleの1例 高橋伸也(秋田 ○西沢慶昭,小関史朗,真家興隆 大) 附属器腫瘍 阿曽三樹、三原基之(鳥取大学) 症症例、ワ4才、女性、主訴、左側頭部腫瘤 現病歴:小児期より左側頭部に小指頭大の腫瘤が あ!?、自覚症状を欠き漸次増大していた。 55年 ワ月、物にぷつかるヵ:どのことで出血を繰返し急 速に大きさを増したため、9月当科受診した。現 症、腫瘤は、直径3 Omm、高き1 5 mmのほぽ半球状 の表面赤色穎粒状であり、下端から弁状の紫紅色 ○腫瘤が1 5 mm下垂している。組織所見:赤色腫 瘤部は、真皮に好塩基性の異型性のある腫瘍細胞 が塊状に浸潤し、腫瘍細胞の一部に吹体が明るく 微細々願粒を含む細胞や脂腺細胞核細胞がみられ る。また、腫瘍巣に連続して汗腺分化を示す管腔 あるいは腺様構造が認められる。紫紅色腫瘤部で は、脂腺細胞の豊富な脂腺様構造の増殖が認めら かた。 WW-25. Er33 A c a se of suspected ant t r i c hi i emmom a ○浪花志郎,岡崎泰典,安野秀敏 mallgn- 症例:84才,女性o 約1年前に,左頂部4こ碗豆大,茶 喝色のそ状皮疹に気付き放置したところ,1ヶ月前より急 速に増大して,潰瘍形成,異臭を伴なう,30×40×1 Wli)-28. E136 ロ唇に生じたmucoepidermo id tumor ○大原国章(東大分院) 5nim の結節となった。濾瘍は密に集合した小葉構造からなり, 各小葉は3層からなっている。外層の細胞は,大型紡錘形 で,細胞質は豊富であり,核は大型,楕円形,タロマチン の凝集像を示し,異型性は顕著で分裂像も散見される。細 胞間橋も認められる。中層の細胞は,大型で多角形ないし 不整形を呈し,細胞質は透明化し,一部では核が消失して いる。内層はparakeratosisを示し, abruptな角化を呈 している。部位によっては,内層のparakeratosis部が巨 大な塊状となり,中層及び外層がそれを取り囲むような形 で不整に配列しているo間質には円形細胞浸潤を認めるが, 小葉の境界はよく保たれている。 W14-25, E134 頭部腫瘍 o安本良博,藤沢竜一(昭和大),古賀道之(都立大久保 患者:26才,男。 現病歴:初診約半年前から,前頭 部に腫瘤出現,漸次増大してきたため受診。 現症:前頭被髪部に径約1 2≫iiii,ほほ球型。,有茎性の表 面平滑,赤色調を呈し,弾性軟の腫瘤で,白覚症なし。 治療:茎部基底より全摘。 病理組織所見こ腫瘤部は角質増生,表皮突起消失を伴い, 真皮相当部では,線維束が各々離解し,浮腫状であるが, その走向は同心円状,渦巻状を呈し,特異な様相である。 更に同心円状線維束の中心には,血球成分の充満した血管 様構造を容れるが,腫瘤基底部では,毛包,汗腺を容れる ものも少数見られる。線維束はAzanで青染,V−Gで黄 染,線組間にはMucin沈着はほとんど認められない。 以上の特異な組織所見より,未だ診断未定であるが, HeadingtonのTrichogenic tumor. 或いはDermatofibromaの1型となす意見もあり,それらとの合致点, 問題点につき,なお検討中である。 症例:18才,男。初診:昭和55年8月28日。 主訴:左鸞部の自覚症状欠く,2個の小指頭大腫瘤。 家族歴:特記すべきことなし。既往歴:6才時,熱 性疾患にてストマイ注射を受け,以後両側性難聴と なる。 13才時,虫垂切除術。現病歴:6年前,左鸞 部に自覚症状を欠く軟らかい腫瘤が2個近接してあ るのに気付く。以後縮小・増大傾向なし。虫刺,外 傷等の既往はない。初診前日,そのうちの1個が自 潰し,白色粘液の排出をみたという。 現症:左側 背部に小指頭大・黄白色・周囲に潮紅を有する軟ら かい腫瘤が2個相接している。表面に毛細血管拡張 がある他,白色乾燥性の石膏様固着物を認めた。更 に,腫瘤の1個を穿刺し,乳汁様の内容物の排出を 認めた。組織像:表皮下にヘマトキシリンに濃染し コッサ染色陽性の塊状物質を認める。その周囲には 組織球,巨細胞あり。 38才,男子の上口唇の自覚症の々い腫瘤。初診は昭 和55年6月6日。約7年前より生じ,6年前に某医で 電気焼灼を受けたが,約1年で再発。この2∼3年来, 増大傾向あ夕。上口唇唇紅から粘膜にかけて13×12 nの噴火口状に軽度隆起する腫瘤があ机辺縁はpolycyclicで,中心部は陥凹。蝋様光沢を持ち,黄白色に 透見され,唇紅部に存在する部分では黒色小点が散在 していた。切除標本を半割すると粘桐な物質が認めら れた。組織所見では表皮直下から真皮深層まで大小の のう腫があ凱その内容物はPAS染色,ムチカルミ ン染色陽性であった。のう腫壁が破れて内容物,壁細 胞が結合織内に浸潤する部分も見られた。のう腫壁は 表皮基底細胞類似の細胞epidermoid ce日と,透タガ ラス様の明るい,大きな胞体を持つ細胞mucous ce日 と,両者の移行を思わせる細胞とから成机異型性は 必まり顕著でなかった。一部では角質のう腫も見られ, メラニンの増生も認められ允。 W14-29 組織学的に3・c・Eの腺腫相型増殖を伴 った炎症性多発性丘疹 o桐都志夫,久保邦臣,島影達也,松中成浩 (和歌山医大) 症例:56才,男,会社員 現病歴:1昨年7月頃,日光に長期暴露後前腕,手指 のホクロ様皮疹が発赤する様になり,寛解増悪を反覆 するという。1年前より下腿更に背部へも散在し,落 屑性。一鄙湿潤性紅斑局面を混ずる。 現症:前腕,下腿伸側に小色素沈看,小丘疹を多発, 胸,背部にも同様な半米粒天から帽針頭大の毛孔性半 球状小丘疹を認め,肘,掌訣等には局面状皮疹が散在 する。これらは時に掻蝉を伴う。 考えられる病名: 1)多発性B.C.E ,毛のう炎 2)貨幣状皮膚炎,目家感作性皮膚炎 343 W14-30 0谷井 頬部の皮膚腫瘍 司,演田稔夫(大阪市大) 症例:13歳、女。現病歴:生下時より左頬部に無症候 性の小腫瘤が存在していたという。約2年前より時々 ・掻破していたところ、約1年前より腫瘤が漸次増大し ている。現症;左頬部に8×8.と7×8sの表面挽贅状、 周辺に紅斑を伴なった小腫瘤が隣接して2個みられる。 病理組織学的所見:腫瘍塊は2個共同様の所見を示し、 各々表皮は不規則に肥厚、乳頭腫状に隆起し、中央に 不全角化のあまり見られない著明な角質増殖がある。 腫瘍塊を形成する細胞は有棟細胞様で、異型性はほと んどみられず、角質塊に接してケラトヒアリン穎粒が 幅広く、豊富にみられる。腫瘍塊周辺の表皮内から蓄 状に真皮に突出する小さな腫瘍塊が数個みられ、これ らは楕円形の基底細咆様細胞より構成され、一部で palisadingを示している。真皮上層には主としてリン パ球様細胞の浸潤が多数認められる。 W1恥31 0影下登志郎, 左大腿部腫瘤 小野友道(熊本大) 症 例:ワワ才、女性 主 訴:左大腿部腫瘤。潰瘍 現病歴:40年前より左大腿部前面に小指頭大の常色沈 贅状皮疹があったが放置、その間皮疹はほとんど変化しな かった。1年半前イボコロリを外用した後潰瘍を形成、徐 女に拡大した。 現 症:左大腿前面に40 X 42 m叫喬円形の辺縁が隆起 した潰瘍を認め、軽度の浸潤を触れる。左ソ径部に小指頭 大のリンパ節数個を触知する。生検所見より皮膚癌と診断 摘除、所属リンパ節を廓清、摘除リンパ節に転移を認めた。 345 ワークショップ(W20)内分泌・ビタミン 平雄進 周和 45 第1会場 雄生安 副オーガナイザー ・∼ 島麻高 主オーガナイザー 2・ 1 ” ″a 1 4月5日(日) 9 (鳥取大) (山形大) 9:15∼9:45 座長 生安 ピ タ ミ ン 麻高 (大分医大) 和 雄(山形大) 進(大分医大) 教 育 講 演 1. Retinoid,特にその臨床効果について 30分 石橋康正(東京大) 座長 周克 : 45 雄田安 45∼12 島武高 一・ 内 分 泌 9 平(鳥取大) 之(徳島大) 進(大分医大) 特 別 講 演 2. 皮膚における男性ホルモソ代謝と作用 30分 高安 進(大分医大) 一 般 演 題 3. Estradiolによる皮膚hyaluronic acid 生合成の促進機序 7分 ○宇塚 誠,飯塚敦子,中嶋啓介(資生堂研),森 陽(東薬大・生化) 4.下垂体腫瘍(成長ホルモン産生腫瘍)患者にみられた糖尿病性黄色腫 7分 ○窪田泰夫,新村真人,堀 嘉昭(東大分院) ステロイド外用療法とその問題点 5.外用コルチコステロイド剤の経皮吸収 −オートラジオグラフィーによる研究− 15分 竹田勇士(札幌医大) 6. Halcinonide -"C経皮吸収後の経時的オートラジオグラフィー 5分 ○清水康之,藪田良子,島雄周平(,烏取大), 田中 実,中島栄一(三共中央研) 7.外用グルココルチコイドの加t・iZgでの線維芽細胞抑制効果 15分 麻生和雄(山形大) 8.グルココルチコイドの線維芽細胞におよぼす影響 5分 ○野本正志,荒瀬誠治,重見文雄,武田克之(徳島大) 9.コルチコステロイド外用剤の有用性の評価 15分 石原 勝(東邦大) 10.ステロイド外用剤の有用性の評価 5分 渡辺 靖(中央鉄道) 11.各種グルココルチロイド外用剤による皮膚障害の実験的検討 15分 ○野木正志,荒瀬誠治,重見文雄,武田克之(徳島大) 346 12.外用ステロイド剤の局所的副作用 15分 幸田 弘(佐賀医大) 13.コーチゾン・スキン 5分 菊池一郎(宮崎医大) 14.外川ステロイド剤の全身的副作用 (外用ステロイド剤による副腎皮質機能抑制) 15分 ○阿曽三樹,島雄周平(鳥取大) 15.外用ステロイド剤の全身的副作用 5分 武田克之(徳島大) 347 W20-1 Retinoid ,特にその臨床効果について 石橋康正(東京大) W20一七E170 下垂体腫瘍(成長ホルモン産生腫瘍) 患者にみられた糖尿病性黄色腫 ○窪田泰夫,新村真人,堀 嘉昭(東大分院) ビタミンA及びその類縁化合物は,正常な皮膚の維持『 重要々役割を果経と考えられて蛤り,それらのいくつかは 既に種々の皮膚疾患の治療に用いられて来た。これら類縁 化合物のうちビタミンA酸は,血中移行が容易で,内服治 療剤として特に期待されていたが,その強い薬理作用のた め,実際に応用されるに至っていなかった。しかし1972 年BolLagらによりその芳香族誘導体,Ro】Qニ9359(Retmoid )が合成塀れ,比較的副作用が少く,各種皮膚疾患 殊に角化症に著るしい効果を挙げることが見出されて以来, 各分野でとみに注目を集めている。 近年著者らはRet moidを各種角化異常症に用い,著明な 効果を見た。今回はそれらの結果を供覧するとともに,そ の際の病理組織学的並びに電子顕微鏡的変化につき述べ, 更にその作用機序,副作用及び将来への展望についてふれ る。 W20-2 皮膚における男性ホルモン代謝と作用 高安 進(大分医大) 皮膚の中でも特に男性ホルモンの影響を受けるのは 毛嚢脂朧系と外陰部皮膚である。最近の生化学的研究 により,皮膚においてもおそらく前立良のような標的 組織と同様に,5メーreductaseによるテストステロン から5・X−ダイハイドロテストステロンに〕HT)への代 謝と, DHTと受容体の結合が作用発現のための重要 な段階であることが明らかになった。ハムスター,ラ ツトの特殊な皮脂恨や,人の皮脂限についてこの方面 の成績を述べ,更に座舎,多毛症等の病的状郵こつい ての研究にも触れる。また,人皮脂帳は副腎性アンド ロゲンの影響も受けるが,その代謝,作用機序は未だ 不明の点が多い。一方,外陰部皮膚にも5iX―reductase 活性が高く,殊に輪生期における男性外性器の分化に は1)HT及びその受容体の存在が必須である。これらの 要素の欠損に基づく男性仮性半陰陽において,危奢, 男性型脱毛が見られないことは,毛嚢脂限系における 男性ホルモン作用がDHTを介するものであることを示 す。 W20-3. E159 Estradiolによる皮膚Hyaluronic ac id生合成の促進機序 ○宇塚 誠,飯塚敦子,中嶋啓介(資生堂研究所) 森 陽(東薬大,生化学) マウス皮膚にestradiolを投与すると皮膚hya)u― ronic ac id (HA)が顕著に増大する。このHA増 大の機序として演者らはes trogen receptor の存在 を証明した。またHA合成能とes t rogen receptor との量的々関係についても第79回皮膚科学会総会で 報告した。今回はes t rad i ol投与による皮膚hya 1u ― ronic ac i d synt he tase ( H A'S )の挙動を調べた 結果, HA S活性が増大することが示された。そして この酵素はDNAを介して誘導されることがac t i no ― mycinD ,およびeye i ohex im ide の使用によって明 らかになった。従ってマウス皮膚におけるes trogen のHA合成促進の作用機序はes trogen→es trogen receptor→DNA→m-RNA→HAS活性増大→HA 合成増大と言う一連の生化学的変化,すなわちstero i d hormone receptor theoryによって説明するこ とができるものと考えられる。 41才男,塗装業。初診昭和55年7月5日。 昭和47 年頃から四肢の肥大に気づく。口渇,多尿,性欲低下 も伴う。頭痛,視野狭小なし。55年2月倦怠感,体重 減少を主訴とし近医受診し,尿糖を指摘される。精査の ため6月当院内科入院。この頃より四肢に自覚症のな い発疹が出没。初診時,肘・膝関節伸側に半米粒大黄 褐色小丘疹が多発。検査:頭蓋X一Pにてトルコ鞍拡 大。 FB S 250∼300 m/ぷ,1日尿糖100∼150 50夕GTTでは血糖, I RIともに高度の糖尿病型。 血中成長ホルモン高値。血清総cholesterol 250"i?/ Trielyceride 121叩/ ョ,燐脂質181即/ 9o ョ, ョ。皮膚組織 は真皮上層に泡未細胞巣を認む。 Touton型巨細胞(−)。 Sudan !H染色陽性。下垂体腺腫は酸好性腺腫。皮疹 はInsulin, C B 154投与にて消極傾向を示し,脳外科 にて経蝶形洞下垂体剔出術後ほぼ完全な消失をみた。 未端肥大症と糖尿病との関連につき述べ,皮疹は一種 の糖尿病性黄色腫と考えたいが,更に検索したい。 W20-5 外用コルチコステロイド剤の経皮吸収 オートラジオグラフイーによる研究 竹田 勇士(札幌医大) 皮膚科領域において,外用コルチコステロイド剤は 重要座役割をはたしてふヽり,外用療法は薬物をその作 用部位にきわめて近く投与できる長所をもっている。 外用コんチコステロイド剤の全身的影響,局所的作 用など経皮吸収に関すろ研究は多く左されているか, 外用後の皮膚内分布に関する組織化学的研究は組織標 本作成過程において投与ステロイドが移動すること含 どより限られている。 我々は,数種の外用コルチコステロイド剤の皮内分 布の差および経時的変化につきf in VIVO, in VI tro, の条件でオー1ヽラジオグラフイー(direct moun ti ng method)にて検索してきたか,今回はこの方法の問題 点おヽよびguinea plg皮膚を用いた, in vivo , in VI tro にふ・ける外用の結果につき報告し,人皮膚所見との比 較をおこ左いたい。 W20-6 Halclnonlde―'*C経皮吸収後の経時 的オ一トヲジオグラフィー ○清水康之、薮田良子、島雄周平(鳥取大)田中実、 中島栄一(三共中央研究所) われわれ皮膚科医にとって、合成グルココノレチコイド含 有外用剤なしには既に日常診療が行先なくなっている現在、 それがどの位の時間で経皮吸収され、全身にどのように分 布、排泄されるかは非常に興味のある、また重大政問題と 考える。今回Halclnonide - '*C(比放射能12、34μCl/mg) をHairless mouseにODTの型で投与し、経時的に全身オ ートラジオグラフを作り、その体内での分布を観た。躯幹 部皮膚をスコッチテーフ'で3回強く引き剥して角層を除去 した後、0.64R軟膏、1%クリームをそれぞれ200 mg前後 外用した。軟膏、クリームともに外用後30分で極く軽度 に胆嚢に銀粒子を認める以外に大きな変化は観ていない。 50分で胆嚢、その他消化管には銀粒子を著明に認めた。 以後3、6、12時間後にもその程度には大きい差がなかっ た。また、外用後1時間で既に軽度の尿中排泄を認める。 これらは軟膏、クリームの基剤間の差を殆ど認めなかった。 妊娠マウスでは外用後3時間で胎盤に極く軽度に銀粒子を 観るも胎児への移行はみ政い。 348 W20-ア タト用グルココルチコイドの in での線椎芽細胞抑制効果 ○麻生和雄(山形大学) Hydrocort isone(HC), ―butyratecトHB), vitro Hydrocortisone Betamethason←iT-va- W20-11 害の実験的検討 各種グルココルチコイド外用剤による皮膚障 ○野本正志,荒瀬誠治,重見文雄,武田克之(徳島大) 近年,ステロイド外用療法による局所皮膚障害も論議の対象と なっている。ステロイド外用による副作用の多くは皮膚萎縮作用 lerate(BV), Beclcmethasone-dipropio ―nate(BD)およびClobetasol一It-prcpio nate(CP)のヒトおよびモルモット皮膚線椎芽細 胞およぴ3T3線維芽細胞増殖に対する影響をしらべ 皮膚萎縮作用の解離した外用剤もあった。他に組織学的変動も比 較検討した。 た。 1)モルモット皮膚線維芽細胞の発育はCP.BV.BD 市販外用グルココルチコイド剤を用い,ラツト背部に塗布し,皮 膚(主に表皮)忙おけるDNA合成抑制効果を"'h―thyniidineの て抑制された。 2 )3T3線維芽細胞はCFt抑制された。 3)ヒト皮膚線維芽細胞はCP.BD,HB,BV,HCの順 取り込みで比較検討した。結果,塗布回数により同一のグルココ で抑制された。 れた。 W20-8 グルニフニ1ノ゛ヂイドの線雄芽細胞におよぽす 彫響 ○野本正志,荒瀬誠治,重見文雄,武田克之(徳島大) グルココルチコイドの線維芽細胞におよぼす影響を培養細胞を 用いて分裂抑制効果で比較検討した。実験に用いたラツトおよび ヒト皮膚線維芽細胞では濃度に比例して抑制効果が強く,各種グ ルココルチコイド間に分裂抑制効果に差がみられた。またラツト とヒトではグルココルチコイドに対する感受性にも差がみられた。 \W20-9 W20-12 幸田弘 外用ステロイド剤の局所的副作用 Go I dmanら( 1 952年)によってはじめて副 腎皮質ホルモン剤が外用に供されてから,30年近く を経過した.この聞の皮膚科領域におけるステロイド 外用剤の功績はあらためて申すまでもないが,一方フ ツ素配合ステロイドに始まる強力な製剤の出現は,予 測もしなかった皮膚局所の副作用をもたらすに至った. 演者らはこれまでに報告された種々の副作用をまとめ また小児アトピー性皮膚炎患者における副作用出現の 実態を調査し報告したが(西日皮膚・40巻2号・ 石原 勝(東邦大) 17了頁・昭53 る. 本邦においてこれまで26種の外用コルチコステロイ ドが使用されてきた。これまでの二重盲検試験により、 化学構造式の相異が臨床効果に多分に影響することが 明らかにされた。臨床効果と局所性ならびに全身性副 作用か高い相関を示すと考えられているか、最近の検 索成績では例外が時折みられる。 有用性の評価に際しては臨床効果と副作用が最大の 要因となる。湿潤型および苔癖化型湿疹、乾癖が二重 盲検試験の主な対象となる。各評価日における皮疹の 全般改善度、両薬剤の優劣比較、副作用、ならびに最 終判定日における有用性の判定およびその比較の全て が評価される。疾患、病巣の性状、年令、体部その他 を考慮してコルチコステロイド外用剤を選択すること か望ましい。 ○渡辺 ルチコイド剤では最初取り込みが滅少し,後に増加することがわ かったoまた各種グルココルチコイド剤により取り込みに差がみら コルチコステロイド外用剤の有用性 の評価 W20-in との関連が深いことから,皮膚reliefの変化を指標として比較 した成績は,かなり差がありVasoconstrictlve activityと ステロイド外用剤の有用性の評価 靖(中央鉄道) 円形脱毛症にはステロイドの外用が行われているが 、嵐純塗擦、0DT、他剤との併用などによって、そ の効果はぶ少面っているようである、またその効果は ステロイドの血管収縮能ともある程度相関している。 一方小児の令頭哨毛症などに対するODTは効巣的で はあるものの、婉り返す脱毛発作に対してODTを続 けることにより表皮の慕縮が激しくなり、全く毛孔が 見られない状態となる。組織学的にも毛芽は貼られな いものもあって、ステロイド外用の限界、とくに0 D Tの期間、外刷剤の哺畑などについて述べてみたい、 そのほか2−3の疾患についても述べてみたいと思う ),今日なお多くの副作用患者をみ そこでステロイド外用剤による各種副作用の臨床像 を供覧し,その中でもとくに問題となるロ囲・酒蔵様 皮膚炎と皮膚感染症をとりあげ,その統計,臨床像, 治療あるいは防止対策について述べたい. W20-13 コーチゾン。スキン ○菊池一郎(宮崎医科大学) ステロイドの全身又は局所使用が長期にわたると、皮膚 は薄く、脆弱になり、外傷を受け易くなる。この状態をコ ーチゾン。スキン、この上におこる外傷をコーチゾン。ス キン損傷と表現する。(コーチゾンは英語におけるステロ イドの一般名である) steroid― induced skin atrophyといつてもさしつ かえないと思う。リウマチや老化による皮膚萎縮に似てお り、その合併により、より顕著になる。この状態の特長と 治療について検討する。 文献) Carroll.D.B.:Arizona Med.28.i9O 1971.菊池。大森:日本医事新報2767.24.19T7. 349 W20-14 外用ステロイド剤の全身的副作用 (外用ステロイド剤Kよる副腎皮質機能抑制) ○阿曽三樹、島雄周平(鳥取大) W20-15 追加発言:外用ステロイド剤の全身的副作用 ○武田克之(徳島大) 血漿コーチソル値(コ値)濃度は一般に日内,日差変動が少な 最近強力なステロイド外用剤が次々と出現してい るが、ステロイド外用剤を使用する場合、各外用剤 の臨床効果のみならず副腎皮質機能抑制効果を知っ た上で外用剤を使い分けすることが大切に;なってき ている。 今回、臨床的に強力々部類に入るステロイド外州 剤を選び副腎皮質機能抑制を検討した結果、強カフ1 ステロイド外用剤も副腎皮質機能抑制面から、種々 の段階に分けられると推察された。 くないから,単一一時点の測定では充分でなく,正確な副腎皮質機 能の把握には数時点の測定による日内変動の追求が望1れる。 実際に外用されたステロイドの全身への影響を副腎皮質機能抑制 の面から検討するにあたっては,外用の2∼3日間の午前8時の コ値が10±2;"g/<iiの対象を選び,午前8時のコ値の変動を追 求している。しかし長期・連日採血は困難なので,設定した時日 におけるコ値低下の程度と,低下したコ値の外用前値なこ復元する 日数を指標として比較するのも一方法であろう。判定基準はコ値 の低下が外用前値の1/3以内を(−),y3以上1/2以下を(土), 1/2以上を(十),以下が激しく痕跡となった場合を(*),また 外用前値への復元に要した日数が1日を(−),2日を(±), 3日 を(十),4日以上の場合を(十)の5段階に分けて検討している。 そこで各種ステロイド剤をcross overさせて比較した成績なら びに外用ステロイド離脱にあたって重篤な全身的副作用が発現し た興味ある臨床例などにも言及したいo 351 ワークショップ(W21)感染症11(細菌・真菌) 4月5日(日) 9:15∼16 : 15 第2会場 川 三 郎(東医歯大) 副オーガナイザー 朝 康 夫(関西医大) 田 : 主オーガナイザー 香 教 育 講 演 9:15∼ 1. Madura 座長 高 橋 久(帝京大) 55 mycosis 30分 T. V. Venkatesan (印・Madurai市) 特 別 講 演 9:55∼10 座長 朝 田 康 夫(関西医大) : 50 2,毒素側からみたssss 45分 近藤 勇(慈恵医大・細菌) 10 3. Fibrin : 50∼11 microclot bacterial : 20 formation in blood of patients sensitized W. 11 4. Bacterial to endotoχin 20分 and : 20∼11 fungal B. Shelley (米・ Illinois大) : 50 infection affecting psoriasis 20分 E. 一般 演 題 U:50∼12 D. Shelley (米・ Illinois大) : 15 座長 高 橋 久(帝京大) 5.多核球によるCandidaの殺菌機序 10分 ○高橋 久,金子 修,小澄法夫,近兼健一郎(帝京大) 6. Microsporum canis の産生するkeratinaseの皮膚に対する作用と 免疫学的検討 10分 ○清 佳浩,樋口道生,滝内石夫(昭和大・藤が丘) 昼 食 (12 : 15∼14 : 00) 14 : 00∼14 7. Systemic trichophyton : 25 座長 渡 辺 昌 平(滋賀医大) infection の発症機転について 10分 広永正紀(滋賀医大) 10分 8.内癖菌寄生毛髪の横断像 ○猿田隆夫,伊藤信一(九大温研) 14 : 25∼14 : 55 8分 9,ケルズス禿楡の1例 ○南光弘子,木村隆吉(東京厚生年金),渡辺普一(東京大) 10.成人型ケルスス禿癒の3例 8分 ○黒沢伝枝,中嶋 弘(横浜市大) 11.毛嚢炎型白癖の1例 8分 ○大井綱郎,川崎 了(東京医大) 352 14 : 55∼15 : 35 座長 香川三郎(東医歯大) 12.汎発性に皮疹のみられたsporotrichosisの1例 8分 ○立田京子,山田瑞穂,青島忠恕(浜松医大) 13.皮内反応に対するsporothrix schenckii および他のsporothrix属菌種 の多糖体の抗原性 倉田幸夫(金沢大) 14, Klebsiella pneumoniae K-7と真菌との血清学的交叉反応 8分 ○石崎 宏,倉田幸夫(金沢大) 15●紅色陰癖 8分 ○工藤清孝,滋野 広,安藤不二夫(名古屋大), 高間弘道(加茂病院),池谷敏彦(愛知医大) 15 : 35∼16 : 15 座長 徳 田 安 章(東京医大) 16,野兎病疹(結節性紅斑)を伴いダユに直接刺咬されて発病した野兎病の1例 8分 ○岡部俊一(平鹿総合),菅谷 彪,豊嶋俊光(同農村医学研) 17. Yersinia enterocolitica (Y.e.)による結節性紅斑(E.N.)