講演要旨と講演者について

第 2 回 石橋財団レクチャーシリーズ
2014 年 10 月 25 日( 土) 13. 30(開場 13. 00) 〜16. 00|東京国立博物館 平成館 大講堂
「考古学をめぐる日欧交流の物語」
お雇い外国人から現代につながる絆
今年第 2 回目を迎える「石橋財団レクチャーシリーズ」は公益財団法人石橋財団の支援を得て、イギリス所
在のセインズベリー日本藝術研究所企画により東京にて実施されます。今回は東京国立博物館との共催で開催されま
す。本シリーズは、海外第一線で活躍している研究者を日本に招聘し、欧州における日本の芸術文化・考古学研究の
進捗状況、及び、欧州の美術館・博物館で日本美術・考古遺産コレクションがどのように展示、表現されているかを
日本に伝えることを趣旨としています。講演は同時通訳付きで行なわれます。本講演会シリーズの開催が、日本文
化・芸術研究における欧州からの新たな視点の提供と日欧間の芸術文化・考古学研究交流のさらなる活性化につなが
ることが期待されます。
[ プログラム]
13:30-14:10 「お雇い外国人ガウランドが陵墓の中で見たもの」 講演者 サ イ モ ン ケ イ ナ ー 博 士 (セインズベリー日本藝術研究所 考古・文化遺産学センター長) 14:10-14:50 「先史時代の人々の栄養、食事そして料理:ストーンヘンジから縄文」 講演者 オリバー クレイグ 博士(ヨーク大学 考古学部 准教授) 14.50-15.00 休憩 15.00-16.00 パネル討論会 「考古学における日欧交流」 モデレーター 白井 克 也氏(東京国立博物館 学芸研究部調査研究課 考古室長) [ 講演要旨]
「お雇い外国人ガウランドが陵墓の中で見たもの」
考古学の分野において、日英間には長い、しかし殆ど知られざる相互協力の歴史がある。その関係は考古学が学問として確立し
た 19 世紀にまで遡る。明治時代、お雇い外国人として大阪造幣寮に招聘されたウイリアム・ガウランドや、同時代に人類学、考
古学研究のため英国留学した坪井正五郎等の先達が築いた協力関係が、その後の考古学研究における日欧交流の基盤を形成した。
本講演では大英博物館及びスコットランド国立博物館が所蔵する日本の考古学資料を中心に検証し、19 世紀から 21 世紀に至る日
欧間の考古学研究の交流、世界の考古学発展における日欧研究ネットワークの重要性、更に考古学が現在及び未来において果す社
会的・文化的役割について考える。
「先史時代の人々の栄養、食事そして料理:ストーンヘンジから縄文」 幾千年もの間謎に包まれていたストーンヘンジ。近年の発掘調査と最新の科学技術により、その謎が解明されつつある。本講演
では、科学の進歩によって画期的に究明された先史時代の食物が、いかに英国の新石器時代後期の人々の日常生活や宗教儀式を窺
い知る術を与えてくれたか、また、さらに 1 万年遡った有史前日本の食習慣が、同じ科学技術を駆使することによって明らかにな
って来たことに注目する。驚くべきことに、縄文土器の中に残された食物遺物が発見され、それが土器発明の謎を解く鍵を握る。
更には、いかに土器が時の流れを超えて重要なテクノロジーであり続けたかを理解する手がかりを与えてくれるのである。
[ 講演者・モデレーター略歴]
サイモン ケイナー
2004 年 ケンブリッジ大学博士号修得(考古学), 1998- 2001 年 ケンブリッジ州議会 考古室 上席考古学者, 2001- 11 年 セ
インズベリー日本藝術研究所 副所長,2011 年より同研究所 考古・文化遺産学センター長とイーストアングリア大学 日本学セン
ター長を兼任
専門分野は日本の先史時代・考古学史,日本の歴史的都市環境の比較研究,日本の文化遺産及び考古遺産管理の国際的役割
オリバー クレイグ
2000 年 英国ニューキャッスル大学博士号修得(生体分子考古学),2000- 04 年 ニューキャッスル大学研究員,2004- 07 年 ローマ大学マリー・キュリー・フェロー,2007 年 ヨーク大学講師を経て現同大学准教授, 2011 年 同大学 BioArCh 所長就任 専門は古代の遺骨や考古遺産から回収したタンパク質・脂質・DNA を分析し、先史人類の生活習慣を探る生体分子考古学,研
究分野は食習慣の変化が社会進化・健康・環境に与える影響,東アジアにおける土器 の起源等 白井克也 1993 年 東京大学大学院人文科学研究科(博士(文学),1993- 96 年 福岡市教育委員会,1996 年より東京国立博物館,現同
館学芸研究部調査研究課 考古室長
専門分野は朝鮮半島を中心としたアジアの考古学,日本の考古学史,日本の博物館史
主催 後援