第2学年1組社会科 (歴史的分野 )学習指導案 平成14年11月13日(水

第 2 学年 1 組社会科 ( 歴史的分野 ) 学習指導案
平成 14年11 月13日 (水)第 5校時
指導者
1
単元名
2
単元の目標
・
教諭
武田
統理
第二次世界大戦と 日本
世 界 恐 慌の発生から 第二次世界大戦終結までの過 程において、世界情勢を背景に国 内の動きを
構造的に 理解し、なぜわが国がそのような道を選択 したのかという 問いを単元を通してもつこと
により、当 時の人々の苦悩と わ が国がたどった歴 史の経緯について考 えることができる 。
・
大戦が 人類全体に惨 禍を及ぼし、国民生活を大き く変えていったことに気づき、平 和な生活を
築く大切さ 、国際協調と国 際 平 和の実現に努めることの意義について 考えることができる。
3
単元と生徒
(1)単元について
本単元 は 、[中学校学習指導要領
歴史的分野
内容(5)カ]
昭 和 初 期から第二次世界大戦の終結ま で の わ が国の政治・外交の 動き、中国などの アジア
諸国との 関係、欧米諸国の動 きに着目させて、 経済の混乱と社 会 問 題の発生、軍部の 台頭か
ら戦争までの経過を理解させるとともに、戦 時 下の国民の生活に着 目させる。また、 大戦が
人類全体 に惨禍を及ぼしたことを理解させる。
を受 けて設定したものである。ここでは、世界恐慌後、大国同士 の危うい均衡の上 に成り立っ
ていた ベルサイユ体 制が崩壊し、二度目の世 界 大 戦で大きな被害 を出すまでを扱っている。そ
の た め に常に世界的 な視野をもちながら日本の歴 史を把握する必 要があり、それだけに扱う歴
史 的 事 象も多く混乱 しやすい。また 、ややもすると国際情勢や戦争経過を総括的に 扱うような
展開になりがちである。したがって 内容の重点化 を図り、教材を 構成したい。そ こ で扱う内容
(基 礎・ 基本) を「 世界恐慌と ファシズム 」・「 満州事変と 軍部 の台頭 」・「 日中戦争 」・「 第二
次世界大戦」「日 本の参戦 」・「 大戦中の国民生活 」・「 大戦 の終結と敗 戦」とし 、その日 本の歴
史の経 緯とともに、 世界的視野から 事象の因 果 関 係を構造的に把 握させることにより歴史的分
野目標 の(1 )「わが 国の歴 史の大 きな流れ と各 時 代の特 色を世 界の歴史 を背景 に理解さ せ」
ることに 迫りたいと考える。
また 、第二次世界大戦は第一次世界大戦を上回 る規模で行わ れ た国家総力戦で あ り、銃後の
非 戦 闘 員や多くの国 民にも大きな被 害をもたらした悲惨な戦いであった。し た が っ て大戦の経
緯だけでなく、国民生活への影響を 理解させ、平 和を尊重する態 度を育てる必要がある。そこ
で戦 時 中の写真・映像資料や手記などを活用し、 戦争の悲惨さを 実感することにより、世界平
和の実 現を目指そうとする態度を育 てたい。また 戦時中の生活の 様子を、現在の人 々の暮らし
との比 較という観点 をもって学習していけば、生 徒は具体的に把 握し、興味・関心 も高まると
考える 。そしてこのような学習を通 せば、歴史的分野目標(3) の「国際協調の精 神」につな
がると考 える。
(2)生徒の実 態(男子16名、女 子19名
計35 名)
教師 の問いかけに 積極的に反応し 、社会科への 取り組みや意欲 が高いクラスで あ る。また、
調べ学 習を継続的に 行ってきた結果 、課題に対しても意欲的に取 り組み、資料を有 効に活用し
て発表 できる力が徐 々に養われつつある。しかし 、授業時の発言 では、知識を問うような質問
に対しては瞬時に答 えようとするが 、事象の原因 や影響について 問うような質問に 対しては答
えに窮 する場面が多 い。また、調べ 学習でも、一 つの事象を深く 掘り下げて詳しく 調べようと
することはできるが 、事象間の因果関係に目を向 けたり、事象を 取り巻く要因を背 景に他の事
象と比 較したり関連 づけたりして構造的に と ら え る段階までには 到達していない。 これは事象
を 「人間 」・「 時 間 」・「 空 間」 とういう3 つの 「間」 の中 で構造化す る力 が身 についていない
からといえる。また 、歴史学習においては、一種 おとぎ話の よ う な感覚でとらえ、 自らとのか
か わ り の中で事象を 考察することができないため 、ともすると傍観者的かつ批判的 な見方をす
ることが 多く見受けられる。
そ こ で、生徒が社会的事象に主 体 的に働きかけることのできる 学習が第一に必要 と考える。
そのためには、生徒 が主体的に活動 に取り組めるような単元構成 、そして問題意識 が持続し、
常 に「 なぜ 」、「 どうして 」という 問い を も つ こ と の で き る 教材構成を 中心 に考 える 必要 があ
る。生 徒が歴史の舞 台に立ち、判断 を迫られるような場面設定があれば、より深く 生徒が社会
的事象に 積極的に働きかけられるのではないかと考える。
た だ し、事前アンケートの結果によると、日本 がアメリカと戦 争して負け た こ と は約90%
の 生徒が覚 えているが 、「満州事変 」( 約15% )、「日中戦争 」(約 12% )、「なぜ日本 はアメ
リカと 戦争したのか 」(約1 0%) と、小 学 校での 既 習 事 項をほとんど覚 えていない生徒 が多
いため、 基礎的、基本的知識 の定着を図る こ と も平行して行う必要 がある。
さ ら に、中国帰国子女が2名おり 、一人はほとんど日本語が話 せない状態であり 、もう一人
は日常会話が よ う や く理解できる程 度であるため 、この生徒た ち に対して学習指導面及び立場
的な配 慮も必要と な る。逆に、この 生徒の意見を 取り入れ る こ と が異なる立場か ら の意見とし
て生徒の 見方・考え方を広げることになるとも 考える。
4
指導と評価 の構想
(1)指導の構 想について
①
為政者 の立場から「満 蒙 問 題 」・「 太 平 洋 戦 争」の判断を迫る意思決定場面の設定
社会的事象に積 極 的に働きかける 場面を設定すれば、傍観者的発想がなくなり、 より主体的