の2例 8分 ○池谷敏彦,水野栄二(愛知医大),高間弘道, 中根嘉郎(加茂病院),吉井才司(愛知病院), 滋野 広(名古屋大),加藤義昭(名大・一内) 18●非定型抗酸菌感染症の1例 8分 ○御子柴甫,進藤泰子(信州大),松本頴樹 (同細菌),望月正子(長野日赤) 19. Erythema nodosum leprosum (ENDの1例 8分 ○久野尚子(愛知医大),石垣 優(埼玉医大), 藤井勝朗(愛知医大●四内) 353 W21-1 MADURA W21-3 MYCOSIS T.V.Venkatesan (Former, Head of the Depart。lent of Dermatology and Leprosy, Madura Medical College, Madurai, South India) MaduraMycosis is a chronic crippling disease, 0fthe subcutaneous tissues. skin 4 bones≫ characteristically of the foot but occasionally in hand following implantation at the site by two groups organisms i.e. Bacteria a higher fungi causing actinomycetoma and true fungi causing Madura Mycetoma or Eumycetoraa, Madura Myceto ainduces a foreign body type of reaction in the tissues where as Actinomycetoma, the reaction i5similar to bacterial invasion. The hall mark of the disease is swelling of the foot with the marked distortion of the normal anatomy, draining sinus tracts and bloody or purulent drainage with only mild impairment of mobility and relatively little pain. Radiological examination of the affected extremity shows soft tissue swelling with areas of rarefaction and fibrosis in contiguous area. The diagnosis is established by the presence of granules, culture slides of the pus and tissues. Biopsy material should be examined for confirmative diagnosis. The commonest types met with in ray practice are Madurella Mycetoma and FIBRIN MICROCLOT FORMATION IN BLCX3D OP PATIENTS SENSITIZED TO BACTERIAL ENDOTC〕XINS WalterB.Shelley (University of Illinois, Peoria School 0fMedicine, Peoria, Illinois, U.S.A.) Radiallyoriented acicular crystalline aggregates could be induced in vitro by incubating heparinized blood with bacte【ial endotoxins (lipopolysacchar ides) from a variety o£gram negative organisms. These aggregates did not appear in healthy volunteeLS but were observed in the blood of patients, predominantly those with vasculitis. psoriasis and bacterial infectlons. Study of these asteroid or "sunburst" structures revealed them to be microclots of fibrin which arose from a central monocyte・ This microclot phenomenon was found to be inhlbited by ultraviolet light as well as corticosteroids。 Usingthis test system. it could be shown that patients with a variety of diseases. including Crohn゛Sdisease. ulcerative colitis, and eryヒhema muItiforme may have a persistent endotoxemia. It Is suggested that endotoxin-induced fibrin clots account for the necrotizing vasculitic lesions seen in the skin of these sensitized patients. Actinomyces Madurae. Differentiation of the type cannot be done by the clinical appearance alone. Actinomycetoma may respりndt0long term therapy whereas fungal raycetoma is not amenable thouth potassium iodide and sulphones have been tried for a long period. In the absence of bony lesion, a fair chance should be given to medical treatment for 12months. Actinomycetoma has a bettei- prognosis. W21-4 W21-2 毒素側からみたssss impetiglnized psoriasis, guttate flares precipitated by streptococcal sore throats, and localized pseudomonas infections. Koebnerized psoriasis lesions possibly induced by tinea cruris and tinea pedis will also be discussed. 近藤 勇(慈恵医大・細菌) 表皮剥脱性毒素( exfoliative toxin, ET ;はssss 患者から分離される黄色ブドウ球菌の産生する菌体外毒素 であり, ssssの病因毒素とみ々される。ETは分子量 24000の蛋白性毒素であり,含硫アミノ酸を含まない。 ETはウサギに強い抗原性をもち,その抗原性によってA, B2種の血清型に分けられる。A型ETはMelisti, Kapral などによって最初に報告されたものに一致し,B型ETは Kondoらによってはじめて報告されたものである。今回は これらA,B両型ETKついてi)理化学的性状の比較, i)各型毒素産生株の検出頻度等の概略を述べ,次いで ii)ETのもつ免疫原性. iv)これに対するマウス系統差に よる免疫応答能の違い,更にV)加令に伴うマウスのET 感受性の低下について述べる。 AFFECTING BACTERIAL ANB FUNGAL INFECTIONS PSORIASIS E.Dorinda Shelley (University of Illinois, Peoria School of Medicine, Peoria, Illinois, U.S.A.) Theeffects of certain systemic and localized bacterial infections on psoriasis will be reviewed. Special emphasis will be placed on W21-5, E173 多核球によるCandidaの殺菌機序 ○高橋久,金子修,小澄法夫,近兼健一郎(帝京大) モルモット腹腔よ!9多核白血球を取ね出し^ Candida albicanst C. tropicalisと共にincubateして経時的 に細胞内外に訟ける菌の死滅率をトリパン・ブルーに 対するdye exclusionにょり計数したo 60分後の値は 菌の60価が多核球内にとね込まれ12∼3価に死菌を認 めたo多核球外では10価内外に死菌か見られた。ルク ソール・ファスト・ブルー染色による観察結果では, 多核球内,外の菌のあるものは青色物質に囲まれvcationic proteinが殺菌機序に関典する印象を得た。 Candidaの2菌種について死滅率に大差は認められ忿 かった。 354 W21-6. E174 Microsporum camsの産生する Keratinaseの皮膚に対する作用と,免疫学的検討 ○清 佳浩,樋口道生,滝内石夫(昭和大学 藤が丘 病院) M- canisより分離したケラチナーゼで兎を免疫した。 得られた抗血清は、分離されたケラチナーゼ溶液に対 して2本の沈降線を有し、Sephadex G 2 0 0 によるゲ ル濾過のr globulin rich fractionにケラチナーゼ活 性阻害作用が認められた。この抗ケラチナーゼ抗体を 用いて、各種の自癖菌の産生するケラチナーゼとの免 疫学的な比較検討をおこなった。 皮膚のCryostat切片とケラチナーゼを反応させた結 果も、生検皮膚を小塊のまま反応させたのちに切片を 作成した結果も同じく、角質細胞は細胞膜が網目状に 残るか、細胞質は消化された。有棟細胞は細胞全てが 消化された。又、人の角質より、小川等の方法により 抽出したケラチン線維に対してのケラチナーゼの反応 は、SDS電気泳動上線維を構成する6本のポリペプタ イドのうち5本が消化された。以上の結果から自癖菌 は、皮膚角質のケラチン線維を化学処理し、栄養源の 1つとしているものと推定された。 W21-り、E175 ケルズス禿耀の1例 ○南光弘子(東京厚生年金)、木村隆吉(東京厚生年 金)、渡辺普一(東大) 68才の女性o長年東京在住o初診は昭和55年6月 16日o被髪頭部の脂漏性皮膚炎と診断、以後しばらく 近医加療するも、次第に増悪の一方にて、8月15日、 当科再受診し、精査の目的で入院した。被髪頭部に毛 孔性膿庖が散在し、脱毛性小搬痕も混じている。一部 では、肉芽腫性炎症隆起局面も認めたo病毛はKOH直 接検鏡で毛内性菌寄生像を認め、Wood灯で螢光Ho 病理像よむ、ケルズス禿療十頭部浅在性向癖と診断o トリコフィチン反応陰性o基礎疾患日。培養形態よや Tricho phyton glabrumが原因菌として考えられる (同定中)。治療はグリセオフルビン1日500㎎の内 服で2週間後には、か左!)の改善をみたが、内服継続 中であるo今回は、自験株につき、菌学的、電顕的検 討を加えた。 W21-10 0黒沢伝枝, W21-7 Systemic 症機転について ○広永正紀(滋賀医大) Trichophyton infectionの発 皮膚糸状菌か時にはkerion celsiのような準深在寄 生、希には白癖菌性肉芽腫のような深在寄生をするこ とは周知の通りである。従来の報告をみると、白癖菌 性肉芽腫の発症には宿主の免疫能の低下、とくに細胞 免疫の低下が重要な要因であるとされている。 演者は、なんら認むべき基礎疾患を持たない汎発性 白癖の患者が、長い経過の途中で突然皮膚・リンパ節 に白癖菌性肉芽腫を形成、その数年後には章丸、背髄、 脳に菌か転移し、ついに死亡するに至った一症例を経 験した。本症例を対象に、剛原因菌のvirulenceと抗真 菌剤に対する耐性獲得の有無、(2)宿主側の免疫機能の 異常の有無(血清の菌発育抑制作用、白血球系および リンパ球系機能、etc)を検討したので、これらの結果 をもとにヒトの深在性自癖の発生機転につき考察を加 えてみたい。 成人型ケルスス禿癒の3例 中嶋 弘(横浜市大) 昭和45年1月より現在までに経験したケルスス禿癒 は16例であった。そのうち成人例は3例あり,いずれ も最近(昭和52年以降)の症例であった。 成人例は いずれも女性例であった(小児例は男女ほぼ同数)。他 部位の自癖はいずれタ例においても認められなかった。 家族,同居者の自癖は3例中2例に認められた。臨床 的にはいずれの例も軽症ないしは中等度症で,1例に のみごく軽い白癖疹が認められた。原因菌は3例とも T. rubrumであった(小児例の原因菌は M. gypseum が7例, M. canisが3例, T. mentagrophytesが3例 で, T. rubrumは1例も認められなかった)。 成人例 はいずれもステロイドの外用を行っており,ステロイ ドの外用が発症の誘因ないしは増悪因子と考えられた。 W21-11、E176 毛嚢炎秘.白癖の1例 ○大井綱郎、川崎了(東京医大) 患者は23才男性、店員。特記すべき既往なし。 W21-8 白廊菌寄生毛髪の横断像 ○猿田隆夫、伊藤信一 (九大温研) 頭部白癖や眉毛部の目脂および自衛性毛酒などの場合、毛 髪に白御菌の寄生することは周知のことである。また毛髪に たいする白痴菌の奇生形態、胞子の大きさ、位置的関係を明 らかにすることは診断上覗要なこととされているパ寅者らは 随々の毛髪寄生性の白脂において、その毛髪の横断像を凍結 切片法で観察した。その結果、菌種によってさまざまな形態 を観察することができたので供覧する、 昭和53年7月、両足背の皮疹に気付き、某医にて加 療するも軽快せす、下腿・前腕に拡大。昭和55年2月 血尿精査のため本院内科に入院、当科を紹介さる。 初診時、四肢に毛嚢一致性の丘疹及び膿庖が散在。 毛嚢炎の診断のもとに抗生物質内服及び外用療法を行 うも軽快せず、次第に体幹・頭部に拡大。生検にて毛 嚢内壊死組織に菌要素を認め、膿及び毛の培養にて菌 を分離した。グリセオフルビン内服、タロトリマソー ル外用にて治療中。 355 W21-12. E177汎発性に皮疹のみられたSporotrich OS-isの1例 ○立田京子 山田瑞穂 青島忠恕(浜松医大) 71才女。数年前より関節リウマチにてステロイドをはじめ各種 抗リウマチ剤の治療を受けていた。昭51年3月頃より左前腕伸側 に潰瘍出現。莫病院で,Sporotrichosisと診断され,温浴療法とヨ ードカリ内服により約1年半後治癒した。昭54年8月より再び同部 に膿庖を伴う結節を生じ,しだいに拡大し潰瘍化した。その後左 上肢に上行性に数個の結節が出現し,また右前腕にも同様の皮疹 を生じた。左前腕の潰瘍辺緑の皮下硬結および結節より生検,培 W21-15、E179 紅色陰癖 ○工藤清孝、滋野 広、安藤不二夫(名大) 高間弘道(加茂病院)池谷敏彦(愛知医大) 57才と77才の女性、膝寓、乳房下面、臍部等に紅褐 色の境界明瞭な落屑局面がある。ウッド燈で赤色蛍光 を発し、鱗屑を鏡検すると、Gram陽性悍菌が見られた。 また、病理組織にて角層に菌体が認められた。この2 症例についてさらに、走査型及び透過型電頭的観察を 行なった。 養。組織学的には表皮肥厚,真皮に単核細胞,好中球,巨細胞より なる肉斗嶮と壊死が,PAS染色で無数の菌要素が認められた。培 養によりSporothrix schenkiiが証明された。検査ではCRP2十, 総i白,アルブミンの低下,軽度の貧血があり,ツベルクリン,ス W21-16、E180 野兎病疹(結節性紅斑)を伴ないダニに 直接剌咬されて発病した野兎病の/例 ポロトリキン反応は陰性であった。カイロによる温熱療法を行 ○岡部俊一(平鹿総合病院皮膚科) 菅谷彪、豊嶋俊光(同農村医学研究所) い,皮疹はしだいに軽快したが,リウマチの悪化に伴い,両下肢に も潰瘍形成をみた。 症例クダ才女。昭和ぷぷ年6月7日横手市城南町の山の中 で、右の耳たぶのかゆいのに気かつき引つかいた所、マダ W21-13, E178 皮内反応に対するSporothrix sehenckll及び他のSporothrix属菌種の多糖体の抗 原性 ○倉田幸夫(金沢大) Sporothrix schenokllを含むSporothrlx属 の11種の菌株を, 0.5#ペプトン・0.5*酵母エキス・2 価ブドウ糖液体培地で25°C,7日間振倣培養,得られた 培養濾液を石崎らの方法(真菌誌,18:177-181)で処 理し,各菌種の多糖体ろ画分を得た後,その第1画分を用 いて皮内反応を行;なった. Sporotrlchosisの治療前 または治療後の患者と対照健常人におヽける反応陽性率(価) は次のようである(括弧内は対象):S. schenckll ア0.6(0 ), S. sclienckli var. lurlel S. curvleonla 4ろ。8(0 ), S. Inflata 56.ろ(o)。 4ろ.8(0), ニ様のものが落ちた。マダニの剌咬後約/∂日位より熱発 と全身倦怠感、右頚部の発赤腫脹で某医でセフアロスボリ ッ系抗生物質で治療寸るも不変なので来院。 現症:右の耳たぶの発赤と硬結、右頚部の波動をふれる角 様硬結、両下肢伸側の結節性紅斑、前腕手背のスイート病 様皮疹。臨床検査成績:赤沈の九進、rグロプリンの上 昇、cRP強陽性、、尿蛋白陽性、野兎病赤血球凝集反応血清 による菌凝集反応いずれも∂。2∂倍陽性。野兎病皮内テスト 陽性。右頚部の卿様硬結より得た膿から野兎病菌を分離。 臨床経過と治療:入院後アクロマイシンV/gの内服とゲ ッタマイシッtOmttの筋注により熱発も結節性紅斑も寸み やかに反応。その後内服をミノマイシン&gに変更し入院 β日目に退院。 本例のごとくマダニの剌咬後野兎病の発病したのは、大 原の報告についで本邦口例目。 他の7種はいすれもろ6以下(C)。 W21-17. W21,14 Kletisle工工a pneumonlae 真菌との血清学的交叉反応 ○石崎 宏,倉田幸夫(金沢大) K-7と E181 Yersinia enterocoiitica (Y。e)に よる結節性紅斑(E.N)の2例 ○池谷敏彦,水野栄二(愛知医大),高間弘道,中根嘉 郎(加茂病院),吉井才司(愛知病院),滋野 広(名 大),加藤義昭(名太一内) 0.5*ペプトン, 0.5価酵母エキス,2価グルコース透 析液体培地を使用し, Candida 良工址匹nS,A町er一 glllus fumlgatus, Trlonophyton menta.gro一 phytes, Sacoharomyces cervlslaeは22で,1週 間, Klebslella pneumonlae K−7は55°C,5日 間,それぞれ振礎培養。培養濾液を透析後1/5に濃縮,こ れに5倍量のエタノーノレを加えて得られた沈澱物をアセト 我々は第78回日皮総会においてY.eによる乙Nの 1例を報告したが,その峻同様症例を2例経験したので 追加供覧する。 第1例:38才女性, 5, 20 5, 30下痢5, 31 上腕痛,関節痛を来した。 ンで脱水乾燥し,抗原とした。これらの抗原と家兎抗 h工ebsie工工とt pneumonlae K-ア血清を用いた寒天内 第2例:36才女性, ゲル沈降反応によj9 2例とも驀便培養にてY. ,共通抗原の存在が証明された。 s 5 5, 5, 17発熱39°0, IfWl'm, 5, 2 9より両下腿にE.N発症, 発熱37°3' 0, 6, 20 s 5 5, 6, 10下痢,腹痛, E . N発症, 6, 28関節痛出現。 e , Oj群を分離し血清凝集 価の上昇を認めた。(各最高160倍, 1280倍) 同時に踊去2年間の加茂病院におけるE.Nの全症例 についてY.eの検索成績,症状,臨床検査成績につい て比佼検討したoその結果腹部症状(下痢,腹痛)を伴 うE.NについてはT.e感染を検索する必要があると思 われたので鄙告する。 6, 18 356 W21-18. E182 非定型抗酸菌感染症の1例 ○御子柴 甫,進藤泰子(信州大),松本願樹(同細菌), 望月正子(長野日赤) 19才,女性。家事手伝。熱帯魚の飼育経験なし。現 病歴:昭和54年10月頃誘因なく左肘部に2ヶ所廓様皮 疹出現し濃汁様排出をみたか疼痛はなかった。1ヶ所 は略治するも他方は拡大し潰瘍化した。現症:左肘部 から前腕伸側にかけ周辺部に軽度発赤,板状硬結を伴っ た潰瘍形成かある。一部辺縁は潜蝕性で周辺部を圧す ると淡黄色の惨出液を排出する。ツ反 16 ×19/24×26. 病理組織所見:表皮は一部浮腫性,真皮上層から中層 には血管周囲性に小円形細胞浸潤がみられる。主たる 変化は真皮中層から皮下脂肪織にかけての広汎な壊死 であり細胞浸潤は軽度である。その部にH−E染色で 淡紅色に染まる菌塊と思われる塊状物が存在し,それ はZiehl −Neelsen 染色陽性である。菌学的検査:生検皮 膚を1%小川培地に接種し27℃で培養したところ4W 目には淡黄色,S型菌集落が分離された。本学細菌学 教室でⅢ群(M.intracellulare)?と同定されたが現在な お検討中である。治療・経過:RFP3W内服後,中間 層植皮術施行。略治。 h'21-19. E183 Erytliema nodosum leprosum ( E M L) の1例 ○久野尚子(愛知医大),石垣 優(埼玉医大) 藤 井勝朗(愛知医大第四内科) ENLは通常lepromatous leprosyの患者の治療中, 約半数にあらわれるreactionalleprosy の一つとされ ているoわれわれは昭和54年8月左上背部痛,左上肢 の筋萎縮,左手の握力低下をきたし,当院神経内科で卜 euralgic amyotrophyの疑いのもとにプレドニソロン内 服療法後,突然ENLの症状を呈した症例を経験した。 症状は常に発熱,白血球増多,血沈充進,EH様皮疹が 同時に出現し,あたかもSweet症侯群を疑わしめるもの であった。当初神経症状がmotor一neureneの疾患を思 わせたこと, reactional phaseでないprimaryな皮疹 を認めなかったことなどより,診断確定までに長い時を 要した。「発熱を伴う皮疹をみた場合,まず第一に感染 症を考えよ」とはよくいわれることであるが,経過中種 々の感染症は否定したものの,この様な初発症状を呈し た場合,癩を考えるのは難しかった。 357 ワークショップ(W22)脂質‐正常と異常 4月5日(日) 9:15∼12 : 15 第3会場 主オーガナイザー 大城戸宗男(東海大) 副オーガナイザー 小 玉 肇(岡山大) 座長 皮膚の脂質代謝 9:15∼9:45 大城戸宗男(東海大) 猪 股 成 美(木戸病院) 教育講演 1.皮膚の脂質代謝 10分 松尾幸朗(東海大) − 般 演 題 2. Epidermal cyst 内容物の脂質分析 7分 ○大塚藤男(東京大),脊山洋右, 3. Linear sebaceous nevus syndrome lipogenesisについて の脂腺細胞の電顕的検討, 山川民夫(同一生化) 特に 7分 ○前田哲夫,須藤成章,諸橋正昭(富山医薬大) 特 別 講 演 9:45∼10 : 15 4.脂質代謝に関する最近の進歩 座長大城戸宗男(東海大) 30分 橋本 隆(信州大・生化) 過酸化脂質 10 :15∼11 座長 小 倉 良 平(久留米大・医化) 上 田 宏(名保衛大) 大城戸宗男(東海大) 教 育 講 演 5.細胞膜に対する過酸化脂質の作用 10分 小倉良平(久留米大・医化) 一 般 演 題 6.皮表脂質過酸化物に対するヒト表皮の抗酸化作用 7分 ○吉野和廣,松尾孝朗,穐利 豊,大城戸宗男(東海大) 7.スクアレッ過酸化物の細胞毒性 7分 ○山本綾子,永井 透,佐藤良夫(新潟大),猪股成美(同・木戸病院) 8.ラット実験的皮膚炎における血中および組織中過酸化脂質 7分 ○野村和夫,佐藤静生(弘前大) 9.紫外線照射による色素沈着と過酸化脂質 7分 ○上田 宏(名保衛大),早川律子,松永佳世子 (名大分院),請井智香子(名保衛大) 10.皮膚疾患における血清酸化脂質の検討 7分 ○高橋 誠(札幌医大),井村春光(札幌逓信),大月国司(旭川日赤) 358 リポ蛋白および黄色腫症 11 : 15∼12 : 05 教 育 講 演 11 リポ蛋白代謝と末梢組織脂質代謝 座長小 麻 玉 上 千 肇 (岡 山 大) 鳥 (山 口 大) 10分 小玉 肇(岡山大) 一 般 演 題 12.尋常性乾癖の血清リポ蛋白異常の面からの研究 7分 ○麻上千鳥,今村隆志,永井純子,原 曜子,藤田英輔(山口大) 13. Multiple myeloma に合併したdiffuse normolipemic plane xanthoma 7分 ○須藤 学,青柳 俊,金子史男,三浦祐晶(北海道大), 宮本顕二(同一内),慶松元興,今井 陽(同二生化) 14●黄色腫症の脂質形成過程について 7分 新妻 寛(東海大) 15.腹腔macrophage由来の泡沫細胞におけるコレステロール代謝 7分 ○小玉 肇,多田譲治,長尾 洋,荒川謙三, 赤木 理,野原 望(岡山大) 総 合討 論 12 : 05∼12 : 15 座長大城戸宗男(東海大) 小 玉 肇(岡山大) 359 W22-1 O松尾単朗 皮膚の脂質代謝 (東海大) 皮膚での脂質生成部位は,表皮,皮脂腺,皮下脂肪 戦に大別される。表皮では,角質細胞の細胞膜を含め た細胞構造詣質のために,皮脂腺では,皮表に排泄さ れて種々の生理的役割をはたす皮脂のために,皮下脂 肪戦では,栄養と関連してエネルギー源蓄積のために 種々の脂質が生成されている。皮膚科領域で問題と々 るのは前二者である。 表皮の脂質成分は,角化現象と関連して興味がもた れ,細胞膜を構成するリン脂質とコレステローノレ代謝 が重要である。コレステロール合成阻害剤による魚鱗 癖,コレステロール合成系酵素の一部欠損が証明され た伴性遺伝性魚鱗新座ど,表皮脂質生成障害が角化異 常症を生ずることが知られている。皮脂腺で生成され る中性脂肪,ワックス,スタフレン座どは,尋常性座 倫,脂漏性皮膚炎。巌風などの発症に関与している。 W22-2 Epidermal cyst内容物の脂質分析 富に認められた。これらのグリコゲン粕粒は脂腺細胞 が成熟するにつれて減少していた。辺縁部細胞間にメ ラノサイトか観察された。分化した脂腺細胞では滑面 小胞体,ゴルジ装置の発育が良好で,本症の脂腺細胞 における脂質生成の場は滑面小胞体を中心とする膜系 であると考えられた。本症では正常の脂腺細胞に比し。 