様式2 平成24年度国際交流促進事業 助成報告書 部局名 神戸大学における健康科学分野の発展のための国際交流プログラム プロジェクト名 ―オランダフードバレーとの国際交流と健康科学国際会議の開催― 実 施 時 期 平 成 24年 4月 か ら 平 成 25年 3月 代 表 者 所 属 部 局 医学部附属病院 っ 職 名 氏 名 教 授 平井 みどり 実施内容および成果: 医学部では附属病院内に平成24年1月に健康科学評価センターを発足させた。当センターではその 役割として、バイオマーカーの探索に加えて、健康の維持・増進効果が期待される機能性食品や各 種健康関連機器をいかに科学的に評価するという課題に基礎・臨床研究を通じて取り組む。機能性 食品を含むフードビジネスの先進国は欧米である。なかでもオランダはヨーロッパ最大、アメリカ に次いで世界第二位の農業輸出国であり、そのオランダのフードビジネスの中心がフードバレーで ある。我々は健康科学評価センターの発足に先立ち、昨年既に「健康科学推進フォーラム」を通じ てフードバレーと友好関係を築くことができた。現在も交流を続けており、フードバレーのメンバ ーの訪問も受けている。 今回、オランダと同様に農業国であり、またEUの経済的中心でもあるベルギーのワロン地域との 交流の機会を得た。2012年6月には、ベルギー王太子の訪日に合わせたシンポジウムに参加し 、女性と健康をテーマに意見交換を行った。また、9月には神戸大学ブリュッセルオフィスを拠点 に、ワロン地域の健康・食品研究の状況を視察した。 ブリュッセルを含むベルギーのワロン地域は、ルーベンカトリック大学やリェージュ大学等、バ イオ研究が盛んであり、また農学部における畜産・食品研究が盛んである。訪問した2012年9 月は、同年12月より施行予定の「新規食品表示規則」すなわちEFSAによる食品の健康表示規制が 開始される直前であり、食品関連企業では規則の影響で製品の販売が制限を受けるのではないかと いう危惧が広まっている時期に一致する。新規規則では、消費者の安全志向に応えうる表示が義務 づけられ、消費者の誤解を招かないもの、組成や栄養素、使用目的、アレルゲンの有無などの記載 が必要となる。一方で漠然と「免疫を高める」といった宣伝的文言は規制の対象とされる。 今回の訪問では、上記の規則発効を前に、関心の高まっている規制科学分野の研究者や大学教員 を神戸大のブリュッセルオフィスに招いて、健康科学をテーマにミニシンポジウムと意見交換(昼 食会)を行った。今回の企画はブリュッセルオフィスの有効活用の好事例になり、交流と今後の連 携の契機となった。また、企業5社、大学2カ所訪問し、スピンオフカンパニーや大学発ベンチャ ーの情報も得て、我々健康科学評価センターの活動方向性を考える上で大変参考になった。 プログラムの成果は健康科学評価センターのウェブサイト等で情報発信している。その中で機能 性食品や各種健康関連機器の効果を科学的に検証することが、国際レベルのサイエンスであり、社 会のニーズでもあることを一般人や企業に理解してもらう。また、健康科学評価センターの活動や その国際性を広報する意味で、平成25年6月にはシンポジウムを病院・シスメックスホールにて 開催する予定である。既に健康科学評価センターが仲介を行い、医学研究科の研究者と国内企業と の間で共同研究も行われているが、今後は国外との共同研究も進めていきたい。
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