に事象 にかかわりながら学習する態 度が育成されると考える。歴史学習では、実体験的な活動
を取り 入れることは 難しいため、ここでは歴史の 舞台に立つことにより、自らの意 思を決定す
る場面 を設定し た い と考える。具 体 的には、石橋湛山と石原莞爾 の意見から「満蒙問題」を自
分ならどちらの 立場をとるか 、また 、「太平洋戦争 」では 、御前会議のやりとりから自分 は開
戦か撤 退かどちらを 選ぶかなど、為政者の立場か ら当時の資料を 通して自分なりの 考えを構築
さ せ た い。そして、 このような活動 から、その時 代の人々が何を 、どう考え、判断 して時代を
動かしたのか考 える態 度を育 てたい 。さらに 、このような 悩みに 触れ る こ と に よ り 、「人 間の
営み」としての歴史に触れさせたいと考える。
②
他とのかかわりから考察・ 判断を高める活動 を中心に位置付け単元構成
生徒 が主体的に調 べ、表現することが多角的・ 多面的な考察を 促すと考える。活 動すること
は判断 を迫られることにつながる。 判断するためには、そ れ ま で の既習事項をフィードバック
さ せ た り、情報収集 を行いそれを比較検討し、情報交換を行う必要性を生む。この 単元では、
前述の 意思決定場面以外にも大戦中 の国民生活の 様子について調査活動を行い、発 表すること
に よ り お互いの情報交換から大戦に 対して多角的 に考察さ せ た い と考える。また、 班内での意
見交換 や全体発表を 行うことにより 、違った側面 から事象を多 面 的にとらえられるようになる
と考える 。
③
時代を 再構成するまとめ活 動の設定
単元 を通して行われた学習活動及 び課題解決によって導いた結 果をまとめ、表現 することに
より歴史的事象を構造化させたいと 考える。つ ま り、世界恐慌か ら第二次世界大戦 の終結まで
の様々 な学習結果を 対照表やイメージマップ(ウェッブ図)にまとめることにより 、事象を時
間的ないし空間的に 構造化させ、事 象への認識を 深めさせることをねらいとしたい 。さらに、
こ れ ら の事象が、日 本の歴史の中でどのように位置付けられるのかを積極的に評価 させたいと
考える。
(2)評価の構 想
以上の 指導の構想のもとで 評価を行うために 、以下の評価方法を 重視したいと考え る。
①
作品法 による評価の重視
この 単元では、生 徒が主体的な活 動から自分なりの考えを導き 出す場面が多く設 定されてい
る。そこで、学 習 課 題の結果をまとめた作品(学 習プリント・イメージ図・対照表 ・イメージ
マップ )から評価を 行いたい。生徒 が主体の学習指導では、これらが学習の成果を 最もトータ
ルな形 で表し て い る と考えるからである。そのためにも、評価の 観点を明確にした 上で作品に
接する必 要がある 。特に中学校では 、複数の教師 で一つの学年を評 価することになる 。そこで 、
作品に 対する評価をいかに分析的、 客観的なものにするかが評価 のポイントとなる 。例えば、
意思決定場面の評価 では、最後にまとめを書かせ 、感想を述べ、 タイトルを付けさせたい。そ
の活動 から、ま と め は「理解」を、 感想は「関心 ・意欲・態度」 を、タイトルは「 表現」を評
価し 、まとめを導き 出す過程の資 料 活 用や、他の 意見を聞いての意 見の変容から「 思考・判断 」
を評価し た い 。そしてそれぞれの評価規準及び カッティングポイントを明確に し た い と考える 。
②
形成的評価の工夫
この 単元では、1 時間、1単元の 中で調査活動 や他との意見に 接することにより 個の変容が
見取れ る場面が多い 。そこで、学習 プリントを工 夫し、形 成 的 評 価を積極的に取り 入れるため
にも自己評価を利用 したいと考える 。自己教育力 を育成する意味 でもこの評価を取 り入れる必
要が あ り、総合的な 学習の時間でも 毎回行っているが、まだ生徒 が十分な評価能力 をもってい
るとはいえないため 、次の点を考慮 したい。第一 に、自己評価表 の「ABC」評価 だけの形に
はせず 、できるだけ 文章表現を取り 入れた形にしたい。これは、 生徒の生の声を反 映させたい
からであり、前述の 作品法による評 価との関連もふまえてのことである。第二に、 自分勝手な
評価に 陥らないよう 、相互評価を併 用したい。学習成果を発表・ 交換する機会の多 い本単元で
は、自己評価と相互評価の相関から 評価する場面 も多く設定で き る。以上の2点をふまえ、形
成的評価 を行いたいと考える 。
5
単元の評価規準と評価基準
単元における評価規準
観点
単元の評 価 基 準(判断基準)
十分満足できる
(A ) おおむね 満足 で き る
( B) 努力 を要する
( C)
関①
第二次世界大戦中の ・第二次世界大戦中の ・第二次世界大戦中 の ・第二次世界大戦中の
国民生活の様 子をイメ わ が 国 の 様 子 に つ い わ が 国 の 様 子 に つ い わ が 国 の 様 子 に つ い
ージ 図で表すため、意 て、書 籍や聞き 取り調 て、書籍 、聞き取り 調 て 、1つの 資料だけを
関
欲的 に資料を 収集しよ 査だけでなく、 インタ 査な ど か ら複数の資 料 使 用して、 図で表そう
心
うとする 。
ー ネ ッ トなどを 利用し を収集しようとしてい としている。
・
て多 面 的に収集 しよう る。
意
としている。
欲
・
関②
態
世界恐慌か ら第二次 ・「 時 間 的 側 面 」「 空 ・「 時 間 的 側 面 」「 空 ・「 時 間 的 側 面 」 か ら
度
世界大戦の終 結までの 間 的 側 面」及び 「人間 間 的 側 面 」「 人 間 の 営 こ の時代の 全体像を、
わが 国の歴史 を、イメ の営み 」の視点 から、 み」の う ち、2つの 視 イメージマップでまと
ージマップを 用いて構 この時 代の全 体 像をイ 点か ら こ の時代の全 体 めようとしている。
造的 にまとめようとす メージマップで 構造的 像をイメージマップ で
る。
にまとめようとしてい 構造的に ま と め よ う と
る。
している。
思①