sebaceous transformationの度合が不活発であり, 緩除に行なわれていることが電顕的検討から推測され た。 W22-4 脂質代謝に関する最近の進歩 橋本 隆(信州大・生化) 脂質は多種多様の物質の集団である。それ故その生物学 的役割も巾広く,その代謝変動ときわめて密接に関係して いる疾患が数多くある,臓器の脂質組成,存在量,存在様 式は体内臓器間の輸送や合成・分解によって規定される・ 脂質の多様性のため,その全般にわたる代謝について述べ ることに制約があるので脂質の中心的物質である脂肪酸を ○大塚藤男(東大皮膚科),脊山洋右,山川民夫(呵大第1 主としてとりあげ,その合成・分解に関する最近の進歩を まとめたい。 生化) 現在では脂肪酸合成経路,神速反応段階,律速酵素の活 Nicola idesはepidermal cyst内容物C極質分析をT LCKより行ない,パターンが表皮と同様であると報告して いる。我々は巨大t epidermal cyst(wet weight : 125g) を得,その内容物の脂質分析を行う機会を得た。内容物 の一部からFolchの方法によりcrude 1ipidを抽出(recovery:254*),これをBarron & Hanahanの方法に従って 単純脂質の分画を行った(recovery:ほぼ100剤。各ピー クの同定はTLC, GLC, IR{Cより既知脂質と対比した。 重量比でCholesterol ester 8.8価,Triglyceride4.8*, Cholesterol 36*, Cer皿ide 95%,リン脂質17価であ った。Cholesterol ester , Triglyceride ,Cerami deについては各々脂肪酸分析を行ない, Cholesterol esterではオレイン酸池多く, Triglycerideではオレイン 性調節機構の概略はほゞ明らかにされている。合成速度は 1時間以内で変動する短期の調節もうけているが,病態的 観点から持続性の変化がより重要な意味をもつ。このよう カ;持続性の変化即ち長期の調節は酵素量の増滅にもとずく ものである。酵素量の調節は代謝物質を介し, DNA-mR NA間の代謝変化によるものであるとのレベル戈で明らか にされた。 脂肪酸分解の主経路はβ一酸化であり,ミトコンドリア にのみ局在されるとされてきた。しかし最近ペルオキシソ ーム(シクコボディ)にも独自の新しいβ一酸化系がある ことがわかった。この系の活性はミトコンドリアの系のそ れに比べ外的因子によって容易に変化することなどが明ら かにされ,その生理的・病態的役割に関し今後の研究成果 が期待される段階となった。 酸がやや少痙くパルミチン酸がやや多い。Cerari!ideではオ レイン酸が少なく,パルミチン酸,ステアリン酸,長鎖脂肪 酸が多い憲どの結果を得た。また何れにおいても奇数鎖 の飽和ないし不飽和の脂肪酸を認め,不飽和脂肪酸(monocne )の二重結合はj9の位置にあった。 W22-3, E131 L lnear sebaceous nevus svndro一一 meの脂腺細胞の電顕的検討,特にlipoeeiiesisについて ○前田哲夫,須藤成章,諸橋正昭(富山医薬大) 症例は4才,女児。生下時より左側の頭部,顔面, 口腔,躯幹,四肢に黄褐色の線状でやや隆起する皮疹 あり。組織学的にいずれの皮疹も脂腺の肥大をみる。 脊柱側弩,左顔面の萎縮,左ll下肢の肢位の異常およ び運動不全,左眼の外斜視,両眼のnys tagmusあり。 脳波で右側にslow waveあり。本症の各部位の脂腺細 胞を電顕的に検討した。 正常にみられる脂腺細胞に比し,腺辺縁部細胞は数 層の未分化細胞からなり,グリコゲン穎粒が量的にa W22-5 細胞膜に対する過酸化脂質の作用 小介良平(久留米大・医・医化学) 過酸化脂質の細胞毒性が注目されるに至ったが、皮 膚科領域でも皮膚疾患の成因の1つとして関心をもた れて来た。我々はその細胞毒性を細胞膜レベルで観察 するため、分離したミトコンドリアを用いるモデル実 験系について検討を試みた。ミトコンドリアに紫外線 を照射すると、その照射線輦に応じて、膜の不飽和脂 肪酸が過酸化物を形成するが、同時に膜は膨潤し、膜 蛋自の荷電異常や呼吸鎖障害が発現してくる。つぎに 予じめメチルリノール酸に紫外線を照射して過酸化物 を形成させ、これを直接にミトコンドリアに作用させ ても同様の膜障害の所見が観察された。しかし、これ らの所見は、ビタミンB2、GSH、パンテチン、SOD等 を併用すると軽減する事より、過酸化脂質による膜障 害には、free radicaI の関与が考えられた。抗酸化剤 の臨床的応川にも期待が得られるに至った。 360 W22-6. E192 皮表脂質過酸化物に対するヒト表皮 の抗酸化作用 ○吉野和廣,松尾車朗,穐利 豊,大城戸宗男(東海大) 皮表脂質は長波長紫外線(UVA)の照射をうけて 脂質過酸化物を生成する。この過酸化物に対するヒト 角質層内に含有される抗酸化作用物質について検討を 行々つた。 ヒト皮表から採取した皮表脂質へUVAを照射する と脂質過酸化物が増加するが,皮膚へ直接UVA照射 を行々いその後に採取した皮表脂質中には脂質過酸化 物は増加し71とい。皮表脂質過酸化物の懸濁液にヒト腹 部表皮から抽出しfta ケラチyタンパjクを添加した ところ,過酸化物量を減少させ,抗酸化作用が認めら れた。他のタンパタとして牛血清アルブミン,ミルク カゼインもa−ケラチンと同様の抗酸化作用があった。 d−トコフェロール,ブチルハイドロキシトルエンの 抗酸化作用○パターンも「司じであった。iだ皮表脂質 過酸化物とa−ケラチンタンパタとの反応物であるク ロロホルム・メタノール可溶性螢光物の生成について も調べた。 W22-ア. E193 スクアレン過酸化物の細胞毒性 o山本綾子,永井 透,佐藤良夫(新潟大) 猪股成美(同・木戸病院) われわれはすでにスクフレy由来過酸化物が低濃度 で細胞毒性を有することをヒト表皮培養細胞を用いて 検討し報告した(第4回皮膚科研究同好会)。今回は 各種濃度の過酸化物を溶解したKS添加RPMI1640培 養液を作成し,この液でヒトリンパ球を0.2me当たり 2×105個に調整した。 リンパ球は炭酸ガス培養器中で 一晩培養した後,生細胞数をトリパノブルー液を用い て算出し,細胞障害率を求めた。この結果細胞障害率 と過酸化脂質濃度(MDA値)に相関がみられた。しか し一部では6nM/; 「という低濃度におヽいても高い細胞 障害性を示したため,過酸化物の質的差異によるもの と考え,TLC訟よびGLC Kニより分析を試みた。 W22-8. E19i│ ラット実験的皮膚炎における血中およ び組織中過酸化脂質 ○野村和夫,佐藤静生(弘前大) ラットにPUVA皮膚炎を作製し,種々の条件下で皮 疹の肉眼的組織学的観察,血中および皮膚組織中の過 酸化脂質量を測定した。 I.ビタミンE欠乏食飼育群で照射後経時的に変化 をみた場合には,時間が経過するにつれて皮膚組織中 の過酸化脂質量は対照群に比較して明らかに上昇した か,血中では差かみられなかった。 2.普通食飼育群で照射前および照射後に抗酸化剤 であるビタミンB2, Be, E,パントテン酸,ステロイ ドを投与し,組織および血中過酸化脂質に対する影響 をみたが,現在のところ一定の傾向は認められない。 3.PUVA照射とFree radical 生成の可能性,そ れに対するSuperoxide dismutaseの影響も調ぺた。 W22-9 紫外線照射忙よる色素沈着と過酸化脂 質 ○上田宏(名衛大)、早川律子、松永佳世子(名大分 院)、鵡井智香子(名衛大) 露出部皮膚では被覆部に較べて皮脂過酸化脂賀の多 いことが知られている。近年,メラニンとフリーラヂ カルとの関係についての報告もある。今回,われわれ はUVB照射後の皮膚色調の変化と皮脂過酸化脂質の 関連を調べた。正常人背部(C 1.5MEDのUvbを照射 し,照射前,翌日,一週間後に測色色差計で皮膚測色 値を,局所の過酸化脂質量を八木法で測定した。皮膚 測色値と皮脂の過酸化脂質値の間に相関関係が認めら れたが,血清過酸化脂質値と測色値には相関が忿かつ た。 W22-10. の検討。 E195 皮膚疾患`における血清酸化脂質 高橋誠(札幌医大),井村春光(札幌逓信), 大月国司(旭川日赤) 過酸化脂質と種々の疾患あるいは老化との関連は 知られている。今回我々は種々の皮膚疾患患者の血 清過酸化脂質を測定し検討した。 対象は当科人院,外来患者おヽよび健康な職員の10 オから86オまでの男75例,女56例の計131例である。 測定は血清を用い,八木法にて行左い,単位は n mol/fnl 血清で示す。全症例の平均は2.96±0.99 であった。年令別にみると,10代で最も低く,年令 と共に上昇するが,7oオ以上では再び低下を示した。 健康例および軽度の限局性病変のみの41例を抽出し 健康対照とした。健康の平均は2.4 3±0.57であり,年 令別では全症例と同様々傾向を示した。平均値の差 は疾患による過酸化脂質の上昇による。疾患別では, 膠原病3.8 9土0.92,尋常性乾癖3.51土1.25,細網症3.4 0 士1.09,悪性腫瘍3.30士0.82,帯状庖疹3.02土0.63,と 高値を示したが皮膚炎群,良性腫瘍,尋常性白斑等 は健康との間に差は認め左かった。 W22-11 リポ蛋白代謝と末梢組織脂質代謝 小玉 肇(岡山大) 血漿リポ蛋白の代謝を末梢組織での脂質代謝との関 連で概説する。特にLDL pathwayとScavenger pathwayの概念にしたがって黄色腫や動脈粥状硬化症にお ける泡沫細胞の出現機序について述べ,問題点を指摘 する。 361 W22-12, の研究 E196 尋常性乾癖の血清リボ蛋白異常の面から W22-14. E198 黄色腫症の脂質形成過程Kついて ○新妻 寛(東海大) ○麻上千鳥,今村隆志,永井純子,原 曜子,藤田英輔 (山口大) 黄色腫症の実質細胞内に蓄積する脂質が、如何なる順序、 過程を経て、それぞれK固有の脂質として形成蓄積される も0であるのか、等に関する機序については、甲論乙駁あ ぷ}、定説がない。この一因として、現在の所、脂質を電顕 レベルで検討するに足る程の固定法か技術的に困難である 正脂血症を示した尋常性乾廓患者血清についてリボ蛋白 の面から異常の有無を検討してみた。血清リポ蛋白をリボ 蛋白朗Gディスク電気泳動法によって検索した結果,局面 型の定型的乾瘤皮疹の多発した症例においてはBroad mid一一 band Lps (BMB)が,また局面型皮疹が頭部に限局した症例 では, Lower midband Lps(LM)がそれぞれ検出された。こ れらのbandのクロフイプレート及ぴVBi2の洽療による推 移を検討した結果,BMBはHyperpte-βを伴うBMBから ことが考えられている。 通常の包埋法の他、脂質固定法、シギトニン固定法、メ ンニy酸固定法忿どによ凱結節性黄色腫、黄色肉芽腫の 脂質形成過程について、電顕的に検討し、いささかの知見 を得たので報告する。 Hyper pre-βを伴わないBMBへの移行によって生じ,その 後はμこまで移行せず固定する傾向が認められた。 一方 LMはHyper pre-/S及びHyper丿からnormalβのI誕への 移行によって生じ,さらに一過性に正常像に復するのが認 められた。Hyper pre βあるいはHyperメタからBMBあるい はnormal芦のLMへ0変動した症例について行った超遠 心分析法による浮上定数及びネガティプ染色電顕像により 測定したリポ蛋白粒子の大きさからこれらの両bandは VU)L及びLDLとの中間に位置する中間体リボ蛋白質であ ることが認められた。 W22-13, E197 Mu1tIp 1e my e 1 omaに合併した diffuse no ;mo 1 i pern i c p 1 ane Xan t homa O須藤 学,青柳 俊,金子史男,三浦祐晶(北大:), 宮本顕二(同第一一内科),慶松元興,今井 陽(同第 二生化) 症例。61オ,男。初診,昭和55年3月19日。昭和 54年11月,某医で黄色の皮疹を指摘された。昭和55 年1月,全身倦怠感か出現し,高蛋白血症として北大第 1内科に入院した。 皮膚所見:頭,旅寓,外陰部を除く全身に,黄色斑を 認める。 検査所見:蛋自分画で,高カンマグロブリン血症を示 し,1型lgGの著しい増量を認めた。血清補体価では, 低下`を示していた。骨髄像では, myeloma eel 1の 増加をみた。 皮膚病理組織学的所見:真皮に泡沫細胞か散在し,脂 肪染色陽性。 脂質生化学的検査:血中にVLDLの低下を示し,HDL 分画でt r i gIycerideの増加をみた。黄色腫組織の脂 質成分にお・いても, tfigjicerideの増加を示していた 本症においては, 1ipopバjtein an ti body 成され,皮膚に沈着し,黄色腫か生じたものと考えられ る。 c(xll)lexか形 W22-15. E199 腹腔ma r・phage由来の泡沫細胞にお けるコレステロール代謝 ○小玉 肇,多田護治,長尾 洋,荒川謙三, 赤木 理,野原 望 (岡山大学) 我々は高分子デキストラン硫酸皮内局注法により作 成した実験的家兎黄色腫組織におけるコレステロール 代謝を検討し,組織内にコレステロールが蓄積すると 組織内コレステロール合成が抑制されると同時に,主 として血清由来の脂肪酸の内,オレイン酸とacyl-CoA: cholesterolacyltransferaseの作用によりコレステロ ールのエステル化が促進することを認めた。一方,正 脂血海摸および高コレステロール食を投与した高コレ ステロール血症海狽の腹腔内にデキストラン硫酸を注 入したのち採取した腹腔macrophageでは,後者では脂 質蓄積の著明な泡沫細胞になることを確認した。今回 は単離した泡沫細胞におけるコレステロール代謝を検 討する目的で,脂質含量の多いmacrophagcと少ない macrophageにおけるコレステロール代謝を検討した結 果,実験的黄色腫組織におけると類似する結果を得た ので報告する。 363 ワークショップ(W23)薬疹 4月5日(日) 9:15∼12 : 15 第4会場 主オーガナイザー 利 谷 昭 治(福岡大) 副オーガナイザー 永 井 隆 吉(横浜市大) 薬疹の発症と診断 9:15∼10 : 15 座長 永 井 隆 吉(横浜市大) 教 育 講 演 1.実験的薬疹り免疫学的性状 20分 ○池滓善郎,村上淳子,北村和子,永井隆吉(横浜市大) 2.薬疹の発生機転と診断 −とくにリンパ球幼若化試験の診断的意義について− 20分 ○鈴木伸典,廣田稔夫(大阪市大) 最近の新薬による薬疹 10: 15∼12 座長 利 谷 昭 治(福岡大) 一般演題 3。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(D.S.S.)によると思われる 多形紅斑型薬疹の1例 10分 ○峯村協成(平塚共済),内山光明,稲谷 真(横浜市大) 4.チオラによる薬疹の2例 10分 ○清水良輔,串谷三十四,玉置昭治(神戸大) 5。肺癌のレーザー・ヘマトポルフィリソの副現象(薬疹) 10分 5.肺癌のレーザー・ヘマトポルフィリソの副現象(薬疹) 10分 ○権東 明,徳田安章(東京医大),加藤治文(同外科) 6。最近の山口大皮膚科における薬疹例 10分 安野秀敏(山口大) 7.富山市民病院における薬疹 10分 ○松本線一,中村 聴(富山市民) 8.最近5年間にみられた薬疹について 10分 ○中内洋一,牛嶋津賀手,新村由美子(三薬病院) 9.新薬による薬疹の2,3 10分 安野洋一(京府医大) 10.最近の2,3の新薬による薬疹 10分 利谷昭治(福岡大) 11.ライエル型薬疹の2例 10分 ○岡本昭二,石田久枝,安良岡勇(千葉大) 12.最近の薬疹について 10分 山田瑞穂(浜松医大) 13.最近の新薬についてのまとめ 10分 永井隆吉(横浜市大) 364 W23-.L E201 実験的薬疹の免疫学的性状 ○池渾善郎,村上淳子,北村和子,永井隆吉(横浜市大) 我々は,半合成のpenicillinおよびcephalosporin系抗生 剤によるgeneralized rash (GR)を作製することが出来 た。このGRの免疫学的性状を検討し,以下の成績を得 た。 ①GRの経時的変化は遅延型。②GRは組織学的に遅 発性の好塩基球浸潤。③GRは感作リンパ球でtransfer 可能。④GRと皮膚反応は,交叉反応ではほぽ同じ,強 さの程度は相関せず。⑤不完全アジュバント加薬剤感作 の場合,Cy処理でGRは増強。⑥感作前の薬剤投与によ り,皮内反応の硬結は消失し,GRは余り変らず。 以上より,GRは,古典的遅延型反応とは,やや趣き は異にする細胞媒介性の全身性遅延型反応であることか 推察された。 W23-2 薬疹の発生機転と診断 -とくにリンパ球幼若化試験の 診断的意義についてー一一 ○鈴木伸典、廣田稔夫(大阪市大) W23-i)、E203 チオラによる薬疹の2例 ○清水良輔、串谷三十四、玉置昭治(神戸大) チオラは臨床的に特徴ある薬疹を発症するとの報告かある。 我々もチオラ内服で、かなり類似の症状を呈した2例を経験 した。症例1 (242回大阪地方会で報告):27才女、既応にレ イノー病。チオラ内服開始8日目より発熱、次いで全身に癈 廊性紅斑。症例2:31才女、慢性関節リウマチの疑いの既応。 チオラ内服開始14日目より発熱、関節痛に始まり、紅皮症様とな り、表在性リンパ節腫脹、眼膀、下腿浮腫を認めた。2例共 に内服テストにより皮疹の再熱、未血好酸球増多を呈す。第 2例はlgE高値、RAテスト、DNAテスト陽性、チオラ原未 によるリンパ球幼弱化反応は、第1例微量全血法にて陰性、 第2例は微量全血法にて陰性、分離法にて陽性。第2例目は 0.5%チオラのパッチテストでも陽性。既報の6例と我々の2 例よりチオラの薬疹は全例女性で、4例は膠原病近縁疾患の 既応を持ち、本薬疹は臨床的にも発熱、リンパ節腫大を屡々 示し、自己免疫疾患との関連性を強く示唆する。 W23ヽ5 肺癌のレーザー・ヘマトポルフ4り ンの副現象(薬疹) 薬疹におけるin vitroでの診断法としてリンパ球幼若 化試験CLTTlを検討した。すなわち、固定薬疹、麻疹型な いし多形紅斑型薬疹、TEN、紅皮症型および苔桁型薬疹に ○権東 明,徳用安章(東京医大) 加藤治文(同外科) ついて、その起因薬剤を自己血清ないしヒト表皮可溶性分 近年ヘマトポルフィリンとレーザー光線Kよるカン の診断治療が試みられているが,前者による副現象が 両と同時に添加しリンパ球培養を行ないその幼若化反応を 'H-TdRの取り込みを指標として測定した。リンパ球培養 は比較的操作が簡便な微量全血培養法を用い、皮疹寛解期 に行なった。その結果、それぞれの型の薬疹で比較的多数 の症例がLTT陽性を示したが、内服誘発にて確認した薬剤 でのLTTでも陰性を示す例がみられた。さらに、ヒト可溶 注目される。今回我々はそれに相当すると思われる症 例を経験したので報告する。 症例:34才女子。初診昭和55年9月16日。当院外科 入院中。肺癌のレーザー光線治療の前処置として,2 日前ヘマトポルフィリン20 CO静注。初診の前日露出部 性分画添加LTTについても、とくにTENの症例などに陽性 を示す例が認められ、その発生機転を解明する意味で興味 位に浮腫性紅斑生す。薬疹を疑い皮内反応,スクラッ チ試験,貼布試験,光貼布試験,他働転嫁試験などを 深い。 おこ痙った。その結果,ヘマトポルフィリン○代謝産 物による光毒性反応と考えられる。 一方、同一薬剤でも型の異なる薬疹を発生せしめる事実 に注目し、金製剤による各種薬疹についても、金製剤によ るLTTを検討した。 W23-6 W25-3. E202 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム (D.S.S.)によると思われる多形紅斑型薬疹の1例 ○峯村協成(平塚共済)内山光明,稲谷 真(横浜市大) 46才,女。初診;昭和54年7月13日。家族歴:特記事 項なし。既往歴:36才,虫垂切除術。6月18日子宮筋腫 で手術,6月25日より7月13日まで婦人科でレダフェロ ン,エピナール,タンデリール,胃腸薬等々服用,7月 8日より口腔内に粘膜疹,口唇,外陰部,両手,両上下 肢に紅斑,小水庖出現し晦感あり。初診時,両上下肢に 紅斑,小水庖。一般検査で異常を認めず。病理組織像で は表皮,真皮の浮腫と血管周囲の単核球の浸潤,同一一切 片ギムザ染色で,真皮浅層から中層には好酸球,好中球 が散見。蛍光抗体直接法,間接法とも陰性。皮疹消失後, タンデリール,レダフェロン,トランサミン,エピナー ル,胃腸薬,ケフリン等々で貼布試験。結果はレダフェ ロン(D.S.S. +フマール酸第!鉄)が陽性,さらにDS.S. フマール酸第1鉄,レダフェロン,フェログラジュメッ ト,鉄クールSなどで貼布試験。結果はD.S.S.,レダフェ ロンが陽性,健常者は陰性。内服試験は行っていない。 最近の山口大皮膚科における薬疹例 安野秀敏(山口大) 昭和50年より山口大皮膚科外来を受診した薬疹例中、誘 発試験陽性66例、疹型および除外試験より金製剤による薬 疹と考えたS例、除外試験および貼布試験からペニシリン による薬疹と考えた2例、計73例について統計的観察を冰 べるとともに、特に興味をひいたエタンブトールあるい チオプロニンによる苔疸型薬疹各1例、およびピリドキサ ールフオスフェ・イト(Vit. B6)による茸麻疹型薬疹、コン ドロイチン硫酸注射薬による播種状紅斑丘疹型薬疹、なら びにフトラフール皮膚炎の各1例を報告する。 W23-7 富山市民病院における薬疹 ○松本瞭一、中村聴(富山市民病院) 昭和45年より55年に至る11年間の当院で経験した 薬疹について統計的観察を行った結果について、特 にその年令、疹型、頻度、原因薬剤の推移について 述べる。稀な例としてはポララミン、チオラによる ものがあり、新薬としてはヤマシリン、ブリセフ、 セフメタソンなどによるものが出はじめている。 χ 365 W23-8 最近S年間にみられた薬疹について ○中内洋一、牛嶋津賀子、新村由美子(三楽病院) W23-12 薬疹患者を診擦する際には、薬疹の本質上、原疾患と発 疹がオーバーラップしている場合が多く、その発疹が薬剤 由来のものか、その他の原因(ヴィールス、細菌毒素などj によるものか、判断の困難な楊合が往往にみられる。我々 は最近5年間において薬疹と診断した症例につき、統計的 に検討を行ない、本院における薬疹患者の傾向、及び、数 例の症例につき報告したい。 従来とかく、薬疹はアレルギ一性であると考えられや すかったが、それ以外の機序について、たとえばgenetic な面とか、metabolismについても検討する必要があると 思われる。 かつて薬疹の過半を占めていた固定薬疹は奢るしく滅少 し、播種状紅斑丘疹型ないしいわゆる多形紅斑型のものが 多くなって来ており、この発生機序の解明は極めて困難で ある。光線過敏症型における光毒性反応、光アレルギー性 反応の弁別は容易ではないし、紫外線のみならず可視光線 、赤外線に対しても考慮が払われなければならないかも知 W23-9 新薬による薬疹の2、3 安野洋一(京府医大) 近年の薬疹は固定疹型の滅少と汎発型の増加、罹患患者 の年令層の拡大がみられるとともに、原因薬剤の多種化が 指摘されている。 最近遭遇した新薬による薬疹の2、3を報告し、あわせ て昭和43年から5S年までの13年間に京都府立医科大学皮膚 科で診断された薬疹の原因薬剤についても言及したい。 W23-10 最近の2、3の新薬による薬疹 利谷昭治(福岡大) 最近新しいタイプの降圧剤による薬疹および非ステロイ ド抗炎症剤によると思われる薬疹を経験したので報告する'。 W23-11 ライエル型薬疹の2例 ○岡本昭二二、石田久枝、安良岡勇(千葉大) 32才男子。急性尿道炎のためコ・トリモキサアー ル(バクタ)1日4錠の内服療法を続けていたところ 、内服14日目より高熱とともに全身にびまん性紅斑 が生じ、16日目には広範なぴらんのために、多量の 惨出液が認められた。ニコルスキー現象陽性で、肝 障害を伴っていた。プレドニソロン投与と補液によ り軽快。 34才女子。6年前よりリウマチ性関節炎があり、 3ヵ月前より金チオリンゴ酸ソーダ剤・週1回25mgの 筋注を受けていた。項部の疼痛のためクロルメザノ ン(トランコパール)1日3錠とジクロフェナック・ ソーダ(ボルタレンj 1日3錠の内服後、11日目に 38‘C以上の発熱とともに、ほぼ全身にびまん性紅斑 が出現し、15日目には水庖と表皮の剥脱が生じて、 ニコルスキー現象が陽性となった。肝障害も併発し ていた。ブレドニソロン投与とともに補液にて加療 した。原因薬剤としてクロルメザノンを推定してい る。 最近の薬疹について 山田瑞穂(浜松医大) れぬ。抗結核剤によるペラグラ様皮疹はペラグラそのもの と考えられる。安易に考えられている湿疹型薬疹、貼布反 応の判断にも慎重さが望まれる。 最近扁平苔唐様の薬疹が非常に増加し、その原因薬剤と しては、降圧利尿剤、抗癌剤、特にいわゆる脳代謝促進剤 によるものが多い。この発生機序は不明であるが、dose dependentであり 、また、agingの問題を無視できない。 エリテマトーデス 様皮疹、D−ペニシラミンによる天庖謄 様皮疹その他の皮疹、Schamberg様皮疹、いわゆるクロレ ラ疹などの出現から、将来次々に種々の薬物が登場して来 て、全く違ったタイプの薬疹が続々と登場して来ることも 考えられる。 高カロリー輸液、ラクトレスミルクによる腸性肢端皮膚 炎(様皮疹)の出現は、薬疹の発生を考えるにあたって、 重大な示唆を与えるものであろう。伝染性単核症においで ABペニシ 率に皮疹を発現することなどか ら、生体例の諸因子を無視できない。 極めて多剤が安易に投与されている現況に鑑み、薬物相 互間のinter-actionについても考慮が払われなけれぱな らず、原因薬剤をチェックする方法(in vitro、invivo とも)に対する認識も改められなければならぬと思われ4 W23-13 最近の新薬についてのまとめ 永井隆吉(横浜市大) 各演者の症例のまとめを行なうとともに、今後の薬疹に たいする診断、発症機序、考え方などについても言及する。 367 ワークショップ(W24)炎症細胞 4月5日(日) 9:15∼12 : 15 第5会場 主オーガナイザー 古田彦太郎(長崎大) 副オーガナイザー 山 本 昇 壮(島根医大) 座長吉田彦太郎(長崎大) 山 本 昇 壮(島根医大) 教 育 講 演 1.皮膚での好酸球の動きと働き 20分 吉田彦太郎(長崎大) 一般演題 2.人卵膜に含まれる好酸球遊走因子 7分 ○太藤重夫(京都逓信),田上八朗(浜松医大), 野村 宏(京都大),冨士森良輔(京都大・形成) 3。イッドメサシッによる好酸球遊走活性 7分 ○田中 章(岡山済生会),肥田康子(岡山大),西本正賢(呉共済) 4.小児全頭脱毛症の2例 一頭皮病巣部におけるマスト細胞と好酸球遊走について− 7分 ○大久保正己,伊藤 隆,池川修一,秋山純一(信州大) 5.