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デルヴォー、1829年創業
世界最古のラグジュアリーレザーグッズブランド
デルヴォーは〝神のごとく異彩を放つブランド"。
シャルル・デルヴォーによって1829年ブリュッセルで設立された家族経営の会社に、フ
ァッション界のさる大御所はそのような賛辞を与えています。世界が認めるデルヴォー
は、自ら定めた価値観に忠実な姿勢、ノウハウ、妥協を許さない職人技、クォリティの
高い製品で、高い評価を得てきました。
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時代の先を見つめる力
高級レザーハンドバッグのパイオニア、デルヴォー
1835年、ヨーロッパ大陸初の旅客鉄道路線がベルギーのブリュッセル=メヘレン間に
開通。1875年頃には、ベルギーは世界最大の鉄道網を有していました。先見性があり
現実家であるブリュッセルのトランク製造業者シャルル・デルヴォーは、この〝革命"が
もたらす影響にいち早く注目。1880年には早くも女性の新しいニーズに応えはじめま
した。旅行の際に財布や化粧品等の小物を手元に置いておくためのキャリングバッグで
す。1908年には、ハンドバッグの最初期の意匠登録が出願されました。
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革新的デザイン
1829年の創業以来、デルヴォーの製品はベルギーと
フランスに構える自社工房でつくられています
1933年に会社を引き継いだフランツ・シュワニックは、増えつづける超高級バッグの需
要に応えることで、デルヴォーを一流ブランドへと成長させました。またオートクチュ
ールの世界で慣行となっていたシーズンごとの新作発表会を高級レザーグッズの世界に
初めて取り入れました。フランツ、のちに妻ソランジュの指揮下、デルヴォーは世界の
高級レザーグッズの歴史に名を残す、数々の傑作を世に送り出してきました。中でも最
高傑作は、1958年のブリュッセル万国博覧会のためにつくられたBrillant(ブリヨン:
輝き、きらめき)です。
デルヴォーの工房を訪れる機会があれば、世界最古のラグジュアリーレザーブランドが
他に類を見ないものであることがおわかりいただけるでしょう。熟練したアルティザン
の手によって生み出されるデルヴォーのバッグは、単なるバッグを超え、まさに生きた
彫刻、芸術作品です。デルヴォーの製品はベルギーとフランスにある自社工房でひとつ
ひとつ手作りされています。
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新たな活力
未来を切り開く
2011年11月、シュワニック・ファミリーはデルヴォーに共同経営者を迎えることにしまし
た。パートナーに選ばれたのは、ヴィクター&ウィリアム・フォン・ファミリー。
〝いちばんのポイントは、ファミリーがファミリービジネスを買い取るということだ"
こうしてデルヴォーはジャン=マルク・ルビエ率いる《ファーストヘリテージ・ブランズ》
グループの一員となりました。グループ傘下にはソニア・リキエル、ロベール・クレジュリ
ーといったブランドも名を連ねています。
2つのファミリー企業が合体することで、デルヴォーの存続と世界展開は確実となりまし
た。デルヴォーのグローバル戦略は、ブリュッセルのギャルリー・ド・ラ・レーヌのブティ
ック改修や、ザ・ペニンシュラ香港の〝デルヴォー·ブドゥワ" のオープンですでに明確
で、いずれも今後の店舗展開を方向づける独創的な設計コンセプトが示されています。
デルヴォーは繊細かつ洗練されたラグジュアリーの代名詞であり、それに合うブドゥワ
(女性用のエレガントなプライベートルーム)のような雰囲気をつくりだすため、2人の
アーティストが選ばれました。ルクセンブルグを拠点に活動し、2011年のヴェネチア・ビ
エンナーレに参加した、Martine Feipel(マルティーヌ・ファイペル)とJean Bechameil
(ジャン・ベシャメイユ)です。ディスプレイキャビネットはじめ、彫刻が施された調度品
で優美に飾られたインテリアは、フランドル建築から想を得ています。
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真のベルギーブランド
デルヴォーはベルギーと時を同じくして誕生しました。実際にはもう少し早く、王国誕
生の前年の創業です。1830年、ベルギーはネーデルラント連合王国からの独立を宣言。
のちの英国女王ヴィクトリアの叔父、ザクセン=コーブルク=ゴータ家のレオポルドが
初代ベルギー王となりました。その後、ベルギーは高度成長期に入り、1901年頃には世
界第4位の経済大国に発展しました。デルヴォーもこの経済成長の波に乗り、つねに高
い品質水準を維持し、国の威信、伝統、象徴を守りつづけてきました。2013年9月12日
には、誇るべきベルギーの遺産として認められ、ベルギー国宝でブリュッセルの愛すべ