世界恐慌後 の日本国 ・世界恐慌に対 する我 ・世 界 恐 慌に対する 我 ・ 世界恐慌 に対する我
内で 軍部が台 頭した背 が国の 対応について、 が国の対 応について 、 が 国の対応 について、
景について、 自分なり 二人の 人物の考 えと、 二人の人 物の主張を ふ 一 人の人物 の主張から
の 考 え を も っ て 判 断 級友の 意見を取 り入れ まえて満蒙問題に つ い 満蒙問題についての自
し、 満蒙問題 について ながら 判断し、 満蒙問 ての自分 の考えを述 べ 分 の 考 え を 述 べ て い
考え を述べることがで 題についての自 分の考 ている。
きる。
る。
えを述べている 。
思②
日 本がアメリカとの ・御前会議での 様々な ・御 前 会 議での様々 な ・ 御前会議 での様々な
社
開戦 に踏み切 ったこと 主張に対し 、世界情勢 、 主張に対し 、世界情勢 、主 張に対し 、日本国内
について、当 時の日本 日 本 国 内の状況 をふま 日本国内 の状況から 自 の 状況から 自分の考え
会
状況 を背景に 自分の考 え、級 友の意見 を取り 分の考えをもつことが をもつことができる。
え を も つ こ と が で き 入れながら自分 の考え できる。
的
る。
な
思③
をもつことができる。
大 戦 中の国民生活の様 ・大 戦 中の国民生活の ・大戦中 の国民生活 の ・ 大戦中の 国民生活の
思
子や 大戦の惨 禍から、 様 子 や 大 戦 の 惨 禍 か 様 子 や 大 戦 の 惨 禍 か 様 子 や 大 戦 の 惨 禍 か
平和 の大切さについて ら、平 和の大切 さに気 ら、平和 の大切さに 気 ら 、戦争の 悲惨さにつ
考
自分 の考えを 文章でま 付くとともに、 国際平 付き、文 章にまとめて い て文章にまとめてい
とめることができる。 和実現 に向けて 努力す いる。
・
る。
べきことは何かなどを
文章にまとめている。
判
思④
断
世界恐慌か ら第二次 ・「 フ ァ シ ズ ム 」「 軍 ・「 フ ァ シ ズ ム 」「 軍 ・ キ ー ワ ー ドと第二次
世界大戦が終 結するま 部 」「日本の 参戦 」「戦 部 」「日本の参戦 」「戦 世界大戦の 関係につい
で に つ い て の 様 子 を 時 中 の 国 民 生 活 」「 大 時 中 の 国 民 生 活 」「 大 て 説明することはでき
「 ファシズム 」
「 軍部 」 戦の終 結と敗戦 」をキ 戦の終結 と敗戦」を キ ないが、図 に表してい
「 日 本 の 参 戦 」「 戦 時 ー ワ ー ドに、第二次世 ーワード に、第 二 次 世 る。
中 の 国 民 生 活 」「 大 戦 界大戦 とキーワードの 界大戦と キーワード の
の終 結と敗戦 」をキー 関係を 構造的に 図に表 関係を構造的に図で 表
ワ ー ドに、それぞれの し、そ の関係について し、その 因果関係に つ
歴史的事象を 因果関係 説明し 、それぞれのキ いて説明している。
の形 で構造的 にまとめ ー ワ ー ド間の関 係につ
ることができる。
いても 他の語句 を使用
して説明し て い る。
技①
資 料を も と に大戦中 ・大 戦 中の日本国民の ・大戦中 の日本国民 の ・ 対戦中の 国民生活に
の国民生活の 様子につ 生活について調査活動 生活について、調 査 活 ついてイメージ図に表
資
いて 、イ メ ー ジ図をま を行い 、現在やそれ以 動を通し てイメージ 図 すことはできないが、
料
とめることができる。 前との 比較の観 点から にまとめている。
活
当時の様子 を図で示
用
し、他 の発表か ら生活
の
の全 体 像を把握 してい
技
る。
調査活動をしっかり行
っている。
能
・
技②
表
第二次世界大戦につ ・世界恐慌から 第二次 ・世 界 恐 慌から第 二 次 ・ 世界恐慌 から第二次
現
いて 、自分のとらえか 世界大戦終結までの内 世界大戦 までの内容 を 世界大戦までの内容を
たを イメージマップで 容を世界情勢・ 国内状 左の3つのうち2つ の 1 つの視点 からまとめ
示すことができる。
況・人 々の苦悩 の面か 視 点 か ら ま と め て い て い る 。
らまとめている 。
る。
知①
世界恐慌の 原因と各 ・世界恐慌を背 景に第 ・第二次世界大戦と わ ・ 資源を求 めて東南ア
国の 対応から 、ファシ 二次世界大戦とわが国 が国の関 係について 、 ジ アに進出 したこと、
ズム が台頭し 、第二次 の関係 について 、資源 資源を求 めて東南ア ジ ドイツ・イタリアと手
社
世界大戦がおこった経 を求め て東南アジアへ アへの進 出を望ん で い をむすんだこと、アメ
会
緯と 我が国の 参戦につ の進出 を望んだこと、 たこと、 ドイツ・イ タ リ カとの交 渉がうまく
的
いて理解 する。
ドイツ ・イ タ リ アと手 リ ア と 手 を 結 ん だ こ い か ず 資源 がなくなっ
事
を結んだこと、 アメリ と、アメリカとの交 渉 てきたことのいずれか
象
カとの 交渉がうまくい がうまくいかず資源 が を理 解している。
に
かず資 源がなくなって なくなってきたことを
つ
きたことを把握 し、そ 理解している。
い
の関係 を構造的 に理解
て
している。
の
知
知②
識
統制経済下 のわが国 ・わが 国の政治 、経済 ・わが国 の政治、経 済 ・ わが国の 政治、経済
・
の様 子や要因 について ともに 統制されていっ とも統制 されていった ともに統制 されていっ
理
理 解 す る こ と が で き た こ と に つ い て ま と ことについてまとめ 、 たことについて、その
解
る。
め、そ の理由が 日中戦 その理由 が日中戦争 の 理 由 は 解 明 で き な い
争の長期化によるもの 長期化によるものであ が 、まとめることはで
であったことについて る こ と を 理 解 し て い き る 。
理解で き、なぜ 日中戦 る。
争に突 入したかについ
ても理解し て い る。
6
指導と評価 の計画(全
次
11時 間)
ねらい・主な学習活動
学習活動における評価規準【 評価方法】
( 時数 )
○
世界恐慌に よ る各国の対 応と、