接触アレルギーのCBH因子による好塩基球のchemotaxis 7分 ○土居敏明,片山一朗,西岡 清(大阪大) 特 別 講 演 6.炎症におけるマスト細胞の役割 30分 山本昇壮(島根医大) 教 育 講 演 7.好中球と免疫応答 20分 野口義圀(帝京大),共同研究者:古潭修一 一 般 演 題 8.胎生皮膚組織球の研究(第一報)一超微形態と細胞性状− 7分 ○高橋 博,飯島 進(福島医大) 9,環状肉芽腫にみる肉芽腫性炎症について 7分 ○岩月啓氏,田上八朗,青島忠恕,立田京子,山田瑞穂(浜松医大) 10.コルヒチンによるDNCB一次刺激性皮膚炎の抑制 7分 ○宮地良樹,滝川雅浩,今村貞夫(京都大) 11.遅延型皮膚過敏症の抑制機構について 7分 ○馬場 徹,矢尾板英夫(筑波大) 特 別 講 演 12.炎症反応による免疫応答の増幅とその機構 30分 ○吉永 秀,中村修二,後藤久美子(熊本大・免疫病理) 368 W2恥1 皮膚での好酸球の動きと働き 吉田彦太郎(長崎大) W24-'), E205 小児全頭脱毛症の2例-一一←一頭皮病巣 部におけるマスト細胞と好酸球遊走について ○大久保正己。伊藤 隆,池川修一,秋山純一(信州大) 好酸球機能が明らかにされはじめたのは比較的最近のこ とである。現在ほぽ確実と認められている機能としては、 症例1,3才,女児。生後6ヵ月頃より円形脱毛か |型アレルギーに対する調整機能と寄生虫に対するkilling effectである。|型反応の調整はhistaminase、arylsul― fatase、phospholipaseなどによるヒスタミンその他の化 学伝達物質の不活性化およびヒスタミン遊離抑制物質の放 出、さらには免疫複合体の貧食などによってなされている。 われわれは14日PCAにおいて、好酸球は惹起后きわめて 早い時期に血管内で脱穎粒をきたすこと、その后に正常好 酸球が組織に浸潤して脱穎粒をきたすことを電顕的に認め、 穎粒のもっcytotoxicityの意義について検討中てrある。 またアトピ・一性皮膚炎では末梢血好酸球は増加しているが、 微細構造上の異常を示す細胞が多く、また皮膚でのヒスタ ミン遊離に対するchemotax isの低下がみられることが多 い・、さらに皮膚病巣では好酸球浸潤は意外に少ないことも 認めている。これらの事実は同皮膚炎の難治性と関連する のではないかと考えている。 以上の所見につき若干の文献的考察を加え、好酸球の皮 膚での動きと働きの概略を説明する。 ら全頭脱毛へ,次いで眉毛の脱毛をみる。ツ反陽性。 IgE256.5U/mlt, 症例2,6才,女児。2ヵ月前より全頭に脱毛拡大。 ツ反陰性。IgE 766.9り/m1. 両症例共に発育正常,歯牙,爪に異常なし。一般検 査正常。アトピー素因あり。 病理組織学的所見。両症例共に発育不良の毛嚢周囲 および毛嚢下部結合組織内に多数のリンパ球,および 組織球のほかマスト細胞が増加し,脱穎粒1忍められる。 また,好酸球の遊走かある。マスト細胞の増加,細胞 崩壊および好酸球遊走は病的機構に関与し,前者から の遊離化学物質は発毛に対し抑制的に働く可能性を示 唆している。毛嚢部のIgG,A,M,C3の沈着は認められ ない。 症例1はプロピオン酸クロペタソールクリームの外 用により発毛良好,症例2はドライアイス療法により 一部発毛をみた。 W2')-2,E204 人卵膜に含まれる好酸球遊走因子 ○太藤重夫(京都逓病),田上八朗(浜松医大),野 村 宏(京都大皮),富士森良輔(京都大形成) W2恥5 接触アレルギーのcBH因子による 好塩基球のChemotaxi s 土居敏明,片山一朗,西岡 清(大阪大) 植皮恵皮部に人卵膜を生体練帯として用いると,そ の下の真皮に好酸球の浸潤が見られる。それで以下の 接触アレノレギー感作モルモヅト血清中tC C B H (cutaneous basophiI hypersensitivity )を誘導する因子 が存在し,その因子がIgGl抗体以外の血清因子であ る可能性を報告してきたが,今回,当因子の好塩基球 実験を行った。 新鮮人卵膜を細断し,10倍量の蒸溜水を加え,ホモ ゲナイズ,遠沈し,上清をろ過(ミリポア・フィルタ ー),冷凍乾燥,燐酸緩衝液(pH 7.4)に溶解し試験液 とした。 1)海瞑腹腔内に注射する腹腔細胞中に約30 %の好酸球出現を見る。 2)海瞑皮内に注射すると 真皮上層に好酸球浸潤を見る。 3 ) Boyden Chamber により海狼腹腔好酸球(ヘモシアニン注射により作製) は試験液に対しdose・dependent遊走を示す。 4)この 遊走因子はセファデックスG-25による分画中B12の 直后に存在する。分子量はECF-Aに似るが,酸,ア に対ずる直接作用を知る為,好塩基球のchemotaxi より喰食細胞を除去した好塩基球に冨む細胞液を調製 し. C B H因子,あるいはCBH因子と抗原に対する chemotaxi s能を測』定したところ. C B H因子の存在下 で好塩基球のchemotaxi sが認められた。 W24-5 ルカリに対する態度は異なる。 &を 横討した。 モルモット腹腔に羊赤血球を注入し,その骨髄細胞 炎症におけるマスト細胞の役割。 山本昇壮(島根医大) W2i│-3 インドメサシンによる好酸球遊走活性 ・田中 章(岡山済生会病院),肥田康子(岡犬), 西本正賢(呉共済病院) インドメサシンの好酸球遊走活性については, skin window法およびBoyden chambe rを用いてすでに第2 9回アレフレギー学会総会で報告した。インドメサシン は水に難溶で前回は超音波処理をしてBoyden法を行 ったが,今回PH約9にてインドメサシンを溶解させそ ゛)溶液にて良好な好酸球遊走活性を得たので報告する。 なお・DOS i tive control としては水庖性類天庖癒の水 庖液を用いた。次にこのインドメサシン溶液をモルモ ット皮内に局注することによう皮膚でのt i ssue eos i nbphi Iiaを起こし得た。この皮膚好酸球増多につい てインドメサシンの濃度,局注後の時間など諸条件に つき検討した。合わせてこの条件のもとで皮膚炎症が どのような影響を受けるか検討中である。 マスト細胞は、ヒスタミンをはじめとして種々の薬 理学的活性物胃を含有している。マスト細胞の関与す る炎症は、これら活性物質がマスト細胞から遊離され ることによってはじまる。マスト細胞からの活性物質 の遊離は種々の刺激によって起るが、lgEの関与する I型アレルギー反応は、その遊離刺激の代表的なもの の1つであろう。 皮膚のI型アレルギー反応によって 皮膚のマスト 細胞から遊離される代表的な活性物質であるヒスタミ ンは、その局所に炎症を惹起する。また同時に遊離さ れる好酸球遊走因子は、好酸球を炎症局所に集積させ ることによって、消炎の役割をはたしていることが推 察される。さらにわれわれの実験結果は、I型アレル ギー反応においてこれら活性物質とともに遊離される ゛パリンは histamine degrading enzyme を介してヒ スタミンによる炎症を抑制する可能性を示唆している 今回は、マスト細胞からの起炎物資の遊離と炎症を 抑制する物資の遊離との両面から、炎症におけるマス ト細胞の役割について考えてみたい。 369 W\-1 好中球と免疫応答 野口義圀(帝京大),共同研9者:古渾修一 W2'J-10, E208 コルヒチンによるDNCB一次刺激性皮膚 炎の抑制 ○宮地良樹,滝川雅浩,今村貞夫(京大) 好中球の特色は呑食( phacocytos i s)の機能を持つ ことである。それは遊走,粘着,取り込み,消化ない し殺菌と続ぐ一連の作用として理解されるが,炎症部 位に軸ける単なるscavenge rと見なされることが多い。 しかし呑食における走化性因子,オプソニンなどの関 与は好中球が免疫応答に深いかかわりを持つことを示 している。最近滑液中におけるライター細胞が自己白 血球呑食として経験され,それがLPSに関係のある ことがわかった。嘘だ好中球は角層細胞に血清の存在 のもと,ロゼットを形成するが,ある種の腫瘍細胞 では,それの阻止される現象が認められた。一方好中 球がガラス面に粘着する性質を利用し,抗原による LAI(白血球粘着阻止)現象が腫瘍細胞にもとずく 遅延型反応の検討に用いられている。これには抗抗体 による遮断の解除が問題となっている。なか,好中球が腫 瘍細胞に対してAD C C (抗体依存性細胞仲介性細胞障害) を行うことも報告されて加配好中球の免疫応答にお ける役割はその重要性を増しつつある。 モルモットのDNCB一次刺激性皮膚炎に対するコルヒ チンのin vivoの効果を肉眼的および組織学的に観察し, 同時に多核球の遊走能の経時的変化を調べた。 コントロールでは,24時間後に紅斑,浮腫,多核球浸 潤はピークに達した。 10%DNCB途布2時間前にコルヒ チン(125-500 7g/kg)を腹腔内投与すると,12時間後 に多核球の遊走能はもっとも抑制され,24時間後の浮腫, 多核球浸潤も著明に減少した。コルヒチンによる浮腫の 軽減,炎症組織への多核球浸潤の減少は,これに先行し た末梢血中の多核球の遊走能の抑制によるものと考えら れた。DNCB一次刺激性皮膚炎は,多核球浸潤を主体と した炎症反応であり,これに対するコルヒチンの効果を みることは,同じく多核球か主役を演ずる壊死性血管炎 やベーチェット病に対するコルヒチンの作用機序の解明 に手がかりを与えるものと思われる。 W2t-ll. E209遅延型皮膚過敏症の抑制機構について ○馬場 徹、矢尾板英夫(筑波大) W24-8. E206 胎生皮膚組織球の研究(第一報) 一超微形態 と細胞性状− ○高柵 博,飯鳥進(福鳥医大) 近年身体各所に存在する食細胞はすべて骨岫の単球に由来するとい う単核性食細胞系学説が提示されているが,骨髄発生g前の胎生期に 動物に遅延型皮膚過敏症(DTH)を成立させた後、 大量の同種抗原を注射すると動物のその抗原に対する DTHは低ドし又抗原的に異なった物質に対するDTH も抑制される。これは人のanergy状態の解析に良い モデルと考え我々はこの脱感作の機構の解析を行なっ すでに食細胞の存在することも事実である。今回演者らは胎生期皮膚 組織球の細胞性状を明確にする目的でラツトを用い,電顕的観案,膜 性状,細胞化学, Latex貪食能,培養実験およびオートうジオグラフ ィを行った。その結果,骨髄発生以前の胎生12日頃から表皮下の未 たoモルモットを/ OOfgのDNP−EA及びDNPBGGで同時に感作し/週間後にimgのEAを静注し 分化関葉細胞間に類円形細胞が出現し,この種の細胞は細胞表面から 細長い突起を出し,大小種々の原形質内空胞,豊富なポリソームの存 在など特徴的超微形態を有する。本細胞はCIおよぴFcリセプターを 有し,免疫貫食能を示し,Latex貪食を活発に行い,ガラス付着能を 制、SRFに対する反応性の低下、脱感作動物よりの 大喰細胞、好中球のin vitroでの起炎因子に対する 反応性の低下等が見られ、、7g∼7.2時間ではEA、 脱感作を行ない経時的に観察した。その結果、脱感作 後。24Z∼j6時間ではEA、BGGに対するDTHの抑 有し,酸ホスフアターゼ,非特異的エXテラーゼ隅性である。培妻実 験では培養10日目でも相当数の組織球か生存し,またI^thyinidine BGGに対するDTHの低 ̄ドが見られた。血清中には 。2μ∼タぶ時間にin vitroで感作リンパ球の特異抗 原による幼若化、M工F産生等を抑制する因子の存在が の核内取り込みがみられ,分裂能を有することが明かにされた。 認められた。7.2時間∼7日迄はEAに対するDTHの みが低下していた。 W24-9, E207環状肉芽腫Sこみる肉芽腫性炎症について ○岩月啓氏,田上八朗,青島忠恕,立田京子,山田瑞穂(浜松 医大) ゛ 環状肉芽腫では, palisading granutoma という特有の 組織像を呈するが,この肉芽腫性炎症がいかなる機序で形 成されるかは分っていない.近年,蛍光抗体法などの導入 により,種々の肉芽腫性炎症にも血管炎を疑わせる所見が みつかり,起炎物賢としてianune complexの関与が示唆 されている.われわれは,環状肉芽腫を組織学的に再検討 し,壊死性血管炎や好酸球浸潤などの像を認めた.また, 蛍光抗体法,酵素抗体法により血管壁,真皮表皮境界部に IgM, C3よりなる免疫沈着物が高蜜に存在することか分っ た.一方,酵素組織学的に単球−マクロファージ系細胞か palisading granulo皿aを形成する主役であることを確かめ た.本症において,血管炎と慢性肉芽腫性炎症の所見を同 時に観察できた.この二つの所見から,環状肉芽腫におけ る病理組織像形成の機序につき考えを述べる. W2i)-12 炎症反応による免疫応答の増幅とその機 構 O吉永 秀,中村修二,後藤久美子(熊本大) 生体防禦系として,系統発生上より古い炎症反応系が, より新しい免疫応答系K何らかの影響を及ぼしているであ ろうことは,予測されうるにもかかわらず,現在まで,具 体的な知見には乏しい。 我々は,炎症の場に磨出したリンバ球が,抗原に対する 反応性が高く,また,炎症の場に抗原を注射した場合,免 疫応答の増幅がみられることを知った。炎症導出液中には, 好中球由来の因子で,Tリンパ球のDNA合成反応を増幅 する因子が存在しておヽや,これを精製すると,作用,物理 化学的性質は類似するが,等電点の異なる(pl 5.4及び 9.8 ) 2因子が存在することを見出した。本因子は抗原で 刺激されたリンパ球のみの活性化を増幅し,炎症局所に存 在する微量の抗原に対する免疫応答を増幅するものである。 戈だ,本因子を用いて,通常,抗原に反応し々いとされる 胸腺皮質リンパ球を活性化し,抗原特異的キラーリッパ球 を誘導することができる。 371 ワークショップ(W25)膠原病 4月5日(日) 9:15∼13 : 25 第6会場 オーガナイザー 佐 野 栄 春(大阪大) 座長 佐 野 栄 春(大阪大) SLEおよび亜型 一 般 演 題 9:15∼10 : 15 1●指趾の壊疸を伴なったSLEの1例 3分 中尾仁子,0庄司昭伸,波田稔夫(大阪市大), 岡村幹夫(同一内),豊島 泰(同整形) 2. Plasmapheresis の奏効したSLEの1例 7分 ○青木洋子,緒方克己。外山 望(宮崎医大) 3,膠原病患者にみられる環状紅斑 7分 ○安江 隆,高井和子,佐々田健四郎(国立名古屋) 4●播種性好酸球性膠原病が疑われる1例 3分 ○松窪由美,服部怜美,本田光芳(日医大第二),斎藤正人 (同内科),恵畑欣一(同放射線),影井 昇(予研) 5,経過中伝染性単球症に罹患し症状の一時的改善がみられた未分類結合織病の1例 7分 ○青木敏之,秋元隆道,佐藤明代(大阪府立羽曳野) 6●特異な皮膚症状を示したMCTD 7分 ○小林興市,松永悦治,西岡 清(大阪大) 7.膠原病患者血清にみられる抗ヒストン抗体 7分 久保川透(群馬大) 膠原病の診断と治療 特 別 講 演 10 : 15∼11 : 55 8●抗核抗体の診断的意義 35分 ○東條 毅,本間光夫(慶応大●内科) 9,SLE の治療 30分 大藤 武(岡山大●三内) 10●常皮症の治療 30分 石川英一(群馬大),共同研究者:田村多絵干 輦皮症および皮膚筋炎 一 般 演 題 11 : 55∼12 : 55 11.斑状常皮症:症例報告と免疫学的検討 7分 ○清水 宏,杉浦 丹,栗原誠一,西川武二(慶応大) 12.コードファクター加BCG軟膏の外用が奏効した限局性輦皮症の1例 3分 ○三橋善比古,橋本 功,惟子康雄(弘前大),福士主計(同細菌) 13.急速に心嚢炎より腎クリーゼに進行した全身性進行性強皮症(PSS)の1例 3分 ○船井龍彦,田代 実,西岡 清(大阪大) 372 14.進行性全身性硬化症に伴う十二指腸閉塞 ‥ ‐高カロリー輸液によって救命しえた症例− 3分 ○田代 実,佐藤健二(大阪大),秋元隆道 (大阪府立羽曳野),田津原桂子(大阪府立) 15●汎発性強皮症の追跡調査 3分 ○秋元隆道,青木敏之,山村雄一,佐野栄春(大阪膠原病研) 16●肺癌を合併した皮膚筋炎の剖検例 3分 ○武岡和仁,中條知孝,長島正治(杏林大), 小野彰史,肥後 理(同二内) 17●小児の皮膚筋炎とモの予後 3分 ○大隈貞夫,木村秀人,猿田隆夫(九大温研) その他(病態生理) 一 般 演 題 12 : 55∼13 : 25 18● SLEに,おける血液線溶系の動態 7分 ○昆 宰市,堀 恵二,伊崎誠一,伊崎正勝(岩手医大) 19. SLE ・ RA ・ Beh^et 病のリンパ球および組織にみられるauto・oxidative damageについて 7分 ○丹羽靫負,石本浩市,横山三男(米・Illinois大・免疫) 20.ベーチェット病の素因に関する研究(1) 7分 田中玄明(大阪済生会中津) 373 W25-1、E211 指趾の壊疸を伴なったsaの1例 中尾仁子、○庄司昭伸、檀田稔夫(大阪市大皮膚科)、 岡村幹夫(同 第一内科)、豊島 泰(同 整形外科) W25-4. E2m 播種性好酸球性膠原病が疑われる1例 〇松窪由美 服部怜美 本m光芳(日医大第2皮膚科), 斎藤正人(同内科),恵畑欣一(同放射線科),影井 昇 (予価)。 sLEの合併症において心膜炎、関節炎などが多い鍼 最近、これに加えて指趾の壊疸を伴なった症例を経験 したので報告する。症例:39歳、女。初診:昭和55年 3月22日。既往歴;アルコール性肝疾患(38歳)。約 1年前より全身倦怠感と手掌・耳介・手背・顔面おいて足 義Sこ自覚症状を欠く皮疹が出現し、近医にて治療を受 けるも変化なく、日光曝露後の皮疹の増悪、両アキレス 腱部の腫脹・疼痛、両手指のRaynaud現象も出現した。 本年2月頃より、全身の関節の運動痛が著明となり、 左第Ⅲ趾末端が黒変し疼痛を伴なうため当科を受診し た。臨床検査成績:WBC 4O(XKJ、 RBC 368×W%i、血小 板29.9×10yd、LE細胞(柘c回糾、R A(-)、抗13A抗体 1 ; 1280、 CHs(,40.0、血清総蛋白8.8兌/d1(Alb.42.3%、 7−Glob.40.0%)尿蛋白㈲。治療及び経過:predoni― solone投与、星状神経節ブロック施行するも右I ・Ⅲ指、 左l∼VI指、両側1・Ⅲ趾の壊疸は進行し、激しい疼 痛を訴えるため指趾切断術を施行した。 W25-2、E212 Plasmapheresisの奏効したSLEの 1例 ○青木洋子、緒方克己、外山望(宮崎医科大学) 症例:27才、男性。 初診:昭和63年10月28日。 既往歴:昭和63年10月、重症帯状庖疹に罹患し入院 加療を受けている。 現病歴:昭和54年1月頃より顔面に紅斑が出現し当科 受診した。SLEの診断のもとにコルチコステロイド(プレド ニソロンismg/日)内服を中心に外来加療を行なってい たがSLEの活動性のコントロール不良なため、9月3日よ り当科入院、コルチコステロイド大量(タメサソンフ。5mg /日)内服を開始したところ、不眠、興奮などの顕著な精 神症状が出現してきたため、コルチコステロイドを急速に減 量(メチルプレドニソロンI6mg/日)で精神症状は軽快し た。しかし昭和55年4月頃より、抗核抗体上昇、CH50 低下、immune complex上昇などの免疫学的異常が顕 著となってきたので同年5月15日よりplasma pheresjsを合計18回施行した。本法施行後、臨床症状 の寛解と各種免疫検査データの改善を認めたので、その治 療概要を報告する。 W25-3、E213 膠原病患者にみられる環状紅斑 症例:48才,男性。初診:昭和55年2月。既往歴:発 症1週間前に,ドジョウを生食している。現病歴:初診2 か月前,感昌様症状があり,肺炎として近医及び当院内科 で治療を受けたが, 38 "C前後の発熱か持続し,茸麻疹様皮 疹が出現したため,当院内科に入院し当科受診となる。 現症:胸腹部及び大腿部に。軽度に扁平隆起した境界比較 的鮮明な紅斑と,同様に扁平隆起した紅色小指頭大の結節 か存在する。組織所見:真皮全層,脂肪織にかけて著明な 好酸球浸潤が存在。一部毛細血管壁の肥厚,膠原線維の膨 化がみられた。主な入院時検査所見:W. 21900, Eo, 29‰ 血沈1時間値28m, IgE1920, CRP(+5). LE現象 (−),r−μ1.58g/(tg,尿蛋白15弓/d£,魏便虫卵(-) 治療:ステロイド剤2か月間内服。6か月後の現在は,皮 疹は右下岐のアトピー性皮膚炎のみ。W 8200, B〕。17%。 Iぶ590, LE現象(十). RA(十),尿蛋白I3ing/<1ぷ。 W25-5 経過中伝染性単球症に罹患し症状の一 時的改善がみられた未分類結合繊病の一例 青木敏之、秋元隆道、佐藤明代(大阪府立羽曳野) 症例28才 主婦 家族歴 伯母に慢性関節リウマチ 既往歴 慢性副鼻腔炎、帯状庖疹 現病歴 23才で四肢の関節痛が出現。25才で結婚、3 ヵ月後より39℃の熱発をしばしば繰り返すので受診。 現症 顔面の潮紅、頚部リンパ節腫大、関節痛、手指 の腫脹がみられる。 検査赤沈の尤進、軽度の白血球増多(リン・9求滅少) 貧血、高カンマグロブリン血症あり、LE細胞、L E テスト陽性、抗核抗体陽性(21° speckled)、CH50正 常の約70% 経過 SLEを考えプレドニン1∼2錠を投与していた が、27才で妊娠し9ヵ月で720夕の男子出産。妊娠末 期に蛋白尿、血尿が出現し、出産後腎孟腎炎と診断し 抗生剤の大量長期投与で治療したが、その途中肝腫大 弛張熱、リンパ球増多、異型リンパ球が出現し約2ヵ 月かかって治癒した。その後約半年間リンパ球増多が つづきSLEの自覚症状はおさまった。 o安江 隆、高井和子、佐々田健四郎(国立名古屋病 院) 最近、環状紅斑を呈し、sLE様の全身症状と検査 所見を示すautcr一immine annular erythemaとSLEとの 異同が問題となっている。SLEなどのー原病患者に みられる環状紅斑は、皮疹的、組織学的、免疫組織学 的にいくつかの型に分けられる。第1の型は、螢光抗 体法にて皮疹鄙、無疹部ともK L B T陽性のSLE患 者にみられる尊麻疹様紅斑様の環状紅斑で、組織学的 には、真皮上層の主として管周と表皮直下に核嘸を伴 った好中球浸潤が認められるのが特徴である。第2の 型は、比較的軽症のSL思患者に秘められる大型のダ リエ遠心性環状紅斑様0それであり、LBTは陰性で、 組織学的には、真皮○管周お・よび附属器周囲のリンパ 球浸潤が示される。第3の型は、反覆性耳下腺炎を有 し、恐らくはシェーダレy症候群と思われる患者の主 に顔面にみられる環状紅斑で、LBTは陰性である力又、 表皮細胞核のto vivo 抗核抗体が陽性で、組織学的には DLEに近似した像が示される。 W25-6 特異な皮膚症状を示したMCTD O小林輿市、松永悦治、西岡 清(大阪大) 80歳 男子、昭和50年2月、口腔粘膜にビラン面 および、白苔の形成をきたし、1ヶ月後、両手指末節 にレイノー様症状をみた。以後、口腔内病変はステロ イド内服によりコントロールされていた。 昭和51年11月、全身にDLE様皮疹、赤紫色斑お よび、色素沈着をきたすようになった。58年末より、 全身倦怠感、DLE様皮疹、手掌、手指の紅斑が増強し てきた。 昭和54年2月当科受診時、全身に鶏卵大から小豆大 迄のDLE様皮疹多発および、全身に暗褐色色素沈着 をみた。白血球数8、800∼4、000、血小板9.1万、LE テスト、LE細胞現象陰性、ANF 5、120倍、speckl ed pattern、抗DNA抗体陰性、RNP抗体81、920倍、Sm 抗体陰性、血清補体価正常範囲、以上の所見よりMCTD と診断した。 収抗 m一 WW 膠原病患者血清にみられる抗ヒストン 久保川 透(群馬大) 近年, Tanらによりdrug - induced SLE におい て,抗ヒストン抗体の証明率が高いことが報告された。 そこで我々も膠原病患者血清中の抗ヒストン抗体の有 無を検索し,病変との関連性を調べた。ヒストンは仔 牛胸腺核より0.25 M HCl 溶液で抽出した。 Po 1yac ry 1am ide gel電気泳動でHIからH4の各バ ッドの存在を確認し,これを全ヒストン抗原とした。 血清抗体の検出は寒天平板二重拡散法で行った。皮膚 筋炎およびMCT D症例では高率に抗ヒストソ抗体を 認め,これらでは臨床的に筋病変を伴うものが多かっ た。他力, S L Eおよび汎発性業皮症では抗ヒストソ 抗体の出現頻度は低かった。現在さらにヒストンをCM eellulose chromatographyにかけ得られたH3十H 2A十H4 , H2B, Hiの3分画について,どの 田村多絵子 汎発性常皮症は周知のごとく難治性の疾患であり、 現在度か有効度治療法はない。かかる慢性、進行性の 疾患の治療に当っては単なる対症療法で度く、病態、 病因に立脚した治療が望ましい。征米本症脊一種のコ ラーゲン合成充進症とする立場より、ペニシラミンガ どのコラーゲン合成度いし線維形成抑制剤か用いられ てきた。しかし最近の私達の検索では、本症を単な る線維症とするには疑問かある。今回の報告では私達 の治療成績をまとめ諸外国のそれと比較するとともに 、今後どの様々治療法が有望と考えられるかについて 述べたい、 W25-11 o清水 宏 学) subfract ion に対しさきの抗ヒストン抗体が反応す るかを検討している。 斑状輦皮症:症例報告と免疫学的検討 杉浦 丹,栗原誠一,西川武二(慶応大 最近1年間r当教室で経験した,斑状聚皮症 ( Nbrphea ) 5例を報告する。各症例につき,螢光抗 体直接法(DIF)による皮疹部免疫グロブリン・補体 の沈着の有無,£ヽよびリウマチ反応(RA)・抗核抗体 W25-8 抗核抗体の診断的意義 ○東條 毅,本間光夫(慶大内科) 膠原病における抗核抗体の診断的意義を究明する目 的で, W25-10 強皮症の治療 石川英一( 群馬大)、共同外究前 (ANA)・抗ENA ( Extractable nuclear antigen )抗 体等の検索を行い,本疾患について若干の免疫学的考 (1)各種古典的膠原病患者497例の抗核抗体陽性 率と各種抗核抗体の出現様式を疾患別に検索した。 (2)履歴研究で各種抗体と特徴症状との相関をしらべ, 察を行った。症例①12才女。4年前,右前胸部に手掌 大色素斑出現。該部右乳房の発育不全(十)。 ②13才 overlap症候群でその妥当性を検討した。(匈追跡研究 で抗核抗体の早期診断に対する意義をしらべた。 (成績)(1)抗核抗体といっても多種類のものか含まれ, 男。1午前,右前腕に鶏卵大皮膚硬化局面出現。③ 23才女。3ヶ月前,右腰背部に小児手拳大・象化色の 光沢帯びた皮疹認める。④49才男。数日前,右腰背部 それらに対応する抗原はクロー・・チン分画,核質,核小 体に多数存在していた。(2)1人の患者で複数の抗核抗 の聾卵大白色皮疹に気づく。⑤61才女。半年前,右前 腕忙諾卵大0皮膚硬化局面出現。