き象徴「The Manneken-Pis (マヌカン·ピス)」(1619年、ヒエロニムス·デュケノワ
(大デュケノワ)作のブロンズ像)の衣装を製作するという名誉に与りました。シュルレ
アリスムの斬新さもデルヴォーのデザインで受け継がれているもののひとつ。ルネ・マグ
リットやポール・デルヴォーといったベルギー人大芸術家の、突き抜けた想像力の影響を
受けています。この伝統のひとつの現れが、Brillantのスペシャルエディション9点から
なるLes Humeurs de Brillant (リュムール・ド・ブリヨン:気まぐれな輝き) 。そのひとつ
ひとつに、デルヴォーの価値観と最高品質へのこだわり、そしてベルギーのアートや文
学と切っても切り離せない、かすかな皮肉と明るい反逆者精神が映し出されています。
ベルギー・シュルレアリスムの精神が染みついたデルヴォーの製品は、どれもウィットに
富んでいて、ラグジュアリーな中にも驚くほど型破りなデザインになっています。
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ベルギー王室御用達
デルヴォーは創業以来、高い評価を受け、ファッション通で目の肥えた人々の信頼と信
用を勝ち取ってきました。その代表格がベルギーのロイヤルファミリーです。デルヴォ
ーが〝ベルギー王室御用達"の栄誉を初めて賜ったのは1883年のこと。時の国王レオポ
ルド2世は〝ルーベンスの国は、商業や産業と同じく芸術においても偉大でなくてはな
らない"と言ったことで知られます。レオポルド2世の治世下、ベルギーは近代化を推
し進め、植民地を獲得し、当時、世界列強のひとつに数えられるまでになりました。国
王によって5年ごとに審査・認定される〝王室御用達" の肩書きは、デルヴォー製品のク
ォリティの高さを証明するもので、今日まで繰り返し更新されています。
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最高品質の製品
デルヴォーはいたずらに時を重ね、歴史を刻んできたわけではありません。偉大なる伝
統を残してきました。これまでに3000点以上のデザインが生み出され、エレガンスと
ファンタジーとウィットに富んだ現代の名品がいまもつくり続けられています。1908年
からは、すべてのデザインがLe Livre d’Or(黄金帳)と呼ばれる台帳に記録されていま
す。こうした台帳はすでに何巻にも及び、今日なお、新製品が誕生するたびに、詳細な
説明とデッサンを記した新たなページが加えられています。
ハンドバッグを彫刻のようにとらえるデルヴォーは、構造的なフォルムに優れていま
す。複雑で高度な技術と正確さのなせる技です。使用する革は、フランス、イタリアの
一流タンナリー(皮なめし工場)で選び抜かれた最上品だけ。アリゲーター、イリエワ
ニ、パイソン、リザード、オーストリッチ、シャークなどの希少なエキゾチックレザー
を使ったバッグ製作にも定評があります。1829年の創業以来、アバンギャルドな姿勢は
変わりません。アーキテクチュアルなライン、斬新なプロポーション、革新的なフォル
ムは、今も昔もデルヴォーを語るうえで欠かせない重要な要素です。
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デルヴォーのシグネチャーバッグであるBrillant(ブリヨン)はデルヴォー・スタイルそ
のもの。タイムレスで彫刻的なバッグは、64のレザーパーツと金属パーツからなり、ハ
ンドステッチが施されています。
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もうひとつのアイコンバッグ、1967年に誕生したTempête(タンペート:嵐)は、特徴
ある金具と幾何学的なフォルムで、デルヴォーの中でも最もアーキテクチュアルなバッ
グです。
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Madame(マダム)は、1977年発表の名品Marronnier(マロニエ)を新しい視点でとら
え直したもの。すっきりとしたラインで、遊び心にあふれるMadameは、バリエーショ
ン豊富で、汎用性の高いデザインです。様々な色、パターン、素材の組み合わせで、驚
きのマリアージュを楽しむことができます。
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1972年発表のPin(パン:松)はもともと馬の飼い葉桶からヒントを得たもので、構造的
でユニークなボトムが特徴。柔らかいカジュアルなバッグのラインLouise(ルイーズ)
のエンブレムです。このシリーズのバッグにはどれもシンボリックで簡素な〝D"のロゴ
がついています。この部分はポケットの役割も果たします。
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1.