日本国内への影 響を理解し 、日本
がどのような道 をたどるべきかを
資料 をもとに考 えながら、 大戦ま
での日 本の判断を把握する 。
①
世界恐慌の原 因と各国の 対応に 知 ①ー1
ついて 理解する。
②
第
資 料から世 界 恐 慌の原因と各 国の対応を理解
している 。
恐慌下の日本国内の様子 を把握 思 ①ー1
【 発言 、学習プリント 】
二 人の人物の意 見を読み、発 表された他者の
し、 石原莞爾と 石橋湛山の 言葉か
考 えを取り入れ て、自分の考 えを記入してい
ら満蒙問題について自分の 考えを
る。
【 発言 、学習プリント 】
もつ。
1
③
満州事変後の 国際連盟で の表決 思 ①ー2
から 、日本の判 断・行為について
次
満州事変の原因 を理解し、日 本の行動につい
て考えている 。
【 発言 、学習プリント 】
考える 。
④
(4)
⑤
世界情勢の緊 張・対立か ら第二 知 ①ー2
ドイツ・イ タ リ アのフ ァ シ ズ ムの台頭から第
次世界大戦が起 こったことを理解
二次世界大戦が 起こったことを理解してい
する。
る。
日中戦争の長期化による 日本の 思 ②
【 発言 、ノート 】
アメリカとの対 立をふまえ、 御前会議の様子
状況 を把握し、 御前会議の 様子か
か ら自分はどの 立場を と る か を考え、討論を
ら、 アメリカに 対し日本は 開戦す
通 して考えを深 めている。
べ き か撤退すべきかについて考え
る。
【 発言 、学習プリント 】
知 ①ー3
日中戦争の長 期 化から資源を 求めて東南アジ
アに進出 し、アメリカと対 立を深めたことを
理解している 。
○
【 発言 、学習プリント 】
様 々な資料の 調査や、当 時の生
活を 体験した方 々への聞き 取り調
査を 通して、戦時中の国民生活に
第
つ い て意欲的に 調べ、発表 するこ
とができる。
2
①
国家総動員法 や戦時中の 流行語 知 ②
から 、当時の国民生活がどのよう
次
わ が国の政治、 経済が統制されていったこと
を理解している 。
【 発言 、学習プリント 】
な状 況に追い込 まれていったかを
考える 。
②
(4)
班 に分かれ、 当時の生活 の様子 関 ①
に つ い て調べ学習を行う。
第二次世界大戦中のわが国の 様子について、
多 様な資料や調査活動から探 ろうとしてい
る。
③
調査結果をイメージ図にまとめ 技 ①
て発 表することにより、お 互いの
【 行動観察 、学習プリント 】
大戦中のわが国 の生活の様子 について、イメ
ージ図としてまとめている 。
【 作品 】
○
情報 を共有し、 大戦が国民 に及ぼ 思 ③ー1
国民生活の様子 から、平和の 大切さに気付い
した影 響について把握する 。
ている 。
【 発言、 作品 】
当 時の映像や 資料から、 大戦の
経過 をたどり、 我が国がアジア諸
国を は じ め と し た多くの国 に与え
た多 大な損害、 我が国の国 民が受
けた 戦禍、大戦 が人類に及 ぼした
惨禍を 理解する。
①
第
諸資料を も と に、アジア の人々 思 ③ー2
の立 場から、生 活の苦しさについ
他 国に与えた被 害から、国際協調の精神につ
いて考えている 。
【 発言 、学習プリント 】
て考え る。
3
②
当 時の映 像 資 料から、大 戦が終 知 ①ー4
結するまでの経緯を理解す る。
次
③
世界恐慌から大戦終結までの 経緯を把握して
いる 。
大 戦が人類にもたらした 惨禍に 思 ③ー3
つ い て、自分の 考えを文章表現す
原 爆の様子や戦 争の被害から 、国際平和実現
に 向けて努力すべきことを考 えている。
る。
(3) ④
【 学習プリント 】
【 発言 、学習プリント 】
単 元を通して 、キ ー ワ ー ドをイ 関 ②
「 時間 」・「 空 間 」・「 人 間 」 を ふ ま え、 単元
メージマップで 表すことにより、
全 体をイメージマップにまとめようとしてい
世界恐慌から大戦終結ま で の時代
る。
を構 造 化する。
思④
【 行動観察 、イメージマップ 】
キーワードをもとに第二次世界大戦終結まで
をまとめ 、因果関係に つ い て説明している。
【 イメージマップ】
技②
3 つの観点から 、構造的に単元全体をイメー
ジマップ にまとめている。
【 行動観察 、イメージマップ 】
7
本時の学習 (第1次・2時間目 )
(1)
①
本時 のねらい
世界恐慌の影響による日本経済の 混乱と同時に 起きた農業不況 から、日本国民の 生活が困窮
を極めていった様子を具体的 に把握することができる。
②
国 内の混乱を打破 する道としておきた満 蒙 問 題について、石橋湛山と石原莞爾の 二人の主張
をもとに 、日本のとるべき道 を考えることができる。
(2)
①
本時 における評価規準
資料 から、世界恐慌後の日本経済 の混乱と農業不況による日本国内の混乱の様子 を理解する
ことができる 。【知識・理解 】
②
恐 慌 下の日本の様 子を踏ま え な が ら、石橋湛山 と石原莞爾の意 見を聞き、満 蒙 問 題について
考え、 他の意見 を聞くことにより自 分の考え を文章 で表現 することができる。【 思考・判 断】
(3)
本時 の活動について
前単元で生徒は、 第一次世界大戦が終了後のベルサイユ体制の 完成と軍縮への動 き、そして
国内で も大正デモクラシーの動きがあったことを 学習している。 そして、前時では 第一次世界
大 戦 復 興を背景に世界恐慌が発生し 、それを境に 世界中が経 済 混 乱の渦に巻き込ま れ、その対
応に追われたことを学習している。
そ こ で本時では、 まずこの世 界 恐 慌が日本にも 及んできたこと 、さらに同時に起 きた農業不
況により 、都市部や農村部な ど日本全土に混乱 が広がったことを当 時の資料から把握 させたい 。
そして 、この状況を打開 する方法として生まれた「 満 蒙 問 題」について 、石橋湛山・石原莞爾 、
二人の 人物の意見をもとに満州をどうするべきか 、日本の進む べ き道を悩ませたい 。満州事変
は小 学 校での既 習 事 項のため、当然生徒の中には 知っている者も 多いが、生徒が歴 史の舞台に