以上5例のうち,症 例1・2では病変部皮膚基底膜部に免疫グロブリン・ 体を同時に保有するものが半数以上を占めたo 性動脈炎を除いた各種古典的膠原病忙,各種抗核抗体 (3)多発 が広範囲に分布した。それらには疾患特異性の高い抗 体と疾患を超えて症状特異性の高い抗体とに大別され 補体の沈着をみた。表皮細胞核・真皮血管壁への沈着 は全例(-)であった。また免疫血清学的に異常所見を 呈する症例もあった。 た。(4)履歴研究で特異抗核抗体は特徴症状と有意の相 関を示し, overlap症候群はそれぞれの抗体と相関す る症状の総和として表現されていた。㈲追跡研究で抗 核抗体は症状発現前から存在し,特異抗体の測定で各 疾患の鑑別,その後の進展も予測出来,早期診断を可 能にする有効痙方法といえた。 W25-9 S 大藤 真(岡山大) L Eの治療 SLEは代表的自己免疫疾患であるので,その治療は免 疫異常による病態と免疫異常の病因に対する治療に集約さ れ,現今前者か主体となっている。前者はループス腎炎を 中心とした免疫複合体沈着による皿型アレルギー炎とその 背景である血清免疫異常で構成されているので,臓器炎に 対する抗炎症療法と血清免疫異常に対する免疫抑制療法が 行われている。実際には最も強力々抗炎症剤であり,同時 に免疫抑制剤にもあるステロイドが中心的K用いられて謡 り,それも歴史的忙みて次第に大量療法の傾向が強ぐ々久 近年はメチルプンドニソロ・y 1, 000"≫?/日×3日間をLク ールとする超大量療法(所謂パルス療法)か行われるよう にたった。演者らは腎障害,血清免疫異常(とくK低補体 の頑固な症例を適応として1∼2週間隔で数タールの本療 法を行っている。ステロイド以外には他の免疫抑制剤(6 −MP,アザチオプリノ,サイクロフi・スファマイド)や抗 凝固・線溶剤も補助薬として用いられる, 後者すなわ`ち自己免疫の病因としてはT細胞とぐにsuppressor T cell の磯能異常が考えられるので,これに 対して免疫調節療法が行われているが,未だ試みの段階で ある。 W25-12. E215 コードファクタ 加BCG軟膏の外用 が奏効した限局性掌皮症の1例 ○三橋善比古,橋本 功,帷子康雄(弘前大) 福士主計(同細菌学) 汎発性脱毛症か治癒した後,白毛となり経過観察中 の24歳女性の胸部に生じた限局性輩皮症(右胸部に驚 卵大1個,左胸部に鶏卵大・鳩卵大それぞれ1個・3個 ともに硬化部に色素脱失を認め周囲には紅輦を伴う) の左胸部2ヵ所の病変部に, Noll & Blochの方法に より抽出したコードファクターと加熱処理BCGを白 色ワセリンに混和して作製した軟膏のODTを行った ところ, ODT 4回施行にて皮膚硬化および色素脱失 は著明に改善し,組織学的にも真皮膠原線維の硬化所 見の改善が認められた,一方白色ワセリンのみのODT を行った右胸部の病変部に著変はみられなかった。 治療前6〉く4回であったPPD皮膚反応は治療後12 × 12回と陽転し, in vitroでのmitogenに対するリ ンパ球のblastogenesisの検索でもPHAでは1.21 (正常2.58∼4.12), Con Aでは1.29(正常3.27∼ 6.34)と低下していたが治療後はPHA 4.16, Con A 1 7Fiと著明に増加していた。 375 W25-13 急速に心嚢炎より腎クリーゼに進行し た全身性進行性強皮症( PSS )の一例 ○船井龍彦,田代 実,西岡 清(大阪大) W25-16. E218 肺癌を合併した皮膚筋炎の剖検例 症例71才女性。S58年11月レイノー現象。S54 年2月皮膚硬化。S54年7月入院時典型的なPSSの 皮膚所見を呈する。心・腎機能異常認めず。入院後皮 膚以外の著明な全身症状を認めなかった為,ステロイ ドは使用せず,非ステロイド性抗炎症剤,黄体ホルモ ン製剤等を投与した。約8ヶ月間の観察で特に進行傾 向を認めなかったが,10月中旬より胸水の出現に続 いて心嚢液貯留をき7こし心不全に陥った。 10月末よ り急性腎不全を併発し死亡した。剖検所見も含めて報 告する。 80才。男。昭和55年5月27日初診。昭和55年5月上旬, 項部に皮疹出現し,顔面,背部に拡大,その後両上肢に著 ○武岡和仁,中條知孝,長島正治(杏林大皮膚科),小野 彰史,肥後理(同第2内科) W25-14. E216 進行性全身性硬化症に伴う十二指腸閉塞 一高カロリー輸液によって救命しえた症例− ○田代 実,佐藤健二(阪大),秋元隆道(府立羽曳野) 田津原桂子(大阪府立) 明々浮腫,脱力感出現したため5月26日当院第2内科に入 院し,2ツ日当科を受診した。初診時,前額,両頬部,後頭 から項部・上背部,右腰部に鱗屑,痴皮を付す紫紅色○紅 斑を認める。上背部では萎縮,脱色素斑を混ずる。組織像 は表皮萎縮,基底層液状変性,真皮上層の著明が浮腫と血 管周囲性の細胞浸潤を示した。筋生検では筋の変性を認め ない。a 0 T 830, OPT 55, LDH 1146, CPK工975 , 両肺野に腫瘤陰影あ久喀痰細胞診でClass v。 6月初め 頃から四肢の筋力低下,嘸下障害が出現し,6月i2日より P redoni solone 10〔〕恨90投与,肺癌に対して放射線 療法を行なった。紅斑,筋力低下は改善したが,肺炎を併 発し発病2ヵ月後に死亡した。剖検で,右下肺の扁平上皮 癌,左肺門部のリンパ節転移が認められた。 症例:80才女。 1973年10月初診。体重57 k9。 1976年頃から皮膚硬化、四肢・脊柱の関節拘縮著明 となる。同年11月上部消化管造影(UGI)にて食道嬬 動の低下と拡張。 1977年4月より嘔吐(逆流)、胸や け、下痢・腹部膨満(吸収不全症候群)出現、体重48臨 W25-17、E219小児の皮膚筋炎とその予後 10月UGIにて、食道の嬬動消失と拡張、十二指腸・小 腸の拡張とBaの通過時間延長。1978年8月末感冒罹 患後より、下痢・嘔吐・腹部膨満高度となり脱水状態に G阿、LDH、の上昇、CPK高値、吠之−G1の上昇、尿クレアチン高値 陥いる(体重3 9ks)。4月7日よりI VH( 1、800Cal 胃チューブによる持続吸引開始。生食負荷テストにて、 ○大隈貞夫、木村秀人、猿田隆夫仇大温研) 5歳、男児(初診、昭和52年5月7日)、両頬部の日光過敏性紅 斑と歩行困難を主訴とし、顔面の紅斑、関節痛、筋肉廣、GOT、 筋生検所見より皮膚筋炎 と診断。ステロイド内服治療にて現 在全身症状もなく、経過良好である。この症例を含め、小児お )、 注入76 0 ≪i、回収760 「と完全閉塞。 UGIにて上腸間 膜動脈性十二指腸閉塞の所見。5月12日より、経管栄 養を併用して消化管の嬬動を促し、積極的体位変換運 動を行うことにより、5月25日には生食負荷テスト回 収率は50>il/750i≪lと改善したので、経管栄養中止、 経口摂取を開始した。7月11日には、体重49知に回 復しIVHも中止しえた。現在外来で経過観察中である が、皮膚硬化と関節可動域も著しく改善している。 W25-15、E217汎発性強皮症の追跡調査 秋元隆道、青木敏之、山村雄一、佐野栄春 (大阪膠原病研究会) 汎発性強皮症(PS S)の治療法を確立する上で障壁 となっている短かすぎる追跡などを克服するため、臨 床的追跡をおこなった。 5年間連続で50例のPSSのlife tableを作成し、 生存率を計算した。5年生存率は72%で、死因は腎不 全3、肺炎3、心不全3、呼吸不全2、癌1であった。 臓器病変や検査の異常の有無で生存率に差があるか どうかについて報告する。 よび当科で経験した成人の皮膚筋炎の予後を文献的に考擦した。 W25-18. E220 0昆 宰市,堀 SLEにおける血液線溶系の動態 恵二,伊崎誠一,伊崎正勝(岩手医大) SLE患者18例(30検体)を対象として,その病態を 重症群および軽症群に区分し,フィブリノーゲン, FD P,ならびに血液線溶系活性因子,および同阻害因子に ついて検索を行った。そのさい,治療の有無,顔面紅斑 の有無,腎障害の有無,および病像との経時的変動につ いても同時に検討を加え,SLEの複雑な病態に血液凝 固,線溶系がいかに関与し,どのような意義を有するか を知ろうとして本研究を行った。 その結果,1)プラスミン活性の尤進とプラスミノーゲ ッの減少が,軽症群に比較して重症群に多く認められた。 しかも,顔面紅斑を有する患者においてより高率であっ た。21血清FDP値の増量は重症群,とくに腎障害のあ るSLE患者において高率に認められた。3)血漿フィブ リノーゲンは重症群,ことに未治療群において増量傾向 か認められた。 以上のことから, SLEの病像の発現にとって血栓の 形成と溶解にかかわる因子が重要な役割を演ずることか 明確となり,線溶系の病態生理学的意義が強く示唆され たので,その大要を報告する。 376 W25-19、E221 SLE・RA・Beheet病のリンパ球及び組織に みられるauto-oxidative damageについて ○丹羽籾負、石本浩市、横山三男(合衆国イリノイ大免疫) W25-20 ペーチェット病の素因に関する研究 (□ 田中玄明(大阪府済生会中津病院) 異物を貧食するstimulated neutrophilsにより産生された 活性酸素は、生体に自己防衛的に作用するが、その充進は溶 血・好中球のviabilityの低下・組織障害などを招き、auto- 今回、我々は、ベーチェット病各型(完全型、不全 型、疑わしい型および可能性ある型)に釦いて、糖負 苛試験、血清総コレステロール及び脂肪分画等に関す oxidative damageとして注目されている。我々は患者の 好中球及び血清に、正常人リンパ球或は新生児臍帯よ り剥離培養した血管内皮細胞を37* C 17時間混合i- る検索を行い、次のような興味ある結果を得たo 1.ベーチェット病では、血糖障害を示す症例が少く cubateし、リンパ球の各種ロゼ・・ト形成能、mitogensへ の反応性およびConAで誘導した正常人リンパ球のsuppressor functionを損l定し、培養内皮細胞は電顕にて検索し た。結果はSLE・RA患者好中球とincubateしたリンパ球 ではTcellとT-reellの減少、ConAへの反応性及びsuppr、 essor functionの低下がみられ、SLE・RA・Behcet病患者好中 球とincubateした内皮細胞ではdesmosomeの破壊、好中 球のadherence、変性所見などの組織障害が証明された。 immune complexを貪食しょうとして過度に刺激された好 中球が活性酸素を大量に産生する事はJohnstoneらにより報 告されているが、これら活性酸素がSLE・RAのTcellや suppressor funct ionを低下させ、又3疾患の(血管)組 織障害を惹起させていると推測される。 カ:いo 2.α−リポ蛋白と総コレステロールとの相関をみる と、ベーチェット病では対照に比して正常範囲を逸脱 する屯のがみられる。 3.糖尿病及び脳出血、高血圧、心筋梗塞など血管障 害を生ずる可能性のある疾患の家族歴について、ペー チェット病患者を調べた結果、かなカ高率に認められ るO 377 ワークショップ(W26)表皮・真皮境界郎(含経皮排除) 4月5日(日) 9:15 12 : 15, 14 : 00∼15 : 50 第7会場 主オーガナイザー 佐 藤 良 夫(新潟大) 副オーガナイザー 矢尾板英夫(筑波大) 西 川 武 二(慶応大) 真皮・表皮相互作用 9:15∼11 : 05 座長 佐 藤 良 夫(新潟大) 矢尾板英夫(筑波大) 教 育 講 演 1.真皮・表皮相互作用ならびに経上皮性排除現象について 20分 佐藤良夫(新潟大) 指 名 演 題 2・体外培養における表皮・真皮相互作用 10分 喜多野征夫(大阪大) 3.表皮細胞培養における基底板の形成と起源 10分 ○谷口 滋(金沢医大),広根孝衛(金沢大) 4. Epidermal production of dermal substance 10分 矢尾板英夫(筑波大) 5●免疫学的にみた表皮●真皮相互作用 10分 西川武二(慶応大) 6. Detection wound of basement membrane zone antigens during epidermal healing 15分 OW. H. Eaglstein, J. R. Stanley and 0. M. Alvarez (米・Pittsburgh大) 休 憩 (11 : 05∼11 : 15) 経 皮排 除 11 : 15∼12 : 15 座長 西 川 武 二(慶応大) 14 : 00∼15 : 10 R. Marks (英・Wales国立医大) 特 別 講 演 7. Transepidermal elimination 50∼55分 R● 昼 食(12 指名演題 14 Wales国立医大) : 15∼14 ; 00) : 00∼15 : 10 8.Z夕1 vivoならびにin vitro における経皮排除の研究 9。真皮内異物の経毛包性排泄機構 10. Immune Marks (英 complex の処理機構 10分 ○鈴木啓之,土山 秀(日大板橋) 10分 ○佐藤信輔,設1楽篤幸,佐藤良夫(新潟大) 10分 ○幸田 衛,益田俊樹,植木宏明(川崎医大) 378 ・ 般 演 題 11●経皮排除を伴う皮膚石灰沈着症の4例 7分 ○高橋夫紀子,古谷和子,鈴木啓之(日大板橋) 12●水銀排泄器官としての毛の役割 7分 ○小堀辰治(西原病院),服部道廣,鹿又只久, 池田祐三,岡本暉公彦(花王朽木研) アポプトージス 15 : 10∼15 : 50 座長 矢尾板英夫(筑波大) 鈴 木啓 之(日本犬) 一般演題 13.組織学的色素失調の機序について 7分 ○長尾貞紀,飯島 進(福島医大) 14.組織学的色素失調におけるマクロファージの表皮内遊走について 7分 ○竹松英明,清寺 漑(東北大) 15. Macular amyloidosis における基底細胞とアミロイドの関係について 7分 ○柳原 誠,山本明史,森 俊二(岐阜大) 379 W26-1 真皮一表皮相互作用ならびに経上皮性 排除現象について ○佐藤良夫(新潟大) W26-4 Epiderma:L production dermal substance O矢尾板英夫(筑波大学臨床医学系) Eplthellal-mesenchymal Interactionは,医 学・生物学における重要な課題である。この課題は, 皮膚という器官については,真皮一表皮相互作用der- ㈲疹状皮膚炎および後天性表皮水庖症においては、 抗体のbinding siteが主として真皮であることが 知られている。われわれは免疫電顕によってそれらの dermal binding siteが、表皮で産生されてい ると思われる結果を得たので報告する。またこれに対 するfibrocyte、cytokineを中心とした dermal cell、dermal mediatorの関与にも言 及したい。 mo-epidermal Interaction ( D―E相互作用と 略)ということになる。D−E相互作用は,表皮およ ぴ皮膚附属器の分化過程に重要な役割を果しており, 表皮の部位的特殊性の維持,表皮機構の調節と維持に は,真皮の役割が大きく関与していることが知られて いる。その相互作用の機序は,組織培養による 1n vitroと,創傷治癒や病的材料を対象としたin vivo の方面から,主として解明が進められているが,まだ 不明の点が多い。 一方,真皮内の異物が経上皮性に排除される現象 transeplthellal eliminationも,最近の皮膚科学 における重要な課題である。このelimination現象 においては,表皮の反応態度が注目されるところであ り,本現象の解析にも,D一一E相互作用の理解が必要 である。 W26-2 体外培養における表皮−真皮相互作用 ○喜多野征夫(大阪大) 表皮一真皮相互作用の重要性は,例えば皮膚移植の 際に恵皮部皮膚の特徴が全層移植のときは保たれるが ,表皮だけの移植のときは移植部の皮膚の性状を示す ということ,あるいは皮膚線維腫が表皮の過形成を伴 うというような臨床的な事柄においても認められる。 しかしその作用機構の解明は体外培養において進めら れてきた。皮膚の器官培養においては表皮の増殖と分 化におよほす真皮の影響が非常に明確な形で示されて いる。他方,近年急速な発達を見た表皮ケラチノサイ トの細胞培養において,ケラチノサイトが真皮成分の 助けなしに重層化し,表皮層に似た構造を持つシート を形成し,分化することが示された。この矛盾は現在 のところ説明し難いが,ヶラチノサイトの細胞培養 における知見を集めて,この問題に対して考察を加え てみる。 W25-5 免疫学的Kみた表皮・真皮相互作用 ○西川武二(慶応大学) 演者は表皮・真皮相互作用として表皮基底膜を考 え,水庖性類天庖療患者血清中に存在する抗基底膜抗 体を用いて,基底膜の由来を検討した。その結果,抗 基底膜抗体と反応する抗原は表皮下層の角化細胞(膜) および基底膜忙存在することが示された。又,本抗体 は扁平上皮下の基底膜とのみ反応すること,および扁 平上皮由来の腫瘍細胞と反応することも,本抗体と反 応する基底膜部分は上皮性のoriginと考えられる。 以上の自験データを中心に,最近の諸報告ともわせ, 免疫学的反面からみた表皮・真皮相互作用を考察する 予定である。 W26-6 前報において,家兎皮膚から抽出された可溶性コラゲ ングル上で培養されたヒト表皮細胞は,コラゲングル と接触面において半デスモソームを形成,次に基底板 を形成することを示した。しかし,表皮細胞がIV型コ ラゲン(基底板物質)を分泌して基底板を形成するの か,または抽出コラゲンに含まれうるIV型コラゲンを 素材として基底板を形成するのかという問題が残され ていた。この問題を解明するために,今回,ヒト表皮 細胞を純粋なI型コラゲンのゲル上で培養し,経時的 に電顕で観察した。結果として,表皮細胞は皿型コラ ゲングルとの接触面でも連続性の基底板を形成するこ とが証明された。 DETECT工ON OF BASEMENT MEMBRANE ZONE ANTIGENS DURING EPIDERMAL WOUND HEALING William H.Eaglstein, J.R. Stanley, O.M. Alvarez (University of Plttsburg, Pittsburg, Pennsylvania, U.S.A.) Bullous pe頂phigold (BP) type IV collagen. basement membrane junction thickness skin antigen, laminin, and three distinct antigens of zone were studied by indirect immunofluorescence the W26-3 表皮細胞培養における基底板の形成と 起源 ○谷口 滋(金沢医大),広根孝衝(金沢大) of in the epidermal-dermal of re-・epithelializing wounds were of white made wounds. Partial with a dermatone domestic pigs. After in two or three days, wounds and surrounding were excised and cryostat sections normal skin were studied using and BP as well pur ifled collagen. Laminin detected as whole antibodies and in the antisera t0 laminin type basement and IV collagen membrane affinity type zone IV were of normal epidermis and at the re-epithelializing epidermal-dermal junction for a variable distance into the healing wound but both were absent from the more distal migrating epidermis.工n contrast, BP antigen extended from the membrane zone of normal skin throughout tire epideriral-dermal junction of the far as the distal tip of the migrating These results suggest zation of superficial collagen are not epidermal-dermal epithelium but in this early basement the enwound as epidermis. that in the re-epitheliwounds laminin and type present in the initial interaction of the migrating the BP antigen may be importanヒ interaction. 工V 380 匹 TRANSEPIDERMAL たCAPは多核白血球や組織球に取り込まれ毛包上部 ELIMINAT工ON の細胞間を通過し,毛漏斗に集積し毛孔より排泄され る。 CMC含有生理的食塩水溶液に浮遊した場合は毛 Ronald Marks (Department of Medicine, Welsh National School 0fMedicine, Heath Park, Cardiff, U.K.) The epidermis variety of ways lationships result An important action and and dermis intercoiranunicate in a disturbance of the interrein a variety example is the of skin of dermo-epidecmal phenomenon known diseases. inter- as Transepidermal elimination (Trasepi thelial elimination, epidermal cathaisis, TE〉. ?E is seen in a variety of disorders including serpiginosa, perforating rating granuloma dermis demonstrates hyperplasia and elastosis perforans folliculitis annulare. During a remarkable bizar re changes and TE the degree perfoepi- of in structuce. The hair follicles are often utilized as a route of expulsion of material to the exter ior. 工n order developed cutaneous to understand an animal injection the model based of charcoal The model has allowed the of the epidermal response mediators involved. primitive cutaneous features in common mechanism It on the intrasuspension. study of the mechanism and the nature of the appears response with we have wound that that 包上皮はCAPとCMCの全体を一塊の異物として毛 包内に取り込む。 W25-10, E222 Immune complexの処理機構 ○幸田 衛,益田俊樹,植木宏明(川崎医大.皮膚科) Immune complexCIClは組織に沈着し種々の炎症反応 を惹起することが知られている。 IC病の発生機序を解明 するには,ICの沈着やそれに続く炎症のみならず処理機 構をも解析する必要がある。私達はこれまでIC病の1つ のモデルとしてHorseradish peroxidase を抗原と したreversed passive Arthus反応を白色家兎やモル モットの皮膚で惹起し,ICの動態を観察してきた。その 結果ICは血管壁やその周囲に沈着し,好中球やマクロフ ァージがこれを貪食している像が観察された。又ICを貪 食した多核球が表皮を経て角層より排除されている所見 や,角化細胞にICが粘着している所見が見られた。真皮 で生じたICが経表皮的に処理されているのか,あるいは 表皮でICが形成されたのかは不明であるが,ICの合理的 な処理機構の1つとしてtransepidermal eliminatlonも考えられる。 TE is a has many healing・ W26-11 経皮排除を伴う皮膚石灰沈着症の4 例 ○高橋夫紀子,古谷和子,鈴木啓之(日大板橋) W26-8 in vivoならびにin る植皮排除の研究 ○鈴木啓之,土山 秀(日天板橋) vitro におけ 経皮排除の過程を実験的に研究し,細胞要素(表皮 細胞ならびに間葉系細胞)の役割につき検討した。材 料と方法:1. in vivo実験。サイズの異なるラテック ス粒子(L粒子)をモルモタト皮膚に注射し経日的に 材料を採取した。それを光顕ならびに電顕(透過型, 走査型)で観察した。2. in Vにro実験。ヒト皮膚の outgrowth culture を行い,培養表皮細胞のL粒子 貪食能を検討した。結果:1.いずれのサイズのL粒子 でも注射後2週間以内に経皮排除が生ずる。表皮は真 皮内に舌状に増殖し,表皮細胞は細胞質突起をのばし てL粒子をとj]こむ。L粒子を貪食した間葉系細胞か 表皮内に侵入する。最終的には表皮に噴火口状に穿孔 が生じ,L粒子は皮表面に直接排出される。z培養表 皮細胞は比較的短時間内にL粒子を細胞内にとりこむ ようである。現在電顕的に確認を行っている。結階: L粒子の経皮排除に際しては,表皮細胞が活発な貪食 能で排出を促進することが示唆される。 4才男子,l1才男子,14才男子と12才女子の4例。 14才男子例は左上眼瞼,他の3例は右上眼瞼に,いず れも米粒大ぐらいの白色ないし黄白色の結節を各1個 みとめる。自覚症はたい。組織学的には,全症例とも 表皮直下から真皮上層にかけて,ヘマトキシリン・エ オジン染色で紫色ないし紫紅色,コッサ染色では黒色 に染1る物質(石灰)が集塊を忿してみとめられる。 同部の表皮は集塊をと!)かこむように真皮に向って増 殖している。