平成27年12月17日 総務常任委員への報告資料 防災・原子力課 新たな防災情報通信システム(防災行政無線のデジタル化等)について 1 当市の防災行政無線の現状と課題 現在運用しているアナログ防災行政無線の設備機器は、老朽化が著しく、保守・修繕費用が増加して いるほか、無線規格の変更に伴い、現状システムが平成 34 年 12 月以降使用できなくなる。 また、市内全世帯・事業所への戸別受信機の無償貸与にかかる財政負担が大きいことに加えて、デジ タル化によりさらなる負担の増加が予想され、これを抑制することが課題である。 2 比較検討項目 現状システムの問題点や課題、当市の特性を踏まえ、①確実かつ的確な情報伝達②迅速かつ容易なシ ステムの導入③整備コストの縮減の3つを整備方針の柱とし、受信機の全戸配備維持を前提に、適用可 能な情報伝達手段を絞り込み、機能性・信頼性・運用性・安全性・拡張性およびコスト面から評価し、 比較検討を行った。 評価項目 3 説明 機能性 迅速かつ確実な情報伝達のために必要な機能を有しているか 信頼性 災害時において正しく動作し続けるか 運用性 正確性、速報性、操作性など運用しやすいシステムか、障害からの早期復旧が可能か 安全性 不正使用、意図的な破壊、情報の漏洩などに対するセキュリティが確保されているか 拡張性 原子力災害時の広域避難への対応、文字等による情報伝達手段、一括情報配信への対応 比較検討を行った3方式の概要 ① デジタル防災行政無線方式 これまで運用してきたアナログ同報系防災行政無線をデジタル機器に更新するもので、 従来の設備は ほとんど使用できなくなる。専用の 60MHz 帯周波数による自営回線のため、比較的災害には強いとされ る。電波が遮蔽物の影響を受けやすいため、デジタル戸別受信機の設置には外部アンテナの取付けが多 くなることが予想される。 ② 携帯IP通信方式 携帯電話網(閉域ネットワーク)を利用し、防災行政無線と同様の情報伝達を行うもので、戸別受信 機の代わりに、タブレット端末を全世帯に配備し、一斉に音声や文字による情報伝達ができる。携帯通 信事業者の設備を利用するため、整備費用や保守管理費用は抑えられるが、月々の回線使用料が端末ご とにかかるため高コストとなる。また、災害時の通信障害や輻輳等が懸念される。 ③ コミュニティFM放送方式 コミュニティ放送事業者(㈱柏崎コミュニティ放送)に割り当てられているFM放送波を利用して情 報伝達を行うもので、緊急時に市から割込放送を行う。送信した信号で強制起動させる「緊急告知ラジ オ」を全世帯に配備するとともに、屋外スピーカーでも同様の方法で放送する。全市域をカバーするた めに新たな中継局(送信所)の設置が必要となるが、これによって難聴エリアが解消できる。 -1- 4 比較検討結果 機能性 デジタル防災行政無線方式 携帯IP通信方式 コミュニティFM放送方式 ○中継局、再送信局、外部 △山間部で圏外が発生 ○中継局増設で全世帯聴取可 アンテナ設置で不感解消 信頼性 ◎独自回線のため、災害時 に強い 運用性 能 △災害時の通信障害や輻輳 懸念 ○送信設備の多重化で強化で きる △故障時、メーカーのみ対 △故障時、携帯通信会社の 応可能(復旧に時間かか み対応可能(復旧に時間 る) かかる) ○故障時の早期復旧が可能 安全性 ○必要な安全性を有する ○必要な安全性を有する ○必要な安全性を有する 拡張性 △市域外での情報入手不可 ◎市域外でも情報入手可能 ◎市域外で他局放送受信可能 ◎5○3△1 ◎5○3△1 ◎5○3△1 合計点数 整備コスト 調達 ➡ 13点 ➡ 11点 ➡ 17点 約51億円 約33億円 約20億円 運営※ 約3億円 約105億円 約3億円 合計 約54億円 約138億円 約23億円 ※運営コストは 10 年間の維持・保守・修繕費用 ● コミュニティFM放送方式は、防災行政無線をデジタル化して更新するよりも約30億円の費用 削減が期待できる。 5 他の自治体の動向 県内では、12 自治体が緊急告知ラジオの配備を行っており、中でも小千谷市、十日町市、魚沼市は 全世帯を対象に無償貸与している(魚沼市の運用は 28 年 1 月のエフエム魚沼開局以降)。 屋外スピーカーも含めたFM放送波での防災情報伝達は、滋賀県草津市や愛媛県宇和島市、石川県七 尾市が導入・運用している。 6 FM 放送方式を想定した今後のスケジュール 平成 28 年度 新庁舎 整備 平成 29 年度 平成 30 年度 平成 31 年度 平成 32 年度 業務開始 建設工事 基本設計・実施設計 平成 33 年度 新たな防災情報通信システム整備 設計 基本設計 実施設計 FM 送信設備 整備 整備工事 緊急告知 FM ラジオ配備 防災情報 システム整備 移設 準備 屋外拡声子局整備 7 FM 放送方式を想定した整備の課題 ● コミュニティFM放送電波が届かない不感地域解消が必要⇒中継局の増設(総務省信越総合通信 局との協議および許可が必要) 。 ● コミュニティFM放送設備を防災目的で利用するにあたり、設備の調達・保守・運用等について、 ㈱柏崎コミュニティ放送との責任分担、費用負担等の明確化が必要。 -2-
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