立って 悩むということが当時の人間 の営みを身近 に感じさせ、歴史的事象に積極的 に働きかけ
るきっかけとなると考える。
ま た本時では、 正解、不正解を 問うような学習課題が少なく、 生徒が自由に思考 ・判断する
課題を 多く含ん で い る。逆にいえば 、いかに生徒 の多様な考えを 導き出せるかが本 時の課題と
も い え る。そ の た め に資料を精選し 、有効に活用 することによって、生徒の思 考 活 動の範囲を
広げさせたい。そ し て評価に対し て は、方法を決 める、立場を決 めるための理由付 けに重きを
おきたいと考える。
(4)
学
1
本時 の展開
習
活
動
教師 の働きかけと生徒 の反応
前時の学習内容の 復
習を 行う。
指導上の留意事項と評価
・前時に 行った討論「 あなたなら
世界を 激動の渦 に巻き 込んだ事 件
どの方 法をとる」の 内容につい
と、各国の対応策 は何か。
ても触 れる。また、 世界恐慌が
どのような影響を各 国の国民生
・世 界 恐 慌が起きた。
活に与 えたかについても思い出
・ア メ リ カはニューディール政策
させる。
イギリスやフランスはブロック経済
で回復 を目指した。
・し か しドイツは ファシズム の道を選
んだ。
2
資料から 世界恐慌 が
日本経済に も影響を 与
世界恐慌は 日本にどのような影響 を
えたこと、 さらに農 村
与えたのか。
・「 昭 和 万 葉 集 」「 キ ャ ベ ツ 5 0
個がタバコ1箱」の 資料を提示
の混 乱を把握する。
し、国民生活の様子 を具体的に
・ひどい 状況だ。
把握させる。さらに 、宮沢賢治
・倒産が 増える。
の「雨 にも負けず」 から農民の
・失業者 がどんどん増える 。
生活の様子を 考えさせる。
・こ れ で は農民はどうするんだろう。 ・学習プリント1に よ り、恐慌下
3
・生活が 成り立たない。
の日本 の生活についてまとめさ
・今の日 本の状況と似て い る。
せる。
この日本 の状況を 打
破 するためにはどうし
・自由に発言させる。
日本はどうしたらいいんだろう。
たらいいかを考える。
・
板書 から、既 習 事 項の世界各
国の対 応についても 思い出させ
・ア メ リ カの方法がある。
・イギリスやフランスのようにするた
めには 植民地が必要だ。
・ドイツ と同じ道をとるんだろう。
ではどこを植民地 として狙うのか。
る。
・朝鮮 だろう。
・台湾 かな。
・中国かもしれない 。・満 州だよ。
4
当時提案 された「 満
・満州の位置を 地図で確認する。
蒙問題」について、 石
この当時おきた「満蒙問題」に つ い
原莞爾の意 見を考え
て、石原莞爾の考 えを聞こう。
・黒板に 石原莞爾の顔写真を掲示
する。
る。
○
石原莞爾 の考え(意訳「満蒙問題私見」より)
なぜ「満蒙 は日本の生命線」なのか
政治的価値
1
「満蒙 」は、まさに我が国 の発展のために最 も重要な戦略拠点である。
2
朝鮮の 統治は 、「満蒙」を 我が国の勢力下におくことにより、初 めて安定す る だ ろ う。
3
我が 国の実力をもって「満蒙問題 」を解決し、 断乎とした決意 を示せば、日本は シナ本土
に対し て指導者の地 位に立ち、シナ の統一と安定 を促進して、東 洋の平和を確保することが
できるだろう。
経済的価値
1
「満蒙 」の農産物は、我が 国の食糧問題を解 決することができる 。
2
アンザンの鉄やブジュンの石炭などは、現在の 我が国の重工業 の基礎を確立するのに必要
である。
3
「満蒙 」における日本の企 業は、我が国現在 の失業者を救い、不 況を打破できるだろう。
・やはりこの方法しかない 。
・工場をつくれば失業者は 救えるし 、
食 糧 問 題も解決する。
・資源も 手に入る。
・でもこんな方法でいいのかな。
5
石橋湛山 の意見に つ
いて 考える。
○
・ 石 橋 湛 山 の 顔 写 真 を 黒板 に 掲示
石橋湛山の意見はどうだろう。
石橋湛山 の考え(意訳「石橋湛山評論集」
する。
岩波文庫)
朝鮮・ 台湾・満州を 捨てる、シナか ら手を引く、 樺太もシベリア もいらない(中略 )ただ平
和主義により、国民の 全力を学問技術 の研究と産業 の進歩に注ぐことにある。兵舎のかわりに
学校を建 て、軍艦のかわりに工場をつくる。大日本主義を放棄することは(中略)大 きな利益
を わ れ ら に与えるものである 。(中略 )一、二 の国が い か な る軍備 を擁し て も、自由解放 の盟
主として、 背後に東洋ないし全世界の支持があればよい。
・そうだよな。平和が一番 だ。
・ 戦 争に お 金を 使 う よ り 、 産業 に 力
を入れるべきだ。
・ で も平 和 的に 不 況を 乗 り 切る な ん
てできるのだろうか。
・ 学 習プ リ ン ト2 を 配 布し 、 石原
莞 爾と 石 橋 湛 山 の 考 えを 吹 き
出しでまとめる。
6
二人の人 物の意見 か
ら 、日本のとるべき 道
あ な た が 総 理 大 臣 なら 、 日 本の 取
を 為政者の 立場から 考
る べ き 道 と し て 、 ど ち ら の 意見 を
える 。
選択するか考え よ う。
評 価 規 準(思①)
・世 界 恐 慌 に対 す る 我 が国 の 対
応 に つ い て、 二 人 の 人物 の 主
張 をふまえて 「 満蒙問題 」 を
・石原派
考えている。
不 況を 乗 り切 る 具 体 策 は満 州 し
【発言・学習プリント】
かない 。 平 和 的 には 何 も 解決 で き
・プ リ ン ト に予 め 評 価 基 準 を 明
ない。 現実的でない。
記 し 、 意 欲を も た せ る。 自 分
・石橋派
の 考 え を 選択 で き な い生 徒 に
侵略 、戦争はどんなことがあっ
対 し て は 、二 人 の 意 見か ら ど
て も よ く な い 。 我慢 を し て国 の 力
の よ う な 点を 悩 ん で い る の か
をつけるべきだ。
を 記 述 させる 。 ま た 、周 り と
相談するよう 支援する。
・個人の 意見を構築させる 。
7
石原派、 石橋派の 意
見を 発表する。
・ 自 分の 考 え た意 見 を も と に 討論
意見交換をしよう 。