全例において,石灰は表皮を穿通して皮 表面に排出され,いわゆるelimination現象を呈し ている。 W26-12. E223 水銀排泄器官としての毛の役割 ○小堀辰治(西原病院),服部道廣,鹿又只久。 池田祐三,岡本暉公彦(花王栃木研究所) 水銀をはじめ一部重金属が全身投与されると,その ものは毛に蓄積することはよく知られているが,この 際,毛がそれら重金属の排泄器官として積極的に寄与 しているか否か定量的に倹討された報告は見当らない。 我々は,メチル水銀をマウスに投与し,休止期あるい は成長期における毛への水銀の蓄積量を測定し,他臓 W26-9 真皮内異物の経毛包性排泄機構 ○佐藤信輔,設楽篤幸,佐藤良夫(新潟大) 器・え)蓄積量とを比較検討した。54日齢c3Hマウス(碓) の背部休止期毛を抜毛し人工的に成長期毛にした群と, 真皮内異物の排泄機構解明のためモルモットの皮膚 抜毛しない休止期毛群に分け,1・25岬/Ky量の塩化メ チル水銀を連日投与した。投与開始16日目で成長期毛 にcharcoal act ivated powder (CAP)を皮 内注射し経時的に皮膚を採取して光顕的,電顕的観察 を行った。CAPはそれぞれ生理的食塩水および2% carboxymethyl eellulose sodium salt (CMC)含有生理的食塩水溶液に0.25% (w/v)に なるように調製して使用した。生理的食塩水に浮遊し への水銀の蓄積量は490ppraと腎その他臓器の10倍以上 の値を示したが,休止期毛群では,1・5ppm以下であっ た。しかしながら,他臓器への蓄積量は,成長期毛群 と休止期毛群間で差を認めなかった。一旦臓器に蓄積 した水銀が,抜毛をくり返した場合どの様に推移する かも検討した。 381 W26-13. E224 組織学的色素失調の機序について ○長尾貞紀,飯島 進(福島医大) 組織学的色素失調を示す疾患(リール黒皮症,皮膚 アミロイド症,エリテマトーデス,ブロッホ。ザルッ バーガー症候群,特発性多発性斑状色素沈着症,扁平 苔寿など)33例からの生検材料を用いて,表皮のメ ラノソームが真皮に滴落する機序を電顕的に検索した oその結果4つの方法を認めた。1つはマクロフアー ジュが表皮に侵入し遊離メラノソームを貪喰して真皮 に帰還する。2つはシュワン細胞の突起か表皮に入り 遊離メラノソームを貪喰し,これをその突起を通じて 真皮に輸送するo3つは表皮でできたコロイド小体か 。そのメラノソームとともに真皮に滴落する。4つは 変性した表皮細胞から遊離したメラノソームか,その まま基底膜断裂部よ り真皮に滴落する。この4つの機 序は多くの皮膚疾患 の色素失調にみられるものと思わ れたo W26-M 組織学的色素失調におけるマクロフ ァージの表皮内遊走について ○竹松英明,清寺 真(東北大) 上室,被験液を下室に入れ,5%CO2 ,37°C, 90分 インキュベートし,フィルターを通過した細胞数を遊 走活性とした。マウス・メラノームのメラノソーム, ヒト角層抽液はカゼインに匹敵する遊走活性を示した。 マウス表皮抽出液でも同様の遊走活性か得られた。一 方,角層より抽出したケラチンにはこのような活性は みられなかった。更にマウス皮膚にUV-B照射を行 い変性させた表皮の遊走活性を正常表皮と比較検討し たので報告する。 W26-15. E225 Macular anyloidosisにおける基底細胞 とアミロイドの関係について ○柳原 誠,山本明史,森 俊二(岐阜大) Macular ainyloidosisにおける表皮真皮境界部につい て観察した。 lylon染色では,基底細胞に接するaityloid は基底小脚に狭まれて存在することが多いo電顕的には 表皮真皮墳界部にみられるamyloid Islandは小型で,基 底細胞の小さな突起( micro―rete i-ldge )により狭まれ ていた。この部位では基底板は消失し,・yloidは直接 基底細胞に接していた。micro―dermal papillaeに存在 するanrvlold filarrentは真皮下層に向い一定の方向性を 保ち,流れる様に配列していた。時にanyloid 真皮内マクロファージか表皮内に遊走し, dyskeratotic cell。メラノソームを貪喰して真皮内に戻ること により色素失調が生ずることが電顕的観察より推定さ れている。表皮にマクロファージの遊走を促す作用か あるか否かを検討する目的の下に以下の実験を行った。 グリコーゲンでマウス腹腔を刺激しマクロファージ浮遊 液を得た。マクロファージをボイデン・チェンバーの filament がhalf de5mosomeに拷して垂直に配列していた。 aJπyloidfilament間には無構浩物質をみた。基底細胞 ではanry-loidに接した細胞膜のhalf desmosomeは滅少 し,細胞質は浮腫状で,膜にかこまれない空胞を有し, 核に接してI H B (柳原ら:結合組織10: 25∼35,1978 をみるものもあった。 考察を加えたい。 anwloidの形成機序につき若干り 383 ワークショップ(W27)メラノーム 4月5日(日) 9:15∼12:15 14:00∼16:00 第8会場 主オーガナイザー 久木田 淳(東京大) 副オーガナイザー 石 原 和 之(国立がんセンター) シンポジウム 9:15∼12:15 座長 久木田 淳(東京大) 石 原 和 之(国立がんセッターJ I.悪性黒色腫の最近における生物学的,生化学的診断の進歩 特 別 講 演 1.悪性黒色腫ならびに各種母斑におけるSlOO蛋白の分布 15分 ○中島 孝,亀谷 徹(国立がんセンター・病理),石原和之(同皮膚) 一 般 演 題 2.悪性黒色腫の進展・転移の生化学的診断 15分 ○市橋正光, 3.悪性黒色腫患者における尿中5-S cysteinyl ー病勢を知る上のbiochemical Manoi dopa Moiamdar, 三島 豊(神戸大) 排泄について marker― 15分 ○森嶋隆文,花輪 滋(日大駿河台) 4. B16メラノーマ関連抗原(MAA)の性状およびMAA-radioimmunoassay 法の確立 15分 ○西尾千恵子,竹田勇士,神保孝一(札幌医大) 特 別 発 言 5,手,足の悪性黒色腫 ―螢光法(Falck & Hillarp)による観察所見を中心として− 10分 ○長島典安,石川豊祥,森嶋隆文(日大駿河台) II.悪性黒色腫の最近の治療 6.悪性黒色腫に対する手術療法の実態 15分 ○池田重雄,宮里 肇(埼玉医大) 7・悪性黒色腫の化学療法 15分 ○石原和之,早坂健一(国立がんセンター) 8.速中性子線による悪性黒色腫の治療 15分 石原和之,早坂健一(国立がんセンター),0三和敏夫,山田晃司, 森 俊二(岐阜大),恒元 博,森田新六(放医研臨床研) 9,悪性黒色腫の免疫療法 15分 ○内山光明,内藤全之輔,永井隆吉(横浜市大) 特 別 発 言 10.凍結療法およびBCG療法中に,広汎な白斑の出現と転移巣の縮少をみた 悪性黒色腫の1例 10分 ○真家興隆,村井博宜,西沢慶昭,高橋伸也(秋田犬) 11. BCG療法のみで4年間観察した悪性黒色腫の1剖検例 10分 ○園田俊雄,赤尾明俊,内藤全之輔,内山光明,永井隆吉(横浜市大) 384 12.悪性黒色腫に対するBCG皮内注射療法により生じた lymphadenitis tuberculosa 10分 ○米元康蔵,梅沢 明,長谷川正次,村上通敏,神崎 保(北里大) 13,皮膚悪性黒色腫の治療法,予後についての検討 10分 ○荒尾龍喜,阿部重夫,城野昌義,影下登志郎,木藤正人(熊本大) 一 般 演 題 14:00∼16:00 座長 三 島 豊(神戸大) 神 保 孝一(札幌医大) 14. Hutchinson's melanotic freckle の前駆病変 10分 ○辻 正幸,大倉隆司,三島 豊(神戸大) 15●悪性黒色腫の1例 10分 ○石川謹也,木花 光(市立川崎) 16.特異な色素異常症に悪性黒色腫を合併した1例 10分 ○土田哲也,古江増隆,関 利仁,余 幸司,滝沢清宏, 石橋康正(東京大),小林美咲,佐藤吉昭(東京医歯大) 17● PSM-melanomaの1例 10分 ○大津 晃,高橋秀東,内藤誘一,大見 尚,上野賢一(筑波大) 18.皮膚筋炎を伴った悪性黒色腫の1例 10分 ○堀江直茂,井上由起子,野波英一郎(関東逓信) 座長 内 山 光 明(横浜市大) 森 嶋 隆 文(日大駿河台) 19,自然消樋した皮膚原発巣部が脳転移を生じて気づかれた悪性黒色腫の1例 10分 ○斎田俊明(埼玉県立がんセンター),田久保海誉,土屋真一, 北野元生(同病理部),武田文和,卯木次郎(同脳外) 関口守正(東大医科研●外科) 20,母斑のskin abrasion 後に生じた乳児の悪性黒色腫 10分 ○大原国章,堀 嘉昭(東大分院) 21.黒色腫細胞における細胞傷害性T細胞の特異性について 10分 ○若林正治,岡本昭二(干葉大),谷口 克(同免疫) 22●電算機による悪性黒色腫の研究 10分 ○寺門武文,斎藤幸男,宮里 肇,池田重雄,川村太郎(埼玉医大), 石原和之(国立がんセッター) 23.皮膚悪性腫瘍研究のための統計的手法の検討 10分 ○栗谷典量(社保稲築),米虫節夫(大阪大・薬学), 影下登志郎,小野友道,荒尾龍喜(熊本大) 385 W27-£h W27-1 悪性黒色腫ならびに各種母斑忙お・けるS 100蛋白の分布 〇中島 孝,亀谷徹(国立がんセンター・病理),石原和 之(同皮膚) E229 B16メラノーフ関連抗原(MAA)の 性状おヽよびMAA- rad i o immunoassay 法の確立 ○西尾千恵子,竹田勇士,神保孝一(札幌医大皮膚科) メラノーマ関連抗原(MAA)の研究におけるモデル SlOO蛋白は, 1965年, Moore らによって牛脳より 発見された酸性蛋白で,中性付近では100*飽和硫安に可 溶性であることより名付けられた。この蛋白は神経組織特 異蛋白として,脊椎動物の神経組織に広く分布しているこ とが知られている。神経組織では,主に膠細胞にその局在 a.β) 6 mel anoma la一 より培養細胞系を 1 6 me Ianoma の 3M KCL Extractより,Con一A し,1251で標識した。MAAはCon−Aに結合し,糖蛋白 と考えられるかtyros inase活性は座い。MAAの特異 性を検討する目的で, C57BL/6マウスの正常組織お た結果,すべてがB16 であった。 B 1 6 mei anomaに比し6価以下の量 MAAはmelanomaに特徴的痙抗原と言える。 melanoma bearing を測定した。MAAはme mouse 1anomaの重量( の流血中のMAA量 Cube r o h t t p : / / w w w . . 8 7 ) . こ の 結 果 はヒ la nomaの免疫診断の可能性を示唆させる。 SlOO蛋白がそれら W-1, E228 悪性黒色腫の進展・転移の生化学的診断 ○市橋正光, Manoj Moiamdar, 三島 豊(神戸大) 1978年本邦健康人と黒色腫患者尿中5 -S-cysteinyldopa (5−S−CD)の挙動を報告(234回大阪地方会)。次に5− S−CDと腫瘍進展度および転移との相関を追求し、黒色腫の 生化学的診断に有用な事を報告CJ.Derm 6こ379-382、1979 第78、79回日皮総会)。更に担癌ハムスターと培養細胞系(第 43回東部連合)で黒色腫細胞5-S-CD産生機序を追求して きている。その結果、黒色腫患者の尿中増量5−S−CDは黒 色腫細胞により生成されることが明らかとなった。即ち、5 −S−CD量は培養系で黒色腫細胞数に比例すると共に担癌煮 物およびヒトで腫瘍増大に相関する。更に、この産生はdapa、 glutathtone添加により増大し、低温条件下およびr-glutamyltransferaseのinhibitorで抑制されることかin vitro実験で明ら かとなった。これらに基き担癌動物およびヒトでdopa load1ngを行い黒色腫担癌生体における特異的5−S−CD尿中増量 を見い出し、本症進展・転移の生化学的診断法としての特異 性および感度増大を得た。 W27-5. E230 手・足の悪性黒色腫一螢光法(Falck & Hi Harp)による観察所見を中心としてー ○長島典安,石川豊祥,森嶋隆文(日大駿河台) 周知のごとく,我国の悪性黒色腫の発生部位は下肢,こ とに足随r多く,黒色腫の第4の病型としてAcral lentiginous me lanomaが注目されるように々つた。そこで,過去 5年間r経験した手・足の黒色腫8症例について臨床的,病理 組磯学的r検索するとともに螢光法的観点からも検討を加えた。 なお・,螢光法(Falck & Hi Harp)は,チロジナーゼ活性を証す るDOPA反応と異フたって,メラニン産生細胞内のDOPA or (万一 steinyldopaを螢光物質rかえて螢洸顕微鏡下に観察する方 法である。発症部位は手r3例,足に5例であ久爪甲下黒色 腫は3例であった。病理組織学的rはAcral lentiginous melanoma typeを示す例が多いが, Pagetoid (Superficial spreading)ある吋まNodular typeと思われる例もあった。こ れら病型間に螢光法上,形態学的ならびに特異螢光の性状忙も 差違があるように思われた。なお,手に生じたAmelanotic melanomaの例ではその診断に螢光法がきわめて有用であっ た。 W27-5 0池田重雄, W27-3 悪性黒色幟患者に釦ける尿中5-S-CVsteinyldc μl排泄について一一病勢を知る上のBiochemical ΓΥ・arker − ○森鴫隆文,花輪 滋(日大駿河台) Pheome 1an i nの中間代謝産物である尿中5-S-Cysteinyldopa(5-SCD〉○測定は白人の黒色腫の病勢を知る上のbiochemical marker になりうることが指摘されている。eumelanicである健常日本人の尿中5-SCDの平均値はpheome 1an icであるスウェーデン人とほぼ│司値であることを明ら かにするとともに黒色腫患者の尿中5-SCD値を経時的に 測定し,次の結果をえている。尿中5-SCDは原発巣のみで, 転移を欠く例の多くは正常値∼境界値範囲内にとどまっ てお・り,所属リンパ節転移を伴う例では原発巣・転移巣を 摘出すると,術前高値であった5-SCOは正常値範囲内に 復し,病勢の進行とともに,再び高値となることを知った。 いまだ,症例数は少いが,黒色靴叡者の尿中5-SCDの澗』 定の意義を考えると,I)転移の有無とその広がり,2)治 療効果の判定,3)予後の刊断等に有力々情報をもたら してくれるものと期待される。 6 me 1 よび胎児組織中のMAAをRadioimmunoassayで測定し ならびにS100b(β,β)の混合物であることが知られ,S 100bのア。ミノ酸配列忿らびr分子量( 21,014 )はすで に決定されている。しかし,その機能については!tだ未解 決である。 今回,多くの悪性黒色腫ならびに各種母斑KおけるSlOO 蛋白の存在を免疫組織学的K提示し, の診断に有用であることを示したい。 maを用いた。B 樹立し,これを用いて異種抗血清(AMS)を得た。 B 悪性黒色腫の培養細胞に釦けるSlOO蛋白の存在が報告さ SlOO蛋白はS100a( no および抗血清アフイニテ4カラムを用いてMAAを分離 が見られ,神経細胞内にはほとんど認められない。腫瘍で は,各種の神経膠腫がSlOO蛋白を産生していることが知 られてお・り,髄膜腫や髄芽細胞腫には見られンたい。最近, れた。一方,生化学的には, として,C57BL/6マウスに発生したBl 悪性黒色腫に対する手術療法の実態 宮里 肇(埼玉医大) 悪性黒色腫の治療は,早期における適切な手術療法 に優さるものはない。アメリカ,オーストラリア,∃ −ロッパ等の白色人種と異なり邦人ではacral 1en tig − inous melanoma と呼ばれる型が多い(30∼40%)こ とから,その手術療法も若干異なるが,病巣広範切除 と領域リンパ節の根治的廓清が原則となる点では規を 一にする。 Stage l,nまでのものでは,上記radical Operationと免疫化学療法との併用により,着実に治 療成績の向上をみているが, Stage m, Ⅳでは,種々の 手段を講じても若干の延命効果を得るにすぎない。本 邦では近年anatomical critical area (口腔内,鼻腔 内,腔内等)に生じた本症に対し, cryosurgeryが施 行され, coiyunctival melanomaに対しては眼寓内容 全摘術が施行され,優れた成果があげられつつある。 今回は我々の手術手技の実際及びその治療成績につい ても述べると共に,治療成績をより向上させるため, どのような併用療法を用いたら良いかについても言及 したい。 386 W27-ア ○石原和之, 悪性黒色腫の化学療法 早坂健一(国立がんセンター) 従来より悪性黒色朧なこ使用される化学療法の種類は 極めて多い。DTIC, Vincristine, methyl Endoxan,Hydroxyurea。 C C NU, Merphalan, nomyc in D, Pepleomycin, Bleomycin, ○他である。しかし,現在最も多く使用されるのは Acti― ACNUそ 一方臨床と併行してマウスにおける可移殖性メラノ ーマB− 16 を用い、基礎的実験を行った。 BCGとOK 432を免疫療法剤として用いた。 いずれの場合も、免疫療法剤で感作した担腫瘍マウス の腫瘍内局注を行った群に、最も腫瘍縮少効果と余命 の延長がみられた。 化学療法剤との組合せでは、CY併用群に、腫瘍縮少 効果か著しかった。 DTIC, Vincristine, A C N U ■*ftはHydroxyurea の併用療法である。我々はstage l bよ!7 stage 4 ま での32例に使用し,著効( 9 0 ≪1 有効(90∼50価の縮少)2例,や!ゝ有効ぐ50∼ 25価の縮少)5例,不変( 2 5 ≪以下の縮少)18 例,判定不能6例で,有効率は30%であった。臓器 感受性は肺及びリンパ節転移に最も高く認められた。 副作用は悪心,食欲不振など10例に認められたが, 何れも一過性であった。使用3∼4週後に軽度の白血 球減少が数例に認められた。肝機能低下は観察されな かった。 W27-8. E231 速中性子線による悪性黒色腫の治療 石原和之,早坂錬一(国立がんセンター),0三和敏夫, 山田晃司,森 俊二(岐阜大),恒元 博,森田新六 (放医研臨床研) 速中性子線は従来のX線治療に比べて低酸素状熊でも その効果に差がない,即ちoxygen entiancement; ratio (OER)がX線より低い。照射を受けた細胞の亜致死障 害からの回復はX線よりも低下するなどの利点により, 従来放射線感受性が低いとされる軟部組織肉腫,骨肉腫, 悪性黒色腫などの治療に有効性が期待される。我々は科 学技術庁放射線医学総合研究所(放医研)との協力によ り,同研究所のサイクロトロンによる凍中性子線治療を 悪性黒色陣に対して行っているので現在までの成,積を報 告する。治療の対象とする悪性黒色腫はステージlまた はlの初期の症例を主として原発巣に対して速中性子線 単独またはx紳との混合による照射を放医研臨床研究部 で決めた方式に従って行い,多くの例では照射終了後3 週間以内に切除手術を行っている。現在まで24例に照 射を行っているが,著効1,有効5,やや有効11,無 効3,不明4の成稽を得ている。 W27-9. E232 悪性黒色腫の免疫療法 0内山光明, 内藤全之輔,永井降吉(横浜市大) われわれは26例の悪性黒色腫に対して,主として 手術と併用してBCG療法を行い,有効15,やや 有効3,無効8の成績を得た。有効のうちStage l が12, n,Ⅲ,IVがそれぞれ1,であった。 やや有効はStage l が1,mが1 で,無効の8 例はStage l が1,Ⅲが5,Ⅳが2 であった。 BCGは主として経皮接種(管針法)を行い,一部に 局注,内服を併用した。 一部の症例にはDT I C による化学療法を併用し,併用以前の症例との効果の 比較検討を試みているか,結論を得るにはいたってい 産い。 W27-10. E233 凍結療法およびBCG療法中に,広汎 な白斑の出現と転移巣の縮少をみた悪性黒色腫の1 例 ○真家興隆,村井博宣,西沢慶昭,高橋伸也(秋田 大) 患者:76才,男。初診:昭和54年χ2月13 日。家族歴・既往歴:特記事項なし。現病歴:5年 前,右第3趾内側に黒色皮疹発生,次第に第2趾間 ,第2趾外側に拡大。3ヵ月前から右鼠径リンパ節 が腫大して来たため来院。現症:右第3趾内側から 趾背,および第2趾聞から第2趾外側にかけて,連 続性,扁平浸潤性の黒色腫瘤あり。右鼠径リンパ節 は鶏卵大までに数個,互いに癒着して硬く触知。臨 床的に悪性黒色腫およびリンパ節転移と診断。治療 経過:原発巣,転移巣に対し,各々6000 Rの電 子線照射を行うも無効。 DTIC lOOmg/B,計1 g 静注も無効。原発巣に対して液体窒素による凍結療 法を行うと共に, BCG経皮接種を週1回宛行ったと ころ5回目頃から転移リンパ節が縮少しはじめ,了 回目頃から腰部,下腹部,原発巣周囲等に広汎な白 斑が出現した。 W2アーn BCG療法のみで4年間観察した 悪性黒色腫の1剖検例 園田俊雄,赤尾明俊,内藤全之輔,内山光明, 永井隆吉(横浜市大) 患者は初診時85オの女性。左頬部の色素沈着と左耳 介後部のリンパ節腫張を主訴として来院。初診51年 12月。52年1月入院、右頬部の色素斑はLentigo mal igneであった。入院の3年前某医で右頬部の結 節を切除されているが組織は不明。入院後BCG(管 針法)接種開始、右耳介後部のリンパ節は縮少を認め、 3月退院した。その後外来通院していたが53年2月 右胸痛を訴え、XPで肋骨転移が疑われた。 53年11月には、右側胸部に小児頭大の腫瘤形成、 同12月入院、BCGの経皮接種を腫瘤の周辺に行った。 腫瘤は柔らかく左ったが、縮少せず、54年8月一たん 退院、同年10月再入院した。54年11月から、腫瘤部 を穿刺し、血性の貯溜液lOOOCCが得られた。以後穿 刺をくり返したが、次第に衰弱、55年5月31日死亡し た。剖検所見では、左頬部原発等の消失、左傾部に 2ヶリンパ節転移、右肋骨部の転移 のほか肉眼的転 移は認められたかづこ。 387 W2アーU, E234 悪性黒色腫に対するBCG皮内注射療法 により生じたLymphadenitis tuberculosa O米元康蔵,梅沢 明,長谷川正次,村上通敏, ○土田哲也,古江増隆,関 利仁,余 幸司,滝沢清宏 神崎 保(北里大) 65才,女性。 W27-15 特異々色素異常症に悪性黒色腫を合併 した1例 石橋康正(東大),小林美咲,佐藤吉昭(東医歯大) 10年前頃より左第1指爪甲の黒色色素 23才男性。生下時より全身rびまん性褐色色素沈着及 線条に気付く。徐々に拡大しS.47年に抜爪及びDエP関 節から切断術。翌年より左肢然に皮下腫瘤出現,徐々 に増大しろ年前当院初診,外科にて腫瘤摘出術及び周 び多数の小黒褐色斑,小説色素斑の混在があり,加令『 よt』特に変化は々かった。日光過敏なく, Xerosisもな 辺リンパ節廓清術。組織学的に悪性黒色腫の転移と診 断。S. 54年11月,同部に再発し腫瘤摘除及び左瞭然リ いか,一見Xerode rma pigmentosumを思わせる臨床 像を呈し,組職は基底層のhyperpigmentationを示すの みで非特異的であった。妹,父,父方叔父,父方祖父に同 ンパ節廓清術施行後, DTIC Iタール, BCG内服療法 開始。その後外来通院にてBCG内服は1週ないし2週 症を認める。初診1年前より左足外側縁に点状黒色斑出 現し,徐々に隆起,増大し,55年3月26日当科初診時 に1回(80琴)継続していたが,S. 55年4月ほぼ同部位 に皮下腫瘤再発,組織は悪性黒色腫の像。同年6月よ 11×13四半球状隆起性黒色腫瘍とンtつていた。悪性腫 瘍広範囲切除十植皮十根治的リンパ節郭清術施行す。組 職はsuperficial spreading melanoma levelⅣで,リン パ節転移は認めなかった。DTIC等化学療法併用し,55 年9月現在転移は認めていない。 りツ反応強陽性であったが, BCG皮内注射療法(a2≫ /回/2週)(左上腕内側)に変更。投与1回目より 58℃台の熱発,2回投与後左鎖骨上席に鳩卵大リンパ 節腫脹をみ,その後自漬す。結核菌①。ほぼ同時期に 左後肢窓には腫瘤再発。臨床及び組織から前者は Lymphadenitis 転移と診断した。 tioberculosa 皮膚fibloblast DNA repairは正常で,血中MSH, ACTH,副腎皮質,髄質機能とも異常なく,染色体分析 ,後者は悪性黒色腫の W27-13, E235 皮膚悪性黒色腫の治療法・予後について の検討 ○荒尾龍喜,阿部重夫,城野昌義,影下登志郎,木藤正人 (熊本大) でも異常を認め々かった。血中銅は軽度高値を示した。 W27-17 PSM-Melanomaの/例 ○大津 晃、高橋秀東、内藤誘一、大見 尚、上野賢一 (筑波大) 当教室忙おいて観察した皮膚悪性黒色腫62例( L.M,M. 5例, A. L. M, 3 0例^ S. S, M, Z例,N.M.M.15例,その他 10例)症型・治療法・予後について検討した。 A.L.M.で は5年生存率50価,10年生存率14 . 3 56n N.MM.では 6年以上の生存例はなかった。主として溶連菌製剤を用い た免疫療法群およびD T I 0 ,メチル0 0 N U,ビンクリ スチンを併用した免疫化学療法群の治療開始3年後の予後 をKaplan Me ie rの統計処理によって検討,転移巣の ない群では免疫化学療法を行わがかった対照群のそれと大 差たく良好,転移巣を有する群では免疫化学療法群がより 優れるとみられる成績が得られた。 W27-1七E235 Hutchinsorfs melanotic freckleの前駆病変 ○辻 正幸,大倉隆司,三島 豊(神戸大) 悪性黒色腫の各病型についての前癌病変は近年次第に明 らかにされつつある。今後,これを一歩すすめ,前癌の前 駆病変の臨床的並びに細胞病理学的characterizationを行う ことにより,黒色腫の治療成績かさらに改善されるのみな ず,黒色腫のonl。genyもより明らかにされると考えられる。 我々は高年者の日光露出部に好発する非母斑細胞性melanocyteの代表的前癌症であるHutchinson's melanotic freckleの 種々の発生段階にある各病巣を臨床生物学的,細胞病理学 的に,又電顕的にmelanocyteの増殖pattern, tyrosinase活性, melanosome aberation等をmelanocyte kineticsを含めて検索 し> pre-Hutchinson's melanotic freckle とも呼ぶべき特徴を 有する病巣かあることを明らかにした。 