デルヴォー・アーカイブス:ラゲッジラベル、1884。
2.
デルヴォー・アーカイブス:ラゲッジラベル、1861。
3.
デルヴォー・アーカイブス:ブリュッセルの店舗、1950。
4.
デルヴォー・アーカイブス:La Princesse(ラ·プランセス)の意匠登録証、1908。
5.
デルヴォー・アーカイブス:来季のデザインについて話し合う、フランツ・シュワニック(右手前)率いる
工房のメンバー、1951。
6.
ブリュッセルの軍需工場跡にできたデルヴォーの工房、2010。
7.
デルヴォー・アーカイブス:オーストリッチのBrillantに最後の仕上げを施しているところ。
8.
ベルギーの歴史記念物に指定されているギャルリー・ド・ラ・レーヌにあるブティック正面。
9.
Martine Feipel(マルティーヌ・ファイペル)とJean Bechameil(ジャン・ベシャメイユ)デザインのメイン・
ウォールキャビネット。ギャルリー・ド・ラ・レーヌのブティック内の、彫刻が施された廊下。
10.
ギャルリー・ド・ラ・レーヌのブティックのコリドール。
11.
ザ・ペニンシュラ香港のブドゥワ。
12.
デルヴォーの職人をイメージしたL’artisan cuir Delvaux(デルヴォーの職人)の衣装を着た小便小僧。
13.
デルヴォー・アーカイブス:1958年ブリュッセル万国博覧会、Expo 58のモニュメント〝アトミウム"
の前で、デルヴォーのバッグを手に颯爽と歩くコンパニオン。
14.
ブリュッセル、グランプラス。
15.
Les Humeurs de Brillant(リュムール·ド·ブリヨン)の9つのバッグのひとつ、L'Humour(ユムール:ユーモア)。
16.
ベルギー王室御用達の紋章。1883年、デルヴォーは初めてその名誉に浴した。
17.
デルヴォー・アーカイブス:ベルギー前国王アルベール2世と、Mon Grand Bonheur (モングランボノー)
を提げられたパオラ妃。このバッグは1959年、ご成婚祝いとして妃のためにおつくりしたもの。
18.
デルヴォー・アーカイブス:Mon Grand Bonheur(モングランボノー)を提げられたパオラ前ベルギー 王妃。
1980年代、工房を問されたときのもの。中央は、随行したソランジュ・シュワニック。
19.
Brillant Miniをお提げになったマティルド現ベルギー王妃。
20.
デルヴォー・アーカイブス:3000点以上のデザインが登録されているLe Livre d’Or(黄金帳)。
注目はBrillantのためのデザイン(1958)。
21.
デルヴォー・アーカイブス:ブリュッセルのホテル・メトロポール前で撮影されたBrillant、1960年代。
22.1958年発表のBrillant。
23.
Brillant GM Sellier, Mandarineをもつ独特のファッションセンスで知られる韓国のセレブリティ、
キム・ナヨン。
24.
Tempête GM Calf Souple, Cardinalをもつ韓国の女優、チョン・ジヒョン。
25.
Tempête MM Jumping, Rubisをもつベルギーのファッション・ジャーナリスト、ティアニー・キリロフ。
26.
Tempête GM Calf Souple, Cardinalをもつ米ファッションセレブ、オリビア・パレルモ。
27.
デルヴォー・アーカイブス: 1977年発表のMarronnier。これをもとにMadameが生まれた。
28.
Madame Polo, Poudréをもつ米女優サラ・ジェシカ・パーカー。
29.
Madame Polo, Lipstickをもつ英モデル・TVプレゼンター、アレクサ・チャン。
30.
Madame Polo, Lipstickをもつ豪写真家・モデル、ザニータ・モーガン。
31.
デルヴォー・アーカイブス:Pin、1984年撮影。
32.1972年発表のPin。
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© Brussels City Museum
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© Jean-Marie Janssens
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© Charly Herscovici 2013
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© Street Style Seconds
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© Startraks Photo
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© Eroteme
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© Dirk Alexander
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