し 、他 者 の 意見 を 取 り入 れさせ
る。
8
最終的に 他の意見 を
聞 き、自分 の意見を 再
・ 日 本の 多 様 な進 路 と 選択 を 考え
最終結論を考え よ う。
る と と も に 、当 時 の 人々 の 苦悩
構 築し、本 時の感想 を
に つ い て も 考え ら れ る よ う 助言
プリントに記入する。 ・本時を 振り返り 、自己評価も 行う 。
する。
※(5)本時の 評価活動について
本 時は4人の抽出生徒を選定し 、3人の教師 による評価活動を 行い、以下の観点 から評価の
整合性を 研究するとともに、 問題点について研 修を行う。
①
作品法 に対する教師の評価 の整合性と問題について
学習プリント2の内 容から以下の観 点で評価を行 い、教師間の評 価の整合性に つ い て考える。
・資料 から世界恐慌下の日 本の様子についてまとめている。
A
具体的な観点から 3つ以上記述している。
B
2つの具体的な観 点から記述し て い る。
C
1つの具体的な観 点から記述し て い る。
・学習 プリントの吹き出し を適切な表現でまとめている。
A
工夫して吹き出しをまとめている。
B
資料の内容から吹 き出しをまとめている。
C
まとめることができない。
・第一段階での個人の立場 を明確にし、記述 している 。。
A
2つ以上の具体的 な理由から個 人 意 見を記述している。
B
1つの理由から個人意見を記述している。
C
個人意見を構築できない。
・他者 の意見を取り入れて 、最終意見を記述 している。
A
二人以上の意見を 取り入れて最 終 意 見を記述している。
B
一人の意見を取り 入れて、最終意見 を記述している。
C
他の意見を取り入 れることができない。
・まとめのタイトルと感想内容から、本時で の学びを振り返っている。
A
工夫さ れ たタイトルを付 け、国内の情 勢、二人の人物 の意見、さらに級 友の発表か
ら本時の学びを振り 返ることができる 。
②
B
上記の2つの観点 から、本時の学び を振り返ることができる。
C
1つの観点か ら し か学びを振り返ることができない。
本人の 自己評価と教師の観察法による評価の 整合性と問題に つ い て
授業中 の見取りと生 徒の自己評価を 以下の観点で 行い、生徒と教 師の評価の整合性 について考
える。
・今日 の学習の課題に対し て積極的に取り組 むことができたか。
・他の 人の意見をよく聞き 、自分の考えをもつことができたか。
・討論 に積極的に参加することができたか。
・資料 を読み取ることはできたか。
・今日 の学習内容を理解することができたか 。
8
単元に お け る観点別評価総括及 び評定について
観
点
関心 ・意 欲・ 態度
具体的評価
社 会 的 な 思 考 ・ 判 断
資料活用 の技 能 ・表 現
社 会 的 事 象へ の知 識 ・理 解
関 関 総括 思 思 思 思 思 思 思 総括 技 技 総括 知 知 知 知 知 総括
目標 ① ② 6点 ① ① ② ③ ③ ③ ④ 21 点 ① ② 6点 ① ① ① ① ② 1 5 点
番号
1
2
氏
名
○○
○○
満点 1 2
○○
○○
1 2 3
満点
B
満点 1 2 3 4
満点
A A
A
A A A B B B C
A C
B
A A A C C
3 3
6
3 3 3 2 2 2 1 16 3 1
4
3 3 3 1 1 11
A B
A
A A A B C C C
C B
B
B B C C C
B
3 2
5
3 3 3 2 1 1 1 14 1 2
3
2 2 1 1 1
7
B
B
(1)観点別評価について
指導の 構想と単 元 構 成を考えた場合 、社会的な思 考・判断の評価項目が多くなる。 この点で重
み付けが 行われていると考える。さ ら に、客観テ ス トを観点別設問形式で行い、それぞれに比率
1の割合 で評価に加え る。観点別評価 の最終総括については、Aを 3点、Bを2点、 Cを1点と
し、合計点 が満点の
・80% 以上を
A
・79% から50%を
B
・それ以 下を
C
とする。
(2)観点別評価から評定への総括 について
評価から 評定への総括については 、多種多様な方法が 導き出されているが 、
「 満足の度合い( 平
均 点 )」 などの得点方式 で総括 すると 逆転現象 が起きやすくなる。 また、保護者や 生徒への 説明
責任を果 たす場合にはできるだけシンプルな方法が 適切であると考 え、以下の方法で 評定を算出
したい。 さらに、4観 点は社会科の学 習ではどれも 重要な要素であるため、評定算出 では重み付
けはしないこととする。
AAAA
・・・5
(15点 )・・・ 100%
AAAB
(11点)
AAAC
(10点)
AABB
・・・4
(10点 )・・・
AABC
(
9点)
AACC
(
8点)
ABBB
(
9点)
ABBC
(
8点)
(
8点 )・・・
ACCC
(
6点)
BBBC
(
7点)
BBCC
(
6点)
BBBB
・・・3
67%以上
53%以上
BCCC
・・・2
(
5点 )・・・
33%以上
CCCC
・・・1
(
4点 )・・・
27%以下
( Aを3点 、Bを2 点、Cを1 点として 総括した 場合)
[ 評価 カード ]
(教師用)
no
氏
名
評価方法
評価項目及び所見
①課題に 対して積極的に取 り組むことができたか。
(所見)
②他の人 の意見をよく聞き 、考えをまとめたか 。
(所見)
観察法
③討論に 積極的に参加することができたか。
(所見)
④関心をもって資料を読み 取っていたか。
(所見)
⑤学 習 内 容を理解し て い た か。
(所見)
①資料か ら世界恐慌下の日 本の様子についてまとめている。
(所見)
②学習プリントの吹き出し を適切な表現でまとめている。
(所見)
作品法
③第 一 段 階で立場を明確にしている。
(所見)
④他者の 意見を取り入れて 最終意見を記述している。
(所見)
⑤ま と め の感想とタイトル から 、本時の学びを 振り返っている 。
(所見)
評価
(学習プリント ・2)
二人 の 人 物 の 意見 を 聞 いて 、
今後 の 日本 の 道 を 考 えよう !