W27-15, E237 悪性黒色腫の1例 ○石川謹也,木花 光(市立川崎J 67才,男020才頃より左眉毛内側部に脂漏性角 化症様の皮疹があつたが,1ヵ月前にそ0部を打ったo 以来,次第に増大して初診時。21×25 an大の有茎性, 暗赤色,出血性の腫瘍となるo臨床診断はgranuこLoma lyogenicumo組職学的にnodu.ニlar tyDe Q悪性黒色腫の 像が認められたo £∂才男。30才頃、右外足縁に刺傷、/年後に黒色 斑発生。77才(j年前)、右足関節部、右下腿に転移巣 発生、増大。/年前某医で切除、再発。右下腿より右膝 にかけ数個の転移巣、右股リンパ節腫大。転移巣は、切 除、一部fibroblast interferon局注後切除。と くにIF局注について述べる。 W27-18. E238 皮膚筋炎を伴なった悪性黒色腫の1例 ○堀江直茂,井上由起子,野波英一郎(関東逓信) 61才,男。茶商。初診:昭和55年4月7日。昭和25 年某病院外科で前額部,左耳前部の黒子を剔出。当時 の病理組織診断はmelan。cyte blast。ma 。 昭和引年 当院外科で左肢下の鶏卵大リンパ節腫瘍を剔出。病理 組織診断は melanosarcoma 。 その後2ろ年間無症状で 経過したが,昭和54年当院耳鼻科で左耳下腺腫瘍を剔 出した病理組織診断はmalignant melanoma で,5 ヵ月後に左顎下リンパ節転移を来し剔出。昭和55年5 月頃より顔面の紅斑,四肢筋肉痛,脱力感,更に嘸下 困難を来し当科受診。皮膚には紅斑,毛細血管拡張, 萎縮,色素脱失等の多彩な発疹を認め,左畷部,顎下 リンパ節腫脹を認めた。転科後上記リンパ節切除と DTIC・ACNU・vcEによる化学療法及び免疫療法を施 行,皮膚筋炎に対してはステロイド療法を行ない,嘸 下困難などの症状は軽快したが,本年8月全身衰弱, 肺炎のため死亡。剖検では局所再発及び肝転移が認め られた。 388 W27-19> E239 自然消殖した皮・肖原発巣部が脳転移を 生じて気づかれた悪性黒色腫の1例 ○斎田俊明(埼玉県立がんセンター)田久保海誉,土 屋真一,北野元生(同病理部)武田文和,卯木次郎 (同脳外科)関口守正(東大医科研外科) 42才男。1980年1月よ卵 月末当院脳外科受診。右側頭の脳腫瘍を摘出され、そ の組織所見から悪性黒色腫の疑いが持たれ、当皮膚科 へ紹介された。皮膚科的には、中背正中やや左側K25 ×16−の楕円形状脱色素斑が存在していて、その中 心部には淡紅色で、わずかに浸潤を触れる3×4・の 小皮疹が認められた。左液窯には鳩卵大の硬い結節が 触知された。 患者の言によれば、約4年前該部に生じた略大豆大 紫黒色結節が、何らの思い当たる誘因なしに、約半年 くらいの経過で自然に消失し、後に脱色素斑が残った という。 組磯学的には、背部悦色素斑中央の紅色丘疹邦忙一 致して、真皮上層に異型細胞巣が認められ、リンパ球 の浸潤、線維化、毛細血管拡嘔を伴っていた。 左岐謬廓清優等衡癩行したか、その後、脳転移の再 発・消化管転移等を牛じてきて、同年7月死亡した。 W27-20, E2A0母斑のskin の悪性黒色腫 abrasion後K生じた乳児 ○大原国章,堀 嘉昭(東大分院) 症例は昭和54年12月28日生まれの女児で,55年 1月21日初診。生下時より上背,項,後頭に濃淡不整 の青黒色∼黒褐色斑あり。局面内には帽針頭大の黒色 小丘疹も散在していた。色素斑及び小丘疹の生検組織 像では母斑細胞が真皮上層∼中層では巣状に,中層∼ 下層では散在性に見られたが,悪性所見は見られなか った。2月6日(生後6週) た。この培養細胞は、−ウス黒色腫細胞に特異的活性 を示すばか夕でなく、さらに、ヒト黒色腫細胞も特異 的に破壊したが、ヒト黒色腫以外の腫瘍細胞に対して は全く反応しなかった。この培養細胞集剛は、抗囁y l、2抗体と補体で処理することによj傷害活性が消失 するところから、NK細胞ではなく、T細胞によって起 こっていることが判明した。以上のことから、ヒトシ よひーウス黒色腫細胞阻丿几は共通の腫瘍特異抗原が存 在してお久細胞傷害性T細胞はこの共通抗原のみを 認識して腫瘍細胞を破壊していることを示している。 この点に関して抗黒色腫抗体を用いた実験結果を含め て若干の考察を加えたい。 W27-22, E242電算機による悪性黒色腫の研究 ○寺門武文,斉藤幸男,宮里肇,池田重雄,川村太郎 (埼玉医大),石原和之(国立かんセンター) 悪性黒色腫の治療法を求めるためには,既に行われ た治療と,その原発巣の進展度(侵襲の深さ),リンパ 流による拡散,全身転移の有無,その他との関係を。 「生命表の最大利用法」によって数値化して判定する ことか適切である。このシステムで数値を得て,それ ぞれかどの程度に有意であるかを知るためには莫大な 演算を必要とする。国立がんセンターの御好意によっ て,この研究か可能となった。1955年から1979年ま での410例を対象とするか,発表に際してその出所を 挙げて謝意を表したい。癌腫の入力システムも既に出 来ているから,今後多数の施設の共同研究によって, 皮膚悪性腫瘍の診断,治療及び予防の知見が進むこと を念願して,研究が緒についた段階で発表を決意した。 1955年以降の悪性黒色腫に関する知見の進歩を考え ると,初歩的情報は全症例から得られるが,近代的情 報は,その半数内外に基くものであろう。 skin abrasion を行ない, 約2週間で上皮化。5月23日(生後5ヵ月≫ abrasi・ 後2ヵ月半) abrasi・の廠痕内の左肩甲上部に小指頭 大の硬い皮下腫瘤を触知した。6月2日に広範囲切除 W27-23, と植皮,6月16日に左蔽商リンパ節廓清を行なった。 腫瘤は表皮とは連続性なく,真皮内に位置し,母斑細 胞様の細胞が蜂巣構造を示す部分と,紡錘形,楕円形 登志郎、小野友道、荒尾龍喜(熊本大〉 の核を持つ細胞が錯走した流れを形成する部分と,円 的手法の応用はかなり普及してきた。一方、生物統計学分 野の研究にも進歩がみられ、コンピューターの普及に伴い 新しい方法も開発されてきた。ところで悪性腫瘍の領域で 形の核を有する細胞がぱらぱらになって増殖する部分 が認められた。リンパ節には転移は見られなかった。 巨大色素性母斑から生じた悪性黒色腫の統計と巨大は 斑の治療上の問題点についても述べる。 W2アー21. E2り1黒色腫細胞Kおヽける細胞傷害性T細胞 ○特異性について ○若林正治1),谷口 克2),岡本昭二l) 千葉大.皮膚科l),同.免疫2) 悪性黒色腫に対する細胞傷害性T細胞の詔識応答概 構を解明するために、1n V iI ro 一次反応系を用いて解 析した。マウス黒色腫細胞をマイトマイシンCで処理 し向系マウスの畔細胞とともに5日間培養することに よって、黒色即に特異的な紬胞傷害性T細胞を誘導し E2i(3 皮膚悪性腫瘍研究のための統計的手法の 検討 ○栗谷典量(社保稲築)、米虫節夫(阪大薬学部)、影下 今日、臨床的研究において確率論の導入、すーわち統計 は、データの特殊性から一般的手法ではその適用に制限が あり、理論的、実用的刄面で問題が多く、皮膚科領域も例 外ではない。すなわち1)症例数の設定が意のままになら ないo幻問題となる予後因子数がきわめて多く、条件の 統一がはがれない。3)観察期間がそれぞれ異なる症例を 一括処理しなければなら忿い。しかもその期間は長期にわ たる。これら問題の多い悪性腫協領域のデーターの処理法 について富永は理論的に最も適切とされる一連の手法を紹 介した(ロoxの重呵帰分析、Kaplan Meier法、G8 neralised Wilcoxon法左ど)。我々はこれらの手法 を逐次皮膚悪性腫瘍に試みている。今回は主として熊本大 学悪性黒色呻42例を中心にその実用性を検討したので報 告する。 389 ワークショップ(W28)乾癖 4月5日 14:00∼17:00 A会場 主オーガナイザー 大河原 章 (旭川医大) 副オーガナイザー Kenneth M. Halprin (米・Miami大) 座長 大 河原 章(旭川医大) 話 題 提供 1 14:00∼15:21 吉 川 邦 彦(名市大) 1●乾癖とサイクリックヌクレオチド 10分 吉川邦彦(名市大) 2.皮膚のcyclic AMP 系におよぽすglucocorticoidの作用 10分 飯塚 一他(北海道大) 3●表皮細胞と薬剤 10分 青柳 俊他(北海道大) 一 般 演 題 4●乾癖とプロスタグラッディッ 7分 ○片山 洋,川田陽弘,藤條善彦,遠藤千鶴子,許 紅笙(自治医大) 5. Retinoidの乾癖に対する臨床効果の検討 7分 ○大村友子,猪原慎一,遠藤秀彦,相模成一郎(兵庫医大) 6レビタミッA酸の速効した難治性乾癖 7分 中溝慶生,0大隈貞夫,猿田隆夫,吉田正美,河野昭彦(九大温研) 教育講演 7.乾癖の病因と治療(Pathophysiology and treatment K. 休 8 M. Halprin (米・ Miami大) 憩(15:21∼15:31) 15:31∼16:33 − of psoriasis) 30分 座長 吉 川 邦 彦(名市大) 般演題 大河原 章(旭川医大) ストレスと乾癖 7分 ○猿田隆夫,中溝慶生(九大温研) 9。乾癖の温熱および寒冷療法について 7分 中溝慶生, ○木村秀人,猿田隆夫,大隈貞夫, 吉田正美,矢野 寛(九大温研) 10,尋常性乾脚患者のPUVA療法におけるMDS (デキストラソ 硫酸ナトリウム)内服の効果 7分 ○内山安弘,石川英一(群馬大) 話 題 提 供 11 11.乾癖と免疫 10分 田上八朗(浜松医大) 12.乾癖とHLA 10分 水元俊裕他(旭川医大) 390 13.膿庖性乾癖 10分 森 俊二(岐阜大) 一 般 演 題 14.乾癖と好中球遊走能 7分 村上静幹(群馬大) 15.コルヒチンによる掌鈴膿庖症の治療 7分 ○滝川雅浩,宮地良樹,段野貴一郎(京都大), 上原正己(滋賀医大),田上八郎(浜松医大) 16,結核性膿胸,ブドウ膜炎,腎炎などを合併する膿庖性乾癖の1例 7分 藤田益子,青木敏之(大阪府立羽曳野) 総 合 討 論 16:33∼17:00 391 W28-1 乾癖とサイクリックヌクレオチド ○吉川邦彦(名西大) かってvoorhees等は乾参病巣部表皮におけるcAMP の減少とcGMPの増加を報告し、両者による生体調節 機構の乱れが本症の原因であると述べ注目を集めた。 本仮説の基盤は種々の実験系で観察されたcAMPの細 胞増殖抑制的、分化促進的作用と、CGMPの細胞増殖 促進的、哨分化的作用である。 然し以来諸家の研究結果は必ずしも本説を支持せず 、乾癖のcyclic nucleotide 異常説は可成り後退し た。但しエピネフリン刺激による表皮cAMPの形成は 病巣部で著明に低下しており、これが病態形成に重要 である可能性は大きい。今後この面から本症の病因、 病態を追求するにはcAMP合成酵素の存丘する表皮細 胞膜の問題と共に、CAMP やCGMPがその磯能を発揮 するのに必要なたん白りん酸化酵素以後のステップの 検討が必要である。ここではこれまでの研究結果の概 略と共に、表皮におけるcyclic nucleotide 依存性 たん白りん酸化酵素に関する我々の知見を招介する。 AMPは, epidermai outgrowth を促進させた。 Hydrocof tisoneはepidermal outgrowth にはほとん ど影饗を与えなかったが, mitotic indexを抑制する とともに,β・adrenergic receptorの感受性を高め, epinephrine によるepide/mal outgrowth. mi totic index抑制効果を増強させーた。代謝措抗剤とその関連 薬剤, Retinoidによる効果についても報告する。 W28-4 乾癖とプロスタグランデfン ○片山 洋,川田陽弘,藤降善彦,遠藤可嫡子,許虹星,(自治医大) 乾癖とプロスタグランデfン(PG )の関係にっいてはいくっかの報 告があるが、それらが乾秦の発症にいかなる役割を果しているかま だ明らかではない。我7はインドメサシンの内服および外用が乾癖 を著しく増悪させることを観察し第289回北陸地方会に報告した が、これが?Gの合成障害にともなう表皮におけるPG不足、さらに それにひき続くcyclic HETEなどのhydroxy AMP fatty 生成不仝によるものか、あるいは逆に acid の増加によるものか、あるい はそれ以外の機序によるものか不明であった。そこで我々はPGEr、E2 、私、含有親水軟膏を作製し、乾癖皮疹に対する影響を検討した。そ の結果、単純塗擦でも有効例はあるが、ODTが著効を呈し、またPG W28-2 皮膚のCyc】ic AMP系にふ・よぽす gluco'cbrt icoi dの作用 ○飯塚 一,青柳 俊,梅田佳津子,石沢秀明。 根本 治,加藤直子,三浦祐晶(北大) 表皮の細胞分裂や角化においてeye Ii c AMPは重要を 調節因子の1つと考えられているか,表皮cyclic AMP 量を決定するadenylate cyclaseふヽよびcycl・C AMPphosphodiesteraseの調節機構は現在までその詳細は不明 である。特に尋常性乾癖皮疹部表皮においては,β− adrenergic adenylate eye Use 系の反応性の低下が認 められ,病因との関連か推定されているか,今回はこ のβadrenefgic receptor系に焦点をしぼり,その系 にもヽよぼすglucocor ticoidの作用について述べる。 豚皮膚を用いたin vi iroの実験によりβadrenergic adenylale cyclaseは長時間の培養系で比較的不安 定である事,またhyd/ocof ti soneはこの/eceplor系を 保護する作用かある事が示された。この作用はhydrocor ti soneの濃度に依存し1 Z4 M.以上の濃度で認めら れた。βmethasone 17 valerateでもhydrocor ti soneと 同様の作用が,約1イ00の濃度で認められた。glucocorticoidは本receptor系を介して皮膚のcyclic AMP 系 の調節因子として働いている可能性かある。 W28-5 表皮細胞と薬剤 ○青柳 俊,梅田佳津子,猿田基司,深谷 徹, 飯塚 一,三浦祐晶(北大) 乾癖の治療には,各種代謝措抗剤,副腎皮質ホルモ ッ剤Retinoidなどの薬剤が用いられている。今後の 乾癖治療の可能性を探るために,豚皮膚のexplant culture systemを用いて,各種薬剤の効果を検討した。 epiderma I outer owth, mi lot i c indexを指標とLで 用,(た。検討した薬剤は(1) cyclic AMPおよび関連薬 剤, (2) cyclic GMP, (3)副腎皮質ホルモン. (4)代 謝桔抗剤おヽよび関連薬剤, (5) Retinoid . (6)その他, である。 cycl ic AMPふヽよび関連薬剤は, epidermal outgrowth, mi totic index を抑制し, Dbc- AMPは, epidermal m igralion をも著明に抑制したかcycl ic- E、の効果が最大である印象を受けた。以上のことから乾耐の発症機 序にPGが大きく関与していることが推定された。今回は更にその 後の症例をも加えて検討した成績を総括的に報告する。 W28-5 Retinoid の乾癖に対する臨床効果 の検討 O木村友子、猪原慎一、遠藤秀彦。相模成一郎(兵庫 医大) Vitamin A誘導体であるRetinoid ( Ro 10−9359、 日本ロシュ社)内服療法を膿庖性乾癖2例、尋常性乾 癖16例について治験を行ない、脱落例2例を除く16例 に有用性を認めた。 Ret inoid 内服単独と、ステロイド剤外用単独、両 者の併用療法、その他の乾癖に対する療法を比較し、 その臨床効果を検討した。 Retinoid 単独で著効を示し、完全寛解が得られた もの4例、外用剤を併用することで有効であると認め られたもの12例、増悪1例であった。 また、膿庖性乾癖2例については、著効を示し、重 症乾癖性紅皮症一例では、人工透折であまり効果がな かったが、Ret inoid内服で症状が著明に改善した。 ステロイド外用剤併用時の、効果の特徴は、皮疹の 消退速度が早いこと、寛解期間が長いことなどがあげ られる。 W28-6、E2>m ビタミンA酸の速効した難洽性乾折 中溝慶生√う大隈貞夫、猿剛│毀夫、占田IE美、河野昭彦 (九大温研) 我々は最近、経口的ビタミンA酸治療を乾癖の一治療として試 みているが、尋常性乾癖に対しては、その薬剤の副作用のため に、その薬理効果の出現以前に同薬剤を中止せざるをり・ないが コールタール、アントラリン。ステロイド外用剤、ACTH、ステ ロイド内服、MTX内服、治療等で難洽性を示した乾廊性紅皮症2 例にビタミンA酸内服洽療で署効を認めた。 392 W28-7 AND TREATMENT OF PSORIAS工S W28-10 尋常性乾癖患者のPUVA療法におけ るMDS (デキストラン硫酸ナトリウム)内服の効果 ○内山安弘,石川英一(群馬大) Kenneth M.Halpc in (University ot Miami & Veterans Administration Hospital, Miami, Florida, U.S.A.) Psoriasisis an inherited disease. Recent evidence suggests the HLA-C locus as being closely identified with the disease process. Uninvolved skin of psoriasis patients responds to stimuli with an increased rate of cell proliferation far exceeding that of the normal population. A defect in the ease with which cell proliferation Is turned on and a defect in turning hyperprollfer∂tion off both seem to be involved. The lesion is a combination of dermal and epidermal events with redness (dermal) and scalingくepidermal) parameters. Therapi es to daヒe have probably been successful because of theii:antimitotic properties. A discussion of our current understanding 0fthese lesions will be given. 尋常性乾癖において、血清脂質の異常が問題にされ てきた。そして血清プレーβないしβリポ蛋白が乾癖 の発症に何らかの影響を及ぼしていると考えられると いう報告が、我々の教室をはじめいろいろな人々から なされてきた。そこで今回我々は、血清β−リポ蛋白 と結合するMD S (デキストラン硫酸ナトリウム)の PUVA療法における効果を検討した。慢性の尋常性 乾癖症例を来院順に交互にMDS内服、非内服例に分 け、PUVA療法施行とともにMDS f 9 0 o≪w/日)を 投与、PUVA終了後も継続投与した。PUVA療法は MDS内服、非内服を問わず、全例において当教室で 定めた方法に従って施行した。その結果、MDS内服 例では非内服例に比して、PUVA療法による略治ま での日数が短く、また皮疹再燃までの日数は長いとい う結果を得た。 W28-11 乾癖 田上 八朗 (浜松医大) と 免疫 過去lo年、乾癖の病因にこれまであまり顧みられなかった免疫 W28-8 ストレスと乾廊 ○猿田隆夫、中溝慶生(九大温研) が関与しているのではないかということを示唆するデーターが次々 と現われてきた。病変部の貞皮にみられる密な単核細胞を中心と する細胞性免疫の関与、あるいは白血球の角層へ向う遊走をめぐっ 乾徊誘発因子の1つとしてストレスをとりあげている文献は我 ての液性免疫の関与、さらにHLAとの密接な関連から本態的に が国においては少ない。さきの日皮総会(55年4月)において演 者らは110名の乾叡患者のアンケート調査において、かなりの頻 度においてヌ、ドレスがその誘発因子となっていることを指摘し 免疫遣伝病を示唆するものなど多岐にわたっている。このなかに た。今回さらに130名を追加して(?r240名)この問題を追求し た。その結果、初発時には52瓢再発時には60%、増悪時には 62%の患者がストレスを有していた。ストレスの種類はさまざ つつ、はたして免疫がどれだけ意義をもつものかについて考えて みたい。 まであった。ここではその内わけを紹介し、また実際に、スト レスが乾幽発生または増悪あるいは再発に深く関与しているこ とが強く疑われた症例を供覧し、その予後について報告する。 W28-9 乾殖¥の温熱および寒冷療法について 中溝娶生√丿木村秀人、猿田隆夫、大隈貞夫、吉田正美、 河野昭彦、矢野寛(九大温研) 乾鳶の温熱療法として占部ら(1980)は関節リウマチに用い る発熟シート(エルヒッチエン)を使用して良好な成績を得て いる、演茜らも吋様な方法を試み本法の有効性を健めた。また 同時に寒冷療法も試みた。この方法は、アイスマッサージと呼 ばれるもので、液体窒素80%、酸素20%の混合ガスでこれを患 部に吹きつけて冷却する方法である。温熱療法、寒冷療法いず れも各種陥に用いられている現実から、細胞増殖を来すという 点で睨と類似している乾癖に応用され得ると考えられたもので あるぶ温熱療法と寒冷療法の有効性の比較についても述ぺる。 は本当に発症の背景をなしているものから、単に炎症鰐変に伴う二 次的なものまで種々のものが含まれており、ここでそれらを整理し W28-12 0水元俊裕, 乾癖とHLA抗原 日下部芳志,大河原 章(旭川医大) HLA抗原は種々の疾患の疾患感受性と密接に関 連している点で重要である。われわれはすでに昨年 の第44回日本皮膚科学会東日本学術大会において, 48名の血縁関係のない乾癖患者についてHLA抗原 を検討し, Bw3 9ふヽよびCw7が乾癖患者群に有意 の差をもって高頻度に出現し, B 3 7 i-よびCw6も 軽度に増加傾向を示したが統計的に有意とはいえず, またB 13 , B 17 を有するものは座かった旨を報告 した。さらにBw 39 お・よびCw7を有する群は,その 初発年齢も,これらをもたない群に比し,約10年 位若い傾向がみられることも述べた。今回はこれら の成績をふまえて,これまでの欧米にふ・ける報告と 本邦の他施設にふ・ける成績を対比検討しながら, HLA抗原が乾癖関連性抗原としていかなる役割を 果してきたかを歴史的に振り返りつつ,真の乾癖感 受性抗原にっいても言及してみたい。同時に家族内 発生をみた1家系にっいてもtyningを試みたので その結果もあわせ報告する。 393 W28-15 森俸二 W28-15 コルヒチンによる掌跳膿庖症の治療 滝川雅浩,宮地良樹,段野貴一郎(京大) 上原正巳(滋賀医大),田上八朗(浜松医大) 膿庖性乾癖 (岐阜大) 膿庖性乾│fe Psoriasis pustulosaはLeverによると 汎発型( GPP)と限局型に分けられる。GpPは発熱な どのときに重篤な全身症状を伴うZumbusch型を代表と して,いくつかの臨床型が分類されている。 Bakerは GPFを2型に分け,|刮は早くから典型的な乾齢があ り,それに何等かの誘因が加わってGPPになるもの, l奉は発病が遅く,皮疹も非定型的で速やかにGEI・と なるものとし,このI型の誘因としてコルチコステロ イドを筆1にあげている。我国でもGPPは昭和40年 代より著明な増加を示し,コルチコステロイトで誘発 されたと考えられる例も多い。小児の膿庖性乾。叡も最 近本邦で著増しており,その病像は成人例と若干異な るo乾齢の発症には素因が深く関係していることは最 近のHLAの研究でも明らかになっているが, 合ではBW 27が関係しているといわれる。 GEPの場 GFPの全身 治椿としてはメソトレキセートが従来は第一声択薬で あったが,最近はretinoidが注目されている。 W28、111 乾癖と好中球遊走能 村上静幹(群馬大) 近年Wahba らにより、乾癖患者にみられる好中球 遊走能九進が報告されている。今回、我々は、本大学 外来・入院乾癖患者における好中球遊走能充進を確認 するとともに、その病型、範囲における差異、および、 治療前、治療後における変動について、正常人、他疾 患患者と比較した。Boyden chamberの上室に、多核 白血球、下室に、Chemo-at tractantとして、 Picibani1、および、E.co□1 ipopolysacchar ide を用い、0.65μmi 11iporef i1ter中に入り込んだ多 核白血球を、Chemotact i c indexを用いて比較した。 Picibani 1における検索で、尋常性乾癖、関節症性乾 歯患者に高値を認め、且つ、PUVA療法後、皮疹の軽 快に伴い、Chemotac ti c indexの低下を示す症例を 得た。今後Chemo-at tractantとして、E.coli 1ipopolysacchar ideならびに、患者鱗屑抽出物を用 い、検討する予定である。 掌跳膿庖症(PPP)の患者12人にコルヒチン2mg-lmg 1日を経口投与し,漸減しつつ皮疹に及ぼす影響をみた。 結果は治癒4人(内服期間,5-8週間),軽快3人(同, 3-8週間),不変1人(同,8週間)であった。残りの4 人は副作用(下痢,めまい)のため内服1∼3週目で投 与を中止したが,中止時点では膿庖発生が軽減していた。 コルヒチンがPPPの膿庖発生を抑制し,皮疹を軽快する メカニズムとして,好中球のdirectional movementの阻 止か示唆された。興味あることは,経過中に膿庖か消失 し,水庖のみになった症例のみられたことである。 ppp の初発疹が水庖であることはすでに発表したか,好中球 の浸潤がコルヒチンにより抑えられた結果初発の水庖の み残ったと考えた。 W28-i6 結核性膿胸、ブドウ膜炎、腎炎などを 合併する膿庖性乾癖の一例 藤田益子、青木敏之(大阪府立羽曳野) 47才男性、会社経営。家族歴、特記すべきものをし。 既往歴、子供の頃より中耳炎、40才頃より糖尿病。昭 和49年両手指尖部に紅色皮疹出現、漸次全身に拡大し 膿庖性乾癖と診断され治療を受けるもー進―退であっ た。 52年7月中耳炎の手術( r―tympanoplasty)后、 皮疹は急速に拡大、熱発、関節痛を伴うようになり紅 皮症状態となる。