組
番
氏名
○二人の考えをまとめよう。
VS
石
○課
原
莞
爾
石
題
↓
○第一段階での 自分の考えを書こう 。
立
場
理
由
○最終意見をまとめよう。
☆自己評価(A
①
B
Cで評価し よ う)
今 日の学習の課題に 対して、積極
☆授業のまとめ
タイトル
的に 取り組むことができた。
②
他の 人 の意 見 を よ く 聞き 、 取り 入
れて 自分の考えをもてたか。
③
討 論に積極的に参加 できたか。
④
資料 を し っ か り読 み 取る こ と が で
き た か。
⑤
今日 の 学 習 内 容を 、 よく 理 解す る
ことができたか。
わかったこと・感想
橋
湛
山
(資料)
○
石原莞爾の考え(意 訳「満蒙問題私見」 より)
なぜ 「満蒙は日本の生命線」なのか
政治的価値
1
「満蒙」は、ま さ に我が国の発展のために最も重要な戦略拠点である。
2
朝鮮の統治は 、「 満蒙」を我が国の 勢力下におくことにより、初めて安定 するだろう。
3
我が国の実力 をもって「満蒙問題」を解 決し、断乎と し た決意を示せば 、日本はシナ本土
に対して指導者 の地位にたち 、シナの統一 と安定を促進し て、東洋の平和 を確保することが
できるだろう。
経済的価値
1
「満蒙」の農産物 は、我が国の食 糧 問 題を解決することができる。
2
アンザンの鉄 やブジュンの 石炭などは、 現在の我が国の 重工業の基礎を 確立するのに必要
である。
3
「満蒙」における 日本の企業は、我が 国現在の失業者を 救い、不況を打破 できるだろう。
(資料)
○
石橋湛山の考え(意 訳「石橋湛山評論集 」
岩波文庫)
朝鮮・台湾・満 州を捨てる、 シナから手を 引く、樺太もシベリアも い ら な い(中略)ただ平
和主義により、国 民の全力を学問技術の研究 と産業の進歩に 注ぐことにある 。兵舎のかわりに
学 校を建て、軍艦 のかわりに工 場をつくる。 大日本主義を放 棄することは( 中略)大きな利益
をわれらに与 えるものである 。(中 略)一 、二の 国がいかなる軍 備を擁 しても 、自 由 解 放の盟
主として、背後に東洋 ないし全世界の支持 があればよい。
(学習プリント ・1)
世界恐慌下 の 日本国内 の 様子 について
組
番
氏名
(資料1)当時 の流行歌
○
小学校
終わりて
世にぞ
立たんとす
幼 きわらべに
○
貧ゆ え に
空弁当の子もありき
頭痛よ そ お い
○
また一 人
若い娘が売られゆく
秋も寂しく
職なしあわれ
昼たべざりき
暮れてゆく村
( 昭和万葉集より )
(資料2)1930年7月10日
埼玉県足立郡木崎村の農 民
佐々木辰次郎 さんが農林省へ訴え た言葉
「じっさい 、今日、私ども農民 の生活は、生き る か死ぬか、助けるか 殺すかの岐路に立 つ、
実に涙のにじむ苦難の時代で す。汗水ながしてつくったキャベツは 、50個で敷島( 当時の
タバコ) 1箱分にしかあたらず、マユ3貫(約 12キロ)大麦3俵 でたったの10円 です。
これで肥料代を差し引き、いったい何が残りますか 。」
※現 在はキャベツ1個 約200円=50個 で約1万円
※当 時の大卒の初任給 は約50円
(資料3 )「十一月三日」
雨にも負 けず
欲はなく
現在は 約20万円
宮 沢 賢 治(現代語訳)
風にも負けず
決して怒らず
一日に玄米四合と
雪にも夏の暑さにも負けぬ
味噌と少 しの野菜を食べ
あらゆることを
そして 忘れず
野原の松 の林の陰の
小さな 萱葺きの小屋に い て
東に病気 の子どもあれば
西に疲れ た母あれば
行 って看病してやり
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行 って怖がらなくてもいいと言い
北にけんかや訴訟があれば
一人の時 には涙を流し
丈夫な 体をもち
いつも静かに座っている
良く見聞 きし分かり
つまらないからやめろと言い
寒さ の夏にはオロオロ 歩き
みんなにでくの坊と呼ばれ
そういう 者に
タ バ コは1箱約250 円
誉められもせず
私はなりたい
○世界恐慌後の 日本の様子について 感想を書こう。
苦にもされず
自 分を勘定に入れ ず に
研究 の 成果 と 課 題
1
研究の成果
(1)指導と 評価の一体化に つ い て
今回 の実践を通しての成果は、やはり明確な評価規準を作成することが具体的な 指導方法を
生むということを感 じた点である。 過去に何度も 教えてきた単元 であり、その都度生徒が主体
的に学 ぶためにどのような手法をとるべきか、どのような学 習 課 題を設定すべきか 自分なりに
工夫してきたつもりである。しかし 、後で単 元 全 体を振り返ってみると、学習課題 に統一性が
なかったり、生徒一人一人の見取り が不足したために手法ば か り が先走り、結局は 教師主導の
学習となってしまうことが多かった 。そこで今回 は、設定した単 元の目標についてそれを実現
す る た め一つ一つの 目標の文言を細分化し、その 実現を目指すためにはどのような 方法を取る
べ き か を考えた。そこから評価規準 を設定することにより、生徒一人一人の具体的 な活動を想
定し、 さらに方法を 見直すという作 業を繰り返し た。例えば、本単元の場合、学習指導要領で
は「戦 争までの経緯 を理解させる」 と表現されている。それを当 時の人々が悩みながら出した
結果による歴史の経 緯であると考え 、石原莞爾と 石橋湛山の激論 、及び太平洋戦争開戦直前の
御 前 会 議を教材化し 、学習課題と し た。そして、 評価規準では多角的・多面的な思 考・判断の
育成に 主眼を置くことを考え、学習形態を個別か ら全体へと展開 することによって 、関わり合
いの中 から結論を導 き出させる方法 をとった。このように評価規準及び評価計画を 作成するこ
とは、 単元構成及び 学習活動の工夫 を生み、より 目標に近付ける 学習課題の設定を 促したので
はないかと考える。
また 、評価基準( カッティングポイント)を詳細化することによって生徒一人一人の見取り
が必要 となり、そこから「学習結果 を重視した指 導と評価の在り 方」から「学習の 過程に視点
を当て た指導と評価 の在り方」へと 脱却できたと 考える。つまり 、今までは学 習 過 程で多少つ
まずきがあってもテストの点数で最終評価を下す 面が多か っ た た め、点数さえ良ければとうい
う感覚 を教師も生徒 ももっていた。 しかし、カッティングポイントを詳細化することにより、
一 人 一 人に身に付けさせたい学力が 明確になり、 その達成状況を 把握する必要が生 まれ、その
ため学習過程に お け る支援もより具体化された。 そこから結果よりも学習過程に重 きを置いた
実践ができたと考える。
(2)内発的 な意欲の喚起に つ い て
本 単 元では 、「なぜ 我が国 がそのような道 を選択 し た の か と い う問いを 単元を 通してもつこ
と に よ り、当時 の人々 の苦悩 と我が 国がたどった歴 史の経 緯について考えることができる 。」
ことを 目標と し た た め、自ら歴史の 舞台に立ち、 自分ならどうするか、どちらの道 を選ぶかと
いう意思決定場面を 多く取り入れた 。この方法が 学習意欲の喚起 に効果があったと 考える。新
学習指導要領では 、「 生きる力 」の育成が 重要課題として設定 され 、そのためには「 教え込む 」
「与え る」学習 から、 個々が 「考え る 」「選 ぶ」ことを支 援していく学習 が求め ら れ て い る。
最近 では教師の指 示を待つことが 習慣化され、 受け身の生徒が増 加し、自ら進んで 考えたり判
断する 生徒が少なくなった。そのためこのような 実践を行うに当 たっては、果た し て生徒が意
欲的に 取り組めるか 危惧する面もあったが、授 業 後のアンケート を見ると33人中 30人の生
徒が「 このような授 業をまたやってみたい」と答 えている。自分 の立場を選べなかった生徒も
多くいたが、一 人の生 徒は感 想の中 で 、「頭 がパニックしそうなくらい考 えても 、考えがまと
まらないほど難 し か っ た。でもこういう授業 は す ご く面白 か っ た し充実していた 。」と答 えて
いる。 さらに、 ある生 徒は 、「今ま で戦争は 簡単によくないことだと考え て い た し、何で 戦争
なんてしたんだろうと思っていた。 でも今回の授 業でそのときの 人たちも悩んでいたことが分
かった 。」と記 述していた。 つまり 、結論が 出なくても、 当時の 人々が ど の よ う に考え、 どう
悩 んで 判断 し た か と い う側 面に ふ れ る学習課題 を設 定し た こ と に よ り 、「調 べ て み た い 」「や
ってみたい」という 内発的な意欲が 喚起され、主体的に学習に取 り組めたのではないかと考え
る。そして、このことが基礎的な知 識や技能の習 得にとどまらず 、習得したものを 基にして考
える力や 問題解決の力の育成 までにたどり着け る指導となると考え る。
2
課題
(1)評価の 客観性と正当性について
本時 の展開では、 試験的に4人の 生徒を抽出し 、3人の教師で 評価を行ってみた 。抽出生徒
には、 昨年度まで行 われていた相対評価による、 5のA男、4の B男、3のC子、 2のD子、
を選び 、評価カード (別紙参照)の 観点からそれぞれ評価を行っ た。この結果、A 男・B男・
D 子につい て は、 ほぼ 3人 の教 師の 評価は 「観察法 」、「作品法 」それぞれほぼ 同一 と判 断で
き、評価 に差は生じなかったが、C子に つ い て は「観察法」で評価 が分かれた。
ま ず「観察法」 による ②の「他 の人の 意見を 良く聞き 、考えをまとめたか 。」 という項 目に
ついて 、教師1 は「ど の意見 についても参考 に し よ う と い う姿勢 はよい。 A 」、 教師2と 3は
「他者 の意見をしっかり聞けるが、 考えが深まっていない。漠然 と聞いているだけ 。B」とい
う評価 になった 。また 、③の 「討論 に積極的 に参加 することができたか 。」については、 教師
1は「 自分の意 見を述 べるに 至ってはいない 。C 」、教師 2は「 他者の意 見を積極的に聞 こう
としている。B 」、教 師3は 「意見 こそ発表 していないが 、他者 の意見を し っ か り聞きながら
意見を 構築しようとしている。A」 という評価を 行った。この二 つの評価は主に情意面での評
価項目 であり、や は り結果として表 れにくい関心 ・意欲・態度で の判定の難しさを 表している
と考え る 。「作品法」 では4 人の生 徒とも差 異が生 じなかった結 果を見る と、今 後はこの 情意
面での 評価にどのような客観性をもたせるか、またそれに耐えうるようなカッティングポイン
トをいかに設定していくかが大きな 課題となる。 さらに、今回は 一度の実践による データのみ
による 判断で あ る た め、実践を蓄積 していくことにより評 価 規 準 及びカッティングポイントの
妥当性を 検討していく必要があると考える。
また 、上記の項目 で本人の自 己 評 価はそれぞれ 「B」と「C」 であった。絶 対 評 価において
も評価 は教師主導で 行われるべきではあるが、目 標を達成で き な い生徒に対しての 指導を考え
た場合 、本人の意識 と教師の意識に 「ずれ」があると効果的な学 習は行えない。そのための方
策と し て、今後は学 習の目標と評価規準を予め生 徒に伝えてから 学習に取り組ませることが必
要になると考える。 また、自己評価 をひとりよがりにさせないために、自己を厳し く見つめさ
せる手段 として、自分の出し た評価をオープン にする取り組みも考 えられる。
(2)評価規準作成による指 導 方 法について
今 までは一つの 学年を複数の教 師で行う場合 、同じ単元でもそれぞれの教師が学習内容にも
ち味や 特色を出して 授業を行っ て き た。しかし、 今回の実践のように非常に細かな 評価規準を
作成し た場合、教材開発から単 元 構 成まで同じ指 導を行わざるを 得ず、常に評価を 念頭におく
とそれぞれの教師の 特色が生かされにくくなる。 特に社会科と い う教科の特性を考 えた場合、
事実や 原理原則を認 知するだけにとどまらず、社会認識を育成することが大きな目 標である。
そのために教材の間 口が広く、教師 の考えによってはいろいろな 手法が考えられる 。つまり、
評価を 計画的に行うことが指導計画 の柔軟性を損 なうという問 題 点が挙げられる。 また、逆説
的ではあるが、先述 のように学 習 指 導を限りなく 個々の生徒に視 点を当て、生徒個 々の目標に
対する 達成状況を把 握する必要があるならば、生 徒の達成状況に 照らし合わせ、学習指導をよ
り柔軟 に行うことが 求められる。こ の相反する事 実をいかに解決 するかが最大の課 題になると
考える 。現場では評 価のための評価 、評価の た め の指導になってはいけないという 声が多い。
しかし 、評価計画を 作成することは 、指導の見直 しを迫り、より 明確な目標設定による学習指
導が行 えるという利 点が挙げられる 。が、評 価 計 画を詳細化すればするほど、生徒 の目標達成
状況に 即した柔軟な 指導方法が損なわれる。評価規準及びカッティングポイントを 単元の中で
どの程 度のレベルで 設定し、教師間 の意思統一の 下で行うべきかについて今後研修 を行ってい
きたい。
< 生徒の学習プリント >