ステロイドホルモン、抗腫瘍剤で治 療中、皮疹は略コントロールされていたが糖尿病の悪 化、結核性膿胸を併発し治療は中止された。抗結核剤 投与、膿胸開窓術で結核菌陰転化するも気管支痩形成 し、手術創治癒状態悪く再手術困難な状態にある。手 術後より現在まで紅皮症状態は変らず熱発37∼38°C持 続、手足の変形やヤ進行、両足背∼下腿にかけ結節状 皮疹出現し、進行しつつある。 54年6月より腎炎、54 年12月よりブドウ膜炎、55年3月より血清肝炎、いず れも再燃を繰返している。 395 ワーシクヨツプ(W29)感染症Ill (寄生虫・性病) 4月5日(日) 14:00∼16:00 第3会場 オーガナイザー 岡 本 昭 二(千葉大) 寄生虫疾患 14:00∼14:30 座長 岡 本 昭 二(干葉大) 一 般 演 題 1●マッッッ孤虫症の1例 8分 ○末久聖子,鈴木典子,岩月啓氏,田上八朗,山田瑞穂(浜松医大), 紀野秀人,石井 明(同寄生虫),森岡洋子(浜松日赤) 2, Plerocercoidosis erinacei (Sparganosis mansoni) 8分 ○福原 右,大井綱郎(東京医大) 性病 14:30∼16:00 一 座長岡本昭 一 (千葉大) 教 育 講 演 3.性行為感染症 40分 岡本昭二(干葉大) 一 般 演 題 4.梅毒患者血清の分画による梅毒IgM, IgG抗体の推移 8分 ○高橋邦明,寺尾祐一,廣田稔夫(大阪市大), 津上久弥(大阪府立万代診療所) 5●第二期梅毒疹の1例 8分 瀬口俊一郎(高知市民) 6●顕症梅毒の1例 8分 ○児浦純義,森下玲子(鹿児島市立) 7●軟性下瘤の1例 8分 ○伊藤達也,土居敦子,米田洋子,岡本昭二(干葉大) 396 W29-1, E248 マッッッ孤虫症の_例 ○末久聖子,鈴木典子,岩月啓氏,田上八朗,山田瑞穂(浜松医大) 紀野秀人,石井明(同寄生虫)森岡洋子(浜松日赤) ぷ。2才。男性。「胃に良い。」ということを聞き、昭和夕ぷ年 4∠月から7月にかけて、約/ぷ匹のアマガエルを生食した。&月 上旬、左大腿部に、自発痛・圧痛のない硬結をニケ所生じた。検査 所見では、好酸球増多と血沈充進が認められ、試験切除部の組織所 見では、多数の好酸球を含む肉芽腿性炎症像に加え、市な好酸球に とり囲まれた壊死組織の像が見られた。さらに、マンソン裂頭条虫 (プレロセルコイド)に対する血清沈略抗体が陽性を示したことよ り、硬結部の全摘除を行ったが、虫体は確認できなかった。 末梢応・血沈・抗体価の推移、免疫反応性などについて、今後 とも検索を行ってゆきたい。 W29-2 pIeT 0 c t r c・Zia。i s e rmac e I ( Sparタan o s I s mansoni ) ○福原 右、大井綱郎(東京医大) 本症のl鄙Kついては、すでに第289回北陸地方会 (福代良一教授退官記念学会)で報告した力1、今回、 軽験した3症例をもとに臨床像、虫体の生活史、光顕 おヽよび電顕所見を中心として報告する。症例I :43才 男子、鹿児島県在住。蛇、馬、牛肉の生食を好む。左 側胸の皮下腫瘤。症例2 :57才男子、福島県相馬地方 にて生育。フナ、コイ、ナマズ、豚肉の生食、マムシ 生血、蛙、鶏の塩もみを好む。右側腹の皮下腫瘤。症 例3 :46才女子、石川県出身。幼時期蛇の生血の摂取、 現在iで再三Kわたる腹壁ヘルニヤの手術。これら3 例とも摘出々いし手術時に虫体発見 期梅毒の数例において、血清をセファデックスカラム を通して分画し、各分画についてTPHA法による抗体価 を測定した。この方法によりIgM fractionに相当する 分画群とIgG fractionに相当する分画群のTPHA抗体価 レベルの推移を経時的にfolio*し、平行して行った routineのRPR、ワッセルマン緒方、?PHA、FTA-ABS :§. 抗体価レベルの推移と比較しながら、その臨床的意義 について検討を加えた。 W29-5. £249 第2期梅毒疹の1例 ○瀬口俊一郎(高知市民病院) 36歳、男。スナック経営、Homosexual・昭和55 年3月中旬感染機会あり。5月中旬、某外科にてHemmor rhoid(?)の治療受く。6月始め、手掌、足 蹴に軽度の 庫を伴う紅斑出現。現症:手掌∼指腹 部、足蔭∼趾腹部に栂指頭大までの紅斑散在、軽度 の浸潤を触れ、鱗屑を伴うものもあり。又、口腔内 にビうンをみる。右鼠径リンパ節腫大あり。 浸潤 性紅斑の組織像:真皮上層∼下層にかけて血管内 皮細胞の腫大、増生著しく、血管周囲性に組織球、 形質細胞からなる密な細胞浸潤を伴っている。ガラ ス板16倍、緒方法・160倍、TPHA51 2O倍。 治療:バイシリンV2 1 2O万U内服約3週間にて 略治。 M29一石 顕症梅毒の1例 児浦純義,森下玲子(鹿児島市立) 初診日・昭和55年9月25日 W29-3 性行為感染症 岡本昭二( 干葉大) 性行為感染症には性交ないし類似の行為により伝染 する疾患が含まれている。すなわち、従来の性病に加 えて、ウィルス、真菌、寄生虫、原虫などによる疾患 があげられている。 トレポネーマ。パリズムによる梅毒では、なお散発的 に新鮮例の発生が報じられているが、血清宇的夜査の み陽性の潜伏梅毒は減少の傾向にある。徐々ではある が梅毒感染に関する免疫学的研究は進展している。細 菌による疾患としての淋疾ではベニシリナーゼ産生淋 菌が検出されるようになり、軟性下耐も栂外旅行者に 散発している。ウィルスを病原体とする陰鄙抱疹およ び尖圭コンジロー・ムはともに症例の発生が琥いてい& 寄生虫による疾患のなかでは、峠癖症例の急増が近年 知られるようになった。とくに柵碑トンネルを証明し えない症例が大半を占めるなど、反疹形態の変化が生 じてきている。さらに少政ながら毛じらみ症も発生し ている。 W29-4 梅毒患者血清の分画による梅毒I即、 lgG抗体の推移 ○高橋邦明、寺尾祐一、廣田稔夫(大阪市大)、 津上久弥(大阪府立万代診療所) 梅毒の診断や治療の指針として梅毒血清反応のもつ 意義は極めて大きいが、それのみでは病期や治癒の判 定が容易でない場合も少なくない。今回、演者らは早 現病歴・昭和55年8月下旬より,両手掌,両足底に 自覚症状のない丘疹,膿庖,鶏眼様発疹が出現,近医 の治療をうけているが軽快の徴候が左いため来診。 初診時所見・両手掌,両足底に米粒大ないし大豆大の 紅褐色鶏眼様の角質肥厚,並びに角質剥離や膿庖を伴 う浸潤局面が散在性に混在してみられる。手背,足背 には半米粒大の紅褐色丘疹が少数散在性にみられる。 梅毒血清反応・緒方法W. 1 6 0×,ガラス板法伽, 64×, TPHAM.12 8 0×。 W29-7. E250 軟性下瘤の1例 0伊藤達也,土居敦子,米田洋子,岡本昭二(干大) 5〔才、見初診;昭和55年9月5日、家族歴:特K 々し。既往歴:昭和52年尿糖陽性・ 現病歴:昭和55 年7月下旬に台湾旅行をした際。性的接触あ夕。帰国 後‐週間で恥丘の右上方に栗粒大の紅色丘疹が出現。 8月中旬には次第に拡大し、周辺K紅量を伴う潰鍬形 肢。現症:恥骨中央より右側に1.ろon X 1.8 cmの深い 潰瘍あや。底は嘸苔を有す。その外側に鼠径籾帯に沿 い径4sの円形の潰瘍がある。更にその上方にも、周 囲に浸潤を伴う直径0.5∼1奥の潰瘍か4個線状に配 列する。圧痛あり。自発痛なし。鼠径リンパ節の腫張 なし。臨床検査:血算・血液化学に異常々く TPHA 陰性、組織所見;表皮欠損し潰瘍形欲し好中球、赤血 球の浸潤あ夕。その下方に多くの新生小血管と浮腫を 認め、さらに深部には好中球、組織球と一部プラズマ 球、リンパ球ようなる密な細胞浸潤あタ。スルファメ ドキサゾール1.5タろ週間内服とテトラサイクリン系 外用で軽快した。 397 ワークショップ(W30)老化 副オーガナイザー 上 康賢 主オーガナイザー 石 橋野 4月5日(日) 14:00∼17:00 第5会場 正(東京大) 一(筑波大) 大城戸宗男(東海大) 座長 上 野 賢 −(筑波大) 大城戸宗男(東海大) 教育講演 1,老化に伴う皮膚の変化 35分 上野賢一(筑波大) 一 般 演 題 2.老人の警部に見られる角化性苔癖化病巣(一種の老人性皮膚変化?) 7分 ○山本達雄,向井秀樹(東京都養育院) 3,皮表脂質量および皮表脂質過酸化物量の年令的変化 7分 吉野和廣,0穐利 豊,松尾車朗,大城戸宗男(東海大) 4. Hairless mouse真皮の加齢による光顕および電顕的変化 7分 ○泉谷一裕,辻 卓夫,廣田稔夫(大阪市大) 5.人真皮弾力線維の老化 −加齢による変化とWerner症候群− 7分 ○辻 卓夫,高橋邦明,演田稔夫(大阪市大) 6,皮膚弾力線維の変化に関する病理組織学的・電顕的観察 7分 ○小野友道,武藤公一郎,田中誠子,荒尾龍喜(熊本大) 7●培養表皮細胞の老化 7分 ○岡田奈津子,喜多野征夫(大阪大) 8.加齢とhair growth との関係について(IV) 7分 ○服部道廣,根木 信,小川秀興(順天堂大) 9●脳内石灰沈着を伴う脱毛症について 7分 ○甲原資秀,植原八重子,中山秀夫(済生会中央) 特 別 講 演 10.早老症とDNA修復欠損症 45分 嶋田裕之(東京都養育院・病理) 398 W30-1 0上野賢一 老化に伴う皮膚の変化 (筑波大) 皮膚の老化は、皮膚のwax-maturity―waneとい うagingの過程のうち、waneに相当する変化を指す。 しかしこのj期は当然連続性のものであり、aging-と いう一つの流れの中で老化を捉えねばならない。皮膚 という一つのorganの中でも、その構成成分により agingに差があり、この構造と機能の加齢的変動は臨 床的に極めて複雑な像を示すこととなる。これらの一 環の変化について概観したい。 W30-5、E253 人真皮弾力線維の老化 一加令による変イしとWerner症候群一 ○辻 卓夫、高橋邦明、廣田稔夫(大阪市大) 正常人(乳幼児、青年および老人)とWerner症候群 患者について、真皮弾力線維の微細構造を比較検討し た。一般に弾力線維は中央に低電子密度のamorphous 幅が増大し、辺縁は凹凸不整となる、②AMとMFは共に 減少し、これにかわって高電子密度の細粒状物質が出 現し、その中にvesicle様構造も散見される、そして(3) 老化が進むと線維全体の崩壊がみられる。この時には W30-2 老人の讐部にみられる角化性苔孵化病 巣(一種の老人性皮膚変化?) ○山本達雄,向井秀樹(東京都養育院) 高電子密度の細粒状物質が分解し、これにより介在さ れていたaは中等度の電子密度を持つ索状物となる。 老人の警部では腎裂を挾んで,主として坐骨部を中 心に,褐色の色素沈着を伴った角化性苔奪化病巣を高 率に認める。例えば,わが養育院に於て,その年齢別 からなり、他の1つは中等度の電子密度を持つ崩とご 発生率をみると,60歳以下,60歳台, 1 0歳台。 80歳台,9 10歳台, 100歳以上で,それぞれ15名 中5名・3 3*, 52名中33名・6 3 ≪, 111名 中67名・60価,59名中36名・61価,5名中 5名・100価に上記病変を認めた。病因には該部へ の摩擦,圧迫などの機械的刺戟を考えた。 W30-3 皮表脂質量および皮表脂質過酸化物 量の年令的変化 吉野和廣,0穐利 豊,松尾粛朗,大城戸宗男(東海大) 加令による皮表脂質の変化をみるため,20才台と 60才台の男子を対象とし,皮表総脂質量ならびに同 成分中のスタワレン,総コレステロール量更には皮脂 過酸化物量を測定し,両年代の比較を行々つた。 両年代を通じ皮表脂質量には大きな差は認めなかっ た。しかし,皮脂の分画を両年代で比較すると,20才 台でスクワレy量多く,一方,60才台では総コレステ ロール,皮脂過酸化物量が多い傾向にあった。加令変 化と皮脂量との関係について,若干の推論を加えたい。 W30一七E252 Hairless mouse真皮の加齢による光顕 および電顕的変化。 ○泉谷一裕,辻 卓夫。廣田稔夫(大阪市大) 生後1日、3週、6ヵ月および12ヵ月のhairless mouseの皮膚の肉眼的および真皮内貴腫、膠原線維、 弾力線維について観察した。結果;(I)肉眼所見;上記 加齢と共に皮膚色は桃色から乳白色、黄色へと変化し、 12ヵ月では表面は粗槌凹凸不整となる。(II)光顕所見; 生後11日目より始まる脱毛後に生じた真皮内嚢腫につ いては加齢と共に増加とその大きさの大小不同がみら れてくる。生後1日では膠原線維は細い線状に染まり 全体として染色性は悪い。また弾力線維はほとんどみ られない。3週以後は膠原線維・弾力線維ともに太さ 染色性には差異はほとんど見られない。如電顕所見; (│)膠原線維は生後1日では、均一で細い線維の集まりを 示し、3週以後では太い線維と細い線維のvariation が増加し、そのpeakは太い方に移行する傾向がみられ た。(II)弾力線維では、生後3週ぐらいまでは加齢に従っ てamorphous materialおよびelastic fibrilsは増加し ていくが、6ヵ月以後は両者は再び減少してくる。 ma一一 terial(AM)とこれを取囲んでmiorof ibril(MP)が存在する。 正常人真皮弾力線維の加令による変化として(1)線維の Werner症候群患者では二種類の特徴を持つ弾力線維 がみられた。1つは低電子密度のAIと比較的豊富なMF く少数のMFとからなる。以上の所見より、Werner症候 群にみられる真皮弾力線維は正常人のそれの老化に伴 なう変化に一致すると考えられる。 W30-6 皮膚弾力線維の変化K関する病理組織 学的.電顕的観察 ○小野友道,武藤公一郎,田中誠子,荒尾龍喜(熊大) 真皮の弾力線維の加令による変化を主としてVerkoeffの染色ね』こび電顕的に観察した結果について述 べるとともに毛乳頭部の弾力線維とくにArao・s elastold body ( Plnkua )の微細構造ならびにその加令に よーる変化について報告する。 W30-7 培養表皮細胞の老化 ○岡田奈津子、喜多野征夫(大阪大) 人の表皮細胞、の体外培養において細胞は増殖分化し 重層扁平上皮を再構成する。そしてー定の経過を逞っ て培養50日頃には増殖がほぽ停止する。我々は初代培 養におけるケラチノサイトの培養経過に伴う形態的変 化を観察し、DNA量、蛋白量の変化を経時的に検索し た。又、培養細胞の老化に伴って現れるとされるグル コース6リン酸脱水素酵素の熱不安定分画の測定を平 行して行なった。培養血あたりのDNA量は培養開始後 数日目より急に増加し25日で最大に達し以後減少して いった。蛋白量は培養82日目に最大となり以後減少し た。蛋白量/DNA量の比は18日目にやや低下したが ケラチノサイトが重層扁平化し、角化か進行されるに つれて増大した。酵素の熱不安定分画は培養19日目で はみられなかったが、83日目、48日目では高く認め られた。これらのことよりケラチノサイトは体外培養 において短期間に老化の過程を逞ると推論される。 399 W30-8. E25i│ 加齢とHair Growthとの関係について(!V) ○服部道廣,根本 信,小川秀興(順天堂大) 日齢によるhair は類似の症例を臨皮3 2 ; 5 8 5、昭53に報告して いる。当院の脱毛症外来にて難治の脱毛症( Alopecia cycleの変化が現在確立されている C3H系マウスを用いて,加齢とhair growth (H.G. との関係を形態学的,生化学的に追求した。休止期に ) あるマウス背部毛にpluckingよりmildなshaving操作 を加え,一次期成長期毛の再生パターンを観察した結果, 毛の剃毛領域に対する再生領域は,加齢と共に減少す る現象を示した。又, H.G.と現在密接な関係を示唆さ れているornithine decarbaxylase活性を毛の再生領域 としからざる部とに分けて測定したところ. H.G.と本 酵素活性は相関することが明らかとなった。次いで H.Gに対する各種薬剤の効果を検索したところ,就中 Vitamin E及びVitamin A酸の組合せが著明な効果を もたらすことが明らかとなった。そこでH.G.とaging 及び薬剤の効果を生化学的に検討する為,皮膚及び毛 母細胞におけるDNA.RNA合成速度,又,先に我々 が表皮角化においてその重要性を明らかにしてきた Transglutaminase, S一S cross-linking enzyme活性等 を測定し,それらとaging及び薬剤との関係を調べた。 W30-9 0甲原資秀、 脳内石灰沈着を伴左う脱毛症について 植原八重子、中山秀夫(済生会中央病院) 症例:63才女子、10年前より円形脱毛症が拡大、 融合して難治の頭部全面の脱毛局面を生じた。頭部X 線写真及び同断層撮影にて、トルコ鞍後方、橋の外側 ∼Lig・ petroclinoideaに相当する部分に石灰沈着を思 わせる陰影を認めた。CTスキャンでは頭蓋底に近接 した部位であるため、明瞭々像を得々かった。戸田ら areata multiplex及びtotalis ) 60例に於いて検索し た結果、17例(28価)に同様の変化を認めた。石灰 化は線状∼雲恕状で、断層撮影では正中より±1∼2cmの ところにある。対象として救急外来等で撮影した類似 の年令分布の他疾患患者91例中7例( 7. 7 * )に軽 度も含めて同様の変化をみ、陽性率には有意差があるo 本来生理的とみなされてきた石灰沈着であるが、毛○ うへの血流低下をきたす自律神経障害因子の可能性も あジ、報告した。 W30-10 早老症とDNA修復欠損症 嶋田裕之(東京都養育院付属病院・病理) 増殖系細胞の培養上の寿命が宿主の遺伝子型の一機能を 示唆するといりHayf lickの提唱が,上位ランク早老症で あるWerner症候群やHutchinson - Gi Iford progeria で も確認されている。しかしDNAの修復と関連するという 結果は1本鎖切断後の再結合力やタイマーの除去といった 修復系では確認できない。この点同じぐヒトの常染色体劣 性遺伝症である色素性乾皮症の,UV照射後のDNA修復 異常とは酵素の作働パターンを異にする。上位ランク早老 症はDNA複製系の異常が目立ちin vi tro aging の基本 的特長がreplicative potential の遺伝的劣化で現わされ てくる。この点早老症は,単純なヒトの老化の単純なモデ ルでないにしても老化の表現型とすることができょう。加 令がDNA損傷蓄積によるとするなら修復欠損ぽ加令現象 を促進させるはずであるが根拠がみつからない現在,未確 認のDNA加令生産物のチーフタが今後の老化研究の課題 となってくると軸もわれる。 401 ワークショップ(W31)真皮 4月5日(日) 14:00∼17:00 第6会場 主オーガナイザー 石 川 英 一(群馬大) 副オーガナイザー 森 俊 二(岐阜大) 座長森 俊 二(岐阜大) 特 別 講 演 1.真皮結合組織の構造と機能 ‐数種の形態学的観察成績− 30分 渡辺洋望(東京医大・病理),共同研究者:鈴木晟幹, 西川純子,足羽紀子,大高裕一 教 育 講 演 2.結合組織の組織化学 30分 笹井陽一郎(久留米大) 3。真皮の微細構造 30分 斎藤義雄(群馬大) 一般演題 10分 4, コラーゲン線維のフリーズ・フラクチャー電顕像 俊二(岐阜大) ○前田 学,北島康雄,森 休 憩(10分) 座長 石川 英一(群馬大) 教 育 講 演 5.コラーゲソ代謝 30分 新海 法(大分医大) 一般演題 6.エーラス●ダッロス症候群の1例 10分 ○五十嵐 稔,勝又牧子(東北大),渡辺仁吉(同整形) 教 育 講 演 7,線維芽細胞培養と皮膚疾患 30分 岩田信二郎(群馬大) 8,線維芽細胞に作用するリンホカイン 30分 西岡 清(大阪大) 402 W31-1 真皮結合組織の構造と機能一一数種の形態 学的観察成績 渡辺洋望(東京医大・病理) W31-t コラーゲン線維のフリーズ・フラクチ ヤー電顕像 ○前田 学,北島康雄,森 俊二(岐阜大) 共同研究者:鈴木晟幹,西川純子,足羽紀子,大高裕一 はじめK真皮各層の結合組織構成成分の電顕的,組織化 学的所見を供覧し,次に,家兎真皮異物性肉芽組織の経時 的観察により,膠原線維,基質ムコ多糖の消長を示す。ま た,カーボン刺青をmarkerとし,増殖肉芽組織構成細胞 が,’主として,真皮に元来存在している線維細胞由来であ ることを示す。 線維増生には種々のmediatorが関。与すると考えられる が,一般に増生部位Kはmast ceHが数多くみられるので 今回は,その産生物質の一一一つとしてのヘパリyと線維芽細 胞との関係を電顕的に追跡した成績を述べる。また肉芽組 織より分離,培養した線維芽細胞が, myofibrob last様に 変化することを示す。更に,抗原含有カリウムアラムを注 入,真皮実験的肉芽腫を作った動物に惹起注射を行い,そ の前後における特異抗体の分布と膠原線維との関連,惹起 抗原の補捉に続ぐ炎症発生の状況を,螢光抗体法,電顧な どにより検索した成績を示し,討論の資としたい。 W31-2 結合組織の組織化学 笹井陽一郎(久留米大) 結合組織の主要成分である酸性ムコ多糖の組織化学 的証明には,過沃素酸-Schiff染色。アルシアン青染 色,塩基性色素によるメタクロマジアなどがひろく用 いられている。しかしこれらにふヽいては,試料作製方 法や染色条件などにより,その結果か大きく影響をう ける。そこで,種々のモデル実験の所見をもとにし, アミロイドやコロイドなどを例として,証明方法の解 析をふヽこなう。また,酸性ムコ多糖個々の同定には, 種々の酵素が用いられるか,・その使用方法について解 説する。さらに,限界濃度法を用いての酸性ムコ多糖 の同定法について述べる。他方膠原線維については, ANS染色による螢光分析の結果と他の染色によるも のとを比較したい。 W31-3 真皮の微細構造 斎藤義雄(群馬大) 皮膚結合組織病とくに皮膚硬化症(汎発性業皮症、 フリーズ・フラクチヤー電顕法で見られるcollagen fibrilにはラセン状と帯状の2種類の構造が認められる ラセン状のfibrilは右巻で長軸に対して1ぽの角度をも っfilamen七からなり,そのfltrilの太さは940∼1500 1 , fibrilを構造するfilamen'tは60∼190Åの太さで あった。一方締模様を示すfibrilは太さが一様でなく, 狭い部と広い部が交互に縞模様を作る蛇腹を呈するが, 全体としての太さは1000∼1700又とラセン状fibrilに 比べてやや太く,縞襟様は太い部の巾が約300 A , IB!い 部の巾が約320 Aであった。この2種類の構造のうちラ セン状fitrilはcollagen fltrll内でfitrllに沿って 割れたものと考えられ,一方脇棹様を示すfibrilは表面 近くで割断され,かっdeep e七chingされた結果の像であ ると考えられた。以上のごとく,主に正常皮膚にっいて のcollagen fltrllのフリーズ・フラクチヤー像を解析 したが, P S Sをはじめとする結合晦疾患にっいても比 較検肘を行う。 W31-5 0新海 コラーゲン代謝 宏(大分医大) 真皮結合組織成分はコラーゲン,エラスチン,ムコ 多糖蛋白,構造糖蛋白が知られており,上記成分が複 雑に高次構造を形成し機能を営んでいる。結合組織疾 患の解明に当ってはまず各成分の解析の他個々の機能 の解明が必要である。最近の知見としてコラーゲンに は5種のタイプが存在し,臓器特異性を示すタイプも 見い出され,真皮ではエ,II型の他V型コラーゲンの 存在が確認されるようになった。しかしながらコラー ゲン分子種の個々の機能に関しては未だ推測の域を出 ず,先天性疾患の解析から個々の機能を検討している。 そこで今回コラーゲンがどのようにして合成され細胞 外へ分泌され,コラーゲン分子に変ってくるかを述べ 各修飾される部位での障碍がどのような臨床像を示す かを述べる。 W31-6 エーラス・ダンロス症候群の一例 ○五十嵐 稔,勝又牧子(東北大) 渡部仁吉(東北大・整形外科) 限局性輦皮症、ケロイド、レントゲン皮膚炎等)を中 心に真皮の主要左構成成分であるコラーゲン線維およ び線維間基質であるムコ多糖、さらにコラーゲン線維 と密接な関係にある糖蛋白であるフィブロネクチンに つき検討した結果を報告する。す左わち、走査電顕で コラーゲン線維の立体構築を検索し、透過型電顕でコ ラーゲン線維の超微構造上の特徴を解明し、電顕組織 化学的にムコ多糖とコラーゲン線維の関係を検討し、 さらに螢光抗体法により型別コラーゲンおよびフィブ ロネクチン(糖蛋白)の検索を、また、免疫電顕的に 型別コラーゲンおよびフィブロネクチンの検討を行々 う。以上により、各疾患のコラーゲン線維と線維間基 質としてのムコ多糖お・よび糖蛋白の相関関係を述べる。 症例:3才,男児。仮死状態で出生。生下時休重 3,0009 , 生下時より皮膚及び関節の異常伸展と皺壁 形成かあり。転倒すると容易に内出血が起きる。歩行 開始は2才。知能はほぼ正常。全身の皮膚は非薄で極 めて柔軟性に富み,過度の伸展性かある。関節では特 に,指趾の異常屈伸か著しい。筋力は極めて低い。 病理組織:真皮乳頭層は浮腫状で,膠原線維は繊細 で配列の乱れかあり,更に離開と断裂かある。弾力線 維は不規則な配列を示し,繊細で断裂かある。 トルイ ジン・ブルー及びアルシアン・ブルー染色, PAS染 色はいずれも陰性。 一般検査:CPKの上昇以外他に異常所見なし。 合併症:停留卑丸,凩径ヘルニア,両側内反足, ASDあり。 403 W51-7 線維芽細胞培養と皮膚疾患 岩田信二郎 (群馬大) 膠原病などにふヽける皮膚病変の検索のプこめには真皮 結合組織の動態を把握することが重要である。その手 段として、近年真皮より線維芽細胞を培養することに より、種々の性質を検討することか発展してきた。細 胞培養は生体内にふヽける複雑な環境因1から解放され 、細胞自身の代謝活性の差を比較することに適してい るので、特に遺伝性疾患の生化学的解明などには有効 な手段である。また細胞増殖制御左どの基礎的な研究 にも大いに利用されている。このよう々長所の反面、 培養細胞は生体内で発現していた分化機能をしだいに 失っていき、生体内での状況を反映しなく々るとい う欠点もある。そこで各種疾患からの培養線維芽細胞 を用いて病態の解明をする場合には、直接生体から得 られる結果と比較検討し、細胞に与えるさまざまな因 子の影響を考えていくことが必要にたる。このような 観点から細胞培養の意義を考察してみたい。 W31-8 線維芽細胞に作用するリンホカイン 西岡 清(大阪大) 真皮の最も重要な細胞の1つである線維芽細胞の活 性化段階に、結合組織成分、血液成分等が関与するこ とが古くから論じられてきた。近年、免疫現象におい ても線維芽細胞のかかわりが論じられるようになり、 リンパ球産物であるリンホカインがその役割を荷うこ とが示されっつある。線維芽細胞に働くリンホカイン についての最近の成果を総説するとともに、私達の研 究成果の一端を紹介する。
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